第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中には、中期経営方針等に関する様々な業績予想及び目標数値、並びにその他の将来に関する情報が開示されています。これらの業績予想及び目標数値、並びにその他の将来に関する情報は、将来の事象についての現時点における仮定及び予想、並びにアサヒグループが現在入手可能な情報や一定の前提に基づいているため、今後様々な要因により変化を余儀なくされるものであり、これらの予想や目標の達成及び将来の業績を保証するものではありません。

 

(1)経営の基本方針

 アサヒグループは、純粋持株会社であるアサヒグループホールディングス株式会社のもと、日本、欧州、オセアニア、東南アジアを核として酒類、飲料、食品事業を展開しています。

 グループ理念「Asahi Group Philosophy(AGP)」に基づき、未来のステークホルダーからも信頼されるグループを目指しています。AGPは、Mission、Vision、Values、Principlesで構成され、グループの使命やありたい姿に加え、受け継がれてきた大切にする価値観とステークホルダーに対する行動指針・約束を掲げています。各地域の統括会社及び事業会社が、AGPに基づく戦略を策定、実行していくことにより、グループ全体で企業価値の向上に努めています。

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(2)中長期的な経営戦略

 AGPの実践に向けて、メガトレンドからのバックキャストにより、これまでの中期経営方針を、長期戦略を含む新たな『中長期経営方針』として更新しました。『中長期経営方針』では、長期戦略のコンセプトとして「おいしさと楽しさで“変化するWell-being”に応え、持続可能な社会の実現に貢献する」ことを掲げています。

 目指す事業ポートフォリオを示すとともに、サステナビリティと経営の統合、DX(デジタル・トランスフォーメーション)やR&D(研究開発)といったコア戦略の一層の強化により、持続的な成長と全てのステークホルダーとの共創による企業価値向上を目指していきます。

 

『中長期経営方針』:長期戦略の概要

<長期戦略のコンセプト>

おいしさと楽しさで“変化するWell-being”に応え、持続可能な社会の実現に貢献する

◆目指す事業ポートフォリオ:ビールを中心とした既存事業の成長と新規領域の拡大

・既存地域でのプレミアム化とグローバルブランドによる成長、展開エリアの拡大

・健康志向などを捉えた周辺領域での成長、ケイパビリティを活かした新規事業の創出・育成

 

◆コア戦略:持続的成長を実現するためのコア戦略の推進

・サステナビリティと経営の統合による社会・事業のプラスインパクトの創出、社会課題解決

・DX=BXと捉え、3つの領域(プロセス、組織、ビジネスモデル)でのイノベーションを推進

・R&D(研究開発)機能の強化による既存商品価値の向上・新たな商材や市場の創造

 

◆戦略基盤強化:長期戦略を支える経営基盤の強化

・ケイパビリティの獲得・ありたい企業文化の醸成・経営人材輩出に向けた人的資本の強化

・グループガバナンスの進化による最適な組織体制構築、ベストプラクティスの共有

※ BX: ビジネス・トランスフォーメーションの略。

 

■目指す事業ポートフォリオ

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※ BAC:Beer Adjacent Categoriesの略。低アルコール飲料やノンアルコールビールテイスト飲料、成人向け清涼飲料などビール隣接カテゴリーを指します。

 

(3)目標とする経営指標

<主要指標のガイドライン>

 

2021年実績

2022年以降のガイドライン(3年程度を想定)

事業利益

2,179億円

・CAGR(年平均成長率):一桁台後半※1

EPS(調整後※2

305.17円

・CAGR(年平均成長率):一桁台後半

FCF※3

3,191億円

・年平均2,000億円以上

※1 2021年為替一定ベース

※2 調整後とは、事業ポートフォリオの再構築や減損損失など一時的な特殊要因を除くベース

※3 FCF=営業CF-投資CF ※M&A等の事業再構築を除く

 

<財務方針>

 

2022年以降のガイドライン

成長投資・債務削減

・FCFは債務削減へ優先的に充当し、成長投資への余力を高める

・Net Debt/EBITDAは2024年に3倍程度を目指す

(劣後債の50%はNet Debtから除いて算出)

株主還元

・配当性向35%程度を目途とした安定的な増配

(将来的な配当性向は40%を目指す)

 

(4)対処すべき課題

 中長期的な外部環境としては、テクノロジーの発展が人類に新たな技術力と自由な時間を与え、気候変動・資源不足といった地球規模の課題を抱える中、社会・経済だけではなく人類の幸福(Well-being)のあり方も変化していくものと想定されます。

 そうしたメガトレンドを踏まえて更新した『中長期経営方針』に基づき、各地域統括会社は、既存事業の持続的成長に加えて、その事業基盤を活かした周辺領域や新規事業・サービスを拡大していきます。さらに、サステナビリティと経営の統合などコア戦略の一層の強化により、グループ全体で企業価値の向上に努めていきます。

<地域統括会社の中期重点戦略>

[日本]

① 変化を先読みする商品ポートフォリオ最適化とシナジー創出による日本事業のポテンシャル拡大

② ニーズの多様化に対応したスマートドリンキングなどの推進、高付加価値型サービスの創造

③ カーボンニュートラルなど社会課題の事業による解決、日本全体でのサプライチェーン最適化

[欧州]

① グローバル5ブランドの拡大と強いローカルブランドを軸としたプレミアム戦略の強化

② ノンアルコールビールやクラフトビール、RTDなど高付加価値商品を軸とした成長の加速

③ 再生エネルギーの積極活用や循環可能な容器包装の展開など環境負荷低減施策の推進

[オセアニア]

① 酒類と飲料を融合したマルチビバレッジ戦略の推進、統合シナジーの創出

② BACなど成長領域でのイノベーションの推進、健康・Well-beingカテゴリーの強化

③ 新容器・包装形態などサステナビリティを重視した新価値提案、SCM改革の推進

[東南アジア]

① マレーシアの持続成長と自社ブランドの強化など、域内6億人超の成長市場での基盤拡大

② 植物由来商品など新セグメントの拡大による最適なプレミアムポートフォリオの構築

③ 環境配慮型容器の展開などによる持続可能性の確保や原材料調達での地域社会との共創

 

サステナビリティ

 アサヒグループは、サステナビリティと経営の統合を推進し、社会的課題の解決を通じた事業の成長を目指しています。

 

1 サステナビリティ戦略

 アサヒグループはサステナビリティと経営の統合を実現するため、重点方針の設定や、マテリアリティにおけるテーマの見直しなどを行いました。また、「Cheer the Future」 をアサヒグループの未来への約束として設定しました。事業活動を通じて、かけがえのない未来を元気にしていきます。

 

サステナビリティ・ストーリー

~「Cheer the Future」 に込めた4つのストーリー

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2 重点方針及び重点テーマ

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(1)気候変動への対応

 地球温暖化による異常気象などの気候変動問題は、「自然の恵み」を享受して事業を行うアサヒグループにとって重要な社会的課題です。事業活動における環境負荷“ゼロ”(ニュートラル)を目指し、大切な「自然の恵み」を次世代につなげていきます。

 

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①アサヒカーボンゼロ上方修正

 アサヒカーボンゼロは、2018年にCO2排出量削減の中長期目標として策定され、2050年にScope1,2,3においてCO2排出量を“ゼロ”とし、カーボンニュートラルの実現を目指すもので、2030年の目標値も合わせて設定されています。

 この2030年のScope1,2の目標値について、再生可能エネルギーの積極的な活用や製造工程の見直しによる省エネ、新技術の開発などを進めることによって、2021年に続き2022年1月に再度上方修正を行い、2019年比で70%の削減を目指すこととしました。

 アサヒグループでは使用電力を全て再生可能エネルギーに切り替えることを目指すイニシアチブ「RE100」に参画し、2050年までに使用電力の100%再生可能エネルギー化を目標としています。また、Scope3の目標値については、SBT(Science Based Targets)イニシアチブの2℃認定から2℃を十分に下回る水準(Well Below 2℃)の認定へと引き上げました。

 各地域統括会社において、これらの目標の実現に向けた取組みの計画を策定していくなか、目標値を上方修正することによりさらなる取組みの加速を目指していきます。

豪州カールトン&ユナイテッド・ブルワリーズ社のヤタラ醸造所の屋上には、約7,000枚のソーラーパネルが設置されています。

 豪州とニュージーランドにおいて、2025年までに事業全体に使用する電力を100%再生可能エネルギーにすることを目指しています。

※ 企業のCO2排出量削減目標の科学的根拠を認定する国際的なイニシアチブ。

 

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②「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への取組み深化

 アサヒグループは、気候変動によるリスクと機会に関連する事業インパクトの評価及び対応策の立案が、持続可能な社会の実現及び事業の持続可能性に不可欠であると認識し、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明しています。

 2019年にビール事業のシナリオ分析を開始し、2020年にはビールを含む全酒類事業及び飲料事業に対象を拡大しました。

 

・事業インパクト評価と対応策

 シナリオ分析の結果、主要農産物原料の収量減によるコスト増や炭素税導入による生産コスト増、炭素税導入による価格転嫁された際のPETボトルコスト増のリスクによる影響額を可視化しました。

 シナリオ分析で可視化されたリスクに対する対応策として、それぞれのリスク軽減に効果的であると考えられる、サプライヤーとの協働や農業支援、自社技術の活用などを検討しています。

 

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・気候変動への対応に向けた地域農業支援 : 「FOR HOPS」

 チェコの酒類子会社のプルゼニュスキー プラズドロイ社は、マイクロソフト社、アグリテクチャー社などと協力し、最先端の技術を駆使してホップ農家を支援するプロジェクト「FOR HOPS」を、2021年に開始しました。

 チェコのザーツ産ホップは、極寒や猛暑に加え、干ばつによって引き起こされる水不足や短期間の集中豪雨により、収穫量や品質に深刻なダメージを受けています。

 本プロジェクトでは、ホップ畑の土壌やホップの苗にセンサーを取りつけ、降水量・湿度・土壌中の栄養素といったデータを収集します。マイクロソフト社とアグリテクチャー社は、これらのデータを処理・評価する独自のソフトウェアを開発し、ホップの状況を正確に把握できるようにしました。限られた水をホップ生産に最大限活用できるよう、効率的なかんがいの仕組みを確立することを目指しています。

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(2)プラスチック問題への対応

 不適切に廃棄されたプラスチック製の容器包装による、海洋汚染や生態系への影響が喫緊の社会的課題となっています。アサヒグループは、海洋プラスチック問題などに対応するとともに、環境・社会に配慮した容器包装を推進しています。

 

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①PETボトルの環境配慮素材活用に関する目標を設定

 アサヒグループは、グループ目標「3R+Innovation」において、2022年1月に、「2030年までにPETボトルを100%環境配慮素材に切り替える」という新たな目標を策定しました。

 

②具体的な取組み

 国内では、アサヒ飲料株式会社が一部の大型PETボトルに、ケミカルリサイクルにより再生された樹脂を100%使用し、2022年4月から生産開始することを予定しています。これにより大型PETボトルの年間生産量の約40%に再生PET樹脂を使用することとなり、ボトルに使用するCO2排出量は従来比で約47%削減され、年間で約18,400tのCO2が削減される見込みです。

 海外においては、豪州のアサヒビバレッジズ社が異業種と協業しリサイクルPETボトル原料製造工場を建設。使用済みPETボトルを加工し、食品容器に適したグレードのリサイクルPET原料の製造が可能となります。

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(3)人と人のつながりの創出による持続可能なコミュニティの実現

 経済が発展する一方で、世界各地で都市集中化や過疎化などの人口の偏りが発生し、共通の価値観を持った「つながり」が希薄化している中、アサヒグループは、人と人、人と地域のつながりをつくる取組みを各地で展開しています。

 

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①廃棄コーヒー豆や“パン耳”からつくるクラフトビール

 アサヒグループは、サステナブルファッションブランド「ECOALF」とコラボレーションし、次世代に向けたサステナブルなライフスタイルを提案する「UPCYCLE B」プロジェクトを、2021年から開始しました。

 廃棄コーヒー豆や余剰食材“パン耳”のアップサイクルをテーマに、台東区、墨田区の事業者と連携してクラフトビール「蔵前BLACK」「蔵前WHITE」を製造し、数量限定で発売しました。廃棄物の削減・有効活用を推進するとともに、地域経済の活性化を促進します。

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※ アップサイクルとは、本来であれば捨てられてしまう不用品や廃棄物に付加価値を持たせて、より良く生まれ変わらせる方法論のこと。そのままの素材を活かすことができるため、環境への負荷を軽減することができます。

 

②ビール酵母で育てる畑のお米チャレンジプロジェクト

 アサヒバイオサイクル株式会社は、北海道・網走の福田農場と、「ビール酵母で育てる畑のお米チャレンジプロジェクト」に取り組みました。

 ビール製造工程で発生する副産物「ビール酵母細胞壁」由来の農業資材(肥料原料)は、稲の免疫力を高め根の成長を促進することから、根張りが向上し、発生した細かな根から植物の成長に必要な土壌中の栄養分を吸収するのを促進します。2021年は、農場の畑約3a(約100坪)において、米の栽培に成功しました。

 地元の子供たちとともに種まきや稲刈りなどを実施し、地域コミュニティや農業の活性化を目指す取組みで、将来的には、小学校の給食で地元生産の米を提供することを目標に、地元関係者の参画を拡げ、陸稲栽培の規模の拡大を目指していきます。

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親子での種まき風景

 

③“稲作の天敵”ジャンボタニシによる稲の食害が低減

 アサヒバイオサイクル株式会社は、JAぎふ(所在 岐阜県岐阜市)と共同で、水稲栽培に「ビール酵母細胞壁」由来の農業資材(肥料原料)を使用することで、ジャンボタニシによる稲の食害を低減できるかを確認する評価試験を行いました。

 ジャンボタニシは水田作物を食害することで知られている外来種の貝の一種です。農業資材を使用しなかった、隣接する水田の約2割の稲が食害被害があったのに対し、使用した水田では食害された稲はほとんど見られませんでした。

 この農業資材は植物の免疫力を高め根の成長を促進することから、根張りが向上し、発生した細かな根から植物の成長に必要な土壌中の鉄分を多く吸収することができます。ジャンボタニシは鉄に対する耐性が弱いことが知られており、鉄分を多く含んだ稲を食べなかったと考えられます。

※ 正式名スクミリンゴガイ。

[未使用]

 

[使用後]

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農業資材を使用せず約2割のジャンボタニシに食害された水田

 

農業資材を使用し食害被害が抑えられた水田

 

 

(4)新たな飲用機会の創出によるアルコール関連問題の解決

 アサヒグループは、様々な理由でお酒を飲めない方や適度な飲酒を求める人のニーズ、及びアルコールが引き起こす社会的課題解決のため、ノンアルコールや低アルコール商品の拡充や情報発信を強化しています。

 

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①スマートドリンキング

 アサヒビール株式会社は、2020年12月から、お酒を飲む人も飲まない人もお互いが尊重し合える社会の実現を目指す「スマートドリンキング」を推進しています。

 2021年3月から主な商品に含まれる純アルコール量(g)をホームページ上で開示し、2023年には全ての缶容器の商品での表記の完了を目指しています。

 また、2025年までに、アルコール分3.5%以下のアルコール及びノンアルコール商品の販売容量構成比を20%へ拡大していきます。

 さらに、健康にお酒を楽しむための動画コンテンツを2021年5月からアサヒビールのホームページで公開しています。「お酒に強い、弱いって何?」「適正なお酒の量ってどれくらい?」「飲酒運転のことちゃんと知ってますか?」  「絶対飲酒してはダメな人、絶対やっちゃいけない飲み方」「いいお酒の飲み方とは?」の全5話で適正飲酒について分かりやすく説明しています。

 

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 飲食店従事者向けには、動画コンテンツ「運転や20歳未満飲酒を防ぐために」を2021年7月に作成しました。この動画では、飲酒運転と未成年飲酒防止のための接客対応について、分かりやすく解説しています。

※ アサヒビール株式会社のビール類、RTD、ノンアルコール商品の販売容量合計比

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WEB  アサヒビールと学ぶお酒のこと「大切な人と、素敵なときを、適切な飲酒で」

https://www.asahigroup-holdings.com/pressroom/2021/1105_2.html

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当年度末現在においてアサヒグループが判断したものであります。

 

1.アサヒグループのリスクマネジメント体制

 アサヒグループは、グループ全体を対象に、エンタープライズリスクマネジメント(ERM)を導入しています。この取組みの中で、「Asahi Group Philosophy」の具現化、並びに「中長期経営方針」の戦略遂行及び目標達成を阻害しうる重大リスクを、戦略、オペレーション、財務、コンプライアンス等全ての領域から特定及び評価し、対応計画を策定、その実行及びモニタリングを継続的に実施することで、効果的かつ効率的にアサヒグループのリスク総量をコントロールします。

 ERMを推進するにあたり、代表取締役社長をはじめとする業務執行取締役及び代表取締役社長が指名する執行役員で構成される、リスクマネジメント委員会を設置しています。ERMはグループ全体を対象とし、リスクマネジメント委員会の委員長である代表取締役社長が実行責任を負います。

 

 アサヒグループ各社は、事業単位毎にERMを実施し、リスクマネジメント委員会に取組内容を報告します。同委員会はそれらをモニタリングするとともに、委員自らがグループ全体の重大リスクを特定、評価、対応計画を策定、その実行及びモニタリングを実施します。これらの取組みは取締役会に報告され、取締役会はこれらをモニタリングすることで、ERMの実効性を確認します。

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2.アサヒグループ リスクアペタイト

 アサヒグループは、ERMを推進するとともに、「中長期経営方針」の目標達成のために、「とるべきリスク」と「回避すべきリスク」を明確化する、「アサヒグループ リスクアペタイト」を制定しました。

 「アサヒグループ リスクアペタイト」は、アサヒグループのリスクマネジメントに関する「方針」です。ERMの運用指針及び意思決定の際のリスクテイクの指針となるものであり、リスクに対する基本姿勢を示す「リスクアペタイト ステートメント」と、実務的な活用を想定した、事業遂行に大きく影響する主要なリスク領域に対する姿勢(アペタイト)を示す「領域別リスクアペタイト」で構成されます。グループ戦略、リスク文化とリスク状況、及びステークホルダーの期待をもとに検討し、取締役会にて決定、グループ全体に適用され、実施状況はリスクマネジメント委員会でモニタリング、取締役会へ報告されます。本取組みを通じて、アサヒグループ全体で適切なリスクテイクを促進してまいります。

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3.主要リスク

 当社グループでは、「1.アサヒグループのリスクマネジメント体制」に記載の通り、当社代表取締役社長をはじめとする業務執行取締役及び執行役員で構成されるリスクマネジメント委員会で、中長期経営方針の事業遂行及び目標達成を阻害しうる特に重大なリスクを特定及び評価し、以下の(2)から(16)までの事項をかかるリスクとして認識しております。

 加えて、それ以外に考えられる当社グループの事業等のリスクについても、(17)にまとめて記載しております。但し、以下に記載したリスクは当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。かかるリスク要因のいずれによっても、投資者の判断に影響を及ぼす可能性があります。

 また、前述の、当社グループリスクマネジメントの取組みの中で、以下に記載する各リスクに対する対応策を含む種々の対応策をとりますが、それらの対策が有効に機能しない等によりリスクが解消できず、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(1)中長期経営方針について

 当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指して、2019年に「Asahi Group Philosophy(AGP)」を制定し、本年、それに基づいて、また、その後のグループ内外の環境変化も踏まえて中長期経営方針を更新しました。「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通り、本方針では、3年程度を想定した主要指標のガイドラインや、財務・キャッシュ・フロー方針を示しておりますが、これらのガイドライン・方針は、策定時に当社グループが入手可能な情報や適切と考えられる一定の前提に基づき、将来の事象に関する仮定及び予想に依拠して策定されたものです。そのため、本「2 事業等のリスク」に記載の各リスク等を含む様々な要因により変更を余儀なくされるものであり、当社グループの事業や業績が中期経営方針内の同ガイドライン・方針等を達成できない可能性があります。

 

(2)事業環境について

 当社グループの売上収益において国内事業の占める割合は約54.5%(2021年12月期決算)となっております。今後の日本国内での景気の動向によって、酒類・飲料・食品の消費量に大きな影響を与える可能性があり、人口の減少、少子高齢化が進んでいくと、酒類・飲料・食品の消費量が減少する可能性があります。また、これまでのデフレ環境が想定以上に継続することにより国内での競争環境がさらに激化する結果、販売単価の下落を招き、当社グループ事業の収益性が想定より損なわれる可能性があります。

 国内事業の売上収益のうち、ビール類は4割を超えます。このような状況は、当社グループのビール類商品に対するお客様の信頼を反映したものであり、当社グループ国内酒類事業での効率的な利益創出に寄与しておりますが、消費者の嗜好性の変化、世代交代等により、お客様の支持を失ってしまうと、本商品群の売上が低下し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループは海外での事業領域を拡大しており、2021年12月期決算での売上収益における海外事業の占める割合は、約45.5%となっております。今後、欧州、豪州地域を中心とする当社グループが事業を展開する各国における景気の悪化、当該各国での競争環境の激化、消費者の嗜好の変化等、市場の需要動向が変化すること等により、当該地域における当社グループの売上収益の低下、利益率の悪化が生じる可能性があります。

 当社グループは、中長期経営方針に『ビールを中心とした既存事業の成長と新規領域の拡大』を掲げ、グローバル5ブランド『アサヒスーパードライ』、『Peroni Nastro Azzurro』、『Pilsner Urquell』、『Grolsch』、『Kozel』をはじめとした高付加価値ブランドの価値向上や新市場の創造を目指すとともに、今後の環境変化も見据えた収益構造改革を加速することで、本リスクが顕在化した場合の業績及び財政状態への影響の低減を図っていきます。また、ビール類以外にも酒類全般における商品のラインアップを充実させることで売上収益を増加させるとともに、飲料、食品事業において、消費者の健康志向の高まり及び高齢化社会に対応する領域へ挑戦することで、事業拡大を図っていきます。

 

(3)新型コロナウイルス感染拡大の影響

 2020年に世界中へ拡大した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対して、当社グループでは、顧客、取引先及び社員の安全第一を考え、また更なる感染拡大を防ぐために、WHO並びに各国保健行政の指針に従った感染防止策の徹底をはじめとして、感染リスクが高い国や地域への、及びそれらの国や地域からの渡航の原則禁止、各国と地域の感染状況に合わせて、工場見学や販売促進企画等の多くのお客様にお集まりいただくイベントの休止や制限、テレワーク(在宅勤務)の原則化等、対応を実施しております。主要原材料の十分量確保、業務用商品の需要低迷を家庭用商品で補完する等により、事業影響の低減を図っておりますが、2021年12月期決算においては、世界各国における外食産業の低迷や外出制限による経済停滞のマイナス影響等、当社グループの業績への影響が生じております。多くの国や地域でワクチン接種が進み、治療薬の承認も始まるといった進展が見られる一方で、同ウイルスの変異種の断続的感染拡大が続き、今なお予断を許さない状況です。世界全体では2022年内にも事態が鎮静化するとの見方もあるものの、当社グループが事業展開する個々の地域において沈静化が遅れた場合、また更なる変異種の感染拡大或いは事態の長期化並びにそれに伴うロックダウンや緊急事態宣言が新たに生じた場合には、業務用ビールを中心とした売上低迷の長期化、利益率が比較的低い新ジャンルやRTDの売上高構成比の上昇による収益性の悪化等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、新型コロナウイルス感染拡大によって、消費者が、経済の先行き不透明感に伴い節約志向が強まる一方で、健康志向及び環境への意識が高まるとともに、信頼性・安全性の高いブランドをより重視するようになりました。また、オンラインチャネル(EC等)の利用がスタンダード化し、デジタルデバイス及びサービスの活用が拡大しています。このような消費者、市場、社会等の変化には不可逆的なものもあり、当社グループの従来の戦略及び事業の競争力が失われ、当社グループの中長期的業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、新型コロナウイルス感染拡大による環境変化の加速に加えて今後のテクノロジーの発展が、人類に新たな技術力と自由な時間を与え、気候変動・資源不足といった地球規模の課題を抱える中、社会・経済だけではなく人類の幸福(Well-being)のあり方も変化していくものと想定しています。そうしたメガトレンドを踏まえて中長期経営方針を見直し、「おいしさと楽しさで“変化するWell-being”に応え、持続可能な社会の実現に貢献する」との方針をより強く打ち出しました。本方針のもと、変化しつつあるWell-beingへの迅速な対応、市場環境の変化を先取りした事業戦略の立案と展開、ならびに新たなオペレーティングモデルの構築を通じて、当社グループの戦略及び事業の競争力を強化してまいります。

 

(4)事業拡大について

 当社グループは、Schweppes Australia社の買収(2009年、買収額1,185百万豪ドル(適時開示の際に公表した金額、以下同じ))、カルピス社の買収(2012年、買収額920億円)、旧SAB Miller社の西欧ビール事業の取得(2016年、買収額2,550百万ユーロ)、中東欧ビール事業の取得(2017年、買収額7,300百万ユーロ)及びCUB事業の買収(2020年、買収額160億豪ドル)をはじめとして、国内外での事業領域拡大のため、積極的に外部の経営資源を獲得してきました。2020年6月には、CUB事業を取得する手続きを完了することで、日本、欧州に加え、豪州地域での事業を盤石にし、日、欧、豪の3極を核としたグローバルプラットフォームを構築、成長基盤の拡大を実現しました。当面は財務基盤の強化を優先し大型の買収を積極的に行う予定はありませんが、今後も、成長のために、外部の経営資源を活用していきます。

 外部の経営資源獲得にあたっては、慎重に検討を行い、一定の社内基準をもとに、将来の当社グループの業績に貢献すると判断した場合のみ実行します。しかしながら、営業、人員、技術及び組織の統合ができずコスト削減等の期待したシナジー効果が創出できなかった場合、アルコールや砂糖の摂取に対する社会の価値観の変化や人口動態の変化等により、買収した事業における製品に対する継続的な需要を維持できない場合、買収した事業における優秀な人材を保持し又は従業員の士気を維持することができない場合、高付加価値ブランドの育成不振等、効果的なブランド及び製品ポートフォリオを構築することができない場合、並びに異なる製品ラインにおける販売及び市場戦略の連携(クロスセルの拡大)ができない場合等により、当社グループの期待する成果が得られない可能性があります。

 当社グループは、買収に伴い、相当額ののれん及び無形資産を連結財政状態計算書に計上しており、2021年12月末現在、のれん及び無形資産の金額はそれぞれ、連結総資産の40.0%(18,168億円)及び22.1%(10,027億円)を占めております。

 当社グループは、当該のれん及び無形資産につきまして、それぞれの事業価値及び将来の収益力を適切に反映したものと考えておりますが、事業環境や競合状況の変化等により期待する成果が将来にわたって大きく損なわれると判断された場合、又はカントリーリスクの顕在化による金利高騰や市場縮小等により適用される割引率や長期成長率が大きく変動した場合等は、減損損失が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 当社グループは、AGP及び中長期経営方針に基づいた価値創造経営により、事業の持続的成長と中長期的な企業価値向上を目指しており、『ビールを中心とした既存事業の成長と新規領域の拡大』、や『持続的成長を実現するためのコア戦略の推進』とともに、『長期戦略を支える経営基盤の強化』の一環としてグループガバナンスの更なる実効性向上に向けた取り組みを実施することで、グループ戦略の実行と期待成果をより確実なものとします。

 

(5)気候変動に関わるリスク

 国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)においてパリ協定が採択、各国で批准されたのを機に、気候変動や地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの削減を目的とした取組みが世界的に進められています。

 当社グループは、将来的な気候変動が、その業績及び財政状態に重大な影響を与える可能性がある物理リスクとして、以下の通り認識しています。海外の生産拠点における干ばつが深刻化し、水需給が逼迫、水価格の高騰による操業コストが上昇する可能性があります。気温上昇(生育環境や労働環境の変化)・天候・自然災害・CO2濃度等が需給バランスや品質に影響し、主要な原材料価格が変動する可能性があります。更に、必要な水資源が確保できない場合、操業停止による機会損失と工場移転費用が発生する可能性があります。異常気象の激甚化により、深刻な風水害及び土砂災害が発生することで生産ラインや物流が停止し、設備被害や機会損失、製品廃棄による損失が発生する可能性があります。

 また、将来的な気候変動を見据えた脱炭素社会への移行リスクを以下の通り認識しています。炭素税が導入され、特にPETボトル等の製品原材料への価格転嫁や生産拠点の操業コストが上昇する可能性があります。水ストレスの高い地域の生産拠点において取水制限を受けて操業が停止、機会損失が発生する可能性があります。エシカル志向の高まりにより、環境配慮が不十分な製品があった場合、その需要が低下し、当社グループの売上に影響を与える可能性があります。

 当社グループは、「アサヒグループ環境ビジョン2050」の中で、2050年のCO2排出量ゼロを目指す中長期目標「アサヒカーボンゼロ」の達成に向けて取組みを加速させるために、2030年のScope1,2の目標値を従来の50%削減(2019年比)から70%削減(2019年比)に上方修正し、更なる省エネルギーと再生可能エネルギーの活用に取り組んでいきます。2020年12月に同目標値を30%削減(2015年比)から50%削減(2019年比)に上方修正したことに続き、二度目の上方修正となります。Scope3においては、2030年までに2019年比30%削減を目指して取り組んでまいります。また、グループ全体で水使用量削減に向けた取組みを進めて、水リスクに対応していきます。

 将来的な気候変動リスクに関連する経営のレジリエンスと持続性を高めるために、2019年5月、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」の提言に賛同しました。2019年にビール事業、2020年にはビールを含む全酒類事業及び飲料事業に対象を拡大してシナリオ分析を実施し、統合報告書やホームページ等において情報開示を行いました。2021年は、更に食品事業を含む主要事業へ分析の対象を拡大し、より包括的に気候変動が当社グループ事業に及ぼすリスクと機会の分析と対応の検討を行い、5月発行の統合報告書、Webなどで開示する予定です。2022年は、TCFD提言に基づく分析を更に深化させ、取組みを強化してまいります。

※ Scope1は、自社(工場・オフィス・車など)での燃料の使用によるCO2の直接排出、Scope2は、自社が購入した電気・熱・蒸気の使用によるCO2の間接排出、Scope3は、自社のバリューチェーンからのCO2の排出を指します。

 

(6)主要原材料の調達リスク

 当社グループが国内外で事業を展開する酒類・飲料・食品の製造に関して、市況の悪化による原材料価格の高騰、サプライヤーの倒産や買収、競合による買い占め等により原材料が調達不能となる可能性があります。また、大規模な自然災害や新型コロナウイルス感染症の拡大等により、サプライヤーでの原材料の製造制限や物流遅延等により、原材料の調達が困難・遅延となる可能性があります。また、環境配慮対応への社会からの要求の高まりによるコスト影響も増加傾向にあります。これにより、原料高騰による製造コストの上昇、必要量の原材料が調達できず生産数量が減少、原材料供給の停止や遅延により製品の製造が困難等の事象が発生し、グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、市況と連動する原材料については、固定価格や複数年契約に加え、金融商品を活用し相場状況に応じて安定価格で調達することにより価格高騰リスクを回避しています。また、複数購買化による競争環境構築での価格高騰の抑制及び調達リスクの分散、代替原料の検討による調達リスクの回避及びコスト抑制に取り組んでいます。また、原材料の確保については、安全在庫確保の観点で、必要性に応じて数ヶ月分の在庫を保持することによる原材料の調達困難時での対応時間の確保、在庫保管場所の複数拠点への振り分けにより、地理的な供給リスクの分散にも取り組んでいます。

 

(7)技術革新による新たなビジネスモデルの出現

 当社グループが国内外で事業を展開する、酒類・飲料・食品業界は、その製造販売に関して、技術革新による競争環境の変化が比較的少ない安定した業界でしたが、最近では、低アルコール飲料、ノンアルコールビールテイスト飲料、成人向け清涼飲料などのビール隣接カテゴリー(BAC:Beer Adjacent Categories)による新たな飲用シーンの提案ができるようになり、最新デジタル技術を活用して“変化するWell-Being”に応えることで新たな価値の提供、AI活用によるサプライチェーンの効率化、あるいはアルコール代替品等、技術革新による新たなビジネスモデルの可能性も示されております。更に、2020年以降世界中へ拡大した新型コロナウイルス感染症の影響により、テレワークの急激な普及や、EC等のオンラインチャネル利用の加速等、それまで将来的に発生すると想定されていた変化が前倒しで出現しています。

 こうした環境変化や新たなビジネスモデルの出現により、当社グループ事業がコスト構造や顧客体験で劣後し、業界での主導権喪失や競争力の低下につながり、売上収益、事業利益の低下等、当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。その一方で、当社グループがこのようなイノベーションを先導することによって、市場優位性獲得や、新規市場創出につなげることが期待できます。

 当社グループは、このような状況に対して、単なるリスク対応に留まることなく技術革新を先取りすることを目指して、中長期経営方針において「DX=BXと捉え、3つの領域(プロセス、組織、ビジネスモデル)でのイノベーションを推進」及び「R&D(研究開発)機能の強化による既存商品価値の向上・新たな商材や市場の創造」を掲げ、領域を特定した戦略的DX及びR&D投資を推進していきます。DX領域においては、デジタルネイティブ組織を整備するとともに、データプラットフォームの構築やデータマネジメントの高度化、個々人のWell-being欲求への対応や社会的責任に応える情報開示やサービス提供に対して投資を推進します。また、R&Dにおいては、変化する価値観に対応した新たな価値創造、消費者の身体と心の健康の実現、サステナビリティ実現に向けた環境・気候変動リスクの軽減、及び新規事業に繋がる非凡なシーズの開発を重点領域と位置づけ、投資を推進します。

※ DX=BX:デジタル・トランスフォーメーション = ビジネス・トランスフォーメーション

 

(8)情報セキュリティ

 当社グループは、高い市場競争力を確保するため、事業活動の多くをITシステムに依存しており、停電、災害、ソフトウェアや機器の欠陥、あるいはサイバー攻撃によって、事業活動の混乱、機密情報の喪失、個人情報の漏洩、詐欺被害、EU一般データ保護規則(GDPR)等の各国法令違反が発生する可能性があります。

 このようなリスクが顕在化した場合、事業の中断、損害賠償請求やセキュリティ対策費用の増加等によるキャッシュアウト、GDPR違反による制裁金等により、当社グループの業績及び財政状態、並びに企業ブランド価値に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、2016年8月にASAHI-CSIRTを設置し、ITシステム上でサイバーセキュリティインシデントが起きていないかどうか監視すると共に、万が一インシデントが発生した場合には、その適切な対応を行うことは勿論のこと、原因解析や影響範囲の調査を行い、再発防止並びに防御の最適化を図る体制を敷いています。そのうえで、ソフトウェアや機器でのセキュリティ対策、及び社員教育や訓練を実施し、本件リスクが顕在化しないように取り組んでいます。新型コロナウイルス感染症拡大によってテレワークが普及・定着しつつありますが、このような環境においてもASAHI-CSIRTが有効に機能し、インシデント防止に役立っています。また、海外においても、地域毎にセキュリティ対策を維持、及び向上させるための取組みを実施し、定期的にその取組みをモニタリングしています。

 

(9)アルコール摂取に対する社会の価値観

 アルコールの摂取は、人々の生活を豊かにしてきた一方で、その不適切な摂取は、健康面あるいは社会的悪影響が指摘されています。WHOにおいては、世界的な規模での酒類販売に関する規制が検討されており、当社グループの予想を上回る規制強化が行われる可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症の拡大により、世界的に健康志向が更に高まっていることもあり、アルコールに対する消費者需要が縮小する可能性もあります。これらの要因により、規制に対応するための費用支出による利益圧迫や、酒類の消費が減少することによる売上収益の縮小、さらにはアルコールを製造・販売する当社グループのレピュテーション及びブランド価値を毀損する等し、その結果、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、アルコール飲料を製造・販売する企業として、企業の社会的責任を果たすため、WHOの目指すアルコールの有害な使用の低減による健康被害の予防について、酒類事業を行う各地の関連法令遵守のほか、IARDをはじめとする業界団体や業界と協力、連携して、販売や広告に関する自主基準を設け、責任あるマーケティングに取り組んでいます。2020年1月28日には、IARDに加盟する企業のCEOによる、未成年飲酒防止に向けた取組みを推進する共同声明を公表しました。その後もIARDとして、2021年1月にeコマースのプラットフォームなどと共にeコマースにおける世界基準の策定と実践、9月にはインフルエンサーマーケティングの世界基準を新たに策定し広告代理店やPR代理店などと共に取り組むことを宣言するなど、適正飲酒の啓発活動を積極的に推進し、不適切な飲酒の撲滅に取り組んでいます。また、当社グループとして責任ある飲酒の取り組み促進のために、グループスローガン「Responsible Drinking Ambassador」を打ち出し、現在取り組んでいる不適切な飲酒撲滅活動を強化すると同時に、社員に対する責任ある飲酒の研修の取り組みを拡大する等活動を加速させています。更に、新しい飲用機会の創出に取り組みとして、2025年迄にアサヒグループにおけるノンアルコール・低アルコールの販売構成比を15%にする目標を掲げ、アルコール起因の課題解決にも取り組んでいます。2020年12月、アサヒビールは「スマートドリンキング宣言」を発表し、商品毎の純アルコール量の積極的な開示を開始。多様な飲み方に対応すべく、様々な度数の低アルコール飲料による飲み方提案や、ノンアルコール飲料の強化などを進めています。

※IARD=International Alliance for Responsible Drinking(責任ある飲酒国際連盟)の略称。不適切な飲酒の撲滅と、責任ある飲酒を促進するという共通の目的のもとに、世界のビール、ワイン、スピリッツの製造業者である大手企業12社の加盟企業で構成される非営利団体。

 

(10)大規模自然災害

 大規模な地震、津波、台風、洪水等の自然災害に関連するリスクは年々高まっており、近年国内外問わず、世界各地で大規模災害が現実のものとなっています。今後も、中長期的に継続するとともに規模の拡大が懸念されております。このような大規模な自然災害の発生により、従業員の被害、工場損壊、設備故障及びユーティリティー(電気、ガス、水)遮断により製造が停止、倉庫損壊及び保管製品破損により出荷が停止、並びに物流機能停止により原材料資材の調達及び製品の出荷が不能になる可能性があります。更に、事務所施設の損壊、交通機関マヒによる従業員の通勤不能、及びシステム障害に伴う重要データの消失等もあわせて、事業活動が停止する可能性があります。事業活動の復旧に長期を要した場合、施設等の改修に多額の費用が発生した場合、消費マインドが落ち込んだ場合等、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 当社グループは、大規模災害が発生した際に、いち早く従業員及びその家族の安否を確認する仕組みを導入するとともに、大規模地震を含め災害リスクが高い日本においては、早急に被災地の被害状況を把握するため、衛星携帯電話の配備をはじめとした緊急時通信体制の強化を進めています。そのうえで、定期的な訓練を実施することで、有事の対応力を強化するとともに、災害対応意識の啓発に努めています。

 また、生産工場では、建物倒壊対策のため、全建物対象に耐震診断を実施しました。対策が必要な物件については、順次計画的に補強工事を実施しています。ボイラー、冷凍機等の大型エネルギー供給設備には大地震(震度5弱相当)を検知すると、安全に自動停止する機能が付属し、大型ビール工場では電力供給が遮断した場合でも、自家発電によりタンクを冷却させることで、半製品の大量腐敗を防止する等2次災害のリスク低減対策を進めています。

 また、主要グループ会社において、過去の防災対策の実績及び自然災害の経験を踏まえた「事業継続計画(BCP)」の策定を行い、主要商品の供給を継続するための需給調整機能を早急に復旧する体制を構築するとともに、受発注処理等に関する重要なデータを処理するサーバーセンターのバックアップセンターを設置する等、大規模な自然災害が起こった場合であっても被災地以外での事業活動に支障が無いように備えています。

 なお、大規模な災害等が発生した際には、代表取締役社長を本部長とした「緊急事態対策本部」を設置して対応する危機管理体制を構築しており、平常時のリスクマネジメントにおいて、顕在化した際に即時対応を要するリスクを抽出し、その影響度と必要な対応を想定することで、危機発生時にクライシスマネジメントへ寸断なく移行できるよう準備しています。あわせて、国内を含めた4つのRegional Headquarters(RHQ)体制への移行に伴い、危機の類型に応じてRHQとHDの役割を改めて明確にするとともに、危機発生時の情報ラインの整流化を図るなど、グローバルなクライシスマネジメント体制の強化も進めています。

 これらの事前対策により災害による被害の最小化、当社グループの業績及び財政状態に対する影響の低減に努めています。

 

 

(11)多様で有能な人材の確保

 中長期経営方針に掲げる目標達成のためには、多様な価値観や専門性を持った社員の力が必要不可欠です。そのため、当社グループは、社員の多様性を尊重するとともに、一人ひとりが成長できる人材育成プログラムへの投資を拡大し、必要に応じて、経営幹部、一般社員問わず、外部からの登用も進めています。

 しかしながら、グローバルな事業地域の拡大に伴う人材需要の増高及び必要スキルの変更や高度化により、多様で有能な経営幹部並びに一般社員を、必要数確保、育成及び定着させることができず、中長期経営方針の戦略を実行し目標を達成する能力を損ねる可能性があります。

 当社グループは、中長期経営方針に「目指す事業ポートフォリオの構築やコア戦略を遂行するための人的資本の高度化」を掲げ、戦略を支える経営基盤を強化するために、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンを推進し、エンゲージメントの高い企業風土を醸成しています。エンゲージメントサーベイを実施することで、目指す企業風土の実現度合いを定期的に確認し、結果に基づき、地域を超えた人材育成プログラムの実施や国籍や性別等にとらわれない人材の登用・配置を推進しています。また、計画的に経営者人材を育成するため、将来の経営幹部候補を育成するグローバルリーダーシッププログラムを継続的に実施することで、人材パイプラインの拡充・強化を進めています。また、グループの経営幹部の後継者計画を討議するグローバルタレントレビューを実施することで、各地域の人材の可視化やグローバルでの適材適所配置を実施し、多様で有能な人材のグループ内での活用を推進しています。加えて、今後必要となる新たなケイパビリティを獲得するため、社外からの人材登用も積極的に行っています。

 

(12)国内物流需給ギャップの拡大

 当社グループが事業展開する、酒類・飲料・食品の製造販売業界においては、物流は重要、かつ費用の構成比も高い機能です。国内の物流環境は、少子高齢化による労働人口減少に加え、電子商取引の拡大で、ドライバー需給ギャップの拡大が予想されます。2021年も新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、企業間取引の荷量の減少と、同時に、外出自粛、人の移動制限による巣ごもり需要による電子商取引の増加がさらに加速し、物流環境全体のバランスに大きな変化が起きています。物流業界が従来から取り組む長時間労働の削減、生産性の向上等に加え、先の読めない時代の環境変化への柔軟な対応が求められており、課題の複雑性が増しています。

 当社グループ全事業の、売上収益ベースで54.5%、事業利益ベースで35.5%(2021年12月期決算)を占める国内事業において、製品の運搬に必要な量の物流機能を適切な費用で確保することが安定的に事業展開する上で不可欠ですが、ドライバー不足による製品供給の滞りや運搬費の増嵩等が、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、地産地消ロジスティクスの推進や効率的な物流体制の実現による輸送量の削減及び長距離トラック輸配送の削減、並びに物流機器・システムの導入による物流業務省人化と物流負荷低減に取り組んでいます。この一環として、2021年にはアサヒビール名古屋工場にアサヒ飲料製品製造ライン及び自動倉庫の新設稼働、長距離配送を要する消費地に新たな物流拠点の設置稼働等、輸配送網の整備を進めています。また、物流業務支援ツールに最新技術を積極的に活用し、業務効率化・負荷軽減を推進しています。

 従来から取り組んでいるモーダルシフト(鉄道・船舶輸送)や、効率化・省人化を目指した新たな幹線輸送スキームの確立、軽重貨物混載による積載率向上等、同業他社や異業種、物流事業者との連携による高効率輸送の実現や物流効率化施策による労働環境改善も推進しています。これらの取組みは、日本社会全体の課題とも密接に関連しており、当社グループは、国土交通省・経済産業省・農林水産省が推進する「ホワイト物流」推進運動の趣旨に賛同する旨を表明しており、実証施策に積極的に参画しています。

 

(13)プラスチック使用

 近年、廃棄プラスチックの規制強化の動きが加速しています。同時に、プラスチックを大量に使用する製品に対する社会の目は厳しくなってきており、容器包装をプラスチック素材に依存している当社グループの飲料・食品製品の需要が著しく低下し、売上に影響を与えるだけでなく、対応不十分とのことで、当社グループに対するレピュテーションが低下する可能性があります。また、リサイクル費用の負担が増加することや、生分解性素材等の代替素材を使用した場合の材料費が増加すること等で、製造原価が増嵩する可能性があります。

 当社グループは、「アサヒグループ環境ビジョン2050」の中で、「持続可能な資源利用100%を目指す(農産物原料、容器包装、水)」ことを目標に掲げ、容器包装の中でも喫緊の課題である海洋汚染や生態系への影響が世界的に問題視されている海洋プラスチック問題への対応については、2020年、グループの戦略の方向性として、「3R+Innovation」を定め、グローバル統一の新たな目標として、2030年までのPETボトルを100%環境配慮素材に切り替えることを設定しました。それに基づき、グループ各社において、様々な取組みを進めています。

 

 国内では、アサヒ飲料株式会社が、リサイクルPET・環境配慮素材の使用、リデュースの推進、環境への配慮を前提とした新容器開発等へ取り組む目標「容器包装2030」の達成に向けて、更なる「ラベルレスボトル」製品の拡大やリサイクル素材100%PETボトルのために「ボトルtoボトル」の再生事業者である日本環境設計株式会社への融資を行い、ケミカルリサイクルPET樹脂の調達を進めています。また、業界の枠を超えた連携体制による、使用済のプラスチックを再資源化する会社に共同出資を行い、中長期的なPET調達に向けた取組みも強化しています。

 海外では、オーストラリアの子会社Asahi Beverages Pty Ltdが、2030年までに、特定のブランドでリサイクルPET素材100%を達成する目標の達成に向けて、業界の枠を超えたリサイクル大手企業、容器メーカーと合弁会社を設立し、リサイクルPET樹脂の更なる生産と供給のための工場建設を進めています。

 当社グループ全体として、プラスチック環境配慮素材の更なる活用を推進してまいります。

 

(14)法規制とソフトローのコンプライアンス

 当社グループは事業の遂行にあたって、食品衛生法、製造物責任法、労働関連規制、贈収賄規制、競争法、GDPR等の個人情報保護規則、環境関連法規等の様々な法規制の適用を受けています。これらの法令が変更される、又は予期し得ない法律、規制等が新たに導入される等の理由による法令違反や社会規範に反した行動等により、法令による処罰・訴訟の提起・社会的制裁を受け、規制遵守対応のためのコストが増加し、又はお客様をはじめとしたステークホルダーの信頼を失うことにより、レピュテーションやブランド価値が毀損し、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 当社グループは、「アサヒグループ行動規範」を制定し、事業活動を行う全ての国・地域において、適用される法令・ルールを遵守することを含め、「Asahi Group Philosophy」で示したステークホルダーに対する5つのPrinciplesに基づき、企業倫理・コンプライアンスを実践するための10条の行動規範を規定し、グループ全体での実践を推進しています。そして、代表取締役社長が委員長を務め、業務執行取締役及び委員長が任命した執行役員で構成される「コンプライアンス委員会」を設置し、グループ全体の企業倫理・コンプライアンスを推進・監督するとともに、「アサヒグループ行動規範」に関する社員の研修等を通じてコンプライアンスのレベルを高め、法令違反や社会規範に反した行為等の発生可能性を低減するよう努めています。

(人権について)

 グローバルな事業地域が大きく拡大した今、当社グループにとって、人権保護並びに関連法規制の遵守は特に重要と認識しています。そこで、『ESGへの取組み深化』における重点課題の一つとして「人権の尊重」を掲げ、第一ステップとして、2019年、人権に関する最上位の方針として、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠した「アサヒグループ人権方針」を制定しました。本方針で掲げた人権デューデリジェンスについては、サプライヤー、自社従業員、救済へのアクセスの構築を優先度が高い取組みとして進めています。サプライヤーについては、2020年は国内外事業会社の原材料全一次サプライヤーに対して、セルフアセスメント質問表(SAQ)への回答を依頼し、回答いただいた全サプライヤーに対し、調達担当者からのコメントを付けて結果をフィードバックしました。2021年はこの結果も踏まえて、国内12社のサプライヤーをインタビュー調査の対象とし、人権を尊重した労働環境を整えていくための対話等を行い、改善を進めました。2022年もサプライヤーとの対話を継続していきます。また2020年にはサプライヤーエシカル情報共有プラットフォームを提供しているNPO会員組織Sedex(Supplier Ethical Data Exchange)に加入し、サプライヤーの人権や労働の管理状況を確認しながら進めています。また、2017年に実施した現代奴隷リスク分析の結果に基づき、2021年はエチオピアとタンザニアのコーヒー豆に関わるサプライヤー等を対象とした現地調査やデスク・リサーチを行いました。2022年はこの調査結果を踏まえて人権リスクを特定・評価し、負の影響の是正や発生予防に取組む予定です。自社従業員については、従業員一人一人が人権方針を遵守するための人権教育として、2021年は国内外全役員・社員に対し、CEOによる人権メッセージの動画配信や、担当役員による人権研修動画の配信等を行いました。また、2020年に外国人技能実習生が在籍するアサヒグループ食品岡山工場を対象に、NGOとともに実習生の労働実態調査及び実習生への母国語によるヒアリングを実施し、2021年には指摘事項の改善を行いました。また救済へのアクセス構築については、内部通報制度の認知拡大や、社外からの問い合わせに対して適切に救済を行うために必要な体制整備の検討を進めています。

 

(15)事業展開国のカントリーリスク

 現在、当社グループは20を超える国に拠点を構え、世界経済全体の動向に加え、各国固有の政治、経済、社会、法規制、自然等の要素が、各国事業に影響を与える可能性があります。具体的なリスクとしては、政情不安、経済危機、関税報復措置、難民排斥運動、人種差別、規制強化、税制改正、自然災害、新興感染症等が想定されます。

 これらのリスクが顕在化した場合には、関税引き上げ等、在外資本企業に対する不利益条件によるコスト競争力の低下、利益の圧縮、政治的・軍事的・社会的圧力による営業困難あるいは営業停止、社員の安全不安、経営計画未達、中長期的損失計上、さらには事業撤退により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 当社グループは、グループ各社での情報収集や外部コンサルタント起用等を通じて、各事業展開国/地域の該当リスクの調査、情報収集、評価をもとに、これらリスクを早期に認識し、顕在化する前に具体的かつ適切な対処をするよう取り組むことで、その予防・回避に努めるとともに、重大インシデント発生に備えた事業継続計画の策定等を行っていきます。また、当社グループは、今後の更なるグローバル化により収益源の分散化を進め、本件リスク顕在化時の、グループ全体への影響の低減を図ってまいります。

 

(16)品質について

 当社グループは、最高の品質をお客様にお届けすることをグループ理念に掲げ、いずれのグループ会社も品質を通して、お客様との信頼関係を築くことに不断の努力を続けています。お客様の健康に密接に関連する事業を展開しているため、万一、不測の事態により、お客様の健康を脅かす可能性が生じたときは、お客様の安全を最優先に考え、迅速に対応します。

 しかしながら、万一、品質に問題が生じて、商品の安全性に疑義が持たれた場合には、商品の回収や製造の中止を余儀なくされ、その対応に費用や時間を要するだけでなく、お客様からの信頼を失う可能性があります。このような事象が発生した場合、中長期経営方針に掲げた「既存地域でのプレミアム化とグローバルブランドによる成長、展開エリアの拡大」の未達を含む、当社グループの業績及び財政状態、並びにレピュテーション及びブランド価値に対して影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、品質確保及び向上の取組みとして、商品設計から販売に至るまでのプロセス毎に、品質に影響を与える業務や注意すべき事項を抽出し、その点検と是正を実施しています。また、品質保証技術の高度化のため、AI等先端技術の導入にも取り組んでいます。特に、生産工程においては、重要な管理項目を整理し、必須要求事項としてグローバルへ展開し、工場毎の定期自己点検や生産工程の監査へ活用しています。これらの取組みについては、今後も深化させていきます。

 また、当社グループは、食の安全に関わる最新の分析技術を開発しています。その対象は、微生物・農薬・カビ毒・重金属・樹脂・放射性物質等多岐にわたっており、海外も含めたグループ全体の高度な品質保証体制を技術面から支えています。

 さらに、各グループ会社の商品特性や製造工場の環境に応じて、国際的な品質・食品安全マネジメントシステムの考え方を取り入れ、必要に応じて外部認証取得しています。

 

(17)その他のリスク

財務リスク

為替変動     :当社グループはグローバルに事業を展開しているため為替リスクを負っています。このうち、海外子会社及び関連会社における資産や負債については円高が進行すると在外営業活動体の換算差額を通じて自己資本が減少するリスクがあります。このため、必要に応じて為替リスクのヘッジをする等の施策を実行していますが、完全にリスクが回避できるわけではありません。また、海外連結子会社等の損益の連結純利益に占める割合が比較的高く、これらの収益の多くが外貨建てであり、当社の報告通貨が円であることから、外国通貨に対して円高が進むと、連結純利益にマイナスのインパクトを与えます。一方、本国で行う輸出入、及び外国間等の貿易取引から発生する、外貨建債権及び債務等は為替レートの変動によるリスクを有しておりますが、このリスクは為替予約等と相殺されるため影響は限定されます。

金利変動     :当社グループは銀行預金や国債等の金融資産及び銀行借入金や社債、リース負債等の負債を保有しております。これらの資産及び負債に係る金利の変動は受取利息及び支払利息の増減、あるいは金融資産及び金融負債の価値に影響を与え、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、金利リスクを回避する目的で、金利を実質的に固定化する金利スワップを利用しております。またヘッジ会計の要件を満たす取引については、ヘッジ会計を適用しております。

格付低下     :当社グループに対する外部格付機関による格付けが引き下げとなり、当社グループの資本・資金調達の取引条件の悪化、もしくは取引そのものが制限される場合には、当社グループの業務運営や業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

保有資産の価格変動:当社グループが保有する土地や有価証券等の資産価値の下落や事業環境の変化等があった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

税務リスク

 当社グループはグローバルに事業を展開しており、本国をはじめとする、各国の税制による適用を受けており、予期し得ない改正や税務当局からの更正処分を受けた場合、大幅なコストの増加、競争環境の悪化、事業活動の制限等が懸念され、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

訴訟リスク

 当社グループは、事業を遂行していくうえで、訴訟を提起される可能性があります。万一当社グループが訴訟を提起された場合、また訴訟の結果によっては、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

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3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(業績等の概要)

(1)業績

 当期における世界経済は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が続いたものの、米国や欧州などの経済活動の回復により、全体では景気は持ち直しの傾向が見られました。日本経済においても、個人消費の落ち込みの影響は残るものの、各種政策や世界経済の改善などにより、景気は徐々に持ち直しの動きが見られました。

 こうした状況のなかアサヒグループは、「中期経営方針」に基づき、引き続きグローバルとローカルの両面から価値創造経営を推進するとともに、コロナ禍により急激に加速する社会環境の変化を見据えた経営改革に取り組みました。

 「中期経営方針」では『稼ぐ力の強化』、『経営資源の高度化』、『ESGへの取組み深化』を重点課題に設定し、『稼ぐ力の強化』においては、各事業の主力ブランドの価値向上や新たな価値提案の強化に加えて、更なるコスト効率化により、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けた業績の回復を促進するとともに、『経営資源の高度化』や『ESGへの取組み深化』に再投資するための収益構造改革を推進しました。

 その結果、アサヒグループの売上収益は、日本や欧州における外食産業の低迷によるマイナス影響があったものの、2020年6月に取得手続きが完了した豪州のビール・サイダー事業(以下「CUB事業」といいます。)の新規連結効果などにより、2兆2,360億7千6百万円(前期比10.3%増)となりました。また、利益につきましては、事業利益※1は2,179億4千万円(前期比29.9%増)、営業利益は2,119億円(前期比56.8%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,535億円(前期比65.4%増)となりました。

 なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前期比6.1%の増収、事業利益は前期比23.1%の増益となりました。※2

※1 事業利益とは、売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除した、恒常的な事業の業績を測る当社独自の利益指標です。

※2 2021年の外貨金額を、2020年の為替レートで円換算して比較しています。

 

アサヒグループの実績         (単位:百万円)

 

 

実績

前期比

売上収益

2,236,076

10.3%

事業利益

217,940

29.9%

営業利益

211,900

56.8%

親会社の所有者に

帰属する当期利益

153,500

65.4%

 

 当年度の財政状態の状況は、連結総資産は前年度末と比較して1,083億6千9百万円増加し、4兆5,477億4千8百万円、負債は前年度末と比較して1,329億6千2百万円減少し、2兆7,886億円となりました。また、資本は前年度末に比べ2,413億3千2百万円増加し、1兆7,591億4千8百万円となりました。

 

 セグメントの業績は次の通りです。各セグメントの売上収益はセグメント間の内部売上収益を含んでおります。

 なお、当年度より、酒類セグメントに含まれていた一部の会社について、報告セグメントの区分をその他セグメントに変更しております。

 以下の前期比較は前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。

 

 

事業セグメント別の実績                                  (単位:百万円)

 

 

売上収益

前期比

事業利益

前期比

売上収益

事業利益率

営業利益

前期比

酒類

722,126

△3.3%

70,756

△14.7%

9.8%

56,781

△21.2%

飲料

357,809

1.3%

33,139

19.2%

9.3%

64,115

121.8%

食品

125,898

2.0%

11,447

4.1%

9.1%

10,493

△6.1%

国際

1,017,586

28.3%

160,561

70.6%

15.8%

111,076

113.2%

その他

105,990

1.2%

△141

106

調整額計

△93,334

△26,738

△30,673

無形資産償却費

△31,084

合計

2,236,076

10.3%

217,940

29.9%

9.7%

211,900

56.8%

※営業利益における無形資産償却費は各事業に配賦しています。

 

[酒類事業]

 酒類事業につきましては、各カテゴリーにおいて主力ブランドへの投資を重点化するとともに、多様化する消費者ニーズに対応した商品や飲み方提案を強化することにより、新たな市場の創造に取り組みました。

 ビール類では、飲食店のジョッキで飲む樽生ビールのような味わいが楽しめる『アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶』や、“ぬくもりのある世界観”や“まろやかなうまみのある味わい”が特長の『アサヒ生ビール』の缶商品を発売し、新たな価値提案に取り組みました。また、家庭用生ビールサービス『THE DRAFTERS(ドラフターズ)』の展開を開始するなど、ビール市場の活性化を図りました。発泡酒や新ジャンルにおいては、『アサヒスタイルフリー<生>』、『クリアアサヒ』、『アサヒ ザ・リッチ』を中心に主力ブランドの広告・販売促進活動を強化し、ブランドの価値向上に取り組みました。

 ビール類以外では、RTDにおいて、主力ブランド『アサヒ贅沢搾り』の果実の味わいを強化するリニューアルを行ったほか、豊かなレモンの香りを実現した『アサヒ ザ・レモンクラフト』の全業態への販路拡大や広告・販売促進活動の展開など、ブランドの強化を図りました。また、アルコールテイスト清涼飲料においては、『アサヒドライゼロ』で新たなユーザー層の拡大を図ったほか、新たな“微アルコール”カテゴリーとして、100%ビール由来原料ならではの麦のうまみとコクを実現した『アサヒ ビアリー』や、ウイスキーの本格的な味わいや上質な余韻が楽しめる『アサヒ ハイボリー』などを発売し、お酒の飲み方の多様性を提案する「スマートドリンキング」の取組みを推進しました。

 以上の結果、酒類事業の売上収益は、健康志向の高まりなどの消費者ニーズの変化を捉えた『アサヒスタイルフリー<生>』やアルコールテイスト清涼飲料などの売上は前年実績を上回ったものの、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う酒類提供規制などの影響が続き、飲食店向けのビールの売上が大幅に減少したことなどにより、前期比3.3%減の7,221億2千6百万円となりました。

 事業利益については、製造原価の低減や収益構造改革などに取り組みましたが、売上収益の減少により、前期比14.7%減の707億5千6百万円となりました(営業利益は前期比21.2%減の567億8千1百万円)。

※ RTD:Ready To Drinkの略。購入後、そのまま飲用可能な缶チューハイなどを指します。

 

[飲料事業]

 飲料事業につきましては、主力ブランドを中心にこれまで培ってきたブランド価値をより一層磨くとともに、変化する生活に寄り添った商品や社会的課題の解決に向けた提案の強化などに取り組みました。

 主力ブランドにおいては、『三ツ矢』ブランドにおいて、有糖炭酸の“おいしさ”と無糖炭酸の“さっぱり”を兼ね備えた“甘すぎない”炭酸飲料として『三ツ矢サイダー レモラ』を発売し、新たな価値提案を強化しました。また、『ウィルキンソン』ブランドでは、脂肪や糖の吸収を抑える機能を有する機能性表示食品『ウィルキンソン タンサン エクストラ』をリニューアルするなど、健康需要や家庭内需要により好調な炭酸カテゴリーにおいてブランド価値の更なる向上を図りました。『カルピス』ブランドでは、誕生30周年を迎えた『カルピスウォーター』のリニューアルに加え、生活様式の変化に合わせた希釈用商品のアレンジレシピの提案を推進し、ブランド力の強化に取り組みました。

 社会的課題の解決に向けた提案の強化においては、『十六茶』ブランドで、新たな素材や製法、環境配慮素材(PET再生樹脂、バイオ素材樹脂)を使用した新容器を採用しました。また、『アサヒ おいしい水 天然水 シンプルecoラベル』の店頭販売を開始するとともに、食品業界で初めてレーザーマーキング技術を使用した完全ラベルレスの商品を『十六茶』ブランドから発売し、ラベルレス商品の展開強化を通じて環境負荷低減に取り組みました。

 以上の結果、飲料事業の売上収益は、最盛期における天候不順や新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けたものの、炭酸飲料やお茶飲料の販売数量が前年実績を上回ったことなどにより、前期比1.3%増の3,578億9百万円となりました。

 事業利益については、増収効果に加えて、ブランドの選択と集中による固定費全般の効率化などにより、前期比19.2%増の331億3千9百万円となりました(営業利益は前期比121.8%増の641億1千5百万円)。

※ シンプルecoラベルとは、法定記載事項等の必要表示内容が記載された小面積のシールです。

 

[食品事業]

 食品事業につきましては、新しい生活様式に合わせた価値創造と、市場構造の変化に適応した各カテゴリーの強化により、持続的な成長基盤の構築に取り組みました。

 タブレット菓子『ミンティア』については、マスク着用時専用商品のほか、健康志向の高まりに対応した栄養機能食品や機能性表示食品の商品を発売するなど、新たな喫食シーンの提案によるブランド価値の向上に取り組みました。栄養サポート食品『1本満足バー』については、健康志向やからだづくりへの関心が高まる中、プロテインシリーズを中心に商品ラインアップの拡充や販売促進活動の強化を推進しました。フリーズドライ食品『アマノフーズ』については、『いつものおみそ汁』シリーズの高価格帯商品のラインアップの拡充に加え、調理時間の時間短縮ニーズの高まりや個食化に対応した『お食事メニュー』シリーズを発売するなど、手軽で本格的な味わいを楽しめるフリーズドライ食品の価値を訴求しました。

 ベビーフードについては、お客様のニーズを捉え、離乳食づくりをサポートする商品などのラインアップを拡充し、ユーザー層の拡大を図りました。サプリメントについては、『ディアナチュラ』において、セルフケアニーズの高まりに対応したラインアップを拡充したほか、広告・販売促進活動の展開によりブランド力の向上に取り組みました。

 以上の結果、食品事業の売上収益は、オフィス勤務や外出機会の減少に伴い『ミンティア』の売上が減少したものの、巣ごもり需要を捉えたフリーズドライみそ汁やセルフケアニーズの高まりに対応した『ディアナチュラ』などの売上が前年実績を上回ったことなどにより、前期比2.0%増の1,258億9千8百万円となりました。

 事業利益については、増収効果に加えて、固定費全般の効率化などにより、前期比4.1%増の114億4千7百万円となりました(営業利益は、前期比6.1%減の104億9千3百万円)。

 

[国際事業]

 国際事業につきましては、ローカル市場における主力ブランドやアルコールテイスト清涼飲料を軸としたプレミアム戦略の推進に加えて、グローバルプレミアムブランドの販路拡大を強化しました。

 グローバル市場全体に向けたブランドの拡大展開においては、『アサヒスーパードライ』における「ラグビーワールドカップ2023フランス大会」や『Peroni Libera 0.0%』のモータースポーツチームAston Martin Cognizant FORMULA ONETM TEAMとのパートナーシップの契約締結により、ブランドの情報発信力の強化を図りました。

 欧州事業については、『Peroni Nastro Azzurro』や『Radegast』など主力のプレミアムブランドを中心にマーケティング活動を強化し、また、『Pilsner Urquell』において、パッケージを100%リサイクル可能な素材にリニューアルするなど、各国において環境負荷低減に向けた取組みを推進し、ブランド価値向上を図りました。アルコールテイスト清涼飲料では、『Birell』や『Lech Free』などにおいてフレーバー入り商品のラインアップを拡充し、新たな飲用機会の獲得に向けた取組みを強化しました。

 

 オセアニア事業については、酒類において、『Great Northern』を中心に積極的なマーケティング活動を展開したほか、アルコールテイスト清涼飲料『Great Northern Zero』を豪州全域で発売するなど、新たな価値提案の強化に取り組みました。飲料においては、炭酸カテゴリーやスポーツ飲料を中心にノンシュガー商品の販売を強化し、市場における存在感の向上を図りました。また、『アサヒスーパードライ』などのプレミアムビールや清涼飲料の飲食店向けの販売を強化するなど、強固な事業基盤を活かしてシナジーの創出に向けた取組みを推進しました。

 東南アジア事業については、マレーシアで『WONDA Brown Sugar Latte』を発売するなど、アサヒグループ保有ブランドを中心にラインアップを拡充することにより、ブランド認知度の向上を図りました。

 以上の結果、国際事業の売上収益は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う各国の規制による影響などは残ったものの、CUB事業の新規連結効果や規制緩和に伴う飲食店の売上回復などにより、前期比28.3%増の1兆175億8千6百万円となりました。

 事業利益については、主にCUB事業の新規連結効果や欧州事業の増収効果などにより、前期比70.6%増の1,605億6千1百万円となりました(営業利益は、前期比113.2%増の1,110億7千6百万円)。

 なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前期比17.7%の増収、事業利益は前期比56.2%の増益となりました。

※ 2021年の外貨金額を、2020年の為替レートで円換算して比較しています。

 

[その他の事業]

 その他の事業につきましては、売上収益は、前期比1.2%増の1,059億9千万円となりました。

 事業損失については、前期比10億3千9百万円改善の1億4千1百万円となりました(営業利益は前期比51億1千9百万円改善の1億6百万円)。

 

[「中期経営方針」のガイドラインの進捗]

 中期経営方針の「財務、キャッシュ・フローのガイドライン」については、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う影響を受けたものの、不稼働資産の売却などによるキャッシュ創出を図ったことにより、当期(2021年度)のフリー・キャッシュ・フローは2,000億円を上回り、Net Debt/EBITDAについてもガイドラインを超過する進捗となりました。

 また、株主還元については、EPSが業績改善により増加し、当期は1株当たりの配当額を109円とすることにより、ガイドラインを上回る予定です。

 なお、「主要指標のガイドライン」は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を踏まえ、2021年2月に取り下げています。

 

財務、キャッシュ・フローのガイドライン

 

2021年以降のガイドライン

2021年進捗

キャッシュ・フロー

・フリー・キャッシュ・フロー(FCF):年平均2,000億円以上

(FCF=営業CF-投資CF ※M&A等の事業再構築を除く)

3,191億円

成長投資・債務削減

・FCFは債務削減に優先的に充当し、成長投資への余力を高める

・Net Debt/EBITDA※1 は2024年に3倍程度を目指す

(劣後債の50%はNet Debtから除いて算出)

4.24倍

株主還元

・配当性向※235%程度を目指した安定的な増配

(将来的な配当性向は40%を目指す)

36.0%

※1 Net Debt/EBITDA(EBITDA純有利子負債倍率)=(金融債務-現預金)/EBITDA

※2 配当性向は、親会社の所有者に帰属する当期利益から事業ポートフォリオ再構築などに係る一時的な損益(税金費用控除後)を控除して算出しております。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益が1,998億2千6百万円となりましたが、減価償却費等の非キャッシュ項目による増加や運転資本の効率化により、3,378億1千2百万円(前期比:619億5千2百万円の収入増)の収入となりました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などにより、143億4千8百万円(前期比:1兆2,290億2千4百万円の支出減)の支出となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、主に短期借入金の返済による金融債務の減少があり、3,203億2千5百万円(前期比:1兆2,770億8千4百万円の支出増)の支出となりました。

 以上の結果、当年度末では、前年度末と比較して現金及び現金同等物の残高は42億8千3百万円増加し、527億4千3百万円となりました。

 

(生産、受注及び販売の状況)

(1)生産実績

 当年度におけるセグメントごとの生産実績は以下の通りであります。

セグメントの名称

数量又は金額

単位

前期比

酒類

1,818,067

KL

△3.9%

飲料

341,901

百万円

0.6%

食品

129,473

百万円

8.6%

国際

828,035

百万円

36.1%

(注)1 金額は、販売価額によっております。

2 IFRSに基づく金額を記載しております。

3 酒類事業の生産数量、飲料事業及び食品事業の生産高には、外部への製造委託を含めております。

4 上記金額には消費税等は含まれておりません。

 

(2)受注実績

 当社グループでは受注生産はほとんど行っておりません。

 

(3)販売実績

 当年度におけるセグメントごとの販売実績は以下の通りであります。

セグメントの名称

金額

前期比

酒類

722,126

百万円

△3.3%

飲料

357,809

百万円

1.3%

食品

125,898

百万円

2.0%

国際

1,017,586

百万円

28.3%

その他

105,990

百万円

1.2%

調整額

△93,334

百万円

合計

2,236,076

百万円

10.3%

(注)1 調整額はセグメント間取引であります。

2 上記金額には消費税等は含まれておりません。

3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

前年度

当年度

相手先

販売高

(百万円)

割合

(%)

販売高

(百万円)

割合

(%)

伊藤忠食品㈱

202,893

10.0

 なお、当年度については、外部顧客への売上収益のうち、総販売高の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

 当年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は以下の通りであります。

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社の連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。

 詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表注記 5 重要な会計上の見積り及び判断)」に記載しております。

 

(2)当年度の経営成績の分析

① 売上収益

 アサヒグループの当年度の売上収益は、前期比10.3%増、2,083億1千3百万円増収の2兆2,360億7千6百万円となりました。酒類事業においては、健康志向の高まりなどの消費者ニーズの変化を捉えた『アサヒスタイルフリー<生>』やアルコールテイスト清涼飲料などの売上は前年実績を上回ったものの、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う酒類提供規制などの影響が続き、飲食店向けのビールの売上が大幅に減少したことなどにより、前期比3.3%減の7,221億2千6百万円となりました。飲料事業においては、最盛期における天候不順や新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けたものの、炭酸飲料やお茶飲料の販売数量が前年実績を上回ったことなどにより、前期比1.3%増の3,578億9百万円となりました。食品事業においては、オフィス勤務や外出機会の減少に伴い『ミンティア』の売上が減少したものの、巣ごもり需要を捉えたフリーズドライみそ汁やセルフケアニーズの高まりに対応した『ディアナチュラ』などの売上が前年実績を上回ったことなどにより、前期比2.0%増の1,258億9千8百万円となりました。国際事業においては、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う各国の規制による影響などは残ったものの、CUB事業の新規連結効果や規制緩和に伴う飲食店の売上回復などにより、前期比28.3%増の1兆175億8千6百万円となりました。その他の事業においては、前期比1.2%増の1,059億9千万円となりました。

 

② 事業利益

 当年度の事業利益は、前期比29.9%増、501億1千7百万円増益の2,179億4千万円となりました。酒類事業においては、製造原価の低減や収益構造改革などに取り組みましたが、売上収益の減少により、前期比14.7%減の707億5千6百万円となりました。飲料事業においては、増収効果に加えて、ブランドの選択と集中による固定費全般の効率化などにより、前期比19.2%増の331億3千9百万円となりました。食品事業においては、増収効果に加えて、固定費全般の効率化などにより、前期比4.1%増の114億4千7百万円となりました。国際事業においては、主にCUB事業の新規連結効果や欧州事業の増収効果などにより、前期比70.6%増の1,605億6千1百万円となりました。その他の事業においては、前期比10億3千9百万円改善の1億4千1百万円の事業損失となりました。

 

③ 営業利益

 営業利益は、事業利益の増益に加え、その他の営業収益の増加などにより、前期比56.8%増、767億3千2百万円増益の2,119億円となりました。

 

④ 税引前利益

 当年度の税引前利益は、営業利益の増益に加え、金融収益が前期比20.4%減、14億7千5百万円減少の57億5千4百万円となったことや、金融費用が前期比23.6%増、35億3千4百万円増加の185億1千6百万円となったことなどにより、前期比59.4%増、744億2千6百万円増益の1,998億2千6百万円となりました。

 

⑤ 親会社の所有者に帰属する当期利益

 親会社の所有者に帰属する当期利益は、税引前利益の増益などにより前期比65.4%増、606億7千3百万円増益の1,535億円となりました。

 また、基本的1株当たり利益は302.92円(前期196.52円)となり、親会社所有者帰属持分比率は38.6%(前期34.2%)となりました。

 また、事業ポートフォリオ再構築など一時的な特殊要因を除いた親会社の所有者に帰属する当期利益を算出に用いた調整後基本的1株当たり利益は302.92円(前期196.52円)となりました。

 

(3)財政状態の分析

① 総資産

 当年度の連結総資産は、為替相場の変動によるのれん及び無形資産の増加等により、総資産は前年度末と比較して1,083億6千9百万円増加し、4兆5,477億4千8百万円となりました。

 

② 負債

 負債は、社債及び借入金の減少等により、前年度末と比較して1,329億6千2百万円減少し、2兆7,886億円となりました。

 

③ 資本

 資本は、前年度末に比べ2,413億3千2百万円増加し、1兆7,591億4千8百万円となりました。これは、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上により利益剰余金が増加したこと及び為替相場の変動により在外営業活動体の換算差額が増加したこと等によるものです。

 この結果、親会社所有者帰属持分比率は38.6%となりました。

 また、事業ポートフォリオ再構築や為替変動など一時的な特殊要因を除いた「親会社の所有者に帰属する当期利益」及び「親会社の所有者に帰属する持分合計」を算出に用いた調整後親会社所有者帰属持分当期利益率は11.0%(前期7.5%)となりました。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析

① キャッシュ・フロー分析

 キャッシュ・フローの状況につきましては、「(業績等の概要) (2)キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。

 また、キャッシュ・フロー指標のトレンドは、以下の通りであります。

 

 

前年度

当年度

親会社所有者帰属持分比率(%)

34.2

38.6

時価ベースの親会社所有者帰属

持分比率(%)

48.4

49.9

キャッシュ・フロー対有利子

負債比率(年)

7.1

5.1

インタレスト・カバレッジ・

レシオ(倍)

27.5

30.1

(注)親会社所有者帰属持分比率:親会社の所有者に帰属する持分/総資産

時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

※ 各指標はいずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

※ 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

※ キャッシュ・フローは営業キャッシュ・フローを使用しております。

 

② 資金の調達

 アサヒグループの資金の源泉は、主として営業活動からのキャッシュ・フローと金融機関からの借入、社債の発行からなります。当社は経営方針として、有利子負債残高の圧縮を基本として掲げておりますが、「事業基盤強化・効率化を目指した設備投資」及び「M&Aを含む戦略的事業投資」については資金需要に応じて金融債務を柔軟に活用することとしております。一方、運転資金需要については、短期借入金及びコマーシャル・ペーパーでまかなうことを基本としております。

 

③ 資金の流動性

 当社及び主要な連結子会社はCMS(キャッシュマネジメントシステム)を導入しており、各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことにより、資金効率の向上と金融費用の極小化を図っております。

 

(5)戦略的現状と見通し

 2022年は、新型コロナウイルスの感染拡大による影響や原材料コストの大幅な上昇など、厳しい経営環境が続くことが想定されますが、「中長期経営方針」に基づいて、既存事業の持続的成長と新たな成長領域の拡大、コア戦略の推進による企業価値向上を目指します。

 日本においては、酒類、飲料、食品事業の「強み」のあるブランドに経営資源を投下するとともに、新たな価値提案などを通じて各事業のブランド価値向上を図ります。また、日本全体での事業の枠を超えたシナジーの創出やSCMの最適化、サステナビリティへの取組み強化により、持続的な成長基盤を強化していきます。

 欧州においては、「アサヒスーパードライ」などのグローバルブランドの拡大展開を図るとともに、主力のローカルブランドの強化、ノンアルコールビールを中心としたBACの一層の拡大により、各国のブランドポートフォリオのプレミアム化を推進します。また、環境問題への対応やありたい企業風土の醸成に向けた取組みを強化することで、持続的な成長基盤の更なる拡大を図ります。

 オセアニアにおいては、酒類、飲料事業の強みを融合したマルチビバレッジ戦略を推進するとともに、統合シナジーを創出することにより、収益基盤の盤石化を目指します。また、ノンアルコールビールなどの新たな成長カテゴリーへの投資強化に加えて、サステナビリティを重視した新価値提案やSCM改革などを推進していきます。

 東南アジアにおいては、自社ブランドを中心としたブランド投資の拡大などにより、マレーシアを中心とした展開国におけるプレゼンスの更なる拡大を図ります。また、持続可能な容器包装の活用など、環境問題への対応した取組みを推進します。

 

※SCM : サプライチェーンマネジメントの略。

 

(6)経営者の問題認識と今後の方針について

 経営者の問題認識と今後の方針につきましては、この文中に記載したほか、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通りであります。

 

(7)経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載の通りであります。

 

4【経営上の重要な契約等】

業務提携等に関する契約

会社名

契約事項

契約締結先

締結年月

発効年月

有効期限

アサヒグループ

ホールディングス

株式会社

(提出会社)

中国における「アサヒスーパードライ」及び「アサヒビール」の製造ライセンス供与のための

 「0102010_027.png

の合弁契約

伊藤忠商事株式会社

日鉄物産株式会社

1997年

10月

1998年

8月

2024年

7月

アサヒビール

株式会社

(連結子会社)

沖縄県及び鹿児島県奄美大島群島を除く日本における「アサヒ オリオンドラフト」等の販売契約

オリオンビール株式会社

2020年

7月

2020年

7月

自動更新

アサヒビール

株式会社

(連結子会社)

沖縄県における「アサヒスーパードライ」等の製造販売ライセンスの供与契約

オリオンビール株式会社

2003年

5月

2003年

5月

自動更新

アサヒグループ

ホールディングス

株式会社

(提出会社)

飲料事業、チルド事業、食品事業、海外事業、調達・物流等の機能面における業務提携契約

カゴメ株式会社

2007年

2月

2007年

2月

自動更新

アサヒグループ

ホールディングス

株式会社

(提出会社)

中国における食品事業「開曼島商頂新控股有限公司」の株主間契約

(英領ヴァージン諸島)

Ho Te Investments Limited他

2015年

3月

2015年

3月

無期限

(但し一定の終了事由あり)

アサヒ飲料

株式会社

(連結子会社)

「シャンソン十六茶」バルクの継続的売買及び商標の使用許諾に関する契約

(注)

株式会社シャンソン化粧品

1998年

12月

1998年

12月

自動更新

Asahi

International Ltd

(連結子会社)

英国においてFullers,Smith Turner社が運営するパブに対するビール等の飲料の供給契約

Fuller,Smith&Turner

plc

2019年

4月

2023年

4月

いずれの当事者も5年間の期間の延長を相手方に請求できる

CUB PTY LTD

(連結子会社)、

(CUBの義務履行に関する保証のみ)

アサヒグループ

ホールディングス

株式会社

(提出会社)

豪州におけるCorona・Lowenbrau等のビールの継続的供給及びブランドの使用許諾に関する契約(但し、2021年1月5日付けでHeineken社に売却された、Stella Artois及びBeck’sに関する保証債務は消滅)

ANHEUSER-BUSCH INBEV SA/NV

2020年

6月

2020年

6月

無期限

(但し一定の終了事由あり)

CUB PTY LTD

(連結子会社)

豪州におけるCUB PTY LTD等の買収事業の内、豪州競争法当局の承認を受けた問題解消措置としての一部ブランド(ビール及びサイダー)の売却に付随する買主のための製造受託。

DBG (Australia) Pty Ltd及び

SBM Beer Pty Ltd

2021年

1月

2021年

1月

最長2年間

(注) 「シャンソン十六茶」バルクとは、アサヒ飲料社商品「十六茶」の原料茶葉であります。

 

5【研究開発活動】

 アサヒグループでは、第7次中期経営計画の最終年として計画達成、そしてグループの掲げる5つのマテリアリティの実現に向けて、酒類、飲料、食品の各事業においてこれまでにない新たな価値創造に基づく商品の開発を進めると共に、持続可能な社会の実現のための革新的な技術開発に取り組んでいます。不確定な時代だからこそ将来を見通した研究開発の重要性を再認識し、研究開発費の増額を行いました。増額分の主な使途として、研究領域の拡大、個々の研究テーマのさらなる深耕、そしてオープンイノベーションのより一層の加速に充てることで、グループの未来に繋がる研究開発を進めてきました。また、海外のグループ会社も含めたグループ内のシナジーの創出にも努めてきました。

 当年度におけるグループ全体の研究開発費は、14,234百万円です。そのうち酒類事業に係る研究開発費は2,918百万円、飲料事業に係る研究開発費は1,841百万円、食品事業に係る研究開発費は1,629百万円、国際事業に係る研究開発費は2,372百万円、その他の事業又は全社(共通)の研究開発費は5,472百万円です。

 

[酒類事業]

(商品開発関連)

 アサヒビール㈱は、「スーパードライ」のブランドメッセージである「ビールがうまい。この瞬間がたまらない。」に沿った、“ビール飲用価値の再発見と特別な飲用体験を演出すること”を活動テーマとした取り組みを展開しました。家庭内での飲用をより楽しく、ワクワクさせる新しい価値を提供する商品として、開栓するときめ細かい泡が自然に発生して飲食店のジョッキで飲む樽生ビールのような味わいが楽しめる『アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶』を発売しました。開栓したふたと缶体の飲み口は、飲料缶では初採用となるダブルセーフティー構造により、手や口を切る恐れがなく、安心して飲用することができます。更に、家庭用生ビールサービス『THE DRAFTERS(ドラフターズ)』を開始しました。『THE DRAFTERS(ドラフターズ)』は、当社が独自に開発した「本格泡リッチサーバー」を会員に貸し出し、「スーパードライ」(ミニ樽2L)を毎月2回、自宅に定期配送するサービスです。また、多様化するお客さまのニーズにお応えすべく、季節や地域に応じた限定醸造品を発売しました。『アサヒスーパードライ 北海道工場限定醸造』は北海道厚真産米を用いて北海道工場で製造し、北海道限定で発売しました。『アサヒスーパードライ 東北復興応援 東北素材』は岩手県産ホップと宮城県産米「だて正夢」を使用し、福島工場で製造し東北6県(青森県、岩手県、秋田県、宮城県、山形県、福島県)で限定発売しました。中元ギフト限定商品は『アサヒスーパードライ ジャパンスペシャル 涼味』を発売しました。国産原料100%のこだわりはそのままに、「ジャパンスペシャル」よりも発酵度を上げた「高発酵醸造」と国産の希少ホップを2回に分けて投入する「ホップ2段添加製法」を採用することで、上質なうま味と爽快な後味を実現しました。歳暮ギフト限定商品は、『アサヒスーパードライ ジャパンスペシャル 香り華やぎ』と『アサヒスーパードライ ジャパンスペシャル 熟成仕立て』を発売しました。『アサヒスーパードライ ジャパンスペシャル 香り華やぎ』は「ジャパンスペシャル」よりも高い濃度で麦汁を発酵させる「高濃度醸造」と希少な国産ホップを2回に分けて投入する「ホップ2段添加製法」を採用することで、華やかな香りと余韻を実現し、『アサヒスーパードライ ジャパンスペシャル 熟成仕立て』は「ジャパンスペシャル」よりも熟成期間を長くし、アルコール度数6%の飲みごたえと芳醇な味わいに仕上げました。

 また、『アサヒ生ビール』の缶を発売しました。長年飲食店の専用商品として愛され続けてきた “コクがあってキレがある。さらにまろやかなうまみのある”ビールです。商品を開発する際の社内での呼称である開発記号として“幸運の不死鳥(FORTUNE PHOENIX)”を由来とする“マルエフ(F)”と名付けられていたため、パッケージには“幸運の不死鳥”のアイコンとともに“通称 マルエフ”と“復活の生”という文言を記載しました。

 和のプレミアムビール『花鳥風月』を東北6県(青森県、岩手県、秋田県、宮城県、山形県、福島県)で限定発売しました。国産麦芽とアロマホップを100%使用するとともに、上面発酵酵母を用いて、厳選した原料でじっくり丁寧に醸造する「吟醸づくり」により、華やかで心地よい吟醸香と味わい深い芳醇なコクを実現しました。

 発泡酒市場では、業界で初めて“糖質ゼロ※1”を実現した発泡酒である『アサヒスタイルフリー<生>』のクオリティアップを行いました。『アサヒスタイルフリー<生>』はすっきり爽快な飲みやすさとしっかりとした麦の味わいが特長で、今回のクオリティアップでは仕込み工程において煮沸時間を短くすることで、麦の芳醇な香りを高め、ビールらしい飲みごたえを向上させました。

 新ジャンル市場では、『クリアアサヒ』から季節限定商品を発売しました。春限定商品『クリアアサヒ 桜の宴』は「クリアアサヒ」ならではの“爽快な飲みごたえ”はそのままに、ドイツ産ホップ「カリスタ」を一部使用し、華やかな香りで春らしい味わいに仕上げました。夏限定商品『クリアアサヒ 夏日和』は、冷涼感を感じられる香料を使用することで、冷たくひんやりとした爽快な飲みごたえとすっきりした味わいを実現しました。秋限定商品『クリアアサヒ 秋の宴』は「ミュンヘン麦芽」「クリスタル麦芽」「ロースト麦芽」といった3種の濃色麦芽を一部使用し、原麦汁エキス濃度を高めることで、秋らしい焙煎香としっかりとしたコクのある味わいを実現しました。冬限定商品『クリアアサヒ 冬みやび』は華やかな香りが特長のサフィアホップを一部使用して、華やかな香りとまろやかなコクが特長に仕上げました。更に、地域限定商品『クリアアサヒ 東北の恵み』を発売しました。山形県産「初摘みホップ」と宮城県産「希望の大麦※2」を一部使用し、華やかなホップの香りと大麦の芳醇な味わいに仕上げました。

 また、発売2年目となる『アサヒ ザ・リッチ』のクオリティアップを実施しました。今回のクオリティアップでは、ドイツ・ハラタウ産ホップの使用量を増やすとともに、副原料の使用量など原料配合の最適化により後味を良くすることで、これまで以上に飲み飽きない味わいを実現しました。“泡持ち”を良くする成分を極力多く残す製法「泡リッチ製法」により、クリーミーで豊かな泡の“泡持ち”が向上しました。

 その他として、『アサヒ オフ』のクオリティアップを行いました。『アサヒ オフ』は、“プリン体ゼロ※3・糖質ゼロ※1・人工甘味料ゼロ”の3つのゼロが特長のカロリー最少級※4の新ジャンルです。今回のクオリティアップでは、うまみ成分を増量したコクの強い麦芽エキスを新たに採用することで、麦由来の香味を高めました。

 ビールテイスト飲料市場では、アルコール度数0.5%の“微アルコール”ビールテイスト飲料『アサヒ ビアリー』を発売しました。お酒の飲み方の多様性を提案する「スマートドリンキング」※5の考え方のもと、アルコールが微かに含まれるアルコール度数1%未満の商品を新カテゴリー“微アルコール”として展開しました。『アサヒ ビアリー』は、100%ビール由来原料ならではの麦のうまみとコクを実現したアルコール度数0.5%のビールテイスト飲料です。ビールのようなうまさを楽しめてちょっと心地いい、自分時間を大切にしたい人たちへご提案する“微アルコール”という新しいカテゴリーの商品です。独自の仕込工程で香り豊かでコク深いビールを醸造した後、脱アルコール工程でアルコールを除去する製造手法を採用しました。ビール特有の「発酵由来の複雑な香気成分」を残しつつ、アルコール分だけを丁寧に抜き取る独自の蒸溜技術でビールらしい本格的な味わいに仕上げました。仕込工程においては、ビール類製造で培った独自技術によってエキス分に含まれる糖を調節し、味わいの骨格やコクを担保しました。脱アルコール工程では、独自の低温蒸溜によってビール由来の香味を損なうことなくアルコールを分離させました。約3年半の開発期間に約100回の試験製造を繰り返して、アルコール度数0.5%の“微アルコール”でビールらしい麦のうまみやコクを楽しめる味わいを実現しました。更に、麦のうまみとコクに加えて、フルーティーで華やかな香りが感じられる『アサヒ ビアリー 香るクラフト』を発売しました。

 また、「アサヒドライゼロ」から期間限定『アサヒ ドライゼロサマーショット』を発売しました。『アサヒ ドライゼロサマーショット』は、「ドライゼロ」ブランドの特長であるビールらしい味わいはそのままに、冷涼感を感じられる香料を使用することで、冷たくひんやりとしたのどごしを実現しました。

 RTD※6市場では、「アサヒ贅沢搾り」のリニューアルを実施しました。各フレーバーで原材料の配合比率を見直すことで、ブランド特長であり、お客様からも高く評価いただいている果実の味わいを強化し、従来以上に豊潤な味わいや香りを実現しました。また、「アサヒ贅沢搾りプラス」シリーズである『アサヒ贅沢搾りヨーグルトテイストプラスベリーミックス』と『アサヒ贅沢搾りヨーグルトテイストプラス柑橘ミックス』のリニューアルも実施しました。更に、厳選された果汁を使用した “プレミアム”シリーズとして『アサヒ贅沢搾り プレミアムみかんテイスト』と『アサヒ贅沢搾り 期間限定プレミアムトマト』を発売しました。『アサヒ贅沢搾り プレミアムみかんテイスト』は、果汁100%ジュースのロングセラーブランド「ポンジュース」でおなじみの株式会社えひめ飲料が製造する“ポン果汁”を30%使用しました。『アサヒ贅沢搾り 期間限定プレミアムトマト』は、カゴメ社のトマト1個分の果汁を使用したトマトテイストのチューハイで、“トマトのプロ”であるカゴメ社が厳選したトマトを、独自技術で濃縮したトマト果汁を使用しました。その他、限定商品として「パイナップル」、「ライチ」、「りんご」、「3種の柑橘クエン酸」、「国産和梨」、「洋なし」、「ハニープラスレモン」のフレーバーを発売しました。

 「樽ハイ倶楽部」ブランドから『樽ハイ倶楽部梅干しサワー』を通年商品として発売しました。「樽ハイ倶楽部」は1984年より飲食店向けに展開している“日本初”の樽詰めサワーで、2020年末時点で約10万店の飲食店にて取り扱われている35年以上の歴史があるブランドです。また、限定商品としては『樽ハイ倶楽部 期間限定レモンマシマシサワー』を発売しました。「樽ハイ倶楽部」のレモンサワーが自宅で味わえる瓶入りリキュール『樽ハイ倶楽部レモンサワーの素』も発売しました。

 「アサヒ ザ・レモンクラフト」はリニューアルを実施し、コンビニエンスストア限定から全業態に販路を拡大しました。「アサヒ ザ・レモンクラフト」は、5種類のレモン素材※7を使用したレモンのみずみずしい香りと豊かな果実味が特長のボトル缶チューハイです。リニューアルでは原材料の一部を見直し、香りと味わいを強化しました。また、限定商品として『アサヒ ザ・レモンクラフト 期間限定 地中海レモン』と『アサヒ ザ・レモンクラフト 期間限定 至福のレモン』を発売しました。

 その他、「カロリー60%オフ」「糖類0※1」というお客さまの健康意識に配慮した特長にくわえ、つぶつぶの果肉やアロエによる食感を楽しめる「アサヒ Slat(すらっと)」から『アサヒ Slat(すらっと)期間限定南国ライチサワー』と『アサヒ Slat(すらっと)冬限定和柑橘サワー』を発売しました。また、「ウィルキンソン タンサン」を使用し、当社RTD史上“過去最高のガス圧”による炭酸の爽快さが特長の「『ウィルキンソン』・ハイボール」から、「『ウィルキンソン』・ハイボール 期間限定ジンジャエール」を発売しました。

 お酒の飲み方の多様性を提案する「スマートドリンキング」の考え方に基づき、アルコール分0.5%の“微アルコール”ハイボール『アサヒ ハイボリー』とアルコール分3%のハイボール『アサヒ ハイボリー 3%』発売しました。「ハイボリー」は、ウイスキーを炭酸水で割った本格的な香りや味わいが楽しめる缶ハイボールです。ニッカウヰスキー社のブレンダーが厳選した華やかな香りが特長のモルト原酒とまろやかな味わいが特長のグレーン原酒を使用しています。キーモルトにスコットランド産のヘビーピート原酒を使用することで、香味に深みや重厚さが加わり、アルコール分低めの0.5%と3%でありながらも、ウイスキーの本格的な味わいや上質な余韻をお楽しみいただけます。

 サワーテイスト清涼飲料※8市場においては、『アサヒスタイルバランス』をリニューアルし、新たに『アサヒスタイルバランスプラス』として発売しました。<レモンサワーテイスト>、<香り華やぐハイボールテイスト>は中味とパッケージを、その他フレーバーはパッケージをリニューアルしました。今回のリニューアルにより<レモンサワーテイスト>は、甘さを抑えたすっきりしたレモンの酸味で、レモン特有の果実感のある香味を実現し、飲みやすい味わいに仕上げました。<香り華やぐハイボールテイスト>は、炭酸ガス圧を高め、爽快感のある味わいを実現しました。

 ウイスキー市場では、『ブラックニッカ クリア 紙パック1,800ml』のパッケージをリニューアルし、捨てやすさを訴求し、様々な飲み方を提案するデザインにしました。更に森林を守ることにつながるFSC認証を取得した紙パックに変更しました。『ブラックニッカ ディープブレンド 瓶・180ml』を新発売し、ラインアップを拡充しました。限定商品として『シングルモルト余市 ノンピーテッド』『シングルモルト宮城峡 ピーテッド』を発売しました。

 焼酎市場では焼酎甲類乙類混和売上No.1ブランド「かのか」から、ブランド初のコラボレーション商品となる『イカ天瀬戸内れもん味にぴったりの麦焼酎 かのか 25度1.8L』と『のり天にぴったりな麦焼酎かのか 25度1.8L』を発売しました。まるか食品株式会社が製造・販売する人気商品『イカ天瀬戸内れもん味』と「のり天」シリーズにぴったりの味わいに仕上げました。

 ワイン市場では、『ニッカ シードル紅玉リンゴ』『ニッカシードル トキりんご』『ニッカ シードルヌーヴォスパークリング2021』を期間限定で発売しました。

 

※1:食品表示基準による。以下同様。

※2:「希望の大麦」は、(一社)東松島みらいとし機構(HOPE)とアサヒグループの協働プロジェクト「希望の大麦プロジェクト」により誕生しました。本プロジェクトは、宮城県東松島市の被災した土地で栽培した「大麦」を通じて、地域に「なりわい」と「にぎわい」を創出することを目指しています。

※3:100ml当たりプリン体0.5mg未満を「プリン体0」と表示しています。

※4:100ml当たり22kcal。発泡酒をベースとした当社「リキュール(発泡性)②」比

※5:「スマートドリンキング」とは、お酒を飲む人・飲まない人、飲める人・飲めない人、飲みたい時・飲めない時、あえて飲まない時など、さまざまな人々の状況や場面における “飲み方”の選択肢を拡大し、多様性を受容できる社会を実現するために商品やサービスの開発、環境づくりを推進していくことです。当社は、お酒の飲み方に多様性を提案する「スマートドリンキング」宣言を2020年12月に発表しました。

※6:「Ready to Drink」の略。購入後、そのまま飲用可能な缶チューハイなどを指します。

※7:レモンオイル/グリーンレモンオイル、旬果レモンスピリッツ、凍結レモンピールエキス、瀬戸内産レモンエキス、シチリア産レモン果汁。

※8:ノンアルコールでサワーやカクテルのような味わいを楽しめる清涼飲料の総称です。

 

(技術開発関連)

 中味開発において、「スーパードライ」がイギリスの酒類専門誌「ドリンクス・インターナショナル」が発行する「Drinks International Annual Brands Report2021(ドリンクス・インターナショナル2021)※1」のビールカテゴリーにおいて、「BEST SELLING部門」「TOP TRENDING部門」の2部門で、日本のビールメーカーとして初めて“最高賞”を獲得しました。ビールカテゴリーの賞は「BEST SELLING」「TOP TRENDING」の2部門があり、すべてのブランドの中で最も売れているもの(BEST SELLING)、最も注目されているもの(TOP TRENDING)という観点で、それぞれ最高賞が決められます。

 容器包装分野では、『アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶』が国際的なビールコンテスト「International Beer Challenge 2021※2」の「Design & Packaging Awards」において金賞を受賞しました。「Design & Packaging Awards」は“オリジナリティー、市場や産地との関連性、缶や瓶の形状、中身の液体との関連性、缶や瓶のラベル・デザイン・素材の創造性”などの観点で審査され、最も優れた商品が表彰されます。

 また、環境に配慮したパッケージ開発の一環として国産最軽量※3となるビール類202径アルミ缶蓋を東洋製罐株式会社と共同で開発しました。202径アルミ缶蓋はこれまでの204径アルミ缶蓋に比べ、缶の品質や強度はそのままに缶蓋の直径を約3mm小さく、缶蓋1枚あたりのアルミニウム使用量は従来の約2割減となる2.5gとなりました。これまで204径缶蓋を使用している当社商品全てをこの202径缶蓋に切り替えた場合、年間約14,300tのCO2排出量を削減できる見込みです。北海道工場で「アサヒ スーパードライ」「アサヒスタイルフリー〈生〉」「クリアアサヒ」「クリアアサヒ贅沢ゼロ」「アサヒオフ」ブランドでテスト販売した結果も良好であり、本格的な展開を検討していきます。

 また、6缶パックにおける紙の使用量を大幅に削減した新資材「エコパック」を採用しました。「エコパック」は、缶の上部のみ固定する紙資材で、缶容器の6缶パックとして日本で初めての採用となりました。「エコパック」を採用することで、従来使用していた6缶パック資材と比べ、紙の面積は缶350mlの6缶パックで77%、缶500mlの6缶パックで81%削減できます。使用する紙の重量は缶350mlの6缶パックで65%、缶500mlの6缶パックで73%の削減を実現できます。仮に、当社が製造する6缶パック全てを本資材に切り替えた場合、年間で紙の使用量は約8,800t、資材製造に伴うCO2排出量を7,400t削減※4できる見込みです。本資材を使用した『アサヒスーパードライ エコパック』をテスト販売した結果も良好であり、2023年からの本格展開を目指します。

 地球にやさしいエコカップ「森のタンブラー」をリニューアルしました。「森のタンブラー」は“使い捨て”という消費行動自体を変革することを目標とし、“使い捨て”しない飲料容器として開発したエコカップです。パナソニックが開発した「高濃度セルロースファイバー成形材料」を原材料としています。今回のリニューアルでは、使用している材料の植物繊維(セルロースファイバー)の使用比率を55%から70%まで引き上げ、「森のタンブラー」1個あたりのプラスチック使用量を33%削減し、さらなる環境負荷の低減を実現します。また、地域と連携した環境負荷低減の取り組みに力を入れました。株式会社アップサイクルジャパンと協業して神奈川県秦野市のヒノキの梢を主原料とした「梢プロジェクト 森のタンブラーHINOKI」や、和歌山県白浜町のアドベンチャーワールドと同施設のSDGsパートナーであるおもろいカンパニー合同会社と協力し、飼育するパンダが食べずに廃棄していた竹を使った「パンダバンブータンブラー」を開発しました。

 

※1:イギリスの酒類専門誌「ドリンクス・インターナショナル」が毎年発行している、世界一流のバーを対象にしたブランド調査です。調査の対象となるバーは、「THE WORLD'S 50 BEST BARS」に選ばれている50店のバーの他、世界の主要な賞にノミネートされるバーから厳選されており、2021年は世界33カ国のトップバー100店舗が調査に参加しました。

※2:「International Beer Challenge」は、本年創設25周年を迎えた国際的なビールコンテストで、香りや味を審査する「Tasting Awards」、デザインなどを審査する「Design & Packaging Awards」があります。毎年40カ国以上からエントリーがあり、国際的に著名な審査員による厳正なる審査の上、それぞれの賞が決定されます。

※3:当社調査によるもので、缶135mlを除くビール類用缶胴(66mm径)向けの缶蓋として国産最軽量(2021年8月時点)

※4:2019年当社6缶パック全商品の出荷実績による。

 

[飲料事業]

(商品開発関連)

 アサヒ飲料㈱は「ブランドを磨き、ブランドで挑む」との方針のもと、「お客様との共感」をテーマに、変化する生活に寄り添い、当社の強みをさらに磨き、商品・活動を通じて「健康」「環境」「地域共創」の領域で社会課題解決に向け取り組むことで、社会でひときわ存在価値が高く社会からいちばん信頼される企業を目指しております。

 研究開発部門においては、「三ツ矢」、「ウィルキンソン」、「カルピス」、「ワンダ」、「十六茶」、「おいしい水」の6つの重点ブランドについて、ブランド価値向上、および新規領域の強化に取り組んで参りました。

 「三ツ矢」ブランドにおいては、昨年好評であった復刻版シリーズの『三ツ矢サイダーレモラ』のリニューアルを3月に実施。有糖炭酸の“おいしさ”と無糖炭酸の“さっぱり”を兼ね備えた、甘すぎないハイブリッドな炭酸飲料として、レモンの爽やかな香りにライムフレーバーのアクセントを効かせた味わいが支持され、目標300万箱を超える販売数量を達成しました。有糖炭酸飲料領域においては、「さっぱりしたい」「リフレッシュしたい」といったニーズに応えるため、本格的な果実の味わいや爽やかな酸味を追求した「『三ツ矢』特濃」シリーズとして「『三ツ矢』特濃オレンジスカッシュ」、「『三ツ矢』特濃レモンスカッシュ」「『三ツ矢』 特濃ライムミックス」など3品を展開。さらに国産品種指定果実の果汁を使用した「『三ツ矢』にほんくだもの」シリーズを4品展開いたしました。また、「三ツ矢」ブランド史上初のフローズン飲料となる「『三ツ矢サイダー』フローズン」、暑い夏の健康的な生活のサポートに適した熱中症対策飲料として「『三ツ矢』ソルティ」など、多様な消費者のニーズに対応して参りました。加えて、チャネル限定ではありましたが、果汁100%の炭酸飲料として他社と差別化し、高価格帯で発売した「『三ツ矢』クラフト」シリーズが好評を博すなど、今後の高付加価領域への展開に関して良好な感触を得ることが出来ました。これらの活動の結果として、「三ツ矢」ブランドの年間販売数量4,162万箱(前年比102%)となり、2年連続で過去最高を更新しました。

 「ウィルキンソン」ブランドにおいては、コロナ禍における消費者の生活スタイルが変化し在宅時間が多くなる中、「気分をすっきりさせたい」「リフレッシュしたい」という意識や、コロナ太りなどを気にした健康意識の高まりから無糖炭酸飲料の需要が高まっています。そのような中で家での直接飲用や家飲みの割り材として家ナカ需要に対応したことでPET1Lや4本パック、箱売りが好調に推移しました。中でもPET1Lは各種キャンペーンや販促が奏功し、前年から大きく伸張して販売数量の拡大に大きく貢献しました。また、「ウィルキンソン」ブランドの第2の柱である『ウィルキンソン タンサン レモン』のリニューアルを7月に実施。女性ユーザーの飲用拡大に成功し、前年を上回る販売数量を達成しました。新規ユーザー拡大に向けたフレーバー展開としては、3月に『ウィルキンソン タンサン グレープフルーツ』、4月に『ウィルキンソン タンサン ウメ』、7月に『ウィルキンソン タンサン ピーチ』、9月に『ウィルキンソン タンサン マスカット』、12月に『ウィルキンソン タンサン ライム』を継続して発売しました。「ウィルキンソン」ブランドはメガブランドと位置付けられる3,000万箱の大台を1904年の発売から初めて突破し、14年連続で過去最高の販売数量を更新しました。

 カルピスブランドでは、発売30周年を迎える「カルピスウォーター」のリニューアルを実施し、さらに新たな顧客開拓を目的とした新商品「CALPIS Light Blue」を開発、発売しました。また、希釈して飲用するコンクタイプ、そのまま飲用するストレートタイプ、炭酸タイプにおいて、季節ごとに様々な種類の果実と「カルピス」を組み合わせた新商品を数多く展開しました。昨年、発売した乳原料を使用せず豆乳で作った「GREEN CALPIS」は容器を変更しながら、さらにおいしくカルピスの味わいが楽しめる中身のリニューアルを実施し、乳アレルギーを持つ方々から引き続き好評を得ております。

 「ワンダ」ブランドでは、引き続きボトル缶市場への継続的な商品展開を行いました。ボトル缶市場に向けては、継続して「ワンダ 極」シリーズを積極的に展開。「微糖」、「ブラック」、「カフェオレ」に加えて「贅沢な糖類ゼロ」を発売し、コロナ禍における健康意識や気分切り替えニーズに対応した飲用機会の拡大を図りました。PETコーヒー市場では、ドトールコーヒー社監修の「ドトール カフェ・オ・レ」、季節限定の「ドトール シーズンカフェ」シリーズを展開。 「塩キャラメルラテ」、「ほうじ茶ラテ」を新発売し、コーヒー市場の活性化を図りました。

 「十六茶」ブランドにおいては、「アサヒ 十六茶」が2005年から「カフェインゼロ」として生まれ変わり、2021年で17年目をむかえました。2021年は、新たに発酵素材をブレンドし、香ばしさを強化。中味・容器・パッケージを一新しました。また、健康機能価値を付与した「十六茶プラス」シリーズを改訂。内臓脂肪、脂肪、糖のトリプルヘルスクレームの機能性表示食品「『アサヒ 十六茶プラス』3つのはたらき」を発売しました。その他、「十六茶麦茶」、「十六茶旬素材ブレンド」、「ぎゅっと濃い十六茶」、「十六茶 ほっと温まる 機能性表示食品」を展開し、「十六茶」ブランドの飲用機会拡大を図りました。

 「おいしい水」ブランドにおいては、これまで展開していた「ラベルレス」ボトルに加え、新たに「シンプルecoラベル」を投入することで、環境負荷低減という新たな価値の提供を進めて参ります。

 また、海外展開の取り組みとして、台湾においては、「カルピス」ブランド、「十六茶」ブランド、「ワンダ」ブランド、「三ツ矢」ブランド、「ウィルキンソン」ブランド、「ほっとレモン」を展開しています。特に「カルピス」ブランド、「十六茶」ブランド、「ほっとレモン」は現地製造品を展開しており、「十六茶」ではLL紙容器を本年ラインナップに加えました。台湾は従来リサイクルPETボトルの流通が認められていませんでしたが、本年当社を含めた企業・業界の働きかけにより、一定条件下においてリサイクルPETの使用が認められる状況となりました。米国は「CALPICO」ブランド、「十六茶」ブランドを展開しており、「CALPICO」のOriginal、Mango、Strawberry、Lychee、White Peachの5フレーバーについて、現地の健康ニーズの高まりに対応し、砂糖類を減量した配合での展開を完了しました。また、従来からロシアへは一部製品を輸出しておりましたが、この度隣国のモンゴルへ「カルピス」製品の輸出を開始しました。

 なお、「おいしさ」の定性・定量評価にかかる技術開発には特に力を入れており、比較的新しい官能評価手法であるCATA-PA法に当社独自の官能評価手法を融合させた高度化した商品評価方法を構築し、より精緻にお客様の嗜好性を把握して商品改善につなげる取り組みを進めています。

 また、長引くコロナ禍において、社会として健康意識が高まる中、日本中のみなさまが毎日の「飲みもの」を通じて、ココロもカラダも健康になれる事を目指し、アサヒグループ独自の確かなエビデンスを有した素材を使用した製品の開発や、「安全」「安心」といった各ブランドがもつベーシックな「健康」価値の訴求を強化することで、健康課題解決に向けた取り組みを推進しています。これらの活動を通じて「アサヒ飲料㈱=健康に強みを持つ会社」というイメージの醸成を目指して積極的な取り組みを実施しています。その中でも、本年は昨年から継続して「炭酸水」のもつ健康増進効果の解明に取り組みました。理化学研究所 水野敬先生との取り組みでは、これまでに明らかとなった炭酸水を継続的に飲用することによる抗疲労をはじめ様々な健康増進効果について第17回日本疲労学会総会・学術集会で発表するなど、研究成果の発表を進めて参りました。また、これまでの「炭酸水」の健康増進効果の研究成果を世の中に向けて発信するためのプラットフォームである「アサヒ炭酸ラボ」を設立し情報発信の強化を推進しました。今後についてもみなさまにワクワクと笑顔をお届けできるよう情報発信を強化していく予定にしています。

 これらの取り組みを通じて、お客様にとってアサヒ飲料㈱の商品は確かな価値ある商品であることの理解促進と満足度を高めて参ります。

 “カラダの健康”に関しては、「カルピスの乳酸菌科学」シリーズとして、100mlの小型PETボトルの展開を進めて参りました。「L-92乳酸菌」を配合した「守る働く乳酸菌」に加え、機能性表示食品として、「ストレス・睡眠」、「腸内環境改善」領域では「ガセリ菌CP2305株」を機能性関与成分とした「届く強さの乳酸菌W(ダブル)」、「血圧」領域では「ラクトトリペプチド(VPP、IPP)」を機能性関与成分とした「『アミール』やさしい発酵乳仕立て」、「体脂肪」領域では「乳酸菌CP1563株由来10-ヒドロキシオクタデカン酸(10-HOA)」を機能性関与成分とした「ラクトスマート」を展開しております。また、「認知」領域においては、「年齢とともに低下する記憶力の維持」を訴求する「脳活サポート」を新たに発売いたしました。

 今後ともアサヒグループの確かなエビデンスに裏打ちされた機能性素材や素材活用技術を用いて、新たな健康価値の提案を目指し、積極的な研究開発を推進して参ります。

 

(技術開発関連)

 理化学および微生物分野における技術開発においては、製品や生産工程の品質保証に必要な安全・安心技術(新たな分析技術、解析技術)の拡充と、品質に影響を及ぼす微生物検出技術、同定技術、静菌技術の研究について継続して取り組んで参りました。品質保証のために出荷前に行う微生物検査において、AIを活用した新たな微生物迅速検査法「FLOX-AI」を当社で独自開発し、日本食品微生物学会および日本防菌防黴学会での発表も行いました。微生物検査の工程でAIを活用する取り組みは、清涼飲料業界で初となります。

 容器包装開発においては、持続可能な容器包装の実現に向けて制定した「容器包装2030」に基づき、PETボトルでの環境配慮素材(リサイクル樹脂および植物由来原料を配合したバイオ樹脂)の拡大展開に向けて各種容器容量別での品質評価を行いました。また、プラスチック使用量削減に貢献するラベルレス商品の拡大に向けたあらたな取組みとして、清涼飲料業界初となるレーザーマーカーによるボトルへの表示で完全ラベルレスを実現した『「十六茶」PET630mlダイレクトマーキングボトル』発売に向けた技術評価を行い、ECチャネルにて函売りでのテスト販売を実現しました。単品販売可能なラベル最小化商品としては、『「アサヒおいしい水」天然水シンプルecoラベルPET585ml』の発売に向けた専用ボトルの開発を行いました。本ボトルはラベルレスボトル商品の単体販売による環境負荷低減の取り組みが評価され、グッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞いたしました。お客様の更なる利便性向上を目指した取組みでは、段ボールカートンについて店頭および家庭での開け易さと使用後の畳み易さの向上を目的とした開発を行い、「十六茶」「ウィルキンソン」「アサヒおいしい水」ブランドへの展開を行いました。引き続き、品質技術、容器包装技術の両面において飲料業界のリーディングカンパニーとしてふさわしい技術開発を推進して参ります。

 

[食品事業]

(食品開発関連)

 アサヒグループ食品㈱は 主要ブランドを中心にアサヒグループ食品ならではの提供価値を訴求してきました。

 「ミンティア」ブランドは、タブレット菓子としてのおいしさや、食感、パッケージに至るまで全てにこだわった多彩な商品ラインアップの提案を続けてきました。2021年は、従来の“通勤・通学”などのオンタイム&リフレッシュに加え、新しい生活様式で高まる、“マスク着用時”や“在宅勤務中”のリフレッシュニーズにも対応した新たな商品『ミンティア +MASK ペパーミント』『ミンティア +MASK シトラスミント』『ミンティアブリーズ+MASK レモンライムミント』を全国で新発売し、継続的な需要喚起を図りました。また、オーラルケアへの関心の高まりに対応して、錠菓市場で国内初※1となる歯垢の生成を抑えるのを助ける機能が報告されているエピガロカテキンガレート(EGCg)を配合した機能性表示食品『ミンティアエクスケア デンタルプラス ペパーミント』を発売しました。

 “おいしさ”と“食べ応え”のダブルの満足が得られることから好評をいただいている「1本満足バー」では、「1本満足バー プロテイン」シリーズから、プロテイン15g配合で、糖質をカットした甘さ控えめのブラックチョコレートを使用した『1本満足バー プロテインブラック』を追加販売しました。「1本満足バー プロテイン」シリーズにより、「1本満足バー」ブランドの売上は、好調に推移しています。

 「クリーム玄米ブラン」ブランドから初の機能性表示食品として、不足しがちな栄養成分の補給とともに、腸内環境の改善に役立つ機能があることが報告されている ガセリ菌CP2305株が配合された『クリーム玄米ブランプラス 豆乳&カスタード』『クリーム玄米ブランプラス ごま&塩バター』を発売し、さらなる市場活性化を図りました。さらに、ダイエット意識の高まりに着目し、1個当たり80kcalでしっとりとした食感が特長の『クリーム玄米ブラン 80kcal バニラミルク』『クリーム玄米ブラン 80kcal ビターチョコ』を発売し、新規層のトライアル獲得に貢献しました。

 「キャンディ」では、舐めることで栄養補給ができる「キャンディサプリ」としてキャンディ4粒で美味しく手軽に栄養補給ができる袋入りキャンディ『キャンディサプリ 1日分のビタミンC』を発売しました。間食などのリフレッシュタイムをはじめ、外出時にも手軽に健康をサポートできる商品としてキャンディのユーザー層や喫食機会の拡大を図りました。

 カップスープカテゴリーでは、ワンカップ市場※2での独自ポジションの確立のため、小腹を満たしながらも特長のある製品を発売しております。2021年は手軽に糖質コントロールのできる「おどろき麺0(ゼロ)」シリーズから『おどろき麺0(ゼロ) 鶏だし旨塩麺』を、「おどろき野菜」シリーズからは1食分の野菜※3が摂れ、さらに最近注目されているたんぱく質を5g配合した『おどろき野菜 1食分の野菜 チキンとキャベツのクリームスープ』他1品を発売しました。また、食べ応えが抜群で1/2日分の野菜※4が摂れるはるさめスープも含めて、手軽に野菜を摂取できるとともに本格的な味わいにこだわった多彩なメニュー提案を行いました。

 フリーズドライ食品カテゴリーでは、主力の「いつものおみそ汁」シリーズからレギュラーライン1品、贅沢ライン3品の追加を行った他、素材と具材のうまみを楽しむ「Theうまみ」シリーズからスープ2品を追加いたしました。そして、惣菜、雑炊、シチュー、カレー、チーズリゾットを「お食事メニュー」シリーズとして、全13品のラインナップにて発売し、フリーズドライ製法の特長を活かし、“おいしさ”“楽しさ”“驚き”を提供しながら、お客様の毎日の食卓に健やかで笑顔のある食生活を提案いたしました。一方、通販専用商品としては、血圧が高めの方におすすめの機能性表示食品である「やさしいおみそ汁」シリーズを「やさしさプラス」シリーズにリニューアルし、おみそ汁以外の商品が欲しいとのお客様からの声を参考に、新たにスープ2品を追加、全7品でのシリーズ展開といたしました。また、通販商品の主力である「まごころ一杯」シリーズをリニューアル、同時に新商品4品を加え、定番、減塩それぞれ10品ずつの計20品の品揃えを行いました。今回のリニューアルでは、国産野菜にこだわり、おみそ汁に使う「みそ」は米糀をたっぷり使った「十割糀みそ」を採用し、商品ごとに配合率を変えています。また、かつお節や昆布などのだしを使用したおみそ汁に、香り高いかつおだしを重ねる当社独自の「重ねだし製法」を取り入れ、こだわった商品としています。さらには当社のフリーズドライ技術と工夫が詰まった『フリーズドライの匠 海老天とじ丼の素』を数量限定で発売し、フリーズドライのおみそ汁への関心が高まる中、みそ汁、吸物類フリーズドライ市場売上NO.1※5のメーカーとして、お客様のさらなるフリーズドライ商品の利用拡大に取組んでいます。

 ベビーフードカテゴリーでは、「手作り応援」シリーズから、『たっぷり手作り応援 おいしいパンがゆ風』を新発売するとともに既存品2品をリニューアルいたしました。また、離乳食は手作りしたいけれどなるべく手間をかけずに準備をしたいとの声にお応えし、ご家庭にある食材と混ぜたりかけたりするだけで、離乳食の味付けが簡単にできるお子さま向け調味ソースとして「そのままソース」シリーズ3品を発売しました。ツインパウチタイプで1回分ずつ切り離せるため、1食分に最適な量が使え、保管に便利なことも特長となっています。1歳からのお子さまが自分で飲みやすくこぼしにくいジュレタイプ飲料の「1歳からのMYジュレドリンク」シリーズでは、8種の野菜と3種のくだものが入った「1/2食分の野菜※6&くだもの」シリーズ3品と『アクアライト りんご』をリニューアルするとともに『はじめてのカルピス®ジュレ』など4品を新発売し、伸長しているジュレタイプ飲料商品を強化することで市場の活性化とユーザー層の拡大を図りました。

 シニア向けカテゴリーでは、“かまなくてよい”区分の『バランス献立 なめらかおかず 鶏と野菜のシチュー』『バランス献立 なめらかおかず 牛肉と野菜のビーフシチュー』『バランス献立 なめらかおかず 鶏肉と野菜 筑前煮風』『バランス献立 なめらかおかず 牛肉と野菜 しぐれ煮風』『バランス献立 なめらかおかず 白身魚と野菜 クリーム煮』の5品をリニューアル発売し、“容易にかめる”“歯ぐきでつぶせる”区分から、見た目や食感の満足感を向上させた「具材を楽しむ」ラインなど、新しい生活様式下で増えつつある在宅介護に向けた新価値を提案しています。

 当社調査によると、20~50代女性が魅力的に感じるダイエット関連のヘルスクレームの上位に「体脂肪を減らす」「内臓脂肪を減らす」等が挙がっています。そこで、粉末シェイクに「肥満気味の方のおなかの脂肪(体脂肪・内臓脂肪)を減らすのを助ける」機能性関与成分、乳酸菌CP1563株を配合した新ブランド「SUS(エスユーエス)」を発売しました。

 家族の健康維持のために毎日の食生活の栄養サポートがますます求められる中、ディアナチュラから乳酸菌や、ビタミンDを強化したラインアップ『ディアナチュラ ビタミンD強化マルチビタミン・亜鉛・乳酸菌 30日』『ディアナチュラスタイル 乳酸菌×マルチビタミン 20日』を発売しました。

 新しい生活様式下で衛生用マスク着用が求められている中、当社調査によると、現在気になっている肌悩みとして「しみ」・「毛穴」・「しわ」・「ハリ・弾力」等、なんらかのお悩みを挙げた方のうち、約半数はその悩みは2020年3月以降から気になるようになったと回答しています。その肌悩みに対応すべく、プラセンタを手軽に使えるブランド「素肌しずく」から『素肌しずく ジェルマスク』『素肌しずく クリームマスク』を発売しました。2品ともに、シート貼りなし・放置時間なし・洗い流し不要・拭き取り不要・ワンタッチ容器という時短簡便を叶えるスキンケアアイテムです。

 機能性表示食品市場は年々拡大しています。通販カテゴリーでは、既存ブランドの『ビオマイン』(枯草菌(バチルス・サブチルス)C-3102株を配合)を機能性表示食品としてリニューアル発売しました。枯草菌C-3102株には、腸内にもともといる善玉菌(ビフィズス菌、酪酸産生菌)を増やすことで腸内環境(腸内フローラ)を整えることが報告されています。また、『ロコトモ』(乳酸菌CP2998株 (L. curvatus CP2998)を配合)に関しても、機能性表示食品としてリニューアル致しました。乳酸菌CP2998株は、健常な高齢者の加齢によって衰える太ももの筋肉の活動量を上げることにより、歩くピッチおよび歩行速度の向上に役立つ機能が報告されています。

 

※1:機能性表示食品の届け出情報検索を用いたアサヒグループ食品調べ

※2:容器付きでお湯を注いで飲めるものやそのままレンジで温めるだけのもの(インテージ分類定義)

※3:厚生労働省が推奨する1日の野菜目標摂取量(350g)の1/3量(生換算)

※4:厚生労働省が推奨する1日の野菜目標摂取量(350g)の1/2量(生換算)

※5:インテージSRI+:みそ汁、吸物類フリーズドライ市場2019年7月~2021年6月メーカー別累計販売金額

※6:「授乳・離乳の支援ガイド」をもとに算出

 

(技術開発関連)

 当社では、牛乳アレルギーの乳児に対する大豆乳の有用性・安全性に関する研究に助成を行い、その研究成果が国立病院機構相模原病院より第70回日本アレルギー学会学術大会にて発表されました。海外向け育児用粉乳の微生物検査の迅速化に関する研究を行い、その成果を日本食品衛生学会第117回講演会にて発表いたしました。またアサヒグループの独自素材であるラクトトリペプチド(LTP)の摂取による血流への影響に関する論文を「薬理と治療」誌に発表いたしました。

 

[先端研究]

(ヘルス&ウェルネス)

 アサヒクオリティーアンドイノベーションズ㈱では、アサヒグループの先端研究の拠点として、グローカルな独自価値創造の源泉となることを長期ビジョンに掲げ、研究開発を推進しています。その中で、酵母・乳酸菌をはじめとする微生物活用技術や、これまで培ってきた機能性評価技術を活かして、これからの社会に求められる健康機能を有する独自価値を有した素材の開発、飲食の持つ価値の科学的検証、発酵技術を活かした新たな商品開発への貢献、などに取り組んでいます。具体的な研究成果のひとつとして、乳酸菌ラクトバチルス・アシドフィルス L-92株について、新たに免疫調整機能を有することを明らかとしました。L-92株はこれまでもアレルギー症状の緩和などについて既に論文発表を行っていましたが、昨今のコロナ禍において関心の高い免疫機能の分野においても同素材の有用性を科学的に証明いたしました。また、近年注目を集め、世界的にも市場が急成長しているフェムテック分野においても、ラクトバチルス・ガセリCP2305株が女性の月経前の精神的な症状緩和に効果があることを見出しました。女性の約90%が経験したことのある月経前のゆううつな気分、不安感、無気力、疲れやすさ、眠気といった症状の緩和に効果があるパラプロバイオティクス素材であり、女性のQOL改善に大きく貢献することができると期待しております。その他、脳科学とAIを活用するためのコンソーシアムへ参画し、五感入力(刺激情報)を中心にした身体内外の環境変化に対する脳反応のデータを蓄積、解析することで、脳モデルの構築を目指しています。また、酵母に関する蓄積された知見、発酵技術を基にした研究では、その成果を国内はもとより海外グループ会社とも密に連携を行い、その成果を実際の商品開発に活かしています。一方で、アルコール飲料を製造、販売する企業の責任として、アルコール摂取における健康影響に関しても様々な観点から研究を行っています。

 

(サステナビリティ)

 サステナビリティについては、食の安全安心と同様、企業が活動をしていく中で必ず担保していかなくてはならないものであると位置づけて研究活動を行っております。グループとして掲げているアサヒグループ環境ビジョン2050、アサヒカーボンゼロ達成に向けての取り組みの中で、アサヒクオリティーアンドイノベーションズ㈱ではCO2排出量削減の新たなモデルとして、ビール工場排水由来のバイオメタンガスを利用した燃料電池による発電の実証事業を、アサヒビール茨城工場にて環境省補助事業のもと開始しております。連続運転によって初めて明らかとなる種々の問題に関しても都度適切な解決策を適用、バージョンアップを繰り返すことで、順調に稼働を続けております。本発電システムで得られるエネルギーは完全にカーボンニュートラルなエネルギーとなります。CO2削減についてのその他研究として、ボイラーの排ガスからCO2を分離させ高効率に回収する実証試験を行っています。こちらについても施設内に設備を導入し、1万時間を超える連続稼働を続けております。回収されたCO2は大気に放出されず、CO2排出量の削減に繋がります。さらに回収したCO2を有効利用するCCUSの研究として、国内の食品企業として初となるメタネーション設備の導入を行い、CO2回収装置と接続した実証実験を開始、連続運転をお行っております。また、商品の中身品質を高く保ち、輸送時に十分な強度を保持することで、適切な形でお客様へと商品を提供するための容器包装も、環境に与える影響を鑑み、ペットボトルのリサイクル技術や削減技術など多角的な視点で取り組んでいます。これらの取り組みを通じ、持続可能な社会の実現と事業収益向上の両立に貢献してまいります。

 

(新規事業)

 グループの事業へ貢献することの出来る新規事業を創出すべく、新規事業開発を行っております。グループ事業におけるシナジー効果の獲得、従来のバリューチェーンを脅かす可能性のある分野の自社のポートフォリオへの獲得を目的に、既存事業のエクステンションを軸として、ベンチャー企業への投資や協業を通じた事業創出を行っています。具体的には、ベンチャー企業と提携し、コーヒー副産物に含まれる成分を活用した凍霜害防止剤を開発し、事業化を目指した試験販売を実施しており、対象作物や販売先を順次拡大しております。この取組みにより、グループ内の飲料工場から排出されるコーヒー副産物を有効活用しながら、安定的な農作物収穫に貢献することで農家の方々の収入減や離農といった課題に取り組んでいます。ます。その他のグループから出てくる副産物の利活用として、ビール製造工程中の副産物であるビール粕の利活用についても外部企業との協業を軸に検討を進めています。また、これまでも様々な事業の中心的役割を担ってきた酵母についても、より一層の付加価値や新たな機能の獲得のための研究開発を進めており、さらなる新規事業としての活用を志向しております。