第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中には、中期経営方針等に関する様々な業績予想及び目標数値、並びにその他の将来に関する情報が開示されています。これらの業績予想及び目標数値、並びにその他の将来に関する情報は、将来の事象についての現時点における仮定及び予想、並びにアサヒグループが現在入手可能な情報や一定の前提に基づいているため、今後様々な要因により変化を余儀なくされるものであり、これらの予想や目標の達成及び将来の業績を保証するものではありません。

 

(1)経営の基本方針

 アサヒグループは、純粋持株会社であるアサヒグループホールディングス株式会社のもと、酒類、飲料、食品事業をグローバルに展開しています。

 2019年より、グループ理念「Asahi Group Philosophy(AGP)」を制定し、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指しています。AGPは、Mission、Vision、Values、Principlesで構成され、グループの使命やありたい姿に加え、受け継がれてきた大切にする価値観とステークホルダーに対する行動指針・約束を掲げています。国内外の事業会社は、AGPに基づいた戦略を策定、実行していくことにより、グループ一丸となって企業価値の向上に努めています。

 

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(2)中期的な経営戦略

 AGPに基づいて策定した「中期経営方針」では、3年程度先を想定した「主要指標のガイドライン」や「財務、キャッシュ・フローのガイドライン」を示しつつ、以下の3つの重点課題を設定しています。

 なお、重点課題については、新型コロナウイルスの感染拡大の影響やCUB事業の取得完了などを踏まえ、2021年2月に一部を更新いたしました。コロナ禍を踏まえた環境変化へ柔軟に対応し早期の業績回復を図るとともに、引き続きAGPに基づく“グローカルな価値創造経営”を推進していきます。

① 高付加価値化や収益構造改革による『稼ぐ力の強化』

・全事業での高付加価値ブランドの育成とグローバル5ブランドの拡大によるプレミアム戦略の推進

・環境変化を見据えた収益構造改革の加速

- 2021-2023年累計の効率化効果は500億円以上を目指し、業績回復を促進するとともに、「経営資源の高度化」・「ESGへの取組み深化」に再投資する

② 新たな成長源泉の拡大に向けた『経営資源の高度化』

・イノベーション、新価値創造に向けた無形資産(研究開発・人材等)への投資強化

・DX(デジタル・トランスフォーメーション)の加速による新たなオペレーティングモデルの構築

③ 持続的な価値創造プロセスを支える『ESGへの取組み深化』

・「アサヒグループ環境ビジョン2050」、「持続可能なコミュニティ」の取組み強化など、サステナビリティを経営戦略に統合

・リスクマネジメントの高度化(ERM)、日欧豪3極を核としたグローバルガバナンスの強化

※ アサヒスーパードライ、Peroni Nastro Azzurro、Pilsner Urquell、Grolsch、Kozel

 

(3)目標とする経営指標

 「中期経営方針」における主要指標のガイドラインは、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を踏まえ既存のガイドラインは取り下げ、2022年に新たなガイドラインを設定する予定です。なお、2022年には、2019年の利益水準※1への回復を目指していきます。

 財務、キャッシュ・フロー方針のガイドラインとしては、フリー・キャッシュ・フロー(FCF)※2は年平均2,000億円以上とし、これを原資として債務削減へ優先的に充当し、成長投資への余力を高めていきます(Net Debt/EBITDAは、2024年に3倍程度※3を目指す)。

 株主還元については、配当性向35%を目途とした安定的な増配を目指していく方針です(将来的な配当性向は40%を目指す)。

※1 2019年実績は、CUB事業の業績(1-12月推定値)を含むベース

※2 FCF=営業CF-投資CF (M&A等の事業再構築を除く)

※3 劣後債の50%はNet Debtから除いて算出

 

(4)対処すべき課題

 今後の外部環境としては、新型コロナウイルスの感染拡大によりグローバルで経営環境が大きく変化し、消費構造の多価値化や働き方の多様化など、多様なチャンスとリスクが拡大することが想定されます。また、持続的な価値創造プロセスを支えるESGに対しても、ますますその取組みを深化させていくことが求められています。

 そのような状況の中、更新した「中期経営方針」の重点課題に基づいて、引き続き“グローカルな価値創造経営”を推進するとともに、コロナ禍による環境変化を見据えた経営改革に取り組みます。

 『稼ぐ力の強化』においては、各事業の主力ブランドの価値向上を目指すとともに、ノンアルコールビールテイスト飲料など新たな成長カテゴリーへの投資を強化します。また、『アサヒスーパードライ』などのグローバル5ブランドの拡大展開などにより、グループ全体のプレミアム戦略を推進します。更なるコスト効率化により、業績回復を促進するとともに、持続的な成長に向けた『経営資源の高度化』や『ESGへの取組み深化』に投資し、環境変化を見据えた収益構造改革を加速していきます。

 『経営資源の高度化』においては、新たに取得したCUB事業とのシナジーを含め、研究開発や人材など無形資産への投資を強化します。また、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の取組みを積極的に推進し、働き方の改革も含め新たなオペレーティングモデルを構築していきます。

 『ESGへの取組み深化』においては、「アサヒグループ環境ビジョン2050」の実現に向けて各種の施策を実行するとともに、各地域の「持続可能なコミュニティ」の活性化に取り組むなど、サステナビリティの経営戦略への統合を進めていきます。また、コロナ禍を踏まえたリスクマネジメントをさらに高度化するとともに、日本、欧州、豪州の3極を核としたグローバルガバナンスを強化していきます。

 

アサヒグループのESGの取組み

1.アサヒグループのESG経営について

 アサヒグループは、グループ理念「Asahi Group Philosophy」に基づき、「中期経営方針」の重点課題のひとつとして、「ESGへの取組み深化」を掲げています。2020年は「Asahi Group Philosophy」の実現に向けて、サステナビリティに取り組む意義や目指す未来の姿を明文化し、グループの共通認識としました。

 

アサヒグループサステナビリティ基本方針

1.アサヒグループの商品やサービスは、自然の恵みを使って、期待を超えるおいしさの実現を目指しています。

その大切な自然の恵みを後世につないでいくために、限りある自然を守ります。

2.アサヒグループは、自社の商品・サービスを通じて、人々の楽しい生活文化の創造を目指しています。

よりよい生活文化が継承されていくために、持続可能な社会を形成します。

 

アサヒグループサステナビリティビジョン

 私たちは、基本方針に則り、経営戦略に「環境」「人」「コミュニティ」「健康」「責任ある飲酒」を組み込み、事業を展開するすべての地域でよりよい未来に向けた価値を創造していきます。この取組みを通じて国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に貢献できるよう、私たちは挑戦と革新を続けます。

 

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2.「環境」の取組み

<気候変動への対応>

 アサヒグループは「アサヒ カーボンゼロ」(2050年CO2排出量ゼロ※1)の達成に向けて、再生可能エネルギー等の活用等を積極的に進めています。2020年に、2030年の中間目標を見直し、CO2排出量目標を30%削減(2015年比※1から50%削減(2019年比)※2に引き上げました。

※1 Scope1,2,3が対象

※2 Scope1,2が対象

 

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2050年にCO2排出量ゼロを目指す

 

 「アサヒ カーボンゼロ」の取組みを加速させるため、再生可能エネルギーの活用や外部の認証取得を進めています。

 

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事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーにすることを目指す国際的なイニシアティブ「RE100」に、2020年10月に参画しました。再生可能エネルギーの更なる活用に取り組みます。

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「アサヒ カーボンゼロ」が、企業のCO2排出量削減目標の科学的根拠を認定する国際的なイニシアティブである、SBT(Science Based Targets)イニシアティブの「1.5℃目標」認定を2021年2月に取得しました。

 

①気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同

 気候変動によるリスクと機会に関連した事業インパクトの評価・対応策の立案が、持続可能な社会の実現及び事業の持続可能性に必要であると認識し、2019年5月にTCFD提言への賛同を表明しました。2020年は、アサヒグループにとって、最もインパクトのあるビール事業に特化して、事業インパクトをシナリオ分析の手法を用いて定量的に評価しました。

 

◆事業インパクト評価

 日本、欧州、豪州のビール事業における「農産物原料の収量減少による原料価格の高騰」と「炭素税の導入によるコストの増大」が、特に大きな影響(リスク)を及ぼす可能性があることを認識し、以下のとおり評価を実施しました。

農作物原料の収量減少による

原料価格の高騰

 

炭素税の導入によるコスト増大

 

2℃シナリオ・4℃シナリオにおける収量影響

(2018年供給量を100とした場合の2050年推計値)

 

2℃シナリオにおける炭素税の影響額

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大麦とトウモロコシは、2℃シナリオに比べ4℃シナリオの場合に収量が大きく減少

 

 

 

「アサヒカーボンゼロ」を実施した場合の炭素税削減効果

→2030年 14億円、2050年 70億円

 

 

◆対応策の方向性の検討

 評価を実施したリスクへの対応策については、既存の取組みを継続・加速するとともに、以下の主な方向性についても経営課題として取り組んでいきます。

主なリスク

 

既存の取組み

 

対応策の方向性

 

 

 

 

 

原材料価格高騰

 

● 複数購買によるリスク分散化

 

● 気候耐性品種の開発

● 栽培方法の開発と導入

 

 

 

 

 

炭素税・炭素価格

 

● コ・ジェネレーションシステムの導入

● ポーランド、オランダ等における風力発電による再生可能エネルギーの導入

 

● 更なる再生可能エネルギーの活用

 

 また、その他のリスクに対しても同様に、以下のとおり取り組んでいきます。

主なリスク

 

既存の取組み

 

対応策の方向性

 

 

 

 

 

水使用に関する

規制

 

● 2025年までに社有林「アサヒの森」2,467haを活用した、国内ビール工場でのウォーターニュートラルを達成

● 水使用量の削減(洗浄・殺菌工程での水使用量削減や回収水の有効活用)

 

● 更なる水使用量の削減

(大規模なリサイクルシステムの導入等)

 

 

 

 

 

顧客行動の変化

 

● 『アサヒスーパードライ』缶350mlなどに「グリーンエネルギーマーク」を記載

 

● エシカル消費拡大への対応

認証原料の使用等)

 

 

 

 

 

異常気象の激甚化

 

● BCPの策定、各種行動マニュアル整備

● 設備・備品の整備、防災訓練の実施

 

● 拠点の移転・新設時における中長期的な気候変動影響の考慮

 

 

②欧州における再生可能エネルギーの活用

 欧州では2025年までにすべての工場の電力を再生可能エネルギーに切り替え、2030年までにカーボンニュートラルな工場になることを目指しています。現在、ポーランド、オランダ、イタリアの計7工場において、再生可能エネルギーの電力のみを用いて製造しております。

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③日本におけるグリーン電力の活用拡大

 アサヒビール株式会社は、日本自然エネルギー株式会社と契約し活用している「グリーン電力」を、『アサヒスーパードライ』缶350ml及び『アサヒドライゼロ』缶350mlなどに加えて、2020年5月下旬製造分から『アサヒスーパードライ』缶500mlの製造にも活用を拡大しました。

 

※風力やバイオマスといった地球環境への負担が少ない自然エネルギーで発電された電力。アサヒビールは2009年から「グリーン電力証書システム」を利用しています。

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3.「コミュニティ」の取組み

 

コミュニティ活動スローガン 「RE:CONNECTION」

 

 経済発展の過程で人と人、人と地域の「つながり」の希薄化が問題になっているなか、COVID-19は「つながり」をさらに脆弱なものにさせています。

 アサヒグループはあらためて「つながり」を見直し、進化させることが重要だと考え、人と人を、人と地域を、地域と地域を「つなぎ」、地域課題を解決することで、持続可能なコミュニティの実現に貢献していきます。

 

①持続可能な麦芽のための

パートナーシップ

Campus Peroni

 

 イタリアのBirra Peroni S.r.l.では、持続可能なビールの原材料となる大麦などの穀物栽培の探求を目的に、麦芽工場、国立農業研究センター、複数の地元大学の農学部とパートナーシップを組んだ「Campus Peroni」というプロジェクトを2018年から実施しています。

 研究、トレーニング、イノベーション、農業生産者の間の交流の促進に向けた取組みが進んでいます。

 

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②マレーシア酪農家支援プログラム

 

 マレーシアで乳製品を扱うEtika Dairies Sdn Bhdは、地元の酪農家の支援策として、一定の品質基準と生産量を提供する酪農家の生乳を安定的な価格で買い上げるプログラムを展開しています。

 酪農家の生産性と品質の向上を推進するだけでなく、酪農家の収入向上、また安定的な収入を確保する仕組みとして、新たに酪農家を目指す新規参入者の支援にも貢献しています。

 

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2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当年度末現在においてアサヒグループが判断したものであります。

 

1.アサヒグループのリスクマネジメント体制

 アサヒグループは、グループ全体を対象に、エンタープライズリスクマネジメント(ERM)を導入しています。この取組みの中で、「Asahi Group Philosophy」の具現化、並びに「中期経営方針」の戦略遂行及び目標達成を阻害しうる重大リスクを、戦略、オペレーション、財務、コンプライアンス等全ての領域から特定及び評価し、対応計画を策定、その実行及びモニタリングを継続的に実施することで、効果的かつ効率的にアサヒグループのリスク総量をコントロールします。

 ERMを推進するにあたり、代表取締役社長をはじめとする業務執行取締役及び代表取締役社長が指名する執行役員で構成される、リスクマネジメント委員会を設置しています。ERMはグループ全体を対象とし、リスクマネジメント委員会の委員長である代表取締役社長が実行責任を負います。

 

 アサヒグループ各社は、事業単位毎にERMを実施し、リスクマネジメント委員会に取組内容を報告します。同委員会はそれらをモニタリングするとともに、委員自らがグループ全体の重大リスクを特定、評価、対応計画を策定、その実行及びモニタリングを実施します。これらの取組みは取締役会に報告され、取締役会はこれらをモニタリングすることで、ERMの実効性を確認します。

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2.アサヒグループ リスクアペタイト

 アサヒグループは、ERMを推進するとともに、「中期経営方針」の目標達成のために、「とるべきリスク」と「回避すべきリスク」を明確化する、「アサヒグループ リスクアペタイト」を制定しました。

 「アサヒグループ リスクアペタイト」は、アサヒグループのリスクマネジメントに関する「方針」です。ERMの運用指針及び意思決定の際のリスクテイクの指針となるものであり、リスクに対する基本姿勢を示す「リスクアペタイト ステートメント」と、実務的な活用を想定した、事業遂行に大きく影響する主要なリスク領域に対する姿勢(アペタイト)を示す「領域別リスクアペタイト」で構成されます。グループ戦略、リスク文化とリスク状況、及びステークホルダーの期待をもとに検討し、取締役会にて決定、グループ全体に適用され、実施状況はリスクマネジメント委員会でモニタリング、取締役会へ報告されます。本取組みを通じて、アサヒグループ全体で適切なリスクテイクを促進してまいります。

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3.主要リスク

 当社グループでは、「1.アサヒグループのリスクマネジメント体制」に記載の通り、当社代表取締役社長をはじめとする業務執行取締役及び執行役員で構成されるリスクマネジメント委員会で、中期経営方針の事業遂行及び目標達成を阻害しうる特に重大なリスクを特定及び評価し、以下の(2)から(16)までの事項をかかるリスクとして認識しております。

 加えて、それ以外に考えられる当社グループの事業等のリスクについても、(17)にまとめて記載しております。但し、以下に記載したリスクは当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。かかるリスク要因のいずれによっても、投資者の判断に影響を及ぼす可能性があります。

 また、前述の、当社グループリスクマネジメントの取組みの中で、以下に記載する各リスクに対する対応策を含む種々の対応策をとりますが、それらの対策が有効に機能しない等によりリスクが解消できず、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、文中においては、将来に関する事項が含まれておりますが、別段の記載が無い限り、当該事項は当年度末日現在において判断したものです。

 

(1)中期経営方針について

 当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指して、2019年に「Asahi Group Philosophy(AGP)」を制定し、それに基づいて、また、その後のグループ内外の環境変化も踏まえて中期経営方針を更新しました。「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通り、本方針では、3年程度を想定した主要指標のガイドラインや、財務・キャッシュ・フロー方針を示しておりますが、これらのガイドライン・方針は、策定時に当社グループが入手可能な情報や適切と考えられる一定の前提に基づき、将来の事象に関する仮定及び予想に依拠して策定されたものです。そのため、本「2 事業等のリスク」に記載の各リスク等を含む様々な要因により変更を余儀なくされるものであり、当社グループの事業や業績が中期経営方針内の同ガイドライン・方針等を達成できない可能性があります。

 

(2)新型コロナウイルス感染拡大の影響

 2020年に世界中へ拡大した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対して、当社グループでは、顧客、取引先及び社員の安全第一を考え、また更なる感染拡大を防ぐために、WHO並びに各国保健行政の指針に従った感染防止策の徹底をはじめとして、感染リスクが高い国や地域への、及びそれらの国や地域からの渡航の原則禁止、工場見学や販売促進企画等の多くのお客様にお集まりいただくイベントの休止や制限、国内でのテレワーク(在宅勤務)の原則化等、対応を実施しております。主要原材料の十分量確保、業務用商品の需要低迷を家庭用商品で補完する等により、事業影響の低減を図っておりますが、2020年12月期決算においては、世界各国における外食産業の低迷や外出制限による経済停滞のマイナス影響等により、当社グループの業績への影響が生じております。いくつかの国や地域でワクチンの接種が始まるといった進展が見られる一方で、同ウイルスの変異種の感染が確認され、また2020年12月前後でいくつかの国や地域においてロックダウンや緊急事態宣言が発出されており、事態の鎮静化に向けては未だ予断を許さない状況です。今後も当社グループが事業展開する地域においてこのような状況が続いた場合、また更なる感染拡大及び事態の長期化並びにそれに伴うロックダウンや緊急事態宣言が新たに生じた場合には、業務用ビールを中心とした売上低迷の長期化、利益率が比較的低い新ジャンルやRTDの売上高構成比の上昇による収益性の悪化等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、新型コロナウイルス感染拡大によって、消費者が、経済の先行き不透明感に伴い節約志向が強まる一方で、健康志向及び環境への意識が高まるとともに、信頼性・安全性の高いブランドをより重視するようになりました。また、オンラインチャネル(EC等)の利用がスタンダード化し、デジタルデバイス及びサービスの活用が拡大しています。このような消費者、市場、社会等の変化には不可逆的なものもあり、当社グループの従来の戦略及び事業の競争力が失われ、当社グループの中長期的業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、新型コロナウイルス感染拡大及びその他の環境変化を受けて中期経営方針を見直し、「環境変化を見据えた収益構造改革の加速」との方針をより強く打ち出しました。本方針のもと、変化しつつある消費者動向への迅速な対応、市場環境の変化を先取りした事業戦略の立案と展開、ならびに新たなオペレーティングモデルの構築を通じて、当社グループの戦略及び事業の競争力を強化してまいります。

 

(3)事業拡大について

 当社グループは、Schweppes Australia社の買収(2009年、買収額1,185百万豪ドル(適時開示の際に公表した金額、以下同じ))、カルピス社の買収(2012年、買収額920億円)、旧SAB Miller社の西欧ビール事業の取得(2016年、買収額2,550百万ユーロ)、中東欧ビール事業の取得(2017年、買収額7,300百万ユーロ)及びCUB事業の買収(2020年、買収額160億豪ドル)をはじめとして、国内外での事業領域拡大のため、積極的に外部の経営資源を獲得してきました。2020年6月には、CUB事業を取得する手続きを完了することで、日本、欧州に加え、豪州地域での事業を盤石にし、日、欧、豪の3極を核としたグローバルプラットフォームを構築、成長基盤の拡大を実現しました。当面は財務基盤の強化を優先し大型の買収を積極的に行う予定はありませんが、今後も、成長のために、外部の経営資源を活用していきます。

 外部の経営資源獲得にあたっては、慎重に検討を行い、一定の社内基準をもとに、将来の当社グループの業績に貢献すると判断した場合のみ実行します。しかしながら、営業、人員、技術及び組織の統合ができずコスト削減等の期待したシナジー効果が創出できなかった場合、アルコールや砂糖の摂取に対する社会の価値観の変化や人口動態の変化等により、買収した事業における製品に対する継続的な需要を維持できない場合、買収した事業における優秀な人材を保持し又は従業員の士気を維持することができない場合、高付加価値ブランドの育成不振等、効果的なブランド及び製品ポートフォリオを構築することができない場合、並びに異なる製品ラインにおける販売及び市場戦略の連携(クロスセルの拡大)ができない場合等により、当社グループの期待する成果が得られない可能性があります。

 当社グループは、買収に伴い、相当額ののれん及び無形資産を連結財政状態計算書に計上しており、2020年12月末現在、のれん及び無形資産の金額はそれぞれ、連結総資産の38.8%(17,239億円)及び22.0%(9,780億円)を占めており、2020年12月末現在、CUB事業の買収により追加で1兆193億円ののれんを暫定的に計上しております(CUB事業買収に伴って、発生したのれんの金額、企業結合日に受け入れた資産及び引き受けた負債の額等については、企業結合日における識別可能資産及び負債の特定を精査中であり、取得価額の配分が完了していないため、暫定的な会計処理を行っております。)。当社グループは、当該のれん及び無形資産につきまして、それぞれの事業価値及び将来の収益力を適切に反映したものと考えておりますが、事業環境や競合状況の変化等により期待する成果が将来にわたって大きく損なわれると判断された場合、又はカントリーリスクの顕在化による金利高騰や市場縮小等により適用される割引率や長期成長率が大きく変動した場合等は、減損損失が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、AGP及び中期経営方針に基づいたグローカルな価値創造経営により、事業の持続的成長と中長期的な企業価値向上を目指しており、『稼ぐ力の強化』、『経営資源の高度化』や、『ESGへの取組み深化』の一環としてグループガバナンスの更なる実効性向上に向けた取り組みを実施することで、グループ戦略の実行と期待成果をより確実なものとします。

 

(4)技術革新による新たなビジネスモデルの出現

 当社グループが国内外で事業を展開する、酒類・飲料・食品業界は、その製造販売に関して、技術革新による競争環境の変化が比較的少ない安定した業界でしたが、最近では、アルコールテイスト清涼飲料による新たな飲用シーンの提案ができるようになり、IoTやAI等の最新デジタル技術を活用した新たな価値の提供、AI活用によるサプライチェーンの効率化、あるいはアルコール代替品等、技術革新による新たなビジネスモデルの可能性も示されております。更に、2020年に世界中へ拡大した新型コロナウイルス感染症の影響により、テレワークの急激な普及や、EC等のオンラインチャネル利用の加速等、それまで将来的に発生すると想定されていた変化が前倒しで出現しています。

 こうした環境変化や新たなビジネスモデルの出現により、当社グループ事業がコスト構造や顧客体験で劣後し、業界での主導権喪失や競争力の低下につながり、売上収益、事業利益の低下等、当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。その一方で、当社グループがこのようなイノベーションを先導することによって、市場優位性獲得や、新規市場創出につなげることが期待できます。

 当社グループは、このような状況に対して、単なるリスク対応に留まることなく技術革新を先取りすることを目指して、中期経営方針において「イノベーション、新価値創造に向けた無形資産(研究開発・人材力等)への投資強化」及び「DX(デジタル・トランスフォーメーション)への投資拡大による新たなオペレーティングモデルの構築」を掲げ、領域を特定した戦略的R&D及びIT投資を推進しています。また、各事業領域においてもイノベーションは重点課題の一つと認識し、取り組みを進めています。これらの取り組みを加速すべく、革新的技術の早期認識及びグループへの取込み、並びに事業化を支援する体制の構築を推進しており、その一環として設立したアサヒクオリティーアンドイノベーションズ株式会社では、既存事業の強化につながる基礎研究や素材開発を始めとして、環境負荷低減、新規事業創出等、グループの先端研究の拠点として独自価値の創造に取り組んでいます。また、デジタル・トランスフォーメーションの取組みについては、従来からの既存業務の高度化・効率化を目的とした施策に加え、既存事業の拡大、新規事業の創出を強化して、更に進化・発展させてまいります。具体的には、オープンイノベーションも活用しながら新たな価値体験の創出や、デザイン思考等によるアイデアの創出に積極的に取り組み、さらに、データ分析の重要性が高まっている状況を踏まえ、専門機能の立ち上げやビジネス・アナリストの社内での育成にも注力しています。

 

(5)情報セキュリティ

 当社グループは、高い市場競争力を確保するため、事業活動の多くをITシステムに依存しており、停電、災害、ソフトウェアや機器の欠陥、あるいはサイバー攻撃によって、事業活動の混乱、機密情報の喪失、個人情報の漏洩、詐欺被害、EU一般データ保護規則(GDPR)等の各国法令違反が発生する可能性があります。

 このようなリスクが顕在化した場合、事業の中断、損害賠償請求やセキュリティ対策費用の増加等によるキャッシュアウト、GDPR違反による制裁金等により、当社グループの業績及び財政状態、並びに企業ブランド価値に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、2016年8月にASAHI-CSIRTを設置し、ITシステム上でサイバーセキュリティインシデントが起きていないかどうか監視すると共に、万が一インシデントが発生した場合には、その適切な対応を行うことは勿論のこと、原因解析や影響範囲の調査を行い、再発防止並びに防御の最適化を図る体制を敷いています。そのうえで、ソフトウェアや機器でのセキュリティ対策、及び社員教育や訓練を実施し、本件リスクが顕在化しないように取り組んでいます。新型コロナウイルス感染症拡大によってテレワークが普及・定着しつつありますが、このような環境においてもASAHI-CSIRTが有効に機能し、インシデント防止に役立っています。また、海外においても、地域毎にセキュリティ対策を維持、及び向上させるための取組みを実施し、定期的にその取組みをモニタリングしています。

 

(6)アルコール摂取に対する社会の価値観

 アルコールの摂取は、人々の生活を豊かにしてきた一方で、その不適切な摂取は、健康面あるいは社会的悪影響が指摘されています。WHOにおいては、世界的な規模での酒類販売に関する規制が検討されており、当社グループの予想を上回る規制強化が行われる可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症の拡大により、世界的に健康志向が更に高まっていることもあり、アルコールに対する消費者需要が縮小する可能性もあります。これらの要因により、規制に対応するための費用支出による利益圧迫や、酒類の消費が減少することによる売上収益の縮小、さらにはアルコールを製造・販売する当社グループのレピュテーション及びブランド価値を毀損する等し、その結果、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、アルコール飲料を製造・販売する企業として、企業の社会的責任を果たすため、WHOの目指すアルコールの有害な使用の低減による健康被害の予防について、酒類事業を行う各地の関連法令遵守のほか、IARDをはじめとする業界団体や業界と協力、連携して、販売や広告に関する自主基準を設け、責任あるマーケティングに取り組んでいます。2020年1月28日には、IARDに加盟する企業のCEOによる、未成年飲酒防止に向けた取組みを推進する共同声明を公表しました。また、適正飲酒の啓発活動を積極的に推進し、不適切な飲酒の撲滅に取り組んでいます。当社グループとして責任ある飲酒の取り組み促進のために、グループスローガン「Responsible Drinking Ambassador」を打ち出し、現在取り組んでいる不適切な飲酒撲滅活動を強化すると同時に、社員に対する責任ある飲酒の研修の取り組みを拡大する等活動を加速させています。この一環として、2020年12月、アサヒビールは「スマートドリンキング宣言」を発表し、商品毎の純アルコール量の積極的な開示、多様な飲み方に対応すべく、低アルコール飲料、ノンアルコール飲料の商品構成比20%を2025年の目標に掲げる等、健康に配慮した商品の展開により、新しい飲用機会の創出に取り組んでいます。

※IARD=International Alliance for Responsible Drinking(責任ある飲酒国際連盟)の略称。不適切な飲酒の撲滅と、責任ある飲酒を促進するという共通の目的のもとに、世界のビール、ワイン、スピリッツの製造業者である大手企業12社の加盟企業で構成される非営利団体。

 

(7)事業環境について

 当社グループの売上収益において国内事業の占める割合は約60.9%(2020年12月期決算)となっております。今後の日本国内での景気の動向によって、酒類・飲料・食品の消費量に大きな影響を与える可能性があり、人口の減少、少子高齢化が進んでいくと、酒類・飲料・食品の消費量が減少する可能性があります。また、これまでのデフレ環境が想定以上に継続することにより国内での競争環境がさらに激化する結果、販売単価の下落を招き、当社グループ事業の収益性が想定より損なわれる可能性があります。

 国内事業の売上収益のうち、ビール類は4割を超えます。このような状況は、当社グループのビール類商品に対するお客様の信頼を反映したものであり、当社グループ国内酒類事業での効率的な利益創出に寄与しておりますが、消費者の嗜好性の変化、世代交代等により、お客様の支持を失ってしまうと、本商品群の売上が低下し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループは海外での事業領域を拡大しており、2020年12月期決算での売上収益における海外事業の占める割合は、約39.1%となっております。今後、欧州、豪州地域を中心とする当社グループが事業を展開する各国における景気の悪化、当該各国での競争環境の激化、消費者の嗜好の変化等、市場の需要動向が変化すること等により、当該地域における当社グループの売上収益の低下、利益率の悪化が生じる可能性があります。

 当社グループは、中期経営方針に『稼ぐ力の強化』を掲げ、グローバル5ブランド『アサヒスーパードライ』、『Peroni Nastro Azzurro』、『Pilsner Urquell』、『Grolsch』、『Kozel』をはじめとした高付加価値ブランドの価値向上や新市場の創造を目指すとともに、今後の環境変化も見据えた収益構造改革を加速することで、本リスクが顕在化した場合の業績及び財政状態への影響の低減を図っていきます。また、ビール類以外にも酒類全般における商品のラインアップを充実させることで売上収益を増加させるとともに、飲料、食品事業において、消費者の健康志向の高まり及び高齢化社会に対応する領域へ挑戦することで、事業拡大を図っていきます。

 

(8)大規模自然災害

 大規模な地震、津波、台風、洪水等の自然災害に関連するリスクは年々高まっており、近年国内外問わず、世界各地で大規模災害が現実のものとなっています。今後も、中長期的に継続するとともに規模の拡大が懸念されております。このような大規模な自然災害の発生により、従業員の被害、工場損壊、設備故障及びユーティリティー(電気、ガス、水)遮断により製造が停止、倉庫損壊及び保管製品破損により出荷が停止、並びに物流機能停止により原材料資材の調達及び製品の出荷が不能になる可能性があります。更に、事務所施設の損壊、交通機関マヒによる従業員の通勤不能、及びシステム障害に伴う重要データの消失等もあわせて、事業活動が停止する可能性があります。事業活動の復旧に長期を要した場合、施設等の改修に多額の費用が発生した場合、消費マインドが落ち込んだ場合等、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 当社グループは、大規模災害が発生した際に、いち早く従業員及びその家族の安否を確認する仕組みとして、安否確認システムを導入するとともに、早急に被災地の被害状況を把握するため、衛星携帯電話の配備をはじめとした緊急時通信体制の強化を進めています。そのうえで、定期的な訓練を実施することで、有事の対応力を強化するとともに、災害対応意識の啓発に努めています。

 生産工場では、建物倒壊対策のため、国内全建物対象に耐震診断を実施しました。対策が必要な物件については、順次計画的に補強工事を実施しています。ボイラー、冷凍機等の大型エネルギー供給設備には大地震(震度5弱相当)を検知すると、安全に自動停止する機能が付属し、大型ビール工場では電力供給が遮断した場合でも、自家発電によりタンクを冷却させることで、半製品の大量腐敗を防止する等2次災害のリスク低減対策を進めています。

 また、主要グループ会社において、過去の地震防災対策の実績及び東日本大震災の経験を踏まえた「事業継続計画(BCP)」の策定を行い、主要商品の供給を継続するための需給調整機能を早急に復旧する体制を構築するとともに、受発注処理等に関する重要なデータを処理する関東のサーバーセンターのバックアップセンターを関西に設置し、大規模な自然災害が起こった場合であっても被災地以外での事業活動に支障が無いように備えています。

 これらの事前対策により災害による被害の最小化、当社グループの業績及び財政状態に対する影響の低減に努めています。

 

(9)多様で有能な人材の確保

 中期経営方針に掲げる目標達成のためには、多様な価値観や専門性を持った社員の力が必要不可欠です。そのため、当社グループは、社員の多様性を尊重するとともに、一人ひとりが成長できる人材育成プログラムへの投資を拡大し、必要に応じて、経営幹部、一般社員問わず、外部からの登用も進めています。

 それでも、日本国内での少子高齢化による労働人口減少、及びグローバルな事業地域の拡大に伴う人材需要の増高及び必要スキルの変更や高度化により、多様で有能な経営幹部並びに一般社員を、必要数確保、育成及び定着させることができず、中期経営方針の戦略を実行し目標を達成する能力を損ねる可能性があります。

 当社グループは、中期経営方針に「グローカルタレントマネジメントやダイバーシティの推進」を掲げ、将来のグループ会社の経営幹部候補のサクセッション・プランを策定し、それに基づいたグローバルリーダーシッププログラムや2021年から新たに始めるアサヒタレントエクスチェンジプログラム等の育成施策を連動させることによって、人材パイプラインの拡充・強化を進めています。加えて、グローバル人材会議等を通じて各国の人材の可視化を図り、グローバルでの適材適所配置も推進し、能力と適性のある人材を積極的に登用していきます。また、日本を含めて、地域を越えた人材交流の活性化、国籍や性別を超えた登用等、ダイバーシティを推進しています。

 

(10)国内物流需給ギャップの拡大

 当社グループが事業展開する、酒類・飲料・食品の製造販売業界においては、物流は重要、かつ費用の構成比も高い機能です。国内の物流環境は、少子高齢化による労働人口減少に加え、電子商取引の拡大で、ドライバー需給ギャップの拡大が予想されます。2020年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響による企業間取引の荷量の減少と、同時に、外出自粛、人の移動制限による巣ごもり需要による電子商取引の増加がさらに加速し、物流環境全体のバランスに大きな変化が起きています。物流業界が従来から取り組む長時間労働の削減、生産性の向上等に加え、先の読めない時代の環境変化への柔軟な対応が求められており、課題の複雑性が増しています。

 当社グループ全事業の、売上収益ベースで60.9%、事業利益ベースで51.3%(2020年12月期決算)を占める国内事業において、製品の運搬に必要な量の物流機能を適切な費用で確保することが安定的に事業展開する上で不可欠ですが、ドライバー不足による製品供給の滞りや運搬費の増嵩等が、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、地産地消ロジスティクスの推進や効率的な物流体制の実現による輸送量の削減、並びに物流機器・システムの導入による物流業務省人化と物流負荷低減に取り組んでいます。この一環として、2021年4月にはアサヒビール名古屋工場に新設するアサヒ飲料製品製造ライン及び自動倉庫の稼働を開始する予定です。また、従来から取り組んでいるモーダルシフト(鉄道・船舶輸送)や、効率化・省人化を目指した新たな幹線輸送スキームの確立、軽重貨物混載による積載率向上等、同業他社や異業種、物流事業者との連携による高効率輸送の実現や物流効率化施策による労働環境改善を推進しています。これらの取組みは、日本社会全体の課題とも密接に関連しており、当社グループは、国土交通省・経済産業省・農林水産省が推進する「ホワイト物流」推進運動の趣旨に賛同する旨を表明しています。

 

(11)気候変動にかかわるリスク

 国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)においてパリ協定が採択、各国で批准されたのを機に、気候変動や地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの削減を目的とした取組みが世界的に進められています。

 当社グループは、将来的な気候変動が、その業績及び財政状態に重大な影響を与える可能性がある物理リスクとして、以下の通り認識しています。海外の生産拠点における干ばつが深刻化し、水需給が逼迫、水価格の高騰による操業コストが上昇する可能性があります。気温上昇(生育環境や労働環境の変化)・天候・自然災害・CO2濃度等が需給バランスや品質に影響し、主要な原材料価格が変動する可能性があります。更に、必要な水資源が確保できない場合、操業停止による機会損失と工場移転費用が発生する可能性があります。異常気象の激甚化により、深刻な風水害及び土砂災害が発生することで生産ラインや物流が停止し、設備被害や機会損失、製品廃棄による損失が発生する可能性があります。

 また、将来的な気候変動を見据えた脱炭素社会への移行リスクを以下の通り認識しています。炭素税が導入され、特にPETボトル等の製品原材料への価格転嫁や生産拠点の操業コストが上昇する可能性があります。水ストレスの高い地域の生産拠点において取水制限を受けて操業が停止、機会損失が発生する可能性があります。エシカル志向の高まりにより、環境配慮が不十分な製品があった場合、その需要が低下し、当社グループの売上に影響を与える可能性があります。

 当社グループは、「アサヒグループ環境ビジョン2050」の中で、2050年のCO2排出量ゼロを目指す中長期目標「アサヒカーボンゼロ」の達成に向けて取組みを加速させるために、2030年のScope1,2の目標値を従来の30%削減(2015年比)から50%削減(2019年比)に上方修正し、更なる省エネルギーと再生可能エネルギーの活用に取り組んでいきます。Scope3においては、2030年までに2015年比30%削減を目指して取り組んでまいります。また、グループ全体で水使用量削減に向けた取組みを進めて、水リスクに対応していきます。

 将来的な気候変動リスクに関連する経営のレジリエンスと持続性を高めるために、2019年5月、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate- related Financial Disclosures)」の提言に賛同しました。2020年は、ビール事業における気候変動が事業に及ぼすリスクと機会の分析と対応について積極的に取り組み、統合報告書やホームページ等において情報開示を行いました。2021年は、飲料事業へ拡大し、取組みを強化してまいります。

※Scope1は、自社(工場・オフィス・車など)での燃料の使用によるCO2の直接排出、Scope2は、自社が購入した電気・熱・蒸気の使用によるCO2の間接排出、Scope3は、自社のバリューチェーンからのCO2の排出を指します。

 

(12)法規制とソフトローのコンプライアンス

 当社グループは事業の遂行にあたって、食品衛生法、製造物責任法、労働関連規制、贈収賄規制、競争法、GDPR等の個人情報保護規則、環境関連法規等の様々な法規制の適用を受けています。これらの法令が変更される、又は予期し得ない法律、規制等が新たに導入される等の理由による法令違反や社会規範に反した行動等により、法令による処罰・訴訟の提起・社会的制裁を受け、規制遵守対応のためのコストが増加し、又はお客様をはじめとしたステークホルダーの信頼を失うことにより、レピュテーションやブランド価値が毀損し、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 当社グループは、「アサヒグループ行動規範」を制定し、事業活動を行う全ての国・地域において、適用される法令・ルールを遵守することを含め、「Asahi Group Philosophy」で示したステークホルダーに対する5つのPrinciplesに基づき、企業倫理・コンプライアンスを実践するための10条の行動規範を規定し、グループ全体での実践を推進しています。そして、代表取締役社長が委員長を務め、業務執行取締役及び委員長が任命した執行役員で構成される「コンプライアンス委員会」を設置し、グループ全体の企業倫理・コンプライアンスを推進・監督するとともに、「アサヒグループ行動規範」に関する社員の研修等を通じてコンプライアンスのレベルを高め、法令違反や社会規範に反した行為等の発生可能性を低減するよう努めています。

 また、グローバルな事業地域が大きく拡大した今、当社グループにとって、人権保護並びに関連法規制の遵守は特に重要と認識しています。そこで、『ESGへの取組み深化』における重点課題の一つとして「人権マネジメント体制の構築」を掲げ、第一ステップとして、2019年、人権に関する最上位の方針として、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠した「アサヒグループ人権方針」を制定しました。本方針で掲げた人権デューデリジェンスについては、優先度が高い取組みとして、サプライヤー、自社従業員、救済へのアクセスの構築の3点を決定し、取組みを進めています。サプライヤーについては、2020年は国内外事業会社の原材料一次サプライヤーに対して、セルフアセスメント質問表(SAQ)への回答を依頼し、2021年はこの結果も踏まえた訪問調査でサプライヤーと対話し、改善を進めていきます。また2020年にはサプライヤーエシカル情報共有プラットフォームを提供しているNPO会員組織Sedex(Supplier Ethical Data Exchange)に加入しました。今後はSedexも活用してサプライヤーの人権や労働の管理状況を確認していきます。また、2017年に実施した現代奴隷リスク分析の結果に基づき、2021年は高リスクカテゴリー(農産物の栽培段階)のサプライヤーを対象とした現地調査等を行う予定です。自社従業員については、2020年は国内事業会社全役員・社員に対し、人権・LGBT基礎知識のE-ラーニングを実施しました。

 新型コロナウイルス感染症拡大等の厳しい状況が続くなか、社会的立場が弱い人々の人権が侵害されるリスクが高まっています。その中の一つとして、日本の外国人技能実習生制度に関連した人権侵害が国内外で問題視されています。当社グループは、実習生が在籍するアサヒグループ食品岡山工場を対象に、NGOとともに実習生の労働実態調査及び実習生への母国語によるヒアリングを実施しました。今後、ここでの指摘事項を改善していきます。また救済へのアクセス構築については、国内外事業会社の内部通報制度や外部からの問い合わせ窓口の状況を確認しました。現在、二次以降のサプライヤー等の人権侵害被害者のための苦情処理メカニズム構築を進めています。

 

(13)プラスチック使用

 近年、廃棄プラスチックの規制強化の動きが加速しています。同時に、プラスチックを大量に使用する製品に対する社会の目は厳しくなってきており、容器包装をプラスチック素材に依存している当社グループの飲料・食品製品の需要が著しく低下し、売上に影響を与えるだけでなく、対応不十分とのことで、当社グループに対するレピュテーションが低下する可能性があります。また、リサイクル費用の負担が増加することや、生分解性素材等の代替素材を使用した場合の材料費が増加すること等で、製造原価が増嵩する可能性があります。

 当社グループは、「アサヒグループ環境ビジョン2050」の中で、「持続可能な資源利用100%を目指す(農産物原料、容器包装、水)」ことを目標に掲げ、容器包装の中でも喫緊の課題である海洋汚染や生態系への影響が世界的に問題視されている海洋プラスチック問題への対応については、2020年、グループの戦略の方向性として、「3R+Innovation」を定め、それに基づき、グループ各社において、様々な取組みを進めています。

 国内では、アサヒ飲料株式会社が「容器包装2030」を制定し、リサイクルPET・環境配慮素材の使用、リデュースの推進、環境への配慮を前提とした新容器開発等へ取り組む目標「容器包装2030」の達成に向けて、更なる「ラベルレスボトル」製品の拡大や「ボトルtoボトル」の再生事業者である日本環境設計株式会社への融資を行い、新たにケミカルリサイクルPET樹脂調達への取組みを強化しております。また、業界の枠を超えた連携体制による、使用済のプラスチックを再資源化する会社に共同出資を行い、中長期的なPET調達に向けた取組みも強化しています。

 海外では、オーストラリアの子会社Asahi Beverages Pty Ltdが、2030年までに、プラスチック容器における環境配慮素材の使用率を100%にする目標の達成に向けて、リサイクル大手企業と容器メーカーと共同して、JVを設立し、リサイクルPETの調達を強化しています。

 当社グループ全体として、更なる環境配慮素材の活用を推進してまいります。

 

(14)事業展開国のカントリーリスク

 現在、当社グループは20を超える国に拠点を構え、世界経済全体の動向に加え、各国固有の政治、経済、社会、法規制、自然等の要素が、各国事業に影響を与える可能性があります。具体的なリスクとしては、政情不安、経済危機、関税報復措置、難民排斥運動、人種差別、規制強化、税制改正、自然災害、新興感染症等が想定されます。2019年7月以降、韓国での日本商品の不買運動により、同国での当社グループ製品の販売数量が大幅に減少しました。これらのリスクが顕在化した場合には、関税引き上げ等、在外資本企業に対する不利益条件によるコスト競争力の低下、利益の圧縮、政治的・軍事的・社会的圧力による営業困難あるいは営業停止、社員の安全不安、経営計画未達、中長期的損失計上、さらには事業撤退により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、グループ各社での情報収集や外部コンサルタント起用等を通じて、各事業展開国/地域の該当リスクの調査、情報収集、評価をもとに、これらリスクを早期に認識し、顕在化する前に具体的かつ適切な対処をするよう取り組むことで、その予防・回避に努めるとともに、重大インシデント発生に備えた事業継続計画の策定等を行っていきます。また、当社グループは、今後の更なるグローバル化により収益源の分散化を進め、本件リスク顕在化時の、グループ全体への影響の低減を図ってまいります。

 

(15)主要原材料の調達リスク

 当社グループが国内外で事業を展開する酒類・飲料・食品の製造に関して、市況の悪化による原材料価格の高騰、サプライヤーの倒産や買収、競合による買い占め等により原材料が調達不能となる可能性があります。また、大規模な自然災害や新型コロナウイルス感染症の拡大等により、サプライヤーでの原材料の製造制限や物流遅延等により、原材料の調達が困難・遅延となる可能性があります。これにより、原料高騰による製造コストの上昇、必要量の原材料が調達できず生産数量が減少、原材料供給の停止や遅延により製品の製造が困難等の事象が発生し、グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、市況と連動する原材料については、固定価格や複数年契約に加え、金融商品を活用し相場状況に応じて安定価格で調達することにより価格高騰リスクを回避しています。また、複数購買化による競争環境構築での価格高騰の抑制及び調達リスクの分散、代替原料の検討による調達リスクの回避及びコスト抑制に取り組んでいます。また、原材料の確保については、安全在庫確保の観点で、必要性に応じて数ヶ月分の在庫を保持することによる原材料の調達困難時での対応時間の確保、在庫保管場所の複数拠点への振り分けにより、地理的な供給リスクの分散にも取り組んでいます。

 

(16)品質について

 当社グループは、最高の品質をお客様にお届けすることをグループ理念に掲げ、いずれのグループ会社も品質を通して、お客様との信頼関係を築くことに不断の努力を続けています。お客様の健康に密接に関連する事業を展開しているため、万一、不測の事態により、お客様の健康を脅かす可能性が生じたときは、お客様の安全を最優先に考え、迅速に対応します。

 しかしながら、万一、品質に問題が生じて、商品の安全性に疑義が持たれた場合には、商品の回収や製造の中止を余儀なくされ、その対応に費用や時間を要するだけでなく、お客様からの信頼を失う可能性があります。このような事象が発生した場合、中期経営方針に掲げた「高付加価値ブランドの育成とグローバル5ブランドの拡大によるプレミアム戦略の推進」の未達を含む、当社グループの業績及び財政状態、並びにレピュテーション及びブランド価値に対して影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、品質確保及び向上の取組みとして、商品設計から販売に至るまでのプロセス毎に、品質に影響を与える業務や注意すべき事項を抽出し、その点検と是正を実施しています。また、品質保証技術の高度化のため、AI等先端技術の導入にも取り組んでいます。特に、生産工程においては、重要な管理項目を整理し、必須要求事項として展開し、工場毎の自己点検や生産工程の監査へ活用しています。これらの取組みについては、今後も深化させていきます。

 また、当社グループは、食の安全に関わる最新の分析技術を開発しています。その対象は、微生物・農薬・カビ毒・重金属・樹脂・放射性物質等多岐にわたっており、海外も含めたグループ全体の高度な品質保証体制を技術面から支えています。

 さらに、各グループ会社の商品特性や製造工場の環境に応じて、国際的な品質・食品安全マネジメントシステムの考え方を取り入れ、必要に応じて外部認証取得しています。

 

(17)その他のリスク

財務リスク

為替変動     :当社グループはグローバルに事業を展開しているため為替リスクを負っています。このうち、海外子会社及び関連会社における資産や負債については円高が進行すると在外営業活動体の換算差額を通じて自己資本が減少するリスクがあります。このため、必要に応じて為替リスクのヘッジをする等の施策を実行していますが、完全にリスクが回避できるわけではありません。また、海外連結子会社等の損益の連結純利益に占める割合が比較的高く、これらの収益の多くが外貨建てであり、当社の報告通貨が円であることから、外国通貨に対して円高が進むと、連結純利益にマイナスのインパクトを与えます。一方、本国で行う輸出入、及び外国間等の貿易取引から発生する、外貨建債権及び債務等は為替レートの変動によるリスクを有しておりますが、このリスクは為替予約等と相殺されるため影響は限定されます。

金利変動     :当社グループは銀行預金や国債等の金融資産及び銀行借入金や社債、リース負債等の負債を保有しております。これらの資産及び負債に係る金利の変動は受取利息及び支払利息の増減、あるいは金融資産及び金融負債の価値に影響を与え、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、金利リスクを回避する目的で、金利を実質的に固定化する金利スワップを利用しております。またヘッジ会計の要件を満たす取引については、ヘッジ会計を適用しております。

格付低下     :当社グループに対する外部格付機関による格付けが引き下げとなり、当社グループの資本・資金調達の取引条件の悪化、もしくは取引そのものが制限される場合には、当社グループの業務運営や業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

保有資産の価格変動:当社グループが保有する土地や有価証券等の資産価値の下落や事業環境の変化等があった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

税務リスク

 当社グループはグローバルに事業を展開しており、本国をはじめとする、各国の税制による適用を受けており、予期し得ない改正や税務当局からの更正処分を受けた場合、大幅なコストの増加、競争環境の悪化、事業活動の制限等が懸念され、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

訴訟リスク

 当社グループは、事業を遂行していくうえで、訴訟を提起される可能性があります。万一当社グループが訴訟を提起された場合、また訴訟の結果によっては、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

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3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(業績等の概要)

(1)業績

 当期における世界経済は、年初は緩やかな回復傾向にありましたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済活動の抑制などにより、景気は急速に悪化し、極めて厳しい状況が続きました。日本経済においても、国内における新型コロナウイルスの感染拡大や世界経済悪化の影響により、個人消費や輸出が減少し、景気は厳しい状況となりました。

 こうした状況のなかアサヒグループは、「中期経営方針」に基づく“グローカルな価値創造経営”を推進し、各事業の主力ブランドの価値向上や新たな価値提案などを強化するとともに、新型コロナウイルスへの対策に取り組みました。

 新型コロナウイルスへの対策においては、従業員とその家族の安全確保を最優先としたうえで、市場環境や消費者ニーズの変化に対応したマーケティング戦略を実行するとともに、設備投資や固定費の抑制、運転資本の効率化などによる財務健全性の確保に努めました。また、取引先や地域社会への支援に取り組むなど、ステークホルダーに対する責任を果たしてまいりました。

 しかしながら、世界各国における外食産業の低迷や外出制限による経済停滞のマイナス影響などにより、アサヒグループの当期の売上収益は2兆277億6千2百万円(前期比2.9%減)となりました。また、利益につきましては、事業利益※1は1,678億2千3百万円(前期比21.2%減)、営業利益は1,351億6千7百万円(前期比32.9%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は928億2千6百万円(前期比34.7%減)となりました。

 なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前期比2.6%の減収、事業利益は前期比21.1%の減益となりました。※2

※1 事業利益とは、売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除した、恒常的な事業の業績を測る当社独自の利益指標です。

※2 2020年の外貨金額を、2019年の為替レートで円換算して比較しています。

 

アサヒグループの実績         (単位:百万円)

 

 

実績

前期比

売上収益

2,027,762

△2.9%

事業利益

167,823

△21.2%

営業利益

135,167

△32.9%

親会社の所有者に

帰属する当期利益

92,826

△34.7%

 

 当年度の財政状態の状況は、連結総資産は前年度末と比較して1兆2,985億9千万円増加し、4兆4,393億7千8百万円、負債は前年度末と比較して1兆290億5千3百万円増加し、2兆9,215億6千2百万円となりました。また、資本は前年度末に比べ2,695億3千6百万円増加し、1兆5,178億1千6百万円となりました。

 

 セグメントの業績は次の通りです。各セグメントの売上収益はセグメント間の内部売上収益を含んでおります。

 なお、当年度より国際セグメントに含まれていた一部の会社について、報告セグメントの区分を飲料セグメントに変更しております。また、当年度よりその他セグメントに含まれていた一部の事業を食品セグメントへ変更しております。

 以下の前期比較は前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。

 

 

事業セグメント別の実績                                  (単位:百万円)

 

 

売上収益

前期比

事業利益

前期比

売上収益

事業利益率

営業利益

前期比

酒類

758,270

△14.5%

80,448

△23.8%

10.6%

65,933

△36.0%

飲料

353,381

△6.2%

27,800

△16.9%

7.9%

28,901

△6.1%

食品

123,486

△4.2%

10,997

△19.9%

8.9%

11,178

△16.2%

国際

792,956

13.5%

94,122

△8.0%

11.9%

52,089

△31.4%

その他

93,155

△4.7%

1,340

△13.2%

1.4%

1,093

△8.0%

調整額計

△93,488

△21,386

△24,028

無形資産償却費

△25,499

合計

2,027,762

△2.9%

167,823

△21.2%

8.3%

135,167

△32.9%

※営業利益における無形資産償却費は各事業に配賦しています。

 

[酒類事業]

 酒類事業につきましては、新たに策定した長期経営方針「“Value経営”への変革、お客様にとっての価値や新市場の創造を目指す」に基づき、ビール類を中心に、お客様にとって特別な価値や体験の創造などに取り組みました。

 ビール類では、「ビールがうまい。この瞬間がたまらない。」を『アサヒスーパードライ』のブランドメッセージとし、“氷点下のスーパードライ”をご家庭でも実感できる消費者キャンペーンを実施したほか、ビールを通じた新しいコミュニケーションの提案としてオンラインイベント「ASAHI SUPER DRY VIRTUAL BAR」を展開するなど、新しい生活様式に対応した施策を推進しました。また、家飲み需要の高まりを受け、主力ブランド『クリアアサヒ』での食事と連動したプロモーション活動を強化するとともに、“プレミアムビールのような上質さ、贅沢感”を味わえる『アサヒ ザ・リッチ』を発売し、広告・販売促進活動を強化するなど、新ジャンル市場における存在感の向上に努めました。

 ビール類以外では、RTDにおいて、主力ブランド『アサヒ贅沢搾り』の商品ラインアップを拡充するとともに、レモン本来の風味と香りを追求した『アサヒ ザ・レモンクラフト』を発売し、独自性の高いブランドの育成に注力しました。洋酒においては、スコットランドと日本のモルト原酒をブレンドした『ニッカ セッション』を発売するなど、新たな価値提案の強化に取り組みました。また、アルコールテイスト清涼飲料において、『アサヒドライゼロ』をさらにビールに近い味にリニューアルするとともに、様々な飲用シーンを提案することで新たなユーザー層の拡大を図りました。

 以上の結果、酒類事業の売上収益は、家飲み需要を取り込んだ新ジャンル・RTDの売上は前年実績を上回ったものの、新型コロナウイルスの感染拡大により、飲食店向けのビールの売上が大幅に減少したことなどにより、前期比14.5%減の7,582億7千万円となりました。

 事業利益については、製造原価の低減や収益構造改革などに取り組みましたが、売上収益の減少により、前期比23.8%減の804億4千8百万円となりました(営業利益は前期比36.0%減の659億3千3百万円)。

※ RTD:Ready To Drinkの略。購入後、そのまま飲用可能な缶チューハイなどを指します。

 

[飲料事業]

 飲料事業につきましては、炭酸カテゴリーの強化と新価値創造商品の投入による市場の活性化に加え、社会的価値向上の取組み強化などにより、更なる成長に向けた強固な事業基盤の構築を目指しました。

 主力ブランドにおいては、『三ツ矢』ブランドでは、限定復刻シリーズなどの商品を発売するとともに、新たな広告の展開やSNSと連動した販売促進活動を推進しました。また、『ウィルキンソン』ブランドでは、炭酸水市場売上No.1を訴求するマーケティング活動を強化するなど、家庭内需要が増加し好調な炭酸カテゴリーにおけるブランド価値の更なる向上を図りました。『カルピス』ブランドでは、巣ごもり需要を受け希釈タイプの商品を積極的に展開するとともに、『十六茶』ブランドでは、「ストレスを和らげる」「睡眠の質を高める」効果を持つL-テアニンを配合した機能性表示食品『「アサヒ 十六茶プラス」やすらぎブレンド』を発売するなど、ブランド力の強化に取り組みました。

 新価値創造商品においては、『カルピス』ブランドから豆乳を発酵した植物生まれの『GREEN CALPIS』を発売したほか、eコマース市場において『おいしい水』ブランドを中心に、ラベルレスボトルシリーズを積極的に展開するなど、消費者ニーズの変化に対応したマーケティング戦略を強化し、市場の活性化を図りました。

 以上の結果、飲料事業の売上収益は、炭酸飲料の販売数量が前年実績を上回りましたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い自動販売機での売上が減少したことなどにより、前期比6.2%減の3,533億8千1百万円となりました。

 事業利益については、ブランドの選択と集中による広告・販売促進費の効率化や、委託製造品の自社製造への切替えなどによる製造原価の低減を図りましたが、減収影響や自動販売機の売上低下に伴う品種・容器構成比の悪化などにより、前期比16.9%減の278億円となりました(営業利益は前期比6.1%減の289億1百万円)。

※ インテージSRI調べ 炭酸水市場(フレーバー含む)2019年1月~2019年12月 累計販売金額全国/全業態計(SM/CVS/DRUG)

 

[食品事業]

 食品事業につきましては、多様化するライフスタイルを見据えた主要ブランドの新価値提案などにより、持続的な成長基盤の構築に取り組みました。

 タブレット菓子『ミンティア』については、マスク着用時やテレワーク中のリフレッシュニーズに対応し、濃厚な味わいの大粒タブレット『ミンティアテイスティ』などの新商品を発売したほか、多様化する働き方に合わせた喫食シーンの提案により需要喚起を図りました。健康・美容食品については、からだづくりへの関心の高まりを背景に『1本満足バー』プロテインシリーズの商品ラインアップを拡充するなど、ブランド力の強化・育成に取り組みました。フリーズドライみそ汁については、『いつものおみそ汁』シリーズのパッケージ刷新やテレビCMを含めた広告・販売促進の強化により、手軽で本格的な味わいを楽しめるフリーズドライの価値を訴求しました。

 ベビーフードについては、『赤ちゃんのやさしいおやきミックス』シリーズを新発売するなど、おやつの手作りニーズに合わせた商品を提案しました。サプリメントについては、『ディアナチュラ』において健康意識の高まりを受けた商品訴求を強化することにより、新規ユーザーの獲得とブランド力の強化に取り組みました。

 以上の結果、食品事業の売上収益は、健康・美容食品やフリーズドライみそ汁などの売上が前年実績を上回ったものの、オフィス勤務の減少に伴い『ミンティア』の売上が大幅に減少したことなどにより、前期比4.2%減の1,234億8千6百万円となりました。

 事業利益については、固定費全般の効率化に取り組みましたが、売上収益が減少したことなどにより、前期比19.9%減の109億9千7百万円となりました(営業利益は、前期比16.2%減の111億7千8百万円)。

 

[国際事業]

 国際事業につきましては、グローバル市場におけるプレミアムビールブランドの拡大展開と各ローカル市場におけるブランドポートフォリオのプレミアム化などにより、更なる成長への取組みを加速させました。

 グローバル市場全体に向けたプレミアムブランドの拡大展開においては、『Peroni Nastro Azzurro』と『アサヒスーパードライ』について、ブランド広告の積極的な展開やSNSを通じたイベント配信のキャンペーンに取り組むなど、グローバルプレミアムビールブランドとしての認知度の向上を図りました。

 欧州事業については、チェコの『Pilsner Urquell』の積極的なマーケティング活動やルーマニアの『Ursus』における派生商品の発売などによりプレミアムブランドを強化したほか、イタリアの『Peroni』やオランダの『Grolsch』では、オンラインを活用したイベントを開催するなど、各国における主力ブランドの価値向上を図りました。また、市場が拡大するアルコールテイスト清涼飲料において、チェコの『Birell』やポーランドの『Lech Free』などの新たなフレーバーの展開を強化することにより、多様化が進む消費者ニーズの変化に合わせてブランド力を強化しました。

 

 オセアニア事業については、酒類において、6月に取得手続きが完了した豪州のビール・サイダー事業(以下「CUB事業」といいます。)と既存事業を統合し、シナジー創出に向けて強固な販売体制を構築するとともに、主力ブランド『Victoria Bitter』、『Great Northern』のほか、『アサヒスーパードライ』、『Peroni Nastro Azzurro』などのグローバルプレミアムビールブランドなどの価値向上に取り組みました。飲料においては、炭酸カテゴリーを中心にノンシュガー商品を積極的に展開し、市場における存在感の向上を図りました。

 東南アジア事業については、マレーシアにおいて、健康志向の高まりを受け、砂糖不使用の『WONDA Zero Max』などの高付加価値商品の展開を強化しました。

 以上の結果、国際事業の売上収益は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う各国の規制などによる市場縮小の影響などがあったものの、CUB事業の新規連結効果などにより、前期比13.5%増の7,929億5千6百万円となりました。

 事業利益については、固定費全般の効率化などを図りましたが、業態別の売上構成比の変化による収益性の悪化やCUB事業取得に伴う一時費用の発生などにより、前期比8.0%減の941億2千2百万円となりました(営業利益は、前期比31.4%減の520億8千9百万円)。

 なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前期比14.5%の増収、事業利益は前期比7.6%の減益となりました。

※ 2020年の外貨金額を、2019年の為替レートで円換算して比較しています。

 

[その他の事業]

 その他の事業につきましては、売上収益は、前期比4.7%減の931億5千5百万円となりました。

 事業利益については、前期比13.2%減の13億4千万円となりました(営業利益は前期比8.0%減の10億9千3百万円)。

 

[「中期経営方針」のガイドラインの進捗]

 「中期経営方針」のガイドラインについては、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、当期の業績が大幅に悪化したことにより、「主要指標のガイドライン」の各指標と「財務、キャッシュ・フローのガイドライン」のキャッシュ・フローは計画を下回る進捗となり、成長投資・債務削減は、主にCUB事業の取得による債務の増加に伴い、Net Debt/EBITDAはガイドラインから悪化しました。

 一方、株主還元については、EPSは減少したものの、当期(2020年度)は1株当たりの配当額を106円とすることにより、ガイドラインを大きく上回る予定です。

 

主要指標のガイドライン

 

2017年実績

2018年以降のガイドライン(3年程度を想定)

2020年進捗

売上収益

20,849億円

・主力事業の安定成長-事業再構築+新規M&A

事業利益

1,964億円

・CAGR(年平均成長率):一桁台半ば~後半

△5.1%

EPS(調整後

262.2円

・CAGR(年平均成長率):一桁台半ば~後半

△9.2%

ROE(調整後

13.7%

・13%以上の水準の維持

7.5%

※ 調整後とは、事業ポートフォリオの再構築や為替変動など一時的な特殊要因を除いたものです。

(注)2017年実績及び2020年進捗の金額は、表示単位未満を四捨五入して表示しております。

 

財務、キャッシュ・フローのガイドライン

 

2019年以降のガイドライン

2020年進捗

キャッシュ・フロー

・フリー・キャッシュ・フロー:年平均1,700億円以上

1,849億円

成長投資・債務削減

・M&Aなどの成長投資を優先しつつ、投資余力を高める債務削減を推進

(Net Debt/EBITDA※1:2021年末には2倍以下)

6.03倍

株主還元

・配当性向※235%(~2021年)を目指した安定的な増配

(将来的な配当性向は40%を目指す)

53.9%

※1 Net Debt/EBITDA(EBITDA純有利子負債倍率)=(金融債務-現預金)/EBITDA

※2 配当性向は、親会社の所有者に帰属する当期利益から事業ポートフォリオ再構築などに係る一時的な損益(税金費用控除後)を控除して算出しております。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益が1,253億9千9百万円となりましたが、減価償却費等の非キャッシュ項目による増加や運転資本の効率化により、2,758億5千9百万円(前期比:223億8千9百万円の収入増)の収入となりました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、CUB事業の取得などにより、1兆2,433億7千2百万円(前期比:1兆1,397億6百万円の支出増)の支出となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、新株の発行や、短期借入金の実行による金融債務の増加により、9,567億5千9百万円(前期比:1兆1,156億円の収入増)の収入となりました。

 以上の結果、当年度末では、前年度末と比較して現金及び現金同等物の残高は2千9百万円減少し、484億6千万円となりました。

 

(生産、受注及び販売の状況)

(1)生産実績

 当年度におけるセグメントごとの生産実績は以下の通りであります。

セグメントの名称

数量又は金額

単位

前期比

酒類

1,890,939

KL

△13.8%

飲料

339,919

百万円

△6.3%

食品

119,216

百万円

△2.7%

国際

608,588

百万円

17.9%

(注)1 金額は、販売価額によっております。

2 IFRSに基づく金額を記載しております。

3 酒類事業の生産数量、飲料事業及び食品事業の生産高には、外部への製造委託を含めております。

4 上記金額には消費税等は含まれておりません。

 

(2)受注実績

 当社グループでは受注生産はほとんど行っておりません。

 

(3)販売実績

 当年度におけるセグメントごとの販売実績は以下の通りであります。

セグメントの名称

金額

前期比

酒類

758,270

百万円

△14.5%

飲料

353,381

百万円

△6.2%

食品

123,486

百万円

△4.2%

国際

792,956

百万円

13.5%

その他

93,155

百万円

△4.7%

調整額

△93,488

百万円

合計

2,027,762

百万円

△2.9%

(注)1 調整額はセグメント間取引であります。

2 上記金額には消費税等は含まれておりません。

3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

前年度

当年度

相手先

販売高

(百万円)

割合

(%)

販売高

(百万円)

割合

(%)

伊藤忠食品㈱

208,144

10.0

202,893

10.0

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

 当年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は以下の通りであります。

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社の連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。

 詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表注記 6 重要な会計上の見積り及び判断)」に記載しております。

 

(2)当年度の経営成績の分析

① 売上収益

 アサヒグループの当年度の売上収益は、前期比2.9%減、612億8千5百万円減収の2兆277億6千2百万円となりました。酒類事業においては、家飲み需要を取り込んだ新ジャンル・RTDの売上は前年実績を上回ったものの、新型コロナウイルスの感染拡大により、飲食店向けのビールの売上が大幅に減少したことなどにより、前期比14.5%減の7,582億7千万円となりました。飲料事業においては、炭酸飲料の販売数量が前年実績を上回りましたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い自動販売機での売上が減少したことなどにより、前期比6.2%減の3,533億8千1百万円となりました。食品事業においては、健康・美容食品やフリーズドライみそ汁などの売上が前年実績を上回ったものの、オフィス勤務の減少に伴い『ミンティア』の売上が大幅に減少したことなどにより、前期比4.2%減の1,234億8千6百万円となりました。国際事業においては、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う各国の規制などによる市場縮小の影響などがあったものの、CUB事業の新規連結効果などにより、前期比13.5%増の7,929億5千6百万円となりました。その他の事業においては、前期比4.7%減の931億5千5百万円となりました。

 

② 事業利益

 当年度の事業利益は、前期比21.2%減、451億4千8百万円減益の1,678億2千3百万円となりました。酒類事業においては、製造原価の低減や収益構造改革などに取り組みましたが、売上収益の減少により、前期比23.8%減の804億4千8百万円となりました。飲料事業においては、ブランドの選択と集中による広告・販売促進費の効率化や、委託製造品の自社製造への切替えなどによる製造原価の低減を図りましたが、減収影響や自動販売機の売上低下に伴う品種・容器構成比の悪化などにより、前期比16.9%減の278億円となりました。食品事業においては、固定費全般の効率化に取り組みましたが、売上収益が減少したことなどにより、前期比19.9%減の109億9千7百万円となりました。国際事業においては、固定費全般の効率化などを図りましたが、業態別の売上構成比の変化による収益性の悪化やCUB事業取得に伴う一時費用の発生などにより、前期比8.0%減の941億2千2百万円となりました。その他の事業においては、前期比13.2%減の13億4千万円となりました

 

③ 営業利益

 営業利益は、事業利益の減益に加え、その他の営業費用の増加などにより、前期比32.9%減、662億6千8百万円減益の1,351億6千7百万円となりました。

 

④ 税引前利益

 当年度の税引前利益は、営業利益の減益に加え、金融収益が前期比10.7%減、8億6千4百万円減少の72億3千万円となったことや、金融費用が前期比15.1%増、19億7千万円増加の149億8千2百万円となったことなどにより、前期比36.5%減、719億9千1百万円減益の1,253億9千9百万円となりました。

 

⑤ 親会社の所有者に帰属する当期利益

 親会社の所有者に帰属する当期利益は、税引前利益の減益などにより前期比34.7%減、493億8千万円減益の928億2千6百万円となりました。

 また、基本的1株当たり利益は196.52円(前期310.44円)となり、親会社所有者帰属持分比率は34.2%(前期39.7%)となりました。

 また、事業ポートフォリオ再構築など一時的な特殊要因を除いた親会社の所有者に帰属する当期利益を算出に用いた調整後基本的1株当たり利益は196.52円(前期310.44円)となりました。

 

(3)財政状態の分析

① 総資産

 当年度の連結総資産は、CUB事業(注)を新たに連結範囲に含めたことによるのれんや商標権等の増加により、総資産は前年度末と比較して1兆2,985億9千万円増加し、4兆4,393億7千8百万円となりました。

 

② 負債

 負債は、CUB事業買収に伴って短期借入金を中心に金融債務が増加したこと等により、前年度末と比較して1兆290億5千3百万円増加し、2兆9,215億6千2百万円となりました。

 

③ 資本

 資本は、前年度末に比べ2,695億3千6百万円増加し、1兆5,178億1千6百万円となりました。これは、公募による新株式の発行により、資本金及び資本剰余金が増加したことや公募による自己株式の処分を実施したこと、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上により利益剰余金が増加したこと等によるものです。

 この結果、親会社所有者帰属持分比率は34.2%となりました。

 また、事業ポートフォリオ再構築や為替変動など一時的な特殊要因を除いた「親会社の所有者に帰属する当期利益」及び「親会社の所有者に帰属する持分合計」を算出に用いた調整後親会社所有者帰属持分当期利益率は7.5%(前期13.0%)となりました。

 

(注)CUB事業買収に伴って、発生したのれんの金額、企業結合日に受け入れた資産及び引き受けた負債の額等については、企業結合日における識別可能資産及び負債の特定を精査中であり、取得価額の配分が完了していないため、暫定的な会計処理を行っております。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析

① キャッシュ・フロー分析

 キャッシュ・フローの状況につきましては、「(業績等の概要) (2)キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。

 また、キャッシュ・フロー指標のトレンドは、以下の通りであります。

 

 

前年度

当年度

親会社所有者帰属持分比率(%)

39.7

34.2

時価ベースの親会社所有者帰属

持分比率(%)

72.7

48.4

キャッシュ・フロー対有利子

負債比率(年)

4.1

7.1

インタレスト・カバレッジ・

レシオ(倍)

36.9

27.5

(注)親会社所有者帰属持分比率:親会社の所有者に帰属する持分/総資産

時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

※ 各指標はいずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

※ 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

※ キャッシュ・フローは営業キャッシュ・フローを使用しております。

 

② 資金の調達

 アサヒグループの資金の源泉は、主として営業活動からのキャッシュ・フローと金融機関からの借入、社債の発行からなりますが、当社は経営方針として、有利子負債残高の圧縮を基本として掲げております。しかしながら、「事業基盤強化・効率化を目指した設備投資」及び「M&Aを含む戦略的事業投資」については資金需要に応じて金融債務を柔軟に活用することとしております。なお2020年6月に買収取引を完了したCUB事業に関連して行っている資金調達においては、金利コストの最小化を目指した負債性資金と、早期の財務健全性回復、及び格付の現状維持、リファイナンス・リスクの最小化を目指した資本性資金を組み合わせ、資本コスト、金利コスト全体の低減に努めております。一方、運転資金需要については、短期借入金及びコマーシャル・ペーパーでまかなうことを基本としております。

 

③ 資金の流動性

 当社及び主要な連結子会社はCMS(キャッシュマネジメントシステム)を導入しており、各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことにより、資金効率の向上と金融費用の極小化を図っております。

 

(5)戦略的現状と見通し

 2021年は、新たに更新した「中期経営方針」に基づいて、全事業での高付加価値ブランドの育成や環境変化を見据えた収益構造改革の加速などにより『稼ぐ力の強化』に努めます。また、イノベーションや新価値創造に向けた無形資産(研究開発、人材力等)への投資強化に加え、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の加速による新たなオペレーティングモデルの構築などにより『経営資源の高度化』に取り組みます。さらに、サステナビリティの経営戦略への統合など『ESGへの取組み深化』を図り、「Asahi Group Philosophy」に基づく“グローカルな価値創造経営”を推進します。

 

(6)経営者の問題認識と今後の方針について

 経営者の問題認識と今後の方針につきましては、この文中に記載したほか、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通りであります。

 

(7)経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載の通りであります。

 

4【経営上の重要な契約等】

業務提携等に関する契約

会社名

契約事項

契約締結先

締結年月

発効年月

有効期限

アサヒグループ

ホールディングス

株式会社

(提出会社)

中国における「アサヒスーパードライ」及び「アサヒビール」の製造ライセンス供与のための「0102010_016.png」の合弁契約

伊藤忠商事株式会社

日鉄物産株式会社

1997年

10月

1998年

8月

2024年

7月

アサヒビール

株式会社

(連結子会社)

沖縄県及び鹿児島県奄美大島群島を除く日本における「アサヒ オリオンドラフト」等の販売契約

オリオンビール株式会社

2020年

7月

2020年

7月

自動更新

アサヒビール

株式会社

(連結子会社)

沖縄県における「アサヒスーパードライ」等の製造販売ライセンスの供与契約

オリオンビール株式会社

2003年

5月

2003年

5月

自動更新

アサヒグループ

ホールディングス

株式会社

(提出会社)

飲料事業、チルド事業、食品事業、海外事業、調達・物流等の機能面における業務提携契約

カゴメ株式会社

2007年

2月

2007年

2月

自動更新

アサヒグループ

ホールディングス

株式会社

(提出会社)

中国における食品事業「開曼島商頂新控股有限公司」の株主間契約

(英領ヴァージン諸島)

Ho Te Investments Limited他

2015年

3月

2015年

3月

無期限

(但し一定の終了事由あり)

アサヒ飲料

株式会社

(連結子会社)

「シャンソン十六茶」バルクの継続的売買及び商標の使用許諾に関する契約

(注)

株式会社シャンソン化粧品

1992年

12月

1992年

12月

自動更新

Asahi

International Ltd

(連結子会社)

英国においてFullers,Smith Turner社が運営するパブに対するビール等の飲料の供給契約

Fuller,Smith&Turner

plc

2019年

4月

2023年

4月

いずれの当事者も5年間の期間の延長を相手方に請求できる

CUB PTY LTD

(連結子会社)、

(CUBの義務履行に関する保証のみ)

アサヒグループ

ホールディングス

株式会社

(提出会社)

豪州におけるCorona・Lowenbrau等のビールの継続的供給及びブランドの使用許諾に関する契約(但し、2021年1月5日付けでHeineken社に売却された、Stella Artois及びBeck’sに関する保証債務は消滅)

ANHEUSER-BUSCH INBEV SA/NV

2020年

6月

2020年

6月

無期限

(但し一定の終了事由あり)

(注) 「シャンソン十六茶」バルクとは、アサヒ飲料社商品「十六茶」の原料茶葉であります。

 

5【研究開発活動】

 アサヒグループでは、第7次中期経営計画の達成に向けて、酒類、飲料、食品の各事業においてこれまでにない新たな価値創造に基づく商品の開発を進めると共に、環境への配慮、健康への貢献といった持続可能な社会の実現のため、革新的な技術開発に取り組んでいます。また、コロナ禍による環境変化に対しても迅速かつ柔軟に研究開発戦略の見直しを行い、研究開発現場においてもテレワークを最大限活用出来る体制を整備することで、新時代に即した成果の創出を行っています。従来の枠に捉われない研究開発に取り組むため、先端技術やオープンイノベーション、グループ内のシナジーを積極的に活用しています。

 当年度におけるグループ全体の研究開発費は、13,189百万円です。そのうち酒類事業に係る研究開発費は2,978百万円、飲料事業に係る研究開発費は2,000百万円、食品事業に係る研究開発費は1,640百万円、国際事業に係る研究開発費は3,008百万円、その他の事業又は全社(共通)の研究開発費は3,561百万円です。

 

[酒類事業]

(商品開発関連)

 アサヒビール㈱は、「スーパードライ」のブランドメッセージである「ビールがうまい。この瞬間がたまらない。」を訴求するビール飲用価値の再発見と特別な飲用体験を演出する様々な取り組みに注力致しました。特に素材や優良酵母のさらなる厳選、酸化を防ぐ取り組みや工場特性に合わせた醸造技術の最適化などあらゆる工程で改善に取り組んだ結果、当社の専門パネリスト※1による官能評価において過去最高の評価を獲得し、“スーパードライの史上最高のうまさ”を実現しました。“できたてのうまさ”を追求した商品『アサヒスーパードライ 鮮度実感パック』を年間6回発売し、“進化をとげたスーパードライ史上最高のうまさ。”を訴求したパッケージデザインのリニューアルを実施しました。また、限定醸造品を発売しました。『アサヒスーパードライ 北海道工場限定醸造』は北海道厚真産米を用いて北海道工場で製造し、北海道限定で発売しました。『アサヒスーパードライ 東北復興応援缶』は岩手県産ホップと宮城県産の「希望の大麦」※2を一部使用し福島工場で製造、岩手県、宮城県、福島県限定で発売しました。『アサヒスーパードライ 福島工場限定醸造』は、福島県産米“天のつぶ”※3を用いて福島工場で製造し、福島県限定で発売しました。中元ギフト限定商品は『アサヒスーパードライ ジャパンスペシャル爽涼(そうりょう)』を発売しました。「ジャパンスペシャル」の特長である国産原料100%のこだわりはそのままに、アルコール度数を5.5%から5%にすることで、爽快に飲みやすい味わいに仕上げました。また、通常よりも発酵度を上げた「高発酵醸造」を採用することで、「ジャパンスペシャル」の上質な飲みごたえに加え、清々しい後味を実現しました。歳暮ギフト限定の特別限定醸造商品は『アサヒスーパードライ ジャパンスペシャル 香り芳醇』を発売しました。国産原料100%のこだわりはそのままに、「ジャパンスペシャル」よりも高い濃度の麦汁で発酵させる「高濃度醸造」で、アルコール度数6%の飲みごたえと贅沢な余韻、芳醇な香りを実現しました。更には、ビール市場における若年層を中心としたターゲットに向けて飲用体験を創出する『アサヒスーパードライ ザ・クール』のリニューアルを行いました。ドイツ産ホップ「ポラリス」を原材料に使用し、当社独自のホップ配合技術を活用することで、苦味や渋みを抑えた冷涼感のある爽快なおいしさを実現しました。アルコール度数は5%から4%へ変更し、発酵度を調整することで、軽快な飲み口とビールらしい飲みごたえを両立しました。

 その他限定商品として、特別限定醸造の生ビール『アサヒ ザ・ゴールド』は、ゴールデン麦芽とチェコザーツ産の最高級ホップを一部使用し発売しました。

 発泡酒市場では、『アサヒスタイルフリー<生>』のクオリティアップを行いました。『アサヒスタイルフリー<生>』は、すっきり爽快な飲みやすさとしっかりとした麦の味わいが特長の“糖質ゼロ※4”の発泡酒です。今回のクオリティアップでは、麦の風味豊かなミュンヘン麦芽を原材料として新たに採用することで、麦の豊かな味わいや“ビールらしい”本格的な飲みごたえを高めました。

 新ジャンル市場では、“プレミアムビールのような上質さ、贅沢感”を目指した『アサヒ ザ・リッチ』を新発売しました。当社新ジャンル商品として最大級※5の原麦汁エキス濃度にすることで、コク深い味わいを実現しました。醸造の仕込み工程では、煮沸に使用する蒸気の注入時間を可能な限り低減させる「微煮沸製法」をアサヒビールで初めて採用し、煮沸開始時と終了時の合計数分程度だけ蒸気を注入しました。蒸気の注入時間を分単位で制御管理することで、十分な殺菌と麦の芳醇な香りの担保を両立しました。

 また、『クリアアサヒ』はクオリティアップを行いました。原材料の配合を見直し、『クリアアサヒ』史上最高の後キレを実現することで“ゴクゴク飲める”味わいを実現しました。季節限定商品は、春限定商品『クリアアサヒ 桜の宴』はアロマホップのモチュエカ、アマリロ、マンダリナババリアを一部使用し、「クリアアサヒ」ならではの“爽快な飲みごたえ”はそのままに、3種のホップ由来の華やかな香りで春らしい味わいに仕上げました。夏限定商品『クリアアサヒ 夏日和』は、冷涼感を感じられる香料を使用することで、冷たくひんやりとした爽快な刺激とキレを実現しました。秋限定商品『クリアアサヒ 秋の宴』は、ローストした麦芽を一部使用し麦の香りを引き出す仕込み技術を採用することで、秋らしい焙煎香としっかりとしたコクのある味わいを実現しました。冬限定商品『クリアアサヒ 冬の旨口』は、原麦汁エキス濃度を高め、発酵度をやや低くすることで、コクのあるまろやかな味わいを実現しました。更に地域限定商品『クリアアサヒ 北海道の恵み』『クリアアサヒ 東北の恵み』を発売しました。 『クリアアサヒ』は2008年の発売以来、「すっきり・爽快・キレ」を求めるお客さまのニーズに応える商品として継続的に品質価値向上に取り組んでおり、今回のクオリティアップを通じて新ジャンルの主力ブランド『クリアアサヒ』の飲用価値向上に取り組みました。

 その他、『アサヒ 極上<キレ味>』はクオリティアップを実施し、中味特長の“冴えるキレ”はそのままに、ホップの使用量を増やし、心地よい苦みによるビールらしい飲みごたえを強化しました。『アサヒ オフ』は、スパイシーでフローラルな香りを特長とするホップの使用量を増やすなど、ホップの配合を見直すことでビールらしい厚みのある味わいや香りを強化しました。糖質やプリン体などに配慮したビール類は、特に健康を気にするビール類飲用者の方々から高い支持を得ています。

 ビールテイスト清涼飲料市場では、『アサヒドライゼロ』のクオリティアップを行いました。「ドライゼロ」の特長である“キレ”はそのままに、麦の香りを感じられる香料を使用することで、よりビールらしい味わいを実現しました。その他限定商品として『アサヒドライゼロ スペシャルパッケージ』『アサヒ ドライゼロサマーショット』を発売しました。

 RTD※6市場では、レモン本来の風味と香りを追求したチューハイの新商品『アサヒ ザ・レモンクラフト 極上レモン』『アサヒ ザ・レモンクラフト グリーンレモン』を発売しました。原材料に5種類のレモン素材※7を贅沢に使用することで、レモンのさわやかでみずみずしい風味と、深みと飲みごたえが調和され、豊かな果実味をお楽しみいただけます。製造工程では、レモンの香りをより際立たせるため、アサヒビールで初めて「レモンオイル滴下技術」を導入しました。バーテンダーがカクテルをつくるときに、レモンの果皮を指先でひねり、そこに含まれるオイル分で香りづけする技法から着想したものです。缶容器一本ずつにオイルを0.01秒の高速で添加する新製法を確立することにより、レモンオイルで香りがあふれるチューハイに仕上げました。さらに、レモンの香りを最大限に味わっていただくよう、容器は口の広いボトル缶を採用しました。キャップと液面の間に含まれるレモン香気成分の濃度を高めたことで、キャップを開けた瞬間に豊かなレモンの香りが広がります。

 また、『樽ハイ倶楽部レモンサワー』『樽ハイ倶楽部大人のサワー』を発売しました。「樽ハイ倶楽部」は、1984年にニッカウヰスキー社と共同開発し、2019年末現在で約13万店の飲食店で取り扱われており、35年以上の歴史がある人気のブランドです。今回発売した『樽ハイ倶楽部レモンサワー』は、レモンとウォッカをバランス良く配合した、アルコール度数8%のレモンサワーです。『樽ハイ倶楽部大人のサワー』は、ほのかな柑橘の風味が感じられるアルコール度数8%のプレーン味のサワーです。そのまま飲んでも、柑橘系のフルーツなどを組み合せても楽しめます。

 『アサヒ贅沢搾り』はリニューアルを実施し、全フレーバーで“本物の果物をまるごとかじったような味わい”を目指し、開けた瞬間からより果実の香りを感じられるよう香り立ちをアップさせました。“果汁量”はそのままに、フレーバーごとに原材料の配合比率を見直し、より本物の果物を食べたときのような味わいを実現しました。追加フレーバーとして『アサヒ贅沢搾りぶどう』を通年発売しました。また、「贅沢搾りプラス」シリーズとして、「贅沢搾り」の“果物をまるごとかじったような味わい”というコンセプトはそのままに、果物以外のものを組み合わせることで、“果物を起点とした新しいお酒の楽しみ方”を提案しました。『アサヒ贅沢搾りプラス 柑橘ミックスヨーグルトテイスト』『アサヒ贅沢搾りプラス ベリーミックスヨーグルトテイスト』を通年商品として発売、限定商品として『アサヒ贅沢搾りプラス期間限定レモンとはちみつ』を発売しました。

 『アサヒもぎたて』は『アサヒもぎたてSTRONG』としてリニューアルし、6フレーバー、計12アイテムを通年商品として発売しました。その他、『ニッカ淡麗辛口ハイボール』『ウィルキンソン・ハイボール』『アサヒチューハイ果実の瞬間』『カルピスサワー』『アサヒカクテルパートナー』などでリニューアル(クオリティアップ)や季節限定商品を発売しました。

 サワーテイスト清涼飲料※8市場においては、機能性表示食品である「アサヒスタイルバランス」の基幹フレーバーとして『アサヒスタイルバランス カシスオレンジテイスト』を発売しました。1缶あたり1000㎎のコラーゲンを配合したサワーテイスト清涼飲料です。「アサヒスタイルバランス」の特長である“アルコール0.00%”“カロリーゼロ※4”“糖類ゼロ※4”はそのままに、カシスとオレンジの風味でしっかりとした甘味と酸味実現しました。その他期間限定商品も発売しました。

 ウイスキー市場では、『竹鶴ピュアモルト』『シングルモルト余市 アップルブランデーウッドフィニッシュ』『シングルモルト宮城峡 アップルブランデーウッドフィニッシュ』『ニッカ セッション』のリニューアル及び数量限定で発売しました。

 焼酎市場では焼酎甲類乙類混和売上No.1ブランド「かのか」から『麦焼酎 かのか 吟麗すっきり仕立て』『麦焼酎 琥珀かのか』の限定商品の発売と、季節限定商品を発売しました。

 ワイン市場では、『サントネージュ 酸化防止剤無添加のやさしいワイン サングリア』を発売しました。また『ニッカ シードル紅玉リンゴ』『ニッカシードル トキりんご』『ニッカ シードルヌーヴォスパークリング2020』を期間限定で発売しました。

 

※1:特別な訓練を積み、官能試験を突破した味覚のスペシャリストです。全国に約80名おり、研究所と全8工場に配置されています。

※2:「希望の大麦」は、(一社)東松島みらいとし機構(HOPE)とアサヒグループの協働プロジェクト「希望の大麦プロジェクト」により誕生しました。本プロジェクトは、宮城県東松島市の被災した土地で栽培した「大麦」を通じて、地域に「なりわい」と「にぎわい」を創出することを目指しています。

※3:“天のつぶ”は、福島県が15年の歳月をかけて開発した品種で、穂が出るときに天に向かってまっすぐ伸びる稲の力強さと、天の恵みを受けて豊かに実る一粒一粒のお米をイメージして命名されました。粒ぞろいが良く、光沢があり、しっかりとした食感が楽しめるお米です。出典:うつくしま、ふくしま米情報センターHP引用。

※4:食品表示基準による。以下同様。

※5:発泡酒をベースとした当社「リキュール(発泡性)①」(限定商品を除く)における原麦汁エキス濃度の比較において。

※6:「Ready to Drink」の略。購入後、そのまま飲用可能な缶チューハイなどを指します。

※7:レモンオイル/グリーンレモンオイル、旬果レモンスピリッツ、凍結レモンピールエキス、瀬戸内産レモンエキス、シチリア産レモン果汁。

※8:ノンアルコールでサワーやカクテルのような味わいを楽しめる清涼飲料の総称です。

 

(技術開発関連)

 中味開発において、『麦焼酎 かのか 25度』が、International Taste Institute(以下、ITI)※1の世界的な食品・飲料品のコンテストにおいて、“極めて優秀”と認められた製品に贈られる、最高レベルの優秀味覚賞“三ツ星”を4年連続で受賞しました。

 容器包装分野では、環境に配慮したパッケージ開発の一環として業界最軽量となる取手付き4リットルPETボトルを開発しました。これまで使用していた容器より1本あたり31.5gのプラスチック樹脂を削減し、約22%の軽量化を実現しました。これによりプラスチック使用量は年間で37.8t、CO排出量は年間で約90t削減できる見込みです。本資材は焼酎ブランド「かのか」で使用します。今回開発したPETボトルは、強度などの製品品質を確保しながら、PETボトル全体のプラスチック使用量を減らすことで軽量化を図りました。

 また、食べられるコップ「もぐカップ」を株式会社丸繁製菓と共同開発しました。「もぐカップ」は国産のじゃがいもでん粉が原料の飲料容器です。高温高圧で原料を焼き固めることにより、耐水性を向上させ、中に入れた液体が漏れにくくなります。容器自体にそれぞれ味付けをし、飲み物や食べ物との組み合わせを楽しめるよう工夫しています。使い捨てプラスチック問題に関心が集まる中、「もぐカップ」を展開することで、“使い捨て容器”から“使い食べ容器”という新しい食のライフスタイルを提案します。

 研究・技術開発分野では、パナソニックの開発した「高濃度セルロースファイバー成形材料」※2を活用した世界初※3のエコカップ「森のタンブラー」(愛称「森タン」)が、令和2年度「循環型社会形成推進功労者環境大臣表彰」を受賞しました。「循環型社会形成推進功労者環境大臣表彰」は、循環型社会の形成の推進に資することを目的として、平成18年度に環境省によって設けられました。この制度は、廃棄物の発生量の抑制(リデュース)、再使用(リユース)、再生利用(リサイクル)の適切な推進に顕著な功績があった個人、企業、団体を表彰し、その功績をたたえるものです。今回「森のタンブラー」は、有機資源を55%以上使用した原材料を活用しているという技術的な先進性と、その新規性が高く評価され、受賞しました。アサヒビールが「循環型社会形成推進功労者環境大臣表彰」を受賞するのは、今回が初めてです。また、株式会社オルタナが主催する「サステナブル・セレクション」において二ツ星を獲得しました。「サステナブル・セレクション」は、エコ・エシカル・グリーン・サーキュラーエコノミーなど、サステナブル(持続可能)な手法で開発された製品・サービス・ブランドを選定して紹介する仕組みです。今回「森のタンブラー」は、地域の余剰産物を活用して、地域オリジナルの「森のタンブラー」を製造する地産地消の取り組みが高く評価され、二ツ星を獲得しました。その他、世界的に権威あるデザイン賞「iFデザインアワード2020」を受賞しました。パナソニックとの共同受賞で、アサヒビールとして「iFデザインアワード」は初の受賞となります。「iFデザインアワード」は、ドイツ・ハノーバーに本拠地をおくインターナショナルフォーラムデザインが主催するデザイン賞で、1953年に設立されました。優れたデザインの証として世界で最も認知されているデザインアワードです。賞は、プロダクト、コミュニケーション、パッケージ、サービスデザイン、建築、インテリア・内装、プロフェッショナルコンセプトの7分野で構成されています。本年は、56か国からエントリーされた7,298件の応募デザインから厳正な審査を経て受賞作品が決定しました。その他、第7回ソーシャルプロダクツ・アワード2020」において「生活者審査員賞」を受賞しました。「森のタンブラー」は、使い捨てプラスチックカップ削減のために“マイカップ”としての使用を提案しているエコカップです。CO排出量増加による気候危機や使い捨てプラスチックによる海洋汚染などの社会課題を解決し持続可能な世界を実現するために、“使い捨て”という消費行動を変革していくことを目的とした取り組みです。今後は生産体制の構築と一般への販売体制を確立し、持続可能な事業を創出していきます。

 

※1:International Taste Instituteは、ベルギーブリュッセルに本部を置き、世界中の食品や飲料品の味覚を審査し、優れた製品を表彰・プロモーションする機構です。審査員はヨーロッパで最も権威ある15の調理師協会および国際ソムリエ協会(ASI)に属する一流シェフやソムリエで構成されています。

※2:パナソニック㈱が独自に開発したナノ~マイクロに微細化されたパルプ成分を55%以上含有する新開発の樹脂です。同社独自の金型・樹脂成形技術により、独特の風合いと強度を実現できます。パナソニックが受託した環境省の委託業務(平成27年度~平成29年度セルロースナノファイバー製品製造工程におけるCO排出削減に関する技術開発)で得られた成果を活用しています。

※3:当社調べ

 

[飲料事業]

(商品開発関連)

 アサヒ飲料㈱は「炭酸カテゴリーの強化と新価値創造商品の投入で、業界のリーディングカンパニーを目指す」との方針のもと、これまでに磨いてきた強みを活かし、「三ツ矢」「ウィルキンソン」などの炭酸カテゴリーの強化と、「カルピス」ブランド等への新価値創造商品の投入によりさらなる成長を目指しております。また、「健康」「環境」「地域共創」といった社会的価値の向上に向けた取り組みを強化し、お客様に「100年のワクワクと笑顔を。」を約束する企業として、業界におけるリーディングカンパニーを目指しております。

 研究開発部門においては、「三ツ矢」、「ウィルキンソン」、「カルピス」、「ワンダ」、「十六茶」、「おいしい水」の6つの重点ブランドについて、ブランド価値向上、および新規領域の強化に取り組んで参りました。

 「三ツ矢」ブランドにおいては、2020年特別限定復刻シリーズとして、「『三ツ矢サイダー』レモラ」、「『三ツ矢サイダー』シルバー」、「『三ツ矢サイダー』ライト」、「『三ツ矢サイダー』クラシック」の4品を開発しました。オリジナルの良さを生かしながら現代風の味にアレンジしたことで「三ツ矢サイダー」の歴史を感じて頂くとともに爽やかなおいしさを体感頂くことでさらなるブランド価値の向上を図りました。また、有糖炭酸飲料に対する「さっぱりしたい」「リフレッシュしたい」といったニーズに応えるため、本格的な果実の味わいや爽やかな酸味を追求した「『三ツ矢』特濃」シリーズとして「『三ツ矢』特濃オレンジスカッシュ」、「『三ツ矢』特濃グレープフルーツスカッシュ」など4品を展開しました。一方で、「三ツ矢」136年の歴史で初のゼリー商品となる、「『三ツ矢サイダー』ゼリー」、暑い夏の健康的な生活のサポートに適した「三ツ矢」史上最高に酸っぱい「『三ツ矢』アセロラ」といった製品も開発し、多様な消費者のニーズに対応して参りました。

 「ウィルキンソン」ブランドにおいては、ブランドロイヤリティの強化と新規ユーザーの拡大を目指し、「『ウィルキンソン タンサン』ピーチ」、「『ウィルキンソン タンサン』マスカット」といった炭酸水市場においては新奇性の高いフレーバー展開を実施しました。また、多様な飲用シーンに合わせてマルチパック商品の展開や環境配慮への取り組みとしてECチャネル向けのレベルレス商品を展開しました。新商品の売上が大きく寄与し、過去最高の売り上げを更新するとともに、炭酸飲料販売一億函を達成する事ができました。

 「カルピス」ブランドでは、希釈して飲用するコンクタイプ、そのまま飲用するストレートタイプ、炭酸タイプにおいて、季節ごとに様々な種類の果実と「カルピス」を組み合わせた新商品を数多く展開しました。また他発酵素材との組み合わせによる新しい味わいが楽しめる「発酵BLEND」シリーズ、ホットで楽しむ「ほっとカルピス」と幅広い味わいを提案しました。

 さらに本年度は乳原料を使用せず豆乳で作った、乳アレルギーを持つ方でも安心して「カルピス」の味わいを楽しむことが出来る、「GREEN CALPIS」を開発・発売し、高い評価を頂きました。

 「ワンダ」ブランドでは、ボトル缶市場への継続的な商品展開と、伸長傾向にある無糖ブラックコーヒー市場に新商品を投入しました。

 ボトル缶市場に向けては、昨年に引き続き「ワンダ 極」シリーズを積極的に展開し、「微糖」、「ブラック」、「カフェオレ」に加えて「老舗珈琲店の甘くないラテ」を発売し、飲用機会の拡大を図りました。

 また、“極限の苦み”と“コク”に爽やかな後味を実現した、新感覚のブラックコーヒー「『X-BITTER』ブラック」を発売。働き方改革の推進に伴う、短時間での“気分の切り替え”ニーズへの提案を進めました。

 「十六茶」ブランドにおいては、「アサヒ 十六茶」が2005年から「カフェインゼロ」として生まれ変わり、2020年で16年目をむかえました。2020年は、東洋健康思想に基づく、複数の素材をブレンドした独自のおいしさと健康価値を改めて感じていただけるように中味・パッケージともに一新しました。主原料の配合と焙煎を見直し、より後味すっきりで飲み飽きない味わいを実現しました。

 また、健康機能価値を付与した「十六茶プラス」シリーズを展開。内臓脂肪、脂肪、糖のトリプルヘルスクレームの機能性表示食品「『アサヒ 十六茶プラス』3つのはたらき」、「ストレスを和らげる」「睡眠の質を高める」効果を持つL-テアニンを配合した機能性表示食品「『アサヒ 十六茶プラス』やすらぎブレンド」を発売しました。その他、「十六茶麦茶」、「十六茶ジャスミン」を展開し、「十六茶」ブランドの飲用機会拡大を図りました。

 「おいしい水」ブランドにおいては、「ラベルレス」ボトルの更なる販売拡大を図ることで、環境負荷低減という新たな価値の提供を進めて参ります。

 また、海外展開の取り組みとして、台湾においては、「カルピス」ブランド、「十六茶」ブランド、「ワンダ」ブランド、「三ツ矢」ブランド、「ウィルキンソン」ブランド、「ほっとレモン」を展開しております。「カルピス」ブランド、「十六茶」ブランド、「ほっとレモン」は現地の嗜好に合わせた現地製造品を展開しております。2020年より、米国のCALPIS BEVERAGE U.S.A., INC.がアサヒ飲料㈱の子会社となり、従来の「CALPICO」ブランドに加え、「十六茶」ブランドもラインナップに加え、展開を開始いたしました。

 また、新規領域の強化については、コロナ禍において、社会として健康意識が高まる中、日本中のみなさまが毎日の「飲みもの」を通じて、ココロもカラダも健康になれる事を目指し、健康課題解決に向けた取り組みを推進しています。

 その中で、アサヒグループ独自の確かなエビデンスを有した素材を使用した製品の開発や、「安全」「安心」といった各ブランドがもつベーシックな「健康」価値の訴求を強化することで、「アサヒ飲料㈱=健康に強みを持つ会社」というイメージの醸成を目指して積極的な取り組みを実施しています。

 “ココロとカラダの健康”に関して、本年も継続して「炭酸水」のもつ健康効果の解明に取り組みました。理化学研究所 水野敬先生との取り組みでは、炭酸水を継続的に飲用することにより抗疲労をはじめ様々な健康効果があることがわかってきました。「炭酸水」の健康効果を明らかにする研究はまだ始まったばかりで今後の研究成果に期待が持たれます。引き続き21年度も力を入れて推進していく予定にしています。

 また、本年は発売30周年を迎える「カルピスウォーター」の飲用により気分にどのような変化が起こったかについて理化学研究所 片岡洋祐先生の技術指導のもと「KOKOROスケール」※1で試験を行いました。「カルピスウォーター」を飲むと「爽やかな気分」や「ココロが満たされる」方向に気分が高まることを科学的に明らかにすることができました。

 これらの結果を活用することで、お客様にとってアサヒ飲料㈱の商品は確かな価値ある商品であることの理解促進と満足度を高めて参ります。

 “カラダの健康”に関しては、「カルピスの乳酸菌科学」シリーズとして、100mlの小型PETボトルの展開を進めて参りました。「L-92乳酸菌」を配合した「守る働く乳酸菌」に加え、機能性表示食品として、「ストレス・睡眠」、「腸内環境改善」領域では「ガセリ菌CP2305株」を機能性関与成分とした「届く強さの乳酸菌W(ダブル)」、「血圧」領域では「ラクトトリペプチド(VPP、IPP)」を機能性関与成分とした「『アミール』やさしい発酵乳仕立て」、「体脂肪」領域では「乳酸菌CP1563株由来10-ヒドロキシオクタデカン酸(10-HOA)」を機能性関与成分とした「ラクトスマート」を展開しております。

 また本年、植物ミルクを使用した「PLANT TIME」シリーズを発売いたしました。豆乳を使用した「SOY MILK TEA」と「SOY LATTE」の2品展開で、ナチュラル志向のお客様に向け提案いたしました。

 今後ともアサヒグループの確かなエビデンスに裏打ちされた機能性素材や素材活用技術を用いて、新たな健康価値の提案を目指し、積極的な研究開発を推進して参ります。

 

※1 KOKOROスケール:個人の主観的な気分を時間・場所を選ばずスマートフォンなどで簡単に入力できる、理化学研究所が開発した気分測定ツール。

 

(技術開発関連)

 製品、工程、ご指摘品解析に必要な安全・安心技術(新規分析技術、解析技術)の拡充と、品質に影響を及ぼす微生物の検出技術、同定技術、静菌技術の研究について継続して取り組んで参りました。これまでの研究成果が認められ、「カルピスの乳酸菌科学」シリーズに活用している当社独自開発技術である「清涼飲料水中に添加した殺菌乳酸菌体の菌株判別手法の開発」に関する研究発表が2020年度日本清涼飲料研究会賞を受賞しました。

 環境配慮型の容器包装開発においては、持続可能な容器包装の実現に向けて制定した「容器包装2030」に基づき、リサイクルPETおよび、原料の一部にバイオマス素材を使用したPETの各種容器へ採用拡大に向けた評価を行いました。また、プラスチック使用量削減に貢献するラベルレス商品の拡大に向け、従来ラベルに印刷されていたリサイクルマークをPETボトル自体に刻印表示するよう設計変更、評価を行い、「ウィルキンソン」、「おいしい水」に展開しました。さらに、カットテープと呼ばれる開封用プラスチックテープを無くしつつ、開封性を維持できる段ボールケースの展開等、ユーザビリティを両立可能な段ボールケースの開発を行いました。

 マーケティング戦略と連動した容器包装開発では、植物性ミルクを使用した「PLANT TIME」専用の新規PETボトル開発において、ターゲットである女性の視点を重視し、女子美術大学と共同で制作に取り組みました。ユーザビリティ向上のため、持ちやすさやカバンにいれやすい形状を追求すると共に、商品コンセプトから想起される“植物素材がからだになじむ”“内側から輝かせてくれる”といったイメージを具現化するデザインを検討しました。また、容量増が求められる商品への対応として、「ドデカミン」PET600mlボトル、ホット販売対応PET480mlボトル等の開発を行いました。

 

[食品事業]

(食品開発関連)

 アサヒグループ食品㈱は「多様化するライフスタイルを見据えた主要ブランドの新価値提案により、新たな需要を創出し、アクティブな生活をサポートする」の方針のもと、主要ブランドを中心に商品ラインアップの強みを生かし、お客様のさらなる満足を追求しています。

 「ミンティア」ブランドは、タブレット菓子としてのおいしさや、食感、パッケージに至るまで全てにこだわった多彩な商品ラインアップの提案を通して年々好調に売上を拡大しています。2020年は、新型コロナウイルス感染拡大防止の取組みに伴い、新しい生活様式が求められている中、「ミンティア」の本質価値である“リフレッシュ”を強みに、オフィス勤務をはじめ、マスク着用時やテレワーク時などにも対応した広告・販促施策を統合的に展開し、これからの時代の新しいリフレッシュシーンを訴求したTV/Web CMを全国でオンエアいたしました。また、フレーバーチップをこれまでより多い18%配合し、片手でも両手でもジッパーをずらして開けられる特殊技術を採用した『ミンティアテイスティ ベリー&ベリー』、ミンティアブランドとして初となる「コーヒー」を用いた『ミンティアコーヒー』、必須アミノ酸「BCAA」を用いた『ミンティア フローズンシトラス』など、タブレットの新たな喫食シーンの創出を図る新価値提案商品の発売にも多数取り組みました。

 「キャンディ」では、国内大手の声優事務所に所属する39名の声優にインタビューを行う事でのど飴の共同開発を実施し、味やパッケージ・ネーミングに至るまで声のプロが納得する、声のプロ公認ののど飴『うるおいボイスのど飴』を発売し、のどの潤いをサポートする商品を提案しました。

 小袋タブレット市場は持ち運びに便利なサイズであることや各社の新商品投入などにより、大きく伸長しています。4粒で1日分のビタミンCとコラーゲン40mgが摂れる栄養機能食品(ビタミンC)のタブレット菓子 『タブレットサプリ1日分のビタミンC』、「濃ーい」ブランドから栄養機能食品(ビオチン)の『濃ーいブルーベリータブレット』、3粒当たりに乳酸菌142億個・ビタミンC600mgを配合した『そなえるカラダタブレット』『そなえるカラダタブレット(小袋)』を発売し、お客様の健康をサポートするとともに、タブレット菓子のユーザー層や喫食機会の拡大を図りました。

 健康食品カテゴリーにおいて、伸長しているプロテイン市場に向け「1本満足バー プロテイン」シリーズからフルーツフレーバー『1本満足バー プロテインストロベリー』を発売しました。また、「クリーム玄米ブラン」では1製品当たりたんぱく質10gを配合した『クリーム玄米ブラン ブルーベリー』『クリーム玄米ブラン カカオ』『クリーム玄米ブラン クリームチーズ』『クリーム玄米ブラン メープル』にリニューアルし、忙しい朝の栄養補給にピッタリの“たんぱく栄養食”として訴求をいたしました。

 カップスープカテゴリーでは、近年著しく伸長している糖質コントロール市場向けに、寒天とコンニャクで作った麺が入った「おどろき麺0(ゼロ)」シリーズを発売しております。2020年はシリーズ展開として、カップに麺と水を入れ約5分待ち、水を切るだけで糖質ゼロの麺ができあがる『汁なし麺0(ゼロ)中華醤油』『汁なし麺0(ゼロ)胡麻だれ』を発売しました。お湯を沸かす必要がなく、水で麺を戻すことで夏に嬉しいヒンヤリとした汁なし麺を作ることができ、小腹満たしの軽食や糖質が気になる方の「手軽に糖質をコントロールしたい」というニーズに応えました。

 「アマノフーズ」ブランドのフリーズドライ食品カテゴリーでは、健康志向の高まりに対応した「健康応援」シリーズ商品として『うちのおみそ汁 しょうがと長ねぎ5食』『うちのおみそ汁 ごぼうとえのき5食』を新たに追加しました。「アマノフーズ」ブランドの主力である「いつものおみそ汁」シリーズの全面リニューアルを行い、同時に新商品『いつものおみそ汁 小松菜』『いつものおみそ汁 里いも』『減塩いつものおみそ汁 ほうれん草』3品を追加し、フリーズドライみそ汁・お吸いもの市場売上No.1メーカー※1として、お客様の更なるフリーズドライの利用機会拡大に取り組んでいます。また「Theうまみ」シリーズをリニューアルし、化学調味料を使用しないこだわりの オリジナルレシピで素材と具材のうまみを楽しむことに注力した即席スープの『Theうまみ 揚げなすの完熟トマトスープ』『Theうまみ ねばねば具材の和風スープ』2品を発売し、お客様の毎日の食卓に健やかで笑顔のある食生活を提案しました。

 「和光堂」ブランドのベビーフードカテゴリーでは、おうち時間が増えたことで、増加した手作りニーズに向けて「1食分の野菜入り そのまま素材」シリーズを新展開しました。野菜やたんぱく素材を月齢に合わせたサイズにカットしているため、加熱するだけで離乳食の下ごしらえの負担を減らすことができる商品となっております。また、手軽に作れる初のおやきシリーズとして『赤ちゃんのやさしいおやきミックス にんじんとほうれん草』『赤ちゃんのやさしいおやきミックス 鶏レバーとかぼちゃ』を展開しました。さらに、ご好評頂いている「はじめてのシリアル」シリーズから『はじめてのシリアル 緑黄色野菜といちごヨーグルト』を発売し、これまでの鉄・カルシウム・食物繊維に加え、シリーズとしては初めての乳酸菌を配合することで、今後の更なる子育てサポートに貢献できる商品となりました。

 シニア向けカテゴリーでは、介護食「バランス献立」からブランド初となる老舗日本料理店「なだ万」と共同開発した「バランス献立 なだ万監修」シリーズを展開しました。なだ万監修の具材や味わいにこだわった『バランス献立 なだ万監修 かに入り茶碗蒸し』『バランス献立 なだ万監修 鯛と野菜の煮こごり』『バランス献立 なだ万監修 なめらか茶碗蒸し』『バランス献立 なだ万監修 鯛だしの煮こごり風』の4品と「バランス献立」初めてのデザート商品となる『バランス献立 なだ万監修 やわらかようかん』『バランス献立 なだ万監修 和風黒糖プリン』『バランス献立 なだ万監修 なめらかかぼちゃプリン』の3品を発売しました。

 サプリメントカテゴリーでは、「ディアナチュラ」ブランドで展開する「ディアナチュラスタイル」から、健康と美容のサポートを目的とした『ディアナチュラスタイル ALL for WOMEN』(20日分)と健康と活力のサポートを目的とした『ディアナチュラスタイル ALL for MEN』(20日分)により、男女にそれぞれ嬉しい成分が手軽に摂れるサプリメントを展開しました。また、「ディアナチュラゴールド」シリーズでは、2015年に開始されて以降年々市場が拡大傾向にある機能性表示食品制度に対応したサプリメント商品を展開し、好調に推移しております。『ディアナチュラゴールド 松樹皮由来ポリフェノール』は、悪玉(LDL)コレステロールが正常域で高めの方の悪玉(LDL)コレステロールを下げる機能が報告されている機能性表示食品となっております。

 スキンケア化粧品カテゴリーでは、「素肌しずく」ブランドより、ブランド初となるクレンジング商品『素肌しずく クレンジングジェル』『素肌しずく クレンジングミルク』の2品の大容量ポンプタイプを展開しました。

 その他、新型コロナウイルスの感染対策・予防として、消毒用品を家庭や外出先で使用する方が増え、手指消毒剤市場が急激に拡大しています。国内製造の指定医薬部外品として、持ち運びにも便利な携帯タイプの『ハンドクリン アサヒ 手指の消毒ジェル』と速乾性で置き型タイプの『ハンドクリン アサヒ 手指の消毒液』を発売し、感染症対策・予防に取り組んでいる方のニーズに対応して参りました。

 通信販売を手掛けるアサヒカルピスウェルネス㈱では、新しい取り組みとして、お客様のより良い腸内環境づくりをサポートし、健やかな毎日をお送りいただきたいとの想いから、腸内フローラのセルフチェックサービス「マイフローラ」を発売しました。また、機能性表示食品サプリメントの拡充も継続し、「CP2305ガゼリ菌」を配合し、精神的ストレス緩和、睡眠の質(眠りの深さ)の向上、腸内環境改善の3つの働きをサポートする商品としてメンタルサポート「ココカラケア」や、ものごとを忘れやすいと感じている健常な中高年の方向けに、酸乳由来の独自成分「ラクトノナデカペプチド」を配合した「すらすらケア」を発売しました。アサヒカルピスウェルネス㈱は2021年にはアサヒグループ食品㈱に統合され、お客様の健康的な暮らしを応援する商品の開発を更に強化していきます。

 

※1 資料出所:インテージSRI:みそ汁、吸物類フリーズドライ市場2018年7月~2020年6月メーカー別累計販売金額

 

[先端研究]

(健康素材)

 アサヒクオリティーアンドイノベーションズ㈱では、アサヒグループの先端研究の拠点として、グローカルな独自価値創造の源泉となることを長期ビジョンに掲げ、研究開発を推進しています。その中で、酵母・乳酸菌をはじめとする微生物活用技術や、これまで培ってきた機能性評価技術を活かして、従来とは異なる健康機能を有する新たな素材の開発を行うとともに、微生物による発酵技術の展開、目的物質を量産的に高生産するための培養制御技術開発に取り組んでいます。具体的な研究成果のひとつとして、従来、日本酒をはじめとする酒類の発酵時に生み出される吟醸香や、果実の完熟香として知られていた香気成分であるカプロン酸エチルに安静状態における脂質代謝を増加させる働きがあることを初めて明らかとし、論文発表、特許出願を行いました。これは従来と異なり、代謝に働きかけることができるという独自性とともに、おいしさと健康の両方に寄与することの出来る素材であります。またアレルギー症状の緩和などについて既に論文発表を行っている、乳酸菌ラクトバチルス・アシドフィルス L-92株について、メカニズムに関する論文発表を行うなど、免疫との関わりについての研究を進めており、コロナ禍においてその研究をさらに加速させています。

 

(開発イノベーション)

 最先端の技術を積極的に取り入れ、非連続な技術革新にも挑戦しています。AI技術の活用もそのひとつです。例えば、AI技術を活用してパッケージングデザインを自動生成する「AIクリエーターシステム」を開発いたしました。従前は属人的であったデザインの世界に革新をもたらし、これまで思いつくことの出来なかったようなデザイン案の作成を容易に行うことを可能といたします。さらにこの技術と連動することの出来る、VRを活用した開発支援システムも開発しました。これらのシステムを組合せて用いることで、次々に作成される斬新なデザインを、実際に作成することなく、バーチャル空間内であたかも実際の店舗内の一商品として再現することが可能となり、様々なパターンを効率よく検証することができるようにいたしました。

 従来から万全を期している食の安全については、これまでの「生ビール製造における微生物品質保証技術の開発」についての研究が認められ、当社研究員が「紫綬褒章」を受章しました。この分野では現在も、食品業界で他社に先駆けて次々世代シーケンサーであるナノポアシーケンサーの導入を果たし、国内・海外のグループ各社の品質保証体制の充実を図っています。

 

(環境価値創出)

 アサヒグループ環境ビジョン2050達成に向けて、様々な取り組みを行っています。アサヒクオリティーアンドイノベーションズ㈱では、CO排出量削減の新たなモデルとして、ビール工場排水由来のバイオメタンガスを利用した燃料電池による発電の実証事業を、アサヒビール茨城工場にて環境省補助事業のもと開始し、メタンガスによる発電に成功しております。本発電システムで得られるエネルギーは完全にカーボンニュートラルなエネルギーとなります。もう一つの環境省補助事業として、日中に再生可能エネルギー(太陽光)を用いた水の電気分解により水素を貯蔵、夜間に水素発電して工場で使用できる蓄電技術を試験稼働し、最適なシステム設計を検討しています。また、敷地内にボイラーの排ガスからCOを回収する試験設備を設置して性能評価を行っており、こちらについても順調に連続稼働を続けております。回収されたCOは大気に放出されず、CO排出量の削減に繋がります。現在、この回収された炭酸ガスのさらなる有用資源化についても検討を開始しています。また、昨今のプラスチック問題を踏まえて、ペットボトルのリサイクル技術やバイオ由来素材の実用化にも取り組んでいます。これらの取り組みを通じ、持続可能な社会の実現と事業収益向上の両立に貢献してまいります。

 

(新規事業)

 グループ事業におけるシナジー効果の獲得、環境価値創出など社会課題の解決、また従来のバリューチェーンを脅かす可能性のある分野を自社のポートフォリオへ加えること、を目的としてベンチャー企業への投資や協業を通じ、オープンイノベーションにも力を入れています。具体的には、コーヒー副産物に含まれる成分が農作物の凍霜害を防止することを見出した知見をもとに、ベンチャー企業と提携し、凍霜害防止剤の事業化を目指し、試験販売を実施しています。この取組みにより、グループ内の飲料工場から排出されるコーヒー副産物を有効活用しながら、安定的な農作物収穫に貢献します。また、外部企業2社との協業により、グループ会社であるニッカウヰスキー㈱のシードルを作成する際に発生するりんご搾り残渣を発酵・蒸留することで、新たにリンゴエタノールの精製に成功いたしました。蒸留後の残渣は家畜の飼料として活用し、廃棄物を出さない循環型プロセスを実現しています。このリンゴエタノールは除菌ウェットシートとして協業先より販売されております。衛生への意識が高まり、除菌関連商品への需要が高まる中、環境へも配慮した商品として発売することが出来ました。今後さらに3社での連携を深め、化粧品や飲料などへのリンゴエタノールの有効活用を検討していきます。その他のグループから出てくる副産物の利活用として、ビール製造工程中の副産物であるビール粕の利活用についても外部企業との協業を軸に検討を進めています。また、食品業界で先駆的に導入していたComputer Aided Engineering(CAE)技術の豊富な経験を活かし、CAEソリューションサービスの試験事業を開始しています。これらの活動を通じて、非連続な成長を遂げるためのイノベーション創出を推進してまいります。