第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、グループ企業理念「自然の恵みを活かし、バイオ技術をベースに、人々に食の楽しさと健やかなくらしを提供します。」の下、発酵技術等を核とする「バイオテクノロジー」をベースとした事業を展開しております。その中で、お客様に「安心」「安全」をお届けすることを第一に考え、普遍の概念である「顧客志向」と「収益志向」に則り事業活動を行い、併せて「将来価値の共創」に資する取組みを進め、経営品質の向上、ひいてはグループの持続的成長及び企業価値の最大化を目指しております。

 

(2) 経営環境

酒類市場では、人口減少や少子高齢化、若年層の飲酒離れ、酒類を提供する飲食店の減少により、コロナ収束後も国内需要の縮小が続くものと見られ、企業間での販売競争が激化することが予想されます。また、原材料コストの上昇に加え、エネルギーコストも大幅に上昇しており、製品原価を引き上げる要因となっております。

食品産業用酵素市場におきましても、国内外での販売競争や研究開発競争が益々激化することが予想されます。

 

(3) 長期ビジョン

当社グループは、創立100周年の節目を迎える2024年に向けて、「長期ビジョン100」を2015年に策定しております。「長期ビジョン100」は、当社グループが、持続的に成長し、企業価値を増大するための、企業理念に基づく使命・将来像を描いたものであり、これを実現する上での最重要課題である5本の柱を定めております。

 

 <7つの指針>

  ① 顧客重視の経営

  ② 収益重視の経営

  ③ 株主重視の経営

  ④ グループ全体最適化

  ⑤ 経営監督機能の強化

  ⑥ 強固な財務体質の確立

  ⑦ 社会的良識を意識した経営

 

  <5本の柱>

  ① 焼酎事業に集中

    ・焼酎に経営資源を集中

    ・焼酎事業の拡大

  ② アルコール事業 販売の拡大

    ・販売シェアNO.2を目指す

    ・アルコール増産に向けた設備投資

    ・新分野への積極的な販路拡大

  ③ 生産改革

    ・東西の生産物流拠点確立を目的としたグループ工場再編

  ④ 酵素医薬品事業の新展開

    ・新たな取組み(ポストラクターゼの開発、発酵技術を活かした発酵受託ビジネス)

    ・酵素医薬品事業の拡大

 

  ⑤ CRE戦略

    ・銀座ビルの「不動産価値」活用

    ・遊休不動産の活用

 

(4) 中期経営計画及び対処すべき重要課題

当社グループを取り巻く環境は、今後も厳しい状況が続くものと見込まれます。一方で、総市場で唯一成長を続けているRTD市場におきましては、令和4年は、コロナ禍で拡大した家飲み需要の裏返しの影響で微減となりましたが、令和5年10月の酒税法改正で増税となる第3のビールからの流入が見込まれていることもあり、今後も堅調に推移することが予想されます。また、国産酒類の輸出におきましては、品質への国際的評価の高まりや世界的な「日本食ブーム」が追い風となり、近年急成長を続けております。

さらには、世界的な健康志向の高まりを受け、機能性素材や食品産業用酵素の市場規模の拡大が見込まれております。

当社グループは、これらのニーズの変化を成長に繋がるチャンスと捉え、当社グループの強みを活かした企業活動を進め、これらの変化に対応してまいります。

令和5年度は、「長期ビジョン100」で掲げた5つの柱を軸として、「獲得利益の最大化」「コスト低減」「生産の見える化、コミュニケーションの活性化」「社会課題の解決」という4つの課題に取り組み、黒字転換に向けて不退転の決意で臨んでまいります。

 

1.獲得利益の最大化

(1)価格改定の断行

原材料及びエネルギーコストの高騰に対応した適正価格への価格改定の断行に取り組み、収益の確保を図ってまいります。

(2)消費の二極化への対応

当社グループの強みを最大限に活かした高付加価値商品、差別化商品や節約志向の高まりに対応した商品の開発・上市に取組み、消費の二極化に対応してまいります。

(3)輸出酒類の拡大

   拡大が見込まれる国産酒類の輸出を強化してまいります。

(4)酵素医薬品事業における新たな取組み

中性ラクターゼの差別化商品やサプリメント向けの酸性ラクターゼの粉体品、プラントベース製品向け酵素の販売を強化するとともに、新たなラクターゼ及びポストラクターゼの研究開発に引き続き邁進してまいります。

また、乳酸菌などの機能性素材や産業用酵素に関する製造技術の確立と設備の増強を早期に進め、発酵受託ビジネスを酵素に次ぐ事業の柱に育成してまいります。

2.コスト低減

   調達から生産、販売に至る全てのコストの低減に徹底的に取り組み、収益性の改善に努めてまいります。

3.生産の見える化、コミュニケーションの活性化

工程内不適合・お申し出を未然に防止するため、生産工程における、問題の見える化やコミュニケーションの活性化など、生産品質の向上に資する取組みを進めてまいります。

4.社会課題の解決

   当社グループでは、環境問題への対応は、地球規模の課題であると認識しております。

   低炭素社会の実現と循環型社会の形成に向けた取組みを引き続き行ってまいります。

令和5年度は、全国の主要な工場への太陽光発電システムの導入、焼酎粕乾燥化設備の導入、フロン排出抑制法への対応などに取り組んでまいります。

また、グループの持続的成長と企業価値向上には、その原動力となる従業員の価値を高め、その価値を有効に活用できるシステムの整備が不可欠であると考えております。従業員が安心して働くことができ、多様な人材が活躍できる環境づくりに積極的に取り組んでまいります。

さらには、「納得性」「公正性」「透明性」を備えたコーポレート・ガバナンス体制の構築や、人権マネジメント体制の整備にも積極的に取り組んでまいります。

2 【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。ただし、以下に記載したリスクは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見できないリスクの影響を将来受ける可能性があります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 酒類事業に関するリスク

 

項目

国内の酒類市場の変化

 

リスク概要

当社グループの酒類事業の売上高の大部分は国内販売となっております。国内の酒類市場においては、国内の人口減少や少子高齢化によって総需要が減少し、販売競争が激化することが見込まれております。また、酒類市場は、国内の景気動向や嗜好の変化の影響を受けやすい市場であるため、低価格帯の節約志向商品が伸張する一方、高価格帯の付加価値商品や健康志向商品も拡大するといった価格の二極化・嗜好の多様化が進むことが予想されております。販売競争の激化や価格の二極化・嗜好の多様化への対応が遅れた場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

対応策

当社グループは、強みを持つ分野や成長分野への経営資源の重点配分によって競争力強化に取り組んでおります。また、市場環境の変化に対応できるよう商品開発体制を強化し、顧客視点の発想での商品開発を進め、魅力的な商品を創出してまいります。

 

 

 

項目

酒類の販売に関する規制

 

リスク概要

アルコールの不適切な摂取による健康面や社会面への悪影響が指摘されており、WHOにおいては、世界的な規模での酒類販売に関する規制が検討されております。予想を大きく上回る規制強化が行われた場合、酒類の消費が減少し、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

対応策

当社グループは、酒類を製造・販売する企業グループとしての社会的責任を果たすために、酒類事業に関する法令等を遵守した販売・宣伝活動を行っております。また、適正飲酒の啓発活動を積極的に推進し、不適切な飲酒の撲滅に取り組んでおります。

 

 

(2) 酵素医薬品事業に関するリスク

 

項目

乳製品用酵素市場の変化

 

リスク概要

主力のラクターゼが属する乳製品用酵素市場では、国際的な巨大企業を含む国内外の企業との厳しい競争に直面しており、その技術革新は急速に進んでおります。新技術・新商品の開発の遅れや他社による技術革新によって、当社グループを取り巻く環境が想定を超えて大きく変化した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

対応策

当社グループでは、将来の市場・技術動向を見据えて新技術・新商品の研究・開発を推進しております。また、お客様と良好な関係をつくり、情報収集に努めるなど、市場の変化に迅速に対応できる体制を整備しております。

 

 

(3) 各事業領域共通のリスク

 

項目

事業拡大

 

リスク概要

当社は、積極的な事業拡大を図る手段の一つとして、当社グループにおいて有効かつ効率的に経営資源を活用できる企業などの株式を取得し、子会社としてまいりました。また、グループ経営の一層の効率化を図るため、当社の子会社間の合併を行うなど、グループ内組織再編を実施してまいりました。

当面、新たな子会社取得等は計画しておらず、現在のグループ構成において各機能の強化等によるグループ全体のトータルコストリダクションなどを進める方針であります。ただし、中長期的にはグループ全体の方針に基づき子会社取得も視野に入れて事業拡大を進める方針であります。新たな子会社取得等については、環境変化等の要因により一時的または追加的に損失等が生じる可能性があり、また、当社の期待する効果が十分に得られない可能性もあります。

 

対応策

当社は、取締役会における投資・M&A計画の適切な意思決定と実施後のモニタリングを適切に行っております。

 

 

 

項目

原材料調達

 

リスク概要

当社グループが使用する主要な原材料(粗留アルコール、コーン、重油等)には、調達価格が、調達先の国または地域の天候や経済状況の影響を間接的に受け、変動するものがあります。それら主要原材料の価格が高騰した場合には製造コストが上昇し、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

また、販売用アルコール等の原料である粗留アルコールについては、世界情勢や感染症拡大の影響により、購入単価の上昇や調達自体の難化等が生じることが懸念されます。世界情勢の悪化や感染症拡大が長期化した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

対応策

当社グループでは、複数企業からの購買や、計画的な購買によって安定的な調達に努めております。具体的には、原材料市場の積極的な情報収集、市場の変化に合わせた契約期間の見直し、調達先の分散等を行っております。

 

 

 

項目

自然災害

 

リスク概要

当社グループの営業拠点、製造拠点において、大規模な地震、水害、風害が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

対応策

当社グループでは、人命の安全を第一としながら、酒類・アルコール等の供給責任を果たすための生産・供給体制の整備等の危機管理体制の構築に努めております。

 

 

 

項目

感染症

 

リスク概要

新型コロナウイルス感染症拡大に伴う外出自粛、飲食店への時短要請・休業要請、緊急事態宣言の発出がなされた場合、事業活動に大きな影響を及ぼす可能性があります。特に、従業員の感染、事業所でのクラスター発生により想定以上に事業活動の停滞が長期化した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

対応策

当社グループは、国・自治体・業界団体の指針に沿って、適宜必要な施策を講じております。具体的には、うがい・手洗い・手指消毒・換気・マスク着用等の基本的な感染予防策の徹底、在宅勤務及び時差出勤の活用やオンライン会議の利用促進等の対策を実行しております。

 

 

 

項目

情報管理

 

リスク概要

当社グループは経営に関する重要情報をはじめとし、多数の個人に関する機密情報を保有しております。停電、災害、コンピュータウイルスなど予測の範囲を超える事態により、情報の消失・流出などの問題が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

 

対応策

当社グループは、当社の経営戦略企画室内のシステムセンターを中心としたグループ全体での情報セキュリティー体制を整備するとともに、従業員に対する教育や訓練の徹底とソフトウェアや機器導入によるセキュリティー対策を実施しております。

 

 

 

項目

人材確保・育成

 

リスク概要

日本国内の人口動態の変化による労働力不足への対応は、将来の持続的成長にも関わる大きな課題となっております。今後の社会情勢や雇用環境の変化により、相応しい人材を継続的に採用することが困難となる場合、既存事業における成長戦略の推進に支障が生じるなど、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

対応策

当社グループ全体の持続的成長及び中長期的な企業価値の向上のためには、多様な価値観に基づく多様な視点をもつ人財が不可欠であるという考え方の下、当社グループの役員、従業員の属性の多様化を図り、特性や個性を活かす職場環境づくりを進めております。具体的には、女性活躍推進プロジェクトを発足し、プロジェクトの意見を取り入れながら、計画的かつ継続的に女性の登用を進め、女性の個性と能力が十分に発揮できるよう、女性が育児・介護などをしながら安心して働き続けられる環境や、キャリアアップのサポートができる環境の整備を行っております。また、時間単位年休や副業・兼業の容認によるワークライフバランスの推進に努めております。さらには、誰もが自分の性的指向や性自認を尊重され、自分らしく生きることができる社会を形成するために、LGBTについての啓発活動を行っております。

 

 

 

 

項目

食品の安心・安全

 

リスク概要

当社グループとしての予期し得ない品質問題及び製品表示問題が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響する可能性があります。また、当社グループの製品の欠陥に起因して製品回収や損害賠償につながるリスクが現実化し、これを保険により補填できない事態が生じた場合、事業活動に支障が生じ、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

 

対応策

当社グループでは、グループ生産部門会議・当社の品質安全保証室を中心としたグループ全体での品質保証体制の強化を進めております。また、重要な案件については、当社代表取締役社長を委員長とする「CSR・コンプライアンス委員会」において審議し、対策を講じております。

また、品質マネジメントシステムの国際規格「ISO9001」、食品安全マネジメントシステムの国際規格「FSSC22000」の認証を取得するなど、品質保証への取組みを強化しております。さらには、酒税法等法令上定められている記帳義務、表示義務を遵守する姿勢の確立への取組みを強化しております。

 

 

 

項目

コンプライアンス

 

リスク概要

当社グループは事業の遂行にあたり、酒税法、食品衛生法、薬機法、景品表示法等の様々な法的規制の適用を受けています。これらの法令等に違反した場合や社会的要請に反した行動等を行った場合、法令による処罰・訴訟の提起・社会的制裁を受ける等、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

 

対応策

当社グループでは、コンプライアンスを、当社グループの企業価値を支える大きな柱であり、経営そのものであると捉えております。研修等を通じて従業員のコンプライアンス徹底に努めております。

 

 

 

項目

知的財産権

 

リスク概要

当社グループは知的財産権の重要性を認識し、知的財産権保護のための体制を整備しております。当社グループの知的財産権が侵害され、第三者に流出した場合、また将来、第三者との知的財産に関する紛争が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

 

対応策

当社グループでは、知的財産権管理の専門部署を設け、確実な取得及び保全、また他社の知的財産権の調査などに努めております。

 

 

 

項目

産業事故災害

 

リスク概要

当社グループの工場において、大規模な産業事故災害が発生した場合には、補償等を含む産業事故災害への対策費用、生産活動の停止による機会損失及び顧客に対する補償、さらに社会的信用の失墜等によって、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

 

対応策

当社グループでは、生産戦略の専門部署による管理体制の強化、未然に防ぐための設備の充実などの対策を講じております。

 

 

 

項目

環境課題

 

リスク概要

気候変動をはじめとする環境問題への企業の取組み姿勢に対するステークホルダーからの評価や市場の価値観の変化は、消費者の商品・サービスの選択に大きく影響するものとなっており、気候変動抑制のため、世界的規模でのエネルギー使用の合理化や地球温暖化対策などの法令等の規制も強まっております。また、海洋プラスティック問題は世界的な共通課題であるとの認識が急速に高まっており、容器包装における対応は、飲料業界の大きな課題になっております。これらの規制強化や、容器包装等に対する取組みへの対応費用の増加等によって、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、気候変動に起因する水資源の枯渇、原材料への影響、大規模な自然災害による製造設備の被害などのサプライチェーンに関わる物理的リスクが顕在化した場合、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

対応策

当社グループでは、当社代表取締役社長を委員長とする「CSR・コンプライアンス委員会」においてSDGsの達成に必要な課題を整理し、グループ全体で課題解決に向けた活動を推進しております。

具体的には、リサイクル素材の積極的活用、「自己熱再生システム」導入によるCO2排出量削減、蒸留廃液濃縮装置更新による産業廃棄物・燃料使用量の削減を図っているほか、当社子会社の合同酒精㈱が経済産業省の「ゼロエミ・チャレンジ企業」に選定されるなど、環境負荷低減や環境保全活動に積極的に取り組んでおります。

 

 

 

項目

為替変動

 

リスク概要

当社グループは、商品・原材料の一部を外貨建てにて輸入しております。しかしながら、短期及び中長期の予測を超えた為替変動が、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

 

対応策

当社グループでは、為替レート変動に対するリスクを為替予約等のヘッジ取引により一定限度まで低減しております。

 

 

 

項目

資金調達

 

リスク概要

資金調達時の金融市場の動向により、短期及び中長期の予測を超えた金利変動が、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

対応策

当社グループでは、金融機関等との良好な関係を維持するとともに、原則、複数による低利かつ固定金利での資金調達を行うことにより金利変動リスクの低減を図っています。また、健全な財務体質の維持・強化に努めるとともに金融市場の動向に関する最新の情報と事業環境の分析に基づき、資金計画の見直しを適時に行っております。

 

 

 

項目

棚卸資産の評価

 

リスク概要

平成20年4月1日以後開始する事業年度より「棚卸資産の評価に関する会計基準」が適用され、通常の販売目的で保有する棚卸資産は取得原価をもって貸借対照表価額とし、期末において正味売却価額が取得原価より下落している場合には収益性が低下していると判断し、当該正味売却価額まで貸借対照表価額を切下げ、取得原価と当該正味売却価額の差額は当期の費用として処理することとなりました。このため当社グループの棚卸資産につき、原材料購入価格の上昇、製造固定費の増加、生産量の減少、製品販売価格の下落などが生じ、その結果正味売却価額が取得原価を下回るため収益性が低下していると判断された場合には、当該棚卸資産の簿価切下げがなされ、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

 

対応策

当社グループでは、新たに大きな簿価切り下げが発生する可能性を可能な限り低減するため、毎期、継続的・保守的・網羅的に棚卸資産を評価・検証し、必要に応じて評価減を計上することとしております。

 

 

 

項目

固定資産の減損

 

リスク概要

当社グループは、事業の用に供する様々な固定資産を保有しております。平成18年度から「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しておりますが、今後、遊休固定資産の時価の急激な低下や事業環境が大幅に悪化した場合には、追加的な減損損失が発生し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

 

対応策

当社グループでは、追加的な減損損失のリスクを低減するため、毎期継続的に減損の兆候の有無を検証しております。

 

 

 

 

項目

退職給付債務

 

リスク概要

当社グループの一部の退職給付債務及び退職給付費用は、年金数理計算上使用される割引率や退職率、昇給率等の前提条件と年金資産の期待運用収益率等に基づき計算されております。年金資産の運用利回り悪化、割引率の低下等が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

 

対応策

当社グループでは、このような数理計算上の差異の発生に伴う損益変動リスクに対応するため、年金資産の運用は、適宜、情報を取得し、安全性を考慮した投資配分に努めております。また、退職給付制度には確定給付型と確定拠出型を組み合わせた制度を導入しております。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

  なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度におけるわが国経済は、WITHコロナに向けた政策により行動制限の段階的な緩和が進み、経済活動・社会活動に回復の兆しが見られました。一方で、長期化しているロシア・ウクライナ情勢に起因する原材料・エネルギー価格の高騰や、急激な円安進行等に伴う物価上昇により、依然として景気の先行きは不透明な状況が続いております。

このような経営環境の下、当社グループは、グループの持続的な成長及び中長期的な企業価値の向上を図るべく、中長期戦略「長期ビジョン100」で掲げた5本の柱を軸とした諸施策を引き続き進めてまいりました。

これらの結果、当連結会計年度の売上高は、81,120百万円(前期比3.2%増)となりました。利益面では、原料である粗留アルコールやコーン価格の大幅な高騰などの影響を受け、707百万円の営業損失(前期は1,207百万円の営業利益)、645百万円の経常損失(前期は1,267百万円の経常利益)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純損失は1,257百万円(前期は299百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

 

当社が重視する経営指標は次のとおりとなりました。

 

 

前連結会計年度

令和3年12月期)

当連結会計年度

令和4年12月期)

 

売上高

78,618百万円

81,120百万円

 

経常利益

1,267百万円

△645百万円

 

売上高経常利益率

1.6%

△0.8%

 

1株当たりの配当金

7円

5円

 

ROE

1.5%

△6.7%

 

 

 

セグメント別の業績を示すと、次のとおりであります。

 

<酒類事業>

 酒類事業におきましては、国内の人口減少や少子高齢化、飲酒機会の減少に加え、全カテゴリーに及ぶ価格の上昇により国内需要縮小が一段と進み、競争がより激化しております。また、飲用シーン別においては、行動制限の緩和により業務用市場に回復の兆しが表れる一方、家庭用としては、物価上昇による節約志向により、引き続きチューハイなどのRTD分野が好調に推移、加えて、チューハイの素やハイボールに最適なウイスキーなどが伸張しております。このような環境の下、売上高は72,904百万円(前期比2.5%増)となりました。利益面につきましては、961百万円の営業損失(前期は499百万円の営業利益)となりました。

 和酒部門のうち焼酎につきましては、しそ焼酎「鍛高譚」が好調に推移したものの、PB商品等の減少により、売上高は減少いたしました。同カテゴリーでは、しそ焼酎「鍛高譚」が12月に発売30周年を迎えることを記念して実施した、北海道内の企業とのコラボレーションキャンペーンをはじめとした販売促進策や、アウトドアシーンでの甲類焼酎「ビッグマン」の活用を企図して、アウトドアメーカーとコラボレーションし、リーチ マイケル氏を引き続きイメージキャラクターに起用したキャンペーンなど、新たなファン獲得や新たな飲用シーンの創出を目指した活動を積極的に展開いたしました。

 チューハイなどのRTD分野につきましては、レトロな雰囲気や懐かしい味わいを楽しめる「昔懐かしい」シリーズや、ローカルな飲食店やメーカーにスポットを当てた「ご当地」シリーズ、PB商品が好調に推移し、売上高は増加いたしました。「昔懐かしい」シリーズでは、純喫茶で提供される“フルーツポンチ”の味わいを再現した「昔懐かしいフルーツポンチサワー」を、「ご当地」シリーズでは「浅草ハイボール 電氣ブランサワー」を、それぞれ新たに発売し、ラインアップを強化しております。

 清酒につきましては、市場の低迷が続いておりますが、「福徳長 米だけのす~っと飲めてやさしいお酒 純米吟醸酒」やPB商品、海外での販売が好調に推移し、売上高は増加いたしました。同カテゴリーでは、「福徳長 米だけのす~っと飲めてやさしいお酒」シリーズより、季節限定の無濾過生貯蔵純米原酒「福徳長 米だけのす~っと飲めてやさしいお酒 しぼりたて無濾過 純米酒」を数量限定で発売するなど、旬のお酒を求めるお客様のニーズにお応えしております。

 販売用アルコールにつきましては、原料である粗留アルコールの大幅な高騰に対応すべく、販売価格の改定に取り組んだことにより、売上高は増加いたしました。

 洋酒部門につきましては、製菓用のリキュールや、炭酸水で割るだけで手軽に居酒屋の味わいを家で楽しむことができる、RTSの「酎ハイ専科」シリーズのアイテムを追加し、ラインアップを強化したことやハイボールに最適なウイスキー「香薫(こうくん)」などが伸張したことにより、売上高は増加いたしました。

 

<加工用澱粉事業>

 加工用澱粉事業につきましては、原料であるコーン価格の大幅な高騰に対応すべく、販売価格の改定に取り組んだことにより、売上高は4,279百万円(前期比12.3%増)となりました。しかしながら、急激な原価上昇に追いつかず、344百万円の営業損失(前期は59百万円の営業損失)となりました。

 

<酵素医薬品事業>

 酵素医薬品事業につきましては、国内における発酵受託ビジネスや、酵素部門における海外での販売が好調に推移し、売上高は3,395百万円(前期比3.6%増)となりました。しかしながら、原料価格やエネルギー価格の高騰などによる原価の上昇や製品構成の影響により、営業利益は370百万円(前期比34.6%減)となりました。

 

<不動産事業>

 不動産事業につきましては、銀座の旧本社跡地に、三菱地所グループの株式会社ロイヤルパークホテルズアンドリゾーツが運営するホテル「ザ ロイヤルパーク キャンバス 銀座コリドー」が11月にオープンしたことなどにより、売上高は460百万円(前期比27.8%増)、営業利益は214百万円(前期比15.3%増)となりました。

 

 

  生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

 ①生産実績

生産実績をセグメント別アイテム(主要製品)別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

アイテム(主要製品)

当連結会計年度

(自 令和4年1月1日

  至 令和4年12月31日)

前期比
(%)

酒類

焼酎

92,736

(KL)

95.0

 

チューハイ

80,759

(KL)

111.2

 

清酒

11,494

(KL)

105.5

 

合成清酒

9,242

(KL)

102.6

 

アルコール

112,736

(KL)

102.8

 

みりん

3,674

(KL)

80.6

 

洋酒

8,564

(KL)

112.1

 

その他

4,597

(KL)

98.4

 

323,802

(KL)

102.2

加工用澱粉

加工用澱粉

56,864

(T)

98.5

 

(注) 酵素医薬品事業については数量等の算定が困難であるため、記載しておりません。また、アルコールについては、他の酒類原料用も含んだ総生産数量であります。なお、不動産事業、その他の事業については生産実績がないため、記載しておりません。

 

 ②受注状況

当社グループは一部の製品について受注生産を行っておりますがウエイトも小さく、大部分の製品は販売計画に基づく生産計画に従った見込生産を主体としております。

 

 ③販売実績

販売実績をセグメント別アイテム(主要製品)別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

アイテム(主要製品)

当連結会計年度

(自 令和4年1月1日

 至 令和4年12月31日)

(百万円)

前期比

(%)

酒類

和酒

焼酎

36,100

94.1

 

 

チューハイ

14,169

113.5

 

 

清酒

3,545

106.8

 

 

合成清酒

1,862

98.8

 

 

販売用アルコール

11,265

121.1

 

 

みりん

621

88.1

 

 

67,565

102.3

 

洋酒

4,748

107.0

 

その他

589

99.2

 

 

72,904

102.5

加工用澱粉

4,279

112.3

酵素医薬品

3,395

103.6

不動産

460

127.8

その他

81

113.9

合  計

81,120

103.2

 

 

(注) 1 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

 

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

 

三井食品㈱

8,975

11.4

8,657

10.7

 

イオントップバリュ㈱

6,535

8.3

8,413

10.4

 

国分グループ本社㈱

7,886

10.0

7,298

9.0

 

 

 (2)財政状態

 当連結会計年度の総資産につきましては、55,511百万円となり、繰延税金資産が減少したものの、有形固定資産が増加したため、前連結会計年度末と比較し3,230百万円の増加となりました。

負債につきましては、35,906百万円となり、未払消費税等が減少したものの、短期借入金が増加したため、前連結会計年度末と比較して5,671百万円の増加となりました。

純資産につきましては、19,604百万円となり、前連結会計年度末と比較して2,441百万円の減少となりました。これは主に利益剰余金の減少によるものであります。

 

 (3)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は894百万円となり、前連結会計年度末と比較して91百万円の減少となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローにおける資金の減少額は、860百万円(前期比2,411百万円減)となりました。これは主に、減価償却費1,732百万円、仕入債務の増加額502百万円等がありましたものの、税金等調整前当期純損失777百万円、棚卸資産の増加額720百万円等を計上したことによるものであります。

投資活動によるキャッシュ・フローについては、固定資産の取得による支出3,934百万円等がありましたので、4,040百万円(前期比1,174百万円減)の資金減少となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローについては、長期借入金の返済による支出750百万円、配当金の支払額438百万円等がありましたものの、短期借入金の増加額3,400百万円、長期借入れによる収入3,000百万円等がありましたので、4,809百万円(前期比3,419百万円増)の資金増加となりました。

 

 (4)資本の財源及び資金の流動性の分析

①キャッシュ・フロー

「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3)キャッシュ・フロー」に記載しております。

なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりであります。

 

令和2年12月

令和3年12月

令和4年12月

自己資本比率(%)

38.7

38.3

32.0

時価ベースの自己資本比率(%)

47.1

40.9

26.9

キャッシュ・フロー対有利子負債率(年)

1.0

4.2

△13.9

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

72.3

26.2

△11.7

 

(注) 自己資本比率:自己資本/総資産 
      時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産 
      キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー 
      インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

②資金調達

当社グループは、資金計画に基づき、必要資金は銀行等金融機関からの借入により調達しております。一時的な余資は、預金等の流動性の高い金融資産に限定して運用し、また、短期的な運転資金を銀行等金融機関からの借入により、大型の設備投資資金の一部については複数の金融機関から相対借入により調達しております。

 

 (5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

また、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。

 

4 【経営上の重要な契約等】

(賃貸借契約)

契約相手先

賃貸設備の名称及び所在地

賃貸延床面積

契約種類

契約期間

三菱地所(株)

サ・ロイヤルパーク キャンバス 銀座コリドー

(東京都中央区銀座)

7,402.65㎡

定期建物賃貸借契約

令和4年10月1日~

 

(注)令和3年3月10日に締結した契約の内容を一部変更し、令和4年9月30日に再締結しております。

 

5 【研究開発活動】

当連結会計年度の研究開発費は416百万円であります。

セグメント別の主な研究開発活動を示すと、次のとおりであります。

 

(1) 酒類事業

当連結会計年度の研究開発費は78百万円であります。
 酒類事業の研究は、酒類及びその関連分野における「研究」「分析」「微生物の保管・管理」の役割を担っております。

「研究」につきましては、オエノングループ各社において「顧客志向」「収益志向」に基づいた取組みを行っております。特に、お客様の多様なニーズに応じた品質の製品を提供すべく日々努めており、また環境に配慮した製品開発にも力を入れております。

「分析」につきましては、正確なデータを可能な限り迅速にフィードバックしております。フィードバックデータは、品質管理、新商品開発、商談等に広く活用されております。また、分析データの信頼性を担保するため、分析技術の維持向上に努めております。

「微生物の保管・管理」につきましては、当社の財産でもある重要微生物を適正な環境の下で保管するとともに、保管場所を全国に分散化することにより、有事の際のリスクヘッジを図っております。

 

(2) 酵素医薬品事業

当連結会計年度の研究開発費は337百万円であります。

「健康」と「環境」をテーマに、発酵をベースとした食品用酵素・素材を中心に『バイオものづくり』の分野に対し、研究資源を集中的に投下しております。

食品用酵素分野においては、主力製品の乳糖分解酵素「ラクターゼ」を中心に、多彩な酵素のアプリケーション(用途)開発の技術情報をお客様に提供することで、健康増進やSDGsを意識した有用な商品の開発に繋げていただいております。また、お客様のニーズに合致した新たな食品用酵素・素材の研究開発、遺伝子組換え技術をはじめとする省資源化に資する生産技術の開発にも注力しております。

令和2年10月に、経済産業省が進めるゼロエミ・チャレンジ(脱炭素化社会の実現に挑戦する)企業に選定され、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクト「カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発」に参画しました。本プロジェクトでは、脱炭素社会に貢献するため、当社が培ってきた発酵生産技術を発展させ、官学の基盤知識と融合させることで、発酵における生産性が50%以上向上する可能性を見出しており、更なる環境負荷低減・持続可能な社会の実現に向け研究を継続しております。