文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、グループ企業理念「自然の恵みを活かし、バイオ技術をベースに、人々に食の楽しさと健やかなくらしを提供します。」の下、発酵技術等を核とする「バイオテクノロジー」をベースとした事業を展開しております。その中で、お客様に「安心」「安全」をお届けすることを第一に考え、普遍の概念である「顧客志向」と「収益志向」に則り事業活動を行い、併せて「将来価値の共創」に資する取組みを進め、経営品質の向上、ひいてはグループの持続的成長及び企業価値の最大化を目指しております。
(2) 経営環境
酒類市場におきましては、人口減少や少子高齢化、若年層の飲酒離れ、健康志向の高まりにより、国内需要の減少が続いており、企業間での販売競争が激化しております。また、円安基調や人件費上昇、物流の2024年問題による物流費上昇など、依然としてコストの上昇が見込まれます。さらには、商品の値上げの収束が見えない一方で、節約志向の高まりや、買い控えが顕著となり、消費の鈍化が予想されます。
食品産業用酵素市場におきましても、国内外での研究開発競争や販売競争が益々激化することが予想されます。
(3) 長期ビジョン
当社グループは、創立100周年の節目を迎える2024年に向けて、「長期ビジョン100」を2015年に策定しております。「長期ビジョン100」は、当社グループが、持続的に成長し、企業価値を増大するための、企業理念に基づく使命・将来像を描いたものであり、これを実現する上での最重要課題である5本の柱を定めております。
<7つの指針>
① 顧客重視の経営
② 収益重視の経営
③ 株主重視の経営
④ グループ全体最適化
⑤ 経営監督機能の強化
⑥ 強固な財務体質の確立
⑦ 社会的良識を意識した経営
<5本の柱>
① 焼酎事業に集中
・焼酎に経営資源を集中
・焼酎事業の拡大
② アルコール事業 販売の拡大
・販売シェアNO.2を目指す
・アルコール増産に向けた設備投資
・新分野への積極的な販路拡大
③ 生産改革
・東西の生産物流拠点確立を目的としたグループ工場再編
④ 酵素医薬品事業の新展開
・新たな取組み(ポストラクターゼの開発、発酵技術を活かした発酵受託ビジネス)
・酵素医薬品事業の拡大
⑤ CRE戦略
・銀座ビルの「不動産価値」活用
・遊休不動産の活用
(4) 中期経営計画及び対処すべき重要課題
当社グループを取り巻く環境は、今後も厳しい状況が続くものと見込まれます。一方で、チューハイにおきましては、人流の回復に伴い、料飲店市場への需要流出が懸念されましたが、家飲み需要が根強いこともあり、今後も堅調に推移することが予想されます。また、国産酒類の輸出におきましては、昨年は、アメリカで市中在庫の消費に時間がかかったことや、中国での景気低迷、処理水問題によって伸びが失速したものの、韓国、台湾といった国々への輸出が伸張しており、今後も拡大を続けるものと予想されます。さらには、入国規制緩和によるインバウンド需要の盛り上がりにより、免税売上の拡大が期待されます。
当社グループは、これらの市場のニーズの変化を成長に繋がるチャンスと捉え、当社グループの強みを活かした企業活動を進め、これらの変化に対応してまいります。
令和6年度は、「長期ビジョン100」で掲げた5本の柱を軸として、「重点事業における取組みの強化」「収益力の強化」「環境問題への対応」「経営基盤の強化」という4つの課題に取り組んでまいります。
1.重点事業における取組みの強化
(1) 焼酎事業への特化
市場優位性のある「博多の華」・「すご」シリーズの、各カテゴリーにおける絶対的なポジショニングの確立を目指してまいります。チューハイにおきましては、引き続き、消費者の嗜好の多様化に対応した商品の開発・提案を進め、販売拡大に繋げてまいります。
(2) 販売用アルコールの利益確保
原料・エネルギーの調達コストの変動に合わせた価格戦略を実行し、適正な利益確保に努めてまいります。
(3) 輸出酒類の強化
海外現地輸入業者及び国内輸出事業者との取引強化、マーケットインの商品開発により、輸出拡大を進めてまいります。
(4) 酵素医薬品事業の収益拡大
高精製・高濃縮といった中性ラクターゼの改良品や酸性ラクターゼを市場に投入し、収益拡大を図ってまいります。製造工程の見直し等によるコスト低減により、収益力を強化してまいります。また、発酵受託ビジネスにつきましては、乳酸菌を軸に、宗教対応、食品添加物対応ができるメーカーとして、独自のポジションを構築し、事業拡大を目指してまいります。
2.収益力の強化
(1) 適正価格の維持
安定供給及び適正な利益確保のため、適切なタイミングで販売価格の見直しを行い、必要に応じて価格改定を実施してまいります。
また、不採算商品については、整理またはリニューアルによる収益性の改善を図ってまいります。
(2) 消費の二極化への対応
物価上昇により消費者の節約志向が高まる一方で、消費者の本物志向に対応した高付加価値商品の需要も堅調に推移しております。これまで培ってきたグループ独自の技術・ノウハウを最大限に活かし、低価格商品・高付加価値商品を開発・上市し、拡売を図ってまいります。
(3) コスト低減の徹底
調達から生産、販売に至る全てのコストの低減に徹底的に取り組み、収益性の改善に努めてまいります。
(4) 不適合品発生の撲滅
不適合品の発生は、費用増大や取引先からの信用信頼の失墜に繋がると認識し、適正な生産管理体制を確立するとともに、従業員一人ひとりが、3H(初めて・変更・久しぶり)4M(人・設備・材料・方法)を意識し、危険予知を徹底し、不適合品発生の撲滅に努めてまいります。
3.環境問題への対応
環境問題への対応は地球規模の課題であるとの認識の下、引き続き低炭素社会の実現に向けた取組み及び循環型社会の形成に向けた取組みを進めてまいります。
令和6年度は、グリーン電力への切替えの拡大、フロン排出抑制法対応等に取り組んでまいります。
4.経営基盤の強化
グループの持続的成長と企業価値向上には、その原動力となる従業員の価値を高め、その価値を有効に活用できるシステムの整備が不可欠であると考えております。従業員が安心して働くことができ、多様な人材が活躍できる環境づくりに積極的に取り組んでまいります。
また、コーポレートガバナンスの充実とコンプライアンスの徹底を図り、「納得性」「公正性」「透明性」の高い経営の実践に努めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループでは、サステナビリティを経営における重要課題の一つと認識しております。
2021年に、CSR基本方針において対応すべき課題を「サステナビリティ(ESG要素を含む中長期的な持続可能性)を巡る課題」に変更し、これを指針として、事業活動を通じてサステナビリティを巡る課題に対応しております。
CSR基本方針
当社グループは、グループの持続的成長と中長期的な企業価値向上の実現には、社会からの期待に応え、社会との信頼関係を構築していくことが不可欠であると認識しております。
これらの実現のため、グループ企業理念の下、普遍概念である「顧客志向」・「収益志向」を判断の基礎として「よき企業市民として誰のためにどう役立つのか」を考え、事業活動を通じてサステナビリティ(ESG要素を含む中長期的な持続可能性)を巡る課題に適切に対応することによって企業の社会的責任(CSR)を果たし、持続可能な社会の実現への貢献と社会との信頼関係の構築に努めてまいります。
当社は、グループのCSR及びコンプライアンスの実践を支援・指導することを目的として、CSR・コンプライアンス委員会を設置しております。
CSR・コンプライアンス委員会は、当社の代表取締役社長を委員長、当社取締役及び別途指名されたグループ会社の取締役、その他の役職員を委員とし、統括・審議を行い、サステナビリティ関連のリスク及び機会を監視しております。なお、当社の監査役はCSR・コンプライアンス委員会に出席し、意見を述べることができます。
CSR・コンプライアンス委員会は年2回を定例開催とし、必要に応じて臨時に開催することができることとしております。
①気候変動
当社グループの酒類の原材料であるサトウキビ、大麦、米、そば等の穀物は、気候の影響を受けやすい農作物であります。また、酒類商品の出荷量も、外気温や天候によって、カテゴリー別で大きく左右される傾向にあることから、気候の影響を受けやすいものといえます。
当社グループは、2021年に策定した環境方針を指針として、TCFDが提言する気候変動のシナリオ分析とそのインパクトについての評価に向けた社内体制を整備してまいります。また、当社グループの事業活動による環境負荷を低減するため、商品、サービスの影響を的確に把握し、社会的な要求や法令等を遵守することで、省資源、省エネルギー、廃棄物の3R(リデュース、リユース、リサイクル)や化学物質の適切な管理に努め、リスク低減を図ってまいります。また、事業活動のすべてのステージで様々な環境保護活動に関与すべく、環境保全への貢献に資する商品の研究開発に取り組んでまいります。
環境方針
・当社グループは、気候変動への対応は地球規模の課題であると認識し、事業活動において温室効果ガスの削減を進め、低炭素社会の実現に取り組んでまいります。
・当社グループは、将来における資源・エネルギーの需給逼迫に備えるべく、省資源・省エネルギーや資源の循環的利用に一層注力し、資源生産性の向上に努めてまいります。また、廃棄物の適正処理や3R(リデュース、リユース、リサイクル)を推進し、循環型社会の形成に取り組んでまいります。
・当社グループは、環境関連の法律、条例及びその他法規制等を遵守し、環境汚染物質を適正に管理し、環境汚染リスクの未然防止に努めてまいります。
・当社グループは、生物多様性からの恵みが、社会全体の存続基盤として必要不可欠であるとの認識の下、当社グループが持つ技術や人材などの経営資源を活用して、生物多様性保全・自然保護に関する取組みを進めてまいります。
②人財育成及び社内環境整備
当社グループは、2021年に人財育成方針及び社内環境整備方針を策定し、これらの指針として、組織が機会提供・適切な評価や育成等を通じて従業員の意欲や情熱を引き出し、従業員は業務への深い関与を通じて充実感を満たしつつ、自律的な成長が遂げられるという循環サイクルを目指しております。
・女性活躍推進
当社グループでは、2026年までに女性の管理職を15名以上とすることを目指し、育成強化に努めております。将来的にリーダーを目指す女性社員向けに、リーダーに必要な能力習得を目的とした社外研修を受講できる環境を整備する女性社員向け社外研修制度を設けております。課題の解決や目標の達成をサポートすることにより、女性リーダーを育成しております。また、様々な問題や悩みを相談したい女性社員がメンティ(生徒)となり、指導担当の社員のメンター(先生)と定期的に面談を実施する女性社員向けキャリアビジョンサポート制度(メンター制度)を設けております。様々な問題や悩みを相談し、メンティのキャリア開発や仕事へのチャレンジ意欲向上を目指します。また、メンターの人財育成能力やマネジメント能力の向上にもつながり、今後のキャリア形成について考える機会となっております。
また、製造現場で働く意欲のある女性が、安心して働くことができる環境づくり、インフラ整備を進めております。
2020年に女性活躍推進プロジェクト(WINT)を立ち上げ、女性社員とのディスカッションを行う「女性フォーラム」の開催や、他社との女性活躍推進についての情報交流を行いながら、「女性も男性も働きやすい環境改善」を提言しております。
※WINTは、Women's INnovation for Tomorrowを略したチーム名で、メンバーそれぞれの「個性」からイノベーションが生まれ、当社グループの未来を創っていく、また、全ての社員の未来を創っていくという意味が込められています。
・障がい者雇用
「障がい者の雇用の促進等に関する法律」(昭和35年法律第123号)に基づき、民間企業に求められる法定雇用率以上の水準を維持することを目標に業務への適応をサポートする取組みを続けております。
・健康経営の推進
健康経営の精神の下、ワークライフバランスの推進に向け、就業時間管理の徹底、業務効率化の推進、適切な人員配置等を通じた長時間労働の削減に努めるとともに、社員に対して有給休暇の積極的な取得を促しております。また、社員の健康を守ることは企業の責任であることを重く受け止め、定期健康診断における有所見者の保健指導や健康維持に関する教育の機会を設けるなど、産業医との連携を行っております。
人財育成方針
当社グループは、取締役を支える中核人財層においても属性の多様性が確保され、それらの中核人財層が経験を重ねながら取締役に登用されていく仕組みを構築することが重要であると認識しております。
ダイバーシティの意義についての理解を促し、多様性を活かせるマネジメントスキルを学ぶことができる研修の受講等を通じて、従業員の多様性を活かせる中核人財層を育成してまいります。
社内環境整備方針
当社グループは、多様な働き方の実現は、生産性・創造性の向上だけでなく、多様な人財の確保にも繋がるものと認識しております。多様な人財を確保するため、多様で柔軟な働き方を可能とする社内環境を整備いたします。
当社グループでは、CSR・コンプライアンス委員会において、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性のあるリスクを認識し、その対策の進捗等を審議しております。
サステナビリティ課題の中でも、気候変動に関するリスクは当社グループの事業活動に与える影響が大きいと認識しております。今後は、Scope3の算出やTCFDの提言に沿ったシナリオ分析に着手する等、気候変動にかかるリスク及び機会が当社グループの事業活動や収益等に与える影響の把握に向けた取組みを行ってまいります。
①気候変動
当社グループの温室効果ガス発生量(Scope1+Scope2)の実績は次のとおりであります。
当社グループは2030年度までの削減目標として、2013年度比46%の削減を掲げております。
②人財育成及び社内環境整備
・女性活躍推進
グループ会社の合同酒精株式会社及び福徳長酒類株式会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)に基づく「一般事業主行動計画」において、以下の目標を公表しております。
合同酒精株式会社「一般事業主行動計画(第2期)」
(計画期間:2020年4月1日~2025年3月31日)
福徳長酒類株式会社「一般事業主行動計画」
(計画期間:2022年4月1日~2027年3月31日)
・障がい者雇用
グループ会社の合同酒精株式会社及び福徳長酒類株式会社の「障がい者の雇用の促進等に関する法律」(昭和35年法律第123号)に基づく法定雇用率及び実績値は次のとおりであります。
「障がい者雇用状況」(2023年6月1日時点)
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。ただし、以下に記載したリスクは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見できないリスクの影響を将来受ける可能性があります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 酒類事業に関するリスク
(2) 酵素医薬品事業に関するリスク
(3) 各事業領域共通のリスク
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類への移行に伴い、経済活動・社会活動の正常化が進み、緩やかな回復基調が見られました。一方で、長期化しているロシア・ウクライナ情勢に起因する原材料・エネルギー価格の高騰や、円安進行に伴う国内の物価上昇により、依然として景気の先行きは不透明な状況が続いております。
このような経営環境の下、当社グループは、グループの持続的な成長及び中長期的な企業価値の向上を図るべく、中長期戦略「長期ビジョン100」で掲げた5本の柱を軸とした諸施策を引き続き進めてまいりました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は、84,947百万円(前期比4.7%増)となりました。利益面では、営業利益は3,585百万円(前期は707百万円の営業損失)、経常利益は3,702百万円(前期は645百万円の経常損失)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は3,393百万円(前期は1,257百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
なお、第2四半期連結会計期間に、加工用澱粉事業を展開しておりました株式会社サニーメイズの株式を一部譲渡いたしました。これに伴い、第2四半期連結会計期間期首をみなし売却日として、同社を連結の範囲から除外しております。そのため、加工用澱粉事業の業績は第1四半期連結累計期間までを連結の範囲に含めております。
当社が重視する経営指標は次のとおりとなりました。
セグメント別の業績を示すと、次のとおりであります。
<酒類事業>
酒類事業につきましては、国内の人口減少や少子高齢化、飲酒機会の減少に加え、令和4年3月より数回にわたり実施された、全カテゴリーにおよぶ販売価格の改定(値上げ)により需要の縮小が一段と進み、競争が益々激化しております。一方で、行動制限の緩和により業務用市場では回復の兆しが表れております。また、物価上昇による節約志向の高まりから、家庭用市場につきましては、価格訴求したPBのRTD商品が引き続き好調に推移しており、さらにチューハイの素や、梅酒などが伸張しております。このようなニーズの変化に対応した販売活動を推進した結果、売上高は78,799百万円(前期比8.1%増)となりました。また、利益面につきましては、価格改定を推し進めたことにより、2,632百万円の営業利益(前期は961百万円の営業損失)となりました。
和酒部門のうち焼酎につきましては、甲類乙類混和焼酎の「すごむぎ」「すごいも」やしそ焼酎「鍛高譚」が好調に推移したものの、PB商品等の減少により、売上高は減少いたしました。同カテゴリーでは、ラグビーのリーチ マイケル選手を継続起用した甲類焼酎「ビッグマン」新CMの放映、しそ焼酎「鍛高譚」公式Instagramアカウント並びに同公式X(旧Twitter)アカウント、オエノングループ公式Xアカウントにおいて、企業間のコラボレーションによるプレゼントキャンペーンを実施するなど、さらなるファン層の獲得を目指した施策を実施しております。なお、令和4年度以降、当期までに、甲類焼酎で平均4%、乙類焼酎並びに甲乙混和焼酎で平均6%の価格改定を数回にわたり実施しております。
チューハイなどのRTD分野につきましては、日本各地の厳選素材を使用したチューハイ「NIPPON PREMIUM」シリーズやPB商品が好調に推移し、売上高は増加いたしました。なお、同カテゴリーにおいても令和4年度に2回にわたり平均9%の価格改定を実施しております。
清酒につきましては、市場の低迷が続いておりますが、業務用商品やPB商品等が好調に推移し、売上高は増加いたしました。なお、同カテゴリーは、令和4年度に平均7%の価格改定を実施しております。
販売用アルコールにつきましては、酒類原料用アルコール及び工業用アルコールが好調に推移し、売上高は増加いたしました。同カテゴリーは、概ね四半期毎に各取引先と価格改定を行い、原料価格高騰分の価格転嫁を進めております。
洋酒部門につきましては、梅酒や炭酸水で割るだけで手軽に居酒屋の味わいを家で楽しむことができる、チューハイの素などが好調に推移したほか、ハイボールに最適なウイスキー「香薫(こうくん)」などが国内外で伸張したことにより、売上高は増加いたしました。また、「TAN TAKA TAN SHISO梅酒」が、食品・食材評価制度である「ジャパン・フード・セレクション」において、高い品質が評価され、グランプリを受賞しました。なお、同カテゴリーは、令和4年度以降、当期までに数回にわたり平均6%の価格改定を実施しております。
<加工用澱粉事業>
加工用澱粉事業につきましては、第2四半期連結会計期間に、連結子会社でありました当該事業を展開する株式会社サニーメイズの株式を一部譲渡いたしました。これに伴い、当社の株式会社サニーメイズに対する持分割合が減少した結果、第2四半期連結会計期間期首をみなし売却日として連結の範囲から除外し、持分法の適用範囲に含めております。なお、第1四半期連結累計期間までの売上高は1,341百万円(前期比68.7%減)、営業損失は6百万円(前期は344百万円の営業損失)であります。
<酵素医薬品事業>
酵素医薬品事業につきましては、国内における発酵受託ビジネスや、酵素部門における海外での販売が好調に推移したため、売上高は3,488百万円(前期比2.7%増)となりました。しかしながら、利益面につきましては、人件費や修繕費の増加などにより、328百万円の営業利益(前期比11.5%減)となりました。
<不動産事業>
不動産事業につきましては、銀座の旧本社ビル跡地に、三菱地所グループの三菱地所ホテルズ&リゾーツ株式会社が運営するホテル「ザ ロイヤルパーク キャンバス 銀座コリドー」が令和4年11月にオープンしたことや、第2四半期連結会計期間に販売用不動産の売却があったことなどにより、売上高は1,230百万円(前期比167.5%増)、営業利益は618百万円(前期比188.3%増)となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
生産実績をセグメント別アイテム(主要製品)別に示すと、次のとおりであります。
(注)1 酵素医薬品事業については数量等の算定が困難であるため、記載しておりません。また、アルコールについ
ては、他の酒類原料用も含んだ総生産数量であります。なお、不動産事業、その他の事業については生産実
績がないため、記載しておりません。
2 加工用澱粉事業は、第1四半期連結累計期間までの実績となっております。
当社グループは一部の製品について受注生産を行っておりますがウエイトも小さく、大部分の製品は販売計画に基づく生産計画に従った見込生産を主体としております。
販売実績をセグメント別アイテム(主要製品)別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
2 加工用澱粉事業は、第1四半期連結累計期間までの実績となっております。
(2)財政状態
当連結会計年度の総資産につきましては、55,431百万円となり、投資有価証券が増加したものの、有形固定資産や未収入金が減少したため、前連結会計年度末と比較し79百万円の減少となりました。
負債につきましては、33,204百万円となり、未払消費税等が増加したものの、短期借入金が減少したため、前連結会計年度末と比較して2,702百万円の減少となりました。
純資産につきましては、22,227百万円となり、前連結会計年度末と比較して2,623百万円の増加となりました。これは主に利益剰余金の増加によるものであります。
当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は824百万円となり、前連結会計年度末と比較して70百万円の減少となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローにおける資金の増加額は、4,606百万円(前期比5,467百万円増)となりました。これは主に、棚卸資産の増加額1,259百万円、売上債権の増加額817百万円等がありましたものの、税金等調整前当期純利益3,604百万円、減価償却費1,851百万円等を計上したことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローについては、固定資産の取得による支出871百万円等がありましたものの、関係会社貸付金の回収による収入950百万円等がありましたので、11百万円(前期比4,052百万円増)の資金増加となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローについては、短期借入金の減少額3,750百万円、長期借入金の返済による支出600百万円等がありましたので、4,688百万円(前期比9,498百万円減)の資金減少となりました。
(4)資本の財源及び資金の流動性の分析
①キャッシュ・フロー
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3)キャッシュ・フロー」に記載しております。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりであります。
(注) 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
②資金調達
当社グループは、資金計画に基づき、必要資金は銀行等金融機関からの借入により調達しております。一時的な余資は、預金等の流動性の高い金融資産に限定して運用し、また、短期的な運転資金を銀行等金融機関からの借入により、大型の設備投資資金の一部については複数の金融機関から相対借入により調達しております。
(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(賃貸借契約)
当連結会計年度の研究開発費は
セグメント別の主な研究開発活動を示すと、次のとおりであります。
(1) 酒類事業
当連結会計年度の研究開発費は
酒類事業の研究は、酒類及びその関連分野における「研究」「分析」「微生物の保管・管理」の役割を担っております。
「研究」につきましては、オエノングループ各社において「顧客志向」「収益志向」に基づいた取組みを行っております。特に、お客様の多様なニーズに応じた品質の製品を提供すべく日々努めており、また環境に配慮した製品開発にも力を入れております。
「分析」につきましては、オエノングループ各社で培った分析技術や分析データを共有することで、品質管理、新商品開発、商談等に広く活用しております。また、分析データの信頼性を担保するため、分析技術の維持向上に努めております。
「微生物の保管・管理」につきましては、当社の財産でもある重要微生物を適正な環境の下で保管するとともに、保管場所を全国に分散化することにより、有事の際のリスクヘッジを図っております。
(2) 酵素医薬品事業
当連結会計年度の研究開発費は
「健康」と「環境」をテーマに、発酵をベースとした食品用酵素・素材を中心に『バイオものづくり』の分野に対し、研究資源を集中的に投下しております。
食品用酵素分野においては、主力製品の乳糖分解酵素「ラクターゼ」を中心に、多彩な酵素のアプリケーション(用途)開発の技術情報をお客様に提供することで、健康増進やSDGsを意識した有用な商品の開発に繋げていただいております。また、お客様のニーズに合致した新たな食品用酵素・素材の研究開発、遺伝子組換え技術をはじめとする省資源化に資する生産技術の開発にも注力しております。
令和2年に経済産業省が進める脱炭素化社会実現に挑戦するゼロエミ・チャレンジ企業に選定され、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクト「カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発」に参画し、令和5年は新規発酵槽のニュースリリースを行うなどの成果を上げてまいりました。今後も環境負荷を低減し持続可能な社会を推進するため、当社が保有する発酵生産技術を基幹とし官学の基盤知識と融合・発展させることで、有用な生産菌株の構築からスケールアップ支援受託事業(新規参入事業者への有償サポート)まで、『バイオものづくり』の社会実装に向けた研究開発を継続いたします。