第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、食品企業としての責任を強く自覚し、私たちの使命、目指す姿、行動する上で持つべき価値観、そして行動原則を明文化した「不二製油グループ憲法」を2015年10月に制定しております。本憲法は、グループ社員全員の価値観の共有化を図るとともにグループガバナンスの基本であり、判断・行動の優先基準付けの拠り所となるものです。当社グループは、「不二製油グループ憲法」のミッション(使命)「私たち不二製油グループは、食の素材の可能性を追求し、食の歓びと健康に貢献します。」を実現することを会社運営の基本方針としており、本憲法に示されている理念、行動原則を実践することで、すべてのステークホルダーに対して貢献できるものと考えております。

「不二製油グループ憲法」

ミッション(使命)  :私たち不二製油グループは、食の素材の可能性を追求し、食の歓びと健康に貢献します。

ビジョン(目指す姿):私たちは、油脂と大豆事業を中核に、おいしさと健康で社会に貢献する、食の未来創造カンパニーを目指します。

バリュー(基本となる価値観):・安全と品質、環境

・人のために働く

・挑戦と革新

・スピードとタイミング

プリンシプル(行動原則):

1 私たちは、法令および会社の規則を順守し、高い倫理観を持ち続けます。

2 私たちは、食の安全・安心を最優先し、高品質な商品・サービスを提供します。

3 私たちは、環境に配慮した企業活動を行います。

4 私たちは、お客様とのコミュニケーションを大切にし、時代に先駆けた新しい価値を提供します。

5 私たちは、取引先を大切なパートナーとして尊重し、公平・公正な取引を行います。

6 私たちは、開拓者精神を忘れずに不断の革新を断行し続けます。

7 私たちは、三現主義とコストダウン意識を常に持ち、生産活動の改善に取り組みます。

8 私たち社員は、以下の項目を大切にします。

(1)私たちは、不二製油グループ社員の多様性と人格、個性を尊重します。

(2)不二製油グループは、社員の成長のため教育の場を提供します。

(3)私たちは、プロフェッショナルの自覚を持ち、スピード感と情熱を持って働き、働くことを楽しみます。

(4)私たちは、和の精神と愛社心を忘れずに人格の向上に取り組みます。

(5)私たちは、職場の安全衛生に日常的に取り組み、維持向上に努めます。

9 私たちは、地域に根ざした企業活動を行い、積極的に社会に貢献します。

10 私たちは、株主に対して、正確な経営情報を適時適切に開示します。

11 私たちは、会社の資産・情報の保護・管理に努めます。

12 私たちは、公私のけじめをつけて行動します。

13 私たちは、この行動原則の精神を理解、順守し企業使命の実現を追求し続けます。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループは、株主資本の収益性、資本効率の向上がステークホルダーの利益に合致するものと考え、「株主資本利益率(ROE)」を重要な指標として位置付けております。

 当社グループは、第4次産業革命とも表現される世界の変化の中で、更なる成長を遂げるために2017年度から2020年度までの4年間を対象期間とする中期経営計画「Towards a Further Leap 2020」を策定しており、世界的に戦える経営体制・経営インフラ・財務体制の整備及び生産効率の向上を優先課題とし、2020年度目標を明確化した改革を確実に推し進めます。

 

経営目標(2020年度)

ROE(株主資本利益率)

10%

営業利益成長率

CAGR 6%以上

EPS

CAGR 8%以上

株主還元

配当性向30%~40%

 

(3)中長期的な会社の経営戦略および会社の対処すべき課題

 我が国経済は、緩やかな景気拡大局面が続くものの、米中貿易摩擦による不透明感やIT需要の減速から輸出や生産に弱さも見られ、景気後退への懸念が強くなっております。海外経済は、米国経済は堅調ながらも、米中貿易摩擦に対する懸念から、これまでの景気回復基調から調整局面を迎えつつあります。

 この様な状況の中、当社グループは世界の人々に共通する願いは「健康に生きること」であり、そのためには健康な食べ物を食べ続けることが前提であると認識をしております。人はおいしくなければ食べ続けられず、健康でなければ食べ物はおいしく感じることができない。この課題を解決することが当社グループのアイデンティティーであり、新たな価値の創造のための技術力と課題解決力から生まれる2つの価値を同時に追求するPlant-Based Food Solutionsを提供しながら、おいしさと健康でお客様と社会に価値を提供し続けるとともに、人と地球の健康という課題に対応することで、自己改革を推進してサステナブルに成長するグローバル企業を目指しております。

 中期経営計画「Towards a Further Leap 2020(2017年度~2020年度)」の2018年度は、起承転結の承(2017年度の起をしっかり維持できるように重要な土台を積み重ねる)に取り組むための期間として、基本方針である「コアコンピタンスの強化」「大豆事業の成長」「機能性高付加価値事業の展開」「コストダウンとグローバルスタンダードへの統一」の成長戦略を推進しております。

 各基本方針の進捗については以下のとおりであります。

 

①コアコンピタンスの強化

 チョコレート事業の拡大・発展を目指しており、2018年度はオーストラリアのINDUSTRIAL FOOD SERVICES PTY LIMITEDに加えて、米国のBLOMMER CHOCOLATE COMPANYをグループに加えました。BLOMMER CHOCOLATE COMPANYは世界3位の規模を誇る業務用チョコレートメーカー・世界5位のココア豆加工事業会社でもあり、また、同社が保有するトレーサビリティの高いココア豆をグループ全体に展開することで、ココア豆のサステナブル調達対応を今以上に前進させることができます。また、BLOMMER CHOCOLATE COMPANYの株式取得により環太平洋を主軸とした世界10カ国16カ所のチョコレート製造工場を有するグローバル供給・販売体制を構築し、世界3位の業務用チョコレートメーカーとなり、事業基盤の更なる強化を図ってまいります。

 

②大豆事業の成長

 地球と人の健康を追及し、時代に合った製品(フレキシタリアン市場向け等)の提供を進めることを目的に、選択と集中の一環として、国内連結子会社の不二製油株式会社が社会全体における健康への関心の高まりによる需要に応えるために千葉工場内に大豆たん白素材製品の新工場を建設することを決定しており、一方、中国市場での大豆たん白製品市場の競争激化等から、中国での経営資源配分の最適化を図り、当社グループのコアコンピタンスの更なる効率化による利益確保を目指すため、吉林不二蛋白有限公司の持分全額を譲渡しております。

 

③機能性高付加価値事業の展開

 多糖類事業、安定化DHA/EPAの事業展開を進めるため、水溶性大豆多糖類の増産対応、機能性食品表示の取得、DHA/EPAを用いた通販製品の販売等を進めております。

 

 

④コストダウンとグローバルスタンダードへの統一

 グループ全体の生産性効率を高める組織組成、競争力向上を目的に、グローバルCMSの導入、基幹システムの順次導入と決算期統一への対応等を進めております。

 

 前記の基本方針のほか、当社では、ESGに対する積極的な取り組みの一環として取締役会の諮問機関としてESG委員会を設置し「環境、社会、ガバナンス」の各項目につき重点テーマを策定しております。また、2019年4月よりESG経営の推進責任者としてC“ESG”O(最高ESG経営責任者)を新たに設置し、ESG経営の推進に取り組んでおります。環境保全については、ESG委員会の中でESGの重点テーマの一つとしてとらえ、その取り組みについての基本方針を審議・検討するとともに、そうした検討に基づき関連部門において環境保全のための具体的な施策を策定しそれを実行しております。また、気候変動の企業活動に与えるインパクトの考察についてはTCFD=気候関連財務情報開示タスクフォース(The Task Force on Climate-related Financial Disclosures)の提言に基づき今後の開示に向けて準備を進める一方で、気候変動に大きな影響を与える温室効果ガス排出への対応としては、当社が「環境ビジョン2030」において定めた「2030年にCO2排出量24%削減」という目標に向けて取り組みを進めております。

 更に「コンプライアンスの徹底」「内部統制システム、リスク管理体制の充実」「人材の育成」を図り、食品企業として全てのステークホルダーから信頼される企業グループとなることを目指し、企業価値の向上に、より一層取り組んでまいります。

 

 株式会社の支配に関する基本方針は、以下のとおりであります。

① 基本方針の内容

 当社取締役会は、上場会社として当社株式の自由な売買を認める以上、当社取締役会の賛同を得ずに行われる、いわゆる「敵対的買収」であっても、企業価値・株主共同の利益に資するものであれば、これを一概に否定するものではありません。また、株式会社の支配権の移転を伴う買付提案に応じるかどうかの判断も、最終的には株主全体の意思に基づき行われるべきものと考え、いわゆる買収防衛策につきましては、2015年12月開催の定時取締役会決議により廃止しております。

 当社は、“食の素材の可能性を追求し、食の歓びと健康に貢献します。”をミッションに、独自の技術開発に挑戦し、安全安心で、様々な機能を持つ植物性油脂、製菓・製パン素材、大豆製品を国内・海外のお客様に広くお届けしています。同時に食品メーカーとして“安全・品質・環境を最優先する。”を経営の前提と位置づけ、安全な工場運営、厳格な品質管理、トレーサビリティシステムの拡充、環境保全への対応など積極的に取り組んでいます。なお、当社を取り巻く経営環境等が変化する中、2015年10月1日をもって、新設分割による純粋持株会社体制へ移行し、当社を純粋持株会社、日本を含めた世界のエリア別に地域統括会社を置く体制へ変更し、当社は傘下の当社グループ会社の持株の所有を通じて、当社グループ会社の事業運営を管理するグローバル経営体制の継続的構築を最重要責務および目標として考えております。

 このような企業活動を推進する当社および当社グループ(以下「当社グループ」といいます。)にとり、企業価値の源泉である①独自の技術開発力、②食のソフト開発力による提案営業、③国内・海外のネットワーク、④食の安全を実現する体制および⑤企業の社会的責任を強化するとともに研究開発、生産および販売を支える従業員をはじめとする当社を取り巻く全てのステークホルダーとの間に築かれた長年に亘る信頼関係の維持が必要不可欠であり、これらが当社の株式の大量取得行為を行う者により中長期的に確保され、向上させられるものでなければ、当社グループの企業価値・株主共同の利益は毀損されることになります。

 以上の認識に立ち、当社は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者は、株主をはじめとした様々なステークホルダーとの信頼関係を維持し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保し、向上させる者でなければならないと考えています。

 従って、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を毀損するおそれのある不適切な大規模買付行為またはこれに類似する行為を行う者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として適当ではないと考えます。このような者により当社株式の大規模買付が行われた場合には、必要かつ相当な対抗をすることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保する必要があると考えております。

 

② 基本方針実現のための取り組み

 当社グループは、世界で戦えるための経営基盤の確立、経営インフラ・財務体制の整備、コスト削減・生産性効率を最優先課題とする認識のもと、生活者の健康を支援するグローバル企業グループとなることを目指し、2030年の「ありたい姿」、2020年の「あるべき姿」を描き、グローバルで存在感を示し世界で抜きん出るための改革と戦略の基本方針として①「コアコンピタンスの強化」②「大豆事業の成長」③「機能性高付加価値事業の展開」④「コストダウンとグローバルスタンダードへの統一」等を掲げております。それらの改革を確実にやりきるために2020年度目標を明確化した中期経営計画「Towards a Further Leap 2020」を策定し、グループ一丸となって企業価値の向上、株主共同の利益の最大化に、より一層取り組んでおります。

 

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。ただし、以下に記載したリスクは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。

 

(1)原料相場の変動リスク

 当社グループの業績は、主要原料相場(パーム油、ヤシ油、カカオ、乳原料、大豆、大豆ミール)の変動により影響を受けます。相場変動リスクを軽減するために、ヘッジ取引、先物契約などの取組みや販売価格への転嫁などの価格政策をとっているものの、上昇局面で変動を直ちに価格へ反映することは難しく、また、下降局面では製販バランスや需要予測の変化などにより高値在庫を保有している場合、市況による販売価格とならざるを得ず、当社グループの業績および財務状況は悪影響を受ける可能性があります。さらに、2019年1月買収のBLOMMER CHOCOLATE COMPANYは変動リスクへの対処としてヘッジ取引を行っているものの、ヘッジ会計を適用していないことから、期末での時価評価により業績は悪影響を受ける可能性があります。

 

(2)為替相場の変動リスク

 当社グループの業績は、グローバルに事業展開し当連結会計年度で海外売上高が43%となっていることから、為替相場の変動により影響を受けます。この影響を軽減するため為替予約などのリスクヘッジ手段を講じておりますが、特にブラジルのHARALD INDÚSTRIA E COMÉRCIO DE ALIMENTOS S.A.はブラジルレアルの為替変動幅が大きく、急激なレアル安の場合、輸入原料価格の上昇を販売価格への反映に時間を要することから、当社グループの業績および財務状況は悪影響を受ける可能性があります。

 

(3)海外進出に潜在するリスク

 当社グループは、グローバルでの成長を図るため、海外20カ国に拠点を設け事業を展開しております。海外各国固有の保護規制、予想外の法律・規制の変更、当社グループに不利益となる税務事象の発生や税制改正、また、政治的、社会的リスクなど多様なリスクに直面した場合、当社グループの事業、業績および財務状況は悪影響を受ける可能性があります。

 

(4)事業投資、設備投資の回収リスク

 当社グループは、成長戦略として中期経営計画「Towards a Further Leap 2020」の4年間で600-700億円の設備投資を計画し、資本コストを重視した投資基準を上回る投資に厳選し実施しています。また、グローバルでのコア事業における競争優位を獲得するため、企業買収を継続しており、当連結会計年度では米国BLOMMER CHOCOLATE COMPANY、オーストラリアINDUSTRIAL FOOD SERVICES PTY LIMITEDの株式を取得しました。これらにより、当社グループでは、事業に供するさまざまな有形固定資産・企業買収に伴うのれん等の無形固定資産を有しており、特に当連結会計年度末におけるのれんは540億円と純資産の34%となっています。景気の動向、競合他社の参入、消費動向の変化など事業環境の急激な変化に伴う生産設備の遊休化や稼働率の低下、買収企業の業績が当初の計画を下回ることなどにより、保有資産から得られる将来キャッシュ・フロー見込額が減少した場合、固定資産の減損損失が発生し、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼします。

 

(5)食品の安全性に関するリスク

 当社グループは、万全の体制で品質管理を徹底しておりますが、予期し得ない重大な品質問題が発生した場合、多額のコスト負担や当社グループの製品全体の評価にも重大な影響を与え、売上高の減少により、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼします。

 

(6)サプライチェーン上の環境・社会問題リスク

 当社グループは、農作物を基幹原料として扱うため、サプライヤーをはじめとするステークホルダーと連携し、環境・人権に配慮した調達活動に努めています。「責任あるパーム油調達方針」「責任あるカカオ豆調達方針」を制定し、サプライチェーン上(農園)での環境・人権リスクの予防・低減を推進しております。しかしながら、事業活動およびサプライチェーンにおいて農園開発に起因する環境問題や児童労働・強制労働などの人権にかかわる問題が発生した場合、当社グループの業績および財務状況は悪影響を受ける可能性があります。

 

 

(7)災害・事故に関するリスク

 生産設備を有している各地域において、大規模な地震等の自然災害、停電、火災・爆発、感染症の流行、紛争・テロ・暴動などが発生した場合には、生産の操業停止等が予想され、当社グループの業績および財務状況は悪影響を受ける可能性があります。

 

(8)情報システム・情報セキュリティに関するリスク

 当社グループは、適切なシステム管理体制の構築やセキュリティ対策を行っておりますが、停電、災害、想定外のサイバー攻撃・不正アクセス・コンピュータウイルス感染等により情報システムの障害や外部への社内情報の漏洩等が発生した場合、当社グループの業績および財務状況は悪影響を受ける可能性があります。

 

(9)人材の確保・育成に関するリスク

 当社グループは、グローバルで活躍できる人材の確保・育成が重要であると考え、ダイバーシティを推進し積極的に世界に挑戦できる人材を確保・育成する環境整備を進めておりますが、事業活動に必要となる優秀な人材の十分な確保・育成が計画通りに進まなかった場合、当社グループの業績および財務状況は悪影響を受ける可能性があります。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、良好な雇用・所得環境を背景に個人消費は改善基調を持続する一方で、中国向けの減少を主因に輸出が伸び悩み、景気は足踏み感がでてきております。米国は良好な雇用・所得環境により個人消費は堅調であり、中国向けの輸出減少はあるものの内需の拡大を背景に企業業績は底堅く、堅調な成長が持続しております。欧州は雇用・所得環境の改善を背景に個人消費は底堅いものの、海外景気の減速や政治をめぐる不確実性の高まりから緩慢な成長が続いています。中国は、米国の輸入関税引き上げを受けて米国向け輸出が大幅減少するなど輸出は減少基調にあり、小売売上高は底入れの兆しはあるものの、中国経済は減速傾向にあります。

 この様な状況の中、当社グループは中期経営計画「Towards a Further Leap 2020」(2017年度~2020年度)における「コアコンピタンスの強化」「大豆事業の成長」「機能性高付加価値事業の展開」を主軸とした成長戦略を推進し、大きく変化する市場を捉え、成長する市場・強みを発揮できる市場に展開を図ってまいりました。

 以上の結果、当連結会計年度における連結業績は、売上高は3,008億44百万円(前期比2.2%減)、営業利益は185億25百万円(前期比9.5%減)、経常利益は181億76百万円(前期比9.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は115億82百万円(前期比15.7%減)となりました。

 

 セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度より報告セグメントの変更を行っております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等)4.報告セグメントの変更等に関する事項を参照下さい。以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後の算定方法および変更後のセグメント区分にて組み替えた数値で比較をしております。

 

(油脂部門)

 海外市場では米国での寒波・ハリケーンによる工場操業一時停止の影響により減収・減益となりました。アジアは原料相場下落による在庫のコモディティ製品群の採算性低下により、減益となりました。国内市場では採算を重視した販売により減収ながら増益となりました。

 以上の結果、当部門の売上高は1,096億75百万円(前期比3.4%減)、セグメント利益(営業利益)は81億48百万円(前期比11.8%増)となりました。

 

(製菓・製パン素材部門)

 海外市場では中国でのフィリング・マーガリンの販売が好調に推移しましたが、アジアの調製品事業は乳製品相場の変動による採算悪化により増収・減益となりました。業務用チョコレートは、東南アジアは堅調に推移し、ブラジルは採算性重視の販売により利益を確保しました。国内市場では自然災害や猛暑の影響により乳化・発酵素材、デザート製品の販売が低迷し減収・減益となりました。なお、業務用チョコレートは高付加価値品の販売増加など増益要因はありましたが、米国のBLOMMER CHOCOLATE COMPANYの株式取得関連費用(12億77百万円)の計上により減益となりました。

 以上の結果、当部門の売上高は1,550億58百万円(前期比0.6%減)、セグメント利益(営業利益)は107億53百万円(前期比17.0%減)となりました。

 

(大豆部門)

 国内市場では大豆たん白素材が健康栄養市場向けなどで増収となりましたが、大豆たん白食品は工場改修に伴う販売減少により減益となりました。海外市場では機能剤が増収・増益となりましたが、大豆たん白素材は前期並みとなりました。

 以上の結果、当部門の売上高は361億10百万円(前期比5.0%減)、セグメント利益(営業利益)は32億89百万円(前期比7.3%減)となりました。

 

 

②財政状態の状況

 当期末の総資産は、前期末比1,126億57百万円増加し、3,833億89百万円となりました。主な資産の変動は、現金及び預金の増加82億8百万円受取手形及び売掛金の増加71億60百万円たな卸資産の増加368億70百万円有形固定資産の増加181億63百万円のれんの増加424億39百万円等であります。

 当期末の負債は、前期末比1,183億28百万円増加し、2,241億62百万円となりました。主な負債の変動は、支払手形及び買掛金の増加65億13百万円、有利子負債の増加1,038億41百万円、流動負債のその他の増加54億50百万円等であります。

 当期末の純資産は、前期末比56億70百万円減少し、1,592億27百万円となりました。主な純資産の変動は、利益剰余金の増加72億84百万円資本剰余金の減少31億31百万円為替換算調整勘定の減少68億95百万円等であります。

 この結果、1株当たり純資産は前期末比44円09銭減少し、1,819円74銭となりました。自己資本比率は前期末59.2%から40.8%となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前期末に比べ82億8百万円増加し、212億7百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは226億37百万円の収入となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益165億38百万円、減価償却費119億89百万円減損損失20億39百万円売上債権の減少額10億62百万円等による収入が、たな卸資産の増加12億98百万円法人税等の支払額55億44百万円等の支出を上回ったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは791億4百万円の支出となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出151億1百万円子会社株式の取得による支出652億62百万円等があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは654億87百万円の収入となりました。これは主に短期借入金の純増加額829億14百万円、長期借入れによる収入27億64百万円等の収入が、コマーシャル・ペーパーの純減少額50億円、長期借入金の返済による支出52億43百万円連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出48億74百万円等の支出を上回ったことによるものです。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループの生産品目は広範囲、多種多様であり、かつ、製品のグループ内使用(製品を他のグループ会社の原材料として使用)が数多くあるため、セグメント別(連結ベース)に生産実績を、金額あるいは数量で示すことはしておりません。

 このため生産の実績については、「①経営成績の状況」における各セグメントの業績に関連付けて示しております。

 

b.受注実績

 当社グループは需要予測に基づく見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメント

金額(百万円)

前期比(%)

油脂部門

109,675

△3.4

製菓・製パン素材部門

155,058

△0.6

大豆部門

36,110

△5.0

合計

300,844

△2.2

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針および見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。連結財務諸表を作成するに当たり、必要な見積りを行っており、それらは資産、負債、収益および費用の計上金額に影響を与えております。これらの見積りは、その性質上判断および入手し得る情報に基づいて行いますので、実際の結果がそれらの見積りと相違する場合があります。

 当社グループは、連結財務諸表を作成するに当たり、繰延税金資産の回収可能性、退職給付債務等の計算の基礎および固定資産の減損処理に関する事項について、特に重要な見積りを行っております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容

a.当連結会計年度の経営成績等の分析

 当連結会計年度の経営成績等の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 

b.当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、大豆、パーム油、カカオ豆などの植物性油脂を主原料としていることからサステナブルな原料調達における問題、食品の安全・品質・環境に関する問題などにより、経営成績等に大きな影響を受ける可能性があると認識をしております。

 これらの問題に対処するため、「責任あるパーム油調達方針」と「責任あるカカオ豆調達方針」を制定し、サプライヤーとのコミュニケーション強化を行いながら、農園での環境・人権リスクの予防・低減を推進しております。また、UNIFUJI SDN. BHD.のパーム油のグループ全体への展開および、BLOMMER CHOCOLATE COMPANYが保有するカカオ豆のサステナブル調達に関する独自プログラムを活用することで、サステナブル調達の強化を目指しております。更に、ESG委員会における活動として、「安全・品質・環境への取り組み強化」「人材の育成」「サステナブルな原料調達の構築」「コンプライアンスの徹底」「リスク管理体制の充実」も図っております。

 

c.資本の財源および資金の流動性

 当社グループにおける資本の財源および資金の流動性については、営業活動による資金需要の主なものは、生産活動に必要な運転資金(原材料・エネルギーコスト・人件費)、販売活動に伴う販売費、製品競争力強化に資する為の研究開発費、グループ基盤強化に要する費用等であります。投資活動による資金需要の主なものについては、事業拡大のための生産設備増強などの設備投資、研究開発機能強化の投資のほか、グループ基盤強化のためのM&A投資等であります。

 短期運転資金は自己資本および金融機関からの短期借入金を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達については、金融機関からの長期借入のほか、社債発行による資金調達を行っております。

 なお、当連結会計年度末における借入金およびリース債務を含む有利子負債残高は、1,609億77百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金および現金同等物の残高は212億7百万円となっております。

 

d.目標とする経営指標の達成状況

 当社グループは、株主資本の収益性、資本効率の向上がステークホルダーの利益に合致するものと考え、「株主資本利益率(ROE)」を重要な指標として位置付けており、「Towards a Further Leap 2020」(2017年度~2020年度)において、2020年度にROE(株主資本利益率)10%の達成を目指しております。

 中期経営計画における経営目標の指標進捗は以下のとおりであります。

 

経営目標指標推移

 

2017年度実績

2018年度実績

2019年度予想

2020年度目標

ROE(株主資本利益率)

8.8%

7.3%

9.4%

10.0%

営業利益成長率

+4.0%

△9.5%

+29.5%

営業利益 CAGR

6.0%以上

EPS

159.87円

134.75円

176.83円

EPS CAGR

8.0%以上

株主還元

配当性向

30.0%

配当性向

37.1%

配当性向

30.5%

配当性向

 30%-40%

 

4【経営上の重要な契約等】

 株式会社J-オイルミルズとの業務提携および株式相互保有に関する契約

① 株式の持ち合い

 相互に相手方株式を保有します。

② 原料・資材の効率的調達

 原料・資材の共同調達により安定調達およびコスト低減を図ります。

③ 中間原料油の相互供給

 双方の強みを活かした中間原料油の相互供給により、使用製品の機能強化・コスト削減を図ります。

④ 相互の生産設備の有効活用

 両社が有する生産設備を相互に有効活用し、生産の効率化を図ります。

⑤ 物流業務の効率化

 物流拠点の集約化、共同配送・共同輸送等により、物流業務の効率化、コスト低減を図ります。

⑥ その他

 双方にメリットのある取り組みを行います。

 

 

5【研究開発活動】

 当社グループは長年積み重ねてきた研究成果と先進の技術力を生かし、植物性油脂と大豆および大豆たん白を基礎とする新しい機能を持つ食品素材の開発に取り組んでおります。特に近年は、持続可能性(Sustainability)の観点から、これら素材を主原料に用いた、様々な動物代替食品素材の開発を「PBFS(Plant-Based Food Solutions)」として注力しています。2016年8月に不二製油株式会社・阪南事業所内に開所いたしました「不二サイエンスイノベーションセンター」には、通算5,000名を越える国内外のお客様、および企業・研究機関の方をお迎えし、「共創」をテーマにした研究開発の拠点として、グローバル展開に向けた独創性のある製品の開発を行っております。

 日本国内を統括する不二製油株式会社は、各素材別の研究開発室と、これら素材を用いたアプリケーションを開発(応用開発)する「価値づくり市場開発室」を併せた、研究開発部門として運営しています。これにより、各素材間の共創による新規複合素材の開発を効率良く行うと共に、開発された新素材をすぐさまお客様へ提案し、お客様と共創による価値づくりを実現できる体制にしています。また、生産技術開発部門では引き続きコア技術の強化・革新に関する研究開発を進めております。

 未来創造研究所は、当社グループの将来を支えるための研究部門として不二製油グループ本社株式会社に移管を行い、新規事業を創造する研究所としての位置付けのもと、積極的に国内外の大学等の公的研究機関との共同研究、及び研究員の派遣に取り組んでいます。国内では、国立大学法人京都大学と産学共同講座<「不二製油」大豆ルネサンス講座>を当初の計画を延長して取り組んでおり、国立大学法人茨城大学とは、クロスアポイントメント制度により、大学教員を当社研究員としても採用しています。海外では、シンガポール大学との共同研究、コペンハーゲン大学への研究員の派遣等を行っております。

 東南アジア圏を統括するFUJI OIL ASIA PTE. LTD.(シンガポール)の「アジアR&Dセンター」では、東南アジア地域のニーズに合わせた製品研究・開発、並びに、国際食品企業との連携において、重要な拠点になっております。日本国内にある「不二サイエンス・イノベーションセンター」および「つくば研究開発センター」との定期的な会合や人的交流を通じて、不二製油グループの更なる研究開発のレベルアップに努めてまいります。また、他のグループ各社においても、相互の交流を通じた素材開発・応用開発を行っております。

 当連結会計年度の研究開発費の総額は4,758百万円であります。

 

 研究開発活動の概要は次のとおりであります。

(油脂部門)

 安全・安心で環境に配慮した油脂の製造技術、新機能を有する油脂製品およびその最適な応用法に関する研究開発を通して、お客様のご要望を形にし、新しいおいしさの創造に貢献しております。

 当連結会計年度の主な成果としては、健康志向素材として、難溶性抗酸化成分を油の中で細かく分散させる新技術で、酸化と魚臭の発生を抑えた安定化DHA・EPAの開発に成功し、これまで出来なかった幅広いカテゴリーの食品に展開できる健康志向製品として提案を開始しております。その他、育児粉乳等のニュートリション用途の厳しい品質規格にも対応できる健康油脂素材の開発にも注力しました。また、従来より検討してきたDTR技術(*)により、少ない調味料でも塩味や酸味、辛味が強く感じられる呈味増強油脂を開発し、減塩効果のある調味油として、病院や高齢者施設の給食用途で大きく期待されております。また同技術を応用し、油脂の風味発現向上、口解け向上など従来製品の高機能化に加えて、ラード等の代替となる、物性、風味を兼ね備えた可塑性油脂の開発を行い、弊社の掲げる植物性素材でのお客様への価値提供(PBFS)を推進しております。更に油脂結晶制御技術、エステル交換、分別技術を利用し、品質、作業性を両立するアイスコーチング用油脂、部分硬化油不使用の機能性チョコレート用油脂等、グローバル市場からの要望にも対応可能な油脂素材の開発に取り組み、海外展開を拡大されるお客様へのご提案が可能な製品の開発を継続しております。

 当部門の研究開発費は732百万円であります。

*DTR技術:水溶性成分を油脂に微分散させる技術で、素材の呈味(塩味、旨味、辛味など)や保存安定性を付与増強する技術。

 

 

(製菓・製パン素材部門)

 チョコレートやホイップクリーム、マーガリン、チーズ風味素材、パイ製品等、製菓・製パン用素材を中心にした新技術・新製品開発、およびソフト開発を行っております。

 当連結会計年度の主な成果としては、チョコレートにおいては、最近の健康志向の流れから、糖類を低減したシュガーレス規格のチョコレートを製品化し、美味しさと健康を両立した製品の開発に努めました。また、調理加工市場向けとして小型容器に充填したソース状のチョコレートやカカオ風味の濃さを訴求した調理用途の製品開発に取り組みました。乳化・発酵素材開発では、ホイップクリームやマーガリン、フィリング素材を中心に従来の乳の美味しさと機能向上を目指した製品開発に取り組む一方で、健康志向や消費者ニーズの変化に対応し、新しい植物性の素材価値を追求しております。USS(ウルトラソイセパレーション)豆乳の美味しさを活かしたチーズ様素材、ホイップクリーム、フィリング等によるサステナブルな製品群の拡充を図りながら、PBFSを推進しています。また、価値づくり開発においては、これら製品の特長を活かしたアプリケーション開発と様々な社会課題、ニーズの中に消費者価値を想定したソリューション提案活動を実施しております。

 当部門の研究開発費は1,486百万円であります。

 

(大豆部門)

 大豆たん白、大豆たん白食品、豆乳、大豆多糖類の開発を行っております。

 当連結会計年度の主な成果としては、昨年に続き世界初の豆乳の分離分画技術、USS(ウルトラソイセパレーション)製法で加工された豆乳クリームおよび低脂肪豆乳は、風味の面から調理加工分野や飲料分野にて高い評価を得ました。植物性の組織状たん白素材は、シリアル素材向けの大豆パフの開発を進め、高たん白や低糖質の栄養面と良食感の両立化により市場の拡大に繋がりました。また、粉末状植物性たん白素材は、近年たん白摂取の重要性が一般消費者層まで浸透し、プロテインパウダー、プロテインバー等の健康食品への採用が好調を維持しています。更に、たん白補給、高齢化社会に対応すべく、大豆たん白粉末を応用されやすいよう改質するほか、高齢者が喫食しやすい食品、冷凍豆腐、がんもどきなどの大豆たん白食品を開発し、老健向けの豆腐パティーも展開いたしました。生協向け大豆たん白食品では、PBFS商品の展開としてミートレスハンバーグ、冷凍タイプ大豆ミートを上市し市場への定着を進める一方、具材の産地にこだわった商品としてハンバーグや和惣菜、あるいはチーズ様素材を包餡したとうふハンバーグも引き続き好調であります。大豆多糖類においては、引き続き国内外における飲料分野や国内市場での麺および米飯用品質改良剤分野での使用が好調であります。

 当部門の研究開発費は1,186百万円であります。

 

(基盤研究その他)

 未来創造研究所では、経営課題である「おいしさと健康」を両立させた食の市場を創造するための研究開発や、新規事業に繋がる新技術開発に取り組んでおります。また、産学連携による研究開発にも引き続き取り組んでおります。

 当連結会計年度の主な成果としては、機能性表示食品制度への対応として、当社として3件目となる「ペプチドメンテ・チュアブル」の届出が受理されました。本品は、これまでの「記憶力(認識したことを正しく思い出す力)の維持」に続く商品として、大豆ペプチドである「大豆由来セリルチロシン」を関与成分に、新たに「健康な中高年の方の認知機能の一部である注意力(物事に一時的に集中する力)を維持する機能があることが報告されている」旨が、表示可能であります。大豆の加工と味や機能と成分の関連性について、国立大学法人京都大学との産学共同講座<「不二製油」大豆ルネサンス講座>において引き続き取り組んでおります。国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)採択課題である「肝臓脂肪量減少作用をもつ緑豆タンパクの新規な抗生活習慣病機能性食材としての実用化への取り組み」において、参画している研究機関との連携を進め、その研究成果のうち、緑豆タンパク摂取と腸内細菌叢を介した脂質代謝調節機序について、国際学術専門誌「Biochemical and Biophysical Research Communications」に論文が掲載されました。

 当部門の研究開発費は1,353百万円であります。