文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、創業以来一貫して、良品廉価・顧客本位、製品をもって世に問うというヤマザキの精神を具現化すべく、今日到達しうるベストクオリティー・ベストサービスを追求することをめざし、パン、和・洋菓子、製菓類、調理パン・米飯類の製造販売事業に携わり、常に積極果敢に技術革新に取り組み、高品質な製品を全国各地に安定的に供給することを通じて社会の負託に応え、業績の向上につとめてまいりました。
また、当社グループは、西暦2000年以来、特に「食の安全・安心」を社会の要請と積極的に受けとめ、徹底した食品安全衛生管理体制の確立をはかり、さらに、食品安全衛生管理体制の上に築き上げる事業経営手法として、部門別製品施策・営業戦略、小委員会による「なぜなぜ改善」を取り上げ、積極的に部門別製品開発、技術開発に取り組み、お客様に喜ばれる製品とサービスの提供に万全を期してまいりました。
当社は、21世紀の事業環境と社会の変化に対応するため、「企業経営を通じて社会の進展と文化の向上に寄与することを使命とし、自主独立の協力体制を作り、もって使命達成に邁進する」という顧客本位の精神で、潜在需要に着目しイノベーション(技術革新)によって需要を創造するという、前向き積極的なピーター・ドラッカー博士の経営理論に導かれる山崎製パン株式会社の「経営基本方針(綱領および具体方針)」を改めて高く掲げると同時に、これを補完するものとして、「日々、お取引先からご注文いただいた品は、どんな試練や困難に出会うことがあっても、良品廉価・顧客本位の精神でその品を製造し、お取引先を通してお客様に提供する」という、新しいヤマザキの精神に導かれ、科学的根拠の上に立った食品安全衛生管理体制の上に築き上げる科学的・合理的・効率的な事業経営手法として、生命の道の教えに従ったすべての仕事を種蒔きの仕事から開始する部門別製品施策・営業戦略、小委員会による「なぜなぜ改善」を実践、実行、実証することで、新しい価値と新しい需要を創造し、社会の負託に応え社業を前進させることを21世紀のヤマザキの経営方針といたします。
事業経営の具体的遂行に当たっては、経営陣、管理職は、本物の5S・全員参加の5Sとピーター・ドラッカー博士の5つの質問を連動させる「2本立ての5S」を行うとともに、生命の道の教えに従った部門別製品施策・営業戦略をピーター・ドラッカー博士の5つの質問と連動させ、「私たちの使命は何ですか」(What is our mission?)と問うだけでなく「私の使命は何ですか」(What is my mission? )と問い、生産部門・営業部門一体となった業務を推進するとともに、内部管理体制を充実・強化して、各部門毎の自主独立の協力体制を構築いたします。また、「良品廉価・顧客本位の精神で品質と製品、サービスをもって世に問う」というヤマザキの精神と「知恵と知識によって変化に挑戦し、新しい価値と新しい需要を創造する」という生命の道を導く言葉によって日々の仕事の実践、実行、実証に励み、業績の着実な向上を期してまいります。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するため、積極的な設備投資を継続するとともに、財務基盤の安定、収益性の改善、資本効率の向上に取り組んでまいります。具体的には、連結売上高経常利益率3%以上の達成を経営目標とするとともに、連結ROEを重要な経営指標として位置づけ、最低限5%達成を経営指標として効率的な事業経営に取り組んでまいります。また、株主還元に関しましては、連結配当性向25%を目標に安定した配当を継続することを基本方針とし、今後も業績と連動した増配をめざしてまいります。
(3) 食品安全衛生管理体制の強化
当社グループは、従来から全社的組織で取り組んでおります細菌面における食品衛生管理システム、表示の適正管理システムに加え、AIB(American Institute of Baking)の「国際検査統合基準」に基づく教育指導・監査システムを活用し、異物混入防止対策を含む科学的根拠の上に立った総合的な食品安全衛生管理体制を整備しております。当社グループは、一般社団法人日本パン技術研究所によるAIBフードセーフティ監査を受けるとともに、自主監査によって各工場の食品安全衛生管理体制の充実強化をはかっております。また、当社の食品衛生管理センターが要注意製品群を定め、定期的な製品の市場買付による細菌検査を通じて安全性の検証を行うとともに、当社の食品安全衛生管理本部の食品衛生管理課が専任の部署として、製品表示のチェックシステムにより原材料の成分管理やアレルゲン表示管理を含め製品表示の管理徹底をはかっております。食品表示基準の制定に伴う対応(猶予期間平成32年3月末迄)及び平成29年9月に義務化された新しい原料原産地表示に伴う対応(猶予期間平成34年3月末迄)につきまして、猶予期間内に完了するよう計画的に実施しております。
今後、なお一層、食品安全衛生管理体制の強化につとめてまいる所存でございます。
(4) 経営環境及び対処すべき課題
今後の見通しといたしましては、わが国経済は緩やかな回復基調が持続することが期待されますが、本年10月に消費税率の引上げが予定されており、お客様の節約志向が一段と強まるものと予測されます。
パン・菓子業界におきましては、販売競争が激化する中で、人件費、物流コストの増加や原料価格の高止まりもあり収益面で厳しさが強まることが予測されます。また、コンビニエンスストア業界におきましては、販売競争が一段と激化する中で、人手不足や残業規制の強化もあり経営環境が厳しさを増すものと思われます。
このような状況下にありまして、当社グループは、ヤマザキの精神に従って、引き続き品質向上と新製品開発に積極的に取り組み、主力製品を中心に拡販につとめるとともに、高品質・高付加価値製品を開発する一方で値頃感のある製品を投入するなど、営業・生産が一体となった部門別製品施策・営業戦略、小委員会による「なぜなぜ改善」を推進してまいります。
食パンは、3大ブランドの「ロイヤルブレッド」、「ダブルソフト」、「超芳醇」を中心に、品質訴求と売場づくりを推進してまいります。ゴールドシリーズにつきましては、11月に発売した「くるみゴールド」の取扱拡大につとめるとともに、本年1月発売の生クリームとバターを使用したコクのある風味のリッチな食パン「クリーミーゴールド」とあわせて売場づくりを推進してまいります。また、当期発売した「ダブルソフト全粒粉」に続き、「おいしい健康志向」への取組みを推進し、新しい需要の創造をめざしてまいります。
菓子パンは、ルヴァン種を活用した品質の向上と新製品開発を推進し、量販店やドラッグストア向けにお客様のニーズに合った値頃感のある低単価な製品を開発する一方で、デイリーヤマザキ、ヤマザキショップなどの自社業態及びコンビニエンスストア向けに高品質で付加価値のある製品の開発を推進してまいります。また、ランチパックにつきましては、主力製品に加え惣菜製品の消費期限を延長して取扱拡大をはかるとともに、全粒粉シリーズの食パンに自家製発酵種ルヴァンを使用して品質向上をはかります。
和菓子は、和生菓子において草餅や桜餅などの季節製品の消費期限を延長し取扱拡大をはかるとともに、和生菓子の詰合せ製品を発売し、和生菓子の販売拡大をめざします。また、中華まんにつきましては主力の「具たっぷり」シリーズの取扱拡大に加え、秋以降の品質向上に取り組んでまいります。
洋菓子は、「モンブラン」、「チーズスフレ」などの2個入り生ケーキの消費期限を延長し取扱拡大をはかってまいります。また、洋菓子の生産ラインをフルに活用した新製品開発に積極的に取り組んでまいります。
調理パン・米飯類は、㈱サンデリカの最先端の炊飯設備を活用した米飯の品質向上と新製品開発に積極的に取り組み、量販店やコンビニエンスストアチェーンとの取引強化をはかります。
製菓・米菓・その他商品類は、グループ各社の特徴のある製品群を活用したカテゴリー別のブランド戦略を推進するとともに、ヤマザキビスケット㈱につきましては、当社と一体となって「ルヴァンプライムスナック」の品質改善をはかり、「ノアール」、「ルヴァンクラシカル」とあわせて更なる売上拡大とブランドの育成をめざしてまいります。
デイリーヤマザキのコンビニエンスストア事業につきましては、引き続き自家製発酵種ルヴァンを活用したヤマザキベストセレクションのパンの品質向上や、米飯類の主力商品であるおにぎりの新商品開発に取り組むとともに、当社の生産各部門の体制を強化し、あわせてデイリーヤマザキ事業部門と一体となって効率の良い生産体制を構築してまいります。また、「DY・Yショップ製品施策・営業戦略小委員会」を通じて、生産各部門と一体となってデイリーヤマザキ事業の種蒔きの仕事である商品開発を推進してまいります。デイリーヤマザキの強みであるデイリーホットにつきましては、トーストサンドなど㈱サンデリカのベイクキットを活用して店内調理の効率化をはかるとともに、「セサミの塩バターパン」など健康志向商品の開発に取り組んでまいります。また、「首都圏リージョン小委員会」を通じてデイリーヤマザキ一店一店の収益改善に取り組むとともに、計画的な店舗改装やベーカリー機能を導入した競争力のある店舗の開発を推進してまいります。
当期は、当社創業70周年の節目の年に当たり、ヤマザキパンの創業の原点に立ち帰るとともに、ヤマザキパンの創業の精神を再確認しつつ次世代を担う経営陣による新経営体制が出発いたしました。経営体制の整備は、経営上層部だけではなく生産・営業各部門における経営体制の充実強化が求められ、現在、各部門毎のあるべき姿を追求し、一つひとつの課題に着実に取り組む体制づくりをいたしております。
また、販売面では、業態別・チェーン別の製品対応に加えて地域別の製品対応を一層強化するため、地域毎のお客様のニーズに合わせた製品を開発し積極的に提供することによって、取引拡大をはかってまいります。特に、関西地区の諸工場を中心に、中四国地区を含めて、各地区毎の製品施策・営業戦略を推進し、業績向上をめざしてまいります。さらに、当社グループ一丸となって内部管理体制の充実と業務の効率化をはかり、新しい価値と新しい需要を創造してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項については、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 食品安全衛生
近年、食品業界におきましては、原材料や製品の消費又は賞味期限管理の問題、製品の規格や農畜水産物の産地の偽装、輸入食品の安全対策等、食品の品質、安全性に関わる問題が発生しております。当社グループは、製品の安全性確保と今後発生が予見されるリスクへの予防措置を講ずる目的から、当社本社内に食品安全衛生管理本部を設置し、下部組織として食品衛生管理センター(微生物、表示業務)、食品品質管理部(異物混入防止業務)、お客様相談室を設け、更に各工場において食品衛生管理センター分室(微生物、表示業務)、食品品質管理センター分室(異物混入防止業務)を設置するとともに、工場長を委員長とする食品衛生委員会を設け、日々の管理の万全を期しております。また、微生物に関する安全性確保の手段として、当社グループの各工場において日々の細菌検査による工程管理を実施するとともに、本社食品衛生管理センターによる市場買付による細菌検査を実施しております。さらに、異物混入防止対策としてAIB(American Institute of Baking)の「国際検査統合基準」による指導・監査システムを導入し、関係会社を含む全工場に管理を徹底するとともに順次監査を実施しております。また、表示に関しましては、当社及びグループ各社が発売する製品について、食品衛生管理センターの表示確認決定システムにより管理を徹底しております。さらに、中央検査室において、食品衛生事故の防止のための研究をいたしておりますが、社会全般にわたる品質問題等、上記の取組みの範囲を超えた事象が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 原材料の調達及び価格高騰
当社グループの食品事業の主要原料は、小麦粉、砂糖、油脂等農産物の一次加工品であり、卵、レーズン、苺等の農産物も原料として多量に使用しております。これらは生産地域の異常気象等による収穫量の減少や消費量の急激な増加のために需給が逼迫することがあり、また、投機資金の流入によって穀物等の国際相場が攪乱されることがあります。特に、輸入原料の場合は紛争発生や感染性疾病の流行により特定地域からの輸入が停止される可能性があります。また、原油価格の上昇等により、軽油、重油等の燃料や石油製品である包装材料、容器類の価格上昇が生じる可能性があります。
当社グループでは、調達先の多様化によるリスク分散や市場原理に沿った様々な対応策を講じておりますが、突発的事情により原材料の安定的調達ができなくなった場合、又は仕入価格が高騰した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 自然災害
当社グループは、生産拠点として国内外に多数の工場を有しておりますが、地震や台風等の自然災害が発生し、重大な被害を受けた工場が操業停止となった場合、他工場から緊急の製品供給体制をとり対応いたします。しかし、首都圏等当社グループの工場が集中している地域で大規模災害が発生し、複数の工場が被災するなど、当社グループの危機管理対策の想定範囲を超えた天変地異の場合には、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、パン並びに米飯・調理パンは地震や洪水等の災害時における緊急食糧として最適であり、必要不可欠です。被災地における緊急食糧供給及びその後の安定的な食糧供給を行うことは製パン業界及び当社グループの使命であると考えております。従いまして、災害発生時には地域自治体と連携し、製パン業界及び当社グループの力を総動員して対応できる体制を備えております。
(4) 取引先の経営破綻
当社グループは、各社が連携して調査機関や業界からの情報収集に基づき取引先の与信管理を徹底し、債権保全に万全を期しておりますが、当社グループの主要な得意先である広域営業の量販店、コンビニエンスストアチェーンにつきましては、取引金額が多額であることもあり、万一、経営破綻が発生し売掛債権が回収不能になった場合には、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 退職給付費用及び債務
当社グループの退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算定されておりますが、前提条件が変更され数理計算差異が発生した場合や企業年金基金の運用成績が著しく悪化した場合には、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 海外事業
当社グループは、海外10ヶ国・地域において現地法人17社を有し、15ヶ所の製パン等の工場を運営するとともに、当社独自の冷凍生地技術を活用して268店のベーカリーを展開しております。海外事業のリスクとしては、次のような事業展開地域の政治、経済、社会情勢の変化等に起因する事業上の不利益要因が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
①予期しない法的規制・制度の変更(外資規制、営業許可制度、関税・輸出入規制等)
②他社による類似商標、看板の使用等、知的財産権の侵害
③自然災害、紛争、テロの発生
④為替・金利変動
なお、為替変動のリスクについては、海外子会社の資金調達における金利負担軽減のため、親会社である当社から直接貸付を行う場合があり、為替の変動によって業績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当期におけるわが国の一般経済環境は、緩やかな景気回復の動きが見られましたものの、海外経済の減速により輸出の伸び悩みが生じるなど景気の下押し圧力が強まりました。個人消費につきましては、天候不順や全国各地で相次いで発生した自然災害の影響により消費者マインドが低下するなど一進一退で推移し、力強さを欠きました。
パン・菓子業界にありましては、お客様の節約志向が根強い市場環境の下で販売競争が激化しました。さらに、人手不足を背景とした人件費や物流コスト、エネルギーコストの増加に加え、原料価格の上昇もあり収益が圧迫される厳しい経営環境となりました。また、コンビニエンスストア業界にありましては、ドラッグストアなどとの業態を超えた競争が激化するなど厳しい経営環境となりました。
このような情勢下にありまして、当社グループは、創業70周年の記念事業を実施するに当たり、ヤマザキパン創業以来70年の歩みと歴史をまとめる中で、改めて創業の原点に立ち帰り、あるべき姿に立ち帰って、品質向上と新製品開発に積極的に取り組み、「厳撰100品」を中心とした主力製品の拡販につとめるとともに、高品質・高付加価値製品を開発する一方で、お客様の節約志向に対応した値頃感のある製品を投入するなど、営業・生産が一体となった部門別製品施策・営業戦略、小委員会による「なぜなぜ改善」を推進し、売上確保をはかりました。
当社は、2月1日に神戸工場を竣工稼働し、最新の生産設備と増強された生産能力を活用して食パン、菓子パンの主力製品を集中生産し、関西・中四国地区を中心にフレッシュな製品供給を推進しました。神戸工場稼働後、下期に入り売上高が予算を大きく下回ることになり、大阪第一工場の食パンラインを休止して近隣工場に生産移管を行い稼働率の向上をはかるなど生産・販売・物流体制の再構築を行い効率化に取り組むとともに、抜本的対策に取り組んでおります。
また、4月には輸入小麦の政府売渡価格が引き上げられ、これを受けて業務用小麦粉が値上げされました。小麦粉の値上げは3回連続となり、この間、人件費や物流コスト、エネルギーコストが増加していることから、当社は、引き続き高品質で安全・安心な製品を提供するため、7月1日出荷分から、食パンや菓子パンの主力70品についての値上げを実施しました。しかしながら、猛暑の影響もありパン類の需要が減少する中で、お客様の節約志向が強まり、下期は苦戦いたしましたが、その中で各部門毎の製品施策・営業戦略、小委員会による「なぜなぜ改善」に立ち帰り、改めて品質訴求と売場づくりによって売上向上対策を実施し回復をはかりました。
デイリーヤマザキのコンビニエンスストア事業につきましては、コンビニエンスストア事業の種蒔きの仕事である商品開発の体制を整備し、ヤマザキベストセレクションのパンやおにぎりなど品質向上と新商品開発に取り組みました。また、「首都圏リージョン小委員会」を定期的に開催して店舗一店一店の改善につとめ、ベーカリー機能の導入など店舗機能強化のための改装を推進するとともに、楽天ポイントサービスを開始してお客様の利便性の向上をはかり、来店客数の増加をめざしました。
当連結会計年度の業績につきましては、連結売上高は1兆594億42百万円(対前連結会計年度比100.6%)となり、人件費や物流コスト、エネルギーコストの増加に加え、神戸工場稼働に伴う減価償却費の負担増もあり、連結営業利益は243億43百万円(対前連結会計年度比80.9%)、連結経常利益は266億29百万円(対前連結会計年度比82.8%)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、前期に㈱不二家の固定資産売却益を計上したこともあり135億34百万円(対前連結会計年度比53.9%)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
〔食品事業〕
a 食パン部門(売上高965億54百万円、対前連結会計年度比100.1%)
食パンは、販売を強化した主力の「ロイヤルブレッド」が好調に推移し、おいしい健康志向製品の「ダブルソフト全粒粉」が寄与して「ダブルソフト」シリーズが伸長しました。下期に入り売上は伸び悩みましたが、自家製発酵種ルヴァンを活用した「新食感宣言ルヴァン」を9月に全国発売するとともに、11月にゴールドシリーズの新製品「くるみゴールド」を投入して取扱拡大につとめ、前期の売上を確保しました。
b 菓子パン部門(売上高3,597億75百万円、対前連結会計年度比100.1%)
菓子パンは、下期に入り主力製品の一部で売上が伸び悩みましたが、チョコを増量した「ホワイトデニッシュショコラ」などのペストリーが好調に推移し、新規格の小ぶりサイズのコッペパンやスナックスティックが伸長するとともに、自家製発酵種ルヴァンを活用した「塩バターフランスパン」などのハードロールが大きく伸長し、前期の売上を確保することができました。
c 和菓子部門(売上高701億12百万円、対前連結会計年度比98.8%)
和菓子は、上期の和生菓子の不振対策として、主力の大福、まんじゅう、どら焼き、季節製品のおはぎや「苺大福」などの消費期限を延長して取扱拡大につとめましたところ、9月以降、売上は回復傾向となりました。
d 洋菓子部門(売上高1,360億51百万円、対前連結会計年度比100.8%)
洋菓子は、主力の2個入り生ケーキや「まるごとバナナ」などのチルドケーキが伸長し、「大きなツインシュー」などのシュークリームや「イチゴスペシャル」などのスナックケーキが好調に推移し、コンビニエンスストア向け製品対応を強化した効果もあり、売上増となりました。
e 調理パン・米飯類部門(売上高1,608億64百万円、対前連結会計年度比103.6%)
調理パン・米飯類は、「こだわりソースの焼きそばパン」や和紙包装のハンバーガーが好調に推移するとともに、㈱サンデリカにおいて大手量販店やコンビニエンスストアチェーンとの取引が拡大し、好調な売上となりました。
f 製菓・米菓・その他商品類部門(売上高1,674億95百万円、対前連結会計年度比101.6%)
製菓・米菓・その他商品類は、㈱不二家の「ルック」などのチョコレートや㈱東ハトの「ポテコ」などのスナックが好調に推移しました。
以上の結果、食品事業の売上高は9,908億53百万円(対前連結会計年度比100.9%)、営業利益は232億65百万円(対前連結会計年度比79.6%)となりました。
[食品事業 前期比較]
〔流通事業〕
デイリーヤマザキのコンビニエンスストア事業につきましては、原材料の調達から見直して品質の向上に取り組んだヤマザキベストセレクションのおにぎりを2月から全国発売し、5月には「助六寿司」や「いなり寿司」の品質向上をはかり、お客様のご支持をいただくとともに、10月にはヤマザキベストセレクションのパンの全面リニューアルを実施しました。また、麺の品質向上に取り組み、調理麺が好調に推移しました。
当期末の店舗数は、「デイリーヤマザキ」1,131店(56店減)、「ニューヤマザキデイリーストア」337店(4店増)、「ヤマザキデイリーストアー」25店(8店減)、総店舗数1,493店(60店減)となりました。
以上の結果、流通事業の売上高は、直営店舗数の減少により575億46百万円(対前連結会計年度比95.3%)となり、これに伴い営業損失は9億28百万円(前連結会計年度は8億49百万円の営業損失)となりました。
[流通事業 前期比較]
〔その他事業〕
その他事業につきましては、売上高は110億42百万円(対前連結会計年度比103.7%)、営業利益は18億79百万円(対前連結会計年度比149.8%)となりました。
[その他事業 前期比較]
②財政状態の状況
当連結会計年度末の資産合計は7,297億4百万円で、前連結会計年度末に比べ176億18百万円減少しました。
当連結会計年度末の負債合計は3,871億50百万円で、前連結会計年度末に比べ144億29百万円減少しました。
当連結会計年度末の純資産合計は3,425億53百万円で、前連結会計年度末に比べ31億88百万円減少しました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は1,064億23百万円となり、前連結会計年度に対しては228億30百万円の減少となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益236億23百万円に加え、減価償却費382億15百万円などにより499億47百万円のプラスとなりました。前連結会計年度に対しては67億15百万円収入が減少しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などにより490億5百万円のマイナスとなり、前連結会計年度に対しては150億24百万円支出が増加しました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済、配当金の支払などにより237億8百万円のマイナスとなり、前連結会計年度に対しては新規借入の減少などにより258億50百万円減少しました。
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社グループの食品事業における製品は特に鮮度が重要視されますので、取引先からの日々の注文により生産しておりますが、納入時間の関係上受注締切以前に見込数で生産を開始し、最終的に生産数量の調整を行う受注方式であり、翌日繰越受注残はありません。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。
a 貸倒引当金
当社グループは、貸倒懸念債権等特定の債権について個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しておりますが、将来、顧客の財政状態が悪化し支払能力が低下した場合は、引当金の追加計上が必要となる可能性があります。
b 投資有価証券の減損処理
当社グループは、投資有価証券を所有しておりますが、その価値が50%以上下落した場合及び2ヶ年以上継続して30%から50%下落している場合は、減損処理を実施しております。将来の市況悪化や投資先の業績不振等によっては、更に減損処理が必要となる可能性があります。
c 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産については、将来の課税所得の見込み及び税務計画に基づき、回収可能性を十分に検討し、回収可能な額を計上しております。なお、既に計上した繰延税金資産については、その実現可能性について毎期検討し、内容の見直しを行なっておりますが、将来の課税所得の見込みの変化やその他の要因に基づき繰延税金資産の実現可能性の評価が変更された場合、繰延税金資産の取崩又は追加計上により親会社株主に帰属する当期純利益が変動する可能性があります。
d 退職給付費用及び債務
退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率等が含まれます。当社及び国内子会社の年金制度においては、割引率は優良社債の利回りに基づき、長期期待運用収益率については年金資産の過去の運用実績等に基づき決定しております。
実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は将来にわたって規則的に認識されるため、将来の期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は1兆594億42百万円(前連結会計年度比0.6%増) で、当社に加え、連結子会社も堅調に推移したこともあり、前連結会計年度を上回りました。営業利益は243億43百万円(前連結会計年度比19.1%減)、経常利益は266億29百万円(前連結会計年度比17.2%減)で、人件費や物流コスト、エネルギーコストの増加に加え、神戸工場稼動に伴う減価償却費の負担増もあり、営業利益、経常利益ともに減益となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益も、前期に㈱不二家の固定資産売却益の計上により、135億34百万円(前連結会計年度比46.1%減)で、前連結会計年度を下回りました。
a 売上高
売上高を事業の種類別に見ますと、食品事業は和菓子部門以外の部門は前連結会計年度を上回り、9,908億53百万円(前連結会計年度比0.9%増)、流通事業は直営店の店舗数の減少もあり、575億46百万円(前連結会計年度比4.7%減)、その他事業は、110億42百万円(前連結会計年度比3.7%増)でした。
なお、売上高の詳細については、「第2 事業の状況」「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況に記載の通りです。
b 営業利益
売上総利益率は、食品事業の原料面で、粉価や米等の単価がアップしたことに加え、労務費やエネルギーコスト等の増加もあり、35.6%で前連結会計年度を0.5%下回りました。
販売費及び一般管理費は、3,532億21百万円、売上高に対する比率は33.3%で、物流費の増加はありましたが、前連結会計年度並でした。
以上の結果、営業利益は243億43百万円(前連結会計年度比19.1%減)となりました。
c 経常利益
営業外収益面で、金融収支の改善はありましたが、経常利益は266億29百万円(前連結会計年度比17.2%減)となりました。なお、目標とする経営指標の連結売上高経常利益率3%以上に対し、当連結会計年度は2.5%で前連結会計年度に比べ、0.5%減少しました。
d 親会社株主に帰属する当期純利益
前連結会計年度に㈱不二家の固定資産売却益の計上もあり、税金等調整前当期純利益は236億23百万円(前連結会計年度比42.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は135億34百万円で、前連結会計年度に比べ、46.1%の減益となりました。当連結会計年度の1株当たり当期純利益は62円17銭で、前連結会計年度に比べ52円24銭減少しました。また、目標とする経営指標の連結ROEの最低限5%に対し、当連結会計年度は4.3%で前連結会計年度に比べ、4.1%減少しました。
③財政状態の分析
当連結会計年度末の資産合計は7,297億4百万円で、前連結会計年度末に対し176億18百万円減少しました。
主な要因は、流動資産が2,606億39百万円で、現金及び預金が借入金の返済により232億11百万円減少したこと等により、前連結会計年度末に対し233億69百万円減少したことと、固定資産が4,690億64百万円で、有形固定資産が新規設備投資で71億91百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に対し57億50百万円増加したことによるものです。
負債は3,871億50百万円で、退職給付に係る負債の増加がありましたが、借入金の返済等により、前連結会計年度末に対し144億29百万円減少しました。
純資産は3,425億53百万円で、利益剰余金は増加しましたが、退職給付に係る調整累計額が57億18百万円、その他有価証券評価差額金が14億99百万円それぞれ減少したこと等により、前連結会計年度末に対し31億88百万円減少しました。なお、自己資本比率は42.89%で前連結会計年度に比べ0.58%の増、1株当たり純資産は1,439円72銭で前連結会計年度に比べ1円5銭の減となりました。
当連結会計年度末の借入金残高は839億4百万円でありますが、営業活動によるキャッシュ・フローや現金及び現金同等物の残高を考慮すると、当社グループは将来必要とされる成長資金及び有利子負債の返済に対し、当面充分な流動性を確保しております。
また、当社グループは、第1に、手元流動性を極力最小限に抑える。第2に営業活動によるキャッシュ・フローは会社の維持発展に必要な設備投資に充当する。なお、今後の重要な設備投資の計画につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設等」に記載のとおりであります。第3に余剰資金は金利負担の軽減をはかるため適宜借入金の返済に充当する。以上の3項目を目標にしてキャッシュ・フローの有効活用に努めます。株主還元につきましては、株主の皆様への安定配当を継続することを基本方針とし、連結配当性向25%を目標にしております。なお、当期の連結配当性向は32.17%であります。
⑤当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(注) 1 対価として一定額のロイヤルティを支払っております。
2 対価として一定料率のロイヤルティを支払っております。
3 デリフランス・フランチャイズ・インターナショナル・エス・エイ社は、デリフランス・エス・エイ社か
らの事業譲受により、平成30年7月1日付で本件契約を承継しております。
(注) 出資額は、当社のミヨシ油脂㈱に対する出資額であります。
当社グループは、「良品廉価、顧客本位の精神で、製品と品質、サービスをもって世に問う」、「知恵と知識によって変化に挑戦し、新しい価値と新しい需要を創造する」という新しいヤマザキの精神に則り、社会の変化に対応し先取りする真に価値ある製品とサービスの提供を目指し、基礎研究、製品開発、品質の安定・向上に関する研究等に積極的に取り組んでおります。平成28年12月に当社創業の地市川に完成した、21世紀のヤマザキの前進の基地となる総合クリエイションセンターを活用し、研究・開発・研修機能のさらなる充実・強化をはかっています。なお、当連結会計年度における当社グループの研究開発費は79億90百万円であります。
セグメントごとの主な研究内容は、次のとおりであります。
(食品事業)
食品事業では、パン、和・洋菓子、調理パン・米飯類、調理麺、製菓・米菓の各部門別に、主要原材料に関する基礎的分析・研究の更なる充実をはかり、食の安全・安心という社会的要請に科学的に対処するとともに、原料選別、配合・工程の改善研究を中心とした製品の品質向上に積極的に取り組んでまいりました。また、多様化する市場ニーズに的確に対応した製品の開発を精力的に行いました。
パン部門においては、パン製品の風味・食感のさらなる向上を目的とした発酵種(ルヴァン種)の安定化に向けた研究を進めるとともに、新規酵素の利用等の食パン基幹技術に関する研究を更に進め、また健康志向製品の開発やミックス粉、冷凍生地製品の品質向上等の取り組みを行いました。
和菓子部門においては、期限延長の研究、蒸しパン・中華まん製品のさらなる品質向上を進めるとともに、健康志向製品の開発を行いました。
洋菓子部門では、洋菓子スポンジ及びホイップクリームの新規技術による品質向上、期限延長の研究、健康志向製品開発等の取り組みを進めました。
米飯・調理麺部門においては、新規導入設備を活かしたデイリーヤマザキ向け調理麺のさらなる品質向上に関する研究を精力的に行いました。
製菓部門においては、個食化や健康志向等消費動向の変化に対応した製品開発を進めるとともに、安定した品質を得るための製造設備の開発、研究に取り組んでまいりました。また、米菓製品の品質向上のため、糯米・粳米の加工適性に関する研究を進め、更にグループ各社に対する機能性表示食品開発の技術的支援を行いました。
また、食品安全衛生に関しては、AIB(American Institute of Baking)の「国際検査統合基準」に基づく管理手法の工場への順次指導の継続実施を中心として、微生物関係食品事故防止体制の強化をはかるとともに、最新鋭分析機器の導入を積極的に進め、原材料や製品中の微量成分などの確認を行い、クレーム問題への的確かつ迅速な対応を行いました。
以上の結果、食品事業の研究開発費は74億91百万円となりました。
(流通事業)
コンビニエンスストア事業では、「ヤマザキベストセレクション」を中心に品質向上と新製品開発を推進し、店内調理においても、単品時間帯分析を活用した焼きたてパンや弁当、おにぎりの品揃えを充実強化しました。さらに、米飯、サンドイッチ、調理麺のファストフード部門につきましては、原材料から見直し、製法にも拘った商品や健康志向女性向け商品の開発を進めてまいりました。
以上の結果、流通事業の研究開発費は3億39百万円となりました。