文中には、中期経営方針等に関する様々な業績予想及び目標数値、並びにその他の将来に関する情報が開示されています。これらの業績予想及び目標数値、並びにその他の将来に関する情報は、将来の事象についての現時点における仮定及び予想、並びにアサヒグループが現在入手可能な情報や一定の前提に基づいているため、今後様々な要因により変化を余儀なくされるものであり、これらの予想や目標の達成及び将来の業績を保証するものではありません。
(1)グループ理念
アサヒグループは、純粋持株会社であるアサヒグループホールディングス株式会社のもと、日本・東アジア、欧州、アジアパシフィックを核として、主にビールを中心とした酒類、飲料、食品事業を展開しており、グループ理念「Asahi Group Philosophy(AGP)」をグループ共通の経営基盤、日本を含む全世界の事業活動の原点としています。
2019年のグループ理念導入以降、新型コロナウイルス感染症の拡大、環境課題の深刻化、地政学リスクの高まり、AI・デジタル化の進展など、外部環境は大きく変化しました。これらに加え、当社グループにおいても、グローバル化の進展や事業ポートフォリオの多様化に伴い、コーポレート・ガバナンス体制及びRegional Headquarters体制の進化を進めてきました。
このような変化を踏まえ、2026年6月にグループ理念を改訂しました。
改訂したグループ理念は、当社グループの存在意義や目指す姿、強みをより明確にするとともに、中長期的な企業価値向上に向けた共通の指針として、人や社会、地球に対してグループが果たすべき社会的な存在意義「Our Purpose(存在意義)」、中長期的・戦略的に実現を目指すグループの姿「Our Vision(目指す姿)」、意思決定や企業文化、働き方を支える共通の価値観と行動指針「Our Values(価値観)」を示しています。
この新たなグループ理念のもとで、複雑化・不確実性が増す経営環境のなかで、事業・地域を横断した一体的な取り組みを一層強化し、各事業の総和を超えた企業価値の創造と持続的な成長、環境変化への対応力(レジリエンス)の強化を目指します。
(2)中長期経営方針
『中長期経営方針』では、長期戦略のコンセプトとして「おいしさと楽しさで“変化するWell-being”に応え、持続可能な社会の実現に貢献する」ことを掲げています。
目指す事業ポートフォリオの実現に向けた取り組みを推進するとともに、サステナビリティと経営の統合、DX (デジタル・トランスフォーメーション)やR&D(研究開発)といったコア戦略の一層の強化を図ります。また、人的資本の高度化やグループガバナンスの進化など戦略基盤を強化することにより、持続的な成長と全てのステークホルダーとの共創による企業価値向上を目指しています。
1.『中長期経営方針』:長期戦略の概要
※ BX:ビジネス・トランスフォーメーションの略
2.目指す事業ポートフォリオ
長期戦略における事業ポートフォリオでは、人々のウェルビーイングの変化に応えていくなかでの「リスクと機会」を捉え、ビールを中心とした既存事業の持続的成長に加えて、その事業基盤を活かした周辺領域や新規事業・サービスの拡大を目指しています。
既存事業については、主力ブランドを中心としたプレミアム戦略の推進などにより、各地域において販売単価の向上を実現したほか、グローバルブランドと位置付けている『Asahi Super Dry』と『Peroni Nastro Azzurro』において、世界的なパートナーシップを活用したマーケティング活動を強化し、グローバル展開を拡大しました。
新規領域については、各地域でビールテイスト飲料やRTD※1カテゴリーの取り組みを推進するなど、BAC※2への投資強化による新市場拡大を図りました。また、新たな成長ドライバーの探索を目指して設立した米国投資運用会社の活動に加えて、酵母・乳酸菌技術を活用した新たな領域拡大やデジタル技術を活かした新サービスの開発に取り組みました。
今後もビールを中心に培ってきたケイパビリティや事業基盤を活かし、BACや新商材・新サービスの領域で成長機会を拡大することで、最適な事業ポートフォリオを構築していきます。
※1 RTD:Ready To Drinkの略。購入後、そのまま飲用可能な缶チューハイなどを指します。
※2 BAC:Beer Adjacent Categoriesの略。ノンアルコール飲料、RTD、成人向け清涼飲料など、ビール隣接カテゴリーを指します。
3.コア戦略 ―サステナビリティ戦略―
アサヒグループは、「サステナビリティと経営の統合」を掲げ、持続的な成長とさまざまなステークホルダーとの共創による企業価値向上を目指していきます。
事業成長と社会価値の創出の最大化を目指して、重点方針を定めているほか、経営課題として取り組む領域を特定したマテリアリティ・取り組みテーマを設定し、適切で実効性のある取り組みにつなげています。
詳細については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
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4.コア戦略 ―DX戦略― アサヒグループのDXは単なるデジタライゼーションではなく、生き残りをかけた経営改革であると認識しており、DX=BXと捉え、「Business」「Process」「Organization」の領域において、三位一体でイノベーションを推進しています。 |
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①Business Innovation
一人ひとりの嗜好やシーン、状況に合わせ、商品とデジタルサービスにより新たな顧客体験を提供するパーソナライゼーション・モデルの実現を目指し、AI技術を活用したパーソナライズドリンクサービスを核に、外食市場の構造変化や飲食店が抱える課題の解決などに取り組んでいます。また、社会的意義と成長ポテンシャルを両立する新規事業として、持続的な価値創出を目指します。
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②Process Innovation
サステナビリティチームとIT組織が協働し、当社のサステナビリティに関わるあらゆる情報・データを収集・集計するための最適なソリューションの導入に向け、取り組んでいます。また、サプライチェーンやグローバルマーケティングチームへのデジタルを活用した生産性の向上に継続的に取り組んでいます。
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③Organization Innovation
デジタルネイティブ組織への変革を見据え、IT/データ活用を一部の専門スキルではなく、全社の共通基盤とする「IT/データ活用の民主化」を進めています。また、顧客起点で価値を創出する組織文化の実現に向け、アジャイルな働き方※の浸透を推進しています。
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※ 柔軟性と迅速性を重視し変化に素早く対応する働き方 |
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5.コア戦略 ―R&D戦略―
R&D戦略においては、中長期的な社会環境や競争環境の変化を見据え、未来のあるべき姿を描いたうえで、バックキャスティングの考え方に基づき、お客様のニーズを先取りした研究テーマを推進しており、これまでの研究で蓄積してきた技術・知見・ノウハウを踏まえ、以下の4つを重点領域として位置付け、新たな価値創造やリスク軽減に向けた商品・技術開発に取り組んでいます。また、海外を含む拠点間でのシナジーの醸成、異分野とのオープンイノベーション活用による新たな価値創造にも積極的に取り組んでいます。
①アルコール関連
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アルコールに対するニーズの多様化や社会の変化に対応し、BAC領域において新たな価値を創造するための研究開発に取り組んでいます。長年培ってきた酵母育種、発酵プロセス、調香、官能評価などの技術をベースとしつつ、心理学、脳科学、AIなどの最先端の技術を獲得し組み合わせることで、嗜好性や機能性のみならず、環境影響及びコストといった側面における優位性を追求しています。 これらの技術的取り組みを基盤として、海外市場における成果導出を実現する嗜好設計・商品開発を進め、「Asahi Super Dry」のエクステンション商品『Asahi Super Dry FUSIONS Lemon Yuzu』やRTD『Asahi ZEITAKU SHIBORI』などを開発・展開し、グローバルでの価値創造を推進しています。
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②ヘルス&ウェルネス
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消費者の健康志向の高まりに対し、身体や心の健康をサポートするソリューションを提供することで、人々の健康維持増進への貢献に取り組んでいます。 健康な人の免疫機能の維持に役立つ「L-92乳酸菌」や、心理的なストレスを和らげ、睡眠の質(眠りの深さ)を高める機能や腸内環境を整える機能を持つ「ガセリ菌CP2305株」などオリジナルの機能性乳酸菌については、国内で機能性表示食品としての商品展開に向けた研究開発を進めるとともに、グローバルな活用に向けた取り組みを推進しています。「ガセリ菌CP2305株」は、2025年3月よりアサヒグループ以外の企業へ供給され、海外向けに販売が開始されるとともに、世界有数の食品原料見本市で受賞するなど高い評価を得ています。 今後も、人々の健康で豊かな生活をサポートするヘルス&ウェルネス研究を強化し、新しい価値提案を目指します。 |
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③サステナビリティ
環境・エネルギー分野における技術実装、気候変動に伴う原料コスト影響の最小化、容器包装の環境負荷低減などのサステナビリティに関する研究開発を通じ、社会的責務を果たすとともに、持続的な社会の発展に貢献しています。
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環境分野においては、缶、びん、PETボトルなどの使い捨て容器の使用が廃止される未来を見据え、使い捨て容器を使用しなくても強炭酸が楽しめるサーバー『EXTRA BURST』の更なる展開に向けた技術開発を推進するとともに、繰り返し使用可能な専用タンブラーを活用することで大幅な環境負荷低減を目指しています。また、原料副産物の活用による新たな価値創出にも取り組んでいます。独自の酵母技術を生かし、酵母エキス製造時に生じる酵母細胞壁を主原料とする新素材を活用した非動物性ミルク『LIKE MILK』を開発し、2025年4月からテスト販売を開始しました。アレルギー特定原材料等を使用しない、まろやかな味わいを実現しています。 本取り組み以外に、グリーンエネルギー技術の開発にも力を入れており、今後も環境負荷低減の実効性向上を目指します。 |
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④新規事業
中長期的に目指す事業ポートフォリオの実現に向け、グループ内外の技術とビジネスモデルとの掛け合わせ等により、新規事業につながる非凡なシーズの創出に取り組んでいます。
アサヒグループがこれまでに活用してきた酵母や乳酸菌などの微生物関連技術に、AI・デジタル技術をはじめとした、さまざまな次世代技術を新たな視点をもって組み合わせることで、これまでにない新価値を創出し、新規事業を開拓していきます。
これらを実現するために、グローバル視点で革新的な外部技術を取り入れ、異分野技術の融合を積極的に推進することでイノベーション創出を目指します。
6.人的資本の高度化
アサヒグループでは、「ありたい企業風土の醸成」、「継続的な経営者人材の育成」及び「必要となるケイパビリティ※の獲得」の3つの取り組みを通じ、経営基盤を強化し、競争優位の源泉となる「人的資本の高度化」を実現することで、従業員と会社が共に成長し、中長期的な企業価値向上を推進しています。
※ 戦略を実現するために必要な組織的能力
詳細については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本」をご参照ください。
(3)中期的なガイドライン
主要指標のガイドライン及び財務方針は、2030年までを目処として、2025年2月に以下のとおり更新しました。
主要指標については、収益性において、利益成長と資本政策が反映されるEPSに一本化し、CAGR(年平均成長率)として「一桁台後半から二桁」をコミットします。また、収益性だけでなく資本効率の向上を図るため、ROEとROIC※1を主要指標に追加し、ROEは11%以上、ROICは10%以上を目指し資本コストとのスプレッドを拡大していきます。
財務方針については、財務健全性を確保(Net Debt/EBITDA※2:2.5~3倍程度)しつつ、成長投資を優先していきますが、資本効率の向上や株主還元の充実にも資本を配分していきます。また、株主還元については、より安定的な増配を継続すべく、DOE※34%を目指して累進配当※4を実施するとともに、機動的に自己株式取得を行っていきます。
2025年については、各地域におけるプレミアム戦略の推進や収益構造改革などに取り組みましたが、日本で発生したサイバー攻撃に伴うシステム障害の影響等により、EPS及びROE、ROICはガイドラインを下回りました。
財務方針については、株主還元において、累進配当に基づき、当期の1株当たり配当額を52円に増額するとともに、機動的な自己株式取得を実施しました。財務健全性においては、システム障害の影響などに伴うEBITDA※5の減少により、Net Debt/EBITDAはガイドラインを超える水準となりました。
引き続き、規律ある成長投資により、事業ポートフォリオの強靭化やコア戦略を力強く推進するとともに、財務戦略による資本効率の向上、資本市場とのエンゲージメントによる資本コスト低減などに取り組み、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指していきます。
※1 税引後事業利益を、純有利子負債と親会社の所有者に帰属する持分(ただし、在外営業活動体の換算差額とその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融商品への投資の公正価値の変動などを控除したもの)の合計で除して算出。
※2 Net Debt/EBITDA(EBITDA純有利子負債倍率)=(金融債務-現預金)/EBITDA。
※3 配当総額を、親会社の所有者に帰属する持分合計で除して算出。
※4 累進配当とは、1株当たりの配当金額を毎年増配又は最低でも横ばいの水準で配当し続けることです。
※5 EBITDAは、事業利益に無形資産償却費及び減価償却費を加えたものです。
■主要指標のガイドライン
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2025-2030年までのガイドライン |
2025年実績 |
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EPS (調整後EPS※1) |
・CAGR(年平均成長率):一桁台後半~二桁 (CAGR(年平均成長率):一桁台後半~二桁) |
EPS成長率:△35.8% (△18.5%) |
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ROE (調整後ROE※2) |
・11%以上 ※株主資本コスト:8%程度 (14%以上) |
4.3% (8.4%) |
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ROIC |
・10%以上 ※WACC(加重平均資本コスト):5.5~6%程度 |
6.1% |
※1 調整後EPSは、事業ポートフォリオの再構築や減損損失など一時的な特殊要因を控除して算出しています。
※2 調整後ROEは、調整後親会社の所有者に帰属する当期利益(親会社の所有者に帰属する当期利益から、事業ポートフォリオの再構築や減損損失など一時的な特殊要因を控除したもの)を親会社の所有者に帰属する持分合計(ただし、在外営業活動体の換算差額とその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融商品への投資の公正価値の変動などを控除したもの)で除して算出しています。
■財務方針
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2025-2030年までのガイドライン |
2025年実績 |
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株主還元 |
・DOE:4%以上を目指した累進配当 ・機動的な自己株式取得 |
DOE:2.7% |
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財務健全性 |
・Net Debt/EBITDA:2.5~3倍程度を維持 |
3.70倍 |
(4)対処すべき課題
中長期的な外部環境としては、テクノロジーの発展が人類に新たな技術力と自由な時間を与え、気候変動・資源不足といった地球規模の課題を抱える中、社会・経済だけではなく人類の幸福(Well-being)のあり方も変化していくものと想定されます。
そうしたメガトレンドを踏まえて策定した『中長期経営方針』に基づき、各地域統括会社は、既存事業の持続的成長に加えて、その事業基盤を活かした周辺領域や新規事業・サービスを拡大していきます。さらに、サステナビリティと経営の統合などコア戦略の一層の強化により、グループ全体で企業価値の向上に努めていきます。
尚、アサヒグループの報告セグメントは、従来「日本」、「欧州」、「オセアニア」、「東南アジア」としていましたが、2025年度の中間連結会計期間より、「日本・東アジア」、「欧州」、「アジアパシフィック」に変更しています。
<地域統括会社の中期重点戦略>
[日本・東アジア]
① 変化を先読みする商品ポートフォリオ最適化とシナジー創出によるポテンシャル拡大
② ニーズの多様化に対応したスマートドリンキングなどの推進、新価値提案の強化
③ カーボンニュートラルなど社会課題の事業による解決、サプライチェーン最適化
[欧州]
① グローバルブランドの拡大と強いローカルブランドを軸としたプレミアム戦略の強化
② ビールテイスト飲料やRTDなど高付加価値商品を軸とした成長の加速
③ 再生エネルギーの積極活用や循環可能な容器包装の展開など環境負荷低減施策の推進
[アジアパシフィック]
① 酒類と飲料を融合したマルチビバレッジ戦略の推進、最適なプレミアムポートフォリオの構築
② BACなど成長領域でのイノベーションの推進、健康・Well-beingカテゴリーの強化
③ 新容器・包装形態などサステナビリティを重視した新価値提案、SCM改革の推進
(1)サステナビリティ
アサヒグループは『中長期経営方針』のコア戦略のひとつに、「サステナビリティと経営の統合による社会・事業のプラスインパクトの創出、社会課題解決」を掲げています。その実現に向けてサステナビリティ・ガバナンス体制の実効性を高めるとともに、マテリアリティに基づいた取り組みを推進しています。
①ガバナンス
[サステナビリティ・ガバナンス]
アサヒグループではサステナビリティの推進を重要な経営課題と捉えており、アサヒグループホールディングス(株)の取締役 兼 代表執行役社長Group CEOが委員長となる「グローバルサステナビリティ委員会」を設置して、サステナビリティ推進を包含したコーポレートガバナンス体制を構築しています。
「グローバルサステナビリティ委員会」で決定した内容は、「サステナビリティリーダーズ会議」「サステナビリティタスクフォース」を通じてグループ全体の戦略として落とし込む仕組みになっており、また、取締役会のモニタリング体制の強化を目的に、「サステナビリティアドバイザリー委員会」を設置して、グループ一体となってサステナビリティを推進する体制を組んでいます。
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組織体 |
役割 |
構成 |
開催頻度 |
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サステナビリティ アドバイザリー 委員会 |
●専門的な見地から、サステナビリティと経営の統合のさらなる推進、サステナビリティに関する重要なテーマについて取締役会に提言 |
委員長: アサヒグループホールディングス(株) 取締役 兼 代表執行役社長Group CEO 委員: ●アサヒグループホールディングス(株) 社内取締役 1名 ●アサヒグループホールディングス(株) 社外取締役2名 |
年2回 |
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グローバル サステナビリティ 委員会 |
戦略の決定 ●グループのサステナビリティ方針の策定 ●サステナビリティ戦略・方針、グループ目標の承認 ●実績管理 ●サステナビリティ関連リスクの特定と低減 |
委員長: アサヒグループホールディングス(株) 取締役 兼 代表執行役社長Group CEO 委員: ●アサヒグループホールディングス(株) Group CPO、Group CFO、 Corporate Secretary、Group CGO、 Group CR&DO, Group CCAO、Group CSCO ●Asahi Global Procurement Pte. Ltd. CEO ●Regional Headquarters CEO、 サステナビリティ担当役員※ |
年1回 |
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サステナビリティ リーダーズ会議 |
戦略の実行 ●グローバルサステナビリティ委員会で決定した戦略、方針の実行 ●ベストプラクティス、イノベーション事例の共有 ●関連部門と連携した事業のあらゆる面へのサステナビリティの統合 |
議長: アサヒグループホールディングス(株) Group CCAO メンバー: ●アサヒグループホールディングス(株)サステナビリティ関連部門長 ●Asahi Global Procurement Pte. Ltd. CEO、 サステナビリティ担当役員 ●Regional Headquarters サステナビリティ担当役員・関係部署部門長 |
年2回 |
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サステナビリティ タスクフォース (各マテリアリティ) |
課題の取り組み ●特定のサステナビリティに関する課題、プロジェクトへの取り組み ●影響力の大きい環境、社会課題への取り組み ●多様な部門・分野の専門家が結集した取り組み |
リーダー: アサヒグループホールディングス(株) サステナビリティ関連部門・関連機能部門 各マテリアリティ担当者 メンバー: ●アサヒグループホールディングス(株) 各マテリアリティ担当者、関係部署担当者 ●Asahi Global Procurement Pte. Ltd. 各マテリアリティ担当者 ●Regional Headquarters 各マテリアリティ担当者 |
適宜開催 |
※その他委員長が指定する者
2025年の開催実績
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組織体 |
開催月 |
主な議題 |
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サステナビリティアドバイザリー委員会 |
7月 12月 |
●ビジネス変革を牽引する力としての、サステナビリティの浸透と活用を推進する討議 ●未来世代との対話を通じた、当社事業の持続的成長実現に向けた討議 |
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グローバルサステナビリティ委員会 |
11月 |
●気候変動、責任ある飲酒のグループ目標に関する討議 |
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サステナビリティリーダーズ会議 |
5月 |
●インパクトの可視化などの各プロジェクトの概要の共有 ●気候変動の取り組みに関する討議 |
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10月 |
●アサヒグループのサステナビリティ3ヵ年計画の共有 ●気候変動のグループ目標に関する討議 |
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サステナビリティ タスクフォース |
環境 |
1、4、6、 9月 |
●グループサステナビリティ目標達成に向けた取り組みに関する討議 ●Regional Headquartersのベストプラクティスの共有 ●2025年計画の進捗共有など |
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コミュニティ |
2、11月 |
●コミュニティ戦略の推進に関する討議 ●Regional Headquartersのベストプラクティスの共有 ●2025年計画の進捗共有など |
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責任ある飲酒 |
2、4、6、8、10、12月 |
●グループ目標に関する討議 ●国際的なアルコール政策動向に関する情報共有 ●Regional Headquartersのベストプラクティスの共有など |
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人権 |
1、6、10月 |
●2025年目標、アクションプランの情報共有 ●2030年目標の進捗 人権デューデリジェンスの是正に関する進捗共有 ●「企業サステナビリティ・デューデリジェンス指令(CSDDD)」対応 サプライチェーン人権デューデリジェンスの進捗共有、従業員人権デューデリジェンススタンダードに関する情報共有 |
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[取締役会におけるサステナビリティの議論]
アサヒグループでは、『中長期経営方針』のコア戦略に位置付けられているサステナビリティ戦略について、取締役会においても重点的に議論を行っています。「グローバルサステナビリティ委員会」で議論した戦略や目標値はExecutive CommitteeやCorporate Management Boardで審議された上で、最終的には取締役会がモニタリングを行っています。また、各Regional HeadquartersのCEOは、各地域でのサステナビリティに関する具体的な取り組みや進捗について、取締役会に報告しています。
サステナビリティに関する直近の取締役会報告内容
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議題 |
内容 |
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2025年9月 |
サステナビリティの取り組み |
気候変動への対応など、主要グループ目標の達成に向けた取り組み |
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2026年3月 |
TCFD・TNFD分析報告 |
TCFD・TNFDを統一したシナリオ分析結果 |
[取締役会のサステナビリティスキル・能力]
アサヒグループホールディングス(株)は「取締役会スキルマトリックス」に照らし、豊富な経験、高い見識、高度な専門性・能力を有する人物により取締役会を構成することとしています。
「取締役会スキルマトリックス」は、役員に求める要件をグループ理念“Asahi Group Philosophy”(以下、AGP)や経営戦略などから導いて策定したもので、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に必要な取締役会全体としての知識・経験・能力のバランス、多様性を確保することを目的としています。この中では意思決定スキルとして「サステナビリティ」も設定しており、「事業を通じた社会インパクト創出をリードするスキル」「ESGの知識と見識に基づき経営を方向付けるスキル」と定義しています。具体的には、サステナビリティの重点テーマである「気候変動への対応」「持続可能な容器包装」「人と人とのつながりの創出による持続可能なコミュニティの実現」などの監督経験があることや、「不適切飲酒の低減」「新たな飲用機会の創出によるアルコール関連問題の解決」への対応を踏まえ酒類事業の経験があることなどを指しています。
取締役会スキルマトリックス
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長期戦略 |
グロー バル |
サステナ ビリティ |
イノベー ション ・DX |
シニア リーダー シップ |
財務・ 会計 |
法律・ コンプラ イアンス |
リスクマ ネジメン ト・危機 管理・内 部統制 |
情報・ セキュリ ティ管理 |
人材・ 文化 |
業務 プロセス |
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大八木 成男 |
〇 |
〇 |
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〇 |
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〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
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勝木 敦志 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
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谷村 圭造 |
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〇 |
〇 |
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〇 |
〇 |
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〇 |
〇 |
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﨑田 薫 |
〇 |
〇 |
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〇 |
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〇 |
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〇 |
〇 |
|
〇 |
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福田 行孝 |
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〇 |
〇 |
|
〇 |
〇 |
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〇 |
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大島 明子 |
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〇 |
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〇 |
〇 |
〇 |
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〇 |
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佐々江 賢一郎 |
〇 |
〇 |
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|
〇 |
|
|
〇 |
〇 |
〇 |
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大橋 徹二 |
〇 |
〇 |
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〇 |
〇 |
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〇 |
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〇 |
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松永 真理 |
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〇 |
〇 |
〇 |
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〇 |
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田中 早苗 |
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〇 |
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〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
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佐藤 千佳 |
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〇 |
|
〇 |
〇 |
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〇 |
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メラニー・ブロック |
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〇 |
〇 |
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〇 |
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〇 |
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宮川 明子 |
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〇 |
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〇 |
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〇 |
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〇 |
*「取締役会スキルマトリックス」は各取締役の役割に照らして発揮が期待されるスキルを記載しており、各取締役が保有するすべての知見・経験を表すものではありません。
「取締役会スキルマトリックス」に定めるスキルの定義
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スキル |
定義 |
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長期戦略 |
●長期あるいは超長期の社会の変化を洞察するスキル ●洞察した将来をバックキャストして戦略に導くスキル |
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グローバル |
●グローバルの視点・視座で戦略の監督を行うスキル ●ローカルとグローバルを融合し最適化するスキル |
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サステナビリティ |
●事業を通じた社会インパクト創出をリードするスキル ●ESGの知識と見識に基づき経営を方向付けるスキル |
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イノベーション・DX |
●イノベーションを通じて新規領域の開発と更なる成長機会の探索を促すスキル ●イノベーションやDXを通じて事業構造及び収益モデルの変革を促すスキル |
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シニアリーダーシップ |
●的確な執行状況の把握と課題提起するスキル ●リーダーシップチームの業務遂行を評価するスキル |
|
財務・会計 |
●業績・経営指標から経営状況、資源配分の状況を把握し課題提起するスキル ●財務・会計に関する専門的な知識と見識に基づき監督するスキル |
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法律・コンプライアンス |
●法律に関する専門的な知識と見識に基づき監督するスキル ●コンプライアンス体制の整備、運用状況を監督するスキル |
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リスクマネジメント・ 危機管理・内部統制 |
●リスクコントロール状況、執行ガバナンスの状況を把握し課題提起するスキル ●サイバー攻撃や自然災害、地政学リスクへの危機管理能力を評価するスキル ●内部統制システムの整備、運用状況を監督するスキル |
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情報・セキュリティ管理 |
●情報・セキュリティ管理に関する業務執行を監督し実効性の向上を促すスキル ●情報漏えい、システム障害に関する危機管理能力を評価するスキル |
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人材・文化 |
●多様な人材の能力発揮の状況を評価するスキル ●企業文化の状況を把握し課題提起するスキル |
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業務プロセス |
●企業経営経験や当社経営・執行経験に基づき、業務プロセスの適正性を監督するスキル |
[役員報酬への社会的価値指標(サステナビリティ指標)の組み込み]
アサヒグループホールディングス(株)は、役員報酬をAGPの実践及び同社の持続的な成長と中長期の企業価値向上の実現、サステナビリティと経営の統合を図るための重要な手段として位置付けています。
社内取締役(執行役兼務)・執行役の報酬は、基本報酬、年次賞与、株式報酬で構成し、社外取締役・社内取締役(監査委員)は基本報酬のみとしています。透明性・公正性を確保するため、過半数を独立社外取締役が占める報酬委員会の決議により、報酬内容を決定しています。また、審議の客観性を維持するため、外部専門機関の報酬ベンチマークや先行プラクティス等も参照しています。
株式報酬は、当社の経営陣が経済的価値と社会的価値の両立を目指し、中長期的視点での経営及び社会的責任を果たすこと、また株主との利益・リスクの共有を目的とし、評価対象期間である3年間の業績評価に応じて当社株式を交付する業績連動型株式ユニット制度を導入しています。
サステナビリティと経営の統合を目指し、株式報酬の業績評価のうち20%を社会的価値指標の比重として設定し、当社のサステナビリティ戦略及び事業・社会への影響を踏まえ、2025年はGHG排出量(Scope1,2)の削減率をグループ共通の評価指標として選定しています。当制度は、財務・非財務双方の側面から当社の中長期的な企業価値向上を促すものであり、目標達成時には100%を支給し、その達成度に応じて0~200%の範囲で株式報酬の支給率が変動します。
②戦略
アサヒグループは、サステナビリティに取り組む理由、取り組み方、取り組む内容を示した「サステナビリティ・ストーリー」に基づき、サステナビリティと経営の統合を推進しています。事業成長と社会価値の創出の最大化を目指して、私たちの商品・サービスで人々のサステナブルな生活を実現することを重点方針として定めているほか、経営課題として取り組む領域を特定したマテリアリティ・取り組みテーマについて、点検・見直しを毎年行い、適切で実効性のある取り組みにつなげています。
③リスク管理
[リスクマネジメント体制]
アサヒグループは、グループ全体を対象に、エンタープライズリスクマネジメント(ERM)を導入しています。
ERMには、サステナビリティ関連のリスクも含んでおり、詳細については、「
④指標及び目標
[2026年指標・目標]
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テーマ |
対象組織 |
指標・目標(2025年現在) |
|
|
環境 |
気候変動への 対応 |
グループ全体(共通)※1 |
2040年までに、Scope1,2,3においてGHG排出量ネットゼロを達成する(排出量の削減が90%以上、炭素除去※2は最大10%) |
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グループ全体(平均)※1 |
2030年までに、Scope1,2においてGHG排出量を70%削減する(2019年比) |
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グループ全体(平均)※1 |
2025年までに、Scope1,2においてGHG排出量を40%削減する(2019年比) |
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グループ全体(平均)※1 |
2030年までに、Scope3においてGHG排出量を30%削減する(2019年比) |
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持続可能な 容器包装 |
グループ全体(共通) (AB、ASD、AEI、AHA、AHSEA) |
2025年までに、プラスチック容器※3を100%有効利用可能※4な素材とする |
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グループ全体(共通)(ASD、AEI、AHA、AHSEA) |
2030年までに、PETボトルを100%リサイクル素材、バイオ由来の素材等に切り替える |
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グループ全体 (共通) |
プラスチックに替わる持続可能な新素材の開発・プラスチック容器包装を利用しない販売方法を推進する |
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持続可能な 農産物原料 |
グループ全体(共通) |
2030年までに大麦とコーヒーについて、認証を活用して、100%持続可能に生産された原料の調達を実現する |
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グループ全体(共通) |
2030年までに、サプライチェーンにおける人権リスクを効果的に特定、評価、軽減、是正するために、リスクベースのデューデリジェンス・プロセス※5を実施し、持続可能な原料の調達を目指す。このアプローチを、人権侵害のリスクが最も高い、コーヒー、サトウキビ、パーム油、カカオ、茶の5つの主要原料のサプライチェーンにおいて優先的に取り組む。 |
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持続可能な 水資源 |
グループ全体(平均)(AB、ASD、AEI、AHA、AHSEA) 優先流域(平均)(AEI、AHA、AHSEA) |
2030年までに水使用量の原単位をグローバル平均3.2m3/kl以下、優先流域の主要な生産拠点※6では平均2.7m3/kl以下にする |
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グループ全体(平均) |
2030年までに水リスクの高い地域※7にある生産拠点100%で、流域の各課題※8改善に貢献する取り組みを実施する |
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その他環境の 取り組み |
グループ全体(共通) (AGJ、AEI、AHA、AHSEA) |
2030年までに、自社生産拠点の埋立廃棄ゼロを達成する |
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コミュ ニティ |
人と人との つながりの創出による持続可能なコミュニティの実現 |
グループ全体(共通) |
基本活動「コミュニティ支援活動」において、グローバル施策「RE:CONNECTION」を実施し、全RHQが参画する |
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責任ある飲酒 |
新たな飲用機会 の創出による アルコール関連 問題の解決 |
グループ全体(平均) |
2030年までに主要な酒類商品※9に占めるノンアルコール飲料・低アルコール飲料※10の販売量構成比20%以上を達成する |
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人権 |
人権の尊重 |
グループ全体(共通) |
2030年までに自社従業員※11及び直接材一次サプライヤー※12の100%において人権デューデリジェンスを実施し、各事業会社・機能部門が継続的にPDCAをモニタリングができている |
*略称で記載している会社の正式名称は以下のとおりです。
AGH:アサヒグループホールディングス(株)
AGJ:アサヒグループジャパン(株)
AB :アサヒビール(株)
ASD:アサヒ飲料(株)
AGS:アサヒグループ食品(株)
AEI:Asahi Europe & International Ltd.
AHA:Asahi Holdings (Australia) Pty Ltd
AHSEA:Asahi Holdings Southeast Asia Sdn. Bhd.
*本年よりグループ全体の目標のみの開示に変更
※1.対象範囲は、SBTi基準に則り、事業活動に伴うGHG排出量の大部分(Scope1,2は95%以上、Scope3は90%以上)を網羅する組織が対象。なおScope1,2・Scope3それぞれで規定水準を満たす必要があり、Scope1,2・Scope3において対象企業は異なる。
※2.炭素除去:SBTイニシアチブに準拠し、ネットゼロ目標時点における残余排出量、及びそれ以降に大気中に放出されるすべてのGHG排出量について、大気中から炭素を除去し、永続的に貯蔵することで中和する
※3.対象とするプラスチック容器:PETボトル、プラボトル、PETボトル・プラボトルに使用する一部のキャップ、プラカップ(販売用)など
※4.有効利用:リユース可能、リサイクル可能(研究段階でのリサイクル可能性を含む)、堆肥化可能、熱回収可能など
※5.リスクベースのデューデリジェンス・プロセス=現地のサプライヤーとのエンゲージメント、リスク特定、モニタリングするためのデータ主導型ツールの活用、そして最も高いリスクが認められる場所での実地監査の実施。サプライヤーやステークホルダーと協働し、透明性、トレーサビリティ、農業慣行の継続的改善を確保する。
※6.優先流域の生産拠点は水リスク評価ツール(Aqueduct, Water Risk Filter, Integrated Biodiversity Assessment Tool(IBAT))の結果及び各生産拠点で行っている水リスク詳細調査に基づき選定(対象:9生産拠点)
※7.水リスクの高い地域とは水量、水質、Water Sanitation and Hygiene(WASH)等に関するリスクのある流域または世界的に認知されている流域(例えばCEO Water Mandate priority basins)を加味し、選定(対象:7製造生産拠点)
※8.流域課題は、水量、水質、Water Sanitation and Hygiene(WASH)などに関するリスク含む各流域固有の課題
※9.主要な酒類商品:ビール類、RTD、ノンアルコール飲料(ノンアルコールのアルコールテイスト(風味)飲料)
※10.ノンアルコール飲料の定義は各国の法規制に準ずる。低アルコール飲料はアルコール度数3.5%以下とする
※11.ディストリビューターを通じた輸出事業を除く事業展開国が対象
※12.原材料・包装資材の年間取引金額10万米ドル以上の既存サプライヤー
[取り組み進捗状況(2024年‐2025年)]
2024年‐2025年の取り組み状況は以下のとおりです。サステナビリティ推進体制のもと、未達の項目についてはその原因を把握し、達成に向けて推進していきます。
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テーマ |
対象組織 |
指標・目標 (2025年現在) |
2024年実績 |
2025年実績 |
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環境 |
気候変動への 対応 |
グループ全体(共通)※1 |
2040年までに、Scope1,2,3においてGHG排出量ネットゼロを達成する(排出量の削減が90%以上、炭素除去は最大10%) |
Scope1,2:2019年比35%削減 Scope3:2019年比14%削減 |
集計中 |
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グループ全体(平均)※1 |
2030年までに、Scope1,2においてGHG排出量を70%削減する(2019年比) |
Scope1,2:2019年比35%削減 |
集計中 |
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グループ全体(平均)※1 |
2025年までに、Scope1,2においてGHG排出量を40%削減する(2019年比) |
Scope1,2:2019年比35%削減 |
集計中 |
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グループ全体(平均)※1 |
2030年までに、Scope3においてGHG排出量を30%削減する(2019年比) |
Scope3:2019年比14%削減 |
集計中 |
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持続可能な 容器包装 |
グループ全体(共通)(AB、ASD、AEI、AHA、AHSEA) |
2025年までに、プラスチック容器※2を100%有効利用可能※3な素材とする |
有効利用可能な素材の比率:99.5%(事業国により、有効利用の考え方が異なる) |
集計中 |
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グループ全体(共通)(ASD、AEI、AHA、AHSEA) |
2030年までに、PETボトルを100%リサイクル素材、バイオ由来の素材などに切り替える |
環境配慮素材の比率:37% |
53% |
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グループ全体(共通) |
プラスチックに替わる持続可能な新素材の開発・プラスチック容器包装を利用しない販売方法を推進する |
・日本でラベルレス商品の拡大 ・日本でプラスチック容器を利用しない強炭酸サーバー(ステンレス製タンブラー)のオフィス・ホテル向けサービスを開始 ・欧州でプラスチック製シュリンクフィルムから段ボールへの切り替えを拡大 |
集計中 |
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持続可能な農産物原料 |
グループ全体(共通) |
2030年までに大麦とコーヒーについて、認証※4を活用して、100%持続可能に生産された原料の調達を実現する |
活用可能な認証制度・基準について調査を実施。現在、それらの効果的な導入を目指し、戦略及び実行計画の最終化を進めている。 |
大麦及びコーヒーについて、認証を活用した持続可能な調達に向けたロードマップの策定及び実行計画の具体化に向け、基盤整備を進めた。具体的には、活用可能な認証制度・基準及びその確認方法の検討、サプライヤーとの対話、サプライチェーン分析を実施した。これらの取り組みを通じて、段階的な実行に向けた優先領域及びアプローチの整理を進めた。 |
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グループ全体(共通) |
2030年までに、サプライチェーンにおける人権リスクを効果的に特定、評価、軽減、是正するために、リスクベースのデューデリジェンス・プロセス※5を実施し、持続可能な原料の調達を目指す。このアプローチを、人権侵害のリスクが最も高い、コーヒー、サトウキビ、パーム油、カカオ、茶の5つの主要原料のサプライチェーンにおいて優先的に取り組む。 |
2024年に、リスクベースの人権デューデリジェンスプロセスの初期ステップとして、サプライヤー全体における人権リスクの基本的なリスクレベルを把握するため、リスク評価を実施した。この評価により、人権リスクが高い可能性のあるサプライヤーを特定し、今後のデューデリジェンス活動に向けたモニタリングの優先順位を整理することができた。 |
人権リスクが高い可能性のあるサプライチェーンにおいて、労働環境や安全衛生を中心に人権リスクへの理解を深めるため、監査・認証レポートの確認、現地訪問、サプライヤーとの対話を強化した。特にインドネシアのコーヒー農園を含む現地確認を通じて得られた知見を踏まえ、基本的な期待事項やサプライヤー・マネジメント・プランへの反映を進めている。 |
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テーマ |
対象組織 |
指標・目標 (2025年現在) |
2024年実績 |
2025年実績 |
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環境 |
持続可能な水資源 |
グループ全体(平均)(AB、ASD、AEI、AHA、AHSEA)優先流域(平均)(AEI、AHA、AHSEA) |
2030年までに水使用量の原単位をグローバル平均3.2m3/kl以下、優先流域の主要な生産拠点※6では平均2.7m3/kl以下にする |
グローバル:3.4m3/kl 優先流域:2.7m3/kl |
集計中 |
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その他環境の 取り組み |
グループ全体(共通)(AGJ、AEI、AHA、AHSEA) |
2030年までに、自社生産拠点の埋立廃棄ゼロを達成する |
埋立廃棄率:1% |
集計中 |
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コミュ ニティ |
人と人との つながりの創出による持続可能なコミュニティの実現 |
グループ全体(共通) |
基本活動「コミュニティ支援活動」において、グローバル施策「RE:CONNECTION」を実施し、全RHQが参画する |
グローバル施策「RE:CONNECTION for the EARTH」を実施し、全RHQが参画 |
グローバル施策「RE:CONNECTION」を実施し、全RHQが参画 |
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責任ある飲酒 |
不適切飲酒の 低減 |
グループ全体(共通) |
2024年までに「IARDデジタル・ガイディング・プリンシプル」への対応率100%を達成する |
対応率:100% |
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グループ全体(共通) |
2024年までに、すべてのアルコール飲料ブランド(そのブランドで販売されるノンアルコール飲料を含む)の製品に、飲酒の年齢制限に関する表示をする |
完了。 |
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新たな飲用機会 の創出による アルコール関連 問題の解決 |
グループ全体(平均) |
2030年までに主要な酒類商品※7に占めるノンアルコール飲料・低アルコール飲料※8の販売量構成比20%以上を達成する |
販売量構成比:12.8% |
販売構成比:14.0% |
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人権 |
人権の尊重 |
グループ全体(共通) |
2030年までに自社従業員100%※9及び直接材一次サプライヤー100%※10において、人権デューデリジェンスを実施し、各事業会社、機能部門が継続的にPDCAをモニタリングができている |
自社従業員については、過去の国別リスク評価で高リスクとされた3か国において、外部機関の自己評価質問票を用いたリスクアセスメント及び第三者専門家による現場監査を実施。結果について是正措置の実施を開始。 直接材一次サプライヤーについては、リスクの高いサプライヤーをパイロットグループとし自己評価質問表を用いたリスクアセスメントを実施 |
自社従業員:自社従業員に関する人権影響評価を実施し、顕著な人権課題を特定・評価し優先順位づけを行った。この結果をもとに、2030年のグループ目標達成に向けたアプローチを見直し、以下の2施策を中心としていくことを決定。 1.グループ全体での継続的デューデリジェンス体制の構築:人権に関する「グループ最低基準」及び保証プログラムの策定・実装を行い、グループを通して一貫した人権管理体制を構築する。 2.優先課題に対する継続したデューデリジェンスの実施:優先課題について強化デューデリジェンスを実施し、負の人権影響の防止、予防に向け迅速かつ積極的な対策を講じる。 サプライチェーン:年間取引金額が10万米ドル以上の直接材一次サプライヤーの30%に対し人権デューデリジェンスを実施。 |
*略称で記載している会社の正式名称は以下のとおりです。
AGH:アサヒグループホールディングス(株)
AGJ:アサヒグループジャパン(株)
AB :アサヒビール(株)
ASD:アサヒ飲料(株)
AEI:Asahi Europe & International Ltd.
AHA:Asahi Holdings (Australia) Pty Ltd
AHSEA:Asahi Holdings Southeast Asia Sdn. Bhd.
※1.対象範囲は、SBTi基準に則り、事業活動に伴うGHG排出量の大部分(Scope1,2は95%以上、Scope3は90%以上)を網羅する組織が対象。なおScope1,2・Scope3それぞれで規定水準を満たす必要があり、Scope1,2・Scope3において対象企業は異なる。
※2.対象とするプラスチック容器:PETボトル、プラボトル、PETボトル・プラボトルに使用する一部のキャップ、プラカップ(販売用)など
※3.有効利用:リユース可能、リサイクル可能(研究段階でのリサイクル可能性を含む)、堆肥化可能、熱回収可能など
※4.原料ごとに活用する認証・基準を最終化予定
※5.リスクベースのデューデリジェンス・プロセス=現地のサプライヤーとのエンゲージメント、リスク特定、モニタリングするためのデータ主導型ツールの活用、そして最も高いリスクが認められる場所での実地監査の実施。サプライヤーやステークホルダーと協働し、透明性、トレーサビリティ、農業慣行の継続的改善を確保する。
※6.優先流域の生産拠点は水リスク評価ツール(Aqueduct, Water Risk Filter, Integrated Biodiversity Assessment Tool(IBAT))の結果及び各生産拠点で行っている水リスク詳細調査に基づき選定(対象:9生産拠点)
※7.ビール類、RTD、ノンアルコール飲料
※8.ノンアルコール飲料の定義は各国の法規制に準ずる。低アルコール飲料はアルコール度数3.5%以下とする。
※9.ディストリビューターを通じた輸出事業を除く事業展開国が対象
※10.原材料・包装資材の年間取引金額10万米ドル以上の既存サプライヤー
(2)その他の項目
a.気候変動への対応
地球温暖化による気候変動は、干ばつや洪水といった異常気象の激化を引き起こし、世界中の人々の生活や多様な生態系に大きな影響を与えています。気候変動による生態系への被害は年々激化しており、社会全体の脱炭素化の実現が叫ばれています。そのため、「自然の恵み」を享受して事業を行うアサヒグループにとって、気候変動問題への対策は重要な課題と認識しています。アサヒグループは、大切な「自然の恵み」を地球温暖化から守り、次世代につなぐために、事業の脱炭素化を推進します。
アサヒグループは、気候変動を看過できない事業上のリスクと認識しています。2024年に実施したTCFD・TNFDに基づく統合シナリオ分析では、将来的に炭素税が導入された場合、2030年の酒類カテゴリー、飲料カテゴリー、食品カテゴリーにおける生産に関わるGHG排出量(Scope1,2)に対する財務影響額は、約101億円となる可能性を試算しています。事業継続の観点からも、バリューチェーン全体のGHG排出量の削減が急務であると認識しています。一方で、気候変動への対応は、アサヒグループにとって、製造方法の抜本的な見直しや新技術の実証試験を加速させ、コスト競争力向上とさらなる効率化を実現しうる機会になると捉えています。「CO2を食べる自販機」の展開や「ラベルレスボトル」などのイノベーションを通じ、脱炭素社会への移行に貢献するとともに、新たな事業機会を生み出すことができると考えています。
こうした世界的な動向や当社の直面するリスクと機会を踏まえ、グループ全体の方針である「アサヒグループ環境ビジョン2050」では、2024年にScope1,2,3を対象とする2040年ネットゼロ(GHG排出量ネットゼロ)目標を前倒しで設定しました。当社のこの目標は、Science Based Targets Initiative(SBTi)のネットゼロ認定を取得しており、さらに、農産物原料などの土地利用に起因する排出を対象とするFLAG※領域では、短期及び長期目標について日本企業として初めてSBTi認定を取得しています。
※ FLAG:Forest, Land and Agricultureの略称で、農業や林業、その他土地利用に関連するセクターのこと。FLAG排出量は、このセクターにおける非エネルギー起源のGHG排出量を表す。
■リスクと機会
リスク
●炭素税等の環境規制導入による原料・材料価格の高騰
●環境負荷が大きい製品・商品への需要減少
●災害による物理的影響(物流停止・生産拠点操業停止等)
機会
●新技術開発に伴う競争力向上と効率化推進
●GHG排出量削減策による気候変動の緩和
●製造方法の見直しや物流の効率化によるコスト・GHG排出量削減
①ガバナンス
アサヒグループは、アサヒグループホールディングス(株)の取締役 兼 代表執行役社長Group CEOが委員長を務めるグローバルサステナビリティ委員会で、グループ全体の環境を含むサステナビリティ課題に対して取り組む体制を構築しています。
※アサヒグループホールディングス(株)のSustainability(部署)
②戦略
アサヒグループは、2040年までにGHG排出量ネットゼロを目指す中長期目標「アサヒカーボンゼロ」を設定しています。
これらの実現に向け、再生可能エネルギーの早期導入完了、製造工程における燃料の脱炭素化、GHG排出量の削減・吸収・回収に関連する技術の開発と展開など、グループ横断で多様な施策を着実に推進しています。また、サプライヤーやパートナーの皆様と協働を通じ、バリューチェーン全体のGHG削減と生態系保全を目指しています。
当社グループのGHG排出量(Scope1,2)削減に向けては、短期的に施設の省エネルギー化と電化を進めるとともに、再生可能エネルギーの活用拡大、製造方法の刷新、ヒートポンプ技術やCO2分離回収装置の実証など、多面的な施策を推進し、電力由来のGHG排出量(Scope2)の削減を進めます。また、長期的には、再生可能な熱及び燃料の導入に向けた検証を進め、2040年を目途に燃料由来のGHG排出量(Scope1)の脱炭素化を目指します。アサヒグループ以外のサプライチェーン上のGHG排出量(Scope3)削減については、排出規模の大きい領域に重点を置き、サプライヤーや取引先との共創による削減策に取り組むことで脱炭素化を加速しています。短期的に、全体の80%以上を占める「原料・資材」「輸送(上流・下流)」を削減優先領域と定めています。原料・資材の領域ではアルミ缶、PETボトルなどの容器包装の軽量化やリサイクル素材の活用を推進し、使用量の削減と環境負荷低減の双方で改善を図ります。また、輸送においては、実証実験中の燃料電池トラックなどGHG排出量を抑制する輸送手段を導入し始めています。中長期的には、既存の取り組みに加え、業界全体や政府、自治体と連携し、サプライチェーンを越えた脱炭素施策やCO2排出量の吸収・回収技術を推進することで、社会全体のGHG排出量削減に貢献します。
また、各施策の削減効果を排出量算定時に確実に反映できるように、サプライヤーからの一次データを活用した、アサヒグループ排出量算定手法へ段階的に移行しています。
アサヒグループは、科学的・客観的な根拠に基づいた脱炭素目標の設定やGHG排出量削減の進捗確認と透明な開示の重要性を認識しています。当社グループは、SBTiに準拠した目標を掲げ、毎年第三者検証を取得した年間GHG排出量を基に取り組みの進捗を確認し、開示しています。削減取り組みを着実に進めると同時に、技術・ソリューションの開発やブレイクスルーが求められる脱炭素領域を「共創領域」と位置づけ、パートナーシップや外部イニシアチブへの積極的な参加を通じて、自社の枠を超えた取り組みを進めています。これらの取り組みで「アサヒカーボンゼロ」の達成を目指します。
③リスク管理
アサヒグループは、地球温暖化に起因する気候変動により、異常気象の激化や気候パターンの変化が生じ、事業継続や社会にさまざまな悪影響を及ぼす可能性をリスクと捉えています。
これらのリスクについては、グループ全体で実施しているエンタープライズリスクマネジメント(ERM)体制下において取締役 兼 代表執行役社長Group CEOが委員長を務めるリスクマネジメント委員会が管理すべき主要リスクと位置付け、リスク評価、対応計画の策定・実行・モニタリングを継続的に実施しています。
④指標及び目標
「
b.持続可能な容器包装
容器包装は、お客様に価値ある商品を提供するうえで重要な役割を担っています。品質保持や輸送強度を担保するとともに、デザインや表示によりコミュニケーション手段としての機能を果たすほか、使いやすさや原料資源の持続可能性が求められています。一方で、不適切に廃棄されたプラスチック製の容器包装による海洋汚染や、河川・海で生息する動植物がプラスチックを取り込むことによる悪影響は、喫緊の社会課題です。また、化石燃料由来の資源やバージン材から製造した容器包装に起因するGHG排出量は、Scope3において大きな割合を占めています。
環境負荷が問題視される容器包装への規制、リサイクル素材やバイオ由来の素材の需要増加に伴うコスト増加、さらに素材不足が発生した場合に、必要な対応が遅れることで調達に影響が生じる可能性があります。また、プラスチックに対する消費者の忌避感によって売上が減少するリスクがある一方、リサイクル素材やバイオ由来の素材の積極的な活用は、環境意識の高まりに応えるものであり、売上拡大にもつながる可能性があります。これらの素材を用いることは化石由来原料の使用量とGHG排出量の削減にもつながり、気候変動問題への対応にも寄与します。当社グループは、リサイクルのバリューチェーン※の一端を担い、リサイクル素材の導入や品質の向上と需給の安定化に取り組むことで、長期的には廃棄物発生を抑制し、資源が循環する社会の構築に貢献します。
アサヒグループは、グループ全体の方針である「アサヒグループ環境ビジョン2050」のもと、資源利用の最小化や使用後の容器包装再利用を進めることで、循環型社会の構築と海洋生態系保全に努めます。容器包装サプライヤー各社や消費者の皆様とともに、環境負荷の低い容器包装への転換や、リサイクル・リユースを起点とした消費への移行を進めています。
※ リサイクルのバリューチェーン:使用した資源を回収、再資源化し、リサイクル素材として活用する循環型経済の一連の仕組み
■リスクと機会
リスク
●リサイクル素材やバイオ由来の素材などの需要増加に伴うコスト増加
●素材不足への対応遅延による調達への影響
●プラスチックに対する消費者の忌避感によるプラスチック容器使用商品の売上減少
機会
●環境負荷を低減する商品需要への対応に伴う売上拡大
●環境負荷を低減する商品展開に伴う容器包装廃棄物削減による資源循環型社会への貢献
①ガバナンス
「
②戦略
アサヒグループは、事業活動及び共創を通じて、環境負荷の低い容器包装への転換を進めています。短期的にはPETボトルのリサイクル素材またはバイオ由来の素材への転換を推進しており、当社グループは、プラスチック課題の解決に向けて、容器包装の3R(リデュース・リユース・リサイクル)に革新を加えた「3R+Innovation」を掲げ、2030年までにPETボトルを100%リサイクル素材またはバイオ由来の素材などへ切り替えることを目標に設定しています。PETボトルに限らず、缶、びん、樽、紙などの容器包装資材について、3Rの観点から省資源・軽量化・リサイクル性の向上に努めるとともに、環境負荷低減に寄与する新たな容器・包装の開発に取り組んでいます。
容器包装については、循環型社会の構築に向けて、各国・地域で急速に資源循環に関する要請が高まり、規制の策定が進んでいます。同時に、新たな素材・容器包装に対するニーズは機会と捉えられ、積極的な技術革新も見られます。アサヒグループは業界団体と積極的に連携し、サプライヤーとの技術の共同開発にも取り組むことにより、容器包装を通じた価値提供を進めるとともに、容器の使い捨てという消費行動の変革を目指した取り組みも実施していきます。
スロバキアなどの欧州市場では、複数社との共創により、アルミ缶の回収を含むデポジットリターンスキーム(回収・再資源化のクローズドループ)を構築しています。地域ごとのニーズに応じた施策を展開することで、循環型社会の構築に向けた歩みを進めていきます。
③リスク管理
アサヒグループは、不適切に廃棄された容器包装が引き起こす海洋汚染や生態系への影響が社会及び当社グループの事業継続性に悪影響を及ぼすリスクを認識しています。
これらのリスクについて、グループ全体で実施しているエンタープライズリスクマネジメント(ERM)体制下において取締役 兼 代表執行役社長Group CEOが委員長を務めるリスクマネジメント委員会が管理すべき主要リスクと位置付け、リスク評価、対応計画の策定・実行・モニタリングを継続的に実施しています。
④指標及び目標
「
c.持続可能な農産物原料
「自然の恵み」を享受して事業活動を行う企業として、持続可能な農産物原料調達を実現することはアサヒグループの事業の根幹を成すものです。同時に、農産物原料のバリューチェーンにおける人権、コミュニティ、環境リスクの発生可能性を事業継続性に関わるリスクとして認識しています。
農産地や生産拠点から市場に至るまで、農産原料のバリューチェーン上のすべてのステークホルダーに対する人権配慮及び地域コミュニティへの貢献を重視するとともに、各工程で生じる水・土壌の利用及びGHG排出を踏まえ、環境への影響低減に取り組んでいます。バリューチェーン上の営みは、農産物生産地の近隣生態系維持に必要な水の不足や土壌汚染などを通じて、生物の生息及び生態系への悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、作物の種類によっては、気候変動の影響により収量や品質に大きく及ぶ場合があります。
2024年に実施したTCFD・TNFDの統合分析では、異常気象に起因する自然災害の影響により発生する急性物理リスクに伴い、原料の調達額が10~129億円増加する可能性があることを確認しました。当該リスクは、将来的に当社グループの農産物原料(穀物・果実など)について調達先の変更や代替調達品の確保を迫られる恐れがあることを示しており、対策の必要性を明確にしています。作物の種類によっては、気候変動の影響が収量や品質に大きく及ぶ可能性があります。これらのリスクへの対応を進めるのと同時に、持続的な農産物原料の調達において、生産者のWell-beingに貢献することも重要だと考えています。当社グループでは、生産者が次世代に誇りを持って事業を継承できるよう、生産地域が活性化し、生産者が心身ともに健康で、地域社会とのつながりを保ちながら豊かな生活を送れる環境の実現に向けて取り組んでいます。
当社グループは、グループ全体の方針である「アサヒグループ環境ビジョン2050」のもと、農産物原料の領域では、環境配慮、人権尊重、地域活性化が実現された農業が行われ、安定的な生産と生態系の維持が両立した世界の実現に向けて、歩みを進めていきます。
■リスクと機会
リスク
●農産物原料の収量・品質の変動に伴う、調達先変更・代替調達品の確保
機会
●農産物生産者の支援を通じた持続可能な農産業及び調達の実現
①ガバナンス
「
②戦略
アサヒグループは、環境・人権に配慮した農産物原料の調達を推進し、生産地までのトレーサビリティを確保することを目指します。また、ビール製造工程で生じる副産物や当社グループの環境関連技術を活用し、農業・酪農における環境負荷低減に貢献します。加えて、生態系回復の機会を捉え、将来にわたり農産物原料を枯渇させることなく安定的に確保する取り組みを各地で進めるとともに、ステークホルダーとの共創を強化します。2023年の「アサヒ環境ビジョン2050」の改定に際し、当社グループは、2023年に「環境」「コミュニティ」「人権」のマテリアリティを横断する検討チームを立ち上げました。各RHQのサステナビリティ・調達部門も参画して戦略、中期目標、取り組みを検討し、目標達成に向けたロードマップを策定しました。このロードマップでは、アサヒグループとして初めてグローバル全体で推進する農産物原料に関する2030年目標を設定しています。具体的には①2030年までに認証を活用した100%持続可能に生産された原料調達を実現する、②サプライチェーンにおける人権リスクを効果的に特定、評価、軽減、是正するためのリスクベースのデューデリジェンス・プロセスを実施し、人権侵害のリスクが最も高い、コーヒー、サトウキビ、パーム油、カカオ、茶の5つの主要原料のサプライチェーンに優先的に取り組むことを掲げています。加えて、2030年までに農産物生産者のWell-being向上の実現についても検討を進めています。これらの達成に向け、Asahi Global Procurement Pte. Ltd.を中核とするグローバル調達戦略機能の下でサプライヤー、農産物生産者との連携を強化しています。
③リスク管理
アサヒグループは、気候変動などの環境影響に起因する、農産物原料の収量・品質に影響が生じ得ることをリスクと捉えています。この影響は事業継続を困難にする恐れがあり、大切な「自然の恵み」として次世代へ継承できなくなる懸念を伴います。これらのリスクについては、グループ全体で実施しているエンタープライズリスクマネジメント(ERM)体制下においてアサヒグループホールディングス(株)のSustainability部門や各Regional Headquartersが管理すべきリスクと位置付け、リスク評価、対応計画の策定・実行・モニタリングを継続的に実施しています。
④指標及び目標
「
d.持続可能な水資源
世界人口の増加や開発途上国の経済成長、気候変動の影響により、世界各地では水資源をめぐる課題が水量のみならず水質の側面も含めて深刻化しています。世界の水需要が年々増加する中、水ストレスの高い地域が拡大するだけでなく、降水量の変動に伴う洪水や干ばつの増加への懸念が広がっています。
水は、地球環境にとってかけがえのない大切な資源です。「自然の恵み」を享受して事業を行う当社グループにとっても不可欠な資源です。当社グループは、水リスク評価を実施し、水ストレスの状況や水質を含む地域特性を踏まえた適切な操業・管理のもとで、大切な「自然の恵み」を次世代につなげるため、持続可能な水資源利用に取り組みます。
当社グループは、主要原料の生産地域について、事業への影響が大きいサプライヤー及び生産地を特定し、干ばつリスク・洪水リスク・評判リスクなどを評価しています。水害による生産拠点の操業停止をリスクとして想定しており、2024年に実施した分析では、操業停止の可能性が高い生産拠点を10ヵ所と特定し、機会損失額を36億円と試算しました。当社グループは各地域のステークホルダーとの共創により、水資源に起因する課題の解決に取り組みます。グループ全体の方針「アサヒグループ環境ビジョン2050」のもと、当社グループが使用する水量にとどまらず、地域や流域全体における水課題の改善に資する取り組みを通じて、ポジティブなインパクトを地球環境にもたらすことを目指しています。
■リスクと機会
リスク
●水害による生産拠点の操業停止
●水の過剰使用による地域住民への悪影響・生態系の悪化
●水不足による取水制限
●不適切な排水処理等による業務負担増大・レピュテーション低下
機会
●BCPの確実な実行に伴う生産拠点の安定稼働
●水問題解決に伴う、地域住民の水アクセス問題解決、生物多様性が保たれる世界への貢献
①ガバナンス
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②戦略
アサヒグループは、人と自然のための健全な水環境の実現のため、グローバル共通で水使用量の削減と水リスクのある生産拠点流域における課題改善に貢献する取り組みを行っています。
水使用量の削減においては、酒類・飲料を製造するグループ自社生産拠点での水使用量原単位をグローバル全体で平均3.2m³/kl以下に、また、当社グループの水リスク評価に基づき特定した優先流域の主要な生産拠点の水使用量原単位では平均で2.7m³/kl以下にすることを目標に設定し、削減施策を推進しています。水を扱うすべての拠点で、製造設備の洗浄工程の適正化や、用途に応じて同じ水を多段的に用いるカスケード利用など、利用効率の向上を追求しています。取水・排水に伴う環境負荷の最小化に努め、対象事業会社の生産拠点では、水管理計画を策定し、適切な対応・管理による水使用量の削減を進めています。さらに、生態系保全を考慮し、環境負荷を低減できる排水方法を検討していきます。
水リスクのある生産拠点流域における課題改善に向けて、当社グループは生産拠点とその流域のリスク調査を実施し、結果に基づくリスク低減策を講じています。また、当社グループの商品が世界各地の多様な農産物原料を用いていることを踏まえ、サプライチェーンにおける水リスクの把握と低減にも取り組んでいます。今後は、水源保全活動の拡大や外部組織との協働を通じ、流域課題の改善に貢献します。
③リスク管理
アサヒグループは、世界的な水需要の高まりなどによって各地で水不足が生じ得ることをリスクと捉えています。その影響は事業の継続性を損なう恐れがあるとともに、大切な「自然の恵み」としての水を次世代につなぐことができなくなる可能性も伴います。
これらのリスクについては、グループ全体で実施しているエンタープライズリスクマネジメント(ERM)体制下においてアサヒグループホールディングス(株)サステナビリティ部門や各Regional Headquartersが管理すべきリスクと位置付け、リスク評価、対応計画の策定・実行・モニタリングを継続的に実施しています。
④指標及び目標
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e.人と人とのつながりの創出による持続可能なコミュニティの実現
経済発展とともに人口の流動化が加速し、世界各地で都市部への一極集中や過疎化などの人口分布の偏りが発生することで、地縁的な「つながり」や共通の価値観を持った「つながり」が希薄化しています。このような「つながり」の希薄化は社会的孤立、治安の悪化、地域愛着度の低下、地域社会の担い手不足などのさまざまな社会課題を生み出し、コミュニティ活力低下の要因の1つになっています。
調達・生産・販売などの事業活動を通じてさまざまなコミュニティに支えられてきたアサヒグループは、改めて「つながり」を見直して進化させることが重要だと考え、マテリアリティ「コミュニティ」の活動スローガンを「RE:CONNECTION」と定めて取り組みを推進しています。
■リスクと機会
リスク
●事業展開地域や原料産地などの地域コミュニティが脆弱になった場合の、安定操業や安定調達への悪影響
機会
●重点活動である「持続可能な農産業」に取り組むことによる、農産物生産者のWell-beingの向上、アサヒグループの安定調達の実現
●基本活動「従業員が参画するコミュニティ支援活動」に取り組むことによる地域の活性化、当社グループへの信頼の獲得
①ガバナンス
アサヒグループは、サステナビリティの推進体制におけるタスクフォースの1つとして「コミュニティタスクフォース」を設置し、グローバルでの推進体制を構築しています。本タスクフォースではアサヒグループホールディングス(株)とRegional Headquarters(RHQ)が、施策の協議やベストプラクティスの共有を通じてグループ全体の活動レベルを向上させることを目指しています。
※アサヒグループホールディングス(株)のSustainability(部署)
②戦略
アサヒグループは、コミュニティ戦略において、重点活動を「持続可能な農産業」、基本活動を「従業員が参画するコミュニティ支援活動」と定めています。
■重点活動「持続可能な農産業」
当社グループは、「自然の恵み」である農産物を活用して商品・サービスを生み出しており、農産業と深い関わりを持っています。その農産業は、雇用創出や特産・伝統の継承など、コミュニティにおいて人の「つながり」を生む場としての大切な役割を果たしてきました。そこで、アサヒグループの事業、及び社会に与えるインパクトが大きいコミュニティとして、事業の根幹を担う農産物原料への取り組みを強化することを定めました。持続的な事業成長を目的とした原料の安定調達とともに、当社グループの独自技術を活用して、農産業を通じた「地域活性化」「環境負荷低減」「人権尊重」などに取り組み、“ステークホルダーとの「つながり(共創)」による農産物生産者のWell-being向上”に貢献します。
■基本活動「従業員が参画するコミュニティ支援活動」
コミュニティの「つながり」を見直し、進化させるためには、従業員自らが地域の抱える課題について考え、その解決に向けて行動することが重要であると考えています。基本活動として、従業員がコミュニティ支援に参画することを定め、事業との関連性の高い「食」「地域環境」「災害支援」の領域で積極的に活動することで、コミュニティとのつながりを強化することを目指しています。
食:アサヒグループの主要事業領域は酒類・飲料・食品であり、「食」はこれらと密接なつながりがある
地域環境:アサヒグループの商品は「自然の恵み」を享受して事業を展開しており、「地域環境」への配慮は事業継続の要である
災害支援:災害が発生した場合、「災害支援」はその地域で事業を展開する企業として当然の行動と考えている
③リスク管理
アサヒグループは、事業展開地域や原料産地などの地域コミュニティが脆弱化することによって、グループの事業の安定操業や安定調達に影響を及ぼすことをリスクと捉えています。
これらのリスクについては、アサヒグループホールディングス(株)のサステナビリティ部門が、各RHQから持続可能な農産業の取り組みや従業員が参画するコミュニティ支援活動などの進捗報告を受けるなど、グループ全体の地域社会における活動を管理しています。
当社グループは地域社会から信頼を獲得することで事業の安定操業や安定調達を継続しており、これからも持続可能なコミュニティ活動を推進していきます。
④指標及び目標
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f.不適切飲酒の低減
酒類は、長い人類の歴史の中で、日々の暮らしに喜びと潤いをもたらすとともに、冠婚葬祭など人生の節目においても、大きな役割を果たしてきました。当社グループは、そのような酒類の生産や販売に携わっていることを、大変誇りに思います。一方、不適切な飲酒によって、個人や家庭そして社会にさまざまな問題を起こすこともあります。
そこでアサヒグループは、酒類を取り扱う企業グループとしての飲酒に関する基本方針のもと、不適切な飲酒の低減に向けて取り組み、アルコールが起因の社会課題の解決を目指していきます。
■リスクと機会
リスク
●不適切な飲酒による人々の健康や社会に与える悪影響
●不適切な飲酒による、世界規模での酒類販売に関する規制強化や当社グループのレピュテーション・ブランド価値の棄損
機会
●不適切飲酒の課題解決による酒類文化の健全な発展
●ノンアルコール飲料・低アルコール飲料など、新たな飲用機会の創出による市場・売上の拡大
①ガバナンス
アサヒグループでは、アサヒグループホールディングス(株)のサステナビリティ部門が事務局を担い、各Regional Headquarters(以下、RHQ)の担当役員や担当者が参加するグローバルアルコールポリシー会議を隔月で開催しています。同会議がサステナビリティタスクフォースの役割を担い、グループ全体における酒類関連の課題対応の協議や成功事例の共有などを実施するとともに、同体制の中で、責任ある飲酒の目標達成に向けた協議を行っています。2022年は、責任ある飲酒の中長期的な方向性や目標について、Corporate Management Board、及び、サステナビリティ委員会で複数回にわたって討議しました。
具体的なグローバルKPIやRHQレベルのKPIは、グローバルアルコールポリシー会議で議論を進め、四半期ごとの業績報告の中で各RHQのCEOからExecutive CommitteeやCorporate Management Boardに進捗を報告し、必要に応じて議論しています。
また、各事業会社は、中長期の方向性や目標、さらには「酒類を取り扱う企業グループとしての飲酒に関する基本方針」に基づき、各国・各地域のアルコール関連課題や消費者ニーズを捉えながら具体的な施策を展開しています。
※アサヒグループホールディングス(株)のSocial Impact &Affairs(部署)
②戦略
アサヒグループは、酒類を取り扱う企業グループとしての飲酒に関する基本方針に基づき、不適切な飲酒の低減を目指し、従来から各地域の課題を考慮しながらさまざまな活動に取り組んできました。
2022年からは、世界保健機関(WHO)が採択したグローバルアルコールアクションプラン2022-2030の内容を踏まえて、その中で設定されたグローバル目標の指標となる2030年までに「大量飲酒」や「一人当たりの純アルコール摂取量」の低減に貢献する取り組みを強化しています。
政府によるアルコールに関するマーケティング・営業活動の規制や課税以外の対策で不適切飲酒の課題を解決できることを実証し、その取り組みを進めることでアルコール業界の健全な成長を目指します。そのためにも多くのステークホルダーとともに有害なアルコール使用の低減を社会全体で実現すべく、多様なステークホルダーとの対話を重ねながら具体的な課題解決への貢献を目指します。
③リスク管理
不適切な飲酒は、人々の健康や社会に悪影響を及ぼす可能性があります。また、今後の社会の潮流によっては急速に世界的な規模で酒類販売に関する規制が強化されることも考えられます。これらの影響で、アルコールを製造・販売するアサヒグループのレピュテーション及びブランド価値が毀損される、もしくはアルコールに対する消費者需要の縮小などにより、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があることをリスクと捉えています。
これらのリスクについては、グループ全体で実施しているエンタープライズリスクマネジメント(ERM)体制下において、取締役 兼 代表執行役社長Group CEOが委員長を務めるリスクマネジメント委員会が管理すべき主要リスクと位置付け、リスク評価、対応計画の策定・実行・モニタリングを継続的に実施しています。
同時に、Social Impact & Affairs部門においても、International Alliance for Responsible Drinking(IARD)などの業界団体と連携しながら、幅広く業界やアサヒグループにとって今後起こりうるリスクに関する情報を収集し、常にリスクの見直しを行っています。
④指標及び目標
「
g.新たな飲用機会の創出によるアルコール関連問題の解決
アサヒグループは「酒類を取り扱う企業グループとしての飲酒に関する基本方針」(以下、グループ飲酒基本方針)のもと、当社グループの知見と技術を結集して新たに革新的な商品を展開し、新たな飲用機会を創出していきます。
人と酒類の関係の革新に挑戦し、人々の豊かな生活の一翼を担う酒類文化の健全な発展に寄与しながら、不適切な飲酒による社会課題に取り組み、アルコールが起因の課題が減少している社会の実現を目指していきます。
①ガバナンス
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②戦略
アサヒグループは、「酒類を取り扱う企業グループとしての飲酒に関する基本方針」に基づき、不適切な飲酒の低減を目指すと同時に、従来から酒類そのものを革新するだけではなく、人と酒類の関係の革新を目指し、酒類文化の健全な発展に向けて取り組んできました。
アルコール関連問題低減に向けた取り組みとして適正飲酒の促進を重要視しています。多くの人の飲酒シーンで適正飲酒を促し、多量飲酒者の純アルコール量を低減するために、ノンアルコール・低アルコール商品の開発と展開を進め、新たな飲用機関を創出していきます。また、ノンアルコール商品は、これまでの飲酒運転や妊産婦飲酒の防止等に寄与するアルコールの代替品という考え方から、飲酒をしない機会を自ら選択する人々に向けた多様な選択肢の提供という需要も生まれています。
そのためにも当社グループの知見と技術を結集して、ノンアルコール・低アルコール商品の開発と展開に努めることで、新たな選択肢の提案を進めていきます。新たな飲用機会の拡大によって不適切な飲酒の低減を実現し、具体的な課題解決への貢献を目指します。
③リスク管理
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④指標及び目標
「
h.健康価値の創造
消費者の健康意識の高まりとともに、食に対する健康志向が高まっています。
アサヒグループはこれまでに培ったさまざまな技術や知見を活用し、商品・サービスを通じて人々の健康に貢献していくことを目指します。具体的には、酵母、乳酸菌や微生物などの知見を活かした付加価値を高めていくほか、砂糖や塩分の過剰摂取による健康面での負の影響を抑制するなど、健康に配慮した商品・サービスの展開を進めていきます。
■リスクと機会
リスク
●砂糖・塩分使用量が多い商品による消費者の健康悪化
●砂糖・塩分使用量が多い商品を展開することへのレピュテーション低下
機会
●アサヒグループの独自素材・技術を活用した商品による売上拡大
●砂糖・塩分使用量を削減した商品の拡販による健康課題の改善への貢献
①ガバナンス
飲料と食品を扱うアサヒグループにとって「健康」は欠かせないテーマであり、健康価値の創造は、アサヒグループの事業の成長の中心的な役割を担っています。
マテリアリティ「健康」で取り組む主な領域は、特定原料の過剰摂取による健康被害の減少や、酵母や乳酸菌などの研究による新たな健康価値の創造です。なお、アルコールに関わる健康課題はマテリアリティ「責任ある飲酒」で管理、また品質に関わる健康課題はサステナビリティから切り離し、グループの品質保証体制で管理しています。
グループ全体の戦略は、アサヒグループホールディングス(株)のマネジメント体制で決定しています。健康に配慮した商品・サービスの展開などの具体的な取り組みは、事業会社の事業そのものとなるため、事業会社における通常の事業管理プロセスの中でマネジメントしています。
②戦略
消費者の健康意識の高まりによって、商品に対する選択眼も厳しくなっています。また、特定原料の過剰摂取による健康被害を懸念する各国政府が、砂糖などの原料を使用した商品への課税や、マーケティング規制を始めています。アサヒグループは、常に社会の動向の兆しを見極め、商品開発やマーケティング活動において、必要なリスクと機会への対策を講じていきます。
さらに、グループが持つ酵母や乳酸菌などの独自素材の健康機能について、研究や発酵技術の知見と消費者の新たなニーズとを結び付けた商品開発を行うことで、新たな健康価値を提供できる商品の拡充を目指していきます。
③リスク管理
アサヒグループは、砂糖や塩分の過剰摂取による健康被害や世界的な砂糖に関する規制強化への対応の遅れによってグループの経営面に悪影響を及ぼすことをリスクとして捉えています。これらのリスクについては、グループ全体で実施しているエンタープライズリスクマネジメント(ERM)体制下においてアサヒグループホールディングス(株)サステナビリティ部門やRegional Headquartersが管理すべきリスクと位置付け、リスク評価、対応計画の策定・実行・モニタリングを継続的に実施しています。
④指標及び目標
最新の取り組みは、2026年8月発行予定の
i.人権の尊重
企業の事業活動及びバリューチェーン全体において、人権への負の影響が生じる可能性は依然として高く、気候変動や環境負荷の高まりも人権を脅かす要因となっています。
当社はグローバルに事業を展開する企業として、事業活動により影響を受けるすべての人々の人権を尊重することを重要な責務と捉え、この考え方を事業運営の基盤としています。「アサヒグループ人権方針」(以下、人権方針)でその考え方を明示するとともに、人権デューデリジェンスの実施、人権教育の徹底、人権侵害の被害者への救済の仕組みを構築しています。
■リスクと機会
リスク
●適切な対策を講じない場合の、レピュテーションの毀損(取引先や消費者からの評価を含む)
●法的責任(訴訟や罰金)または財務的損失(株価や融資)の発生 ─ 適切な対策を講じない場合の、事業拠点からの撤退や移転に伴うコストの増加、売上の減少
機会
●人権尊重への真摯な対応による企業価値向上及び安定した原材料調達
①ガバナンス
人権の尊重は当社グループの重要な優先事項の一つに位置付けられています。Group Chief Corporate Affairs Officer(Group CCAO)の監督のもと、関連する取り組みの戦略、進捗状況、課題が 四半期ごとにCorporate Management Boardに報告されます。 サステナビリティタスクフォースの1つとして「人権タスクフォース」を設置しており、同タスクフォースで取り上げられた人権課題は、Group CCAOへ報告され、グローバルサステナビリティ委員会及びCorporate Management Boardで審議されます。2024年は、人権デューデリジェンスやグリーバンスメカニズムの構築・運用など、優先取り組み事項を焦点に当てた議論を進めました。
※アサヒグループホールディングス(株)のSustainability(部署)
②戦略
アサヒグループは、これまで人権に関する有識者との継続的な対話を通じて、ビジネスと人権の重要性について理解を深めてきました。このような対話の場には各役員が出席しており、経営層の強いコミットメントが当社グループの人権活動を支える重要な要素となっています。
今後も、人権方針の社内外への周知・浸透、国連指導原則に則った人権デューデリジェンスの推進とグリーバンスメカニズムの構築・運用などの取り組みを強化していきます。人権方針の浸透については、引き続き、人権に関するグループビジョンと戦略の策定に取り組み、人権デューデリジェンスについては、グループ目標の達成に向け、優先取り組み項目のリスク管理を強化していきます。
優先取り組み項目
─ 自社の従業員
─ サプライチェーン
─ 人権侵害の被害者への救済の仕組みの構築・運用
③リスク管理
人権尊重に関するリスクについては、ERM体制下において取締役 兼 代表執行役社長 Group CEOが委員長を務めるリスクマネジメント委員会が管理すべき主要リスクと位置付け、リスク評価、対応計画の策定・実行・モニタリングを継続的に実施しています。また、アサヒグループリスクアペタイトステートメントにおいても、「『アサヒグループ行動規範』『アサヒグループ人権方針』を遵守することに加え、これらの遵守を妨げうるリスクもとらない」と宣言しています。
④指標及び目標
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(3)人的資本
■人的資本の高度化
アサヒグループは、『中長期経営方針』において、戦略基盤強化に向けた人的資本の高度化を掲げており、これを通じて事業ポートフォリオとコア戦略の実効性を高めることを目指しています。
①ガバナンス
アサヒグループは、経営における監督と執行の役割を一層明確化し、双方の機能を強化するとともに、組織的監査体制を構築することを目的に、2025年3月に指名委員会等設置会社へ移行しました。これにより透明性の高い機関設計を実現しています。
人材戦略はアサヒグループにおける経営課題と位置づけ、執行側の経営戦略会議(Executive CommitteeやCorporate Management Board)で中長期戦略遂行の中で議論し、かつ、取締役会へ報告を行っています。
また、世界各地のRegional Headquarters(以下、RHQ)と連携し、様々な人材マネジメント施策を推進することで、経営課題への対応基盤を構築しています。毎月開催するグローバルHRDミーティングでは、組織や社員一人ひとりの成長に向け、グループ横断で取り組むべき課題について議論を行っています。さらに、各RHQでは、経営層の任命、サクセッション計画、報酬制度などを決議する人事委員会を設置し、アサヒグループホールディングス(株)の経営層が議長もしくは委員として参画しています。
※1 セーフティ&ウェルビーイング
※2 ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン
②戦略
アサヒグループは、「ありたい企業風土の醸成」、「継続的な経営者人材の育成」及び「必要となるケイパビリティ※1の獲得」の3つの取り組みを人材戦略として策定しています。これらの取り組みを通じて経営基盤を強化し、競争優位の源泉となる「人的資本の高度化」を実現することで、社員と会社が共に成長し、中長期的な企業価値の向上を推進していきます。
2024年より、人的資本の高度化に向けたアサヒグループの取り組みをまとめた『People & Culture Report※2』を発行しています。本レポートでは、人的資本の高度化がどのような事業・社会インパクトを生み出し、アサヒグループの企業価値向上につながるかを示した関連図を作成しました。この関連図を活用することで、アサヒグループの人的資本経営の全体像を見える化し、人材戦略の効果検証や優先度を明確にすることで、価値創造を最大化するための意思決定に役立ててまいります。
※1 戦略を実現するために必要な組織的能力
※2 詳細は、当社
■ありたい企業風土の醸成
アサヒグループを取り巻く複雑化・多様化する様々な課題の解決に向けて、これまでとは異なる多様な経験や発想が不可欠になっています。このような状況を踏まえ、「ピープルステートメント」を基に、「セーフティ&ウェルビーイング(S&W)」、「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)、「学習する組織」及び「コラボレーション」の取り組みを通じ、“学び、成長し、そして共にやり遂げる”風土醸成の具現化を図っています。
「S&W」では、「グローバルS&Wカウンシル」において、グループ全体のビジョンや戦略の構築、取り組み目標の設定、教育研修の拡充、快適な職場づくりに向けた取り組みを推進しています。また、2024年に策定した「グローバルS&Wビジョン」の実現に向け、グループレベルでの取り組みに加え、RHQにおいても安全及びウェルビーイング先行指標※1に基づいた継続的改善計画を策定し、グループ一丸で取り組みを進めています。
「DE&I」では、コアメッセージとして「shine AS YOU ARE」を掲げ、全世界の従業員への浸透を図っています。また、2030年までに経営層※2の女性比率を40%以上※3とする目標を掲げるとともに、社員によるリソースグループ(ERG)※4の促進やグローバル連携、多様な人材の獲得を目指したインクルーシブ採用の実践ガイド整備を進めています。
「学習する組織」、「コラボレーション」では、「AGP※5」、「Kando※6」、「Supply Chain」の3つのAwardsを、各地域内、及びグローバルで開催しています。この活動では、世界各地の優れた活動について、グローバルでベストプラクティスとして共有し、互いに学び合い称え合うことで、共に成長できる場の構築に取り組んでいます。
※1 セーフティ&ウェルビーイング対話の実施、機械安全改善プログラムなど
※2 役員及び各機能部門をリードする職責を担うアサヒグループの社内グレード21以上の社員が対象
※3 当社、各地域統括会社及び日本国内主要事業会社が対象
※4 共通の価値観や思いを持つ社員が会社や部門の垣根を越え、主体的に活動する組織
※5 Asahi Group Philosophy
※6 期待を超える商品やサービスにより、お客様に感動を与えた活動のこと
■継続的な経営者人材の育成
事業環境の変化がさらに加速する中、持続的な成長を実現するべく、継続的に経営者人材を輩出できる仕組みの強化に取り組んでいます。
グローバルで一貫した人材マネジメントを実現するため、人材育成の基盤として2024年にアサヒグループの各階層に求められる「優れたリーダーシップ」を明確に定めた「グローバルリーダーシップコンピテンシーモデル(GLCM)」を策定しました。本モデルに基づきグローバルリーダー育成プログラムを刷新し、ビジネスとカルチャーの両面で優れた成果を生み出す将来のグローバルリーダーの育成を推進しています。
また、経営者人材のサクセッションプランの一環として、キーポジションを担う人材を対象とした「グローバルタレントレビュー」を毎年実施しています。あわせて、将来に向けた人材基盤強化の一環として「グローバル・フューチャーズ・プログラム」を立ち上げ、主要人材に多様な市場・文化に触れるグローバル業務経験を提供していきます。これにより、グループ全体の優秀な人材を可視化し、国や地域を超えた中長期的な適所適材の配置や人材育成などを進め、これまで以上に層の厚いリーダー人材のパイプライン形成に取り組んでいます。
■必要となるケイパビリティの獲得
人的資本の高度化を実現するためには、『中長期経営方針』における「目指す事業ポートフォリオ戦略」、「コア戦略」及び「戦略基盤強化」の観点から必要なケイパビリティを獲得することが不可欠です。そのため、グループ内人材の活用や、専門性に秀でた外部人材の獲得に加え、パートナーシップやアライアンスなどによる社外リソースの活用を推進しています。中長期経営方針で掲げる持続的な成長を実現するため、グループの成長と価値創出を支える重要な要素と、それを実現するために必要な組織能力を、グループ共通の視点で整理・定義しています。現在は、「デザイン思考を通じた成長」、「Profitable Revenue Growth Management」、「消費者起点の新製品開発」、「デジタルトランスフォーメーション」、「変革・チェンジマネジメント」の5つを、グループ共通の優先ケイパビリティとして位置づけています。このうち、最優先ケイパビリティである「デザイン思考を活用した成長」を重点的に強化するためのプログラム開発を推進しています。この取り組みを通じて、事業の中長期戦略を支えるケイパビリティを明確化し、人的資本への投資を加速させ、その高度化を図っています。
③リスク管理
アサヒグループは、中長期人材戦略の柱である「ありたい企業風土の醸成」「継続的な経営者人材の育成」「必要となるケイパビリティの獲得」それぞれについて、これらが毀損されることで、人的資本の高度化が実現できず、戦略の遂行や目標達成が困難になることをリスクと捉えています。これらのリスクは、グループ全体で実施しているエンタープライズリスクマネジメント(ERM)体制のもと、取締役 兼 代表執行役社長Group CEOが委員長を務めるリスクマネジメント委員会で管理すべき主要リスクと位置付け、リスク評価、対応計画の策定・実行・モニタリングを継続的に実施し、適切な管理を徹底しています。
④指標及び目標
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テーマ |
対象組織 |
指標・目標(2025年現在) |
2025年実績 |
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ありたい企業風土の醸成(エンゲージメント) |
グループ全体(共通) |
グローバルエンゲージメントサーベイにおける「持続可能なエンゲージメント」スコア目標 2030年:グローバル高業績企業並み |
「持続可能なエンゲージメント」スコア 81 |
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ありたい企業風土の醸成(DE&I) |
グループ全体(共通) |
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「経営層の女性比率」 |
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ありたい企業風土の醸成(S&W) |
グループ全体(共通) |
継続的改善計画の実行 [先行指標項目] ・セーフティ&ウェルビーイング対話の実施 総労働時間1,000時間当たり1回 ・重大事故につながるリスクの特定及びリスク評価の実施、改善計画策定 改善計画実行完了 ・監査計画の策定及び計画の実行 計画完了 ・成熟度調査 「成熟中」(GSI評価) ※2028年度の目標数値
[遅行指標項目] ・2025年:LTIFR 1.8未満の達成 ・2030年:LTIFR 1.5未満の達成 |
継続的改善計画の実行 [先行指標項目] ・セーフティ&ウェルビーイング対話の実施 総労働時間2,000時間当たり1.7回 ・Stop for Safety and Well-beingワークショップの参加率 日本※1、欧州83%、アジアパシフィック(オセアニア)87%、アジアパシフィック(東南アジア)83% ・重大事故につながるリスクの特定及びリスク評価の実施、改善計画策定 改善投資 計画比152% ・監査計画の策定及び計画の実行 計画の98%実行
[遅行指標項目] ・LTIFR 1.64 |
※1 サイバー攻撃の影響を受け、目標未達
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当年度末現在においてアサヒグループが判断したものであります。
1.アサヒグループのリスクマネジメント体制
アサヒグループは、グループ全体を対象に、エンタープライズリスクマネジメント(ERM)を導入しています。この取り組みの中で、グループ理念「Asahi Group Philosophy」の具現化、並びに『中長期経営方針』の戦略遂行及び目標達成を阻害しうる重大リスクを、戦略、オペレーション、財務、コンプライアンス等の全ての領域から特定及び評価し、対応計画を策定、その実行及びモニタリングを継続的に実施することで、効果的かつ効率的にアサヒグループのリスク総量をコントロールしています。
ERMを推進するにあたり、代表執行役社長Group CEO以下の執行役、Group CxO及び委員長が指名するFunctionのHeadで構成されるリスクマネジメント委員会を設置しています。ERMはグループ全体を対象とし、リスクマネジメント委員会の委員長である代表執行役社長Group CEOが実行責任を負います。
アサヒグループ各社は、事業単位ごとにERMを実施し、リスクマネジメント委員会に取り組み内容を報告します。同委員会はそれらをモニタリングするとともに、委員自らがグループ全体の重大リスクを特定、評価、対応計画を策定し、その実行及びモニタリングを実施します。これらの取り組みは取締役会に報告され、取締役会はこれらをモニタリングすることで、ERMの実効性を確認します。
2.アサヒグループ リスクアペタイト
アサヒグループは、ERMを推進するとともに、『中長期経営方針』の目標達成のために、「とるべきリスク」と「回避すべきリスク」を明確化する「アサヒグループ リスクアペタイト」を制定しています。
「アサヒグループ リスクアペタイト」は、アサヒグループのリスクマネジメントに関する「方針」です。ERMの運用指針及び意思決定の際のリスクテイクの指針となるものであり、リスクに対する基本姿勢を示す「リスクアペタイト ステートメント」と、実務的な活用を想定し、意思決定や事業遂行に大きく影響する主要なリスク領域に対する姿勢(アペタイト)を示す「領域別リスクアペタイト」で構成されます。グループ戦略、リスク文化とリスク状況、及びステークホルダーの期待をもとに検討し、取締役会にて決定、グループ全体に適用され、実施状況はリスクマネジメント委員会でモニタリング、取締役会へ報告されます。本取り組みを通じて、アサヒグループ全体で適切なリスクテイクを促進していきます。
3.アサヒグループのクライシスマネジメント体制
アサヒグループでは、ERMにおけるグループ全体の重大リスクの中でも、人・モノ・カネ・情報等の経営資源遮断の危機があり「即時対応」する領域を「クライシスマネジメント」の対象としています。
クライシスマネジメントの実効性を高めるため、平時から経営資源遮断の危機を想定した「リスクシナリオ」を作成し、クライシス発生時に混乱なく速やかに対応できるよう事前に備えています。
また、緊急時の即応体制については、クライシス類型に応じた対応主体を予め明確にし、危機発生時の初動における事実確認と重大性の評価を迅速・的確に実施し対応する体制を構築しています。
4.主要リスク
当社グループでは、「1.アサヒグループのリスクマネジメント体制」に記載の通り、代表執行役社長Group CEO以下の執行役及び委員長が指名するFunctionのHeadで構成されるリスクマネジメント委員会で、中長期経営方針の事業遂行及び目標達成を阻害しうる特に重大なリスクを特定及び評価し、以下の「(2)個別戦略リスク」として認識しています。
加えて、それ以外に考えられる当社グループの事業等のリスクについても、「(1)全体リスク」及び「(3)その他リスク」に記載しています。ただし、以下に記載したリスクは当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。かかるリスク要因のいずれによっても、投資者の判断に影響を及ぼす可能性があります。
また、前述の、当社グループリスクマネジメントの取り組みの中で、以下に記載する各リスクに対する対応策を含む種々の対応策をとりますが、それらの対策が有効に機能しない等によりリスクが解消できず、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(1)全体リスク
1)中長期経営方針について
当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指して、2019年に「Asahi Group Philosophy(AGP)」を制定し、2022年、それに基づいて、また、その後のグループ内外の環境変化も踏まえて中長期経営方針を更新しました。また、2025年に規律ある成長投資と資本効率の向上による、資本コストや株価を意識した経営を実践するため、主要指標のガイドライン及び財務方針を更新しました。「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通り、これらの方針は、策定時に当社グループが入手可能な情報や適切と考えられる一定の前提に基づき、将来の事象に関する仮定及び予想に依拠して策定されたものです。そのため、本「3 事業等のリスク」に記載の各リスク等を含む様々な要因により変更を余儀なくされるものであり、当社グループの事業や業績が中長期経営方針内の同ガイドライン・方針等を達成できない可能性があります。
2)事業環境について
当社グループの売上収益において日本の占める割合は約44.7%(2025年12月期決算)となっています。今後の日本国内での景気の動向によって、酒類・飲料・食品の消費量に大きな影響を与える可能性があり、人口の減少、少子高齢化が進んでいくと、酒類・飲料・食品の消費量が減少する可能性があります。また、原材料・エネルギー価格の高騰やインフレの影響などにより、国内での競争環境がさらに激化することで当社売上数量・金額が低下するとともに、コスト構造の悪化を招き、当社グループ事業の収益性が想定より損なわれる可能性があります。
日本の売上収益のうち、ビール類は4割を超えます。このような状況は、当社グループのビール類商品に対するお客様の信頼を反映したものであり、当社グループ国内酒類事業での効率的な利益創出に寄与していますが、消費者の嗜好性の変化、世代交代等により、お客様の支持を失ってしまうと、本商品群の売上が低下し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは海外での事業領域を拡大しており、2025年12月期決算での売上収益における欧州、アジアパシフィック(オセアニア、東南・南アジア)の占める割合は、約53.6%となっています。今後、欧州、オセアニア地域を中心とする当社グループが事業を展開する各国における景気の悪化、当該各国での競争環境の激化、消費者の嗜好の変化等、市場の需要動向が変化すること等により、当該地域における当社グループの売上収益の低下、利益率の悪化が生じる可能性があります。
当社グループは、中長期経営方針に『ビールを中心とした既存事業の成長と新規領域の拡大』を掲げ、『アサヒスーパードライ』や『Peroni Nastro Azzurro』などのグローバルブランドをはじめとした高付加価値ブランドの価値向上や新市場の創造を目指すとともに、今後の環境変化も見据えた収益構造改革を加速することで、本リスクが顕在化した場合の業績及び財政状態への影響の低減を図っていきます。また、ビール類に加えて、RTDなども含めたBACのラインアップを充実させることで売上収益を増加させるとともに、飲料、食品事業においては、消費の多様化や健康志向の高まりなどに応え、新たな付加価値提案を行い、事業拡大を図っていきます。
当社グループは、テクノロジーの発展が、人類に新たな技術力と自由な時間を与え、気候変動・資源不足といった地球規模の課題を抱える中、社会・経済だけではなく人類の幸福(Well-being)のあり方も変化していくものと想定しています。そうしたメガトレンドを踏まえて更新した「おいしさと楽しさで“変化するWell-being”に応え、持続可能な社会の実現に貢献する」という方針のもと、変化しつつあるWell-beingへの迅速な対応、市場環境の変化を先取りした事業戦略の立案と展開、ならびに新たなオペレーティングモデルの構築を通じて、当社グループの戦略及び事業の競争力を強化していきます。
(2)個別戦略リスク
当社リスクマネジメント委員会は、中長期経営方針の事業遂行及び目標達成を阻害しうる特に重大なリスクを以下の通り認識しています。その中で、中長期的に顕在化が懸念されるリスクを①、短中期的に顕在化が懸念されるリスクを②、及び継続的に顕在化を留意すべきリスクを③、とそれぞれ分類し記載しました。
① 中長期的に顕在化が懸念されるリスク
1)事業拡大について
当社グループは、Schweppes Australia社の買収(2009年、買収額1,185百万豪ドル(適時開示の際に公表した金額、以下同じ))、カルピス社の買収(2012年、買収額920億円)、旧SAB Miller社の西欧ビール事業の取得(2016年、買収額2,550百万ユーロ)、中東欧ビール事業の取得(2017年、買収額7,300百万ユーロ)及びCUB事業の買収(2020年、買収額160億豪ドル)をはじめとして、国内外での事業領域拡大のため、積極的に外部の経営資源を獲得してきました。2020年6月には、CUB事業を取得する手続きを完了することで、日本、欧州に加え、オセアニア地域での事業を盤石にし、日本、欧州、オセアニアの3極を核としたグローバルプラットフォームを構築、成長基盤の拡大を実現しました。その後は、財務規律を重視しつつ、既存事業の収益性向上とキャッシュ・フロー創出力の強化に取り組んできましたが、2025年12月に、中長期経営方針に基づく成長戦略の一環として、東アフリカ市場において、Diageo plcの子会社が保有するDiageo Kenya Limited の株式の100%とUDV (Kenya) Limitedの株式53.68%の取得について決定し、Diageo plcの子会社2社と株式売買契約を締結しました。当社グループは、本件も含め、今後も財務健全性の確保を前提としながら、条件が整う場合には、成長に資する外部の経営資源の活用を検討していきます。
外部の経営資源獲得にあたっては、慎重に検討を行い、一定の社内基準をもとに、将来の当社グループの業績に貢献すると判断した場合のみ実行します。しかしながら、営業、人員、技術及び組織の統合ができずコスト削減等の期待したシナジー効果が創出できなかった場合、アルコールや砂糖の摂取に対する社会の価値観の変化や人口動態の変化等により、買収した事業における製品に対する継続的な需要を維持できない場合、買収した事業における優秀な人材を保持し又は従業員の士気を維持することができない場合、高付加価値ブランドの育成不振等、効果的なブランド及び製品ポートフォリオを構築することができない場合、並びに異なる製品ラインにおける販売及び市場戦略の連携(クロスセルの拡大)ができない場合等により、当社グループの期待する成果が得られない可能性があります。
当社グループは、買収に伴い、相当額ののれん及び無形資産を連結財政状態計算書に計上しており、2025年12月末現在、のれん及び無形資産の金額はそれぞれ、連結総資産の40.0%(24,107億円)及び20.7%(12,471億円)を占めています。
当社グループは、当該のれん及び無形資産につきまして、それぞれの事業価値及び将来の収益力を適切に反映したものと考えていますが、事業環境や競合状況の変化等により期待する成果が将来にわたって大きく損なわれると判断された場合、又はカントリーリスクの顕在化等による金利高騰や市場縮小等により適用される割引率や長期成長率が大きく変動した場合等は、減損損失が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、AGP及び中長期経営方針に基づいた価値創造経営により、事業の持続的成長と中長期的な企業価値向上を目指しています。『ビールを中心とした既存事業の成長と新規領域の拡大』、や『持続的成長を実現するためのコア戦略の推進』とともに、『長期戦略を支える経営基盤の強化』の一環としてグループガバナンスの更なる実効性向上に向けた取り組みを実施することで、グループ戦略の実行と期待成果をより確実なものとします。
2)アルコール摂取に対する社会の価値観
アルコールの摂取は人々の生活を豊かにしてきた一方で、不適切な摂取による健康面や社会的影響が指摘されており、世界的に規制や社会的要請が強まる可能性があります。
今後、アルコールに対する社会の価値観の変化や、各国における規制強化の動きが進展した場合には、酒類業界全体や当社グループのレピュテーション、ブランド価値に影響を及ぼすとともに、消費者の需要が縮小し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、アルコール飲料を製造・販売する企業としての社会的責任を認識し、責任ある飲酒の促進や、低アルコール・ノンアルコールを含む商品の提供等を通じて、アルコールに起因する社会課題への対応に取り組んでいます。
今後も、社会的要請や価値観の変化を踏まえながら、事業活動への影響を低減するための取り組みを進めてまいります。
3)技術革新による新たなビジネスモデルの出現
当社グループが事業を展開する酒類・飲料・食品業界は、これまで比較的安定した競争環境にありましたが、近年では、低アルコール・ノンアルコール飲料の拡大、デジタル技術の進展、消費行動や価値観の変化等を背景に、技術革新を起点とした新たなビジネスモデルが出現しています。
こうした環境変化に適切に対応できない場合には、当社グループの事業がコスト構造や顧客体験の面で競合に劣後し、競争力の低下や市場における地位の喪失につながり、売上収益や事業利益の低下等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、中長期経営方針に基づき、DX及び研究開発を通じたイノベーション創出に取り組み、技術革新や市場環境の変化を踏まえた事業の高度化・変革を進めることで、これらのリスクの低減に努めてまいります。
4)気候変動に関わるリスク
地球温暖化による気候変動は、干ばつや洪水等の異常気象の激化を通じて、世界中の人々の生活や生態系に影響を与えています。自然資源に依存して事業を行う当社グループにとって、気候変動は中長期的に事業環境に影響を及ぼし得る重要なリスクと認識しています。
気温上昇や異常気象の激甚化により、主要な原材料の調達や価格、品質に影響が生じるほか、自然災害の発生によって生産設備や物流への影響、設備被害や機会損失、製品廃棄等の損失が発生する可能性があります。また、脱炭素社会への移行に伴う各国の政策や規制の動向によっては、炭素に関する新たな規制やコスト負担が生じ、当社グループの事業活動や収益性に影響を与える可能性があります。
当社グループは、こうした気候変動に関わるリスクを重要な経営課題の一つとして認識し、事業活動への影響を低減するための取り組みを進めています。今後も、事業環境の変化を踏まえながら、リスクの把握と対応を継続してまいります。
5)プラスチック使用
容器包装は、品質保持や輸送強度の確保に加え、デザインや表示によるコミュニケーション手段として重要な役割を担っています。一方で、不適切に廃棄されたプラスチック製の容器包装による環境汚染や、生態系への影響は、世界的な社会課題となっています。
今後、環境負荷が問題視される容器包装に対する規制の強化や、リサイクル素材や代替素材の需要増加に伴うコスト上昇、素材不足等が生じた場合には、当社グループの容器包装の調達やコスト構造に影響を及ぼす可能性があります。その結果、当社グループの事業活動や収益性に影響を与える可能性があります。
当社グループは、容器包装に関わる環境負荷の低減を重要な経営課題の一つとして認識し、資源循環への対応や素材に関する課題への取り組みを進めています。今後も、外部環境や規制動向を踏まえながら、事業への影響の低減に努めてまいります。
② 短中期的に顕在化が懸念されるリスク
1)主要原材料の調達リスク
当社がグローバルに事業展開する酒類・飲料・食品の製造においては、原材料の調達に関し、市況悪化による価格高騰、気候変動や自然災害及びパンデミック等による納期遅延や供給停止に陥るリスクがあります。このようなリスクに直面した場合、製造コストが上昇し、また製造数量が計画を下回ることで、グループの業績及び財政に大きな影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対し、当社では、コモディティリスクマネジメントポリシーを確立し、このポリシーのもと、特定コモディティについては、ガードレールに基づくヘッジを実践する等、グループグローバルで標準化したコモディティ管理の取り組みを行っています。
また、グループグローバル調達組織であるAsahi Global Procurement Pte. Ltd.が、コモディティ価格変動による影響の低減を目的に、グローバルリスクマネジメントコミッティを立ち上げ、グループの調達戦略をリードしています。
2)地政学的リスク
現在、当社グループは20を超える国に拠点を構え、グローバルに事業を展開しています。世界経済全体の動向に加え、当社グループが事業活動を展開する国・地域における政治、経済、社会、法規制、自然災害等の要素が、各事業に影響を与える可能性があります。
さらに、近年は、地政学的な要因が事業に影響を及ぼす可能性が高まっていると認識しています。例えば、ウクライナ情勢やイランを中心とした中東情勢、台湾を巡る緊張の高まり、米国と中国の対立関係、自国第一主義の政策などの要因により、当社グループが事業を展開する複数の国・地域において、輸出入制限、新たな関税導入、差別的な措置、商品不買運動、技術の分断、データに関する規制、人の移動に対する制約の高まり等の具体的なリスクが想定され、同時に、今後の事業の強化やエリアの拡大を進める上でも影響を与える要素となります。地政学的な要因によりこれらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの中長期経営方針の実行や業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、地政学的リスクに関する動向の情報収集と分析をもとに、リスクシナリオの策定及びリスクの把握を行い、その影響を低減するための適切な対策の検討を進めていきます。また、事業展開国・地域のカントリーリスクの調査、情報収集、評価をもとに、リスクを早期に認識し、顕在化する前に具体的かつ適切な対処をする取り組みも継続しています。
3)情報セキュリティ
当社グループは、高い市場競争力を確保するため、事業活動の多くをITシステムに依存しています。停電、災害、ソフトウェアや機器の欠陥、または外部からの不正な行為等により、事業活動の中断、機密情報の喪失や個人情報の漏洩、EU一般データ保護規則(GDPR)等を含む各国法令違反等が発生する可能性があります。
これらのリスクが顕在化した場合、事業の中断や、損害賠償請求、セキュリティ対策費用の増加等によるキャッシュアウト、法令違反に伴う制裁金の発生等により、当社グループの業績及び財政状態、並びに企業ブランド価値に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、2025年度に情報セキュリティに関する事象が発生したことも踏まえ、情報セキュリティリスクの低減に向け、技術的対策及びガバナンス体制の強化を進めています。あわせて、外部専門機関の知見も活用しながら、リスクの把握と対策の継続的な見直しに取り組んでいます。
今後も、情報セキュリティを重要な経営課題の一つとして認識し、脅威の変化に応じた継続的な改善を前提とした運営体制のもと、情報セキュリティリスクの低減に努めてまいります。
4)多様で有能な人材の確保
中長期経営方針の目標達成には、多様な価値観や専門性を持つ社員の貢献が不可欠です。そのため、当社グループは社員の多様性を尊重し、一人ひとりの成長を支援する人材育成プログラムへの投資を増やし、必要に応じて、経営幹部や一般社員を外部から採用する取り組みを進めています。しかし、グローバルな事業の成長に伴う人材需要の増加や必要なスキルの変化、高度化により、多様で有能な経営幹部や一般社員の確保、育成、定着が難しく、中長期経営方針の戦略実行に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは中長期経営方針で「目指す事業ポートフォリオの構築やコア戦略を支える高度な人的資本の確保」を掲げ、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの推進を通じて、戦略を支える経営基盤を強化し、従業員のエンゲージメントを高める企業文化を醸成しています。定期的にエンゲージメント調査を実施し、望ましい企業文化の実現度を確認しています。
また、経営者候補の育成を計画的に進めるため、多様な人材の成長と活躍を促進する方針を明文化したグローバルタレントフィロソフィーやグループ全体で共通のコンピテンシーモデルを策定し、将来の経営幹部候補を育成するグローバルリーダーシッププログラムを実施し、人材パイプラインを拡充・強化しています。さらに、各地域の人材を可視化し、国籍や性別に関係なく適材適所で配置するためのタレントレビューを実施し、多様な有能な人材の活用を推進しています。新しいケイパビリティを獲得するために、社外からの人材登用も積極的に行っています。
③ 継続的に顕在化を留意するリスク
1)大規模自然災害
国内外問わず世界各地で地震、津波、台風、洪水等の自然災害に関連するリスクは年々高まっており、大規模災害が現実のものとなっています。このような大規模自然災害の発生により、従業員の被害、工場損壊、設備故障及びユーティリティー(電気、ガス、水)遮断により製造が停止、倉庫損壊及び保管製品破損により出荷が停止、並びに物流機能停止により原材料資材の調達及び製品の出荷が不能になる可能性があります。さらに、事務所施設の損壊、交通機関マヒによる従業員の通勤不能、及びシステム障害に伴う重要データの消失等もあわせて、事業活動が停止する可能性があります。事業活動の復旧に長期を要した場合、施設等の改修に多額の費用が発生した場合、消費マインドが落ち込んだ場合等、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループは、大規模災害が発生した際に、いち早く従業員及びその家族の安否を確認する仕組みを導入するとともに、大規模地震を含め災害リスクが高い日本においては、早急に被災地の被害状況を把握するため、災害時優先電話や災害用無線の配備をはじめとした緊急時通信体制の強化を進めています。そのうえで、定期的な訓練を実施することで、有事の対応力を強化するとともに、災害対応意識の啓発に努めています。
また、生産工場では、建物倒壊対策のため、全建物を対象に耐震診断を実施しており、対策が必要な物件については、順次計画的に補強工事を実施しています。ボイラー、冷凍機等の大型エネルギー供給設備には大地震(震度5弱相当)を検知すると、安全に自動停止する機能が付属し、大型ビール工場では電力供給が遮断した場合でも、自家発電によりタンクを冷却させることで、半製品の大量腐敗を防止する等2次災害のリスク低減対策を進めています。
また、主要グループ会社において、過去の防災対策の実績及び自然災害の経験を踏まえた「事業継続計画(BCP)」の策定を行い、主要商品の供給を継続するための需給調整機能を早急に復旧する体制を構築するとともに、受発注処理等に関する重要なデータを処理するサーバーセンターのバックアップを備える等、大規模な自然災害が起こった場合であっても被災地以外での事業活動が継続出来るように備えています。
なお、大規模な災害等が発生した際には、代表執行役社長Group CEOを本部長とした「緊急事態対策本部」を設置して対応する危機管理体制を構築しており、平常時のリスクマネジメントにおいて、顕在化した際に即時対応を要するリスクを抽出し、その影響度と必要な対応を想定することで、危機発生時にクライシスマネジメントへ寸断なく移行できるよう準備しています。あわせて、危機の類型に応じてRHQと当社の役割を明確にするとともに、危機発生時の情報ラインの整流化を図り、グローバルなクライシスマネジメント体制の強化も進めています。
これらの事前対策により災害による被害の最小化、当社グループの業績及び財政状態に対する影響の低減に努めています。
2)人権尊重に関わるリスク
近年、企業活動における人権尊重に対する社会的要請は世界的に高まっており、ステークホルダーから企業に対して、人権への配慮や適切な対応を求める声が強まっています。
こうした動向を踏まえた対応が十分に行われない場合、法令違反や経済的損失、レピュテーションの低下等のリスクが顕在化し、当社グループの中長期経営方針の事業遂行及び目標達成、さらには業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、人権尊重を事業活動の基盤の一つと認識し、人権に関する最上位方針として「アサヒグループ人権方針」を定め、国連「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGPs)」の考え方を踏まえた取り組みを進めています。また、人権に関する懸念や問題を早期に把握するための通報・相談の仕組みを整備しています。
今後も、社会的要請や事業環境の変化を踏まえながら、人権尊重に関わるリスクの把握と低減に継続的に取り組んでまいります。
3)法規制とソフトローのコンプライアンス
当社グループは事業の遂行にあたって、食品衛生法、製造物責任法、労働関連規制、贈収賄規制、競争法、GDPR等の個人情報保護規則、環境関連法規等の様々な法規制の適用を受けています。これらの法令が変更される、又は予期し得ない法律、規制等が新たに導入される等の理由による法令違反や社会規範に反した行動等により、法令による処罰・訴訟の提起・社会的制裁を受け、規制遵守対応のためのコストが増加し、又はお客様をはじめとしたステークホルダーの信頼を失うことにより、レピュテーションやブランド価値が毀損し、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループは、事業活動を行う全ての国・地域において、適用される法令・ルールを遵守することを含め、企業倫理・コンプライアンスを実践するための「アサヒグループ行動規範」を制定し、グループ全体での実践を推進しています。そして、代表執行役社長Group CEOが委員長を務め、代表執行役社長Group CEO以下の執行役、Group CxO及び委員長が任命したFunctionのHeadで構成される「コンプライアンス委員会」を設置し、グループ全体の企業倫理・コンプライアンスを推進・監督するとともに、「アサヒグループ行動規範」に関する社員の研修等を通じてコンプライアンスのレベルを高め、法令違反や社会規範に反した行為等の発生可能性を低減するよう努めています。
④ 個別戦略リスクのヒートマップ
[評価変更リスク]
②-3)情報セキュリティ
事業活動におけるITシステムへの依存度が高まる中、2025年度に発生した情報セキュリティに関する事象や外部環境の変化等を踏まえ、当社グループの事業活動及び業績に与え得る影響の大きさについて改めて認識しました。これにより、当該リスク顕在時の影響度及び起こりやすさが相対的に高いと評価し、リスク評価を見直しています。
(3)その他リスク
1)品質について
当社グループは、研究開発、調達、生産、物流、販売、お客様とのコミュニケーションに至る全てのプロセスにおいて、お客様の期待を超える商品・サービスを提供することで、お客様の満足を追求することをグループ品質基本方針とし、いずれのグループ会社においても、品質を通じてお客様との信頼関係を構築することに不断の努力を続けています。
また、お客様の健康に密接に関連する事業を展開していることから、万一、不測の事態によりお客様の健康を脅かす可能性が生じた場合には、お客様の安全を最優先に考え、迅速に対応する方針としています。
しかしながら、万一、品質に問題が生じて、商品の安全性に疑義が持たれた場合には、商品の回収や製造の中止を余儀なくされ、その対応に費用や時間を要するだけでなく、お客様からの信頼を失う可能性があり、このような事象が発生した場合、中長期経営方針に掲げた「既存地域でのプレミアム化とグローバルブランドによる成長、展開エリアの拡大」の未達を含む、当社グループの業績及び財政状態、並びにレピュテーション及びブランド価値に対して影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、品質リスク低減を目的とした品質保証レベル向上の取り組みとして、サプライチェーンの全てのプロセスにおいて、品質に影響を与える業務や注意すべき事項を抽出し、その点検と是正による改善のPDCAサイクルをグローバル共通の仕組みとして展開しています。
また、食の安全に関わる分野においては、研究開発部門を中心に微生物・農薬・カビ毒・重金属・樹脂・放射性物質等多岐にわたる最新の分析技術を開発しており、グループ内の連携によりグローバルでの品質保証活動を展開する体制・仕組みを通じて、技術面からグループ全体をサポートしています。
さらに、各グループ会社の商品特性や製造工場の環境に応じて、国際的な品質・食品安全マネジメントシステムの考え方を取り入れ、必要に応じて外部認証取得しています。
2)財務リスク
為替変動: 当社グループはグローバルに事業を展開しているため為替リスクを負っています。このうち、海外子会社及び関連会社における資産や負債については円高が進行すると在外営業活動体の換算差額を通じて自己資本が減少するリスクがあります。このため、必要に応じて為替リスクのヘッジをする等の施策を実行していますが、完全にリスクが回避できるわけではありません。また、海外連結子会社等の損益の連結純利益に占める割合が比較的高く、これらの収益の多くが外貨建てであり、当社の報告通貨が円であることから、外国通貨に対して円高が進むと、連結純利益にマイナスのインパクトを与えます。一方、本国で行う輸出入、及び外国間等の貿易取引から発生する、外貨建債権及び債務等は為替レートの変動によるリスクを有しておりますが、このリスクは為替予約等と相殺されるため影響は限定されます。
金利変動: 当社グループは銀行預金や国債等の金融資産及び銀行借入金や社債、リース負債等の負債を保有しております。これらの資産及び負債に係る金利の変動は受取利息及び支払利息の増減、あるいは金融資産及び金融負債の価値に影響を与え、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、金利リスクを回避する目的で、金利を実質的に固定化する金利スワップを利用することがあります。またヘッジ会計の要件を満たす取引については、ヘッジ会計を適用しております。
格付低下: 当社グループに対する外部格付機関による格付けが引き下げとなり、当社グループの資本・資金調達の取引条件の悪化、もしくは取引そのものが制限される場合には、当社グループの業務運営や業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
保有資産の価格変動:当社グループが保有する土地や有価証券等の資産価値の下落や事業環境の変化等があった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
3)税務リスク
当社グループはグローバルに事業を展開しており、本国をはじめ展開する各国税制の適用を受けるため、予期しない改正や税務当局からの更正処分を受けた場合、コストの増加、競争環境の悪化、事業活動の制限等の可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
4)訴訟リスク
当社グループは、事業を遂行していくうえで、訴訟を提起される可能性があります。万一当社グループが訴訟を提起された場合、また訴訟の結果によっては、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(業績等の概要)
(1)業績
当期における世界経済は、米国においては、個人消費が底堅く推移するとともに、企業の投資活動も堅調に推移し、欧州においても、個人消費に下支えされ、景気は緩やかな持ち直しが見られました。また、日本においては、雇用・所得環境の改善に伴い、個人消費の緩やかな回復が見られ、総じて底堅い経済成長が維持されました。
こうした状況のなか、アサヒグループは、『中長期経営方針』に基づき、事業ポートフォリオの強靭化やサステナビリティと経営の統合などのコア戦略を推進するとともに、資本効率の向上や資本コストの低減など、持続的な成長と企業価値向上を目指した取り組みを強化しました。また、プレミアム戦略やマルチビバレッジ戦略を推進するとともに、各地域に蓄積されたリソースやベストプラクティス、マネジメントの強みを共有することにより、各事業の総和を超える価値創出に取り組みました。
一方で、2025年9月29日に発生したサイバー攻撃により、日本における受注・出荷などのシステムが停止し、商品供給が制約を受けたことから、第4四半期は大幅な減収・減益となりました。なお、本システム障害の影響は日本で管理しているシステムに限られており、欧州及びアジアパシフィックの業績への影響はありません。
その結果、アサヒグループの売上収益は2兆8,946億7千6百万円(前期比1.5%減)となりました。また、利益については、事業利益※1は2,629億9千7百万円(前期比7.8%減)、営業利益は1,858億7千万円(前期比30.9%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,215億7千4百万円(前期比36.7%減)、調整後親会社の所有者に帰属する当期利益※2は1,470億3千8百万円(前期比19.6%減)となりました。
なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前期比1.4%の減収、事業利益は前期比7.8%の減益となりました。※3
※1 事業利益とは、売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除した、恒常的な事業の業績を測る当社独自の利益指標です。
※2 調整後親会社の所有者に帰属する当期利益とは、親会社の所有者に帰属する当期利益から事業ポートフォリオ再構築及び減損損失など一時的な特殊要因を控除したものです。
※3 2025年の外貨金額を、2024年の為替レートで円換算して比較しています。
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アサヒグループの実績 (単位:百万円) |
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実績 |
前期比 |
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売上収益 |
2,894,676 |
△1.5% |
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事業利益 |
262,997 |
△7.8% |
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営業利益 |
185,870 |
△30.9% |
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親会社の所有者に 帰属する当期利益 |
121,574 |
△36.7% |
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調整後親会社の所有者 に帰属する当期利益 |
147,038 |
△19.6% |
当年度の財政状態の状況は、連結総資産は前年度末と比較して6,250億8百万円増加し、6兆284億1千4百万円、負債は前年度末と比較して2,905億1千7百万円増加し、3兆198億7千万円となりました。また、資本は前年度末に比べ3,344億9千1百万円増加し、3兆85億4千3百万円となりました。
セグメントの業績は次の通りです。各セグメントの売上収益はセグメント間の内部売上収益を含んでおります。
アサヒグループの報告セグメントは、従来「日本」、「欧州」、「オセアニア」、「東南アジア」としていましたが、2025年度の中間連結会計期間より、「日本・東アジア」、「欧州」、「アジアパシフィック」に変更しています。以下の前期比較は前年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しています。
事業セグメント別の実績
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(単位:百万円) |
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売上収益 |
前期比 |
事業利益 |
前期比 |
売上収益 事業利益率 |
営業利益 |
前期比 |
||
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為替一定 |
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為替一定 |
||||||
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日本・東アジア |
1,327,191 |
△3.7% |
△3.7% |
111,623 |
△16.1% |
△16.1% |
8.4% |
62,584 |
△53.1% |
|
欧州 |
768,192 |
0.7% |
△2.5% |
113,081 |
8.1% |
3.6% |
14.7% |
79,386 |
12.1% |
|
アジアパシフィック |
783,196 |
0.1% |
3.7% |
107,450 |
△1.4% |
2.2% |
13.7% |
63,214 |
△22.2% |
|
その他 |
26,653 |
0.7% |
4.5% |
4,174 |
△0.1% |
4.7% |
15.7% |
4,277 |
11.3% |
|
調整額計 |
△10,556 |
- |
- |
△33,058 |
- |
- |
- |
△23,592 |
- |
|
無形資産 償却費 |
- |
- |
- |
△40,273 |
- |
- |
- |
- |
- |
|
合計 |
2,894,676 |
△1.5% |
△1.4% |
262,997 |
△7.8% |
△7.8% |
9.1% |
185,870 |
△30.9% |
※1 為替一定とは、当年度の外貨金額を、前年度の為替レートで円換算したものです。
※2 営業利益における無形資産償却費は各事業に配賦しています。
[日本・東アジア]
日本・東アジアにおいては、各事業の主力ブランドの強化に加え、高付加価値商品の展開を中心とした新たな価値提案により、成長基盤の拡大に取り組みました。また、各事業の枠を超えたシナジー創出による収益性向上に加えて、人的資本の高度化、サステナビリティの取り組み推進などにより、持続的な成長に向けた経営基盤の強化を図りました。
日本の酒類事業では、ビール類において、『アサヒスーパードライ』の“辛口のうまさ”をより一層引き立てる「冷え」に注目した広告・販促活動の強化に取り組むなど、「スーパードライ」ブランドの価値向上を図りました。また、2025年4月の『アサヒ ザ・ビタリスト』の発売に加え、イタリアンプレミアムビール※1『ペローニ ナストロアズーロ』の缶商品を展開するなど、ビールカテゴリーの更なる強化を図りました。RTD※2においては、『未来のレモンサワー』を全国で数量限定発売するなど、新価値創造を推進しました。アルコールテイスト飲料においては、『アサヒゼロ』のクオリティアップに加え、炭酸水の「ウィルキンソン」ブランドから『ウィルキンソン タンサン タグソバー』を発売するなど、お酒を飲む人も飲まない人も共に楽しめる生活文化の創造を目指し、「スマートドリンキング」の推進に取り組みました。
日本の飲料事業では、「ワンダ」ブランドをフルリニューアルし、ブランドロゴの刷新や“はじまりのコーヒー”を新コンセプトに中味とパッケージを一新するとともに、PETボトルコーヒー『ワンダ クリアブラック』『ワンダ ロイヤルラテ』を発売し、コーヒーカテゴリーの強化を図りました。また、熱中症対策設計商品である『三ツ矢塩サイダー』『カルピスウォーター ひんやりライチ』『しみわたるカルピス りんご&洋梨』を発売するなど、商品ラインアップの拡充を図りました。
日本の食品事業では、「ミンティア」ブランドにおいて、ご当地で果実を食べているような特別感を楽しめる『ミンティア あまおう苺』の発売や、大粒タイプの「ブリーズ」シリーズから『ミンティアブリーズ レモンライムドレス』のリニューアル発売などにより、同ブランドで過去最高の年間売上を達成しました。また、和光堂ブランドから、離乳食を卒業した1歳半頃からの子どもに向けた幼児食「ぱくぱくプレキッズ」シリーズを全国発売するなど、多様化するニーズへの対応に取り組みました。
東アジアでは、中国を中心に『Asahi Super Dry』などのグローバルブランドの拡販に取り組み、プレゼンスの拡大を図りました。
以上の結果、売上収益は、価格改定効果などはありましたが、サイバー攻撃によるシステム障害の影響や外食事業からの撤退影響などにより、1兆3,271億9千1百万円(前期比3.7%減)となりました。
事業利益は、各種コストの効率化などに取り組みましたが、システム障害の影響や原材料関連費用の増加などにより、1,116億2千3百万円(前期比16.1%減)となりました。
※1 イタリアを起源とするプレミアムビールブランドのこと。
※2 RTD:Ready To Drinkの略。購入後、そのまま飲用可能な缶チューハイなどを指します。
[欧州]
欧州においては、主要国におけるプレミアムビールやビールテイスト飲料の強化に加えて、世界的なパートナーシップなどを活用した『Asahi Super Dry』と『Peroni Nastro Azzurro』の拡大展開により、グローバルブランドの認知度向上を図りました。また、サステナビリティの取り組みやDXを推進することにより、成長基盤を更に強化しました。
欧州の主要地域では、チェコの『Pilsner Urquell』において、同国の国立劇場との協賛や大阪・関西万博のチェコパビリオンでの販売によりブランド露出を拡大したほか、イタリアの『Raffo』では店舗の販売活動を強化しました。また、ポーランドの『Lech』においては新たなフレーバービールを展開し、消費者の多様なニーズに対応する施策を推進したほか、『Zubr』では、絶滅危惧種を支援するキャンペーンを積極的に展開するなど、各国におけるブランド価値向上に注力しました。さらに、ビールテイスト飲料において、チェコの『Birell』やルーマニアの『Ursus Cooler』などでフレーバー展開を強化したほか、ポーランドの『Tyskie 0.0%』では、スポーツ選手を起用した広告活動を実施するなど、需要の高まりを背景に新たな飲用機会の創出に取り組みました。
グローバルブランドの拡大展開では、『Asahi Super Dry』において、「City Football Group」と「Rugby World Cup」とのパートナーシップを活かしたマーケティング活動に取り組みました。また、新たに、イングランドプレミアリーグの「Arsenal」と公式ビールパートナー契約を締結するなど、更なる認知度向上に向けた取り組みを強化しました。『Peroni Nastro Azzurro』においては、F1チーム「Scuderia Ferrari」とのパートナーシップを活用し、ビールテイスト飲料『Peroni Nastro Azzurro 0.0%』で新たな広告活動と消費者参加型のキャンペーンを開始するなど、グローバルでのブランド認知度の向上に努めました。
以上の結果、売上収益は、天候不順の影響などにより販売数量が減少しましたが、各国のプレミアムビールやグローバルブランドなどが堅調に推移したことや、為替変動の影響により、7,681億9千2百万円(前期比0.7%増)となりました。
事業利益は、販売数量の減少や人件費の増加などによる影響を受けましたが、売上単価の向上による効果や各種コストの効率化を推進したことなどにより、1,130億8千1百万円(前期比8.1%増)となりました。
なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前期比2.5%の減収、事業利益は前期比3.6%の増益となりました。
[アジアパシフィック]
アジアパシフィックにおいては、ビールの主力ブランドを中心とした商品ポートフォリオの強化に加え、高付加価値なRTDの展開などによるプレミアム化を推進しました。また、飲料事業における成長領域への参入など、酒類と飲料事業の強みを活かしたマルチビバレッジ戦略を推進しました。さらに、DXの加速やサプライチェーンの効率化による収益構造改革や、サステナビリティを重視した新価値提案などにより、事業基盤を一層強化しました。
オセアニアの酒類事業では、消費者嗜好の多様化や健康志向の高まりを背景に需要が拡大しているコンテンポラリー・ビール※において、アルコール分2.0%の『Great Northern Light』を発売したことや、「Australian Football League」のシーズンに合わせて『Carlton Dry 3.5%』の販促活動を強化しました。また、『Peroni Nastro Azzurro』やクラフトビール『Balter』による全豪オープンテニストーナメントとのパートナーシップを活用したマーケティングを展開しました。RTDにおいては、『Hard Rated Alcoholic Orange』を発売したことにより商品ポートフォリオを拡充し、プレミアムスピリッツにおいては、「Never Never」ブランドより豪州産原材料を使用したウォッカ商品を発売するなど、新たな飲用機会の創出を図りました。
オセアニアの飲料事業では、「Schweppes」ブランドにおいて豪州の国立美術館とのパートナーシップを活用したマーケティング活動を強化したほか、『SOLO Energy』をはじめとするエナジードリンクを発売するなど、新たな成長機会の創出に取り組みました。
東南アジアでは、マレーシアを中心に「CALPIS」ブランドの新フレーバーを発売したほか、春節と連動した販促活動を展開し、ブランド力の強化を図りました。また、「WONDA」ブランドでは地元の人気キャラクターとコラボレーション商品を発売し、「Goodday」ブランドでは子どもの挑戦する力を育むキャンペーンを積極的に展開したことで、地域の特性や幅広い年齢層に合わせた価値提案を行いました。
以上の結果、売上収益は、各国の主力ブランドが堅調に推移したことや、価格改定の効果などにより、7,831億9千6百万円(前期比0.1%増)となりました。
事業利益は、売上単価の向上や各種コストの効率化を図りましたが、物流費や人件費などの増加に加えて、為替変動の影響により、1,074億5千万円(前期比1.4%減)となりました。
なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前期比3.7%の増収、事業利益は前期比2.2%の増益となりました。
※ 苦味などを抑えた飲みやすいビールのこと。
[その他]
その他については、売上収益は266億5千3百万円(前期比0.7%増)、事業利益は41億7千4百万円(前期比0.1%減)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益が1,792億8千1百万円となりましたが、法人所得税等の支払による減少があった一方で、減価償却費等の非キャッシュ項目による増加により、1,048億1千6百万円(前期比:2,989億6百万円の収入減)の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などにより、2,004億6千8百万円(前期比:818億2百万円の支出増)の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の償還による支出があった一方で、短期借入金の増加などがあり、1,259億3千9百万円(前期:2,727億8千4百万円の支出)の収入となりました。
以上の結果、当年度末では、前年度末と比較して現金及び現金同等物の残高は724億1千8百万円増加し、1,563億8千万円となりました。
(生産、受注及び販売の状況)
(1)生産実績
当年度におけるセグメントごとの生産実績は以下の通りであります。
|
セグメントの名称 |
金額 |
前期比 |
|
|
日本・東アジア |
1,235,535 |
百万円 |
△3.6% |
|
欧州 |
630,508 |
百万円 |
1.1% |
|
アジアパシフィック |
674,361 |
百万円 |
3.5% |
(注)1 金額は、販売価額によっております。
2 IFRS会計基準に基づく金額を記載しております。
3 日本・東アジアの生産高には、外部への製造委託を含めております。
(2)受注実績
当社グループでは受注生産はほとんど行っておりません。
(3)販売実績
当年度におけるセグメントごとの販売実績は以下の通りであります。
|
セグメントの名称 |
金額 |
前期比 |
|
|
日本・東アジア |
1,327,191 |
百万円 |
△3.7% |
|
欧州 |
768,192 |
百万円 |
0.7% |
|
アジアパシフィック |
783,196 |
百万円 |
0.1% |
|
その他 |
26,653 |
百万円 |
0.7% |
|
調整額 |
△10,556 |
百万円 |
- |
|
合計 |
2,894,676 |
百万円 |
△1.5% |
(注)1 調整額はセグメント間取引であります。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、外部顧客への売上収益のうち、総販売高の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
当年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は以下の通りであります。
(1)重要性がある会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、IFRS会計基準に準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 5 重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
(2)当年度の経営成績の分析
① 売上収益
アサヒグループの当年度の売上収益は、前期比1.5%減、447億4千6百万円減収の2兆8,946億7千6百万円となりました。日本・東アジアにおいては、価格改定効果などはありましたが、サイバー攻撃によるシステム障害の影響や外食事業からの撤退影響などにより、1兆3,271億9千1百万円(前期比3.7%減)となりました。欧州においては、天候不順の影響などにより販売数量が減少しましたが、各国のプレミアムビールやグローバルブランドなどが堅調に推移したことや、為替変動の影響により、7,681億9千2百万円(前期比0.7%増)となりました。アジアパシフィックにおいては、各国の主力ブランドが堅調に推移したことや、価格改定の効果などにより、7,831億9千6百万円(前期比0.1%増)となりました。その他においては、前期比0.7%増の266億5千3百万円となりました。
② 事業利益
当年度の事業利益は、前期比7.8%減、221億2千4百万円減益の2,629億9千7百万円となりました。日本・東アジアにおいては、各種コストの効率化などに取り組みましたが、システム障害の影響や原材料関連費用の増加などにより、1,116億2千3百万円(前期比16.1%減)となりました。欧州においては、販売数量の減少や人件費の増加などによる影響を受けましたが、売上単価の向上による効果や各種コストの効率化を推進したことなどにより、1,130億8千1百万円(前期比8.1%増)となりました。アジアパシフィックにおいては、売上単価の向上や各種コストの効率化を図りましたが、物流費や人件費などの増加に加えて、為替変動の影響により、1,074億5千万円(前期比1.4%減)となりました。その他においては、前期比0.1%減の41億7千4百万円となりました。
③ 営業利益
営業利益は、事業利益の減益などにより、前期比30.9%減、831億8千2百万円減益の1,858億7千万円となりました。
④ 税引前利益
当年度の税引前利益は、営業利益の減益に加え、金融収益が前期比20.7%増、37億5千6百万円増加の219億3千3百万円となったことや、金融費用が前期比37.2%増、77億3千5百万円増加の285億2千2百万円となったことなどにより、前期比32.9%減、877億9百万円減益の1,792億8千1百万円となりました。
⑤ 親会社の所有者に帰属する当期利益
親会社の所有者に帰属する当期利益は、税引前利益の減益などにより、前期比36.7%減、705億6百万円減益の1,215億7千4百万円となりました。
また、基本的1株当たり利益は81.29円(前期126.66円)となり、親会社所有者帰属持分比率は49.8%(前期49.4%)となりました。
また、事業ポートフォリオ再構築など一時的な特殊要因を除いた親会社の所有者に帰属する当期利益を算出に用いた調整後基本的1株当たり利益は98.31円(前期120.65円)となりました。
なお、当社は、2024年10月1日付で普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行っております。前年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、基本的1株当たり利益及び調整後基本的1株当たり利益を算定しております。
(3)財政状態の分析
① 総資産
当年度の連結総資産は、為替相場の変動によるのれん及び無形資産を含む外貨建資産の増加等により、総資産は前年度末と比較して6,250億8百万円増加し、6兆284億1千4百万円となりました。
② 負債
負債は、社債及び借入金の増加等により、前年度末と比較して2,905億1千7百万円増加し、3兆198億7千万円となりました。
③ 資本
資本は、前年度末に比べ3,344億9千1百万円増加し、3兆85億4千3百万円となりました。これは、配当金支出により利益剰余金が減少したものの、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上により利益剰余金が増加したこと及び為替相場の変動により在外営業活動体の換算差額が増加したこと等によるものです。
この結果、親会社所有者帰属持分比率は49.8%となりました。
また、事業ポートフォリオ再構築や為替変動など一時的な特殊要因を除いた「親会社の所有者に帰属する当期利益」及び「親会社の所有者に帰属する持分合計」を算出に用いた調整後親会社所有者帰属持分当期利益率は8.4%(前期10.7%)となりました。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フロー分析
キャッシュ・フローの状況につきましては、「(業績等の概要) (2)キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。
また、キャッシュ・フロー指標のトレンドは、以下の通りであります。
|
|
前年度 |
当年度 |
|
親会社所有者帰属持分比率(%) |
49.4 |
49.8 |
|
時価ベースの親会社所有者帰属 持分比率(%) |
46.1 |
39.8 |
|
キャッシュ・フロー対有利子 負債比率(年) |
3.5 |
17.2 |
|
インタレスト・カバレッジ・ レシオ(倍) |
25.7 |
4.8 |
(注)親会社所有者帰属持分比率:親会社の所有者に帰属する持分/総資産
時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
※ 各指標はいずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※ 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
※ キャッシュ・フローは営業キャッシュ・フローを使用しております。
② 資金の調達
アサヒグループの資金の源泉は、主として営業活動からのキャッシュ・フローと金融機関からの借入、社債の発行からなります。当社は経営方針として、有利子負債残高の圧縮を基本として掲げておりますが、「事業基盤強化・効率化を目指した設備投資」及び「M&Aを含む戦略的事業投資」については資金需要に応じて金融債務を柔軟に活用することとしております。一方、運転資金需要については、短期借入金及びコマーシャル・ペーパーでまかなうことを基本としております。
③ 資金の流動性
当社及び主要な連結子会社はCMS(キャッシュマネジメントシステム)を導入しており、各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことにより、資金効率の向上と金融費用の極小化を図っております。
(5)戦略的現状と見通し
2026年度は、引き続き地政学リスクが複雑化するとともに、インフレによる経済減速リスクなどがより一層懸念されます。そうした環境のなかで当社は、引き続き『中長期経営方針』に基づき、各地域におけるプレミアム戦略の推進やグローバルブランドの拡大展開に加えて、BAC※への投資強化などによる事業ポートフォリオの強靭化を推進します。また、サステナビリティや人的資本の高度化など持続的な成長基盤を強化するとともに、成長投資に加えて資本効率の向上や株主還元の充実にも資本を配分することで、中長期的な企業価値の向上を目指します。
さらに、今般のサイバー攻撃を踏まえ、本年2月に策定した再発防止策を着実に実行し、継続的な監視と改善を前提とした体制へ移行すると共に、万一の事態が発生した場合でも影響を最小限に抑える仕組みを強化していきます。安全性と信頼性を重視したシステム運用のもと、環境や脅威の変化に応じた継続的な取り組みを行い、技術面及びガバナンス面の双方から再発防止に取り組みます。
日本・東アジアにおいては、酒類、飲料、食品事業の主力ブランドの強化に加え、高付加価値商品の展開を中心とした新たな価値提案により、成長基盤の拡大に取り組みます。また、サイバー攻撃によるシステム障害の影響も踏まえ、既存領域における収益力の回復・強化と事業構造の見直しを進めるとともに、東アジア市場も含めた成長戦略の推進などにより持続的な利益成長を図ります。さらに、サプライチェーンの最適化、人的資本の高度化、リスクマネジメントの強化などを通じて、強靭な事業基盤の構築を進めます。
欧州においては、主要国でのプレミアムビールやビールテイスト飲料のマーケティングを強化することに加え、『Asahi Super Dry』と『Peroni Nastro Azzurro』のグローバル展開を加速し、周辺国や北米などの新市場での成長を推進します。また、容器などの資源循環への取り組みやデジタル技術を活用した業務高度化を継続し、持続的成長に向けた基盤を強化します。
アジアパシフィックにおいては、酒類事業ではビールやRTDの主力ブランドの優位性を高めることに加え、『Asahi Super Dry』を軸に各国への拡大展開を促進します。また、飲料事業では機能性を中心とした成長領域における新たな価値提案を推進します。さらに、サプライチェーンの最適化やDXの加速などの取り組みを強化するとともに、酒類と飲料の強みを活かしたマルチビバレッジ戦略の推進を通じて、事業基盤を一層強化します。
※ BAC:Beer Adjacent Categoriesの略。ノンアルコール飲料、RTD、成人向け清涼飲料など、ビール隣接カテゴリーを指します。
(6)経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針につきましては、この文中に記載したほか、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通りであります。
(7)経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載の通りであります。
業務提携等に関する契約
|
会社名 |
契約事項 |
契約締結先 |
締結年月 |
発効年月 |
有効期限 |
|
Asahi Beer (China) Investment Co., Ltd.(連結子会社) |
中国における「アサヒスーパードライ」等の製造ライセンス供与のための「深圳青島 |
青島 伊藤忠商事株式会社 日鉄物産株式会社 |
1997年 10月 |
1998年 8月 |
2054年 7月 |
|
アサヒビール 株式会社 (連結子会社) |
沖縄県及び鹿児島県奄美大島群島を除く日本における「アサヒ オリオンドラフト」等の販売契約 |
オリオンビール株式会社 |
2020年 7月 |
2020年 7月 |
自動更新 |
|
アサヒビール 株式会社 (連結子会社) |
沖縄県における「アサヒスーパードライ」等の製造販売ライセンスの供与契約 |
オリオンビール株式会社 |
2003年 5月 |
2003年 5月 |
自動更新 |
|
アサヒグループ ホールディングス 株式会社 (提出会社) |
飲料事業、チルド事業、食品事業、海外事業、調達・物流等の機能面における業務提携契約 |
カゴメ株式会社 |
2007年 2月 |
2007年 2月 |
自動更新 |
|
アサヒ飲料 株式会社 (連結子会社) |
「シャンソン十六茶」バルクの継続的売買及び商標の使用許諾に関する契約 (注) |
株式会社シャンソン化粧品 |
1998年 12月 |
1998年 12月 |
自動更新 |
|
Asahi Europe & International Ltd (連結子会社) |
英国においてFullers, Smith & Turner社が運営するパブに対するビール等の飲料の供給契約 |
Fuller, Smith & Turner plc |
2019年 4月 |
2019年 4月 |
2029年 4月 |
|
CUB PTY LTD (連結子会社)、 (CUBの義務履行に関する保証のみ) アサヒグループ ホールディングス 株式会社 (提出会社) |
豪州におけるCorona・Lowenbrau等のビールの継続的供給及びブランドの使用許諾に関する契約(但し、2021年1月5日付けでHeineken社に売却された、Stella Artois及びBeck’sに関する保証債務は消滅) |
ANHEUSER-BUSCH INBEV SA/NV |
2020年 6月 |
2020年 6月 |
無期限 (但し一定の終了事由あり) |
(注) 「シャンソン十六茶」バルクとは、アサヒ飲料社商品「十六茶」の原料茶葉であります。
株式譲渡に関する契約
当社は、2025年12月17日付でDiageo Kenya Limited(以下、「DKL」といいます)の株式100%及びUDV (Kenya) Limited(以下、「UDVK」といいます)の株式53.68%を取得することを決定し、Diageo Holdings Netherlands B.V.及びDiageo Great Britain Limitedとの間で、それぞれ株式売買契約を締結しました(以下、「本件取引」といいます)。本件取引を通じて、ケニア、ウガンダ、タンザニアのビール・スピリッツ・RTD※1事業を統括するEast African Breweries PLC(以下、「EABL」といい、DKL、UDVK、EABLを総称して「対象事業」といいます)について、DKLが保有する株式65.00%を間接的に取得します。
なお、本件取引が2025年12月期の当社連結業績に与える影響はありません。
※1 「Ready to Drink」の略。購入後、そのまま飲用可能なアルコール飲料を指します
(1)対象者の概要(2025年6月30日現在)
|
① 商号 |
Diageo Kenya Limited |
|
② 本店の所在地 |
ケニア共和国 |
|
③ 代表者の氏名 |
James Edmunds |
|
④ 資本金の額 |
205百万ケニア・シリング |
|
⑤ 純資産の額 |
35,267百万ケニア・シリング |
|
⑥ 総資産の額 |
35,268百万ケニア・シリング |
|
⑦ 事業の内容 |
持株会社 |
|
⑧ 当社と当該会社との間の関係 |
当社グループと当該会社との間には、記載すべき資本関係、人的関係、取引関係はありません。 |
|
① 商号 |
United Distillers Vintners (Kenya) Limited |
|
② 本店の所在地 |
ケニア共和国 |
|
③ 代表者の氏名 |
Jane Karuku |
|
④ 資本金の額 |
20百万ケニア・シリング |
|
⑤ 純資産の額 |
26,569百万ケニア・シリング |
|
⑥ 総資産の額 |
37,226百万ケニア・シリング |
|
⑦ 事業の内容 |
スピリッツの製造販売 |
|
⑧ 当社と当該会社との間の関係 |
当社グループと当該会社との間には、記載すべき資本関係、人的関係、取引関係はありません。 |
本件取引を通じて株式65.00%を間接的に取得するEABLの概要は以下のとおりです。
|
① 商号 |
East African Breweries PLC |
|
② 本店の所在地 |
ケニア共和国 |
|
③ 代表者の氏名 |
Jane Karuku |
|
④ 資本金の額 |
1,582百万ケニア・シリング |
|
⑤ 純資産の額 |
31,423百万ケニア・シリング |
|
⑥ 総資産の額 |
87,621百万ケニア・シリング |
|
⑦ 事業の内容 |
ビール・スピリッツ・RTDの製造販売 |
|
⑧ 当社と当該会社との間の関係 |
当社グループと当該会社との間には、記載すべき資本関係、人的関係、取引関係はありません。 |
(2)対象事業の最近3年間の経営成績※2
|
(単位:百万ケニア・シリング) |
|
決算期 |
2023年6月期 |
2024年6月期 |
2025年6月期 |
|
① 売上高 |
109,649 |
124,131 |
128,791 |
|
② 営業利益 |
24,194 |
24,898 |
25,171 |
|
③ 親会社の所有者に帰属する当期利益 |
9,857 |
8,146 |
9,466 |
※2 EABL以下の連結財務諸表(UDVKを含む)の数値です
(3)取得対象子会社に関する子会社取得の目的
当社は、メガトレンドからバックキャストして策定した『中長期経営方針』において、目指す事業ポートフォリオとしてビールを中心とした既存事業の成長と新規領域の拡大を掲げ、既存地域でのプレミアム化とグローバルブランドによる成長、展開エリアの拡大などに取り組んでいます。
本件取引はこうした方針に基づく戦略の一環であり、人口の増加と拡大する経済により長期的な成長が見込まれるケニアをはじめとした東アフリカ市場で強固なプラットフォームを獲得し、中長期的成長の礎とすることを目的としています。
対象事業は、ビールブランド「Senator」「Tusker」「Serengeti」やスピリッツブランド「Chrome」「Kenya Cane」など豊富なブランドを擁しており、高いマーケティング力や商品開発力を有しています。EABLはDiageo plcから、高い知名度を誇る「Guinness」「Johnnie Walker」「Smirnoff Ice」などのグローバルブランドも引き続き対象事業の主要国で販売を継続するための長期ライセンス供与を受ける予定です。強固なブランドポートフォリオや効率化推進により、高い成長ポテンシャルと安定した収益性を兼ね備えている事業となります。両社がこれまで培ってきたブランドや人材などの強みを融合していくことで、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指していきます。
(4)取得対象子会社に関する子会社取得の対価の額
取得価格:3,000百万ドル(株式価値ベース)
取得関連費用:未確定
※取得資金については、自己資金及び金融機関からの借入金により充当する予定です。
当年度におけるグループ全体の研究開発費は、
各地域統括会社においては、『中期重点戦略』※に基づき、研究開発活動を行いました。
アサヒクオリティーアンドイノベーションズ㈱では、アサヒグループの先端研究拠点として、グループの持続的な成長の実現を目指しています。中長期的な社会・競争環境の変化を見据え、未来のあるべき姿を描いたうえで、バックキャスティングの考え方に基づき、お客様のニーズを先取りした研究テーマを推進しています。また、これまでに蓄積してきた技術・知見・ノウハウを活かし、グループの研究開発における重点領域に対して、新たな価値創造やリスク低減に向けた商品・技術開発に取り組んでいます。さらに、2024年4月に設置したGroup Chief R&D Officerのもと、グループ全体の研究開発に関わる戦略立案及び推進体制を整え、アサヒグループの未来を見据えた研究開発活動とイノベーションをけん引しています。加えて、革新的技術シーズを製品やサービスへと円滑に具現化するために、プロトタイピング機能やアジャイル開発能力を強化しました。このようにRHQとの連携を深めることで、グループ全体で一層の成果導出につなげていきます。
※『中期重点戦略』の詳細は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)対処すべき課題」をご参照ください。
[先端研究]
(アルコール関連)
社会環境の変化や消費者ニーズの多様化に対応すべく、アルコール代替価値、新価値創造などのBAC領域における優位性構築に向けた商品・技術開発の研究強化を進めています。長年グループで培ってきた酵母育種、発酵プロセス、調香、官能評価などの技術・知見に加え、AI・デジタルをはじめとした外部の最先端技術も積極的に活用することで、嗜好性や機能性のみならず環境影響及びコストといったさまざまな社会的需要に対応可能な、そして既存のビジネスモデルを大きく変えるような技術の実現を目指しています。
また、海外への成果導出を見据えた各種技術開発にも取り組み、海外嗜好に対応した「Asahi Super Dry」の新エクステンション「FUSIONS Lemon Yuzu」や、RTD「Asahi ZEITAKU SHIBORI」などの商品開発・展開を通じて、グローバルでの価値創造に向けた取り組みを進めるとともに、今後もその強化を図ります。
(ヘルス&ウェルネス)
消費者の健康志向の高まりに対し、身体や心の健康をサポートするソリューションを提供するため、酵母・乳酸菌をはじめとする微生物研究、健康機能性研究、最先端テクノロジーの活用を組み合わせ、研究開発を進めています。また、乳酸菌等既存素材の潜在的な健康機能の探索、新しい健康領域における素材の開発、及び発酵技術を活用した天然素材の開発に取り組むことで、独自性の高い健康価値の事業化に貢献しています。
具体的には、健康な人の免疫機能の維持に役立つ「L-92乳酸菌」や、心理的なストレスを和らげ、睡眠の質(眠りの深さ)を高める機能や腸内環境を整える機能を持つ「ガセリ菌CP2305株」など、オリジナルの機能性乳酸菌のグローバル活用を推進しています。「ガセリ菌CP2305株」については、2025年3月よりグループ外及び海外向けの販売を開始しており、海外の食品原料展示会における受賞等を通じて、外部から一定の評価を得ています。今後も、人々の健康で豊かな生活をサポートするヘルス&ウェルネス研究を強化し、新しい価値提案を目指します。
(サステナビリティ)
環境・エネルギー分野における技術実装、気候変動に伴う原料コスト影響の最小化、容器包装の環境負荷低減などのサステナビリティに関する研究開発を通じ、社会的責務を果たすとともに、持続可能な社会の発展への貢献を目指しています。取り組みの一つとして、缶、びん、PETボトルなどの使い捨て容器の使用が廃止される未来を見据え、使い捨て容器を使用しなくても強炭酸が楽しめるサーバー「EXTRA BURST」を展開する事業を推進しています。さらに、繰り返し使用可能な専用タンブラーを活用することで、環境負荷の低減を図っています。また、原料副産物の有効活用による新たな価値創出にも注力しており、独自の酵母技術を活かして、酵母エキス製造時に生じる酵母細胞壁を活用した新素材を用いて、「酵母ミルク(LIKE MILK)」を開発しました。2025年4月よりテスト販売を開始しており、アレルギー特定原材料等を使用しない、まろやかな味わいを実現しています。さらに、2024年に更新した目標のもと、気候変動への対応として2040年までにバリューチェーン全体でGHG排出量ネットゼロを目指しており、グリーンエネルギー技術の開発にも力を入れ、今後も環境負荷低減に向けた取り組みの実効性向上を継続的に図ります。