第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度(平成27年5月1日から平成28年4月30日まで)におけるわが国の経済は、政府の経済対策や金融政策の効果もあり、輸出企業の業績および雇用情勢の改善、外国人観光客の増加などを背景に緩やかな回復基調にあるものの、個人消費は消費マインドに足踏みがみられ、個人消費の回復は力強さにかけております。

飲料業界におきましては、夏場の天候不順による影響や、競争激化による低価格化、原材料コストの上昇懸念などから、経営環境は更に厳しさを増しております。

このような状況の中、当グループは経営理念であります「お客様第一主義」のもと、当グループを取り巻く全てのお客様に対し「お客様が今でもなお何を不満に思っていらっしゃるか」を常に考え、グループ一丸となって積極的な事業活動を行ってまいりました。

この結果、当連結会計年度の業績は、売上高4,655億79百万円(前期比8.1%増)、営業利益172億43百万円(前期比51.4%増)、経常利益150億74百万円(前期比34.2%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益86億15百万円(前期比18.1%増)となりました。セグメント別の業績を示すと次のとおりであります。

 

<リーフ・ドリンク関連事業>

国内においては、茶葉(リーフ)製品につきまして、社内資格制度である「ティーテイスター資格」を保有する社員自ら、急須で入れたお茶の実演販売や試飲会などの活動を通して、比較的に高価格のパック茶販売を強化しております。また、プレミアムティーバッグシリーズをはじめとして、パウダータイプのインスタント緑茶などの手軽にご賞味いただける簡便性商品が、国内のみならず外国人観光客の皆様にもご好評をいただいております。

飲料(ドリンク)製品につきましては、主力製品であります「お~いお茶 緑茶」をリニューアルし、春には「桜パッケージ」を、秋には「紅葉パッケージ」を順次展開し、昨年に引き続き日本を象徴する四季折々のデザインとともにお客様のもとへお届けしてまいりました。

当グループでは、「茶産地育成事業」を推進しており、主に九州地区において、耕作放棄地を積極活用するとともに、生産性と環境保全を両立した大規模茶園経営のもと高品質で安定した原料調達を実現しております。この「茶産地育成事業」によって香りにこだわって育てられた「お~いお茶専用茶葉」の使用量を増やし、急須で入れたお茶本来の香りとおいしさを追求するとともに、「お~いお茶」ブランドの更なる価値向上を図ってまいります。

日本茶・健康茶・中国茶飲料におきましては、主力製品であります「健康ミネラルむぎ茶」が好調に推移しているほか、「お~いお茶 絶品ほうじ茶」、「Relaxジャスミンティー」につきましても引き続き順調に売上を伸ばしております。また、「2つの働き カテキン緑茶」や「黄金烏龍茶」をはじめとした特定保健用食品や、「お~いお茶 巡りさらら」をはじめとした機能性表示食品につきましても好調に推移いたしました。

コーヒー飲料におきましては「TULLY'S COFFEE」ブランドシリーズが引き続きご好評をいただき、更に販売数量を伸ばすなど、業績の向上に寄与しております。

このような販売活動を取り巻く競争激化、消費低迷などの厳しい状況において、更なる原価低減や各経費の見直しを行うとともに、費用対効果を意識しながら販売促進費を投入し、収益性の改善に努めてまいりました。

チチヤス㈱においては、広島県を中心とした乳類および発酵乳等の積極的な販売に加え、当社との共同開発によるブランドシナジーを拡大しております。また、ネオス㈱は、西日本に強い販売チャネルを持っており、当グループの自動販売機事業に関して、更なる強化を図っております。

海外においては、茶葉(リーフ)製品につきまして、「グローバルブランド」で展開する抹茶グリーンティーの販売を開始し、米国、豪州、東南アジアを中心に積極的な海外展開を行ってまいりました。

飲料(ドリンク)製品につきましては、ITO EN(North America)INC. において、和食の世界的なブームや健康志向の高まりを背景に、「お~いお茶」などの無糖茶飲料が順調に売上を伸ばしております。また、米国を中心にコーヒー豆の栽培から販売までを行うDistant Lands Trading Company, Inc. と、今後も引き続き米国内における当グループ製品の販売など、シナジー(相乗効果)を追求してまいります。

2020年に東京で開催される「東京オリンピック・パラリンピック競技大会」に向けて、国内外において、茶葉(リーフ)製品および飲料(ドリンク)製品の積極的な販売活動を継続していくとともに、当社独自の「茶畑から製品まで」のビジネスモデルを最大限に活かし、世界に健康で豊かな食生活への新たな価値を提供していくため、「伊藤園」から世界の「ITO EN」として、更なるブランドの確立を目指してまいります。

 この結果、リーフ・ドリンク関連事業の売上高は4,319億95百万円(前期比8.0%増)となり、営業利益は149億4百万円(前期比93.3%増)となりました。

 

<飲食関連事業>

タリーズコーヒージャパン㈱におきましては、季節商品を中心にドリンク類が好調なことに加え、パスタなどのデリカ類やドーナツなどのデニッシュ類、店頭で販売している蜂蜜につきましても、ご好評をいただいております。また、新規出店も順調に進み、総店舗数は638店舗となり、更なる拡充を続けております。

既存店舗の改装などによる活性化を図り、店舗競争力を強化することで、スペシャルティコーヒーショップとしての更なるブランド強化を図ってまいります。

この結果、飲食関連事業の売上高は275億36百万円(前期比9.1%増)となり、営業利益は28億79百万円(前期比19.4%減)となりました。

 

<その他>

売上高は60億47百万円(前期比13.6%増)となり、営業利益は8億29百万円(前期比27.1%減)となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

<営業活動によるキャッシュ・フロー>

営業活動によるキャッシュ・フローは、300億85百万円の収入(前期は177億51百万円の収入)となりました。主な要因といたしましては、増加要因として税金等調整前当期純利益149億25百万円、減価償却費160億75百万円、のれん償却額18億24百万円であるのに対し、減少要因として法人税等の支払額35億12百万円があったことによるものです。

 

<投資活動によるキャッシュ・フロー>

投資活動によるキャッシュ・フローは、81億50百万円の支出(前期は92億42百万円の支出)となりました。これは主に設備投資による支出84億49百万円があったことによるものです。

 

<財務活動によるキャッシュ・フロー>

財務活動によるキャッシュ・フローは、180億18百万円の支出(前期は48億35百万円の支出)となりました。主な要因といたしましては、減少要因としてファイナンス・リース債務の返済による支出112億36百万円、配当金の支払52億43百万円があったことによるものです。

 

以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較して43億36百万円増加し、532億59百万円となりました。

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産の状況

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

対前期比増減率(%)

リーフ・ドリンク関連事業

 

 

(販売用製品)

61,391

33.3

(自社製品用原料)

14,910

9.3

リーフ・ドリンク関連事業計

76,301

27.8

その他

 

 

(販売用製品)

1,665

25.1

合計

77,967

27.8

(注)1 販売用製品の金額は販売価格、自社製品用原料の金額は原価によっております。

2 セグメント間取引については、相殺消去しております。

3 上記生産実績には外部へ製造委託している仕入製品は含まれておりません。

4 上記金額には消費税等は含まれておりません。

 

(2)仕入の状況

 当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

対前期比増減率(%)

リーフ・ドリンク関連事業

206,254

9.6

飲食関連事業

9,607

11.9

その他

1,816

△4.9

合計

217,678

9.6

(注)1 金額は仕入原価によっております。

2 セグメント間取引については、相殺消去しております。

3 上記金額には消費税等は含まれておりません。

 

(3)受注の状況

 当グループは受注生産を行っておりません。

 

(4)販売の状況

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

対前期比増減率(%)

リーフ・ドリンク関連事業

431,995

8.0

飲食関連事業

27,536

9.1

その他

6,047

13.6

合計

465,579

8.1

(注)1 上記金額には消費税等は含まれておりません。

2 上記販売実績につきましては、セグメント間取引を相殺消去しております。

3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10以上の相手先がないため記載を省略しております。

 

3【対処すべき課題】

当グループは今後、法令及び社会的規範の遵守、製品の安全性並びに品質管理体制等、企業の社会的責任に消費者の厳しい目が向けられるなか、経営理念であります「お客様第一主義」を徹底し、企業価値を高め、一層の株主価値を向上させるために、以下の項目を中心に取り組んでまいります。

 

(1)ブランドの確立

① 製品開発

当社は、「自然・健康・安全・良いデザイン・おいしい」を基本理念に、全社員が「STILL NOW(お客様が今でもなお何を不満に思っていらっしゃるか)」を考え、当社独自の提案制度であるVOICE制度(お客様のご不満やご要望を製品開発に取り入れる提案制度)を活用し、積極的に新製品の開発及び既存製品の改良を行っております。今後もVOICE制度を積極的に活用し、お客様に喜んでいただける製品の開発及び既存製品の向上に努めてまいります。

 

② 研究開発

研究開発におきましては、当社基本理念の内、特に「健康」、「安全」と「おいしい」に重点をおいて、基礎・応用研究を進めております。当社が提供する飲料が、人々の健康維持に有用であることを、様々な試験を通じて検証し、情報発信してまいります。さらに健康価値を表示できる特定保健用食品や機能性表示食品の開発にも力を注いでいきます。また飲料の味や香りに関与する成分研究、物性に関する研究を進め、より香味に優れた製品開発に向けて、技術提案を行ってまいります。

 

③ ブランド強化政策

『伊藤園』という「総称ブランド」を軸に「お~いお茶」「健康ミネラルむぎ茶」「TULLY'S COFFEE」などの「個別ブランド」の強化を図ってまいります。また、「1日分の野菜」「充実野菜」「TEAS' TEA」などのブランドにおいても今後も積極的な販売促進を展開してまいります。

特に主力製品であります「お~いお茶」につきましては、昭和60年の発売から続いている原料と製法にこだわり、無香料・無調味の自然のままのおいしさを引き出し、お客様へご提供してまいります。また、緑茶飲料が様々な飲用シーンでお楽しみいただけるよう、容量、容器バリエーションの充実を図るとともに、緑茶飲料を初めて発売した当社ならではの技術力で、季節に合わせた製品や「濃い茶・玉露・ほうじ茶・玄米茶・ぞっこん」など茶葉の特徴を取り入れ、飲用価値を訴求した製品を発売し、緑茶飲料のNo.1ブランドに甘んずることなく、清涼飲料のNo.1ブランドを目指し、より一層のブランド強化に努めてまいります。今後も品揃えを強化し、お客様にご満足いただける本物のおいしさを引き続きご提供してまいります。

 

(2)営業基盤の強化

① ルートセールス

ルートセールスとは、「製品、サービスをお客様へ直接ご提供する販売システム」のことであります。当社はこの販売システムを採用することにより、当社とお客様をダイレクトに結びつけ、地域に密着した営業活動を展開しております。

また、機能性、携帯性に優れたルートセールス担当営業員用のポータブル端末を活用することで、お客様に効率的かつ的確なサービスをご提供できるよう努めております。

 

② お客様へのサービスの強化

これまでもルートセールスにより、お客様へのサービスに努めてまいりましたが、連結中長期の目標経営指標を達成するための確固たる営業基盤を築くため、新しいお客様の開拓に努めるとともに、既存のお客様の訪問サービスの強化を行っております。また、お客様のご不満を聞き、お客様にご満足していただける製品開発や魅力的な売り場づくりなど、総合的なご提案をルートセールスにより行っております。

 

(3)総コストの削減

① 委託生産方式

飲料製品におきましては、「ファブレス(fabless 工場を持たない)」方式により、設備投資リスクの軽減を図り、市場環境の変化に迅速に対応できる体制にしております。

また、全国を5つの地域に分けて生産管理を行う5ブロック生産体制を敷くことにより、迅速な製品供給を行うとともに、物流費の削減も可能となっております。

② 原材料調達力の強化

当社は、緑茶のトップメーカーとして国内荒茶生産量の25.2%を取扱い、長年にわたり生産者との信頼関係を築き上げた結果、高品質の原料茶を安価で安定的に確保できる極めて強力な原料調達力を持っております。また、これまでに蓄積したノウハウと高い製造技術により、高品質の飲料用原料茶を自社製造で調達することができる飲料メーカーであります。

国内では就農者の高齢化と後継者不足のため、就農人口、茶園面積の減少が進んでおります。そこで当社は今後特に需要の増大が見込まれる飲料用原料茶を主体に、宮崎県、鹿児島県、大分県、長崎県、熊本県などにおいて、茶産地育成事業を行っております。当社の農業技術部が農家を直接指導し、苗木の選定から茶園づくり、そしてその茶園を機械化、IT化により低コストで管理できる栽培指導を行うことで、生産性と環境保全を両立した茶園経営を推進し、より高品質な原料茶の安定調達を目指すとともに、耕作放棄地の活用及び生産農家の後継者育成ならびに雇用の創出など茶業界と地域の活性化にも寄与しております。

 

(4)海外事業の強化

海外事業戦略につきましては、連結子会社ITO EN(North America)INC. が米国での緑茶市場の創造と開拓を進めるため、全米のナチュラルフードマーケットや、ナショナルチェーン店に対し営業活動を行い、本物の緑茶を米国に普及させると同時に、『ITO EN』ブランドの確立を図っております。

また、特に全米の耳目の集まるニューヨーク州マンハッタン地区では、当社の強みであるルートセールスを導入し、お客様に密接した営業活動を行うことで、確実に緑茶飲料の裾野を広げ、かつ『ITO EN』の存在を積極的にアピールしております。特に会員制スーパーマーケットを通じて販売しております、緑茶ティーバッグにつきましては、これまでの米国市場には無かった高品質の緑茶ティーバッグとして、お客様に大変なご好評をいただくとともに、緑茶市場の拡大に大きく貢献しており、今後も強化してまいります。また中国、東南アジアにつきましても茶系飲料を中心とした販売強化を進めてまいります。

 

(5)CSR(企業の社会的責任)への取り組み

当社は、経営理念であります「お客様第一主義」のもと、社会に求められる企業として、企業価値を高め、持続的成長・発展を目指します。このため、ステークホルダーの皆様の信頼を得ることを旨として、法令遵守を徹底し、国際規格ISO26000/国内規格JIS Z 26000を活用して事業を通じたCSRに取り組みます。

環境保全におきましては、環境行動方針を基本に環境中期目標を設定し、目標達成のための取り組みを積極的に推進しております。また、環境活動の持続的な改善に有効な手段として、ISO14001に沿った環境マネジメントシステムの導入を推進し、全社全部門において認証を取得しております。

社会貢献活動におきましては、企業ができる活動は、地域の方々とともに明るい社会を築いていくことと捉え、地方創生への参画やスポーツ・文化活動などにも一層力を入れてまいります。

 

4【事業等のリスク】

当グループの経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(平成28年4月30日)現在において当グループが判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。

 

(1)国内経済、消費動向

当グループの事業の大部分は、日本国内において展開しております。そのため、日本国内における景気、金融や自然災害などによる経済動向の変動や、これらの影響を受ける個人消費動向の変動は、当グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)市場での競争

当グループの主要事業である飲料製品の市場は、近年の消費マインドの冷え込みを背景に、店頭での低価格化が続き、販売額の伸び悩みが顕著となっており、併せて、キャンペーン等による販売促進活動により、依然として飲料各社の激しい競争が続いております。また、カテゴリー間でのシェア争いや、消費者の嗜好の変化により、製品のライフサイクルが短い市場でもあります。

このような市場環境のなか、当グループは緑茶飲料を中心としたお客様のニーズに沿った製品の提供や、ルートセールスを中心とするお客様へのサービスに努めた結果、業績は堅調に推移しております。

今後も継続してこれらの施策を実施するとともに、市場動向を予測し、競争に打ち勝つ施策を展開してまいりますが、これらの施策が市場環境の変化に十分対応できなかった場合、当グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)原材料、資材調達

当グループの主要事業は、茶系飲料を中心とする飲料製品でありますが、就農人口の減少や、茶園面積の減少による茶生産量の減少に加え、飲料用茶葉の需要増大により、当グループが必要とする茶葉の確保が出来ない場合の需給関係の悪化や、輸入原料(穀物・野菜等)の高騰により調達コストが上昇し、原価高の要因となる可能性があります。

また、当グループの飲料製品の販売数量のうち、PET容器の占める割合はおよそ72%となっており、PET容器の原材料である石油価格の高騰により、原価高の要因となる可能性があります。当グループが今後これらの市場環境の変化に対応できなかった場合、当グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)生産体制

当グループでは、グループ内工場で茶葉製品の大部分と、飲料製品の原料製造を行っております。また、飲料製品の大部分と茶葉製品の一部は、グループ外の委託工場で製造しております。

グループ内工場におきましては、生産設備が突発的に停止することがないよう、定期的に設備点検等を実施しております。また委託工場につきましては、不測の事態が発生した場合に備えて、全国各地に複数の委託工場を確保しております。しかしながら、天災等による生産への影響を完全に排除できる保証はなく、不測の事態が発生した場合には、当グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)天候・自然災害

当グループの主力製品の原材料は、茶、野菜、果実、コーヒー等の農産物であるため、当グループの主要事業であります茶葉及び飲料製品は、天候や自然災害の影響を受ける可能性があります。特に冷夏や暖冬の他、台風や長雨などの悪天候が販売に与える影響や、生産地での天候不良による不作が生じた場合の原材料調達価格の上昇及び必要量の不足に伴う販売機会損失などが想定されます。また、地震などの自然災害が想定範囲を超えた場合、本社機能や生産、物流体制に支障をきたすことが想定され、これら天候・自然災害が、当グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)「お~いお茶」ブランドへの依存

当連結会計年度の売上高のうち、当社の飲料製品売上に占める「お~いお茶」ブランドの割合は約39%と、高い比率を占めております。国内の緑茶飲料市場規模は4,150億円(平成27年1月~12月当社調べ)で、当社のシェアは約35%(当社調べ)となります。

当グループでは、今後も緑茶飲料市場の成長が期待され、市場の拡大とともに「お~いお茶」ブランドも伸長するものと予測しておりますが、緑茶飲料市場の激しい競争のなか、当グループのシェアが低下することや、緑茶飲料に代わる製品の登場により、緑茶飲料市場の成長が鈍化した場合、並びに当グループがこれらの市場環境の変化に対応できなかった場合、当グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)為替動向

当グループは海外において事業展開を行っております。海外のグループ会社の財務諸表は現地通貨にて作成されているため、連結財務諸表作成時に円換算されることになり、為替相場の変動による円換算時の為替レートの変動が当グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)海外事業

当グループの主要な海外連結子会社は、米国ニューヨーク州にITO EN (North America) INC.、ハワイ州にITO EN (USA) INC.、フロリダ州にMason Distributors, Inc.、ワシントン州にDistant Lands Trading Company, Inc.、豪州ビクトリア州にITO EN AUSTRALIA PTY. LIMITED、シンガポール共和国にITO EN Asia Pacific Holdings Pte. Ltd.、中華人民共和国に福建新烏龍飲料有限公司、伊藤園飲料(上海)有限公司の各社があります。

当グループは、国内を中心に事業展開しておりますが、今後の発展と企業活動のグローバル化に伴い、海外活動の重要性がますます増大しており、海外における企業活動や取引はその対象国固有の政治的、経済的、法的要因により、重要な変化があった場合、当グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

  なお、当連結会計年度末における累計投資総額は277億90百万円となります。また、Mason Distributors, Inc.、福建新烏龍飲料有限公司以外の各社には累積損失があります。

 

(9)法的規制等

当グループが展開する事業は、食品衛生法、製造物責任法(PL法)、廃棄物処理法、食品リサイクル法、容器包装リサイクル法等、様々な法的規制を受けております。

当グループでは、これら全ての法的規制等を遵守していく所存でありますが、今後、法的規制等を遵守することが著しく困難になった場合や、規制の強化によりコスト負担増となった場合、当グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)情報管理

当グループは、ルートセールスや通信販売等の営業取引や消費者キャンペーンを含む販売促進活動等を通じて、相当数のお客様情報を保有しているほか、当グループで実施している「新俳句大賞」の募集により、潜在的なお客様の情報も保有しております。これらお客様の個人情報は、当グループで管理するほか、一部はグループ外の管理会社に管理を委託しております。

これら個人情報を含めた重要な情報の紛失、誤用、改ざん等を防止するため、システムを含め情報管理に対して適切なセキュリティ対策を実施しております。しかしながら、今後これらの情報が停電、災害、ソフトウエアや機器の欠陥、ウイルスの感染、不正アクセス等の予期せぬ事態の発生により、情報の消失、外部へ漏洩する等の事態が起きた場合、当グループの信用低下を招き、当グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)食品の安全性、衛生管理

当グループは、食品の安全性、衛生管理を経営上の最重要課題と認識し、食品の安全性、衛生管理のために、当社に品質管理部を設置しております。品質管理部では自主基準を設け、製品の安全性について品質検査を行うとともに、外部委託工場にも定期的に立会い品質管理指導と監査を実施しております。また、定期的に開催する品質会議において、当グループ製造担当者、外部委託工場担当者に監査結果をフィードバックすることにより、食の安全性、衛生管理に対する意識向上を図っております。さらに、これらの活動のほか、原材料に由来する異物混入、禁止添加物等の使用を防止するための確認も実施しております。

なお、東日本大震災以後の放射能汚染等の状況を踏まえ、全ての飲料製品につきましては、放射線量測定器での検査を行い、品質に問題がないことを確認する体制を整えており、緑茶原料についても同様の検査体制を整えております。

国内の直営店で行っている事業につきましては、食品衛生法の規制対象となっているものがあります。これらの事業につきましては、法令の遵守に加え、出店先の衛生基準及び当社マニュアルに基づいた衛生管理を徹底しております。

当グループは、過去に食品の安全性、衛生管理に関しまして訴訟並びに行政指導を受けてはおりませんが、今後異物混入及び品質・表示不良製品の流通、原材料由来による禁止添加物の使用及び残留農薬問題(連鎖的風評被害を受ける場合を含む)、食中毒等の衛生問題が発生した場合、当グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(12)減損会計

当グループは、事業用の不動産やのれんをはじめとする様々な固定資産を所有しております。こうした資産は、時価の下落や、期待しているキャッシュ・フローを生み出さない状況になるなど、その収益性の低下により減損会計の適用を受ける可能性があり、減損損失が発生した場合、当グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当グループの主な研究開発部門は、当社の中央研究所、開発一部、開発二部、マーケティング一部、マーケティング二部、マーケティング三部及び農業技術部であります。

央研究所では、当グループ製品の健康価値に関する研究につきまして、茶の主要成分であるガレート型カテキンを強化した緑茶飲料を、1日1回、食事と共に摂取することにより、体脂肪が減少することを確認し、英文学術誌に発表しました。

後も緑茶、コーヒー、野菜飲料、乳酸菌飲料など、当グループ製品の健康価値の検証や、香味や安定性の向上に関する研究開発を行い、当グループ製品の品質向上とブランド強化に貢献していきます

開発一部、開発二部、マーケティング一部、マーケティング二部及びマーケティング三部では、茶葉、飲料、その他の新製品の開発を行っております。

開発一部、開発二部では各カテゴリーの新製品の開発で、原材料の加工方法、処方の開発、製造技術の開発を行い原料の開発から製品の試作・製品化までを担当しております。また茶殻等の未利用資源の活用に関する研究開発を行い、茶の機能を活用した紙・樹脂製品の開発を推進しております。

マーケティング一部、マーケティング二部及びマーケティング三部では新製品の開発につきまして、市場調査、消費者の動向分析に基づき、基本コンセプトの開発を担当しております。

農業技術部では、当グループ製品に適した緑茶・野菜飲料原料を安定的に確保するために、品種素材、栽培方法、加工方法に関する調査研究や技術開発と、国内外の産地形成に関する活動を行っております。

当連結会計年度における研究開発費の総額は17億48百万円であります。

セグメントごとの研究開発活動を示すと、次のとおりであります。

 

<リーフ・ドリンク関連事業>

当社独自製法による製品開発や、茶の特性を活かした製品開発を行っております。荒茶・仕上げ加工の研究により茶の特性を活かした製品を多数開発しております。また、茶の加工技術等を応用し簡便性商品であるティーバッグ・インスタントティーの製品開発を行っております。

日本茶飲料や紅茶飲料、中国茶飲料等の製品開発に関しまして、飲料用に適した原料茶の開発と飲料加工技術の研究を継続して行っております。野菜飲料、果実飲料に関しましては、野菜の原料開発と搾汁技術の開発、果実の搾汁技術の開発や果実の砂のう等の固形物入り飲料等の製造技術開発を行っております。コーヒー飲料におきましては、原料の選定、処方・製造技術の開発を行っております。乳飲料、炭酸飲料、機能性飲料におきましても、原料開発や飲料製造技術の開発を行っております。また各ホット飲料の開発では、ホット飲料に適した原料の開発、製造技術開発を行っております。

食品の開発では、野菜スープ、お汁粉及び味噌汁等の開発において、当社の強みを生かした野菜原料等を活用し、原料開発・製造技術開発に取組み製品化をしております。また、カテキンの抗菌、消臭作用を応用した抗菌防臭加工繊維製品や茶殻を有効利用した茶配合製品の製品化を行っております。

なお研究開発費には、中央研究所で行っている緑茶や野菜飲料の健康性に関する研究や、飲料の香味に関する研究などの研究費用が含まれております。

 

<飲食関連事業>

該当事項はありません。

 

<その他>

該当事項はありません。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)財政状態の分析

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産の残高は1,595億17百万円で、前連結会計年度末に比べて59億19百万円増加しております。流動資産の主な変動要因は次のとおりです。

・「現金及び預金」の増加  43億36百万円

・「受取手形及び売掛金」の増加  20億40百万円

・「商品及び製品」の増加  5億93百万円

・「未収入金」の減少  20億8百万円

・「繰延税金資産」の増加  8億46百万円

なお、「現金及び預金」の変動内容につきましては、「第2〔事業の状況〕1〔業績等の概要〕(2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産の残高は1,281億85百万円で、前連結会計年度末に比べて41億64百万円減少しております。固定資産の主な変動要因は次のとおりです。

・「建物及び構築物」の増加  10億12百万円

・「工具、器具及び備品」の増加  16億46百万円

・「土地」の増加  12億31百万円

・「リース資産」の減少  40億36百万円

・「建設仮勘定」の増加  15億29百万円

・「のれん」の減少  76億12百万円

・「繰延税金資産」の増加  15億61百万円

 

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債の残高は1,007億56百万円で、前連結会計年度末に比べて247億18百万円増加しております。流動負債の主な変動要因は次のとおりです。

・「1年以内償還予定の社債」の増加  200億円

・「リース債務」の減少  8億13百万円

・「未払費用」の増加  18億69百万円

・「未払法人税等」の増加  26億94百万円

 

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債の残高は597億29百万円で、前連結会計年度末に比べて224億17百万円減少しております。固定負債の主な変動要因は次のとおりです。

・「社債」の減少  200億円

・「リース債務」の減少  33億68百万円

・「退職給付に係る負債」の増加  15億76百万円

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産の残高は1,272億15百万円で、前連結会計年度末に比べて5億45百万円減少しております。純資産の主な変動要因は次のとおりです。

・「資本剰余金」の減少  16億18百万円

・親会社株主に帰属する当期純利益の計上による「利益剰余金」の増加  86億15百万円

・配当金支出による「利益剰余金」の減少  52億54百万円

・「その他有価証券評価差額金」の減少  2億1百万円

・「為替換算調整勘定」の減少  13億66百万円

・「退職給付に係る調整累計額」の減少  7億39百万円

 

(2)キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2〔事業の状況〕1〔業績等の概要〕(2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

(3)経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度における売上高は4,655億79百万円(前期比8.1%増)となりました。売上高の分析につきましては、「第2〔事業の状況〕1〔業績等の概要〕(1)業績」をご参照下さい。

 

(売上総利益)

当連結会計年度における売上総利益は2,188億18百万円(前期比5.5%増)となりました。主な増加要因といたしましては、上記のとおり売上高が増加したことによるものです。

 

(販売費及び一般管理費)

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は2,015億74百万円(前期比2.8%増)となりました。主な増加要因といたしましては、販売手数料の増加(前期比31億6百万円増)、給与手当の増加(前期比16億18百万円増)、運送費の増加(前期比7億28百万円増)等によるものです。

 

(営業利益)

当連結会計年度における営業利益は172億43百万円(前期比51.4%増)となりました。主な増加要因といたしましては、前述の要因等により、売上総利益114億8百万円増加がしたことによるものです。

 

(経常利益)

当連結会計年度における経常利益は150億74百万円(前期比34.2%増)となりました。主な増加要因といたしましては、前述の要因等により、営業利益が58億50百万円増加したことによるものです。

 

(特別損益)

当連結会計年度において特別損失として3億53百万円を計上しております。主な内容といたしましては、減損損失を3億10百万円計上したことによるものです。特別利益は2億5百万円計上しております。主な要因といたしましては、固定資産売却益1億72百万円を計上したことによるものです。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

税金等調整前当期純利益は149億25百万円(前期比37.0%増)となり、税効果会計適用後の法人税等負担額は62億26百万円(前期比77.2%増)となりました。その結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は86億15百万円(前期比18.1%増)となりました。