「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(平成31年1月31日内閣府令第3号)による改正後の「企業内容等の開示に関する内閣府令」第二号様式記載上の注意(30)の規定を当事業年度に係る有価証券報告書から適用しております。
文中には、中期経営方針等に関する様々な業績予想及び目標数値、並びにその他の将来に関する情報が開示されています。これらの業績予想及び目標数値、並びにその他の将来に関する情報は、将来の事象についての現時点における仮定及び予想、並びにアサヒグループが現在入手可能な情報や一定の前提に基づいているため、今後様々な要因により変化を余儀なくされるものであり、これらの予想や目標の達成及び将来の業績を保証するものではありません。
(1)経営の基本方針
アサヒグループは、純粋持株会社であるアサヒグループホールディングス株式会社のもと、酒類、飲料、食品事業をグローバルに展開しています。
2019年より、グループ理念「Asahi Group Philosophy(AGP)」を制定し、持続的な成長と中期的な企業価値の向上を目指しています。AGPは、Mission、Vision、Values、Principlesで構成され、グループの使命やありたい姿に加え、受け継がれてきた大切にする価値観とステークホルダーに対する行動指針・約束を掲げています。国内外の事業会社は、AGPに基づいた戦略を策定、実行していくことにより、グループ一丸となって企業価値の向上に努めていきます。
(2)中長期的な経営戦略
AGPに基づいて更新した「中期経営方針」では、3年程度先を想定した「主要指標のガイドライン」や「財務、キャッシュ・フローのガイドライン」を示しつつ、以下の3つの重点課題を設定し、“グローカルな価値創造経営”を推進します。
① 高付加価値化や収益構造改革による『稼ぐ力の強化』
・国内外での高付加価値ブランドの育成とクロスセル※1の拡大などによる売上成長
・ZBB(ゼロベース予算)の導入や調達体制の最適化などによる収益構造改革
(ZBBを含む収益構造改革の効率化効果(2019年~2021年累計)は300億円以上を目指す)
・ROIC※2を活用した事業管理、キャッシュ・フロー最大化などによる資産・資本効率の向上
② 新たな成長源泉の拡大に向けた『経営資源の高度化』
・イノベーション、ディスラプション※3を実現する風土改革、無形資産(研究開発・人材力等)への投資
・既存事業を補完するボルトオン型M&Aや競合・異業種とのアライアンスの拡大
・デジタルトランスフォーメーションによる構造改革、ビジネスモデルの進化
③ 持続的な価値創造プロセスを支える『ESGへの取組み深化』
・「環境ビジョン2050」の設定、強みを活かした価値創造によるサステナビリティの向上
・グローカルタレントマネジメントやダイバーシティの推進、人権マネジメント体制の構築
・リスクマネジメントの高度化やグループ・グローバル成長を支えるガバナンス改革
こうした3つの重点課題をエンゲージメント・アジェンダ(建設的な対話の議題)としてステークホルダーとの対話を深め、持続的な成長と中期的な企業価値の向上を目指します。
※1 当社グループの各国の商品を他の国・地域で販売する施策のことを指します。
※2 税引後事業利益を投下資本で除すことで求められる指標(投下資本利益率)のことを指します。
※3 デジタル技術等の活用により既存市場を破壊(ディスラプト)し、新たな市場を創造することを指します。
(3)目標とする経営指標
「中期経営方針」における主要指標のガイドラインは、事業利益及びEPS(基本的1株当たり当期利益※1)のCAGR(年平均成長率)で一桁台半ばから後半の成長を目指すとともに、ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率※2)で13%以上の水準の維持を図ることを、主な経営指標の目標としています。
財務、キャッシュ・フロー方針のガイドラインとしては、フリー・キャッシュ・フローは年平均1,700億円以上を目指し、これを原資としてM&Aなどの成長投資を優先しつつ、投資余力を高める債務削減を推進していきます(大きな投資案件がない場合は、Net debt/EBITDAは、2021年までには2倍以下に低下する見込み)。株主還元については、2021年までに、配当性向を35%(※2)に引き上げていく方針です(将来的な配当性向は40%を目指す)。
(※1)算出する際の「親会社の所有者に帰属する当期利益」は、事業ポートフォリオの再構築など一時的な特殊要因を除くベース
(※2)算出する際の「親会社の所有者に帰属する当期利益」及び「親会社の所有者に帰属する持分合計」は、事業ポートフォリオの再構築や為替変動など一時的な特殊要因を除くベース
当社は、Anheuser-Busch InBev SA/NVグループが豪州で保有するビール・サイダー事業(以下、「CUB事業」といいます。)の取得(以下、「CUB事業の買収取引」といいます。)についてAnheuser-Busch InBev SA/NV社と合意に達し、2019年7月19日付で、株式売買契約を締結しておりますが、CUB事業の買収取引は豪州競争法当局等の豪州の関連政府機関の承認等の売買実行のための先行条件の充足が前提となり、本書作成時点においては、CUB事業の買収取引のクロージングの実行は2020年第2四半期中を予定しています。また、CUB事業の取得に関連し、資本調達を含めたファイナンス・プランを検討していますが、前述の「中期経営方針」のガイドライン及び重点課題の内容は、CUB事業の取得及びそれに伴う資金調達による影響を考慮しておりません。当社は、CUB事業の買収取引のクロージングの実行後、これらの影響を考慮の上、中期経営方針等の見直しを予定しております。
(4)対処すべき課題
今後の外部環境としては、世界経済全体の不確実性が増しているものの、グローバルな消費構造の多価値化やプレミアム化の進展に加えて、国内では東京オリンピック・パラリンピックの開催や酒税の改正などにより、多様なチャンスとリスクが拡大することが想定されます。また、価値創造プロセスを支えるESGに対しても、ますますその取組みを深化させていくことが求められています。
そのような状況の中、アサヒグループは、『稼ぐ力の強化』においては、国内では『アサヒスーパードライ』など主力ブランドの価値向上や新市場の創造を目指すとともに、最適生産物流体制の構築など収益構造改革に継続して取り組みます。海外では、国際ビール事業を再編し、グローバルとローカルの各市場に注力できる体制に移行するなど、更なるグローバルプレミアムブランドを強化するとともに、ローカル市場での成長基盤を拡大していきます。
『経営資源の高度化』においては、2019年7月にAnheuser-Busch InBev SA/NVと株式売買契約を締結したオーストラリアのビール・サイダー事業を行うCUB Pty Ltdなどの取得成立を目指し、日本、欧州、オセアニアの3極を核としたグローバルプラットフォームの構築を推進します。また、イノベーションやディスラプションを実現するための風土改革、無形資産(研究開発・人材力等)への投資も強化していきます。
『ESGへの取組み深化』においては、環境、人権、アルコール関連問題に加え、アサヒグループの強みを活かした価値創造を軸に持続可能な社会の形成を目指していきます。また、エンタープライズリスクマネジメント(ERM)やリスクアペタイトの効果的な運用※1により、適切なリスク管理とリスクテイクを推進していきます。
※1 エンタープライズリスクマネジメント(ERM)及びリスクアペタイトの詳細は、「2 事業等のリスク 1.アサヒグループのリスクマネジメント体制及び2.アサヒグループ リスクアペタイト」に記載しています。
「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(平成31年1月31日内閣府令第3号)による改正後の「企業内容等の開示に関する内閣府令」第二号様式記載上の注意(31)の規定を当事業年度に係る有価証券報告書から適用しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当年度末現在においてアサヒグループが判断したものであります。
1.アサヒグループのリスクマネジメント体制
アサヒグループは、2019年1月より、エンタープライズリスクマネジメント(事業目的を達成するために、組織全体の視点からリスクを管理する取り組み。以下「ERM」といいます。)を導入しました。この取組みの中で、「Asahi Group Philosophy」の具現化、並びに「中期経営方針」の戦略遂行及び目標達成を阻害しうる重大リスクを、戦略、オペレーション、財務、コンプライアンスなど全ての領域から特定及び評価し、対応計画を策定、その実行及びモニタリングを継続的に実施することで、効果的かつ効率的にアサヒグループのリスク総量をコントロールします。
ERMを推進するにあたり、代表取締役社長をはじめとする業務執行取締役及び代表取締役社長が指名する執行役員で構成される、リスクマネジメント委員会を設置しています。ERMはグループ全体を対象とし、リスクマネジメント委員会の委員長である代表取締役社長が実行責任を負います。
アサヒグループ各社は、事業単位毎にERMを実施し、リスクマネジメント委員会に取組内容を報告します。同委員会はそれらをモニタリングするとともに、委員自らがグループ全体の重大リスクを特定、評価、対応計画を策定、その実行及びモニタリングを実施します。これらの取組みは取締役会に報告され、取締役会はこれらをモニタリングすることで、ERMの実効性を確認します。
2.アサヒグループ リスクアペタイト
アサヒグループは、ERMを推進するとともに、「中期経営方針」の目標達成のために、「とるべきリスク」と「回避すべきリスク」を明確化する、「アサヒグループ リスクアペタイト」を制定しました。
「アサヒグループ リスクアペタイト」は、アサヒグループのリスクマネジメントに関する「方針」です。ERMの運用指針及び意思決定の際のリスクテイクの指針となるものであり、リスクに対する基本姿勢を示す「リスクアペタイト ステートメント」と、実務的な活用を想定した、事業遂行に大きく影響する主要なリスク領域に対する姿勢(アペタイト)を示す「領域別リスクアペタイト」で構成されます。グループ戦略、リスク文化とリスク状況、及びステークホルダーの期待をもとに検討し、取締役会にて決定、グループ全体に適用され、実施状況はリスクマネジメント委員会でモニタリング、取締役会へ報告されます。本取組みを通じて、アサヒグループ全体で適切なリスクテイクを促進してまいります。
3.主要リスク
当社グループでは、「1.アサヒグループのリスクマネジメント体制」記載の通り、当社代表取締役社長をはじめとする業務執行取締役及び執行役員で構成されるリスクマネジメント委員会で、中期経営方針の事業遂行及び目標達成を阻害しうる特に重大なリスクを特定及び評価し、以下の(2)から(14)までの事項をかかるリスクとして認識しております。
加えて、それ以外に考えられる当社グループの事業等のリスクについても、(15)にまとめて記載しております。但し、以下に記載したリスクは当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。かかるリスク要因のいずれによっても、投資者の判断に影響を及ぼす可能性があります。
また、前述の、当社グループリスクマネジメントの取組みの中で、以下に記載する各リスクに対する対応策を含む種々の対応策をとりますが、それらの対策が有効に機能しない等によりリスクが解消できず、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、文中においては、将来に関する事項が含まれておりますが、別段の記載が無い限り、当該事項は当年度末現在において判断したものです。
(1)中期経営方針について
当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指して、2019年に、「Asahi Group Philosophy(AGP)」を制定し、それに基づいて中期経営方針を更新しました。「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通り、本方針では、3年程度を想定した主要指標のガイドラインや、財務・キャッシュ・フロー方針を示しておりますが、これらのガイドライン・方針は、策定時に当社グループが入手可能な情報や適切と考えられる一定の前提に基づき、将来の事象に関する仮定及び予想に依拠して策定されたものです。そのため、本「2 事業等のリスク」に記載の各リスク等を含む様々な要因により変更を余儀なくされるものであり、当社グループの事業や業績が中期経営方針内の同ガイドライン・方針等を達成できない可能性があります。
(2)技術革新による新たなビジネスモデルの出現
当社グループが国内外で事業を展開する、酒類・飲料・食品業界は、その製造販売に関して、技術革新による競争環境の変化が比較的少ない安定した業界ですが、最近では、アルコールテイスト清涼飲料による新たな飲用シーンの提案ができるようになり、IoTによる付加価値の提供、AI活用によるサプライチェーンの効率化、あるいはアルコール代替品など、技術革新による新たなビジネスモデルの可能性も示されております。
これらの新たなビジネスモデルが、短期的に当社グループ事業に影響を及ぼす可能性は低いと考えますが、中長期的には、コスト構造や顧客体験で劣後し、業界での主導権喪失や競争力の低下につながり、売上収益、事業利益の低下など、当社グループ業績に影響を及ぼす可能性もあります。その一方で、当社グループがこのようなイノベーションを先導することができれば、市場優位性獲得や、新規市場創出につながることが期待できます。
本件に対しては、単なるリスク対応に留まることなく技術革新を先取りすることを目指して、中期経営方針において「イノベーション、ディスラプションを実現する風土改革、無形資産(研究開発・人材力等)への投資」及び「デジタルトランスフォーメーションによる構造改革、ビジネスモデルの進化」を掲げ、領域を特定した戦略的R&D及びIT投資を推進しています。また、各事業領域においてもイノベーションは重点課題の一つと認識し、取り組みを進めています。以上の取り組みを加速すべく、革新的技術の早期認識及びグループへの取込み、並びに事業化を支援する体制の構築を推進しております。その取り組みの一環として、本年度、研究戦略の立案、研究開発、及び新規事業創出に取り組む新会社、アサヒクオリティーアンドイノベーションズ株式会社を設立しました。当社では、これまで蓄積してきた酵母や乳酸菌研究の知見等を深掘りし、新たな事業や価値の創出を目指すとともに、AIなどの新技術やオープンイノベーションを積極的に活用し、従来の研究開発領域に捉われない取り組みを進めています。また、中期経営方針に掲げた『稼ぐ力の強化』、「新たな成長の源泉獲得」及び「イノベーション文化の醸成」を目的として、「ADX(Asahi Digital Transformation)戦略モデル」を策定し、新たな価値体験の創出等、デザイン思考によるアイデアの創出やオープンイノベーションに積極的に取り組んでいます。
(3)事業拡大について
当社グループは、Schweppes Australia社の買収(2009年、買収額1,185百万豪ドル(適時開示の際に公表した金額、以下同じ))、カルピス社の買収(2012年、買収額920億円)、旧SAB Miller社の西欧ビール事業の取得(2016年、買収額2,550百万ユーロ)、及び中東欧ビール事業の取得(2017年、買収額7,300百万ユーロ)をはじめとして、国内外での事業領域拡大のため、積極的に外部の経営資源を獲得してきました。中期経営方針において「既存事業を補完するボルトオン型M&Aや競合・異業種とのアライアンスの拡大」を掲げ、現在、Anheuser-Busch InBev SA/NVが豪州で保有するビール・サイダー事業の買収成立に向けて取り組んでおり、今後も、成長のために、外部の経営資源を活用していきます。
外部の経営資源獲得にあたっては、慎重に検討を行い、一定の社内基準をもとに、将来の当社グループの業績に貢献すると判断した場合のみ実行致します。しかしながら、営業、人員、技術及び組織の統合ができずコスト削減等の期待したシナジー効果が創出できなかった場合、アルコールや砂糖の摂取に対する社会の価値観の変化や人口動態の変化等により、買収した事業における製品に対する継続的な需要を維持できない場合、買収した事業における優秀な人材を保持し又は従業員の士気を維持することができない場合、高付加価値ブランドの育成不振等、効果的なブランド及び製品ポートフォリオを構築することができない場合、並びに異なる製品ラインにおける販売及び市場戦略の連携(クロスセルの拡大)ができない場合等により、当社グループの期待する成果が得られない可能性があります。
当社グループは、買収に伴い、相当額ののれん及び無形資産を連結財政状態計算書に計上しており、当年度末現在、のれん及び無形資産の金額はそれぞれ、連結総資産の22.4%(7,029億円)及び22.1%(6,955億円)を占めております。当社グループは、当該のれん及び無形資産につきまして、それぞれの事業価値及び将来の収益力を適切に反映したものと考えておりますが、事業環境や競合状況の変化等により期待する成果が将来にわたって大きく損なわれると判断された場合、又はカントリーリスクの顕在化による金利高騰や市場縮小等により適用される割引率や長期成長率が大きく変動した場合等は、減損損失が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、AGP及び中期経営方針に基づいたグローカルな価値創造経営により、事業の持続的成長と中長期的な企業価値向上を目指しており、『稼ぐ力の強化』、『経営資源の高度化』や、『ESGへの取組み深化』の一環としてグループガバナンスの更なる実効性向上に向けた取り組みを実施することで、グループ戦略の実行と期待成果をより確実なものとします。
(4)情報セキュリティ
当社グループは、高い市場競争力を確保するため、事業活動の多くをITシステムに依存しており、停電、災害、ソフトウェアや機器の欠陥、あるいはサイバー攻撃によって、事業活動の混乱、機密情報の喪失、個人情報の漏洩、詐欺被害、EU一般データ保護規則(GDPR)などの各国法令違反が発生する可能性があります。
このようなリスクが顕在化した場合、事業の中断、損害賠償請求やセキュリティ対策費用の増加等によるキャッシュアウト、GDPR違反による制裁金等により、当社グループの業績及び財政状態、並びに企業ブランド価値に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、2016年8月にASAHI-CSIRTを設置し、ITシステム上でサイバーセキュリティインシデントが起きていないかどうか監視すると共に、万が一インシデントが発生した場合には、その適切な対応を行うことは勿論のこと、原因解析や影響範囲の調査を行い、再発防止並びに防御の最適化を図る体制を敷いています。そのうえで、ソフトウェアや機器でのセキュリティ対策、及び社員教育や訓練を実施し、本件リスクが顕在化しないように取り組んでいます。
(5)アルコール摂取に対する社会の価値観
アルコールの摂取は、人々の生活を豊かにしてきた一方で、その不適切な摂取は、健康面あるいは社会的悪影響が指摘されています。WHOにおいては、世界的な規模での酒類販売に関する規制が検討されており、当社グループの予想を上回る規制強化が行われる可能性があります。また、世界的健康志向の高まりにより、アルコールに対する消費者需要が縮小する可能性もあります。これらの要因により、規制に対応するための費用支出による利益圧迫や、酒類の消費が減少することによる売上収益の縮小、さらにはアルコールを製造・販売する当社グループのレピュテーション及びブランド価値を毀損するなどし、その結果、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、アルコール飲料を製造・販売する企業として、企業の社会的責任を果たすため、WHOの目指すアルコールの有害な使用の低減による健康被害の予防について、酒類事業を行う各地の関連法令遵守のほか、IARD※をはじめとする業界団体や業界と協力、連携して、販売や広告に関する自主基準を設け、責任あるマーケティングに取り組んでおります。2020年1月28日には、IARDに加盟する企業のCEOによる、未成年飲酒防止に向けた取組みを推進する共同声明を公表しました。また、適正飲酒の啓発活動を積極的に推進し、不適切な飲酒の撲滅に取り組んでいます。また、アルコールテイスト清涼飲料など、健康に配慮した商品の展開により、新しい飲用機会の創出に取り組んでおります。
※IARD=International Alliance for Responsible Drinking(責任ある飲酒国際連盟)の略称。不適切な飲酒の撲滅と、責任ある飲酒を促進するという共通の目的のもとに、世界のビール、ワイン、スピリッツの製造業者である大手企業12社の加盟企業で構成される非営利団体。
(6)国内事業環境
当社グループの売上収益において国内事業の占める割合は約66.5%となっております。今後の日本国内での景気の動向によって、酒類・飲料・食品の消費量に大きな影響を与える可能性があり、人口の減少、少子高齢化が進んでいくと、酒類・飲料・食品の消費量が減少する可能性があります。また、これまでのデフレ環境が想定以上に継続することにより、国内での競争環境がさらに激化する結果、販売単価の下落を招き、当社グループ事業の収益性が、想定より損なわれる可能性があります。以上の要因により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
国内事業の売上収益のうち、ビール類は約5割を占めます。このような状況は、当社ビール類商品に対するお客様の信頼を反映したものであり、当社グループ国内酒類事業での効率的な利益創出に寄与しておりますが、消費者の嗜好性の変化、世代交代等により、お客様の支持を失ってしまうと、本商品群の売上が低下し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、中期経営方針に『稼ぐ力の強化』を掲げ、『アサヒスーパードライ』など主力ブランドの価値向上や新市場の創造を目指すとともに、最適生産物流体制の構築など収益構造改革に継続して取り組むことで、本リスクが顕在化した場合の業績及び財政状態への影響の低減を図っていきます。また、ビール類以外にも酒類全般における商品のラインアップを充実させることで売上収益を増加させるとともに、飲料、食品事業において、消費者の健康志向の高まり及び高齢化社会に対応する領域へ挑戦することで、事業拡大を図っていきます。
しかしながら、経済不況、消費者の嗜好の変化等、市場の需要動向によって酒類、飲料、食品の消費量の大幅な減少を余儀なくされる等、予期せぬ事態が発生した場合は、上記対策が有効に機能せず、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7)国内物流需給ギャップの拡大
当社グループが事業展開する、酒類・飲料・食品の製造販売業界においては、物流は重要、かつ費用の構成比も高い機能です。国内の物流環境は、少子高齢化による労働人口減少に加え、電子商取引の拡大による宅配便の増加等の影響もあり、ドライバー需給ギャップの拡大が予想されます。さらには、物流業界特有の長時間労働の削減、生産性の向上等、社会問題の積極的な解消無くしては、今後想定を上回る需給ギャップが生じる可能性も否めません。
これらの事業環境の変化により、当社グループ全事業の、売上収益ベースで66.5%、事業利益ベースで56.3%を占める国内事業において、運搬費の増嵩に留まらず、製品の運搬に必要な量の物流機能を適切な費用にて確保することができないこと等により、製品供給が滞るリスクをも想定しておく必要があります。
本件リスクは、日本社会全体の課題とも密接に関連しており、当社グループは、国土交通省・経済産業省・農林水産省が推進する「ホワイト物流」推進運動の趣旨に賛同する旨を表明しております。
当社グループは、本件リスクへの具体的な対応として、地産地消ロジスティクスの実現による効率的な物流体制の実現及び輸送量の削減、並びに物流機器・システムの導入による物流業務省人化及び物流負荷低減を目的として、アサヒビール名古屋工場でアサヒ飲料製品の製造ラインを新設するとともに自動倉庫を建設しています(2021年稼働予定)。また、従来から取り組んでいるモーダルシフト(鉄道・船舶輸送)や、効率化・省人化を目指した新たな幹線輸送スキームの確立など、同業他社や異業種、物流事業者との連携による効率性の高い輸送の実現を推進しています。
但し、これらの対策の実施を妨げる事象が発生する又は対策が有効に機能しない、あるいは物流需給ギャップが想定をはるかに上回ってしまう等により、上記リスクが解消しなかった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8)多様で有能な人材の確保
中期経営方針に掲げる目標達成のためには、多様な価値観や専門性を持った社員の力が必要不可欠です。そのため、当社グループは、社員の多様性を尊重するとともに、一人ひとりが成長できる人材育成プログラムへの投資を拡大し、必要に応じて、経営幹部、一般社員問わず、外部からの登用も進めております。
それでも、日本国内での少子高齢化による労働人口減少、及びグローバルな事業地域の拡大にともなう人材需要の増高及び必要スキルの変更及び高度化により、多様で有能な経営幹部並びに一般社員を、必要数確保、育成及び定着させることができず、中期経営方針の戦略を実行し目標を達成する能力を損ねる可能性があります。
本件リスクに対して、中期経営方針に「グローカルタレントマネジメントやダイバーシティの推進」を掲げ、取り組みを進めております。将来の経営幹部候補のサクセッション・プランを策定し、それに基づいたグローバルリーダーシッププログラム等の育成施策を連動させることによって、人材パイプラインの拡充・強化を進めています。加えて、グローバル人材会議等を通じて各国の人材の可視化を図り、グローバルでの適材適所配置も推進し、能力と適性のある人材を積極的に登用していきます。また、日本を含めて、地域を越えた人材交流の活性化、国籍や性別を超えた登用など、ダイバーシティを推進しております。
(9)品質について
当社グループは、最高の品質をお客様にお届けすることをグループ理念に掲げ、いずれのグループ会社も品質を通して、お客様との信頼関係を築くことに不断の努力を続けています。お客様の健康に密接に関連する事業を展開しているため、万一、不測の事態により、お客様の健康を脅かす可能性が生じたときは、お客様の安全を最優先に考え、迅速に対応します。
当社グループは、品質確保及び向上の取組みとして、商品設計から販売に至るまでのプロセス毎に、品質に影響を与える業務や注意すべき事項を抽出し、その点検と是正を実施しています。また、品質保証技術の高度化のため、AI等先端技術の導入にも取り組んでいます。特に、生産工程においては、重要な管理項目を整理し、必須要求事項として展開し、工場毎の自己点検や生産工程の監査へ活用しています。これらの取組みについては、今後も深化させていきます。
また、当社グループでは、食の安全に関わる最新の分析技術を開発しています。その対象は、微生物・農薬・カビ毒・重金属・樹脂・放射性物質など多岐にわたっており、海外も含めたグループ全体の高度な品質保証体制を技術面から支えています。
さらに、各グループ会社の商品特性や製造工場の環境に応じて、国際的な品質・食品安全マネジメントシステムの考え方を取り入れ、必要に応じて外部認証取得しています。
しかしながら、以上並びにその他の品質リスクに対する対策にもかかわらず、万一、品質に問題が生じて、商品の安全性に疑義が持たれた場合には、商品の回収や製造の中止を余儀なくされ、その対応に費用や時間を要するだけでなく、お客様からの信頼を失う可能性があります。このような事象が発生した場合、中期経営方針に掲げた「国内外での高付加価値ブランドの育成とクロスセルの拡大などによる売上成長」の未達を含む、当社グループの業績及び財政状態、並びにレピュテーション及びブランド価値に対して影響を及ぼす可能性があります。
(10)大規模自然災害
大規模な地震、津波、台風、洪水等の自然災害に関連するリスクは年々高まっており、近年国内外問わず、世界各地で大規模災害が現実のものとなっています。今後も、中長期的に継続するとともに規模の拡大が懸念されております。このような大規模な自然災害の発生により、従業員の被害、工場損壊、設備故障及びユーティリティー(電気、ガス、水)遮断により製造が停止、倉庫損壊及び保管製品破損により出荷が停止、並びに物流機能停止により原材料資材の調達及び製品の出荷が不能になる可能性があります。更に、事務所施設の損壊、交通機関マヒによる従業員の通勤不能、及びシステム障害に伴う重要データの消失等もあわせて、事業活動が停止する可能性があります。事業活動の復旧に長期を要した場合、施設等の改修に多額の費用が発生した場合、消費マインドが落ち込んだ場合など、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループは、大規模災害が発生した際に、いち早く従業員(及びその家族)の安否を確認する仕組みとして、安否確認システムを導入するとともに、早急に被災地の被害状況を把握するため、衛星携帯電話の配備をはじめとした緊急時通信体制の強化を進めています。そのうえで、定期的な訓練を実施することで、有事の対応力を強化するとともに、災害対応意識の啓発に努めています。
生産工場では、建物倒壊対策のため、国内全建物対象に耐震診断を完了。対策が必要な物件については、順次計画的に補強工事を実施中です。ボイラー、冷凍機等の大型エネルギー供給設備には大地震(震度5弱相当)を検知すると、安全に自動停止する機能が付属し、大型ビール工場では電力供給が遮断した場合でも、自家発電によりタンクを冷却させることで、半製品の大量腐敗を防止するなど2次災害のリスク低減対策を進めています。
また、主要グループ会社において、過去の地震防災対策の実績及び東日本大震災の経験を踏まえた「事業継続計画(BCP)」の策定を行い、主要商品の供給を継続するための需給調整機能を早急に復旧する体制を構築するとともに、受発注処理等に関する重要なデータを処理する関東のサーバーセンターのバックアップセンターを関西に設置し、大規模な自然災害が起こった場合であっても被災地以外での事業活動に支障が無いように備えています。
これらの事前対策により災害による被害の最小化、当社グループの業績及び財政状態に対する影響の低減に努めています。
(11)プラスチック使用
近年、廃棄プラスチックの規制強化の動きが活発化しております。同時に、プラスチックを大量に使用する製品に対する社会の目は厳しくなってきており、容器包装をプラスチック素材に依存している当社グループの飲料・食品製品の需要が著しく低下し、売上に影響を与えるだけでなく、対応不十分とのことで、当社グループに対するレピュテーションが低下する可能性があります。また、リサイクル費用の負担が増加することや、生分解性素材などの代替素材を使用した場合の材料費が増加することなどで、製造原価が増高する可能性があります。
本件リスクへの対応として、当社グループは、「アサヒグループ環境ビジョン2050」の中で、「持続可能な資源利用100%を目指す(農産物原料、容器包装、水)」ことを目標に掲げ、容器包装に関しては、グループ各社において、海洋汚染や生態系への影響が世界的に問題視されている海洋プラスチック問題への対応を、国内外で様々な取組みを進めています。
国内では、アサヒ飲料株式会社が「容器包装2030」を制定し、リサイクルペット・環境配慮素材の使用、リデュースの推進、環境への配慮を前提とした新容器開発等に取り組んでおり、ラベルの無い「ラベルレスボトル」、さらにリサイクル素材を20%使用したペットボトル入りの『カルピス』等を販売しています。また海外では、オーストラリアの飲料子会社Asahi Beverages Pty Ltdが、リサイクル素材を100%使用したペットボトル入りのミネラルウォーター『Cool Ridge』を販売しています。
当社グループ全体としては、更なる環境配慮素材の活用を推進してまいります。
(12)気候変動にかかわるリスク
国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)においてパリ協定が採択、各国で批准されたのを機に、気候変動や地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの削減を目的とした取組みが世界的に進められています。
当社グループは、将来的な気候変動が、その業績及び財政状態に重大な影響を与える可能性がある物理リスクとして、以下の通り認識しています。海外の生産拠点における干ばつが深刻化し、水需給が逼迫、水価格の高騰による操業コストが上昇する可能性があります。気温上昇(生育環境や労働環境の変化)・天候・自然災害・CO2濃度などが需給バランスや品質に影響し、主要な原材料価格が変動する可能性があります。更に、必要な水資源が確保できない場合、操業停止による機会損失と工場移転費用が発生する可能性があります。異常気象の激甚化により、深刻な風水害及び土砂災害が発生することで生産ラインや物流が停止し、設備被害や機会損失、製品廃棄による損失が発生する可能性があります。
また、将来的な気候変動を見据えた低炭素社会への移行リスクを以下の通り認識しております。炭素税が導入され、製品原材料への価格転嫁や生産拠点の操業コストが上昇する可能性があります。水ストレスの高い地域の生産拠点において取水制限を受けて操業が停止、機会損失が発生する可能性があります。エシカル志向の高まりにより、環境配慮が不十分な製品があった場合、その需要が低下し、当社売上に影響を与える可能性があります。
当社グループは、新たに制定した「アサヒグループ環境ビジョン2050」の中で、CO2排出量を、2030年までに2015年比30%を削減し、2050年迄にゼロとする目標を掲げ、更なる省エネルギーと再生可能エネルギーの活用に取組み、水リスクへの対応としましては、グループ全体として、水使用量削減に向け、取り組んでまいります。また、当社は、2019年5月、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」の提言に賛同しました。気候変動が事業に及ぼすリスクと機会の分析と対応について積極的に取り組み、今後、有価証券報告書、統合報告書やホームページ等において情報開示を行っていきます。
(13)事業展開国のカントリーリスク
現在、当社グループは20を超える国に拠点を構え、世界経済全体の動向に加え、各国固有の政治、経済、社会、法規制、自然などの要素が、各国事業に影響を与える可能性があります。具体的なリスクとしては、政情不安、経済危機、関税報復措置、難民排斥運動、人種差別、規制強化、税制改正、自然災害、新興感染症等が想定されます。2019年7月以降、韓国での日本商品の不買運動により、同国での当社グループ製品の販売数量が大幅に減少しました。これらリスクに対しては、グループ各社での情報収集や外部コンサルタント起用等を通じて早期に認識し、顕在化する前に具体的かつ適切な対処をするよう取り組むことで、その予防・回避に努めるとともに、重大インシデント発生に備えた事業継続計画の策定などを行っていますが、これらのリスクが顕在化した場合には、関税引き上げなど、在外資本企業に対する不利益条件によるコスト競争力の低下、利益の圧縮、政治的・軍事的・社会的圧力による営業困難あるいは営業停止、社員の安全不安、経営計画未達、中長期的損失計上、さらには事業撤退の可能性もあります。また、当社グループは、今後の更なるグローバル化により収益源の分散化を進め、本件リスク顕在化時の、グループ全体への影響の低減を図っていきますが、当社想定を大きく超える事態が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(14)法規制とソフトローのコンプライアンス
当社グループは事業の遂行にあたって、食品衛生法、製造物責任法、労働関連規制、贈収賄規制、競争法、GDPR等の個人情報保護規則、環境関連法規等の様々な法規制の適用を受けています。これらの法令が変更される、又は予期し得ない法律、規制等が新たに導入される等の理由による法令違反や社会規範に反した行動等により、法令による処罰・訴訟の提起・社会的制裁を受け、規制遵守対応のためのコストが増加し、又はお客様をはじめとしたステークホルダーの信頼を失うことにより、レピュテーションやブランド価値が毀損し、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループは、「アサヒグループ行動規範」を制定し、事業活動を行う全ての国・地域において、適用される法令・ルールを遵守することを含め、「Asahi Group Philosophy」で示したステークホルダーに対する5つのPrinciplesに基づき、企業倫理・コンプライアンスを実践するための10条の行動規範を規定しました。そして、代表取締役社長が委員長を務め、業務執行取締役及び委員長が任命した執行役員で構成される「コンプライアンス委員会」を設置し、グループ全体の企業倫理・コンプライアンスを推進・監督するとともに、「アサヒグループ行動規範」に関する社員の研修などを通じてコンプライアンスのレベルを高め、法令違反や社会規範に反した行為等の発生可能性を低減するよう努めています。
また、グローバルな事業地域が大きく拡大した今、当社グループにとって、人権保護並びに関連法規制の遵守は特に重要と認識しています。そこで、『ESGへの取組み深化』における重点課題の一つとして「人権マネジメント体制の構築」を掲げ、第一ステップとして、2019年、人権に関する最上位の方針として、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠した「アサヒグループ人権方針」を制定しました。本方針で掲げた人権デューデリジェンスについては、2017年に実施した現代奴隷リスク分析の結果に基づき、2020年にサプライチェーンから開始する予定です。今後、人権マネジメント体制の更なる高度化を図り、人権侵害リスク低減に向けた取り組みを推進します。
(15)その他のリスク
新型コロナウィルス感染拡大の影響
2019年末、中国で初めて確認され、提出日現在100を超える国や地域へ拡大している新型コロナウィルス感染症(COVID-19)に対して、当社グループでは、顧客、取引先及び社員の安全第一を考え、また更なる感染拡大を防ぐために、WHO並びに各国保健行政の指針に従った感染防止策の徹底をはじめとして、感染リスクが高い国や地域への、及びそれらの国や地域からの渡航の原則禁止、工場見学や販売促進企画等の多くのお客様にお集まりいただくイベントの休止や制限、国内でのテレワーク(在宅勤務)の原則化等、対応を実施しております。提出日現在、主要原材料の十分量確保、業務用商品の需要低迷を家庭用商品で補完する等により、事業影響の低減を図っておりますが、今後、事態が長期化又は更なる感染拡大やパンデミックにあたる状況が進行すれば、世界的な景気の悪化及び各種イベントの中止や延期等による酒類・飲料・食品の全体消費量の減少、原材料価格の高騰、又は原材料確保の困難等が生じ、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
財務リスク
為替変動 :当社グループはグローバルに事業を展開しているため為替リスクを負っています。このうち、海外子会社及び関連会社における資産や負債については円高が進行すると在外営業活動体の換算差額を通じて自己資本が減少するリスクがあります。このため、必要に応じて為替リスクのヘッジをするなどの施策を実行していますが、完全にリスクが回避できるわけではありません。また、海外連結子会社等の損益の連結純利益に占める割合が比較的高く、これらの収益の多くが外貨建てであり、当社の報告通貨が円であることから、外国通貨に対して円高が進むと、連結純利益にマイナスのインパクトを与えます。一方、本国で行う輸出入、及び外国間などの貿易取引から発生する、外貨建債権及び債務等は為替レートの変動によるリスクを有しておりますが、このリスクは為替予約等と相殺されるため影響は限定されます。
金利変動 :当社グループは銀行預金や国債等の金融資産及び銀行借入金や社債、リース負債等の負債を保有しております。これらの資産及び負債に係る金利の変動は受取利息及び支払利息の増減、あるいは金融資産及び金融負債の価値に影響を与え、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、金利リスクを回避する目的で、金利を実質的に固定化する金利スワップを利用しております。またヘッジ会計の要件を満たす取引については、ヘッジ会計を適用しております。
格付低下 :当社グループに対する外部格付機関による格付けが引き下げとなり、当社グループの資本・資金調達の取引条件の悪化、もしくは取引そのものが制限される場合には、当社グループの業務運営や業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
保有資産の価格変動:当社グループが保有する土地や有価証券等の資産価値の下落や事業環境の変化等があった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
税務リスク
当社グループはグローバルに事業を展開しており、本国をはじめとする、各国の税制による適用を受けており、予期し得ない改正や税務当局からの更正処分を受けた場合、大幅なコストの増加、競争環境の悪化、事業活動の制限等が懸念され、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
訴訟リスク
当社グループは、事業を遂行していくうえで、訴訟を提起される可能性があります。万一当社グループが訴訟を提起された場合、また訴訟の結果によっては、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(平成31年1月31日内閣府令第3号)による改正後の「企業内容等の開示に関する内閣府令」第二号様式記載上の注意(32)の規定を当事業年度に係る有価証券報告書から適用しております。
(業績等の概要)
(1)業績
当期における世界経済は、雇用者数の増加や個人消費の拡大を背景に米国の景気が堅調に推移したことなどにより、全体としては回復基調が継続しましたが、アジアや欧州において景気に弱さが見られました。日本経済におきましては、輸出の弱さが続いているものの、雇用・所得環境の改善による個人消費の持ち直しなどにより、景気は緩やかに回復しました。
こうした状況のなかアサヒグループは、グループ理念「Asahi Group Philosophy」のもと、「中期経営方針」に基づき“グローカルな価値創造経営”を推進しています。「中期経営方針」では『稼ぐ力の強化』、『経営資源の高度化』、『ESGへの取組み深化』の3つを重点課題に設定し、特に『稼ぐ力の強化』においては、国内外の各事業における高付加価値ブランドの育成や収益構造改革などに取り組みました。
その結果、主力ブランドの価値向上やお客様への新たな価値提案を行ったものの、国内では最盛期の天候不順や競争激化の影響を受けたことに加え、海外においては、欧州を中心にプレミアム化が進展した一方で、為替変動のマイナス影響を受けたことなどにより、アサヒグループの売上収益は、2兆890億4千8百万円(前期比1.5%減)となりました。また、利益につきましては、事業利益※1は2,129億7千1百万円(前期比3.8%減)、営業利益は2,014億3千6百万円(前期比4.9%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,422億7百万円(前期比5.9%減)となりました。
なお、為替変動によるマイナス影響を除くと、売上収益は前期比0.8%の増収、事業利益は前期比1.0%の減益となりました。※2
※1 事業利益とは、売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除した、恒常的な事業の業績を測る当社独自の利益指標です。
※2 2019年の外貨金額を、2018年の為替レートで円換算して比較しています。
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アサヒグループの実績 (単位:百万円) |
|
|
実績 |
前期比 |
|
売上収益 |
2,089,048 |
△1.5% |
|
事業利益 |
212,971 |
△3.8% |
|
営業利益 |
201,436 |
△4.9% |
|
親会社の所有者に 帰属する当期利益 |
142,207 |
△5.9% |
当年度の財政状態の状況は、連結総資産は前年度末と比較して614億7千3百万円増加し、3兆1,407億8千8百万円、負債は前年度末と比較して371億5千8百万円減少し、1兆8,925億9百万円となりました。また、資本は前年度末に比べ986億3千2百万円増加し、1兆2,482億7千9百万円となりました。
セグメントの業績は次の通りです。各セグメントの売上収益はセグメント間の内部売上収益を含んでおります。
なお、当年度より酒類事業に含まれていた輸出ビールの販売分について、報告セグメントの区分を国際事業に変更しており、国際事業に含まれていた一部の会社の報告セグメント区分を飲料事業に変更しております。また、事業利益の「調整額計」に含まれていた「IFRS調整額」を、各事業に配賦する開示方法に変更しております。以下の前期比較は前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
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事業セグメント別の実績 (単位:百万円) |
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売上収益 |
前期比 |
事業利益 |
前期比 |
売上収益 事業利益率 |
営業利益 |
前期比 |
|
酒類 |
886,860 |
△2.9% |
105,543 |
△3.6% |
11.9% |
102,957 |
△3.0% |
|
飲料 |
376,240 |
1.5% |
33,239 |
△10.8% |
8.8% |
30,576 |
△11.9% |
|
食品 |
117,645 |
1.4% |
13,013 |
5.3% |
11.1% |
12,622 |
7.3% |
|
国際 |
699,596 |
△1.5% |
102,448 |
1.8% |
14.6% |
76,118 |
△1.6% |
|
その他 |
109,191 |
△0.3% |
2,267 |
△10.3% |
2.1% |
1,910 |
△17.5% |
|
調整額計 |
△100,485 |
- |
△22,342 |
- |
- |
△22,750 |
- |
|
無形資産償却費 |
- |
- |
△21,198 |
- |
- |
- |
- |
|
合計 |
2,089,048 |
△1.5% |
212,971 |
△3.8% |
10.2% |
201,436 |
△4.9% |
※営業利益における無形資産償却費は各事業に配賦しています。
[酒類事業]
酒類事業につきましては、「基幹ブランドの強化と新需要の創造」をテーマに、最高品質の提供と飲用機会の拡大による市場全体の活性化や新需要の創造に向けた商品提案に取り組みました。
ビール類については、ビールにおいて、『アサヒスーパードライ』のブランドテーマを“THE JAPAN BRAND”と設定し広告訴求を強化するとともに、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の応援デザイン商品を展開する※1などにより、ビール需要の活性化に取り組みました。さらに、飲食店における新たな飲用シーンを提案する『アサヒスーパードライ ザ・クール』を発売するなど、若年層の需要拡大に向けた取組みを強化しました。新ジャンルにおいては、麦の味わいと心地よい香りを高めた『クリアアサヒ』の販売促進活動を強化したほか、冴えるシャープなキレと麦100%※2の飲みごたえを実現した『アサヒ 極上<キレ味>』を発売し、市場における存在感の向上を図りました。
ビール類以外については、RTD※3において、強炭酸の爽快さが特長の『ウィルキンソン・ドライセブン』や『ウィルキンソン・ハイボール』を発売したほか、洋酒において、主力ブランド『ブラックニッカ』の様々なシーンでの飲用提案を強化しました。また、アルコールテイスト清涼飲料において『アサヒドライゼロ』で新たな需要創出に向けた活動を行うなど、各カテゴリーにおける主力ブランドの強化・育成に取り組みました。
以上の結果、酒類事業の売上収益は、ビール類以外の売上では、RTDや洋酒などが好調に推移し増収となったものの、ビール及び発泡酒の販売数量が市場の縮小などを受けて前年実績を下回ったことにより、前期比2.9%減の8,868億6千万円となりました。
事業利益については、製造原価の低減やZBB(ゼロベース予算)導入による収益構造改革などに取り組みましたが、売上収益の減少などにより、前期比3.6%減の1,055億4千3百万円となりました(営業利益は、前期比3.0%減の1,029億5千7百万円)。
※1 アサヒビール株式会社は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会ゴールドパートナー(ビール&ワイン)です。
※2 麦芽、大麦、スピリッツ(大麦)を使用。ホップ使用量を除きます。
※3 RTD:Ready To Drinkの略。購入後、そのまま飲用可能な缶チューハイなどを指します。
[飲料事業]
飲料事業につきましては、主力ブランドへの経営資源の集中に加え、健康機能領域での高付加価値商品の取組み強化など、新たな成長基盤の構築や最適生産物流体制の推進による収益構造改革に取り組みました。
主力ブランドにおいては、『三ツ矢』ブランドでは、日本各地の特産果実を厳選して使用した『特産三ツ矢』シリーズの販売を強化したほか、『ウィルキンソン』ブランドでは、積極的な広告訴求に加えて商品ラインアップを拡充しました。また、発売100周年を迎えた『カルピス』ブランドでは、限定商品として『匠の「カルピス」』を発売するとともに、様々な記念日を応援する「人を想う記念日ACTION!」や発酵食品の魅力を伝える「発酵BLEND PROJECT」などの新しい取組みを積極的に展開するなど、ブランド価値の向上に努めました。
健康機能領域においては、「カルピス酸乳」の認知機能研究から生まれた「ラクトノナデカペプチド」を配合した機能性表示食品『はたらくアタマに』シリーズを『ワンダ』、『カルピス』などのブランドを横断して発売するなど、高付加価値商品への取組みを強化しました。
以上の結果、飲料事業の売上収益は、最盛期の天候不順の影響などにより『三ツ矢』や『カルピス』の各ブランドが前年実績を下回ったものの、無糖炭酸市場で成長が続く『ウィルキンソン』ブランドや健康機能領域の高付加価値商品が堅調に推移したことなどにより、前期比1.5%増の3,762億4千万円となりました。
事業利益については、最盛期の天候不順の影響などを受けて、工場稼働率が低下したことに伴い製造原価が上昇したことや、市場活性化に向けて広告・販促費を積極的に投入したことなどにより、前期比10.8%減の332億3千9百万円となりました(営業利益は、前期比11.9%減の305億7千6百万円)。
[食品事業]
食品事業につきましては、主力ブランド・カテゴリーへの経営資源の集中による市場競争力の強化や、最適生産物流体制の構築による収益性の向上など、成長基盤の盤石化に取り組みました。
タブレット菓子『ミンティア』については、主力商品のリニューアルのほか、ミントのおいしさとともに食べ始めから食べ終わりまでスッキリ・クリア感が楽しめる『ミンティアブリーズ クリアプラス』の発売などにより、ユーザー層の拡大を図りました。
サプリメントについては、『ディアナチュラ』において、主力商品を中心に販売促進活動を積極的に展開するとともに、商品ラインアップを拡充するなど、ブランド力の向上を図りました。
ベビーフードについては、離乳食期に30種の食材を体験することで味覚を広げることをサポートする『WAKODO GLOBAL』シリーズを発売し、新たな価値を提案しました。
フリーズドライ食品については、食事を彩る8種の食材と香り引き立つ2種の食材を使用したみそ汁の新シリーズ『10品目の一杯』を発売したほか、アンテナショップを新たに2店舗展開するなど、市場における地位の更なる向上に取り組みました。
以上の結果、食品事業の売上収益は、『ミンティア』や『ディアナチュラ』など主力ブランドが好調に推移したことに加え、ベビーフードやフリーズドライ食品での「強み」を活かした新たな価値提案などにより、前期比1.4%増の1,176億4千5百万円となりました。
事業利益については、増収効果に加えて、固定費全般の効率化や商品カテゴリー構成の改善などにより、前期比5.3%増の130億1千3百万円となりました(営業利益は、前期比7.3%増の126億2千2百万円)。
[国際事業]
国際事業につきましては、各事業における高付加価値商品を核としたブランド力の強化や地域横断的な展開によるシナジー創出などにより、成長基盤の一層の拡大に取り組みました。
欧州事業については、西欧において、『Peroni Nastro Azzurro』や『アサヒスーパードライ』を中心にプレミアム化を推進したほか、4月に取得した英国の「The Fuller’s Beer Company Limited」の主力商品である『London Pride』の展開によって高付加価値商品を核としたブランドポートフォリオを強化するなど、成長基盤の強化を図りました。中東欧においては、チェコの『Pilsner Urquell』やポーランドの『Lech』など、主力プレミアムブランドのマーケティング活動を強化するとともに、ポーランドの『Tyskie』のリニューアルなどを実施し、ブランド価値の向上に努めたほか、ビールテイスト清涼飲料の展開を強化するなど、各国におけるプレミアム化の推進と新たな成長ドライバーの育成を図りました。
オセアニア事業については、飲料において、炭酸カテゴリーを中心にノンシュガー商品やプレミアム商品などを積極的に展開しました。酒類においては、現地製造を開始した『アサヒスーパードライ』や『Peroni Nastro Azzurro』を中心としたプレミアムビールのマーケティング活動を強化し、ブランド価値の向上に取り組みました。
東南アジア事業については、マレーシアにおいて、加糖飲料課税の導入などにより健康志向が高まるなか、付加価値を高めた健康機能商品の展開を強化しました。
中国事業については、『アサヒスーパードライ』や『Peroni Nastro Azzurro』、『Pilsner Urquell』の販売強化により、プレミアムビール市場における存在感の向上に取り組みました。
以上の結果、国際事業の売上収益は、プレミアム化の推進や高付加価値商品を拡大展開した欧州事業やオセアニア事業は好調に推移しましたが、各地域での円高のマイナス影響に加えて、前期に実施した中国事業子会社の持分法適用会社への一部移行や韓国での不買運動の影響による輸出の減少などにより、前期比1.5%減の6,995億9千6百万円となりました。
事業利益については、円高や韓国事業の減収などによる減益要因があったものの、好調が続く欧州事業やオセアニア事業の増益により、前期比1.8%増の1,024億4千8百万円となりました(営業利益は、前期比1.6%減の761億1千8百万円)。
なお、為替変動によるマイナス影響を除くと、売上収益は前期比5.4%の増収、事業利益は前期比9.1%の増益となりました。※
※ 2019年の外貨金額を、2018年の為替レートで円換算して比較しています。
[その他の事業]
その他の事業の売上収益は、健康食品の売上減少などにより、前期比0.3%減の1,091億9千1百万円となりました。
事業利益については、人件費など固定費の増加により、前期比10.3%減の22億6千7百万円となりました(営業利益は、前期比17.5%減の19億1千万円)。
[「中期経営方針」のガイドラインの進捗]
「中期経営方針」の「主要指標のガイドライン」の進捗としては、事業利益については、主に2019年の円高や国内の最盛期における天候不順の影響などによる減益により、CAGR(年平均成長率)は+4.1%となり、ガイドラインを下回る進捗となりました(為替変動の影響を除いたベースでは、ガイドライン通りの進捗)。EPS(調整後※)のCAGR(年平均成長率)は+8.8%、ROE(調整後※)は13.0%となり、それぞれのガイドライン通りに進捗しています。
「財務、キャッシュ・フローのガイドライン」に対しては、キャッシュ・フローについては、2019年の事業利益の減益に伴って税引前利益が減少したものの、資産効率の向上に取り組んだことなどにより、1,730億円のフリー・キャッシュ・フローを創出することができ、ガイドライン通りに進捗しています。成長投資・債務削減については、フリー・キャッシュ・フローを債務削減に充当した結果、Net debt/EBITDAは2.93倍となり、ガイドライン通りに進捗しています。また、株主還元については、ガイドライン(2021年までに配当性向35%を目指した安定的な増配)の達成に向けて段階的に引き上げ、当期(2019年度)においては32.2%とする予定です。
当社は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)目標とする経営指標」に記載の通り、2020年第2四半期中にCUB事業の買収取引を予定しております。また、それに関連し、資本調達を含めたファイナンス・プランを検討していますが、上記の「中期経営方針」のガイドラインの内容は、CUB事業の取得及びそれに伴う資金調達による影響を考慮しておりません。当社は、CUB事業の買収取引のクロージングの実行後、これらの影響を考慮の上、中期経営方針/当期の業績予想等の見直しを予定しております。
また、中期経営方針に記載の「ROE(調整後)」は、CUB事業の買収取引のクロージングが延期となり、かつ、有効な財務施策を実施できない場合には、2020年度における予想数値はガイドラインを下回りますが、今後の経営努力によりガイドラインの達成に向けて取り組んでいきます。
(2)キャッシュ・フローの状況
当年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益が1,973億9千1百万円となりましたが、法人所得税等の支払による減少があった一方で、減価償却費等の非キャッシュ項目による増加があり、2,534億6千9百万円(前期比:10億2千7百万円の収入増)の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、欧州事業における子会社株式の取得などにより、1,036億6千6百万円(前期比:1,261億7千1百万円の支出増)の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に長期借入金の返済による金融債務の減少があり、1,588億4千1百万円(前期比:1,117億2千2百万円の支出減)の支出となりました。
以上の結果、当年度末では、前年度末と比較して現金及び現金同等物の残高は88億2千8百万円減少し、484億8千9百万円となりました。
(生産、受注及び販売の状況)
(1)生産実績
当年度におけるセグメントごとの生産実績は以下の通りであります。
|
セグメントの名称 |
数量又は金額 |
単位 |
前期比 |
|
酒類 |
2,193,793 |
KL |
△3.5% |
|
飲料 |
362,922 |
百万円 |
1.7% |
|
食品 |
122,526 |
百万円 |
2.8% |
|
国際 |
516,280 |
百万円 |
2.1% |
(注)1 金額は、販売価額によっております。
2 IFRSに基づく金額を記載しております。
3 酒類事業の生産数量、飲料事業及び食品事業の生産高には、外部への製造委託を含めております。
4 上記金額には消費税等は含まれておりません。
(2)受注実績
当社グループでは受注生産はほとんど行っておりません。
(3)販売実績
当年度におけるセグメントごとの販売実績は以下の通りであります。
|
セグメントの名称 |
金額 |
前期比 |
|
|
酒類 |
886,860 |
百万円 |
△2.9% |
|
飲料 |
376,240 |
百万円 |
1.5% |
|
食品 |
117,645 |
百万円 |
1.4% |
|
国際 |
699,596 |
百万円 |
△1.5% |
|
その他 |
109,191 |
百万円 |
△0.3% |
|
調整額 |
△100,485 |
百万円 |
- |
|
合計 |
2,089,048 |
百万円 |
△1.5% |
(注)1 調整額はセグメント間取引であります。
2 上記金額には消費税等は含まれておりません。
3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
|
|
前年度 |
当年度 |
||
|
相手先 |
販売高 (百万円) |
割合 (%) |
販売高 (百万円) |
割合 (%) |
|
国分ホールディングス㈱ |
176,945 |
8.3 |
158,294 |
7.6 |
|
伊藤忠食品㈱ |
213,425 |
10.1 |
208,144 |
10.0 |
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
当年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は以下の通りであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表注記 6 重要な会計上の見積り及び判断)」に記載しております。
(2)当年度の経営成績の分析
① 売上収益
アサヒグループの当年度の売上収益は、前期比1.5%減、312億4千3百万円減収の2兆890億4千8百万円となりました。酒類事業においては、ビール類以外の売上では、RTDや洋酒などが好調に推移し増収となったものの、ビール及び発泡酒の販売数量が市場の縮小などを受けて前年実績を下回ったことにより、前期比2.9%減、265億2千7百万円減収の8,868億6千万円となりました。飲料事業においては、最盛期の天候不順の影響などにより『三ツ矢』や『カルピス』の各ブランドが前年実績を下回ったものの、無糖炭酸市場で成長が続く『ウィルキンソン』ブランドや健康機能領域の高付加価値商品が堅調に推移したことなどにより、前期比1.5%増、54億6千3百万円増収の3,762億4千万円となりました。食品事業においては、『ミンティア』や『ディアナチュラ』など主力ブランドが好調に推移したことに加え、ベビーフードやフリーズドライ食品での「強み」を活かした新たな価値提案などにより、前期比1.4%増、16億7千2百万円増収の1,176億4千5百万円となりました。国際事業においては、プレミアム化の推進や高付加価値商品を拡大展開した欧州事業やオセアニア事業は好調に推移しましたが、各地域での円高のマイナス影響に加えて、前期に実施した中国事業子会社の持分法適用会社への一部移行や韓国での不買運動の影響による輸出の減少などにより、前期比1.5%減、108億7百万円減収の6,995億9千6百万円となりました。その他の事業においては、健康食品の売上減少などにより、前期比0.3%減、2億7千6百万円減収の1,091億9千1百万円となりました。
② 事業利益
当年度の事業利益は、前期比3.8%減、84億1千2百万円減益の2,129億7千1百万円となりました。酒類事業においては、製造原価の低減やZBB(ゼロベース予算)導入による収益構造改革などに取り組みましたが、売上収益の減少などにより、前期比3.6%減、39億9千4百万円減益の1,055億4千3百万円となりました。飲料事業においては、最盛期の天候不順の影響などを受けて、工場稼働率が低下したことに伴い製造原価が上昇したことや、市場活性化に向けて広告・販促費を積極的に投入したことなどにより、前期比10.8%減、40億2千2百万円減益の332億3千9百万円となりました。食品事業においては、増収効果に加えて、固定費全般の効率化や商品カテゴリー構成の改善などにより、前期比5.3%増、6億5千万円増益の130億1千3百万円となりました。国際事業においては、円高や韓国事業の減収などによる減益要因があったものの、好調が続く欧州事業やオセアニア事業の増益により、前期比1.8%増、18億4千4百万円増益の1,024億4千8百万円となりました。その他の事業においては、人件費など固定費の増加により、前期比10.3%減、2億6千万円減益の22億6千7百万円となりました。
③ 営業利益
営業利益は、事業利益の減益に加え、その他費用の増加などにより、前期比4.9%減、103億3千6百万円減益の2,014億3千6百万円となりました。
④ 税引前利益
当年度の税引前利益は、営業利益の減益に加え、金融収益が前期比2.3%減、1億8千8百万円減少の80億9千4百万円となったことや、金融費用が前期比2.2%増、2億8千万円増加の130億1千2百万円となったことに加え、前年度は持分法で会計処理されている投資の売却損失9億1百万円が計上されていたことなどにより、前期比4.8%減、99億1千7百万円減益の1,973億9千1百万円となりました。
⑤ 親会社の所有者に帰属する当期利益
親会社の所有者に帰属する当期利益は、税引前利益の減益などにより前期比5.9%減、88億7千万円減益の1,422億7百万円となりました。
また、基本的1株当たり利益は310.44円(前期329.80円)となり、親会社所有者帰属持分比率は39.7%(前期37.2%)となりました。
また、事業ポートフォリオ再構築など一時的な特殊要因を除いた親会社に帰属する当期利益を算出に用いた調整後基本的1株当たり利益は310.44円(前期328.95円)となりました。
(3)財政状態の分析
① 総資産
当年度の連結総資産は、前年度末比円高及び償却に伴う無形資産が減少したものの、IFRS第16号「リース」※の適用による有形固定資産の増加や、為替予約に伴うその他の金融資産の増加等により、前年度末と比較して614億7千3百万円増加の、3兆1,407億8千8百万円となりました。
② 負債
負債は、IFRS第16号「リース」の適用によりその他の金融負債が増加したものの、社債及び借入金の減少等により、前年度末と比較して371億5千8百万円減少し、1兆8,925億9百万円となりました。
③ 資本
資本は、前年度末に比べ986億3千2百万円増加し、1兆2,482億7千9百万円となりました。これは、配当金支出により利益剰余金が減少したものの、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上に伴い利益剰余金が増加したこと等によるものです。
この結果、親会社所有者帰属持分比率は39.7%となりました。
また、事業ポートフォリオ再構築や為替変動など一時的な特殊要因を除いた「親会社の所有者に帰属する当期利益」及び「親会社の所有者に帰属する持分合計」を算出に用いた調整後親会社所有者帰属持分当期利益率は13.0%(前期15.2%)となりました。
※詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3 会計方針の変更」をご参照下さい。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フロー分析
キャッシュ・フローの状況につきましては、「(業績等の概要) (2)キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。
また、キャッシュ・フロー指標のトレンドは、以下の通りであります。
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前年度 |
当年度 |
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親会社所有者帰属持分比率(%) |
37.2 |
39.7 |
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時価ベースの親会社所有者帰属 持分比率(%) |
63.5 |
72.7 |
|
キャッシュ・フロー対有利子 負債比率(年) |
4.1 |
4.1 |
|
インタレスト・カバレッジ・ レシオ(倍) |
37.0 |
36.9 |
(注)親会社所有者帰属持分比率:親会社の所有者に帰属する持分/総資産
時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
※ 各指標はいずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※ 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
※ キャッシュ・フローは営業キャッシュ・フローを使用しております。
② 資金の調達
アサヒグループの資金の源泉は、主として営業活動からのキャッシュ・フローと金融機関からの借入、社債の発行からなりますが、当社は経営方針として、有利子負債残高の圧縮を基本として掲げております。しかしながら、「事業基盤強化・効率化を目指した設備投資」及び「M&Aを含む戦略的事業投資」については資金需要に応じて金融債務を柔軟に活用することとしております。なお2020年第2四半期中にクロージングを予定しているCUB事業の買収取引に関連して行う資金調達においては、金利コストの最小化を目指した負債性資金と、早期の財務健全性回復、及び格付の現状維持、リファイナンス・リスクの最小化を目指した資本性資金を組み合わせ、資本コスト、金利コスト全体の低減に努める予定です。一方、運転資金需要については、短期借入金及びコマーシャル・ペーパーでまかなうことを基本としております。
③ 資金の流動性
当社及び主要な連結子会社はCMS(キャッシュマネジメントシステム)を導入しており、各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことにより、資金効率の向上と金融費用の極小化を図っております。
(5)戦略的現状と見通し
2020年は、「中期経営方針」に基づいて、国内外での高付加価値ブランドの育成やZBB(ゼロベース予算)の推進などにより『稼ぐ力の強化』に努めます。さらに、イノベーションの実現に向けた無形資産(研究開発、人材力等)への投資などにより『経営資源の高度化』を図るとともに、アサヒ独自の強みを活かす『ESGへの取組み深化』により、「Asahi Group Philosophy」の具現化に向けた“グローカルな価値創造経営”を推進します。
(6)経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針につきましては、この文中に記載したほか、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通りであります。
(7)経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載の通りであります。
経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と、日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は以下の通りであります。
(のれん償却)
日本基準では、のれんは、その効果が発現すると見積もられる期間で償却することとしておりましたが、IFRSでは、IFRS移行日以降の償却を停止しております。
この影響によりIFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が当年度において37,427百万円(前年度39,089百万円)減少しております。
業務提携等に関する契約
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会社名 |
契約事項 |
契約締結先 |
締結年月 |
発効年月 |
有効期限 |
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アサヒグループ ホールディングス 株式会社 (提出会社) |
中国における「アサヒスーパードライ」及び「アサヒビール」の製造ライセンス供与のための「 |
伊藤忠商事株式会社 日鉄住金物産株式会社 |
1997年 10月 |
1998年 8月 |
2024年 7月 |
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アサヒビール 株式会社 (連結子会社) |
沖縄県及び鹿児島県奄美大島群島を除く日本における「アサヒ オリオンドラフト」の販売契約 |
オリオンビール株式会社 |
2002年 11月 |
2002年 11月 |
自動更新 |
|
アサヒビール 株式会社 (連結子会社) |
沖縄県における「アサヒスーパードライ」等の製造販売ライセンスの供与契約 |
オリオンビール株式会社 |
2003年 5月 |
2003年 5月 |
自動更新 |
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アサヒグループ ホールディングス 株式会社 (提出会社) |
飲料事業、チルド事業、食品事業、海外事業、調達・物流等の機能面における業務提携契約 |
カゴメ株式会社 |
2007年 2月 |
2007年 2月 |
自動更新 |
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アサヒグループ ホールディングス 株式会社 (提出会社) |
中国における食品事業「開曼島商頂新控股有限公司」の株主間契約 |
(英領ヴァージン諸島) Ho Te Investments Limited他 |
2015年 3月 |
2015年 3月 |
無期限 (但し一定の終了事由あり) |
|
アサヒ飲料 株式会社 (連結子会社) |
「シャンソン十六茶」バルクの継続的売買及び商標の使用許諾に関する契約 (注) |
株式会社シャンソン化粧品 |
1992年 12月 |
1992年 12月 |
自動更新 |
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Asahi Europe Ltd (連結子会社) |
英国においてFullers,Smith Turner社が運営するパブに対するビール等の飲料の供給契約 |
Fuller,Smith&Turner plc |
2019年 4月 |
2023年 4月 |
いずれの当事者も5年間の期間の延長を相手方に請求できる |
(注) 「シャンソン十六茶」バルクとは、アサヒ飲料社商品「十六茶」の原料茶葉であります。
なお、当年度において、契約期間満了により終了した契約は以下の通りです。
業務提携等に関する契約
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会社名 |
契約事項 |
契約締結先 |
締結年月 |
発効年月 |
有効期限 |
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アサヒグループ ホールディングス 株式会社 (提出会社) |
中国におけるビール生産・販売等の事業についての戦略的提携 |
(中国)
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2009年 8月 |
2009年 8月 |
有限公司の株式を保有しなくなった12ヶ月後(2019年3月29日まで) |
アサヒグループでは、第7次中期経営計画の達成に向けて、酒類、飲料、食品の各事業において独自価値を持つ商品の開発、及びグループのコア研究領域である酵母、乳酸菌から、発酵技術を通じて将来の各事業での革新的なファーストエントリー商品につながる技術開発を進めています。また、研究戦略の立案、研究開発、及び新規事業創出に取り組む新会社、アサヒクオリティーアンドイノベーションズ㈱を設立し、2019年4月より事業を開始しました。重点領域を設けて、グループ戦略に基づいた研究課題や新規事業への取組みにリソースを重点的に配分し、これまで蓄積してきた酵母や乳酸菌研究の知見等を深掘りし、新たな事業や価値の創出に取り組んでいます。また、先端技術やオープンイノベーションを積極的に活用し、従来の研究開発領域に捉われない取組みを進めています。
当年度におけるグループ全体の研究開発費は、
[酒類事業]
(商品開発関連)
アサヒビール㈱は、『アサヒスーパードライ』の中長期のブランドスローガンを“THE JAPAN BRAND”と設定し、製造後翌日出荷の「鮮度実感パック」や工場出荷からお客様のご自宅まで一貫して温度管理をした「うまさ実感チルド便」など“最高品質の提供”と“飲用機会の拡大”に取り組みました。一方、若年層や女性といった新たなユーザーの拡大に向けて“もう一つのスーパードライ”をテーマに新需要の創造に向けた提案を強化してきました。『アサヒスーパードライ 瞬冷辛口』をクオリティアップし、発酵度を高め「後味の良さ」を向上させるとともに、アルコール度数を5.5%に高め、しっかりとした飲みごたえを実現しました。また、原材料の配合比率を見直すことで、「冷涼感」を生み出すポラリスホップの特長を引き立たせる中身設計としました。さらに『アサヒスーパードライ ザ・クール』は、「スーパードライ」ブランドの味の骨格はそのままに、苦味や渋みを抑えることで、よりすっきりした味わいをお楽しみいただけるビールで、「スーパードライ」ブランドとしては、初の業務用市場向けの商品として334mlの小びんで発売しました。ダーツやビリヤード等のレジャー業態、スポーツバー、クラブといった業態を中心に、「ザ・クール」をびんから直接飲用するスタイルを提案し“若者が仲間と一緒にビールを飲んで、開放的に盛り上がる!”そんな体験を通してエントリーユーザーのトライアルを促進し、飲用体験の拡大を図っていきます。また『アサヒスーパードライ ロイヤルリミテッド』は、国産麦芽のうまみを丁寧に抽出し、通常より濃度を高めた麦汁を長期二段熟成※1させることで、コク・香りといったビールの風味をより際立たせました。発酵・熟成時には雑味の多い成分を丁寧に取り除き、豊かな味わいと同時に「スーパードライ」ブランドの特長であるキレの良い後味を実現しました。
「スーパードライ」以外にも、グラスに注いで色や香り、ゆったり楽しめる深いコクで秋らしい季節感が感じられる秋限定醸造『アサヒ 紅』を発売しました。クリスタル麦芽を一部使用し、赤褐色の色合いとコクのある味わいを実現しました。アルコール度数6.5%のしっかりとした飲みごたえと、希少ホップ“アマリロ”を一部使用することで爽やかでフルーティーな香りをお楽しみいただけます。
いよいよ目前にせまったオリンピック東京2020大会のゴールドパートナーとして様々な面から大会を盛り上げていきます。『アサヒ ゴールドラベル』は、大会1年前を記念して発売した特別限定醸造の生ビールです。原材料には、厳選した麦芽とファインアロマホップを一部使用し、華やかな香りとしっかりとした飲みごたえを実現しました。
発泡酒市場においては、発売13年目を迎えた“糖質ゼロ※2”発泡酒のパイオニアである『アサヒ スタイルフリー<生>』をリニューアルしました。爽快な飲みやすさはそのままに、麦の使用量を『アサヒ スタイルフリー〈生〉』史上最大に増量することで、麦由来の本格的な味わいと飲みごたえをさらに向上させました。
新ジャンル市場においては、『アサヒ 極上<キレ味>』を新発売し、お客様から高い評価をいただきました。原材料に麦を100%使用し※3、アサヒビール独自の高発酵醸造技術※4と冷涼ホップの活用等により“当社最高レベルのキレ”と“本格的な飲みごたえ”を実現しています。
『クリアアサヒ』は「磨き抜いた“麦の味”」をブランドメッセージとして採用し、大麦と濃厚な香りが特長の麦芽を増量し、アロマホップを新規採用することで、雑味のないクリアな後味はそのままに、より麦の味わいと心地よい香りを実感できるようクオリティアップしました。“糖質ゼロ・アルコール6%”の新ジャンル『クリアアサヒ 贅沢ゼロ』のクオリティアップでは、麦の使用量を『クリアアサヒ 贅沢ゼロ』史上最大に増量し、麦の風味が豊かな麦芽エキスを採用することで、これまで以上に贅沢な麦の味わいを実現しました。また、よりうまみ成分が多く、雑味の少ない麦汁のみを厳選して使用することでより後味の良い味わいとなっています。期間限定商品として『クリアアサヒ 桜の宴』、『クリアアサヒ 夏日和』、『クリアアサヒ 秋の宴』、『クリアアサヒ 吟醸』を、エリア限定商品として『クリアアサヒ 九州うまか仕込み』、『クリアアサヒ 東北の恵み』、『クリアアサヒ 北海道の恵み』、『クリアアサヒ 関西仕立て』を発売し、それぞれの季節や地域に合った商品を通じてさらなる飲用シーンの拡大を目指しました。
“プリン体ゼロ※5・糖質ゼロ・人工甘味料ゼロ”、3つのゼロで、カロリー最少級※6の新ジャンル『アサヒオフ』のクオリティアップではミュンヘン麦芽を新たに採用し、ドイツ産ホップを100%使用することで、より麦の旨みか感じられる飲みごたえを実現しました。
クラフトビール市場においては、世界で親しまれる個性豊かで多様なビアスタイルを手軽に楽しめる新ジャンル「アサヒクラフトスタイル」として、『ブリティッシュ』、『アメリカン』、『IPAタイプ』、『アンバーラガー』を新発売しました。
ビールテイスト清涼飲料市場においては、『アサヒドライゼロ』のクオリティアップを実施しました。『アサヒ ドライゼロ』は、原材料の配合バランスを最適化し、従来品より炭酸ガスの強さを高めることで「コクとキレ」の向上を図りました。期間限定商品として発売した『アサヒ ドライゼロライム』は、「ドライゼロ」ブランドの特長であるビールらしい味わいはそのままに、ライムの爽やかな風味を加え、暑い時期にぴったりなスッキリとした味わいを実現しました。また2018年に期間限定で発売しご好評いただいたブランド初のペットボトル商品『アサヒ ドライゼロスパーク』を通年商品として新発売しました。ビールらしい味わいを維持しながら、ご支持いただいた「高炭酸※7」をさらに高めることで、のどへの刺激感を高めました。ペットボトルでゴクゴク飲める、スッキリとした後味をお楽しみいただける商品です。
RTD※8市場においては、アルコール度数9%の無糖※9RTD「ウィルキンソン・ハード」シリーズを刷新し、「ウィルキンソン・ハードナイン」として、『無糖ドライ』、『無糖レモン』、『無糖ジンジャ』、『期間限定無糖ライム』を発売しました。従来品よりも炭酸ガス圧を約1割高め、当社RTD史上“過去最高のガス圧”を実現し炭酸の爽快さを強化しました。また、従来のジン、フルーツスピリッツ※10に加えて、新たにウォッカを使用した独自の「トリプルスピリッツ製法」※11を採用しました。クリアですっきりとした後味をお楽しみいただけます。また程よい“お酒感”を求めるニーズの高まりを受け、「ウィルキンソン・ドライセブン」シリーズとして『ドライレモン』、『ドライレモンライム』、『期間限定ドライレモントニック』、『期間限定ドライレモンジンジャ』、『期間限定ドライレモンコーラ』を発売しました。ウォッカをベースに、果物由来のフルーツエキス※12とフルーツスピリッツを使用した独自の「クオリティシャープ製法」※13を採用し、果実本来の味わいがありながらも、“すっきりとした甘くない”味を実現しました。
「アサヒもぎたて」では基幹フレーバー『まるごと搾りレモン』、『まるごと搾りグレープフルーツ』、『まるごと搾りぶどう』、『まるごと搾りオレンジライム』、『手摘み白桃』、『まるごと搾りシークァーサー』のリニューアルを行いました。原材料だけでなく製造工程や容器の形状まで一貫した「鮮度マネジメント※14」を当社RTDカテゴリーで初めて導入し、これまで以上の“つくりたてのおいしさ”と“活きた果実の味わい”や、すっきりと飲み飽きない後味を実現しました。通年商品に加えて期間限定商品として『手摘み青梅』、『まるごと搾り青りんご』、『手摘みライチ』、『まるごと柑橘搾り』、『爽やかスウィーティー』、『爽やかパイン』、『宮崎産日向夏』、『マスカットオブアレキサンドリア』、『しっとり洋梨』、『しゃりっと林檎』、『すっきり香る柚子』、『高知産直七』、『温州みかん』を発売し、季節に合わせた商品を積極的に発売することでRTD市場におけるプレゼンス向上を図りました。
また果実1/2個分※15の果汁を贅沢に使用してご好評いただいている「アサヒ贅沢搾り」の基幹フレーバーである『グレープフルーツ』、『レモン』、『桃』、『キウイ』をリニューアルし、果汁などの原材料の配合バランスを見直すことで“果実感・果汁感”をさらに強化しました。また期間限定商品として『白ぶどう』、『ライチ』、『ブラッドオレンジ』、『りんご』、『洋なし』、『オレンジとカシス』を発売しました。
ハイボール市場においては、『ニッカ淡麗辛口ハイボール』をリニューアルしました。軽やかなウイスキーをベースに、瀬戸内産レモンエキスを加え、炭酸強めのソーダを使用することで、よりすっきり爽快に飲める味わいを実現しています。「プリン体0.0※16」「人工甘味料0」とし、口当たりがよくすっきりとした淡麗辛口の味わいで、様々な食事との相性をお楽しみいただけます。期間限定品としては『クリアジンジャー』、『ドライコーラ』を発売しました。また「ウィルキンソン」ブランドから『ウィルキンソン・ハイボール』を発売しました。さらに「ブラックニッカ ジャーハイスタイル 香り楽しむハイボール」として『かろやかオレンジピール』、『涼やか大葉』、『きりっと和山椒』を発売しました。飲食店を中心に提案してきたハーブ、スパイス、フルーツなどの香り豊かな素材をウイスキーに仕込み、炭酸で割った、甘くない味わいで食事と一緒にお楽しみいただけるジャーハイを、缶ハイボールで提案することで多様なウイスキーの楽しみ方をお客様に提案しました。伸長を続けるハイボールカテゴリーにおいて、幅広い提案を強化し、プレゼンス拡大を図っていきます。
その他、『アサヒSlat(すらっと)』、『アサヒチューハイ果実の瞬間』、『アサヒカクテルパートナー』、『カルピスサワー』などのRTD商品でリニューアル(クオリティアップ)や季節限定商品を発売しました。
サワーテイスト清涼飲料※17市場においては、機能性表示食品である「アサヒスタイルバランス」の基幹フレーバーを一部リニューアルし、『完熟パインサワーテイスト』、『ヨーグルトサワーテイスト』を発売しました。
ワイン市場においては、『サントネージュ 酸化防止剤無添加のやさしいワイン(赤、白、濃い赤)』、『サントネージュ 和の雫(赤、白)』、『サントネージュ 限定醸造日本ワイン5品種ブレンド(赤、白)』、『ニッカ シードル(紅玉リンゴ、トキりんご、ロゼ、ヌーヴォースパークリング2019)』を発売しました。
焼酎市場においては、焼酎甲類乙類混和売上No.1ブランドの「かのか」から『麦焼酎 かのか 吟麗すっきり仕立て』、『麦焼酎 かのか 芳醇コク深仕立て』、『芋焼酎 かのか 濃醇まろやか仕立て』、『芋焼酎 かのか 華やかすっきり仕立て』、『芋焼酎 焼き芋かのか』、『芋焼酎 かのか 紅はるか』を発売しました。
ウイスキー市場においては、ニッカウヰスキー宮城峡蒸溜所設立50周年に際し、数量限定で『シングルモルト宮城峡 リミテッドエディション2019』、『シングルモルト余市 リミテッドエディション2019』を発売しました。また「ブラックニッカ ディープブレンド」の数量限定商品として『ブラックニッカ ディープブレンド ナイトクルーズ』を、「ブラックニッカ リッチブレンド」の数量限定商品として『ブラックニッカ リッチブレンド コンフォートアロマ』をそれぞれ発売しました。
※1:通常よりも1.2倍長い期間、二段階の温度変化を行って熟成を行うこと。
※2:栄養表示基準による。以下同じ。
※3:麦芽、大麦、スピリッツ(大麦)を使用。ホップ使用量を除く。
※4:高発酵を実現する酵母管理技術・発酵制御技術、糖分解酵素活用技術など。
※5:100ml当たりプリン体0.5mg未満を「プリン体0」と表示しています。
※6:100ml当たり22kcal。発泡酒をベースとした当社「リキュール(発泡性)①」比。
※7:充填時において。ドライゼロ缶商品比。
※8:「Ready to Drink」の略。購入後、そのまま飲用可能な缶チューハイなどを指します。以下同じ。
※9:アサヒビール㈱は、糖類と甘味料を一切使用しないことを「無糖」と定義しています。
※10:ニッカウヰスキー㈱の特許技術により蒸溜した、フルーツスピリッツを指します。果皮等の原料をアルコールに浸漬させた浸漬酒を減圧蒸溜することで、果実の甘さを残さずに、柑橘の香りのみを抽出した蒸溜酒。以下同じ。
※11:ウォッカ、ジン、フルーツスピリッツの3種類の原酒を使用し、きりっとしたお酒の味わいがありながらも、クリアですっきりとした後味を実現した当社独自の製法。
※12:果物を粉砕し、さらに加圧機にかけることで、果実本来の風味を抽出したエキス。非加熱のフルーツエキスを使用することで、すっきりとした風味を実現しました。
※13:フルーツエキスとフルーツスピリッツをベースに使用することで、“すっきりした味わい”を実現した当社独自の製法。
※14:従来の「収穫後24時間以内に搾汁した果汁のみを使用」「劣化を抑制し、果実由来の香りを維持する超低温殺菌技術の活用」に加えて、「製造時間の短縮」「抗酸化効果の強化」「容器形状の変更」を行いました。これら5点の“鮮度”を徹底的に追求する一連の取り組みを指します。
※15:「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」より算出した、果物1個当たりの重量に占める果皮などを除いた果汁量の1/2相当量以上を使用しています。
※16:100ml当たりプリン体0.05mg未満を「プリン体0.0」と表示しています。
※17:ノンアルコールでサワーやカクテルのような味わいを楽しめる清涼飲料の総称です。
(技術開発関連)
商品の中味開発分野では、『クリアアサヒ プライムリッチ』、『ニッカ シードル スイート』、『麦焼酎 かのか 25度』、『麦かのか 焙煎まろやか仕立て』の4商品が、International Taste Institute※1の世界的な食品・飲料品のコンテストにおいて、“極めて優秀”と認められた製品に贈られる、最高レベルの優秀味覚賞“三ツ星”を受賞しました。『クリアアサヒ プライムリッチ』は4年連続受賞、さらに『ニッカ シードル スイート』、『麦焼酎 かのか 25度』は3年連続で受賞した製品に贈られる“クリスタル味覚賞”を受賞しました。
『竹鶴25年ピュアモルト』が、ウイスキーの国際的コンテスト「ワールド・ウイスキー・アワード2019」(WWA)において、「ワールド・ベスト・ブレンデッドモルトウイスキー」を受賞し、“世界最高賞”のブレンデッドモルトウイスキー(ピュアモルトウイスキー)として認定されました。『竹鶴17年ピュアモルト』が2012年、2014年、2015年、2018年に、『竹鶴21年ピュアモルト』が2007年、2009年、2010年、2011年にワールド・ベスト・ブレンデッドモルトウイスキーをそれぞれ受賞しており、「竹鶴」ブランドとして9度目の受賞となります。また『竹鶴25年ピュアモルト』、『竹鶴21年ピュアモルト』が、世界的な酒類品評会である「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)2019」においてダブルゴールドを受賞しました。本年から、ゴールドよりもテイスティング結果が優れた賞と位置付けられるダブルゴールドが新設され、『竹鶴25年ピュアモルト』、『竹鶴21年ピュアモルト』の2商品がニッカウヰスキー社商品として初めて受賞しました。『竹鶴17年ピュアモルト』、『フロム・ザ・バレル』もゴールドを受賞しました。ISCでのニッカウヰスキー社商品のゴールド受賞は12年連続となります。さらに『竹鶴25年ピュアモルト』は、ジャパニーズウイスキー部門において最高賞の“トロフィー”を受賞しました。ISCでのニッカウヰスキー社商品の“トロフィー”受賞は、2017年『ニッカ カフェモルト』、2018年『ニッカ カフェウオッカ』に次いで3年連続、5度目となります。また、「竹鶴」ブランドとしては2度目の受賞です。
容器包装分野では、パナソニック株式会社と「高濃度セルロースファイバー成形材料」※2を活用した、世界初※3のビール用カップ「森のタンブラー」を共同開発しました。「高濃度セルロースファイバー成形材料」は、間伐材などの木材から精製したパルプを主原料とした“紙製材料”であり、自然由来の木の風合いをお楽しみいただけます。高い形状自由度とリユース可能な強度を持つとともに、印刷適性も高いことから、各種イベント等に合わせた設計が可能です。また、成形時の温度条件によって色目が変化するため、3種類の中から希望の色目を選択できます。近年、SDGsを初めとした環境意識の高まりから、イベントやコンサート、スポーツ観戦の会場においてリユース可能な容器の普及が進んでいます。「森のタンブラー」には、植物繊維由来の細かな凹凸を表面に施すことで、ビール類の持続性のあるきめ細かな泡をつくりだす特長があることから、ご家庭での利用価値も高いリユースカップとして訴求していきます。また「森のタンブラー」は、「2019年日本パッケージングコンテスト 飲料包装部門賞」を受賞しました。
研究・技術開発分野では、当社が長年取り組んできた『日本が世界に誇る生ビール、その製造における微生物品質保証技術の開発』が「第23回安藤百福賞優秀賞」を受賞しました。この賞は新しい食品の開発並びに食科学の振興に貢献する独創的な研究・開発に贈られます。微生物品質保証技術関連では、昨年の文部科学大臣表彰、生物工学奨励賞(江田賞)に続いての受賞となりました。培った技術を応用し、また知見を公知とすることで、世界の生ビールの品質向上に貢献していきます。さらに『ビール酵母の発酵に寄与する因子解明と産業への利用』が「2019年農芸化学女性企業研究者賞」を受賞しました。この賞は企業での農芸化学分野の研究あるいは商品開発における顕著な成果に対して授与されています。ビール酵母の特徴を研究によって裏付け、醸造技術開発へ応用した内容が評価され、受賞となりました。
「EUROPEAN BREWERY CONVENTION 2019」(2019年6月2日~6日、ベルギー アントワープにて開催)にて、当社が取り組むビール醸造研究の最新の研究成果を発表しました(口頭発表2件、ポスター発表3件)。このうち『ホップ耐性遺伝子をもつ乳酸菌L.nageliiの特性』がポスター発表全130件の中から優秀な3件に送られる「good poster」賞を初受賞しました。このほかに「American Society of Brewing Chemists」、「Master Brewers Association of the Americas」、「YEAST2019」においても当社が取り組む最新の研究開発成果を発表しました。
※1:International Taste Instituteは、ベルギーブリュッセルに本部を置き、世界中の食品や飲料品の味覚を審査し、優れた製品を表彰・プロモーションする機構です。審査員はヨーロッパで最も権威ある15の調理師協会及び国際ソムリエ協会(ASI)に属する一流シェフやソムリエで構成されています。2018年までは、iTQi=International Taste&Quality Instituteという名称で展開されてきましたが、2019年から味覚にフォーカスした機構として名称が変更となりました。
※2:パナソニック㈱が独自に開発したナノ~マイクロに微細化されたパルプ成分を55%以上含有する新開発の樹脂です。同社独自の金型・樹脂成形技術により、独特の風合いと強度を実現できます。パナソニックが受託した環境省の委託業務(平成27年度~平成29年度セルロースナノファイバー製品製造工程におけるCO2排出削減に関する技術開発)で得られた成果を活用しています。
※3:当社調べ
[飲料事業]
(商品開発関連)
アサヒ飲料㈱は「国内飲料トップクラスの収益性を堅持し、業界のリーディングカンパニーを目指す」との方針のもと、「三ツ矢」、「カルピス」、「ウィルキンソン」といった100年ブランドを3つ有する企業として次なる100年の成長を目指し、「本質価値の強化」と「未来に向けた成長基盤の構築」に取り組んでおります。
研究開発部門においては、「ワンダ」、「三ツ矢」、「カルピス」、「十六茶」、「おいしい水」、「ウィルキンソン」の6つの重点ブランドについて、ブランド価値向上、及び新規領域の強化に取り組んでまいりました。
「ワンダ」ブランドでは、「モーニングショット」、「金の微糖」、「極」といった定番商品の強化に加え、ボトル缶市場への継続的な商品展開と、伸長傾向にあるPETボトルコーヒー市場に新商品を投入しました。
ボトル缶市場に向けては、昨年に引き続き「ワンダ 極」シリーズを積極的に展開し、「微糖」、「ブラック」、「カフェオレ」に加えて「ジャパンドリップ」を発売し、飲用機会の拡大を図りました。さらに、「ワンダ ラテリッチ」シリーズを新展開し、女性の飲用傾向が高いカフェラテとフルーツを組み合わせた新たなコーヒーの楽しみ方を提案しました。
また、PETボトルコーヒー市場に向け、振ることで泡までも楽しむ新たな飲用スタイルを提案する「ワンダフルワンダ」シリーズや、カフェイン少なめで軽やかな味わいとミルク由来の白色の液色を特徴とした「ワンダ ホワイティラテ」を展開しました。
「三ツ矢」ブランドにおいては、1964年東京五輪当時の「全糖三ツ矢シャンペンサイダー」の味わいを再現した、「『三ツ矢サイダー』NIPPON」を開発し、「国民的炭酸飲料」地位強化に向け、「安心・安全」、「日本生まれ」を訴求しました。前年から引き続き、さっぱり・リフレッシュニーズを満たす有糖領域と無糖領域の中間領域として、「『三ツ矢』レモネード」を開発し、新ジャンルの定着化を図りました。一方で嗜好・リラックスニーズを満たす「『三ツ矢』くちどけもも」、「『三ツ矢』くちどけマンゴー」などの濃厚感を訴求した製品も開発し、多様な消費者のニーズに対応して参りました。
「カルピス」ブランドでは、希釈して飲用するコンクタイプ、そのまま飲用するストレートタイプにおいて、季節ごとに様々な種類の果実と「カルピス」を組み合わせた新商品を数多く展開しました。加えてコンク「カルピス」を濃いめに希釈した味わいが楽しめる「濃いめの『カルピス』」シリーズ、他発酵素材との組み合わせによる新しい味わいが楽しめる「発酵BLEND」シリーズを展開し、幅広い味わいを提案しました。
さらに本年度は「カルピス」の発売から100周年を迎え、これを記念した限定製品「匠の『カルピス』」及び「『カルピス』贅沢時間マンゴーの王様」を発売し、お客様から高い評価を頂きました。
「十六茶」ブランドにおいては、「アサヒ 十六茶」が2005年から「カフェインゼロ」として生まれ変わり、2019年で15年目を迎えました。2019年は、「東洋健康思想に基づいた16素材の健康ブレンド」という独自の健康価値に加えて、誰でも安心して飲めるように「アレルギー特定原材料等27品目不使用」とし、さらに健康価値を強化しました。
また、内臓脂肪、脂肪、糖のトリプルヘルスクレームの機能性表示食品「アサヒ からだ十六茶」は中身の原料を見直し、すっきりとした口当たりはそのままに、より深い味わいへ改良した「アサヒ からだ十六茶α」を発売しました。その他に、インターネット通販限定商品として「こども十六茶」、期間限定商品として「脱水対策十六茶」、「十六茶ほうじ茶」、「あったまる十六茶」などを展開しました。
「おいしい水」ブランドにおいては、環境問題に配慮した「ラベルレス」ボトルの販売拡大を図る一方、「おいしい水プラス『カルピス』の乳酸菌」の商品改訂を実施し、「カルピス」100周年と連動した売り場展開を行いました。
「ウィルキンソン」ブランドにおいては、炭酸水No.1ブランドのもつ価値の更なる強化を目指し、「『ウィルキンソン』タンサンレモン」を強化、シェア拡大に貢献しました。また、新しいフレーバーの提案として「『ウィルキンソン』タンサンティー」、「『ウィルキンソン』タンサンクールシトラス」を開発し、エントリー層の拡大にも努めました。
また、海外展開の取り組みとして、台湾においては、「カルピス」ブランド、「十六茶」ブランド、「ワンダ」ブランド、「三ツ矢」ブランド、「ウィルキンソン」ブランド、「ほっとレモン」を展開しております。「カルピス」ブランド、「十六茶」ブランド、「ほっとレモン」は現地の嗜好に合わせた現地製造品を展開しております。本年、「味わい『カルピス』メロン」を新フレーバーとして提案いたしました。また、日本からの製品輸出も積極的に展開いたしました。
また、新規領域の強化については、社会として健康意識が高まる中、日本中のみなさまが毎日の「飲みもの」を通じて、ココロもカラダも健康になれる事を目指し、健康課題解決に向けた取り組みを推進しています。
その中で、アサヒグループ独自の確かなエビデンスを有した素材を使用した製品の開発や、「安全」「安心」といった各ブランドがもつベーシックな「健康」価値の訴求を強化することで、「アサヒ飲料=健康に強みを持つ会社」というイメージの醸成を目指して積極的な取り組みを実施しています。
“ココロの健康”に関して、当年度は「強炭酸水」のもつ機能の解明に取り組みました。慶應義塾大学 理工学部 システムデザイン工学科 満倉靖恵教授との取り組みでは、脳波解析を用いて炭酸水の飲用が感性へ与える影響を検証し、強炭酸水の飲用により「集中度」が高まることを確認しました。炭酸水関連研究につきましては、2020年度も引き続き力を入れて推進していく予定にしています。
また、「カルピス」ブランド発売100周年限定商品である「匠の『カルピス』」の飲用により気分にどのような変化が起こったかについて理化学研究所 片岡洋祐先生の技術指導のもと「KOKOROスケール」※1で試験を行い、「匠の『カルピス』」飲用により、「ココロが満たされる」方向に気持ちがシフトすることを明らかにしました。
これらのデータを活用することで、お客様にとってアサヒ飲料の商品は確かな価値ある商品であることの理解促進と満足度を高めて参ります。
“カラダの健康”に関しては、機能性関与成分としてアサヒグループ独自のペプチド素材「ラクトノナデカペプチド」を活用した「はたらくアタマに」シリーズを発売しました。「ラクトノナデカペプチド」は、認知機能の一つである注意力(事務作業の速度と正確さ)の維持と作業効率の維持に役立つことが報告されている成分であり、「はたらくアタマに」シリーズはこの「ラクトノナデカペプチド」を含む、世の中の働く人に向けた飲料シリーズです。ブラックコーヒー、果汁炭酸、乳性飲料、抹茶ラテ、小型乳性ドリンクと幅広いラインナップで展開しました。
発売中の「守る働く乳酸菌」、「届く強さの乳酸菌」、「『アミール』やさしい発酵乳仕立て」、「カラダカルピス」の継続展開に加え、今後ともアサヒグループの保有する確かなエビデンスを有する素材を活用した商品の積極的な開発を推進して参ります。
※1 KOKOROスケール:個人の主観的な気分を時間・場所を選ばずスマートフォンなどで簡単に入力できる理化学研究所が開発した気分測定ツール。
(技術開発関連)
製品、工程、ご指摘品解析に必要な安全・安心技術(新規分析技術、解析技術)の拡充と、品質に影響を及ぼす微生物の検出技術、同定技術、静菌技術の研究についても継続して取り組んで参りました。従来では解析が不可能であった加熱殺菌された乳酸菌についても「RNA-MLSA法」という新たな遺伝子解析技術を開発し、製品中に含まれる機能性乳酸菌を判別し検出することが可能となりました。
マーケティング戦略と連動した容器包装開発では、100周年限定の「カルピス」用PETボトルの開発を行いました。このボトルは、商品コンセプトを形状に反映することに加え、年代・性別ごとの手の寸法データより、多くの方が持ちやすいボトル外周長と多面体形状を採用しました。また、「WONDA」ブランド用には、振って飲むスタイルや、大容量ホット販売に適した新形状のPETボトルを開発しました。「おいしい水」用には開けやすい段ボールカートンとして、天面に開封用手穴を付与した形状の開発を行いました。環境配慮型の容器包装開発においては、持続可能な容器包装の実現に向けて制定した「容器包装2030」に基づき、リサイクルPETの各種容器への適用評価を行い、市場展開を開始しました。また、植物由来原料を使用した容器包装の開発では、2016年より継続している「三ツ矢サイダー」PET1.5L製品の全包装材料に植物由来原料を使用した商品において、一層のCO2削減に貢献すべく軽量キャップを採用するとともに、その展開数量を拡大しました。さらに、「おいしい水」ブランドに使用するラベルへもバイオマスインキの採用を開始しました。
[食品事業]
(食品開発関連)
アサヒグループ食品㈱は、既存ブランドの価値向上を重点課題として、展開中のカテゴリーにおける商品開発を行って参りました。
菓子カテゴリーの「ミンティア」シリーズでは、小粒ならではの瞬間的リフレッシュ価値を提供する「ミンティア(レギュラー)」、大粒ならではの持続的リフレッシュ価値を提供する「ミンティアブリーズ」の特長をそれぞれ生かした商品を積極的に展開することで、リフレッシュ市場のさらなる拡大を図りました。また、2年目となる「みんなMINTIA!」のコミュニケーションコンセプトのもと、積極的な広告・販促施策を実施して参りました。年間を通して商品・広告・販促の三位一体となった活動を展開することでブランド力の向上を図りました。「キャンディ」では、需要が高まる冬に向けて栄養素を配合した『濃ーい苺』、人気の飲料ブランドから『カルピスミルクキャンディ』などの新商品を発売いたしました。さらに『焼き芋キャンディ』、『モーニングキャンディ』、『ちえばあちゃんの知恵袋のど飴』等、バラエティ豊かな商品を発売し、市場の活性化とユーザー層の拡大を図りました。
2018年大好評をいただき、当初の発売計画を大幅に上回る出荷となったため、販売を一時休止させていただいておりました健康食品カテゴリーの『1本満足バー プロテインシリーズ』は、7月に全国販売を再開いたしました。本シリーズはプロテインを手軽に摂取できるシリアルバータイプの栄養調整食品としてプロテイン市場の更なる拡大に貢献しています。
カップスープカテゴリーでは、近年著しく伸長している糖質コントロール市場向けに、寒天とコンニャクで作った麺が入った「おどろき麺0(ゼロ)」シリーズを発売しております。2019年はシリーズ展開として、水で戻す『汁なし麺0(ゼロ)麻辣担々麺』とショートパスタ風の糖質ゼロの麺を使用した『おどろき麺0(ゼロ)完熟トマトのミネストローネ風』、『おどろき麺0(ゼロ)濃厚チーズのカルボナーラ風』を発売することで、「おどろき麺0(ゼロ)」シリーズの“手軽に糖質コントロールができるワンカップスープ商品”のポジションをさらに強化しました。
フリーズドライ食品カテゴリーでは、主力であるみそ汁やスープカテゴリーのブランド強化のために、素材を活かした商品の開発など、フリーズドライの優位性が発揮できる新価値の提案に取り組みました。流通では、即席みそ汁市場全体は横ばいですが、その中でフリーズドライ食品の伸びが大きくなっています。そのフリーズドライ食品のトップメーカーである当社が、即席みそ汁市場の伸びを牽引するために、緑黄色野菜や根菜・海藻・きのこなどを使った「おいしいバランス」が楽しめる「10品目の一杯」シリーズから『こがねの椀』、『あかねの椀』、『わかばの椀』を発売しました。スープカテゴリーでは、素材本来の旨みを引き出すことに注力した「Theうまみ」シリーズから食べ応えのある『炙り牛スープ』、『燻製鶏スープ』を発売しました。また、『うちのお吸い物 たまごと三つ葉』はご家庭での保管にも便利な5食入りの商品として発売し、大変ご好評をいただいています。通販向けでは、「金のだし」シリーズから、ラインアップ拡充として『とうふ』を発売しました。その他、通販ならではの商品として、2年の開発期間を経て商品化に成功した『フリーズドライの匠 一人鍋 海老天ぷら入り鍋焼きうどん』を数量限定で発売しました。さらに、アマノフーズのWebマガジン「アマノ食堂※1」で企画・商品化する「まかないごはん」シリーズの第三弾として『大人のピリ辛牛煮込み』、『大人のポテサラ』を発売しました。これらの商品により、新規領域のフリーズドライ食品を読者が実際に“食べる”体験を通じて、フリーズドライの魅力やおいしさを体感できるようにしました。また、近年伸長している機能性表示食品として『おだやかプラス わかめスープ』を発売しました。本品は食後の血中中性脂肪値の上昇をおだやかにすることが報告されている難消化性デキストリンを配合しています。
これら商品開発に加え、フリーズドライ食品の魅力の情報発信店であるアンテナショップ「アマノ フリーズドライステーション」の常設店として「北海道・札幌店」、「大阪・LINKS UMEDA店」、期間限定店として「成田空港店」を立ち上げ、「アマノフーズブランド」の知名度向上に取り組みました。
ベビーフードカテゴリーでは、30種の食材体験により、離乳食期に様々な味を学ぶことで味覚を広げるサポートを行う新シリーズ「WAKODO GLOBAL」7品を発売しました。また、お子さまとのおでかけ時のベビーフードを充実させるため、「BIGサイズの栄養マルシェ おでかけ」シリーズの5品を追加発売しました。また、8種の野菜と3種のくだもの入り「1歳からのMYジュレドリンク 1/2食分の野菜&くだもの」3品や、親子で一緒に作れる1歳からの「ミルクデザート」シリーズ3品などを発売し、幼児向け飲料、デザート商品を充実させました。
ベビー用スキンケアカテゴリーでは、1906年に国産初のベビーパウダーとして発売され113年の歴史を持つ「シッカロール」ブランドから、『シッカロールナチュラル ベビージェルローション』、『シッカロールナチュラル ベビーケアスティック』の2品を発売し、商品ラインアップの強化を図りました。
シニア向けカテゴリーでは、“アサヒのおいしい介護食”「バランス献立 やわらか食」シリーズとして『いわしのつみれ汁 白味噌仕立て』、『いわしと野菜の生姜煮』、『なめらかおかず 白身魚と野菜 クリーム煮』を発売し、メニューの充実を図りました。
サプリメントカテゴリーでは、「ディアナチュラ」ブランドから、27種の成分がまとめて摂れるプロテインパウダーとして『ディアナチュラアクティブ ホエイ+ソイプロテイン グレープフルーツ味』を発売しました。また、同ブランドの機能性表示食品である「ディアナチュラゴールド」シリーズから、尿酸値高め(尿酸値7.0以上)の男性をターゲットに、毎日飲み続けやすい錠剤タイプの商品として『ディアナチュラゴールド アンセリン』(30日分)を発売しました。
スキンケア化粧品カテゴリーでは、「素肌しずく」ブランドより、セルフ化粧品市場に向けた大容量のポンプタイプ商品『素肌しずく 保湿化粧水』、『素肌しずく 保湿ゲル』の2品を発売しました。
また、大人のための栄養サポート食品として『カラダ届くミルク(300g・140g)』を全国発売し、アサヒグループ食品初となる大人用粉ミルク商品としての認知拡大とさらなる市場活性化を図りました。
健康食品の通信販売等を手掛けるアサヒカルピスウェルネス㈱では、アサヒグループ独自の「菌のチカラ」を活用したサプリメントを展開しており、本年もラインナップの拡充を図りました。その一つは「枯草菌C-3102株」(納豆菌と同種に分類されます)を配合した「骨こつケア」であり、日本で初めて「骨密度」を訴求した機能性表示食品として発売しました。また「毎日の健康的な歩みをサポートする乳酸菌」として新たに開発された「ラクトバチルス・カルバタス CP2998株」の菌体の量産化を図り、本株を配合した「ロコトモ」を発売しました。今後も独自の素材や技術を活用し、お客様の健康的な暮らしを応援する商品の開発に取り組んでまいります。
※1:アマノフーズが展開するWebマガジン https://amanoshokudo.jp/
(技術開発関連)
当社では、だしや食材の旨味を生かした味作りの技術が非常に評価され、日常の食事から介護食まで幅広くお使いいただける食べやすさに配慮した食品「バランス献立」(やわらか食)シリーズが[商品・技術部門]において第49回食品産業技術功労賞を受賞しました。
[先端研究]
(健康素材)
アサヒクオリティーアンドイノベーションズ㈱では、アサヒグループの先端研究の拠点として、グローカルな独自価値創造の源泉となることを長期ビジョンに掲げ、研究開発を推進しています。その中で、酵母・乳酸菌などの微生物活用技術や、健康食品の開発で培った機能性評価技術を活かして、健康に役立つ新たな素材の開発を行うとともに、微生物による発酵技術の展開、目的物質を量産的に高生産するための培養制御技術開発に取り組んでいます。
具体的には、カルピス酸乳に含まれる「ラクトノナデカペプチド(LNDP)」に認知機能のひとつである記憶力・注意力の維持に加え、計算作業・視覚情報作業の効率を維持する機能を見出しました。これらは、アサヒグループの様々なブランドに機能性表示食品として活用されています。また、すでに心理的ストレスを和らげ、睡眠の質(眠りの深さ)を高めることを見出した乳酸菌CP2305株に、長距離走などによる心身の疲労軽減効果があることも見出し、論文発表しました。乳酸菌CP2998株には、高齢者の歩行機能向上効果があることも確認し、論文発表しています。今後も微生物研究、発酵技術の活用を通じて、お客様の健康維持に貢献してまいります。
(開発イノベーション)
中長期にわたるコア研究を支えるべく、最先端の解析技術プラットフォームの構築を行っています。iPS細胞技術なども積極的に取り入れながら、化学領域、微生物領域、生化学領域の各領域に対して早急に解析技術の体制構築を行ってまいります。
最新のAI技術やVR技術に関する研究開発にも取り組んでいます。AIを活用した原料の自動検査や乳酸菌素材の製造効率化、VRを活用したマーケティング手段の革新など、最先端のIT技術による業務の効率化や高度化に挑戦していきます。
従来から万全を期している食の安全については、マイクロプラスチックの検出技術など、常に最新のリスクに対応するべく技術開発を行っています。また、海外事業会社のビール・飲料工場において国内工場と同等レベルの品質管理を実現できる様に技術支援を行うと共に、グループ各社の品質保証部門と連携した品質保証体制の充実を図っております。
(環境価値創出)
アサヒクオリティーアンドイノベーションズ㈱では、2018年11月に受賞した日経地球環境技術賞の優秀賞「ビール工場排水を利用した燃料電池(SOFC)による連続発電」に対して、社会実用可能と判断できる10,000時間連続発電を成功させ、環境省補助事業のもと、CO2排出ゼロの燃料電池発電設備を建設しており、年内に稼働予定としています。また、2019年6月にアサヒビール茨城工場に、再生可能エネルギー(太陽光)由来の電力を用いて水素を製造・貯蔵し、その水素を用いた燃料電池で電力を得る装置を導入し、試験稼働を開始しました。2019年12月末には、敷地内にボイラーの排ガスからCO2を回収する試験設備を設置し、現在、その性能を評価しております。回収CO2は大気に放出されず、CO2排出量の削減に繋がります。今後は、この回収された炭酸ガスの用途・技術開発にも着手する予定です。また、昨今のプラスチックの環境に与える負荷課題を踏まえて、リサイクル素材やバイオ由来素材の実用化にも取り組んでいます。これらの取り組みを通じ、環境負荷低減技術と事業収益向上の両立や持続的な価値向上サイクルの実現に貢献してまいります。
(新規事業)
時代の変化に対応した独自のポジション・ポートフォリオを確立するために、独自技術の発展に加え、将来の新規事業となり得るベンチャー企業への投資や協業を通じ、オープンイノベーションにも力を入れています。従来のバリューチェーンを脅かす可能性のある分野や、グループ事業におけるシナジー効果が期待できる分野、また環境価値創出など社会課題の解決につながる分野を中心に、積極的な先行投資を行っています。具体的には、コーヒー副産物の成分が農作物の凍霜害を防止することを見出した知見をもとに、ベンチャー企業と提携し、凍霜害防止剤の事業化を推進しています。この取組みにより、グループ内の飲料工場から排出されるコーヒー副産物を有効活用しながら、安定的な農作物収穫に貢献します。また、食品業界で先駆的に導入していたComputer Aided Engineering(CAE)技術の経験を蓄積させつつ、グループ内に留まらない技術の事業化も検証しています。これらの活動を通じて、非連続な成長を遂げるためのイノベーション創出を推進してまいります。