文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、食品および化成品事業を中核事業として位置付け、「食品と化成品の関連分野をベースとして、おいしさ、たのしさ、健康を追求し、お客様に喜ばれる商品を提供します」の企業理念のもと、①お客様重視の経営、②迅速、確実な仕事とたゆまぬ創意工夫に基づく独自性のある経営、③人間性を尊重し、能力、意欲を最大限に発揮する活力ある経営を基本姿勢として、企業価値の永続的な向上を目指し、お客様、株主の皆様、取引先様、社員ならびに地域社会に強く支持されるよう努めてまいります。
なお、2025年6月26日開催予定の第83期定時株主総会におきまして、定款の一部変更をご承認いただくことを条件として、商号を「株式会社meito」へ変更することといたしました。長きにわたりお客様に親しまれてきたブランド「meito」と商号を統一することで、国内外での発展を目指し、さらなるブランド認知と企業価値の向上を図ってまいります。
また、2025年2月に迎えました創立80周年を機に、多角化した当社グループの存在意義を見つめ直し、企業理念に代わる新たなパーパス「カラダもココロも豊かで楽しい毎日に」を制定いたしました。このパーパスは、当社グループの社会的存在意義と方向性を明確にしたものです。新たな商号とパーパスのもと、グループ一丸となって持続的な成長と企業価値のさらなる向上に取り組んでまいります。
当社グループは、2024年度を初年度とする3ヵ年計画である中期経営計画「MEITO CHALLENGE 2026」を策定し、連結売上高、連結営業利益、連結経常利益、ROE、PBRを重要な経営指標としております。中期経営計画の最終年度となる2027年3月期の経営指標は、連結売上高300億円、連結営業利益18億円、連結経常利益30億円、ROE5.0%以上、PBR1.0倍として、達成に向けて取り組んでおります。
当社グループを取り巻く環境は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の拡大により、景気は緩やかな回復が期待される中、物価上昇の継続による個人消費に及ぼす影響や米国の今後の通商政策など、先行きは不透明な状況が継続すると考えられます。
当社の主力事業であります食品事業につきましては、カカオ豆をはじめとする原材料価格の高騰やエネルギーコストの高止まりが続き、また、人口減少や高齢化に伴う国内市場の縮小や消費者の根強い低価格志向による販売競争の激化、人件費や物流費の上昇など、今後も厳しい経営環境が続くものと予想されます。
また、国内外に市場をもつ化成品事業につきましては、特に酵素事業では脱炭素やグリーンケミストリーなど環境問題対策が追風として期待される一方、技術の進歩や情報化社会の高度化により、新規市場参入やM&Aによる市場再編が起きやすい環境になっております。また、長期化しておりますロシア・ウクライナ情勢や中東情勢、各国同士の複雑な政治問題や米国による関税政策など、国政の変動による為替変動や貿易規制への影響が読みにくい状況であります。
このような状況のなか、当社グループは「Challenge for the future 未来を創造する挑戦」をスローガンに掲げ、3ヵ年計画である中期経営計画「MEITO CHALLENGE 2026」を推進しております。
本計画では、最終年度である2026年度において、売上高300億円、営業利益18億円、経常利益30億円、ROE5%以上、PBR1倍の達成を経営目標として掲げております。
・中期経営計画「MEITO CHALLENGE 2026」概要
*1 未来の目標から逆算してステップを計画する思考方法
*2 企業の事業の構成やバランスを一覧化したもの
<経営目標(経営指標)>
初年度となる2024年度は、売上高280億円、営業利益14億円、経常利益26億円、ROE8.9%、PBR0.6倍で着地いたしました。
この実績は、本計画における2024年度の売上高280億円、営業利益8億円、経常利益20億円をいずれも上回り、また前連結会計年度と比較しても、売上高は15.1%、営業利益は505.7%、経常利益は86.8%の増加となり、順調なスタートを切ることができました。
食品事業においては中核ブランドの認知度向上および売上拡大を目的としたSNS広告やテレビCM、プレゼント キャンペーンなどの施策が奏功し、化成品事業においても高付加価値商品のグローバル展開を強化するなどの販売戦略が成果を挙げております。さらに、2024年2月に連結子会社化した株式会社おいもやの寄与もあり、売上高は大幅に伸長いたしました。
また、両事業において設備増強および増産体制の確立など、生産戦略も着実に進行しており、売上・利益ともに堅調に推移しております。
あわせて、ROEおよびPBRについても、引き続き資本効率の向上に取り組み、財務戦略を推し進め目標値を目指してまいります。

財務戦略において、当社は、将来に向けた成長投資を行い、収益力の向上と資本効率の改善を図りつつ、株主の皆様に対しては安定的な配当を維持継続することを利益配分の基本とし、累進配当を実施する方針としております。この基本方針のもと、当期は業績動向等を勘案し、中期経営計画期間中の配当金に関する経営指標(KPI)として、各年度において1株あたり5円の増配を実施することを決定いたしました。これにより、年間配当は2025年3月期を35円とし、2026年3月期は40円、2027年3月期には45円を計画しております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりであります。
当社グループは、パーパス・経営基本姿勢・企業行動憲章に基づき、社会・環境に調和した事業活動を通じてステークホルダーの皆様からの信頼を確かなものとするため、その重要課題としてSDGsの取り組みを推進し、持続可能な社会の実現に貢献するとともに企業価値の向上を目指すことを基本方針としております。
その基本方針のもと、2023年3月1日付でサステナビリティ推進委員会を設置しております。当委員会は、年2回開催しており、サステナビリティに関する重要事項について審議し、取締役会に対して報告および付議を行います。
また、委員会は下部組織として4つの部会(環境部会、人権・ダイバーシティー部会、社会貢献部会、食の安全安心部会)を設置し、それぞれの活動計画、課題の実行、進捗管理等を行わせるものとしております。
当社は、サステナビリティ基本方針のもと、社会、環境と当社との重要性から5つのマテリアリティ(重要課題)を設定し、リスクや機会に対処するため取り組みを実施しております。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針について、人材の多様性の確保を重要な成長戦略として掲げ、ダイバーシティの推進や様々な経歴を持つキャリア採用を積極的に行い、中核人材である管理職への登用に取り組んでおります。また、経営基本姿勢に定めた「人間性を尊重し、能力、意欲を最大限に発揮する活力ある経営」に基づき、社員の成長と成果を公正に評価し、チャレンジを後押しする人事評価を策定し、体系立てた階層別教育の充実を図り、環境整備に取り組んでおります。また、ダイバーシティ推進の一環でダイバーシティフォーラムやロールモデル座談会等を開催し、エンゲージメントの向上、多様性の確保に努めております。
③リスク管理
当社は内部統制システムに基づき、組織的にリスクの発生と変化を把握、対応し、リスク軽減に取り組んでおります。
当社は、5つのマテリアリティ(環境負荷削減、食の安全安心、人権・ダイバーシティの推進、社会貢献活動、ガバナンス)に対して2030年度を期限とするSDGs目標(KPI)を定めておりますが、それぞれの指標については以下のとおりであります。
・環境負荷削減
食品廃棄物 食品廃棄物(生産量原単位)を30%削減(2020年度比)
CO2排出量 CO2排出量(売上高原単位)を25%削減(2020年度比)
・食の安全安心
第三者認証 FSSC22000(食品)、ハラール・コーシャ(化成品)の維持
健康貢献 健康生活、高齢社会に応じた商品開発の継続
・人権・ダイバーシティの推進
女性活躍 女性管理職比率を10%以上
男性の育児休業 男性の育児休業の取得を100%
エンゲージメント ワーク・エンゲージメントを50%以上改善(2020年度比)
人権・ダイバーシティ教育 全社員への教育
・社会貢献活動
カカオ豆の生産地支援 カカオ豆生産者へアルファベットチョコレートの売上の一部を寄付
地域貢献 直売店の運営、児童養護施設などへのチョコレート寄贈
・ガバナンス
コーポレートガバナンス・コードに基づく強化 公正な経営、リスク軽減、ステークホルダーとの信頼構築
指標に対する実績については、当社
また、人材の育成及び社内環境整備に関する方針について、人材の多様性の確保に関しては次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は次のとおりであります。
・女性の管理職比率 2030年度目標10% (2024年度実績4.5%)
・外国人の管理職比率 目標設定なし (2024年度実績0%)
・中途採用者の管理職比率 目標設定なし (2024年度実績19.7%)
提出日現在、外国人および中途採用者の管理職への登用にかかる目標設定は行っておりませんが、今後、経営戦略上において必要と判断した場合には目標設定等を検討してまいります。
① ガバナンス
気候変動のリスク・機会に対する当社のガバナンスは、(1)サステナビリティ全般に関するガバナンスに記載のとおりです。
②戦略
当社グループでは、気候変動が事業活動に与える影響を重要な経営課題と位置づけ、TCFD提言に基づく情報開示を推進しております。気候関連リスクおよび機会を的確に把握し、持続可能な成長戦略を構築することが、企業価値の向上および社会的責任の遂行に資すると認識しております。その一環として、1.5℃シナリオおよび4℃シナリオの2つの気候変動シナリオを想定した分析を実施しております。これにより、政策・規制の変化や異常気象等が当社のバリューチェーンに与える影響を評価し、リスクの低減および機会の最大化に取り組んでおります。
当社グループが展開する食品・化成品事業は、気候変動による移行リスクおよび物理的リスクの影響を、短期・中期・長期といった異なる時間軸で受ける可能性があります。そのため当社グループでは、事業運営およびバリューチェーンにおける気候変動のリスクと機会について、事業戦略との関連性を踏まえて、シナリオを用いながら特定・評価しております。
■リスク
1.5℃シナリオにおいては規制の強化による再生可能エネルギーへの転換および低炭素素材への切り替えのための費用増加、4℃シナリオでは自然災害の激甚化による費用の増加リスクが予想されます。
(注)1.時間軸 短期:1年以内、中期:~2030年、長期:~2050年
2.影響度
大:自社事業への収益を大幅に減少させうる事項、経営を大幅に圧迫する費用となりえる事項
中:中程度の経済的損失が発生し、事業運営に影響を及ぼす可能性がある事項
小:売上、費用ともに経営への影響が小さい事項
■機会
リサイクルの推進や流通プロセスの効率化といった取り組みに加え、商品の多角化や気候変動に伴う気温上昇を踏まえた新商品の開発は、当社にとってのビジネス機会となることが想定されます。
(注)1.時間軸 短期:1年以内、中期:~2030年、長期:~2050年
2.影響度
大:自社事業への収益を大幅に減少させうる事項、経営を大幅に圧迫する費用となりえる事項
中:中程度の経済的損失が発生し、事業運営に影響を及ぼす可能性がある事項
小:売上、費用ともに経営への影響が小さい事項
③リスク管理
気候変動に伴うリスクは、環境部会を中心としたメンバーで構成されているTCFDプロジェクトにて特定され、サスティナビリティ推進委員会にてリスクについて審議します。特に重要と判断されたリスクに関しては必要に応じて取締役会へ報告する体制となっております。
特定された気候変動リスクに対しては、TCFDプロジェクトでモニタリングし、対応策を検討します。また、その内容についてはサステナビリティ推進委員会に報告し、評価されることで、リスクを管理します。対応が必要なリスクに関しては、サステナビリティ委員会にて対応策を検討した上で、関係各部・グループ会社が対応を行い、軽減に努めてまいります。
④指標及び目標
気候関連リスクが経営に及ぼす影響を適切に評価・管理することを目的としてGHGプロトコルの基準に基づき、2024年度のGHG排出量(Scope1およびScope2)の算定を実施いたしました。当社は、2020年度を基準年とし、2030年度までに売上高当たりのGHG排出量を25%削減することを目標として、排出量の削減に取り組んでおります。なお、本年度より削減目標を総排出量ベースに変更し、Scope1およびScope2のGHG排出量2020年度比で60%削減することを目指す方針を新たに策定いたしました。この目標はパリ協定に整合する水準での削減方針に基づいており、今後も継続的なGHG排出量の削減を推進してまいります。
2024年度温室効果ガス排出量および排出削減目標
■新規 総量削減目標
■従来 売上高当たりの削減目標
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
食品事業の主原料は農産物でありますので、特に輸入原材料についてはその収穫量の多寡、商品市場の高騰ならびに為替変動などによって仕入金額が膨らむ可能性があり、包材も石油製品を使用しており、その価格は市場の状況により変動するため、調達コストが上昇する可能性があります。また、エネルギーコストについても、工場の製造経費に占める割合が大きく、市場動向による電気代・ガス代の高騰により、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対し当社グループでは、原材料について仕入金額と物量確保の両面で安定的に調達するため、事前に長期買い付けを行い、複数か月分の在庫を確保するとともに複数社購買を実施することで、リスク分散に努めております。また、想定を上回る原材料価格やエネルギーコストの高騰については、商品の内容量の変更や価格改定などを行うことにより、収益構造の改善に取り組んでおります。
食品事業および化成品事業につきましては、品質管理や製造の体制を一層強化して商品の品質管理に最善の注意を払ってまいりますが、当社グループ以外の取引先などに原因が存する事由ならびに予期せぬ品質上の問題発生により、商品の回収や廃棄が発生し、それに伴う売上高の減少や特別損失を余儀なくされる可能性があります。
当該リスクに対し当社グループでは、可能かつ妥当な範囲で生産物賠償責任保険を付すとともに、食品事故防止委員会にて食品事故危機管理マニュアルを策定し、食品事故の未然防止を図り、事故発生時には被害を最小限に抑えるための手順を明確化しております。
食品事業の売上におきましては、猛暑・冷夏などの天候の影響を受ける可能性があります。また、大規模な自然災害が発生した場合には、当社グループの業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対し当社グループでは、可能かつ妥当な範囲で保険を付すとともに、事業継続基本計画書を策定し、当社の社員とその家族および関係者ならびに地域住民の安全を確保しながら事業を適切に継続・運営することを明確化しております。
当社グループは、予期せぬ取引先の経営破綻が発生した場合には、業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対し当社グループでは、取引先に対する債権の回収不能という事態を未然に防ぐべく、情報収集・与信管理等、債権保全に注力しております。
化成品事業の売上におきましては、商社を通さない海外との直接取引が高い割合を占めており、その一部は売上債権の回収サイトを長くとらざるを得ない場合もあります。また、外貨建ての売上債権には、為替変動による影響を受ける可能性があります。
当該リスクに対し当社グループでは、取引先の財務状況を随時確認しながら取引の進捗をコントロールしたり、比較的回収リスクの高い開発途上国の取引先については、取引条件を債権の一部あるいは全額を前払いとすることで、債権回収リスクをできる限り回避しております。また、貿易一般保険や銀行保証の方法も選択肢に入れ、その都度適した方法でのリスクヘッジを行う方針としております。
株式市場の変動などにより、保有する有価証券および投資有価証券に評価損が発生する可能性があります。
当該リスクに対し当社グループでは、上場株式については定期的に時価を把握し、事業戦略上の重要性、取引先との事業上の関係などを総合的に勘案して、保有状況を継続的に見直しております。
当社グループは、必要資金の一部を金融機関からの借入により調達しており、金利の大幅な上昇があった場合、当社グループの業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対し当社グループでは、市場金利の動向を継続的に把握しその抑制に努めており、借入金の一部を固定金利で調達しております。
当社グループは、開発、生産、物流、販売などの情報をコンピュータにより管理しております。当社の想定を超えた技術による情報システムへの不正アクセスやコンピュータウイルスの感染などにより、システム障害や情報漏洩、改ざんなどが発生するリスクがあります。このような事態が発生した場合には、当社グループの業績および財政状態ならびに社会的信用に悪影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対し当社グループでは、情報システムの運用に関する基本方針を策定し、不正侵入・不正使用防止等のセキュリティー対策を講じ、従業員へ周知・徹底を図るなど、情報セキュリティーの維持・強化に取り組んでおります。
当社グループは、固定資産の減損会計を適用しております。当社グループが保有する固定資産について、経営環境の変化や収益性の低下などにより減損損失を計上することになる場合、当社グループの事業、業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、大規模な感染症の流行が発生した場合や長期化した場合には、様々な事業活動が制約を受け、結果として当社グループの事業、業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対し当社グループでは、顧客、取引先および従業員の安全と健康を最優先に考え、感染予防・防止・感染した場合の対策を徹底して行います。また、販売・生産・原材料調達などにおいて影響が生じないよう、全社的な対応体制を構築できるよう努めていきます。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の拡大などを背景に、景気に緩やかな回復がみられました。一方で、物価上昇や米国の通商政策の動向など、依然として先行き不透明な状況が続きました。
当社グループの中核事業の一つである菓子・食品の市場におきましては、原材料価格の高騰や人件費・物流費の上昇などに起因する商品価格改定の影響が顕著となり、消費者の節約志向が高まるなど、企業にとって厳しい経営環境が続きました。
こうした情勢のもと、当社グループは、企業価値の向上を目指し、「Challenge for the future 未来を創造する挑戦」をスローガンとした、新中期経営計画「MEITO CHALLENGE 2026」をスタートさせました。商品の安全性確保と品質の向上に引き続き注力するとともに、おいしさ・たのしさ・健康を追求した高付加価値商品の提供、中核ブランドの「アルファベットチョコレート」や「ぷくぷくたい」、「スティックメイト」シリーズなどのプロモーションを推進してまいりました。また、当社は2025年2月に創立80周年を迎えるにあたり、多角化した当社グループの存在意義を改めて見つめ直し、2025年6月26日開催予定の定時株主総会で定款の一部変更が承認されることを条件として、商号を「株式会社meito」に変更する予定であります。長きにわたりお客様に親しまれてきたブランド「meito」と商号を統一することで、国内外への発展を目指し、さらなるブランド認知と企業価値の向上を図ってまいります。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は、2024年2月に連結子会社化した株式会社おいもやの売上の純増分もあり、前連結会計年度比15.1%増の28,071百万円と大きく上回る結果となりました。営業利益につきましては、売上高の増加や商品の内容量変更・価格改定による売上原価率の改善に加えて、株式会社おいもやの利益が加わったことや、その他の子会社の業績が好調に推移したことなどにより、前連結会計年度比505.7%増の1,405百万円となりました。また、経常利益は、営業利益の改善に加えて受取配当金が増加したことなどにより、前連結会計年度比86.8%増の2,671百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純損益につきましては、特別利益に投資有価証券売却益3,363百万円などを計上しました結果、4,719百万円の純利益となりました。なお、前連結会計年度は、703百万円の純損失でした。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(食品事業)
各部門の売上高は、次のとおりであります。
(百万円)
当連結会計年度におきましては、原材料価格の高騰やエネルギーコストの高止まりなどの厳しい経営環境により、一部商品の内容量の変更や価格改定を実施しました。
主力の菓子部門につきましては、「ぷくぷくたい発売35周年プレゼントキャンペーン」などの販売促進活動の取り組みや連結子会社化した株式会社おいもやの主要商品である芋菓子の売上が寄与したことなどにより、大幅な増収となりました。チョコレート類は、中核ブランドの「アルファベットチョコレート」などの売上が増えたことにより増収となりました。キャンディ類は、自社商品の売上が減少しましたが、受託商品の売上が増加したことにより前連結会計年度並みの売上となりました。そのほか、連結子会社の株式会社エースベーカリーは、「凍らせて食べるシャーベット」シリーズの販売が好調なゼリー類の売上が大きく伸びて増収となりました。
粉末飲料部門につきましては、テレビCMなどの販売施策に取り組みましたところ、「ロイヤルミルクティー」などが売上を落としましたが、「香り高いミルクココア」の売上が増加したことにより、若干の増収となりました。
また、冷菓部門につきましては、自社商品・受託商品ともに記録的猛暑や残暑が長引いたこともあり好調に推移し、増収となりました。
これらの結果、食品事業の売上高は前連結会計年度比16.0%増の24,405百万円となりました。営業利益につきましては、売上高の増加や商品の内容量変更・価格改定による売上原価率の改善に加えて、株式会社おいもやの利益が加わったことや、その他の子会社の業績が好調に推移したことなどにより、前連結会計年度比289.8%増の1,477百万円となりました。
(化成品事業)
各部門の売上高は、次のとおりであります。
(百万円)
酵素部門につきましては、海外を主な市場としており、海外企業との販売競争が激化するなか、精力的な営業活動を推進しました。その結果、チーズ用凝乳酵素「レンネット」は前連結会計年度並みの売上でしたが、脂肪分解酵素「リパーゼ」は海外市場にて売上が大きく伸びて増収となりました。
また、薬品部門につきましては、乳癌転移検出用医療機器で使用される「デキストランマグネタイト」の売上が拡大して増収となりました。
これらの結果、化成品事業の売上高は前連結会計年度比10.2%増の3,389百万円となりました。営業利益につきましては、売上高の拡大や利益率の高い製品の販売が好調に推移したことなどにより、前連結会計年度比38.9%増の837百万円となりました。
(不動産事業)
不動産事業につきましては、賃貸駐車場を売却したことなどにより、売上高は前連結会計年度比2.3%減の276百万円となり、営業利益は前連結会計年度比5.3%減の94百万円となりました。
財政状態は、次のとおりであります。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は17,395百万円となり、前連結会計年度末と比較して397百万円の増加となりました。主な要因としましては、売掛金が550百万円減少した一方で、現金及び預金が831百万円増加したことなどによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は65,929百万円となり、前連結会計年度末と比較して680百万円の増加となりました。主な要因としましては、投資有価証券が株式の売却等により729百万円減少した一方で、新工場の建設により建設仮勘定が1,615百万円増加したことなどによるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は8,838百万円となり、前連結会計年度末と比較して2,160百万円の減少となりました。主な要因としましては、未払法人税等が1,114百万円増加した一方で、短期借入金が3,070百万円減少したことなどによるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は19,574百万円となり、前連結会計年度末と比較して605百万円の減少となりました。主な要因としましては、長期借入金が737百万円減少したことなどによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は54,912百万円となり、前連結会計年度末と比較して3,843百万円の増加となりました。主な要因としましては、利益剰余金が4,177百万円増加したことなどによるものであります。
当連結会計年度末におけるセグメントごとの資産については、食品事業の資産は27,668百万円となり、前連結会計年度末と比較して921百万円の増加となりました。増加した要因としましては、有形固定資産の増加などによるものです。化成品事業の資産は6,061百万円となり、前連結会計年度末と比較して1,560百万円の増加となりました。増加した要因としましては、こちらも有形固定資産の増加などによるものです。不動産事業の資産は1,294百万円となり、前連結会計年度末と比較して80百万円の増加となりました。なお、セグメントに配分していない全社資産は48,300百万円となります。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ831百万円増加し、7,194百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。
営業活動の結果得られた資金は、4,236百万円(前年同期は2,903百万円の収入)となりました。資金の主な増加要因は、税金等調整前当期純利益6,371百万円であり、主な減少要因は、棚卸資産の増加額540百万円および法人税等の支払額504百万円であります。
投資活動の結果得られた資金は、960百万円(前年同期は3,611百万円の支出)となりました。資金の主な増加要因は、有価証券及び投資有価証券の売却及び償還による収入4,230百万円および有形固定資産の売却による収入364百万円であり、主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出3,522百万円であります。
財務活動の結果使用した資金は、4,365百万円(前年同期は1,718百万円の収入)となりました。資金の主な減少要因は、短期借入金の減少額3,070百万円および長期借入金の返済による支出765百万円であります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、販売価格によっております。
当社グループは受注生産は行っておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(経営成績)
当社グループの当連結会計年度の経営成績等につきましては、売上高は28,071百万円(前連結会計年度比15.1%増)となり、前連結会計年度と比較して3,678百万円の増収となりました。なお、売上高の詳細につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
売上総利益は7,985百万円(前連結会計年度比48.6%増)となりました。
営業利益は1,405百万円(前連結会計年度比505.7%増)となりました。売上高の増加や商品の内容量変更・価格改定による売上原価率の改善に加えて、連結子会社化した株式会社おいもやの利益が加わったことや、その他の子会社の業績が好調に推移したことなどにより、営業利益は増加しました。
経常利益は2,671百万円(前連結会計年度比86.8%増)となりました。営業利益の改善に加えて受取配当金が増加したことなどにより、経常利益は増加しました。
特別利益は、投資有価証券売却益などの計上により3,706百万円となりました。特別損失は、固定資産除売却損の計上により、5百万円となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純損益は、4,719百万円の純利益となりました。なお、前連結会計年度は、703百万円の純損失でした。
(経営成績に重要な影響を与える要因)
当社グループの経営成績に影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり様々なリスク要因があることを認識しております。そのため、当社グループは常にリスク要因の動向を注視しつつ、内部管理体制を充実させ、リスク要因の低減に努めてまいります。
(財政状態)
財政状態の詳細につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」の中の財政状態に記載のとおりであります。
(経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)
当社グループは、2024年度を初年度とする3ヵ年計画である中期経営計画「MEITO CHALLENGE 2026」を策定し、連結売上高、連結営業利益、連結経常利益、ROE、PBRを重要な経営指標としております。中期経営計画の最終年度となる2027年3月期の経営指標は、連結売上高300億円、連結営業利益18億円、連結経常利益30億円、ROE5.0%以上、PBR1.0倍としています。経営指標達成のため、次の4つの成長戦略を推進していきます。
・販売戦略
食品事業では中核ブランドへの戦略的な経営資源の投入やグループ会社間のシナジー強化を進め、化成品事業では高付加価値製品の世界市場でのプロモーション強化や用途開発による新規顧客の獲得を目指します。
・生産戦略
食品事業では安全・品質・生産の向上に直結する工場のDX化や設備投資・増員および予知予防保全による増産体制の確立に取り組み、化成品事業では製造技術・プロセスの最適化および設備増強、増員を行うことにより、厳格化する品質要求への対応と生産性の向上を推進します。
・組織・人事戦略
組織力向上のための組織再構築・コミュニケーション促進や、人的資本強化のための教育・リスキリングの充実およびダイバーシティ推進に取り組んでいきます。
・財務戦略
経営資源の再配分による事業ポートフォリオの最適化に取り組み、ROEの向上を目指します。また、累進配当等による株主還元の強化を行っていきます。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源および資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料の購入、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、投資を目的とした資金需要の主なものは、設備投資によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。当社グループの主な資金の源泉は、営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入金となります。設備投資等の長期資金需要は、自己資金又は金融機関からの長期借入金等により賄い、運転資金等の短期資金需要は、主に自己資金および金融機関からの短期借入金により賄っております。
なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は7,194百万円、借入金およびリース債務を含む有利子負債の残高は9,200百万円となっております。
③ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に次の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態および経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
「固定資産の減損」と「商標権およびのれんの評価」に際して用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
特記事項はありません。
食品(菓子・飲料)につきましては食品開発部(本社内、瀬戸工場内)、連結子会社の株式会社エースベーカリー(愛知県小牧市)において、また化成品(医薬品原料、酵素)につきましては名古屋研究所(愛知県清須市)、東京研究所(東京都八王子市)において、研究開発を実施しております。
当連結会計年度の研究開発費は食品事業が
食品事業
食品事業におきましては、経営基本姿勢にあります「お客様重視の経営」のもとで、パーパスで掲げます「カラダもココロも豊かで楽しい毎日」をお客様へ提供すべく、常に安全で高品質な商品の研究開発に取り組んでまいりました。
菓子部門のチョコレート類では、主力の「アルファベットチョコレート」シリーズに、苺の果肉を感じる「アルファベットチョコレート たっぷり苺」、宇治抹茶とミルクのまろやかさを組み合わせた「アルファベットチョコレート 抹茶ラテ」を発売し、品揃えの充実を図りました。また、ポケットサイズの新商品として、芳醇なミルクティーの香りとクレープの軽やかな食感が楽しめる「アルファベットチョコレート サクッとクレープミルクティー」もラインナップし、販路拡大に努めました。その他、主力包装形態でありますファミリーサイズ(大袋)商品として、宇治抹茶・ほうじ茶・玄米茶の3種のお茶風味のチョコレートを詰め合わせた「日本茶チョコレート 和みくらべ」、ポケットサイズ(個食)の商品として、洋菓子をテーマにした「ひとくちパティスリー 優雅なレーズンバターサンドチョコレート」を発売しました。また、「ぷくぷくたい」シリーズは発売35周年を迎え、消費者キャンペーンを実施するとともに、記念商品「ぷくぷくたい ハピハピバースデーエアインチョコ」を発売し、ブランドの再活性化を図りました。
キャンディ類は、高知県産の粉末しょうがを使用した「ジンジャーミルクキャンディ」を発売し品揃えを強化しました。
子供用菓子では、「つくってたべよう!」シリーズに、水だけでカブトムシのさなぎの形のゼリーができる「つくってたべよう! さなぎ3Dゼリー」を加え、商品展開しました。
粉末飲料部門では、「スティックメイト」シリーズをブランドパーパス「選ぶたのしさをすべての人に」のもとリニューアルしました。新商品として、国産白桃果汁を使用した「ピーチティー」、お湯を注ぐと金平糖の砂糖が溶けてあられが浮かび上がる「星屑紅茶」、高知県産しょうがを使った「あったかしょうが湯アソート」を発売しました。また、ロングセラー商品の「レモンティー」は、人気キャラクターのムーミンとコラボしたスティックタイプを発売し、20〜40代女性を中心に幅広い層への訴求を図りました。
栄養食品部門では、血糖値への配慮をコンセプトとした「おいしく健康応援シリーズ」に「おいしく健康応援のど飴 ブルーベリー」「おいしく健康応援カフェオレ」を加え、品揃えの充実を図りました。
このように、各部門とも新商品を上市し、市場シェアの拡大を図るとともに、既存商品のさらなる販売増を目指し、「アルファベットチョコレート」「スティックメイト」「レモンティー」のラジオ・テレビコマーシャルなどを実施するとともに、SNSでは商品情報やキャンペーン情報を発信し、購買促進とファン層の拡大に取り組みました。
また、株式会社エースベーカリーでは、ポーションゼリーに学研の図鑑LIVEとコラボレーションした「28個学研の図鑑LIVEゼリー恐竜編」、「8個北海道メロンゼリー」、「8個沖縄パイナップルゼリー」を、三方ゼリーに「18個果汁100%蒟蒻ゼリー」の合計4品を発売し、販売好調のシャーベットシリーズと併せ、更にゼリーカテゴリーの商品ラインナップを充実させました。
焼き菓子は、通年商品として手に取りやすい価格の「かわいいスティックバウムクーヘン」3品、季節限定商品では「チョコ掛けバウムクーヘン」4品、「6個生ブラウニーあまおう苺」、京都の老舗お茶屋“森半”の抹茶原料を使用した「8個厚切りバウムクーヘン宇治抹茶」、「9個厚切りバウムクーヘン安納芋」を展開しました。
当社グループは、消費者の食品への安全・安心に対する高い意識のなか、お客様にとって安心できる原材料を選択管理し、また、お客様の視点に立った適切な表示を行ってまいります。
そして、今後も国内の少子高齢化や流通再編に伴う市場の変化に対応し、消費者の健康志向や環境にも配慮した商品開発にも取り組み、企業行動憲章に則り、信頼できる「meito」ブランドの確立に努めてまいります。
化成品事業
化成品事業におきましては、発酵技術および合成技術を活用して微生物の生産する酵素類および多糖類(デキストランやデキストラン発酵産物)とその誘導体について積極的な研究開発活動を行っており、食品、医薬品、化粧品原料、飼料などの広範な分野で用途開発を進めております。
酵素部門では、主力製品であるチーズ用凝乳酵素「レンネット」のうち、次世代製品として開発した「LPシリーズ」製品は、本来の仔牛由来のカーフレンネットと同等のフレーバー、テクスチャー性能を有し、高いチーズ収量が得られる微生物レンネットとして、欧米のオーガニックチーズ市場、ベジタリアン向けチーズ市場を中心に順調に市場を拡大しており、更なる品質向上、効率生産のための研究開発に取り組んでおります。
脂肪分解酵素の「リパーゼ」については、各種リパーゼ製品がそれぞれの特性により、油脂加工や機能性油脂の製造、脂肪酸の製造、ミルクフレーバーの製造、サプリメント用途、臨床検査薬、また、有機化合物の合成用触媒として使用されるなど、食品、医薬品、化学の各分野で多様な用途で使用されており、その潜在的な能力を活用したさらなる用途の拡大と新規の用途の創出や酵素の特性の改良による付加価値の高い製品の開発に取り組んでおります。近年、環境意識の高まりやSDGsへの関心などから、グリーンケミストリーとして酵素の産業利用への関心が高まっており、リパーゼ製品の需要増に対応する効率生産のための製造方法の改良にも注力しております。また、米国、欧州、中国、韓国など海外市場での展開を強化するため各国における食品用酵素の認証取得を進めております。2024年度はリパーゼOFの米国におけるGRAS通知に対し、米国食品医薬品庁(FDA:Food and Drug Administration)より当社の安全性判断に異議なしと回答したNo question letterを受領しました。また、輸出先国の宗教的制約に対応するためのハラール、コーシャ認証の維持に積極的に取り組んでおります。
薬品部門では、自社発酵工場で生産される「デキストラン」や、デキストランをベースとし、化学合成で得られる各種誘導体を医薬品や医療機器の原料(原薬・部材)、化粧品素材や臨床検査用試薬等として開発し、国内外に供給しております。このうち、主要な製品である「デキストラン」、「デキストラン硫酸」、「カルボキシメチルデキストラン」等については既存品に加えて、ライフサイエンス等の分野からのニーズを取り入れた製品ラインの拡充により新たな用途開拓も目指しております。また、化粧品用途については、国内外の展示会へ出展し新規顧客開拓に積極的に取り組んでおります。さらに、当社の強みである多糖類合成というニッチな分野に特化して、化学合成技術を活かした受託製造にも対応しております。医療分野では、デキストラン他、多糖類の誘導体で、医療機器部材としての需要も増えており、2027年4月以降に稼働予定の新工場による増産体制の構築を進めております。また、手術や治療をサポートする体内の止血材や癒着防止材の原料開発を進めております。
デキストラン誘導体を原料とする肝臓癌診断用のMRI造影剤『リゾビスト』の原薬「フェルカルボトラン」につきましては、国内だけでなく海外への原薬供給にも注力しており、癌転移検出用医療機器用途での供給拡大も順調に進んでおります。品質や物性が国内外の多くの研究者から注目されている「デキストランマグネタイト類」については、新たな医療分野での応用研究等が進められており、用途拡大を目指した幾つかの共同開発・研究を大学・企業等と推進しております。
また、デキストラン発酵産物から製造される混合飼料「ヘルシーフレンド」や「デキストランと相性の良い乳酸菌」およびこれらを結み合わせて付加価値を高めた「シンバイオティクス飼料」は家畜の健康維持や快適な飼養環境づくりに役立つ商品として高い評価を受けております。今後もお客様に安心してお使い頂けるように品質の向上に取り組んでまいります。
いずれの部門ともに国内外からの安全で高品質な製品に対する要請が強まっておりますので、薬品部門におきましては原薬と動物用医薬品GMPに加えて飼料GMP、酵素部門におきましてはFSSC22000 に基づいた生産管理、品質マネジメントシステムの維持、向上及びDX化に取り組み、事業基盤の強化に努めてまいります。