第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当第3四半期連結累計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。
 また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

2 【経営上の重要な契約等】

(KIRIN-AMGEN, INC.株式の譲渡)

当社は、Amgen Inc.(以下、アムジェン社)と締結している医薬品の研究開発費等に関する以下の合弁契約の終了について、平成29年8月3日開催の取締役会においてアムジェン社と契約締結するための条件を決議し、平成29年10月31日にアムジェン社と正式に合意しました。

詳細につきましては、「第一部 企業情報 第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 重要な後発事象」に記載のとおりであります。

 

契約会社名

契約事項

契約締結先

締結年月日

発効年月日

有効期限

キリンホールディングス㈱

(当社)

医薬品の研究開発等を目的とする米国法人設立に関する合弁契約

アムジェン社

昭和59年

5月12日

昭和59年

5月12日

規定なし

 

 

 

3 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 業績の状況

当第3四半期連結累計期間(平成29年1月1日~平成29年9月30日)における世界経済は、海外政治情勢が不安定となり地政学的リスクが増した一方で、国際金融市場は安定を保ち、世界各国の景気は緩やかな回復基調で推移しました。

わが国経済は、緩やかな景気回復が続き企業収益が堅調に推移したことに加えて人手不足もあり、雇用、所得環境は良好であったものの、夏季に低温の日や長雨が続き、酒類や飲料については個人消費の停滞が見られました。

キリングループでは、社会とともに持続的に成長することを目指す長期経営構想「新キリン・グループ・ビジョン2021」の実現に向け、「キリングループ2016年-2018年中期経営計画」(略称:2016年中計)で掲げた3つの重点課題への取り組みを一段と進め、構造改革によるキリングループの再生を目指しました。さらに、事業との関係が深い“健康”“地域社会への貢献”“環境”をキリングループが長期的に取り組むCSV重点課題とした「グループCSVコミットメント」を策定し、これらの課題の解決に向けた取り組みを進めました。特に“健康”については、キリングループの独自素材“プラズマ乳酸菌”を活用した新ブランド「iMUSE(イミューズ)」を立ち上げました。

当連結累計期間での連結売上高は、キリンビール㈱及びライオン社酒類事業での販売数量減少や、ブラジルキリン社を第2四半期期首に連結対象から除外した影響により、前年から減少しました。連結営業利益は、日本綜合飲料事業と医薬・バイオケミカル事業の増益により増加し、さらに持分法投資利益の貢献により連結経常利益も増加しました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、連結経常利益の増加に加え、ブラジルキリン社の株式譲渡による影響と広島県に所有する商業施設の土地及び建物等の固定資産売却益の計上により、大幅に増加しました。

 

   ※ CSV:Creating Shared Valueの略で、社会課題への取り組みによる“社会的価値の創造”及び“経済的価値の創造”の両立に

   より、企業価値向上を実現することです。 

 

連結売上高

1兆4,569億円

(前年同期比

5.6%減 )

連結営業利益

1,280億円

(前年同期比

15.7%増 )

連結経常利益

1,335億円

(前年同期比

23.6%増 )

連結第3四半期純利益 ※1

1,176億円

(前年同期比

56.7%増 )

(参考)

 

 

 

平準化EPS ※2

123円

(前年同期比

32.3%増 )

 

 

※1 「親会社株主に帰属する四半期純利益」を指しております。

※2  平準化:特別損益等の非経常項目を除外し、より実質的な収益力を反映させるための調整

   平準化EPS    = 平準化四半期純利益 / 期中平均株式数

 平準化四半期純利益 = 四半期純利益 + のれん等償却額 ± 税金等調整後特別損益

 なお、平準化EPSは円未満四捨五入により算出しております。

 

 

セグメント別の業績は次のとおりです。

 

<日本綜合飲料事業>

キリンビール㈱は、2016年中計の期間を“V字回復を本物にする3年間”と位置付け、誰よりもお客様のことを一番考える会社を目指して、キリンならではの価値創造を進めました。

酒類の公正な取引推進のために年初から当社のビール類の価格が他社に先駆けて上昇した影響に加え、6月の酒税法等改正に伴う量販店での値上げや夏季の天候不順の影響等により、ビール類全体の販売数量は減少しました。一方で、ビールカテゴリーの魅力化と将来の酒税改定の道筋を見据え、主力商品「キリン一番搾り生ビール」を全面的にリニューアルし、販売促進活動に注力した結果、9月の「一番搾り」の販売数量は市場を大きく上回るペースで増加しました。新ジャンルカテゴリーでは、機能性を持つビール系商品に対するお客様の要望に応えるため、主力の「のどごし」ブランドから、9月に「キリン のどごし ZERO」を発売しました。市場全体が拡大傾向にあるRTDカテゴリーでは、主力商品「キリン 氷結」、「キリン 本搾りTMチューハイ」を中心に、販売数量が大きく増加しました。ノンアルコール・ビールテイスト飲料の販売数量は、「キリン 零ICHI(ゼロイチ)」の販売数量が引き続き伸長したことにより、前年から約6割増加しました。

メルシャン㈱では、ワイン市場全体の持続的な拡大を目指し、カテゴリーごとに注力ブランドを絞ったマーケティング活動を進めました。フラッグシップブランド「シャトー・メルシャン」では、日本ワインづくり140年記念イベントの実施やお客様参加型サイト「シャトー・メルシャン・クラブ」の開設により、日本ワインの話題化と価値啓発に取り組みました。ワイン市場の成長が鈍化する中で、国内製造ワインにおける主力商品「おいしい酸化防止剤無添加ワイン」、輸入ワインにおける注力ブランド「カッシェロ・デル・ディアブロ」、ワイン市場の裾野拡大に向けた商品「ワールドセレクション」の販売数量増加に牽引され、ワイン全体の販売数量は増加しました。

キリンビバレッジ㈱では、持続的な利益ある成長の実現に向けて、強固なブランド体系の構築と収益性の高い事業構造への転換を、一段と進めました。基盤ブランド「キリン 午後の紅茶」は、定番商品のストレート、ミルク、レモン、おいしい無糖の堅調な販売や、特許技術でカフェインを除去した「キリン 午後の紅茶 ストレートティー デカフェ」の発売により、販売数量が増加しました。緑茶市場の活性化を目指して販売促進活動に注力した「キリン 生茶」も、販売数量が増加しました。健康を基軸にした価値創造に挑戦した健康・スポーツ飲料カテゴリーでは、機能性表示食品「キリン サプリ」ブランドから新商品を発売し、カテゴリー全体の販売が伸長しました。しかしながら、天候不順や昨年需要が増加した大型PET容器の水について反動が出た影響で、清涼飲料全体の販売数量は前年より若干減少しました。なお、缶・小型PET容器を中心とした販売目標管理やSCMコスト削減の取り組みを継続し、収益力の向上を図りました。

これらの結果、日本綜合飲料事業では、キリンビール㈱におけるビール類の販売数量の減少や、キリンビバレッジ㈱で前第1四半期連結会計期間に費用として計上していた一部販売費を売上高から控除した影響で減収となりましたが、各事業会社でコスト削減等による収益性改善の取り組みが進み、増益となりました。

 

※ RTD:栓を開けてそのまま飲める低アルコール飲料で、Ready to Drinkの略。

 

日本綜合飲料事業連結売上高

8,349億円

(前年同期比

1.9%減 )

日本綜合飲料事業連結営業利益

589億円

(前年同期比

12.4%増 )

 

 

 

<海外綜合飲料事業>

ライオン社酒類事業では、アンハイザー・ブッシュ・インベブ社とのビール販売ライセンス契約終了の影響によりビールの販売数量は前年よりも減少しましたが、基盤ブランドと成長カテゴリーの強化に取り組み、中長期的な収益回復を目指しました。豪州ビール市場の縮小が続く中、伸長するクラフトビールカテゴリーでは「ジェームス・スクワイア」、「ファーフィー」、海外プレミアムビールカテゴリーでは「ハイネケン」の販売数量が、それぞれ前年よりも増加しました。ライオン飲料事業では、オレンジ果汁の不足に伴う原料価格高騰による影響を受けたものの、新商品「デア コールドプレス」の販売が好調だった乳飲料の主力ブランド「デア」や、注力カテゴリーであるヨーグルト、高価格帯チーズの販売が伸長しました。生産拠点集約等のコスト構造改革を引き続き進め、収益力の向上に取り組みました。

ミャンマー・ブルワリー社では、ミャンマー市場首位のポジションをさらに盤石なものとするため、昨年構築したブランドポートフォリオ戦略に基づき、引き続き販売活動を強化しました。市場の変化等を勘案して6月にビールの値上げを実施しましたが、効果的な販売促進活動により、ビール全体の販売数量は前年より大幅に増加しました。特に、現在のミャンマーの消費環境に即した低価格帯商品「アンダマン ゴールド」は、大きく販売数量を伸ばしました。主力商品「ミャンマービール」は、販売促進活動を実施した缶容器を中心に、販売数量が増加しました。また、設備増強による生産物流基盤の強化と計画的な在庫管理で、最盛期の需要に確実に応えました。

これらの結果、オセアニア綜合飲料事業では、ライオン社酒類事業における販売数量の減少に加え、飲料事業における棚卸資産評価減とオレンジ果汁価格高騰の影響により、減収減益となりました。海外その他綜合飲料事業では、前年度に営業損失を計上したブラジルキリン社を第2四半期期首に連結対象から除外した影響と、ミャンマー・ブルワリー社における販売数量の大幅な増加とビールの値上げにより、減収増益となりました。

 

オセアニア綜合飲料事業連結売上高

2,629億円

(前年同期比

    8.5%減 )

オセアニア綜合飲料事業連結営業利益

280億円

(前年同期比

   10.9%減 )

 

 

 

 

海外その他綜合飲料事業連結売上高

909億円

(前年同期比

   31.8%減 )

海外その他綜合飲料事業連結営業利益

77億円

(前年同期比

         ― )

 

 

 

<医薬・バイオケミカル事業>

協和発酵キリン㈱の医薬事業においては、“グローバル・スペシャリティ・ファーマへの飛躍”をテーマに、戦略課題の達成に取り組みました。国内では、引き続き持続型G-CSF製剤「ジーラスタ」等の新製品群の売上が堅調でしたが、医療費抑制策に伴う後発医薬品の浸透や昨年4月実施の薬価基準引き下げによる影響で、売上高は減少しました。海外では、アストラゼネカ社からの契約一時金・マイルストン収入等と癌疼痛治療薬「Abstral」「PecFent」及びオピオイド誘発性便秘治療剤「Moventig」等の伸長により、売上は前年よりも増加しました。研究開発では、グローバル戦略品の開発が順調に進みました。

バイオケミカル事業では、通信販売事業で昨年発売の「アルギニンEX」や医薬・健食用原料は堅調に推移したものの、国内売上は前年を下回りました。海外では、前年度に米州でサプリメント向け原料の集中出荷があった影響やアジアにおける一部製品の競争激化による影響により、売上高は減少しました。

これらの結果、医薬・バイオケミカル事業全体では、国内医薬品の売上が減少したものの、技術収入の増加と研究開発費の減少等により、増収増益となりました。

 

※ ジーラスタ:がん化学療法時の重篤な副作用の1つである、発熱性好中球減少症の発症抑制に用いられる薬剤です。

 

医薬・バイオケミカル事業連結売上高

2,532億円

(前年同期比

0.3%増 )

医薬・バイオケミカル事業連結営業利益

367億円

(前年同期比

26.0%増 )

 

 

<その他事業>

その他事業において、小岩井乳業㈱では“小岩井らしさ”を持った商品である主力商品「小岩井 生乳(なまにゅう)100%ヨーグルト」「小岩井 生乳ヨーグルトクリーミー脂肪0(ゼロ)」の販売活動に注力し、これらの商品の販売数量は昨年から増加しましたが、市場全体の低迷により全体の売上は昨年から減少しました。なお、新ブランド「iMUSE(イミューズ)」から、小岩井乳業の強みを活かした「小岩井 iMUSE 生乳ヨーグルト」、「小岩井 iMUSE のむ生乳ヨーグルト」を発売しました。

その他事業全体では、小岩井乳業㈱の売上減少に加え、㈱横浜アリーナ並びに広島県の商業施設の土地及び建物等の固定資産の譲渡による影響で、減収減益となりました。

 

その他事業連結売上高

149億円

(前年同期比

   18.6%減 )

その他事業連結営業利益

10億円

(前年同期比

   52.4%減 )

 

 

 

(2) 財政状態の分析

当第3四半期連結会計期間末の総資産は、現金及び預金の増加、受取手形及び売掛金、有形固定資産の減少等により、前連結会計年度末に比べ359億円減少して2兆3,122億円となりました。

負債は、支払手形及び買掛金及び有利子負債の減少等により、前連結会計年度末に比べ2,538億円減少して1兆1,481億円となりました。

純資産は、為替換算調整勘定の増加等により、前連結会計年度末に比べ2,179億円増加して1兆1,640億円となりました。

上記変動の主な要因は、ブラジル連結子会社売却によるものです。

 

(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題

第2四半期連結累計期間において、当社が保有するブラジルキリン社の発行済み株式の譲渡を完了したことに伴い、第2四半期連結会計期間期首にブラジルキリン社を連結対象から除外しております。

 

(4) 研究開発活動

当第3四半期連結累計期間における当社グループの研究開発費の総額は、427億円であります。

なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(5) 従業員数

当第3四半期連結累計期間において、前連結会計年度末比8,669名減少の31,064名となりました。これは主に、平成29年5月31日付のブラジルキリン社売却に伴い、海外その他綜合飲料事業における従業員数が11,114人減少したためであります。

 

(6) 主要な設備

第2四半期連結累計期間において、当社が保有するブラジルキリン社の発行済株式を譲渡したことに伴い、第2四半期連結会計期間期首をもって同社は連結会社に該当しなくなったため、以下の設備が当社グループの主要な設備に該当しなくなりました。

平成29年4月1日現在

会社名

(主な所在地)

セグメント
の名称

設備の内容

帳簿価額(百万円)

従業員数
(人)

建物及び
構築物

機械装置
及び運搬具

土地
(面積千㎡)

その他

合計

Brasil Kirin
Holding S.A.
(ブラジル)

海外その他綜合飲料

製造設備他

35,528

54,111

8,164

(12,212)

11,740

109,771

10,828

 

(注) 1  帳簿価額「その他」は、「工具、器具及び備品」、「建設仮勘定」及び「リース資産」であります。

2  金額には消費税等を含んでおりません。