第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 上期において、前連結会計年度の有価証券報告書に記載したリスク環境や事業上のリスクについて重要な変更はありません。

当社は、引き続き新たなリスクと機会に関して事業環境をモニタリングし、リスクの軽減と機会の活用に積極的に取り組んでまいります。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当半期報告書提出日現在において判断したものであります。

(1) 業績の状況

上期における国内の清涼飲料市場は、清涼飲料各社の価格改定による需要へのマイナス影響があったものの、継続する人出の増加等を背景に、数量ベースで前年同期比2%程度増加したものとみられます。また、原材料・資材・エネルギー価格の高騰や円安の加速などが消費行動やビジネスに影響を及ぼすなど、事業環境は引き続き不透明な状況で推移いたしました。

このようななか、当社は、中期経営計画「Vision 2028」の初年度である2024年を「力強く利益を積み上げる年」と位置づけ、利益の最大化を軸としたトップライン成長戦略の実行や、全社横断的な変革の推進によるコスト削減、事業基盤のさらなる強化などに取り組んでまいりました。営業分野では、これまで実施してきた一連の価格改定後の製品価格の維持に努めるとともに、計画どおり5月に一部製品の価格改定を実施するなど、収益性重視の営業活動に取り組んでまいりました。また、チャネルごとの特性にあわせ、新製品の展開や売場の拡大、マーケティング活動の強化に取り組むなど、最需要期である夏場の売上獲得に向け、準備を進めてまいりました。さらに、来年以降の収益性改善に向け、10月1日出荷分より一部製品の価格改定を実施する旨を発表しており、カスタマーとの交渉などの準備を進めております。製造・物流分野では、消費地に近い工場での製品製造をコンセプトとした「地産地消モデル」の推進に取り組んでまいりました。製造キャパシティの拡大や柔軟な製造体制の構築を図るとともに、物流ネットワークの改善などに取り組み、コストの削減とサプライチェーン基盤の強化に努めてまいりました。特に、物流分野においては、効率化および社会的課題への対応に向け、カスタマー等との協業にも取り組んでまいりました。また、S&OP(Sales and Operations Planning)プロセスの精度向上を図り、夏場に向けて増加する出荷量への効率的な対応を進めてまいりました。バックオフィスおよびITの分野では、アクセンチュア株式会社との合弁会社「ネオアーク株式会社」とともに、業務プロセスの標準化や自動化のさらなる推進に取り組んでまいりました。

社会との共創価値に基づくESG目標の実現に向けた活動にも継続して注力してまいりました。水資源保全やPETボトルリサイクルの強化に関し、カスタマーや行政との協業の取り組みを拡大し、循環型社会形成による環境負荷の低減や協業を通じたビジネス機会の拡大を図ってまいりました。また、4月には、アルミ缶の水平リサイクル「CAN to CAN」において、リサイクル素材使用率を従来よりも高めた缶製品の販売を開始しました。人的資本の強化としては、ダイバーシティ、エクイティー&インクルージョン(DE&I)に関する当社の考え方や姿勢をメッセージとして発信すべく、6月に、DE&Iのステートメントとロゴを策定いたしました。また、社外からの評価として、このたび、当社は、世界的なESG投資指数である「FTSE4Good Index Series」「FTSE Blossom Japan Index」および「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」の構成銘柄に選定されました。

 

上期の業績の詳細は次のとおりです。

 

 

業績の概要

上期(1月1日~6月30日)

単位:百万円、販売数量を除く

 

2023年

2024年

増減率

(%)

売上収益

404,109

411,455

1.8

販売数量(百万ケース)

230

232

1

売上総利益

176,797

181,204

2.5

販売費及び一般管理費

183,212

183,971

0.4

その他の収益(経常的に発生した収益)

364

561

54.0

その他の費用(経常的に発生した費用)

711

599

△15.8

持分法による投資利益(△は損失)

△0

14

事業損失(△)

△6,763

△2,791

その他の収益(非経常的に発生した収益)

1,658

5,429

227.4

その他の費用(非経常的に発生した費用)

1,424

1,432

0.5

営業利益(△は損失)

△6,529

1,207

親会社の所有者に帰属する中間損失(△)

△3,947

△297

 

 

(参考)第2四半期(4月1日~6月30日)

(単位:百万円、販売数量を除く)

 

2023年

2024年

増減率

(%)

売上収益

222,046

224,926

1.3

販売数量(百万ケース)

126

128

2

売上総利益

98,056

99,763

1.7

販売費及び一般管理費

95,211

94,683

△0.6

その他の収益(経常的に発生した収益)

178

275

53.9

その他の費用(経常的に発生した費用)

342

297

△13.3

 持分法による投資損失(△)

△8

△2

事業利益

2,674

5,056

89.1

その他の収益(非経常的に発生した収益)

535

17

△96.7

その他の費用(非経常的に発生した費用)

579

797

37.7

営業利益

2,631

4,277

62.6

親会社の所有者に帰属する四半期利益

2,513

2,600

3.5

 

 

*事業利益(△は損失)は、事業の経常的な業績をはかるための指標であり、売上収益から売上原価ならびに販売費及び一般管理費を控除するとともに、その他の収益およびその他の費用のうち経常的に発生する損益を加減算したものです。

 

連結売上収益は、411,455百万円(前年同期と比べ7,345百万円、1.8%の増加)となりました。価格改定等による需要へのマイナス影響があったものの、人出増加により高まる需要を取り込むべく、新製品の展開や売場の拡大、効果的なマーケティング活動などに取り組んだことにより、販売数量は前年同期比1%の増加となりました。また、前年および当年5月に実施した価格改定の効果によりケース当たり納価が改善し、売上収益は販売数量の成長率を上回って成長いたしました。

連結事業利益は、前年同期と比べ3,972百万円増加(損失が減少)し、2,791百万円の損失(前年同期は6,763百万円の損失)となりました。トップライン成長による利益貢献に加え、変革を通じたコスト削減や、原材料・資材・エネルギー価格の高騰および円安などにより増加するコストを前年同期以下に抑制できたことなどが、収益性の改善に貢献いたしました。当第2四半期連結会計期間(2024年4月1日~6月30日、以下「当第2四半期」)の事業利益改善額は、取り組みが加速したことにより、第1四半期連結会計期間(2024年1月1日~3月31日)の改善額を上回りました。

 

連結営業利益は、前年同期と比べ7,736百万円増加し、1,207百万円(前年同期は6,529百万円の損失)となりました。これは、主に、事業利益が前年同期と比べ増加(損失が減少)したことに加え、有形固定資産売却益によりその他の収益(非経常)が増加したことによるものです。なお、その他の収益(非経常)は、バランスシートの最適化を進める過程で計上した有形固定資産売却益5,429百万円です。また、その他の費用(非経常)には、抜本的な変革の実行に係る事業構造改善費用1,067百万円などが含まれております。

親会社の所有者に帰属する中間利益は、営業利益が前年同期と比べ増加したことなどから、前年同期と比べ3,650百万円増加(損失が減少)し、297百万円の損失(前年同期は3,947百万円の損失)となりました。

 

<販売数量動向(増減率は前年同期比)>

上期の販売数量は、2023年10月に実施した大型PETボトル製品等の価格改定による需要へのマイナス影響があったものの、継続する人出の増加や効果的な営業施策の貢献により、1%増となりました。当第2四半期は、4月にフルリニューアルした「綾鷹」の貢献等により、数量は2%増となりました。また、一連の価格改定の効果として、ケース当たり納価は改善傾向が継続いたしました。

チャネル別では、スーパーマーケットは、新製品を最大活用した売場獲得活動やキャンペーン実施に取り組んだものの、価格改定の影響により大型PETボトル製品を中心に数量が減少し、6%減となりました。ドラッグストア・量販店においては、価格改定等の影響を受けたものの、消費者の節約志向等に合わせた施策により、当第2四半期は数量が成長し、上期の販売数量は前年同期並みとなりました。ベンディングでは、価格改定によりケース当たり納価を改善させた一方、数量においては、これまで構築してきたシェア基盤に加え、スマホアプリ「Coke ON」でのキャンペーン実施や「QR de 決済」の展開拡大など、デジタル活用による需要の取り込み策が奏功し、価格改定による数量減少影響を受けるなか、前年同期並みを維持しました。コンビニエンスストアでは、厳しい競争環境は継続したものの、新製品およびカスタマー限定製品の展開強化や、売場に応じた効果的なマーケティング施策の実施などにより、販売数量は6%増となりました。リテール・フードサービスでは、飲食店や観光地等における人出の増加に加え、カスタマーごとの取り扱い製品拡大施策や新規取引獲得活動の効果などにより、販売数量は5%増となりました。オンラインでは、競争環境の厳しさが続くなか、チャネル特性に合わせた品揃えの強化やカスタマーと連携したプロモーションの実施などが奏功し、販売数量は18%増となりました。

清涼飲料の製品カテゴリー別では、炭酸は、飲食店やオンライン等における「コカ・コーラ」の成長に加え、「コカ・コーラ ゼロ ピーチ」等の期間限定製品の導入などにより、販売数量は2%増となりました。茶系は、7年ぶりにフルリニューアルした「綾鷹」が10%以上成長するなど、カテゴリー全体の成長をけん引し、販売数量は4%増となりました。コーヒーは、「ジョージア」の新製品の導入効果があったものの、価格改定の影響を受け、販売数量は1%減となりました。水の販売数量は、価格改定による大型PETボトル製品の数量減少が響き、当第2四半期にマイナス幅は縮小したものの、4%減となりました。スポーツは、小型および中型PETボトル製品は成長したものの、価格改定の影響により大型PETボトル製品の数量が減少し、販売数量は1%減となりました。果汁は、飲食店における「ミニッツメイド オレンジ」の成長に加え、新製品「ミニッツメイド オレンジブレンド マルチビタミン」の導入などにより、販売数量は8%増となりました。

アルコールカテゴリーは、「檸檬堂」のリニューアルや、新製品「ジャックダニエル&コカ・コーラ ゼロシュガー」の導入など、販売強化に取り組んだものの、競争環境等の影響により、販売数量は16%減となりました。

 

 

(2) 財政状態の状況

総資産は、839,226百万円となり、前連結会計年度末(以下「前期末」)と比べ5,606百万円減少しました。これは主に、最需要期に向けて「棚卸資産」が増加した一方、「現金及び現金同等物」が減少したことによるものです。

負債合計は、371,898百万円となり、前期末と比べ2,913百万円減少しました。これは主に、「未払法人所得税」が減少したことによるものです。

資本合計は、467,328百万円となり、前期末と比べ2,693百万円減少しました。これは主に、配当金支払い等により「利益剰余金」が減少したことによるものです。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

上期におけるキャッシュ・フローの状況等につきましては、次のとおりであります。

営業活動によるキャッシュ・フローは10,380百万円の支出(前年同期は2,185百万円の支出)となりました。これは主に、「減価償却費及び償却費」や税引前中間利益873百万円の計上があった一方で、「棚卸資産の増加」、「その他の負債の減少」があったことによるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは、4,103百万円の支出(前年同期は15,038百万円の支出)となりました。これは主に、「有形固定資産、無形資産の売却による収入」があった一方で、「有形固定資産、無形資産の取得による支出」があったことによるものです。

財務活動によるキャッシュ・フローは5,141百万円の支出(前年同期は7,576百万円の支出)となりました。これは主に、「セール・アンド・リースバックによる収入」があった一方で、「配当金の支払額」、「リース負債の返済による支出」があったことによるものです。

以上の結果、当中間期末における現金及び現金同等物の残高は94,036百万円(前期末と比べ19,624百万円減少)となりました。

 

(4) 事業上および財務上の対処すべき課題
① 当社グループの対処すべき課題

上期において、当社グループの対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

② 株式会社の支配に関する基本方針について

a.基本方針の内容

当社は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者は、当社の企業価値の源泉を理解し、当社が企業価値ひいては株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保・向上していくことを可能とする者である必要があると考えております。当社は、当社の支配権の移転を伴う買収提案についての判断は、最終的には当社の株主全体の意思に基づき行われるべきものと考えております。また、当社は、当社株式の大量買付がなされる場合、これが当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、これを否定するものではありません。

しかしながら、株式の大量買付の中には、その目的等から見て対象会社の企業価値ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、対象会社の株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主が株式の大量買付の内容等について検討しあるいは対象会社の取締役会が事業計画や代替案等を提示するための十分な時間や情報を提供しないもの、対象会社が買収者の提示した条件よりも有利な条件をもたらすために買収者との協議・交渉等を必要とするものなど、対象会社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さないものも少なくありません。

当社の財務および事業の方針の決定を支配する者は、①世界中の国や地域で人々に爽やかさとうるおいを届け、人々の生活スタイルの一部となっている「コカ・コーラ」ブランドを、地域社会に根付かせていくこと、②当社の掲げる企業理念を理解し、お客さまから選ばれ市場で私たちが勝利するために積極的に取り組んでいくこと、③お客さまの満足を徹底して追求していこうとする強い使命感を持った社員の存在を理解し、社員一人ひとりに報いるべく彼らが「コカ・コーラ」に誇りを持ち、誰もが働きたいと思う職場環境づくりに積極的に取り組んでいくこと、④豊かな社会の実現の一助となるよう努力を続ける企業市民としての責任感をもって地域社会への貢献ならびに環境問題への積極的な取り組みを行うこと、これらを十分に理解し、ステークホルダーであるお客さま、お得意さま、株主のみなさま、社員との信頼関係を維持し、ステークホルダーのみなさまの期待に応えていきながら、中長期的な視点に立って当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保・向上させる者でなければならないと考えております。

したがって、当社としてはこのような当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さない当社株式の大量買付を行う者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として不適切であり、このような者による当社株式の大量買付に対しては必要かつ相当な対抗をすることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保・向上する必要があると考えております。

 

b.基本方針実現のための取り組み

(a)基本方針の実現に資する特別な取り組みの概要

当社グループは、ザ コカ・コーラ カンパニーおよび日本コカ・コーラ株式会社(ザ コカ・コーラ カンパニー100%出資)の戦略的パートナーとして、製品開発やテストマーケティングなどさまざまな取り組みを協働で展開し、日本のコカ・コーラビジネスの変革をリードする役割を担うとともに、ステークホルダーであるお客さま・お得意さま、株主のみなさま、社員から信頼される企業づくりに努めております。

清涼飲料業界においては、市場が成熟化し、大きな成長が期待できない中、清涼飲料各社間の業務提携が拡大するなど生き残りをかけた業界再編が一段と加速しており、当社を取り巻く経営環境はさらに厳しくなることが見込まれます。

このような状況の中、当社グループは、強固かつ継続的なオペレーティングモデルを確立し、重点エリアでの成功を目指すとともに、成長実現に向けビジネスを抜本的に変革し、すべてのお客さま(消費者)、お得意さまから、あらゆる飲用機会で必ず選ばれる飲料会社を目指してまいります。

また、当社は、ガバナンス体制の一層の強化を目指し、監査等委員会設置会社を採用しております。当社の監査を担う監査等委員会は、複数の独立社外取締役を含む社外取締役(監査等委員)のみで構成されており、この社外取締役である監査等委員が、取締役会における議決権を有していること、ならびに株主総会において取締役の指名・報酬等についての意見を陳述する権利を有していることなどにより、経営監督機能がより強化されております。また、当社は、意思決定および経営管理機能と業務執行機能を分離すべく、執行役員制度を採用しているほか、重要な業務執行の決定の一部を取締役に委任することにより、取締役会において特に重要度の高い事項についての審議をより充実させるとともに、それ以外の事項について、経営陣による経営判断の迅速化も図っております。

 

(b)基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組みの概要

当社は、当社株式の大量買付けが行われた際には、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上のために、積極的な情報収集と適時開示に努めるとともに、必要に応じて、法令および当社定款の許容する範囲内において、適切な措置を講じてまいります。また、今後の社会的な動向も考慮しつつ、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上のために、当社取締役会が買収防衛策を再導入する必要があると判断した場合には、定款の定めに従い、株主総会において株主のみなさまにその導入の是非をお諮りいたします。

 

c.具体的取り組みに対する当社取締役会の判断およびその理由

前記b.(a)の取り組みは、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を継続的かつ持続的に向上させるための具体的方策として策定されたものであり、まさに当社の基本方針に沿うものであります。

また、前記b.(b)の取り組みは、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上のために、必要に応じて、法令および当社定款の許容する範囲内で、かつ株主意思を重視した具体的方策として策定されたものであるため、当社の株主共同の利益を損なうものおよび当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。

 

 

(5) 研究開発活動

該当事項はありません。

 

(6) 主要な設備

上期において、前期末に計画していた重要な設備の新設について完了したものは次のとおりであります。

会社名

事業所名

(所在地)

セグメントの名称

設備の内容

金額

(百万円)

完了年月

コカ・コーラボトラーズジャパン(株)

各支店
 (-)

飲料事業

自動販売機、

クーラー等

7,991

2024年6月

 

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

3【経営上の重要な契約等】

上期において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。