第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得情勢は堅調に推移し、個人消費の回復の鈍さはあるものの、企業収益の回復により、景気は緩やかな回復基調となっております。米国は新政権後の株高などの一服感が見られましたが、内外需要の回復を背景に緩やかに拡大しております。欧州は英国の欧州連合(EU)離脱影響の不透明な環境の中、個人消費の回復や輸出が復調しつつあり景気回復が続いております。中国や新興国は経済成長の鈍化がみられるものの、資源商品市況の回復などにより景気は緩やかに回復しております。

この様な状況の中、当社グループは昨年策定したローリング中期経営計画「ルネサンス不二2018」の基本方針である「サステナブル経営」「グローバル経営」「技術経営の推進・加速」を進めることで、大きく変化する市場を捉え、成長する市場・強みを発揮できる市場に展開を図ってまいりました。

以上の結果、当連結会計年度における連結業績は、売上高は2,925億47百万円(前期比1.7%増)、営業利益は196億94百万円(前期比16.9%増)、経常利益は197億12百万円(前期比39.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は121億5百万円(前期比31.2%増)となりました。

また、本年2月には2017年度から2020年度までの4年間を対象期間とする固定式の中期経営計画「Towards a Further Leap 2020」を策定し、「コアコンピタンスの強化」「大豆事業の成長」「機能性高付加価値事業の展開」を主軸として成長戦略を推進し、さらに、持続的な成長を図るべく、コストダウンと経営基盤のグローバルスタンダードへの統一に向けて当連結会計年度より着手しております。

 

セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。

 

(油脂部門)

 国内ではフライ油・製菓用油脂などのパーム油・チョコレート用油脂の販売拡販により売上高は増収となりました。また、海外においては、円高により海外グループ会社の円換算額の目減りがありましたが、米州でパーム油の販売が伸長したことにより、売上高は増収となりました。利益面では、販売が伸長したことやアジア・米州での採算性の向上により増益となりました。

以上の結果、当部門の売上高は1,093億61百万円(前期比0.5%増)、セグメント利益(営業利益)は64億17百万円(前期比0.3%増)となりました。

 

(製菓・製パン素材部門)

国内市場では業務用チョコレート・冷菓用チョコレートの販売が伸長しました。中国市場では引き続きフィリング製品の販売が順調に推移しました。また、ブラジル市場においては、前年度に連結子会社化したチョコレート製造販売会社であるハラルド社の売上高純増(前年度においてハラルド社の売上高は第3四半期より連結取り込み)や前年度に同社の株式取得費用を計上していたこともあり、増収・増益となりました。

以上の結果、当部門の売上高は1,439億60百万円(前期比4.1%増)、セグメント利益(営業利益)は105億86百万円(前期比15.3%増)となりました。

 

(大豆たん白部門)

大豆たん白素材は、食肉や加工食品市場向けで売上が減少し厳しい面はありましたが、健康食品市場向け販売が堅調であったことや、採算面の改善取り組みにより増益となりました。また、大豆たん白食品の即席あげや、大豆たん白機能剤の飲料用途向けの販売が伸長しました。但し、売上高につきましては、連結子会社トーラク(株)における小売向け豆乳販売事業の営業譲渡による売上高の減少要因により、当部門全体は減収となっております。利益面では、事業再構築やコスト削減による採算改善により増益となりました。

以上の結果、当部門の売上高は392億26百万円(前期比3.2%減)、セグメント利益(営業利益)は26億90百万円(前期比112.9%増)となりました。

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前期末に比べ40億17百万円減少し、126億81百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より4億94百万円多い165億21百万円の収入となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益181億3百万円、減価償却費104億31百万円等による収入が、売上債権の増加額28億99百万円、棚卸資産の増加額30億82百万円、仕入債務の減少額16億49百万円、法人税等の支払額64億68百万円等の支出を上回ったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より210億64百万円少ない137億60百万円の支出となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出150億97百万円、投資有価証券の売却による収入18億63百万円等があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より297億2百万円少ない56億62百万円の支出となりました。これは主に、短期借入金による資金調達額の純増加額72億21百万円、長期借入による収入24億6百万円等の収入を、長期借入金の返済による支出58億77百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出54億67百万円、配当金の支払額34億38百万円等による支出が上回ったことによるものです。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当社グループの生産品目は広範囲、多種多様であり、かつ、製品のグループ内使用(製品を他のグループ会社の原材料として使用)が数多くあるため、セグメント別(連結ベース)に生産実績を、金額あるいは数量で示すことはしておりません。

このため生産の状況については、「1  業績等の概要」における各セグメントの業績に関連付けて示しております。

 

(2) 受注実績

当社グループは需要予測に基づく見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

 

セグメント

金額(百万円)

前期比(%)

油脂部門

109,361

+0.5

製菓・製パン素材部門

143,960

+4.1

大豆たん白部門

39,226

△3.2

合計

292,547

+1.7

 

(注)  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、食品企業としての責任を強く自覚し、私たちの使命、目指す姿、行動する上で持つべき価値観、そして行動原則を明文化した「不二製油グループ憲法」を2015年10月に制定しております。本憲法は、グループ社員全員の価値観の共有化を図るとともにグループガバナンスの基本であり、判断・行動の優先基準付けの拠り所となるものです。当社グループは、「不二製油グループ憲法」のミッション(使命)「私たち不二製油グループは、食の素材の可能性を追求し、食の歓びと健康に貢献します。」を実現することを会社運営の基本方針としており、本憲法に示されている理念、行動原則を実践することで、すべてのステークホルダーに対して貢献できるものと考えております。

「不二製油グループ憲法」

ミッション(使命)  :私たち不二製油グループは、食の素材の可能性を追求し、食の歓びと健康に貢献します。

ビジョン(目指す姿):私たちは、油脂と大豆事業を中核に、おいしさと健康で社会に貢献する、食の未来創造カンパニーを目指します。

 バリュー(基本となる価値観): ・安全と品質、環境

                             ・人のために働く

                             ・挑戦と革新

                             ・スピードとタイミング

 プリンシプル(行動原則): 

 1 私たちは、法令および会社の規則を順守し、高い倫理観を持ち続けます。

 2 私たちは、食の安全・安心を最優先し、高品質な商品・サービスを提供します。

 3 私たちは、環境に配慮した企業活動を行います。

 4 私たちは、お客様とのコミュニケーションを大切にし、時代に先駆けた新しい価値を提供します。

 5 私たちは、取引先を大切なパートナーとして尊重し、公平・公正な取引を行います。

 6 私たちは、開拓者精神を忘れずに不断の革新を断行し続けます。

 7 私たちは、三現主義とコストダウン意識を常に持ち、生産活動の改善に取り組みます。

 8 私たち社員は、以下の項目を大切にします。

  (1) 私たちは、不二製油グループ社員の多様性と人格、個性を尊重します。

  (2) 不二製油グループは、社員の成長のため教育の場を提供します。

(3) 私たちは、プロフェッショナルの自覚を持ち、スピード感と情熱を持って働き、働くことを楽しみます。

  (4) 私たちは、和の精神と愛社心を忘れずに人格の向上に取り組みます。

(5) 私たちは、職場の安全衛生に日常的に取り組み、維持向上に努めます。

 9 私たちは、地域に根ざした企業活動を行い、積極的に社会に貢献します。

 10 私たちは、株主に対して、正確な経営情報を適時適切に開示します。

 11 私たちは、会社の資産・情報の保護・管理に努めます。

 12 私たちは、公私のけじめをつけて行動します。

 13 私たちは、この行動原則の精神を理解、順守し企業使命の実現を追求し続けます。

 

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、株主資本の収益性、資本効率の向上がステークホルダーの利益に合致するものと考え、「株主資本利益率(ROE)」を重要な指標として位置付けております。

当社グループは、昨年策定した中期経営計画「ルネサンス不二2018」は、その途上でありましたが、第4次産業革命とも表現される世界の変化の中で、更なる成長を遂げるためには、従来のローリング方式を見直し、固定式の中期経営計画に変更することとし、2017年度から2020年度までの4年間を対象期間とする中期経営計画 「Towards a Further Leap 2020」を策定しております。世界的に戦える経営体制・経営インフラ・財務体制の整備及び生産効率の向上を優先課題とし、2020年度目標を明確化した改革を確実に推し進めます。

 

経営目標(2020年度)

ROE(株主資本利益率)

10%

営業利益成長率

CAGR 6%以上

EPS

CAGR 8%以上

 

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略および会社の対処すべき課題

わが国経済は、雇用・所得情勢は堅調に推移し、個人消費の回復の鈍さはあるものの、企業収益の回復により、景気は緩やかな回復基調となっております。米国は新政権後の株高などの一服感が見られましたが、内外需要の回復を背景に緩やかに拡大しております。欧州は英国の欧州連合(EU)離脱影響の不透明な環境の中、個人消費の回復や輸出が復調しつつあり景気回復が続いております。中国や新興国は経済成長の鈍化がみられるものの、資源商品市況の回復などにより景気は緩やかに回復しております。

 当社グループは、激変する市場環境下において、既存事業の延長だけでは、当社グループの目指す、2030年の「ありたい姿」到達には、大きなギャップが存在することを強く認識し、このギャップを埋めるために必要な基盤を2020年までに整えるため、「コアコンピタンスの強化」、「大豆事業の成長」、「機能性高付加価値事業の展開」を主軸とした成長戦略を推進します。また、マーケティングを強化して、生活者の視点から発想した戦略をとり、収益の安定成長を目指します。さらに、持続的な成長を図るべく、コストダウンを断行する一方、経営基盤のグローバルスタンダードへの統一を進めます。

 ・コアコンピタンスの強化

チョコレート用油脂とチョコレート、製菓・製パン素材の事業を拡大・発展させ、グループの収益拡大・安定成長を図ります。

 ・大豆事業の成長

植物性たん白の事業を通じ、地球と人の健康を追求してまいります。環境と健康に配慮した食文化(フレキシタリアン)の成熟に伴い、時代に合った製品の提供を行います。

 ・機能性高付加価値事業の展開

多糖類事業を始め、昨年発表した安定化DHA/EPAの事業展開を進めてまいります。栄養・健康分野への進出を図り、グループ収益の安定化を図ります。

 ・コストダウンとグローバルスタンダードへの統一

次世代に向け、グループ全社の生産効率を高めることを目的とした組織を編成し、競争力向上に努めるとともに、グローバルでの基幹システムの統一・決算期の統一を進めてまいります。

また、ESG委員会を核として、「安全・品質・環境への取り組み強化」「コンプライアンスの徹底」「内部統制システム、リスク管理体制の充実」「人材の育成」を図り、食品企業として全てのステークホルダーから信頼される企業グループとなることを目指し、企業価値の向上により一層取り組んでまいります。

 

株式会社の支配に関する基本方針は、以下のとおりであります。

① 基本方針の内容

当社取締役会は、上場会社として当社株式の自由な売買を認める以上、当社取締役会の賛同を得ずに行われる、いわゆる「敵対的買収」であっても、企業価値・株主共同の利益に資するものであれば、これを一概に否定するものではありません。また、株式会社の支配権の移転を伴う買付提案に応じるかどうかの判断も、最終的には株主全体の意思に基づき行われるべきものと考えております。

当社は、“食の素材の可能性を追求し、食の歓びと健康に貢献します。”をミッションに、独自の技術開発に挑戦し、安心安全で、様々な機能を持つ植物性油脂、製菓製パン素材、大豆たん白製品を国内・海外のお客様に広くお届けしています。同時に食品メーカーとして“安全・品質・環境を最優先する。”を経営の前提と位置づけ、安全な工場運営、厳格な品質管理、トレーサビリティシステムの拡充、環境保全への対応など積極的に取り組んでいます。なお、当社を取り巻く経営環境等が変化する中、平成27年10月1日をもって、新設分割による純粋持株会社体制へ移行し、当社を純粋持株会社、日本を含めた世界のエリア別に地域統括会社を置く体制へ変更し、当社は傘下の当社グループ会社の持株の所有を通じて、当社グループ会社の事業運営を管理するグローバル経営体制の継続的構築を最重要責務および目標として考えております。

このような企業活動を推進する当社および当社グループ(以下「当社グループ」といいます。)にとり、企業価値の源泉である①独自の技術開発力、②食のソフト開発力による提案営業、③国内・海外のネットワーク、④食の安全を実現する体制および⑤企業の社会的責任を強化するとともに研究開発、生産および販売を支える従業員をはじめとする当社を取り巻く全てのステークホールダーとの間に築かれた長年に亘る信頼関係の維持が必要不可欠であり、これらが当社の株式の大量取得行為を行う者により中長期的に確保され、向上させられるものでなければ、当社グループの企業価値・株主共同の利益は毀損されることになります。

以上の認識に立ち、当社は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者は、株主をはじめとした様々なステークホルダーとの信頼関係を維持し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保し、向上させる者でなければならないと考えています。
 従って、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を毀損するおそれのある不適切な大規模買付行為またはこれに類似する行為を行う者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として適当ではないと考えます。このような者により当社株式の大規模買付が行われた場合には、必要かつ相当な対抗をすることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保する必要があると考えております。

 

② 基本方針実現のための取組み

当社グループは、マーケティングを強化して世界各地の生活者の視点から発想した技術イノベーション戦略をとることで、生活者の健康を支援するグローバル企業グループとなることを目指し、2030年の「ありたい姿」、2020年の「あるべき姿」を描き、それらの実現に向けた今後3年間の活動計画として、ローリング方式の中期経営計画を策定しましたが、世界で戦えるための経営基盤の確立、経営インフラ・財務体制の整備、コスト削減・生産効率の向上を最優先課題という認識のもと、これまでのローリング方式を見直し、新たにグローバルで存在感を示し世界で抜きん出るための改革と戦略を盛り込んだ中期経営改革2020年度目標を明確化した中期経営計画「Towards a Further Leap 2020」を策定しました。

グローバル経営の強化では、グループ本社制移行によるグループシナジーを発揮するガバナンスの強化(求心力)と、エリアへの権限委譲(遠心力)のバランスを通じて経営戦略実践のスピードアップを図ります。

また、エリアごとの開発力の強化と各エリア間の情報共有のために研究開発拠点を整備して連携を強化します。具体的には、当社グループの阪南事業所内に不二製油グループの技術革新の中心拠点となる「不二サイエンスイノベーションセンター」を新設しました。研究・開発・生産技術・分析部門を融合させ、不二製油グループの技術・製品の情報収集・発信拠点としてシンガポールに設置した「アジアR&Dセンター」、つくば研究開発センターと併せて、「技術経営」・「グローバル経営」を推進・加速する実行体制を確立し、グループ一丸となって企業価値の向上、株主共同の利益の最大化に、より一層取り組んでおります。

 

 

4 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 原料相場の変動

主要原料である大豆、パーム油、カカオなどは生産地の天候、需給バランスなどの要因による原料相場変動の影響を受けますので、先物予約など相場変動リスクを軽減する様々な手段および販売価格への転嫁などの販売政策をとっておりますが、原料相場の急激な変化や高値推移する場合、当社グループの業績および財務状況は悪影響を受ける可能性があります。

(2) 為替相場の変動

為替変動は当社グループの外貨建取引から発生する資産および負債の日本円換算額に影響を与える可能性があります。さらに、外貨建てで取引されている原料・製品・サービスの価格および仕入高・売上高にも影響を与える可能性があります。これらを軽減するため為替予約等のリスクヘッジ手段を講じておりますが、急激な為替相場の変動があれば、当社グループの業績および財務状況は悪影響を受ける可能性があります。

(3) 海外進出に潜在するリスク

海外事業の拡大を重点課題として取り組んでおり、グローバルに事業展開を行っておりますので、海外各国固有の保護規制、予想外の法律・規制の変更、複雑な国際税務による当社グループに不利となる税務事象の発生や税制改正、また、政治的、社会的リスクなど多様なリスクに直面した場合、当社グループの事業、業績および財務状況は悪影響を受ける可能性があります。

(4) 設備投資の回収リスク

当社グループは、成長のための先行投資を積極的に行ってまいりました。投資にあたっては、将来の需要予測と当社グループの競争力を基に、投資効率を重視し、投資を決定、実行しておりますが、景気の動向、競合他社の参入、消費動向の変化などにより、当初予測した生産量、売上高を確保出来ない場合、当社グループの業績および財務状況は悪影響を受ける可能性があります。

(5) 固定資産の減損リスク

当社グループでは、事業の用に供するさまざまな有形固定資産・企業買収に伴うのれん等の無形固定資産を有しておりますが、事業環境の急激な変化に伴う生産設備の遊休化や稼動率の低下・買収事業の推移が当初計画を下回ることなどにより、保有資産から得られる将来キャッシュ・フロー見込額が減少した場合、固定資産の減損会計の適用による減損損失が発生し、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす恐れがあります。

(6) 食品の安全性について

消費者の食品安全への関心はかつてないほど高まっております。日本国内では食品安全確保のため、原材料メーカーから「食品衛生法」「農林物質の規格化等に関する法律」などの関連諸法規に違反していないことを保証する文書を受領するとともに、当社自ら品質確認を行うなど、万全の体制で臨んでおります。しかしながら、予想を超える重大な品質問題が発生した場合、多額のコスト負担や当社グループの製品全体の評価にも重大な影響を与え、売上高の減少により、当社グループの業績および財務状況は悪影響を受ける可能性があります。

(7) サプライチェーン上の環境・社会問題リスク

当社グループは、農作物を基幹原料として扱うため、サプライヤーをはじめとするステークホールダーと連携し、環境・人権に配慮した調達活動に努めています。特にパーム油に関しては「責任あるパーム油調達方針」を制定し、サプライチェーン上(農園)での環境・人権リスクの予防・低減を推進しています。しかしながら、事業活動及びサプライチェーンにおいて農園開発に起因する環境や児童労働・強制労働などの人権にかかわる問題が発生した場合、当社グループの業績および財務状況は悪影響を受ける可能性があります。

(8) 法的規制について

食品企業である当社グループは「食品衛生法」「農林物質の規格化等に関する法律」「製造物責任法」「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」などによる規制を受けております。海外においては、各国固有の法律・規制を受けております。これらの法律を遵守することを経営の前提として運営しておりますが、法的規制の変更、強化、新たな立法による規制によりコスト増加につながる場合、当社グループの業績および財務状況は悪影響を受ける可能性があります。

 

(9) 大規模災害について

生産設備を有している各地域において、大規模な地震等の自然災害が発生した場合には、生産設備の破損、物流機能の混乱等により、生産の操業停止等が予想され、当社グループの業績および財務状況は悪影響を受ける可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

 株式会社J-オイルミルズとの業務提携および株式相互保有に関する契約

①株式の持ち合い

相互に約1%の相手方株式を保有します。

②原料・資材の効率的調達

原料・資材の共同調達により安定調達およびコスト低減を図ります。

③中間原料油の相互供給

双方の強みを活かした中間原料油の相互供給により、使用製品の機能強化・コスト削減を図ります。

④相互の生産設備の有効活用

両社が有する生産設備を相互に有効活用し、生産の効率化を図ります。

⑤物流業務の効率化

物流拠点の集約化、共同配送・共同輸送等により、物流業務の効率化、コスト低減を図ります。

⑥その他

  双方にメリットのある取り組みを行います。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは長年積み重ねてきた研究成果と先進の技術力を生かし、植物性油脂と大豆および大豆たん白を基礎とする新しい機能を持つ食品素材の開発に取り組んでおります。2016年8月には、不二製油株式会社阪南事業所内に、新研究施設として「不二サイエンスイノベーションセンター」を開設しました。「共創」をテーマにした国内外の研究開発の中心拠点として、「おいしさ」「健康」「環境」の方針を具現化する、グローバル展開に向けた独創性のある製品の開発に注力しております。

日本国内を統括する不二製油株式会社は、2016年4月より、応用開発研究所および各事業部ごとに設置されていた素材開発室を統合した研究開発部門としました。これにより、各研究室間のコミュニケーションの向上および各素材間の共創による新規複合素材の開発が出来る体制にいたしました。また、新たに価値づくり市場開発室を設置し、開発された新素材をすぐさまお客様へ提案し、お客様と共創できる体制にいたしました。

基盤研究部門である未来創造研究所は、不二製油グループ本社株式会社へ移管し、当社グループの将来を支えるため、新規事業を創造する研究所としての位置付けを更に強化しました。また、生産技術開発部門では引き続きコア技術の強化・革新に関する研究開発を進めております。大学等の公的研究機関との共同研究も積極的に行っており、特に国立大学法人京都大学とは、2015年4月に開設した産学共同講座<「不二製油」大豆ルネサンス講座>を継続し、大豆の新たな可能性に向けた研究を進めております。

アジア圏を統括するFUJI OIL ASIA PTE. LTD.では、2015年3月にシンガポールに開設した「アジアR&Dセンター」と、日本国内にある「不二サイエンスイノベーションセンター」および「つくば研究開発センター」との連携を更に進め、現地のニーズに合わせた製品研究・開発を行っております。また、他のグループ各社においても、素材開発・応用開発を行っております。

当連結会計年度の研究開発費の総額は、44億59百万円であります。

 

研究開発活動の概要は次のとおりであります。

(油脂部門)

安全安心で環境に配慮した油脂の製造技術、新機能を有する油脂製品およびその最適な応用法に関する研究開発を通して、お客様のご要望を形にし、新しいおいしさの創造に貢献しております。

当連結会計年度の主な成果としては、難溶性抗酸化成分を油の中で細かく分散させる新技術で、酸化と魚臭の発生を抑えた安定化DHA・EPAの開発に成功し、これまで出来なかった幅広いカテゴリーの食品に展開できる製品として提案を開始しております。また、これまで検討してきたDTR技術(*)により、少ない調味料でも塩味や酸味、辛味が強く感じられる呈味増強油脂を開発し、減塩効果のある調味油として、病院や高齢者施設の給食用途で大きく期待されております。また同技術を応用し、油脂の風味発現向上、口解け向上など従来製品の高機能化を達成し、より付加価値の高い製品をお客様に提供できるようになっております。また、油脂結晶を利用し、品質作業性が向上するマーガリン用油脂の発売、お客様のご要望にお応えできる新規ブルーム抑制脂の開発に取り組みました。その他、低トランスタイプ、低飽和タイプと昨今グローバル市場からも要望される健康志向素材を開発し、海外展開を拡大されるお客様にも、いち早くご提案できる製品の開発を継続しております。

当部門の研究開発費は7億36百万円であります。

*DTR技術:水溶性成分を油脂に微分散させる技術で、素材の呈味(塩味、旨味、辛味など)や保存安定性を付与増強する技術。

 

(製菓・製パン素材部門)

チョコレートやホイップクリーム、マーガリン、チーズ風味素材、パイ製品等、製菓・製パン用素材を中心にした新技術・新製品開発、およびソフト開発を行っております。

当連結会計年度の主な成果としては、チョコレートにおいては、最近の健康志向の流れから、糖類を低減したシュガーレス規格のチョコレートを製品化し、美味しさと健康を両立した製品の開発に努めました。また、調理加工市場向けとして小型容器に充填したソース状のチョコレートやカカオ風味の濃さを訴求した調理用途の製品開発に取り組みました。乳化・発酵素材開発では、ホイップクリームやマーガリン、フィリング素材を中心に従来の乳の美味しさと機能向上を目指した製品開発に取り組む一方で、健康志向や消費者ニーズの変化に対応し新しい植物性の素材価値を追求しております。USS(ウルトラソイセパレーション)豆乳の美味しさを活かし動物性原料を使用しないシリーズとして独自の発酵技術を用いたチーズ様素材の各種ラインナップの拡充を図り、更にはホイップクリームでの展開も加速させ、さまざまな用途での採用が広がりました。また、価値づくり開発においては、これら製品の特長を活かしたアプリケーション開発と、反対に消費者からの多様な要望を実現できるアプリケーション開発を実施しております。

当部門の研究開発費は14億26百万円であります。

 

(大豆たん白部門)

大豆たん白、大豆たん白食品、豆乳、大豆多糖類、大豆イソフラボン他大豆関連製品の開発を行っております。

当連結会計年度の主な成果としては、昨年に続き世界初の豆乳の分離分画技術、USS(ウルトラソイセパレーション)製法で加工された豆乳クリームおよび低脂肪豆乳は、風味の面から調理加工分野や飲料分野にて高い評価を得ました。また、これらUSS素材(豆乳クリームおよび低脂肪豆乳)の特性を活かし、これまでに無かった豆腐類、ドレッシング、ホイップクリーム、フィリング等が誕生し、大豆加工素材として新しい分野への展開が進んでおります。植物性の組織状たん白素材は、肉に近い食感をもつ大豆ミートとしての高品質化、バラエティー化を進め、味と食感が評価され純植物性素材としての展開を進めました。一方、粉末状植物性たん白素材は、高騰する卵白やすり身の保水力を代替できるように物理特性を見直し、動物性資源の代替の可能性を高めました。また、たん白補給、高齢化社会に対応すべく、大豆たん白粉末を応用されやすいよう改質するほか、高齢者が喫食しやすい食品、柔らかい食感の冷凍流通豆腐、がんもどきなどの大豆たん白食品を開発し、老健向けの豆腐パティーも展開いたしました。生協向け大豆たん白食品では、具材の産地にこだわった商品が好調で、チーズ様素材や粒状大豆たん白でジューシー感を付与した内材を包餡したハンバーグ・豆腐つくねも引き続き好調であります。大豆多糖類においては、引き続き国内外における飲料分野や国内市場での麺および米飯用品質改良剤分野での使用が好調であります。

当部門の研究開発費は10億52百万円であります。

 

(基盤研究その他)

未来創造研究所では、経営課題である「おいしさと健康」を両立させた食の市場を創造するための、新技術開発や研究開発に取り組んでおります。

当連結会計年度の主な成果としては、新規事業に繋がる新技術開発として、油脂に溶けにくい難溶性成分を安定的に混ぜる技術を開発し、この技術によって世界で初めて酸化安定性が極めて高い安定化DHA・EPAの開発が可能となりました。おいしさに関する研究としては、USS素材(豆乳クリームおよび低脂肪豆乳)がもつ大豆本来のおいしさの解明を、<「不二製油」大豆ルネサンス講座>で引き続き取り組んでおります。健康に関する研究開発の一つとして、大豆イソフラボン(アグリコンとして)を機能性成分に用いた機能性表示食品「イソフラサポート」の届け出を消費者庁に行いました。本品は丈夫な骨を維持したい女性に適した食品で、想定する主な対象者は健常な日本人中高年女性です。また、「ブレインフード(健脳素材)としての大豆ペプチドの研究開発」が、第三回健康科学ビジネスベストセレクションズ近畿経済産業局長賞を受賞し、大豆ペプチドの認知機能への寄与、作用に関する研究成果を高く評価いただきました。その一方で、農林水産省の食品産業科学研究推進事業における、油脂酵母を用いた高機能油脂生産の研究に参画し、産学連携による新技術開発に引き続き取り組んでおります。

当部門の研究開発費は12億46百万円であります。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表を作成するに当たり、必要な見積りを行っており、それらは資産、負債、収益および費用の計上金額に影響を与えております。これらの見積りは、その性質上判断および入手し得る情報に基づいて行いますので、実際の結果がそれらの見積りと相違する場合があります。

当社グループは、連結財務諸表を作成するに当たり、貸倒引当金の設定、繰延税金資産の回収可能性、退職給付債務等の計算の基礎及び固定資産の減損処理に関する事項について、特に重要な見積りを行っております。

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

当社グループの当連結会計年度の経営成績については、売上高は2,925億47百万円となり、前連結会計年度に比べ1.7%増加いたしました。セグメント別の主な増減要因は、油脂部門ではフライ油・パーム油・チョコレート用油脂の販売拡大及び、米国でのパーム油の販売が伸長したこと等により増収・増益となりました。製菓・製パン素材部門では国内でのチョコレートの販売が伸長したこと及び、前年度に連結子会社化したチョコレート製造販売会社のブラジルのハラルド社の売上高純増加や、前年度に同社の株式取得費用を計上していたこと等により増収・増益となりました。大豆たん白部門は連結子会社トーラク㈱における小売豆乳事業の営業譲渡の売上高減少等により減収となりましたが、事業再構築やコスト削減による採算改善により増益となりました。

以上の結果、営業利益は196億94百万円(前期比16.9%増)、経常利益は197億12百万円(前期比39.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は121億5百万円(前期比31.2%増)となりました。

我が国経済は、緩やかに景気の回復基調を辿る見込みであります。海外においては政治・経済情勢の不透明感による下振れリスクはあるものの、景気回復の基調を辿る見込みであります。

この様な状況の中、当社グループは、大きく変化する市場、AI・IoTを背景とする生活スタイル・流通システムの変化、これら市場環境を捉え世界で戦える企業であり続けるために、マーケティングの強化を図り、早期に経営基盤を整え、設備を刷新し、構造改革を推し進めるなどの変革を優先することが必要と考えております。

そのため、当社グループは、「『おいしさと健康』で顧客と社会に貢献する」、「価値づくり(Product Out型からSolution型への転換を進める)」、「サステナブルな成長のための自己改革を進める」を念頭に、生活者の健康と豊かさ、おいしさを支援するグローバル企業となることを目指す中期経営計画「Towards a Further Leap 2020」(2017年4月~2021年3月)を策定しております。

(3) 当連結会計年度の財政状態の分析

当期末の総資産は、前期末比52億32百万円増加し、2,721億9百万円となりました。主な資産の変動は、現金及び預金の減少40億9百万円、受取手形及び売掛金の増加28億96百万円、たな卸資産の増加24億35百万円、有形固定資産の増加19億11百万円、のれんの減少2億35百万円等であります。

当期末の負債は、前期末比14億61百万円減少し、1,166億28百万円となりました。主な負債の変動は、有利子負債の増加56億67万円、支払手形及び買掛金の減少18億5百万円、未払法人税等の減少12億84百万円、長期繰延税金負債の減少25億2百万円等であります。

当期末の純資産は、前期末比66億93百万円増加し、1,554億80百万円となりました。主な純資産の変動は、利益剰余金の増加94億90百万円、資本剰余金の減少26億93百万円、繰延ヘッジ損益の増加10億22百万円、非支配株主持分の減少17億15百万円であります。

この結果、1株当たり純資産は前期末比97円84銭増加し、1,753円54銭となりました。自己資本比率は前期末53.3%から55.4%となりました。

当期末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前期末に比べ40億17百万円減少し、126億81百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。

営業活動によるキャッシュ・フローは165億21百万円の収入となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益181億3百万円、減価償却費104億31百万円等による収入が、売上債権の増加額28億99百万円、棚卸資産の増加額30億82百万円、仕入債務の減少額16億49百万円、法人税等の支払額64億68百万円等の支出を上回ったことによるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは137億60百万円の支出となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出150億97百万円、投資有価証券の売却による収入18億63百万円等があったことによるものです。

財務活動によるキャッシュ・フローは56億62百万円の支出となりました。これは主に、短期借入金による資金調達額の純増加額72億21百万円、長期借入による収入24億6百万円等の収入を、長期借入金の返済による支出58億77百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出54億67百万円、配当金の支払額34億38百万円等による支出が上回ったことによるものです。