第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営の基本方針

 当社グループは、経営理念であります「喜びを創り喜びを提供する」を経営の基本方針に、これをすべての事業活動の指針として、地域社会に貢献する企業集団として事業活動を行っております。今後もこの基本方針のもと「全国各地のお菓子のオリジナルブランドとショップブランドの総合プロデューサー」として、蓄積した豊富な技術、ノウハウをもって、より一層お客様に喜ばれる商品創りとサービスの提供に精進し、当社グループの成長・拡大を目指してまいります。

 同時に、当社グループは、企業活動を支えるすべての利害関係者(ステークホルダー)の信頼と期待にお応えできるよう経営努力を続けてまいります。

 当社グループの経営理念は、次のとおりです。

 

経営理念

○経営理念 「喜びを創り喜びを提供する」

 この経営理念は、創業者であります河越庄市をはじめ、諸先輩方が幾多の試練を乗り越えてこられた中、生まれました。利潤の追求のみが企業の目的ではなく、会社が未来永劫発展し続けるためには、常に「人様に喜んでいただく」ことを最優先に考え、お客様に喜んでいただける商品を創り、お客様に喜ばれるサービスを提供し続け、地域社会への貢献、共存・共栄こそが、会社の存在意義であり、当社グループに与えられた使命であります。

 

○社是 「感謝と報恩」「創意と工夫」「本氣と誠実」

 

○経営信条

1.私達は、お客様に喜ばれることを自らの喜びとする。

1.私達は、夢を語り合い、ナンバーワンをめざし、日々チャレンヂする。

1.私達は、プロとしての自覚と真の勇氣を持ち、感動をもたらす。

1.私達は、高い目標を掲げ、執念を燃やし、必ず突破する。

1.私達は、更なる高い価値の創造により、物心両面の豊かさを実現する。

 

○基本ポリシー 「熱狂的ファンづくり」

 当社グループは、経営理念の具現化に向け、ひとつのお菓子、ひとりのお客様への接客で、一生お付き合いができる熱狂的なファンを今日一人創ることに全従業員が徹する『熱狂的ファン創り』を基本ポリシーに、実践していくことをモットーにしております。

 

○経営理念手帳「こづち」について

 経営理念を全従業員が理解を深め、共有化を図る目的で、経営哲学(フィロソフィー)100ヶ条を創り、明文化した経営理念手帳「こづち」を作成し、全従業員への周知徹底と経営理念の浸透に努めております。

 経営理念手帳「こづち」は、各職場単位で行う朝礼や研修、勉強会などで活用し、また、実践成果を全従業員が共有し、さらなる大きな成果を生み出していくことを目的に「こづち発表全国大会」を年1回開催しております。グループ各社から予選を勝ち抜いた代表者が経営理念の実践の成果を発表する当該イベントは、当社グループの最重要イベントに位置付けております。

 

○「寿スピリッツ」社名の由来及びシンボルマークについて

 「寿スピリッツ」とは、当社グループの積極果敢で熱い精神を引き継ぎ、これからの時代を全力で切り拓き、より大きな喜びを創造していく会社へ、そのような念いで2006年10月、純粋持株会社体制化を契機に制定されました。

 シンボルマークには、社員一人ひとりの気持ちが重なって、“輪”になるという意味が込められております。

 

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(2)目標とする経営指標

 当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上の実現に向け、収益性の改善に注力しており、「売上高経常利益率」30%以上の達成を目標指標に掲げ、ブランド価値の向上及び生産効率及び販売効率の改善などに注力いたしました。その結果、当連結会計年度の売上総利益率は、価格改定効果があった一方で、原材料価格の上昇や新工場の設置及び工場閉鎖に伴う初期段階の生産効率の低下などにより、対前期比0.3ポイント減少の61.9%となりました。また、販売管理費比率は、売上伸長による増収効果が給与水準の引き上げによる人件費の増加などを概ね吸収したことで、対前期比0.1ポイント増加の37.6%となりました。これらの要因により売上高経常利益率は24.4%となりました。

 引き続き、ブランド価値の向上に拘り、売上高の増大、生産効率及び販売効率の改善などに対処し、更なる収益性の向上に努めてまいります。

 

(3)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略

 当社グループを取り巻く経営環境は、少子高齢化や人口減少が進む中、限られた市場規模のもとで、業種・業態を超えた販売競争が一段と激化してくるものと予想されます。また、お客様の消費行動や価値観の多様化が進む中、商品・サービスに対するお客様の選別の目は厳しさを増してきております。特に近年ではブランド志向・本物志向の傾向が一層強まっております。こうした変化にすばやく対応し、お客様の要望に対応できる商品・サービスの企画力の有無が当社グループの将来を左右するものと考えております。

 このような経営環境の中、当社グループは、お菓子の総合プロデューサーとして「高い価値の創造」をテーマに、美味しさと品質に徹底的に拘り、「地域性」と「専門店性」を追求した独創性のあるショップブランド及び商品ブランドの創造と育成により、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。

 また、地域ごとのマーケット特性にマッチしたお土産、パーソナルギフトから自家用まで、多用途なギフト需要に多数のプレミアム・ギフトスイーツのブランドポートフォリオで適応する独自のビジネスモデルの構築に注力してまいります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 今後の見通しにつきましては、引き続きインバウンド消費の増大や所得環境の改善を背景に、景気は緩やかな持ち直し基調が期待される一方で、原材料価格の高騰や継続した物価上昇による消費者の節約志向の高まりが懸念さ れるなど、先行き不透明感が増すものと見込まれます。

 このような状況のもと、当社グループは、2025年経営スローガンを「マッハで実践!実践!実践!」とし、「高 い価値の創造」に向けて全従業員が超現場力を発揮し、「寿スピリッツ流PDCAサイクル」をマッハで実践して まいります。

 販売面では、更なる売上成長に向けて、主力商品対策及び新商品開発の推進、インバウンド対策の強化、好立地 に拘った出店展開などのValue Up対策を推進してまいります。

 製造面では、食品の安心・安全を最優先に考え、引き続き食品安全マネジメントシステムの継続的な改善を図り、お客様に安心・感動していただける高品質な商品の提供に努めてまいります。

 なお、当社グループは、持続的な成長を目指すべく、今後5カ年の目指すべき経営目標「Value Up Vison2030」を以下のとおり策定いたしました。

 

Value Up Vison2030(中長期経営目標)

 

●Vison(目指すべき方向性)

全国各地のプレミアムギフトスイーツブランドを創造する

「お菓子の総合プロデューサー」

 当社グループは、「お菓子の総合プロデューサー」として、「高い価値の創造」をテーマに、美味しさと地域性を追求した「プレミアムギフトスイーツ」の創造と育成を推進し、地域社会への貢献・共存・共栄を図り、社会から信頼され必要とされる企業集団を目指してまいります。

 

●成長テーマ

経営理念をベースとした「全員参画による超現場主義経営」の更なる推進

 当社グループは、経営理念を拠り所に、従業員一人ひとりが当事者意識をもって経営に参画する「全員参画による超現場主義経営」の実践により、活力ある魅力あふれる企業集団を創り、中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。

 

(重点対策)    ・商品力、売場力、販売力のValue Up

・インバウンド対策のValue Up

・人財力のValue Up

 

●目標指標      ・経常利益率    30%(2030年3月期)

・経常利益   350億円(2030年3月期)

・5カ年の平均売上成長率 10%

・ROE30%以上

 

●キャッシュ・アロケーション方針

(2026年3月期から2030年3月期の5年間)

 当社グループは、中長期的な企業価値の向上を目指し、創出するキャッシュを成長投資及び株主還元に投入し、更なる収益性の向上を図り、高ROE経営を推進してまいります。

 

営業キャッシュ・フローの創出

 930億円程度

①成長投資

30%~40%程度

工場投資(維持・更新含む)、出店投資、M&A等による新たな成長投資

②株主還元

50%~60%程度

総還元性向50%以上を意識し、利益成長に応じた増配と機動的な自己株式取得を実施

③手元預金

売上高の30%程度を目安に手元流動性を確保

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティに関する考え方及び取り組みについて

 当社グループは、経営理念「喜びを創り喜びを提供する」を経営の根幹として、当社グループがさまざまな事業活動を推進していくうえで、社会や環境問題をはじめとするサステナビリティをめぐる問題は、中長期的な企業価値の向上を図るうえで極めて重要な経営課題であると認識しております。

 そのような認識のもと、当社グループは、「地域社会との密接な連携と協調を図り、地域社会の発展に貢献すること」、「地球から、事業活動に必要な資源などさまざまな恩恵を受けており、地球環境をより良い状態に保全していくことが、自らの存在と活動に必須の要件であることを自覚し、自主的、積極的に行動すること」などを「寿スピリッツグループ倫理綱領」に定め、サステナビリティを巡る課題に適切に対応を図ることを基本方針に取り組んでおります。

 当社グループでは、2024年6月に6つの重要項目(マテリアリティ)を特定し、同年11月には初めての統合報告書を発行するなど、サステナビリティに関する取り組みを推進しております。

 詳細は、統合報告書2024を参照ください。

(URL)https://www.kotobukispirits.co.jp/img/ir/integrated_report_2024.pdf

 

 寿スピリッツグループ マテリアリティ

マテリアリティ

取り組みテーマ

持続可能な環境型社会への貢献

温室効果ガスの排出削減

食品ロスの削減

安心安全な製品の提供

食品安全マネジメントシステムの運用遵守

多様性を尊重した人財の採用と育成

多様な人財の活躍支援

健康経営を実現する働き方改革

“共育”という独自の人財育成の推進

理念共感型採用の実践

持続可能なサプライチェーンの構築

安定的な原料調達と物流の効率化

地域社会との共存共栄

子どもの学びの機会の提供

社会貢献活動を通じた地域振興

コーポレートガバナンスの強化

透明性の高いガバナンスの構築

リスクマネジメント

①ガバナンス

 当社は、サステナビリティにおける取り組みを推進するため、「サステナビリティ委員会」を設置いたしております。サステナビリティ委員会は代表取締役社長を委員長として、管理担当取締役、グループ管理部門責任者、当社グループ各社より任命された委員で構成され、原則年2回以上開催しております。サステナビリティ委員会における活動内容は定期的に取締役会に付議・報告され、その対応状況について取締役会が監督しております。

 

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委員長:代表取締役社長

構成メンバー:管理担当取締役、グループ管理部門責任者、当社グループ各社より任命された委員

 

②リスク管理

 当社グループでは、事業にかかるリスクを統括するグループ経営管理本部において、全社的なリスクの洗い出しや対応方針を決定し、リスクへの適切な管理・対応を推進いたしております。気候変動に関するリスクは、当該グループ経営管理本部のメンバーを構成員とするサステナビリティ委員会において審議することで、全社的なリスク管理と統合できる体制となっております。

 また、サステナビリティ委員会においてTCFD提言に沿ったシナリオ分析を用いて気候変動に関するリスクの重要性評価を審議し、取締役会に報告し、取締役会が監督しております。

(2)気候変動への対応(TCFD提言に基づく開示)

 当社グループは、2023年6月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明いたしました。気候変動がもたらす事業へのリスクと機会について、分析と対応を一層強化し、関連情報の開示を推進していくとともに、2050年の脱炭素社会実現に貢献する取り組みを進めてまいります。

①戦略

 気候変動によるリスクと機会の特定にあたり、IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)やIEA(International Energy Agency)が公表している情報を基に、当社グループの事業について、1.5℃シナリオ及び4℃シナリオを設定し、2030年及び2050年の影響を分析いたしました。当社グループにおける主な気候変動に関する事業リスク及び機会は、次のとおりであります。

 

(主な事業リスク及び機会)

(※)影響度小(10億円未満)影響度中(10億円〜50億円未満)影響度大(50億円以上)

 

分類

リスク

項目

影響度

(※)

事業への影響

対応策

移行リスク

(1.5℃シナリオで最も顕在化すると想定)

政策・法規制リスク

GHG排出

価格の上昇

炭素税導入により、電気・ガス代等のエネルギーコストが価格転嫁を受け、製造コストが増加。

炭素税導入により、カーボンプライシングに伴う税負担の増加に加え、運送費等が価格転嫁を受け、販売コストが増加。

更なる省エネの実施。新設備導入・更新の際に省エネルギーで生産が可能な設備の選択を推進。各生産拠点における効率的な生産、物流体制を構築。

市場リスク

原材料の

コスト増加

炭素税導入により、原料(チョコレート、乳製品を原料とするクリームやチーズ等)や包装資材が価格転嫁を受け、製造コストが増加。

良品率を高める事により、生産ロス削減に努める。原料供給会社との連携強化による調達コストの上昇を抑制。

顧客行動の変化

消費者の環境意識の高まりにより、環境に配慮した包材への関心が高まる。消費者ニーズに対応するために、環境に配慮した包材への移行による製造コストが増加。

地球環境を配慮した包装資材(FSC認証紙・バイオマスプラスチック等)の採用を推進。食品残さの堆肥化、肥料化等のリサイクルを進める。

物理リスク

(4℃シナリオで最も顕在化すると想定)

急性リスク

サイクロンや洪水などの異常気象の重大性と頻度の上昇

豪雨、台風、洪水等による交通インフラへの影響が生じる場合、移動に伴う土産需要が減少。

豪雨、台風、洪水等により生産拠点へ物理的被害が生じる場合、物流網が寸断される場合など、損失や対応コストが発生。

自家需要商品の開発・販売を強化。全国の地域ごとのブランドで多様な販売チャネルを構築させる。ECを活用したギフト商品の販売を強化。

生産・物流拠点の分散化、最適化を推進。BCPの整備・活用。

慢性リスク

平均気温の上昇・最高気温の上昇

平均気温の上昇による主力原料の収穫量・生産量の減少につながる。

・チョコレートの原料であるカカオの収穫量が低下。

・乳牛の乳量の低下

・鶏卵の卵重量の低下

生産量の減少による収益の減少や原料の仕入価格への影響を及ぼす可能性がある。

複数原料供給会社からの原料調達を行う。不足が見込まれる原料については異なる産地からの調達、代替原料による商品製造の開発を進める。

機会

市場

平均気温の上昇・最高気温の上昇

平均気温・最高気温の上昇により、冷凍ギフト(氷菓、アイス、冷凍ケーキ等)の需要の増加を見込む。

冷凍ギフトに対応した商品開発を行う。長時間持ち運び可能な包装資材の導入検討を行う。

 

②指標及び目標

 当社グループは、気候変動を緩和するため、2030年に国内グループ製造拠点のCO2排出量(Scope1+2)を2020年3月期(11,115t)比30%削減、2050年にCO2などの温室効果ガス排出量実質ゼロを目指してまいります。

 

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(3)人的資本(人財の多様性を含む。)に関する戦略並びに指標及び目標に関する事項

①人財育成方針及び社内環境整備方針

 当社グループは、全ての従業員が顧客をはじめ、職場のメンバーやステークホルダーへの「熱狂的ファン創り」を基本ポリシーに、従業員一人ひとりが当事者意識を持って経営に参画する「全員参画経営」の徹底実践を目指しております。そのために、経営理念の浸透、戦略的な人事の展開、加えて人財育成強化に向けたキャリア設定と研修、女性の活躍推進等人財の多様性の推進、マネジメントの意識改革等に取り組んでいます。

 そのほか、当社グループでは多様性の推進の一環として男性の育児休業取得を推進し、働きやすい環境を整えていく方針であります。また、定年後継続雇用制度の見直しを通じて、60歳以上のシニア人財が一層活躍できる環境を整備推進いたしております。

 

②人財の多様性の確保について

イ 多様性の確保についての考え方

 当社グループは、多様な視点を有する人財の確保と活躍等、働き方や雇用におけるダイバーシティの推進は、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上へは欠かせない最重要課題の一つと認識しております。

 多様性の確保に向けた施策として、以下の取り組みを推進いたしております。

 ・女性の活躍推進に向けた管理職登用

 ・中途採用によるプロフェッショナル人財や外国人の採用

 ・働き方改革と健康経営の推進

 ・人財育成の強化

 ・多様性に係るマネジメントの意識改革

 

ロ 多様性の確保の自主的かつ測定可能な目標

・女性の管理職への登用

 2025年3月末時点での管理職に占める女性労働者の割合は、10.7%ですが、当社グループの事業内容から女性ならではの視点を経営に活かすことは大変有用であると判断しており、今後とも中途採用を含め能力ある女性を積極的に管理職に登用し、女性管理職比率30%を目標に取り組んでまいります。

 

・中途採用の管理職への登用

 当社グループは、事業拡大に併せて、商品開発、生産技術、WEBマーケティング、IT、海外事業部門等に係るプロフェッショナル人財を積極的に採用しており、2025年3月末時点での中途採用者の管理職比率は、63.6%となっております。今後は、新卒採用者の人財育成強化による管理職登用にも一層注力するとともに、事業推進に応じて必要な中途採用による管理職の登用を含めバランス良く対応してまいります。

 

・外国人の管理職への登用

 海外事業の推進拡大と国内インバウンド事業等に対応し、戦略的な必要性等を考慮のうえ、適宜、外国人の採用と管理職への登用を進めてまいります。

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日において、当社グループが判断したものであります。

(1)異常気象、大規模災害等による消費動向の急激な変動について

 当社グループの主力事業は、菓子類を主とした嗜好品を取り扱っており、用途等の性質上、季節変動があり、気象変動の影響を受ける傾向があります。当社グループでは、天候予測を注視しながら、経営成績に与える影響を最小限に抑えるよう対策を講じておりますが、想定をはるかに超え、消費動向に急激な変動を及ぼす猛暑・暖冬などの異常気象や大規模災害、また、新型インフルエンザなどの感染症災害が発生した場合には、国内・インバウンド双方の需要の減少を通じて、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(新型コロナウイルスなど、感染拡大によるリスク)

 当社グループでは新型コロナウイルスなど重大な感染症が発生・蔓延した場合、外出自粛に伴う移動の減少や出店施設の臨時休業など、国内・インバウンド双方の需要の減少を通じて、様々な活動の自粛により消費活動が急激に縮小し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループの従業員に新型インフルエンザやノロウイルス等の感染が拡大した場合、一時的に操業及び営業を停止するなど、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループではこれらのリスクに対応するため、感染防止に向けた対策を講じております。

 

(2)自然災害

 当社グループの事業地域であります日本国内は、頻度や程度を予測することが難しい地震、台風、豪雨、噴火といった自然災害の影響を受けやすい環境にあり、万一発生した場合に備え、必要と考えられる設備の定期点検や火災保険などを付保しております。また、事業戦略上、生産拠点及び販売拠点は国内各地に分散化しており、特定地区への生産集中及び売上依存は回避されております。

 しかしながら、大規模な自然災害の発生によりこれらの事業拠点が甚大な被害により、長期間稼働不能の状態に陥るなど生産活動または販売活動に大きな支障をきたす場合や、一部の商品を除き基本的には一商品一工場の生産体制であるため、販売できなくなる商品が発生した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)食品の安全性について

 消費者の食品の安全性に対する関心が非常に高まっています。また、菓子・食品業界におきましては、食品表示偽装、原材料や製品の消費期限・賞味期限の管理の問題など、食品の品質・安全性に係る問題が発生しております。

 当社グループでは、食品の品質・安全性の確保は経営上の最重要課題であるとの認識の下、「食品衛生法」、「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(通称、JAS法)」、「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」など各種法令の遵守、対応マニュアルの整備、適正表示の徹底、異常が発生した場合に原因をトレースできる体制の構築など品質管理体制の強化に取り組んでおりますが、原材料や製造工程に想定外の問題が発生した場合や、当社グループのみでは回避できない社会・業界全般にわたる品質・衛生的な問題などが発生した場合には、当社グループの社会的信用の失墜及びブランド価値の毀損を招き、また、損害賠償金の支払い等によって、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)法的規制について

 当社グループは事業活動を遂行するにあたり、食品衛生法、JAS法、食品表示法、景品表示法、不正競争防止法、製造物責任法など、様々な法的規制を受けており、主に下表の許認可を受けております。当社グループはこれらの許認可を受けるための諸条件及び法令の遵守に努めており、現時点において当該許認可が取消しとなる事由は発生しておりません。しかし、法令違反等によりこれらの許認可が取消された場合または業務の停止命令を受けた場合には、当社グループの社会的信用の失墜及びブランド価値の毀損を招き、また、損害賠償金の支払い等によって、当社グループの事業継続及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 また、今後において規制の強化または新たな規制の導入により、事業活動が制約され、各業務の遅滞が発生した場合等には、当社グループの事業継続及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

許可の種類

有効期限

関連する法令

取消等となる事項

菓子製造業

5年

食品衛生法

第55条および第56条に違反した場合

食品の冷凍または冷蔵業

飲食店営業

アイスクリーム類製造業

喫茶店営業

乳類販売業

 

(健康食品事業の法的規制について)

 当社グループは、新規事業として2012年10月より健康食品事業を営んでおりますが、当該事業において食品衛生法、JAS法、食品表示法、薬事法、健康増進法など様々な法的規制を受けております。当社グループは、当該法的規制の遵守を徹底しておりますが、万が一これらに抵触し、行政処分の対象となった場合の社会的信用力の失墜や法律が改正され、規制が強化された場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)原材料の調達及び価格高騰

 製菓原材料は主に小麦粉、小豆、砂糖、油脂など多くの農産物を使用しており、産地の天候不順や自然災害の影響、世界的な需給状況の変化により価格の高騰や安定的な調達が困難になる可能性があり、輸入原料の場合には、為替変動によっても仕入価格が変動する可能性があります。また、原油価格の高騰により重油等の燃料や石油製品である包装資材、容器類の価格が上昇する可能性があります。

 当社グループでは、安定的な調達を実現するため、迅速な情報収集や調達先の多様化、事前の価格交渉によるリスク分散など様々な対応策を進めておりますが、突発的事情により安定的調達ができなくなった場合、また、仕入価格が急激かつ想定を大幅に超えて上昇した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)情報セキュリティについて

 当社グループは、事業活動において、顧客情報及び個人情報や営業上・技術上の機密情報を保有しているほか、様々な情報システムを活用し、サービスの提供や業務を遂行いたしております。社内管理体制については、「情報管理規程」、「個人情報管理規程」、「情報セキュリティ規程」など各種規程を整備し、情報セキュリティ推進体制の整備と従業員に対する教育など、ハード面を含めた一層のセキュリティ強化に取り組んでおります。特に、通信販売においては、多くのお客様の個人情報を保有していることから、個人情報の保護に関する法律(以下「個人情報保護法」という。)を遵守するとともに、厳重な管理に努めております。

 しかしながら、災害・事故、サイバー攻撃等による情報システムの停止、不正アクセス等による情報の消失・漏洩等といった情報セキュリティ事故の発生や個人情報保護法に抵触する事象が発生した場合には、売上の減少、損害賠償の発生や対応費用の発生のみならず、当社グループの社会的信用の失墜及びブランド価値の毀損を招き、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)海外での事業展開

 当社グループは、主にアジア地域において、製品の輸出及び現地法人及びフランチャイズパートナーを通じ、事業活動を展開いたしております。事業展開地域において、予期しない不利な経済的、政治的要因、法的規制などの発生、また、地震などの自然災害、紛争テロの発生、感染症疾病の流行などの事象が発生した場合には、海外での事業活動に支障をきたし、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)固定資産の減損

 当社グループは、事業活動で使用する工場や店舗などにかかる様々な資産を保有しております。経営環境や事業活動の著しい変化による収益性の低下、将来キャッシュ・フローの状況などにより、対象資産に対して減損処理を行った場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は、次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

 当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境は、雇用・所得環境は改善基調が続き、また、インバウンド消費の増大により、総じて緩やかな回復基調で推移いたしました。一方で、物価上昇を背景に消費マインドの冷え込みが見られるなど、依然として先行き不透明な状況が続いております。

 このような状況の中、当社グループは、「超絶マッハ経営!」を経営スローガンに掲げ、美味しさをより一層追求した「プレミアムギフトスイーツ」の創造と育成に注力し、商品力・販売力・売場力・人財力のValue Up対策の推進、インバウンド対策の強化、新ブランドによる新規出店などの重点施策の遂行にスピード感をもって取り組みました。

 また、経営の効率化を図るため、株式会社シュクレイと株式会社九十九島グループの両社間においてサポート部門の統合や製造面では、株式会社シュクレイの富士山静岡工場(2024年8月稼働)の設置を機に株式会社九十九島グループの老朽化した工場の閉鎖や製造ラインの移管を行うなど両社間において生産体制の最適化に取り組みました。

 以上の結果、当連結会計年度の売上高は、72,349百万円(前期比13.0%増)、営業利益は、17,610百万円(前期比11.6%増)、経常利益は、17,686百万円(前期比11.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、12,122百万円(前期比11.9%増)となり、売上面、利益面ともに過去最高値を更新いたしました。

 

 セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。

 

 

区分

売上高

営業利益

前連結

会計年度

(百万円)

当連結

会計年度

(百万円)

増減

(百万円)

前連結

会計年度

(百万円)

当連結

会計年度

(百万円)

増減

(百万円)

シュクレイ

26,455

30,095

3,639

5,843

6,314

470

ケイシイシイ

18,052

21,482

3,429

3,818

5,024

1,205

寿製菓・但馬寿

12,834

14,545

1,711

2,776

3,240

464

販売子会社

6,957

7,227

270

889

946

56

九十九島グループ

6,382

6,363

△19

783

388

△394

その他

743

692

△51

87

55

△31

小計

71,427

80,407

8,980

14,198

15,970

1,771

(調整額)

△7,391

△8,058

△667

1,582

1,640

58

合計

64,035

72,349

8,313

15,780

17,610

1,830

 

 1)シュクレイ

 シュクレイは、インバウンド対策では、注力している国際線ターミナルでの展開として、販売体制の強化や2024年7月に立ち上げました新ブランド「抹茶ちとせ」商品の拡販などに取り組みました。また、直営店や催事出店では、主力商品を軸に季節限定などの新商品を加え、ブランド訴求力の向上などに取り組みました。出退店では、2024年4月にJR新宿駅「イイトルミネ」に新ブランド「ウーフィ」を、また、同月には、そごう横浜店に「東京ミルクチーズ工場」と「ザ・テイラー」を同時出店するなど、計4店の出店及び6店の退店を行いました。その結果、売上高は30,095百万円(前期比13.8%増)、営業利益は6,314百万円(前期比8.1%増)となりました。

 2)ケイシイシイ

 ケイシイシイは、インバウンド対策に注力するとともに、「ルタオ」の更なるブランド価値の向上及び首都圏ブランドの育成に注力し、各店舗において主力商品対策及び新作限定スイーツの販売強化などに取り組みました。新規出店では、2024年4月にJR新宿駅「イイトルミネ」に新ブランド「カナリナ」を出店、同年10月には明治27年に完成した小樽市の指定建造物「旧小樽倉庫」の南部分に「小樽洋菓子舗ルタオ 運河プラザ店」を出店するなど、計4店の出店を行いました。海外展開では、フランチャイズ形態で2024年8月に「ルタオ」ブランドで初めてアメリカに出店いたしました。その結果、売上高は21,482百万円(前期比19.0%増)となり、営業利益は5,024百万円(前期比31.6%増)となりました。

 3)寿製菓・但馬寿

 寿製菓・但馬寿は、販路拡大に向け、沖縄市場での展開強化など主要代理店や販売子会社とのタイアップを密にし、主力商品対策や売場提案、新商品開発などの提案営業を推進いたしました。地元の山陰地区では、「因幡の白うさぎ」などの主力商品の販売強化などに取り組みました。その結果、売上高は14,545百万円(前期比13.3%増)、営業利益は3,240百万円(前期比16.7%増)となりました。

 4)販売子会社

 販売子会社は、交通拠点チャネルを重点に、主力商品及び新商品による売場面積の拡大などに注力いたしました。エリア別では、東海地区は、新ブランド「シェフズコーチン」による新商品「ゴールデンタルト」の発売、関西地区は、新商品「神戸ショコラパフェサンド」の販売強化や2024年8月には京都駅に新ブランド「ノウ」の出店などに取り組みました。福岡地区は、主力ブランド「博多まっかな苺」の販売強化に注力し、2号店を2024年4月、福岡空港国内線に出店いたしました。中国地区では、2025年3月、JR岡山駅に新ブランド「ハレマス岡山」を出店いたしました。その結果、売上高は7,227百万円(前期比3.9%増)、営業利益は946百万円(前期比6.4%増)となりました。

 5)九十九島グループ

 九十九島グループは、2024年9月に主力商品「九十九島せんぺい」初の姉妹品「九十九島せんぺいフィナンシェ」を発売するなど、各ブランドにおいて新商品の発売や積極的な催事出店によりブランド認知度の向上に取り組みました。出店では、2024年6月、JR博多駅に新ブランド「ラメリー」を出店(既存店舗のブランド変更)、また、同年12月には、JR博多駅に新ブランド「コクネコ」を出店いたしました。退店では、2025年1月にアイボリッシュららぽーと海老名店及び立川店を退店いたしました。その結果、売上高は6,363百万円(前期比0.3%減)、営業利益は388百万円(前期比50.3%減)となりました。

 6)その他

 その他は、損害保険代理業、健康食品事業、海外(台湾)における菓子事業が含まれております。売上高は692百万円(前期比6.9%減)となり、営業利益は55百万円(前期比36.3%減)となりました。

 

②財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は、51,980百万円となり前連結会計年度末と比べ5,469百万円増加いたしました。

 主な要因は、現金及び預金の増加(2,391百万円)、有形固定資産の増加(2,055百万円)などによるものです。

(負債)

 負債は、11,894百万円となり前連結会計年度末と比べ607百万円増加いたしました。

 主な要因は、支払手形及び買掛金の増加(464百万円)、未払法人税等の増加(305百万円)などによるものです。

(純資産)

 純資産は、40,085百万円となり前連結会計年度末と比べ4,862百万円増加いたしました。

主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益計上による増加(12,122百万円)、配当金の支払いによる減少(4,356百万円)などによるものです。この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ1.4ポイント増加し77.1%となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ2,391百万円増加し、25,081百万円(前期比10.5%増)となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、13,204百万円(前期比21.8%増)となりました。

 主な要因は、税金等調整前当期純利益が17,641百万円となり、非資金項目であります減価償却費が1,462百万円になったことによる増加要因があった一方、法人税等の支払額が△5,062百万円、棚卸資産の増減額が△650百万円、売上債権の増減額が△386百万円になったことなどによる減少要因によります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、3,438百万円(前期比71.5%増)となりました。

 主な要因は、有形固定資産の取得による支出3,124百万円などの減少要因によります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、7,372百万円(前期比217.4%増)となりました。

 主な要因は、配当金の支払額4,356百万円、自己株式の取得による支出3,011百万円などの減少要因によります。

 

(2)生産、受注及び販売の実績

①生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

  至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

シュクレイ(百万円)

26,114

119.0

ケイシイシイ(百万円)

18,867

119.8

寿製菓・但馬寿(百万円)

16,446

111.7

九十九島グループ(百万円)

6,810

92.9

合計(百万円)

68,238

114.2

(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

②受注実績

当社グループは、基本的に販売計画に基づいた見込生産を行っているため、記載を省略しております。

 

③販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

  至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

シュクレイ(百万円)

30,095

113.8

ケイシイシイ(百万円)

21,482

119.0

寿製菓・但馬寿(百万円)

14,545

113.3

販売子会社(百万円)

7,227

103.9

九十九島グループ(百万円)

6,363

99.7

 報告セグメント計(百万円)

79,715

112.8

その他(百万円)

692

93.1

セグメント間の内部売上高又は振替高(百万円)

△8,058

109.0

合計(百万円)

72,349

113.0

 

(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 

①経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高)

 当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ、8,313百万円増加し、72,349百万円(前期比13.0%増)となりました。これは当期初めて100億円を突破したインバウンド売上高(国際線ターミナル売上高)の伸長及び新規出店等による増加要因によるものであります。

 販売チャネル別で見ますと、国内小売が前期比15.8%増の34,940百万円、国内卸売が前期比13.2%増の29,900百万円とそれぞれ増収となり、また、通信販売は、前期比4.0%増の6,127百万円となりました。海外事業は、前期比10.9%減の1,370百万円となりました。

 なお、各セグメントの売上高の状況は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載しております。

(売上総利益率)

 当連結会計年度の売上総利益率は、前連結会計年度に比べ0.3ポイント減少の61.9%となりました。これは主に、原材料価格の上昇や新工場設置に伴う製造経費の増加などによる減少要因と、価格改定効果などの増加要因によります。

 

(販売費及び一般管理費)

 販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ3,169百万円増加し、27,193百万円(前期比13.2%増)となり、対売上高比率は、前連結会計年度に比べ0.1ポイント増加の37.6%となりました。これは主に、売上高の伸長による増収効果により給与水準の引き上げによる人件費の増加などを概ね吸収したことによるものであります。

(営業利益)

 上記の結果、営業利益は、17,610百万円(前期比11.6%増)となりました。

 なお、セグメント別の営業利益の状況は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載しております。

(経常利益)

 経常利益は、17,686百万円(前期比11.5%増)となりました。これは主に、上記の結果に伴う営業利益によるものであります。

 なお、当社グループは売上高経常利益率を目標指標としており、当該指標の分析等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載しております。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失に、固定資産除却損26百万円及び減損損失20百万円を計上し、また、法人税等を5,518百万円計上したことにより12,122百万円(前期比11.9%増)となりました。

 

②財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度における財政状態の状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載しております。

 

③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、運転資金及び設備資金は、主として自己資金及び金融機関からの借入金により充当いたしております。当連結会計年度末における有利子負債の残高は、前連結会計年度末と同額の300百万円であります。また、現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較して2,391百万円増加の25,081百万円であります。

 また、複数の金融機関と当座貸越極度を設定することで、将来の事業活動のための手元流動性の確保に努めております。

 

④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、資産、負債、収益及び費用の報告に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は、実際の結果と異なる可能性があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用した重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載いたしております。また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載いたしております。

 

5【重要な契約等】

 当連結会計年度において、重要な契約等はありません。

 

6【研究開発活動】

 「喜びを創り喜びを提供する」の経営理念のもと、当社グループの研究開発活動は、市場のニーズを敏感にとらえながら、お客様に満足していただける新製品の開発を基本に、連結子会社寿製菓㈱の研究開発部が中心となって、各関係会社とも密接な連携・協力関係を保ち、取り組んでおります。

 主要テーマとして、全国各地の特産品(農産物、水産物等)を、原料メーカーでは扱っていない製菓原料として加工する技術の研究開発を進めております。また、食品業界における新素材に関する情報や、加工技術、食品保存技術情報について幅広く資料等を収集し、これらの基礎・応用研究を積極的に行い、新製品の開発、既存商品の品質のレベルアップを図っております。

 なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は53百万円であります。

 また、当社グループは「寿製菓・但馬寿」セグメントでのみ研究開発活動を行っており、以下の記載は「寿製菓・但馬寿」セグメントにおける研究開発活動であります。

 当連結会計年度における主な研究開発活動は次のとおりであります。

1.ラングドシャ、サンドクッキー、ガレット、餅菓子等の新商品開発

2.チョコレートタルトの研究開発

3.主力商品の改良改善

4.沖縄市場向けの新商品開発

5.食品廃棄削減に向けた商品の賞味期限延長の検討

6.藍由来ポリフェノールの機能に関する研究

・島根大学生物資源科学部と藍の機能性について共同研究

7.各関係会社との技術情報の共有化