第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主に

帰属する当期純利益

 

百万円

百万円

百万円

百万円

平成28年12月期

541,847

20,267

19,202

9,469

平成27年12月期

533,748

13,950

13,211

6,108

増減率(%)

1.5

45.3

45.3

55.0

 当期の日本経済は、2月のマイナス金利政策も個人消費の回復には繋がらず、中東情勢や英国のEU離脱などの影響を受け、円高が進行しました。その後、米国大統領選挙の結果を受けて円安ドル高が進み、先行きが読めない変化の激しい経済環境となりました。

 当社グループ各社が事業を展開しているそれぞれの業界については、以下のとおりです。

 国内酒類業界では、夏場の天候不順や消費者の節約志向による居酒屋業態の不振が需要を押し下げる要因となりました。海外では、北米のビール市場はおおむね横ばいで推移しましたが、アジアのビール市場は引き続き成長しています。食品・飲料業界では、天候や自然災害の発生等が需要に影響を及ぼしたと考えられます。不動産業界では、首都圏オフィス賃貸市場において空室率が改善するとともに賃料水準も緩やかに上昇しています。

 このような状況の下、当社グループでは、「サッポログループ経営計画2015年-2016年」に基づく成長戦略を加速させ、特徴のある「食のメーカー」として存在感を示すとともに平成28年度の財務目標達成を目指してきました。

 国内酒類事業では、「ビール強化元年」を掲げ、基軸ブランドの強化に注力しました。特にビールの主力ブランド「サッポロ生ビール黒ラベル」では一貫したマーケティング戦略が功を奏し、ビールの総需要が減少する中で2年連続の売上アップを達成しました。ビール類以外の伸長分野では、ワインやスピリッツ類において高付加価値の商品に注力し、多層化を推進しました。

 国際事業では、北米のプレミアムビール市場において、カナダの「スリーマン社」及びアメリカの「サッポロUSA社」が積極的な販売活動を実施しました。アメリカの飲料市場においては、「カントリー ピュア フーズ社」が果汁シャーベット事業を買収し、売上拡大を図りました。ベトナムにおいては、マーケティング投資を継続し、「サッポロ」ブランドの構築を進めています。4月には瓶製品のクオリティアップを実施し、7月には中価格帯の市場に新商品を投入しました。

 食品・飲料事業では、国内において、経営課題とする営業力強化とコスト削減に取り組み、強みであるレモン、スープを中心とした主力ブランドへの投資を集中しました。海外においては、インドネシアで製造・販売を行う合弁会社を設立、ミャンマーではライセンス生産の工場が竣工し、東南アジアを起点とした飲料事業を強化しました。

 外食事業では、国内において、基幹業態の「銀座ライオン」「ヱビスバー」を中心に出店を行う一方、収益力改善に向けて不採算店舗の閉鎖・業態転換を進めました。シンガポールにおいては、引き続き「銀座ライオン」ブランドを世界に発信すべく取組みを進めています。

 不動産事業では、保有する賃貸不動産物件が高稼働率で推移しました。中核施設の「恵比寿ガーデンプレイス」において、街の魅力向上のために飲食エリアなどのバリューアップを推進しました。9月には「発信と交流の拠点」をコンセプトにした複合商業施設「GINZA PLACE(銀座プレイス)」が開業しました。

 以上の結果、当期における当社グループの連結業績は、以下のとおりです。

売上高

 国内酒類事業では、ビール類の売上数量が前期並みとなりましたが、多層化の売上数量が前期を上回った影響などから、増収となりました。一方で、国際事業では、北米やベトナムのビール売上数量が前期を上回り、「カントリー ピュア フーズ社」が買収した果汁シャーベット事業も寄与しましたが、為替の影響を受けて減収となりました。食品・飲料事業では、国内食品・飲料の売上数量が前期を上回り、増収となりました。外食事業では、「マルシンカワムラ社」「銀鱗水産社」が新規連結となり、増収となりました。不動産事業では、9月に開業した「GINZA PLACE(銀座プレイス)」などにより増収となりました。
 以上の結果、連結売上高は5,418億円(前期比80億円、2%増)となりました。

営業利益

 国内酒類事業では、ビール類におけるビールの構成比が上昇し、品種構成が改善した影響や、固定費の減少により、増益となりました。国際事業では、北米における事業が好調に推移したことや、物流費などのコスト削減により増益となりました。食品・飲料事業では、国内食品・飲料の売上高が増加したため、増益となりました。外食事業では、構造改革を進めて増益となりました。不動産事業では、主力物件の賃料収入増加のため、増益となりました。

 以上の結果、連結営業利益は202億円(前期比63億円、45%増)となりました。

経常利益

 連結営業利益の増加により、連結経常利益は192億円(前期比59億円、45%増)となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益

 特別損失に固定資産除却損14億円や、減損損失10億円を計上したこともあり、親会社株主に帰属する当期純利益は94億円(前期比33億円、55%増)となりました。

 

以下、事業セグメント別の概況は記載のとおりです。

 

 

売上高(百万円)

営業利益(百万円)

平成27年

12月期

平成28年

12月期

増減率(%)

平成27年

12月期

平成28年

12月期

増減率(%)

国内酒類事業

273,651

279,476

2.1

8,635

11,745

36.0

国際事業

70,501

65,400

△7.2

154

906

487.8

食品・飲料事業

135,670

137,918

1.7

434

1,314

202.6

外食事業

27,004

28,120

4.1

522

663

27.0

不動産事業

20,872

22,900

9.7

8,281

10,328

24.7

 

[国内酒類事業]

 国内におけるビール類総需要は、RTD(※1)への流出及び業務用市場の落ち込みが大きく、前期比98%弱になったと推定しています。

 このような中で、国内酒類事業は、経営ビジョンとして「オンリーワンを積み重ね、No.1へ」を掲げ、当社グループならではの価値の提供を積み重ねるとともに、当期を「ビール強化元年」と位置付け、ビールに積極的な投資をすることで、さらなる成長を目指しました。

 ビールでは、「サッポロ生ビール黒ラベル」「ヱビスビール」の缶製品が好調で、ビール合計の売上数量は前期比104%となり、2年連続で前期を上回りました。発泡酒では、「極ZERO(ゴクゼロ)」の売上数量が前期を下回りましたが、新ジャンルでは、「麦とホップ The gold」が好調を維持しており、ビール類合計の売上数量は前期比99%となり、総需要を上回りました。

 RTDでは、高付加価値のコラボ商品である「サッポロ 男梅サワー」や「ネクターサワー」、「キレートレモンサワー」などが順調に推移し、売上高は前期を上回りました。

 ワインでは、販売の強化を進めている「トレジャリー・ワイン・エステーツ社」の輸入ワイン「ペンフォールズ」、シャンパーニュの「テタンジェ」、日本ワイン「グランポレール」シリーズなどのファインワイン(※2)の売上高が伸長しました。

 洋酒では、「バカルディ」「デュワーズ」等の主力ブランドが好調に推移したことで、売上高は前期を上回りました。

 和酒では、甲乙混和芋焼酎売上No.1(※3)の「こくいも」が好調に推移し、売上高は前期を上回りました。

 以上の結果、国内酒類事業の売上高は2,794億円(前期比58億円、2%増)となり、営業利益は117億円(前期比31億円、36%増)となりました。

※1 RTD : Ready To Drinkの略。栓を開けてそのまま飲める低アルコール飲料

※2 ファインワイン:中高級価格(1本1,500円以上)ワイン

※3 インテージSRI甲乙混和芋焼酎市場2015年1月~2016年12月累計販売金額全国SM/CVS/酒DSの合計

 

[国際事業]

 北米におけるビール市場の総需要は、アメリカ、カナダともに前期並みであったと推定されます。アジアでは、中国での成長に陰りが見えたものの、その他のアジア諸国では人口増加及び底堅い経済成長を背景に引き続き成長しているものと見込まれます。

 このような中で、国際事業は、重点エリアである北米及び東南アジアにおけるプレミアムビール市場に対して積極的な販売活動を、また、アメリカでは果汁飲料の販路拡大を行いました。

 北米では、カナダにおいて、「スリーマン社」が主力のプレミアムブランドへのマーケティング投資を継続した結果、「スリーマン社」のビール売上数量(「サッポロ」ブランドを除く)は前期比102%となりました。アメリカのビール市場においては、「サッポロUSA社」が従来からの日系市場への取り組みに加えて、アメリカ一般市場やアジア系市場への展開を進めた結果、同社の「サッポロ」ブランドのビール売上数量は前期比101%となりました。アメリカの飲料市場においては、「カントリー ピュア フーズ社」が5月に買収した果汁シャーベット事業が好調に推移しており、売上高が前期を上回りました。「シルバー スプリングス シトラス社」は新たな販路を獲得した結果、売上高が前期を上回りました(決算取込期間調整後)。

 東南アジアでは、ベトナムにおいて、前年11月にリニューアルをした「Sapporo Premium Beer」の缶製品が好調に推移しており、売上数量は前期を上回りました。また、7月には「Sapporo Bluecap」を発売し、お客様からの好評を得ています。シンガポールでは、グループ内の子会社と協働して同国内の家庭用及び業務用市場への販路を拡大しており、ビール売上数量が前期を上回りました。

 その他のエリアでは、韓国において、業務提携先の販売網を通して同国内の家庭用及び業務用市場のビール販売強化の取り組みを続け、「Sapporo Premium Beer」の取扱店が増えた結果、ビール売上数量が前期を上回りました。オセアニアでは、現地でのライセンス生産を核として同市場での販売強化に取り組んでおり、ビール売上数量は前期を上回りました。

 これらの取り組みを通じて、国際事業全体の「サッポロ」ブランドのビール売上数量は前期比106%となりました。

 以上の結果、国際事業の売上高は円高の影響もあり、654億円(前期比51億円、7%減)となり、営業利益は9億円(前期比7億円、488%増)となりました。

 

[食品・飲料事業]

 国内における飲料の総需要は前期比102%と推定されます。

 このような中で、食品・飲料事業は、レモン、スープを中心とした主力ブランドへの投資を集中し、ブランドの強化と育成を図りました。

 国内飲料では、お客様の嗜好にあわせた様々な商品の発売により、飲料における独自のポジションを確立することを目指しました。その結果、国産茶葉を使用した「にっぽん烏龍」や、北海道富良野産ラベンダーを使用した「富良野ラベンダーティー」など、国産素材にこだわった商品の販売が好調に推移しました。また、レモン飲料においては主力の「キレートレモン(PET・瓶)」に加え、機能性表示食品として「キレートレモン Moisture(モイスチャー)」を発売するなど、新たな市場を創造することでキレートレモンブランドとして大きく売上を伸ばしました。

 国内食品では、スープの「じっくりコトコト」ブランドが当期で20周年を迎え、電子レンジ対応パウチの「じっくりコトコト ご褒美Dining(ダイニング)」など、様々な新商品を投入しブランド強化を図りました。レモン食品においては、「ポッカレモン100」の売上が堅調に推移し、レモン食品の売上金額は前期比105%となりました。また、新規事業として、「トーラク社」から豆乳飲料・豆乳ヨーグルトの営業権を譲受して豆乳事業へ本格参入し、「ソヤファーム」ブランドの豆乳飲料・豆乳ヨーグルトの販売強化、及びブランド認知度の拡大を図りました。

 国内外食では、コーヒーショップの「カフェ・ド・クリエ」が、書店や病院内への積極的な店舗展開を行いました。また、「自然とのつながりを感じられる、ゆったりとしたくつろぎの時間」というコンセプトの「メゾン・ド・ヴェール」ブランドの確立を図りました。このような取り組みの結果、直営店の売上が堅調に推移し、売上高が前期を上回りました。

 海外飲料では、シンガポール国内でのお茶カテゴリーでNo.1ポジション(※)を維持しており、特に緑茶では約70%のシェアを占めています。また、お客様と良好な関係を築き、ブランドの価値を提供し続けている企業に贈られる「Influential Brands Awards 2016」において、POKKAブランドが非炭酸飲料カテゴリーでTOP1ブランドに輝きました。

 以上の結果、食品・飲料事業の売上高は1,379億円(前期比22億円、2%増)となり、営業利益は13億円(前期比8億円、203%増)となりました。

※ データ出典:Nielsen Singapore MarketTrack March 2016(Copyright c 2016, The Nielsen Company)

 

[外食事業]

 国内外食市場は、業界全体としては回復傾向にあるものの、採用コストや食材の仕入価格は引き続き上昇基調にあり、依然として厳しい経営環境にありました。

 このような中で、外食事業は、企業理念である「JOY OF LIVING~生きている喜び~」のもと、安全・安心な商品の提供を心がけ「お客様へ100%満足の提供」を目指す店舗づくりを進めてきました。

 国内では、新規出店については、動物園内初出店となる「ガーデンテラス ライオン」を旭川・旭山動物園に、クラフトビールをメインとする新業態「CRAFT BEER KOYOEN」を名古屋に出店するなど、新たな地域や業態にチャレンジしました。また、コアブランド「銀座ライオン」業態についても、施設の建替えに伴い長期間休業していた大型基幹店を、複合商業施設「GINZA PLACE(銀座プレイス)」と新橋駅前にて再開しました。これにより当期は計12店舗の新規出店を行うと共に、2店舗の全面改装を実施しました。また6月より、札幌を中心に「くし路」や「札幌銀鱗」などの飲食店ブランドを展開する「マルシンカワムラ社」と、水産品の加工及び販売を行う「銀鱗水産社」を新規連結に加えました。一方で、不採算であった8店舗を閉鎖したことにより、当期末の国内店舗数は200店舗となりました。

 シンガポールにおいては、当期末の店舗数は14店舗となっており、平成27年11月に立ち上げた新たなブランド「とん吉銀座食堂」とともに、「銀座ライオン」ブランドを世界に発信すべく地域に愛される店舗づくりを進めています。

 以上の結果、外食事業の売上高は281億円(前期比11億円、4%増)となり、営業利益は6億円(前期比1億円、27%増)となりました。

 

[不動産事業]

 国内不動産業界は、首都圏オフィス賃貸市場において、好調な企業業績を背景にオフィス需要が堅調なことから引き続き空室率は低い水準で推移しており、賃料水準も緩やかな上昇傾向が継続しています。

 このような中で、不動産賃貸では、収益の柱となっている「恵比寿ガーデンプレイスタワー」をはじめ、首都圏を中心に保有する各物件で高稼働率を維持しています。また、既存テナントの賃料水準引き上げについても積極的に取り組みを進めています。

 複合商業施設「恵比寿ガーデンプレイス」においては、恵比寿のランドマークとして「大人の街」となるべく、ブランド力強化と利便性向上を図るためのバリューアップを推進しています。商業エリアでは、10月に展望レストラン街38階を、「Grand&Casual ~本物を気軽に愉しむ贅沢」のコンセプトのもと、展望スペース「SKY LOUNGE」を新設したほか、モダンに和食が愉しめるフロアへと全面リニューアルするとともに、JR山手線沿いに位置するシティウォール区画を、「大人の社交場(Bar)」をコンセプトにした飲食エリア「BRICK END(ブリックエンド)」として新たにオープンしました。街を訪れるお客様に様々なシーンに合わせて集い、愉しんでいただけるよう、食体験のバリエーションを充実させることで、街の活性化と賑わいの創出に取り組みました。また、平成26年10月に開業した「恵比寿ファーストスクエア」は、高度な安全性・快適性・環境性能を備えた競争力のあるオフィスビルとしてお客様より高い評価をいただき、開業以来、満室稼働を維持しており、当期は更なる収益拡大に貢献しました。

 不動産開発では、銀座四丁目交差点の一角に、「発信と交流の拠点」をコンセプトにした複合商業施設「GINZA PLACE(銀座プレイス)」が9月に開業しました。銀座の新たなランドマークとして、また日本の伝統や文化、先端技術など様々な情報発信を行う施設として、国内外のお客様から注目を集め、12月には早くも累計来館者100万人を達成し、街の賑わい創出に貢献しています。また、札幌市が都心まちづくり重点地区と位置付けて進める「創成川以東地区」の再整備計画に合わせ、複合商業施設「サッポロファクトリー」の改装を進めるとともに、隣地駐車場跡地の再開発に着手し、新たな商業施設の建設を進めています。

 一方、長期的な視点から引き続き物件ポートフォリオの見直しを行っており、12月には旧ポッカ社創業の地であり、サッポログループとゆかりが深い名古屋の商業の中心地、中区栄にある商業ビルの信託受益権を取得しました。

 以上の結果、不動産事業の売上高は229億円(前期比20億円、10%増)、営業利益は103億円(前期比20億円、25%増)となりました。

 なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末に比べ0億円(1%増)増加し、当連結会計年度末には104億円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、325億円(前期比26億円、8%減)となりました。これは主に、減価償却費

223億円、税金等調整前当期純利益164億円等による増加要因と、法人税等の支払額109億円等の減少要因によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、275億円(前期比178億円、183%増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出197億円、無形固定資産の取得による支出20億円等があったことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、48億円(前期比199億円、81%減)となりました。これは主に、長期借入れによる収入327億円、コマーシャルペーパーの純増額160億円等があった一方、長期借入金の返済による支出465億円、社債の償還による支出100億円等があったことによるものです。

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当連結会計年度における生産実績を示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(kl)

 

前期比(%)

国内酒類事業(ビール・発泡酒・新ジャンル等)

672,596

0.1

国内酒類事業(ワイン・焼酎等)

48,660

3.4

国際事業(ビール等)

196,956

△1.0

国際事業(飲料水等)

430,939

10.9

食品・飲料事業(飲料水等)

363,481

19.1

 

(2)受注実績

 当社グループでは、ほとんど受注生産を行っておりません。

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

 

前期比(%)

国内酒類事業

279,476

2.1

国際事業

65,400

△7.2

食品・飲料事業

137,918

1.7

外食事業

28,120

4.1

不動産事業

22,900

9.7

報告セグメント計

533,815

1.2

その他

8,031

32.8

合計

541,847

1.5

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

国分㈱

79,177

14.8

82,686

15.3

3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

3【対処すべき課題】

 サッポログループは、「潤いを創造し豊かさに貢献する」を経営理念に掲げ、「ステークホルダーの信頼を高める誠実な企業活動を実践し、持続的な企業価値の向上を目指す」ことを経営の基本方針として、企業活動を実践しています。

 

(1)中長期的な経営戦略ならびに目標とする経営指標

 当社は2016年(平成28年)11月、グループ創業150年の節目を迎える2026年までの10年間に、当社が進むべき方向性と、2017年から2020年までの4年間で取り組む基本戦略をまとめた「サッポログループ長期経営ビジョン『SPEED150』」および「第一次中期経営計画2020」を策定しました。

 

サッポログループ長期経営ビジョン「SPEED150」

 経営理念および経営の基本方針は踏襲しながら、スピードを持って経営改革と事業成長に取り組むことで実現させる「2026グループビジョン」と「行動指針」を定めました。

 グループの成長の源泉は、創業以来140年の歴史の中で培われた「ブランド資産」であると改めて認識した上で、グループのコア事業を『酒』『食』『飲』の3分野と位置づけ、不動産事業とともにグループ保有のブランドを育成・強化していきます。国内に数多ある食品企業の中でも、『酒』『食』『飲』の3分野を展開するユニークな強みを活かし、特長ある商品・サービスをグローバルに展開し、お客様との接点拡大を図ることで、力強い成長を目指します。

○2026グループビジョン

 サッポログループは

 世界に広がる『酒』『食』『飲』で

 個性かがやくブランドカンパニーを目指します

○行動指針

 1.イノベーションと品質の追求による新たな価値の創造で、世界のお客様のより豊かな生活に貢献します

 2.お客様同士のコミュニケーション活性化に役立つ商品・サービスの提供とブランド育成に努めます

 3.環境変化に対応し、効率的な経営の実践に努めます

 

(2)当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

 当社は株式会社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(以下「会社の支配に関する基本方針」)を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。

 

Ⅰ 会社の支配に関する基本方針

 当社は、持株会社として、国内酒類事業、国際事業、食品・飲料事業、外食事業及び不動産事業を主体とする当社グループの事業の全体にわたる経営を統括しており、その経営に当たっては、幅広いノウハウと豊富な経験、並びに国内外の顧客・従業員及び取引先等のステークホルダーとの間に築かれた関係等への理解が不可欠です。したがって、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者に、これらに関する十分な理解がなくては、株主の皆様が将来実現することのできる株主価値を毀損してしまう可能性があり、明らかに当社株主の共同の利益を著しく損なうと判断される当社株券等の大規模な買付行為(以下「大規模買付行為」といい、かかる買付行為を行う者を以下「大規模買付者」といいます。)に対して当社取締役会が適切と考える措置を取ることも、当社株主の共同の利益を守るために必要であると考えます。

 

Ⅱ 当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の会社の支配に関する基本方針の実現に資する特別な取り組み

 当社は平成28年11月に、平成29年(2017年)からグループ創業150周年に当たる平成38年(2026年)までの10年間に進むべき方向性を定めた「『サッポログループ長期経営ビジョン『SPEED150』」を策定し、発表しました。『SPEED150』では、グループ成長の源泉を、創業以来140年の歴史の中で培われた「ブランド資産」であると改めて認識した上で、グループのコア事業を『酒』『食』『飲』の3分野と位置づけます。既存事業の成長に加え、「『食』領域の拡大」と「グローバル展開の推進」を戦略テーマに掲げながら、不動産とともにグループ保有のブランドを育成・強化していきます。

 また当社は、純粋持株会社体制に移行する以前の平成11年3月から執行役員制を導入し、平成14年3月から取締役任期を1年に短縮するなど、積極的にガバナンス体制の強化に取り組んでまいりました。平成15年7月に純粋持株会社体制に移行して以降、段階的に独立社外取締役の増員を図っており、平成21年より3名の独立社外取締役を選任しております。今後も、当社では、「基本方針」に基づき、持続的な成長と中長期的な企業価値向上の実現に向け、ガバナンスの強化充実に取り組んでいく所存です。

 

Ⅲ 会社の支配に関する基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組み

 当社は、Ⅰで述べた会社の支配に関する基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するため、大規模買付行為が行われる場合、大規模買付者には一定の合理的なルール(以下「大規模買付ルール」といいます。)にしたがっていただくこととし、これを遵守した場合及び遵守しなかった場合につき一定の対応方針を定め、これらを取りまとめて当社株券等の大規模買付行為への対応方針(以下「本対応方針」といいます。)として定めています。

 当社の定める大規模買付ルールは、当社株主の皆様が大規模買付行為に応じるか否かを判断するために必要な情報や、当社取締役会の意見を提供し、更には当社株主の皆様が代替案の提示を受ける機会の提供を保証することを目的として、大規模買付者に対して、大規模買付行為に関する必要かつ十分な情報を当社取締役会に事前に提供することを求めており、大規模買付行為は、その後に設定される当社取締役会のための一定の評価期間が経過した後にのみ開始されるものとしています。大規模買付者がかかる大規模買付ルールを遵守した場合、当社取締役会は、当該大規模買付行為が明らかに当社株主の共同の利益を著しく損なうと判断される場合を除き、大規模買付行為に対する対抗措置は取りません。他方、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しなかった場合には、当社取締役会は、当社株主の共同の利益を守ることを目的として、会社法その他の法律及び当社定款が認める対抗措置をとり、大規模買付行為に対抗することがあります。

 本対応方針の詳細につきましては、当社ホームページ

(アドレスhttp://www.sapporoholdings.jp/news_release/0000020164/pdf/daikibokaitsuke.pdf)に掲載しています。

 本対応方針は、平成29年3月30日に開催された当社第93回定時株主総会において株主の皆様の承認を得た上で発効しており、有効期間は平成32年3月31日までに開催される当社第96回定時株主総会の終結の時までとなっています。但し、当社株主総会の決議をもって本対応方針の廃止を決定した場合には、上述の有効期間中であっても本対応方針を廃止することができますし、株主総会の決議を経ずに当社取締役会が廃止を決定することによっても、本対応方針はその決定の日をもって失効します。本対応方針の廃止を決定した場合、当社取締役会はその旨を速やかにお知らせします。

 

Ⅳ 本対応方針が会社の支配に関する基本方針に沿うものであり、株主共同利益を損なうものではないこと、会社役員の地位の維持を目的とするものでないこと及びその理由

(1)本対応方針が会社の支配に関する基本方針に沿うものであること

 本対応方針は、大規模買付ルールを遵守しない大規模買付者に対して当社取締役会が対抗措置を講じることがあることを明記しています。また、本対応方針は、大規模買付ルールが遵守されている場合であっても、大規模買付行為が明らかに当社株主の共同の利益を著しく損なうものと当社取締役会が判断した場合には、かかる大規模買付者に対して当社取締役会は当社株主の共同の利益を守るために適切と考える対抗措置を講じることがあることを明記しています。このように、本対応方針は、会社の支配に関する基本方針に沿って設計されたものといえます。

(2)本対応方針が当社株主の共同の利益を損なうものではないこと

 Ⅰで述べたとおり、会社の支配に関する基本方針は、当社株主の共同の利益を尊重することを前提としています。また、本対応方針は、かかる会社の支配に関する基本方針の考え方に沿って設計され、当社株主の皆様が大規模買付行為に応じるか否かを判断するために必要な情報や当社取締役会の意見の提供、代替案の提示を受ける機会の提供を保証することを目的としており、本対応方針によって、株主の皆様は適切な投資判断を行うことができます。このように、本対応方針は、当社株主の共同の利益を損なうものではなく、むしろその利益に資するものであると考えます。

(3)本対応方針が当社役員の地位の維持を目的とするものではないこと

 本対応方針は、当社取締役会が対抗措置を発動する場合を事前かつ詳細に開示しており、当社取締役会による対抗措置の発動はかかる本対応方針の規定に従って行われます。当社取締役会は単独で本対応方針の発効・継続を行うことはできず、当社株主の皆様の承認を要します。

 また、大規模買付ルール上、当社取締役会は、大規模買付行為に関して評価・検討を行い、取締役会としての意見を取りまとめるなどの際には、必要に応じて外部専門家等の助言を得るとともに、当社の業務執行を行う経営陣から独立している委員で構成される独立委員会へ諮問し、同委員会の勧告を最大限尊重するものとされており、本対応方針には、当社取締役会による適正な運用を担保するための手続も盛り込まれています。

 以上から、本対応方針が当社役員の地位の維持を目的とするものでないことは明らかと考えます。

4【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績及び財務状況など(株価などを含む)に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、平成28年12月31日現在において当社が判断したものです。

①経済情勢及び人口動態の変化について

 当社グループの売上高は主に国内の景気動向による影響を受けるため、経済情勢の変化による景気悪化に伴い、主要製品の出荷変動、デフレ傾向による主要製品の単価下落の可能性や保有資産の価値の低下につながる可能性があります。また、日本国内の少子高齢化現象が市場全体の縮小を招き、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

②特定事業分野への依存度について

 当社グループの主要な報告セグメントは国内酒類事業であり、平成28年12月期における連結売上高の52%を占めています。

 この国内酒類事業への高依存体質を脱却し、さらなる収益性の拡大を目指すため、海外市場での事業活動の拡充を図っております。

 しかしながら、依然、国内酒類事業への依存は高く、国内市場での需要が減少する中での競合他社との価格競争、消費者の嗜好の変化、商品値上げ、冷夏や長期間にわたる梅雨などの要因によって売上が減少した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

③海外における事業活動について

 当社グループは、海外市場での事業活動を拡充することにより利益の拡大を図っており、特に国際事業においては米国・カナダを中心に拡充しております。

アジアにおいては、シンガポールを中心に飲料・外食の事業活動を行っております。また、ベトナムにおいては、ロンアン工場にて現地産ビールの製造・販売をしています

これらの当社グループの海外における事業活動においては、経済の動向、競争環境の変化や為替相場の変動に加えて、投資、貿易、税及び為替等に関する法的規制の変更、商慣習の相違、労使関係、テロリズム、伝染病並びにその他の政治的・社会的・経済的混乱等の要因により、業績に悪影響を及ぼす可能性があります

④食品の安全性について

 当社グループは品質保証体制の確立に向けて取り組みを強化していますが、当社グループ固有の品質問題のみならず、社会全般にわたる一般的な製品及び原料に係る品質問題などが発生した場合、製品回収、出荷不良品発生などの可能性があります。外食事業においては、食中毒が発生した場合、一定期間の営業停止などを命ぜられ、業績に悪影響を及ぼす可能性があります

⑤製造委託品及び仕入商品について

 当社グループは一部の商品について外部に製造委託を行っています。また、仕入商品も取り扱っています。製造委託商品や仕入商品についても品質については万全を期していますが、当社グループの取り組みの範囲を超えた品質問題などが発生した場合、販売休止、製品回収などの可能性があり、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑥原料・資材価格について

 当社グループの使用する主要な原料・資材には、その価格が商品相場や為替市場等の状況により変動するものがあります。それら原料・資材の価格が高騰することにより、売上原価が上昇し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑦設備投資計画等について

 当社グループでは、設備投資、システム開発を継続的に行っておりますが、当初計画からのスケジュールの遅れ、投資予定額の増加などにより業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑧顧客情報流出について

 当社グループでは個人情報の管理の徹底に向けた体制作りを強化していますが、今後、予測不能のウィルスの侵入や情報への不正アクセスなどにより、個人情報の流出などの問題が発生した場合、当社グループへの損害賠償請求や信用の低下などにより費用の増加や収益の減少が発生し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑨得意先への信用リスクについて

 当社グループは得意先や投資先の信用リスクに備えていますが、予期せぬ倒産などの事態により債権回収に支障が発生した場合など、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑩法的規制などの影響

 当社グループは、酒税法や食品衛生法、環境・リサイクル関連法規、景品表示法などの様々な法的規制の適用を受けています。また、事業を展開する各国の法的規制の適用を受けています。このような中、法的手続きによる権利の保全にも万全を期していますが、将来において新たな法的規制などが設けられる可能性があり、これらの法的規制などの適用を受けることとなった場合、事業活動が制限されたり、新たな費用が発生したりすることで業績に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、酒税の増税や消費税の増税などが実施されることでの需要の減少、ビール・発泡酒を始めとする酒類の広告に対する規制や、酒販店店頭での販売時間に対する規制、酒類販売場所の規制が広がっていく場合、需要の減少や新たな規制に対応するための費用などの要因について、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑪訴訟のリスクについて

 当社グループでは、事業の遂行にあたり従業員啓発のための研修を通じたコンプライアンスの推進により、各種法令違反等の低減努力を実施しております。しかしながら、国内外の事業活動の推進にあたって、当社グループ各社及びその従業員の法令等に対する違反の有無にかかわらず、製造物責任法、知的財産法等の問題で訴訟を提起される可能性があります。また、訴訟が提起される事態、また訴訟の結果によっては、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑫自然災害等によるリスクについて

 当社グループは保有するオフィス、商業、住宅などの施設及び工場などの設備安全について火災などの事故発生防止の体制作りを強化するとともに、地震などの自然災害の発生時に、人的被害・工場などの設備破損が生じないように管理体制の確立を行っています。しかし、大規模な自然災害及び二次災害の影響により、損害が発生する可能性があり、商品供給に支障をきたすなど、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑬金融負債について

 当社グループでは、各事業の必要資金の多くを、社債や金融機関からの借入により調達しており、金融負債は総資産に比して高い水準にあります(平成28年12月31日現在2,381億円(連結ベース)、総資産の38%)。当社グループでは成長戦略の遂行に伴い大規模な投資等を行うことにより、さらに金融負債が増加する場合もあります。また、今後、市場金利が上昇した場合や、格付機関が当社の格付を引き下げた場合には、金利負担が重くなったり資金調達の条件が悪化することにより、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑭退職給付債務について

 当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、割引率など数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率に基づいて算出されています。

 実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は数理計算上の差異として累積され、発生時の従業員の平均残存勤務期間で費用処理されるため、将来において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。また、退職給付会計導入時の会計基準変更時差異は15年で費用処理しております。

⑮固定資産の減損について

 当社グループでは、当社及び日本国内の連結子会社においては固定資産の減損に係る会計基準に基づき、減損の基準に該当する有形・無形の固定資産等は減損損失を計上しています。また、海外の連結子会社においては適用している会計基準に基づき、必要に応じて減損損失を計上しています。しかしながら、今後、市場環境や事業環境の変化などによっては、新たに減損損失の要件に該当する資産が発生したり、売却することとなった場合にはその価格により固定資産売却損を計上する可能性があり、これにより当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑯事業・資本提携について

 当社グループでは、中期経営計画に沿って成長に向けた競争力強化の一環として国内外他社との事業・資本提携を推進しています。しかし、市場環境や事業環境の変化などによっては、当初想定していた成果を得られず、場合によっては、提携先及び出資先の事業、経営及び資産の悪化等が生じた場合、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、出資に伴い、「のれん」の償却が多額に発生した場合、あるいは出資先が業績不振となり「のれん」等の減損損失を計上する場合、これにより当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑰持株会社のリスクについて

 当社グループを代表して上場しているサッポロホールディングス㈱(以下「当社」といいます。)は、当社が直接保有している事業会社が当社に対して支払うブランド使用料、グループ経営分担金及び受取利息を主な収益源とし、さらに各事業会社が業績や財政状態に応じて支払う配当金を収入としております。このため、各事業会社の財政状態が悪化し、当社に対して配当を支払えない状況が生じた場合には、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

(業務提携)

 バカルディ ジャパン株式会社との業務提携

当社の子会社であるサッポロビール㈱は、平成23年5月19日付で、ラムブランド「バカルディ」など多くの有力ブランドを所有するバカルディ ジャパン㈱と同社が日本国内で販売権を有するスピリッツをはじめとする各ブランドの、日本国内における独占販売に関する業務提携契約を締結しました。

 

6【研究開発活動】

 平成28年3月、グループ横断型研究開発をさらに進化させるため、「サッポロホールディングス社」にグループR&D本部、およびその中核をなす価値創造フロンティア研究所を設立しました。この組織改編は、新規事業開発につながる中長期視点での基盤研究の推進、グループシナジーを活かしたコア技術の深化と価値化の加速、分析機能の集約・高度化による品質保証力および知財対応力強化の3つを目的としております。

 グループR&Dのコア技術については、「お客様を知る」、「おいしさを探す」、「おいしさを造る」、「おいしさを保証する」の4つを設定しております。

 「お客様に食を通じた幸せをお届けするために、『創り』、『造り』続けます」という研究開発ビジョンを実現すべく、さらにはその先にあるお客様の笑顔を実現するため、この新たな研究開発体制の下、サッポログループは挑戦を続けてまいります。

 価値創造フロンティア研究所では、上に掲げたコア技術に基づき研究ドメインを設定し、それぞれ、感性・情報科学研究、素材・機能探索研究、食品製造・加工技術研究、品質保証研究を担っております。

 感性・情報科学研究では、レモン飲料ユーザーの大規模な嗜好調査から、嗜好性に影響する味覚因子と、嗜好特長と属性の関連性を明らかにし、第12回東北心理学会・北海道心理学会合同大会(東北心理学会第70回大会)において報告するとともに、レモン飲料やレモンテイストRTDの商品開発に貢献しました。このほか、炭酸飲料を飲んだ時のお客様の心理変化を、脳血流量計測から理解することに取り組み、研究成果を第6回NU-Brainシンポジウム及び第49回知覚コロキウムにおいて報告しました。さらに、脳科学を用いてお客様の心理を詳細に解明する目的で、平成28年4月より、文部科学省「革新的イノベーション創出プログラム」広島大学COI中核拠点のKANSEIコンソーシアムに加入し、産学連携のオープンイノベーションを推進しています。

 素材・機能研究では、レモンに含まれるポリフェノールが抗老化作用を有することを新たに発見しました。この研究成果は「ポッカサッポロフード&ビバレッジ社」と「広島県立大学」の共同研究である「レモンとカルシウム摂取による骨密度改善」とともに、平成29年3月の日本薬学会および日本農芸化学会での発表につながりました。

 食品製造・加工技術研究では、サッポログループの食品価値創造の柱となるべく、これまで各事業会社が培ってきた食品製造技術に新たな発想を加えて、レモン、大豆等を原料とした全く新しい食品・飲料製造技術開発に挑戦しております。

 品質保証研究では、各事業会社が独自に行っていた分析機能を価値創造フロンティア研究所に集約いたしました。これによりさらなる専門化、高度化を図り、お客様の安全・安心志向や健康意識にこれまで以上にお応えするべく、原料・製品の安全性分析及びそれを支える分析新技術の研究に取り組んでいます。

 また、サッポログループでは、これまで酒類製造で培った発酵技術を応用した環境バイオエネルギー研究における実証試験を国内外で進めてきましたが、タイでのキャッサバパルプからのバイオエタノール生産技術実証(NEDO:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、からの受託事業)が平成27年11月に終了し、本実証成果を元にタイ国企業側から事業化の提案がなされました。当社は本事業においてバイオエタノール生産工場の設備設計、発酵技術、設備運転など各段階で技術支援という形で参画することで平成29年1月の契約締結に向けて準備を進めました。これまで廃棄するしかなかったキャッサバパルプからのエネルギー生産は、食糧需給の併存と廃棄物の削減、タイ国エネルギー問題の解決、さらには地球温暖化防止にも大きく貢献することが期待されます。なおこのバイオエタノール生産工場の規模は年産6万klで計画しており、二酸化炭素削減量は約12万トンと試算されます。この量はサッポロビール社酒類事業(製造・販売・事務などすべての業務)の1年間で排出する二酸化炭素量に匹敵します。

 国内の水素・メタン発酵技術開発では、「タカキベーカリー社」、「広島大学」、「広島ガス社」と共同で実施した製パン工場廃棄物からのメタン製造の試験について、タカキベーカリー社千代田工場での試験を計画通りに完了いたしました。

 当連結会計年度における当社グループの研究開発費は27億円です。

 

セグメントの状況は次のとおりです。

 

[国内酒類事業]

1.商品開発について

 酒類の商品開発については、経営ビジョン「オンリーワンを積み重ね、No.1へ」を実現すべく、サッポロビール社の強みである原料へのこだわりや、永年培ってきた商品開発力、技術開発力を活かして、引き続き、新たな価値創造に取り組んでまいりました。

 ビールテイストについては、3月に「ヱビスビール」をクオリティアップ。より深いコクを実現し、また、パッケージも洗練されたデザインにリニューアルしました。5月にはヱビスの最高峰である「ヱビス マイスター」を発売。ヱビス計で前年比102%を達成しました。好調の黒ラベルからは、4月に初の全国型エクステンション商品「サッポロ生ビール黒ラベル エクストラブリュー」を発売しました。当社独自の「旨さ長持ち麦芽」を贅沢に100%使用し、喉ごしのうまさと爽快な後味を追求。黒ラベル計で前年比102.8%を達成しました。2月には「麦とホップ The gold」をリニューアル。麦とホップ史上最大の麦芽量による最高のコクを実現しました。また、5月には通年型エクステンション商品「麦とホップ Platinum Clear」を発売、キャンペーン商品として「麦とホップ Space Barley」を開発するなど、新たな価値提案により、麦とホップ計で前年比104.2%を達成しました。

 伸長するRTD市場に対しては、基軸ブランドの「男梅サワー」、「キレートレモンサワー」の強化を図りました。「男梅サワー」では、1月にしょっぱい旨さをさらに進化させたリニューアルを行い、5月には超濃厚なしょっぱい旨さでアルコール9%が特長の「超男梅サワー」を限定発売。男梅ブランド計で前年比133%を達成しました。「キレートレモンサワー」では、6月にキレートブランドで初のエクステンションとなる「キレートレモンサワーソルティ」を限定発売。キレートブランド計で前年比126%と伸長しました。さらに、「ネクターサワー」では11月に桃果汁50%で濃厚な味わいが特長の「桃すごいネクターサワー特濃ピーチ」を限定発売し、ネクターブランドの魅力を高めました。また、ワイン市場に対しては、3月に日本初となる糖質ゼロワイン「ボンヌサンテ」を発売。オンリーワンの価値提案により新たなワイン需要を開拓しました。

 

2.研究開発について

 酒類技術の研究においては、平成28年3月、サッポログループ基幹ドメインの一つである国内酒類事業をさらに大きく成長させるために、中長期視点での研究・開発組織として価値創造フロンティア研究所の醸造部門を酒類技術研究所、として分離・独立させました。

 長年培った経験と先端技術とを駆使して、酒類基盤技術の研究とその応用、全ての生産拠点における課題解決を図る役割を担っております。

 酒類事業においては、酒類技術研究所の他、バイオ研究開発部、価値創造フロンティア研究所、商品・技術イノベーション部等が協働・協創のもと研究開発を行っております。

 平成28年には、個性的な香りから欧米のクラフトビールを中心に人気が高い稀少ホップ品種ソラチエースの特長を示す香り成分を発見し、その成果を8月米国コロラド州デンバーで開催された世界醸造大会「World Brewing Congress」にて発表しました。ソラチエースには他のホップと比べゲラン酸が多く含まれておりゲラン酸と別のホップの香気成分が共存することで、ビールの香りが、花のような香りやレモンのような柑橘的な香りに変化することが明らかになりました。

 また、ブドウ果汁に含まれるポリフェノールの一種であり、ブドウの紫から赤色の色素でもあるアントシアニンが酵母に作用して、赤ワインの特長的なアロマ成分であるジアセチルの量を高めていることを明らかにし、その成果を平成28年度日本醸造学会大会にて発表しました。同じ赤ワインでもアントシアニンが多く含まれるブドウ果汁を用いてアロマ成分のジアセチルが高く、味のボディ感が増したワインを造れる可能性等が示唆されました。

 カナダ、オーストラリア、ヨーロッパ及び国内で品種開発を進めているLOXレス大麦については、栽培特性を改良した新品種「SakuraStar」をオーストラリアで品種登録出願しました。現在も国内外でLOXレス品種の開発を進めており、“旨さ長持ち麦芽”のより安定した供給を可能とし、ビールテイスト商品の一層の高品質化を目指して取り組んでいます。こうした一連の研究成果により日本育種学会賞を受賞しました。

 ホップについても、海外での高品質品種の安定生産を目指し、ユニークな香りをもつ3品種をアメリカで植物特許出願(国内の品種登録出願に相当)しました。また、ホップ成分の活用技術に関する特許を国内で出願するなど、技術基盤の拡充にも努めています。

 国内酒類事業の研究開発費の金額は13億円です。

 

[食品・飲料事業]

1.商品開発について

 「ポッカサッポロフード&ビバレッジ社」として、飲料カテゴリーにおいては、市場で注目を集めている特定保健用食品および機能性表示食品について上市しました。特定保健用食品は、缶入りさんぴん茶の元祖としておなじみの沖縄ポッカの「さんぴん茶」において、糖の吸収をおだやかにする食物繊維(難消化性デキストリン)を加えた「沖縄ポッカさんぴん茶(特製)500mlPET」を開発、また、後者は主力ブランド「キレートレモン」より、肌の潤いを守るのを助ける機能がある米由来のグルコシルセラミドが入った「キレートレモンMoisture(モイスチャー)」と、ストレス緩和素材GABAを使用したレモンティー「FREE Tea(フリーティー)」を開発し、それぞれ発売しました。

 また、当社は近年、国産の希少素材にこだわった無糖茶の開発を進めており、前期に発売した「にっぽん烏龍」や「加賀棒ほうじ茶」は好評を得ました。これに続き、今期は北海道上富良野町との共同企画で「富良野ラベンダーティー」や、土づくりからこだわり、大分県産の有機栽培をしたオーガニック烏龍茶葉を100%使用した「有機にっぽん烏龍」、さらには東京都産茶葉を100%使用した東京都地域特産品認証食品「東京緑茶」などを開発しました。

 さらに、全米No.1(※)アサイーブランド「SAMBAZON(サンバゾン)」と日本の飲料分野におけるライセンス製造・販売について契約を結び、昨今話題の“スーパーフード”の一つとして注目され、健康イメージのある素材アサイーを手軽においしく飲んでいただける飲料「サンバゾンアサイーアマゾンエナジー」「サンバゾンアサイーミックスビューティー100%」などを発売しました。

 また、長年レモンにこだわった商品開発を行ってきた当社ならではの商品として、世界の様々な素材を組み合わせたおいしさと驚きのあるレモネードをお届けするブランド「ワールドレモネード」を新たに展開し、その第一弾として「ワールドレモネード 緑茶レモネード」を発売しました。

 食品カテゴリーにおいては、主力ブランド「じっくりコトコト」が平成28年で20周年を迎え、新たに「UPGRADE YOUR LIFE」をブランドメッセージとして掲げ、「お客様の毎日をUPGRADEする濃厚とろ~りなコク深スープ」として、さらなるおいしさの追求を図りました。そのおいしさを追求した商品として、働く女性へのちょっと贅沢な夕食シーンを提供する電子レンジ対応パウチの「じっくりコトコト ご褒美Dining(ダイニング)」を新たに発売しました。簡便で時短もでき、素材感があり、濃厚な味わいをお楽しみいただけると好評をいただいています。

 また、主力の洋風スープに加え、和風、中華風、エスニックなど、スープのバリエーションを広げており、たっぷりの具材にこだわった「素材屋スープ」や辛いおいしさを追及した「辛王(からおう)」の展開を図りました。

 新規事業として参入した大豆・チルド事業の豆乳飲料においては、ポッカサッポロとして初の新商品「ソヤファーム おいしさスッキリずんだ豆乳飲料」をはじめ計3品を開発、発売し、ポッカサッポロの豆乳飲料ブランドとして市場の拡大を目指しました。

※ SPINS社 Category Overview Report 2014/10/05-2015/10/04 FRUIT JUICES (NON-ORANGE),RF FUNCTIONAL JUICES & BEVERAGES, FROZEN FRUITS & VEGETABLES 調査結果より(上記カテゴリにおいてアサイーを含むドリンクおよび冷凍パックの売り上げ(金額)をNo.1としています。)

 

2.研究開発について

 食品・飲料の技術開発を担う組織として、研究開発本部の傘下に「商品開発研究所」と「新規基盤開発研究所」の2つの研究所で研究活動に取り組んでおります。

 商品開発研究所の飲料分野では、独自素材の活用や加工技術研究により、当社ならではの“おいしさ”や“健康価値”を訴求できる商品開発を進めております。また、平成28年はキレートレモンモイスチャー始めとして多種類の機能性表示食品を開発しました。

 スープにつきましては、従来の粉末スープを中心とした商品開発から開発の領域を広げ、8月には当社として初めてレトルトスープの商品開発と上市をすることができました。

 このように商品開発研究所では、飲料・レモン・スープを中心として新たなお客様価値を提供できるように独自の商品開発を次々と進めております。

 「新規基盤開発研究所」では、「サッポロホールディングス社」のグループR&D本部とも協力しながら、将来に向けて新たなお客様価値を提供する素材の探索、加工技術、機能性研究など幅広い領域の研究活動に取り組みました。

 特にレモンの研究には力を入れ、世界各地のレモン素材を探索しながら、当社ならではのレモンのおいしさを引き出す加工技術やレモンの機能研究を進めております。平成28年5月には、「レモンとカルシウム摂取による骨密度改善」の研究について、県立広島大学との共同研究、対外発表を行いました。また、9月には県立広島大学と共催で県立広島大学広島キャンパス内にてレモンシンポジウムを開催し、レモンの新たな価値をお客様にお伝えする取組みも行いました。

 このように「ポッカサッポロフード&ビバレッジ社」の研究開発本部では、レモンを中心としてスープ、特定カテゴリーの飲料に研究資源を集中して研究開発活動を行っています。

 食品・飲料事業の研究開発費の金額は10億円です。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析は、以下のとおりです。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来に関する事項には不確実性を内在しており、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性があります。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されています。また、海外の連結子会社は、米国会計基準又は国際財務報告基準に準拠しております。

連結財務諸表の作成においては、連結会計年度末日における資産・負債の金額及び偶発債務の開示、ならびに連結会計年度における収益・費用の適正な計上を行うため、見積りや前提が必要となります。当社グループは、過去の実績又は各状況下で最も合理的と判断される前提に基づき見積りを実施しています。

以下、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況にとって重要であり、かつ相当程度の経営判断や見積りを必要とする重要な会計方針についてご説明します。

① 棚卸資産の評価

「商品及び製品」、「原材料及び貯蔵品」等の棚卸資産につきましては、「棚卸資産の評価に関する会計基準」(企業会計基準第9号 平成18年7月5日公表分)を適用しており、評価基準は原価法(貸借対照表価額は収益性の低下による簿価切下げの方法により算定)としています。市場価格が下落した場合には、棚卸資産の簿価を切下げ、売上原価を増加させる会計処理を行っています。

② 投資有価証券の減損

投資有価証券の時価の下落が著しく、かつ回復可能性があると認められない株式などについては、減損処理を行っています。時価のある投資有価証券については、連結決算日における時価が取得原価に比べて50%以上下落した場合は全ての銘柄について、減損処理を行っており、30%以上50%未満下落した場合は、個々の銘柄について、その時価が取得原価を下回っている期間と程度、予測される時価の回復の可能性、及び財政状態を精査し、必要と認められた額の減損を行っています。また、時価のない投資有価証券については実質価額が取得原価に比べて50%以上下落した場合は回復の可能性及び財政状態を精査し、減損処理を行っています。

③ 固定資産の減損

当連結会計年度において、収益性低下などにより投資額の回収が困難と見込まれる事業用資産について減損処理を行っています。なお、前述以外の固定資産についての回収可能性は、将来の収益計画に基づき判断していますが、将来の収益獲得が見込めなくなった場合は、減損損失が発生することで当社グループの連結財務諸表に影響を与える可能性があります。

また、海外の連結子会社は、米国会計基準又は国際財務報告基準に準拠し減損処理を行っております。

④ 貸倒引当金

貸倒引当金は、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権及び破産更生債権などについては個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しています。相手先の財務状況が悪化した場合は、貸倒引当金を積み増すことで、当社グループの連結財務諸表に影響を与える可能性があります。

⑤ 繰延税金資産の回収可能性

繰延税金資産の回収可能性は、将来における課税所得の見積りにより影響を受けます。市場環境や経営成績の悪化により、将来の課税所得の見積額が減少した場合、繰延税金資産が取崩されることにより、当社グループの連結財務諸表に影響を与える可能性があります。

⑥ 退職給付に係る負債及び退職給付費用

退職給付に係る負債及び退職給付費用の計算には、割引率、年金資産の期待運用収益率などの基礎率に見積りの要素が含まれており、これら基礎率の変動により当社グループの連結財務諸表に影響を与える可能性があります。

 

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

① 売上高

 売上高は5,418億円(前期比80億円、2%増)となりました。報告セグメント別の売上高は次のとおりです。

[国内酒類事業]

 国内酒類事業においては、ビール類合計の売上数量が前期並みとなりましたが、多層化の売上数量が前期を上回った結果、2,794億円(前期比58億円、2%増)となりました。

[国際事業]

 国際事業においては、北米やベトナムのビール売上数量が前期を上回ったものの、為替の影響を受けて、654億円(前期比51億円、7%減)となりました。

[食品・飲料事業]

 食品・飲料事業においては、国内食品・飲料の売上数量が前期を上回ったこともあり、1,379億円(前期比22億円、2%増)となりました。

[外食事業]

 外食事業においては、「マルシンカワムラ社」「銀鱗水産社」が新規連結となり、281億円(前期比11億円、4%増)となりました。

[不動産事業]

 不動産事業においては、保有賃貸物件の稼働率の上昇や9月に開業した「GINZA PLACE(銀座プレイス)」などにより、229億円(前期比20億円、10%増)となりました。

② 売上原価、販売費及び一般管理費

売上原価は、国内酒類事業及び食品・飲料事業の原材料コストが減少したことや円高の影響もあり、3,524億円(前期比3億円、0%減)となりました。なお、売上原価の売上高に対する比率は、原材料コストが減少したことで国内酒類事業、国際事業及び食品・飲料事業の製造原価が減少したことにより1.1ポイント減少し、65.0%となりました。

販売費及び一般管理費は、国内酒類事業の販促費増加等もあり、1,691億円(前期比21億円、1%増)となりました。

③ 営業利益

 営業利益は、202億円(前期比63億円、45%増)となりました。報告セグメント別の営業利益は次のとおりです。

[国内酒類事業]

国内酒類事業では、販促費の増加がありましたが、ビールの販売数量が増加したことによる品種構成の改善やコスト削減等により、営業利益は117億円(前期比31億円、36%増)となりました。

[国際事業]

 国際事業では、北米における売上数量の増加や原価低減もあり、営業利益は9億円(前期比7億円、488%増)となりました。

[食品・飲料事業]

 食品・飲料事業では、販売費や物流費の増加がありましたが、国内食品・飲料の増収により、営業利益は13億円(前期比8億円、203%増)となりました。

[外食事業]

 外食事業では、原材料コストの高騰により原価率が上昇しましたが、不採算店舗の閉鎖等が寄与したこともあり、営業利益は6億円(前期比1億円、27%増)となりました。

[不動産事業]

 不動産事業では、保有賃貸物件の稼働率の上昇や「GINZA PLACE(銀座プレイス)」の開業による賃料収入の増加等があり、営業利益は103億円(前期比20億円、25%増)となりました。

④ 営業外損益及び経常利益

 営業外損益は、営業外収益23億円から営業外費用33億円を差引き、10億円のマイナスとなりました。受取利息及び受取配当金から支払利息などを差引いた金融収支については、調達金利の低減が寄与したことで、前連結会計年度より改善し7億円のマイナスとなりました。

その他営業外損益としては、デリバティブ評価損2億円などがありました。

以上の結果、経常利益は192億円(前期比59億円、45%増)となりました。

⑤ 特別損益

 特別利益は0億円となりました。主な内訳としては固定資産売却益などです。

 特別損失は28億円となりました。主な内訳としては、以下のとおりです。

 固定資産除却損は14億円となりました。主に、ビール生産設備、飲料水生産設備に伴うものです。

 減損損失は10億円となりました。主に食品・飲料事業の子会社の収益性低下等によるもの、外食事業の不採算の飲食店舗を閉鎖したことによるものです。詳細につきましては「連結損益計算書関係」の注記に記載のとおりです。

⑥ 法人税等及び親会社株主に帰属する当期純利益

 法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額を合わせた税金費用合計は70億円で、税金等調整前当期純利益に対する負担率は43%です。法定実効税率(33%)との差につきましては、主にのれんの償却費の損金不算入によるものです。詳細につきましては「税効果会計関係」の注記に記載のとおりです。

 以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は94億円(前期比33億円、55%増)となりました。

 

(3)経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績に重要な影響を及ぼすと思われる事項については、概ね「4.事業等のリスク」に記載のとおりです。

 中でも、当社グループでは海外での事業展開を進めており、日本国内の景気動向のみではなく、事業活動を行っている国・地域の経済動向及びその他の要因により影響を受ける可能性があり、リスク管理体制を一層強化する取り組みを進めます。

 経営環境が依然として不透明な状況が続く中、環境変化への対応力を一層高める取り組みを進めます。

 

(4)事業戦略と見通し

 次期は、「サッポログループ長期経営ビジョン『SPEED150』」及び「第一次中期経営計画2020」の初年度として、コア事業と位置付けた『酒』『食』『飲』分野で特長ある商品・サービスをグローバルに展開し、お客様との接点拡大を図ることで、力強い成長を目指します。

 

[国内酒類事業]

 国内酒類業界は、飲酒人口の減少や、ビール類から他酒類への流出の影響で、引き続き厳しい市場環境が予想されます。

 このような中で、国内酒類事業は、ビジョンとして「オンリーワンを積み重ね、No.1へ」を継続し、当社ならではの価値の提供を積み重ねることで、成長を目指します。

 ビール類では、「ビール復権宣言」を事業方針に掲げ、総需要が減少傾向にある中で、売上拡大を達成したビールブランド強化の取り組みを継続します。発売40周年を迎える「サッポロ生ビール黒ラベル」は、独自の世界観と良質な飲用体験の機会をこれまで以上に広く提供することで、好調な売上トレンドを加速させます。「ヱビス」も、ご愛飲いただいているお客様との絆強化に加え、「ヱビス華みやび」を発売するなど、新たな接点の拡大を実現します。また、お客様の多様化するニーズに対応するためのオンリーワン商品を開発、育成することも進めます。

 RTD(※1)では、「驚きをカタチに」をスローガンに、「サッポロ 男梅サワー」などのヒット商品に加え、コラボRTDの新商品を提供するなど、独自価値の提案を推進していきます。

 ワインでは、引き続きファインワイン(※2)の提案強化を行います。日本ワイン「グランポレール」、シャンパーニュ「テタンジェ」、輸入ワイン「ペンフォールズ」を中心に、一層の販売拡大を行います。また、デイリーワインも、情報発信とプロモーション強化によりユーザーの拡大を目指します。

 洋酒では、世界販売量・販売金額No.1ラム「バカルディ」(※3)をはじめとして、「ボンベイサファイア」「デュワーズ」「マルティーニ」に注力します。

 和酒では、好調な甲乙混和芋焼酎「こくいも」の拡販に一層注力するとともに、「男梅の酒」や「ウメカクシリーズ」に加え、ユニークな「和リキュール」の提案を積極的に行っていきます。

 事業全体では、更なるブランド価値向上に向けた効果的な販売費の投下を行うとともに、その他のコスト削減にも取り組み、利益計画の達成を目指します。

※1 RTD : Ready To Drinkの略。栓を開けてそのまま飲める低アルコール飲料

※2 ファインワイン:1本1,500円以上の中高級価格ワイン(デイリーワイン:1本1,500円未満のワイン)

※3 2015年 インターナショナル・ワイン&スピリッツ・リサーチ調べ

 

[国際事業]

 北米においては、アメリカ大統領交代に伴う経済への影響が考えられ、カナダでは原油価格の変動による影響が想定されますが、北米のビール市場の総需要はほぼ横ばい圏に留まるものと見込まれます。アジアのビール市場は、人口増加及び底堅い経済成長を続ける国では、引き続き成長すると見込まれますが、一部の国では経済成長の鈍化やアルコールに対する規制強化を背景に、成長の鈍化が見られます。

 このような中で、国際事業は、重点エリアである北米及び東南アジアにおいて「サッポロ」をはじめとしたプレミアムブランドの浸透を図り、それぞれのエリア特性を踏まえた戦略を遂行することで、同市場における当社独自の地位を築いていきます。

 北米では、カナダ市場において、「スリーマン社」が扱うブランドの個性に合わせたマーケティング施策の展開や生産体制の最適化によるコスト削減を実施することで、シェアアップと利益計画の達成を目指します。アメリカ市場においては、「サッポロUSA社」が今後の伸びが期待できるエリアとチャネルに経営資源を戦略的に配分することで、「サッポロ」ブランドのプレゼンス拡大を図ります。アメリカの飲料市場においては、「シルバー スプリングス シトラス社」及び「カントリー ピュア フーズ社」の強みを活かす経営体制を構築し、新たな販路の獲得や生産体制の整備によって、売上拡大と収益向上を図ります。

 東南アジアでは、ベトナム市場において、お客様との接点である店頭にて「Sapporo Premium Beer」のブランド価値を訴求し、購買行動に繋がる効果的なマーケティング活動を展開することで、売上拡大と収益改善を目指します。シンガポール市場においては、グループ内のシンガポール子会社と協働して同国内の家庭用及び業務用市場の販路拡大を推進していきます。

 

[食品・飲料事業]

 国内飲料事業は、お客様の嗜好の多様化、飲料メーカー各社との競争激化、為替の影響や原材料の高騰などによるコスト増加が見込まれ、依然として厳しい経営環境が予想されます。

 このような中で、国内の食品・飲料事業は、「毎日の生活に彩りと輝きをくわえる、新しい『おいしい』を次々と生み出し続けます」というビジョンの下、お客様視点を徹底し、当社の優位性を発揮できる分野にて新たな価値を提案していきます。

 国内飲料では、「食感系」・「素材系」・「がぶ飲み」ブランドを強化し、当社独自のポジションを確立していきます。レモン飲料においては、「キレートレモン」ブランドのマーケティング強化を行うことに加え、新たな価値を持つ商品開発を行うことでレモンのリーダーとしてのポジションをさらに盤石にしていきます。

 国内食品のスープにおいては、お客様のスープを飲むシーンが広がってきている中で、昨年新たに発売したレトルトタイプのスープのように、今後も様々なシーンに適したスープ商品を徐々に広げ、需要拡大に努めます。業務用では、ポッカレモン、アルコールの関連商材、粉末茶、粉末スープなどでグループシナジーを生かしながら売上拡大を図っていきます。新規事業の豆乳事業においては、当社の強みである豆乳ヨーグルトの成長を図りながら、既存ブランドである「ソヤファーム」の売上拡大を目指していきます。

 国内外食では、「カフェ・ド・クリエ」においてきめ細かいマーケティングを行い、既存店の活性化を図ります。また新業態への取り組みを加速させ、ブランド価値の向上を進めていきます。

 海外飲料では、東南アジア各国での競争激化が見込まれますが、主力のシンガポール市場での茶系飲料や果汁飲料での優位性を強めながら、売上拡大と効率化を進めていきます。合弁会社を設立したインドネシアでは、生産・販売を本格稼動させ、ミャンマーにおいてもライセンス生産を開始しており、その国・地域に合った商品を提案し、更なる成長を目指します。

 

[外食事業]

 国内外食業界は、採用コストや原材料仕入価格等の継続的な上昇に加え、外資系外食チェーンの新たな参入や、小売業などとの業界を超えた競争の激化等により、引き続き厳しい経営環境が継続するものと想定されます。

 このような中で、外食事業は、引き続き「お客様へ100%満足の提供」を軸に、基本となる商品・サービス・店舗環境等の「営業品質」の向上を図るとともに、安全・安心な商品の提供に向けた取り組みを進めます。

 次期の新規出店においては、基幹業態である「銀座ライオン」や「ヱビスバー」の展開エリアの拡大、新業態の出店に取り組むとともに、将来に亘る収益力の維持・向上に向けて既存店舗の改装・ブラッシュアップに積極的に取り組みます。

 海外においては、シンガポール国内での「銀座ライオン」ブランドの定着に向けた取り組みを進めるとともに、「とん吉」ブランドの収益向上に向けた既存店舗の改装に取り組みます。また、周辺諸国への展開に向けた検討を進めていきます。

 

[不動産事業]

 不動産業界は、首都圏オフィス賃貸市場において、平成29年は新規供給量が少ないことから空室率は引き続き低い水準で推移し、それを受けて賃料水準も緩やかな上昇傾向が継続するものと推測しています。一方、平成30年以降32年までの間、大規模な新規供給が予定されていることから、平成29年末をピークに市況が変わる可能性があると予測しています。

 このような中で、不動産賃貸は、ハード・ソフト両面における競争力強化に引き続き努め、保有物件の稼働率及び賃料水準の維持向上に取り組んでいきます。

 中核施設である「恵比寿ガーデンプレイス」では、平成29年4月に事業所内保育所を開園する計画を進めています。恵比寿ガーデンプレイスタワーに入居しているテナント企業やそこで就業される育児期社員の「ワーク・ライフ・バランス」の促進を側面から支援するとともに、商業区画をはじめとする各エリアにおいても引き続きバリューアップを推進し、新たな付加価値を提供することで街全体のブランド価値向上を目指します。また、平成28年9月に開業した複合商業施設「GINZA PLACE(銀座プレイス)」は施設コンセプトである「発信と交流の拠点」として更に情報発信力を高め、ブランド価値向上に取り組んでいくとともに、街の賑わい創出や集客向上に貢献していきます。

 不動産開発では、札幌市が都心まちづくり重点地区と位置付けて進める「創成川以東地区」の再整備計画に合わせ、複合商業施設「サッポロファクトリー」の改装を引き続き進めるとともに、隣地駐車場跡地の新たな商業施設建設計画を着実に推進していきます。

 今後も不動産事業全体の価値向上を図るために、保有物件ポートフォリオの改善を進めるとともに、「まちづくり事業」を中心とした新たな事業ドメインの構築に取り組んでいきます。

 

(5)当連結会計年度末の連結財政状態の分析

①資産

 当連結会計年度末の総資産は、のれんの償却による減少及び投資有価証券の減少等があった一方、受取手形及び売掛金、土地の増加等によって、前連結会計年度末と比較して59億円増加し、6,263億円となりました。

②負債

 負債は、短期借入金の減少等があった一方、コマーシャル・ペーパー、長期借入金の増加等によって、前連結会計年度末と比較して34億円増加し、4,599億円となりました。

③純資産

純資産は、退職給付に係る調整累計額の減少、期末配当の実施等があった一方、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等によって、前連結会計年度末と比較して25億円増加し、1,663億円となりました。

④経営指標

 流動比率は、流動資産が78億円増加し、短期借入金の減少などの要因により、流動負債が215億円減少したことにより、前連結会計年度の66.9%から77.4%に10.5ポイント増加しました。

 自己資本比率は、「③純資産」に記載のとおり退職給付に係る調整累計額の減少、期末配当の実施等があった一方、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等によって自己資本が増加したことにより、前連結会計年度の25.5%から25.7%に増加しております。

 自己資本当期純利益率(ROE)は、「(2)当連結会計年度の経営成績の分析」に記載のとおり親会社株主に帰属する当期純利益が前年同期比で大幅な増益となったことにより、前連結会計年度の3.9%から5.9%に増加しております。

 D/Eレシオ(金融負債÷純資産)は、金融負債が前年並みだったことにより前連結会計年度同様の1.5倍であります。

 

(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析

①キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末に比べ0億円(1%増)増加し、当連結会計年度末には104億円となりました。

 当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

[営業活動によるキャッシュ・フロー]

 営業活動の結果得られた資金は、325億円(前期比26億円、8%減)となりました。これは主に、減価償却費223億円、税金等調整前当期純利益164億円等による増加要因と、法人税等の支払額109億円等の減少要因によるものです。

[投資活動によるキャッシュ・フロー]

 投資活動の結果使用した資金は、275億円(前期比178億円、183%増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出197億円、無形固定資産の取得による支出20億円等があったことによるものです。

[財務活動によるキャッシュ・フロー]

 財務活動の結果使用した資金は、48億円(前期比199億円、81%減)となりました。これは主に、長期借入れによる収入327億円、コマーシャルペーパーの純増額160億円等があった一方、長期借入金の返済による支出465億円、社債の償還による支出100億円等があったことによるものです。

②資金の流動性について

当社グループは、主要な連結子会社にキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入し、日本国内のグループ内資金を当社が一元管理しています。各グループ会社において創出したキャッシュ・フローを当社に集中することで資金の流動性を確保し、また、機動的かつ効率的にグループ内で配分することにより、金融負債の極小化を図っています。

③資金の調達

現在そして将来の営業活動及び債務の返済などの資金需要に備え十分な資金を確保するために、資金調達及び流動性の確保に努めています。必要な資金は、主に営業活動によって得られるキャッシュ・フロー、金融機関などからの借り入れによって調達しています。

 

(7)経営者の問題認識と今後の方針について

 経営者の問題認識と今後の方針につきましては、概ね「3.対処すべき課題」に記載のとおりです。

 特に今後の方針につきましては、「サッポログループ長期ビジョン『SPEED150』」のもと、取り組みを推進します。