第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 中長期的な経営戦略

 今後のわが国の経済は、堅調な消費・投資需要を受けて底堅い推移が見込まれるものの、中国経済の減速等により外需は伸び悩み、景気回復は鈍化するものと予想されます。
 酒類業界におきましては、人口減少・少子高齢化による酒類需要の縮小や消費者の嗜好の変化による需要の多様化によって、企業間の販売競争が一層激化し、当社グループを取り巻く経営環境は厳しさを増していくものと考えられます。
 このような環境下において、当社グループは、「焼酎事業に集中」・「アルコール事業 販売の拡大」・「生産改革」・「酵素医薬品事業の新展開」・「CRE戦略」という「長期ビジョン100」の5本の柱を軸とし、「中期経営計画2020」の達成に向けた取組みを進めてまいりました。

 しかしながら、エネルギーコストの上昇による原価高、物流費の高騰、自然災害多発による消費減退、改正酒税法による競争の激化や苫小牧工場の操業停止など当社グループを取り巻く外部環境は、「中期経営計画2020」策定当初と比べ、大きく変化しております。
 かかる外部環境の変化に適合すべく、次期中期計画を前倒しで検討し、今般、2019年から2023年までの新たな5カ年計画「中期経営計画2023」を策定いたしました。
 「中期経営計画2023」では、定量目標の売上高を900億円に、経常利益を30億円に、ROEを9%にそれぞれ変更いたしましたが、配当10円については継続しております。
 今後は、「中期経営計画2023」の達成に向けて、5本の柱を軸とした取組みを進めてまいります。

 
「長期ビジョン100」は、企業理念に基づくグループの使命・将来像を描いた7つの指針と、これを実現するにあたっての最重要課題である5本の柱で構成されております。
 

<7つの指針>

① 顧客重視の経営

② 収益重視の経営

③ 株主重視の経営

④ グループ全体最適化

⑤ 経営監督機能の強化

⑥ 強固な財務体質の確立

⑦ 社会的良識を意識した経営

<5本の柱>

① 焼酎事業に集中
・焼酎に経営資源を集中
・焼酎事業の拡大

② アルコール事業販売の拡大
・販売シェアNo.2を目指す
・アルコール増産に向けた設備投資
・新分野への積極的な販路拡大

③ 生産改革
・東西の生産物流拠点確立を目的としたグループ工場再編

④ 酵素医薬品事業の新展開
・新たな取組み(新たなラクターゼを上市、発酵技術を活かした生産支援ビジネス)
・酵素医薬品事業の拡大

⑤ CRE戦略
・銀座ビルの「不動産価値」活用
・遊休不動産の活用

 

「中期経営計画2023」における定量目標は次のとおりです。

<定量目標>

 売上高           900億円

 経常利益          30億円

 売上高経常利益率       3.3%

 1株当たりの配当金      10円

 ROE            9.0%

 

当社グループは、「中期経営計画2023」の目標達成に向け、グループ経営方針を定め、その実践に取り組んでまいります。主要事業である酒類事業及び酵素医薬品事業についての経営方針の主な内容は以下のとおりです。

 

<酒類事業>

酒類事業におきましては、甲類焼酎の地域限定「ビッグマン」(北海道・青森・静岡)や「そふと新光」(秋田)につきましては、積極的なプロモーション活動を展開し、地域に根付いた商品「ローカルブランド」の確立に努めてまいります。
 甲類乙類混和焼酎のしそ焼酎「鍛高譚」につきましては、従来のプレミアム・レギュラーに加え、節約志向の商品を開発し、現在の「鍛高譚」の世界観からの脱却を進めてまいります。また、好調な「すごむぎ」「すごいも」シリーズにつきましては、どこでも買える身近な商品に育成し、混和焼酎NO.1ブランドを目指してまいります。
 乙類焼酎の「博多の華」につきましては、全方位のラインアップを充実させ、乙類焼酎の基幹ブランドとして、将来的に売上高100億円規模のシリーズに育成してまいります。
 アルコール事業におきましては、合同酒精清水工場のアルコール蒸留設備増強工事の平成31年(2019年)度中の完了を目指してまいります。増強された蒸留設備の本格的な稼働を契機に、「アルコール販売第2位」の達成に向けた取組みを推進してまいります。

 

<酵素医薬品事業>

主力のラクターゼにつきましては、更なるコスト削減に努め、海外での価格競争力の強化を進めてまいります。また、新規ラクターゼにつきましては、早期上市に向け、研究開発を進めてまいります。
 生産支援ビジネスにつきましては、製造の安定化や製造数量増に取組み、国内外の既存及び新規取引の拡大を目指してまいります。

 

 また、当社グループは、CSR基本方針に基づき、「よき企業市民として、誰のために、どう役立つのか」を考え、企業の社会的責任を果たし、社会との長期的な信頼関係の構築に努めてまいります。とりわけ、株主の皆様をはじめとするステークホルダーとの信頼関係の根幹をなすコンプライアンスは、グループの企業価値を支える大きな柱であり、経営そのものであると捉えております。社員一人ひとりがコンプライアンスを身近な問題として考え、「業務の不備がどのような影響を与えるのか」「態度・発言がどのような印象を与えるのか」を常に意識してまいります。

 

(2) 会社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

① 株式会社の支配に関する基本方針

当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者とは、当社グループの財務、事業の内容及び当社の企業価値を十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を持続的に確保、向上していくことを可能とする者でなければならないと考えております。

当社株式について大規模な買付けがなされる場合であっても、これが当社の企業価値・株主共同の利益に資するものであれば、これを一概に否定するものではありません。また、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方は、最終的には株主全体の意思により決定されるべきであり、特定の者の大規模な買付けに応じて当社株式を売却するか否かは、最終的には当社株主の判断に委ねられるべきものだと考えております。

 

しかしながら、株式の大規模な買付けの中には、その目的等から見て企業価値・株主共同の利益を損なうことが明白であるもの、買収に応じることを株主に強要するおそれがあるものなど、被買収会社の企業価値・株主共同の利益に資さないものも少なくありません。

当社としては、そのような当社の企業価値・株主共同の利益に資さない大規模な買付けを行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であり、そのような者による大規模な買付けに対しては、必要かつ相当な対抗措置を講じることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保する必要があると考えております。

 

② 基本方針の実現に資する取組み

ア.当社の企業価値向上に向けた取組み

当社は、企業理念の下、酒類や酵素医薬品の分野において、普遍概念「顧客志向」「収益志向」を両軸として、「将来価値の共創」に向けた取組みを実行してまいりました。また、当社は、「長期ビジョン100」及び「中期経営計画2023」を策定し、当社グループの持続的な成長及び中長期的な企業価値の向上に向けた取組みを進めております。
 当社は、かかる「長期ビジョン100」及び「中期経営計画2023」を着実に実行していくことが、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保、向上に繋がるものと考えております。

イ.コーポレート・ガバナンスに関する取組み

当社は、「長期ビジョン100」において経営監督機能の強化を指針の一つとして掲げ、独立社外取締役の監督機能を活かしたコーポレート・ガバナンス体制の強化を進めております。
 コーポレート・ガバナンスの具体的な内容につきましては、「第4 提出会社の状況 6コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。

ウ.不適切な支配防止のための取組み

当社は、当社を取り巻く経営環境等の変化、金融商品取引法による大量買付行為に関する規制の整備の浸透状況などを鑑み、大規模買付ルールの取り扱いについて慎重に検討を重ねた結果、平成28年3月23日の第109回定時株主総会終結の時をもって、大規模買付ルールを継続しない(廃止する)こととさせていただきました。

なお、当社は、本大規模買付ルールの有無に関わらず、今後とも中長期的な企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上にグループをあげて取り組んでまいります。また、当社は本大規模買付ルール終了後も、大規模買付行為を行おうとする者に対しては、大規模買付行為の是非を株主の皆様が適切に判断するための必要かつ十分な情報の提供を求め、あわせて当社取締役会の意見等を開示し、株主の皆様の検討のための時間と情報の確保に努める等、金融商品取引法、会社法その他関係法令の許容する範囲内において、適切な措置を講じてまいります。

 

③ 基本方針の実現に資する取組みについての当社取締役会の判断及びその判断に係る理由

上記②基本方針の実現に資する取組みは、いずれも、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し、向上を目的とするものであります。その結果として、当社の企業価値及び株主の共同の利益を著しく損なう大量買付者が現れる危険性を低減するものとなり、上記①株式会社の支配に関する基本方針に沿うものであると考えます。

また、当該取組みは、当社の企業価値を向上させるものであることから、当社株主の共同の利益を損なうものではなく、当社取締役の地位の維持を目的とするものではないことは明らかであると考えます。

 

 

2 【事業等のリスク】

(1) 酒類事業を取り巻く環境について

① 酒類業界について

酒類業界は嗜好の変化の影響を受けやすい業界であり、低価格化、健康志向など嗜好の変化がアルコール飲料全体の販売動向にも影響を与えており、少子高齢化による総需要の減少や飲酒運転の社会問題化を含め、業界環境が激しく変化しております。
 この市場環境の変化等が当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

② 酒税法による規制について

当社グループが営む酒類事業は、酒類の製造免許、販売業免許、酒税等について定める酒税法の規制を受けており、今後の事業展開において酒税法の規制を受ける他、酒税の税率の変更によって酒類の販売価格、販売動向等が影響を受ける可能性があります。

③ 原材料価格の変動について

当社グループの使用する主要な原材料(粗留アルコール、重油等)にはその価格が、調達先の国または地域の天候や経済状況の影響を間接的に受け、変動するものがあります。それら主要原材料の価格が高騰した場合には製造コストが上昇し、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

④ 食品の安心・安全について

当社グループは「食の安心・安全」をお客様にご提供するため、生産・品質管理には充分な配慮を行っており、トレーサビリティーを含めた品質保証への取組みを強化しております。また、酒税法等法令上定められている記帳義務、表示義務を遵守する姿勢の確立への取組みを強化しております。しかしながら、当社グループとしての予期し得ない品質問題及び製品表示問題が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響する可能性があります。

 

(2) グループ戦略について

① 最近事業年度における子会社の取得について

当社は平成12年1月にワイン等の輸入及び販売を行う山信商事株式会社の全株式を取得し、また平成13年1月には森永製菓株式会社から福徳長酒類株式会社の発行済株式の80.0%を取得し(平成29年12月末における保有比率は100.0%)、各々連結対象子会社といたしました。これに関連し、福徳長酒類株式会社の子会社である秋田県醗酵工業株式会社を連結対象子会社(平成17年4月福徳長酒類株式会社の会社分割により同社を当社の直接子会社とする)といたしました。また、平成15年7月には旭化成株式会社から富久娘酒造株式会社の全株式を取得し、連結対象子会社といたしました。さらに、平成19年3月には北の誉酒造株式会社の発行済株式の79.1%を取得し、北の誉酒造株式会社と、その子会社である越の華酒造株式会社を連結対象子会社といたしました。なお、平成28年1月に北の誉酒造株式会社は合同酒精株式会社と合同酒精株式会社を存続会社とする合併を行っております。

<連結>

回次

第108期

第109期

第110期

第111期

第112期

決算年月

平成26年12月

平成27年12月

平成28年12月

平成29年12月

平成30年12月

売上高

(百万円)

84,186

82,325

79,212

78,739

 77,151

経常利益

(百万円)

1,290

1,422

1,882

1,906

 1,605

親会社株主に帰属する当期純利益

(百万円)

60

237

610

1,263

 469

純資産額

(百万円)

20,841

20,869

20,940

21,300

 21,190

総資産額

(百万円)

60,165

57,297

52,310

54,463

 53,387

 

 

 

② 子会社取得等のグループ戦略について

当社は、積極的な事業拡大を図る手段の一つとして、当社グループにおいて有効かつ効率的に経営資源を活用できる企業などの株式を取得し、子会社としてまいりました。また、グループ経営の一層の効率化を図るため、当社の子会社間の合併を行うなど、グループ内組織再編を実施してまいりました。
 当面、当社では新たな子会社取得等は計画しておらず、現在のグループ構成において各機能の強化等によるグループ全体のトータルコストリダクションなどを進める方針であります。ただし、中長期的にはグループ全体の方針に基づき子会社取得も視野に入れて事業拡大を進める方針であり、今後の子会社取得等については、環境変化その他の要因により一時的または追加的に損失等が生じる可能性があり、また、当社の期待する効果が十分に得られない可能性もあります。

 

(3) 酵素医薬品事業について

当社グループの酵素医薬品事業においては、酵素、原薬、診断薬、生産支援ビジネス(受託事業)の4つの分野で事業を展開し、酵素・原薬等の生産能力増強に加え、新たな酵素等の開発を進める方針であります。
 なお、各製品の需要動向や特性における他社製品との競合激化等により、想定している当社グループの酵素医薬品事業の販売動向等が影響を受ける可能性があります。

 

(4) 為替レートの変動について

当社グループは、商品・原材料の一部を外貨建てにて輸入しているため、為替レート変動に対するリスクを為替予約等のヘッジ取引により一定限度まで低減しておりますが、短期及び中長期の予測を超えた為替変動が、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

 

(5) 自然災害による影響について

当社グループは保有する施設及び工場などにおいて、災害・事故へ対応するための体制作りを強化し、生産のバックアップ機能を含めた体制の確立を行っております。しかしながら、想定範囲を超えた自然災害等が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(6) 訴訟について

当社グループは法令遵守を基本としたコンプライアンス活動の推進により、従業員の法令違反等の低減努力を実施しています。しかしながら、当社グループ及びその従業員が法令等に対する違反の有無に関わらず製造物責任法、特許法等に関する問題において訴訟を提起される可能性があります。当社グループが訴訟を提起された場合、また不利な判決結果が生じた場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(7) 情報管理について

当社グループは経営に関する重要情報をはじめとし、多数の個人に関する機密情報を保有しております。これらの情報管理については規程等を整備するとともに、従業員に対する情報管理の徹底とシステム上のセキュリティー対策を整えております。しかしながら、コンピュータウイルスなど予測の範囲を超える事態により、情報の消失・流出などの問題が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(8) 金融市場の動向について

当社グループは、金利変動に対するリスクを金利スワップ等のヘッジ取引により一定限度まで低減しておりますが、資金調達時の金融市場の動向により、短期及び中長期の予測を超えた金利変動が、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

 

(9) 知的財産・製造物責任(PL)について

当社グループでは知的財産の重要性を認識し、その保護に努めておりますが、適切に保護できなかったり他社の保有する知的財産権により当社の生産活動に影響が生じる場合、または、当社グループの製品の欠陥に起因して製品回収や損害賠償につながるリスクが現実化しこれを保険により補填できない事態が生じた場合には、事業活動に支障が生じ、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(10)産業事故災害について

当社グループの工場において、万一大きな産業事故災害が発生した場合には、補償等を含む産業事故災害への対策費用、生産活動の停止による機会損失及び顧客に対する補償、さらに社会的信用の失墜等によって、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(11)たな卸資産の収益性の低下による簿価切下げについて

平成20年4月1日以後開始する事業年度より「棚卸資産の評価に関する会計基準」が適用され、通常の販売目的で保有するたな卸資産は取得原価をもって貸借対照表価額とし、期末において正味売却価額が取得原価より下落している場合には収益性が低下していると判断し、当該正味売却価額まで貸借対照表価額を切下げ、取得原価と当該正味売却価額の差額は当期の費用として処理することとなりました。このため当社グループのたな卸資産につき、原材料購入価格の上昇、製造固定費の増加、生産量の減少、製品販売価格の下落などが生じ、その結果正味売却価額が取得原価を下回るため収益性が低下していると判断された場合には、当該たな卸資産の簿価切下げがなされ、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(12)固定資産の減損について

当社グループは平成18年度から「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しておりますが、今後、遊休土地の時価が更に低下したり事業環境が大幅に悪化するなどの場合には、追加的な減損損失が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(13)退職給付債務について

当社グループの一部の退職給付債務及び退職給付費用は、年金数理計算上使用される割引率や退職率、昇給率等の前提条件と年金資産の期待運用収益率等に基づき計算されており、年金資産の運用利回り悪化、割引率の低下等が、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

  なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度におけるわが国経済は、企業業績や雇用情勢の改善を背景に緩やかな回復基調で推移したものの、米中の世界的な貿易摩擦への警戒や、記録的な豪雨や台風、地震など自然災害による影響もあり、景気下振れリスクが存在している状況です。
 このような経営環境の下、当社グループは中長期戦略「長期ビジョン100」の実現、「中期経営計画2020」の達成に向けて、グループの持続的な成長及び中長期的な企業価値の向上を図るべく、「長期ビジョン100」で掲げた重要課題である5本の柱への取組みを進めてまいりました。しかしながら当連結会計年度においては、北海道胆振東部地震の影響により、グループ会社の合同酒精株式会社苫小牧工場が11月中旬まで操業停止となったため、販売用アルコールの売上が大きく減少しております。また、その他の酒類においても地震の影響により、主要市場である北海道での販売が落ち込んでおります。


  この結果、当連結会計年度の売上高は、77,151百万円(前期比2.0%減)となりました。利益面では、営業利益は1,582百万円(前期比14.6%減)、経常利益は1,605百万円(前期比15.8%減)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、地震による損失等を特別損失に計上したことにより、469百万円(前期比62.8%減)となりました。

 

セグメント別の概況は以下のとおりであります。

 

<酒類事業>
 酒類事業については、国内の人口減少や少子高齢化、飲酒機会の減少により市場の伸張が期待しにくく、価格競争も激化しております。このような環境の下、消費者の嗜好の変化や多様化に対応すべく商品の拡充を行いましたが、売上高は68,839百万円(前期比2.3%減)となりました。利益面につきましては、213百万円の営業利益(前期比1.1%増)となりました。

 和酒部門のうち焼酎においては、本格焼酎の「博多の華」シリーズ、甲類乙類混和焼酎の「すごむぎ」「すごいも」などが大変好調に推移し、売上高は増加いたしました。また、香り高い赤シソを使用した、北海道生まれのしそ焼酎「鍛高譚(たんたかたん)」では、12月9日の「しそ焼酎 鍛高譚の日」に合わせて、アルコール分30%で乙類焼酎の「鍛高譚プレミアム」を数量限定で発売いたしました。その他、北海道胆振東部地震の復興支援の一環として、北海道応援シールを貼付した「鍛高譚」を限定発売し、本商品の売上の一部を寄付する取り組みを実施しております。

 チューハイ、カクテルなどの低アルコール飲料においては、チューハイ「直球勝負」シリーズやPB商品が好調に推移し、売上高は増加いたしました。また、「NIPPON PREMIUM」シリーズに「山形県産ラ・フランスのチューハイ」を追加で投入し、ラインアップ強化を図りました。

 清酒においては、市場の低迷が続いておりますが、純米吟醸酒でありながらお手頃な価格を実現した「福徳長 米だけのす~っと飲めてやさしいお酒 純米吟醸酒」パックが好調に推移しております。また、「純米生酒 大雪乃蔵 しぼりたて」を季節限定で、「にごり酒 北の誉 親玉ストロング」を数量限定で発売し、清酒を好まれるお客様のニーズにお応えしております。
 なお、販売用アルコールにおいては、北海道胆振東部地震の影響により、地震発生から11月中旬まで苫小牧工場の操業が停止したため、売上が大きく減少しております。

 洋酒部門においては、“家飲み”派に好評をいただいております、家庭でのサワーづくりを提案する「GODOクラフトサワーズ」が好調に推移しております。発売125周年を迎えた「電気ブラン」においては、明治期の発売当初の味わいとアルコール分を再現した「電気ブラン125周年記念ボトルセット」を1,250本限定で発売し、大きな反響をいただきました。また、盛り上がりを見せるクラフトジン市場に対しては、当社の生産地ならではの特色を活かしたクラフトジン、「ジン 無銘(むめい)」(久留米工場製造)、「北水鐘(きたすいしょう)」(旭川工場製造)を発売いたしました。その他、「ウイスキー 香薫(こうくん)」やPB商品のリキュール等が伸張しましたが、輸入ワインなどが減少したため、売上高は減少いたしました。
 

<加工用澱粉事業>
 加工用澱粉事業については、菓子食品用が減少したものの、ビール用グリッツやシリアル食品用の販売数量が増加したため、売上高は3,871百万円(前期比2.6%増)となりました。しかしながら、原材料価格の上昇や製品構成の影響等により、営業利益は94百万円(前期比61.0%減)となりました。

 

<酵素医薬品事業>
 酵素医薬品事業については、国内の生産支援ビジネスが増加したものの、酵素部門における海外での販売が減少したため、売上高は4,096百万円(前期比1.6%減)となりました。営業利益は設備投資による減価償却費の増加もあり、1,087百万円(前期比5.9%減)となりました。

 

<不動産事業>
 不動産事業については、売上高は325百万円(前期比2.7%減)、営業利益は178百万円(前期比23.7%減)となりました。

 

  生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

 ①生産実績

生産実績をセグメント別アイテム(主要製品)別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

アイテム(主要製品)

当連結会計年度

(自 平成30年1月1日

  至 平成30年12月31日)

前期比
(%)

酒類

焼酎

 101,967

(KL)

 102.2

 

チューハイ

 43,418

(KL)

 110.5

 

清酒

 13,827

(KL)

 82.5

 

合成清酒

 14,043

(KL)

 98.2

 

アルコール

 79,172

(KL)

 86.7

 

みりん

 4,182

(KL)

 185.5

 

洋酒

 8,020

(KL)

 90.0

 

その他

 4,650

(KL)

 96.3

 

 269,279

(KL)

 97.0

加工用澱粉

加工用澱粉

 63,788

(T)

 97.1

 

(注) 酵素医薬品事業については数量等の算定が困難であるため、記載しておりません。また、アルコールについては、他の酒類原料用も含んだ総生産数量であります。なお、不動産事業、その他の事業については生産実績がないため、記載しておりません。

 

 ②受注状況

受注生産は行っておりません。

 

 

 ③販売実績

販売実績をセグメント別アイテム(主要製品)別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

アイテム(主要製品)

当連結会計年度

(自 平成30年1月1日

 至 平成30年12月31日)

(百万円)

前期比

(%)

酒類

和酒

焼酎

 40,131

101.3

 

 

チューハイ

 7,342

 112.7

 

 

清酒

 4,544

 83.7

 

 

合成清酒

 2,762

 92.0

 

 

販売用アルコール

 6,040

 80.3

 

 

みりん

 668

 139.3

 

 

 61,490

 98.2

 

洋酒

 6,164

 92.7

 

その他

 1,184

 97.7

 

 

 68,839

 97.7

加工用澱粉

 3,871

 102.6

酵素医薬品

 4,096

 98.4

不動産

 325

 97.3

その他

 18

 91.4

合  計

 77,151

 98.0

 

(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2 主な相手先別の販売実績については、いずれの当該販売実績も、総販売実績に対する割合が100分の10に満たないため、記載しておりません。

 

 (2)財政状態

 当連結会計年度の総資産につきましては、53,387百万円となり、前連結会計年度末と比較し1,075百万円の減少となりました。これは主に売上債権の減少によるものであります。
 負債につきましては、32,197百万円となり、前連結会計年度末と比較して966百万円の減少となりました。これは主に支払手形及び買掛金の減少等によるものであります。

 純資産につきましては、21,190百万円となり、前連結会計年度末と比較して109百万円の減少となりました。これは主にその他有価証券評価差額金の減少によるものであります。

 

 (3)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は1,247百万円となり、前連結会計年度末と比較して82百万円の減少となりました。

 営業活動によるキャッシュ・フローにおける資金の増加額は、3,735百万円となりました。これは主に未払酒税の減少額527百万円、仕入債務の減少額598百万円等がありましたものの、売上債権の減少額1,800百万円のほか、減価償却費1,638百万円等を計上したことによるものであります。

 投資活動によるキャッシュ・フローについては、固定資産の取得による支出2,937百万円等がありましたので、2,988百万円の資金減少となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローについては、短期借入金の増加額450百万円がありましたものの、長期借入金の返済による支出800百万円、配当金の支払額425百万円等がありましたので、828百万円の資金減少となりました。 

 

 

 (4) 資本の財源及び資金の流動性の分析

①キャッシュ・フロー

「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3)キャッシュ・フロー」に記載しております。

なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりであります。

 

平成28年12月期

平成29年12月期

平成30年12月期

自己資本比率(%)

35.9

35.2

 35.7

時価ベースの自己資本比率(%)

30.7

41.1

 39.3

キャッシュ・フロー対有利子負債率(年)

2.4

2.2

 1.7

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

25.7

30.5

 43.1

 

(注) 自己資本比率:自己資本/総資産 
      時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産 
      キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー 
      インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

②資金調達

当社グループは設備投資計画等に基づき、必要な資金を主に銀行借入により調達しております。一時的な余資は、預金等の流動性の高い金融資産に限定して運用し、また、短期的な運転資金を銀行等金融機関からの借入により調達しております。今般の連結子会社である合同酒精(株)清水工場のアルコール蒸留設備増強計画においては、設備資金に充当することを目的として、シンジケートローンにより資金を調達しております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

 

 

5 【研究開発活動】

当連結会計年度の研究開発費は524百万円であります。

セグメント別の主な研究開発活動を示すと、次のとおりであります。

 

(1) 酒類事業

当連結会計年度の研究開発費は153百万円であります。
 オエノン酒類基礎研究所は、酒類及びその関連分野における「研究」、「分析」、「微生物の保管・管理」の役割を担っております。

「研究」につきましては、事業会社と連携し、お客様のニーズに応じた品質の製品を、値頃感のある価格で提供するための検討を進めております。

具体的には、弊社の基盤技術の一つである液化仕込み技術を活用したコストダウンや品質向上、育種改良した独自の醸造酵母による付加価値付与、紫蘇焼酎製造法の最適化等に取組み、得られた知見・技術は、適宜、事業会社にフィードバックしております。

また、新しい価値や技術を創造すべく、大学との共同研究にも取組み、開発した技術の知財化を進めております。

「分析」につきましては、事業会社からの依頼に対し、正確なデータを可能な限り迅速にフィードバックしております。フィードバックデータは、品質管理、新商品開発、商談等に広く活用されております。また、分析データの信頼性を担保するため、分析技術の維持向上に努めております。

「微生物の保管・管理」につきましては、弊社の財産でもある重要微生物を適正な環境の下で保管し、事業会社へ提供しております。また、保管場所を全国に分散化することにより、有事の際のリスクヘッジを図っております。

これらの活動を通し、お客様にご指名いただける商品の開発に繋げてまいります。

 

(2) 酵素医薬品事業

当連結会計年度の研究開発費は370百万円であります。

長年に渡り培ってきたバイオ技術をコア・コンピタンスとして、「健康」と「環境」をテーマに、発酵を中心とした食品用酵素と生産支援ビジネス分野に研究資源を集中的に投下しております。

主力商品の乳糖分解酵素「ラクターゼ」は、当社のアプリケーション(用途)開発で得られた技術情報をお客様へ提供することで、健康増進や高齢化社会を意識した新たな乳製品の開発に繋げていただいております。その他の取組みとしては、当社独自の着眼点に基づき、お客様のニーズに合致した新たな食品用酵素の研究開発にも注力しております。

一方で、メーカーとしての技術力向上やコスト低減を目的に、既存製品への新技術導入を視野に入れた研究開発にも重点を置いております。それら技術は、基幹事業として位置付ける生産支援ビジネス(OEM事業)にも活用しており、お客様から信頼を獲得する一助となっております。