第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループは、「利害相反する人を含めて、集団の生存性を高める」を経営理念としております。これは、自集団のみの生存性を高めれば良いということではなく、当社グループを取り巻く七媒体(消費者、流通、国・県・市町村、株主、金融機関、取引先、従業員)の全てとともに響き合って生存性を高めることを基本としております。

消費者が望む革新的商品やサービスを継続的に提供することを使命とし、地方にありながら世界につながるグローバル企業であり続けることを目指してまいります。また、心と体の健康づくりをテーマに文化・芸術、スポーツ支援などを通じて社会に貢献する活動も推進してまいります。

 

(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目標に、収益力、生産性、資本効率等の改善を図るために投資効率を重視した経営を行っております。それぞれの部署における業務の効率化を目指した施策を講ずるとともに管理の強化を進めてまいります。

また、連結ROE(株主資本当期純利益率)を重要指標と捉えており、今後はROIC(投下資本利益率)についても重要指標として捉えてまいります。財務政策など経営の諸施策を推進し、連結ROEおよびROICを高めることにより、株主価値の向上と安定的な成長を目指してまいります。

 

(3) 経営環境

経営環境につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 

(4) 対処すべき課題および経営戦略等

国内における人口減少や労働力不足の顕在化と併せて、当社が属する菓子・飲料・食品業界は、原材料・エネルギー価格の上昇や為替変動、原料の安定調達に関する課題など、経営を取り巻く環境は刻々と変化するとともに先行きの不透明な状況が継続するものと認識しております。

このような環境下で、当社グループは食品製造企業として品質保証第一主義に徹し、引き続き、安定した原材料調達と商品供給体制の確立、原材料のトレーサビリティ、フードセーフティーへの取り組み強化による品質保証体制の一層のレベルアップを図るとともに、当社で有するビスケットやチョコレート等の多様なカテゴリーにおいて、バラエティ豊かな商品や、生活習慣病予防のための機能性食品等の開発を進め、コーポレートメッセージである「おいしさ、思いやり、いつもいっしょに。」の体現を目指してまいります。そして、安定的な収益基盤の確保に努めることに加え、コンプライアンスに注力し、社会の一員として役割と責務を果たす正しい行動と、社会への貢献活動を推進し、法的責任と倫理的責任のある企業行動に努め、従業員が心身ともに健康で生きがいを持って働くことのできる職場環境の構築を進めてまいります。

将来に向けては、サステナビリティへの取り組みとして、菓子・飲料・食品の開発・製造・販売を通じて、豊かな生活と健康への寄与など皆様の幸せな生活に深く関わるとともに、「心と体の健康づくり」をテーマとして、持続可能な未来社会をデザインしていく健康増進総合支援企業を目指した活動を推進してまいります。

 

①新製品開発体制の強化

・ビスケットの市場シェア拡大に向けた利便性や簡便性、コストパフォーマンスの高い商品の開発

・ライフスタイルの変化や多様な価値観にあわせた新しいチョコレート商品の開発

・菓子製造技術を活かしたブルボンお菓子アイスの開発

・食生活を栄養面から広くサポートする健康に配慮した保健機能食品等の開発

・次世代を担う新たなブランドの構築と新カテゴリーの創出

・新奇性に富み、差別化された新製品の開発と新技術や新設備の導入

 

 

②新たな需要を創造する営業体制の強化

・企画提案型営業による楽しい売場演出・サービスの提供

・得意先別要望・課題への対応と積極的な企画提案による関係強化

・自動販売機事業・業務用商品販売事業・eコマース事業の品揃え強化による採算性の向上や新たな付加価値の創造・開発

・高付加価値商品の対面販売によるブランド認知拡大と顧客の獲得

・47都道府県にある拠点を活かした地域に密着した新たな需要の創造

 

③グローバル展開の推進

・中国市場における当社商品や現地グループ会社の商品の販売拡大

・米国市場に適した商品の開発と現地法人を拠点とした販売推進

・東南アジア、その他目覚ましい経済成長がみられる地域への販売網の構築や販売強化

 

④経営基盤の強化

・安全、安心な商品を安定して供給できる生産体制の強化

・持続可能且つコスト競争力のある原料調達ならびに新規原材料開発やサプライチェーンの強化

・食品安全マネジメントシステムの国際規格等を基に独自に策定したブルボン品質保証マネジメントシステム(BQAMS)の運用と教育による品質保証体制の強化

・AI、IoTを活用した最新の生産システムの構築による生産性や品質の向上

・情報システムの合理化とDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進による付加価値創造

・GX(グリーントランスフォーメーション)の推進による環境負荷の低減

・従業員の能力を最大限発揮できる組織を目指し、多様な働き方や女性の活躍を広げる制度の拡充

・心と体の健康を重視した経営方針のもと従業員のライフスタイルや多様性を尊重した職場環境の構築

・多様な事業環境に対応できる経営幹部の育成と積極的な外部招聘

・経営・経営企画ならびに計画推進組織の強化

・将来性のある領域への投資ならびに事業買収等による規模拡大

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方および取り組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ全般に関するガバナンス

 当社は、関東大震災の影響により地方への菓子供給が全面的にストップした窮状を見て、地方での量産工場による菓子作りを決意し1924年に新潟県柏崎市で創業しました。

 現在は、「菓子」「飲料・食品・冷菓・その他」の開発、製造、販売を通じて、豊かな生活と健康への寄与など皆様の幸せな生活に深く関わるとともに、持続可能な未来社会をデザインしていく健康増進総合支援企業を目指した活動に取り組んでいます。

 また、社会の一員として役割と責務を果たすよう正しく行動し、社会への貢献活動を推進しています。法的責任と倫理的責任のある企業行動に努め、業務遂行に際しては人間としての尊厳と価値が認められる高い志と心の健全性をバランスさせた自己形成に取り組める職場環境の構築と、社員が心身ともに健康で生きがいを持って働くことのできる健康経営に取り組んでいます。

 

 当社グループは、経営理念である「利害相反する人を含めて、集団の生存性を高める」の実現と、当社を取り巻く七媒体の全てとの生存性を高めることを経営の重要課題として捉えております。「生存性を高めること」は「持続可能であること」であり、創業から一貫して、企業市民としての社会・環境貢献活動と企業としての持続的な発展の両立を目指した取り組みを推進しております。当社を取り巻く七媒体の大きな関心事であり、当社の事業活動に最も重要な課題8項目を挙げ、持続可能な未来社会の実現に向けて優先的に取り組んでおります。

 

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(2) 重要なサステナビリティ項目

 上記、ガバナンスを通して決定した当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は以下のとおりであります。

①環境負荷軽減への対応

②人材の多様性の確保を含む人材育成及び社内環境整備への対応

 それぞれの項目に係る当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。

 

①環境負荷軽減への対応

・戦略

 当社グループは、サステナビリティに関わる基本方針や重要事項等を検討・決定することを目的とした専門の社内組織は設置しておりませんが、経営企画研究本部を推進本部、製造保証本部を中心的実施本部としてSDGsの17目標を中心に据えたアプローチおよびバリューチェーンマップを策定し、取締役会など社内会議へ定期的に報告しております。同アプローチを基に全部門において中長期および年度目標を策定し、主に環境マネジメントシステム(ISO14001)推進体制に組み込むことで実行およびモニタリングしております。

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 当社グループは、事業活動として「菓子」「飲料・食品・冷菓・その他」を製造し、お客様へ提供しています。製造に使用する原料、包装材料、製造・加工のためのエネルギー、お客様へお届けするための輸送のエネルギーは、全て環境からの恩恵を消費する一方、製造・加工に伴い発生する不要物を排出しています。環境負荷の低減については、どんなに小さな活動でも、継続して実施していくことが大切と考え、自らの活動がどのように環境と関係しているのかを、正しく認識するとともに、率先した環境への取り組みを下記のように実践しています。

 

a.モーダルシフトの推進と配送効率化に向けた取り組み

 CO2削減対策として、トラック輸送から環境にやさしい鉄道や船舶によるエコ輸送への転換(モーダルシフト)に取り組んでいます。トラックドライバー不足(労働力不足)の問題も深刻化しているなかで、さらにモーダルシフトを推進し、脱炭素化や地球温暖化防止に貢献するアプローチを行うとともに、物流業界の課題解決にも努めています。

 また、当社では、配送効率の向上と物流課題の解決を目的として、鉄道コンテナならびに大型トラックでの輸送時にパレット輸送を推進しています。手積みの荷役(バラ積み)と比較し作業時間が大幅に短縮できることに加え、輸送品質の向上も期待できます。この取り組みを進めるにあたりケースサイズの標準化を推進しており、パレット積載効率の向上を図っています。また、新潟県内の菓子メーカーとともに生産地からの共同配送実験に取り組み、「持続可能な物流網の構築」に取り組んでいます。

 

b.トラックバース予約システムの導入利用

 当社では工場倉庫での製品の積み下ろしをする際にトラックが接車する場所(トラックバース)を事前に予約するシステム「バース予約システム」を利用することで、トラックの集中を避け、荷待ち時間の短縮、ドライバーの労働時間の短縮など、ホワイト物流の推進に努めています。

 

c.脱炭素社会に向けた取り組み

 当社では、環境負荷低減活動の一環として自家消費型太陽光発電(オンサイトPPA)による発電や、工場敷地外に設置した太陽光発電電力を当社事業所に送電する自家消費型太陽光発電(オフサイトコーポレートPPA)の導入を推進しております。今後も計画的な発電所開設などにより、再生エネルギー使用による脱炭素社会への貢献に努めてまいります。

 

d.バイオマスプラスチックの使用

 商品パッケージの材料の一部や、商品保護を目的に使用しているトレーの一部に植物由来のバイオマスプラスチックを使用しています。

 

e.紙の比率を大きく高めたパッケージの使用

 日本製紙株式会社および株式会社カネカと共同開発したヒートシール紙を「4種のひとくちスイーツ」の外装に採用しています。従来はプラスチックフィルムの複層構成としていたパッケージを、大部分を紙で構成した仕様としたことでプラスチック使用量の削減に取り組んでいます。また、環境に配慮した水性インクによるインクジェット印刷を取り入れています。

 

f.「贅沢ルマンド」シリーズのプラスチック使用量削減

 「贅沢ルマンド」シリーズの外装には紙の比率を高めたパッケージを採用し、プラスチック使用量の削減に取り組んでいます。包装適正やデザインは従来のプラスチックフィルムと同等に保ちつつ、従来品と比較してプラスチック重量の60%以上の削減となっています。また、シリーズ品の一部の商品で、環境に配慮した水性インクによるインクジェット印刷を新たに取り入れました。

 

g.ペットボトルの軽量化

 当社で生産するミネラルウォーター商品において使用しているペットボトルは自社成型しています。ペットボトルの設計を見直し、キャップシールやラベルの薄肉化、素材の一部に植物由来の原料を配合するなど、省資源化に取り組んでいます。

 

h.サステナブルカカオ豆の調達

 当社ではカカオ豆の主産地であるガーナにおいて、児童労働の撲滅・抑止に向けた活動を支援しているほか、アグロフォレストリー(森林農法)による森林回復や、生産者に対してカカオの苗木や営農機材を提供しております。栽培地の環境保全や社会課題解決に積極的に取り組む生産者から購入することで、持続可能なカカオ豆の調達を推進しています。

i.RSPOサプライチェーン認証油(マスバランス)の調達

 当社は、2019年10月に「持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)」に加盟し、2022年2月には、柏崎工場と新発田工場のポテトスナック製品群においてRSPOサプライチェーン認証(マスバランス)を取得しました。今後も使用製品の拡大を図り、環境保全と生産者の権利保護を支援してまいります。

 

j.アニマルウェルフェア(動物福祉)に配慮した鶏卵の調達

 家畜を快適な環境下で飼養することによりストレスや疾病を減らすことが、安全な畜産物の生産につながるとともに摂取する私達人間の健康にもつながることから、サプライチェーン全体でアニマルウェルフェアに取り組むことが重要と考えています。当社が使用する鶏卵原料の一部について、平飼いの鶏卵(鶏舎内で自由に動き回れる環境で育てられた鶏が産む卵)を使用した液全卵の調達拡大で、アニマルウェルフェア向上に取り組んでいます。

 

・リスク管理

 当社グループにおける製造に必要な原材料ならびにエネルギー等の調達に関する気候変動リスクについては主に以下の内容を想定しております。

a.気候変動による原材料となる農作物の収穫量や価格の変動

b.気候変動による台風・豪雨など自然災害発生による工場等の物理的破損

c.気候パターン変動による消費者の食シーンの変化

d. 異常気象によるエネルギー調達不足

 

・指標及び目標

 当社は、環境負荷軽減への目標としてCO2排出削減、脱プラスチック、サステナブル原料使用推進を重要項目として設定しております。同目標の遂行状況は取締役会など社内会議にて報告されモニタリングしております。当社における当該指標に関する目標および実績は、次のとおりであります。なお、連結子会社については、各取り組みに関しての指標及び目標を設定していないため表示を省略しております。

項目

目標年度

目標数値

第149期実績

2024年度

CO2排出削減

2030年

2013年比46%削減

28.8%

脱プラスチック

2025年

2018年比20%削減

7.9%

サステナブル原料使用

2027年

2030年

2030年

カカオ豆100%

パーム油100%

液全卵5%

97.7%

37.5%

0.08%

 

②人材の多様性・公平性を含む人材育成及び社内環境整備への対応

・戦略

 当社グループは「人財育成方針」および「社内環境整備方針」のもと、当社グループ全体で取り組みを進めており、同目標の遂行状況は取締役会など社内会議へ定期的に報告しております。

 

〔人財育成方針〕

経営理念を実現し、集団の永続的な成長・発展のために、社員一人ひとりを「人財」と捉え、大切な経営資源として、戦略的・継続的な育成を行います。

 

a.仕事が自己形成の場となるように、各個人の能力を最大限に発揮させる職務設計を行い、個々の強みを成果につなげます。

b.高い教育効果を生み出すため、教育者、被教育者、時期、環境、内容、方法を考え、継続的に改善します。併せて、各個人の主体的な学びを支援し、必要な知識や技術の向上を図ります。

c.様々な部署や職務を経験し、各個人の能力の幅を広げることができるように、利益機会に焦点を当て、個々の強みを踏まえて人財の配置を行います。

d.個々の強みを組み合わせて、社外比較での専門水準の優位性により非凡な成果を上げる組織づくりのため、正しい人間関係(コミュニケーション、チームワーク、自己形成、後継者育成)の構築を行います。

e.上記のほか、自社内のDX推進のための情報技術等の人財を重点的に育成します。また、社員の職業能力の開発及び向上に関する相談・支援体制の強化を目指します。

 

〔社内環境整備方針〕

経営理念を実現し、集団の永続的な成長・発展のために、安全で健康的な働きやすい職場環境を確保するとともに、人権の尊重と公平な処遇を行い、社員のゆとりと豊かさを実現し、社員の個性、自主性を尊重した活力ある企業を築きます。

 

a.ブルボングループ健康宣言に則り、社員が心身ともに健康で生きがいを持って働き続けられ、多様な人財が活き活きとその能力を発揮することで、働く意欲を高め、企業の活力や生産性の向上、家庭生活の充実など、人々の健康と豊かな社会づくりに取り組みます。

b.ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン(DEI)を推進し、社員一人ひとりの多様な背景、持ち味、個性を認め合い、能力を最大限活かし合う工夫や取り組みを続けていくことで、業務の効率化や生産性の向上ならびに新たな商品やサービス・付加価値の創造、組織と個人の成果の最大化を図ります。

c.地位や経験にかかわらず、誰もが率直な意見・素朴な疑問を言い合うことができる「心理的安全性」が確保され、社員相互の報告、連絡および相談が支障なく正確に行われ、円滑で効率的な対話により相手の意見を尊重しながら最善の結論が得られるように、お互いが信頼し協力しあえる雰囲気作りに努めます。

d.不当な差別やハラスメントなどを根絶し、処遇においては個人の適性、能力を尊重し公平な取り扱いがなされるように努めます。

e.社員の会社や組織に対するエンゲージメントを高め、食品製造企業の一員として質の高い安全な製品やサービスを消費者に供給する仕事に誇りと責任を持ち、業務に関する能力のレベルアップを図り、積極的業務改善、効率化に努めることで、同僚や関係部署が働きやすく成果が上がるような環境づくりに努めます。

f.職場内の整理、整頓、清掃、洗浄、殺菌(制菌)、清潔に配慮するとともに、安全衛生に関する研修の定期的実施、日常業務に関するマニュアルの整備・励行等、事故、災害の予防、対策に適切に対処できる仕組みを整備することにより、一人ひとりが安心して働ける職場の環境づくりを行います。

 

・指標及び目標

 人材の多様性の確保を含む「人財育成方針」および「社内環境整備方針」について、次の指標を用いており、当社における当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。当社ホームページの「健康を重視した経営」において、その他指標を公開しております。なお、連結子会社については、各取り組みに関しての指標及び目標を設定していないため表示を省略しております。

大項目

人的資本に

関する領域

項目

目標

2030年度

第149期実績

2024年度

人件費

給与と報酬

の平均額

男女の賃金差異(全労働者)

75.0

71.6

男女の賃金差異(正社員)

80.0

74.8

男女の賃金差異(パート有期社員)

70.0

64.5

多様性

年齢

平均年齢(正社員)

38.0

38.3

勤続

平均勤続年数(正社員)

16.0

16.0

性別

女性管理職比率

15.0

7.4

女性役員比率

20.0

9.5

男性の育児休業取得率

100.0

100.0

女性の育児休業取得率

100.0

100.0

組織風土

有給休暇取得

有給休暇取得率

100.0

85.0

 

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経済情勢および人口動態の変化

国内の個人消費が回復基調にあるものの、当社グループの主力であるビスケット・チョコレート商品で一部の関税率が段階的に削減や撤廃されることが事業活動に大きく影響を及ぼす可能性があります。さらに、国内人口減少や少子高齢化による消費需要の低迷、当社の事業遂行上必要な人員確保が出来ない場合、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 食品の安全性

当社グループは、安全・安心・安定および健康を基にした品質保証第一主義の徹底を図るため、食品安全基本

法、消費者安全法、食品衛生法、食品表示法、その他関係法令を遵守することはもとより、原材料に係る有害物質(残留農薬、有害化学物質、放射能汚染など)の検査体制の強化、トレーサビリティの構築、意図的な異物混入を防止するフードディフェンスの取り組み等を行っておりますが、当社グループの取り組みの範囲を超える事態が発生した場合は、社会的な信用低下による売上・生産低下や商品回収による費用発生により、当社グループの収益性を低下させ、業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 商品開発および競合性

当社グループは、消費者の嗜好変化に対応した魅力的な新商品開発や、健康志向等を踏まえた特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品などの研究や新製品開発にも取り組んでおりますが、設備投資した新製品が消費者ニーズに適合せず販売計画未達の場合や、マーケットに国内外より新たなメーカーが参入した場合、競合他社による強力な新製品投入、商品価格の値下げ、販促費の追加投入、広告宣伝の強化等により、優位に立てない場合には当社グループの収益性を低下させ、業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 固定資産の減損

当社グループは、新製品開発や品質向上、生産性向上のための設備投資を継続的に行っております。その結果、有形固定資産を多額に有しております。

経営環境の変化等により当該資産から得られる将来キャッシュ・フローが著しく低下した場合には、帳簿価額を減額し、当該減少額を減損損失として計上することとなるため、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) コンプライアンス

当社グループは、事業活動を遂行するにあたり、会社法、金融商品取引法、食品衛生法、食品表示法、景品表示法、製造物責任法、不正競争防止法、環境・リサイクル関連法規等、様々な法的規制を受けております。当社グループとしては、各業務担当部門が法務担当部門と連携しながら、すべての法的規制を遵守するように取り組んでおりますが、その取り組みの範囲を超えた事象が発生した場合、当社グループの業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループでは、研究開発、製品開発等その事業活動において第三者の知的財産権を侵害することのないように細心の注意を払っておりますが、第三者から知的財産権侵害に係る不測の訴訟を提起された場合、その結果によっては当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 天変地異、災害

当社グループは、大規模災害を想定し、構築物の耐震強化、営業所の立地見直し、従業員とその家族を対象とした安否確認システムを導入するとともに、地震や台風、風水害による自然災害、火災などが発生し、重大な被害を受け工場が操業停止となった場合、他工場からの製品供給を可能とする事業継続計画(BCP)を策定しております。しかしながら、当社グループの生産工場が集中している新潟県を中心とした広範囲で大規模な自然災害が発生し複数の工場被災や火災発生などによる死亡者が発生するなど、当社グループの危機管理対策の想定範囲を超えた事態となった場合には、業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 新型感染症

当社グループは、新型感染症に対して感染症対策委員会を設置し、食品製造企業として厳格な管理基準に則り、従業員に対する衛生管理に十分留意した生産活動を実施し、また、間接部門ではテレワークの取り組みや出張の制限など、社内外の感染防止に最大限努めて事業活動を継続できる体制を整備しております。しかしながら、未知の新型感染症が流行した場合は、需要の減退や物流・流通システムの混乱に起因する生産活動や販売活動に支障をきたす恐れがあり、業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 原材料の調達および価格の変動

当社グループの原材料の多くは海外調達であり、サプライヤー様との協力体制により安定調達、安定価格維持に取り組んでおります。しかしながら、世界的な異常気象、天変地異の発生などによる収穫量の減少や人口増加による逼迫、感染性疾病の流行等を原因とする輸出制限、地政学的リスクなどによる調達困難、原材料相場への投機資金の流入による国際相場変動、急激な為替レートの変動、原材料生産・加工国における税制変更、世界経済変動による想定を超える仕入価格の高騰などにより当社グループの収益性を低下させ業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 販売先の与信管理および構造変化

当社グループでは債権保全に万全を期すべく、調査機関や業界情報の活用により日常的な情報収集や与信管理を徹底し、債権回収不能の未然防止体制をとっておりますが、その取り組みの範囲を超えた事象が突発的に発生した場合、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

さらに、新業態店舗やCVS店舗の増減、小売業の合併・統合などにより取引業態の構造変化や取引条件の変更などが当社グループの収益性を低下させ、業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 情報システム障害等

当社グループは、経営に関する重要情報や個人に関する機密情報を保持しております。これらの情報システムの運用については、コンピュータウイルス感染によるシステム障害やハッキングによる被害および外部への社内情報の漏洩が生じないよう万全の対策を講じておりますが、当社や社員及び取引先を狙った標的型攻撃メールや想定を超えた技術による情報システムへの不正アクセス、コンピュータウイルスの感染などにより、情報システムに障害が発生することを通じて、企業活動全体の遅延又は不能、社内情報等が外部漏洩するリスクがあり、こうした事態が発生した場合、業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 海外での事業展開

当社グループは、海外への事業展開を図っておりますが、現地の政治的・経済的要因の変動、予期しえない法律・規制などの改廃、感染性疾病の流行、地震等の自然災害の発生などにより現地社員業務の制限、販売活動の制限や生産工場の閉鎖や収益性が低下した場合、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、訪日外国人観光客数の増加や雇用・所得環境の改善を背景として回復基調で推移したものの、欧米との金利差拡大等に起因した為替市場の動向や海外情勢不安の長期化に加え、期末には米国政権交代による通商問題の再燃など先行き不透明感が強まりました。

 菓子・飲料・食品業界は、原材料調達価格ならびに各種価格の高止まりへの対応に加え、生活消費財の価格が上昇する中で、消費者の買い控えや節約志向への対応が求められました。

 このような状況下で当社は、グループ全体で食品製造企業として一貫して品質保証第一主義に徹し、安全で安心な実質価値の高い商品の安定した供給と消費者ニーズに対応したサービスの提供など、顧客満足度の向上を目指した活動を推進しました。具体的には、消費者の慎重な消費行動が継続する中で、おいしさと付加価値が調和した商品の開発を進めるとともに、各品目での品揃え強化とプロモーションによる活性化を図り、求められる価値の実現に機敏かつ柔軟に取り組みました。加えて、企画提案型の営業活動と店頭フォローを積極的に行い、お客様の笑顔と満足につながる活動を推進いたしました。

 また、創立100周年にあわせた企業価値向上を目指した活動や、酒類等の事業拡大を見据えた工場取得など、持続的な成長に向けた取り組みを実施しました。

 その結果、価格改定の影響で伸び悩んだ商品群があったものの、「ラングレイス」を発売したビスケット品目に加え、グミ商品を含むキャンデー品目や「アルフォートミニチョコレート」シリーズを展開するチョコレート品目などが順調に推移したことから、売上高は前期を上回りました。利益面では、各種調達価格が高止まりする中、生産性の向上やコストの削減、経費の効率的な使用を進め適正利益の確保に取り組んだことから、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも前期を大きく上回りました。

 

(営業品目別の概況)

 菓子の合計売上高は、108,956百万円(対前期比109.6%)となりました。

 菓子では、ビスケット品目を中心として、豆菓子、キャンデー、デザート、米菓、スナック、チョコレートなどの品目を展開しています。

 ビスケット品目は、ラングドシャ生地を折り重ねチョコクリームで包んだ「ラングレイス」を発売し大変ご好評をいただきました。また、鹿児島県産のブランドバナナや各地域の特産苺を使用した商品など、季節ごとに様々なフェア展開を実施し品目の活性化を図りました。「ロアンヌ」シリーズでは、コク豊かに仕立てた生地であんこ風味のクリームをサンドした「和やかロアンヌ」を発売し、新規ユーザーの獲得を図りました。プチシリーズでは積極的な売場展開を実施し、プロモーションとともにさらなる認知向上に取り組みご支持をいただいたことに加え、「大人のプチシリーズ」を展開し、節約志向の中でも既存のプチシリーズにはない新しい価値を訴求する品揃えを図りました。

 チョコレート品目は、「ラングレイス」をより食べやすい形状に仕立てた商品「ひとくちラングレイス」や3種の異なる食感の生地を組み合わせたクランチチョコレート「ザクループ」を発売し、「ひとくちルマンド」シリーズなどとともに食感豊かな商品の品揃え強化を図りました。加えて、「アルフォートミニチョコレート」シリーズでは、季節ならではの限定商品や素材の濃厚な味わいを楽しめる商品展開で品揃えの強化を図るとともに、プロモーションによる活性化を図りました。また、大袋チョコレート「ミニビットアソート」シリーズでも、季節に合わせた商品を発売しシリーズの活性化に努めました。

 キャンデー品目は、「しゃりもにグミ」シリーズでルート限定商品や大学と連携して開発した商品を発売し、品揃えの強化と認知の拡大を図り順調に推移しました。また、「フェットチーネグミ」シリーズは、全国農業協同組合連合会とのコラボレーション商品を発売したことに加え、期間限定商品の発売やプロモーションによるブランド認知拡大を図りました。

 これら品目に加え、豆菓子品目やスナック品目なども順調に推移したことから、菓子全体の売上高は、前期を上回りました。

 

 飲料・食品・冷菓・その他の合計売上高は、4,518百万円(対前期比106.1%)となりました。

 飲料品目は、「牛乳でおいしくこだわりココア缶180」の発売に加え、当社のロングセラー商品「ルマンド」の味わいをイメージした「ルマンドココアドリンク缶180」を発売し、品揃えの強化を図りました。さらには、パッケージにキャラクターをデザインしたミネラルウォーター商品が順調に推移しました。

 食品品目は、チルド商品の「かんたんクッキング」シリーズの拡販に努めたほか、相次ぐ災害の発生による防災意識の高まりから、「缶入クラッカー」などの保存缶商品の需要が高まりました。機能性食品群では、栄養素をバランスよく配合したバータイプ商品「MITASE」シリーズをリニューアルしたほか、「スローバー」シリーズに、2種のチーズを使用した「スローバーベイクドチーズケーキ」を発売し品揃えの強化を図りました。

 冷菓品目は、地元のわさび園の本わさびを粉末にして使用したカップアイス「わさびアイス」を発売したほか、既存の「ルマンドアイス」などで期間限定商品を発売し、認知の拡大を図りました。また、九州地区先行でパウチタイプのアイス「ルマンドムース」を発売するなど品揃えの強化を図りました。

 その他、通信販売事業は、季節や催事に合わせた企画商品やECチャネル限定商品の取り扱いを進めました。また、全国的な米需要の高まりから、取り扱う新潟県産の白米にご支持をいただきました。

 自動販売機事業は、既存販売機の設置場所の変更や商品レイアウトの変更を継続的に行い、1台当たりの収益性改善に取り組みました。また、新規開拓に努め売上の底上げを図りました。

 酒類販売事業は、ナショナルブランド商品で、国産原料を使用したエチゴビール30周年記念醸造商品「オールニッポンこしひかりエール」や、季節に応じた期間限定醸造商品を展開しご支持をいただきました。また、輸出商品が堅調に推移しました。

 飲料・食品・冷菓・その他全体の売上高は、前期を上回りました。

 

 以上の営業活動により業績の向上に努めてまいりました結果、当連結会計年度の売上高は113,475百万円(対前期比109.4%)、営業利益は7,470百万円(対前期比196.1%)、経常利益は7,585百万円(対前期比177.1%)、親会社株主に帰属する当期純利益は5,566百万円(対前期比181.2%)となりました。

 

②財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は46,294百万円となり、前連結会計年度末に比べ815百万円増加となりました。これは主に、原料高騰による原材料及び貯蔵品の増加があったことによるものです。固定資産は49,545百万円となり、前連結会計年度末に比べ790百万円増加となりました。これは主に、エチゴビール株式会社の那須工場に関する有形固定資産の取得があったことによるものです。

 この結果、総資産は95,839百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,605百万円増加となりました。

 

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は25,884百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,078百万円減少となりました。これは主に、短期借入金と未払金の減少があったことによるものです。固定負債は8,462百万円となり、前連結会計年度末に比べ374百万円減少となりました。これは主に、退職給付に係る負債の減少があったことによるものです。

 この結果、負債合計は34,347百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,452百万円減少となりました。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は61,492百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,058百万円増加となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上と剰余金の配当があったことによるものです。

 この結果、自己資本比率は64.2%(前連結会計年度末59.9%)となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は17,391百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,183百万円減少となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は6,527百万円(前期9,811百万円の収入、対前期比66.5%)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益7,680百万円および減価償却費5,286百万円と棚卸資産の増加額3,014百万円および法人税等の支払額1,461百万円があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は6,475百万円(前期5,295百万円の支出、対前期比122.3%)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出6,821百万円があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は2,227百万円(前期1,181百万円の支出、対前期比188.5%)となりました。これは主に、短期借入金の純減額1,500百万円および配当金の支払額768百万円があったことによるものです。

 

④生産、受注及び販売の実績

当社グループの事業は、食品製造企業として同一セグメントに属する、ビスケット類、米菓類等の菓子および飲料食品等の食料品の製造・販売ならびにこれらの付随業務であり、単一セグメントであるため、生産、受注および販売の実績につきましては、区分別に記載しております。

a.生産実績

区分別

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

対前期比(%)

菓子(百万円)

126,585

104.2

飲料・食品・冷菓・その他(百万円)

4,231

116.9

合計(百万円)

130,816

104.6

(注)金額は販売価格によっております。

 

b.受注実績

当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

c.販売実績

区分別

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

対前期比(%)

菓子(百万円)

108,956

109.6

飲料・食品・冷菓・その他(百万円)

4,518

106.1

合計(百万円)

113,475

109.4

(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

三菱食品株式会社

15,307

14.8

16,167

14.2

コンフェックス株式会社

12,883

12.4

14,441

12.7

株式会社高山

10,789

10.4

12,289

10.8

株式会社山星屋

10,848

10.5

10,771

9.5

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態及び経営成績の状況

 当社グループでは連結ROEを重要指標と捉えており、中長期的に10.0%を目標にしております。

当期の連結ROEは9.4%であり、今後も財務制策など経営の諸施策を推進し、連結ROEおよびROICの向上に努めてまいります。なお、当社の持続的成長に向けた資金需要に対し、機動的かつ安定的な資金調達手段を確保するためにコミットメントライン設定契約を締結し、財務基盤の強化に継続して取り組んでおります。

 また、「心と体の健康づくり」をテーマに、食を通じた健康づくりの提供のほか、文化・芸術活動やスポーツ、次世代育成の支援活動にも取り組んでまいります。さらに、社会的にニーズが高まっている「健康」というテーマを新しいビジネス・飛躍へのチャンスとして、持続可能な将来社会をデザインしていく健康増進総合支援企業として社会への貢献を目指してまいります。

 当連結会計年度の売上高は113,475百万円、対前期比9,757百万円の増加となりました。なお、売上高の詳細につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 売上総利益は29,125百万円、対前期比4,645百万円の増加となりました。これは主に、売上高が前期を上回ったことや、各種調達価格が高止まりする中、生産性の向上やコストの削減、経費の効率的な使用を進め適正利益の確保に取り組んだことによるものです。

 営業利益は7,470百万円、対前期比3,660百万円の増加となりました。これは主に、売上総利益の増加によるものです。

 経常利益は7,585百万円、対前期比3,302百万円の増加となりました。これは主に、営業利益の増加によるものです。

 税金等調整前当期純利益は7,680百万円、対前期比3,376百万円の増加となりました。これは主に、経常利益の増加によるものです。

 親会社株主に帰属する当期純利益は5,566百万円、対前期比2,494百万円の増加となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益と法人税、住民税及び事業税の増加によるものです。

 

b.経営成績に重要な影響を与える要因

 菓子・飲料・食品業界は、原材料調達価格ならびに各種価格の高止まりへの対応に加え、生活消費財の価格が上昇する中で、消費者の買い控えや節約志向への対応が求められました。

 このような状況下で当社は、グループ全体で食品製造企業として一貫して品質保証第一主義に徹し、安全で安心な実質価値の高い商品の安定した供給と消費者ニーズに対応したサービスの提供など、顧客満足度の向上を目指した活動を推進しました。具体的には、消費者の慎重な消費行動が継続する中で、おいしさと付加価値が調和した商品の開発を進めるとともに、各品目での品揃え強化とプロモーションによる活性化を図り、求められる価値の実現に機敏かつ柔軟に取り組みました。加えて、企画提案型の営業活動と店頭フォローを積極的に行い、お客様の笑顔と満足につながる活動を推進いたしました。

 また、創立100周年にあわせた企業価値向上を目指した活動や、酒類等の事業拡大を見据えた工場取得など、持続的な成長に向けた取り組みを実施しました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。また、運転資金および設備資金につきましては、内部資金または借入および社債により資金調達することとしております。

 なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは、以下のとおりであります。

キャッシュ・フロー指標のトレンド

 

第145期

2021年3月

第146期

2022年3月

第147期

2023年3月

第148期

2024年3月

第149期

2025年3月

自己資本比率(%)

64.1

63.4

61.1

59.9

64.2

時価ベースの自己資本比率(%)

67.1

64.9

58.6

61.0

64.0

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

0.1

0.0

2.4

0.5

0.5

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

1,554.0

1,669.7

249.0

703.3

234.6

自己資本比率           :自己資本 ÷ 総資産

時価ベースの自己資本比率     :株式時価総額 ÷ 総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債 ÷ キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ :キャッシュ・フロー ÷ 利払い

(注)1.各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

2.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

3.有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

4.キャッシュ・フローおよび利払いは連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業活動によるキャッシュ・フロー」および「利息の支払額」を使用しております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

5【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

(1) 研究開発の目的

当社グループは「安全・安心・安定および健康」をお客様にお届けすることを目指し「品質保証第一主義」に徹した活動を行っております。新しい時代のニーズや少子高齢化への対応、生活習慣病予防のための商品開発、新素材開発の研究、おいしさと楽しさの追求、消費者ニーズや流通からの要請への迅速な対応、独創機械開発、新カテゴリーの創造、エリアの拡大、新チャネルの流通開拓を目的としております。

 

(2) 研究開発の課題と成果

・研究分野

先端研究所では、健康増進総合支援企業を目指し、「食の健康科学」「再生医療」「IoT推進・AI活用」に焦点を当てた先端研究と事業開発を進めております。

食の健康科学の研究については、順天堂大学に共同研究講座「先進老化制御学講座」を設置し、ボイセンベリーのヒトに対する有効性検証に取り組み、「健常成人のボイセンベリー果汁摂取による褐色脂肪細胞活性化に関する予備的研究」と題する論文発表を行いました。また、スポーツにおける炭水化物摂取による運動パフォーマンスへの影響について研究をしております。武蔵丘短期大学との共同研究により、ゴルフラウンド中における高炭水化物グミの摂取が血糖値を維持し、エネルギー不足の抑制や疲労予防につながる可能性があることを明らかにして学術論文発表を行いました。

再生医療領域の研究については、信州大学医学部との共同研究を継続しており、糖による細胞の増殖制御を応用した細胞培養用の研究試薬「Xyltech™」シリーズの開発を進め、新製品としてヒト間葉系幹細胞用のアニマルフリー培養液をグループ会社にて2024年4月に販売開始しました。さらに同シリーズを応用したアプリケーション開発や新たな試薬開発に向けた基礎研究に取り組みました。

IoT推進・AI活用研究については、工場の製造現場における品質と生産性の向上を目的として、オープンソースソフトウエアを用いた自社製のプログラムとシングルボードコンピュータを活用し、多様な製造現場に柔軟に対応するシステムの研究開発に取り組んでおります。製造設備の状態や検査機器からの測定データを収集し、その結果の可視化と設備の自動制御に取り組みました。また、プログラミング言語を用いて社内製のツールの開発に取り組み、これら研究開発で得た技術と知見を基に社内勉強会を実施し業務改善やビッグデータ分析による新規利益機会の発見に取り組みました。加えて生成AIと対話できるチャットシステムの構築と、その利用についての社内規程の制定に取り組みました。

 

・新製品開発分野

製品開発部では「品質保証第一主義」を掲げ、“食”に対する安全・安心・安定を基に、お客様の健康と環境に配慮した商品設計を行うよう開発を進めております。社会環境やライフスタイルの変化に伴い、多様化するお客様のニーズにいち早く対応し、市場から求められる実質価値観の高い製品の開発に取り組みました。

独自の製造技術開発としては、手作り要素をプラスしたクラフト製法を開発し、新潟駅のコンセプトショップ「Un BOURBON(アン・ブルボン)」にて「クラフトルマンドクリスプ」と「クラフトルマンドショコラ」を発売しました。

独自の焙焼方法を開発しカリカリの食感に仕上げた「コメノチップス」、新成型技術により可食物とチョコレートを食べやすいひとくちタイプに仕上げたクランチチョコ「ザクループ」を発売しました。また、サクサクでくちどけの良い高アルファー化パスタスナックを開発し、ポップコーンやプレッツェル等と組み合わせたミックス菓子を発売しました。

配合・組み合わせ技術として、高齢者に向けて焼菓子に和風あんこ味クリームを組み合わせた「和やかロアンヌ」、限定ショップでの販売として、グミとチョコレートを組み合わせた「フェットチーネグミ濃厚グレープザショコラ」、生クリームを使用してしっとり感を高めた「生濃厚チョコブラウニー」を開発しました。

素材開発の研究では、包装形態としてアフターユースにも使える小箱形態を開発し「プチ幸せひきだす」として発売しました。原料素材の開発として地域のこだわり素材の活用に取り組み、長崎県五島列島産の安納芋、塩、あおさを使った商品や、鹿児島県産の神バナナを使用した商品の開発、また、新潟県産の本わさび、枝豆を使用した地域限定商品を開発しました。

機械化製造技術としては、新規チョコレートプラントの導入により「ミニビットアソート」の品質と生産性の向上を図りました。また、ビスケットではラングドシャ生地をルマンド成型技術により量産化した「ラングレイス」を開発しました。

 

新分野への取り組みとしては、飲料分野へのお菓子を利用したドリンクの展開を図り、ルマンド生地を使用した「ルマンドココアドリンク缶」を開発しました。

健康食品の研究開発では、美肌効果が確認されたイヌリンを使用した「肌サポココア」、低糖質菓子カーボバランスシリーズの用途拡大として「ちょこっとカーボバランス」を開発しました。

 

・その他

設備開発管理部では、新製品のための新しい機械及び装置の研究・開発とその軌道化、基幹設備更新時の新しい機構・機能の導入研究および機械開発とその軌道化、品質向上のための設備の根本的な見直しと研究・検証活動や設備改善、安全・安心のための各種検査装置等の開発および導入検証、省人化・収益性改善のための設備開発などに取り組みました。

マーケティング部では、営業活動を最適化・効率化できるツールや手法の構築、営業管理手法や作業効率の改善などを担う守りのDXからお客様インサイト・ニーズを解析し、データに基づく販売戦略・ブランド戦略・商品化戦略を立案する攻めのDXまでを実践しております。

チャネル営業部では、当社の新しい成長軸の開発・軌道化を目的に、新しい小売事業開発に取り組んでおります。その一環として、JR新潟駅の商業施設「CoCoLo新潟」にオープンしたコンセプトショップ

「Un BOURBON(アン・ブルボン)」は、クラフトならではの特別な商品を楽しめると様々なメディアや著名人に取り上げて頂き、多くのお客様にご来店頂いております。特に一番人気の「クラフトルマンドクリスプOp.001シュガーバター」は、新潟のお土産としてご好評を頂いております。また、複合食品自動販売機「プチモール」の設置活動に併せて、お土産商材に特化したお土産自動販売機、当社の代表商品のデザインを施したラッピング自動販売機等の販路拡大に努めました。加えて、環境対策機能やエンターテイメント性など付帯機能を付けた自動販売機の実現に向け、継続的に試作検証を行っております。通信販売事業では、経済産業省が所管する「割賦販売法(後払い分野)に基づく監督の基本指針」において、同法に規定するセキュリティ対策義務の「実務上の指針」として位置づけられたクレジットカード不正利用の対策として、EMV3-Dセキュア(カード決済時に本人認証を行うサービス)の導入を進め、運用を開始しました。

 

以上の結果、当連結会計年度の研究開発費は1,248百万円(対前期比106.7%)となりました。

 

(3) 研究開発の体制

当社グループでは、以下の部署において取り組んでおります。

 

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