第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営の基本方針

アサヒグループは、純粋持株会社であるアサヒグループホールディングス株式会社のもと、酒類、飲料、食品事業をグローバルに展開しています。

2019年より、新グループ理念“Asahi Group Philosophy(AGP)”を制定し、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指しています。AGPは、Mission、Vision、Values、Principlesで構成され、グループの使命やありたい姿に加え、受け継がれてきた大切にする価値観とステークホルダーに対する行動指針・約束を掲げています。国内外の事業会社は、AGPに基づいた戦略を策定、実行していくことにより、グループ一丸となって企業価値の向上に努めていきます。  

 


 

(2)中長期的な経営戦略

AGPに基づいて更新した「中期経営方針」では、3年程度先を想定した主要指標のガイドラインや財務・キャッシュフロー方針を示しつつ、以下の3つの重点課題を設定し、“グローカルな価値創造経営”を推進します。

① 高付加価値化や収益構造改革による『稼ぐ力の強化』

② 新たな成長源泉の拡大に向けた『経営資源の高度化』

③ 持続的な価値創造プロセスを支える『ESGへの取組み深化』

こうした3つの重点課題をエンゲージメント・アジェンダ(建設的な対話の議題)としてステークホルダーとの対話を深め、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指します。

 

(3)目標とする経営指標

「中期経営方針」のガイドラインでは、事業利益※1およびEPS(基本的1株あたり当期利益※2)のCAGR(年平均成長率)で一桁台半ばから後半の成長を目指すとともに、ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率※3)で13%以上の水準の維持を図ることを、主な経営指標の目標としています。

 

     (※1)事業利益(損失)とは、売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除した、恒常

         な事業の業績を測る当社独自の利益指標です。

(※2)算出する際の「親会社の所有者に帰属する当期利益」は、事業ポートフォリオの再構築など一時的

  な特殊要因を除くベース

(※3)算出する際の「親会社の所有者に帰属する当期利益」及び「親会社の所有者に帰属する持分合計」

  は、事業ポートフォリオの再構築や為替変動など一時的な特殊要因を除くベース

 

(4)対処すべき課題

今後の外部環境は、世界経済全体の不確実性が増しているものの、消費構造の多価値化やプレミアム化の進展など多様な「リスクと機会」が拡大しています。また、価値創造経営におけるESGへの取組みに対しても、ますますその重要性が高まってきています。

そうした状況の中、アサヒグループは「中期経営方針」に基づいて、国内外での高付加価値ブランドの育成やクロスセルの拡大による売上成長を目指すとともに、ZBB(ゼロベース予算)の導入などによる収益構造改革や資産・資本効率の向上により、『稼ぐ力の強化』に努めます。

また、イノベーションを実現する無形資産(研究開発、人材力等)への投資やM&A・アライアンスの拡大に加え、デジタルトランスフォーメーションを活用した構造改革などにより、『経営資源の高度化』を図ります。

さらには、アサヒ独自の強みを活かしたサスティナビリティの向上を目指すとともに、ダイバシティーの推進やグループ・グローバル成長を支えるガバナンス改革など『ESGへの取組み深化』により、AGPに基づく“グローカルな価値創造経営”を推進します。

 

2 【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項には、以下のようなものがあります。
  なお、文中における将来に関する事項は、当年度末現在においてアサヒグループが判断したものであります。

 

(1)国内市場・経済の動向及び人口の変動による影響について
 アサヒグループの売上収益において国内酒類事業の占める割合は約43%となっております。今後の国内景気の動向によって、酒類消費量に大きな影響を与える可能性が考えられます。また、日本国内での人口の減少、少子高齢化が進んでいくと、酒類の消費量の減少、また酒類のみならず飲料事業、食品事業における消費量にも影響を与え、アサヒグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)税制改正について

消費税や酒税の増税等が行われた場合、消費マインドの変化によって酒類事業、飲料事業、食品事業における消費量が変化し、アサヒグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。特に、2020年から段階的に実施される酒税の税率変更に伴う価格変更により、ビール類の需要が他ブランドや他カテゴリーへ流出した場合、アサヒグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)特定商品への依存について

アサヒグループの売上収益の中で重要な部分を占めるのが、ビール類販売による売上であります。アサヒグループとしましては、ビール類以外にも酒類全般における商品のラインアップを充実させ売上収益を増加させるとともに、酒類事業以外に飲料、食品といった事業の拡大を図っております。しかしながら、市場の需要動向によってビール類消費量の大幅な減少を余儀なくされる等、予期せぬ事態が発生した場合、アサヒグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)食品の安全性について

アサヒグループは、最高の品質をお客様にご提供することを経営理念として掲げており、グループ内の多様な検査管理体制によって食品の安全性を確立しております。一方で、食品業界を取り巻く昨今の環境においては、残留農薬、遺伝子組み換え、アレルギー物質等の管理や異物混入防止等の従来の食品安全への取組みに加え、品質データの改ざん防止や、意図的な異物混入を防止するフードディフェンスの取組みの必要性が増しております。アサヒグループでは、そのリスクを事前に察知あるいは評価し、顕在化する前に対処するよう取組みを強化しておりますが、取組みの範囲を超える事態が発生した場合、アサヒグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)原材料価格の変動について

アサヒグループの製品に使用する主要な原材料の価格は、天候、自然災害、需給バランス等によって変動します。価格が高騰した場合には製造コストの上昇に繋がり、また市場の状況によって販売価格に転嫁することができない場合があり、アサヒグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)気象条件、自然災害等による影響について

アサヒグループの酒類及び飲料の売上については、異常気象や天候不順によって市場が低迷した場合、その販売量が影響を受ける可能性があります。また、突発的に発生する災害や不慮の事故等の影響で製造、物流設備等が損害を被ることにより、資産の喪失、商品の滞留等による損失計上、設備復旧のための費用、生産、物流の停止による機会損失が考えられ、アサヒグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)情報システムのリスクについて

アサヒグループは、販促キャンペーン、通信販売等により多数のお客さまの個人情報を保持しております。アサヒグループは、これらの重要な情報の紛失、誤用、改ざん等を防止するため、システムを含め情報管理に対して適切なセキュリティ対策を実施しております。しかしながら、停電、災害、ソフトウエアや機器の欠陥、コンピュータウィルスの感染、不正アクセス等予測の範囲を超える出来事により、情報システムの崩壊、停止または一時的な混乱、顧客情報を含めた内部情報の消失、漏洩、改ざん等のリスクがあります。このような事態が発生した場合、営業活動に支障をきたし、アサヒグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)海外事業におけるリスクについて

アサヒグループは、欧州、オセアニア及びアジアにて海外での事業を展開しております。アサヒグループとしましては、海外事業におけるリスクを早期に察知し、顕在化する前に具体的かつ適切な対処をするよう取り組んでおりますが、以下のような予期できない、または予測の範囲を超える変化があった場合、アサヒグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

     ・ 予期できない租税制度や法律、規制等の改正
     ・ 政治的要因及び経済的要因の変動
     ・ 伝染病の流行による社会的・経済的混乱
     ・ 予測の範囲を超えた市場の変動、為替レートの変動
     ・ テロ・戦争の勃発による社会的・経済的混乱
     ・ 異常気象や地震等の自然災害の発生

 

(9)環境に関するリスクについて

アサヒグループは、廃棄物再資源化、省エネルギー、二酸化炭素排出の削減、容器リサイクルの徹底を図り、事業を遂行していくうえで環境に関連する各種法律、規制を遵守しております。しかしながら、関係法令等の変更によって、新規設備の投資、廃棄物処理方法の変更等による大幅なコストの増加が発生する場合、アサヒグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)法律、規制等の変更によるリスクについて

アサヒグループは、国内で事業を遂行していくうえで、酒税法、食品衛生法、製造物責任法等様々な法的規制の適用を受けております。また海外事業を展開していくうえでも関係する法律、規制等の適用を受けております。これらの法律、規制等が変更された場合、または予期し得ない法律、規制等が新たに導入された場合、アサヒグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)アルコール飲料規制の動きについて

アサヒグループは、アルコール飲料を製造・販売する企業として、企業の社会的責任(CSR)を果たすため、広告の表現や容器への表示に関して細心の注意をはらうとともに、未成年飲酒・妊産婦飲酒の防止等、適正飲酒の啓発活動に積極的に取り組んでおりますが、国際的にアルコール問題が議論される中、予想を大幅に超える規制が行われた場合、酒類消費量が減少し、アサヒグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)訴訟のリスクについて

アサヒグループは、事業を遂行していくうえで、各種関係法令を遵守し、また社員がコンプライアンスを理解し、実践することに最善の努力をしております。しかしながら、国内国外を問わず事業を遂行していくうえで、訴訟提起されるリスクを抱えております。万一アサヒグループが訴訟を提起された場合、また訴訟の結果によっては、アサヒグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)保有資産の価格変動について

アサヒグループが保有する土地や有価証券等の資産価値の下落や事業環境の変化等があった場合、アサヒグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)退職給付関係について

アサヒグループの従業員及び元従業員の退職給付債務及び退職給付費用は、数理計算上で使用される割引率等に基づき算出されております。制度資産の公正価値変動、金利の変動、年金制度の変更等、前提条件に大きな変動があった場合、アサヒグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)事業・資本提携について

アサヒグループは、中期経営方針に沿って、成長基盤確立の一環として国内外他社との事業・資本提携を推進しています。しかしながら、アサヒグループ、提携先及び出資先を取り巻く事業環境の変化等の影響によって、当初想定していたシナジー効果を得られない可能性があります。 また、そのような環境変化によって、提携先及び出資先の事業、経営及び財務状況の悪化等が生じた場合、アサヒグループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

また、出資先が業績不振となり、出資に伴い発生した「のれん」等について多額の減損損失を計上する必要が生じた場合、アサヒグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

アサヒグループは、2019年1月より、エンタープライズリスクマネジメント(事業目的を達成するために、組織全体の視点からリスクを管理する取り組み)を導入します。この取り組みにより、アサヒグループ全体の重要リスクを特定・評価のうえ、対応策を策定し、その実行とモニタリングを継続的に実施いたします。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(業績等の概要)

(1) 業績

当期における世界経済は、通商問題などに起因する先行きの不透明感が高まりましたが、米国の景気が雇用者数の増加や個人消費の拡大などを背景に堅調に推移したほか、欧州やアジア諸国における景気も回復基調で推移したことなどにより、全体としては緩やかな回復が続きました。日本経済におきましては、企業収益の改善に加えて、雇用・所得環境の改善を背景にした個人消費の持ち直しなどにより、景気は緩やかに回復しました。

    こうした状況のなかアサヒグループは、2016年に策定した「中期経営方針」のもとで、「『稼ぐ力』の強化」、

 「資産・資本効率の向上」、「ESGへの取組み強化」の3つを重点課題として、これまで推進してきた「企業価値

  向上経営」の更なる深化に取り組みました。

    特に「『稼ぐ力』の強化」においては、国内では、高付加価値化を軸としたブランド価値の向上を図るとともに、

  海外では、欧州を中心として、プレミアム化の推進による成長基盤の構築やシナジーの創出などに取り組みまし

   た。

その結果、アサヒグループの当期の売上収益は2兆1,202億9千1百万円(前期比1.7%増)となりました。また、利益につきましては、事業利益は2,213億8千3百万円(前期比12.7%増)、営業利益は2,117億7千2百万円(前期比15.6%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,510億7千7百万円(前期比7.1%増)となりました。

 

   アサヒグループの実績           (単位:百万円)

 

実績

前期比

売 上 収 益

2,120,291

1.7%

事 業 利 益

221,383

12.7%

営 業 利 益

211,772

15.6%

親会社の所有者に
帰属する当期利益

151,077

7.1%

 

 

   当年度の財政状態の状況は、連結総資産は前年度末と比較して2,675億7百万円減少し3兆793億1千5百万円、

  負債は前年度末と比較して2,644億6百万円減少し、1兆9,296億6千8百万円となりました。また、資本は前年度

  末に比べ31億1百万円減少し、1兆1,496億4千7百万円となりました。

 

  セグメントの業績は次の通りです。各セグメントの売上収益はセグメント間の内部売上収益を含んでおります。
    なお、酒類事業に含まれていた一部の会社について、当年度に報告セグメントの区分を国際事業に変更しておりま

  すので、以下の前期比較は前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。

 

    事業セグメント別の実績                                      (単位:百万円)

 

売上収益

前期比

事業利益

前期比

売上収益事業利益率

営業利益

前期比

酒類

919,410

△4.1%

117,070

△2.8%

12.7%

107,359

△4.9%

飲料

368,754

△1.5%

38,099

△0.6%

10.3%

34,520

△22.3%

食品

115,973

1.9%

12,200

4.9%

10.5%

11,762

8.0%

国際

713,261

12.0%

99,588

48.5%

14.0%

76,347

114.8%

その他

109,467

3.1%

2,384

19.7%

2.2%

2,315

17.0%

調整額計

△106,575

△25,942

△20,533

無形資産償却費

△22,018

合計

2,120,291

1.7%

221,383

12.7%

10.4%

211,772

15.6%

 

 ※営業利益における無形資産償却費は各事業に配賦しています。

 

[酒類事業]

     酒類事業につきましては、「イノベーションの推進による新たな価値創出でNo.1戦略の深化を目指す!」をス 

    ローガンに、ビール市場を中心として、新たな需要創出とコスト競争力の向上に取り組みました。 
     ビール類については、ビールにおいて、後味の良さと冷涼感が特長の『アサヒスーパードライ 瞬冷辛口』の発売

    や欧州事業ブランド商品の展開開始など、新たな価値の提案強化を図りました。また、東京2020オリンピック競技

  大会のエンブレムを記載した「アサヒビールオリジナル東京2020オリンピック555mlジョッキ」※1を展開するな

   ど、料飲店における飲用機会の拡大に向けた取組みを強化しました。新ジャンルにおいては、『クリアアサヒプラ

    イムリッチ』で、芳醇でコクのある味わいと豊かな香りを高めるリニューアルを実施するなど、ブランド力の更な

    る強化に取り組みました。
     ビール類以外の酒類については、RTD※2において、果実1/2個分以上※3の果汁を使用した『アサヒ贅沢搾
    り』の発売や『ウィルキンソン・ハード』シリーズの商品ラインアップの拡充など、市場における存在感の向上に
    努めました。洋酒においては、『ブラックニッカクリア 樽詰めハイボール』を積極的に展開するなど、主力ブラン
    ドの強化に努めました。
     アルコールテイスト清涼飲料については、ビールテイスト清涼飲料『アサヒドライゼロ』において、「よりスッキ
    リした後味」へのリニューアルを実施したほか、ペットボトル商品の『アサヒドライゼロスパーク』を期間限定で
    発売し、新たな商品価値を提案しました。

以上の結果、酒類事業の売上収益は、ビール類以外の酒類やアルコールテイスト清涼飲料の売上がそれぞれ前年実績を上回ったものの、ビール類の市場全体の縮小による販売数量の減少などにより、前期比4.1%減の9,194億1千万円となりました。

事業利益については、固定費全般の効率化に取り組みましたが、売上収益の減少により、前期比2.8%減の1,170億7千万円となりました(営業利益は前期比4.9%減の1,073億5千9百万円)。

※1 アサヒビール株式会社は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会ゴールドパートナー(ビール

     &ワイン)です。
  ※2 RTD:Ready To Drinkの略。購入後、そのまま飲用可能な缶チューハイなどを指します。
  ※3「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」より算出した、果物1個当たりの重量に占める果皮などを除いた
    果汁量の1/2相当量以上を使用しています。

 

[飲料事業]

     飲料事業につきましては、重点ブランドへの経営資源の集中や健康機能領域での高付加価値商品の展開など、商品
    力強化による成長と更なる収益構造の改革に取り組みました。
     主力ブランドにおいては、『ウィルキンソン』ブランドで、商品ラインアップの拡充を図るなどにより、炭酸水市

    場における地位の盤石化に取り組み、『カルピス』ブランドでは、『カルピス』などの主力商品の販売強化に加

    え、ブランド資産を活用した商品を積極的に展開するなど、ブランド力の強化を図りました。また、『三ツ矢』ブ
    ランドでは、産地・品種指定の国産果汁を使用し産地自治体との連携を活かした『特産三ツ矢』シリーズの商品展

  開を推進し、『ワンダ』ブランドで、『ワンダ極』シリーズのリニューアルや新商品の発売により、ブランド価値

   の向上に取り組みました。
     健康機能領域においては、機能性表示食品『ウィルキンソン タンサン エクストラ』や『アサヒ からだ十六茶』
    など、ブランド力を活用した高付加価値商品を発売し、市場における存在感の向上に努めました。

以上の結果、飲料事業の売上収益は、炭酸飲料や乳性飲料などの販売数量が前年実績を上回りましたが、前期に実施したチルド飲料事業売却の影響により、前期比1.5%減3,687億5千4百万円となりました。
 事業利益についても、生産体制の最適化による製造原価の低減などに取り組んだものの、売上収益と同様の要因などにより、前期比0.6%減380億9千9百万円となりました(営業利益は前期比22.3%減の345億2千万円)。

 

 

[食品事業]

     食品事業につきましては、主力ブランドへの経営資源の集中や保有する素材・技術を活用した高付加価値商品の展
    開に加え、事業統合による最適生産・物流体制の構築により、持続的な成長基盤の育成に取り組みました。
     タブレット菓子『ミンティア』においては、新フレーバーや期間限定の商品の発売のほか、広告・販促施策と連動
    した営業活動の積極的な展開などにより、ブランド力の強化を図りました。
     サプリメントについては、『ディアナチュラ』において、プロテインパウダー『ディアナチュラアクティブ』を発
    売し新たな市場に参入するなど、展開領域の拡大に取り組みました。
     ベビーフードについては、『グーグーキッチン』において、商品ラインアップの拡充などにより、ブランド力の強
    化を図りました。また、シニア向け商品については、『バランス献立』へのブランドの統一や新商品の発売などに
    より、市場における存在感の向上に取り組みました。
     フリーズドライ食品については、『いつものおみそ汁』や『Theうまみ』において、新たな具材を使用した商品
    を発売するなど、主力ブランドの価値向上を図りました。

以上の結果、食品事業の売上収益は、主力ブランドを中心に好調に推移し、前期比1.9%増1,159億7千3百万円となりました。
 事業利益については、増収効果に加えて、製造減価の低減などにより、前期比4.9%増122億円となりました(営業利益は前期比8.0%増117億6千2百万円)。

 

[国際事業]

   国際事業につきましては、各事業のポートフォリオの強化やプレミアム化の推進に加え、主力ブランドの地域横断
    的な展開によるシナジー創出などにより、「強い競争力を持つグローバルプレイヤー」を目指した成長基盤の拡大
    に取り組みました。
     欧州事業については、西欧において、イタリアの『Peroni』やオランダの『Grolsch』などを中心に母国市場での
    高付加価値商品の展開を強化したほか、その他の国にもこれらの商品を拡大展開するなど、プレミアム化を推進し
    ました。中東欧においては、チェコの『Pilsner Urquell』やポーランドの『Tyskie』など各国の主力ブランドを中
    心としたプレミアム化の推進や、販売促進活動の強化、固定費の効率化などにより、更なるブランド力の強化と収
    益性の向上を図りました。また、1月から欧州におけるアサヒグループ内での製造を開始した『アサヒスーパード

  ライ』は、スーパープレミアムビールとしてブランド価値を再定義し、西欧と中東欧の各国に拡大展開するなど、

  シナジーの創出に取り組みました。
     オセアニア事業については、飲料において、主力の炭酸カテゴリーを中心に販売促進活動を積極的に展開すること
    により、市場における存在感の向上に努めました。酒類においては、『アサヒスーパードライ』や『Peroni Nastro
    Azzurro』などのプレミアムビールブランドの営業活動を積極的に展開するとともに、『Peroni Nastro Azzurro』
   の樽詰め商品の現地製造を開始するなど、シナジー創出に向けて製造・販売体制を強化しました。
     東南アジア事業については、マレーシアにおける『ワンダ』、『カルピス』、『Goodday』や、ミャンマーの
  『Blue Mountain』など、アサヒグループ保有ブランドを中心にラインアップの拡充や販売促進活動を強化すること

  により、各市場におけるブランド価値の向上に努めました。
     中国事業については、主力の『アサヒスーパードライ』に加えて、『Peroni Nastro Azzurro』や『Pilsner    
    Urquell』などの展開を開始することにより、プレミアムビール市場における存在感の向上に取り組みました。

     以上の結果、国際事業の売上収益は、中東欧のビール事業の新規連結効果に加え、欧州事業全体が好調に推移

    したことなどにより、前期比12.0%増の7,132億6千1百万円となりました。

   事業利益については、主に欧州事業の売上収益が増加したことにより、前期比48.5%増の995億8千8百万円とな

  りました(営業利益は、前期比114.8%増の763億4千7百万円)。

    ※ 中東欧のビール事業の業績は2017年4月から取り込まれております。

 

[その他の事業]

その他の事業につきましては、売上収益は、貨物運送業務の受託の拡大や健康食品の売上の増加などにより、前期比3.1%増1,094億6千7百万円となりました。
 事業利益については、健康食品の売上収益が増加したことなどにより、前期比19.7%増23億8千4百万円となりました(営業利益は前期比17.0%増23億1千5百万円)。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益が2,073億8百万円となりましたが、法人所得税等の支払による減少があった一方で、減価償却費等の非キャッシュ項目による増加があり、2,524億4千1百万円(前期比:207億2千9百万円の収入増)の収入となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、持分法で会計処理されている投資の売却収入などにより、225億5百万円(前期比:9,083億2千9百万円の収入増)の収入となりました。
 財務活動によるキャッシュ・フローは、主に借入金の返済による金融債務の減少があり、2,705億6千4百万円(前期比:9,324億4千7百万円の支出増)の支出となりました。
 以上の結果、当年度末では、前年度末と比較して現金及び現金同等物の残高は7億3千6百万円減少し、573億1千7百万円となりました。

 

 

(生産、受注及び販売の状況)

(1) 生産実績

当年度におけるセグメントごとの生産実績は以下の通りであります。

 

セグメントの名称

数量又は金額

単位

前期比

酒            類

2,273,647

KL

△4.2

 %

飲            料

355,782

百万円

△6.4

 %

食            品

119,139

百万円

0.5

 %

国            際

506,937

百万円

4.2

 %

 

(注) 1 金額は、販売価額によっております。

     2 IFRSに基づく金額を記載しております。

3 酒類事業の生産数量、飲料事業及び食品事業の生産高には、外部への製造委託を含めております。

4 上記金額には消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注実績

当社では受注生産はほとんど行っておりません。

 

(3) 販売実績

当年度におけるセグメントごとの販売実績は以下の通りであります。

 

セグメントの名称

金額

前期比

酒           類

919,410

百万円

△4.1

飲           料

368,754

百万円

△1.5

食           品

115,973

百万円

1.9

国           際

713,261

百万円

12.0

そ     の    他

109,467

百万円

3.1

調     整    額

△106,575

百万円

 

合           計

2,120,291

百万円

1.7

 

(注) 1 調整額はセグメント間取引であります。

2 上記金額には消費税等は含まれておりません。

3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

 

 

前年度

当年度

 

相手先

販売高

割合

販売高

割合

 

 

(百万円)

(%)

(百万円)

(%)

 

国分ホールディングス㈱

201,255

9.7

176,945

8.3

 

伊藤忠食品㈱

218,766

10.5

213,425

10.1

 

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

当年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は以下のとおりであります。

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社の連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。

詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表注記 6 重要な会計上の見積り及び判断)」に記載しております。

(2) 当年度の経営成績の分析

①売上収益

アサヒグループの当年度の売上収益は、前期比1.7%増354億1千4百万円増収2兆1,202億9千1百万円となりました。酒類事業においては、ビール類以外の酒類やアルコールテイスト清涼飲料の売上がそれぞれ前年実績を上回ったものの、ビール類の市場全体の縮小による販売数量の減少などにより、前期比4.1%減、389億6千9百万円減収の9,194億1千万円となりました。飲料事業においては、炭酸飲料や乳性飲料などの販売数量が前年実績を上回りましたが、前期に実施したチルド飲料事業売却の影響により、前期比1.5%減、57億6千3百万円減収の3,687億5千4百万円となりました。食品事業においては、主力ブランドを中心に好調に推移し、前期比1.9%増の1,159億7千3百万円となりました。国際事業においては、中東欧のビール事業の新規連結効果に加え、欧州事業全体が好調に推移したことなどにより、前期比12.0%増の7,132億6千1百万円となりました。その他の事業においては、貨物運送業務の受託の拡大や健康食品の売上の増加などにより、前期比3.1%増33億2千6百万円増収1,094億6千7百万円となりました。

②事業利益

当年度の事業利益は、前期比12.7%増250億1千4百万円増益2,213億8千3百万円となりました。酒類事業においては、固定費全般の効率化に取り組みましたが、売上収益の減少により前期比2.8%減、33億8千7百万円減益の1,170億7千万円となりました。飲料事業においては、生産体制の最適化による製造原価の低減などに取り組んだものの、売上収益と同様の要因などにより、前期比0.6%減2億2千2百万円減益380億9千9百万円となりました。食品事業においては、増収効果に加えて、製造原価の低減などにより、前期比4.9%増5億7千4百万円増益122億円となりました。国際事業においては、主に欧州事業の売上収益が増加したことより、前期比48.5%増、325億4千万円増益の995億8千8百万円となりました。その他の事業においては、健康食品の売上収益が増加したことなどにより、前期比19.7%増3億9千2百万円増益23億8千4百万円となりました。

③営業利益

営業利益は、事業利益の増益に加え、その他費用の減少などにより、前期比15.6%増285億7千9百万円増益2,117億7千2百万円となりました。

④税引前利益

当年度の税引前利益は、営業利益の増益に加え、金融収益が前期比59.1%増30億7千5百万円増加82億8千2百万円となった一方で、金融費用が前期比22.8%増23億6千3百万円増加127億3千1百万円となったことに加え、持分法で会計処理されている投資の売却損益が前期比187億9千9百万円減益9億1百万円の損失となったことにより前期比5.2%増103億2千4百万円増益2,073億8百万円となりました。

⑤親会社の所有者に帰属する当期利益

親会社の所有者に帰属する当期利益は、税引前利益の増益に加え、法人所得税費用の減少などにより前期比7.1%増100億7千4百万円増益1,510億7千7百万円となりました。
 また、基本的1株当たり利益は329.80円(前期307.78円)となり、親会社所有者帰属持分比率は37.2%(前期34.2%)となりました。

また、事業ポートフォリオ再構築など一時的な特殊要因を除いた親会社に帰属する当期利益を算出に用いた調整後基本的1株当たり利益は328.95円(前期262.23円)となりました。

 

(3) 財政状態の分析

①総資産

当年度の連結総資産は、事業売却に伴い売却目的で保有する資産が減少したことや、円高及び償却に伴う有形固定資産・無形資産の減少等により、前年度末と比較して2,675億7百万円減少の、3兆793億1千5百万円となりました。

②負債

負債は、主に金融債務が減少したことにより、前年度末と比較して2,644億6百万円減少し、1兆9,296億6千8百万円となりました。

③資本

資本は、前年度末に比べ31億1百万円減少し、1兆1,496億4千7百万円となりました。これは、当年度の親会社の所有者に帰属する当期利益の計上により利益剰余金が増加したものの配当金支出による利益剰余金の減少や為替相場の変動により在外営業活動体の換算差額が減少したこと等によるものです。

この結果、親会社所有者帰属持分比率は37.2%となりました。

また、事業ポートフォリオ再構築や為替変動など一時的な特殊要因を除いた「親会社の所有者に帰属する当期利益」及び「親会社の所有者に帰属する持分合計」を算出に用いた調整後親会社所有者帰属持分当期利益率は15.2%(前年同期13.7%)となりました。

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

①キャッシュ・フロー分析

キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

また、キャッシュ・フロー指標のトレンドは、以下のとおりであります。

 

2017年12月期

2018年12月期

親会社所有者帰属持分比率(%)

34.2

37.2

時価ベースの親会社所有者帰属
持分比率(%)

76.5

63.5

キャッシュ・フロー対有利子
負債比率(年)

5.7

4.1

インタレスト・カバレッジ・
レシオ(倍)

41.4

37.0

 

(注) 親会社所有者帰属持分比率:親会社の所有者に帰属する持分/総資産

時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

 ※  各指標はいずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

 ※  株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

 ※  キャッシュ・フローは営業キャッシュ・フローを使用しております。

②資金の調達

アサヒグループの資金の源泉は、主として営業活動からのキャッシュ・フローと金融機関からの借入、社債の発行からなりますが、当社は経営方針として、有利子負債残高の圧縮を基本として掲げております。しかしながら、「事業基盤強化・効率化を目指した設備投資」及び「M&Aを含む戦略的事業投資」については資金需要に応じて金融債務を柔軟に活用することとしております。資金需要の発生した時点で、金利コストの最小化を図れるような調達方法を熟慮し、資金需要に対応しております。一方、運転資金需要については、短期借入金及びコマーシャル・ペーパーでまかなうことを基本としております。

③資金の流動性

当社及び主要な連結子会社はCMS(キャッシュマネジメントシステム)を導入しており、各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことにより、資金効率の向上と金融費用の極小化を図っております。

(5) 戦略的現状と見通し

2019年は、「中期経営方針」に基づいて、国内外での高付加価値ブランドの育成やZBB(ゼロベース予算)の導入などにより『稼ぐ力の強化』に努めます。さらに、イノベーションの実現に向けた無形資産(研究開発、人材力等)への投資などにより『経営資源の高度化』を図るとともに、アサヒ独自の強みを活かす『ESGへの取組み深化』により、Asahi Group Philosophyの具現化に向けた“グローカルな価値創造経営”を推進します。

(6) 経営者の問題認識と今後の方針について

経営者の問題認識と今後の方針につきましては、この文中に記載したほか、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

(7) 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 

経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報

IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と、日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は以下の通りであります。

(のれん償却)

 日本基準では、のれんは、その効果が発現すると見積もられる期間で償却することとしておりましたが、IFRSでは、IFRS移行日以降の償却を停止しております。

 この影響によりIFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が当年度において39,089百万円(前年度16,736百万円)減少しております。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

業務提携等に関する契約

会社名

契約事項

契約締結先

締結年月

発効年月

有効期限

アサヒグループホールディングス株式会社
(提出会社)

中国における「アサヒスーパードライ」及び「アサヒビール」の製造ライセンス供与のための「深圳青島啤酒朝日有限公司」の合弁契約

伊藤忠商事株式会社
日鉄住金物産株式会社
(中国)


1997年
10月

1998年
8月

2024年
7月

アサヒビール
株式会社
(連結子会社)

沖縄県及び鹿児島県奄美大島群島を除く日本における「アサヒ オリオンドラフト」の販売契約

オリオンビール株式会社

2002年
11月

2002年
11月

自動更新

アサヒビール
株式会社
(連結子会社)

沖縄県における「アサヒスーパードライ」等の製造販売ライセンスの供与契約

オリオンビール株式会社

2003年
5月

2003年
5月

自動更新

アサヒグループホールディングス株式会社
(提出会社)

飲料事業、チルド事業、食品事業、海外事業、調達・物流等の機能面における業務提携契約

カゴメ株式会社

2007年
2月

2007年
2月

自動更新

アサヒグループホールディングス株式会社
(提出会社)

中国におけるビール生産・販売等の事業についての戦略的提携

(中国)


2009年
8月

2009年
8月



の株

 

式を保有しなくなった12ヶ月後(2019年3月29日まで)

アサヒグループホールディングス株式会社
(提出会社)

中国における食品事業「開曼島商頂新控股有限公司」の株主間契約

(英領ヴァージン諸島)
Ho Te Investments Limited他

2015年
3月

2015年
3月

無期限
(但し一定の終了事由あり)

アサヒ飲料
株式会社
(連結子会社)

「シャンソン十六茶」バルクの継続的売買及び商標の使用許諾に関する契約
(注)

株式会社シャンソン化粧品

1992年
12月

1992年
12月

自動更新

 

(注)  「シャンソン十六茶」バルクとは、アサヒ飲料社商品「十六茶」の原料茶葉であります。

 

 

5 【研究開発活動】

アサヒグループでは、第6次中期経営計画の達成に向けて、酒類、飲料、食品の各事業において差別化された商品の開発、及びそのベースとなる技術開発を行っています。また、グループのコア研究領域である酵母、乳酸菌、フローラから、将来の各事業での革新的なファーストエントリー商品や新規事業創出につながる技術開発を進めています。更に、外部技術の活用により、研究開発の成果創出のスピードアップを図っています。

当年度におけるグループ全体の研究開発費は、12,365百万円です。そのうち酒類事業に係る研究開発費は3,608百万円、飲料事業に係る研究開発費は2,103百万円、食品事業に係る研究開発費は1,618百万円、国際事業に係る研究開発費は1,794百万円、その他の事業又は全社(共通)の研究開発費は3,241百万円です。

 

[酒類事業] 
(商品開発関連)

アサヒビール㈱は、ビール市場の活性化とさらなる品質向上を目的に『スーパードライ』をリニューアルしました。仕込み・発酵・ろ過の各工程において新たな醸造管理技術を導入し、ビールの泡もちに寄与する成分を従来品に比べ約1割高める(※1)とともに、脂質酸化物を低減させることでキレ味を向上させ、“洗練されたクリアな味”にさらに磨きをかけました。また2018年4月よりビールの定義変更が実施され、果実や一定の香味料などが使用可能になったことを好機ととらえ、新素材の積極的な活用を進めました。『アサヒグランマイルド』は使用可能となった副原料で香気をコントロールすることで“もったりとした穀物香”を低減する技術と、麦芽から“アルコール臭”を抑制する効果のある抽出する技術を使用し、柔らかなコクが続く味わいを実現し、時間をかけてゆっくり楽しめる飲用価値を追求しました。さらに焙煎した国産米とカイエンペッパーを採用することにより、食事と相性を高めた『アサヒ食楽』を発売しました。

『アサヒスーパードライ 澄みわたる辛口』は、本年収穫した、とれたての国産麦芽を一部使用し、清澄度の高い“澄みきり麦汁”のみで醸造するとともに、低酸素・氷点下の環境でルプリン(※2)を凝縮させるホップの新加工技術(クライオホップ※3)を用いることで、雑味のないすっきりとした味わいを実現しました。「スーパードライ」ならではの“辛口・キレ”はそのままに、年末年始の“ハレの日”にふさわしい「こだわり」「華やかさ」「希少性」を提案するビールです。

アサヒグループの欧州ビール事業の商品『ペローニ・ナストロ・アズーロ』『ピルスナー・ウルケル』『グロールシュ・プレミアム・ラガー』『グロールシュ・プレミアム・ヴァイツェン』を発売しました。グローバルプレミアムブランドを日本市場で展開することで、高付加価値商品の提案力強化と業務用市場の活性化に注力していきます.

クラフトビール市場においては、“醸造家とお客様の対話から生まれた、ビールの楽しさを広げるスペシャリティビール”として『TOKYO隅田川ブルーイング ゴールデンエール/ペールエール/琥珀の時間/チェリールージュ』を発売しました。ここ数年、お客様の嗜好の多様化を背景にクラフトビールに代表される個性的な味わいを特長とするビール類に注目が集まっています。『TOKYO隅田川ブルーイング』ブランドは、国内大手ブランドが提供するピルスナータイプにはない魅力を発信し、ビール類市場の活性化を図っていきます。

発泡酒市場においては、“糖質ゼロ(※4)”発泡酒のパイオニアである『アサヒスタイルフリー』を『アサヒスタイルフリー<生>』』として新発売しました。従来の商品に比べて麦の使用量を1.3倍に増やし、糖質ゼロでありながら麦由来の本格的な味わいと飲みごたえを高めました。さらに、プリン体や人工甘味料が気になるお客様のニーズにお応えした『スタイルフリーパーフェクト』では、“糖質0”“プリン体0(※5)” “人工甘味料0”に加え、新たに“着色料ゼロ”でビール類らしい色合いを実現しました。また芳醇でコクのある麦芽エキスを新たに採用したことで、麦由来の味わいと飲みごたえが高まりました。

新ジャンル市場においては、「クリアアサヒ」ブランド3商品『クリアアサヒ』、『クリアアサヒ プライムリッチ』、『クリアアサヒ 贅沢ゼロ』をクオリティアップしました。『クリアアサヒ』は大麦の増量など原料の使用量を見直し、麦由来の香りや味わいを高め、食事と相性の良い“爽快なキレと飲みごたえ”を追求しました。『クリアアサヒプライムリッチ』は麦汁のエキス濃度を高め、「プライムリッチ」の特長である“最高級のコク(※6)”と“最高級の香り(※7)”をさらに強化しました。『クリアアサヒ贅沢ゼロ』 は麦の使用量を1.2倍に増やし、糖質ゼロでありながら、麦の豊かな味わいと飲みごたえに仕上げました。さらにアルコール7%の『クリアアサヒ クリアセブン』を発売しました。糖類は使わず穀物原料を使用し、醸造工程では独自の発酵管理技術を活用し、キレの良い苦みが特長のドイツ産パールホップをフリージングホップ(※8)として使用することで、麦の味わいや食事と合わせやすいすっきりとした後味を実現しました。期間限定商品としては『クリアアサヒ 桜の宴』、『クリアアサヒ 秋の宴』、『クリアアサヒ 和撰吟醸』、『クリアアサヒ クリアレッド』 『クリアアサヒプライムリッチ-華やかリッチ-』を発売しました。また九州エリア限定商品として『クリアアサヒ 九州うまか仕込』を、関西エリア限定商品として『クリアアサヒ 関西仕立て』を、東北エリア限定商品として『クリアアサヒ 東北の恵み』をそれぞれ発売しました。また、ご好評をいただいている『アサヒ オフ』もクオリティアップを実施し、“プリン体0”“糖質0”“人工甘味料0”の3つの“0”はそのままに、芳醇でコクのある麦芽エキスを新たに採用することで、麦本来の味わいと飲みごたえを高めました。

ビールテイスト清涼飲料市場においては、『アサヒドライゼロ』のクオリティアップを実施しました。『アサヒドライゼロ』は、ドライなのどごしとクリーミーな泡でビールに近い味わいが特長のビールテイスト清涼飲料です。今回のクオリティアップではビールに近い味わいはそのままに、原材料の配合及び素材の最適化をすることにより、ゴクゴク飲める「よりスッキリした後味」を実現しました。またブランド初のペットボトル商品『アサヒドライゼロスパーク』を期間限定で発売しました。缶容器の『アサヒドライゼロ』と比較して、炭酸の強さを130%(※9)に高め、高刺激なのどごしを実現しました。ペットボトル容器のため、持ち運びも容易で、利便性が高く、アウトドアや外出先をはじめ、幅広いシーンで飲用されました。

RTD(※10)市場においては、「アサヒもぎたて」の基幹5フレーバー『まるごと搾りレモン』、『まるごと搾りグレープフルーツ』、『まるごと搾りぶどう』、『まるごと搾りオレンジライム』、『まるごと搾りシークァーサー』のクオリティアップを実施しました。今回のクオリティアップでは、収穫後24時間以内に搾汁した果汁のみの使用はそのままに、缶を開けた瞬間に広がる果実の香り立ちの最大化を実現し、各フレーバーに合わせて香味のバランスも見直すことにより、ご支持いただいている「もぎたての果実感」をさらに追求した味を実現しました。また、現行品よりもガス圧を高めることで、食事と相性の良い飲みやすい後味に仕上げました。また6つ目の基幹フレーバー『手摘み白桃』に加え、期間限定フレーバーとして『手摘み青梅』、『手摘みライチ』、『まるごと搾り青りんご』、『まるごと搾りスウィーティー』、『ゴールデンパイン』、『宮崎産日向夏』、『まるごと搾り洋梨』、『まるごと搾りりんご』、『まるごと搾り柚子』、『まるごと搾り直七』をそれぞれ発売しました。また、炭酸強めで甘くない味わいがご好評をいただいている高アルコールRTD「ウィルキンソン・ハード」ブランドの『無糖(※11)ドライ』、『無糖レモン』の飲みやすさを向上させ、新たに『無糖ドライジンジャ』を発売しました。さらに期間限定フレーバーとして『無糖ライム』、『無糖グレープフルーツ』、『無糖クールシトラス』、『無糖オレンジ』をそれぞれ発売しました。また、アルコール度数4~6%のレギュラーアルコール市場に向けて、 “贅沢な果汁感”を実現した「アサヒ贅沢搾り」を発売しました。「アサヒ贅沢搾り」は、果実1/2個分以上(※12)の果汁を使用し、豊潤な香りとみずみずしい果汁感を贅沢に楽しめる缶チューハイです。果実のフルーティーさを感じる果肉部の果汁と、果実の自然な苦みや酸味のある果皮部の果汁をブレンドすることで、果実の複雑味とバランスの良い味わいに仕上げました。また、果汁の使用割合を高めることにより発生する、お客様にとって不快な香味(※13)の原因物質を特定し、その原因物質を抑制する独自技術(特許出願中)を採用することで、豊潤な香りを実現しました。基幹フレーバーとして『レモン』、『グレープフルーツ』、『桃』、『キウイ』の4フレーバーを発売し、販売目標を当初の2倍となる400万函を突破しました。さらに食品優秀ヒット賞及び食品産業技術功労賞を受賞しました。その他、『アサヒSlat(すらっと)』、『アサヒチューハイ果実の瞬間』、『アサヒカクテルパートナー』、『カルピスサワー』などのRTD商品でリニューアル(クオリティアップ)や季節限定商品を発売しました。

サワーテイスト清涼飲料市場においては、「アサヒスタイルバランス」一部をリニューアルし、『完熟りんごスパークリング』、『コーラサワーテイスト』を発売しました。また期間限定フレーバーとして『シークァーサーサワーテイスト』、『ぶどうサワーテイスト』、『素肌うるおうピーチスパークリング』、『完熟みかんスパークリング』を発売しました。

ワイン市場においては、『サントネージュ リラ フルーツ(りんごと赤ワイン、レモンと白ワイン、ピングレとロゼワイン、ざくろと赤ワイン)』、『サントネージュ摘みたての贅沢(華やかなドライロゼ、スパークリング白・ロゼ、厳選オーガニック赤・白)』を発売しました。

焼酎市場においては、『麦焼酎 かのか』をリニューアルし、『芋焼酎 紅かのか』、『芋焼酎 紫かのか』を発売しました。

ウイスキー市場においては、ニッカウヰスキー社が製造する主力ブランド「ブラックニッカ」の数量限定商品として、『ブラックニッカリッチブレンド エクストラシェリー』、『ブラックニッカ ディープブレンド エクストラスイート』を発売しました。また、通常の熟成後にシェリーのマンサニーリャ(※14)を50年間熟成させていた樽で、18か月間貯蔵・熟成させた『シングルモルト余市マンサニーリャウッドフィニッシュ』、『シングルモルト宮城峡 マンサニーリャウッドフィニッシュ』を発売しました。

 

※1:当社調べ。比較は同一条件下で実施した代表的な数値。(製造ロット等により品質状況は異なる可能性があります。)

※2:ホップの雌花に付いている小さな黄色い粒。ビールの苦みや香りの元になります

※3:-35℃の氷点下かつ低酸素の状態でルプリンを凝縮することで、不要なホップの苞を除去できる新加工技術。この技術を採用したホップを使用することで、渋みや雑味を低減できます。

※4:栄養表示基準による。以下同じ。

※5:100ml当たりプリン体0.5㎎未満を「プリン体0」と表示しています。

※6:発泡酒をベースとした当社「リキュール(発泡性)①」(限定商品を除く)における原麦汁エキス濃度の比較において。
※7:発泡酒をベースとした当社「リキュール(発泡性)①」(限定商品を除く)における複数の香気成分バランスの比較において。

※8:収穫後乾燥したホップ毬花を、氷点下に冷却・粉砕後、葉や苞を取り除き、苦味や香りのもとになる成分を抽出したホップ。

※9:充填時において。ドライゼロ缶商品比

※10:「Ready to Drink」の略。購入後、そのまま飲用可能な缶チューハイなどを指します。以下同じ。

※11:糖類と甘味料を一切使用しないことを「無糖」と定義しています。以下、同じ。

※12:「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」より算出した、果物1個当たりの重量に占める果皮などを除いた果汁量の1/2相当量以上を使用しています。

※13:果汁などの果実加工品において、加工時の殺菌工程などにより、果実由来の風味が低減することから生成される香味。

※14:スペイン南部のサン・ルーカル・デ・バラメーダ地区で熟成された酒精強化ワイン(シェリー)のひとつ
 

(技術開発関連)

商品の中味開発分野では、アサヒビール㈱が製造する『クリアアサヒプライムリッチ』、ニッカウヰスキー㈱が製造する『ニッカ シードル・スイート』、『麦焼酎 かのか 25度』の3商品が、iTQi(※1)の世界的な食品・飲料品のコンテストにおいて、“極めて優秀”と認められた製品に贈られる、最高レベルの優秀味覚賞「3ツ星」を受賞しました。さらに、『クリアアサヒプライムリッチ』は3年連続で受賞した製品に贈られる“クリスタル味覚賞”を受賞し、他2製品も2年連続の受賞となりました。

また、ニッカウヰスキー㈱が製造する『竹鶴21年ピュアモルト』『竹鶴ピュアモルト』が、世界的な酒類品評会である「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)2018」において金賞を受賞しました。ISCでのニッカウヰスキー社商品の金賞受賞は11年連続となります。

容器包装・機器開発の分野では、『軽量6缶パック包装材』で「第42回木下賞 改善合理化部門」を受賞しました。木下賞は研究開発部門(包装の研究・開発に属するもの)、改善合理化部門(包装の改善・合理化に属するもの)、新規創出部門(包装の新規分野創出に属するもの)の3部門があり、原則1部門1点が表彰されます。今回受賞した『軽量6缶パック包装材』は、「環境負荷軽減」「品質向上」「利便性向上」の3点を同時に実現したことが評価されました。アサヒビール㈱が木下賞を受賞するのは今回が5回目となります。

研究・技術開発分野では、当社が長年取り組んできた『生ビール製造における微生物品質保証技術の開発』が「平成30年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞 開発部門」を受賞しました。科学技術分野の文部科学大臣表彰は、文部科学省が科学技術に携わる者の意欲の向上を図り、科学技術の水準の向上に寄与することを目的に、顕著な成果を収めた個人または団体を、「科学技術賞」、「若手科学者賞」、「創意工夫功労者賞」、「創意工夫育成功労学校賞」の各賞において文部科学大臣が表彰するものです。さらに『ビール醸造における微生物検査法の迅速化に関する研究』で「第51回生物工学奨励賞(江田賞)」を受賞しました。生ビールにおける微生物による品質問題(混濁)への対策を開発し、これらの成果を公知とすることで、世界の生ビール製造品質に貢献していきます。

またAmerican Society of Brewing Chemists (ASBC)とMaster BrewersAssociation of the Americas (MBAA)の共同で4年ごとに開催される世界的な醸造学会の一つである「Brewing Summit 2018」において、当社が取り組むビール醸造等の最新の研究成果を発表しました。さらに「1st ASBC Malt Flavor and Aroma Symposium」、「EUROSENSE 2018」においても当社が取り組む最新の研究開発成果を発表しました。

 

※1:iTQi(InternationalTaste & Quality Institute、国際味覚審査機構)とは、ベルギーブリュッセルに本部を置き、世界中の食品や飲料品の味覚と品質を審査し、優れた製品を表彰・プロモーションする機構です。審査員はヨーロッパで最も権威ある15の調理師協会および国際ソムリエ協会(ASI)に属する一流シェフやソムリエで構成されています。

 

[飲料事業] 
(商品開発関連)

アサヒ飲料㈱は成長戦略として「確固たるブランドの育成」を掲げ、「重点6ブランドの育成」と「健康を軸とした商品開発」の2軸にて商品開発を行って参りました。

「重点6ブランドの育成」については、「ワンダ」、「三ツ矢」、「カルピス」、「十六茶」、「おいしい水」、「ウィルキンソン」の6ブランドを重点ブランドと位置付け、積極的なマーケティング投資を行う事で、より強固なブランドへの成長を目指して参りました。

「ワンダ」ブランドでは、「モーニングショット」、「金の微糖」などを中心とした主力商品の継続育成に加え、ボトル缶市場への継続的な商品展開と、伸長著しいPETボトル入りコーヒー市場に新商品を投入しました。「ワンダ モーニングショット」は、春のリニューアルで加熱工程を従来よりも高温短時間に変更することで、コーヒーの淹れたての味わいを向上させました。

ボトル缶市場に向けては、昨年に引き続き「ワンダ 極」シリーズを積極的に展開し、「微糖」、「ブラック」に加えて「特濃カフェオレ」や「焙煎香」といった商品を展開しました。9月の大幅リニューアルでは、コーヒー豆の焼き上がりの直前に、瞬間的に超高温の500℃の火入れを行い、焙煎中の香りを閉じ込めることで、飲むたびに香り高く繊細な後味が心地よい味わいを実現しました。

また、PETボトルコーヒー市場に向け、従来のコーヒー飲料に国産茶葉を掛け合わせた「ワンダ TEACOFFEE」シリーズ2品を展開しました。「カフェラテ×焙じ茶」は、ブラジルを中心に厳選したコーヒー豆を高温短時間で焙煎することで苦味や雑味を抑えたカフェラテに、国産焙じ茶を組み合わせることでスッキリした後味を実現しました。「ブラック×煎茶」は、厳選したコーヒー豆を低温でじっくりと抽出した雑味のないブラックコーヒーに、国産煎茶を組み合わせることでクリアなコーヒーの味わいと薫り高い茶葉の香りを実現しました。

「三ツ矢」ブランドにおいては、昭和45年の「『三ツ矢サイダー』シルバー」の復刻版として「『三ツ矢サイダー』NIPPON」を発売し、当時の味わいを再現し、国民的炭酸飲料の歴史を振り返りました。有糖領域と無糖領域の中間領域として、微糖領域を狙った「『三ツ矢』GREEN SPARKLING WATER」を発売し、若年層や新規ユーザーの取り込みを図りました。また、日本の各地域との取組みによる「特産三ツ矢」シリーズは、引き続き「産地・品種指定」「国産果汁」を約束とし、日本生まれ 安心・安全の強化をご提案し、果汁炭酸市場での「三ツ矢」ブランドの存在感の拡大を進めて参りました。

「カルピス」ブランドにおいては、コンクタイプの「カルピス」の果汁入りバリエーションとして、半年毎に「『カルピス』レモン」と「『カルピス』りんご」を開発するとともに、季節限定の「メロン」「パイン」「オレンジ」「いちご」のバリエーションを開発しました。また300ml容量の牛乳で割って飲む「牛乳と楽しむ『カルピス』」2品(「白桃」「フルーツミックス」)を開発しました。業務用チャネル向けには、業務用専用処方の「『カルピス』白桃」および「『カルピス』レモン」を開発しました。ストレートタイプの果汁入りの「カルピス」としては「味わう完熟白桃&『カルピス』」「アップルマンゴー&『カルピス』」「夏みかん&『カルピス』」「巨峰&『カルピス』」「あまおう&『カルピス』」を開発いたしました。さらに「カルピス」とヨーグルトという二つの発酵食品を組み合わせた「発酵BLENDヨーグルト&『カルピス』」を開発し、ご好評をいただきました。「カルピスソーダ」のバリエーションとしては、「完熟白桃」「スイートレモン」「シャルドネ&マスカット」を開発しました。また本年度「カルピスソーダ」は発売45周年を迎え、これを記念して、1973年に発売した初代「カルピスソーダ」の味わいを現在の技術で再現した「「カルピスソーダ」クラシック」を開発し、お客様から高い評価をいただきました。

「十六茶」ブランドにおいては、「アサヒ 十六茶」が2005年から「カフェインゼロ」として生まれ変わり、2018年で14年目をむかえました。2018年は、新たに「あわ」「きび」を採用、健康素材として認知が高い五穀(米・豆・麦・粟・きび)すべてを含む、新・16素材の健康ブレンドとし、「香ばしい味わい」と「香り」を向上させました。

また、内臓脂肪、脂肪、糖のトリプルヘルスクレームの機能性表示食品「アサヒ からだ十六茶」を発売しました。東洋健康思想に基づく健康16素材を抜群のバランスでブレンドした十六茶に、機能性成分として葛の花由来イソフラボンと難消化性デキストリンを配合しました。その他に、期間限定商品として「濃いめの十六茶」「脱水対策十六茶」「渇きにしみる十六茶」「じんわりほっとする十六茶」などを展開しました。

 

「おいしい水」ブランドにおいては、環境問題に配慮した「ラベルレス」ボトルを一部販売チャネルにおいて販売を開始し、ブランド価値のさらなる向上を図りました。また、フレーバーウォーター市場の伸長を背景に、「余分なものをカットした大人のためのフレーバーウォーター」をコンセプトとした「クリアラテ」シリーズを発売しました。

「ウィルキンソン」ブランドにおいては、炭酸水NO.1ブランドのもつ価値の更なる強化をめざし、難消化性デキストリンを配合した脂肪の吸収を抑えることを訴求した機能性表示食品「ウィルキンソン タンサン エクストラ」を発売しました。ランチを中心とした食シーンにおける飲用意向、女性層の飲用意向を得ることができました。

 

「健康を軸とした商品開発」については、アサヒグループ独自の確かなエビデンスを有した素材を使用した商品の開発や、「安全」「安心」といった各ブランドがもつベーシックな「健康」価値の訴求を強化しつつ「アサヒ飲料=健康に強みを持つ会社」というイメージの更なる醸成を目指して積極的な取り組みを実施しています。また研究開発の分野においては、「健康」価値の追求として“カラダの健康”だけでなく“ココロの健康”も含めた両面からのアプローチを行っています。

“ココロの健康”に関しては清涼飲料飲用時の様々な“ココロの動き(※1)”に着目し研究を行っています。本年は当社の重点ブランドの一つである「ワンダ」の飲用時および「カルピス」希釈作業時のココロの動きを検証しました。それぞれの研究は慶應義塾大学理工学部 システムデザイン工学科 満倉靖恵教授の協力のもと、「ワンダモーニングショット」の飲用後に「前向きな気分」(※2)が持てる事を科学的根拠に基づき実証しました。また、「カルピス」を親のために水で薄めて提供する一連の作業後の子供の脳波と唾液中のオキシトシン(※3)濃度の解析により、大切な人(親)のために「カルピス」を薄めて提供するという一連の行為を通じて、「大切な人を想う気持ち(愛情)」や、これらの行為の後の「出来た!の気持ち(達成感)」が高まることを明らかとしました。これらのデータを活用することで、お客様にとってアサヒ飲料の商品は確かな価値ある商品であることの理解促進と満足度を高めて参ります。

“カラダの健康”に関しては、機能性関与成分としてアサヒグループ独自の乳酸菌(「Lactobacillus(ラクトバチルス) amylovorus(アミロボラス) CP1563株」)を配合した、体脂肪を減らす働きが期待できる「カラダカルピス」の飲みやすさを向上させる改訂を行いました。また、機能性関与成分として乳酸菌「Lactobacillus(ラクトバチルス)gasseri(ガセリ)CP2305株」を配合した、腸内環境を改善することが期待できる「届く強さの乳酸菌」の機能・訴求力の強化を目的に、ストレスによる睡眠の質の改善効果の訴求を追加した「届く強さの乳酸菌W」の機能性表示食品の届出を行い、受理されています。今後も引き続き、乳酸菌や酵母を中心としたアサヒグループの保有する確かなエビデンスを有する素材を活用した商品の早期展開を図って参ります。

※1「ココロの動き」:「飲用時、飲用後の感じ方の変化」を表しています。

※2「前向きな気分」:本調査では積極的な気分やスッキリとした気分などを含んだ、一般にいうポジティブな考え方や心境のことを表現しています。

※3「オキシトシン」:血液や唾液中に存在する、愛情ホルモンや絆ホルモンとも呼ばれるホルモン物質。

 

(技術開発関連)

生産技術開発においては「強靭な収益構造の確立」を目指し、生産効率の最大化と操業度向上に向けた技術開発を行って参りました。具体的には、「おいしい水」ブランドの販売チャネル統一可能な形状の新容器開発を行い、生産ラインの切り替え時間短縮による操業度向上を可能にしました。また、製品、工程、ご指摘品解析に必要な安全・安心技術(新規分析技術、解析技術)の拡充と、品質に影響を及ぼす微生物の検出技術、同定技術、静菌技術の研究についても継続して取り組んで参りました。これまで結果判明に数日間要していた微生物検査をリアルタイムかつ連続してモニタリングできる最新機器「生物粒子計数システム」を清涼飲料業界で初めて工場に導入し、原料水検査に活用しております。

マーケティング戦略と連動した容器包装開発では「ウィルキンソンタンサン」用に、刺激の強さや炭酸の爽快感を想起させる独自の加飾技術を用いた専用PETボトルを開発しました。また、「ほっとレモン」用には、時間が経っても温度がさめにくい多孔質フィルムを用いた保温ラベルを開発しました。この取組は、(公社)日本包装技術協会 2018年日本パッケージングコンテスト飲料部門賞を受賞しました。さらに自動販売機開発では、新たな価値の提供を目的に、-5℃の「三ツ矢サイダー」を提供可能な「氷点下自販機」の開発と市場展開を行い、自動販売機での売り上げ拡大に貢献しました。

環境配慮型の容器包装開発においては、炭酸飲料用PETボトルキャップの軽量化に取組み、従来比約7~10%減の国内最軽量(2018年末時点)となるキャップを展開し、CO2削減に貢献しました。さらに循環型社会に繋がる環境負荷低減として、植物由来原料を使用した資材開発を継続しています。昨年に引き続き「三ツ矢サイダー」PET1.5L製品に使用するボトル、キャップ、ラベルの全資材に植物由来原料を採用した商品を一部展開しており、本年はラベルにライスインキを採用することでさらにバイオマス度を向上させました。

 

[食品事業]
(商品開発関連)

アサヒグループ食品㈱は、既存ブランドの価値向上を重点課題として展開中のカテゴリーにおける商品開発を行って参りました。

菓子カテゴリーでは、近年伸長している大粒タブレット市場において「ミンティアブリーズ」シリーズを展開しております。同市場でのシェアを更に拡大するべく『ミンティアブリーズオアシスゴールド』をラインアップに加え「ミンティアブリーズ」シリーズを強化しました。更に、小粒タブレット市場では、“小腹満たしニーズ”による購入が伸長していることから非ミント系商品を提案し「ミンティア」のさらなるブランド力向上を図りました。

健康食品カテゴリーにおいては近年、“自らが自らの健康を管理する”というセルフケアの浸透によってプロテイン市場が伸長しており、中でもプロテインバータイプなど手軽に摂取できる剤型の人気が高まっております。そこで「1本満足バー」シリーズから、プロテインを1本当たり15g配合した『1本満足バープロテインチョコ』『1本満足バー プロテインヨーグルト』の2品を発売しました。スポーツ・フィットネスを楽しんだ後などに、プロテインを手軽に摂取できるシリアルバータイプの栄養調整食品としてプロテイン市場の更なる拡大に貢献しています。また「クリーム玄米ブラン」からは『豆乳アサイーベリー』『豆乳カスタード』の2品を発売しました。「クリーム玄米ブラン」では初となる「豆乳」素材を起用し、豆乳のやさしい味わいと健康感をプラスしたこだわりの商品になっています。

素材菓子カテゴリーでは、輪切り唐辛子を衣づけして揚げた「燃えよ唐辛子」シリーズから、ハバネロパウダーを使用した『真・燃えよ唐辛子』と、黒コショウと花椒パウダーを使用した『超魔王唐辛子』を発売し、ブランド強化を図りました。

スープカテゴリーでは、近年著しく伸長している糖質コントロール市場向けに展開している、寒天とコンニャクで作った糖質ゼロの麺を使用した本格スープ「おどろき麺0(ゼロ)」シリーズの追加品『おどろき麺0(ゼロ)濃厚豚骨煮干し麺』と『おどろき麺0(ゼロ) 旨だしカレー南蛮』の2品を新発売し、“手軽に糖質コントロールができるワンカップスープ商品”のポジションを強化しました。

フリーズドライ食品カテゴリーでは、主力であるみそ汁やスープカテゴリーのブランド強化として素材を活かした商品開発など、フリーズドライの優位性が発揮できる新価値の提案に取り組みました。流通では、即席みそ汁市場全体が伸びており、その中でも特にフリーズドライ食品の伸びが大きくなっています。そのフリーズドライ食品のトップメーカーである当社が、さらに市場の伸びを牽引するために、増え続ける少人数世帯をターゲットとした個食対応の「いつものおみそ汁」ブランドから『あさり』『しじみ(赤だし)』『とん汁』『焼なす』を、家族みんなで楽しめる「うちのおみそ汁」ブランドから『わかめと油揚げ』をそれぞれ発売しました。スープカテゴリーでは、素材本来の旨みを引き出すことに注力した「Theうまみ」シリーズから『トマトスープ』『ガーリックスープ』『マッシュルームスープ』『唐辛子スープ』を発売し、そのおいしさや様々な味を選べることから、大変ご好評をいただいています。また、ご家庭での保管にも便利な5食入りのまとめ売りアイテムの「きょうのスープ」シリーズから『五目中華スープ』を発売しました。通販向けでは「みそ汁」カテゴリーにおいて、主力ブランドの「まごころ一杯」シリーズから、『濃旨あさり』『濃旨しじみ』『里芋とゆば』を数量限定で発売しました。また「金のだし」シリーズから、ラインアップ拡充として『玉子』『お揚げ』を追加発売し、『しいたけ』を数量限定で発売しました。その他、通販ならではの商品として、高価格帯の「絶品」シリーズから『冷や汁』を、「まるごと素材」シリーズから『おろし生姜』『大根おろし』を追加発売し、スイーツシリーズから『つぶあずき甘酒』を数量限定で発売しました。さらに、アマノフーズのWebマガジン「アマノ食堂※1」で試作品が話題を呼んだ料理を初めて商品化し『タコライスの素』『キーマカレー』『とんかつカレー』『コールスロー』を発売しました。これにより、新規領域のフリーズドライ食品を読者が実際に“食べる”体験を通じて、フリーズドライの魅力やおいしさを実感できるようにしました。特に『とんかつカレー』は、多くのメディアで紹介され、アマノフーズブランドの認知拡大に貢献しました。

ベビーフードカテゴリーでは、幼児用の朝の食事メニューの新たな提案商品として緑黄色野菜と米のパフを使用した、1歳から食べられる「はじめてのシリアル」を発売しました。また、魚素材で一番人気の鯛を使用したレトルトパウチベビーフード『鯛と野菜の雑炊』など3品を追加発売し、シリーズ商品の魅力を高めました。

シニア向けカテゴリーでは、素材のおいしさが味わえるペースト状の介護食『バランス献立なめらかにんじん ポタージュ風』『バランス献立 なめらかほうれん草 ポタージュ風』『バランス献立 なめらかかぼちゃ 含め煮風』『バランス献立 なめらかさつまいも芋きんとん風』の4品を発売しました。とろみ調整食品では、新たなとろみ商品として、お湯に溶かすだけで簡単に“とろみだし”ができ、お料理にかけるだけで簡単に“とろみ食”が出来る『バランス献立とろみエール とろみだしの素』を発売しました。また、栄養補助食品として、お湯で溶かして飲む粉末濃厚流動食の『バランス献立PLUS 栄養プラス コーンポタージュ』『バランス献立PLUS栄養プラス ココア』を発売しました。

サプリメントカテゴリーにおいては「ディアナチュラ」ブランドの「ディアナチュラアクティブ」シリーズから23種の成分をまとめて摂れるプロテインパウダー『ディアナチュラアクティブ ソイプロテイン ココア味』を発売し、好評をいただきました。パーフェクトコラーゲンではコラーゲン5500mgに大豆イソフラボンなど16種類の成分を配合し、女性の肌などの悩みをサポートした『パーフェクトアスタコラーゲンパウダー グランドリッチ』を発売しました。スリムアップスリムのシリーズからは『スリムアップスリム 糖質コントロール高たんぱくシェイク カフェラテ』『スリムアップスリム フルーツ仕立ての野菜シェイク』を発売しました。機能性表示食品として、ルテイン20mg配合『メヂカラサプリ』を発売しました。また、発売88周年となる「エビオス」ブランドから便通を整える整腸薬『エビオス整腸薬』(指定医薬部外品/乳酸菌整腸薬)を発売しました。さらに、国産の大麦若葉・ケールに48種の植物発酵エキス、活性型酵素、乳酸菌を配合した、飲みやすいフルーツミックス味の『フルーツ酵素青汁』を発売しました。アクティブなシニア向けには、大人に必要な栄養素をバランスよく配合した栄養サポートの粉ミルクとして「からだ届くミルク」の販売を開始しました。

 

※1:アマノフーズが展開するWebマガジン http://amanoshokudo.jp/

 

(技術開発関連)

アサヒグループ食品㈱では、コア技術であるフリーズドライの品質と製造条件の最適化について京都大学と共同で執筆した研究論文「スープ食品凍結乾燥工程の数学的モデルに基づくデザインスペースの推算」が、日本食品工学会論文賞を受賞しました。「デザインスペース」とは、あらかじめ決められた条件で製造することで最終品質を保証する考え方で、品質を保証しつつ最も効率的な製造条件を予測することが可能となりました。また、近年注目されている店頭でそのまま陳列できるシェルフレディパッケージングの開発について報告した「店舗での陳列性を考慮した新規段ボールの開発」が、日本包装管理士会が選定する包装管理士優秀包装論文受賞を受賞しました。

 

[国際事業]

オーストラリアのメルボルン郊外に、Asahi Beverages社の新・研究開発センター(Science & Innovation Centre)がリニューアルオープンしました。このセンターは、飲料を製造するタラマリン工場の敷地内にあり、Asahi Beverages社における総合研究施設の役割を担っています。今回のリニューアルオープンで商品の開発だけでなく、品質や管理工程まで幅広くカバーできるよう機能が拡大し、センター自体も大きく造りかえられました。オセアニア地域の研究開発拠点として、新たな一歩を踏み出した新・研究開発センター(Science & Innovation Centre)は今後、お客様に新しい価値をお届けできるようなイノベーションに取り組んでまいります。

 

[新規素材]

アサヒグループホールディングス㈱では、酵母、乳酸菌、フローラ、独自素材をコアとした研究開発を通して人々の心とからだの健康に役立つ商品・技術を提供することを目指しています。その中で、コアテクノロジー研究所では、酵母・乳酸菌などの微生物活用技術と多くの健康食品の開発で培った機能性評価技術を活かして、健康に役立つ新たな素材の探索を行っています。またプロセス開発研究所では、有用乳酸菌に対し目的物質を高生産させる培地組成の検討や、量産化に向けた培養制御技術開発等に取り組んでいます。

具体的には、乳酸菌CP2305株に、心理的なストレスを和らげ、睡眠の質(眠りの深さ)を高める機能を見出しました。これらは機能性表示食品へと活用されています。

当社が保有する微生物「枯草菌C-3102株」(納豆菌と同種に分類されます)を閉経後の女性が継続的に摂取することにより、大腿骨の骨密度が増加することを確認しました。また同時に、腸内フローラのうち、特定の菌属の占有率が変化することも確認しました。この研究成果は第20回日本骨粗鬆症学会にて発表致しました。本研究で、ヒト試験にてプロバイオティクスが骨密度を増加させることを、世界で初めて明らかにしました。今後も腸内フローラや微生物の研究を通じて、お客様の健康維持に貢献して参ります。

 

[食の安心安全]

食品の安全性に対するお客様の期待が高まる中、本年度は分析技術面から異物解析とフードディフェンスの2点について特に強化を行いました。異物解析技術については、プラスチックやパッキンなど合成樹脂系異物の材質特定のみならず、同材質樹脂間の異同識別技術を獲得し、これら異物の由来や混入経路の解明に役立てています。フードディフェンスに関する分析技術としては、製品に洗剤や市販農薬を混入された際に、最新分析機器であるLC-QTOF-MSやMALDI-TOF-MSなどを駆使することで、混入成分の特定に加え、混入した洗剤や農薬の商品名まで迅速に特定することが可能となりました。また、海外事業会社のビール・飲料工場においても国内工場と同等レベルの品質管理基準を達成すべく、微生物制御や理化学分析に関わる技術支援も積極的に行っております。更に、水・原料・製品の安全性を正確かつ迅速に評価するために、最先端の分析技術を駆使し、微生物、残留農薬、残留動物用医薬品、カビ毒、有害金属、その他食品リスクに関する分析体制を常に更新しています。一方、各種学会や公的研究機関とも密な情報交流を行っており、食品リスクや新規技術に関する情報収集に役立てています。これらの活動を通じて、海外事業を含めたグループ各社の品質保証部門と連携し、アサヒグループ全体の品質保証体制の充実に貢献してまいります。

 

[新規事業]

2018年1月に新規事業創出を目的として、研究開発部門内に「新規事業ラボ」を設置しました。同ラボでは、既存事業の幹を太くし、枝葉を伸ばしていくような事業や社会的課題を解決するような事業の創造を目指しています。具体的には、独自素材や副産物の利活用を中心に、研究過程で創出された成果の他分野応用による事業化等の検討を行っています。

 

[環境負荷低減研究]

ビール工場の排水処理工程から得たバイオメタンガス(以下、バイオガス)を、固体酸化物形燃料電池(SOFC)発電に適した高純度なバイオガスに精製するプロセスを開発し、九州大学次世代燃料電池産学連携研究センターのご協力のもと16,000時間を超えるSOFC連続安定発電に成功しました。この成果は日本経済新聞社が選定する「2018年日経地球環境技術賞」において優秀賞を受賞しました。アサヒグループは、持続可能な地球環境の実現を目指し、更なるCO2削減に向けた新技術の開発に取り組んでいきます。