1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
文中の将来に関する事項は、当年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
(1)経営の基本方針
当社は2019年度に、2027年に向けた新たなキリングループ長期経営構想である「キリングループ・ビジョン2027」(略称:KV2027)を策定しました。また、KV2027の実現に向けた長期非財務目標として、社会と価値を共創し持続的に成長するための指針「キリングループCSVパーパス」(略称:CSVパーパス)を策定しました。
長期経営構想「キリングループ・ビジョン2027」
キリングループは、グループ経営理念及びグループ共通の価値観である“One KIRIN”Values のもと、食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV先進企業となることを目指します。

食から医にわたる領域における価値創造に向けては、既存事業領域である「食領域」(酒類・飲料事業)と「医領域」(医薬事業)に加え、キリングループならではの強みを生かした「ヘルスサイエンス領域」を立ち上げました。「ヘルスサイエンス領域」では、キリングループ創業以来の基幹技術である発酵・バイオ技術に磨きをかけ、これまで培ってきた組織能力や資産を生かし、キリングループの次世代の成長の柱となる事業を育成していきます。また、社会課題をグループの成長機会に変えるために、イノベーションを実現する組織能力をより強化し、持続的な成長を可能にする事業ポートフォリオを構築していきます。
長期非財務目標「キリングループCSVパーパス」
社会課題については、「酒類メーカーとしての責任」に取り組むことを前提に、CSV重点課題「健康」「地域社会・コミュニティ」「環境」に一層高いレベルで取り組みます。
CSVパーパスは、CSV重点課題の取り組みを進めた後の「2027年目指す姿」を明らかにするために策定しています。さらに、CSVパーパスを実現するために、各事業での中長期アクションプランを定めた「キリングループCSVコミットメント」における成果指標を定量化し、目標値を設定しています。

(参考)キリングループCSVコミットメント
URL https://www.kirinholdings.co.jp/csv/commitment/
(2)中長期的な経営戦略と目標とする経営指標
キリングループ2019年-2021年中期経営計画
KV2027の実現に向けた最初の3カ年計画「キリングループ2019年-2021年中期経営計画」(略称:2019年中計)では、資産効率に応じた資源配分を徹底し、既存事業のキャッシュ創出力をさらに高めると共に、既存事業の強みを生かした「ヘルスサイエンス領域」を立ち上げ、育成を進めてきました。また、株主還元を一層充実させることにより、企業価値の最大化を目指してきました。
2020年に発生した新型コロナウイルス感染症拡大により、事業環境が大きく変化する一方、社会課題がより強く意識されるようになりました。お客様の行動の変化に適応しながら、KV2027で推進するCSV経営により社会課題をグループの成長機会に変えるため、加速・変革・縮小・中止をキーワードにビジネスモデルや収益構造を大胆に変革します。特に、高まる健康意識に応える事業ポートフォリオで成果を創出し、グループの持続的な成長につなげていきます。
(基本方針)
「再生」からステージを上げ、「新たな成長を目指した、キリングループの基盤づくり」を行う。
株主還元の更なる充実を図り、企業価値を最大化する。
(重点課題)
長期経営構想「キリングループ・ビジョン2027」実現に向けた第1ステージの3ヵ年として、成長に向けた3つの戦略を実行します。
①成長の基盤 既存事業の利益成長
食領域:収益力の更なる強化 医領域:飛躍的成長の実現
②将来の成長機会 「ヘルスサイエンス領域」の立ち上げ、育成
③成長の原動力 イノベーションを実現する組織能力の強化

(重要成果指標)
2019年中計の財務指標について、平準化EPS成長による株主価値向上を目指すと共に、成長投資を優先的に実施する3ヵ年の財務指標として新たにROICを採用しています。また、社会・環境、お客様、従業員との共有価値実現に向けて、非財務目標を設定しました。
1.財務目標※1
※1 財務指標の達成度評価にあたっては、在外子会社等の財務諸表項目の換算における各年度の為替変動による影響等を除く。各事業の重要成果指標には事業利益、ROAを使用。
※2 平準化EPS=平準化当期利益/期中平均株式数
平準化当期利益=親会社の所有者に帰属する当期利益±税金等調整後その他の営業収益・費用等
※3 ROIC=利払前税引後利益/(有利子負債の期首期末平均+資本合計の期首期末平均)
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う事業環境の変化により、キリングループの主要な事業は大きく影響を受けました。2019年中計で掲げている財務目標について、2021年度は、以下のとおり見直しています。
2.非財務目標
※4 企業価値ブランド評価にあたっては、インターブランドジャパン社「ブランドランキング」におけるKIRINブランド価値評価を使用。
CSVコミットメントは、2019年中計目標達成に向けて順調に進捗しています。また、企業ブランド価値、従業員エンゲージメントについては、2020年度で既に2021年度目標を超える実績を上げています。
(財務方針)
財務方針についても、基本的な方針は維持しつつ、新型コロナウイルスの影響を踏まえ、一部軌道修正を行いました。
既存事業により創出した営業キャッシュ・フローは、新型コロナウイルス感染拡大が予断を許さない状況であることから、健全な経営を維持する為の手元資金確保、及び平準化EPSに対する連結配当性向40%以上による安定的な配当に対して優先して配分します。投資に関してはグループ全体の資本効率を維持・向上させる観点から規律を働かせると共に、追加的株主還元も最適資本構成や市場環境及び投資後の資金余力等を総合的に鑑みて検討していきます。
事業への資源配分は、将来のキャッシュ・フロー成長を支える無形資産(ブランド、研究開発、情報化、人材・組織)への投資は緩めない方針です。新型コロナウイルスのもたらしたマイナスの影響に対応する為、加速すべき領域への投資は拡大するものの、将来の成長に繋がらない支出は削減していきます。
・メリハリのある設備投資
維持・更新目的の投資は抑制し、資産効率と市場魅力度の高い案件に積極的かつ優先的に投資
・株主還元の充実
平準化EPSに対する連結配当性向の引き上げ(2019年より30%以上から40%以上に)
・規律ある成長投資
優良資産に対する、資本コストを踏まえたNPVとROICを基準とする投資判断
・無形資産投資
イノベーションを実現する組織能力強化に向けた「ブランド」「研究開発」「情報化」及び「人材・組織」への継続投資
・政策保有株式の縮減
資本コストに見合わない持合株は原則保有しないという方針のもと、非事業資産の圧縮
(コーポレートガバナンス)
重要成果指標(財務目標・非財務目標)及び単年度連結事業利益目標の達成度を役員報酬に連動させることにより、株主・投資家との中長期的な価値共有を促進しています。
[業績評価指標]
※5 売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除した、事業の経常的な業績を測る利益指標です。
※6 業績評価期間の翌年に業績目標の達成に応じたポイントを付与し、原則として、業績評価期間の開始から3年が経過した後の一定の時期に付与されたポイントに相当する数の株式が交付されます。
※7 非財務評価は、CSVコミットメントの進捗及び達成状況の評価とし、4つの重点課題(「酒類メーカーとしての責任」、「健康」、「地域社会・コミュニティ」、「環境」)に応じた取組みを総合的に評価したものです。
(3)会社の対処すべき課題
新型コロナウイルス感染症の拡大により、世界中で社会、経済、人々の生活が激変し、価値観も大きく変わる中、キリングループはCSV経営を加速します。「健康」、「地域社会・コミュニティ」、「環境」への取り組みがより一層重要になる中、キリングループは、KV2027で目指す「食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV先進企業となる」という『2027年目指す姿』をぶらさず、一層スピードを上げて社会課題の解決に取り組むことが使命だと考えています。2021年は、新型コロナウイルスの影響でますます顕在化した環境変化を新たな成長の機会と捉え、各事業でビジネスモデルや収益構造の大胆な改革を実行します。そして、「食領域」、「医領域」、「ヘルスサイエンス領域」の3領域に事業領域を拡大し、グローバル化を強力に推し進める中で、経営の柔軟性や多様性、ガバナンスを一層強化する事により、キリングループの持続的な成長を確固たるものにしてまいります。
新型コロナウイルスの影響に鑑みて、2019年中計で掲げた定量目標は見直しますが、各事業における重要機能の維持と成長に必要な投資をしたうえで、配当後フリー・キャッシュ・フローがプラスとなるよう財務面での規律を図ります。また、CSVコミットメントの各種目標の達成に向けて取り組みます。さらに、キリングループ各社の「ものづくり」を支える品質保証・SCM、エンジニアリング体制について、中長期的に目指す姿と重点課題を設定し、実行します。
①「ヘルスサイエンス領域」の立ち上げ、育成
世界中で新型コロナウイルスの影響が拡大する中、「ヘルスサイエンス領域」に対する、関心と期待がさらに高まっています。
キリングループには、ビール事業の創業より培った「発酵・バイオテクノロジー」を活かし、酒類・飲料・食品事業に加え、医薬事業を立ち上げ、成功させてきた実績があります。今後もこの技術を最大限に活用し、「食領域」と「医領域」に加え「ヘルスサイエンス領域」を育成し、3領域を連携させて社会課題を解決していくことが、キリングループの存在意義だと考えています。
その実現に向け、研究・商品開発、生産技術、販売チャネル等のさまざまな分野でグループシナジーを創出します。具体的には、キリンホールディングス㈱の“健康素材の基礎研究力や全体統括力”、協和発酵バイオ㈱の“高機能な素材の研究開発力や素材を安価で大量生産する生産力”、キリンビバレッジ㈱の“飲料開発力と製造販売網”、㈱ファンケルの“研究に裏付けされた高い商品力とマーケティング力”、協和キリン㈱の“抗体技術を核にした研究基盤や積み重ねてきた知見”といった各社の強みを掛け合わせます。
2021年は「健康」機能に関するエビデンスを持つ素材をさらに活用します。特に、プラズマ乳酸菌の普及浸透を最優先に活動し、キリングループ各社からの商品販売に加え、プラズマ乳酸菌を国内外の企業に素材として提供し、事業拡大を加速します。協和発酵バイオ㈱が持つアミノ酸やヒトミルクオリゴ糖※1、シチコリン※2のような高機能素材の活用や、個々の「健康」課題に向き合うサービスの開発を進めます。この価値を拡大するには㈱ファンケルとの協働も不可欠であり、昨年進めた協働取り組みを一層進化させ、キリングループと㈱ファンケルでしか解決できない世の中の「不」の解消に取り組みます。
さらに、新規事業探索やコーポレートベンチャーキャピタルの取り組みも進め、「免疫」、「脳機能」、「腸内環境」という3つの重点領域を中心に、お客様の「健康」に関する社会課題を解決していきます。
※1 母乳中の成分で、アミノ酸、ビタミンに続く機能性素材として期待されている素材です。
※2 脳や神経細胞にある細胞膜を維持する働きを持つ、体内に存在する成分で、世界各国で長年にわたり脳疾患の治療薬や認知機能の向上をサポートする健康食品等に利用されている素材です。日本では現在、医薬品に分類されています。
② 既存事業の利益成長
新たな領域を推進するためには、既存事業が盤石でなければなりません。「食領域」では、ブランドの育成と強化を一層推進し、強い収益基盤を築くとともに、新たなビジネスモデルの構築にもチャレンジします。「医領域」では、グローバル・スペシャリティファーマとしての基盤強化を着実に実行します。
キリンビール㈱は、ビール類カテゴリーでは「一番搾り」や「本麒麟」等の主力ブランドを強化します。RTDカテゴリーやノンアルコール飲料カテゴリーでは「健康志向」に応える商品を提案するほか、お客様にとってより高い付加価値のある商品やサービスを提供していきます。
キリンビバレッジ㈱は、“摂りすぎない健康”、“プラスの健康”という価値をさまざまな商品で提案することで成長をけん引し、「ヘルスサイエンス領域」での価値創造にも貢献します。また、「生茶」ブランドを中心に「環境」に配慮した容器包装の導入を加速します。発売35周年を迎える「午後の紅茶」は、お客様接点を拡大しブランドをさらに強化します。
ライオン社では、主要ブランドへの投資と強化を継続するとともに、クラフトビールやハードセルツァー※3による一層の成長を目指します。また、技術の活用やSCMの最適化に向けた、生産性向上プログラムを実行します。
メルシャン㈱では、間口拡大によるワイン市場の活性化と収益構造改革、また「シャトー・メルシャン」での取り組みを通じた日本ワイン文化の育成を進めます。
ミャンマー・ブルワリー社では、継続して拡大する家庭用市場の強化を進めます。
コーク・ノースイースト社では、炭酸飲料市場での存在感や収益力をさらに高めるため、販売力強化や業務効率化を継続し、業務品質向上等による経営基盤の強化にも注力します。
※3 炭酸水、サトウキビ由来のアルコール、果実等を原材料とした、アルコール度数が3~5%程度の「アルコール入り炭酸水(hard seltzer)」です。他の酒類や飲料と比較してカロリーが低いことが特長で、近年、米国を中心に市場が拡大しています。
協和キリン㈱では、2021年より新たな5年間の中期経営計画を公表し、グローバル戦略品の価値最大化による成長を目指します。また、急速なグローバル化が進む中、医薬品を安定供給できる品質保証・SCM体制・本社機能等の強化に取り組みます。また、社会からの医療ニーズの変化に対応するため、「医領域」と「ヘルスサイエンス領域」との接点で生まれる機会の活用も検討します。
③組織能力の強化
成長の原動力となる組織能力を強化するため、2021年はキリングループの全事業で特に「品質保証・SCMへの取り組み」、「働きがい改革」、「DXの推進」を進めます。
品質保証・SCMの取り組み
事業領域が「食領域」、「医領域」から「ヘルスサイエンス領域」に広がる中、新しく拡大したビジネスにおいても、お客様に安全で高品質な商品やサービスを開発しお届けできる品質保証・SCM体制が必要です。キリングループは、創業以来のDNAである「品質本位」で培った経験と技術を生かし、グループを挙げて、常に安全と安心をお届けできる体制を構築していきます。特に、育成を進める「ヘルスサイエンス領域」での品質保証水準の向上と生産体制づくり、急速にグローバル事業展開を進める「医領域」での品質保証・SCM体制づくりに注力します。
働きがい改革
2020年に開始した「『働きがい』改革」をさらに進め、社員一人ひとりが『働きがい』を実感することで、グループの持続的な成長につながる生産性と創造性の向上、個の充実を実現するよう取り組みます。具体的には、①働く場所の選択、②システム/ITツールの拡充、③働き方に関する制度の拡充、④新たなコミュニケーションスタイル、という4つの柱で環境整備を進め、仕事そのものを継続的に見直します。グループのマーケティング人材の育成や、多様な人材が活躍する場づくり、挑戦する組織風土の醸成にも、引き続き取り組みます。
DXの推進
将来の持続的な成長のために、グループ経営や各事業が抱える課題を解決するDXの取り組みを加速します。例えば、現状の業務プロセスの変革による大幅な業務効率性向上、お客様とのより深い接点の創出、お客様のニーズに対応した新たなビジネスモデルの開発等を進めます。
DXの推進にあたっては、社内外から人材を募集し、その育成にも取り組みます。また、安全な業務遂行に向けたセキュリティの堅牢化も進め、グローバル展開を見越したセキュリティ対策を行っていきます。
なお、当社は、ミャンマーの民主化が進展する中、当社の事業を通じてミャンマーの人々や経済に貢献できると考え、2015年に当地への投資を決定し参入しました。その投資先であるミャンマー・ブルワリー社及びマンダレー・ブルワリー社は、福利厚生基金の運用会社として国軍と取引関係のあるミャンマー・エコノミック・ホールディングス社(MEHPCL)との合弁会社です。両ビール会社を通じてミャンマーの経済や社会の発展に貢献することは、今後も変わらず当社が目指すところですが、2021年2月に発生したミャンマーにおける政情激変に伴い、MEHPCLとの提携は解消せざるを得ないと判断しました。当社はミャンマーで事業活動を行う企業としての責任を強く自覚し、課題の解決に取り組んでいきます。
最後に、キリングループは、気候変動や新型コロナウイルスの影響のような顕在化している大きな問題を成長機会と捉え、変革し続けることが大切だと考えています。地球温暖化は農作物への影響や災害を及ぼすだけでなく、感染症の発生や流行を引き起こす可能性もあると言われており、人類への脅威となりかねません。
このような「環境」、「健康」への取り組みに加え、「酒類メーカーとしての責任」、「地域社会・コミュニティ」という社会課題の解決に取り組むCSVパーパスの実現を目指し、CSV経営を深化させることで、さらなる成長を目指します。これらの取り組みを通じて、企業価値の継続的な向上を図るとともに、さまざまなステークホルダーとのエンゲージメントを高めていきます。
2 【事業等のリスク】
(1)リスクマネジメントの考え方
キリングループにおいて、「食領域」や「医領域」など既存事業領域の経営環境の不確実性、将来の成長基盤となる「ヘルスサイエンス領域」の育成、大規模自然災害の増加、新型コロナウイルスの感染拡大など、事業の推進にあたりリスクマネジメントの役割や重要性が増していると考えています。
キリングループでは、経営目標の達成や企業の継続性に大きな影響を与える不確実性を「リスク」と定義しています。また、ある時点を境にリスクが顕在化し対応に緊急性を要するものを「クライシス」と定義しています。
キリングループは、お客様、従業員、株主、社会から長期的に信頼を獲得できるよう、収益性や資本効率の向上などにより企業価値の最大化を目指し適切な戦略リスクを取る一方、リスクマネジメントの体制を構築・整備しリスクコントロールやコンプライアンスを強化・徹底することで、リスクの低減や未然防止を図り、リスクを許容範囲内に収めることをリスクマネジメントにおける基本方針としています。また、リスク情報は、当社ホームページなどを通じて適時適切に開示をしてまいります。
(2)リスクマネジメント体制・重要リスクの確定プロセスとモニタリング
キリングループでは、取締役会にて重要リスクの審議や報告を行う他、「グループリスク・コンプライアンス委員会」を設置しています。同委員会はキリンホールディングス㈱の社内取締役と執行役員で構成され、リスク担当の執行役員が委員長を務めています。同委員会は、リスク情報の収集やリスクコントロール、中計や年度におけるグループリスク方針やコンプライアンスの重要項目の立案、リスク低減に向けた取り組み、リスク顕在化時の情報共有や対策の実施、グループ会社への必要な指示や支援など、リスクマネジメント活動の全般を統括しています。(図1)
重要リスクの確定プロセスについては、各年度で設定するキリングループのリスクマネジメント方針に基づき、グループ各社で戦略・事業遂行上のリスクや重大なクライシスに転ずる可能性のあるリスクを検討し抽出しています。キリンホールディングスではこれら事業固有のリスクを集約し、またグループ全体に共通するリスクについて精査し、グループとしての重要リスクを取りまとめています。この案に基づき全社的な経営の観点からグループリスク・コンプライアンス委員会において発生頻度が高く、経済的損失や事業継続性、レピュテーション棄損などグループとして影響度が大きなリスクを定量・定性の両面で総合的に評価し、優先順位の高いリスクを選定しています。これを取締役会にて審議を行いグループの重要リスクとして確定しています。(図2)
(図1)

(図2)

(図3)

(3)キリングループ重要リスク
キリングループの戦略・事業その他を遂行する上でのリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しています。以下に記載したリスクは、キリングループの全てのリスクを網羅したものではなく、記載以外のリスクも存在し、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。重要リスクは、「各事業領域における重要リスク」と「各事業領域共通の重要リスク」に分類しております。
なお、本文中における将来に関する事項は、別段の記載がない限り当年度末において当社が判断した内容に基づきます。なお、2021年2月に発生しましたミャンマーの政情激変によるリスクの記載は2021年3月15日現在の情報に基づきますが不確実性が高い状況にあります。引き続きホームページなどで情報を適宜開示してまいります。
①各事業領域における重要リスク




②各事業領域共通の重要リスク











3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
詳細につきましては、「第5[経理の状況]1[連結財務諸表等]内、連結財務諸表注記」に記載のとおりであります。
(2) 経営成績の状況
①事業全体の状況
長期経営構想「キリングループ・ビジョン2027」(略称:KV2027)を掲げ、世界のCSV先進企業を目指して取り組みを進めた2020年は、キリングループにとって大変重要な年となりました。
世界的に新型コロナウイルス感染症が拡大し、不確実性が大きく増す中で、発酵・バイオテクノロジーを通じて培った「食領域」、「医領域」、「ヘルスサイエンス領域」の3領域で確実に事業を展開するとともに、シナジーを追求しました。3領域の展開により、新型コロナウイルス感染拡大による業績への影響を一定程度吸収する等、加速する健康志向に応える事業ポートフォリオの強みを発揮し、社会課題解決を事業の成長につなげる当社のCSV経営の強みを確信しました。また、多様性を増したガバナンス体制のもと、各ステークホルダーとの対話を積極的に行い、グローバルマネジメント体制を強化しました。
新型コロナウイルスは、世界中の人々の行動を制約し、社会経済活動に甚大な影響を与えました。キリングループ各社の事業活動においても、外食市場の縮小、各種イベントの延期や中止、外出制限等による大きな影響が出ましたが、従業員とお客様・取引先の健康と安全の確保を前提に、感染防止策を徹底し、商品や医薬品、サービス等を供給する社会的責任を果たすことを最優先に取り組みました。大変厳しい経営環境ではありましたが、「食領域」では国内ビール・スピリッツ事業のキリンビール㈱が3年連続で市場推移を上回り、ビール業界内の存在感を大きく向上させました。また「医領域」の医薬事業では協和キリン㈱がグローバル戦略3品を複数地域で順調に拡大する等、多くの成果を創出しました。
このようにお客様の価値観や事業環境が大きく変化する状況に適応しながら、将来の価値創造に向けて、変革・加速・縮小・中止をキーワードに、グループ各社の構造改革を進めました。特に、変革・加速した活動としては、商品・サービスのブランド育成や、デジタルを活用した社内外のコミュニケーション、グローバルに重要度が増す環境問題への取り組み、将来の成長基盤となる「ヘルスサイエンス領域」の育成があり、活動を一層深化させました。
「ヘルスサイエンス領域」では、「免疫」、「脳機能」、「腸内環境」を重点領域に定め、新たにキリングループに加わった㈱ファンケルとのシナジー創出や、さまざまな研究開発及び商品開発を進めました。その中で、キリングループの独自素材であるプラズマ乳酸菌を配合した「iMUSE(イミューズ)」ブランドの清涼飲料とサプリメントが、日本で初めて免疫機能をうたう機能性表示食品として8月に届出受理されました。その後、プラズマ乳酸菌を使用した小岩井乳業㈱のヨーグルトや㈱ファンケルのサプリメント等も同様に届出が受理され、順次発売を開始し、CSV重点課題の1つである「健康」の取り組みも大きく前進しました。
なお、キリングループ2019年-2021年中期経営計画(略称:2019年中計)で重要成果指標とする従業員エンゲージメントは、CSV経営に対する従業員の理解と共感が高まったことや、7月から開始した「『働きがい』改革」で業務の見直し・働く場所の自由化を進めたこと等により、前年から大幅に向上しました。CSV重点課題の一つである「環境」では、気候変動対応や生物資源保護等の取り組みが高く評価され、「第2回日経SDGs経営大賞」で「環境価値賞」を受賞しました。また、女性取締役及び外国人取締役の選任、社外取締役比率を過半数とする等、ガバナンス体制を大きく変更し、多様性に富む外部人材の招聘を行った点や、CSV経営が高く評価され、「コーポレートガバナンス・オブ・ザ・イヤー®2020」の「Grand Prize Company」に選ばれました。
(重要成果指標)
(2019年中計 重要成果指標目標※)
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う事業環境の変化により、キリングループの主要な事業は大きく影響を受けました。2019年中計で掲げている財務目標(平準化EPS:年平均成長率5%以上、ROIC:2021年度10%以上)について、2021年度の目標は、以下のとおり見直しています。
※ 財務指標の達成度評価にあたっては、在外子会社等の財務諸表項目の換算における各年度の為替変動による影響等を除くこととしております。各事業の重要成果指標には事業利益、ROAを使用しております。
これらの結果、当年度の売上収益は、多くの事業で新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受け、減収となりました。事業利益も減益となりましたが、各事業でコスト削減やリスク低減を進め、その減少を最低限にとどめました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、事業利益の減少に加え、主要な関連会社であるサンミゲルビール社も新型コロナウイルス感染症の影響を受け、持分法による投資利益も減少しましたが、前年度に計上したオセアニア綜合飲料事業の減損損失の反動等による影響で、増益となりました。
重要成果指標である平準化EPS、ROICは、主に「食領域」各事業における新型コロナウイルス感染拡大の影響や、医薬事業におけるグローバルな販売体制・事業基盤整備等のための先行投資等を行っているため、2019年中計の目標は下回る見込みです。
一方で、新型コロナウイルス感染拡大により加速した環境変化をビジネスモデルや収益構造の改革の機会と捉え、それぞれの事業で成長のための施策を実施してきました。また、低収益事業の再編や政策保有株式の縮減等により、資本効率の改善を進めました。KV2027の実現に向けて、2019年中計の戦略の加速とともに、抜本的なコスト構造改革を実行し、短期と中長期の両方に目配りした資源配分を行いながら、企業価値向上を果たしていきます。
②セグメント情報に記載された区分ごとの状況
セグメント別の業績は次のとおりです。
<国内ビール・スピリッツ事業>
国内酒類市場では、新型コロナウイルスの影響により外食市場向け商品の販売が大きく減少する中、キリンビール㈱では、主力ブランドに投資を集中したマーケティング活動によりブランドを強化し、成果を創出しました。ビールカテゴリーの販売数量は外食需要低下により減少しましたが、10月の酒税改正による減税もあり、主力商品「キリン一番搾り生ビール」の缶商品や新商品「キリン一番搾り 糖質ゼロ」が好調で、「一番搾り」ブランドの缶商品の販売数量は前年から増加しました。新ジャンルカテゴリーでは、「家飲み需要」を確実に捉えた「本麒麟」の販売数量が前年比3割増と大幅に伸び、「キリン のどごし〈生〉」の販売も堅調で、同カテゴリーの販売数量は同社史上最高となりました。その結果、ビール類カテゴリーの販売数量は4.5%減少したものの、3年連続で市場推移を上回り、ビール業界内の存在感を大きく向上させました。
家庭用商品が中心のRTDカテゴリーは、シリーズ累計販売本数150億本(250ml換算)を達成した基幹ブランドの「キリン 氷結」の堅調な販売に加え、「麒麟特製サワー」、「キリン 本搾りTMチューハイ」が大変好調で、カテゴリー合計の販売数量は前年比1割増となりました。
これらの結果、家庭用チャネルにおいてビール類缶やRTD、ノンアルコール飲料カテゴリーの販売数量が増加したものの、業務用チャネルにおいてビール類の販売数量が大幅に減少し、売上収益は4.5%減少し6,514億円となりました。また、販売数量減少及びビールカテゴリーの比率低下により限界利益が低下し、事業利益は11.4%減少し755億円となりました。
<国内飲料事業>
国内飲料市場では、商品購入場所の変化、自宅でお茶やコーヒーをいれる機会の増加、無糖・低糖飲料といった健康カテゴリー商品の支持拡大等、新型コロナウイルスの影響によるお客様の行動様式の変化が販売面に大きな影響を与えました。キリンビバレッジ㈱は「CSVの実践を軸とした成長による利益創出」を目指し、お客様の「健康」ニーズに応える取り組みを加速しました。6月発売の「キリンレモン スパークリング 無糖」、9月発売の「キリン 生茶 ほうじ煎茶」等の無糖商品や、「キリン 午後の紅茶 マイスターズ」シリーズ等の低糖商品を拡充し、“摂りすぎない健康”という価値を提供しました。また、“プラスの健康”という価値を提案して発売した「キリン iMUSE(イミューズ) レモン」等のプラズマ乳酸菌配合飲料の販売数量は、前年比約2.4倍と大きく増加しました。一方、新型コロナウイルスの影響を受けた自動販売機やコンビニエンスストアでの販売が苦戦し、清涼飲料全体の販売数量は9.1%減少しました。
これらの結果、販売数量の減少に加え、売上収益単価の悪化により売上収益は12.1%減少し2,522億円となりました。また販売促進費、広告費の削減を進めたものの、販売数量の減少及びチャネル構成比の変化等による商品・容器構成差異等の悪化を補いきれず、事業利益は17.4%減少し218億円となりました。
<オセアニア綜合飲料事業>
同事業が事業展開する豪州・ニュージーランド・米国及び英国では、新型コロナウイルスの影響により外出制限や飲食店入場人数制限が行われました。ライオン社酒類事業でも外食市場を中心に販売数量が減少しましたが、リスクを機会と捉えて戦略を修正し、事業構造改革を進めました。
豪州では「フォーエックス」、「ジェームス・スクワイア」から新商品を上市する等、主力ビールブランドを強化、育成しました。将来の成長分野と位置付ける海外クラフトビール事業では、2020年より連結開始した米国ニュー・ベルジャン・ブルーイング社で、主力商品「ブードゥー・レンジャー」が米国クラフトビール市場を上回る成長を実現しました。また、ERPシステム導入による業務効率化や、豪州国内で操業するすべての自社ビール工場でカーボンニュートラル達成など「環境」の取り組みも進めました。ライオン社飲料事業については、11月に豪州の乳業大手ベガ チーズ社と株式譲渡契約を締結することで、低収益事業の再編を完了しました。
これらの結果、新型コロナウイルスの影響により販売数量が減少する中、米国ニュー・ベルジャン・ブルーイング社の連結子会社化に伴う増収等により現地通貨ベースの売上収益は0.2%増加しましたが、前年同期よりも豪ドル安・円高が進行したため、円ベースの売上収益は2.5%減少し2,921億円となりました 。また新型コロナウイルスの影響により、収益性の高い業務用チャネルを通じた販売が大きく減少したため、事業利益は現地通貨ベースで45.9%減少し295百万豪ドル、円ベースで46.5%減少し221億円となりました。
<医薬事業>
医薬品業界では、新型コロナウイルスによる治療環境の変化と事業活動の制限の中、販売・臨床開発などに影響がみられました。協和キリン㈱は「グローバル・スペシャリティファーマへの飛躍」を掲げる中、これらの影響を限定的に留め、増収増益を達成しました。グローバル戦略3品である「Crysvita」、「Poteligeo」、「Nourianz」は、欧米をはじめ各国で順調に拡大し、アジアでは中国で「Regpara」の売上が好調でした。国内での薬価基準の引き下げや、主力製品「ネスプ」の特許切れによる後発バイオ医薬品への切り替え進行による影響を、海外の売上が補いました。
また協和キリン㈱では、経営の最優先事項として強固な品質保証体制の構築、リスクマネジメントの改善、企業文化の改革に加え、グローバルマネジメント体制の強化に取り組みました。
これらの結果、グローバル戦略品を中心とした海外医薬品売上の増加により売上収益は4.2%増加し3,178億円となりました。また事業利益は、グローバル戦略品の販売に係る販売費及び一般管理費が増加したものの、売上収益増収に伴う売上総利益の増加により、6.6%増加し590億円となりました。
また、その他の主な各事業の業績は以下のとおりです。
(メルシャン㈱)
新型コロナウイルスの影響により「家飲み需要」が広がる中、メルシャン㈱は家庭用ワイン市場での飲用者拡大と収益性改善を図りました。中でも、間口拡大に向けた商品「メーカーズレシピ 」や「おいしい酸化防止剤無添加ワイン シードル」が好調に推移しました。日本ワイン「シャトー・メルシャン」では、椀子ワイナリーが「ワールド・ベスト・ヴィンヤード 2020」を日本で初めて受賞する快挙を遂げました。これらの結果、売上収益は2.7%減少し621億円、事業利益は63.3%増加し36億円となりました。
(ミャンマー・ブルワリー社)
ミャンマーでは、新型コロナウイルスの影響で飲食店の営業規制や自宅待機措置の発令があり、外食市場が大きく減退した一方、家庭用市場は拡大しました。ミャンマー・ブルワリー社は、統合マーケティングの展開やIT投資による業務効率化を進めました。家庭用市場の伸長に伴い営業活動を強化したエコノミーカテゴリーの「アンダマン ゴールド」の販売数量が増加しましたが、全体の販売数量は5.8%減少しました。これらの結果、売上収益は2.2%減少し318億円、事業利益は7.2%増加し138億円となりました。
(コーク・ノースイースト社)
米国の飲料市場では新型コロナウイルスの影響で春先から外食市場を中心に販売面への影響が生じる中、コーク・ノースイースト社は収益力向上を目指し構造改革を継続しました。激変した市場に対する事業活動の迅速な見直しと、業務や組織の大幅な改革による業務効率化で、目標を大きく上回り同社史上最高益を達成しました。これらの結果、売上収益は2.4%減少し1,294億円、事業利益は75.1%増加し93億円となりました。
(協和発酵バイオ㈱)
協和発酵バイオ㈱では、2019年度末から山口事業所の製造管理・品質保証体制の見直しを進める中で、製造品目を制限した影響が大きく、主要製品の売上が大きく減少しました。同社は新たな事業戦略を策定し、キリングループの支援を受け品質保証体制の強化と生産体制の再構築に取り組みました。また、成長をけん引する高機能素材に集中する方針のもと、11月にはタイ拠点でのヒトミルクオリゴ糖の製造設備新設を発表しました。これらの結果、売上収益は23.5%減少し573億円、事業損失は23億円となりました。
③生産、受注及び販売の状況
当年度におけるセグメントごとの生産実績は、次のとおりであります。
(注) 1 金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社グループの製品は見込生産を主体としているため、受注状況の記載を省略しています。
当年度におけるセグメントごとの販売実績は、次のとおりであります。
(注) 1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3) 財政状態
①事業全体の状況
当年度末の資産合計は、前年度末に比べ465億円増加して2兆4,594億円となりました。無形資産がソフトウエア開発及びニュー・ベルジャン・ブルーイング社の子会社化の影響等で前年度末比404億円の増加、のれんがニュー・ベルジャン・ブルーイング社の子会社化の影響等で前年度末比118億円の増加となりました。一方、その他の金融資産(非流動)は、政策保有株式の売却や保有株式の時価減少等に伴い333億円減少しました。なお、オセアニア綜合飲料事業他の資産737億円は売却目的で保有する資産に分類しており、有形固定資産が376億円、営業債権及びその他の債権が197億円、その他各科目の減少要因となっています。
資本は、利益剰余金が226億円増加、非支配持分が171億円増加したものの、768億円の自己株式の増加及び139億円のその他の資本の構成要素の減少等により、前年度末に比べ509億円減少して1兆959億円となりました。自己株式の増加は、株主還元のさらなる充実を図るため2019年11月に上限1,000億円の自己株式取得を発表し、当年度その一部を実施したことによるものです。非支配持分の増加は、協和キリン㈱の当期利益の発生によるもの等です。その他の資本の構成要素は、保有株式の時価減少に伴いその他の包括利益を通じて測定する金融資産の公正価値の純変動が減少したこと、保有株式の売却によってその他の資本の構成要素から利益剰余金へ振り替えたことにより減少しております。
負債は、社債及び借入金の増加等により、前年度末に比べ974億円増加して1兆3,634億円となりました。社債及び借入金は、適正な資本構成を維持しながら調達と返済を行っており、社債については、2020年3月に200億円の社債を償還した一方、2020年6月に500億円の普通社債を発行、また2020年11月には再生PET樹脂の調達及び工場におけるヒートポンプシステム導入への支出に充当するため100億円の社債(グリーンボンド)を発行しました。その他、長期借入金の返済及び新規借入、コマーシャル・ペーパーの発行と償還により、社債及び借入金は、前年度末比1,118億円増加しました。なお、オセアニア綜合飲料事業の負債270億円は売却目的で保有する資産に直接関連する負債に分類しており、営業債務及びその他の債務が112億円、その他の流動負債が59億円、その他各科目の減少要因となっています。
これらの結果、親会社所有者帰属持分比率は34.1%、グロスDEレシオは0.77倍となりました。
②セグメント情報に記載された区分ごとの状況
<国内ビール・スピリッツ>
当年度末のセグメント資産は、有形固定資産の設備投資抑制等により、前年度末に比べ130億円減少して4,244億円となりました。
<国内飲料>
当年度末のセグメント資産は、政策保有株式の売却や、営業債権の減少等により、前年度末に比べ247億円減少して1,499億円となりました。
<オセアニア綜合飲料>
当年度末のセグメント資産は、有形固定資産及び無形資産の減損損失による減少等により、前年度末に比べ197億円減少して4,713億円となりました。
<医薬>
当年度末のセグメント資産は、開発品導入による無形資産の取得や繰延税金資産の増加等により、前年度末に比べ166億円増加して7,417億円となりました。
(4) キャッシュ・フロー
①キャッシュ・フロー及び流動性の状況
当年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前年度末に比べ40億円減少の1,617億円となりました。活動毎のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の収入は前年同期に比べ140億円減少の1,648億円となりました。運転資金の流出が203億円減少し、税引前利益が77億円増加したものの、非資金損益項目である減損損失が347億円減少しており、小計では1億円の微減となりました。小計以下では法人所得税の支払額が172億円増加したこと等により、営業活動によるキャッシュ・フローは前年同期比で減少となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の支出は前年同期に比べ596億円減少の1,160億円となりました。減少の主な要因は、前年同期に発生した㈱ファンケルの株式取得の反動により、持分法で会計処理されている投資の取得が前年同期に比べ1,326億円減少の19億円となったことです。一方、当期はニュー・ベルジャン・ブルーイング社の子会社化に伴い子会社株式の取得による支出が前年同期に比べ351億円増加の396億円となりました。有形固定資産及び無形資産の取得については、前年同期に比べ34億円減少の930億円を支出しました。また、前年同期比では179億円減少したものの、政策保有株式の縮減に向けた取組みを引き続き推進したことにより投資の売却により194億円の収入がありました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の支出は前年同期に比べ425億円増加の525億円となりました。前年度より、平準化EPSに対する連結配当性向を40%以上の配当を実施し、非支配持分を含めた配当金の支払いは49億円増加の701億円となりました。また、自己株式の取得による支出は、2019年11月に発表した上限1,000億円の自己株式取得によって当年度は768億円を支出し、子会社実施分を含めた前年同期比で310億円増加しました。また、適正な資本構成を維持しながら資金の調達と返済を行っており、その内訳はコマーシャル・ペーパーにより280億円、社債により600億円、長期借入により1,350億円の収入、長期借入金の返済により866億円、社債の償還により200億円の支出となりました。
上記の結果、財務戦略に則り、既存事業への投資に加え、グローバルクラフト戦略等の成長投資を進めつつ、株主還元のさらなる充実を図ることができました。
2021年度につきましても事業から創出したキャッシュを原資に生産能力の増強やグローバルクラフト戦略、「ヘルスサイエンス領域」への成長投資等、規律を保った投資を行う予定です。なお、株主還元については、次年度も平準化EPSに対する連結配当性向40%以上を目処に安定した配当を実施して参ります。引き続き、利益成長によるキャッシュの創出力を高めながら、資本コストと財務柔軟性のバランスを考慮した適切な資本構成を維持していく方針です。
②資本政策の基本的な方針
当社は、2019年中計にて策定した資本政策に基づき、事業への資源配分及び株主還元について以下のとおり考えております。
事業への資源配分については、酒類・飲料などの収益力の高い既存事業のさらなる強化・成長に資する投資(設備投資・事業投資)を最優先としながら、将来のキャッシュ・フロー成長を支える無形資産(ブランド、研究開発、情報化、人材・組織)及びヘルスサイエンス事業の立ち上げ・育成のための資源配分を安定的かつ継続的に実施します。なお、投資に際しては、グループ全体の資本効率を維持・向上させる観点からの規律を働かせます。
株主還元についても、経営における最重要課題の一つと考えており、1907年の創立以来、毎期欠かさず配当を継続しております。2019年中計より連結配当性向を引き上げ、「平準化EPSに対する連結配当性向40%以上」による配当を継続的に実施するとともに、最適資本構成や市場環境及び投資後の資金余力等を総合的に鑑み、機動的な追加的株主還元として自己株式取得の実施等を検討していきます。
資金調達については、経済環境等の急激な変化に備え、金融情勢に左右されない高格付けを維持しつつ、負債による資金調達を優先します。支配権の変動や大規模な希釈化をもたらす資金調達については、KV2027や2019年中計の目標の達成やステークホルダーへの影響等を十分に考慮し、取締役会にて検証及び検討を行った上で、株主に対する説明責任を果たします。
4 【経営上の重要な契約等】
当社及び当社の連結子会社であるLion Pty Ltd(以下、「ライオン社」)は、ライオン社の100%子会社であるKirin Foods Australia Holdings Pty Ltdが、ライオン社の飲料事業部門であるLion-Dairy & Drinksの全株式を中国蒙牛乳業有限公司(以下、「蒙牛」)の子会社であるMonday Smoothie Pty Ltd(以下、「Monday Smoothie」)に譲渡することを蒙牛と合意し2019年11月24日付で株式譲渡契約を締結しましたが、2020年8月25日付で解除に至りました。
その後、2020年11月26日に、ライオン社はBega Cheese LimitedにLion-Dairy & Drinksの全株式を譲渡する株式譲渡契約を締結しました。
(1) 株式譲渡の理由
当社及びライオン社は、今後の成長に向けてライオン飲料事業の投資・保有の継続から売却まであらゆる選択肢を検討した後、同事業の成長ポテンシャルを最大化することができる第三者への譲渡が最善であると判断し、株式譲渡の検討を進めてきました。
当社及びライオン社による慎重な検討を重ねた結果、ライオン飲料事業の全株式をMonday Smoothieに譲渡する契約の締結に合意しましたが、外国投資審査委員会(Foreign Investment Review Board)の承認が得られない見通しとなった為、同契約を解除することとなりました。
これ以降、当社及びライオン社は、更なる売却先の検討を進め、最終的にBega Cheese Limitedに全株式を譲渡する契約を締結しました。なお、2021年1月25日に当該事業の譲渡が完了いたしました。
Bega Cheese Limitedに対する譲渡価額は約409億円(1豪ドル=73.00円の場合、約560百万豪ドル)です。
(2) 譲渡する相手会社の名称
Bega Cheese Limited
(3) 当該子会社の名称、事業内容及び当社との取引内容
(4) セグメント情報の開示において、当該子会社が含まれている区分の名称
オセアニア綜合飲料事業
5 【研究開発活動】
当社グループでは、食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV先進企業となることを目指しています。食から医にわたる領域での価値創造に向けては、既存事業の「食領域」(酒類・飲料事業)と「医領域」(医薬事業)に加え、2つの中間領域にあたる「ヘルスサイエンス領域」の立ち上げにつながるイノベーションの創造に取り組んでいます。当社グループの研究開発活動は、キリンホールディングス㈱R&D本部の3研究所及び各事業会社の研究所で行っています。ヘルスサイエンス領域におけるオープンイノベーションを加速するため、CVCファンド「KIRIN HEALTH INNOVATION FUND」を設立し、腸内細菌由来のアレルギー予防薬・治療薬の開発を行うSiolta Therapeutics Inc.に出資するなど、有望な技術の開発・応用・実用化を可能にするためにグループ内外のオープンイノベーションを積極的に推進しています。
当年度におけるグループ全体の研究開発費は
キリンビール㈱は、「一番搾り」ブランドから「キリン一番搾り糖質ゼロ」を2020年10月に新発売しました。本商品は、国内で初めて※1、ビールカテゴリーで糖質ゼロ※2を実現した商品です。「一番搾り製法※3」による“雑味のない澄んだ麦のうまみ”と、約5年の歳月をかけて350回以上の試験醸造を重ね、キリンビール㈱の技術力を結集させることで、国内で初めてビールカテゴリーで「糖質ゼロ」を実現しました。お客様がビールカテゴリーに期待する「おいしさ」「糖質ゼロ」を実現することで、既存のビールユーザーに加え、健康志向の高いお客様への期待にも応え、ビールの新たな魅力を広げていきます。
発泡酒カテゴリーでは、“ビールに近い飲みごたえを感じるおいしいゼロゼロ”がコンセプトの「淡麗」ブランド、「淡麗プラチナダブル」を2020年8月中旬からリニューアルしました。プリン体0×糖質0系のビール類市場は、お客様の継続した健康意識の高まりから堅調に推移※4しています。原材料配合の見直しと酵母から生成されるプリン体を抑制するキリン独自の発酵制御技術を新たに採用することで、原料・発酵由来の飲みごたえと爽快なキレをアップさせながら、「プリン体0」「糖質0」を実現しました。
新ジャンルカテゴリーでは、「本麒麟」を2020年1月中旬からリニューアルし、大麦を増量し、仕込過程に新技術を採用することで、「本麒麟」の強みである「ビールに近い卓越したうまさと品質」を一層強化しました。ベルリンインターナショナルビアコンペティション 2020 年「インターナショナル スタイルラガー部門」、ジャパン・フード・セレクション第 34 回(2020 年)で、それぞれ金賞を受賞しました。「本麒麟」は、“ビールに近い卓越したうまさと品質”を国内外で高く評価され、昨年 11 月の “金賞三冠” ※5からさらに 2つの金賞を受賞し、国内外のビールコンペティションにおいて、 キリンビール㈱史上初となる“金賞五冠”受賞となりました。
ノンアルコールカテゴリーでは、㈱ファンケルと両社として初めて共同開発した「キリン×ファンケル ノンアルコールチューハイ 氷零 カロリミット® レモン/グレープフルーツ」を2020年10月に新発売しました。女性を中心に高い支持を受けている㈱ファンケルの「カロリミット®」の強みと、キリンビール㈱の食事にぴったりな爽快な味わいを実現している「ノンアルコールチューハイ氷零」の強みという、両ブランドの特長を生かして共同開発しました。当商品は、難消化性デキストリンの働きにより「食事の糖や脂肪の吸収を抑える」機能性表示食品であり、「カロリミット®」ブランド史上初となるノンアルコールチューハイです。
RTDカテゴリーでは、「キリン・ザ・ストロング」シリーズを“うまさにこだわった麒麟特製ストロング”をコンセプトとして、中味・パッケージともに※6リニューアルし、2020年4月より発売しました。複数の果実を12時間以上煮詰め、うまみを凝縮させた麒麟特製「うまみエキス」により、アルコール9%でありながらも嫌なアルコール感がなく、飲みごたえと飲みやすさが両立した調和のとれた味覚を実現しました。
当事業に係る研究開発費は
※1 ビールで糖質ゼロを実現した国内で初めての商品(Mintel GNPDを用いた当社調べ)
※2 100ml当たり糖質0.5g未満のものに表示可能(食品表示基準による)
※3 麦汁ろ過工程において最初に流れ出る一番搾り麦汁を使う製法
※4 当社調べ
※5 インターナショナル・ビアカップ 2018 年「フリースタイルライトラガー部門」金賞、モンドセレクション 2019 年「ビール、水&ノンアルコール飲料部門」金賞、メルボルンインターナショナルビアコンペティション 2019 年「インターナショナルスタイルラガー部門」金賞
※6 「ホワイトサワー」「グレープサワー」は、パッケージのみリニューアル
国内飲料事業は、キリンビバレッジ㈱が中心となり原料の選定から最終商品まで開発を一貫して行っています。
無糖茶市場では、近年の健康志向の高まりを背景に「キリン 生茶」を2020年3月にリニューアルしました。2000年3月に発売して以来、「生」が生み出すおいしさで緑茶の新たな可能性を広げ続けたことで、多くのお客様に好評を頂き、2020年に発売20周年を迎えました。「よりおいしい緑茶があるなら試したい」という緑茶ユーザーの期待に応えるため、従来の「まる搾り生茶葉抽出物※1」に加え、生茶葉のはたらきによる新製法を採用することで、まろやかでコクのある味わいはそのままに、新緑のような爽やかさと茶葉本来の甘みと香りが豊かな味わいへと進化しました。さらに、「生茶」ブランドから「キリン 生茶 ほうじ煎茶」を2020年9月に新発売しました。ほうじ茶は、昔から慣れ親しんだ和素材としての安心感に加えて、直近ではスイーツやラテで活用されるなど、和から洋まで楽しめる、嗜好性が高いトレンドの新素材としてもお客様の期待が集まっています。「生茶」ブランドらしい、生茶葉が生み出す “濃いのにすっきり”としたおいしさを追求するために試作を重ね、「まる搾り生茶葉抽出物」と茶葉の焙煎の工夫により、上品で香り高く、すっきりと軽やかな「生」ならではのおいしさを実現しました。
ロングセラーブランド「キリンレモン」ブランドから、「キリンレモン スパークリング 無糖」を2020年6月に新発売しました。発売当時の余計なものは何も含まない健康感と品質へのこだわりはそのままに、切りたてのレモンのような爽やかな味わいを、瀬戸内レモンエキスと純水を使用して強炭酸で仕上げました。人工甘味料・着色料・保存料不使用で、カロリーゼロの無糖炭酸水です。「キリンレモン スパークリング 無糖」は「摂りすぎない健康」をテーマに「無糖・微糖」カテゴリーの商品を充実させることでお客様の健康な毎日に貢献することを目指す、キリンビバレッジ㈱のビジョン「CSVの実践を軸とした成長による利益創出」を体現した商品の一つです。
㈱ファンケルと共同開発したフレーバーウォーター「キリン×ファンケル BASE ピーチ&ザクロ」を、2020年10月に新発売しました。長年人々の健康や美容に向き合ってきた㈱ファンケルと、おいしくて安全・安心な飲料を提供する当社グループが、お互いの強みを生かし、新発想の商品を創出しました。当商品は、㈱ファンケル独自の組み合わせである「HTCコラーゲン※2」、「バラつぼみエキス※3」に加え、1日不足分の「ビタミンC※4」を配合し、当社の飲料開発技術により誕生した新しいフレーバーウォーターです。両社は、忙しい女性が仕事や家事などの合間にうれしい成分を飲料で手軽に補給することができる、新しい美容習慣を提案しました。
当事業に係る研究開発費は
※1 摘みたての生茶葉を芯まで凍らせてまるごと搾って作った抽出物で、新緑のような爽やか香りと甘みが詰まっている。生茶ブランドの「生」の由来
※2 コラーゲンの最小単位であるトリペプチドを多く含み、一般的なコラーゲンと比べ、吸収されやすい大きさのコラーゲン
※3 美しい花を咲かせる前の、最も生命力豊かなバラのつぼみから抽出した希少なエキス
※4 国が定める推奨量(日本人の食事摂取基準(2020年版))から、実際の平均摂取量(国民健康・栄養調査(平成30年)20~49歳女性)を引いた量
オセアニア綜合飲料事業では、ライオン社で、オーストラリア及びニュージーランドの市場環境の変化に応じた商品中味や容器開発を、キリンホールディングス㈱の持つ技術を活用しながら取り組みました。
当事業に係る研究開発費は
協和キリン㈱は、多様なモダリティを駆使して画期的新薬を生み出すプラットフォームを築く技術軸と、これまで培った疾患サイエンスを活かしつつ有効な治療法のない疾患に"only-one value drug"を提供し続ける疾患軸の両方を進化させ、競合優位性の高いパイプラインを構築し、Life-changingな価値をもつ新薬をグローバルに展開することを目指しております。
主な後期開発品の各疾患領域における進捗は、次のとおりです。
腎領域
KRN321(日本製品名:ネスプ)
・2020年6月に中国において血液透析施行中の腎性貧血を適応症として承認されました。
がん領域
KRN125(日本製品名:ジーラスタ)
・2020年2月に日本においてがん化学療法による発熱性好中球減少症の発症抑制を適応症とした自動投与デバ
イス開発に関する第Ⅰ相臨床試験を開始しました。
ME-401(一般名:Zandelisib)
・北米、欧州、アジア、オセアニアにおいて濾胞性リンパ腫を適応症とした第Ⅱ相試験を実施中であります
(2020年4月にグローバルライセンス契約をMEI Pharma社と締結)。
・2020年10月に日本において再発/難治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫(小リンパ球性リンパ腫、リ
ンパ形質細胞性リンパ腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症を除く)を適応症とした第Ⅱ相臨床試
験を開始しました。
KW-0761(日本製品名:ポテリジオ、欧米製品名:Poteligeo)
・2020年12月に韓国において菌状息肉腫及びセザリー症候群を適応症とした承認申請を行いました。
免疫・アレルギー疾患領域
KHK4827(日本製品名:ルミセフ)
・2020年6月に中国において尋常性乾癬を適応症として承認されました。
・同年11月に日本において強直性脊椎炎、X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎を対象とした効能・効果
に関する承認事項一部変更承認を取得しました。
中枢神経領域
KW-6002(日本製品名:ノウリアスト、米国製品名:Nourianz)
・欧州においてウェアリングオフ現象を有する成人パーキンソン病患者におけるレボドパ含有製剤との併用療
法を適応症とした承認申請が審査中であります(2020年1月申請受理)。
その他
KRN23(日本製品名:クリースビータ、欧米製品名:Crysvita)
・2020年2月に米国において腫瘍切除不能または腫瘍の同定が困難な腫瘍性骨軟化症を適応症とした生物学的
製剤承認一部変更申請が受理され、6月に成人及び2歳以上の小児を対象とした腫瘍切除不能または腫瘍の
同定が困難な腫瘍性骨軟化症を適応症として承認されました。
・同年9月に欧州において青少年・成人のX染色体連鎖性低リン血症を適応症として承認されました。
・同月に韓国においてFGF23関連低リン血症性くる病及び骨軟化症を適応症として承認されました。
・同月に中国において腫瘍性骨軟化症を適応症とした承認申請を行いました。
・同年12月に欧州において腫瘍性骨軟化症を適応症とした生物学的製剤承認一部変更申請を行いました。
当事業に係る研究開発費は
メルシャン㈱は、キリンホールディングス㈱飲料未来研究所と連携しながらワインの研究・技術開発並びに商品開発を実施しています。
発売25周年を迎える「ビストロ」シリーズを2020年3月中旬からリニューアルしました。「ビストロ」ブランドは「フードマッチ製法※1」を採用した、普段の食事に合わせやすいワインです。“気軽なレストラン”を意味するフランス語由来の商品名「ビストロ」のとおり、いつもの楽しい食卓を彩るデイリーワインとして、1995年の発売以来、多くのお客様に愛飲をいただいています。おいしさはそのままに、フレーバーごとにお客様の嗜好に合わせ、さらに飲みやすい味わいとなりました。
“新感覚”のクラフトスパークリングワイン「メーカーズレシピ スパークリング ウィズ ホップ」を、2020年6月に新発売しました。メルシャン㈱のワイン醸造技術・梅酒の浸漬技術と、キリングループのホップ活用技術を組み合わせ、今までにない香り、味覚、後口を実現しました。フローラルで華やかなホップの香りと、ブドウの爽やかでフルーティな味わい、すっきりとした後切れが特長です。
ノンアルコールのスパークリングワイン「メルシャンスパークリング アルコールゼロ」を2020年2月に新発売しました。ワインらしさを感じる柑橘香成分を多く含む特殊ブドウ果汁の開発に加え、果汁の持つ香り成分を強化し、味に膨らみや複雑さを与える製法を開発しました。鼻先から感じる香りだけではなく、口中で花開く香りが「戻り香」となり、ワインのような風味を実現しました。
新しい酵母や発酵技術の開発により、甘みを付与することで、やわらかくまろやかな味わいに仕上げた本格焼酎「八代不知火蔵 こめ焼酎 白水」が熊本国税局の令和2年酒類鑑評会で優等賞を受賞しました。これからも豊かな自然に恵まれた八代の地から、みなさまの暮らしに生かす価値を発信し、地域の発展に貢献していきます。
世界全体に存在するワイナリーは数十万ヵ所ともいわれていますが、秀逸な「日本ワイン」を生産する「シャトー・メルシャン」椀子ワイナリーが、「ワールド・ベスト・ヴィンヤード2020」で世界第30位、ベスト・アジアに日本で初めて選出されました。
協和発酵バイオ㈱は、各種アミノ酸に加え、核酸やペプチドといった高付加価値製品の省資源・高効率な発酵生産プロセスの研究開発に引き続き注力しています。国内外の大学研究機関との共同研究を通して得られた機能性や安全性データに基づき、アミノ酸等、発酵生産物の栄養生理機能探索や用途開発を行い、製品の付加価値を高めています。キリングループ内での連携のもと、素材開発の知見を生かし、熟成ホップエキス等の新素材の開発に取り組んでいます。また、独自素材の中で事業化に近いものとして、ヒトミルクオリゴ糖の研究開発に取り組んでいます。
キリンホールディングス㈱の独自素材「Lactococcus lactis strain Plasma(以下、プラズマ乳酸菌)」を使用した商品が、機能性表示食品制度の「健康な人の免疫機能の維持をサポート」に関する表示で、免疫機能で初めて消費者庁に届出受理され、2020年8月に公表されました。「プラズマ乳酸菌」は、「免疫の司令塔」である「プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)」を活性化し、活性化された司令塔の指示・命令により、免疫細胞全体が活性化され、外敵に対する防御システムが機能します。キリンホールディングス㈱からは、サプリメントの「キリン iMUSE professional プラズマ乳酸菌サプリメント」、「キリン iMUSE プラズマ乳酸菌サプリメント」(15日分)、「キリン iMUSE プラズマ乳酸菌サプリメント」(7日分)を同年11月に新発売しました。キリンビバレッジ㈱からは、飲料の「キリン iMUSE ヨーグルトテイスト」、「キリン iMUSE レモン」※2、「キリン iMUSE 水」を同年11月に新発売しました。
乳由来の独自素材「βラクトペプチド※3」に関する研究について、一般社団法人 日本認知症予防学会(理事長 浦上克哉)の認定で「グレードA」を同年9月に取得しました。日本認知症予防学会のエビデンス創出委員会による審査にて、「βラクトペプチドの1つであるGTWYペプチド※4」の認知機能改善作用に関する情報は、1次予防※5に対する効果があると認定され、特定の食品成分の研究情報としては初めての認定取得となりました。
その他の事業及び全社(共通)に係る研究開発費は104億円です。
※1 魚介類と合わさることで生臭さを引き起こす物質を軽減する、メルシャン独自の製法
※2 果汁1%
※3 乳タンパク質に由来し、トリプトファン-チロシン(WY)のアミノ酸配列を含み認知機能改善作用を有するペプチドの総称
※4 「βラクトペプチド」の主要な1成分で、グリシン-トレオニン(スレオニン)-トリプトファン-チロシン(GTWY)という4アミノ酸配列のテトラペプチド
※5 一般社団法人 日本認知症予防学会が考える広義の予防の一つ。具体的には1次予防が認知症の発症予防、2次予防が認知症の早期発見、早期治療、早期対応、3次予防が認知症の進行予防