第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 サッポログループは、「潤いを創造し 豊かさに貢献する」を経営理念に掲げ、「ステークホルダーの信頼を高める誠実な企業活動を実践し、持続的な企業価値の向上を目指す」ことを経営の基本方針として、企業活動を実践しています。

 当社は経営理念に基づく企業活動を通じて、あらゆるステークホルダーとのコミュニケーションを深め、情報発信力を強化することで、当社の存在感を高めながら、満足度向上を目指していきます。

 

(2)サッポログループ長期経営ビジョンに基づく取組み

 当社グループは、2016年11月に、2017年からグループ創業150周年に当たる2026年までの10年間に進むべき方向性を定めた「サッポログループ長期経営ビジョン『SPEED150』」を策定し、グループ成長の源泉を、創業以来140年の歴史の中で培われた「ブランド資産」であると改めて認識したうえで、「第一次中期経営計画(2017~2020年)」を推進してまいりました。

 しかし、昨今の業績動向を踏まえ、現組織体制及び事業活動の継続では市場環境やお客様の消費スタイル変化への対応が不十分と判断し、新たな経営計画「グループ経営計画2024」を策定し、2020年2月13日に公表いたしました。

 なお、既に公表しております「サッポログループ長期経営ビジョン『SPEED150』(2017年~2026年)」に変更はございません。

 

サッポログループ長期経営ビジョン「SPEED150」

 経営理念及び経営の基本方針は踏襲しながら、スピードを持って経営改革と事業成長に取り組むことで実現させる「2026グループビジョン」と「行動指針」を定めました。

 グループの成長の源泉は、創業以来140年の歴史の中で培われた「ブランド資産」であると改めて認識した上で、グループのコア事業を『酒』『食』『飲』の3分野と位置づけ、不動産事業とともにグループ保有のブランドを育成・強化していきます。国内にあまたある食品企業の中でも、『酒』『食』『飲』の3分野を展開するユニークな強みを活かし、特長ある商品・サービスをグローバルに展開し、お客様との接点拡大を図ることで、力強い成長を目指します。

○2026グループビジョン

 サッポログループは

 世界に広がる『酒』『食』『飲』で

 個性かがやくブランドカンパニーを目指します

○行動指針

 1.イノベーションと品質の追求による新たな価値の創造で、世界のお客様のより豊かな生活に貢献します

 2.お客様同士のコミュニケーション活性化に役立つ商品・サービスの提供とブランド育成に努めます

 3.環境変化に対応し、効率的な経営の実践に努めます

 

グループ経営計画2024

1.基本方針

 変化が激しく混沌とした時代こそチャンスであり、お客様に即応できる組織に大きく舵を切ります。複雑で膨らんだ現組織体制から徹底して無駄を省き、機動力を発揮できるシンプルでコンパクトな事業軸主体の組織構造とします。社員一人ひとりが変化の主体であることを強く認識し、全てがお客様の価値創造につながる仕組みに変革して参ります。

 

 酒類事業では、本業であるビール事業に集中する中で、創業以来のおいしさ、安全・安心、原料へのこだわりを深化させ、組織構造をお客様起点で改革し、お客様の楽しさ、喜びにつながる商品・サービスを続々と創造して参ります。伸長を続ける北米を中心としたグローバル事業に経営資源を積極的に投下、事業展開を加速し、世界でも個性的なブランドカンパニーを目指します。

 食品飲料事業では、抜本的な事業再生を断行しつつ、新たな生活シーンやスタイルにつながる食のイノベーションを実現できる体制へとシフトして参ります。

 不動産事業では、恵比寿・札幌・銀座という当社にゆかりある地域でのまちづくりを進めるとともに、新たな戦略投資に挑戦して参ります。

 

 (1)本業集中と強靭化

   ・ビール事業への経営資源集中

   ・低収益事業の縮小・撤退と、食をはじめとする成長分野へのシフト

 

 (2)グローバル展開の加速

   ・海外事業を事業会社に全て移管、一貫したブランドの世界戦略を展開

   ・北米とアジアパシフィックを中心に収益力強化と共に成長を加速

   ・グローバル人財の育成

 

 (3)シンプルでコンパクトな企業構造の確立

   ・小さい本社・わかりやすい組織に再編、BPR・DXの推進 ※

   ・ホールディングス社はガバナンス・事業会社支援・経営資源配分機能に特化

   ・事業会社に事業推進の機能全てを移管し、機動力を発揮

※ BPR=「ビジネスプロセス・リエンジニアリング」の略。既存の組織や制度を抜本的に見直し、業務プロセスを再設計すること。

 DX=「デジタルトランスフォーメーション」の略。IT技術を活用し、ビジネスモデルそのものを変えること。

 

 (4)サステナビリティ経営の推進

   ・良質原料を自ら作り上げる仕組みなどをはじめとした、社会的価値と経済的価値の両立

   ・恵比寿・札幌・銀座というゆかりある地域のまちづくり推進

   ・時代の要請に即した経営の透明性と公正性の進化

 

2.経営目標

 (1)2024年定量目標

 

 

2024年目標

事業利益

売上収益成長率

売上収益

事業利益率

海外売上収益

成長率

全社合計

300億円

2%以上(年平均)

5%以上

1.6倍(2019年比)

 

 (2)財務方針

 財務方針につきましては、投下資本に対する収益性・効率を重視しつつ、営業キャッシュフローと同等程度の投資を行い、収益力の強化を図ります。また、財務健全性につきましては、有利子負債水準に対する資本や収益力のバランスを踏まえ、NET D/EレシオやEBITDA有利子負債倍率を重要指標とし、現状の格付水準が維持可能なレベルを確保します。

 

 (3)株主還元方針

 株主還元方針につきましては、株主の皆様への適切な利益還元を経営上の重要政策と位置付けており、業績や財務状況を勘案して安定した配当を行うことを基本的な方針としております。

 今後の配当水準につきましては、新経営計画による企業価値向上を進めながら、配当性向やD0E(※)を勘案して参ります。なお、特殊要因にかかる一時的な損失や利益計上等により、「親会社の所有者に帰属する当期利益」が大きく変動する場合には、その影響を考慮して配当金額を決定することがあります。

※ DOE=配当額/資本額(親会社の所有者に帰属する持分合計)

 

 (4)経営環境

 各事業の経営環境は、「3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(2)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ④事業戦略と見通し」に記載しております。

 新たなグループ経営計画は、各事業の課題や成長スピードの違いを考慮し、2020年を期初とする5ヶ年計画とし、2024年の計画実現に向け力強く邁進して参ります。

 

 (5)会社の対処すべき課題

 各事業における対処すべき課題への取り組みは、「3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(2)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ④事業戦略と見通し」に記載しております。

 (6)当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

 当社は株式会社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(以下「会社の支配に関する基本方針」)を定めており、その内容の概要等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。

 

Ⅰ 会社の支配に関する基本方針

 当社は、持株会社として、酒類事業、食品飲料事業及び不動産事業を主体とする当社グループの事業の全体にわたる経営を統括しており、その経営に当たっては、幅広いノウハウと豊富な経験、並びに国内外の顧客・従業員及び取引先等のステークホルダーとの間に築かれた関係等への理解が不可欠です。したがって、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者に、これらに関する十分な理解がなくては、株主の皆様が将来実現することのできる株主価値を毀損してしまう可能性があり、明らかに当社株主の共同の利益を著しく損なうと判断される当社株券等の大規模な買付行為(以下「大規模買付行為」といい、かかる買付行為を行う者を以下「大規模買付者」といいます。)に対して当社取締役会が適切と考える措置を取ることも、当社株主の共同の利益を守るために必要であると考えます。

 

Ⅱ 当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の会社の支配に関する基本方針の実現に資する特別な取り組み

 当社グループは、2016年11月に、2017年からグループ創業150周年に当たる2026年までの10年間に進むべき方向性を定めた「サッポログループ長期経営ビジョン『SPEED150』」を策定し、グループ成長の源泉を、創業以来140年の歴史の中で培われた「ブランド資産」であると改めて認識したうえで、「第一次中期経営計画(2017~2020年)」を推進してまいりました。

 しかし、昨今の業績動向を踏まえ、現組織体制及び事業活動の継続では市場環境やお客様の消費スタイル変化への対応が不十分と判断し、新たな経営計画「グループ経営計画2024」を策定し、2020年2月13日に公表いたしました。

 「グループ経営計画2024」は、各事業の課題や成長スピードの違いを考慮し、2020年を期初とする5ヶ年計画とし、以下の基本方針のもと、2024年の計画実現に向け力強く邁進してまいります。

「基本方針」

(1)本業集中と強靭化

(2)グローバル展開の加速

(3)シンプルでコンパクトな企業構造の確立

(4)サステナビリティ経営の推進

 当社では、これまで以下のとおり積極的にコーポレートガバナンス体制の強化に取り組んでまいりました。

  1998年11月  「指名委員会」及び「報酬委員会」(各委員とも独立社外取締役及び取締役社長をもって構成、委員長は独立社外取締役から1名選任)を任意で設置、取締役の人事・処遇に係る運営の透明性を高め、経営機構の健全性の維持、向上に取組む

  1999年3月  執行役員制を導入

  2002年3月  取締役任期を1年に短縮

  2003年7月  純粋持株会社体制に移行し、以降、段階的に独立社外取締役の増員を図り、2009年より3名の独立社外取締役を選任

  2015年12月  「社外取締役委員会」(独立社外取締役をもって構成)を設置、当社及び当社グループの経営戦略、ならびにコーポレートガバナンスに関する事項等について、独立社外取締役の情報交換、認識共有の強化を図る

 また、当社は、2020年3月に監査等委員会設置会社に移行し、取締役会における独立社外取締役の比率は、これまでの3分の1から半数まで高まるなど、コーポレートガバナンスを一層充実させることに加え、経営の透明性、効率性を高め機動的な意思決定を可能とすることを通じて、さらなる企業価値の向上を図ります。当社では、監査等委員会設置会社移行後においても、その体制の構築や運営を適切に行い、持続的な成長と中長期的な企業価値向上の実現に向け、コーポレートガバナンスの強化充実に取り組んでいく所存です。

Ⅲ 会社の支配に関する基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組み

 当社は、Ⅰで述べた会社の支配に関する基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するため、大規模買付行為が行われる場合、大規模買付者には一定の合理的なルール(以下「大規模買付ルール」といいます。)にしたがっていただくこととし、これを遵守した場合及び遵守しなかった場合につき一定の対応方針を定め、これらを取りまとめて当社株券等の大規模買付行為への対応方針(以下「本対応方針」といいます。)として定めています。

 当社の定める大規模買付ルールは、当社株主の皆様が大規模買付行為に応じるか否かを判断するために必要な情報や、当社取締役会の意見を提供し、更には当社株主の皆様が代替案の提示を受ける機会の提供を保証することを目的として、大規模買付者に対して、大規模買付行為に関する必要かつ十分な情報を当社取締役会に事前に提供することを求めており、大規模買付行為は、その後に設定される当社取締役会のための一定の評価期間が経過した後にのみ開始されるものとしています。大規模買付者がかかる大規模買付ルールを遵守した場合、当社取締役会は、当該大規模買付行為が明らかに当社株主の共同の利益を著しく損なうと判断される場合を除き、大規模買付行為に対する対抗措置は取りません。他方、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しなかった場合には、当社取締役会は、当社株主の共同の利益を守ることを目的として、会社法その他の法律及び当社定款が認める対抗措置をとり、大規模買付行為に対抗することがあります。

 本対応方針の詳細につきましては、当社ホームページ(注)に掲載しています。

 本対応方針は、2020年3月27日に開催された当社第96回定時株主総会において株主の皆様の承認を得た上で発効しており、有効期間は2023年3月31日までに開催される当社第99回定時株主総会の終結の時までとなっています。

 (注)当社ホームページ https://www.sapporoholdings.jp/news/items/20200213tekijikaiji-kaituketaiou.pdf

 

Ⅳ 本対応方針が会社の支配に関する基本方針に沿うものであり、株主共同利益を損なうものではないこと、会社役員の地位の維持を目的とするものでないこと及びその理由

(1)本対応方針が会社の支配に関する基本方針に沿うものであること

 本対応方針は、大規模買付ルールを遵守しない大規模買付者に対して当社取締役会が対抗措置を講じることがあることを明記しています。また、本対応方針は、大規模買付ルールが遵守されている場合であっても、大規模買付行為が明らかに当社株主の共同の利益を著しく損なうものと当社取締役会が判断した場合には、かかる大規模買付者に対して当社取締役会は当社株主の共同の利益を守るために適切と考える対抗措置を講じることがあることを明記しています。このように、本対応方針は、会社の支配に関する基本方針に沿って設計されたものといえます。

(2)本対応方針が当社株主の共同の利益を損なうものではないこと

 Ⅰで述べたとおり、会社の支配に関する基本方針は、当社株主の共同の利益を尊重することを前提としています。また、本対応方針は、かかる会社の支配に関する基本方針の考え方に沿って設計され、当社株主の皆様が大規模買付行為に応じるか否かを判断するために必要な情報や当社取締役会の意見の提供、代替案の提示を受ける機会の提供を保証することを目的としており、本対応方針によって、株主の皆様は適切な投資判断を行うことができます。このように、本対応方針は、当社株主の共同の利益を損なうものではなく、むしろその利益に資するものであると考えます。

(3)本対応方針が当社役員の地位の維持を目的とするものではないこと

 本対応方針は、当社取締役会が対抗措置を発動する場合を事前かつ詳細に開示しており、当社取締役会による対抗措置の発動はかかる本対応方針の規定に従って行われます。当社取締役会は単独で本対応方針の発効・継続を行うことはできず、当社株主の皆様の承認を要します。

 また、大規模買付ルール上、当社取締役会は、大規模買付行為に関して評価・検討を行い、取締役会としての意見を取りまとめるなどの際には、必要に応じて外部専門家等の助言を得るとともに、当社の業務執行を行う経営陣から独立している委員で構成される独立委員会へ諮問し、同委員会の勧告を最大限尊重するものとされており、本対応方針には、当社取締役会による適正な運用を担保するための手続も盛り込まれています。

 以上から、本対応方針が当社役員の地位の維持を目的とするものでないことは明らかと考えます。

 

2【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績及び財務状況など(株価などを含む)に影響を及ぼす可能性のあるリスク要因を以下に記載しています。当社グループは、これらのリスクを適切に把握し、業務執行上の重要な意思決定ないし事業遂行等に内在するリスクは、経営会議において管理することとし、同会議における審議、報告事項等に対して、経営戦略・経理・法務等の管理部門がそれぞれ想定されるリスクを分析し、必要な報告を行う体制を構築しています。緊急事態の発生、あるいは緊急事態につながるおそれのある事実が判明した際のリスク対応は、グループリスクマネジメント委員会が子会社の危機管理組織等と連携して情報開示も含む対応策を協議し、迅速かつ適正な対応を行い、リスクの低減に取り組んでいます。

 なお、文中の将来に関する事項は、2019年12月31日現在において当社グループが判断したものです。

 

①経済情勢及び人口動態の変化について

 当社グループの売上収益は主に国内の景気動向による影響を受けるため、経済情勢の変化による景気悪化に伴い、主要製品の出荷変動、デフレ傾向による主要製品の単価下落の可能性や保有資産の価値の低下につながる可能性があります。また、日本国内の少子高齢化現象による市場全体の縮小やそれに伴う従業員の雇用に関する競争激化、退職率の上昇等により、事業活動に必要な専門性をもった人材を十分に確保、育成できない場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

②特定事業分野への依存度について

 当社グループの売上収益において酒類事業の占める割合は66%となっており、またその大部分は国内市場での売上となっております。この国内市場への高依存体質を脱却し、さらなる収益性の拡大を目指すため、海外市場での事業活動の拡充を図っております。

 しかしながら、依然、国内市場への依存は高く、国内市場での需要が減少する中での競合他社との価格競争、2020年から段階的に実施される酒税の税率変更、消費者の嗜好の変化、商品値上げ、冷夏や長期間にわたる梅雨などの要因によって売上が減少した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③海外における事業活動について

 当社グループは、海外市場での事業活動を拡充することにより利益の拡大を図っており、米国・カナダを中心に拡充しております。アジアにおいては、シンガポールを中心に飲料・外食の事業活動を行っております。また、ベトナムにおいては、ロンアン工場にて現地産ビールの製造・販売をしております。

 これらの当社グループの海外における事業活動においては、経済の動向、競争環境の変化や為替相場の変動に加えて、投資、貿易、税及び為替等に関する法的規制の変更、商慣習の相違、労使関係、テロリズム、伝染病並びにその他の政治的・社会的・経済的混乱等の要因により、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

④食品の安全性について

 当社グループは品質保証体制の確立に向けて取り組みを強化しておりますが、当社グループ固有の品質問題のみならず、社会全般にわたる一般的な製品及び原料に係る品質問題などが発生した場合、製品回収、出荷不良品発生などの可能性があります。外食事業においては、食中毒が発生した場合、一定期間の営業停止などを命ぜられ、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤製造委託品及び仕入商品について

 当社グループは一部の商品について外部に製造委託を行っております。また、仕入商品も取り扱っております。製造委託商品や仕入商品についても品質については万全を期しておりますが、当社グループの取り組みの範囲を超えた品質問題などが発生した場合、販売休止、製品回収などの可能性があり、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥原料・資材価格について

 当社グループの使用する主要な原料・資材には、その価格が商品相場や為替市場等の状況により変動するものがあります。それら原料・資材の価格が高騰することにより、売上原価が上昇し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦設備投資計画等について

 当社グループでは、設備投資、システム開発を継続的に行っておりますが、当初計画からのスケジュールの遅れ、投資予定額の増加などにより業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑧顧客情報流出について

 当社グループでは個人情報の管理の徹底に向けた体制作りを強化しておりますが、今後、予測不能のウィルスの侵入や情報への不正アクセスなどにより、個人情報の流出などの問題が発生した場合、当社グループへの損害賠償請求や信用の低下などにより費用の増加や収益の減少が発生し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨得意先への信用リスクについて

 当社グループは得意先や投資先の信用リスクに備えておりますが、予期せぬ倒産などの事態により債権回収に支障が発生した場合など、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩法的規制などの影響

 当社グループは、酒税法や食品衛生法、環境・リサイクル関連法規、景品表示法などの様々な法的規制の適用を受けております。また、事業を展開する各国の法的規制の適用を受けております。このような中、法的手続きによる権利の保全にも万全を期しておりますが、将来において新たな法的規制などが設けられる可能性があり、これらの法的規制などの適用を受けることとなった場合、事業活動が制限されたり、新たな費用が発生したりすることで業績に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、酒税の増税や消費税の増税などが実施されることでの需要の減少、ビール・発泡酒を始めとする酒類の広告に対する規制や、酒販店店頭での販売時間に対する規制、酒類販売場所の規制が広がっていく場合、需要の減少や新たな規制に対応するための費用などの要因について、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪訴訟や罰金等の発生するリスクについて

 当社グループでは、事業の遂行にあたり従業員啓発のための研修を通じたコンプライアンスの推進により、各種法令違反等の低減努力を実施しております。しかしながら、国内外の事業活動の推進にあたって、当社グループ各社及びその従業員の法令等に対する違反の有無にかかわらず、製造物責任法、知的財産法、税務等の問題で訴訟を提起される、または罰金等を科される可能性があります。また、訴訟が提起される事態、また訴訟の結果によっては、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫自然災害・感染症の発生によるリスクについて

 当社グループは、国内外に事業拠点を有しております。各拠点では自然災害や感染症等に対する防災、事業継続性の確保に努めております。しかし、想定をはるかに超えた状況が発生した場合は、当社の所有する建物、設備等に損害を及ぼし、一時的な事業停止や物流網の混乱に伴い商品供給に支障をきたす可能性があります。また、感染症の発生や蔓延は、行動の制限や消費マインド減退に伴う売上の低下が予想され、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑬金融負債について

 当社グループでは、各事業の必要資金の多くを、社債や金融機関からの借入により調達しており、金融負債は総資産に比して高い水準にあります(2019年12月31日現在2,273億円(連結ベース)、総資産の36%)。当社グループでは成長戦略の遂行に伴い大規模な投資等を行うことにより、さらに金融負債が増加する場合もあります。また、今後、市場金利が上昇した場合や、格付機関が当社の格付を引き下げた場合には、金利負担が重くなったり資金調達の条件が悪化することにより、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑭退職給付債務について

 当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、割引率など数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。制度資産の公正価変動、金利の変動、年金資産の変更等、前提条件に大きな変動があった場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑮固定資産の減損について

 当社グループでは、減損会計を適用しております。将来、当社グループが保有する固定資産及び企業結合により取得したのれん等について、経営環境の著しい悪化等による収益性の低下や市場価格の下落等により、減損損失が発生した場合、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑯事業・資本提携について

 当社グループでは、中期経営計画に沿って成長に向けた競争力強化の一環として国内外他社との事業・資本提携を推進しております。しかし、市場環境や事業環境の変化などによっては、当初想定していた成果を得られず、場合によっては、提携先及び出資先の事業、経営及び資産の悪化等が生じた場合、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑰持株会社のリスクについて

 当社グループを代表して上場しているサッポロホールディングス㈱(以下「当社」といいます。)は、当社が直接保有している事業会社が当社に対して支払うブランド使用料、グループ経営分担金及び受取利息を主な収益源とし、さらに各事業会社が業績や財政状態に応じて支払う配当金を収入としております。このため、各事業会社の財政状態が悪化し、当社に対して配当を支払えない状況が生じた場合には、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)業績等の概要

①業績

 

売上収益

営業利益

税引前利益

親会社の所有者に

帰属する当期利益

 

百万円

百万円

百万円

百万円

2019年12月期

491,896

12,208

11,588

4,356

2018年12月期

493,908

11,588

10,629

8,521

増減率(%)

△0.4

5.3

9.0

△48.9

 当期の日本経済は、消費税の引き上げや自然災害等を背景に国内需要が減少したものの、堅調な企業業績により設備投資は増加、個人の雇用・所得の改善も着実に進み、全体的には底堅く推移しました。一方、世界経済は、米中貿易摩擦、米イラン対立の激化等の地政学リスクの高まりを受け、先行きが不透明な状況となりました。

 酒類業界では、国内は消費者の節約志向から、低価格商品への需要シフトが一層顕著となりました。北米ビール市場は、主に寒波の影響により前期を下回ったものと推定されます。アジアのビール市場は各国で状況が異なりますが、ベトナムは引き続き成長しています。飲料業界では、国内は主に台風の影響により総需要は前期を下回ったものと推定されます。不動産業界では、首都圏オフィス賃貸市場において引き続き需要が堅調であったことから、賃料水準も緩やかな上昇傾向が継続しました。

 このような状況の下、当社グループでは「サッポログループ長期経営ビジョン『SPEED150』」及び「第一次中期経営計画2020」に基づく成長戦略を加速させ、「世界に広がる『酒』『食』『飲』で個性かがやくブランドカンパニー」になることを目指し、2019年度の財務目標達成に向かい歩んできました。

 なお、当連結会計年度において、食品飲料事業に含まれる北米飲料事業を統括する持株会社であるCountry Pure Foods, Inc.における当社保有の全株式をBPCP CPF Holdings Inc.に譲渡したため、北米飲料事業に関連する損益を非継続事業に分類しております。

 

売上収益

 酒類事業では、主力ブランドの「サッポロ生ビール黒ラベル」や、積極投資を行った「サッポロ チューハイ99.99<フォーナイン>」等が好調に推移しましたが、新ジャンルの売上数量が前期を下回ったことから減収となりました。食品飲料事業では、缶コーヒー市場の停滞や天候不良による需要の落ち込みがあったものの、ヤスマ社の新規連結により増収となりました。不動産事業では、主力物件の賃料収入が増加し、増収となりました。

 以上の結果、連結売上収益は4,919億円(前期比20億円、0%減)となりました。

営業利益

 酒類事業では、国内のコストコントロール、商品ミックスの改善、及び前期に計上したアンカー社の減損損失が当期には計上がなかったことにより、増益となりました。食品飲料事業では、国内の売上数量が減少した影響で減益となりました。不動産事業では、主力物件の賃料収入の増加に加え、物件ポートフォリオの見直しによる不動産売却益が貢献し、増益となりました。

 以上の結果、連結営業利益は122億円(前期比6億円、5%増)となりました。

税引前利益

 税引前利益は116億円(前期比10億円、9%増)となりました。

親会社の所有者に帰属する当期利益

 Country Pure Foods, Inc.の株式譲渡に伴う非継続事業からの当期損失の増加により、親会社の所有者に帰属する当期利益は44億円(前期比42億円49%減)となりました。

 

以下、事業セグメント別の概況は記載のとおりです。

 

 

売上収益(百万円)

営業利益(百万円)

2018年

12月期

2019年

12月期

増減率(%)

2018年

12月期

2019年

12月期

増減率(%)

酒類事業

330,009

324,438

△1.7

3,856

7,877

104.3

食品飲料事業

133,384

136,876

2.6

1,910

△1,151

不動産事業

24,483

24,690

0.8

12,047

12,714

5.5

 

 以下、事業セグメント別の概況は記載のとおりです。また、当期よりマネジメントアプローチによる管理を一層強化するため、これまでの5報告セグメントを3報告セグメントヘ変更しております。

 これに伴い、前期比較につきましては、前年数値を変更後の報告セグメントに組み替えた数値で比較しております。

 

〔酒類事業〕

(日本・アジア)

 国内のビール類の総需要は、前期比99%程度と推定されます。

 このような中、国内酒類事業は、ビジョンとして「オンリーワンを積み重ね、No.1へ」を継続し、独自の新価値の提供を積み重ねることによって、成長を目指しました。

 ビールでは、「ビール再強化宣言」の事業方針のもと、「サッポロ生ビール黒ラベル」「サッポロラガービール」「サッポロクラシック」が好調に推移し、ビールの売上数量は前期比101%となりました。

 一方、新ジャンルでは市場の競争激化により売上数量が減少し、ビール類合計の売上数量は前期比97%となりました。

 RTD(※1)では、2018年8月に発売した「サッポロ チューハイ99.99<フォーナイン>」が好評を得たことにより、「男梅サワー」等のコラボRTDの主軸商品に比肩するまでに成長したことで、売上収益は前期を大幅に上回りました。

 ワインでは、輸入ワインの「ペンフォールズ」、シャンパーニュ「テタンジェ」や、日本ワイン「グランポレール」などのファインワイン(※2)の販売を強化しました。一方、デイリーワイン(※2)が伸び悩んだことなどから、売上収益は前期を下回りました。

 洋酒では、「デュワーズ」等の主力ブランドが好調に推移したことで、売上収益は前期を上回りました。

 和酒では、甲乙混和芋焼酎売上No.1(※3)の「こくいも」ブランドが堅調に推移したものの、売上収益は前期を下回りました。

 アジアでは、ベトナムにおいて、持続的に利益を創出できる販売体制の確立に取り組みました。

(北米)

 北米のビール市場の総需要は、アメリカ、カナダともに前期を下回ったと推定されます。

 このような中、北米酒類事業は、プレミアムビールを中心に主力ブランドの強化と各ブランドのポートフォリオ強化に取り組みました。

 カナダでは、スリーマン社が主力のプレミアムブランドへのマーケティング投資を継続しましたが、総需要の落ち込みが影響し、ビール売上数量(「サッポロ」ブランドを除く)は前期を下回りました。

 アメリカでは、サッポロUSA社がアメリカ一般市場やアジア系市場へ「サッポロ」ブランドの販売促進活動を強化したことで、同社の「サッポロ」ブランドのビール売上数量は前期を上回りました。一方、アンカー社は、主戦場であるサンフランシスコにおけるクラフトビール需要の落ち込みが続く厳しい経営環境のなか、サッポロUSA社とのセールスシナジー強化に取り組みました。

(外食)

 国内の外食市場は前期から増収傾向が続く一方、人手不足に伴う採用コストや原材料の仕入価格等が上昇基調にあり、依然として厳しい経営環境にありました。

 このような中、サッポロライオン社は企業理念である「JOY OF LIVING~生きている喜び~」のもと、安全・安心な商品の提供を心がけ「お客様へ100%満足の提供」を目指す店舗づくりを進めました。

 国内では、店舗改装に伴う休業、不採算店舗の閉店等の影響があったものの、既存店が好調だったこと、及びハンエイ社の新規連結により、増収となりました。新規店は、東京・銀座に「留萌マルシェ」、大阪・梅田に「グランポレールバー」2号店、基幹業態である「ヱビスバー」を静岡に1店舗と大阪に2店舗、その他含め合計9店舗の出店を行いました。店舗改装は、新橋店1階を初の研修店舗「銀座ライオン新橋トレーニングセンター店」としてリニューアルオープンするなど、合計4店舗の改装を行いました。一方、契約満了や不採算等の事由により16店舗を閉鎖し、当期末の国内店舗数は195店舗となりました。今後も店舗数の拡大を図るとともに、既存店の店舗改装・業態変更を積極的に行っていきます。

 シンガポールでは、ビヤホール文化を世界に発信すべく、引き続き取り組みました。

 

 以上の結果、酒類事業の売上収益は3,244億円(前期比56億円2%減)となり、営業利益は79億円(前期比40億円104%増)となりました。

※1 RTD : Ready To Drinkの略。栓を開けてそのまま飲めるアルコール飲料

※2 ファインワイン:中高級価格(1本1,500円以上)のワイン、デイリーワイン:低価格(1本1,500円未満)

     のワイン

※3 インテージSRI甲乙混和芋焼酎市場2018年4月~2019年12月累計販売金額全国SM/CVS/酒DSの合計

〔食品飲料事業〕

 国内の飲料の総需要は、前期比98%と推定されます。

 このような中、ポッカサッポロ社は、飲料事業では独自の価値提案を強化し、食品事業では今後の事業成長の布石となる積極的な投資を行いました。

 国内飲料では、自社の強みを活かした商品展開が奏功し、レモン飲料が好調に推移、新ブランド「LEMON MADE」も好評を得ました。「加賀棒ほうじ茶」シリーズもお客様の支持を集め好調に推移し、売上数量は前期を上回りました。一方、缶コーヒー市場の低迷、天候の影響を受け、飲料合計の売上数量は前期を下回りました。

 国内食品では、レモン食品が健康ニーズを捉え、基幹商品である「ポッカレモン100」を中心に好調に推移し、売上数量は前期比107%となりました。また、4月には大崎上島町(広島県)で国産レモンの生産振興を目的とした自社栽培を開始、夏には全国レモンサワーグランプリ2019を開催するなど、レモンの需要と接点拡大に取り組みました。スープ食品は、当期に新設した仙台工場の稼働により自社生産能力を増強し、「じっくりコトコトシリーズ」に特徴あるラインナップを投入するなど基幹商品の強化を図りましたが、暖冬の影響により売上数量は前期を下回りました。大豆・チルドは、3月に豆乳ヨーグルト製造ラインが稼働し、「SOYBIO(ソイビオ)」ブランドを付した無糖の大容量サイズやストロー付きタイプを発売するなど、様々なシーンに適した商品を強化した結果、売上数量は前期比113%と伸長しました。

 2月に香辛料など食品原料を製造するヤスマ社がグループに加わり、売上収益に貢献しました。

 カフェチェーン「カフェ・ド・クリエ」においては、季節やトレンドに合わせた限定メニュー等が好調で、売上収益は前期を上回りました。

 海外飲料では、シンガポールからの輸出事業は回復傾向にあり、シンガポール国内でも売上収益は前期を上回りました。

 

 以上の結果、食品飲料事業の売上収益は1,369億円(前期比35億円、3%増)となり、営業損失は12億円(前期は19億円の利益)となりました。

 

〔不動産事業〕

 不動産業界は、首都圏オフィス賃貸市場において、大量供給の影響による市況の悪化が懸念されていましたが、堅調な企業業績等を背景に引き続き需要は底堅く、依然として空室率は低い水準で推移しました。それを受けて賃料水準も緩やかな上昇傾向が継続しました。

 このような中、不動産賃貸では、収益の柱である「恵比寿ガーデンプレイスタワー」をはじめ、首都圏を中心に保有する各物件で高稼働率を維持しました。また、既存テナントの賃料水準引き上げにも積極的に取り組みました。

 開業25周年を迎えた複合商業施設「恵比寿ガーデンプレイス」では、11月にグラススクエアの一部がコワーキングスペースを中心とした複合施設「PORTAL POINT -Ebisu-」に生まれ変わり、そこで働く方々と来街者がつながる機会を生む複合的なエリアとなりました。恵比寿のランドマークとして、これまで以上にお客様に「豊かな時間」「豊かな空間」を感じていただける「大人の街」となるべく、ブランド力強化と利便性向上による資産価値向上に向けて取り組みました。

 複合商業施設「GINZA PLACE(銀座プレイス)」は、地下1階の全面リニューアルを行いました。7月には通年型アンテナショップ「サッポロ生ビール黒ラベルTHE BAR」などもオープンし、賑わいを見せています。

 複合商業施設「サッポロファクトリー」では、札幌市が進めている創成川以東地区の再整備計画に合わせ改装を進めており、一部のフロアをリニューアルオープンしました。周辺環境が変化する中、新たなライフスタイルの提案と利便性向上に取り組み、エリアの発展に寄与しています。

 併せて、不動産事業全体の価値向上を図るため、長期的な視点から物件ポートフォリオの戦略的な組替えを継続し、新規事業開発等に取り組みました。

 

 以上の結果、不動産事業の売上収益は247億円(前期比2億円、1%増)、営業利益は127億円(前期比7億円、6%増)となりました。

 

②財政状態の状況

 当期末の資産合計は、その他の金融資産(非流動)の増加があった一方、有形固定資産、無形資産、のれんの減少により、前連結会計年度末と比較して10億円減少し、6,387億円となりました。

 負債は、その他の金融負債(非流動)の増加等があった一方、退職給付に係る負債、社債及び借入金(流動)の減少により、前連結会計年度末と比較して108億円減少し、4,642億円となりました。

 資本は、非支配持分の減少があった一方、親会社の所有者に帰属する当期利益、その他の資本の構成要素の増加により、前連結会計年度末と比較して98億円増加し、1,745億円となりました。

 流動比率は、流動資産が22億円増加し、コマーシャル・ペーパーの減少等の要因により、流動負債が41億円減少したことにより、前連結会計年度の71.5%から74.0%に2.5ポイント増加しました。

 親会社所有者帰属持分比率は、期末配当の実施によって利益剰余金の減少があった一方、親会社の所有者に帰属する当期利益の増加、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の増加等によって親会社の所有者に帰属する持分が増加したことにより、前連結会計年度の25.2%から27.3%に増加しております。

 親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)は、「①業績」に記載のとおり親会社の所有者に帰属する当期利益が前年同期比で減益となったことにより、前連結会計年度の5.1%から2.6%に減少しております。

 D/Eレシオ(金融負債÷資本合計)は、資本合計が増加したことにより1.3倍となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末に比べ52億円(52%)増加し、当連結会計年度末には152億円となりました。

 当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、361億円(前期比52億円、17%増)となりました。これは主に減価償却費及び償却費282億円、非継続事業の売却損49億円による増加要因があったことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、249億円(前期比62億円、33%増)となりました。これは主に、信託受益権(投資不動産)の売却による収入86億円があった一方、有形固定資産の取得による支出150億円、投資不動産の取得による支出132億円があったことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、60億円(前期比85億円、59%減)となりました。これは主に、長期借入による収入214億円、社債の発行による収入200億円があった一方、長期借入金の返済による支出215億円、社債の償還による支出100億円、リース負債の返済による支出70億円、コマーシャル・ペーパーの減少額65億円があったことによるものです。

 

(2)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

 当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析は、以下のとおりです。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来に関する事項には不確実性を内在しており、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性があります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。

連結財務諸表の作成においては、連結会計年度末日における資産・負債の金額及び偶発債務の開示、ならびに連結会計年度における収益・費用の適正な計上を行うため、見積りや前提が必要となります。当社グループは、過去の実績又は各状況下で最も合理的と判断される前提に基づき見積りを実施しています。

重要な会計方針及び見積りの詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。

 

②当連結会計年度の経営成績の分析

 「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要 ① 業績」に記載のとおりです。

 

③経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績に重要な影響を及ぼすと思われる事項については、概ね「2.事業等のリスク」に記載のとおりです。

 中でも、当社グループでは海外での事業展開を進めており、日本国内の景気動向のみではなく、事業活動を行っている国・地域の経済動向及びその他の要因により影響を受ける可能性があり、リスク管理体制を一層強化する取り組みを進めます。

 経営環境が依然として不透明な状況が続く中、環境変化への対応力を一層高める取り組みを進めます。

④事業戦略と見通し

 次期は、「サッポログループ長期経営ビジョン『SPEED150』」における「グループ経営計画2024」の1年目として、引き続きコア事業と位置付けた『酒』『食』『飲』分野で特長ある商品・サービスをグローバルに展開し、お客様との接点拡大を図ることで、力強い成長を目指します。

 

〔酒類事業〕

(日本・アジア)

 新しいビジョンとして「誰かの、いちばん星であれ ひとりひとりの心を動かす物語で お酒と人との未来を創る 酒類ブランドカンパニーを目指す <プレミアム&リーズナブル><グローバル&パーソナル>」に改めます。「私たちにしかできない」プレミアム価値の提供品質を磨き続けると同時に、高品質なものをより安くお届けするリーズナブル価値の提供に関しても、私たちらしい商品・サービスの提供を充実させていきます。

 ビール事業では、多様なビールブランドを持つ強みを活かし、ビール強化を最優先で継続し、「サッポロ生ビール黒ラベル」「ヱビス」を中心としたブランドプレゼンスの向上を図ります。加えて、新ジャンル市場では、新商品「サッポロゴールドスター」を2月に発売し、「サッポロ麦とホップ」とのツートップ戦略でおいしさ価値を徹底追求していきます。

 RTDでは、食中酒としてのポジション確立に向け、主力ブランドの「サッポロ チューハイ99.99<フォーナイン>」をさらに強化し、「男梅サワー」などのコラボレーションによる独自価値商品とともに成長を加速させます。

 ワインでは、引き続きファインワインの提案強化を行い、ブランドイメージの構築と販売拡大を行うとともに、デイリーワインではブランドの認知とユーザーの裾野拡大を図ります。

 スピリッツ(洋酒・和酒)においては、世界販売量・販売金額No.1ラム「バカルディ」をはじめとして、「デュワーズ」「ボンベイサファイア」、そして好調な甲乙混和芋焼酎「こくいも」の拡販に注力し、情報発信を継続して話題喚起を図ります。

(北米)

 アメリカでは、通商政策の不確実性はあるものの、緩和的な金融環境と好調な雇用動向に支えられた消費が緩やかな経済成長を牽引すると考えられます。カナダでは、好調な雇用動向、輸出動向が経済成長率を押し上げることが想定されます。ただし、北米のビール市場の総需要は、酒類における嗜好の多様化を背景にほぼ横ばい圏に留まるものと見込まれます。

 このような中、北米酒類事業は、「Sapporo Premium Beer」をはじめとしたプレミアムブランドの浸透を図り、それぞれのエリア特性を踏まえた戦略を遂行することで、市場において独自の地位を築いていきます。

 カナダ市場においては、スリーマン社は戦略ブランドの強化やポートフォリオの最適化を行い、プレミアムブランドへの経営資源投入を継続するとともに、RTD強化に向けて取り組んでいきます。

 アメリカ市場においては、サッポロUSA社とアンカー社は、製造・販売両面におけるシナジー効果を最大限発揮し「Sapporo Premium Beer」「Anchor」ブランドの販売強化を図るとともに、収益構造の改善を図ります。

 また、2020年4月1日に、スリーマン社、サッポロUSA社、アンカー社をサッポロビール社の子会社とし、国内外で一貫したブランド戦略を実施し、グローバルサプライチェーンマネジメントの最適化を推進します。

(外食)

 国内外食業界では、人手不足に伴う採用コストや原材料仕入価格等の継続的な上昇に加え、業界を超えた競争の激化により、今後も厳しい経営環境が継続するものと予想されます。

 このような中、サッポロライオン社は「お客様へ100%満足の提供」を軸に、基本となる商品・サービス・店舗環境等の品質の向上を図るとともに、安全・安心な商品の提供に向けて取り組んでいきます。

 新規出店では基幹業態である「銀座ライオン」「ヱビスバー」を中心に展開エリアの拡大を図るとともに、新たな業態開発や新規事業への参入にも注力します。また、将来に亘る収益力の維持・向上に向けて既存店舗の改装・不採算店舗の閉鎖・業態変更にも積極的に取り組み、既存事業の抜本的なコスト改革を実施していきます。

 

〔食品飲料事業〕

 国内の食品飲料事業は、「毎日の生活に彩りと輝きをくわえる、新しい『おいしい』を次々と生み出し続けます」というビジョンの下、経営資源の選択と集中でこれまで以上に食の領域を拡大し、自社の優位性を発揮しながらお客様に喜ばれるものづくりで新たな価値を提案していきます。

 国内飲料では、「キレートレモン」ブランドに磨きをかけながら「LEMON MADE」を育成すると共に、自社ならではの個性的な商品展開で独自のポジションを確立していきます。

 国内食品のスープでは、新工場稼働で市場への柔軟な対応が可能となり、主力の「じっくりコトコト」ブランドを再活性化させることに加え、時代にマッチした新商品を発売することで、カップ入り食品の確実な市場浸透を推進します。レモン食品では、レモンの活用シーンの提案や健康価値発信を行う等、「ポッカレモン100」やレモン酢商品の更なる需要拡大を後押しする活動をしていきます。大豆・チルドでは、豆乳ヨーグルトの認知向上とお客様接点の拡大を図り、「食」分野の成長を加速させていきます。業務用は、サッポログループのシナジーを活かしながら、レモン原料、粉末スープ、粉末茶等の売上収益の拡大を図ります。

 国内外食では、「カフェ・ド・クリエ」においてきめ細かなマーケティングを行い、既存店の活性化を図ります。また新規出店を加速させ、クリエブランドの価値向上を進めていきます。

 海外飲料では、主力のシンガポール市場での茶系飲料や果汁飲料での優位性を維持しつつ、売上拡大と効率化を引き続き進めていきます。また各国の市場ニーズに合わせた商品を展開しプレゼンスを高めていきます。

 

〔不動産事業〕

 不動産業界は、首都圏オフィス賃貸市場において、大規模な新規供給が予定されていますが、企業の需要は底堅く、短期的には大きく需給バランスが崩れることはないと予測しています。しかし、世界情勢や東京オリンピック、パラリンピック後の経済の動向等、先行き不透明感が払拭されない中、景気減速や競争激化による空室率の上昇、賃料の下落等、市況が変化する可能性があるとみています。

 このような中、不動産賃貸は、ハード・ソフト両面における競争力強化を継続し、保有物件の稼働率及び賃料水準の維持向上に取り組んでいきます。

 中核施設である「恵比寿ガーデンプレイス」では、多様なライフスタイル・ワークスタイルの変化にあわせ、利便性向上を図るとともに、新たな機能・付加価値を提供することで引き続き収益の維持向上とまち全体のブランド価値向上を目指します。

 また、複合商業施設「サッポロファクトリー」では、札幌市が進めている創成川以東地区の再整備計画や周辺環境の変化に合わせ、同地区のフラッグシップとして今後も新たなライフスタイルの提案と魅力ある都市空間づくりに努めていきます。

 不動産事業全体の価値向上を図るために、保有物件ポートフォリオの戦略的な組替え等を通じて、恵比寿・札幌でのまちづくりを推進するとともに、新たな事業領域での収益獲得に取り組んでいきます。

 

⑤当連結会計年度末の連結財政状態の分析

 「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりです。

 

⑥資本の財源及び資金の流動性についての分析

ⅰ)キャッシュ・フローの分析

 「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 また、キャッシュ・フロー関連指標の推移は、以下のとおりです。

 

2018年12月期

2019年12月期

親会社所有者帰属持分比率(%)

25.2

27.3

時価ベースの親会社所有者帰属持分比率(%)

27.9

31.5

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

9.4

8.0

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

14.0

17.2

親会社所有者帰属持分比率:親会社の所有者に帰属する持分/資産合計

時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額/資産合計

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

(注1)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

(注2)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。

(注3)有利子負債は連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。

ⅱ)資金の流動性及び資金の調達について

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、生産・販売活動のための製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資として酒類事業及び食品飲料事業における工場整備への投資、不動産事業による投資不動産への投資、また海外事業や新規事業等の成長分野に対するM&Aへの投資等によるものであります。

 当社グループは、主要な連結子会社にキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入し、日本国内のグループ内資金を当社が一元管理しています。各グループ会社において創出したキャッシュ・フローを当社に集中することで資金の流動性を確保し、また、機動的かつ効率的にグループ内で配分することにより、金融負債の極小化を図っています。

 現在そして将来の営業活動及び債務の返済などの資金需要に備え十分な資金を確保するために、資金調達及び流動性の確保に努めています。必要な資金は、主に営業活動によって得られるキャッシュ・フロー、金融機関などからの借り入れによって調達しています。

 

⑦経営者の問題認識と今後の方針について

 経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。

 今後の方針につきましては、「サッポログループ長期ビジョン『SPEED150』」のもと、取り組みを推進します。

 

(3)生産、受注及び販売の実績

①生産実績

 当連結会計年度における生産実績を示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(kl)

 

前期比(%)

酒類事業(ビール・発泡酒・新ジャンル等)

837,960

△3.9

酒類事業(ワイン・焼酎等)

38,485

△12.5

食品飲料事業(飲料水等)

379,553

5.0

 

②受注実績

 当社グループでは、ほとんど受注生産を行っておりません。

③販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

 

前期比(%)

酒類事業

324,438

△1.7

食品飲料事業

136,876

2.6

不動産事業

24,690

0.8

報告セグメント計

486,003

△0.4

その他

5,892

△2.3

合計

491,896

△0.4

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

国分グループ本社㈱

61,682

11.8

60,329

12.3

3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

(4)経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報

 IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。

(非継続事業)

 IFRSでは、独立した事業が既に処分されたか又は売却目的保有に分類される要件を満たした時点で、非継続事業に分類します。非継続事業に分類した場合は、当該事業が比較対象期間の開始日から非継続事業に分類されていたものとして、連結損益計算書を再表示されます。非継続事業に関する損益については、「第5 経理の状況1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 40.非継続事業」に記載のとおりであります。

 

(のれんに対する調整)

 日本基準では、のれんはその効果の及ぶ期間で定額償却し、のれん償却費を販売費及び一般管理費に計上しておりましたが、IFRSでは償却を行っておりません。

 そのため、日本基準では、連結損益計算書の販売費及び一般管理費において、のれん償却費が前連結会計年度において4,090百万円、当連結会計年度において3,594百万円が発生することとなりますが、IFRSでは発生しておりません。

 

4【経営上の重要な契約等】

(業務提携)

 バカルディ ジャパン株式会社との業務提携

当社の子会社であるサッポロビール㈱は、2011年5月19日付で、ラムブランド「バカルディ」など多くの有力ブランドを所有するバカルディ ジャパン㈱と同社が日本国内で販売権を有するスピリッツをはじめとする各ブランドの、日本国内における独占販売に関する業務提携契約を締結しました。

 

5【研究開発活動】

 グループ横断型研究開発体制「サッポロイノベーションラボ」ではグループR&Dの研究領域として、「お客様を知る」、「おいしさを探す」、「おいしさをつくる」、「おいしさを保証する」の4つを設定しており、「長期経営ビジョンSPEED150」に示された「異次元のスピード」を研究開発分野でも具体化するため、グループ内外を問わずに企業、大学、研究機関等との協働(オープンイノベーション)を進めております。

 サッポログループではかねてよりビール原料である大麦に由来する「SBL88乳酸菌」の機能性研究を重ねてきました。中でも起床時の疲労感や眠気を軽減する睡眠の質改善機能について、大規模ヒト臨床試験でその効果を確認しました。2019年2月に新設したサッポロウエルネスラボ社にて本研究成果の商品化を進め、7月に機能性表示食品として消費者庁により受理され、商品名「スイッチ乳酸菌」にて2020年の上市を予定しております。

 グループ基盤研究の中心である価値創造フロンティア研究所とおいしさ技術研究所では、研究領域に沿って次の研究を進めております。

 「お客様を知る」感性・情報科学研究では、お客様の価値観や食習慣、嗜好を綿密に調査し、データを解析することによって、新商品の企画、中味開発に役立つ知見を提供しました。また、最先端のAI(人工知能)技術を活用し、いくつかの質問に答えるだけで、お客様個々の嗜好に合った商品を推奨するシステムを開発しました。

 「おいしさを探す」素材・機能研究では、大麦、ホップ、レモン、大豆、乳酸菌等の素材の健康機能についての研究開発を行っております。「ポッカレモン100」からのクエン酸摂取による骨密度増加についての研究成果を発表し、レモンの健康機能に関する認知度を高めてきました。

 「おいしさをつくる」発酵・微生物研究では、創業以来酒類の研究開発で培ってきたサッポログループのコア技術のひとつである「発酵」をさらに深化させて、酒類のほか食品・飲料の価値創造を目指しております。素材開発・加工技術開発・おいしさ分析研究では、レモン、大豆等が本来持つ良さを引き出した新素材の開発や、安全・安心でおいしい食品を製造できる加工技術の開発、様々な「酒」「食」「飲」のおいしさを機器分析等によって明らかにする研究開発を進めており、「豆乳ヨーグルト」、「和ら麦」のおいしさの見える化についての学会発表を行い、商品価値向上に寄与しております。

 「おいしさを保証する」品質保証研究では、これまで以上にお客様の安全・安心志向や健康意識に応えるため、原料・製品の安全性分析及びそれを支える分析新技術の研究に継続して取り組んでおります。

 これらの基盤研究に基づき、以下の各セグメントの研究開発を進め、「お客様に食を通じた幸せをお届けするために、『創り』、『造り』続けます」という研究開発ビジョン、さらにはその先にあるお客様の笑顔を実現すべく、サッポログループは挑戦を続けて参ります。

 当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は30億円です。

 

 セグメントの状況は次のとおりです。

 

[酒類事業]

1.商品開発について

 酒類の商品開発については、お客様の生活、嗜好の変化や、今後予定される酒税改定等の環境変化を見据え、新たな価値創造に取り組んできました。

 ビールテイストでは、通年新商品として、2月に120年以上の歴史を誇る「ヱビス」ブランドから、「濃密な香り、コク、余韻」が特長の本格的なエールタイプのビールである「ヱビス プレミアムエール」を、4月には好調な新ジャンル市場に向けて高発酵・強炭酸を実現した「本格辛口」、並びに当社が開発登録した世界に誇れるホップである「ソラチエース」を使用した「SORACHI 1984」をそれぞれ発売しました。

 基軸ブランドでは、3月に「サッポロ生ビール黒ラベル」をリニューアル発売しました。サッポロビール社ではビールの「泡の色」を測定する方法を開発、「鮮度が良いビールの泡はより白く美しい」ことを解明(※1)しましたが、原料・製法・品質管理への徹底した取り組みに加え、製造方法をさらに工夫し、その測定技術を活用することで、より「白く美しい泡」を実現しました。また8月には「麦とホップ」のリニューアルを実施しました。麦とホップだけ(※2)でつくる素材への徹底したこだわりや長期熟成に加え、当社の新ジャンルで初めてビールの伝統的な仕込方法である1回煮沸法(※3)を採用し、飲み飽きないビールらしいうまさを実現しました。

 2020年に向けては、当社の2大ブランドである「サッポロ生ビール黒ラベル」と「ヱビスビール」に採用している麦芽とホップを一部使用し、「力強く、飲み飽きない旨さ」を実現した新ジャンル商品「サッポロ GOLD STAR(ゴールドスター)」を開発しました。

 伸長の続くRTD市場では、外食市場でのレモンサワーの伸長等に着目し、レモンにこだわったレモンサワーとして、グループ企業であるポッカサッポロフード&ビバレッジ(株)が開発したレモン果汁を使用した「レモン・ザ・リッチ」を4月に発売しました。また既存ブランドについては、2018年の発売以来ご支持をいただいている「サッポロ チューハイ99.99〈フォーナイン〉」の積極的なフレーバー展開を行い、計画を上回る販売実績を達成しました。

 またご家庭で好みの濃さ、飲み方で楽しめるRTSカテゴリーでは、「濃いめのレモンサワーの素」を10月に発売し、好調に推移しております。

 ワインについては、2020年に向けて100mlあたり175mgのポリフェノールを含み、更に乳酸菌が入った「ポリフェノールでおいしさアップの赤ワイン〈乳酸菌プラス〉」を開発しました。

 

※1 Brewing Summit(ブリューイングサミット:2018年8月12日~15日・米国サンディエゴ)にて報告

※2 麦芽、大麦、大麦スピリッツを使用した麦100%の商品

※3 仕込釜において、煮沸を1度行うことで麦のうまみを引き出す、ビールで用いられる伝統的な仕込方法

 

2.研究開発について

 「酒」分野の研究開発を担うサッポロビール社酒類技術研究所では、「おいしさをつくる」と「おいしさを保証する」の一環として、ビールの泡の色の定量化に世界で初めて成功し、ビール品質との相関関係を明らかにしてきました。R&D部門で連携し、米クラフトビール発展の起点となった自社開発品種「ソラチエース」や新品種のホップ香り成分の研究成果で世界をリードし、国際的なビール学会でも好評価を得ております。酒類原料に含まれるアントシアニンが、醸造工程で生成するジアセチル濃度に影響を与えることを明らかにしました。他にも、芋焼酎の製造方法では、外部機関とも協働して、もろみを最適な条件で焦がすことで(焦がしもろみ製法)新たな風味を造り出す等、ビールテイスト以外でも様々な研究開発を進めております。

 同じくバイオ研究開発部では、酒類の「おいしさをつくる」大麦・ホップの育種・開発を行っております。同部が開発したLOXレス大麦は、カナダ、オーストラリア、欧州及び北海道で品種開発が進められており、カナダ産の「CDC PlatinumStar」が「サッポロ生ビール黒ラベル」に「旨さ長持ち麦芽」として使われております。国産初のLOXレス大麦「きたのほし」(商標名)は、北海道産ビール大麦の主力品種として大規模生産されており、「サッポロ生ビール黒ラベルエクストラブリュー」にも採用となりました。また、2019年9月には、国内で札育5号を新たに品種登録出願しました。

 一方、クラフトビールの伸長で注目されるホップでは、新品種の開発と生産が進んでおります。鮮烈なマンゴー香が特徴の「フラノマジカル」が北海道の契約生産者圃場で初めて収穫されたほか、2018年に品種登録申請した柑橘香が特徴的な次世代新品種「フラノクイーン」の試験圃場での生産も開始しました。同部が開発した「ソラチエース」「フラノブラン」「フラノローザ」等も「フラノマジカル」とともに、「SORACHI 1984」をはじめとする当社クラフト商品としてお客様に提供されております。また、国産ブドウ調達への技術支援にも取り組んでおり、ホップでウイルスフリー試験管苗を培養増殖する方法を応用して、ブドウ苗木の大量生産を可能とする技術の開発も進めております。

 酒類事業の研究開発費の金額は12億円です。

 

[食品飲料事業]

 「食品飲料」分野においては、「おいしさを探す」一環として、当社とポッカサッポロフード&ビバレッジ社が協働し、レモンの摂取による健康状態への効果を調査する研究を、国産レモンの産地である広島県の大崎上島町にて、ここ数年にわたって地元自治体や大学と協働して進めており、2020年には一部の成果の発表を予定しております。さらに同地では、国産レモンの省力化栽培・供給拡大を念頭に、ICT(情報通信技術)を活用して天候に応じて自動で最適な肥料や水やりを行うレモン栽培、休耕田のレモン栽培への活用等の研究開発を継続しております。

 また、「食品」分野の拡大加速のため、「おいしさをつくる」例として、ポッカサッポロフード&ビバレッジ社では「発酵」により豆乳に含まれるイソフラボンを吸収しやすく変化させ、群馬工場での大型豆乳ヨーグルトやストロー付き豆乳ヨーグルト(ドリンクタイプ)の上市に結び付けました。

 一方、神州一味噌社からは2019年の新商品として、「パパッと味噌パウダー」を開発・発売しました。これは、だし入り味噌をそのままフリーズドライパウダー状にし、おみそ汁はもちろん、振りかけるだけで、べたつくことなく簡単に料理になじみ、これ1本で様々な料理の味がおいしくまとまる新しいタイプの味噌となっております。

 食品飲料事業の研究開発費の金額は9億円です。