第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。

 

(1)経営の基本方針

当社は2019年度に、2027年に向けた新たなキリングループ長期経営構想である「キリングループ・ビジョン2027」(略称:KV2027)を策定しました。また、KV2027の実現に向けた長期非財務目標として、社会と価値を共創し持続的に成長するための指針「キリングループCSVパーパス」(略称:CSVパーパス)を策定しました。

 

長期経営構想「キリングループ・ビジョン2027」

キリングループは、グループ経営理念及びグループ共通の価値観である“One KIRIN”Values のもと、食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV先進企業となることを目指します。

 


 

食から医にわたる領域における価値創造に向けては、既存事業領域である「食領域」(酒類・飲料事業)と「医領域」(医薬事業)に加え、キリングループならではの強みを活かした「ヘルスサイエンス領域」を立ち上げました。「ヘルスサイエンス領域」では、キリングループ創業以来の基幹技術である発酵&バイオテクノロジーに磨きをかけ、これまで培ってきた組織能力や資産を活用し、キリングループの次世代の成長の柱となる事業を育成していきます。また、社会課題の解決をグループの成長機会と捉え、イノベーションを実現する組織能力をより強化し、持続的な成長を可能にする事業ポートフォリオを構築していきます。

 


 

持続的成長のための経営諸課題「グループ・マテリアリティ・マトリックス:GMM」

キリングループは、社会とともに、持続的に存続・発展していく上での重要テーマを、「持続的成長のための経営諸課題(グループ・マテリアリティ・マトリックス:GMM)」に整理しており、事業へのインパクトとステークホルダーへのインパクトの2つの観点から評価しています。GMMは時間の経過とともに変化していくものと捉え、中期経営計画策定(3年)ごとに再評価し、改訂しています。

2022年中期経営計画の策定に合わせ、新型コロナウイルス感染症の拡大をはじめとする環境変化やステークホルダーからの期待を踏まえて、GMMの粒度を細分化して重要性を再評価することにより、社会的要請への適合度を高めました。

 


※各象限内の重要性に差異はありません。

 

「キリングループCSVパーパス」

GMMの再評価において、「酒類メーカーとしての責任」を果たすことを前提に、「健康」「コミュニティ」「環境」の4領域を「CSVパーパス」と改めて定めました。新型コロナウイルス感染症の拡大等により、人と人とのつながりが希薄化し、コミュニティの重要性が再認識されたことを踏まえて、「地域社会・コミュニティ」を「コミュニティ」へと再定義しました。様々な形での人と人のつながりを広義に捉え、人々のウェルビーイングやソーシャルキャピタルの実現を通して、CSV経営を推進します。また、具体的なアクションプランをCSVコミットメントとして、成果指標を会社別により具体化して目標値を設定し、グループ各社の取り組みに繋げています。

 CSV重点課題

 CSVパーパス

 酒類メーカーとしての責任

全ての事業展開国で、アルコールの有害摂取根絶に向けた取り組みを着実に進展させる。(Zero Harmful Drinking)

 健康

健康な人を増やし、疾病に至る人を減らし、治療に関わる人に貢献する。

 コミュニティ

人と人のつながりを創り、「心と体」に、そして「社会」に前向きな力を創り出す。

 環境

ポジティブインパクトで持続可能な地球環境を次世代につなぐ。

 

 


 

(参考)

・持続的な成長のための経営諸課題(グループ・マテリアリティ・マトリックス)

URL https://www.kirinholdings.com/jp/impact/materiality/

・キリングループ CSVパーパス

URL https://www.kirinholdings.com/jp/purpose/csv_purpose/

・キリングループ CSVコミットメント

URL https://www.kirinholdings.com/jp/impact/csv_management/commitment/

 

 

(2)中長期的な経営戦略と目標とする経営指標

 

キリングループ2022年-2024年中期経営計画

近年、世界各地で起こる異常気象、天候不順など、社会システムを大きく揺るがす環境変化が続きましたが、特に2020年以降は、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大により、生活者の意識は大きく変化しました。このような環境下においても、キリングループは、新型コロナウイルスの影響を最小限に抑え、新たな社会課題に向き合ってきました。KV2027の実現に向けた最初の3カ年計画「キリングループ2019年-2021年中期経営計画」(略称:2019年中計)では、食、ヘルスサイエンス、医の各ビジネス領域で、新たな成長軌道に向けた変革の基盤づくりに取り組みました。さらに、各ビジネスが健全に成長できるよう、コーポレートガバナンス体制を強化するなど、2022年度から始まる新たな中期経営計画を実行する準備を整えることができました。

 


 

 2019年中計期間中に起きた外部環境の変化を受けて、改めて当社が目指すKV2027の方向性に間違いはなく、10年後に想定していた社会が前倒しで到来していると認識しており、2027年までの長期経営構想の第2ステージとなる「キリングループ2022年-2024年中期経営計画」(略称:2022年中計)は、変革の基盤づくりを行った2019年中計から、新たな成長軌道へシフトし、KV2027実現に向けた成長ストーリーを固めていくステージとなります。食、ヘルスサイエンス、医の3領域の成長により企業価値を向上させるべく、ポートフォリオマネジメントを強化し、投資の優先順位を明確にすることで経営資源を集中していきます。

 


 

(基本方針)

2021年度までに実現した成果を基礎とし、ポストコロナを見据えた事業構造改革の実行と新たな価値創造により、成長を加速させます。

 

(重点課題)

①キャッシュ創出をリードする食領域での利益の増大

②将来の大きな柱となるヘルスサイエンス領域での規模の拡大

③グローバル・スペシャリティファーマの地位を確立する医領域でのグローバル基盤の強化

 

(重要成果指標)

2022年中計の財務指標について、平準化EPS成長による株主価値向上を目指すと共に、成長投資を優先的に実施する3ヵ年の財務指標としてROICの採用を継続します。非財務目標については、CSVを経営の根幹にすえる当社にふさわしいものとして、より直接的に経済的価値に繋がる指標に変更しました。項目としては、環境、健康、従業員にフォーカスをあて、それぞれ事業の成長に繋がる指標を設定しています。引き続き、社会課題の解決を通じて企業価値向上を目指していきます。

 

   1.財務目標※1

・ROIC※2

2024年度

10%以上

・平準化EPS※3

年平均成長率

11%以上

 

※1 財務指標の達成度評価にあたっては、在外子会社等の財務諸表項目の換算における各年度の為替変動による影響等を除く。各事業の重要成果指標には事業利益、ROAを使用。

※2 ROIC=利払前税引後利益/(有利子負債の期首期末平均+資本合計の期首期末平均)

※3 平準化EPS=平準化当期利益/期中平均株式数
           平準化当期利益=親会社の所有者に帰属する当期利益±税金等調整後その他の営業収益・費用等

 


 

 

   2.非財務目標


 

(財務方針)

中計3年間で創出する営業キャッシュ・フローの総額は約7,000億円を想定しています。資金使途として最も優先順位の高い配当金については、平準化EPSに対する配当性向40%以上を継続し、2,300億円を予定しています。2019年中計では、設備投資計画を3,100億円としましたが、2022年中計では基盤投資・成長投資に区分した上で、合計約4,000億円に増額しました。通常の設備投資に加え、3領域の新たな成長に向けた投資枠として区分し、ウェイトを高めることで企業価値向上に繋げます。

オーガニック成長に加え規模の拡大を目指すべく、M&A投資の機会についても探索します。特に、規模の拡大を目指すヘルスサイエンス領域においては、国内外で幅広く機会を検討していきます。なお、M&A投資を行う際の原資は、バランスシートのスリム化やポートフォリオマネジメントによるノンコア事業の売却で賄うことを基本とします。

 


M&Aを除く事業領域ごとのキャッシュ・フロー計画として、食領域では、投資額を一定水準に抑えた上で、利益成長による営業キャッシュ・フローの最大化を目指します。ヘルスサイエンス領域では、中長期的な営業キャッシュ・フロー最大化に向けた設備投資を行うとともに、2024年度のフリー・キャッシュ・フローの黒字化を目指します。医領域については、グローバル戦略品の成長により営業キャッシュ・フローが順調に拡大する計画ですが、グローバル・スペシャリティファーマとしての持続的成長に必要な生産・営業基盤をグローバルレベルで整えるべく、必要な設備投資を進めていきます。

 


 

キャッシュ・フロー計画に加え、2022年中計ではバランスシートマネジメントを重視します。2021年に導入したグローバルキャッシュマネジメントシステムを通じて、国内外のグループ会社が保有するキャッシュの一元管理による運転資金の最適化や、SCM※4の効率化によるキャッシュ・コンバージョン・サイクルの改善などにより、中計3年間で約1,000億円規模のキャッシュを創出します。

また、事業ポートフォリオについては、取締役会での継続的な議論により、ノンコアと判断した事業の売却を検討していきます。

これら、バランスシートマネジメント、ポートフォリオマネジメントにより創出したキャッシュは、将来の成長ドライバーを獲得するためのM&A投資に優先して振り向けます。一方、自己株式の取得を中心とする追加的株主還元については、投資機会や、キャッシュイン/アウトのバランスを考慮しながら機動的に判断していきます。

 

※4 サプライ・チェーン・マネジメント(Supply Chain Management)の略。原材料の調達、工場での生産、商品の需給・物流の供給連鎖を効率よく構築し管理することを指す。

 


 

(非財務方針)

2022年中計基本方針に従い、非財務への取り組みもより強化していきます。ポストコロナを見据えた「イノベーションを実現する組織能力」の強化や、キリングループのDNAである品質本位の徹底、効率と持続可能性を両立するSCM体制の構築、価値創造を支えるガバナンスの強化により、強固な組織基盤を構築します。また、経済価値へ直接的につながるように、組織能力強化に加えてステークホルダーからの期待を踏まえ、非財務目標を再設定しました。価値創造モデルのInput~Business~Outputを強化し、より大きなOutcome創出に繋げ、CSV経営を推進します。

 

●非財務の推進体制

キリングループでは、CSV経営を積極的・自主的に推進していくため、キリンホールディングス社長を委員長とするグループCSV委員会を設置し、CSVの方針・戦略及び取り組み計画策定のための討議や、計画実行状況のモニタリングを行っています。また、グループCSV委員会で決定したCSVの方針・戦略の実効性を高めるため、キリンホールディングス各部門及び主要事業会社企画部門の実務担当者で構成されるCSV担当者会議を設置し、情報共有と意見交換を行っています。(図1参照)

更に、グループCSV委員会傘下に、グループ横断の会議体であり、CSV戦略担当役員を議長とするグループ環境会議、人事総務戦略担当役員を議長とするグループ人権会議及びグループ健康経営推進会議を設定し、サステナビリティを巡る個別課題への対応を促進しています。(図2参照)

 

 

(図1)


 

(図2)


 

 

●非財務情報の開示

キリングループは、気候変動に関わる問題をはじめとして、社会と企業に与えるリスクと機会や戦略のレジリエンスを評価し、幅広いステークホルダーへ積極的な情報開示を行っています。

[TCFDへの対応]

 キリングループは、金融安定理事会(FSB)の気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が2017年に公表した提言を踏まえ、2018年にいち早くシナリオ分析とその開示を開始し、日本の食品会社として初めてTCFD提言への賛同を表明しています。2020年にはシナリオ分析の結果をインプットとして、長期戦略「キリングループ環境ビジョン2050」を策定し、緩和・適応及び事業機会に対する戦略にも反映させています。2022年中計からはグループ非財務目標、CSVコミットメントにも反映して更新し、取り組みを加速させます。

 

項目

内容

ガバナンス

キリングループは、気候変動問題を含めた環境全体の基本方針などの重要事項は取締役会で審議・決議し、SBT1.5℃目標へのアップグレード、RE100への加盟などの目標設定は、経営戦略会議で審議・決議します。GHG排出削減量を含む環境目標は非財務KPIの1つであるCSVコミットメントに設定して各事業会社の経営計画に組み込むとともに、達成状況はキリンホールディングスの取締役(社外取締役を除く)及び執行役員の業績評価に反映されます。

グループ横断的な環境問題への対応はキリンホールディングスの社長を委員長、主要事業会社の社長やキリンホールディングスの機能部門担当役員を委員とする「グループCSV委員会」でも議論し、決定事項は取締役会に上程されます。環境経営の進捗状況や環境課題に関わる事業のリスクと成長機会は、毎年取締役会に報告し、レビューします。

戦略

2015年のパリ協定締結、2018年のIPCC「1.5℃特別報告書」やシナリオ分析の結果を受けて、キリングループは長期戦略である環境ビジョンを改定してストレッチした目標を定め、経営戦略に組み込みました。緩和策としては、2050年までのバリューチェーン全体のGHG排出量ネットゼロ実現に向けてSBT1.5℃目標へアップグレードし、再生可能エネルギーの拡大や省エネルギーにより移行リスクに対応します。GHG排出量削減については損益中立※5を原則として、再生可能エネルギーは追加性※6を重視し、SBT1.5℃目標の達成に向けたロードマップを策定して取り組みを進めています。適応策としては、大麦に依存しない代替糖の活用技術や植物大量増殖技術、用水削減技術、持続可能な農園認証の取得支援などで物理的リスクに対応します。熱中症や感染症の拡大など気候変動がもたらす社会課題に対しては、ソリューションとなる商品の提供を通じて社会課題の解決に貢献します。

 

リスクと機会

リス

クと

機会

のタ

イプ

影響

を受

ける

項目

財務インパクト

対応戦略

物理

的リ

スク

農産物収量減・調達コスト

収量減による農産物調達コストインパクト(2050年)


 

・大麦に依存しない醸造技術

・植物大量増殖技術

・持続可能な農園認証取得支援


植物大量増殖技術 認証農園茶

使用商品

 

移行

リス

カーボンプライシング・エネルギー調達


 

 

中長期的な損益中立でのGHG排出量削減

機会

(製品サー

ビス・

市場)

感染

症に

晒さ

れる

人口

2030年のアジアの免疫関連市場が7,500億円程度に拡大予想

免疫を維持する商品での貢献


 

 

 

 


 


 

リスク

管理

キリングループは グループリスク・コンプライアンス委員会を設置し、四半期ごとにリスクモニタリングを行うなどして、気候変動関連のリスクも含めてリスクマネジメントを統括しています。一方で、影響度と発生確率でリスクの重要度を判断する従来型のリスク管理手法だけでは気候変動リスクの把握には十分ではない可能性も踏まえ、発生した場合に事業に極めて大きな影響を与えるリスクについては、グループCSV委員会等を通じてシナリオを設定して分析・評価することで重要リスクを抽出・検討する新しいアプローチも取り入れています。

指標と

目標

キリングループは、2050年までのバリューチェーン全体のGHG排出量ネットゼロを目標として設定しました。中期目標としては、GHG削減目標を2030年までに2019年比でScope1+2で50%削減、Scope3で30%削減に上方修正(SBT1.5℃目標認証取得)し、使用電力の再生可能エネルギーを2040年に100%(RE100加盟)として設定しました(いずれも2020年に実施)。

持続可能な農園認証の取得支援等の適応策、感染症への対策商品の供給といった事業機会への対応は、各事業会社がCSVコミットメントとして目標に落とし込み、ロードマップを定めて取り組んでいます。

 


目標

進捗状況



 

 

※5 損益中立:コスト削減効果の高い省エネ施策を早期に実施し、創出する利益の範囲内で再エネ調達を行うこと

※6 追加性:社会における気候変動の緩和を促進するために、新たな再生可能エネルギー電源を世の中に追加し供給量を増やすこと

 

(コーポレートガバナンス)

重要成果指標(財務目標・非財務目標)及び単年度連結事業利益目標の達成度を役員報酬に連動させることにより、株主・投資家との中長期的な価値共有を促進しています。

 

  [業績評価指標]

・年次賞与

連結事業利益※7、個人業績評価

・信託型株式報酬※8

平準化EPS、ROIC、非財務評価※9

 

※7 売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除した、事業の経常的な業績を測る利益指標です。

※8 業績評価期間の翌年に業績目標の達成に応じたポイントを付与し、原則として、業績評価期間の開始から3年が経過した後の一定の時期に付与されたポイントに相当する数の株式が交付されます。

※9 非財務評価は、CSVコミットメントの進捗及び達成状況の評価とし、4つの重点課題(「酒類メーカーとしての責任」、「健康」、「コミュニティ」、「環境」)に応じた取組みを総合的に評価したものです。

 

 

(3)会社の対処すべき課題

キリングループは、新型コロナや気候変動のような顕在化している社会課題の解決を成長機会と捉え、変革し続けることが大事だと考えています。2022年中計においてもKV2027の基本的な方向性は変えず、CSV経営を進め、既存事業の強化と新たな価値創造を図っていきます。具体的には、①「食領域」の利益増大、②「医領域」のグローバル基盤強化、③「ヘルスサイエンス領域」の規模拡大、の3領域で、成長投資・戦略投資を行い、持続的成長を目指します。

KV2027の目標達成に向けて、「イノベーションを実現する組織能力」の強化に引き続き取り組みます。また、キリングループのDNAである品質本位の徹底、効率と持続可能性を両立するSCM体制の構築、価値創造を支えるガバナンスの強化によって、強固な組織基盤を構築します。これらの取り組みを通して、2024年までの平準化EPS年平均成長率11%以上※1、2024年時点でのROIC10%以上という財務目標を達成し、KV2027への新たな成長軌道を実現します。

※1 基準は2021年度

 

  ①食領域

「食領域」においては、強固なブランド体系の構築、収益力・財務基盤の強化、そして新規ビジネスの探索・拡大を実現します。

キリンビール㈱は、主力ブランドの「一番搾り」、健康志向に応える「キリン一番搾り 糖質ゼロ」、高付加価値で収益性の高い「スプリングバレー 豊潤<496>」への投資を強化し、強固なブランド体系を構築します。「キリン ホームタップ」は、クラフトビールのラインアップを強化することでサービスの魅力をさらに高め、クラフトビール市場の魅力化・活性化を目指します。RTDカテゴリーでは「在宅時間の充実」に対応する高付加価値ブランドの展開を強化します。

ライオン社はマーケティング改革とサプライチェーン最適化等を通じた収益性改善に注力します。さらに、北米・豪州におけるクラフトビール事業の成長加速に向けて、買収したクラフトビール事業の統合とシナジー創出を進めます。

メルシャン㈱は新たな輸入ワインブランドとして「メルシャン・ワインズ」を立ち上げます。環境への配慮等、持続可能なワインづくりに真摯に取り組むワイナリーと、日本人の味覚に合う高品質な輸入ワインを共創し、ワインが本来持つ価値を再発信し、ワイン市場の魅力化を実現します。

キリンビバレッジ㈱は、選択と集中による既存飲料事業の収益強化を実現します。同時にCSV経営を一層進め、ヘルスサイエンス領域を強化し、健康に貢献する飲料企業への変革を推進します。既存飲料事業において、「午後の紅茶」は、「おいしい無糖」の育成に注力し、微糖も含めた「摂りすぎない健康」領域の拡大で、ブランドの再成長を実現します。「生茶」は、再生ペット樹脂を使用した商品展開を進めるなど、「健康」と「環境」に貢献するブランドとして、社会とお客様からの共感獲得を目指します。ヘルスサイエンス領域では、3月から全国発売するヨーグルトテイストの100mlペットボトル飲料「キリン iMUSE 朝の免疫ケア」を加えた「プラズマ乳酸菌」配合飲料を展開拡大します。さらに、㈱ファンケルとの商品開発をさらに進めることで、お客様の健康に貢献し、新たな市場開拓を進めていきます。

コーク・ノースイースト社は、継続的に安定的な高収益を生み出せる体制を構築します。収益性の高い炭酸飲料市場での更なるシェア向上や、他の飲料カテゴリートレンドも見据えたスピード感をもった流通対応を継続します。加えて顧客ニーズの変化への対応、社内の業務効率化を促進させるDX※2の強化を行います。

※2 「デジタルトランスフォーメーション」の略称です。進化したデジタル技術を浸透させることで、人々の生活をより良く

     変革することです。

 

②医領域

近年の製薬業界を取り巻く環境は、薬剤費抑制策の推進、後発品の使用促進等による医薬品への支出減少、新薬開発におけるコスト増加とプロセスの複雑化等、厳しい変化が起きています。一方で、新薬の優先審査制度の登場等のイノベーションを評価する制度の拡充や、科学技術の進歩により革新的な治療を可能にする新たな創薬手法の開発を後押しする動きもあります。アンメットメディカルニーズ※3に対する画期的な医薬品は依然として世界中で待ち望まれています。さらにはデジタル技術の進展や顧客との接点の多様化等、社会環境が大きく変化する中で、新しい医療ニーズも生まれています。このような環境下において、「Crysvita」、「Poteligeo」、「Nourianz」のグローバル戦略品に加え、「KHK4083」、「ME-401(一般名:zandelisib)」、「KW-6356※4といった次世代戦略品や、「KHK7791(一般名:tenapanor)」※5、「RTA402(一般名:bardoxolone methyl)」※6などの国内市場向け新薬の開発も推進します。2030年に向けたビジョン、及び達成に向けた戦略を実行することで、日本発のグローバル・スペシャリティファーマとして更なる事業成長を実現します。

※3 いまだ満たされていない医療ニーズを指します。

※4 「KW-6002」(日本製品名 「ノウリアスト」)の次世代品のパーキンソン病向けの治療薬です。

※5 血液透析患者向けのリン吸収を阻害する治療薬です。

※6 アルポート症候群、糖尿病性腎臓病患者向けの治療薬です。

 

③ヘルスサイエンス領域

キリングループは、KV2027において、「食領域」と「医領域」に加え、「ヘルスサイエンス領域」を立ち上げ、CSV経営において重要な「健康」という社会課題に取り組んできました。2020年以降、世界的規模で新型コロナの感染拡大が続く中、健康・未病への関心はより一層高まっています。当社はこれを新たな機会と捉え、2022年中計ではヘルスサイエンス領域への投資を強化し、同領域の規模拡大を図ります。またさらなる事業の成長に向けて、新たな成長機会も探索していきます。特に「免疫」領域の「プラズマ乳酸菌」の展開拡大を足掛かりに、「脳機能」、「腸内環境」領域への成長に繋げます。

中計初年度となる2022年は、「プラズマ乳酸菌」事業の拡大加速に引き続き注力します。幅広い層のお客様が日常的に「プラズマ乳酸菌」を摂取できるように商品ラインアップを拡充します。さらに習慣化しやすいヨーグルトやサプリメントの展開を強化し、「免疫ケア」習慣のさらなる定着を目指します。事業の拡大に伴い「プラズマ乳酸菌」菌体の製造設備や、キリンビバレッジ㈱湘南工場における飲料製造ラインの増強も行います。またマラヤ大学の研究拠点において、熱帯感染症に対する「プラズマ乳酸菌」の効果検証等も進めていきます。

海外市場では、協和発酵バイオ㈱によるBtoB事業を加速させます。「プラズマ乳酸菌」は米国・東南アジアを中心に、「シチコリン」※7は米国での販売を強化します。独自の発酵技術で、世界初となる大量生産に成功した「ヒトミルクオリゴ糖」※8は、海外での上市を目指し、2022年にタイの自社工場で生産を開始します。また「オルニチン」を中心とした「活力」領域での事業展開にも精力的に取り組みます。新規事業探索や社内ベンチャー、コーポレートベンチャーキャピタル※9も推進し、あらゆる接点で、お客様の「健康」に関する社会課題を解決していきます。

㈱ファンケルとは、両社の素材や技術を活用した共同研究・新商品開発に引き続き取り組みます。さらに㈱ファンケルの強みである通信販売事業の知見をキリングループ内で活用するほか、人材交流による組織能力強化等を進めることで、シナジー創出を目指します。

これらの取り組み実行度を高めるため、ヘルスサイエンス領域の戦略・事業連携を統括する「ヘルスサイエンス事業本部」を2022年春に設置します。グループ内のシナジー創出に向けたガバナンス体制の強化、戦略の浸透・実行のスピード向上につなげます。

※7 脳や神経細胞にある細胞膜を維持する働きを持つ、体内に存在する成分で、世界各国で長年にわたり脳疾患の治療薬や認知機能の向上をサポートする健康食品等に利用されている素材です。日本では現在、医薬品に分類されています。

※8 母乳に含まれるオリゴ糖の総称です。現在250種類以上が母乳中に含まれており、「免疫」、「脳機能」等に寄与する研究成果が報告されています。

※9 事業会社が自己の資金を拠出することで、ファンドを組成しスタートアップ企業に投資をすることや、スタートアップ企業に投資するための組織のことを指します。多くの事業会社は、自社の事業内容と関連性のある企業に投資し、シナジー創出や新規事業創出を目指しています。

 

なお、ミャンマー・ブルワリー社については、1年にわたり、当社主導でビール事業を通じてミャンマーの社会・経済に継続して貢献することを目指し、ミャンマー・エコノミック・ホールディングス社(MEHPCL)との合弁解消を求めてまいりました。しかしながら、MEHPCLとの協議やシンガポールでの仲裁提起などを通し、当社が望む形で直ちに合弁を解消することは困難であると判断しました。当社としては合弁解消を早期に図ることを最優先とし、当社がミャンマー事業から撤退する方針のもとに現在MEHPCLとの協議を進めています。撤退計画の策定にあたっては、現地の従業員とその家族の生活と安全を重視し、当社人権方針に基づきステークホルダーの皆様に配慮してまいります。

また、当年度に計上した減損損失反映後のミャンマー事業の資産残高は、負債及び非支配株主持分控除後で約120億円あり、当該残存資産が回収不能となった場合、2022年以降に損失として計上される可能性があります。加えて、ミャンマー事業から生じた在外営業活動体の換算差額約190億円が資本の部に計上されており、ミャンマー事業撤退が決定した場合に損失として純損益に振り替えられる予定です。

 

最後に、KV2027の達成と企業の持続的成長に向け、当社取締役会では最適な事業ポートフォリオの検討を定期的に議論しています。事業ポートフォリオ変革に、外部から高い評価を頂いているガバナンスを効かせることで、食から医にわたる領域で価値創造を加速させていきます。

 

2 【事業等のリスク】

(1)リスクマネジメントの考え方

キリングループでは、経営目標の達成や企業の継続性に大きな影響を与える不確実性を「リスク」、ある時点を境にリスクが顕在化し対応に緊急性を要するものを「クライシス」と定義しています。

キリングループにおいて「食領域」や「医領域」など既存事業領域の経営環境の不確実性、将来の成長基盤となる「ヘルスサイエンス領域」の育成、大規模自然災害の増加、新型コロナウイルスの感染拡大など、事業の推進にあたりリスクマネジメントの役割や重要性が増していると考えています。お客様、従業員、株主、社会から長期的に信頼を獲得できるよう、リスクの低減や未然防止を図り、リスクを許容範囲内に収めることをリスクマネジメントにおける基本方針とし、企業価値の最大化を目指すための多くの意思決定に際しては、戦略面・財務面等の様々な観点からリスクシナリオを分析し、適切なリスクコントロール案の検討を行います。なお、リスク情報は、当社ホームページなどを通じて適時適切に開示してまいります。

 

(2)リスクマネジメント体制・重要リスクの確定プロセスとモニタリング

 キリングループでは、キリンホールディングスの執行役員以上で構成され、リスク担当執行役員が委員長を務める「グループリスク・コンプライアンス委員会」を設置しています。同委員会は、リスク情報の収集やリスクコントロール、中計や年度におけるグループリスク方針やコンプライアンスの重要項目の立案、リスク低減に向けた取り組み、リスク顕在化時の情報共有や対策の実施、グループ会社への必要な指示や支援など、リスクマネジメント活動の全般を統括しています。また、取締役会では重要リスクの審議や報告を通じ、リスクマネジメントの有効性を監督しています。(図1)

重要リスクの確定プロセスについては、各年度で設定するキリングループのリスクマネジメント方針に基づき、グループ各社で戦略・事業遂行上のリスクや重大なクライシスに転ずる可能性のあるリスクを検討し抽出しています。キリンホールディングスではこれら事業固有のリスクを集約し、またグループ全体に共通するリスクについて精査し、グループとしての重要リスクを取りまとめています。この案に基づき全社的な経営の観点からグループリスク・コンプライアンス委員会において経済的損失や事業継続性、レピュテーション棄損などグループとして影響度が大きなリスクを定量・定性の両面で総合的に評価し、発生頻度を踏まえて優先順位の高いリスクを選定しています。これを取締役会にて審議しグループの重要リスクとして確定させています。(図2)

重要リスクについては、キリンホールディングスおよび当該グループ会社にてリスク内容に応じた各種の対策を立案し実行しています。キリンホールディングスはグループ会社に対して必要な支援や指示を行い、グループ会社はキリンホールディングスに報告や相談を行うなど相互に連携を行いながらリスクマネジメントを推進・運用しています。また、各グループ会社およびキリンホールディングスは四半期ごとにリスクのモニタリングを実施し、キリンホールディングスでは取締役会においてグループ重要リスクの状況や見直しを審議し必要な指示を行うことなどにより(図3)、戦略リスクを適切に管理・統制すると共に、クライシスに転ずるリスクの顕在化を可能な限り防止し、クライシスに転化した場合はその影響を最小限に留めるなど、各種のリスクマネジメント体制を整備し、リスクの低減や適切な管理に努めています。

 

(図1)


(図2)


  (図3)


 

(3)キリングループ重要リスク

キリングループの戦略・事業その他を遂行する上でのリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しています。以下に記載したリスクは、キリングループの全てのリスクを網羅したものではなく、記載以外のリスクも存在し、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。重要リスクは、「各事業領域における重要リスク」と「各事業領域共通の重要リスク」に分類しています。なお、本文中における将来に関する事項は、別段の記載がない限り当年度末において当社が判断した内容に基づきます。

 

①各事業領域における重要リスク

事業分野

主なリスク

リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響

食領域

・事業環境の変化への対応に関するリスク

・原材料価格の高騰に関するリスク

・新規事業の成否に関するリスク

・市場環境や嗜好の変化、販売価格の変動、競合他社の動向等により、販売計画を達成できない可能性

・原材料価格の高騰により調達コストが上昇し、製造原価に影響を及ぼす可能性

・新規事業が市場に浸透せず、収益が下振れし、事業計画が遅滞する可能性

主な対策、関連ページおよびリスクの状況認識について

食領域につきましては、キリングループの主力事業分野であり、リスクが発現した場合には甚大な影響があると考えていますが、食領域の収益力強化に向け高付加価値商品拡大など事業収益構造変革に取り組んでいることや事業環境変化に対してはこれまでに培った知見やリスク対応レベルは上がってきていると考えており、適切に対処することでリスクの顕在化を低減しています。しかしながら新型コロナウイルス関連では変異株の出現や事業展開国での流行度合いに応じた規制によって、飲食店などの業務用市場や自動販売機事業でその影響を引き続き受けるものと想定しています。また、原材料価格の高騰が直接的に収益に影響を与える可能性や、国内ホームタップ・グローバルなクラフトビール展開の成否による中長期的な事業計画への影響を考慮し、それぞれ重要リスクの一つとして位置づけています。

(具体的な対策につきましては、「経営方針、経営環境および対処すべき課題」に記載しています)

 

 

事業分野

主なリスク

リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響

ミャンマーからの事業撤退

合弁解消ができず、ミャンマー事業から撤退できないリスク

・撤退に伴う当該事業の資金が回収できないリスク

当社の取り組みが各ステークホルダーに適切に伝わらない可能性

連結業績への影響が発生する可能性や現地通貨の資金が回収できない可能性

主な対策、関連ページおよびリスクの状況認識について

ミャンマーからの事業撤退については2022年6月末までに決着させるべく取り組んでいます。ただし、依然として不確実性が高いこと、グループ連結決算における金額的な重要性が低いことを勘案し、2022年通期業績予想の売上収益・事業利益はともに0億円としています。
(2022年2月末現在の情報に基づきます。当件につきましては、「経営方針、経営環境および対処すべき課題」にも記載しています。また、事業撤退に向けた進捗につきましては、ホームページ等にて適宜公表してまいります)

 

 

事業分野

主なリスク

リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響

医領域

・グローバル戦略品の価値最大化に関するリスク

・製品品質・安定供給に関するリスク

・医療費抑制策に関するリスク

・新規上市国での価格が想定と乖離して売上が予測より大きく下振れする、上市準備の遅延等により事業エリア拡大が遅れる、潜在患者の掘り起こしの難航などで市場に浸透しない可能性

・製品の安全性や品質に懸念が生じ回収が発生、急激な需要増又は需給逼迫により安定供給に支障が発生する可能性

・国内外において医療費抑制の圧力による製品の価格引き下げ、後発医薬品への移行が進む可能性

主な対策、関連ページおよびリスクの状況認識について

グローバル戦略品の価値最大化に向けては、グローバルマネジメント体制の下、市場浸透施策や欧米を中心とした事業地域の拡大を進めています。グローバルに事業を拡大するためには、製品の品質保証体制と安定供給体制といった基盤の強化も重要と考えています。品質保証体制に関しては、グローバル品質保証委員会等によるモニタリングや、独立した専門の監査チームによる自社や委託先の品質監査を通して、グローバルレベルでの強化を図っています。安定供給体制に関しては、委託先の拡充、自社工場への設備投資、製造作業効率化のためのデジタル化推進、製造ならびに品質管理部門の増員と教育システムの充実を進めています。また国内外において医薬費抑制の圧力が高まっていますが、各国の政策動向を注視するとともに、開発品目の上市後の価格を予測し、影響を評価しています。また患者さんのニーズを満たすLife-changingな医薬品をお届けするために、その価値を科学的に訴求できる戦略的な承認申請パッケージ策定を検討しています。

(詳細につきましては、協和キリン㈱の有価証券報告書に記載しています)

 

 

 

事業分野

主なリスク

リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響

ヘルスサイエンス領域

・社会課題に対し独自の商品やサービスを提供できないリスク

・変化の激しいヘルスサイエンス領域で競合等の外部環境変化への対応が遅れるリスク

・新しい領域での組織能力が不足し付加価値を高められないリスク

・品質保証、製品の安全性、欠品に関するリスク

・キリンのヘルスサイエンス事業の重点領域である免疫、脳機能、腸内環境で有効なビジネスモデルが構築できずに、販売計画が未達となる可能性

・組織体制の構築と事業を担う人材の育成・獲得・強化が遅れ、グループ間の連携やシナジー効果が発揮できず、新たな価値創造を伴う高収益モデルが構築できない可能性

・生産計画通りに製造が進まず商品の欠品が発生する可能性

・機能性表示食品において、健康被害・品質トラブル、エビデンス不足、有害事象、不適切な情報を発信する可能性

主な対策、関連ページおよびリスクの状況認識について

ヘルスサイエンス領域は新規事業を多く抱え、戦略的にリスクを取って事業の拡大を目指しており、次世代の成長機会獲得の探索、また、その実現に向けて、ステージゲート制度やCVCの運用を開始し、グループ内の協業の加速、シナジー発揮に取り組んでいます。機能性表示食品を有する免疫領域では、お客様の日常への免疫ケア習慣の定着を目指し、プラズマ乳酸菌についての認知拡大、機能啓発による成果創出と、早期のビジネスモデルの確立を目指しています。事業を推進していく一方で、適切なリスクコントロールができるよう、組織能力の整備とガバナンスの強化を図ってまいります。

(具体的な対策につきましては、「経営方針、経営環境および対処すべき課題」に記載しています)

 

 

②各事業領域共通の重要リスク

項目

主なリスク

リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響

新型コロナウイルス

・新型コロナウイルス(感染症)により事業活動が制限されるリスク

・従業員が罹患し、影響が拡大するリスク

・感染拡大により、緊急事態宣言やロックダウン等の規制が強化され、事業活動が制限される可能性

・適切な感染対策を取りながらも、社内でクラスターや感染拡大が発生し、罹患、濃厚接触を理由とした自宅待機者数の増加等により事業活動に必要な要員を確保できない可能性

主な対策、関連ページおよびリスクの状況認識について

2020年1月以来、新型コロナウイルス対策本部を設置し、情報収集、状況判断、対策の検討・決定、グループ会社への情報共有や指示などを行っています。新型コロナウイルスは国・地域によって差はあるものの、変異株が出現するなど依然として感染拡大の懸念を残しており、コロナ前の事業環境には戻らないことを想定しています。コロナ禍における健康意識の高まりを追い風に、社会課題の解決やお客様によりそった活動を推進し、事業の成長を目指してまいります。従業員の罹患リスクに対しては、各種の感染予防策を実施・徹底しており、また罹患が疑われる場合の報告体制や対応フローなども取り決めています。

 

 

項目

主なリスク

リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響

人材確保・育成

・グループ経営を推進する人材や事業活動に必要な高い専門性を持った人材などを十分に確保・育成できないリスク

・競争優位性のある組織能力が実現しない可能性

主な対策、関連ページおよびリスクの状況認識について

キリングループは、事業の遂行やイノベーションを実現するには人材が重要であるとして、グループ経営を推進する人材の確保・育成に向けて、組織風土の変革や人材マネジメントの仕組み化に取り組んでいます。また、多様な価値観・専門性を持った人材が集い、多様性を受容し価値創造を実現するための組織能力向上を目指しています。また、ウィズコロナにおける新たな働き方として「働きがい」改革 KIRIN Work Style 3.0を推進し、仕事の意義、目的を見直すことで、「グループの持続的な成長」につながる「生産性向上」、「創造性向上」、「個の充実」の実現を目指しています。多様な人材と挑戦する風土は企業の根幹であるとの認識のもと中長期視点での取り組みを継続して実施してまいります。

 

 

項目

主なリスク

リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響

情報技術

・DXの取り組みが進まず、市場においてキリンのICT活用が競合劣後となるリスク

・DX専門人材の確保、育成が不十分となるリスク

・サプライチェーンの効率化が進まず、高コストとなり利益の拡大が限定的になる可能性

・消費者の動向把握などが不十分でお客様の期待に応える商品が提供できず、売上・利益が限定的となる可能性

・DXで取り組むべき課題に対して要員が不足し、適時速やかに実行されない可能性

主な対策、関連ページおよびリスクの状況認識について

デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進により、テクノロジーやデータを活用した業務プロセスの変革が進み、既存業務の効率化を実現するとともに、顧客理解やプロダクト/サービスの開発工程のプロセス変革を進めるなど、新たな価値創出に取り組んでいます。各社各部門での自律的なDX推進の実現に向けて組織体制の充実を図り、DXを推進できる人材の確保や独自のプログラムによる人材育成を進めています。なお、標準化された情報システム(ERP)について、2022年1月から国内事業会社を中心に経理、物流、生産の3領域でシステムが稼働しており、今後も3領域以外での再配置を進め、各事業に適した基盤システムの構築を目指しています。

 

 

 

項目

主なリスク

リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響

製品の安全

・品質保証の取り組みの範囲を超えて、予期し得ない品質問題が発生するリスク

・製品の製造中止や市場からの回収または損害賠償請求などにより、多額の費用の発生や事業活動の制限がなされる可能性

主な対策、関連ページおよびリスクの状況認識について

キリングループでは、品質方針に基づきお客様への安全・安心な商品・サービスの提供を何よりも優先することを宣言しています。グループの自社工場で製造する製品や製造委託工場・輸入品等の他社製造品について、品質保証システムを整備しグループ全体で製品の品質モニタリングや品質保証の仕組みの監査を実施する等、品質保証に最大限努めています。経営トップが品質の重要性をグループ全体にメッセージとして発信することに加えて、教育研修や経営資源配分など率先して行動を起こし、製造部門に限らず全部門にわたって品質を大切にする組織風土の醸成に引き続き取り組んでまいります。

 

 

項目

主なリスク

リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響

人権

・キリングループおよびそのパートナーが人権問題を起こしたり、人権上の問題のある調達を行うリスク

・当該国又はグローバルな事業活動に重大な悪影響を及ぼす可能性

主な対策、関連ページおよびリスクの状況認識について

キリングループでは、人権の尊重は全ての事業活動の土台であるとの認識の下、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠した「キリングループ人権方針」を2018年に策定し、2022年にはサステナビリティ全体を統括するグループCSV委員会傘下の会議体として「グループ人権会議」を位置づけ、人権尊重を推進する取り組みを強化しています。人身取引を含む奴隷労働や強制労働、児童労働を認めない他、人種、民族、国籍、社会的身分、門地、性別、障害の有無、健康状態、思想・信条、性的指向・性自認及び職種や雇用形態の違い等に基づくあらゆる差別の禁止をしています。キリングループの事業と関係する人権に対する負の影響を特定し、予防、軽減する取り組みを、人権デューデリジェンスの実施とともに進めてまいります。キリングループは、全てのビジネスパートナーに対して「キリングループ人権方針」の支持を期待し、サプライヤーに対してはこの方針を遵守いただけるよう努めてまいります。

 

 

項目

主なリスク

リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響

環境課題

・気候変動による物理的リスク及び脱炭素社会への移行リスク

・プラスチック容器の資源循環に関するリスク

・気候変動による物理的リスクとして温暖化や渇水・洪水による原材料農産物の収量減による調達コスト増、渇水・洪水による操業停止、移行リスクとして炭素税などによるエネルギー費増の可能性

・気候変動やプラスチック容器などの環境問題において、社会からの懸念や企業に対する期待の高まりに十分に応えられない可能性

主な対策、関連ページおよびリスクの状況認識について

キリングループでは、様々な環境問題に対して長期戦略「キリングループ環境ビジョン2050」を策定し、その達成に向けて取り組んでいます。

気候変動に伴う原材料農産物の収量減といった物理的リスクやカーボンプライシング等の移行リスクに対しては、TCFD提言に基づくシナリオ分析により財務影響や戦略のレジリエンスを評価し、必要な方針・戦略の修正や取り組みの深化を進めています。プラスチック容器の問題では、2027年までに日本国内におけるPET樹脂使用量のリサイクル樹脂50%(「キリングループプラスチックポリシー」)を目指して、ケミカルリサイクルによるPET再資源化に向けた技術検討と実用化を目指す共同プロジェクトを開始しています。キリングループは、これら気候変動、生物資源、水資源、容器包装が相互に関連する環境問題を統合的に捉え、持続可能な地球環境を次世代につなぎます。

(具体的な対策につきましては、「経営方針、経営環境および対処すべき課題」に記載しています)

 

 

項目

主なリスク

リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響

アルコールの負の影響

・世界的な規模での酒類販売に関する将来的な規制が行われるリスク

・酒類の消費が減少する可能性や企業ブランドの価値が低下する可能性

主な対策、関連ページおよびリスクの状況認識について

アルコールの負の影響に関して、WHOは世界的な規模での酒類販売に関する将来的な規制に向けた議論をしています。キリングループは、酒類を製造・販売する企業グループとして社会的責任を果たすために、全ての酒類事業展開国においてアルコールの負の影響の根絶に向けた取り組みを進展させています。広告・宣伝活動にあたっては責任ある飲酒に関するグローバルマーケティング指針や厳しい自主基準を遵守する他、IARDなど国内外の業界団体と連携した取り組みを進めるとともに、日本においてはWEBなども活用しながら20歳未満の飲酒防止啓発や適正飲酒啓発活動を行っています。ウィズコロナにおける社会情勢の変化へ対応しながらアルコールの有害摂取根絶に向けた取り組みを着実に進展させてまいります。

 

 

 

項目

主なリスク

リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響

サプライチェーン

・地震・天候不順・冷夏・干ばつ・台風・集中豪雨・森林火災などの大規模自然災害、感染症、その他の災害・事故等によりサプライチェーンが分断するリスク

・事業所等の閉鎖や事業活動の縮小・停止する可能性

・最盛期の販売量の急増により、調達・製造・物流能力が供給に追いつかず遅配や欠品が生じる可能性

・自然災害や感染症の影響により、道路や港湾の交通網に支障をきたし、配送の停止や納品遅れが発生する可能性

主な対策、関連ページおよびリスクの状況認識について

災害・事故等への対応としてBCP(事業継続計画)を策定していますが、その内容を震災や感染症といった事例別の対策から、経営資源を起点に考えるオールハザード型への移行を進めています。サプライチェーンにおいては、災害・事故等による影響の他、国内ではトラックのドライバー不足等、人材確保が深刻な課題となっており、また、海外では船舶輸送の遅延が生じており、サプライチェーンの分断が起きる可能性があります。各事業では、需給予測精度の向上や物流能力を強化しリスクの低減を進めています。これら継続的な取り組みにより災害や感染症への対応力は向上していると認識しています。

 

 

項目

主なリスク

リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響

情報セキュリティ

・サイバー攻撃、情報セキュリティ事故、情報漏洩等に関するリスク

・個人情報や重要な営業秘密の情報漏洩により、お客様の信頼の失墜や損害賠償などが発生する可能性

・サイバー攻撃などにより、業務が停止したり復旧に時間を要す可能性

主な対策、関連ページおよびリスクの状況認識について

キリングループでは、深刻化しているサイバー攻撃の脅威に対応するため「KIRIN-CSIRT(Computer Security Incident Response Team)」を構築し、キリングループにおける重要リスクの一つとして情報セキュリティ対策に取り組んでいます。グループ内のセキュリティ対応体制を整え、人的・物理的・技術的対策を実施することで、ウィルス感染や外部からの不正アクセスといったサイバー攻撃の脅威への対策強化に努めています。詳細につきましては、「情報セキュリティ報告書」にキリングループの取り組みを記載しています。また、サイバー攻撃などでの経済的な影響を低減するためグローバルで付保を行うなどリスクの移転も含めて対応を行っています。これらにより、一定レベル以下にリスクは低減できていると考えていますが、未知のサイバー脅威などには幅広く情報収集などを行いながら対策を講じてまいります。

 

 

項目

主なリスク

リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響

コンプライアンス

・従業員の不適正飲酒や贈収賄など、法令等に違反したり社会の要請に反した行動が行われるリスク

・法令による処罰・訴訟の提起・社会的制裁を受け、お客様からの信頼を失う可能性

主な対策、関連ページおよびリスクの状況認識について

キリングループでは、リスクのマネジメントサイクルや従業員啓発の研修を通じたコンプライアンスの推進により、従業員の法令違反や社会規範に反した行為等の発生可能性を低減するよう努めています。また、贈収賄防止を図り、不当な金銭・贈答・接待及びその他の利益の提供又は受領を禁じています。グループ各社のホットラインを整備しているほか、コンプライアンス担当役員直通・監査役直通のホットラインを設置しています。さらに、毎年、従業員コンプライアンス意識調査を実施し、潜在的なリスクを洗い出すとともに、回答内容の事実関係の確認や対処など初期段階でのリスクの低減を図り、同調査結果はグループリスク・コンプライアンス委員会に報告しています。これらの施策により重大コンプライアンス違反の発生による影響の低減に取り組んでおり、引き続き従業員のコンプライアンス意識の向上を目指してまいります。

 

 

項目

主なリスク

リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響

財務・税務

・資金調達リスク、為替変動リスク、税務リスク

・資金調達コストが増加する可能性、為替レートにより円換算後の価値が変動する可能性

・各国における租税制度の改正、税務行政の変更や税務申告における税務当局との見解の相違等により、追加で税負担が生じたり、社会的信用が低下する可能性

主な対策、関連ページおよびリスクの状況認識について

財務リスクの対応として「キリングループトレジャリーポリシー」を制定し、グループの資金の適切な管理と財務リスクの低減を行っています。

税務の観点では、税務コンプライアンスを遵守するとともに、様々なステークホルダーに対して税の透明性を確保する目的で「キリングループ税務方針」を策定しました。

市場環境や為替レート変動による影響や税務リスクは完全に排除できませんが、これらの対策により業績や財務状況に大きな影響を与える可能性を低減しています。

 

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中における将来に関する事項は、当年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り
 当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。

 詳細につきましては、「第5[経理の状況]1[連結財務諸表等]内、連結財務諸表注記」に記載のとおりであります。

 

(2) 経営成績の状況

①事業全体の状況
 2021年は前年に引き続き、新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)感染症の影響を大きく受けた1年となりました。世界的に新型コロナ変異株が流行し、経済の先行きが不透明な状況が続いています。この環境下において、キリングループは長期経営構想「キリングループ・ビジョン2027」(略称:KV2027)に基づき、世界のCSV先進企業を目指した取り組みを推進しました。社会課題の解決を成長機会と捉え、祖業であるビール事業で培った発酵・バイオテクノロジーを、「食領域」から、「医領域」、「ヘルスサイエンス領域」へ展開することで、社会的価値と経済的価値の両立を図りました。

 

・食領域

主力商品への集中投資により強固なブランド体系を構築する一方で、新たな価値創造につながる商品・サービスの提供に注力した結果、新型コロナによる収益減少を軽減することができました。

・医領域

2019年から開始したグローバル組織体制への変革を継続し、グローバル戦略品が着実に成長しました。また次世代戦略品等の開発も、着実に進捗しました。

・ヘルスサイエンス領域

当社の強みであるR&D技術を生かした素材研究、商品開発を進め、これまでの取り組みが大きく実った年になりました。「免疫」領域の戦略素材「プラズマ乳酸菌」は、一般社団法人「レジリエンスジャパン推進協議会」が実施する「ジャパン・レジリエンス・アワード(強靭化大賞)2021」において、「第1回STOP感染症大賞」金賞を受賞しました。これは素材の発見と機能性表示食品としての商品展開等を高く評価いただいたものです。また「プラズマ乳酸菌」配合の商品ラインアップも拡充し、健康志向の高まりとともに「プラズマ乳酸菌」関連事業の売上金額を、前年比1.5倍以上に伸ばし、お客様の健康課題の解決に貢献しました。

 

当社は、ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点でも、社外から高い評価を得ました。「環境」においては、2020年2月に策定した「キリングループ環境ビジョン2050」に沿って、GHG排出量削減、再生可能エネルギー利用促進、プラスチック循環利用の促進等に取り組みました。その結果、環境省が主催する「ESGファイナンス・アワード・ジャパン」において、環境サステナブル企業部門の「金賞」を受賞しました。CDP気候変動及び水セキュリティにおいても、最高位の「Aリスト」を3年連続で獲得しました。「社会」においては、女性活躍推進に優れた上場企業として「なでしこ銘柄」に選定されたほか、特に優良な健康経営を実践する法人として「健康経営優良法人2021(ホワイト500)」にも5年連続で認定されました。さらに「ガバナンス」を中心に、ESG取り組み全般を高く評価いただき、「持続可能な開発目標(SDGs)」への企業の取り組みを評価する「日経SDGs経営調査」でも、3年連続の最高位を獲得しました。米国モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)社がESGの観点から評価を行う、MSCI ESGレーティングにて、世界のCSV先進企業と並ぶ「AA」評価を獲得しました。

 

また、「キリングループ2019年-2021年中期経営計画(略称:2019年中計)」で重要成果指標とする従業員エンゲージメントは、スコアが大幅に向上した2020年と同水準の結果となりました。先行きが不透明な社会情勢の中、CSV経営に取り組む意義の浸透を図ったことで、従業員の経営に対するエンゲージメントが高まり、2019年中計で掲げた目標を達成しました。

 

 

 

2021年実績

2020年実績

対前年増減

対前年増減率

連結売上収益

1兆8,216億円

1兆8,495億円

△280億円

△1.5%

連結事業利益

1,654億円

1,621億円

33億円

2.0%

連結営業利益

681億円

1,029億円

△348億円

△33.8%

連結税引前利益

996億円

1,246億円

△249億円

△20.0%

親会社の所有者に帰属する当期利益

598億円

719億円

△121億円

△16.9%

 

(重要成果指標)

ROIC

4.2%

6.0%

 

 

平準化EPS

156円

136円

20円

14.7%

 

 

当年度の連結売上収益は、新型コロナウィルス感染症再拡大により、国内外で酒類・飲料の販売が影響を受けたこと、ライオン社飲料事業の売却等から、減収となりました。連結事業利益は、国内ビール・スピリッツ事業、ミャンマー・ブルワリー社等が減益となりましたが、オセアニア酒類事業に加え、協和発酵バイオ(株)、コーク・ノースイースト社などが増益となり、全体では増益となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、ミャンマー事業において減損損失を計上したこと等により減益となりました。

 重要成果指標である平準化EPS、ROICは、新型コロナウイルス感染拡大やミャンマーの政変などの外部要因の他、協和発酵バイオ(株)の品質管理問題の影響により、2019年中計の当初目標は未達となりました。しかしながら、昨年期初に公表した2021年度目標について、ROICは政変を背景とするミャンマー酒類事業の減損で未達成であったものの、平準化EPSは連結事業利益の回復や2020年に実施した自己株取得の影響などにより、目標を達成致しました。

 

  ②セグメント情報に記載された区分ごとの状況

セグメント別の業績は次のとおりです。

 

 

2021年実績

2020年実績

対前年増減

対前年増減率

連結売上収益

1兆8,216億円

1兆8,495億円

△280億円

△1.5%

 国内ビール・スピリッツ

6,613億円

6,514億円

99億円

1.5%

 国内飲料

2,444億円

2,522億円

△78億円

△3.1%

 オセアニア酒類

2,163億円

2,921億円

△759億円

△26.0%

 医薬

3,517億円

3,178億円

339億円

10.7%

 その他

3,479億円

3,360億円

119億円

3.5%

連結事業利益

1,654億円

1,621億円

33億円

2.0%

 国内ビール・スピリッツ

705億円

755億円

△50億円

△6.6%

 国内飲料

211億円

218億円

△7億円

△3.0%

 オセアニア酒類

266億円

221億円

44億円

20.0%

 医薬

612億円

590億円

22億円

3.7%

 その他

△140億円

△163億円

23億円

 

連結売上収益 対前年


連結事業利益 対前年


 

 

<国内ビール・スピリッツ事業>

国内酒類市場は、前年に続きコロナ影響で外食市場が低迷する中、家庭用市場は伸長し、特に酒税改正で減税となったビールカテゴリー市場が拡大しました。

キリンビール㈱では主力ブランドの「キリン一番搾り生ビール」缶商品や、健康志向の高まりを捉えた「キリン一番搾り糖質ゼロ」が好調でした。その結果、「一番搾り」ブランド缶商品の販売数量は、前年比2割増と大きく伸長しました。コロナ影響により自宅で過ごす時間が増え、在宅時間の充実も求められています。クラフトビールの缶商品「スプリングバレー豊潤<496>」は、この需要を捉え、発売から半年で100万ケースを販売し、クラフトビールとしては異例の速さで成長しています。自宅で本格生ビールを楽しめる「キリンホームタップ」も会員数を大幅に増やし、10万人以上のお客様に、工場直送の特別なおいしさを提供しました。外食市場では、飲食店の課題解決を目指し、新鮮でおいしい生ビールを提供できる「TAPPY(タッピー)」、1台でクラフトビールを4種類提供できる「Tap Marché(タップ・マルシェ)」等、キリン独自の価値提案を行いました。その結果、ビール類カテゴリーの販売数量は4.1%減少したものの、3年連続で市場推移を上回りました。家庭用が中心のRTDカテゴリーは、「キリン氷結®無糖」シリーズが大変好調で、「キリン氷結®」ブランドは過去最高売上を達成し、累計販売本数160億本を突破しました。「キリン本搾りTMチューハイ」や、素材や製法にこだわった高付加価値ブランド「麒麟発酵レモンサワー」も好調で、RTDカテゴリー合計の販売数量は前年比4.7%増となりました。

これらの結果、家庭用チャネルにおいてビール商品の販売数量が増加し、ビール類合計でも市場を上回って推移しました。売上収益はビールや発泡酒、RTD及びノンアルコール飲料の販売数量の増加により、1.5%増加し6,613億円となりました。また、事業利益は、長期的な視点でのブランド投資を強化したことにより販売費が増加し、6.6%減少し705億円となりました。

 

<国内飲料事業>

国内飲料市場は、4月以降、緊急事態宣言の段階的な解除で販売数量が徐々に回復しましたが、新型コロナ感染再拡大と天候不順によって、前年微増にとどまりました。また健康意識の高まりにより、特定保健用食品・機能性表示食品や、無糖・微糖商品が好調に推移しています。

キリンビバレッジ㈱では、「CSVを基軸としたポストコロナに向けた再成長」をテーマに掲げ、既存飲料事業に加えてヘルスサイエンス領域を事業のもう1つの柱に置き、積極的に投資しました。既存飲料事業では、無糖商品への需要の高まりを機会と捉え、「午後の紅茶」ブランドで展開する「おいしい無糖」シリーズのラインアップを強化しました。また「生茶」ブランドは、再生ペット樹脂を100%使用した「R100ペットボトル」やラベルレス商品を発売し、お客様の環境意識の高まりに応えました。ヘルスサイエンス領域では、「プラズマ乳酸菌」配合の飲料を、免疫機能の機能性表示食品を中心に展開し、「免疫ケア」習慣の定着に取り組みました。「iMUSE(イミューズ)」ブランドの強化に加え、免疫への関心が低い層にも手軽に摂取いただけるように「キリン午後の紅茶ミルクティープラス」、「キリン生茶ライフプラス免疫アシスト」を発売しました。その結果、「プラズマ乳酸菌」配合の飲料は、期中に上方修正した年間販売目標の500万ケースを達成することができました。

またコロナ影響等により厳しい市場環境が続く中、自動販売機ビジネスの構造改革や小型ペット商品へのさらなる注力により、収益改善に努めました。

これらの結果、販売数量の減少により売上収益は3.1%減少し2,444億円となりました。また販売促進費、広告費の削減を進めたものの、販売数量の減少及びチャネル構成比の変化等による商品・容器構成差異等の悪化を補いきれず、事業利益は3.0%減少し211億円となりました。

 

<オセアニア酒類事業>

2021年1月の乳飲料事業売却に伴い、ライオン全社の売上収益は大幅な減収となりました。酒類事業は、豪州・ニュージーランドの外食市場において新型コロナによる影響を受けました。一方で、10月中旬以降、段階的な行動規制緩和で市場が回復し、プレミアムビール・クラフトビールカテゴリーの販売数量は前年を上回りました。

ライオン社でも、クラフトビール事業は、将来の成長分野と位置付けています。豪州クラフトビール事業をより盤石なものにするために、豪州最大手の独立系クラフトビールメーカーであるファーメンタム社の株式を取得完了しました。米国クラフト事業では若年層に高い支持を得ているニュー・ベルジャン・ブルーイング社の「ブードゥー・レンジャー」が家庭用需要を的確に捉え、販売が好調に推移しました。さらに米国事業の規模拡大とシナジー創出に向けて、ベルズ・ブルワリー社の買収も発表しました。

その結果、円ベースの売上収益は26.0%減少し2,163億円となったものの、クラフトビール戦略の進展や、コスト削減の取り組みにより、事業利益は円ベースで20.0%増加し266億円となりました。

 

<医薬事業>

協和キリン㈱は、同社の2021-2025年中期経営計画の初年度として、2030年に向けた新ビジョンを掲げ、日本発のグローバル・スペシャリティファーマとしての成長の実現に向けて取り組みました。

2021年は、前年に引き続きコロナ影響で世界の治療環境が変化し、事業活動に制限がある中、協和キリン㈱は「Crysvita」、「Poteligeo」等のグローバル戦略品を着実に成長させました。また次世代戦略品である「KHK4083」や、がん領域の「ME-401(一般名:zandelisib)」等の開発も着実に進捗しています。一方で、グローバル戦略品の「KW-6002(一般名:Istradefylline)」は欧州での承認を得ることができませんでした。今後の申請・承認を控えた品目においても各国当局の判断を注視するとともに、適切な対応を行ってまいります。

これらの結果、グローバル戦略品を中心とした海外医薬品売上の増加により売上収益は10.7%増加し3,517億円となりました。また事業利益は、グローバル戦略品の販売に係る販売費及び一般管理費が増加したものの、売上収益増収に伴う売上総利益の増加により、3.7%増加し612億円となりました。

 

また、その他の主な各事業の業績は以下のとおりです。

 

(協和発酵バイオ㈱)

協和発酵バイオ㈱は、2019年末に製造方法逸脱による行政処分を受けて以来、品質を全ての業務の基本としてマネジメント体制を再構築してきました。2021年は再生から成長につなげる1年と位置付け、製造数量を段階的に回復させることで、お客様からの信頼回復に努めました。また12月末にコンシューマープロダクト事業をキリンホールディングス㈱へ移管し、BtoB事業への集中により、長年培ってきた最先端の発酵・バイオ技術を生かした新たな素材開発を加速させる事業体制を確立しました。コロナ影響による原燃材料の高騰等の課題もある中で、組織風土変革や収益性の高い品目への集中等の事業構造改革にも取り組み、2021年は黒字化を達成しました。これらの結果、売上収益は7.5%減少し530億円、事業利益は4億円となりました。

 

(メルシャン㈱)

メルシャン㈱は家庭用ワイン市場での飲用者拡大と収益性向上に取り組みました。コロナ影響をはじめとした環境変化によって、ワインの飲用スタイルも多様化する中、果汁の贅沢感やワインならではの余韻が楽しめるノンアルコールサングリア「モクバル」を発売しました。また高品質で自然環境等に配慮したオーガニックワインの展開も、お客様に好評いただきました。「シャトー・メルシャン」では椀子ワイナリーが「ワールド・ベスト・ヴィンヤード」に2021年も2年連続で選出される快挙を達成しました。しかしながら、売上収益は6.8%減少し579億円、事業利益は35.1%減少し23億円となりました。

 

(ミャンマー・ブルワリー社)

ミャンマーでは、新型コロナの感染再拡大や2月に発生した政変の影響により外食市場が大きく減退しました。また金融やサプライチェーンが混乱した影響もあり、ビール市場は2割弱縮小しました。さらに資材不足等による製造量の減少、営業活動の制限等により、ミャンマー・ブルワリー社の販売数量は、前年同期比約3割の減少となりました。これらの結果、売上収益は39.3%減少し193億円、事業利益は52.2%減少し66億円となりました。

 

(コーク・ノースイースト社)

 米国の飲料市場は、コロナ影響によりEC販売が拡大し、家庭用消費が大幅に増えたことや、新型コロナワクチン接種率向上に伴う外食市場の回復から、販売数量は増加しました。一方で、個人消費の回復に伴い商品・サービスの供給が追い付かず、インフレが起きました。コーク・ノースイースト社は、このような市場変化の中、価格改定や、継続的なコスト削減、業務効率化により、同社史上最高益を達成しました。これらの結果、売上収益は19.7%増加し1,549億円、事業利益は78.3%増加し165億円となりました。

 

 

  ③生産、受注及び販売の状況

(ⅰ) 生産実績

当年度におけるセグメントごとの生産実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

国内ビール・スピリッツ

655,840

3.4

国内飲料

115,566

△3.7

オセアニア酒類

214,474

△24.0

医薬

148,755

△15.1

その他

227,519

0.1

合計

1,362,155

△5.3

 

(注) 1  金額は、販売価格によっております。

2  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 (ⅱ) 受注状況

当社グループの製品は見込生産を主体としているため、受注状況の記載を省略しています。

 

 (ⅲ) 販売実績

当年度におけるセグメントごとの販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

国内ビール・スピリッツ

661,326

1.5

国内飲料

244,386

△3.1

オセアニア酒類

216,258

△26.0

医薬

351,696

10.7

その他

347,902

3.5

合計

1,821,570

△1.5

 

(注) 1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

前年度
(自 2020年1月1日
 至 2020年12月31日)

当年度
(自 2021年1月1日
 至 2021年12月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

三菱食品㈱

223,675

12.1

225,518

12.4

 

  2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

   (3) 財政状態

①事業全体の状況

 当年度末の資産合計は、前年度末に比べ126億円増加して2兆4,719億円となりました。有形固定資産、のれん、無形資産については、ミャンマー酒類事業の減損損失を680億円計上したものの、ファーメンタム社の子会社化の影響や設備投資による増加等によって、前年度末に比べ175億円の増加となりました。また、棚卸資産が前年度末比301億円増加、営業債権及びその他の債権が前年度末比158億円増加しました。一方、オセアニア飲料事業の売却等により、売却目的で保有する資産が737億円減少しました。

 資本は、利益剰余金が173億円増加、その他の資本の構成要素が382億円増加し、前年度末に比べ521億円増加して1兆1,480億円となりました。その他の資本の構成要素の増加要因は、主に円安の影響によって在外営業活動体の換算差額が438億円増加した影響です。

 負債は、前年度末に比べ395億円減少して1兆3,239億円となりました。2021年6月に700億円の普通社債を発行した一方、グローバルキャッシュマネジメントシステムの導入に伴い、資金効率が向上したこと等により返済額を下回る調達額に抑制した結果、有利子負債が圧縮され、社債及び借入金が912億円減少しました。一方、協和キリン㈱の契約一時金の増加による影響等でその他の非流動負債は295億円、その他の流動負債は133億円増加しました。

  これらの結果、親会社所有者帰属持分比率は36.2%、グロスDEレシオは0.62倍となりました。

 

  ②セグメント情報に記載された区分ごとの状況

  <国内ビール・スピリッツ>

 当年度末のセグメント資産は、有形固定資産の設備投資等により、前年度末に比べ84億円増加して4,328億円となりました。

  <国内飲料>

 当年度末のセグメント資産は、政策保有株式の売却等により、前年度末に比べ107億円減少して1,392億円となりました。

  <オセアニア酒類>

 当年度末のセグメント資産は、オセアニア飲料事業の売却があったものの、ファーメンタム社の子会社化の影響や設備投資によって有形固定資産及び無形資産が増加したこと等により、前年度末に比べ45億円増加して4,759億円となりました。

  <医薬>

 当年度末のセグメント資産は、その他の金融資産の増加や、繰延税金資産の増加等により、前年度末に比べ1,204億円増加して8,621億円となりました。

 

 

 (4) キャッシュ・フロー

 ①キャッシュ・フロー及び流動性の状況

当年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前年度末に比べ122億円減少の1,495億円となりました。活動毎のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金の収入は前年同期に比べ545億円増加の2,193億円となりました。運転資金の流出が206億円増加し、税引前利益が249億円減少したものの、非資金損益項目である減損損失が478億円増加した他、協和キリン㈱の契約一時金による収入等により、小計では292億円の増加となりました。小計以下では法人所得税の支払額が250億円減少したこと等により、営業活動によるキャッシュ・フローは前年同期比で増加となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金の支出は前年同期に比べ596億円減少の564億円となりました。減少の主な要因は、当年度にオセアニア飲料事業を売却したことに伴い子会社株式の売却による収入が前年同期に比べ429億円増加の429億円となったことです。一方、子会社株式の取得による支出は、当年度にファーメンタム社の子会社化、前年同期はニュー・ベルジャン・ブルーイング社の子会社化があったため、前年同期に比べ58億円増加の455億円となりました。有形固定資産及び無形資産の取得については、前年同期に比べ67億円減少の863億円を支出しました。また、政策保有株式の縮減に向けた取組みを引き続き推進したことにより投資の売却は221億円の収入となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金の支出は前年同期に比べ1,280億円増加の1,805億円となりました。平準化EPSに対する連結配当性向40%以上の配当を継続しており、非支配持分を含めた配当金の支払いは654億円となりました。また、グローバルキャッシュマネジメントシステムの導入に伴い、資金効率が向上したこと等により返済額を下回る調達額に抑制した結果、当年度に有利子負債は964億円減少しました。

 

上記の結果、既存事業への投資と成長投資を進めつつ、安定的かつ継続的な株主還元・有利子負債の圧縮を通して資本構成の安定化を図ることができました。

2022年中計における財務戦略骨子として、「BS(バランスシート)・PF(ポートフォリオ)マネジメントによるキャッシュ創出」により生じる資金を、「成長ドライバー獲得への規律ある投資」と「機動的な株主還元施策」に振り向けていく方針を掲げております。これらの着実な実行により、2024年までの平準化EPS年平均成長率11%以上、2024年時点でのROIC10%以上という財務目標を達成し、企業価値の向上に繋げていきます。

 

②資本政策の基本的な方針

当社は、2022年中計にて策定した資本政策に基づき、事業への資源配分及び株主還元について以下の通り考えております。

事業への資源配分については、ヘルスサイエンス領域を中心とした成長投資を最優先としながら、既存事業の強化・収益性改善に資する投資を行います。また、将来のキャッシュ・フロー成長を支える無形資産(ブランド・研究開発・ICT・人的資本など)及び新規事業創造への資源配分を安定的かつ継続的に実施します。なお、投資に際しては、グループ全体の資本効率を維持・向上させる観点からの規律を働かせます。

株主還元についても、経営における最重要課題の一つと考えており、1907年の創立以来、毎期欠かさず配当を継続しております。「平準化EPSに対する連結配当性向40%以上」による配当を安定的かつ継続的に実施するとともに、自己株式の取得については、追加的株主還元として最適資本構成や市場環境及び投資後の資金余力等を総合的に鑑み、実施の是非を検討していきます。

資金調達については、経済環境等の急激な変化に備え、金融情勢に左右されない高格付けを維持しつつ、負債による資金調達を優先します。中長期的な目標達成に必要とされる投資に係る資金調達により支配権の変動や大規模な希釈化をもたらす資金調達については、ステークホルダーへの影響等を十分に考慮し、取締役会にて検証及び検討を行った上で、株主に対する説明責任を果たします。

 

4 【経営上の重要な契約等】

(協和キリン㈱のアトピー性皮膚炎治療薬「KHK4083」の共同開発・販売に関する契約)

当社の連結子会社である協和キリン㈱(以下「協和キリン」)は、Amgen Inc.(以下「アムジェン」)とヒト型抗OX40モノクローナル抗体KHK4083の自己免疫疾患であるアトピー性皮膚炎等を対象とした共同開発・販売に関する契約を2021年6月1日付で締結しました。なお、本契約は米国の独占禁止法に基づく待機期間が終了したことを受けて、2021年7月31日に発効しております。

 

 KHK4083は協和キリンが保有している「完全ヒト抗体作製技術」と抗体依存性細胞傷害活性(ADCC)を高める「POTELLIGENT®技術」を利用したヒト型抗OX40モノクローナル抗体であり、活性化T細胞を選択的に減少させることが確認されています。現在、G7地域で約3,000万人以上が罹患しているアトピー性皮膚炎を対象として、本剤は米国、欧州、日本で開発が進められており、アトピー性皮膚炎の治療薬としてファーストインクラスになりうる開発品です。2021年2月に中等症及び重症アトピー性皮膚炎患者を対象とした第2相臨床試験の結果が公表されており、今後第3相臨床試験の実施を予定しています。

 

 ADCC活性を高める協和キリンのPOTELLIGENT技術を利用した抗体医薬品は、現在、がんや喘息などの治療分野で応用されています。このADCC活性を高める協和キリンのPOTELLIGENT技術は、多くの製薬会社にもライセンスされています。

 

 今回の契約に基づき、アムジェンは本剤の開発や製造を主導し、協和キリンが単独で販売活動を担当する日本を除き、グローバルでの販売活動を主導します。また、両社は米国において本剤のコ・プロモーションを行い、協和キリンは米国以外(日本を除く欧州及びアジア)においてコ・プロモーションを行う権利を有しています。アムジェンは、協和キリンに400百万ドルの契約一時金、今後最大850百万ドルのマイルストンと全世界での売上に対するロイヤルティーを支払います。両社は、日本を除く全世界での開発費及び米国での販売にかかる費用を折半します。なお、日本を除く全世界の市場における本剤の売上はアムジェンに計上されます。さらにアムジェンは、子会社であるdeCODE Genetics社の独自データを活用し、KHK4083のさらなる開発可能性も検討します。

 

華潤麒麟飲料(大中華)有限公司の株式譲渡について

当社は、華潤創業有限公司との合弁により、中国において水を中心とした飲料事業を展開する華潤怡宝飲料(中国)投資有限公司の持株会社華潤麒麟飲料(大中華)有限公司の持分を、Plateau Consumer Limited (以下「Plateau」)に譲渡することをPlateauと合意し、2022年2月16日、株式譲渡契約を締結しました。

詳細につきましては、「第5 [経理の状況] 1[連結財務諸表等] [連結財務諸表注記] 39.後発事象」に記載のとおりであります。

 

 

 

 

 

 

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループでは、食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV先進企業となることを目指しています。食から医にわたる領域での価値創造に向けては、既存事業の「食領域」(酒類・飲料事業)と「医領域」(医薬事業)に加え、2つの中間領域にあたる「ヘルスサイエンス事業」の立ち上げにつながるイノベーションの創造に取り組んでいます。当社グループの研究開発活動は、キリンホールディングス㈱R&D本部の3研究所及び各事業会社の研究所で行っています。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は696億円です。セグメントごとの主な研究開発成果は以下の通りで、キリンホールディングス㈱R&D本部の研究開発費は<全社(共通)>に含まれています。

 

<国内ビール・スピリッツ事業>

国内ビール・スピリッツ事業は、キリンビール㈱が中心となり原料の選定から最終商品まで開発を一貫して行っています。

フラッグシップブランド「キリン一番搾り生ビール(以下、一番搾り)」をさらにおいしく進化させ、2月にリニューアルしました。今回のリニューアルでは、さらに“一番おいしいビール”を目指し、製造工程を見直しました。「麦のうまみ」をより感じやすくするために仕込条件を最適化したほか、「澄んだ味わい」を引き出すために発酵条件を最適化し、飲みやすく飲み飽きない、当社が目指す“理想のビールのおいしさ”を実現しました。

クラフトビールの新商品である「SPRING VALLEY 豊潤<496>」の缶商品を月に新発売しました。キリンビール㈱は、クラフトビールを通じて日本のビールのおいしさの選択幅を広げ、ビール市場の魅力化につなげることを目指しています。2014年以降、各ブルワリーや飲食店などにおけるクラフトビールの接点拡大を経て、クラフトビールニーズが大きく拡大しております。今回発売する「SPRING VALLEY 豊潤<496>」は、家庭でクラフトビールを楽しんでいただきたいという思いから、缶商品で展開しました。「SPRING VALLEY 豊潤<496>」は、数字の完全数を名前に冠した「496」をベースに誕生した商品です。コンセプトや味のバランスなどはそのままに、豊潤ながらも後味が綺麗で、飲み飽きない味わいを実現しました。

 ノンアルコール・ビールテイスト飲料の機能性表示食品「キリン カラダFREE(キリン カラダフリー)」を3月にリニューアルしました。10年以上かけて開発したビールの原材料でもあるホップから生まれた「熟成ホップエキス」を使用しています。熟成させたホップの苦味成分である「熟成ホップ由来苦味酸」に体脂肪を低減させる効果があり、「お腹まわりの脂肪を減らす」という機能性と、毎日飲み続けられるような爽快な味わいでお客様から高く評価されてきました。今回のリニューアルでは、原材料の配合を見直し、さらにゴクゴク飲める爽快なおいしさと、すっきりとした後味を実現しました。

 「つくりたてのおいしさをお客様にお届けしたい」という思いから生まれた会員制 生ビールサービス「キリン ホームタップ」を21年春より全国に本格展開しました。会員の自宅にビールを月回定期配送して、専用のビールサーバーで楽しんでいただきます。定番ビールには「キリン一番搾り生ビール」最上位ブランドの「一番搾り プレミアム」を採用し、酸素の透過を防ぐ独自のコーティングを施したペットボトルに詰めてお届けしています。ビールサーバーは保冷機能を有しており、クリーミーな泡付けが簡易にできることなど、本格的な生ビール体験のために徹底的にこだわったサービス設計が特長です。「つくりたてのおいしさをお届けする」ことや「ビールサーバーから注ぐ楽しさ」など新たなビール飲用体験のご提供を通じて、ビールの魅力化・ビール市場の活性化に貢献していきます。

 

当事業に係る研究開発費は9億円です。

 

<国内飲料事業>

国内飲料事業は、キリンビバレッジ㈱が中心となり原料の選定から最終商品まで開発を一貫して行っています。

キリンの独自素材「Lactococcus lactis strain Plasma(以下、「プラズマ乳酸菌」)」を配合した「健康な人の免疫機能の維持をサポート」する機能性表示食品「キリン 午後の紅茶 ミルクティープラス」と「キリン 生茶 ライフプラス 免疫アシスト」を、10月に新発売しました。紅茶と緑茶で免疫機能をうたった機能性表示食品は、日本初となります。近年、免疫に対する関心が高まる一方、免疫への関心はあるものの、約70%※1の方が食品やサプリメントの摂取など積極的な行動ができておらず、免疫対策への意識も低いことが分かりました。今回、そういった方々の潜在需要を掘り起こすとともに、日本に“免疫ケア※2”の習慣を広く浸透させるため、お客様の認知が高く日常的にご愛飲いただいている「午後の紅茶」と「生茶」のつの基盤ブランドから「プラズマ乳酸菌」を配合した新商品を発売しました。

キリンホールディングス㈱の独自素材「βラクトリン(ベータラクトリン)」を配合した、加齢に伴って低下する“記憶力を維持する”ことをサポートする機能性表示食品「キリン βラクトリン」を5月に新発売しました。「βラクトリン」は、キリンホールディングスの脳科学の研究において、協和キリン㈱、小岩井乳業㈱との連携の成果として発見された、加齢に伴って低下する記憶力の維持に役立つ乳由来の機能性食品素材です。乳製品を習慣的に摂取することが記憶力などの認知機能の維持に役立つ疫学調査※3に注目し、乳由来「βラクトリン」の脳認知機能維持作用を世界で初めて※4発見しました。カマンベールチーズなどの乳製品に含まれる有効成分「βラクトリン」を発見し、キリンの発酵技術に関する知見により、少量で手軽に効率よく摂れる素材が見出しました。

㈱ファンケル共同開発したフレーバーウォーター「キリン×ファンケル デイリーアミノウォーター」を4月に新発売しました。長年人々の健康や美容に向き合ってきた㈱ファンケルと、おいしくて安全・安心な飲料を提供するキリンビバレッジが、お互いの強みを生かし、新発想の商品を開発しました。昨今の情勢から、昨年の調査では「健康」や「リスクに備えること」の大切さを再認識した方が7割以上にのぼる※5など、お客様の意識や行動に変化が起こっています。ファンケルの「体内効率設計」※6に基づいて、活力のイメージがある2つのアミノ酸「アルギニン」と「シトルリン」に加え、「クエン酸」、「ビタミンC」を配合しています。さらに、キリンビバレッジ㈱の飲料開発技術により、すっきりと爽やかな味わいの飲料が誕生しました。お客様にとって体調管理がより重要になるなか、体内で常に使われていくアミノ酸や水分を毎日こまめに補給するという新しい健康習慣を提案しました。

 

当事業に係る研究開発費は9億円です。

 

※1 2021年5月当社調べ(n=10,000)

※2 生活習慣は規則正しく、バランスの良い食事、十分な睡眠と適度な運動が基本です。

※3 Ozawa M, et al. Am J Clin Nutr. 2013, (5):1076-82

※4 ホエイプロテイン由来のペプチドとしてヒトの記憶力(手がかりをもとに思い出す力)を維持することを世界で初めて発見/Pubmed及び 医学中央雑誌Webに掲載された論文情報に基づく(2021年2月28日現在 ナレッジワイヤ調べ)

※5 出典 2020年 電通 「意識・行動変化」調査

※6 個々の成分の持続性や吸収性はもちろん、互いの機能を高め合う配合バランスなどを研究した、ファンケル独自の成分設計の考え方

 

<オセアニア酒類事業>

オセアニア酒類事業では、LION Pty Ltdで、オーストラリアおよびニュージーランドの市場環境の変化に応じた商品中味や容器開発を、キリンホールディングス(株)の持つ技術を活用しながら取り組みました。

 

当事業に係る研究開発費は0億円です。

 

<医薬事業>

協和発酵キリン㈱グループは、研究開発活動へ資源を継続的かつ積極的に投入しています。多様なモダリティを駆使して画期的新薬を生み出すプラットフォームを築く技術軸と、これまで培った疾患サイエンスを活かしつつ有効な治療法のない疾患に"only-one value drug"を提供し続ける疾患軸の両方を進化させ、競合優位性の高いパイプラインを構築し、Life-changingな価値をもつ新薬をグローバルに展開することを目指しています。

主な後期開発品の各疾患領域における進捗は、次のとおりです。

 

腎領域

RTA402

・1月に日本において常染色体優性多発性嚢胞腎を対象とした第Ⅲ相試験を開始しました。

・7月に日本においてアルポート症候群を対象とした承認申請を行いました。

KHK7791

・4月に日本において血液透析および腹膜透析施行中の高リン血症を対象とした第Ⅲ相試験を開始しました。

 

がん領域

KW-0761(日本製品名:ポテリジオ、欧米製品名:Poteligeo)

・6月に中国において菌状息肉腫およびセザリー症候群を適応症とした承認申請を行いました。

KRN125(日本製品名:ジーラスタ)

・3月に日本において同種末梢血幹細胞移植のための造血幹細胞の末梢血中への動員を適応症とした承認事項一部変更承認申請を行いました。

・8月に日本においてがん化学療法による発熱性好中球減少症の発症抑制を適応症とした自動投与デバイスの承認申請を行いました。

・9月に日本において自家末梢血幹細胞移植のための造血幹細胞の末梢血中への動員を対象とした第Ⅱ相試験を開始しました。

ME-401

・6月に第Ⅱ相国際共同試験において、辺縁帯リンパ腫を対象とした追加群の試験を開始しました。

・8月に再発または難治性の濾胞性リンパ腫および辺縁帯リンパ腫症例を対象としたリツキシマブとの併用療法の第Ⅲ相国際共同試験を開始しました。

 

免疫・アレルギー疾患領域

KHK4083/AMG451

・6月にアムジェン社とアトピー性皮膚炎等を対象とした共同開発・販売に関する契約を締結しました。

KHK4827(日本製品名:ルミセフ)

・12月に日本において全身性強皮症を予定適応症とした承認事項一部変更承認申請を行いました。

 

その他

KRN23(日本製品名:クリースビータ、欧米製品名:Crysvita)

・1月に欧州において腫瘍性骨軟化症を適応症とした生物学的製剤承認一部変更申請が受理されました(2020年12月申請)

・1月に中国においてX染色体連鎖性低リン血症性くる病・骨軟化症を適応症として承認されました。

・3月に中国において腫瘍性骨軟化症を適応症として承認されました。

AMG531(日本製品名:ロミプレート)

・8月に韓国において免疫抑制療法に不応又は免疫抑制療法が適用とならない再生不良性貧血を適応症として承認されました。

 

当事業に係る研究開発費は574億円です。

 

<その他・全社(共通)>

メルシャン㈱は、キリンホールディングス㈱飲料未来研究所と連携しながらワインの研究・技術開発並びに商品開発を実施しています。

ワイン販売量世界No.1ブランド「フランジア」(赤、白、ダークレッド各種容器)の中味を6月にリニューアルしました。「フランジア」は、2008年よりメルシャン藤沢工場(神奈川県藤沢市)にて国内ボトリングを開始し、“フレッシュ&フルーティ”な味わいで、自由なスタイルで気取らずに楽しめるワインとしてお客様に好評いただいています。今回のリニューアルでは、現行のフランジアワインと当社が世界各国から選び抜いたブドウ果汁を国内で醸造したワインとブレンドすることで、「フランジア」の特長である「フレッシュ&フルーティ」な味わいをさらに向上させました。

シャトー・メルシャンは「適地・適品種」の考えのもと、ワイン用ブドウ栽培に適した産地を確保・育成し、その地にふさわしい品種の栽培に取り組んできました。2021年4月にイギリス・ロンドンにて開催された「インターナショナル・ワイン・チャレンジ 2021」にて、「シャトー・メルシャン 笛吹甲州グリ・ド・グリ2019」が日本ワインで唯一となる金賞を受賞しました。「オレンジワイン」カテゴリーにおいて、「オレンジワイン」の世界的な産地として有名なジョージア以外の産地で金賞を受賞するのは、同コンクール史上初の快挙となりました。「シャトー・メルシャン」として、同コンクールにて銀賞6品、銅賞5品とあわせ、計12商品が受賞しました。日本を代表するワイナリーとして、高品質な日本ワインを造り、国内外への情報発信をしていくことで、ブランドの認知拡大を図るとともに、日本ワイン産業の発展に貢献します。

メルシャン㈱八代工場は、焼酎粕を家畜飼料として活用する取組みが評価され、10月に「循環型社会形成推進功労者環境大臣表彰」を受賞しました。2015年より焼酎粕の一部を熊本県内の養豚業者に給餌飼料として提供を開始し、2015年~2020年の6年間で7,158トンの焼酎粕を家畜飼料として利用いただきました。本取り組みを通じ、八代工場からのCO2排出量は222トン低減され、養豚農家の飼料コストも低減されました。東京大学、キリンホールディングス㈱キリン中央研究所との共同研究により、世界で初めて焼酎粕が豚のストレスを低減し、肉質を向上させることも2019年に確認しました。焼酎粕の有効活用に新たな可能性を広げ、循環型社会の形成に貢献していることを評価いただきました。

 

協和発酵バイオ㈱は、「シチコリン」や「ヒトミルクオリゴ糖」をはじめとする、高収益型のプロダクトパイプラインを多数持つグローバル・スペシャリティ発酵メーカーを目指し、長年培ってきた最先端の発酵技術の研究開発に引き続き注力しています。

「シチコリン」については、協和発酵バイオ山口事業所での設備増設工事を開始しました。グローバルな安定供給体制を整えることにより、加齢に伴う脳機能低下予防、集中力やパフォーマンスの向上といったニーズに応えます。

協和発酵バイオ㈱が世界で初めて工業レベルでの生産システムを構築した「ヒトミルクオリゴ糖」については、THAI KYOWA BIOTECHNOLOGIES CO., LTD.での製造設備の新設工事を開始しました。「ヒトミルクオリゴ糖」には新生児の脳の発育を促し、免疫システムの発達に作用するほか、感染への抵抗力を高める働きや、抗炎症の機能があります。また、善玉ビフィズス菌を増やし、腸内環境を改善する効果が報告されています。製造体制構築後に、協和発酵バイオは「ヒトミルクオリゴ糖」の他社への外販を進めるとともに、自社及びグループでの商品開発でも活用していき、「健康」に関する社会課題の解決に貢献します。

 

 キリンホールディングス㈱は、㈱ファンケルと2019年の資本業務提携を契機にさまざまな共同研究を進めています。キリンホールディングス㈱の独自素材である「14-デヒドロエルゴステロール」を含有する白麹菌抽出物を配合した美容液の連用試験を実施したところ、角層中の「アルギナーゼ1」※1量を増加するとともに、幅広い肌老化兆候が改善したことを確認しました。白麹菌抽出物がエイジング世代の肌悩みに対し有効であり、㈱ファンケルの化粧品に配合されました。また、「熟成ホップエキス」については、角質の主な成分であるケラチン膨潤効果、皮脂の酸化防止効果を確認し、角栓のできる要因である角質と皮脂の両方にアプローチすることが明らかになりました。「熟成ホップエキス」は毛穴の状態改善に有効であり、㈱ファンケルの化粧品に配合されました。

 また、ヘルスサイエンス事業の重点領域である「脳機能」について、脳の健康サポートを日常で習慣化する食以外のソリューション提供に向けた研究開発も、異業種の企業・自治体・大学・研究機関などと連携しながら進めています。「笑う門には福来る」と言われるように、古くから、ユーモアや「笑い」は脳や心に良い影響があると考えられていますが、科学的な検証は十分に実施されていませんでした。そこで、吉本興業㈱、静岡県浜松市、学校法人近畿大学と連携し、「笑い」が脳や心の健康に及ぼす効果を検証したところ、「笑い」が脳血流の増加を促し、集中力を向上させることや、ストレス反応を改善することを、臨床研究で確認しました。本研究成果を活用し、「脳の健康」をサポートする毎日気軽に続けやすい新サービスの開発を目指していきます。

 

その他の事業及び全社(共通)に係る研究開発費は104億円です。

 

※1 たんぱく質の一種で、シミの原因となる活性酸素の発生を抑え、メラニン産生が起こらないようにバランスを調整し、シミを防ぐ力がある酵素。肌表面に多く局在する。身体の炎症時に増加し、正常化させる機能を持つ。ファンケルでは、長年研究を行い、① 紫外線による皮膚の赤み増加を抑制、②メラニン刺激因子やコラーゲン分解酵素を抑制、③酸化によるバリア機能の低下や炎症の拡大を抑制、④糖化物によるダメージや老化抑制、の四つの働きについて解明している。