文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、グループ企業理念「自然の恵みを活かし、バイオ技術をベースに、人々に食の楽しさと健やかなくらしを提供します。」の下、発酵技術等を核とする「バイオテクノロジー」をベースとした事業を展開しております。その中で、お客様に「安心」「安全」をお届けすることを第一に考え、普遍の概念である「顧客志向」と「収益志向」に則り事業活動を行い、併せて「将来価値の共創」に資する取組みを進め、経営品質の向上、ひいてはグループの持続的成長及び企業価値の最大化を目指しております。
(2) 経営環境
国内では、新型コロナウイルス感染症の急拡大の影響に伴う個人消費を中心とした内需の悪化によって一時的な成長鈍化が年初に見込まれるものの、今春より順次開始されるワクチン接種と大型経済対策等を背景に、景気は緩やかに回復していくものと思われます。
酒類市場では、人口減少・少子高齢化による需要の縮小や消費者の嗜好の変化による需要の多様化によって、企業間での販売競争は激化の一途をたどり、厳しい経営環境が続くものと予想されます。また、コロナ禍によって変容した消費者行動は元に戻ることはなく、「新しい生活様式」が定着するものとみられ、コロナ終息後においても業務用市場は引き続き苦戦を強いられることが想定されます。
当社グループの主力商品であるラクターゼが属する乳製品用酵素市場では、世界的な糖尿病の問題を背景にラクターゼが注目を浴び、市場が拡大すると共に価格競争が激化し、低価格化が進んでおります。また、高齢化や新型コロナウイルス感染症拡大によって健康意識が高まり、機能性食品素材への関心が増しております。
(3) 長期ビジョン
当社グループは、創立100周年の節目を迎える2024年に向けて、「長期ビジョン100」を2015年に策定しております。「長期ビジョン100」は、当社グループが、持続的に成長し、企業価値を増大するための、企業理念に基づく使命・将来像を描いたものであり、これを実現する上での最重要課題である5本の柱を定めております。
<7つの指針>
① 顧客重視の経営
② 収益重視の経営
③ 株主重視の経営
④ グループ全体最適化
⑤ 経営監督機能の強化
⑥ 強固な財務体質の確立
⑦ 社会的良識を意識した経営
<5本の柱>
① 焼酎事業に集中
・焼酎に経営資源を集中
・焼酎事業の拡大
② アルコール事業 販売の拡大
・販売シェアNO.2を目指す
・アルコール増産に向けた設備投資
・新分野への積極的な販路拡大
③ 生産改革
・東西の生産物流拠点確立を目的としたグループ工場再編
④ 酵素医薬品事業の新展開
・新たな取組み(ポストラクターゼの開発、発酵技術を活かした生産支援ビジネス)
・酵素医薬品事業の拡大
⑤ CRE戦略
・銀座ビルの「不動産価値」活用
(4) 中期経営計画及び対処すべき重要課題
当社グループは、「長期ビジョン100」を実現するため、2019年から2023年までの5年間を対象とする「中期経営計画2023」を2018年に策定しております。「中期経営計画2023」では、定量目標として、連結売上高、連結経常利益、売上高経常利益率、1株あたりの配当金、ROEを定めております。これらは、「長期ビジョン100」で掲げた「株主重視の経営」「収益重視の経営」「強固な財務体質の確立」の方針を反映した目標値となっております。
<定量目標>
「中期経営計画2023」において、注力すべき重要課題である5本の柱は次のとおりです。
①焼酎事業に集中
焼酎事業に注力し、経営資源を効率的に活用することで、主力の焼酎事業の規模拡大、利益の最大化を目指してまいります。また、強化ブランドを明確にし、効率的なマーケティングを実施してまいります。
甲類焼酎につきましては、コロナ禍による競合他社の減少を好機と捉え、全国レベルでの「ビッグマン」の認知度・配荷率のアップを目指してまいります。
甲類乙類混和焼酎のしそ焼酎「鍛高譚」につきましては、家庭用市場向けに手軽に購入できるパック商品を軸とした展開を進めてまいります。また、好調な「すごむぎ」「すごいも」シリーズにつきましては、どこでも買える身近な商品に育成し、混和焼酎NO.1ブランドを目指してまいります。
乙類焼酎の「博多の華」につきましては、本格麦焼酎NO.2の地位を揺るぎないものとし、売上高100億円規模のシリーズに育成してまいります。
更なる市場の拡大が予想されるチューハイの素につきましては、最重要品目の一つとして位置づけ、スリムパックを筆頭に加速度を上げて拡売に取り組んでまいります。
伸張を続けるRTDにつきましては、合同酒精とオエノンプロダクトサポートが、お互いの強みを活かし、弱みを補うことで、消費者の趣向の多様化に柔軟に対応し、グループ収益の拡大に繋げてまいります。
②アルコール事業 販売の拡大
食品防腐剤、医療用・家庭用アルコール製剤等の工業用アルコールの需要増大に応えるべく、アルコールの増産及び販売の拡大を目指してまいります。
令和元年10月に合同酒精株式会社の清水工場のアルコール蒸留設備増強工事は完了し、増産体制を整えました。今後は、ターゲット別の販売施策に基づき販売拡大を進め、「アルコール販売シェア第2位」の地位を確固たるものにしてまいります。
③生産改革
収益性の向上を図るために、生産部門では、絶え間ないコスト低減への取組みを行うとともに、真に市場競争力のある商品を供給できる体制を構築してまいります。
酒類事業においては、チューハイ生産体制の再編、アルコール生産体制の強化、純米吟醸酒の生産設備増強、グループ内での生産移管等、経営環境の変化に対応した生産改革を迅速に進めてまいります。
④酵素医薬品事業の新展開
主力のラクターゼにつきましては、海外での価格競争に対応するため、生産効率向上による更なるコスト低減に努めてまいります。また、ポストラクターゼとなる新商品の開発を早急に進めてまいります。
生産支援ビジネスにつきましては、前年の大きな低迷からのV字回復を必達の目標とし、既存受託品目の安定的な収益確保、新規受託品目の獲得に取り組んでまいります。
⑤CRE戦略
銀座の旧本社跡地を含めた保有不動産の有効活用を進め、安定的な収益確保を目指してまいります。
当社グループは、グループ企業理念の下、「よき企業市民として誰のためにどう役立つのか」を考え、実践することが企業としての社会的責任と考えております。社会的責任を果たす上で、コンプライアンスの実践を最重要課題の一つと捉え、グループの活動のあらゆる場面においてコンプライアンスの徹底を図り、社会からの期待と要請に応えてまいります。また、女性活躍推進やLGBTへの配慮を含んだSDGsの達成に向けた取組みやESG経営の積極的な実践を通じて、株主の皆様を含めたステークホルダーから高い評価を得られるよう、新たな高みを目指してまいります。これらは、「長期ビジョン100」で掲げた「経営監督機能の強化」「社会的良識を意識した経営」を実現する上で、「中期経営計画2023」と共に実践すべき重要課題であると認識しております。
(1)酒類事業に関するリスク
当社グループの酒類事業の売上高のほとんどは国内販売となっております。国内の酒類市場においては、国内の人口減少や少子高齢化によって総需要が減少し、販売競争が激化することが見込まれております。また、酒類市場は、国内の景気動向や嗜好の変化の影響を受けやすい市場であるため、低価格帯の節約志向商品が伸張する一方、高価格帯の付加価値商品や健康志向商品も拡大するといった価格の二極化・嗜好の多様化が進むことが予想されております。しかしながら、販売競争の激化や価格の二極化・嗜好の多様化への対応が遅れた場合、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
こうした変化に対応するため、強みを持つ分野や成長分野への経営資源の重点配分によって競争力強化に取り組んでおります。また、市場環境の変化に対応できるよう商品開発体制を強化し、顧客視点の発想での商品開発を進め、魅力的な商品を次々に創出してまいります。
アルコールの不適切な摂取は、健康面や社会的悪影響が指摘されており、WHOにおいては、世界的な規模での酒類販売に関する規制が検討されております。しかしながら、予想を大きく上回る規制強化が行われた場合、酒類の消費が減少し、業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、酒類を製造・販売する企業グループとして、企業の社会的責任を果たすために、酒類事業に関する法令等を遵守し、販売・宣伝活動を行っております。また、適正飲酒の啓発活動を積極的に推進し、不適切な飲酒の撲滅に取り組んでおります。
(2)酵素医薬品事業に関するリスク
主力のラクターゼが属する乳製品用酵素市場では、国際的な巨大企業を含む国内外の企業との厳しい競争に直面しており、その技術革新は急速に進んでいる状況にあります。新技術・新商品の開発の遅れや他社による技術革新によって、当社グループを取り巻く環境が想定を超えて大きく変化した場合、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
こうした変化に対応するため、将来の市場・技術動向を見据えて新技術・新商品の研究・開発を推進しております。また、お客様と良好な関係をつくり、情報収集に努めるなど、市場の変化に迅速に対応できる体制を整備しております。
(3)各事業領域共通のリスク
①事業拡大に関するリスク
当社は、積極的な事業拡大を図る手段の一つとして、当社グループにおいて有効かつ効率的に経営資源を活用できる企業などの株式を取得し、子会社としてまいりました。また、グループ経営の一層の効率化を図るため、当社の子会社間の合併を行うなど、グループ内組織再編を実施してまいりました。
当面、当社では新たな子会社取得等は計画しておらず、現在のグループ構成において各機能の強化等によるグループ全体のトータルコストリダクションなどを進める方針であります。ただし、中長期的にはグループ全体の方針に基づき子会社取得も視野に入れて事業拡大を進める方針であり、今後の子会社取得等については、環境変化その他の要因により一時的または追加的に損失等が生じる可能性があり、また、当社の期待する効果が十分に得られない可能性もあります。
これらに対応するため、取締役会における投資・M&A計画の適切な意思決定と実施後のモニタリングを適切に行っております。
②原材料調達に関するリスク
当社グループが使用する主要な原材料(粗留アルコール、コーン、重油等)には、調達価格が、調達先の国または地域の天候や経済状況の影響を間接的に受け、変動するものがあります。それら主要原材料の価格が高騰した場合には製造コストが上昇し、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、販売用アルコール等の原料である粗留アルコールについては、世界的な需要の高まりによる購入単価の上昇や調達自体の難化等の影響があることが懸念されます。そのため、今後の感染拡大や長期化によっては、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
こうした状況に対応するため、複数企業からの購買や、計画的な購買によって安定的な調達に努めております。具体的には、原材料市場の積極的な情報収集、市場の変化に合わせた契約期間の見直し、調達先の分散等を行っております。
③自然災害・感染症に関するリスク
当社グループの営業拠点、製造拠点において、大規模な地震、水害、風害が発生した場合、業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
これらに対応するため、人命の安全を第一としながら、酒類・アルコール等の供給責任を果たすための生産・供給体制の整備等の危機管理体制を構築に努めております。
新型コロナウイルス感染症が拡大した場合、外出自粛、飲食店への時短要請・休業要請、緊急事態宣言の発出によって、事業活動に大きな影響を及ぼします。特に、従業員の感染、事業所でのクラスター発生により想定以上に事業活動の停滞が長期化した場合、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、国・自治体・業界団体の指針に沿って、適宜必要な施策を講じております。具体的には、うがい・手洗い・手指消毒・換気・マスク着用等の基本的な感染予防策の徹底、在宅勤務及び時差出勤の活用やオンライン会議の利用促進等の対策を実行しております。
④情報管理に関するリスク
当社グループは経営に関する重要情報をはじめとし、多数の個人に関する機密情報を保有しております。しかしながら、停電、災害、コンピュータウイルスなど予測の範囲を超える事態により、情報の消失・流出などの問題が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
こうした問題に対応するため、当社の経営戦略企画室内のシステムセンターを中心としたグループ全体での情報セキュリティー体制を整備するとともに、従業員に対する教育や訓練の徹底とソフトウェアや機器導入によるセキュリティー対策を実施しております。
⑤人材確保・育成に関するリスク
日本国内の人口動態の変化による労働力不足への対応は、将来の持続的成長にも関わる大きな課題となっております。今後の社会情勢や雇用環境の変化により、相応しい人材を継続的に採用することが困難になる場合、既存事業における成長戦略の推進に支障が生じるなど、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクの低減を図るため、当社グループ全体の持続的成長及び中長期的な企業価値の向上のためには、多様な価値観に基づく多様な視点をもつ人財が不可欠であるという考え方の下、当社グループの役員、従業員の属性の多様化を図り、特性や個性を活かす職場環境づくりを進めております。具体的には、女性活躍推進プロジェクトを発足し、プロジェクトの意見を取り入れながら、計画的かつ継続的に女性の登用を進め、女性の個性と能力が十分に発揮できる環境や女性が育児・介護などをしながら安心して働き続けることや、キャリアアップのサポートができる環境の整備を行っております。また、時間単位年休や副業・兼業の容認によるワークライフバランスの推進に努めております。さらには、誰もが自分の性的指向や性自認を尊重され、自分らしく生きることができる社会を形成するために、LGBTについての啓発活動を行っております。
⑥食品の安心・安全に関するリスク
当社グループとしての予期し得ない品質問題及び製品表示問題が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響する可能性があります。また、当社グループの製品の欠陥に起因して製品回収や損害賠償につながるリスクが現実化しこれを保険により補填できない事態が生じた場合には、事業活動に支障が生じ、業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
こうした問題に対応するため、グループ生産部門会議・当社の品質安全保証管理室を中心としたグループ全体での品質保証体制の強化を進めております。また、重要な案件については、社長を委員長とする「CSR・コンプライアンス委員会」において審議し、対策を講じております。
また、品質マネジメントシステムの国際規格「ISO9001」、食品安全マネジメントシステムの国際規格「FSSC22000」の認証を取得するなど、品質保証への取組みを強化しております。さらには、酒税法等法令上定められている記帳義務、表示義務を遵守する姿勢の確立への取組みを強化しております。
⑦コンプライアンスに関するリスク
当社グループは事業の遂行にあたり、酒税法、食品衛生法、薬機法、景品表示法等の様々な法的規制の適用を受けています。これらの法令等に違反した場合や社会的要請に反した行動等により、法令による処罰・訴訟の提起・社会的制裁を受けたりお客様からの信頼を失ったりする可能性があります。
当社グループでは、コンプライアンスを、当社グループの企業価値を支える大きな柱であり、経営そのものであると捉えております。研修を通じたコンプライアンスの推進により、従業員のコンプライアンスを徹底し、発生可能性を低減するよう努めています。
⑧知的財産権に関するリスク
当社グループは知的財産権の重要性を認識し、保護のための体制を整備しておりますが、当社グループの知的財産権が侵害され、第三者に流出した場合、また将来、第三者との知的財産に関する紛争が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。
これらに対応するため、知的財産権管理の専門部署を設け、確実な取得および保全、また他社の知的財産権の調査などに努めてまいります。
⑨産業事故災害に関するリスク
当社グループの工場において、万一大きな産業事故災害が発生した場合には、補償等を含む産業事故災害への対策費用、生産活動の停止による機会損失及び顧客に対する補償、さらに社会的信用の失墜等によって、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。
これらに対応するため、生産戦略の専門部署による管理体制の強化、未然に防ぐための設備の充実などの対策を講じております。
⑩環境課題に関するリスク
気候変動をはじめとする環境問題への企業の取り組み姿勢に対するステークホルダーからの評価や市場の価値観の変化は、消費者の商品・サービスの選択に大きく影響するものとなっており、気候変動抑制のため、世界的規模でのエネルギー使用の合理化や地球温暖化対策などの法令等の規制も強まっております。また、海洋プラスティック問題は世界的な共通課題であるとの認識が急速に高まっており、容器包装における対応は、飲料業界の大きな課題になっております。これらの規制強化や、容器包装等に対する取組みへの対応費用の増加等によって、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、気候変動に起因する水資源の枯渇、原材料への影響、大規模な自然災害による製造設備の被害などのサプライチェーンに関わる物理的リスクが顕在化した場合、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
これらに対応するため、代表取締役社長を委員長とする「CSR・コンプライアンス委員会」においてSDGsの達成に必要な課題を整理し、グループ全体で課題解決に向けた活動を推進しております。
⑪財務等に関するリスク
当社グループは、商品・原材料の一部を外貨建てにて輸入しております。しかしながら、短期及び中長期の予測を超えた為替変動が、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、為替レート変動に対するリスクを為替予約等のヘッジ取引により一定限度まで低減しております。
資金調達時の金融市場の動向により、短期及び中長期の予測を超えた金利変動が、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。また、当社グループの借入金の中には、取引先金融機関とシンジケートローン契約を締結しているものがありますが、この契約の財務制限条項に抵触した場合には、借入金の繰上返済請求を受けることがあり、当社グループの財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループは、金利変動に対するリスクを必要に応じ金利スワップ等により一定限度まで低減しております。また、現状では借入金そのものを大幅に減少させ、金利変動によって受ける影響を大きく低減させております。
平成20年4月1日以後開始する事業年度より「棚卸資産の評価に関する会計基準」が適用され、通常の販売目的で保有するたな卸資産は取得原価をもって貸借対照表価額とし、期末において正味売却価額が取得原価より下落している場合には収益性が低下していると判断し、当該正味売却価額まで貸借対照表価額を切下げ、取得原価と当該正味売却価額の差額は当期の費用として処理することとなりました。このため当社グループのたな卸資産につき、原材料購入価格の上昇、製造固定費の増加、生産量の減少、製品販売価格の下落などが生じ、その結果正味売却価額が取得原価を下回るため収益性が低下していると判断された場合には、当該たな卸資産の簿価切下げがなされ、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
新たに大きな簿価切り下げが発生する可能性を可能な限り低減するため、毎期、継続的・保守的・網羅的に棚卸資産を評価・検証し、必要に応じて評価減を計上することとしております。
当社グループは、事業の用に供する様々な固定資産を保有しております。平成18年度から「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しておりますが、今後、遊休固定資産の時価の急激な低下や事業環境が大幅に悪化した場合には、追加的な減損損失が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
追加的な減損損失のリスクを低減するため、当社グループでは、毎期継続的に減損の兆候の有無を検証しております。
当社グループの一部の退職給付債務及び退職給付費用は、年金数理計算上使用される割引率や退職率、昇給率等の前提条件と年金資産の期待運用収益率等に基づき計算されております。年金資産の運用利回り悪化、割引率の低下等が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大による個人消費の大幅な冷え込み、世界的な社会・経済活動の停滞から急速に悪化いたしました。段階的な経済活動の再開により、一部回復の兆しが見られましたが、新規感染者数の増加に伴う飲食店などへの営業時間短縮要請などにより、依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような経営環境の下、当社グループは、グループの持続的な成長及び中長期的な企業価値の向上を図るべく、中長期戦略「長期ビジョン100」で掲げた、重要課題である5本の柱を軸として、「中期経営計画2023」の目標達成に向けた取組みを引き続き進めてまいりました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は、77,712百万円(前期比3.0%増)となりました。利益面では、事業再編やコロナ禍での活動自粛による販売費及び一般管理費の減少により、営業利益は2,221百万円(前期比26.7%増)、経常利益は2,248百万円(前期比28.8%増)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は1,147百万円(前期比3.9%増)となりました。
当社が重視する経営指標は次のとおりとなりました。
セグメント別の業績を示すと、次のとおりであります。
<酒類事業>
酒類事業におきましては、国内の人口減少や少子高齢化、飲酒機会の減少により市場の伸張が期待しにくく、価格競争も激化しております。また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって、アルコール消毒液の需要が増大したほか、飲用シーン別では、飲食店向けの焼酎・清酒等が減少する一方、巣ごもり消費の拡大による家飲み需要の高まりにより、チューハイなどのRTD分野が拡大しております。このような環境の下、売上高は70,412百万円(前期比4.5%増)となり、利益面につきましては、1,281百万円の営業利益(前期比300.9%増)となりました。
和酒部門のうち焼酎につきましては、本格焼酎の「博多の華」シリーズ、甲類乙類混和焼酎の「すごむぎ」「すごいも」シリーズが好調に推移し、売上高は増加いたしました。発売40周年を迎えた「博多の華」シリーズでは、「博多の華ブランド40周年大感謝祭」として販促キャンペーンを大々的に行い、日頃のご愛顧に感謝するとともに、新たなファン層の獲得に向け、SNSを活用した情報発信を行ってまいりました。その他、本格焼酎「博多の華 麦カップ 12%」が、10年以上販売されている本格焼酎カテゴリーの商品の中で売上NO.1であったとして、「日経POSセレクション2020 売上NO.1ロングセラー」に選出されました。
チューハイなどのRTD分野につきましては、「NIPPON PREMIUM」シリーズや「直球勝負」シリーズ、PB商品が好調に推移し、売上高は増加いたしました。「NIPPON PREMIUM」シリーズにおきましては、期間限定商品「福岡県産あまおう」を発売した他、Instagram上で画像投稿キャンペーンを実施するなど、消費者との直接的なコミュニケーションを重視した販促キャンペーンを実施いたしました。また、平成28年熊本地震の復興支援の一環として、熊本城の修復再建に向け、「NIPPON PREMIUM 熊本県産すいかのチューハイ」の売上の一部を熊本市に寄付する取組みを実施いたしました。
清酒につきましては、純米吟醸酒でありながらお手頃な価格を実現した「福徳長 米だけのす~っと飲めてやさしいお酒 純米吟醸酒パック」が好調に推移いたしました。しかしながら、本年10月の酒税法改正による酒税減税は追い風にはならず、新型コロナウイルス感染症拡大による業務用商品の需要減退や競争激化もあり、売上高は減少いたしました。
販売用アルコールにつきましては、令和元年に増強工事が完了した清水工場のアルコール蒸留設備の稼働開始に伴い、販売活動を強化したことに加え、新型コロナウイルス感染症拡大に伴うアルコール消毒液の需要増大などにより、原料となる工業用アルコールの販売が大幅に伸張したことによって、売上高が大きく増加いたしました。
洋酒部門につきましては、家飲みが増え、家庭でも居酒屋のような本格的なチューハイを自由なアレンジで楽しみたいというニーズから、「酎ハイ専科 レモンサワーの素」や「ウイスキー 香薫」が伸張しましたが、一部不採算分野からの撤退に伴うワインの減少等により、売上高は減少いたしました。また、近年注目が集まっているクラフトジンでは、本年6月に発売した「秋田杉GIN」が“秋田らしい”県産食品を選ぶ「あきた食のチャンピオンシップ2020」の菓子・飲料部門において銀賞を受賞するなど、地域の特色を活かした商品展開が評価されております。
<加工用澱粉事業>
加工用澱粉事業につきましては、シリアル食品用やビール用が増加したものの、菓子食品用や副産物が減少したため、売上高は3,582百万円(前期比3.4%減)となりました。しかしながら、原価の低減や販売費及び一般管理費の減少もあり、営業利益は148百万円(前期比8.3%増)となりました。
<酵素医薬品事業>
酵素医薬品事業につきましては、海外向け酵素の競争激化や新型コロナウイルス感染症拡大に伴う健康診断減少による診断薬の減少、生産支援ビジネスの受託件数減少により、売上高は3,293百万円(前期比17.4%減)となりました。営業利益は591百万円(前期比45.8%減)となりました。
<不動産事業>
不動産事業につきましては、売上高は351百万円(前期比3.4%増)、営業利益は186百万円(前期比2.7%減)となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
生産実績をセグメント別アイテム(主要製品)別に示すと、次のとおりであります。
(注) 酵素医薬品事業については数量等の算定が困難であるため、記載しておりません。また、アルコールについては、他の酒類原料用も含んだ総生産数量であります。なお、不動産事業、その他の事業については生産実績がないため、記載しておりません。
当社グループは一部の製品について受注生産を行っておりますがウエイトも小さく、大部分の製品は販売計画に基づく生産計画に従った見込生産を主体としております。
販売実績をセグメント別アイテム(主要製品)別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)財政状態
当連結会計年度の総資産につきましては、51,724百万円となり、前連結会計年度末と比較し843百万円の減少となりました。これは主に有形固定資産の減少等によるものであります。
負債につきましては、29,643百万円となり、前連結会計年度末と比較して1,084百万円の減少となりました。これは主に設備関係電子記録債務の減少等によるものであります。
純資産につきましては、22,081百万円となり、前連結会計年度末と比較して240百万円の増加となりました。これは主に利益剰余金の増加によるものであります。
当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は910百万円となり、前連結会計年度末と比較して282百万円の減少となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローにおける資金の増加額は、4,762百万円(前期比834百万円増)となりました。これは主に仕入債務の減少額423百万円等がありましたものの、税金等調整前当期純利益1,799百万円、減価償却費1,751百万円、未払消費税等の増加額1,073百万円等を計上したことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローについては、固定資産の取得による支出3,642百万円等がありましたので、3,550百万円(前期比1,265百万円減)の資金減少となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローについては、長期借入金の返済による支出750百万円、配当金の支払額425百万円等がありましたので、1,494百万円(前期比203百万円増)の資金減少となりました。
(4)資本の財源及び資金の流動性の分析
①キャッシュ・フロー
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3)キャッシュ・フロー」に記載しております。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりであります。
(注) 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
②資金調達
当社グループは設備投資計画等に基づき、必要な資金を主に銀行借入により調達しております。一時的な余資は、預金等の流動性の高い金融資産に限定して運用し、また、短期的な運転資金を銀行等金融機関からの借入により調達しております。
(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 (1)連結財務諸表 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。また、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。
なお、連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は以下のとおりであります。
(a)繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価する際に、将来の課税所得を合理的に見積っております。繰延税金資産の回収可能性の評価にあたっては、決算時点で入手可能な情報や資料に基づき合理的に判断しておりますが、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、事業環境の変化などにより見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ、課税所得が減少した場合、繰延税金資産が取り崩され、税金費用を計上する可能性があります。
(b)固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、主として事業単位を基準としてグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上しております。
固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
該当事項はありません。
当連結会計年度の研究開発費は
セグメント別の主な研究開発活動を示すと、次のとおりであります。
(1) 酒類事業
当連結会計年度の研究開発費は
酒類基礎研究所は、酒類およびその関連分野における「研究」、「分析」、「微生物の保管・管理」の役割を担っています。
「研究」につきましては、事業会社と連携し、お客様のニーズに応じた品質の製品を、値頃感のある価格で提供するための検討を進めております。
具体的には、当社の基盤技術のひとつである液化仕込み技術を活用したコストダウンや品質向上、育種改良した独自の醸造酵母による付加価値付与等に取り組み、得られた知見・技術は、適宜、事業会社にフィードバックしています。また、新しい価値や技術を創造すべく、大学との共同研究にも取り組み、開発した技術の知財化を進めております。
「分析」につきましては、事業会社等からの依頼に対し、正確なデータを可能な限り迅速にフィードバックしております。フィードバックデータは、品質管理、新商品開発、商談等に広く活用されております。また、分析データの信頼性を担保するため、分析技術の維持向上に努めております。
「微生物の保管・管理」につきましては、当社の財産でもある重要微生物を適正な環境の下で保管し、事業会社へ提供しています。また、保管場所を全国に分散化することにより、有事の際のリスクヘッジを図っております。
これらの活動を通し、お客様にご指名いただける商品の開発に繋げて参ります。
(2) 酵素医薬品事業
当連結会計年度の研究開発費は
長年に渡り培ってきたバイオ技術をコア・コンピタンスとして、「健康」と「環境」をテーマに、発酵をベースとした食品用酵素および生産支援ビジネス(受託製造)分野に対し、研究資源を集中的に投下しております。
食品用酵素分野においては、主力商品の乳糖分解酵素「ラクターゼ」を中心に、多彩な酵素のアプリケーション(用途)開発の技術情報をお客様に提供することで、健康増進や高齢化社会を意識した新たな乳製品の開発に繋げていただいております。また、お客様のニーズに合致した新たな食品用酵素の研究開発にも注力しております。
令和2年10月9日に、経済産業省が進めるゼロエミ・チャレンジ企業(脱炭素化社会の実現に向けた革新的イノベーションに挑戦する企業)に選定され、環境負荷低減に寄与するバイオプロセス技術の開発に向け、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクト「カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発」における「データ駆動型統合バイオ生産マネジメントシステムの研究開発」に参画しました。本プロジェクトでは、新たなバイオ資源の拡充、分離・精製・回収等を含む工業化に向けたバイオ生産プロセスの開発、生産プロセス条件と育種の関連付けが可能となる統合解析システムの開発を目的に、実生産への橋渡しを効果的に行うバイオファウンドリ基盤の整備、バイオ由来製品の社会実装の加速とバイオエコノミーの活性化を目指し検証を進める予定です。