① 業 績 全 般
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用情勢の改善などにより、景気は緩やかな回復基調をたどりましたが、直近ではアジア新興国や資源国の景気下振れの影響など、海外経済の不確実性が強まる状況にあります。
このような状況の中で、当社グループは、事業の根幹であるプロバイオティクスの啓発・普及活動を展開し、商品の優位性を訴求してきました。また、販売組織の拡充、新商品の研究開発や生産設備の更新に加え、海外事業や医薬品事業にも積極的に取り組み、業績の向上に努めました。
この結果、当連結会計年度の連結売上高は390,412百万円(前期比6.1%増)となりました。利益面におきましては、営業利益は40,057百万円(前期比14.8%増)、経常利益は50,629百万円(前期比11.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は28,843百万円(前期比15.1%増)となりました。
②セグメント別の状況
・飲料および食品製造販売事業部門(日本)
日本国内における乳製品については、当社独自の「乳酸菌 シロタ株」の科学性を広く訴求することに注力し、エビデンスを活用した「価値普及」活動を積極的に展開しました。また、創業80周年にあたり、昨年4月にお客さまへの感謝の意を込めた「創業80周年感謝企画」を実施するなど、お客さまとのより一層の関係強化を図りました。
商品別では、のむヨーグルト「ジョア」について、昨年6月にリニューアルおよび価格改定を実施するとともに、ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社とのライセンス契約に基づき、ディズニーキャラクターを用いたパッケージで発売することで、売り上げの増大を図りました。また、本年3月には、はっ酵乳「ミルミル」および「ミルミルS」のリニューアルならびに「ミルミル」の価格改定を実施し、商品価値の向上と鮮度アップを図りました。
宅配チャネルにおいては、主力商品である乳製品乳酸菌飲料「ヤクルト400」および「ヤクルト400LT」を中心とした「価値普及」活動によるお客さまづくりに取り組みました。また、ヤクルトレディのテレビCMをはじめとした広告出稿などを積極的に展開し、ヤクルトレディの採用活動を継続的に支援することで、宅配組織の強化に努めました。
店頭チャネルにおいては、乳製品乳酸菌飲料「Newヤクルト」および「Newヤクルトカロリーハーフ」を中心に、プロモーションスタッフを活用したお客さまへの「価値普及」活動を展開しました。また、昨年9月には量販店向けに「Newヤクルトカロリーハーフ10本パック」を、10月には関東1都6県のコンビニエンスストア向けに「Newヤクルト6本パック」を発売しました。さらに、昨年11月には関東1都3県のセブン-イレブンで、パーソナルタイプの「毎日飲むヤクルト」を発売し、本年1月にはその販売エリアを拡大しました。
一方、ジュース・清涼飲料については、昨年5月に栄養ドリンク「タフマン」シリーズや乳性飲料「ミルージュ」シリーズなどをリニューアルすることで、ブランドの活性化を図りました。また、果汁入り飲料「さっぱり」シリーズや水分・ミネラル補給飲料「ミネラルチャージ」の自動販売機における重点配荷などにより、売り上げの増大を図りました。
そのほか、昨年10月には東京ヤクルトスワローズがリーグ優勝および日本シリーズ進出を果たしたことに伴い、応援していただいたファンの皆さまに感謝の意を表すため、乳製品およびジュース・清涼飲料などを対象にした記念施策を実施しました。
このような取り組みを中心に販売強化に努めた結果、乳製品全体では前期を上回る実績となりました。一方、ジュース・清涼飲料全体については、健康機能性飲料の売り上げが伸び悩み、前期を下回る結果となりました。
これらの結果、飲料および食品製造販売事業部門(日本)の連結売上高は198,959百万円(前期比0.9%増)となりました。
・飲料および食品製造販売事業部門(海外)
海外については、昭和39年3月の台湾ヤクルト株式会社の営業開始をかわきりに、現在27の事業所および1つの研究所を中心に、32の国と地域で主として乳製品乳酸菌飲料「ヤクルト」の製造、販売を行っており、平成28年3月の一日当たり平均販売本数は約2,659万本となっています。
ア.米 州 地 域
米州地域においては、ブラジル、メキシコおよび米国で乳製品乳酸菌飲料「ヤクルト」などを製造、販売しています。
同地域では、宅配・店頭両チャネルにおける販売体制強化を図り、売り上げの増大に努めました。
メキシコにおいては、健康志向の高まりとともに、糖分や脂肪分を抑えた食品の普及が進む中で、昨年8月からドリンクタイプヨーグルト「ソフール」をカロリー低減タイプの「ソフールLT」に変更し、販売を開始しました。
これらの結果、飲料および食品製造販売事業部門(米州地域)の連結売上高は52,736百万円(前期比3.5%減)となりました。
イ.アジア・オセアニア地域
アジア・オセアニア地域においては、香港、シンガポール、インドネシア、オーストラリア、マレーシア、ベトナム、インドおよび中国などで乳製品乳酸菌飲料「ヤクルト」などを製造、販売しています。
中国においては、「ヤクルト」の販売本数増加に伴い、広州、上海および天津の各工場に続き、昨年6月に無錫工場(無錫ヤクルト株式会社)での生産を開始しました。また、昨年10月から広州ヤクルト株式会社で、本年1月から中国ヤクルト株式会社および上海ヤクルト株式会社で、カロリー低減タイプの「ヤクルトライト」の販売を開始しました。
アラブ首長国連邦(UAE)においては、昨年9月に中東ヤクルト株式会社を設立し、輸入販売に向けた準備を進めています。
これらの結果、飲料および食品製造販売事業部門(アジア・オセアニア地域)の連結売上高は97,121百万円(前期比22.7%増)となりました。
ウ.ヨーロッパ地域
ヨーロッパ地域においては、乳製品乳酸菌飲料「ヤクルト」などをオランダで製造し、同国を含め、ベルギー、イギリス、ドイツ、オーストリアおよびイタリアなどで販売しています。
ヨーロッパのプロバイオティクス市場は依然として厳しい現地経済の影響を受けており、また競合他社との競争が続いています。
スイスにおいては、「ヤクルト」が、スイス連邦公衆衛生総局の健康強調表示(ヘルスクレーム)に関する審査制度において、「おなかの正常な機能維持に貢献する」旨の表示許可を取得しました。これにより、スイスにおける「ヤクルト」などのさらなる普及に努めていきます。
これらの結果、飲料および食品製造販売事業部門(ヨーロッパ地域)の連結売上高は8,621百万円(前期比3.0%減)となりました。
・医薬品製造販売事業部門
医薬品については、国内において、抗悪性腫瘍剤「エルプラット」の治癒切除不能な進行・再発大腸がんに対する標準療法および大腸がん術後補助化学療法の啓発活動や、抗悪性腫瘍剤「カンプト」「エルプラット」および活性型葉酸製剤「レボホリナートヤクルト」を含む膵がんFOLFIRINOX療法の適正使用を推奨する活動を推進しました。また、「エルプラット」では、昨年11月に胃がんの術後補助化学療法に対する効能・効果の追加承認を取得し、既に承認されていた進行・再発胃がんへの適応と合わせ、効能・効果が「胃がん」となりました。このことから、胃がん領域における「エルプラット」の浸透を図るため、医療関係者を対象に講演会や医局説明会などを積極的に開催し、シェアの拡大に努めました。そのほか、代謝拮抗性抗悪性腫瘍剤「ゲムシタビンヤクルト」、抗悪性腫瘍剤「イマチニブヤクルト」、骨吸収抑制剤「ゾレドロン酸ヤクルト」および昨年6月に発売したタキソイド系抗悪性腫瘍剤の後発医薬品「ドセタキセルヤクルト」などの販路拡大に努め、売り上げの増大を図りました。
しかしながら、平成26年12月に「エルプラット」の後発医薬品が上市されて以降、一部の医療機関においては後発医薬品への切り替えが発生し、全体では大幅な売り上げの増大には至りませんでした。
一方、研究開発においては、4SC AG社から導入しているHDAC阻害剤「レスミノスタット」、エテルナゼンタリス社から導入しているPI3K/Akt阻害剤「ペリフォシン」および昨年10月に日産化学工業株式会社と共同開発契約を締結した血小板増加薬「NIP-022(当社開発コードはYHI-1501)」などの開発パイプラインの開発を推進しました。これらにより、今後、がんおよびその周辺領域において、さらなる強固な地位の確立を目指します。
これらの結果、医薬品製造販売事業部門の連結売上高は34,813百万円(前期比6.9%増)となりました。
・その他事業部門
その他事業部門には、化粧品の製造販売およびプロ野球興行などがあります。
化粧品については、当社が創業以来培ってきた乳酸菌研究から生まれたオリジナル保湿成分「S.E.(シロタエッセンス)」の「価値普及」に重点をおき、基礎化粧品の主力ブランドである「パラビオ」「リベシィ」および「リベシィホワイト」を中心としたカウンセリング型訪問販売活動を継続して展開しました。
具体的には、四半期ごとにテーマと重点商品を設定した営業施策の徹底により、お客さまづくりに取り組みました。
また、昨年4月には「保湿」に加え「抗糖化」に着目した「S.E.」を配合し、お肌へのはたらきを高めた「プラチナケアS.E.ローション」を、11月にはヤクルトの長年にわたる乳酸菌研究と肌構造研究の成果を結集し、さらなる進化を遂げた保湿成分「ラメラ粒子」を配合してフルモデルチェンジした「パラビオ」スキンケアシリーズを発売し、売り上げの増大を図りました。
これらにより、化粧品全体としては、前期を上回る実績となりました。
一方、プロ野球興行については、東京ヤクルトスワローズがリーグ優勝および日本シリーズ進出を果たすことができました。また、神宮球場において各種イベントを通じたファンサービスやさまざまな情報発信を行った結果、入場者数および売り上げがともに増加しました。
これらの結果、その他事業部門の連結売上高は20,315百万円(前期比14.2%増)となりました。
なお、セグメント別売上高には消費税等は含まれていません。
(注)各セグメントの連結売上高には、セグメント間売上高が含まれています。
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物は、前連結会計年度に比べ1,603百万円減少し、101,799百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、 税金等調整前当期純利益49,741百万円、減価償却費24,364百万円があった一方、法人税等の支払額が13,454百万円あったこと等により、62,149百万円(前期比6,742百万円の収入増)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に生産設備および研究設備の新設等による固定資産の取得があったことにより△ 37,438百万円(前期比12,628百万円の支出減)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金および長期借入金の返済に加え、配当金の支払い等があったことにより△ 15,024百万円(前期比13,389百万円の支出増)となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
飲料および食品製造販売事業(日本) | 124,917 | 5.0 |
飲料および食品製造販売事業(米州) | 52,565 | △4.3 |
飲料および食品製造販売事業(アジア・オセアニア) | 97,622 | 22.9 |
飲料および食品製造販売事業(ヨーロッパ) | 8,662 | △4.1 |
医薬品製造販売事業 | 27,338 | 0.1 |
その他事業 | 8,498 | △13.6 |
合計 | 319,605 | 6.7 |
(注) 1 金額は販売価格によっています。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
当社グループは、受注生産は行っていません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
飲料および食品製造販売事業(日本) | 179,518 | 1.2 |
飲料および食品製造販売事業(米州) | 52,736 | △3.5 |
飲料および食品製造販売事業(アジア・オセアニア) | 97,121 | 22.7 |
飲料および食品製造販売事業(ヨーロッパ) | 8,621 | △3.0 |
医薬品製造販売事業 | 34,813 | 6.9 |
その他事業 | 17,600 | 14.8 |
合計 | 390,412 | 6.1 |
(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
2 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10以上の 相手先がないため記載を省略しています。
3 セグメント間の取引については相殺消去しています。
今後の経済の見通しとしましては、海外景気の下振れの影響が懸念されるものの、雇用・所得環境の改善傾向が続く中、政府の各種政策の効果等もあり景気が緩やかに回復していくことが期待されます。
このような社会経済環境のもと、人々の健康増進に役立つプロバイオティクス分野の事業の重要性は、ますます高まるものと思われます。
当社グループは、この分野のリーディングカンパニーとして、引き続き商品の優位性・安全性を訴求するとともに、多様化したお客さまのニーズにお応えする機能性豊かな新商品の研究開発に取り組んでまいります。
そして、ひとりでも多くのお客さまに質の高い商品とサービスをお届けできますよう、当社グループ独自の宅配システムの強化拡大を図りながら、店頭流通への対応強化、医薬品事業の拡大および化粧品事業の基盤強化とともに、積極的な国際展開を推進してまいります。
加えて、引き続きコンプライアンス経営を推進するとともに、企業の社会的責任を果たしつつ、経営の効率化と業績の向上に鋭意努力してまいります。
また、企業理念である「私たちは、生命科学の追究を基盤として、世界の人々の健康で楽しい生活づくりに貢献します」の実現に向けて、コーポレートスローガン「人も地球も健康に」のもと、地球環境全体の健康を視野に入れ、すべての事業活動を通じて、良き企業市民として歩んでまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況などに関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 事業のグローバル化に伴うリスク
当社グループは、世界各国で事業を展開し、海外において製造および販売活動を行っています。各事業所の堅調さを受けて年々、当社グループの業績における海外の比重は高くなっています。
しかしながら、連結財務諸表の作成において為替変動の影響を受ける場合があること、また、海外の関連地域には政治的・経済的に不安定な状態にある国も含まれることから、様々な手段を講じてはいても、これらのリスクを完全に回避できない場合があります。さらに、社会的背景の異なる海外においては、予期しない法律または諸規制の制定・改廃などにより事業活動に問題が生じる恐れがあります。これらの場合、当社の業績および財政状態に影響を与える可能性があります。
(2) 商品の安全性に関するリスク
安全性や品質管理に対する消費者の関心が一層高まっているなか、安心、安全な商品を提供していくことが強く求められています。当社グループの取扱商品は、食品衛生法、医薬品医療機器等法をはじめとする法的諸規制の適用を受け、より一層の安全性、品質管理が求められていると認識しています。当社グループにおいても、安全な商品提供を第一と考え、品質管理体制の強化を図っています。
しかし、商品に関し不測の事態が発生した場合、当社グループの業績および財政状態に多大な影響を及ぼす可能性があります。
このため、商品の安全性、品質の向上について万全を期して対応していきます。
(3) 原材料価格が抱えるリスク
当社グループの主要商品は、乳製品乳酸菌飲料であります。その原材料の購入価格が、市場の需給関係の状況などにより高騰した場合、また、原油価格が高騰したり高止まりが続く場合には、容器等包装資材を含めた製造経費、さらには運送費へも影響を与えます。このような原価高の影響をコスト削減努力で吸収できず、また市場の状況により販売価格の改定もできない場合には、当社グループの財政状態に多大な影響を及ぼす可能性があります。
なお、上記以外にも、天候の異常、自然災害などのさまざまなリスクがあり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。当社グループでは、これらのリスクの存在を認識したうえで、発生の回避に努める所存です。
該当事項はありません。
当社グループは、腸内菌叢(腸内フローラ)を構成する微生物のヒトへの役割を中心とした生命科学の追究により、世界の人々の健康で楽しい生活づくりに貢献するという企業理念の達成を目指しています。その中にあって当社研究開発部門は、長期的展望に立った基礎研究を行うとともに、それら基礎研究の成果を活かした食品・医薬品・化粧品などの研究開発に取り組んでいます。あわせて、事業戦略上求められる研究開発課題の解決や社会の要請に応じた商品の安全性確保と環境対策に関する研究にも力を注いでいます。
当連結会計年度の研究開発費の総額は12,677百万円で、セグメント情報にかかわる研究開発活動の概要は、次のとおりです。
基礎研究開発分野においては、腸内フローラとヒトの健康との関わりを明らかにするために、分子生物学・微生物学・免疫学・生理学・栄養学などの多面的な研究を行っています。プロバイオティクスとしての乳酸菌・ビフィズス菌がヒトの健康維持・増進に果たす役割の解明に重点をおくと同時に、新規の微生物や天然物の探索を行い、食品・医薬品・化粧品などへの利用を目指した機能性素材開発に積極的に取り組んでいます。
当連結会計年度の研究成果は次のとおりです。
① 慶應義塾大学医学部を中心とする研究グループとの共同研究で、感染防御ならびに炎症性腸疾患および自己免疫疾患などの病態形成に関与するTh17細胞(免疫細胞)の誘導機構を検証した結果、腸内細菌が小腸上皮に強く接着することにより、Th17細胞が誘導されることを明らかにしました。さらに、ヒトの腸内細菌叢においてTh17細胞を誘導する20種類の細菌を同定しました。今回の成果は、Th17細胞が関与する炎症性腸疾患などの自己免疫疾患の診断・治療法の確立や感染症の制御に寄与するプロバイオティクスの開発研究に役立つことが期待されます。本研究成果は、学術誌「Cell」に掲載されました。
② アトピー性皮膚炎患者を対象とした「ラクトバチルス プランタルム YIT 0132(乳酸菌)」を含む発酵果汁飲料の飲用試験を実施した結果、アトピー性皮膚炎症状およびQOLの改善ならびにアレルギー性疾患と関わりが深い血液中のマーカー(ECP、IgE 等)の低減が確認されました。この研究により、本発酵果汁飲料は、アトピー性皮膚炎患者の免疫バランスを調節し、アレルギー症状の軽減に役立つことが期待されます。本研究成果は、学術誌「Bioscience of Microbiota, Food and Health」の電子版に掲載されました。
③ 順天堂大学大学院プロバイオティクス研究講座 との共同研究で、健常小児を対象とした「L.カゼイ・シロタ株(乳酸菌)」を含むプロバイオティクス飲料の飲用試験を実施しました。この結果、健常小児の腸内には有害菌および日和見感染菌が一定の割合で存在し、さらにプロバイオティクス飲料の継続摂取により腸内フローラおよび腸内環境が改善されることが確認されました。この研究により、プロバイオティクス飲料の継続摂取は、有害菌や日和見感染菌を減少させ、健康の維持・増進につながることが期待されます。本研究成果は、学術誌「Annals of Nutrition & Metabolism」に掲載されました。
④ 順天堂大学大学院プロバイオティクス研究講座、東京女子医科大学病院小児科との共同研究で、高齢者施設入所者などを対象とした「L.カゼイ シロタ株(乳酸菌)」を含むプロバイオティクス飲料の飲用試験を実施しました。この結果、施設入所者の発熱日数の短縮および下痢や便秘日数の減少などの健康状態の改善と腸内フローラおよび腸内環境の改善が確認されました。この研究により、プロバイオティクス飲料の継続摂取は高齢者施設入所者の感染症リスク低減およびQOLの向上に役立つことが期待されます。本研究成果は、学術誌「Annals of Nutrition & Metabolism」に掲載されました。
今後も、最先端のバイオテクノロジーに基づく腸内フローラ研究を推進し、プロバイオティクスの健康維持・増進機能の検証と解明に取り組んでいきます。さらに、生活習慣病予防をターゲットとした次世代プロバイオティクスや新規機能性素材の研究開発に重点的に力を注いでいきます。
飲料および食品研究開発分野においては、ヒトの健康に積極的に寄与する商品開発を目指しています。特に、研究開発の対象としては、生活環境の変化や加齢によってバランスのくずれた免疫調節機能を正常化する生体防御面と、世代を超えて拡大している生活習慣病の予防に配慮した生理・代謝機能面に着目しています。具体的には、プロバイオティクスのパイオニアとして「乳酸菌 シロタ株」や「ビフィズス菌 BY株」「B.ビフィダム Y株」などを利用した食品や、自然界に存在する多くの機能性素材を利用した食品の研究開発に力を注いでいます。
また、より一層お客さまのニーズに応えるため、プロバイオティクスを使用した乳製品および清涼飲料水のラインアップの充実を図っています。
当連結会計年度の成果は次のとおりです。
ア. 当社のロングセラー商品である「ジョア」について、昨年6月に、「ストロベリー」および「ブルーベリー」の果汁使用量を従来品より増量し、果汁とヨーグルトのおいしさをさらに際立たせた風味に変更するととともに、マスカットの果汁とヨーグルトのまろやかさがマッチした「ジョア マスカット」を導入しましたさらに、期間限定アイテムとして、「ジョア マンゴー」を昨年8月に、「ジョア アップル」を11月に、「ジョア レモン」を本年2月に導入しました。
イ. 60代以上のシニア層において摂取意向の高い「グルコサミン」「ローヤルゼリー」「カルシウム」「ビタミンC」および「ビタミンD」が含まれている高付加価値タイプの乳製品乳酸菌飲料「ヤクルト ゴールド」を、従来品よりもさらに酸味を抑えたまろやかな風味に変更し、昨年9月に導入しました。
ウ. ハードタイプヨーグルト「ソフール」の期間限定アイテムとして、巨峰の果汁とヨーグルトの風味が程よくマッチした「ソフール 巨峰」を昨年10月に導入しました。
エ. ビジネスパーソンをサポートする乳製品乳酸菌飲料「毎日飲むヤクルト」を、首都圏エリア限定で昨年11月に導入し、本年1月に販売エリアを北関東、東北地区に拡大しました。
オ. のむヨーグルト「ミルミル」および「ミルミルS」について、大腸ではたらく当社独自の「ビフィズス菌 BY株」を1本当たり100億個以上から120億個以上に増やし、本年3月に導入しました。
ア. 栄養ドリンク「タフマン」「タフマンV」および「タフマンスーパー」のガラスびんを、省資源化による環境負荷の低減のため、軽量化するとともに、「タフマンV」に新たに「ガラナ」を配合し、昨年5月に導入しました。
イ. 袋入り即席めん「麺許皆伝」シリーズ4品(「しょうゆ味」「みそ味」「しお味」「ソース焼そば」)のめんに新たに国産米粉を練りこみ、もちもちした食感に変更するとともに、新シリーズ品として、数種の香辛料をブレンドしスパイスをきかせたコク深いスープの「カレーラーメン」を昨年9月に導入しました。
ウ. 果汁入り飲料「さっぱり」シリーズの新商品として、レモン果汁入り炭酸飲料「さっぱりレモン Sparkling(スパークリング)」を本年3月に導入しました。
ア.メキシコヤクルト株式会社が昨年8月に導入した、従来品と比較してカロリーを30%以上低減した「ソフー
ルLT」(ドリンクタイプ)の技術支援を行いました。
イ.広州ヤクルト株式会社が昨年10月に、中国ヤクルト株式会社および上海ヤクルト株式会社が本年1月に導入した、「ヤクルト」と比較してカロリーを約40%低減し、「カルシウム」および「ビタミンD」を強化した「ヤクルトライト」の技術支援を行いました。
医薬品研究開発分野においては、抗がん剤を中心とした薬剤の研究開発を進めています。
抗悪性腫瘍剤「エルプラット」(一般名:オキサリプラチン)は、「進行・再発の結腸・直腸がん」「結腸がんにおける術後補助化学療法」「治癒切除不能の膵がん」および「進行・再発胃がん」の標準的治療薬として広く用いられています。これらの効能・効果に加え、胃がん術後補助化学療法についての適応拡大のため、平成26年12月に承認申請を行い、昨年11月に効能・効果として「胃がん」で承認を取得しました。これにより、エルプラットは胃がんにおいて進行・再発に加え、術後補助化学療法における治療薬としての使用が可能となりました。
このほか、「進行・再発胃がん」について、用法・用量の追加を目的とした第Ⅲ相臨床試験を実施中です。
ドイツのエテルナゼンタリス社から導入したPI3K/Akt阻害剤「ペリフォシン」については、婦人科がんを対象とした第Ⅱ相臨床試験を終了し、現在、小児神経芽腫を対象とした第Ⅰ相臨床試験を実施中です。
ドイツの4SC AG社から導入したHDAC阻害剤「レスミノスタット」については、肺がんを対象とした第Ⅱ相臨床試験を終了し、現在、肝細胞がんを対象とした第Ⅱ相臨床試験を実施中です。また、胆道がんおよび膵がんを対象とした第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験を実施しています。
昨年10月に日産化学工業株式会社から導入した血小板増加薬「NIP-022(当社開発コードはYHI-1501)」については、現在、日本人を対象とした治験を計画中です。
基礎研究分野では、抗がん剤およびその周辺領域でのシーズを確保するための研究を引き続き実施しています。
当分野の研究開発費は5,559百万円です。
その他事業分野のうち化粧品研究開発分野においては、多様化するお客さまニーズに応えることを目指し、「美」と「健康」の追究と当社独自の乳酸菌はっ酵技術を活かした「高機能・高品質で安全性の高い化粧品」の開発を志向しています。
基礎化粧品については、化粧品事業を代表するロングセラー商品「S.E.ローション」シリーズにエイジングケア効果が期待できる「プラチナケア S.E.ローション」を昨年4月に導入し、また、当社の乳酸菌研究と肌構造研究の成果を結集し、開発された高機能基礎化粧品「パラビオ」シリーズのリニューアルを昨年11月に実施しました。
仕上化粧品については、流行や季節に応じた新色を開発し、口紅やアイシャドウなどのポイントメイクを導入することにより、「グランティア EX」シリーズのラインアップの充実を図りました。
当分野の研究開発費は719百万円です。
当連結会計年度の自己資本比率は57.5%と前連結会計年度の56.1%から1.4ポイント増加しました。
非支配株主持分を含めた純資産額は、前期比0.9%、32億円増加しました。主な要因は親会社株主に帰属する当期純利益により利益剰余金が増加した一方、円高の影響から為替換算調整勘定が減少したためです。
また、当連結会計年度の自己資本利益率(ROE)は8.8%と前連結会計年度の8.4%から0.4ポイント増加し、総資産経常利益率(ROA)も8.8%と前連結会計年度の8.3%から0.5ポイント増加しました。
有利子負債の短期借入金については、返済により12億円減少しました。また、1年内返済予定を含む長期借入金についても、返済により29億円減少しました。この結果、有利子負債依存度(有利子負債÷総資産)は20.2%と前連結会計年度の20.7%から0.5ポイント減少しています。また、有利子負債対自己資本比率は35.1%と前連結会計年度の36.8%から1.7ポイント減少しています。
なお、財政状態は依然として堅固な状態が続いています。
売上高は前連結会計年度から224億円増収(前期比6.1%増)の3,904億円となりました。飲料および食品製造販売事業部門(日本)では、17億円の増収(前期比0.9%増)、飲料および食品製造販売事業部門(海外)では、157億円の増収(同11.0%増)、医薬品製造販売事業部門では、22億円の増収(同6.9%増)、その他事業部門では、25億円の増収(同14.2%増)となりました。事業部門別の調整額控除前の売上高構成比は、飲料および食品製造販売事業部門(日本)が48.2%(前連結会計年度は50.5%)、飲料および食品製造販売事業部門(海外)が38.5%(同36.6%)、医薬品製造販売事業部門が8.4%(同8.3%)、その他事業部門が4.9%(同4.6%)となっています。飲料および食品製造販売事業部門(日本)が増収となった主な要因は、乳製品の販売本数の増加および乳製品の価格改定効果があったためです。また、飲料および食品製造販売事業部門(海外)が増収となった主な要因は、中国およびインドネシアで順調に販売実績が伸びたこと、および為替の円安効果によるものです。医薬品製造販売事業部門が増収となった主な要因は、エルプラットの消費増税による売上反動減からの実績回復があったためです。
一方、日本からの輸出を含めた海外売上高は前連結会計年度から10.0%増の1,605億円となり、海外売上高比率は41.1%と前連結会計年度の39.7%から1.4ポイント増加しました。
なお、各事業部門の状況につきましては、「1 業績等の概要 (1) 業績」に記載しています。
売上原価は1,716億円となり、前連結会計年度から4.0%増加しています。売上総利益は2,188億円となり、前連結会計年度に比べ7.8%増となりました。売上高売上総利益率は56.0%と前連結会計年度の55.2%から0.8ポイント増加しました。
販売費及び一般管理費は1,787億円と前連結会計年度から106億円増加しました。主な要因は、飲料および食品製造販売事業部門(国内)、飲料および食品製造販売事業部門(海外)における増加によるものです。
この結果、営業利益は400億円と前連結会計年度から51億円の増益(前期比14.8%増)となりました。事業部門別の調整額控除前の営業利益構成比は、飲料および食品製造販売事業部門(日本)が16.8%(前連結会計年度は22.7%)、飲料および食品製造販売事業部門(海外)が71.2%(同64.6%)、医薬品製造販売事業部門が9.5%(同11.4%)、その他事業部門が2.5%(同1.3%)となっており、飲料および食品製造販売事業部門(海外)への収益依存度が増加しました。
営業外収益は123億円と前連結会計年度から大きな変動はありませんでした。
営業外費用は17億円と前連結会計年度から大きな変動はありませんでした。
特別利益は5億円と前連結会計年度から大きな変動はありませんでした。
特別損失は13億円と前連結会計年度から3億円増加しました。主な要因は、子会社清算に伴う損失を計上した
ためです。
税金費用は前連結会計年度から5億円増加しました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は288億円と前連結会計年度から37億円の増益(前期比15.1%増)となりました。売上高当期純利益率は7.4%と前連結会計年度の6.8%から0.6ポイント増加しました。
為替レートの変動による影響は、当連結会計年度の売上高では15億円の増収、営業利益では10億円の増益と試算されました。ただし、この試算は、在外子会社の現地通貨建ての売上高、売上原価、販売費及び一般管理費に、前連結会計年度の各在外子会社における期中平均レートを適用して算出したものであり、為替変動に対応した販売価格等の影響は考慮していません。
キャッシュ・フローの状況につきましては、「1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載しています。