第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

  文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、創業以来一貫して、良品廉価・顧客本位、製品をもって世に問うというヤマザキの精神を具現化すべく、今日到達しうるベストクオリティー・ベストサービスを追求することをめざし、パン、和・洋菓子、製菓類、調理パン・米飯類の製造販売事業に携わり、常に積極果敢に技術革新に取り組み、高品質な製品を全国各地に安定的に供給することを通じて社会の負託に応え、業績の向上につとめてまいりました。

また、当社グループは、西暦2000年以来、特に「食の安全・安心」を社会の要請と積極的に受けとめ、徹底した食品安全衛生管理体制の確立をはかり、さらに、食品安全衛生管理体制の上に築き上げる事業経営手法として、部門別製品施策、営業戦略、小委員会による「なぜなぜ改善」を取り上げ、積極的に部門別製品開発、技術開発に取り組み、お客様に喜ばれる製品とサービスの提供に万全を期してまいりました。

今般、当社は、21世紀の事業環境と社会の変化に対応するため、「企業経営を通じて社会の進展と文化の向上に寄与することを使命とし、自主独立の協力体制を作り、もって使命達成に邁進する」という山崎製パン株式会社の「経営基本方針(綱領および具体方針)」を改めて高く掲げると同時に、これを補完するものとして、「日々、お取引先からご注文いただいた品は、どんな試練や困難に出会うことがあっても、良品廉価、顧客本位の精神でその品を製造し、お取引先を通してお客様に提供する」というヤマザキの精神に導かれ、科学的根拠の上に立った食品安全衛生管理体制の上に築き上げる科学的・合理的・効率的な事業経営手法として、いのちの道の教えに従ったすべての仕事を種蒔きの仕事から開始する部門別製品施策・営業戦略、小委員会による「なぜなぜ改善」を実践、実行、実証することで、新しい価値と新しい需要を創造し、社会の負託に応え社業を前進させることを21世紀のヤマザキの経営方針といたします。

事業経営の具体的遂行に当たっては、経営陣、管理職は、本物の5S・全員参加の5Sとピーター・ドラッカーの5つの質問を連動させる「2本立ての5S」を行うとともに、いのちの道の教えに従った部門別製品施策・営業戦略をピーター・ドラッカーの5つの質問と連動させ、「私たちの使命は何ですか」(What is our mission?)と問うだけでなく「私の使命は何ですか」(What is my mission? )と問い、生産部門・営業部門一体となった業務を推進するとともに、内部管理体制を充実・強化して、各部門毎の自主独立の協力体制を構築いたします。また、「良品廉価・顧客本位の精神で品質と製品、サービスをもって世に問う」というヤマザキの精神と「知恵と知識によって変化に挑戦し、新しい価値と新しい需要を創造する」といういのちの道を導く言葉によって日々の仕事の実践、実行、実証に励み、業績の着実な向上を期してまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するため、積極的な設備投資を継続するとともに、財務基盤の安定、収益性の改善、資本効率の向上に取り組んでまいります。具体的には、連結売上高経常利益率3%以上の達成を経営目標とするとともに、連結ROEを重要な経営指標として位置付け、5%以上の達成を経営指標として効率的な事業経営に取り組んでまいります。また、株主還元に関しましては、連結配当性向30%を目標に安定した配当を継続することを基本方針とし、今後も業績と連動した増配をめざしてまいります。

 

(3) 食品安全衛生管理体制の強化

当社グループは、従来から全社的組織で取り組んでおります細菌面における食品衛生管理システム、表示の適正管理システムに加え、AIB(American Institute of Baking)の「国際検査統合基準」に基づく教育指導・監査システムを活用し、異物混入防止対策を含む科学的根拠の上に立った総合的な食品安全衛生管理体制を整備しております。当社グループは、一般社団法人日本パン技術研究所によるAIBフードセーフティ監査を受けるとともに、自主監査によって各工場の食品安全衛生管理体制の充実強化をはかっております。また、当社の食品衛生管理センターが要注意製品群を定め、定期的な製品の市場買付による細菌検査を通じて安全性の検証を行うとともに、当社の食品安全衛生管理本部の食品衛生管理課が専任の部署として、製品表示のチェックシステムにより原材料の強調表示管理やアレルゲン表示管理を含め製品表示の管理徹底をはかっております。食品表示基準の制定に伴う対応につきましては猶予期間である2020年3月末迄に終え、2017年9月に義務化された新しい原料原産地表示に伴う対応につきましても猶予期間である2022年3月31日迄に終えております。

今後、なお一層、食品安全衛生管理体制の強化につとめてまいる所存でございます。

 

 

(4)新型コロナウイルス感染症の影響と対策

期初は新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり厳しい状況となりましたが、3月以降、まん延防止等重点措置が全面解除となり、行動制限が緩和され、景気は持ち直しの動きがみられました。また、コンビニエンスストアやフレッシュベーカリーの小売事業につきましては、人流の回復に伴い、おにぎりやサンドイッチ、焼き立てパンなどの需要も徐々に回復してまいりました。

このような情勢下にありまして、当社グループは、緊急事態においてパン、和菓子、洋菓子類を緊急食糧として社会に提供するという創業以来のヤマザキの精神に従い、新型コロナウイルス感染拡大の中で製品の安定供給を確保するため、全従業員に対して検温を実施し、37.2℃以上の発熱がある者は自宅待機とし、また発熱がない場合でも新型コロナウイルス独特の自覚症状がある者も自宅待機とし、この自宅待機者数とPCR検査陽性者数を日々管理いたします。また、マスクの着用や手指の消毒など日常の感染防止対策を徹底するとともに、5人以上の会食の原則禁止や感染の恐れの高い遊興施設の利用禁止など、公衆衛生上の遵守事項を徹底いたします。さらに、工場・事業所内の感染防止対策として、炭酸ガス濃度測定器によって、常時職場内の換気をしながら炭酸ガス濃度を700ppm以下に保つとともに、従業員向けに新型コロナワクチンの職域接種を推進し、社会的使命の達成に全力を挙げて取り組んでまいります。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

今後の見通しといたしましては、わが国経済は政府による新型コロナウイルス対策が進められる中で景気は持ち直していくことが期待されますが、原材料価格やエネルギー価格の更なる上昇が懸念され、先行きは予断を許しません。

当業界におきましては、生活必需品を中心に物価が上昇し、お客様の生活防衛意識の高まりから節約志向が更に強まる中で、主原料の小麦粉につきましては昨年10月期の輸入小麦の政府売渡価格は据え置きとなりましたものの本年4月期には上昇が見込まれており、また卵や包材などの原材料価格やエネルギーコストの更なる上昇が予測され、収益が圧迫される厳しい経営環境になるものと思われます。

このような状況下にありまして、当社グループは、引き続き新型コロナウイルスの感染防止対策を徹底するとともに、「いのちの道」の教えに従った、営業・生産が一体となった部門別製品施策・営業戦略、小委員会による「なぜなぜ改善」によって、各部門毎に、ヤマザキ独自の技術を活用した品質向上や新製品開発に取り組み、変化するお客様のニーズに対応した2極化・3極化戦略によって価格帯毎に隙のない製品対応をはかり、新しい価値と新しい需要の創造をめざしてまいります。

また、デイリーヤマザキやフレッシュベーカリーの小売事業につきましては、小売事業業績改善プロジェクトにおいて日次管理・週次管理を徹底し、戦略製品・戦略商品開発推進チームを中心に、「いのちの道」の教えに従ったヤマザキパンの小売事業のあるべき姿を追求して、ヤマザキパングループの総力を挙げた戦略商品の開発に取り組み、小売事業の業績向上をめざしてまいります。

食パンは、3大ブランドの「ロイヤルブレッド」、「ダブルソフト」、「超芳醇」の品質訴求と売場づくりを推進するとともに、低価格帯食パンにつきましても、「モーニングスター」や「スイートブレッド」の取扱拡大をはかってまいります。また、適量目製品の需要が高まる中、「ハーフサイズ」食パンの品揃えの充実をはかり、取扱拡大に取り組んでまいります。

菓子パンは、高級シリーズやヤマザキ菓子パンなど主力製品の取扱拡大を継続するとともに、2極化・3極化に対応した新製品開発に積極的に取り組み、売上拡大をはかってまいります。また、ランチパックにつきましても、主力製品の取扱拡大をはかるとともに、低価格帯製品の充実により価格帯毎に隙のない製品対応を強化し、売上拡大をはかってまいります。

和菓子は、新規製法の餡を活用し、主力の団子・大福・まんじゅうの売上拡大をはかるとともに、お客様の求めに対応した値頃感のある複数個入り製品を充実してまいります。また、女性開発担当者を活用したチルド対応製品や和洋折衷製品などの新製品開発に取り組んでまいります。

洋菓子は、2個入り生ケーキや「まるごとバナナ」など主力製品の取扱拡大に加え、値頃感のある製品を充実して隙のない製品対応に取り組み、売上拡大をはかってまいります。また、女性開発担当者による新製品開発を推進し、コンビニエンスストア向け製品も含め充実強化をはかってまいります。

 

調理パン・米飯類は、㈱サンデリカにおいて2022年4月に開設した中央研究所を活用して市場変化に対応した製品開発に取り組むとともに、製品提案を積極的に推進し、量販店やコンビニエンスストアチェーンとの取引拡大をはかってまいります。

製菓・米菓・その他商品類は、グループ各社の特徴のある製品群を活用したカテゴリー別のブランド戦略を推進し売上拡大をはかってまいります。デイリーヤマザキのコンビニエンスストア事業につきましては、お客様に喜ばれるヤマザキ独自のコンビニエンスストアチェーンとして、新しい価値と新しいサービスの提供につとめ、新たな需要を創造してまいります。引き続き、戦略製品・戦略商品開発推進チームと連携して、ヤマザキの技術を最大限に活用した競争力のある商品開発を推進するとともに、松戸・杉並ドミナントプロジェクトによりデイリーヤマザキの強みであるデイリーホットの充実強化により業績回復をはかってまいります。また、既存店の改装につきましても、1店1店丁寧に取り組み、ヤマザキらしい店づくりを継続してまいります。

2007年から開始した㈱不二家の再生復活支援の取組みにつきましては、15年を経て洋菓子部門の黒字化を実現し、また㈱不二家が東京証券取引所におけるプライム市場に移行したことを踏まえ、一区切りを迎えることができました。今後につきましては、2023年2月1日に㈱YKベーキングカンパニーが㈱神戸屋の子会社として稼働し、3月31日には当社が㈱YKベーキングカンパニーの株式全部を取得することにより、㈱神戸屋の包装パン事業等を譲り受けることとなりますので、YKベーキングカンパニー準備委員会を中心に事業譲受けの準備を十分に進めるとともに、譲受け後はヤマザキの技術を最大限活用した品質向上と新製品開発に取り組み、早期に軌道に乗るようつとめてまいります。

 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項については、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 食品安全衛生

近年、食品業界におきましては、原材料や製品の消費又は賞味期限管理の問題、製品の規格や農畜水産物の産地の偽装、輸入食品の安全対策等、食品の品質、安全性に関わる問題が発生しております。当社グループは、製品の安全性確保と今後発生が予見されるリスクへの予防措置を講ずる目的から、当社本社内に食品安全衛生管理本部を設置し、下部組織として食品衛生管理センター(微生物、表示業務)、食品品質管理部(異物混入防止業務)、お客様相談室を設け、更に各工場において食品衛生管理センター分室(微生物、表示業務)、食品品質管理センター分室(異物混入防止業務)を設置するとともに、工場長を委員長とする食品衛生委員会を設け、日々の管理の万全を期しております。さらに、中央検査室において、食品衛生事故の防止のための研究をいたしておりますが、社会全般にわたる品質問題等、上記の取組みの範囲を超えた事象が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

食品安全衛生へのリスクに対応するため、微生物に関する安全性確保の手段としてHACCPに基づく衛生管理を行い、当社グループの各工場において日々の細菌検査による衛生管理を検証するとともに、本社食品衛生管理センターにおいて要注意製品を定めて各工場毎に月次で市場買付による細菌検査を実施、全工場の衛生管理体制の検証を行っています。さらに、異物混入防止対策としてAIB(American Institute of Baking)の「国際検査統合基準」による指導・監査システムを導入し、関係会社を含む全工場に管理を徹底するとともに順次監査を実施しております。また、表示に関しましては、当社及びグループ各社が発売する製品について、食品衛生管理センターの表示確認決定システムにより管理を徹底しております。

 

(2) 原材料の調達及び価格高騰

当社グループの食品事業の主要原料は、小麦粉、砂糖、油脂等農産物の一次加工品であり、卵、レーズン、苺等の農産物も原料として多量に使用しております。これらは生産地域の地球温暖化などの影響に伴う異常気象等による収穫量の減少や消費量の急激な増加のために需給が逼迫することがあり、また、投機資金の流入によって穀物等の国際相場が攪乱されることがあります。特に、輸入原料の場合は紛争発生や感染性疾病の流行により特定地域からの輸入が停止される可能性があります。また、原油価格の上昇等により、軽油、重油等の燃料や石油製品である包装材料、容器類の価格上昇が生じる可能性があります。

当社グループでは、調達先の多様化によるリスク分散や市場原理に沿った様々な対応策を講じておりますが、突発的事情により原材料の安定的調達ができなくなった場合、又は仕入価格が高騰した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

原材料の調達及び価格高騰へのリスクに対応するため、この様なリスクは常に発生する可能性があるとの認識を持ち、原材料に係る情報の積極的な収集に努めるとともに、複数社による調達、国や産地の分散化、代替原材料の検討、諸外国との経済連携協定等の活用、生産販売部門との情報の共有などにより、サプライチェーンとの信頼関係の下、コストの削減及び安定供給に努めております。

 

(3) 自然災害

当社グループは、生産拠点として国内外に多数の工場を有しており、地震や台風等の自然災害が発生し、重大な被害を受けた工場が操業停止となった場合、当該工場の生産分を他の複数工場の増産とグループ会社を含めた自社物流網を活用して緊急的に製品を供給し事業継続する体制を構築しておりますが、万一、当社グループの危機管理対策の想定範囲を超えた大規模な災害が発生した場合には、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

なお、地震や洪水等の自然災害時において、ライフラインが停止した状況でも直ぐに利用できるパンや米飯・調理パンは緊急食糧に適しており、多くの場合被災地の自治体から緊急食糧の供給要請があります。当社は緊急食糧の供給を含め、安定した食料供給は食品企業としての当社の社会的使命と考え、過去に発生いたしました阪神淡路大震災や東日本大震災、熊本地震などの大規模自然災害に際しましてもグループの総力を上げて対応してまいりました。

今後も自然災害に際し、直ちに本社および被災地に緊急対策本部を設置し、本社支援要員の速やかな現地派遣等により連携して早期復旧にあたる体制の強化、災害時通信網の整備、非常用発電装置の配備、情報システム2拠点化など、自然災害へ対応する事業継続体制整備へ向けて、さらに制度を上げた取り組みを推進してまいります。

 

(4) 取引先の経営破綻

当社グループは、各社が連携して調査機関や業界からの情報収集に基づき取引先の与信管理を徹底し、債権保全に万全を期しておりますが、当社グループの主要な得意先である広域営業の量販店、コンビニエンスストアチェーンにつきましては、取引金額が多額であることもあり、万一、経営破綻が発生し売掛債権が回収不能になった場合には、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

取引先の経営破綻のリスクに対応するため、債権管理システムを活用した入金遅延情報の早期把握や、店頭情報及び同業他社からの情報収集の強化を図り、経営破綻の兆候を発見するとともに、信用調査を定期的に実施し、支払条件の短縮及び保証金預りの交渉等の対策により、売掛債権の回収不能防止に取り組んでおります。

 

(5) 退職給付費用及び債務

当社グループの退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算定されておりますが、前提条件が変更され数理計算差異が発生した場合や企業年金基金の運用成績が著しく悪化した場合には、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

退職給付費用及び債務のリスクに対応するため、年金資産運用の情報収集を行うとともに、年金資産運用受託機関からの詳細な情報を得て運用状況の改善に努めております。

 

(6) 海外事業

当社グループは、海外10ヶ国・地域において現地法人16社を有し、16ヶ所の製パン等の工場を運営するとともに、当社独自の冷凍生地技術を活用して246店のベーカリーを展開しております。海外事業のリスクとしては、次のような事業展開地域の政治、経済、社会情勢の変化等に起因する事業上の不利益要因が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

①予期しない法的規制・制度の変更(外資規制、営業許可制度、関税・輸出入規制等)

②他社による類似商標、看板の使用等、知的財産権の侵害

③自然災害、紛争、テロの発生

④為替・金利変動

なお、為替変動のリスクについては、海外子会社の資金調達における金利負担軽減のため、親会社である当社から直接貸付を行う場合があり、為替の変動によって業績に影響を及ぼす可能性があります。

海外事業のリスクに対応するため、当該政府、金融機関、監査法人、弁護士等から情報収集を行い、予防、回避に努めております。上記のリスクが発生した場合に備え、事業の継続を念頭に対応策を早期に検討し実施する体制を構築しております。また、紛争、テロ等が発生した場合は従業員とその家族の安全確保を第一とし、状況により出向者及び家族の一時退避等の対策を実施いたします。

 

 

(7) 新型コロナウイルス感染症

新型コロナウイルス感染拡大を受け、新型コロナウイルスのワクチンの接種が開始されましたが、今後の経過によっては、当社グループの事業活動及び収益確保に影響を及ぼす可能性があります。

新型コロナウイルス感染症のリスクに対し、当社グループは、緊急事態においてパン、和菓子、洋菓子類を緊急食糧として社会に提供するという創業以来のヤマザキの精神に従い、新型コロナウイルス感染拡大の中で製品の安定供給を確保するため、全従業員に対して検温を実施し、37.2℃以上の発熱がある者は自宅待機とし、また発熱がない場合でも新型コロナウイルス独特の自覚症状がある者も自宅待機とし、この自宅待機者数とPCR検査陽性者数を日々管理しております。また、マスクの着用や手指の消毒など日常の感染防止対策を徹底するとともに、5人以上の会食の原則禁止や感染の恐れの高い遊興施設の利用禁止など、公衆衛生上の遵守事項を徹底しております。さらに、工場・事業所内の感染防止対策として、炭酸ガス濃度測定器によって、常時職場内の換気をしながら炭酸ガス濃度を700ppm以下に保つとともに、従業員向けに新型コロナワクチンの職域接種を推進し、社会的使命の達成に全力を挙げて取り組んでおります。

 

(8) 情報セキュリティ

当社グループは、事業活動においてITシステムを幅広く活用しております。このため、サイバー攻撃やシステム運用上のトラブル等によって、ITシステムの停止や重要情報の漏洩・喪失が発生した場合には、事業の中断、損害賠償請求、セキュリティ対策費用の増加等により、事業及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

上記のリスクに対応するため、当社グループは、基幹系システム等の重要システムを堅牢性の高いデータセンターで管理しており、外部からのサイバー攻撃に対する多層的な防御・監視を24時間365日体制で運用しております。データセンター内のITシステムは二重化しており、非常時はバックアップシステムに切り替えることにより事業を継続可能な構成としております。また、サイバー攻撃やシステム運用上のトラブル等によって発生しうる損害賠償に対応するため「サイバー保険」に加入しております。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

  当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

  なお、当期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等(以下「収益認識会計基準」という。)を適用しておりますが、前期との比較・分析については収益認識会計基準適用前の数値で行っております。

①経営成績の状況

当期におけるわが国の一般経済環境は、期初は新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり厳しい状況となりましたが、3月以降、まん延防止等重点措置が全面解除となり、行動制限が緩和され、景気は持ち直しの動きがみられました。一方で、急速な円安進行やロシア・ウクライナ情勢の影響による原材料価格やエネルギー価格の高騰もあり、力強さを欠くものとなりました。

当業界におきましては、物価上昇によりお客様の節約志向が強まり消費が伸び悩む中で、主原料の小麦粉や油脂、包材などの原材料価格の高騰に加え、都市ガス、電気などのエネルギーコストの上昇もあり厳しい経営環境となりました。また、コンビニエンスストアやフレッシュベーカリーの小売事業につきましては、人流の回復に伴い、おにぎりやサンドイッチ、焼き立てパンなどの需要も徐々に回復してまいりましたが、光熱費の上昇により店舗コストが上昇するなど厳しい経営環境となりました。

このような情勢下にありまして、当社グループは、緊急事態においてパン、和菓子、洋菓子類を緊急食糧として社会に提供するという創業以来のヤマザキの精神に従い、新型コロナウイルス感染拡大の中で製品の安定供給を確保するため、全従業員に対して検温を実施し、37.2℃以上の発熱がある者は自宅待機とし、また発熱がない場合でも新型コロナウイルス独特の自覚症状がある者も自宅待機とし、この自宅待機者数とPCR検査陽性者数を日々管理しました。また、マスクの着用や手指の消毒など日常の感染防止対策を徹底するとともに、5人以上の会食の原則禁止や感染の恐れの高い遊興施設の利用禁止など、公衆衛生上の遵守事項を徹底しました。さらに、工場・事業所内の感染防止対策として、炭酸ガス濃度測定器によって、常時職場内の換気をしながら炭酸ガス濃度を700ppm以下に保つとともに、従業員向けに新型コロナワクチンの職域接種を推進し、社会的使命の達成に全力を挙げて取り組んでまいりました。

このような状況の中で、当社グループは、新型コロナウイルス感染防止対策の上に行う業績向上対策として、「いのちの道」の教えに従う、営業・生産が一体となった部門別製品施策・営業戦略、小委員会による「なぜなぜ改善」を推進し、ルヴァン種等を活用して品質の向上をはかるとともに、女性開発担当者を活用し、変化するお客様のニーズに対応した新製品開発に取り組むなど、各部門毎の業績向上をめざしました。また、当社は、主原料の小麦粉価格の度重なる上昇に対処するため、2022年1月1日並びに7月1日出荷分から、食パン、菓子パンの価格改定を実施するとともに、2極化・3極化戦略によって低価格帯製品や値頃感のある製品の品揃えを強化するなど価格帯毎に隙のない製品対応を推進し、業績の確保につとめました。また、同様の戦略を和菓子、洋菓子にも展開してまいりました。

デイリーヤマザキやヴィ・ド・フランスなど小売事業につきましては、小売事業業績改善プロジェクトにより日次管理・週次管理の経営手法を徹底し日々の仕事の精度向上につとめるとともに、小売事業本部内の戦略製品・戦略商品開発推進チームと連携し、ヤマザキの技術を最大限活用した、競争力のある商品開発を推進するなど業績回復をめざしました。

当社は2022年3月30日開催の第74回定時株主総会においてご承認いただき、同日付をもって監査等委員会設置会社に移行しました。これに伴い、常務会を業務執行の中心機関とし、その下部機関としてコーポレートガバナンス(企業統治)小委員会、営業生産合同(現業)小委員会、関係会社小委員会を設置して随時開催し、各部門または関係会社における問題・課題について、その問題・課題の原因追求とあるべき姿を求めて対処・対応し、日次管理・週次管理・月次決算の経営手法により、精度の高い効率的な業務執行を行い、業績の向上を期してまいりました。

 

また、当社は2022年8月26日開催の取締役会において、㈱神戸屋から包装パンの製造販売事業および同社子会社の営むデリカ食品の製造販売事業を譲り受けることを決議し、同日、㈱神戸屋と株式譲渡契約を締結しました。事業の譲受け方法につきましては、㈱神戸屋が新会社㈱YKベーキングカンパニーを設立し、包装パン事業等を会社分割により承継させたうえで、同社の発行済株式全部を当社が取得することを予定しております。12月15日には、公正取引委員会から「排除措置命令を行わない旨の通知書」を受領し、公正取引委員会から承認を得ることができました。これを受け、当社内にYKベーキングカンパニー準備委員会を設置し、譲受けに向け準備を進めることといたしました。

当期の業績につきましては、連結売上高は1兆770億9百万円(対前連結会計年度比106.2%)、連結営業利益は220億32百万円(対前連結会計年度比120.0%)、連結経常利益は261億27百万円(対前連結会計年度比122.2%)、親会社株主に帰属する当期純利益は123億68百万円(対前連結会計年度比119.2%)となり、山崎製パン㈱単体の食パンや菓子パンが好調に推移したことに加え、一部の連結子会社の業績が改善したこともあり、増収増益となりました。

 

 


 

前連結会計年度

(自  2021年1月1日

至  2021年12月31日)

当連結会計年度

(自  2022年1月1日

至  2022年12月31日)

比較増減

金額(百万円)

金額(百万円)

前年

同期差

(百万円)

前年

同期比

(%)

売  上  高

1,052,972

1,077,009

24,036

102.3

営 業 利 益

18,359

22,032

3,673

120.0

経 常 利 益

21,382

26,127

4,745

122.2

親会社株主に帰属
する当期純利益

10,378

12,368

1,990

119.2

 

(注)1  当期首から「収益認識会計基準」を適用しており、前期と同様の基準で算出した売上高の
            対前連結会計年度比は106.2%であります

 

セグメント別の業績は次のとおりであります。
 
〔食品事業〕

a 食パン部門(売上高1,003億47百万円、対前連結会計年度比106.0%)
  食パンは、主力の「ロイヤルブレッド」が伸長し、「モーニングスター」や「スイートブレッド」などルヴァン種を活用し品質を向上させた低価格帯食パンが大きく伸長するとともに、サンドイッチ用食パンの回復や価格改定の寄与もあり、前期の売上を上回りました。

b 菓子パン部門(売上高3,802億6百万円、対前連結会計年度比106.3%)
  菓子パンは、主力の高級シリーズや「まるごとソーセージ」が好調に推移するとともに、値頃感のあるヤマザキ菓子パンシリーズが大きく伸長し、「ルヴァンバターロール」などの食卓ロールや「ベイクワン」シリーズなどの複数個入り製品が伸長しました。さらに海外子会社の売上が好調に推移したこともあり、前期の売上を上回りました。

c 和菓子部門(売上高707億93百万円、対前連結会計年度比104.2%)
  和菓子は、主力の串団子やまんじゅうが好調に推移し、複数個入りの大福や蒸しパンが伸長するとともに、「クリームたっぷり生どら焼」などチルド製品が売上に寄与するなど、前期の売上を上回りました。

d 洋菓子部門(売上高1,449億94百万円、対前連結会計年度比100.9%)
  洋菓子は、値頃感のある製品を充実させた主力の「2個入り生ケーキ」や「大きなツインシュー」などのシュークリームが堅調に推移したことに加え、㈱不二家の洋菓子事業が好調に推移したこともあり、前期の売上を上回りました。

e 調理パン・米飯類部門(売上高1,447億20百万円、対前連結会計年度比107.8%)
  調理パン・米飯類は、おにぎりやサンドイッチの売上が回復したことに加え、大徳食品㈱において調理麺の販路が拡大したこともあり、前期の売上を上回りました。

 

f 製菓・米菓・その他商品類部門(売上高1,610億86百万円、対前連結会計年度比111.6%)
  製菓・米菓・その他商品類は、㈱不二家の「カントリーマアム チョコまみれ」が大きく伸長し、新製品の「ホームパイ チョコだらけ」が寄与するとともに、㈱東ハトの「ポテコ」や「あみじゃが」が伸長しました。

  以上の結果、食品事業の売上高は1兆21億48百万円(対前連結会計年度比106.5%)、営業利益は223億26百万円(対前連結会計年度比111.5%)となりました。

 

     [食品事業 前期比較]

 

前連結会計年度

(自  2021年1月1日

至  2021年12月31日)

当連結会計年度

(自  2022年1月1日

至  2022年12月31日)

前年

同期差

(百万円)

前年

同期比

(%)

金額(百万円)

金額(百万円)

売  上  高

980,599

1,002,148

21,549

102.2

営 業 利 益

20,027

22,326

2,298

111.5

 

(注)1  当期首から「収益認識会計基準」を適用しており、前期と同様の基準で算出した売上高の
           対前連結会計年度比は106.5%であります

 

〔流通事業〕

  デイリーヤマザキのコンビニエンスストア事業につきましては、戦略製品・戦略商品開発推進チームと連携して、「ランチパック 大盛り」シリーズや新商品の「空飛ぶドーナツ」などヤマザキの技術を活用した魅力ある商品開発を推進しました。また、松戸ドミナントプロジェクトにおいてデイリーホットの収益改善に取り組み、この取組みを杉並リージョンにも広げるとともに、既存店の改装を行い、デイリーホット商品を中心としたヤマザキらしい売場づくりを推進しました。

  この結果、チェーン全店売上高は前期を上回るとともに、営業総収入は直営店舗数の増加により増収となりました。

  当期末の店舗数は、「デイリーヤマザキ」1,029店(16店減)、「ニューヤマザキデイリーストア」309店(23店減)、「ヤマザキデイリーストアー」11店(1店減)、総店舗数1,349店(40店減)となりました。 

  以上の結果、流通事業の売上高は616億57百万円(対前連結会計年度比102.2%)、営業損失は31億1百万円(前連結会計年度は41億93百万円の営業損失)となりました。

 

[流通事業 前期比較]

 

前連結会計年度

(自  2021年1月1日

至  2021年12月31日)

当連結会計年度

(自  2022年1月1日

至  2022年12月31日)

前年

同期差

(百万円)

前年

同期比

(%)

金額(百万円)

金額(百万円)

売  上  高

59,494

61,657

2,162

103.6

営 業 利 益

△4,193

△3,101

1,092

 

 (注)1  当期首から「収益認識会計基準」を適用しており、前期と同様の基準で算出した売上高の
           対前連結会計年度比は102.2%であります。

 

〔その他事業〕

   その他事業につきましては、売上高は132億3百万円(対前連結会計年度比104.6%)、営業利益は24億27百万円(対前連結会計年度比112.7%)となりました。

 

     [その他事業 前期比較]

 

前連結会計年度

(自  2021年1月1日

至  2021年12月31日)

当連結会計年度

(自  2022年1月1日

至  2022年12月31日)

前年

同期差

(百万円)

前年

同期比

(%)

金額(百万円)

金額(百万円)

売  上  高

12,878

13,203

325

102.5

営 業 利 益

2,154

2,427

273

112.7

 

(注)1  当期首から「収益認識会計基準」を適用しており、前期と同様の基準で算出した売上高の
          対前連結会計年度比は104.6%であります。

 

 

②財政状態の状況

当連結会計年度末の資産合計は7,580億31百万円で、前連結会計年度末に比べ6億78百万円増加しました。

当連結会計年度末の負債合計は3,501億33百万円で、前連結会計年度末に比べ250億1百万円減少しました。

当連結会計年度末の純資産合計は4,078億97百万円で、前連結会計年度末に比べ256億80百万円増加しました。

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は1,195億59百万円となり、前連結会計年度に対しては139億36百万円の減少となりました。

  (営業活動によるキャッシュ・フロー)
  当連結会計年度において営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益232億18百万円に加え、減価償却費394億36百万円などにより527億73百万円のプラスとなりましたが、前連結会計年度に対しては42億98百万円減少しました。
  (投資活動によるキャッシュ・フロー)
  当連結会計年度において投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などにより419億84百万円のマイナスとなり、前連結会計年度に対しては41億94百万円支出が増加しました。
  (財務活動によるキャッシュ・フロー)
  当連結会計年度において財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済、自己株式の取得、配当金の支払などにより266億95百万円のマイナスで、前連結会計年度に対しては新規借入の減少もあり287億66百万円減少しました。

 


 

前連結会計年度

(自  2021年1月1日

至  2021年12月31日)

当連結会計年度

(自  2022年1月1日

至  2022年12月31日)

増  減

金額(百万円)

金額(百万円)

営業活動によるキャッシュ・フロー

57,071

52,773

△4,298

投資活動によるキャッシュ・フロー

△37,790

△41,984

△4,194

財務活動によるキャッシュ・フロー

2,070

△26,695

△28,766

現金及び現金同等物に係る換算差額

927

1,970

1,043

現金及び現金同等物の増減額
(△は減少)

22,279

△13,936

△36,215

現金及び現金同等物の期首残高

102,842

133,495

30,652

新規連結に伴う現金及び
現金同等物の増加額

8,373

△8,373

現金及び現金同等物の期末残高

133,495

119,559

△13,936

 

 

④生産、受注及び販売の状況

a 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

前連結会計年度

(自  2021年1月1日

至  2021年12月31日)

当連結会計年度

(自  2022年1月1日

至  2022年12月31日)

前年

同期差

(百万円)

前年

同期比

(%)

金額(百万円)

金額(百万円)

食品事業

878,197

913,157

34,960

104.0

その他事業

101

103

1

101.3

合計

878,299

913,261

34,961

104.0

 

 

 

b 商品仕入実績

当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

前連結会計年度

(自  2021年1月1日

至  2021年12月31日)

当連結会計年度

(自  2022年1月1日

至  2022年12月31日)

前年

同期差

(百万円)

前年

同期比

(%)

金額(百万円)

金額(百万円)

食品事業

30,152

34,714

4,561

115.1

流通事業

42,709

41,531

△1,178

97.2

合計

72,862

76,245

3,382

104.6

 

 (注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

c 受注状況

当社グループの食品事業における製品は特に鮮度が重要視されますので、取引先からの日々の注文により生産しておりますが、納入時間の関係上受注締切以前に見込数で生産を開始し、最終的に生産数量の調整を行う受注方式であり、翌日繰越受注残はありません。

 

d 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメント
の名称

区分

前連結会計年度

(自  2021年1月1日

至  2021年12月31日)

当連結会計年度

(自  2022年1月1日

至  2022年12月31日)

比較増減

(参考)
収益認識会計基準
適用前比較増減

金額(百万円)

金額(百万円)

前年

同期差

(百万円)

前年

同期比

(%)

前年

同期差

(百万円)

前年

同期比

(%)

食品事業

食パン

95,160

100,347

5,186

105.5

5,670

106.0

 

菓子パン

359,934

380,206

20,272

105.6

22,840

106.3

 

和菓子

68,379

70,793

2,413

103.5

2,851

104.2

 

洋菓子

144,861

144,994

133

100.1

1,233

100.9

 

調理パン・
米飯類

143,086

144,720

1,634

101.1

11,221

107.8

 

製菓・米菓・
その他商品類

169,177

161,086

△8,091

95.2

19,679

111.6

 

食品事業計

980,599

1,002,148

21,549

102.2

63,497

106.5

流通事業

 

59,494

61,657

2,162

103.6

1,310

102.2

その他事業

 

12,878

13,203

325

102.5

595

104.6

合計

1,052,972

1,077,009

24,036

102.3

65,404

106.2

 

  (注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

a 貸倒引当金
  当社グループは、貸倒懸念債権等特定の債権について個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しておりますが、将来、顧客の財政状態が悪化し支払能力が低下した場合は、引当金の追加計上が必要となる可能性があります。

b 投資有価証券の減損処理
  当社グループは、投資有価証券を所有しておりますが、その価値が50%以上下落した場合及び2ヶ年以上継続して30%から50%下落している場合は、減損処理を実施しております。将来の市況悪化や投資先の業績不振等によっては、更に減損処理が必要となる可能性があります。

c 繰延税金資産
  当社グループは、繰延税金資産については、将来の課税所得の見込み及び税務計画に基づき、回収可能性を十分に検討し、回収可能な額を計上しております。なお、既に計上した繰延税金資産については、その実現可能性について毎期検討し、内容の見直しを行なっておりますが、将来の課税所得の見込みの変化やその他の要因に基づき繰延税金資産の実現可能性の評価が変更された場合、繰延税金資産の取崩又は追加計上により親会社株主に帰属する当期純利益が変動する可能性があります。

d 退職給付費用及び債務
  退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率等が含まれます。当社及び国内子会社の年金制度においては、割引率は優良社債の利回りに基づき、長期期待運用収益率については年金資産の過去の運用実績等に基づき決定しております。
  実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は将来にわたって規則的に認識されるため、将来の期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当期首から「収益認識に関する会計基準(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しておりますので、前期との比較・分析については、収益認識会計基準適用前の数値で行っております。

当社グル-プの当連結会計年度の経営成績は、売上高は1兆770億9百万円(前連結会計年度比6.2%増) で、2極化・3極化戦略によって低価格帯製品や値頃感のある製品の品揃えを強化し、隙の無い製品対応を図った食パン・菓子パンが順調に推移するとともに、人流の回復でコンビニエンスストアやフレッシュベーカリーの小売事業が回復傾向になった事もあり、前連結会計年度を上回りました。営業利益は220億32百万円(前連結会計年度比 20.0%増)、経常利益は261億27百万円(前連結会計度比22.2%増) で、増収と人件費率のダウンもあり、営業利益、経常利益ともに増益となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益も、123億68百万円(前連結会計度比19.2%増)で、新型コロナウイルス感染症に係る助成金収入の減少はありましたものの、前連結会計年度を上回りました。

当社は、2023年4月期には輸入小麦の政府売渡価格の上昇が見込まれており、また卵や包材などの原材料価格やエネルギーコスト高騰の更なる上昇が見込まれる厳しい経営環境の中にありますが、引き続き新型コロナウイルス感染防止対策の徹底につとめるとともに、いのちの道の教えに従った部門別製品施策・営業戦略、小委員会による「なぜなぜ改善」によって、変化する市場のニ-ズを的確に捉え、各部門毎の新しい価値と新しい需要を創造して業績の向上を目指します。

 

 また、小売事業においては、小売事業業績改善プロジェクトにおいて日次管理・週次管理を徹底し、戦略製品・戦略商品開発チ-ムを中心にいのちの道の教えに従ったヤマザキパンの小売事業のあるべき姿を追求して、グル-プの総力を挙げた戦略製品の開発に取り組む事により、小売事業の業績の向上を目指します。

 今後も当社グル-プは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するため、財政基盤の安定、収益性の改善、資本効率の向上に取り組み、連結経常利益率3%以上、連結ROE5%以上を達成すべく全力を挙げて取り組みます。

 

a 売上高

売上高を事業の種類別に見ますと、食品事業は品質の向上と2極化・3極化戦略によって、低価格帯製品や値頃感のある製品を強化した事もあり、食パン・菓子パン部門が好調に推移しました。和菓子部門は主力の串団子や複数個入りの大福などが伸長、洋菓子部門はシュークリームや一部の子会社が伸長しました。人流の回復もありフレッシュベーカリーの小売事業やコンビニエンスストア向け製品が主要販路の調理パン・米飯類部門も伸長しました。製菓・米菓・その他商品類部門は一部の子会社で既存製品が伸長した事に加え、新製品の寄与により伸長しました。食品事業全体では1兆21億48百万円(前連結会計年度比6.5%増) で前期を上回りました。流通事業ではデイリ-ヤマザキで、ヤマザキの技術を活用した魅力ある商品の開発推進に加え、直営店舗数の増加があり、616億57百万円(前連結会計年度比2.2%増)と伸長し、その他事業は132億3百万円(前連結会計年度比4.6%増) でした。

なお、売上高の詳細については、「第2 事業の状況」「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況に記載の通りです。

b 営業利益 

売上総利益率は、原材料費率や光熱費等の増がもあり、34.1%で前連結会計年度を0.8%下回りました。

販売費及び一般管理費は3,215億74百万円、売上高に対する比率は32.2%で、人件費率や販売促進費用の減少もあり、前連結会計年度を1.0%下回りました。
  以上の結果、営業利益は220億32百万円(前連結会計年度比20.0%増)となりました。

セグメント別では、食品事業の営業利益は増収と労務費率の減少により、223億26百万円(前連結会計年度比11.5%増)、流通事業はロイヤリティ収入の増や値入率の改善、ロス率の低減等もあり、営業損失が 31億1百万円(前連結会計年度は41億93百万円の営業損失)と縮小、その他事業の営業利益は増収により24億27百万円(前連結会計年度比12.7%増)でした。

c 経常利益

  営業外収益面で、外貨建貸付金に係る為替差益の計上もあり、経常利益は261億27百万円(前連結会計年度比22.2%増) となりました。なお、目標とする経営指標の連結売上高経常利益率3%以上に対し、当連結会計年度は2.4%でしたが、前連結会計年度に対しては0.4%上回りました。

d 親会社株主に帰属する当期純利益

  新型コロナウイルス感染症に係る助成金収入の減少はありましたが、税金等調整前当期純利益は232億18百万円(前連結会計年度比16.4%増) 、親会社株主に帰属する当期純利益は123億68百万円で、前連結会計年度に比べ19.2%の増益となりました。当連結会計年度の1株当たり当期純利益は59円10銭で、前連結会計年度に比べ10円50銭増加しました。なお、目標とする経営指標の連結ROEの5%以上に対し、当連結会計年度は3.5%でしたが前連結会計年度に対しては0.4%増加しました。

 

 

③財政状態の分析

当連結会計年度末の資産合計は7,580億31百万円で、前連結会計年度末に対し6億78百万円増加しました。
  主な要因は、流動資産が2,913億21百万円で、受取手形及び売掛金が91億17百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に対し13億36百万円増加したことと、固定資産が4,667億9百万円で、有形固定資産が38億58百万円増加しましたが、投資その他の資産が56億23百万円減少したこと等により、前連結会計年度末に対し6億57百万円減少したことによるものです。
  負債は3,501億33百万円で、借入金の返済や退職給付に係る負債の減少等により、前連結会計年度末に対し250億1百万円減少しました。
  純資産は4,078億97百万円で、自己株式の取得による減少はありましたが、利益剰余金が77億35百万円、退職給付に係る調整累計額が148億11百万円それぞれ増加したこと等により、前連結会計年度末に対し256億80百万円増加しました。なお、自己資本比率は48.0%で前連結会計年度に比べ2.8%の増、1株当たり純資産は1,743円42銭で前連結会計年度に比べ133円85銭の増となりました。

 


 

前連結会計年度

(自  2021年1月1日

至  2021年12月31日)

当連結会計年度

(自  2022年1月1日

至  2022年12月31日)

前期差

金額(百万円)

金額(百万円)

流 動 資 産

289,984

291,321

1,336

固 定 資 産

467,367

466,709

△657

資 産 合 計

757,352

758,031

678

負 債 合 計

375,135

350,133

△25,001

純 資 産 合 計

382,217

407,897

25,680

負 債 純 資 産 合 計

757,352

758,031

678

 

 

④資本の財源及び資金の流動性について

当連結会計年度末の借入金残高は785億75百万円でありますが、営業活動によるキャッシュ・フローや現金及び現金同等物の残高を考慮すると、当社グループは将来必要とされる成長資金及び有利子負債の返済に対し、当面充分な流動性を確保しております。
  また、当社グループは、第1に、手元流動性を極力最小限に抑える。第2に営業活動によるキャッシュ・フローは会社の維持発展に必要な設備投資に充当する。なお、今後の重要な設備投資の計画につきましては、「第3 設備の状況  3 設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設等」に記載のとおりであります。第3に余剰資金は金利負担の軽減をはかるため適宜借入金の返済に充当する。以上の3項目を目標にしてキャッシュ・フローの有効活用に努めます。株主還元につきましては、株主の皆様への安定配当を継続することを基本方針とし、連結配当性向30%を目標にしております。なお、当期の連結配当性向は37.2%であります。

 

⑤当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

(1) 技術受入契約

契約会社名

相手方の名称

国名

契約品目

契約内容

契約期間

山崎製パン㈱

グラン・ムーラン・ド・パリ・エス・エイ社

仏国

パン用ミックス粉の製造技術

技術情報の提供
(注)1

2016年7月1日から
2026年6月30日まで

山崎製パン㈱

デリフランス・エス・エイ社

仏国

冷凍製品の製造技術

技術情報の提供
(注)1

2016年7月1日から
2026年6月30日まで

㈱ヴィ・ド・フランス

グラン・ムーラン・ド・パリ・エス・エイ社
デリフランス・エス・エイ社

(注)3

仏国

店舗、製品商標及び店舗運営ノウハウ

商標使用権及び運営ノウハウの提供
(注)2

2019年6月25日から
2029年6月24日まで

 

(注)  1  対価として一定額のロイヤルティを支払っております。
2  対価として一定料率のロイヤルティを支払っております。
3  デリフランス・エス・エイ社は、デリフランス・フランチャイズ・インターナショナル・エス・エイ社
    からの事業譲受により、2021年10月4日付で本件契約を承継しております。 

 

(2) 業務資本提携契約

契約会社名

相手方の名称

国名

出資額

契約内容

契約日

山崎製パン㈱

㈱不二家

日本

25,189百万円

1.当社及び㈱不二家が一体となって諸施策を実施し、㈱不二家の事業再生及び企業価値の向上をはかるための業務提携

(1)全社的経営管理体制の強化

(2)洋菓子事業、菓子事業、食品事業における共同製品開発、OEM相互商品供給、共同原材料調達、生産設備の整備・相互活用等

2.㈱不二家の第三者割当増資引受に関する資本提携

2008年11月7日

山崎製パン㈱

日糧製パン㈱

日本

556百万円

1.製品の品質・売上向上に関する具体策の実施、物流の効率化等に関する業務提携

2.日糧製パン㈱発行済株式総数の28.4%譲受けに関する資本提携

2009年8月3日

山崎製パン㈱

ミヨシ油脂㈱、
日清オイリオグループ㈱

日本

1,473百万円

  (注)

1.3社による製品開発、用途開発に関する業務提携

2.ミヨシ油脂㈱の第三者割当増資引受に関する資本提携

2009年10月26日

 

(注)  出資額は、当社のミヨシ油脂㈱に対する出資額であります。

 

(3)株式会社神戸屋の包装パン事業等の譲受けについて

当社は、2022年8月26日開催の取締役会において、株式会社神戸屋から、包装パンの製造販売事業及び同社子会社の営むデリカ食品の製造販売事業を譲り受けることを決議し、株式会社神戸屋と株式譲渡契約を締結しました。

 

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、「良品廉価、顧客本位の精神で、製品と品質、サービスをもって世に問う」、「知恵と知識によって変化に挑戦し、新しい価値と新しい需要を創造する」という新しいヤマザキの精神に則り、社会の変化に対応し先取りする真に価値ある製品とサービスの提供を目指し、基礎研究、製品開発、品質の安定・向上に関する研究等に積極的に取り組んでおります。2016年に当社創業の地市川に完成した、21世紀のヤマザキの前進の基地となる総合クリエイションセンターを活用し、研究・開発・研修機能のさらなる充実・強化をはかっています。なお、当連結会計年度における当社グループの研究開発費は8,482百万円であります。

 

セグメントごとの主な研究内容は、次のとおりであります。

(食品事業)

食品事業では、パン、和・洋菓子、調理パン・米飯類、調理麺、製菓・米菓の各部門別に、主要原材料に関する基礎的分析・研究のさらなる充実をはかり、食の安全・安心という社会的要請に科学的に対処するとともに、原料選別、配合・工程の改善研究を中心とした製品の品質向上や、多様化する市場ニーズに的確に対応した製品の開発として、国産小麦の利用検討を中心に積極的に取り組んでまいりました。また、原料価格高騰のなか、製品品質を維持しつつ代替となりうる原料の検討を広範囲で進めました。

パン部門においては、パン製品の風味・食感のさらなる向上を目的とした発酵種(ルヴァン種)の有効利用に関する研究、気候変動による小麦粉品質の変化に対応した改良剤等の研究のほか、塩分・糖質を低減したり、原料中に含有される栄養成分を活用した健康志向製品の開発や焼成後冷凍製品の品質向上等の取り組みを行いました。

和菓子部門においては、蒸しパン製品の品質向上として膨張剤に関する研究を進めるとともに、中華まんの加温耐性の向上の検討を行いました。

洋菓子部門では、クリスマスケーキのさらなる品質向上に関する取り組みとともに、シューパフの品質安定化のための工程・配合面からの研究、健康志向製品の開発等を進めました。

米飯・調理麺部門においては、冷凍米飯並びにレンジ麺などの調理麺のさらなる品質向上に関する研究を精力的に行いました。

製菓部門においては、個食化や健康志向等消費動向の変化に対応した製品開発を進め、米菓製品の品質向上のため原料米の加工適性に関する研究等に取り組むと共に、機能性表示食品開発にも取り組みました。

また、食品安全衛生に関しては、AIB(American Institute of Baking)の「国際検査統合基準」に基づく管理手法の工場への順次指導の継続実施を中心として、微生物関係食品事故防止体制の強化をはかるとともに、最新鋭分析機器の導入を積極的に進め、原材料や製品中の微量成分などの確認を行い、クレーム問題への的確かつ迅速な対応を行いました。

以上の結果、食品事業の研究開発費は7,981百万円となりました。

 

(流通事業)

コンビニエンスストア事業では、中具を1.5倍に増量した「大盛ランチパック」シリーズや単品個包装で電子レンジで加温ができるチルドタイプのベストセレクションレンジアップ中華まんなど市場ニーズが高く話題性のある新製品開発を進め、店内調理では、メディアを通じて紹介され好調に推移した「味わいタマゴサンド」につづく、季節に応じた新商品の開発、定番10品の品質向上、女性開発員が女性目線で製品化した「空飛ぶドーナツ」などの新製品の開発を進めてまいりました。

以上の結果、流通事業の研究開発費は350百万円となりました。