第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当第2四半期連結累計期間において、新たに認識した事業等のリスクはありません。

 また、前年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)業績

当第2四半期連結累計期間(2022年1月1日~6月30日)における世界経済は、米国や欧州を中心として景気の回復が見られましたが、ウクライナ情勢の悪化に伴う原材料価格やエネルギー価格の高騰などの影響を受け、先行きが不透明な状況となりました。日本経済においても、原材料価格の上昇などによる影響を受けましたが、新型コロナウイルス感染症の規制緩和や世界経済の回復などにより、景気は徐々に持ち直しの動きが見られました。

こうした状況のなかアサヒグループは、グループ理念“Asahi Group Philosophy”の実践に向けて、メガトレンドからのバックキャストにより、これまでの中期経営方針を、長期戦略を含む『中長期経営方針』として更新しました。この『中長期経営方針』では、長期戦略のコンセプトとして「おいしさと楽しさで“変化するWell-being”に応え、持続可能な社会の実現に貢献する」ことを掲げ、事業ポートフォリオでは、ビールを中心とした既存事業の持続的な成長に加えて、その事業基盤を活かした周辺領域や新規事業・サービスの拡大に取り組みました。また、サステナビリティと経営の統合、DX(デジタル・トランスフォーメーション)やR&D(研究開発)といったコア戦略の一層の強化により、持続的な成長とすべてのステークホルダーとの共創による企業価値向上を目指した取組みを推進しました。

その結果、アサヒグループの売上収益は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響は残ったものの、日本や欧州におけるビール需要の回復などにより、1兆1,513億4千万円(前年同期比11.4%増)となりました。また、利益につきましては、各事業の原材料関連の費用が増加した影響などを受けましたが、為替変動の効果もあり、事業利益※1は909億6千3百万円(前年同期比1.9%増)となりました。営業利益は、前年の固定資産売却益の反動などにより、814億6百万円(前年同期比25.6%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は570億7百万円(前年同期比28.1%減)、調整後親会社の所有者に帰属する四半期利益※2は662億7千3百万円(前年同期比16.4%減)となりました。

なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前年同期比8.6%の増収、事業利益は前年同期比1.7%の減益となりました。※3

※1 事業利益とは、売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除した、恒常的な事業の業績を測る当社独自の利益指標です。

※2 調整後親会社の所有者に帰属する四半期利益は、親会社の所有者に帰属する四半期利益から事業ポートフォリオ再構築及び減損損失など一時的な特殊要因を控除したものであります。

※3 2022年の外貨金額を、前年同期の為替レートで円換算して比較しています。

 

[日本]

日本においては、酒類、飲料、食品事業の「強み」のあるブランドに経営資源を投下するとともに、新たな価値提案などを通じて各事業のブランド力の向上を図りました。また、日本全体での事業の枠を超えたシナジーの創出のためのSCMの最適化やサステナビリティへの取組みの推進などにより、持続的な成長基盤を強化しました。

酒類事業では、ビール類においては、『アサヒスーパードライ』を1987年の発売以降初めてフルリニューアルし、ユーザー層の更なる拡大により、ブランド価値の向上を図りました。また、“ぬくもりのある世界観”が特徴の『アサヒ生ビール』の商品ラインアップを拡充するなど、ビール市場の活性化を図りました。加えて、『アサヒスタイルフリー<生>』、『クリアアサヒ』などをリニューアルし、主力ブランドの強化に取り組みました。RTD※1においては、『アサヒ ザ・レモンクラフト』をリニューアルしレモンの香りと味わいを強化するとともに、期間限定商品を発売するなど、新たな価値創出に取り組みました。また、アルコールテイスト飲料においては、お酒を「飲まない/飲めない」人も楽しめる『SUMADORI-BAR SHIBUYA』をオープンするなど、飲み方の多様性を提案する「スマートドリンキング」の推進に取り組みました。

飲料事業では、『ウィルキンソン』から、需要が高まるソバーキュリアス※2スタイルに向けて、「#sober」シリーズを提案するなど、健康志向を踏まえた新たな価値創造を図りました。また、4月に発売した『和紅茶アサヒ 無糖ストレート』においては、国産茶葉を100%使用することにより上品な香りや味わいを実現し、拡大する消費者のリラックスニーズに対応するとともに、日本における茶農業の持続可能性への貢献を目指すなど、ブランドの確立に取り組みました。

食品事業では、タブレット菓子『ミンティア』において、ブランド初の主力4品同時リニューアルやコンテンツとコラボしたパッケージの期間限定発売などにより、ブランド力の向上に取り組みました。また、サプリメント『ディアナチュラ』やフリーズドライ食品『アマノフーズ』においても、商品ラインアップの拡充や広告・販売促進活動の展開により、市場の活性化を図りました。

以上の結果、売上収益は、家庭用でのビールの売上増加に加え、業務用の売上が回復傾向に転じて酒類事業が増収となったことなどにより、前年同期比7.9%増の5,998億6千万円となりました。

事業利益は、原材料関連やブランド投資の強化に伴う費用増加などの影響はあったものの、増収効果や各種コストの効率化などにより、前年同期比0.1%増の428億3百万円となりました(営業利益は前年同期比46.2%減の356億4千6百万円)。

※1 RTD:Ready To Drinkの略。購入後、そのまま飲用可能な缶チューハイなどを指します。

※2 ソバーキュリアス(Sober Curious)とは、“あえてお酒を飲まない”という新しいライフスタイルを指します。

 

[欧州]

欧州においては、主力のローカルブランドの強化、ノンアルコールビールの拡大などにより、各国のブランドポートフォリオのプレミアム化を推進するとともに、グローバルブランドの拡大展開を図りました。また、環境問題への対応やありたい企業風土の醸成に向けた取組みを強化することで、持続的な成長基盤の更なる拡大を図りました。

欧州地域では、各国における飲食店向けの需要回復に向けて積極的な営業活動に取り組みました。チェコの『Pilsner Urquell』は、様々なイベントを起点にブランド訴求を強化したほか、缶容器のリサイクル比率を向上させるなど、環境負荷低減の取組みを推進しました。また、ポーランドやイタリア、ルーマニアにおける『Kozel』、英国やルーマニアでの『Peroni Nastro Azzurro』など、各国でグローバルブランドを積極的に拡大することにより、更なるプレミアム化を図りました。さらに、ノンアルコールビールにおいて、チェコの『Birell』は、より豊かな味わいを実現するリニューアルを実施したほか、ポーランドの『Lech Free』は、新フレーバー商品の発売やSNSキャンペーンを実施するなど、新たな飲用機会の獲得に向けた取組みを強化しました。

グローバルブランドの展開では、『アサヒスーパードライ』において、“City Football Group”とのパートナーシップ契約の締結により、欧州サッカーのトップチームである英国「Manchester City」をはじめ、ワールドワイドで同グループ傘下の4チームの公式ビールスポンサーとなり、ブランド価値の訴求に向けたマーケティングの強化を図りました。また、『Peroni Nastro Azzurro』においては、世界20カ国以上でノンアルコールビール『Peroni Nastro Azzurro 0.0%』を発売し、パートナーシップ契約を締結するモータースポーツチームAston Martin Cognizant FORMULA ONETM TEAMとの広告展開やイベント開催など、グローバルでの情報発信を強化するなど、ブランドの認知度の向上に向けた取組みを推進しました。

以上の結果、売上収益は、引き続き新型コロナウイルスの感染拡大に伴う影響などはあったものの、各国における飲食店向けの需要の回復やグローバルブランドの売上拡大などにより、前年同期比22.8%増の2,652億4千万円となりました。

事業利益は、原材料関連の費用増加の影響はあったものの、飲食店向けの需要回復や商品ポートフォリオのプレミアム化の進展に伴う増収効果などにより、前年同期比10.5%増の288億6千6百万円となりました(営業利益は前年同期比21.0%増の190億7千5百万円)。

なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前年同期比17.6%の増収、事業利益は前年同期比4.9%の増益となりました。

 

[オセアニア]

オセアニアにおいては、酒類、飲料事業の強みを活かしたマルチビバレッジ戦略を推進するとともに、プレミアム化の強化や統合シナジーの創出により、収益基盤の盤石化に取り組みました。また、ノンアルコールビールなど、BACにおける新たな成長カテゴリーへの投資強化に加えて、サステナビリティを重視した新価値提案やSCM改革などを推進しました。

酒類事業では、主力ブランドの『Great Northern』を中心に積極的なマーケティング活動を展開したほか、『アサヒスーパードライ』などのプレミアムビールの飲食店における取扱い店舗数の拡大に取り組みました。また、全豪オープンテニスなど各種スポーツイベントとのパートナーシップ契約を締結するなど、ブランド価値の強化に取り組みました。BACにおいては、『Great Northern Zero』を中心としたノンアルコールビールやハード・セルツァー『Good Tides』の販売促進活動を強化するなど、多様化する飲用ニーズに向けた取組みを推進しました。

飲料事業では、健康志向の高まりを受け、炭酸飲料やスポーツ飲料のノンシュガー商品を中心に販売促進活動を強化しました。さらに、CUB事業の販路を活用して清涼飲料の飲食店向けの販売を強化したほか、昨年5月に取得したプレミアムコーヒー豆焙煎販売事業を展開するAllpress Espresso社のコーヒー豆を既存顧客向けに販売するなど、マルチビバレッジ戦略による統合シナジーの創出に取り組みました。

また、競合他社を含む3社との合弁会社において建設した豪州最大のPETリサイクル工場を本格稼働させるなど、持続可能なサプライチェーンの構築を推進しました。

以上の結果、売上収益は、新型コロナウイルス感染拡大の影響はあったものの、ビールや炭酸飲料を中心とした主力カテゴリーの販売増加や為替変動の効果により、前年同期比9.4%増の2,611億4千9百万円となりました。

事業利益は、原材料関連の費用増加の影響などの影響はあったものの、統合シナジーの創出を中心としたコスト効率化や為替変動の効果もあり、前年同期比4.0%増の417億7千6百万円となりました(営業利益は、前年同期比2.2%増の330億5千5百万円)。

なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前年同期比2.8%の増収、事業利益は前年同期比2.3%の減益となりました。

※ BAC:Beer Adjacent Categoriesの略。低アルコール飲料、ノンアルコールビールテイスト飲料、成人向け清涼飲料など、ビール隣接カテゴリーを指します。

 

[東南アジア]

東南アジアにおいては、自社ブランドを中心としたブランド投資の拡大などにより、マレーシア、フィリピン、インドネシアを中心とした展開国におけるプレゼンスの更なる向上を図りました。また、CO2排出量の削減や地域社会への貢献など、サステナビリティの取組みを推進しました。

マレーシアでは、『CALPIS』から、ナタデココ配合により食物繊維も摂取でき満足感のある味わいの『Calpis Chewy』を発売するなど、健康需要を捉えた商品ラインアップを拡充し、ブランド力の強化を図りました。また、『WONDA』では、各種SNSの活用による情報発信力の強化や、在宅需要に合わせたインスタントコーヒーの積極的な販売促進活動などに取り組みました。

以上の結果、売上収益は、一部の国において新型コロナウイルスの影響が継続したものの、マレーシアにおいて主力ブランドの販売が好調に推移したことや為替変動の効果などにより、前年同期比11.6%増の251億2百万円となりました。

事業損失は、固定費全般の効率化などを推進したものの、原材料関連の費用増加の影響や輸送費の増加などにより、前年同期比7億3千1百万円悪化の2億3千1百万円となりました(営業損失は、前年同期比7億5百万円悪化の2億9千1百万円)。

なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前年同期比1.2%の増収、事業損失は前年同期比6億9千4百万円の悪化となりました。

 

[その他]

その他については、売上収益は、前年同期比23.2%増の38億4千5百万円となりました。

事業利益については、前年同期比11.7%減の7億2千3百万円となりました(営業利益は、前年同期比99.2%増の5億7千4百万円)。

 

 セグメントの業績は次の通りです。各セグメントの売上収益はセグメント間の内部売上収益を含んでおります。

 当社グループの報告セグメントは、前年度まで「酒類事業」、「飲料事業」、「食品事業」、「国際事業」としておりましたが、第1四半期連結会計期間より、「日本」、「欧州」、「オセアニア」、「東南アジア」に変更しております。

 以下の前年同期比較は前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。

 

事業セグメント別の実績

(単位:百万円)

 

 

売上収益

前年同期比

事業利益

前年同期比

売上収益

事業利益率

営業利益

前年同期比

 

為替一定

 

為替一定

日本

599,860

7.9%

7.9%

42,803

0.1%

0.1%

7.1%

35,646

△46.2%

欧州

265,240

22.8%

17.6%

28,866

10.5%

4.9%

10.9%

19,075

21.0%

オセアニア

261,149

9.4%

2.8%

41,776

4.0%

△2.3%

16.0%

33,055

2.2%

東南アジア

25,102

11.6%

1.2%

△231

△291

その他

3,845

23.2%

24.2%

723

△11.7%

△12.1%

18.8%

574

99.2%

調整額計

△3,858

△6,558

△6,654

無形資産

償却費

△16,417

合計

1,151,340

11.4%

8.6%

90,963

1.9%

△1.7%

7.9%

81,406

△25.6%

※営業利益における無形資産償却費は各事業に配賦しています。

 

(2)財政状態の分析

 当第2四半期連結会計期間の連結総資産は、為替相場の変動によるのれん及び無形資産を含む外貨建資産の増加等により、前年度末と比較して3,792億5千9百万円増加し、4兆9,270億7百万円となりました。

 負債は、原材料関連の価格上昇等に伴う営業債務及びその他の債務の増加や、為替相場の変動による外貨建負債の増加等により、前年度末と比較して725億2千9百万円増加し、2兆8,611億2千9百万円となりました。

 資本は、前年度末に比べ3,067億3千万円増加し、2兆658億7千8百万円となりました。これは、配当金支出により利益剰余金が減少したものの、当第2四半期連結累計期間の親会社の所有者に帰属する四半期利益の計上による利益剰余金の増加及び為替相場の変動により在外営業活動体の換算差額が増加したこと等によるものです。

 この結果、親会社所有者帰属持分比率は41.9%となりました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 当第2四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前四半期利益が786億8千1百万円となりましたが、法人所得税等の支払による減少があった一方で、減価償却費等の非キャッシュ項目による増加があり、894億4千5百万円(前年同期比:679億9百万円の収入減)の収入となりました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などにより、209億1千4百万円(前年同期比:255億8千4百万円の支出増)の支出となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、主に短期借入金の増加や社債発行による収入があった一方で、社債の償還による支出などがあり、816億9千5百万円(前年同期比:755億8千1百万円の支出減)の支出となりました。

 以上の結果、当第2四半期連結累計期間では、前第2四半期連結累計期間と比較して現金及び現金同等物の残高は51億5千8百万円減少し、507億9千4百万円となりました。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第2四半期連結累計期間において、アサヒグループが優先的に対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

 当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の金額は、65億7百万円であります。なお、当第2四半期連結累計期間において、アサヒグループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当第2四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。