文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは『自然との調和を大切に、発酵やバイオの技術を通じて人間の健康的な暮らしと生き生きとした社会づくりに貢献します。』という企業理念のもと、技術力、商品力、ブランド力をさらに向上させ、「和酒・日本食市場」「ライフサイエンス産業」における多様な価値を提供することで、宝グループの国内外での存在感を高めながら、持続的な成長と飛躍を実現することを目指しております。
(2)経営戦略、経営環境、優先的に対処すべき事業上・財務上の課題および経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループを取り巻く環境は、国内では高齢化・人口減少や若年層の飲酒離れによる酒類市場の長期的な縮小や、人材確保難による人件費、物流費の高止まりが続くなど、今後も厳しさを増してくることが予想されます。また、海外においても、中東情勢の緊迫化や米中の通商問題等に起因する緊張の増大と、世界的な人口増加による食料、資源価格の高騰は今後も続くものと想定されます。さらに新型コロナウイルス感染症による様々な影響への継続的な対応も求められます。
一方で、国内のRTD市場では厳しい競争下ながらも市場の拡大が見込まれ、世界的な和酒・日本食市場は引き続き成長が期待されるほか、再生・細胞医療周辺産業やバイオ産業の市場規模は長期的な拡大が予想されており、当社グループにとって成長を見込める機会も数多く存在しています。また、様々な社会・環境課題への対応が世界的規模で求められ、持続可能な社会づくりに向けた企業の責任はますます大きくなってきています。
このような状況を踏まえ、当社グループでは昨年5月、2026年3月期を最終年度とする長期経営構想「TaKaRa Group Challenge for the 100th」を、またその実行計画の第1ステップとして「宝グループ中期経営計画2022」を策定いたしました。
「宝グループ中期経営計画2022」の概要は以下のとおりであります。
「宝グループ中期経営計画2022」
基本方針
環境変化の兆しを掴みとり、強化すべき領域へ適切な経営資源の配分と投下を行い、収益力を高める多様な「価値」を生み出し続ける事業構造とグローバルなコーポレート機能の再構築を推し進めることで、国内外での持続的な成長の実現とグループの企業価値向上に向けて足元を固める。
定量目標
2023年3月期 宝グループ連結
・売上高 3,000億円以上
・営業利益 174億円以上
・海外売上高比率 39%以上
・ROE 7%以上
事業戦略
<宝酒造>
利益・利益率最優先の戦略へと転換し、和酒No.1企業としての市場支配力を活かしながら、各カテゴリー戦略の実行と、全社一体となったコスト削減と効率化の徹底によって、利益を創出し続ける企業体質へと進化する。
<宝酒造インターナショナルグループ>
国内外のグループ会社との連携をさらに強めることで、グローバル和酒No.1の地位盤石化と海外日本食材卸事業における商品調達力などの事業基盤強化を進め、世界の和酒・日本食におけるリーディングカンパニーに向けて着実に前進する。
さらに宝酒造と宝酒造インターナショナルグループにおいては、両者の協業をこれまで以上に推進し、輸出商品の開発と国内外への情報発信を強化することで、松竹梅を中心とした宝の和酒のグローバルブランド化を進めてまいります。
<タカラバイオグループ>
「研究用試薬・理化学機器事業」と「CDMO事業」の両輪で持続的に成長するとともに、将来の飛躍的成長に向けて、創薬アライアンスの加速と臨床開発プロジェクトの新規創出をはかる。
財務方針
・健全な財務体質の維持をベースに、投資効率の向上を意識した成長投資を行うとともに、収益性や効率性を改善し、ROEの向上をはかる。
・持続的な利益成長を踏まえた適切な株主還元を実施する。
中期経営計画2年目の取り組み
当社グループは、安定した事業と成長性のある事業を併せ持つ当社独自の事業ポートフォリオにおいて、それぞれの事業がしっかりと自立してグローバルに展開していくこと、そしてコロナ禍において各事業で顕在化した弱みに速やかに対処し、本来の強みを伸ばすことで、環境変化に強い事業基盤の構築を目指してまいります。
<宝酒造>
新型コロナウイルス感染症の影響が継続することを前提とし、業務用向けには依然として厳しい状況が続くものの、家庭用向けの需要増を捉えることで売上高を拡大するとともに、商品ミックスの改善に向けた商品開発・育成による利益率向上や、コスト削減に引き続き取り組むことで、利益を創出し続ける企業体質へと進化していきます。
<宝酒造インターナショナルグループ>
新型コロナウイルス感染症の影響は一進一退を繰り返しながらも段階的に回復していくという想定のもと、小売店向けの販路拡大やネット販売などチャネルの多角化への取り組みにより事業体質を強化するとともに、徹底的な販売費及び一般管理費の抑制に努めることで、成長軌道への早期回復を図ります。
<タカラバイオグループ>
新型コロナウイルスのPCR検査関連製品の安定的な供給や、ワクチンを含む再生医療等製品の製造体制整備に積極的に取り組むとともに、一般向け研究用試薬やCDMOサービス、遺伝子医療プロジェクトの推進にさらに注力することで、将来の飛躍的成長に繋げていく方針です。
グループ全体の経営を統括する当社は、グローバルに展開するグループ経営をリードし、国内外での事業成長を支えるためのコーポレート機能強化と効率性の向上を推進し、環境変化に強いグループとしての経営基盤の礎を築いてまいります。
なお、当社グループを取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症により大きく変化いたしました。一方、欧米で先行しているワクチン接種による効果や治療薬の開発が期待され、ウィズコロナの生活様式や経済活動も浸透しつつあります。現時点で新型コロナウイルス感染症の収束に関する予測は困難であり、上記の中期経営計画の定量目標については、見直しを行っておりません。
また、長期経営構想の策定に合わせ、社会・環境課題に対する当社グループの考え方を示す「宝グループ・サステナビリティ・ポリシー」を策定しております。「宝グループ・サステナビリティ・ポリシー」では、当社グループを取り巻く社会課題について、ステークホルダーからの期待度と当社グループの事業への影響度を考慮し、「安全・安心」をはじめとする10の重要課題(マテリアリティ)を取り上げ、持続可能な社会へ貢献するための取り組み方針を示しています。さらに本年6月には、その方針に基づく具体的な中期目標を設定した「宝グループ・サステナビリティ・ビジョン」を公表し、目標の実現に向けて、取り組みを一層強化してまいります。
当社グループは、これからも事業活動を通じた社会的価値の創造により、ステークホルダーの皆様から信頼される企業グループを目指すとともに、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
記載の数値目標は、当連結会計年度末時点で入手可能な情報および合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を保証するものではありません。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の対応に努める所存であります。
なお、記載中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。また、以下の記載事項は投資判断に関連するリスクすべてを網羅するものではありませんのでご留意下さい。
(1) 消費者の嗜好及び需要動向の変化について
宝酒造の売上高の大部分は、日本国内のものであり、その市場は、消費者の嗜好の変化の影響を受けやすいものであります。同社は、消費者の嗜好の変化を捉えた商品の開発や、他社商品と差異化を図った独創的な商品の開発に注力しておりますが、消費者の嗜好の多様化が進み、消費動向の変化が加速しております。そのため、今後同社が消費者の嗜好や市場の変化を捉えた魅力的な商品を提供できない場合は、将来の成長性や収益性を低下させる可能性があります。また日本国内の人口減少や、少子化、高齢化の進行は酒類の需要の減少を招き、経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。同社では、消費者ニーズの変化に柔軟に対応し、差異化された高付加価値商品の開発を促進するため、技術部門と商品企画・育成部門が一体となった組織へと再編を行いました。
(2) 競合について
①宝酒造
日本国内の酒類・調味料市場では、市場全体の伸びが鈍るなか、商品開発やマーケティング戦略など、競合各社との競争が激化しております。競争の激化は売上の減少や利益率の低下を招き、経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。宝酒造では、独自の技術で差異化された商品の開発・育成や、ブランド力強化、流通業態の変化に対応した販売活動、そしてこれらを支える原資を得るため徹底的なコストダウンに取り組んでおります。
②宝酒造インターナショナルグループ
海外酒類事業では、ウイスキー市場においては世界中に多くの強豪メーカーが存在するほか、清酒をはじめとする和酒市場においても、海外現地生産および日本生産の輸出メーカーなど多くの競合各社との競争が激化しております。また、海外日本食材卸事業においても、海外での和酒・日本食市場がコロナ禍による一時的停滞はあったものの、トレンドとしては拡大が見込まれる一方で、同事業への参入障壁が低いことから競合の状況は激化しております。競合各社に勝る競争力を維持できない場合には、経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。宝酒造インターナショナルグループでは、宝酒造との協業により同社の技術力を生かした魅力的な商品の開発・育成やブランド力の強化に取り組んでおります。またグループシナジーを生かした共通購買などの商品調達力強化や、強みであるレストラン向けに加えて販売チャネルの多角化へも取り組んでおります。
③タカラバイオグループ
タカラバイオグループは、財務的な一定の基盤、アジア市場における確固としたプレゼンスおよび保有技術の幅広いラインアップを有する独自の産業的地位を占めていると考えております。しかしながら、試薬や理化学機器の製造・販売には医療機器のような許可や承認を必要としないことから、特許等による障壁がない場合、これらの事業への参入は比較的容易であり、多数の競合企業が存在しております。
また、遺伝子医療分野においては、技術的進展により、安全性が高く治療成績に優れる治療薬が開発され、海外で製造販売承認が得られはじめています。当分野の市場規模の拡大を背景として、欧米のバイオベンチャーやメガファーマ等、多数の企業が遺伝子治療の研究開発に取り組んでおります。
このような環境の中、同グループは、独自もしくは大学等の外部団体と協力して、技術や製品を開発しておりますが、他社が類似の製品や技術分野で先行した場合、当社グループの製品開発や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクを踏まえ、同グループは開発した技術や製品を可能な限り知的財産により保護することにより、独占化あるいは差異化をはかるとともに、コストダウンの推進および製造体制の強化により、価格競争力の維持を図ってまいります。
(3) 製造に関する依存について
①宝酒造
宝酒造の酒類製品の大部分は、伏見工場(京都市伏見区)および松戸工場(千葉県松戸市)で製造しております。これらの地域において大規模な地震やその他の操業を中断する事象が発生した場合、同社の商品の生産、供給能力が著しく低下し、経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。同社では全社及び拠点毎の事業継続計画(BCP)を整備し、安定した生産・供給に努めております。また楠工場(三重県四日市市)も含めた相互応援体制による、フレキシブルな生産体制を構築しております。
②タカラバイオグループ
タカラバイオグループの主力製品である研究用試薬は、その大半を中国の子会社である宝生物工程(大連)有限公司で製造しており、当該子会社の収益動向の変化や、何らかの理由による事業活動の停止等により、事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクを踏まえ、効率性向上とリスク低減のバランスを考慮しつつ、国内を含めたグローバルで多極的な製造・研究開発体制を整備しております。
(4) 原材料価格の変動について
宝酒造の原材料の調達については、調達先の国又は地域の天候や経済状況の影響を間接的に受ける可能性があります。焼酎等の原料である粗留アルコールは主に南米やアジア地域の、また清酒等の原料米は主に日本の天候、原料相場の影響を受けます。原材料の調達価格の高騰は製造コストの上昇に繋がり、また市場の状況等により販売価格に転嫁できない場合には、経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。宝酒造では原材料の調達先の多様化により安定的かつ有利な条件での調達を図り、一方で技術革新による原価の低減に取り組んでおります。
(5) 特有の法的規制について
①宝酒造
宝酒造は、日本国内において酒税の賦課徴収、酒類の製造免許および販売業免許等について定める酒税法の規制を受けております。同社は酒税法に基づき、販売業免許のほか、種類別、製造場ごとに所轄税務署長の製造免許を取得しております。今後の事業展開においても酒税法の規制を受けるほか、酒税の税率の変更によって酒類の販売価格、販売動向等に影響を受ける可能性があります。同社は酒税法などの法令遵守はもとより、酒税法の改正等に機動的に対応し、必要に応じて商品戦略の見直しを図るなどの対策を実行いたします。
②宝酒造インターナショナルグループ
宝酒造インターナショナルグループでは、事業を展開する各国において、事業・投資の許可、国家安全保障又はその他の理由による輸出制限、関税をはじめとするその他の輸出入規制等、様々な政府規制の適用を受けております。また、通商、独占禁止、特許、消費者、租税、為替管制、運輸、人権、環境・リサイクル関連の法規制の適用も受けております。これらの規制を遵守できなかった場合、同グループの活動が制限される可能性があり、また遵守することによるコストの増加につながる可能性があります。同グループでは法令遵守のもと、これらの影響を軽減する対策を実施いたします。
③タカラバイオグループ
タカラバイオグループの研究開発を進めるにあたっては、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律や遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(以下、「カルタヘナ法」という。)等の関連法規の規制を受けており、同グループは当該法規制を遵守していく方針であります。
また、同グループが開発中の遺伝子治療薬は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律、再生医療等の安全性の確保等に関する法律、カルタヘナ法等関連法規の規制を受けており、これらの関連法規は、医薬品、再生医療等製品、医薬部外品、特定細胞加工物、化粧品および医療機器の品質、有効性および安全性の確保を目的としており、商業活動のためには所轄官公庁の承認または許可が必要になります。同グループが研究開発を進めている個々のプロジェクトについて、かかる許認可が得られなかった場合には、同グループの事業戦略に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 飲酒に対する社会的規制について
酒類は人々の生活に豊かさと潤いを与えるものである一方で、不適切な飲酒はアルコール健康障害の原因となり、アルコール健康障害は、本人の健康の問題であるのみならず、その家族への深刻な影響や重大な社会問題を生じさせる危険性が高いことが指摘されております。これらのアルコールに関連する諸問題が社会的に一層深刻となった場合には、酒類の製造、販売に何らかの影響、規制が及ぶ可能性があり、経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。宝酒造および宝酒造インターナショナルグループでは、これらの指摘を認識したうえで、酒類の製造、販売を行う企業として、人々の健康を維持増進し、社会的責任を果たす観点から、当社グループが定めた「責任ある飲酒に関する基本方針」に基づき、適正飲酒の啓発をはじめ様々な取り組みを行っております。
(7) 研究開発活動について
バイオテクノロジーに関連する産業は、遺伝子治療等の再生医療等製品分野、基礎研究や創薬等を目的とした大学、公的研究機関や企業、検査会社を直接のターゲット市場とする研究支援分野、その他、環境・エネルギー・食品・情報分野まで多岐に渡ります。
このような状況の中、タカラバイオグループにおいて競争優位性を維持していくためにも、広範囲にわたる研究開発活動は非常に重要であると考えております。しかしながら、研究開発活動は計画どおりに進む保証はなく、特に遺伝子医療分野における臨床開発は長期間を要するため、研究開発活動の遅延により、同グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、バイオテクノロジー業界を取り巻く経営環境の変化は激しく、同グループの事業環境は新たな技術革新や新規参入者等により大きな影響を受ける可能性があることから、現在推進している研究開発活動から必ずしも期待した効果を得られる保証はなく、計画する収益を獲得出来ない可能性があります。
(8) 知的財産権について
タカラバイオグループは、研究開発の成否がそのまま事業開発の成否につながるバイオテクノロジー関連産業において、競合他社を排除するため、自社の技術を特許で保護しております。また同グループは研究開発を進めていくにあたって、特許出願・権利化を第一に考え対応していく方針であります。しかしながら、出願した特許がすべて登録されるとは限らず、また、登録特許が無効となる、消滅する等した場合には、同グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、同グループは今後の事業展開の中で、必要な他者特許については取得またはライセンスを受ける方針でありますが、このために多大な費用が発生する可能性があります。また、必要な他者特許が生じ、そのライセンスが受けられなかった場合には、同グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 固定資産の減損処理について
当社グループでは、のれんを含む多額の有形・無形固定資産を保有しておりますが、経営環境の急変等により固定資産の減損に係る会計基準に基づき減損損失を計上した場合には、経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは一定の投資に際しては取締役会等の承認を得ることとしており、投資効果の判定にはNPV法に基づくハードルを設定し、進捗を毎期検証しております。また、減損の兆候を早期に把握する体制を構築しております。
(10)為替レートの変動について
当社グループが事業を展開する日本国外の各地域における売上高、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成のために円換算されております。これらの項目は、換算時の為替レートにより財務諸表計上額が影響を受ける可能性があります。また、輸入による商品仕入れ、原材料の調達あるいは製品輸出を外貨建てで行う場合は為替レートの変動により経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、為替変動リスクに備えるため通貨オプション、為替予約などのヘッジ取引を行い、為替レートの中・短期的な変動による影響を最小限にするよう努めております。また円安、円高どちらに進行しても損益が相殺しあうような外貨建て取引のポジションを有しております。
(11)製造物責任について
当社グループが開発、製造する全ての商品について製造物責任賠償のリスクが内在しています。特に、酒類、食品、医薬品、医療機器、再生医療等製品、臨床試験に使用される治験薬などについては、製造、販売、臨床試験において瑕疵が発見され、健康障害等を引き起こしたりした場合には製造物責任を負う可能性があります。また、大規模な製品回収や製造物責任賠償は、多額のコストが発生するうえに、当社グループの評価に重大な影響を与え、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクに備えるため、製造物責任賠償保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。当社グループでは、法令遵守に加え徹底した品質管理とリスク管理体制の構築に取り組んでおります
なお、宝酒造で製造・販売する一部製品の自主回収を実施し、2021年5月20日に開示しております。本件の影響額等につきましては「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」に記載しております。
(12)情報・システムの管理について
当社グループは、事業に関連して多数のITシステムを活用し、個人情報を含む膨大な情報を管理しております。これら社内情報の紛失、漏洩、改ざんなどが起こった場合は業務への支障、対応コストに加えレピュテーションリスクが生じる可能性があります。またシステム不具合あるいはサイバーテロにより、一定期間業務の遂行が不可能になった場合は事業活動の継続に影響を及ぼす可能性があります。デジタルトランスフォーメーションの進展や、在宅勤務の拡大によりこれらのリスクは拡大しております。当社グループでは「情報管理規程」「ITセキュリティポリシー」を定め、リスクへの対応を強化しております。
(13)訴訟について
当社グループでは、事業の遂行にあたり各種法令および規制等に違反しないようコンプライアンス活動を強化するなど最善の努力をしております。しかしながら、国内外において事業活動を遂行していくうえで、当社グループおよびその従業員が法令等に対する違反の有無にかかわらず、製造物責任法や知的財産権、発明対価請求などの問題において訴訟提起される可能性を抱えています。万が一当社グループが訴訟を提起された場合、また不利な判決結果が生じた場合は、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは法令遵守を徹底するとともに、重要な契約の締結に際しては法務部門、外部専門家の助言、チェックを受ける体制を構築しております。
(14)自然災害について
暴風、地震、落雷、洪水等の自然災害、火災等の事故災害や感染症の世界的流行(パンデミック)が発生した場合、災害による物的・人的被害により、当社グループの営業活動に支障が生じる可能性があります。このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、発生時の損害の拡大を最小限におさえるべく、点検・訓練の実施、連絡体制・事業継続計画(BCP)の整備に努めております。
(15)新型コロナウイルス感染症による影響の長期化について
2022年3月期の業績予想につきましては、新型コロナウイルス感染症による影響が一定程度続くことを前提としておりますが、これが想定以上に長期化した場合には、外食産業が主要な取引先である海外日本食材卸事業を中心に大きな影響が出る可能性があります。当社グループでは、複数の自立した事業をグローバルに展開している当社グループの強みを生かし、新型コロナウイルス感染症の影響下においても利益計画を達成できるよう、徹底的なコストカットや販売チャネルの多角化などに取り組んでおります。また緊急時の事業継続のため十分な手元資金を確保するとともに、各事業拠点での感染防止対策の強化と在宅勤務制度の整備・推進に取り組んでおります。
当社では、当社社長を委員長とする「リスク・コンプライアンス委員会」が当社グループのリスク管理全体を総括し、同委員会の監督のもと、各担当部門において「法・社会倫理」「商品の安全と品質」「安全衛生」その他当社グループを取り巻くリスクを防止・軽減する活動に取り組んでおります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、緊急事態宣言の発出などにより個人消費も影響を受けるなど、総じて低調に推移いたしました。海外においても新型コロナウイルス感染症の爆発的流行に加え、米中貿易摩擦の長期化、英国のEU離脱等の影響により世界経済の先行きは不透明な状況が続いております。
このような経済状況の中、当社グループは、2020年5月に公表した長期経営構想「TaKaRa Group Challenge for the 100th」の実行計画の第1ステップとしての「宝グループ中期経営計画2022」に取り組んでまいりました。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高278,443百万円(前期比99.0%)、売上総利益115,594百万円(前期比106.4%)、営業利益21,595百万円(前期比136.4%)、経常利益21,929百万円(前期比134.8%)、親会社株主に帰属する当期純利益10,574百万円(前期比117.7%)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
〔宝酒造〕
国内の人口減少や高齢化の影響などからアルコールの総消費数量は減少傾向が続く中、コロナ禍による料飲店等の営業自粛に伴う外食需要の低迷と、いわゆる巣ごもり需要とによりカテゴリー間で大きなばらつきがありました。このような状況のもと、宝酒造は、新型コロナウイルス感染症の感染予防、拡大防止を最優先しつつ、食品メーカーとして安全・安心な商品を安定的に供給することに努めました。また、コロナ禍による消費行動の変化に迅速に対応する生産活動、営業活動に取り組みました。
当セグメントのカテゴリー別の売上状況などは次のとおりであります。
焼酎では、本格焼酎の“全量芋焼酎「一刻者」”などが料飲店の営業自粛で大きく影響を受けましたが、甲類焼酎の大容量製品や“極上<宝焼酎>”などで家庭内需要の増加を取り込むことができ好調に推移し、焼酎全体では若干の減収に収まりました。清酒では、業務用ルート専売の“松竹梅「豪快」”が大きく減少し、“松竹梅「天」”、“松竹梅白壁蔵「澪」スパークリング清酒”なども減少したため、清酒全体では減収となりました。ソフトアルコール飲料では、辛口チューハイ“タカラ「焼酎ハイボール」”が家庭内需要増加の影響もあり、引き続き好調に推移いたしました。また、こだわりのレモンサワー“寶「極上レモンサワー」”も規模は小さいながら、大きく伸長し、ソフトアルコール飲料全体では増収となりました。調味料では、本みりんが減少したため、料理清酒やその他調味料などが健闘いたしましたが、調味料全体ではわずかながら減収となりました。原料用アルコール等では、消毒用需要の急増に応え生産量を増やして供給に努めたこと等により、増収となりました。
以上の結果、宝酒造の売上高は、152,537百万円(前期比99.6%)となりました。売上原価は、徹底的なコスト削減に取り組んだものの、売上高に準じた減少にとどまり、92,439百万円(前期比99.6%)となり、売上総利益は、60,098百万円(前期比99.6%)となりました。販売費及び一般管理費は、コロナ禍で販売活動が制限されたことに加え諸経費の節減にも努めたため、55,218百万円(前期比98.4%)と減少し、営業利益は、4,879百万円(前期比116.9%)と増益となりました。
〔宝酒造インターナショナルグループ〕
宝酒造インターナショナルグループは、日本からの酒類の輸出や海外各地で酒類の製造・販売を行う海外酒類事業と海外の日本食レストランや小売店に日本食材などを販売する海外日本食材卸事業を展開しており、新型コロナウイルス感染症の拡大による主要都市のロックダウンなどの影響を大きく受けました。グループ会社の一部では地方政府等の指示を受け、工場の操業停止や出社の抑制を実施したことに加え、主要な得意先であるレストランの営業停止などにより業績は大きく落ち込みました。
当セグメントの売上状況などは次のとおりであります。
海外酒類事業
海外では、ウイスキーはプレミアムバーボン“ブラントン”が好調に推移し、ウイスキー原酒も売上を伸ばしました。一方清酒など和酒の売上がコロナ禍の影響を大きく受け減少し、日本からの輸出も減少したため、海外酒類事業の売上高は10,340百万円(前期比91.0%)となりました。
海外日本食材卸事業
最もコロナ禍の影響を受けた当事業では、レストランの営業停止等の事業環境の変化に対応し、デリバリーやテイクアウトへの対応商品の提案に加え、小売店向けの販売強化やネット販売の拡大などに努めました。しかしながら地域による差はあったものの総じて販売は低調に推移し、海外日本食材卸事業の売上高は60,517百万円(前期比82.5%)となりました。
以上の結果、セグメント内取引消去後の宝酒造インターナショナルグループの売上高は、69,589百万円(前期比84.1%)となりました。売上原価は、在庫管理の徹底などにより48,983百万円(前期比83.2%)にとどまりましたが、売上の減少により売上総利益は、20,605百万円(前期比86.3%)となりました。販売費及び一般管理費は、人件費や物流費、販売促進費などの削減により19,562百万円(前期比96.1%)となり、営業利益は、1,043百万円(前期比29.5%)と大幅な減益となりました。
〔タカラバイオグループ〕
タカラバイオグループは、研究用試薬・理化学機器事業とCDMO事業を通じ、バイオ創薬基盤技術開発を進め、新モダリティを継続的に創出する創薬企業を目指した取り組みを推進しました。また、新型コロナウイルスのPCR検査関連製品の安定的な供給や、ワクチンを含む再生医療等製品の製造体制整備等に積極的に取り組みました。
バイオテクノロジー関連分野の研究開発活動がますます広がりを見せるなか、タカラバイオグループは、こうした研究開発活動を支援する製品・商品やサービスを中心に展開するバイオ産業支援事業をコアビジネスと位置づけております。また、遺伝子医療事業では、がん等の疾患を対象とし、腫瘍溶解性ウイルスcanerpaturev(略称C-REV)や、独自技術である高効率遺伝子導入技術レトロネクチン法、高効率リンパ球増殖技術であるレトロネクチン拡大培養法、siTCR®技術を使用した遺伝子改変T細胞療法等の遺伝子治療の臨床開発を進めております。
タカラバイオグループの売上高は、遺伝子医療が前期比で減少したものの、研究用試薬、理化学機器、受託サービスが前期比で増加いたしました。研究用試薬および理化学機器では新型コロナウイルスのPCR検査関連製品が増加の一因となりました。
以上の結果、売上高は、46,086百万円(前期比133.3%)となりました。売上原価は、売上構成の変化や生産稼働率の向上等により原価率が低下し、14,214百万円(前期比105.6%)となりましたので、売上総利益は、31,872百万円(前期比151.0%)となりました。販売費及び一般管理費は、研究開発費等が増加し、17,919百万円(前期比120.8%)となり、営業利益は、13,952百万円(前期比222.4%)と大幅な増益となりました。
〔その他〕
その他のセグメントは、不動産賃貸事業や国内グループ会社の物流事業などであります。当セグメントの売上高は、29,238百万円(前期比91.9%)となりました。売上原価は、25,558百万円(前期比92.2%)となり、売上総利益は、3,680百万円(前期比90.5%)となりました。販売費及び一般管理費は、1,876百万円(前期比91.6%)となり、営業利益は、1,803百万円(前期比89.3%)となりました。
② 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は183,108百万円となり、前連結会計年度末に比べ14,287百万円増加いたしました。これは主に手元資金を厚くするため有価証券を現金化したことや借入などで現金及び預金が18,973百万円増加したことによるものであります。
固定資産は123,810百万円となり、前連結会計年度末に比べ8,748百万円増加いたしました。これは主にTakara Bio USA, Inc.の新事業所用土地・建物を取得したことなどにより有形固定資産が4,905百万円 、時価の上昇などにより投資有価証券が6,203百万円それぞれ増加し、のれんの減少などにより無形固定資産が2,811百万円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は、306,918百万円となり、前連結会計年度末に比べ23,036百万円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は56,269百万円となり、前連結会計年度末に比べ802百万円増加いたしました。これは主に未払法人税等が2,135百万円、流動負債のその他が2,933百万円それぞれ増加し、1年内償還予定の社債が5,000百万円減少したことによるものであります。
固定負債は59,113百万円となり、前連結会計年度末に比べ12,027百万円増加いたしました。これは主に長期借入金が10,017百万円、繰延税金負債が2,252百万円それぞれ増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は、115,383百万円となり、前連結会計年度末に比べ12,830百万円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は191,535百万円となり、前連結会計年度末に比べ10,206百万円増加いたしました。これは主に利益剰余金が6,619百万円、時価の上昇によりその他有価証券評価差額金が4,245百万円それぞれ増加し、円高により為替換算調整勘定が1,738百万円減少したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は、51.1%(前連結会計年度末は52.1%)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益20,583百万円、減価償却費8,068百万円、未払消費税等の増加1,722百万円、その他流動負債の増加2,442百万円、法人税等の支払額4,767百万円などで27,100百万円の収入と前年同期に比べ15,355百万円の収入増加となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の預入による支出4,316百万円、定期預金の払戻による収入5,407百万円、有価証券の売却及び償還による収入4,455百万円、有形及び無形固定資産の取得による支出13,911百万円、補助金の受取額1,900百万円などにより6,738百万円の支出と前年同期に比べ3,047百万円の支出増加となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入10,068百万円、社債の償還による支出5,000百万円、配当金の支払額3,951百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出1,761百万円などにより1,506百万円の支出と前年同期に比べ10,147百万円の支出減少となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物に係る換算差額を含めた当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より18,319百万円増加し、62,860百万円となりました。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度(2020年4月1日~2021年3月31日)の生産実績をセグメントごとおよび品種別に示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
|
|
品種 |
||
|
宝酒造 |
|
|
|
|
|
焼酎 |
48,078 |
98.2 |
|
|
清酒 |
17,288 |
84.7 |
|
|
ソフトアルコール飲料 |
47,638 |
108.7 |
|
|
その他酒類 |
4,201 |
90.2 |
|
|
本みりん |
13,379 |
94.9 |
|
|
その他調味料 |
10,546 |
100.7 |
|
|
計 |
141,134 |
99.1 |
|
宝酒造インターナショナルグループ |
5,518 |
74.7 |
|
|
タカラバイオグループ |
|
|
|
|
|
研究用試薬 |
17,131 |
180.4 |
|
|
理化学機器 |
211 |
135.3 |
|
|
受託サービス |
8,253 |
132.6 |
|
|
遺伝子治療 |
269 |
45.6 |
|
|
計 |
25,865 |
157.0 |
|
報告セグメント計 |
172,518 |
103.7 |
|
|
その他 |
1,618 |
82.6 |
|
|
合計 |
174,136 |
103.5 |
|
(注)1.金額は酒税込み、消費税等抜きの販売価格によっております。
2.宝酒造の原料用アルコール等は、大部分が酒類等の原料として使用されていること、また、販売実績に対応する生産実績を正確に把握することが困難であることから記載を省略しております。
b.商品仕入実績
当連結会計年度(2020年4月1日~2021年3月31日)の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
宝酒造 |
659 |
80.1 |
|
宝酒造インターナショナルグループ |
43,416 |
79.8 |
|
タカラバイオグループ |
3,873 |
112.1 |
|
報告セグメント計 |
47,949 |
81.7 |
|
その他 |
9,643 |
89.0 |
|
合計 |
57,593 |
82.8 |
(注)金額には消費税等は含まれておりません。
c.受注実績
タカラバイオグループにおいて受託サービスを行っていることから、一部受注生産を行っておりますが、ほとんどの場合生産に要する期間が短いこと、かつ、受注残高が僅少であることから記載を省略しております。
d.販売実績
(a) 品種別販売実績
当連結会計年度(2020年4月1日~2021年3月31日)の販売実績をセグメントごとおよび品種別に示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
|
|
品種 |
||
|
宝酒造 |
|
|
|
|
|
焼酎 |
48,631 |
97.8 |
|
|
清酒 |
17,706 |
86.4 |
|
|
ソフトアルコール飲料 |
47,154 |
109.3 |
|
|
その他酒類 |
5,573 |
88.8 |
|
|
本みりん |
13,367 |
95.6 |
|
|
その他調味料 |
10,441 |
101.1 |
|
|
原料用アルコール等 |
9,663 |
105.2 |
|
|
計 |
152,537 |
99.6 |
|
宝酒造インターナショナルグループ |
|
|
|
|
|
海外酒類 |
10,340 |
91.0 |
|
|
海外日本食材卸 |
60,517 |
82.5 |
|
|
その他 |
57 |
27.9 |
|
|
グループ内連結消去 |
△1,326 |
- |
|
|
計 |
69,589 |
84.1 |
|
タカラバイオグループ |
|
|
|
|
|
研究用試薬 |
35,189 |
141.7 |
|
|
理化学機器 |
1,726 |
139.0 |
|
|
受託サービス |
8,901 |
143.9 |
|
|
遺伝子治療 |
268 |
11.7 |
|
|
計 |
46,086 |
133.3 |
|
報告セグメント計 |
268,213 |
99.2 |
|
|
その他 |
29,238 |
91.9 |
|
|
セグメント計 |
297,451 |
98.4 |
|
|
事業セグメントに配分していない収益およびセグメント間取引消去 |
△19,007 |
- |
|
|
合計 |
278,443 |
99.0 |
|
(注)販売金額には酒税を含んでおりますが、消費税等は含まれておりません。
(b) 相手先別販売実績
主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
国分グループ本社株式会社 |
34,502 |
12.3 |
35,067 |
12.6 |
(注)販売金額には酒税を含んでおりますが、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積もりに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」、「同(重要な会計上の見積り)」および「同(追加情報)」に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、セグメントごとに大きな変動がありました。セグメント別経営成績については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。
宝酒造グループでは、外食需要の低迷と家庭内需要の増加を受け、カテゴリー間の増減はありましたが、ほぼ前連結会計年度並みの売上高となり、販売費及び一般管理費の削減により増益となりました。コロナ禍にあって営業活動が制限を受け、消費動向が大きく変化するなかで、徹底的なコストカットと変化する消費ニーズに迅速に対応いたしました。
コロナ禍の影響を最も受けた宝酒造インターナショナルグループでは、主力のレストラン向け売上がロックダウン等の影響もあり大きく減少し、デリバリーやテイクアウトへの対応や小売店向けの販売強化に努めましたが、大幅な減収・減益となりました。
一方、タカラバイオグループでは新型コロナウイルスのPCR検査関連製品が大幅に増加し、生産稼働率の向上もあいまって大幅な増収・増益となりました。
以上の報告セグメントにその他のセグメントを加えた当社グループの売上高は278,443百万円(前期比99.0%)と若干の減収となりましたが、利益率の高いタカラバイオグループの伸長により、売上総利益は115,594百万円(前期比106.4%)、営業利益は21,595百万円(前期比136.4%)、経常利益も21,929百万円(前期比134.8%)の増益となりました。特別損益では投資有価証券売却益が前連結会計年度から大きく減少したことなどにより、税金等調整前当期純利益は20,583百万円(前期比131.6%)となり、大幅増益のタカラバイオグループにかかる非支配株主に帰属する当期純利益が増加したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は10,574百万円(前期比117.7%)となりました。
以上の結果、ROEは6.9%となり、前連結会計年度より0.8ポイント向上しましたが、海外売上高比率は34.1%となり、前連結会計年度より2.2ポイント低下いたしました。
イ.経営成績に重要な影響を与える要因
宝酒造では、高齢化・人口減少や若年層の飲酒離れの影響などからアルコールの総消費数量は減少傾向が続いており、国内酒類業界はメーカー間の競争が激化し、厳しい経営環境にあります。加えて外食需要から家庭内需要にシフトしたことに伴い、商品ミックスにより利益率の低下も見られます。また環境問題、過剰飲酒問題への対応は企業としての社会的責任の観点から喫緊の課題であるとともに、コスト面での影響も懸念されます。
宝酒造インターナショナルグループでは、コロナ禍で一時的に市場の縮小はありましたが、和酒・日本食の潜在需要は根強く、コロナ禍の収束に伴い、今後も安定した市場拡大が見込まれます。一方で競合各社との競争の激化も見込まれます。当社グループの強みを伸ばすとともに、販売チャネルの多角化などの課題への早急な対応が必要です。また、輸送運賃や仕入れ価格の高騰、急激な為替変動によるリスクも懸念されます。
タカラバイオグループでは、長期的な市場の拡大が予想されておりますが、同グループが積極的に取り組んでいる遺伝子治療等の再生医療等製品の分野では、多様なモダリティの開発、実用化が進み、バイオベンチャーやメガファーマ等、企業規模は関係なく、世界的に競争が激化しております。このような環境下、人財の確保、研究開発費の供給、知的財産権の保護など経営成績に影響を与える多くの要因が存在します。
なお、当社グループの経営成績に影響を与える要因に関しては「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」もご参照ください。
ロ.資本の財源および資金の流動性
当社グループは、営業活動から得られるキャッシュ・フローを、各事業セグメントの成長分野へ積極的に投資するとともに、自己株式の取得や配当を通じた適切な株主還元を行い、一方で、多様な資金調達手段を確保し金融負債を利用することにより、適切な資本、負債のバランスを維持し、財務の安全性と資本の効率性の両立を図ります。
当連結会計年度の自己資本比率は51.1%と目標とする水準を維持しております。また新型コロナウイルス感染症の影響下にあっても当社グループの手元流動性は十分に確保されており、各セグメントの事業活動に支障はありません。さらにコミットメントラインなどのバックアップラインも適切に設定されております。
なお上場企業であるタカラバイオ株式会社は、タカラバイオグループの資金の調達、流動性の確保を独自に行っており、宝酒造、宝酒造インターナショナルグループは宝ホールディングス株式会社と緊密な連携を行い、効率的な資金調達、資金管理を行っております。
a キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローはタカラバイオグループの好調に牽引され税金等調整前当期純利益が増加したこともあり、前連結会計年度に比べ15,355百万円の収入増加の27,100百万円となりました。これは、旺盛な設備投資需要を賄ってもなお十分な水準で、現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べ18,319百万円増加しております。現時点でキャッシュ・フローの状況に特段の問題はないと認識しております。
b 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資本の財源は、営業活動から得られるキャッシュ・フローの他、主として社債及び金融機関からの借入金であります。当社では安定的な資金調達のため20,000百万円の普通社債の発行登録を行うとともに、格付機関である株式会社格付投資情報センター(R&I)および株式会社日本格付研究所(JCR)から長期債格付A(シングルAフラット)を取得しております。当連結会計年度は、社債償還資金に充当するため2020年6月にシンジケートローン契約に基づく長期借入金10,000百万円の調達を行いました。
また短期資金の調達のため、当社は同じく株式会社格付投資情報センター(R&I)および株式会社日本格付研究所(JCR)から10,000百万円の発行枠を設定しているCP(コマーシャルペーパー)の格付(a-1、J-1)をそれぞれ取得しております。
さらに、機動的な資金調達および流動性の補完を目的として、継続して融資枠10,000百万円のコミットメントラインを設定しておりますが、当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大により、経済活動の停滞が長期化した場合に備え、2020年5月に別途1年間限定で10,000百万円のコミットメントラインを追加設定いたしました。なお、当連結会計年度中はいずれも借入を行っておりません。
当社グループは強化すべき領域へ積極的な経営資源の配分と投下を行うことを方針としており、当連結会計年度は、タカラバイオグループでは生産設備や研究設備投資を、宝酒造インターナショナルグループでは製品倉庫等への設備投資を実施いたしました。当連結会計年度の有形及び無形固定資産の取得による支出は13,911百万円となり、減価償却費を大きく上回る水準となっております。
当社は、当社の信用力を生かして外部資金を一括して調達し、タカラバイオグループを除く主要な連結子会社に必要資金を貸し付けるとともに、一部の連結子会社とはCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入し、各社の余剰資金を当社へ集中し一元管理するなど、資金効率の向上と金融費用の極小化を図っております。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末に比べ18,319百万円増加の62,860百万円となり、現時点で十分な手元流動性を維持しております。
ハ.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 経営戦略、経営環境、優先的に対処すべき事業上・財務上の課題および経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当社グループは蓄積された発酵技術を基礎に、バイオテクノロジーの技術を応用し、主に宝酒造、タカラバイオグループの各部門で幅広い研究活動を展開しております。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は
(宝酒造)
当セグメントにおいては、宝酒造㈱の商品第一部、商品第二部および研究開発センターを中心に、消費者ニーズに沿った商品、消費者に新しい提案を行う商品の開発を目的に、機能や成分による差異化技術、微生物の育種、原料・素材の探索ならびに生産技術の研究開発を行っております。
焼酎では、拡大するレモンサワーブームに対応すべく、独自のレモンエキスや和柑橘エキスを配合し、より強炭酸のレモンサワーをつくるのに適した高アルコール度数の“寶スピリッツ 65%”を発売いたしました。
清酒では、“松竹梅「天」”シリーズのブランド強化を図るべく、消費者嗜好調査に基づいて“松竹梅「天」、「天<飲みごたえ辛口>」、「天<糖質オフ>」”のリニューアルを行い、旨み・まろやかさを向上させました。
ソフトアルコール飲料では、コロナ禍における新たな消費者ニーズに対応すべく、アルコール分7%の「タカラ焼酎ハイボール」ブランドに、5%タイプの商品“「焼酎ハイボール5%」<前割りレモン>”と“「焼酎ハイボール5%」<特製サイダー割り>”を追加いたしました。それぞれ当社独自の焼酎漬け込み果汁や国産果汁エキスを配合することで、「タカラ焼酎ハイボール」ブランドらしい味わいと飲みごたえを実現しました。また、「タカラ焼酎ハイボール」ブランド、「極上レモンサワー」ブランドで、全国各地の有名大衆酒場やレモンサワー繁盛店の監修による、本格的な味わいの商品を複数発売いたしました。
調味料では、家庭用商品で健康志向の高まりとともに販売好調の「タカラ『料理のための清酒』<糖質ゼロ>」に小容量サイズの300mlペット入り商品を追加いたしました。さらに加工業務用として、米こうじをたっぷり使用し、甘み・うまみを強化した「『京寶』二倍麹本みりん」や、瀬戸内産牡蠣エキスを100%使用した牡蠣調味料「だししるべ牡蠣<瀬戸内産>」、加熱調理時に風味が損なわれるという課題を解決した鰹節調味料「だししるべK-濃燻」を発売いたしました。
なお、当セグメントに係る研究開発費は
(タカラバイオグループ)
当セグメントにおいては、研究用試薬をはじめ、理化学機器、受託サービスのメニュー開発、遺伝子治療などの開発など、広範囲の分野における幅広い研究開発活動を、日本のタカラバイオ㈱、米国のTakara Bio USA, Inc.を中心に展開しております。
バイオ産業支援事業では、国内でトップシェアを有する遺伝子増幅法関連試薬等の遺伝子工学研究用試薬をはじめ、ゲノム解析、遺伝子機能解析および遺伝子検査等に関する研究開発やiPS細胞等の幹細胞および再生・細胞医療等の研究分野に向けた新製品や受託サービスに関連する新技術の研究開発を行っております。
当連結会計年度においては、新型コロナウイルスの感染症への対応として、ウイルス検出用PCR関連製品、感染メカニズムの研究用製品、ワクチン関連技術を開発しました。このほか、操作性が優れたノロウイルス検便検査用PCRキット等を開発いたしました。
遺伝子医療事業では、遺伝子治療等に必要なバイオ創薬基盤技術開発、新規臨床プロジェクト創出活動などを行っております。また、タカラバイオ㈱が開発し、製薬企業に導出したプロジェクトについても価値の最大化に向けて取り組んでおります。
当連結会計年度においては、バイオ創薬基盤技術開発として、ウイルスベクターの大量製造法の確立、固形がんなどに適応可能な次世代CAR遺伝子治療法の開発などに取り組んでまいりました。また、新規プロジェクトとして、CD19・JAK/STAT・CAR遺伝子治療(開発コード:TBI-2001)、CEA・GITR・CAR遺伝子治療(開発コード:TBI-2002)の前臨床試験を進めてまいりました。また、タカラバイオ㈱が開発し提携先企業へ導出したプロジェクトについては、提携先との緊密な連携のもと、上市を見据えた再生医療等製品の製造・供給体制の整備を進めました。
また、上記の2事業に分類しきれない事業横断的な研究にもその成果が利用できる基礎的な研究も推進しております。同グループとしては、各研究開発プロジェクトの相互作用・フィードバック効果を利用して、戦略的な研究開発の推進を目指しております。
なお、当セグメントに係る研究開発費は