第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

 当社グループは、食品および化成品事業を中核事業として位置付け、「食品と化成品の関連分野をベースとして、おいしさ、たのしさ、健康を追求し、お客様に喜ばれる商品を提供します」の企業理念のもと、①お客様重視の経営、②迅速、確実な仕事とたゆまぬ創意工夫に基づく独自性のある経営、③人間性を尊重し、能力、意欲を最大限に発揮する活力ある経営を基本姿勢として、企業価値の永続的な向上を目指し、お客様、株主の皆様、取引先様、社員ならびに地域社会に強く支持されるよう努めてまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

 当社グループは、2024年度を初年度とする3ヵ年計画である中期経営計画「MEITO CHALLENGE 2026」を策定し、連結売上高、連結営業利益、連結経常利益、ROE、PBRを重要な経営指標としております。中期経営計画の最終年度となる2027年3月期の経営指標は、連結売上高300億円、連結営業利益18億円、連結経常利益30億円、ROE5.0%以上、PBR1.0倍として、達成に向けて取り組んでまいります。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略と優先的に対処すべき課題

当社グループを取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症の規制緩和により社会経済活動の正常化が進み、雇用・所得環境の改善などにより、景気が持ち直していくことが期待される中、不安定な国際情勢による資源価格の変動や世界的な金融引締めによる景気の下振れ懸念など、先行きは不透明な状況が継続すると考えられます。

当社の主力事業であります食品事業につきましては、更なる原材料価格の高騰やエネルギーコストの高止まりが続き、また、人口減少や高齢化に伴う国内市場の縮小や消費者の根強い低価格志向による販売競争の激化、人件費や物流費の上昇など、今後も厳しい経営環境が続くものと予想されます。

また、国内外に市場をもつ化成品事業につきましては、特に酵素事業では脱炭素やグリーンケミストリーなど環境問題対策が追風として期待される一方、技術の進歩や情報化社会の高度化により、新規市場参入やM&Aによる市場再編が起きやすい環境になっております。また、ロシア・ウクライナや中東情勢など、各国同士の複雑な政治問題や国政の変動による為替変動や貿易規制への影響が読みにくい状況であります。 

 

このような状況のなか、当社グループは2020年度に掲げた中期経営計画「MEITO CHALLENGE 2023」の成長戦略に取り組んでまいりました。

 

・中期経営計画「MEITO CHALLENGE 2023」の振り返り

最終年度となる当連結会計年度の連結売上高につきましては、ブランド強化を中心とした成長戦略が功を奏し、計画前の2019年度比24.8%増の244億円となりました。食品事業においては中核ブランドへの戦略的な経営資源の投入により、アルファベットチョコブランド、スティックメイトブランドを中心に、化成品事業では高付加価値製品の販売強化により売上が伸長しました。なお、成長戦略の一つに掲げていたM&Aを本年2月に実現させ、参考までに子会社化した株式会社おいもやの年間売上高21億円を加えると、連結売上高は計画の260億円を超過することになります。利益面につきましては、工場の生産性向上などに取り組みましたが、想定を超える原材料やエネルギー価格の高騰などが影響し、未達となりました。

 

 

2023年度実績

中期経営計画

連結売上高

244億円

260億円

連結営業利益

2.3億円

8.0億円

連結経常利益

14.3億円

16.0億円

 

 

「MEITO CHALLENGE 2023」の重点施策の1つとして推進しました「M&A等による事業拡張」につきましては、さつまいもを主力品目とした菓子・スイーツ商品のインターネット通販を展開している「株式会社おいもや」と、干し芋および焼き芋の製造販売会社である「株式会社平松商店」を子会社化いたしました。両社の強みを活かした事業展開を推進し、グループ全体のさらなる業容拡大を目指します。

 

・新中期経営計画「MEITO CHALLENGE 2026」策定

またこの度、2024年度を初年度とする次の3カ年計画である中期経営計画「MEITO CHALLENGE 2026」を策定しました。計画の概要については次のとおりです。

 

 

・Challenge for the future 未来を創造する挑戦

 

 

 

 

・持続的な成長に資するバックキャスト思考 (*1)

・事業ポートフォリオ(*2)の最適化に向けた戦略の推進

・人的資本、資本コスト・株価を意識した経営の強化

 

 

<経営目標(経営指標)>

 

連結売上高

 

連結営業利益

 

連結経常利益

 

ROE

 

PBR

300億円

 

18億円

 

30億円

 

5.0%以上

 

1.0

 

 

<成長戦略>

①販売戦略

[食品事業]

・中核ブランドへの戦略的な経営資源投入による売上拡大

・グループ会社間のシナジー強化を含む新需要の創造

[化成品事業]

・高付加価値製品の世界市場でのプロモーション強化(グローバルニッチトップ(*3)の維持)
・新規用途開発による新規顧客獲得

 

②生産戦略

[食品事業]

・安全・品質・生産の向上に直結するDX化(スマートファクトリー(*4)化)

・設備投資・増員および予知予防保全による増産体制の確立

[化成品事業]

・製造技術・プロセスの最適化および設備増強、増員による厳格化する品質要求への対応と生産性の向上 

 

③組織・人事戦略

・組織力向上のための組織再構築、コミュニケーション促進(課題解決プロジェクト発足、グループ会社間交流)

・人的資本強化のための教育・リスキリング(*5)の充実(拡充)およびダイバーシティ推進 

 

④財務戦略

・経営資源の再配分による事業ポートフォリオ(*2)の最適化(ROEの向上)
・累進配当等による株主還元の強化※ 

 

※当社は、将来に向けた成長投資を行い、収益力の向上と資本効率の改善を図りつつ、株主の皆様に対しては安定的な配当を維持継続することを利益配分の基本とし、累進配当を継続して実施する方針を決定のうえ発表いたしました。年間配当につきましては、次のとおり予想・計画しております。

 

 

2025年3月期(予想)

2026年3月期(計画)

2027年3月期(計画)

一株当たり配当金(DPS) 

30円

35円

40円

 

 

 新中期経営計画「MEITO CHALLENGE 2026」の達成に向けて着実に成長戦略を実行し、当社グループの持続的な成長と企業価値の向上を目指してまいります。

 

*1 未来の目標から逆算してステップを計画する思考方法

*2 企業の事業の構成やバランスを一覧化したもの

*3 独自の技術力などを武器にニッチ分野(規模は大きくないが専門的な分野)において世界市場でトップシェア

  を獲得している企業

*4 AIやロボットなどの技術やデータ活用により、業務プロセス、品質、生産性の向上を実現した工場

*5 従業員が新たなスキルや知識を習得し、異なる業務に適応すること

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりであります。

 

(1)サステナビリティ全般

 ①ガバナンス

 当社グループは、企業理念・経営基本姿勢・企業行動憲章に基づき、社会・環境に調和した事業活動を通じてステークホルダーの皆様からの信頼を確かなものとするため、その重要課題としてSDGsの取り組みを推進し、持続可能な社会の実現に貢献するとともに企業価値の向上を目指すことを基本方針としております。

 その基本方針のもと、2023年3月1日付でサステナビリティ推進委員会を設置しております。当委員会は、年2回開催しており、サステナビリティに関する重要事項について審議し、取締役会に対して報告および付議を行います。

 また、委員会は下部組織として4つの部会(環境部会、人権・ダイバーシティー部会、社会貢献部会、食の安全安心部会)を設置し、それぞれの活動計画、課題の実行、進捗管理等を行わせるものとしております。

 

 ②戦略

当社は、サステナビリティ基本方針のもと、社会、環境と当社との重要性から5つのマテリアリティ(重要課題)を設定し、リスクや機会に対処するため取り組みを実施しております。

人材の育成及び社内環境整備に関する方針について、人材の多様性の確保を重要な成長戦略として掲げ、ダイバーシティの推進や様々な経歴を持つキャリア採用を積極的に行い、中核人材である管理職への登用に取り組んでおります。また、経営基本姿勢に定めた「人間性を尊重し、能力、意欲を最大限に発揮する活力ある経営」に基づき、社員の成長と成果を公正に評価し、チャレンジを後押しする人事評価を策定し、体系立てた階層別教育の充実を図り、環境整備に取り組んでおります。また、ダイバーシティ推進の一環でダイバーシティフォーラム等を開催し、エンゲージメントの向上、多様性の確保に努めております。

 

 ③リスク管理

当社は内部統制システムに基づき、組織的にリスクの発生と変化を把握、対応し、リスク軽減に取り組んでおります。

 

 ④指標及び目標

当社は、5つのマテリアリティ(環境負荷削減、食の安全安心、人権・ダイバーシティの推進、社会貢献活動、ガバナンス)に対して2030年度を期限とするSDGs目標(KPI)を定めておりますが、それぞれの指標については以下のとおりであります。

   ・環境負荷削減 

     食品廃棄物 食品廃棄物(生産量原単位)を30%削減(2020年度比)

     CO2排出量  CO2排出量(売上高原単位)を25%削減(2020年度比)

   ・食の安全安心

     第三者認証 FSSC22000(食品)、ハラール・コーシャ(化成品)の維持

     健康貢献  健康生活、高齢社会に応じた商品開発の継続

   ・人権・ダイバーシティの推進

     女性活躍  女性管理職比率を10%以上

     男性の育児休業 男性の育児休業の取得を100%

     エンゲージメント ワーク・エンゲージメントを50%以上改善(2020年度比)

     人権・ダイバーシティ教育 全社員への教育

   ・社会貢献活動

     カカオ豆の生産地支援 カカオ豆生産者へアルファベットチョコレートの売上の一部を寄付

     地域貢献 直売店の運営、児童養護施設などへのチョコレート寄贈

   ・ガバナンス

     コーポレートガバナンス・コードに基づく強化 公正な経営、リスク軽減、ステークホルダーとの信頼構築

 

指標に対する実績については、当社ウェブサイトに開示しております。(https://www.meito-sangyo.co.jp)

 

また、人材の育成及び社内環境整備に関する方針について、人材の多様性の確保に関しては次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は次のとおりであります。

・女性の管理職比率 2030年度目標10% (2023年度実績5.5%)

・外国人の管理職比率 目標設定なし (2023年度実績0%)

・中途採用者の管理職比率 目標設定なし (2023年度実績16.4%)

提出日現在、外国人および中途採用者の管理職への登用にかかる目標設定は行っておりませんが、今後、経営戦略上において必要と判断した場合には目標設定等を検討してまいります。

 

 

(2)気候変動(TCFD)関係

 ① ガバナンス

気候変動のリスク・機会に対する当社のガバナンスは、(1)サステナビリティ全般に関するガバナンスに記載のとおりです。

 

 ②戦略

TCFD提言で示された各リスク・機会の項目を参考に、気候変動問題が当社グループの事業に及ぼすリスク・機会に関して、検討いたしました。

また、1.5℃~2℃シナリオと、4℃シナリオの二つのシナリオを用いて、政策や市場動向の移行(移行リスク・機会)に関する分析と、災害などによる物理的変化(物理リスク・機会)に関する分析を実施し、重要なリスク・機会について審議し、対応策を選定しております。

■リスク

2℃未満シナリオにおいては規制の強化による再生可能エネルギーへの転換および低炭素素材への切り替えのための費用増加、4℃シナリオでは自然災害の激甚化による費用の増加リスクが予想されます。

リスク

分類

ドライバー

リスク内容

時間軸

対応策

法規制・政策

炭素価格の導入・炭素価格の高騰

自社排出量(Scope1-2)に対して費用が発生する

中期

(Scope1)

省エネ設備の導入・設備の電化

(Scope2)

再生可能エネルギーの導入

法規制・政策

炭素排出や化石燃料の使用に関する規制

プラスチック使用量の規制により、現在のプラスチック使用量を削減するためのコスト増加

中期

・自社での省プラスチック活動の実施

・紙容器への変更

技術

低炭素製品の開発

低炭素生産された包装資材への切替コストの増加

中期

・低炭素食材に切替が必要な包装資材の精査

・主要調達先への脱炭素化支援・要請

評判

投資家の評判変化

GHG削減の取り組み遅れや情報開示不足によるステークホルダーからの評価が下がり、株価が低下する

短期~中期

・GHG排出量の算定、情報開示の促進

・継続的なステークホルダーへの情報開示

・気候変動に関する外部格付けへの対応

急性

自然災害の激甚化

台風等の自然災害による営業の停止による売上減少

短期~中期

・被災リスクの高い拠点の把握

・BCP対応の強化

急性

自然災害の激甚化

事業所の浸水等による事業活動の停止

長期

・被災リスクの高い拠点の把握

・対応策の検討および実施スケジュールの明確化

慢性

平均気温の上昇

気温上昇に伴うチョコレート・粉末飲料の売上低下

中期

・夏場でも売れる商品の開発

 

 

 

■機会

環境配慮に伴うコスト低減や環境意識の高い人材の獲得、気温上昇に伴う売上増加が予想されます。

機会

分類

ドライバー

機会内容

時間軸

対応策

資源効率

食品需要予測の精度向上

食品ロス低減による食材処理コストの低減

短期~中期

・食品ロス削減の活動推進

・販売計画精度向上

・リサイクル/フードバンク等寄贈

製品及びサービス

環境配慮型事業の拡大

企業イメージの向上による環境意識の高い人材の獲得

中期

・GHG排出量の算定、情報開示の促進

・GHG削減取り組みの強化

・自社サービスの削減貢献量の算定

市場

顧客嗜好の変化

熱中症増加により、水分補給飲料の売上拡大

短期~長期

・粉末事業の製品拡充

 

 

 ③リスク管理

気候変動に伴うリスクは、環境部会を中心としたメンバーで構成されているTCFDプロジェクトにて特定され、サスティナビリティ推進委員会にてリスクについて審議します。特に重要と判断されたリスクに関しては必要に応じて取締役会へ報告する体制となっております。

特定された気候変動リスクに対しては、TCFDプロジェクトでモニタリングし、対応策を検討・実施します。また、その内容についてはサステナビリティ推進委員会に報告し、評価されることで、リスクを管理します。対応が必要なリスクに関しては、サステナビリティ委員会にて対応策を検討した上で、関係各部・グループ会社が対応を行い、軽減に努めてまいります。

 

 ④指標及び目標

気候関連問題が経営に及ぼす影響を評価・管理するため、GHGプロトコルの基準に基づき温室効果ガス排出量(Scope1-2)の算定を実施いたしました。温室効果ガス排出量の削減目標は、2020年度比2030年度までに25%削減(売上高原単位)を目指して活動します。

 

   2023年度温室効果ガス排出量 

 

2021年度

2022年度

2023年度

2030年度

Scope1,2合計

(t CO2e)

16,874

17,087

16,617

Scope1+2

売上高原単位25%削減

(2020年度比)

削減率

(売上原単位)

2.9%

9.5%

19.4%

 

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 原材料価格やエネルギーコストに関するリスク

食品事業の主原料は農産物でありますので、特に輸入原材料についてはその収穫量の多寡、商品市場の高騰ならびに為替変動などによって仕入金額が膨らむ可能性があり、包材も石油製品を使用しており、その価格は市場の状況により変動するため、調達コストが上昇する可能性があります。また、エネルギーコストについても、工場の製造経費に占める割合が大きく、市場動向による電気代・ガス代の高騰により、業績に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクに対し当社グループでは、原材料について仕入金額と物量確保の両面で安定的に調達するため、事前に長期買い付けを行い、複数か月分の在庫を確保するとともに複数社購買を実施することで、リスク分散に努めております。また、想定を上回る原材料価格やエネルギーコストの高騰については、商品の内容量の変更や価格改定などを行うことにより、収益構造の改善に取り組んでおります。

 

(2) 製造物責任に関するリスク

食品事業および化成品事業につきましては、品質管理や製造の体制を一層強化して商品の品質管理に最善の注意を払ってまいりますが、当社グループ以外の取引先などに原因が存する事由ならびに予期せぬ品質上の問題発生により、商品の回収や廃棄が発生し、それに伴う売上高の減少や特別損失を余儀なくされる可能性があります。

当該リスクに対し当社グループでは、可能かつ妥当な範囲で生産物賠償責任保険を付すとともに、食品事故防止委員会にて食品事故危機管理マニュアルを策定し、食品事故の未然防止を図り、事故発生時には被害を最小限に抑えるための手順を明確化しております。

 

(3) 天候や自然災害に関するリスク

食品事業の売上におきましては、猛暑・冷夏などの天候の影響を受ける可能性があります。また、大規模な自然災害が発生した場合には、当社グループの業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクに対し当社グループでは、可能かつ妥当な範囲で保険を付すとともに、事業継続基本計画書を策定し、当社の社員とその家族および関係者ならびに地域住民の安全を確保しながら事業を適切に継続・運営することを明確化しております。

 

(4) 取引先の経営破綻に関するリスク

当社グループは、予期せぬ取引先の経営破綻が発生した場合には、業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
 当該リスクに対し当社グループでは、取引先に対する債権の回収不能という事態を未然に防ぐべく、情報収集・与信管理等、債権保全に注力しております。
 

(5) 債権回収および為替変動に関するリスク

化成品事業の売上におきましては、商社を通さない海外との直接取引が高い割合を占めており、その一部は売上債権の回収サイトを長くとらざるを得ない場合もあります。また、外貨建ての売上債権には、為替変動による影響を受ける可能性があります。
 当該リスクに対し当社グループでは、取引先の財務状況を随時確認しながら取引の進捗をコントロールしたり、比較的回収リスクの高い開発途上国の取引先については、取引条件を債権の一部あるいは全額を前払いとすることで、債権回収リスクをできる限り回避しております。また、貿易一般保険や銀行保証の方法も選択肢に入れ、その都度適した方法でのリスクヘッジを行う方針としております。

 

 

(6) 有価証券および投資有価証券の時価の変動に関するリスク

株式市場の変動などにより、保有する有価証券および投資有価証券に評価損が発生する可能性があります。

当該リスクに対し当社グループでは、上場株式については定期的に時価を把握し、事業戦略上の重要性、取引先との事業上の関係などを総合的に勘案して、保有状況を継続的に見直しております。

 

(7) 金利の変動に関するリスク

当社グループは、必要資金の一部を金融機関からの借入により調達しており、金利の大幅な上昇があった場合、当社グループの業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
 当該リスクに対し当社グループでは、市場金利の動向を継続的に把握しその抑制に努めており、借入金の一部を固定金利で調達しております。

 

(8) 情報システムに関するリスク

当社グループは、開発、生産、物流、販売などの情報をコンピュータにより管理しております。当社の想定を超えた技術による情報システムへの不正アクセスやコンピュータウイルスの感染などにより、システム障害や情報漏洩、改ざんなどが発生するリスクがあります。このような事態が発生した場合には、当社グループの業績および財政状態ならびに社会的信用に悪影響を及ぼす可能性があります。
 当該リスクに対し当社グループでは、情報システムの運用に関する基本方針を策定し、不正侵入・不正使用防止等のセキュリティー対策を講じ、従業員へ周知・徹底を図るなど、情報セキュリティーの維持・強化に取り組んでおります。

 

(9) 固定資産の減損損失に関するリスク

当社グループは、固定資産の減損会計を適用しております。当社グループが保有する固定資産について、経営環境の変化や収益性の低下などにより減損損失を計上することになる場合、当社グループの事業、業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 繰延税金資産の回収可能性に関するリスク

当社グループは、予測される将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。将来の課税所得の見積りについて、経営環境の変化などにより見直しを行った結果、繰延税金資産の一部または全額が回収できないと判断した場合は、繰延税金資産の取崩しが必要となり、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、繰延税金資産の回収可能性に関する重要な会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

(11) 感染症の流行に関するリスク

当社グループは、大規模な感染症の流行が発生した場合や長期化した場合には、様々な事業活動が制約を受け、結果として当社グループの事業、業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクに対し当社グループでは、顧客、取引先および従業員の安全と健康を最優先に考え、感染予防・防止・感染した場合の対策を徹底して行います。また、販売・生産・原材料調達などにおいて影響が生じないよう、全社的な対応体制を構築できるよう努めていきます。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

 ① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行により社会経済活動の正常化が進み、雇用・所得環境が改善する下で、景気に緩やかな回復がみられました。一方で、世界的な金融引締めや中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが国内景気を下押しするリスクとなり、依然として先行き不透明な状況が続きました。

当社グループの中核事業の一つである菓子・食品の市場におきましては、原材料価格の高騰やエネルギーコストの高止まりなどに起因する各種商品の値上げが続き、消費者の節約志向の高まりがみられるなど、企業にとって厳しい経営環境が続きました。

こうした情勢のもと、当社グループは、企業価値向上を目指し、チャレンジ&チェンジをスローガンとした中期経営計画 「MEITO CHALLENGE 2023」の最終年度として、おいしさ・たのしさ・健康を追求した高品質・高付加価値商品の提供、テレビCMや増量企画などの販売促進策によるブランド価値の向上に取り組んでまいりました。

 

以上の結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比7.3%増の24,392百万円となりました。営業利益につきましては、売上高の増加や商品の内容量変更・価格改定を実施したことなどにより、前連結会計年度比144.1%増の232百万円となりました。また、経常利益は、営業利益の改善に加えて受取配当金が増加したことなどにより、前連結会計年度比26.3%増の1,430百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純損益につきましては、主に粉末飲料部門や子会社エースベーカリーにて原材料価格やエネルギーコストの高騰などによる収益性の低下に伴い、保有資産から得られる割引前将来キャッシュ・フローの見積総額が帳簿価額を下回ったため、工場の建物や機械など固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失2,231百万円などを特別損失として計上しました結果、703百万円の純損失となりました。なお、前連結会計年度は、700百万円の純利益でした。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

(食品事業)

当連結会計年度におきましては、原材料価格の高騰やエネルギーコストの高止まりなどの厳しい経営環境により、一部商品の内容量の変更や価格改定などを実施しました。主力の菓子部門は、継続してテレビCMなどの販売促進活動を行ったところ、好調に推移して増収となりました。チョコレート類は、主力ブランドの「アルファベットチョコレート」などのファミリーサイズ(大袋)の商品や人気キャラクター“ちいかわ”とコラボした「ちびさく」などのポケットサイズ(個食)の商品も順調に売上を伸ばしたことに加え、受託商品の売上も大きく伸びて増収となりました。また、キャンディ類は、自社商品・受託商品ともに売上が拡大しました。そのほか、連結子会社の株式会社エースベーカリーは、バウムクーヘン類が液卵の供給制限により売上を大きく落としましたが、ゼリー類の売上が大幅に伸長したことなどにより増収となりました。

粉末飲料部門につきましても、一部商品の内容量の変更や価格改定を行いましたが、テレビCMや増量企画などの販売施策に取り組んだ結果、分包アソートタイプの「スティックメイト」シリーズや「香り高いミルクココア」などの売上が伸びて増収となりました。

主として九州地区で製造・販売している冷菓部門は、自社商品の売上が減少しましたが、受託商品の売上が大きく伸びて増収となりました。

これらの結果、食品事業の売上高は前連結会計年度比8.2%増の21,035百万円となりました。営業利益につきましては、売上高の増加や商品の内容量変更・価格改定を実施したことにより、前連結会計年度比43.6%増の378百万円となりました。

 

 

(化成品事業)

酵素部門につきましては、海外を主な市場としており、円安の追い風を受けるなかで積極的な営業活動を展開しました。その結果、チーズ用凝乳酵素「レンネット」の売上は減少しましたが、脂肪分解酵素「リパーゼ」が海外市場で売上を伸ばしたことなどにより前連結会計年度並みの売上となりました。

また、薬品部門につきましては、医療機器材料等で使用される「デキストラン硫酸」の売上が拡大したことなどにより増収となりました。

これらの結果、化成品事業の売上高は前連結会計年度比2.2%増の3,074百万円となりました。営業利益につきましては、一部商品の価格改定の実施や輸出運賃などの販売費が減少したこともあり前連結会計年度比38.0%増の603百万円となりました。

 

(不動産事業)

不動産事業につきましては、売上高は前連結会計年度比0.2%増の283百万円となり、営業利益は減価償却費等の営業費用の増加などにより前連結会計年度比1.6%減の99百万円となりました。

 

 財政状態は、次のとおりであります。
(流動資産)

 当連結会計年度末における流動資産の残高は16,998百万円となり、前連結会計年度末と比較して34百万円の減少となりました。

 

(固定資産)

  当連結会計年度末における固定資産の残高は64,727百万円となり、前連結会計年度末と比較して11,484百万円の増加となりました。主な要因としましては、保有する株式の株価の上昇による投資有価証券が9,977百万円増加したことや、2024年2月に株式会社おいもやと株式会社平松商店の株式の取得(子会社化)に伴うのれん1,515百万円を計上したことによるものであります。

 

(流動負債)

 当連結会計年度末における流動負債の残高は10,998百万円となり、前連結会計年度末と比較して3,130百万円の増加となりました。主な要因としましては、短期借入金が2,970百万円増加したことなどによるものであります。

 

(固定負債)

  当連結会計年度末における固定負債の残高は19,658百万円となり、前連結会計年度末と比較して1,888百万円の増加となりました。主な要因としましては、長期借入金が765百万円減少した一方で、繰延税金負債が2,858百万円増加したことなどによるものであります。

 

(純資産)

  当連結会計年度末における純資産の残高は51,068百万円となり、前連結会計年度末と比較して6,431百万円の増加となりました。主な要因としましては、利益剰余金が1,143百万円減少した一方で、その他有価証券評価差額金が7,555百万円増加したことなどによるものであります。

 

 当連結会計年度末におけるセグメントごとの資産については、食品事業の資産は26,226百万円となり、前連結会計年度末と比較して2,374百万円の増加となりました。増加した要因としましては、株式会社おいもやと株式会社平松商店を子会社化したことなどによるものです。化成品事業の資産は4,501百万円となり、前連結会計年度末と比較して625百万円の増加となりました。不動産事業の資産は1,213百万円となり、前連結会計年度末と比較して微減となりました。なお、セグメントに配分していない全社資産は49,785百万円となります。

 

 

 ② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,010百万円増加し、6,362百万円となりました。
 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。
 営業活動の結果得られた資金は、2,903百万円(前年同期は85百万円の支出)となりました。資金の主な増加要因は、減損損失2,231百万円および減価償却費1,832百万円であり、主な減少要因は、税金等調整前当期純損失768百万円および売上債権の増加額730百万円であります。
 投資活動の結果使用した資金は、3,611百万円(前年同期は1,207百万円の収入)となりました。資金の主な増加要因は、有価証券及び投資有価証券の売却等による収入2,778百万円であり、主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出4,211百万円および連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出2,083百万円であります。
  財務活動の結果得られた資金は、1,718百万円(前年同期は1,249百万円の支出)となりました。資金の主な増加要因は、短期借入金の増加額2,970百万円であり、主な減少要因は、長期借入金の返済による支出765百万円および配当金の支払額439百万円であります。

 

  ③ 生産、受注及び販売の実績

生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

食品事業

20,860

8.6

化成品事業

3,140

6.4

不動産事業

合計

24,000

8.3

 

   (注) 金額は、販売価格によっております。

 

受注実績

当社グループは受注生産は行っておりません。

 

販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

食品事業

21,035

8.2

化成品事業

3,074

2.2

不動産事業

283

0.2

合計

24,392

7.3

 

   (注) セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(経営成績)

当社グループの当連結会計年度の経営成績等につきましては、売上高は24,392百万円(前連結会計年度比7.3%増)となり、前連結会計年度と比較して1,665百万円の増収となりました。なお、売上高の詳細につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

売上総利益は5,372百万円(前連結会計年度比5.6%増)となりました。

営業利益は232百万円(前連結会計年度比144.1%増)となりました。売上高の増加や商品の内容量の変更・価格改定を実施したことなどにより、営業利益は増加しました。

経常利益は1,430百万円(前連結会計年度比26.3%増)となりました。営業利益の改善に加えて受取配当金が増加したことなどにより、経常利益は増加しました。

特別利益は、資産除去債務戻入益などの計上により71百万円となりました。特別損失は、減損損失などの計上により、2,269百万円となりました。

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純損益は703百万円の純損失となりました。なお、前連結会計年度は、700万円の純利益でした。

 

(経営成績に重要な影響を与える要因) 

当社グループの経営成績に影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり様々なリスク要因があることを認識しております。そのため、当社グループは常にリスク要因の動向を注視しつつ、内部管理体制を充実させ、リスク要因の低減に努めてまいります。

 

(財政状態)
 財政状態の詳細につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」の中の財政状態に記載のとおりであります。

 

(経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)

当社グループは、2024年度を初年度とする3ヵ年計画である中期経営計画「MEITO CHALLENGE 2026」を策定し、連結売上高、連結営業利益、連結経常利益、ROE、PBRを重要な経営指標としております。中期経営計画の最終年度となる2027年3月期の経営指標は、連結売上高300億円、連結営業利益18億円、連結経常利益30億円、ROE5.0%以上、PBR1.0倍としました。経営指標達成のため、次の4つの成長戦略を推進していきます。

 

・販売戦略

食品事業では中核ブランドへの戦略的な経営資源の投入やグループ会社間のシナジー強化を進め、化成品事業では高付加価値製品の世界市場でのプロモーション強化や用途開発による新規顧客の獲得を目指します。

・生産戦略

食品事業では安全・品質・生産の向上に直結する工場のDX化や設備投資・増員および予知予防保全による増産体制の確立に取り組み、化成品事業では製造技術・プロセスの最適化および設備増強、増員を行うことにより、厳格化する品質要求への対応と生産性の向上を推進します。

・組織・人事戦略

組織力向上のための組織再構築・コミュニケーション促進や、人的資本強化のための教育・リスキリングの充実およびダイバーシティ推進に取り組んでいきます。

・財務戦略

経営資源の再配分による事業ポートフォリオの最適化に取り組み、ROEの向上を目指します。また、累進配当等による株主還元の強化を行っていきます。

 

 

 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源および資金の流動性に係る情報

 キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料の購入、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、投資を目的とした資金需要の主なものは、設備投資によるものであります。

当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。当社グループの主な資金の源泉は、営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入金となります。設備投資等の長期資金需要は、自己資金又は金融機関からの長期借入金等により賄い、運転資金等の短期資金需要は、主に自己資金および金融機関からの短期借入金により賄っております。

なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は6,362百万円、借入金およびリース債務を含む有利子負債の残高は12,964百万円となっております。

 

 ③ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に次の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態および経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。

「繰延税金資産の回収可能性」に際して用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

特記事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

食品(菓子・飲料)につきましては食品開発部(本社内、瀬戸工場内)、連結子会社の株式会社エースベーカリー(愛知県小牧市)において、また化成品(医薬品原料、酵素)につきましては名古屋研究所(愛知県清須市)、東京研究所(東京都八王子市)において、研究開発を実施しております。

当連結会計年度の研究開発費は食品事業が474百万円、化成品事業が366百万円、総額で840百万円であります。

 

食品事業

食品事業におきましては、経営基本姿勢にあります「お客様重視の経営」のもとで、企業理念に掲げます「おいしさ」「たのしさ」「健康」への追求を通じ、常に安全で高品質な商品の提供を行うべく、研究開発に取組んでまいりました。

菓子部門のチョコレート類は、主力の「アルファベットチョコレート」シリーズに、サクサク食感の薄焼きクレープが入った「アルファベットチョコレート サクッとクレープ」、マスカルポーネチーズと宇治抹茶を使用した「アルファベットチョコレート 抹茶ティラミス」を発売し、品揃えの充実を図りました。その他、ポケットサイズ(個食)の新商品として、“シェ・シバタ”のオーナーシェフ・柴田武氏監修のスイーツチョコレート「シェ・シバタ モンブラン」「シェ・シバタ タルトショコラ」「シェ・シバタ エクレール オ フレーズ」、人気のキャラクター“ちいかわ”とコラボした「ちびさく ミルクチョコレート」「ちびさく プリンチョコレート」、もちもちのぶどうグミをぶどう風味のミルクチョコレートでコーティングした「グミコ」を発売しました。また、「ぷくぷくたい」の新規顧客の獲得を目指し、乳酸菌を10億個配合した「ぷくぷくたい 乳酸菌ドリンク味」を発売しました。

キャンディ類は、西尾産抹茶と北海道産あずきを使用した「抹茶あずき飴(MATCHA AZUKI)」を発売し、品揃えの充実を図りました。

子供用菓子は、キラキラカラフルな宝石型ゼリーが作れる「キラキラカラフルジュエリーゼリー」、本物そっくりのカブトムシの幼虫の形のゼリーができる「つくってたべよう!幼虫3Dゼリー」を発売しました。

粉末飲料部門は、販売好調な「スティックメイト」シリーズでは、さらなる販売強化のため4種類のジャスミンティーを詰合せた「スティックメイト ジャスミンティーアソート」を発売し、ラインナップを拡充するとともに、「スティックメイトフルーツティーアソート」の増量キャンペーンを実施し、シリーズ全体の底上げを図りました。その他、フリーズドライの果実入りフルーツティーの「とけだす果実の紅茶 ユズ&アップル」「とけだす果実の紅茶 パイン&マンゴー」、はちみつの華やかな香りとレモンの味わいが楽しめる「ハニーレモネ-ド」を発売し粉末飲料商品の品揃えの充実を図りました。

栄養食品部門は、血糖値に配慮した商品の徳用サイズとして、「おいしく健康応援チョコレート」を追加発売しました。

このように、各部門とも新商品を上市し、市場シェアの拡大を図るとともに、既存商品のさらなる販売増を目指し、「アルファベットチョコレート」「ぷくぷくたい」「大人の洋酒チョコレート」「スティックメイト」のテレビコマーシャルやYouTubeなどのデジタルプロモーション、自社SNSでのプレゼントキャンペーンを実施しました。

また、株式会社エースベーカリーでは、販売好調の「凍らせて食べるシャーベット」シリーズに「14個凍らせて食べるシャーベットチョココーヒー味」、「15個凍らせて食べるシャーベットフルーツミルクアソート」を追加し、三方形態の和風カテゴリー「15個わらびもち 抹茶+黒みつ+黒みつきなこ」とリニューアルした「24個蒟蒻ゼリー」2品をラインナップに加えました。

焼き菓子は、糖質が気になる方向けの「8個厚切りバウムクーヘン糖質30%オフ豆乳入り」、犬のブランドキャラクターモフル君をパッケージに使用した「8個モフルバウムクーヘンバター風味」、「8個モフルバウムクーヘンバナナ味」に加え、濃厚なチョコレートの風味が楽しめる「6個生ブラウニー濃密ショコラ」、「6個生ブラウニー宇治抹茶」、「8個濃厚チョコパウンドケーキクランベリー」を発売しました。

当社グループは、消費者の食品への安全・安心に対する高い意識のなか、お客様にとって安心できる原材料を選択管理し、また、お客様の視点に立った適切な表示を行ってまいります。

 そして、今後も国内の少子高齢化や流通再編に伴う市場の変化に対応し、消費者の健康志向や環境にも配慮した商品開発にも取り組み、企業行動憲章に則り、信頼できる「名糖」ブランドの確立に努めてまいります。

 

 

化成品事業

化成品事業におきましては、発酵技術および合成技術を活用して微生物の生産する酵素類および多糖類(デキストランやデキストラン発酵産物)とその誘導体について積極的な研究開発活動を行っており、食品、医薬品、化粧品原料、飼料などの広範な分野で用途開発を進めております。

酵素部門では、主力製品であるチーズ用凝乳酵素「レンネット」のうち、次世代製品として開発した「LPシリーズ」製品は、本来の仔牛由来のカーフレンネットと同等のフレーバー、テクスチャー性能を有し、高いチーズ収量が得られる微生物レンネットとして、欧米のオーガニックチーズ市場、ベジタリアン向けチーズ市場を中心に順調に市場を拡大しており、更なる品質向上、効率生産のための研究開発に取り組んでおります。

脂肪分解酵素の「リパーゼ」につきましては、各種リパーゼ製品がそれぞれの特性により、油脂加工や機能性油脂製造、脂肪酸製造、ミルクフレーバー展開、サプリメント用途、臨床検査薬、また、有機化合物の合成用触媒として使用されるなど、食品、医薬品、化学の各分野で多様な用途で使用されており、その潜在的な能力を活用したさらなる用途の拡大と新規の用途の創出や酵素の特性の改良による付加価値の高い製品の開発に取り組んでおります。近年、環境意識の高まりやSDGsへの関心などから、グリーンケミストリーとして酵素の産業利用への関心が高まっており、リパーゼ製品の需要増に対応する効率生産のための製造方法の改良にも注力しております。また、海外市場での展開を強化するため食品用酵素類の米国でのGRAS自己認証の取得やGRAS通知の推進、欧州、中国、韓国などの食品規制への対応、輸出先国の宗教的制約に対応するためのハラール、コーシャ認証の維持に積極的に取り組んでおります。

薬品部門では、自社発酵工場で生産される 「デキストラン」や、デキストランをベースとし、化学合成で得られる各種誘導体を医薬品や医療機器の原料(原薬・部材)、化粧品素材や臨床検査用試薬等として開発し、国内外に供給しております。このうち、主要な製品である「デキストラン」、「デキストラン硫酸」、「カルボキシメチルデキストラン」等については既存品に加えて、ライフサイエンス等の分野からのニーズを取り入れた製品ラインの拡充により新たな用途開拓も目指しております。さらに、当社の強みである多糖類合成というニッチな分野に特化して、化学合成技術を活かした受託製造にも対応しております。医療分野では、デキストラン他、多糖類の誘導体で、医療機器部材としての需要が増えており、手術や治療をサポートする体内の止血材や癒着防止材の原料開発を進めております。

デキストラン誘導体を原料とする肝臓癌診断用のMRI造影剤『リゾビスト』の原薬「フェルカルボトラン」につきましては、国内だけでなく海外への原薬供給にも注力しており、癌転移検出用医療機器用途での供給拡大も順調に進んでおります。品質や物性が国内外の多くの研究者から注目されている「デキストランマグネタイト類」については、新たな医療分野での応用研究等が進められており、用途拡大を目指した幾つかの共同開発・研究を大学・企業等と推進しております。

また、デキストラン発酵産物から製造される混合飼料「ヘルシーフレンド」や「デキストランと相性の良い乳酸菌」およびこれらを結み合わせて付加価値を高めた「シンバイオティクス飼料」は家畜の健康増進や感染予防に効果のある商品として高い評価を受けております。今後もお客様に安心してお使い頂けるように品質の向上に取り組んでまいります。

いずれの部門ともに国内外からの安全で高品質な製品に対する要請が強まっておりますので、薬品部門におきましては原薬と動物用医薬品GMPに加えて飼料GMP、酵素部門におきましてはFSSC22000に基づいた生産管理、品質マネジメントシステムの維持、向上及びDX化に取り組み、事業基盤の強化に努めてまいります。