当連結会計年度における世界経済は、先進国を中心に緩やかな回復基調を維持しましたが、中国を始めとした新興国の成長ペース鈍化や資源国の経済悪化により、全体的に緩やかな減速感を持ちつつ推移しました。
こうした中、わが国経済は、振れを伴いながらも総じて緩やかな回復基調を維持しました。個人消費は、力強さはみられないものの、雇用者所得の増加を受けて緩やかな持ち直し基調で推移しました。
キリングループは、2015年度を、長期経営構想「キリン・グループ・ビジョン2021」(略称:KV2021)実現に向けた最初のステージである「キリングループ2013年-2015年中期経営計画」の最終年度であると同時に、2016年から開始する次期中期経営計画のゼロ年度と位置付け、グループ本社である当社と各地域統括会社が、それぞれの事業の強化に一体的に取り組みました。特に、最大の課題である日本綜合飲料事業の再成長実現に向け、中長期的な視点で強いブランドを育成し、競争環境の変化にスピーディーに対応しました。また、海外綜合飲料事業では、ライオン社飲料事業は再生計画を着実に推進しましたが、競争環境が激化しているブラジルキリン社については、販売数量が大幅に減少したことに加え、為替影響による原材料コストの上昇もあり、将来の損益見通しを下方修正した結果、減損損失を計上しました。
当連結会計年度における連結売上高は、日本綜合飲料事業におけるビール類及び清涼飲料の販売数量、医薬・バイオケミカル事業における売上高の増加等により、増加しました。連結営業利益は、日本綜合飲料事業で販売費の増加により減少しましたが、海外綜合飲料事業では、当連結会計年度より「企業結合に関する会計基準」等の改正を早期適用したこと等により増加し、医薬・バイオケミカル事業も堅調だったため、増益となりました。連結経常利益は、連結営業利益の増加に加え、持分法による投資利益の増加等により増益となりましたが、連結当期純損益は、ブラジルキリン社で減損損失を計上したこと等により、473億円の損失となりました。
連結売上高 | 2兆1,969億円 | (前年同期比 | 0.1%増) |
連結営業利益 | 1,247億円 | (前年同期比 | 8.9%増) |
連結経常利益 | 1,281億円 | (前年同期比 | 36.1%増) |
連結当期純損失 | △473億円 | (前年同期比 | ―) |
(参考) |
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平準化EBITDA ※ | 2,589億円 | (前年同期比 | 5.2%減) |
平準化EPS ※ | 117円 | (前年同期比 | 0.8%減) |
※ 平準化:特別損益等の非経常項目を除外し、より実質的な収益力を反映させるための調整
平準化EBITDA = 営業利益 + 減価償却費 + のれん償却額 + 持分法適用関連会社からの受取配当金
平準化EPS = 平準化当期純利益 / 期中平均株式数
平準化当期純利益 = 当期純利益 + のれん等償却額 ± 税金等調整後特別損益
なお、平準化EBITDAは億円未満切捨てで表示しており、平準化EPSは円未満四捨五入により算出しております。
セグメント別の業績は次のとおりです。
日本綜合飲料事業では、事業の再成長実現に向け、ブランド力の強化に一貫して取り組み、卓越した品質とおいしさで、お客様や社会にとって驚きや感動につながる価値創造を進めました。
キリンビール㈱では、ビール類全体の販売数量は9年ぶりに前年を上回り、お客様支持率上昇(シェアアップ)を達成しました。特に、フラッグシップブランド「キリン一番搾り生ビール」強化に最優先で取り組み、2年連続で販売数量が前年を上回り、また、21年ぶりにビールカテゴリーで前年を上回る販売数量を達成しました。新ジャンルカテゴリーNO.1ブランド※1「キリン のどごし<生>」は、期間限定商品の発売等を通じ販売数量が増加しました。また、伸長する機能性カテゴリーでは、「キリン のどごし オールライト」を1月に新発売し、市場を牽引しました。RTD※2では、「キリン 氷結」、「キリン 本搾りTMチューハイ」、「キリンチューハイ ビターズ」を中心に、販売数量は前年を上回りました。また、国産ウイスキー「富士山麓 樽熟50°」が大変好調に推移し、洋酒全体で前年を上回る売上となりました。更に、日本におけるクラフトビール※3市場の創造・拡大を図るべく、「SPRING VALLEY BREWERY(スプリングバレーブルワリー)」を本格スタートしました。
メルシャン㈱では、強みであるチリワインや無添加ワイン等を更に成長させるため、「フロンテラ」、「おいしい酸化防止剤無添加ワイン」等のブランド強化に取り組みましたが、全体の販売数量は前年を下回りました。フラッグシップブランド「シャトー・メルシャン」のブランド強化に取り組み、「シャトー・メルシャン桔梗ヶ原メルロー」が国内外のワインコンクールで金賞に輝くなど、多数のメダルを受賞しました。また、ワイン市場の裾野拡大に向け新発売した「ギュギュッと搾ったサングリア」は極めて好調に推移し、当初目標の2.5倍の販売数量となりました。
キリンビバレッジ㈱では、基盤ブランド「キリン 午後の紅茶」の販売数量が、前年を上回りました。また、市場規模の大きい炭酸カテゴリーに向けて、「キリン メッツ」ブランドから、様々な新しい提案を行い、販売数量は前年を大きく上回りました。「キリン 世界のKitchenから」、「キリン ファイア」、「キリン 生茶」については、リニューアルや新商品の提案を行い、更なるブランド強化に努めました。さらに、健康志向の高まりと食品表示規制の緩和を好機と捉え、「キリン 生茶」と「キリン メッツ」から機能性表示食品の新商品を発売しました。これらの取り組みにより、清涼飲料市場の伸びを大きく上回る販売数量を達成しました。
各社生産・物流一体となってコスト削減に取り組み、サプライチェーン全体の更なる効率化を進めました。また、各工場設備の効率的運用による償却費の圧縮にも取り組みました。さらに、技術開発による容器包装の省資源化にも継続して取り組み、ビール中びん、ペットボトルの軽量化もコスト削減に寄与しました。
これらの結果、ビール類及び清涼飲料の販売数量増加により売上高は増収となりましたが、コスト削減を進めたものの、販売費が増加したため、営業利益は減少しました。
※1 2005年「その他の雑酒②」、2006年-2015年「その他の醸造酒(発泡性)①」課税出荷数量によります。
※2 RTD:栓を開けてそのまま飲める低アルコール飲料で、Ready to Drinkの略です。
※3 クラフトビール:当社では、作り手の顔が見え、こだわりが感じられ、味の違いや個性が楽しめるビールのことと捉えています。
日本綜合飲料事業連結売上高 | 1兆1,915億円 | (前年同期比 | 3.3%増) |
日本綜合飲料事業連結営業利益 | 479億円 | (前年同期比 | 0.4%減) |
海外綜合飲料事業では、積極的な国際化で獲得した事業基盤を活かし、地域に根差した自律的な成長を目指しました。
ライオン社酒類事業では、豪州ビール市場の縮小が続く中で全体の販売数量は減少しましたが、引き続き基盤ブランド強化と成長を続ける高付加価値カテゴリーの販売強化を進めました。主力ブランド「フォーエックス・ゴールド」の販売に注力し、クラフトビール「ジェームス・スクワイア」、「リトル・クリーチャーズ」の販売は引き続き好調でした。一方、飲料事業では、引き続きサプライチェーン全般の抜本的見直しによるコスト削減を進め、収益性の改善を図りました。低収益のチーズ事業の一部を売却したこと等により、全体の販売数量が前年を下回りましたが、乳飲料「デア」の販売数量が引き続き前年を上回るなど、事業再生計画が順調に進みました。
ブラジルキリン社は、引き続き厳しい競争環境の中、強みのある地域・チャネル・商品の販売強化に取り組み、価格上昇と販売費の効率的活用により、収益性改善を目指しましたが、販売数量、営業利益が大幅に減少しました。8月以降は、最優先課題であるビール・清涼飲料の販売数量の減少に歯止めをかけるべく、販売・商品戦略の見直しを進め、ビール・清涼飲料の主力ブランド「スキン」のリニューアルを行い、販売網の強化にも取り組みました。また、経営効率化のプロジェクトにより、収益力改善に向けた取り組みを開始しました。
これらの結果、オセアニア綜合飲料事業においては、販売数量の減少により全体の売上高は減少しましたが、飲料事業の収益性の改善が進み、また、「企業結合に関する会計基準」等の改正の早期適用により、全体の営業利益は増加しました。海外その他綜合飲料事業においては、ブラジルキリン社での販売数量が減少したことに加え、ブラジルレアル安による原材料コストの増加のため売上高・営業利益ともに減少しました。
オセアニア綜合飲料事業連結売上高 | 4,386億円 | (前年同期比 | 6.7%減) |
オセアニア綜合飲料事業連結営業利益 | 480億円 | (前年同期比 | 74.3%増) |
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海外その他綜合飲料事業連結売上高 | 1,855億円 | (前年同期比 | 16.8%減) |
海外その他綜合飲料事業連結営業損失 | △148億円 | (前年同期比 | ―) |
東南アジアでは、8月に、ミャンマーでビール事業を展開するミャンマー・ブルワリー社の発行済株式総数の55.0%の株式を取得しました。ミャンマーは、昨今の民主化の動きに伴い今後の高成長・消費拡大が期待される有望市場であり、ミャンマー・ブルワリー社の事業基盤を基に、キリングループのブランド、技術力、商品開発力やリサーチ・マーケティング力を活かして、更なる成長を目指します。
医薬事業では、協和発酵キリン㈱において、国内医薬品の売上高が新製品の伸長等により前年を上回りました。主力製品である持続型赤血球造血刺激因子製剤 「ネスプ」が堅調に推移したほか、持続型G-CSF製剤「ジーラスタ」及び尋常性乾癬治療剤「ドボベット」、2型糖尿病治療剤「オングリザ」及びパーキンソン病治療剤「ノウリアスト」等の新薬が順調に伸長しました。一方で好中球減少症治療剤「グラン」、高血圧症・狭心症治療剤「コニール」、抗アレルギー剤「アレロック」等の長期収載品は、後発医薬品の浸透や2014年4月の薬価基準引下げの影響を受けて、売上高が減少しました。海外では、プロストラカン社の主力製品等が順調に伸長したことや、2014年8月に買収したアルキメデス社の連結効果により売上高は前年を上回りました。加えて、英国アストラゼネカ社とのベンラリズマブ (KHK4563)に関するオプション契約締結に伴う契約一時金を売上として計上しました。
バイオケミカル事業では、協和発酵バイオ㈱において、医薬用アミノ酸その他医薬品原薬等の国内販売は前年を下回りましたが、「オルニチン」を始めとする通販等の一般消費者向け商品は前年を上回りました。海外事業の売上高は、為替影響に加え、欧米を中心にアミノ酸の販売が伸長し、前年を上回りました。
これらの結果、医薬・バイオケミカル事業全体としては、増収増益となりました。
医薬・バイオケミカル事業連結売上高 | 3,557億円 | (前年同期比 | 9.4%増) |
医薬・バイオケミカル事業連結営業利益 | 468億円 | (前年同期比 | 20.4%増) |
小岩井乳業㈱では、主力商品である「小岩井生乳100%ヨーグルト」へ注力した戦略が奏功し、売上高は前年を上回りました。一方、乳価改定による原価の高騰等、様々な市場環境変化がありましたが、商品構成の改善、コスト削減等により、収益が改善され、増収増益となりました。
その他事業連結売上高 | 254億円 | (前年同期比 | 3.7%増) |
その他事業連結営業利益 | 38億円 | (前年同期比 | 25.2%増) |
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ196億円増加し、当連結会計年度末には603億円となりました。
当連結会計年度における活動毎のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
税金等調整前当期純利益が604億円減少、のれん償却額が223億円減少、売上債権・たな卸資産・仕入債務・未払酒税・未払消費税等の増減による運転資金の流出が37億円増加などの減少要因があったものの、減損損失が1,207億円増加、法人税等の支払額が301億円減少したことなどにより、営業活動による資金の収入は対前連結会計年度比157億円増加の1,710億円となりました。
有形及び無形固定資産の取得については、前連結会計年度より433億円少ない771億円を支出しました。また、有価証券及び投資有価証券の取得により106億円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得により528億円の支出がありました。一方、有形及び無形固定資産の売却により323億円、事業譲渡により128億円、有価証券及び投資有価証券の売却により198億円の収入がありました。これらの結果、投資活動による資金の支出は対前連結会計年度比687億円減少の706億円となりました。
長期借入れによる収入が1,701億円、社債の発行が150億円あった一方、コマーシャル・ペーパーの減少が839億円、長期借入金の返済が630億円、社債の償還が588億円、配当金の支払が346億円ありました。これらの結果、財務活動による資金の支出は対前連結会計年度比24億円減少の782億円となりました。
当連結会計年度におけるセグメントごとの生産実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
日本綜合飲料 | 854,268 | 1.2 |
オセアニア綜合飲料 | 432,129 | △8.0 |
海外その他綜合飲料 | 194,434 | △1.4 |
医薬・バイオケミカル | 206,562 | △9.2 |
その他 | 10,190 | 10.7 |
合計 | 1,697,585 | △2.9 |
(注) 1 金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社グループの製品は見込生産を主体としているため、受注状況の記載を省略しています。
当連結会計年度におけるセグメントごとの販売実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
日本綜合飲料 | 1,191,554 | 3.3 |
オセアニア綜合飲料 | 438,620 | △6.7 |
海外その他綜合飲料 | 185,548 | △16.8 |
医薬・バイオケミカル | 355,777 | 9.4 |
その他 | 25,424 | 3.7 |
合計 | 2,196,925 | 0.1 |
(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
キリングループは、厳しい競争環境やお客様、株主・投資家様等のニーズの多様化等の事業環境の変化を踏まえ、KV2021を発展させた新たな長期経営構想、新「キリン・グループ・ビジョン2021」(略称:新KV2021)と、ビジョン実現に向けた前半の3か年計画である「キリングループ2016年-2018年中期経営計画」(略称:2016年中計)を策定しました。新たなKV2021では、酒類、飲料、医薬・バイオケミカルを中核とした事業を通じ、グループの強みである技術力を活かしながら、社会課題の解決とお客様への価値提供を両立し、社会と共に持続的な成長を目指します。キリングループならではのCSV※1として、社会課題の中でも社会・事業にとって共に重要度の高い「健康」を重点テーマとして取り組みます。
2016年中計では、2015年に連結当期純損失を計上したことを受け、収益力の向上を最優先課題とし、優先度を明確にした投資による既存事業の競争力強化と低収益事業の収益構造の抜本的改革を実行します。成長に向けた投資は、キリンビール㈱の成長に最優先で取り組みます。また、ビール事業の収益基盤強化に向け、ライオン社酒類事業の収益基盤強化、ミャンマー・ブルワリー社の市場リーダーポジションの維持・強化に取り組みます。収益性が下がっているブラジルキリン社とキリンビバレッジ㈱に関しては、収益改善に向けた再生計画を着実に推進し、構造改革を進めていきます。ブラジルキリン社では、地域別の販売戦略を展開すると共に、サプライチェーン全体でのコスト構造改革に取り組みます。キリンビバレッジ㈱では、利益ある成長を目指し、強いブランド体系の構築と収益構造改革に取り組みます。医薬・バイオケミカル事業については、協和発酵キリン㈱の飛躍的な成長を図っていきます。
重要評価指標として、のれん等償却前ROE(自己資本利益率)と平準化※2EPS(1株当たり利益)の向上にグループ全体で取り組みます。また、平準化EPSに対する配当性向30%以上の配当を実施することで、安定的な配当による株主還元の充実を図ります。
キリングループは、経営理念及び当社グループ共通の価値観である「熱意と誠意」“Passion and Integrity”のもと、「コーポレートガバナンス・ポリシー」を策定し、新KV2021実現に向け、最適なガバナンス体制を構築します。また、日本を含む世界の多様なキリングループ従業員が事業・地域の垣根を越えて連携していくため、グローバル化の推進、多様性の尊重、信頼関係づくりの強化に取り組みます。特に、多様性を更に推進していくための活動として、2021年までに国内の女性リーダー数を3倍に拡大することを目標とした女性活躍推進計画「キリンウィメンズネットワーク2021」を引き続き強力に展開します。
※1 CSV: Creating Shared Valueの略で、社会課題への取り組みによる「社会的価値の創造」と「経済的価値の創造」の両立により、企
業価値向上を実現することです。
日本綜合飲料事業では、ブランドメッセージである“Quality with Surprise”のもと、お客様の健康や人と社会とのつながりの観点での社会課題と向き合いながら、卓越した品質とおいしさで、驚きや感動につながる価値創造を進めます。
キリンビール㈱は、V字回復を本物にする3年間と位置付け、誰よりも「お客様のことを一番考える会社」を目指し、キリンならではの価値創造を図っていきます。ビール類は、お客様支持率を上昇軌道に乗せるため、「キリン一番搾り生ビール」強化を引き続き最優先事項として取り組みます。2016年5月から順次、全国の47都道府県ごとに味の違いや個性を楽しめる「47都道府県の一番搾り」の発売を開始します。市場が拡大を続けるRTDについては、中核ブランドの「キリン 氷結」、「キリン 本搾りTMチューハイ」、「キリンチューハイ ビターズ」を引き続き強化していきます。また、お客様の多様なニーズに応じ、それぞれに適したスピリッツ・リキュール商品を提案し、多様なお酒の楽しさをお届けします。さらに、新たなビール文化を創造するため、「SPRING VALLEY BREWERY」等を通じたクラフトビールカテゴリーの市場拡大に取り組みます。また、事業基盤の強化のため、引き続き、生産・物流一体となったコスト削減を継続し、サプライチェーン全体の更なる効率化を進めます。
メルシャン㈱では、ワイン市場全体の中長期的な拡大と日本ワインの啓発活動を推進し、魅力あるカテゴリー・ブランドポートフォリオの構築に取り組み、ワイン事業の「拡大と多様化」を進めます。日本ワイン「シャトー・メルシャン」の更なる育成のため、ブドウ生産者と協働し、日本の風土や気候を表現したワイン造りに引き続き取り組みます。また、伸長するチリワインでは、低価格帯に加え中高価格帯の商品育成を図ります。さらに、ワイン市場の裾野拡大に向け、引き続き若年層向けの新商品を開発していきます。
キリンビバレッジ㈱では、利益ある成長を目指し、継続的なブランド価値向上と抜本的な収益構造改革に取り組みます。基盤となる「キリン 午後の紅茶」の継続的成長に加え、市場規模の大きい炭酸・無糖茶・コーヒーカテゴリーにおいて、強い商品ブランドの育成に取り組みます。特に2016年においては、「キリン 生茶」の大規模リニューアルにより、無糖茶市場での強固なポジション構築を目指します。併せて、健康軸等、付加価値の高い商品開発に取り組みます。収益構造改革については、営業現場における利益マネジメントの仕組みを刷新するとともに、サプライチェーン全体でコスト削減を進め、収益性の高い事業構造への変革を進めます
ライオン社では、酒類事業において、豪州ビール市場縮小に歯止めをかけるべく、ビール市場の活性化に取り組み、持続的な成長を目指します。ビールの主原料、成分、製造方法等について、表示内容の改善、広告等を行い、ビールが本来持っている価値の伝達を進めます。また、高まる健康志向等、お客様のニーズに応じた基盤ブランドの強化、及び成長カテゴリーであるクラフトビールやシードルカテゴリーの強化により、収益基盤を強化していきます。飲料事業では、引き続き、収益力向上に向けた事業構造改革の再生計画を進めます。乳飲料カテゴリーの市場拡大へ注力するとともに、ムダを最小化したシンプルな生産・物流体制を構築することによりコスト低減を図ります。また、お客様の健康的な食生活を支援する「The Goodness Project(グッドネスプロジェクト)」を推進し、人工調味料、着色料、甘味料等の添加物の削減を目指すとともに、トランス脂肪酸を使用しない商品づくりを推進していきます。
ブラジルキリン社では、早期の営業黒字化を目指し、減少した販売数量の回復を最優先課題とし、経営の効率化を進めることにより、安定した経営基盤の構築を図ります。2015年にリニューアルしたビール主力ブランド「スキン」の強化により、強みのある北部・北東部市場でのブランド露出を高めていきます。また、地域戦略に基づき、「アイゼンバーン」、「キリン一番搾り(KIRIN ICHIBAN)」等の高価格帯ビールを強化し、効果的なブランドポートフォリオを形成していきます。併せて、販売網の改善、営業活動の効果最大化、量販市場への取り組みを強化し、中長期的な視点で営業基盤を整備・強化していきます。また、物流部門の経営効率化、製造拠点の最適化及び間接費の削減等に取り組み、コスト構造改革を進めます。
東南アジアでは、新たな価値創造に向けて、ミャンマー・ブルワリー社の成長に最優先で取り組みます。現在の市場リーダーのポジションを維持・強化していくとともに、成長する市場需要に対応した生産設備、販売チャネルの構築に取り組みます。また、参入した競合に対抗していくため、キリンブランドの上市等、ブランドポートフォリオの拡充を進めていきます。
協和発酵キリン㈱が展開する医薬事業では、最先端のテクノロジーを追求し「グローバル・スペシャリティファーマへの飛躍」を目指します。独自のバイオ技術を駆使し、革新的な抗体医薬品の新薬開発を進め、強みのある領域で、世界の人々の健康と豊かさに貢献できる、新たな価値を創造していきます。特に、腎、がん、免疫・アレルギー、中枢神経の4つのカテゴリーにおける研究開発力を強化し、豊富な研究開発パイプラインからの新薬の着実な上市を図るとともに、新たな販売体制構築により、グローバル化に対応した体制を確立し、欧米市場への飛躍を図ります。
バイオケミカル事業では、医薬、医療、ヘルスケア領域のスペシャリティ分野での高いシェアを活かし、「ブランド力と収益性の向上」を重要課題として取り組みます。ブランディング、機能性を示すデータの提供、知的財産権の活用等を通じ、顧客企業、さらにその先のお客様の健康にとって、単なる素材・製品以上に価値あるものを供給していきます。また、整備・拡充した生産拠点を元に、コスト競争力のさらなる向上と為替の影響を受けにくい事業構造の構築も継続していきます。
小岩井乳業㈱では、発酵乳、及び家庭用乳製品の両カテゴリーにおいて、独自性の高い「小岩井 生乳100%ヨーグルト」、「小岩井マーガリン」に注力し、収益性の高いブランドポートフォリオの構築を目指します。また、営業活動、広報活動を質、量ともに向上させ、成長の実現を図ります。
当社グループの事業その他を遂行する上でのリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しています。また、必ずしも重要な影響を及ぼすリスク要因に該当しない事項についても、投資家に対する積極的な情報開示の観点から記載しています。なお、文中における将来に関する事項は、平成27年12月31日現在において当社が判断したものです。
キリングループは事業の遂行にあたって、国内においては、酒税法、食品衛生法、薬事法、独占禁止法等の法的規制の適用を受けています。また、事業を展開する各国においては、当該国の法的規制の適用を受けています。例えば、酒税や消費税の増税が実施された場合、価格の上昇により酒類、飲料等の消費が減少する可能性があります。また、薬事法及び関連政省令等の法律の改定が、商品開発の進捗に遅延を招くなど、医薬事業に影響を及ぼすことや、公定薬価制度による薬価引下げが、医薬事業の業績・財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。その他、予測できない法律の改正が行われた場合には、当社グループの事業活動が制限され、業績・財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
キリングループは、酒類を製造・販売する企業グループとして、社会的責任を果たすために、広告・宣伝活動にあたっても厳しい自主基準に基づき自ら規制を行っています。一方で、WHOにおいては世界的な規模での酒類販売に関する規制が検討されており、当社グループの予想を大きく上回る規制強化が行われた場合、酒類の消費が減少し、当社グループの業績・財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
キリングループは、リスクマネジメントサイクルの定着や従業員啓発のための研修を通じたコンプライアンスの推進により、従業員の法令違反等の低減努力を実施しています。しかしながら、国内外の事業活動の遂行にあたって、当社グループ各社及びその従業員の法令等に対する違反の有無に関わらず、製造物責任・知的財産権・税務等の問題で訴訟を提起される、又は罰金等を科される可能性があります。訴訟が提起されること自体、あるいは訴訟の結果によっては、当社グループがお客様からの信頼を失い、業績・財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
キリングループの使用する主要な原材料(アルミニウム缶、麦芽、コーン、豪州での原乳等)や原油、電気といったエネルギー等には、その価格が市場の状況により変動するものがあります。それらの価格が高騰することによって、調達、製造、輸送コスト等が上昇し、当社グループの業績・財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
キリングループは、原材料及び商品の一部を海外から調達しており、また、海外への事業展開も行っています。予測の範囲を超える急激な為替変動や、国内外の資金調達等における金利の変動があった場合、当社グループの業績・財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
キリングループは、事業資金を主に金融機関からの借入、コマーシャルペーパーや社債の発行等により調達しています。このため、金融市場の不安定化・金利上昇、また格付機関による当社グループの信用格付けの引下げの事態が生じた場合等には、資金調達の制約を受け、資金調達コストが増加する可能性、あるいは全くできない状況に直面する可能性があります。これらの事態が発生した場合、当社グループの業績・財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
キリングループの保有する有価証券等の資産価値が急激な株価変動等によって下落することにより、当社グループの業績・財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
キリングループは事業の遂行にあたって、景気等の経済状態による消費動向や人口動態の変化に大きく影響を受ける可能性があります。世界同時不況による消費不振や需要減退等が起きた場合、また、日本国内の少子・高齢化現象が市場全体の縮小を招く場合、当社グループの業績・財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
キリングループは中長期の経営計画に沿い、成長に向けた競争力強化の一環として国内外他社との事業・資本提携を進めています。しかしながら、事業・資本提携においては、当社グループが提携先の経営、事業、資産に対して十分なコントロールができない可能性があり、また、提携先企業の事情等によっても事業遂行上の影響を受ける可能性があります。また、出資先企業の業績不振等により出資に伴うのれん等の減損損失を計上する必要が生じた場合、当社グループの業績・財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
キリングループでは、国内外他社との事業・資本提携に伴い、様々な人種・国籍、伝統や文化、企業風土を持つ従業員が働いています。その多様性を尊重し、多様性からイノベーションを生み出す組織を目指していますが、高い専門性を持った人材を十分に確保・育成できないリスクがあります。また、労働安全衛生面において、従業員に重大な影響を与える労働災害や事故などの未然防止を徹底していますが、万が一発生した場合、グループの設備の損害だけでなく貴重な人材に重大な影響を与えます。これらの事態が発生した場合、当社グループの業績・財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
キリングループは事業遂行にあたって、天候不順や冷夏、干ばつ、台風等の異常気象、地球温暖化等の影響を受ける可能性があります。さらに地震などの大規模な自然災害や新型インフルエンザなどの感染症の流行や事故が発生した場合、当社グループの事業活動が制限され、業績・財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
キリングループは、国内外で事業を展開していますが、主に海外において、以下のような事象が発生し、予測を超える影響を受けた場合には、当社グループの事業活動が制限され、業績・財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ア) テロ・戦争やその他の要因による政治・経済・社会的混乱
(イ) 文化や慣習の違いに起因するトラブル
キリングループでは、グループの自社工場で製造する製品や、製造委託工場・輸入品等の他社製造品について、一層強化した品質保証マネジメントシステムにより、グループ全体での品質監査を実施する等、「食の安全」をお客様に提供するための品質保証に最大限の努力を払っています。しかしながら、品質保証の取り組みの範囲を超えて、予期し得ない品質問題等が発生した場合には、当社グループの事業活動が制限され、業績・財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
キリングループの医薬事業においては、グループの自社工場で製造する製品や他社から購入して販売する製品についても、厳しい品質管理基準や規格に適合するよう最大限の努力を払い、品質保証に取組んでおります。しかしながら、品質保証の取り組みの範囲を超えて、大規模な製商品の回収や製造物責任賠償につながるような予期し得ない製品の欠陥等が生じた場合は、当社グループとしての社会的な信頼性に重大な影響を与え、業績・財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、医薬品は開発段階において厳しい安全性の評価を行い、所轄官庁の審査を経て承認されますが、市販後の使用成績が蓄積された結果、新たに副作用が見つかることも少なくありません。市販後に予期していなかった副作用が発生した場合には、当社グループの業績・財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
キリングループは産業廃棄物の処理について、廃棄物の処理及び清掃に関する法律等に則り、マニフェスト管理の徹底を図っています。また、大気、水質、騒音、振動、悪臭、土壌汚染、地盤沈下等の環境諸法令遵守を徹底しています。しかしながら、環境汚染等の環境保全上の問題が発生した場合や、関係法令の改正等により新たな設備投資等の必要性が生じた場合には、当社グループの業績・財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
キリングループは、グループ経営に関する重要情報を有しているほか、多数の法人・個人に関する機密情報を保持しています。これらの情報管理については、規定等を整備し、従業員に対する教育・研修等を通じた情報管理の重要性の周知徹底、システム上のセキュリティ対策等を行う体制を整えています。また、情報共有や業務の効率化のため、情報システムを構築しており、システムの安定的な運営確保のための対策を講じています。しかしながら、コンピュータウィルスによる感染や不正アクセス、自然災害の発生等により、情報の消失、漏えい、改ざん、情報システムの停止または一時的な混乱が起こる可能性があります。また、これらの事態が発生した場合、当社グループの業績・財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループ(当社及び連結子会社)における経営上の重要な契約等は、以下のとおりであります。
契約会社名 | 契約事項 | 契約締結先 | 締結年月日 | 発効年月日 | 有効期限 |
キリンホールディングス㈱ (当社) | 医薬品の研究開発等を目的とする米国法人設立に関する合弁契約 | アムジェン社 | 昭和59年 5月12日 | 昭和59年 5月12日 | 規定なし |
麒麟麦酒㈱ | ハイネケンビールの販売を目的とする国内法人設立に関する合弁契約 | ハイネケン・イン ターナショナル社 | 平成元年 6月1日 | 平成元年 1月1日 | 規定なし |
麒麟麦酒㈱ | 国内向けバドワイザービールの生産、流通、販売、マーケティングに関するライセンス契約 | アンハイザー・ ブッシュ社 | 平成26年 12月30日 | 平成27年 1月1日 | 平成38年 12月31日 |
麒麟麦酒㈱ | 米国向けキリンビールの製造、販売に関するライセンス契約 | アンハイザー・ ブッシュ社 | 平成18年 8月24日 | 平成18年 11月1日 | 平成28年 12月31日 |
当社グループでは、発酵・バイオの先進技術やモノづくり・品質へのこだわりと、お客様のニーズを商品・サービスに反映させるリサーチ・マーケティング力をあわせた技術力の強化を図り、「食と健康」の領域で独自の価値と最上の品質を追求しています。当社グループの研究開発活動は、キリン㈱R&D本部内の5研究所※1および各事業会社の研究所にて行っています。
2015年度の主な開発成果として、2015年4月に始まった機能性表示食品制度のもと、5種の健康機能性飲料を研究所、品質保証部門、事業会社で連携し、発売しました。
また、パッケージング技術研究所は、国産最軽量※2となる28.9gの2Lペットボトルを開発し、2015年春より「キリン アルカリイオンの水」に導入しました。
さらに、健康、バイオケミカル関連の開発基盤技術として、東京大学との共同研究により、特殊な計測機器を必要とせずに細胞内の温度を簡便に高精度で計測できる蛍光プローブの開発に成功しました。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は613億円です。セグメントごとの状況は、次のとおりです。
※1 2016年1月1日より、ワイン技術研究所を設置、6研究所体制となる。
※2 2014年12月8日時点
(1) 国内酒類事業
キリンビール㈱では、主力の「一番搾り」ブランドから、全国9工場それぞれの醸造長が地域で暮らすお客様のために造った特別な「地元うまれの一番搾り」を5月および12月に発売し、販売が好調に推移しました。また、旬や素材にこだわった「一番搾り 小麦のうまみ」「一番搾り とれたてホップ生ビール」を限定販売しました。
春には、「ビールにワクワクする未来を」をテーマに「SPRING VALLEY BREWERY」(スプリングバレーブルワリー)ブランドの本格展開を開始しました。「SPRING VALLEY BREWERY YOKOHAMA」を3月に、ブルワリー併設店舗「SPRING VALLEY BREWERY TOKYO」を4月にそれぞれオープンし、6種類の通年商品のほか、新たに開発した13種類の限定ビールなどを提供し、年間で22万人を集客するなど好評を博しました。
キリンのクラフトマンシップが生み出した「グランドキリン」ブランドは、一本で満足できる味わいをより高めるリニューアルを行い、販路を全国のコンビニエンスストアに拡大して4月から販売開始しました。
発泡酒市場では、「麒麟 淡麗〈生〉」を「淡麗 極上〈生〉」にフルリニューアルしました。麦芽と大麦をそれぞれ最適な条件で仕込み、素材の良さを引き出す「ダブル仕込製法」を新たに採用し、2月より販売を開始しました。
新ジャンル市場では、「のどごし〈生〉」を1月にリニューアルしました。当社がビールづくりで培ってきた「低温発酵技術」を新たに採用し、丁寧に発酵を進めることで、のどごしと“生”のうまさをさらに高めました。また、「糖質0×プリン体0×カロリーオフ」の世界初の機能性を持つ「キリン のどごし オールライト」を1月に発売したほか、9月にはホップを増量し、後味を改良することで「ゴクゴク飲める軽快なうまさ」を強化しました。
ノンアルコール市場では、2015年から施行された機能性表示食品制度にあわせて、「脂肪の吸収を抑える」「糖の吸収をおだやかにする」という機能を持つ難消化性デキストリンを配合した「パーフェクトフリー」を6月から発売しました。
RTD市場では、中核である「氷結®」ブランドにおいて、ストロングシリーズのアルコール度数9%はそのままで果汁量を高めるリニューアルを行いました。また、ゼロシリーズを“糖類ゼロ”、“プリン体ゼロ”、“人工甘味料ゼロ”にするとともに果汁感をアップさせることで、爽やかなおいしさとすっきりした飲みやすさを実現しています。両シリーズとも2月から販売を開始しました。
8月には、容器を振って泡立たせることでふんわりとしたスムージーのような口あたりを楽しめる、今までにない新感覚RTD「キリン ROOMY(ルーミー)ふるふるスムージー」を開発し、全国のローソン限定で発売しました。また、気軽にしゅわっと楽しめるワインRTD「キリン しゅわわ」を開発し、全国のイオングループで販売しました。
メルシャン㈱では、「商品開発研究所」が、各工場や本社部門と連携しながら、主にワインの商品開発や技術開発を行いました。“良いワインは良いブドウから”という思想のもと、ブドウの栽培管理まで踏み込むことで、ブドウの香味特徴や健康成分を最大限に引き出す開発を行っています。基礎的な技術開発成果も積極的に外部に発信し、「日本ブドウ・ワイン学会」2015年大会では、「『マスカット・ベーリーA(Muscat Bailey A)』の香味に関する研究開発」という発表テーマで、技術賞を受賞しました。
山梨県勝沼市に位置するワイナリー「シャトー・メルシャン」は、日本におけるワインづくりの先駆者として長年培った経験を活かして高品質なワインを生産しています。2015年には、レベルの高い国際ワインコンクールの一つである「リュブリアーナ国際ワインコンクール(スロベニア)」にて、「桔梗ヶ原メルロー2011」及び「マリコヴィンヤード2012」が金賞を受賞しました。また、世界的に有名なワイン雑誌「Wine Spectator」にて、「桔梗ケ原メルロー2011」が日本のワインとして唯一90ポイントの高評価を獲得、国内でも日本ワインコンクールで金賞2品を受賞するなど、シャトー・メルシャンの“日本ワイン”が国内外で高い評価を受けました。
神奈川県にある「藤沢工場」からは、お客様がお買い求めやすいリーズナブルなテーブル・ワインを提供し、神奈川県のワイン生産量(課税数量)日本一に貢献しました。2015年は、「おいしい酸化防止剤無添加ワイン」等の基幹商品の品質向上を意識しながら、一方では、新商品も積極的に投入しました。若年層向けに開発した果汁感たっぷりの「ギュギュっと搾ったサングリア」シリーズは、発売から1年足らずで12万ケースを超えるヒット商品となりました。ブドウ以外の純国産フルーツを使用した「日本果実のワイン」や、お客様へのワインの新しい飲み方を提案する「すっきり白ワイン仕立ての梅酒」のようなユニークな商品も導入しました。
焼酎や梅酒に関しても、品質にこだわった商品提案を実施しています。2015年においては、本格焼酎「八代不知火蔵 米焼酎 白水」、「八代不知火蔵 麦焼酎 どぎゃん」、及び「八代不知火蔵 芋焼酎 まろやか芋」が、熊本国税局の酒類鑑評会で優等賞を受賞しました。
メルシャン㈱商品開発研究所は、2016年1月1日付で、キリン㈱R&D本部ワイン技術研究所となります。“素材の香味特徴を最大限に引き出す”技術を中核に据え、オリジナリティに溢れ、お客様にとって魅力ある商品開発を引き続き推進していきます。
(2) 国内飲料事業
国内飲料事業では、キリンビバレッジ㈱が中心となり原料の選定から最終商品まで開発を一貫して行っています。
紅茶飲料のトップブランドである「キリン 午後の紅茶」は、発売30年目を迎え、「香り立て!日本の紅茶」をテーマとしてリニューアル発売し、紅茶カテゴリーがマイナス成長の中、過去最高販売数量を更新しました。また、「午後の紅茶 おいしい無糖」は2011年の発売以来、販売数量が好調に推移し、「午後の紅茶 ストレートティー/ミルクティー/レモンティー」に続く、ブランドの第4の基盤商品として好評をいただいています。さらに、“カラダにやさしい”にこだわって選んだ素材でていねいにつくった「午後の紅茶こだわり素材」シリーズを発売しました。その結果、「キリン 午後の紅茶」は、前年比1%増と好調に推移しました。
市場規模の大きい炭酸カテゴリーの取り組みとして、「キリン メッツ」ブランドから様々な新たな提案を行いました。「キリン メッツ グレープフルーツ」を中心としたフルーツ系炭酸、特定保健用食品の「キリン メッツ コーラ」、機能性表示食品の「キリン メッツ プラス」のラインアップで好評をいただき、前年比147%増と販売数量は大きく拡大し、1,000万箱を超えるメジャーブランドに成長しました。
近年の健康志向の高まりと食品表示規制の緩和を受けて、6月に機能性表示食品清涼飲料水届出第1号商品である「食事の生茶」を発売、8月には難消化性デキストリンを配合した機能性表示食品「キリン メッツ プラス」を発売し、キリンならではの発想と技術を掛け合わせた「イノベーションの力」を結集し、「おいしい」に「健康」をプラスした商品でお客様の健康的なライフスタイルを応援しています。
今後も、「世界一おいしい飲み物をつくる会社になる」というキリンビバレッジ㈱のビジョンを実現するため、お客様にとって、うれしい驚きをもった魅力的な商品開発を行っていきます。
当事業に係る研究開発費は、96億円です。
オセアニア綜合飲料事業では、LION PTY LTDで、最近のオーストラリアにおける飲酒運転問題や健康志向の高まりを背景に拡大している低アルコールビール市場に対し、アルコール濃度 0.9v/v%の「Hahn Ultra」を発売しました。同商品の開発には、キリンビール㈱で蓄積された低アルコールビールの製造技術が活かされており、よりナチュラルなホップの香りを実現するために、キリン㈱が開発したホップオイルを使用しています。
当事業に係る研究開発費は、4億円です。
海外その他綜合飲料事業では、Brasil Kirin Holding S.A.で、新しいエナジードリンクの開発、プレミアムビール拡大に向けた技術開発、新しい飲料香味開発に資源を集中し、取り組んでいます。開発における大胆な資源集中とコスト削減により、大幅な経費節減に貢献しました。
当事業に係る研究開発費は、2億円です。
(1) 医薬事業
協和発酵キリン㈱では、抗体技術を核にした最先端のバイオテクノロジーを駆使し、腎、がん、免疫・アレルギー、中枢神経の各カテゴリーを研究開発の中心に据え、資源を効率的に投入することにより、新たな医療価値の創造と創薬の更なるスピードアップを目指しています。
当連結会計年度における主な後期開発品の開発状況は次のとおりです。
腎カテゴリー
・ 日本においてカルシウム受容体作動薬「レグパラ」の12.5mg製剤の承認を2月に取得し、6月に発売しました。
・ 日本においてカルシウム受容体作動薬KHK7580の血液透析施行中の二次性副甲状腺機能亢進症を対象とした第Ⅲ相臨床試験を11月に開始しました。
・ 日本においてRTA 402の2型糖尿病を合併する慢性腎臓病を対象とした第Ⅱ相臨床試験を3月に開始しました。
・ 中国において持続型赤血球造血刺激因子製剤KRN321(日本製品名「ネスプ」)の透析施行中の腎性貧血を効能・効果とする承認申請を2月に行いました。
がんカテゴリー
・ 日本においてc-Met阻害剤ARQ 197のソラフェニブ治療歴を有するc-Met高発現の切除不能肝細胞癌を対象とした第Ⅲ相臨床試験を実施中です。
・ 抗CCR4ヒト化抗体KW-0761(日本製品名「ポテリジオ」)は、皮膚T細胞性リンパ腫を対象とした第Ⅲ相臨床試験を米国、欧州及び日本等において、成人T細胞白血病リンパ腫を対象とした第Ⅱ相臨床試験を米国及び欧州等において、それぞれ実施中です。なお、末梢性T細胞リンパ腫を対象とした第Ⅱ相臨床試験を欧州において実施していましたが、欧州での本適応における開発を中止することにしました。
免疫・アレルギーカテゴリー
・ 日本において抗IL-17受容体完全ヒト抗体KHK4827の乾癬を対象とした承認申請を7月に行いました。
・ 日本及び韓国において抗IL-5受容体ヒト化抗体KHK4563の喘息を対象とした第Ⅲ相臨床試験を、ライセンス導出先であるアストラゼネカ社が実施中の国際共同試験計画の一環として実施中です。また、日本において慢性閉塞性肺疾患を対象とした第Ⅲ相臨床試験を、アストラゼネカ社の国際共同試験計画の一環として7月に開始しました。
中枢神経カテゴリー
・ 北米及び欧州等においてKW-6002(日本製品名「ノウリアスト」)のパーキンソン病を対象とした第Ⅲ相臨床試験を実施中です。
その他
・ 日本において遺伝子組換えアンチトロンビン製剤「アコアラン」の先天性アンチトロンビン欠乏に基づく血栓形成傾向及びアンチトロンビン低下を伴う播種性血管内凝固症候群を効能・効果とする承認を7月に取得し、当社と販売委受託契約を締結した一般社団法人日本血液製剤機構が9月に発売しました。
・ 中国においてトロンボポエチン受容体作動薬AMG531(日本製品名「ロミプレート」)の慢性特発性(免疫性)血小板減少性紫斑病を対象とした第Ⅲ相臨床試験を9月に開始しました。
・ 北米、欧州、日本及び韓国において抗線維芽細胞増殖因子23完全ヒト抗体KRN23の成人X染色体遺伝性低リン血症を対象とした国際共同第Ⅲ相臨床試験を12月に開始しました。また、米国及び欧州において小児X染色体遺伝性低リン血症を対象とした第Ⅱ相臨床試験を実施中です。
(2) バイオケミカル事業
・ 主力製品である各種アミノ酸・核酸関連物質などの省資源・高効率の発酵生産プロセスの開発に引き続き注力しています。
・ 国内外の大学研究機関との共同研究を通して得られた機能性や安全性データに基づき、アミノ酸等発酵生産物の栄養生理機能探索や用途開発を行い、製品の付加価値を高めています。
・ また、当社の持つ培養技術に関する知見を活かし、再生医療用の細胞培地に関する研究を行っています。
当事業に係る研究開発費は510億円です。
小岩井乳業㈱技術開発センターでは、小岩井ブランドならではの大地の恵みを大切にしたおいしさに加え、会社ビジョンでもある「お客様の事を一番考える会社」として、お客様の「おいしい」「うれしい」の期待に応えるため、キリングループと協働した最新の技術も活用し、製品の開発及び包装容器の改善、乳製品の基礎研究に取り組んでいます。
当期成果として、小岩井乳業㈱の主力カテゴリーである発酵乳において、「小岩井 生乳(なまにゅう)100%ヨーグルト」で長年培ってきた長時間前発酵技術を活かした新商品開発に注力し、新商品として「小岩井 生乳(なまにゅう)ヨーグルトクリーミー脂肪0(ゼロ)」、そして香料・安定剤を使用しない「小岩井 バニラヨーグルト脂肪0(ゼロ)」をリニューアル発売しました。
チーズカテゴリーにおいては、一昨年・昨年に引き続き、キリングループのCSV活動の一環として、東北地方の名産である素材を原材料にした「小岩井 オードブルチーズ」(牛タン)を開発し、東北復興支援商品(※製品1個につき1円を寄付し震災復興に役立てる)として通年発売しました。
上記商品以外にも、小岩井ブランドならではの乳のおいしさにこだわった製品開発を進め、ヨーグルト、乳飲料、乳製品でも数多くの新商品を開発・発売しました。
また研究成果として、キリン㈱との共同資産である“まもるチカラの乳酸菌”「プラズマ乳酸菌」においては、昨年同様、岩手県雫石町の小中学校を対象とした児童生徒の健康づくりサポートとして、1月末~3月の一定期間「プラズマ乳酸菌を含むヨーグルト」の無償提供を行いました。岩手医科大学、キリン㈱、小岩井乳業㈱の共同研究により、商品を提供した雫石町と提供しなかった隣接する町を対象に、提供期間中における小中学校でのインフルエンザ罹患者数を比較調査したところ、プラズマ乳酸菌を含むヨーグルトの摂取によりインフルエンザの週ごとの最大罹患率および調査期間内の累積罹患率が低下することが示唆されました。この結果は、11月の第74回日本公衆衛生学会で発表しました。
今後も最新の研究・技術開発で得られた成果を新商品の開発及び既存商品の改良に活用し、より多くの「おいしい」「うれしい」を実現する乳製品を提供していきます。
当事業に係る研究開発費は1億円です。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、必要と思われる見積は、合理的な基準に基づいて実施しております。
詳細につきましては、「第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表] 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
売上高は、前連結会計年度から11億円増加(前年同期比0.1%増)して2兆1,969億円となりました。キリンビール㈱、メルシャン㈱、キリンビバレッジ㈱を中心とした日本綜合飲料事業は、ビール類及び清涼飲料の販売数量増加などにより、前連結会計年度から385億円増加(前年同期比3.3%増)して1兆1,915億円となりました。ライオン社を中心としたオセアニア綜合飲料事業は、前連結会計年度から315億円減少(前年同期比6.7%減)して4,386億円となりました。ブラジルキリン社を中心とした海外その他綜合飲料事業は、ブラジルキリン社での販売数量が減少したことにより、前連結会計年度から375億円減少(前年同期比16.8%減)して1,855億円となりました。協和発酵キリン㈱を中心とした医薬・バイオケミカル事業は、国内外の医薬事業が好調だったこと等により、前連結会計年度から306億円増加(前年同期比9.4%増)して3,557億円となりました。その他事業は、小岩井乳業㈱の主力商品である「小岩井生乳100%ヨーグルト」へ注力した戦略が奏功し、前連結会計年度から9億円増加(前年同期比3.7%増)して254億円となりました。
売上原価は、売上高が増加したものの、前連結会計年度から234億円減少(前年同期比1.9%減)して1兆2,288億円となりました。売上原価率は、1.1ポイント減少して55.9%となりました。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度から143億円増加(前年同期比1.7%増)して8,433億円となりました。
営業利益は、前連結会計年度から102億円増加(前年同期比8.9%増)して1,247億円となりました。日本綜合飲料事業は、ビール類及び清涼飲料の販売数量増加により売上高は増収となりましたが、コスト削減を進めたものの、販売費が増加したため、前連結会計年度から1億円減少(前年同期比0.4%減)して479億円となりました。オセアニア綜合飲料事業は、販売数量の減少により全体の売上高は減少しましたが、飲料事業の収益性の改善が進み、また「企業結合に関する会計基準」等の改正の早期適用により、前連結会計年度から204億円増加(前年同期比74.3%増)して480億円となりました。海外その他綜合飲料事業は、ブラジルレアル安による原材料コストの増加、及び、大幅な販売数量減少により、前連結会計年度から184億円減少して△148億円となりました。医薬・バイオケミカル事業は、前連結会計年度から79億円増加(前年同期比20.4%増)して468億円となりました。その他事業は、前連結会計年度から7億円増加(前年同期比25.2%増)して38億円となりました。
経常利益は、前連結会計年度から339億円増加(前年同期比36.1%増)して1,281億円となりました。主な利益増減要因は、営業利益の増加102億円の他、持分法による投資利益の増加132億円であります。
当期純損益は、前連結会計年度から797億円減少して473億円の損失となりました。主な利益増減要因は、経常利益の増加339億円の他、法人税等の増加による減益128億円、減損損失の増加による減益1,207億円であります。
総資産は、前連結会計年度末に比べ5,220億円減少(前期末比17.6%減)して2兆4,437億円となりました。流動資産は198億円減少して7,819億円となり、固定資産は5,021億円減少して1兆6,618億円となりました。有形固定資産は在外子会社の為替影響等により866億円減少しており、無形固定資産は新会計基準適用に伴うのれんの減少及び連結子会社におけるのれん等の減損処理等により3,908億円減少しております。
負債は、前連結会計年度末に比べ1,244億円減少(前期末比7.6%減)して1兆5,056億円となりました。流動負債はコマーシャル・ペーパー償還等により1,187億円減少して6,659億円となり、固定負債は57億円減少して8,397億円となりました。
純資産は、為替換算調整勘定が1,387億円減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ3,976億円減少(前期末比29.8%減)して9,380億円となりました。
この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の37.2%から27.2%となり、1株当たり純資産は、前連結会計年度末から479.95円減少して727.48円となりました。
キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2[事業の状況]1[業績等の概要](2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。また、キャッシュ・フロー関連指標の推移は、以下のとおりであります。
キャッシュ・フロー関連指標の推移
| 平成25年12月期 | 平成26年12月期 | 平成27年12月期 |
自己資本比率(%) | 37.1 | 37.2 | 27.2 |
時価ベースの自己資本比率(%) | 48.5 | 46.1 | 61.5 |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%) | 417.9 | 562.3 | 480.4 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) | 13.0 | 10.4 | 13.0 |
(注) 1 自己資本比率:自己資本/総資産
2 時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
3 キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
4 インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※ 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※ 営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
調達コストとリスク分散の観点から、直接金融と間接金融を組合わせ、長期と短期のバランスを見ながら、低コストかつ安定的な資金を確保するよう努めております。また、グループ各社における余剰資金の一元管理を図り、資金効率の向上と金融費用の削減を目的として、CMS(キャッシュマネジメントシステム)を導入しております。
「4[事業等のリスク]」に記載のとおりです。
「3[対処すべき課題]」に記載のとおりです。