文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものです。
(1)経営の基本方針
当社グループは、食品企業としての責任を強く自覚し、私たちの使命、目指す姿、行動する上で持つべき価値観、そして行動原則を明文化した「不二製油グループ憲法」を2015年10月に制定しております。本憲法は、グループ社員全員の価値観の共有化を図るとともにグループガバナンスの基本であり、判断・行動の優先基準付けの拠り所となるものです。当社グループは、「不二製油グループ憲法」のミッション(使命)「私たち不二製油グループは、食の素材の可能性を追求し、食の歓びと健康に貢献します。」を実現することを会社運営の基本方針としており、本憲法に示されている理念、行動原則を実践することで、すべてのステークホルダーに対して貢献できるものと考えております。
「不二製油グループ憲法」
(2)目標とする経営指標及びその進捗
当社グループは、株主資本の収益性、資本効率の向上がステークホルダーの利益に合致するものと考え、「株主資本利益率(ROE)」を重要な指標として位置付けております。
当社グループは、更なる成長を遂げるために2017年度から2020年度までの4年間を対象期間とする中期経営計画「Towards a Further Leap 2020」を策定し、経営基盤強化・収益構造改革を推し進めております。
経営目標
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2017年度実績 |
2018年度実績 |
2019年度実績 |
2020年度予想 |
2020年度目標 |
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ROE(株主資本利益率) |
8.8% |
7.3% |
10.5% |
7.2% |
10.0% |
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営業利益成長率 CAGR |
4.0% |
△3.0% |
9.5% |
△0.5% |
6.0%以上 |
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EPS CAGR |
13.5% |
△2.2% |
10.6% |
△1.3% |
8.0%以上 |
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株主還元 配当性向 |
30.0% |
37.1% |
29.4% |
43.4% |
30%-40% |
(3)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題
世界経済は、新型コロナウイルス感染拡大により社会構造等が大きく変化し、ニューノーマル(新しい日常)を目の当たりにしています。それまでの良好な雇用状況や個人消費拡大による米国景気の堅調な推移や、世界経済の回復基調は大きく変化いたしました。当社グループも、世界各都市におけるロックダウンや外出規制に伴う経済活動の停滞の影響を受けております。また今後も、オリンピックの延期等による国内インバウンド需要の消失、感染拡大が続く地域の経済停滞の長期化の影響は避けられないものと認識しております。
当社グループは、この様な状況下においても、世界の人々に共通する願いは「健康に生きること」であり、そのためには健康で安全な食べ物を食べ続けることが前提であると認識しております。さらに、ポストコロナの社会では、サステナブルな食品により関心が高まると考えています。これらの課題を解決することが当社グループのアイデンティティーであり、新たな価値の創造のための技術力と課題解決力から生まれる2つの価値を同時に追求するPlant-Based Food Solutionsを提供しながら、おいしさと健康でお客様と社会に価値を提供し続けるとともに、人と地球の健康という課題に対応することで、自己改革を推進してサステナブルに成長するグローバル企業を目指しております。
既存事業の延長だけでは、当社グループの目指す、2030年の「ありたい姿」到達には、大きなギャップが存在することを強く認識し、このギャップを埋めるために必要な基盤を2020年までに整えるため、2017年度から2020年度までの4年間を対象期間とする中期経営計画「Towards a Further Leap 2020」を策定いたしました。基本方針を主軸とした成長戦略を推進するとともに、収益の安定成長や持続的な成長を図るべく、グローバル経営体制の強化やコストダウンに取り組んでおります。
中期経営計画 「Towards a Further Leap 2020」基本方針
・コアコンピタンスの強化
チョコレート用油脂とチョコレート、製菓・製パン素材の事業を拡大・発展させ、グループの収益拡大・安定成長を図ります。
・大豆事業の成長
植物性たん白の事業を通じ、地球と人の健康を追求してまいります。環境と健康に配慮した食文化(フレキシタリアン)の成熟に伴い、時代に合った製品の提供を行います。
・機能性高付加価値事業の展開
多糖類事業を始め、安定化DHA/EPAの事業展開を進めてまいります。栄養・健康分野への進出を図り、グループ収益の安定化を図ります。
・コストダウンとグローバルスタンダードへの統一
次世代に向け、グループ全社の生産効率を高めることを目的とした組織を編成し、競争力向上に努めるとともに、グローバルでの基幹システムの統一・決算期の統一を進めてまいります。
2021年3月期は現中期経営計画の最終年度となり、2030年の「ありたい姿」に向けた重要な年度となります。コアコンピタンスへの資源投入や経営資源の最適化等の当社グループの強みを活かした「選択と集中」、決算期の統一等の「グループ経営インフラ強化」は大きく進展いたしました。一方で収益貢献を果たせていない施策もあり、継続して実施すべき施策、引き続き改善すべき課題や社会環境の変化による新たな課題等を踏まえ、2022年3月期を初年度とする新中期経営計画を策定いたします。
当社グループは社会の一員として、継続的な企業価値向上と社会の持続可能な発展に貢献することを目指すESG経営を進めてまいりました。新型コロナウイルスにより、社会の仕組み、消費者心理や市場構造など全てが変化し、その変化は大きくかつ速くなることが想定されます。また、これまで以上に社会的課題を解決していくことが求められ、かつ、大きな社会構造の変化に晒されるなかで時代に応じた変革を実現することが重要となります。当社グループは油脂とたん白を中心に、人間の生活と生命に必要不可欠な素材を供給する使命を持つ会社であることをこれまで以上に認識し、グローバルな食品供給体制を維持するという私たちの使命を果たし、今まで以上にサステナブルな社会の実現に貢献してまいります。
特に今後は、サステナブルな食品に対する消費者、顧客からの要望も益々高くなることを見据え、サプライチェーンマネジメントを含むグループ内での協力体制を更に強化し、油脂やチョコレートをはじめとする当社グループの特徴を活かした製品戦略を進めてまいります。
予測できない大きな変化が起こり続ける状況の下、過去からの延長線上だけでなく、未来のあるべき姿からのバックキャスティングにより、持続的に事業の強化を図ることが重要となっております。当社グループはPlant-Based Food Solutionsの提供を通じ、より一層の企業価値の向上に取り組んでまいります。
また、2015年に国連においてSDGsやパリ協定が採択されたことを機に、環境や人権といった観点から誰も置き去りにすることなく発展を目指す「持続可能な社会」の構築に向けた国際社会の方向性が明確になりました。その中で当社グループが必要とされ続ける会社であるために、C”ESG“O (最高ESG経営責任者)を設置しESG経営を推進しております。取締役会の諮問機関であるESG委員会では「環境、社会、ガバナンス」につき重点テーマを策定しております。気候変動に関してはCO2排出量40%削減や水使用量20%削減等の「環境ビジョン2030」を掲げ取り組んでおります。一方で、気候変動の企業活動に与えるリスクと機会についてはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に基づき検討を進めており、今後開示を予定しております。
(1)不二製油グループのリスクマネジメント体制について
当社グループはグローバルに事業展開しており、その事業領域においては多種多様なリスクが存在します。このリスクに対処するため、以下のリスクマネジメント体制を構築しております。
①リスクの特定
グループ各社でリスクマップを作成し各社におけるオペレーショナルリスクを特定すると同時に、経営会議にて戦略上のリスク/財務リスクを決定しております。これらによってリスクを網羅的に把握した上で、特に重要なリスクを取締役会において決定しております。
②リスクのモニタリング
上記で決定された重要なリスクについては、各リスクの管掌役員を決定し、対応策を定めております。またこれら重要リスクにつきましては、リスク管理管掌役員であるC"ESG"Oを中心にモニタリングを行い、定期的に取締役会に報告いたします。
(2)不二製油グループの重要なリスク
当社グループにおいて管理すべき重要なリスクとして以下の11項目を選定し、各リスクについては管掌役員を定めて対応計画を策定しております。また、対応状況は取締役会に報告し、モニタリングを実施する体制を構築しております。なお、将来事項に関する記述につきましては、2020年3月31日現在において入手可能な情報に基づき、当社が合理的であると判断したものです。
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リスク項目 |
全社重要リスク |
リスク対応の方向性 |
管掌役員 |
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CAO |
C"ESG"O |
CFO |
CSO |
CTO |
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1 |
原料相場の 変動リスク |
主要原料の価格変動のリスク |
・拠点間の相互補完(融通)を含めた全社レベルでの原料バランスの管理体制構築 ・原料購買・ヘッジに関する全社ポリシーに基づく適切なヘッジ取引管理 |
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● |
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2 |
財務・税務に 関するリスク |
為替・金利変動や国際的な課税のリスク |
・デリバティブの活用による変動リスクヘッジの実施、GCM(グローバル・キャッシュ・マネジメント)による流動性リスク低減 ・国際税務上のリスク回避や適正な納税のための管理体制構築 |
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● |
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3 |
法規制やコンプライアンスに 関するリスク |
各国の法制度への抵触や事業に不利益をもたらす法規制の変更が行われるリスク |
・法務部門のグローバルな管理体制の強化 ・全社単位でのコンプライアンス管理の徹底 |
● |
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4 |
グループ会社 の経営リスク |
事業計画の進捗遅れによるのれんや固定資産の減損リスク |
・グループ横断的支援体制による事業の推進とマネジメント強化 ・海外事業会社の経営を担える人材の育成と登用 ・投資撤退基準による投資案件の精査と資産効率の向上 |
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● |
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5 |
食品の安全性に関するリスク |
重大な安全・品質上の問題による多額のコスト負担発生や顧客の信用を失うリスク |
・グローバル品質管理基準の導入や安全標準の策定 ・急速なグローバル展開を技術サポートできる体制 ・違反発生時の初動対応の手順化とグローバル支援体制の整備、保険活用によるリスク低減 |
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● |
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リスク項目 |
全社重要リスク |
リスク対応の方向性 |
管掌役員 |
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CAO |
C"ES G"O |
CFO |
CSO |
CTO |
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6 |
サプライ チェーンに 関するリスク |
主要原料(パーム、カカオ、大豆等)を確保できなくなるリスクや、サプライチェーンにおいて環境・人権問題が発生するリスク |
・サプライヤーや同業他社・NGOとの協調関係継続、自社プログラム推進によるサプライソースの強化 ・調達方針の制定によるサプライチェーン上での環境・人権リスクの予防・低減 |
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● |
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各国の規制の変化により既存原料や製法の使用が制限されるリスク |
・原料油脂の多様化によるリスク分散 ・化学触媒や溶剤処理を用いない油脂・たん白加工技術の開発 |
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● |
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7 |
災害・事故に 関するリスク |
工場での事故・自然災害・疫病・政情不安・操業妨害などにより、操業・出荷停止や人的・物的被害等が発生するリスク |
・グループ間の相互補完体制を組み込んだBCPの策定 ・危機発生時の対応マニュアルの整備、保険によるリスク移転 ・全社単位での危険予知活動の定着化や事故リスクの高いグループ会社における安全管理活動の更なる強化 |
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● |
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8 |
情報システム・ セキュリティに 関するリスク |
ITガバナンス・セキュリティの不全による情報漏洩や損害発生のリスク |
・外部の専門家を起用した情報セキュリティ対策の強化 ・情報管理意識向上のための教育・啓蒙活動の実施 |
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● |
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9 |
人材の確保・ 育成に関する リスク |
グローバル経営体制を支える人材や多様な価値観に対応したイノベーションを生み出す人材が不足するリスク |
・グローバルな人材開発・活用プログラムの整備 ・ダイバーシティの推進やシニア人材の活用 ・各グループ会社での工場の人材確保の為の環境整備 |
● |
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10 |
ビジネスの 転換・変革に 関するリスク |
市場環境の変化に応じたビジネスの拡大や転換が出来ないリスク |
・市場が求めるトレンドを的確に捉えた商品開発や事業戦略を推進できる体制の構築 ・将来の事業環境の変化を想定した事業ポートフォリオの見直しや生産拠点の全体最適化 |
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● |
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市場のニーズに対応した新規事業や競争力のある製品や技術の開発が滞るリスク |
・グローバル・ローカルのニーズに応じた製品開発が行える組織体制、限られた人的資源を活かすための研究テーマの選択と集中 |
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● |
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デジタル化の遅れによりグローバルなデータ共有が出来ず適切な経営判断を逸するリスク |
・ERPパッケージ導入によるグローバル生産管理・在庫管理・生産依頼などの実用化 |
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● |
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11 |
環境問題に 関するリスク |
環境問題への対応不備・遅れによるリスク |
・自社による環境数値目標(環境ビジョン2030)の策定と順守 |
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● |
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(新型コロナウイルス感染拡大によるリスク)
世界的な疫病の流行や戦争等により当社グループのバリューチェーンが影響を受けることは想定しておりますが、当社グループのみの対策でこれらのリスクを抑制することは困難であり、またその発生頻度を予測することも困難です。2020年1月頃より世界的に拡大した新型コロナウイルス感染の当社グループにおいて想定される影響と対応状況については以下のとおりです。
想定される影響
① 需要の減退
都市閉鎖や外出自粛の影響により一部の商品で需要の減退が見られます。特に日本国内では外国からの訪日客が途絶えたことによるインバウンド需要の減少が顕著です。しかしながら当社グループの製品は食品原材料であり、多くの市民が外出を制限されている状況下において、家庭内での食品需要の高まりもあり、当社グループにおける需要減退の影響は限定的です。
② 感染者が出た場合の工場の停止
生産を継続するために感染の回避は最重要課題です。生産部門の人員以外は基本在宅勤務としてリスク抑制に努めております。万が一感染者が出た場合には、本人及び濃厚接触者の隔離を実施し、関連施設の消毒を行った上で速やかに生産を再開させる手順を予め定めており、商品供給には影響の出ない体制を構築しております。
③ 原材料/資材調達への影響
当社グループの主要な原材料はパーム・カカオ・大豆等であり、原産地国から輸入する必要があります。現時点では問題は顕在化していないものの、パーム・カカオ・大豆等の原料作物の収穫量が低下すること、及び港湾・海運等の機能低下により輸出に制限がかかる可能性は想定されます。また、副資材等についても生産・物流の機能低下により影響を受ける可能性があります。
④ 物流の混乱及び物流費の高騰
当社グループは工場の稼働継続を最優先課題として取り組んでいるものの、顧客への積送については海運及びトラック・鉄道等の運送手段を安定的に確保することが重要です。
なお、運送手段が確保できていたとしても需要がひっ迫している場合にはコストが上昇することが予想されます。
⑤ 販売先の操業停止による出荷停止や、業績悪化による売掛債権の回収遅延
米国等においては、一部の販売先において新型コロナウイルスの感染に伴い一時的な工場閉鎖を行っており、これに伴う販売の減少が見られます。
また、都市封鎖や外出自粛の影響により、顧客の中には販売量の急激な落ち込みにより十分な手許流動性が確保できず、支払いに支障がでることも予想されますが、現時点では顕在化しておりません。
⑥ 増設あるいは修繕の遅延による生産能力拡大の遅れ、研究開発の停滞
生産拡大の計画に基づき工場新設あるいは既存設備の更新を進めておりますが、感染症の拡大によりスケジュールとおりに進まない可能性があります。短期的な影響は限定的ではありますが、将来的な計画に支障が出る可能性があります。
研究開発についても感染リスクの抑制のために基本的に在宅勤務に移行しており、機能は一時的に低下しています。新技術・新商品の開発スケジュールは一時的に停滞するものと考えております。
※当社は、2019年11月5日開催の取締役会において、従来、決算日が12月31日であった在外連結子会社19社の決算日を3月31日に変更又は連結決算日に仮決算を行う方法に変更することを決議いたしました。これにより当連結会計年度は、在外連結子会社19社の決算対象期間が15か月(2019年1月~2020年3月)の変則決算となりました。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績、キャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものです。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表を作成するに当たり、必要な見積りを行っており、それらは資産、負債、収益及び費用の計上金額に影響を与えております。これらの見積りは、その性質上判断及び入手し得る情報に基づいて行いますので、実際の結果がそれらの見積りと相違する場合があります。特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」に記載しております。
(繰延税金資産)
繰延税金資産は、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を十分に検討し、回収可能見込額を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ、課税所得が減少した場合、繰延税金資産が取り崩され、税金費用を計上する可能性があります。
(固定資産の減損処理)
減損の兆候のある資産又は資産グループについて、回収可能価額に基づき減損の判定を行っております。回収可能価額は、使用価値と正味売却価額のいずれか高い方により測定しております。回収可能価額は、事業計画や市場環境の変化により、その見積り金額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、追加の減損処理が必要になる可能性があります。
(退職給付費用及び退職給付債務)
当社グループは、退職給付費用及び退職給付債務について、割引率等、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼす可能性があります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
①経営成績の状況の分析
当社グループは世界15の国と地域に40社の連結子会社を有しており、全ての拠点で新型コロナウイルス感染拡大に直面しています。そのような状況下において、一部の工場で一時的な稼働停止はございましたが、私たちは全ての拠点で供給を継続してまいりました。当連結会計年度における経営成績への影響は、中国での一時的な工場稼働停止の影響により営業利益が4億円減少いたしましたが、その他の地域での影響は軽微です。
食の安全・安心が求められる中、当社グループは油脂とたん白を中心に、人間の生活と生命に必要不可欠な素材を供給する使命を持つ会社であることを改めて認識しています。特にパームを主とした植物性油脂を起点とするビジネスモデルは当社グループを基盤として支える強みです。グローバルな食品供給体制を維持するという私たちの使命を果たし、サステナブルな社会の実現に貢献していきたいと考えております。
当連結会計年度は、中期経営計画「Towards a Further Leap 2020」(2017-2020)の3年目であり、最終年度に向けて変革を進め、前連結会計年度に取得したBlommer Chocolate Companyのみならず既存事業も着実に成長させることを目指した年でありました。強固な事業基盤に支えられ、日本事業は過去最高益となりました。当中期経営計画期間内において、コアコンピタンスへの資源投入やノンコアビジネスの売却等、選択と集中は大きく進んでおります。しかし、未だ十分な成果が出ているとは考えておりません。「コアコンピタンスの強化」に向けて、業務用チョコレート事業での投資を積極的に進めてまいりましたが、今後この事業からより大きなキャッシュ・フローを生み出すことが課題と認識しております。また、「機能性高付加価値製品群の展開」で目指していた、安定化DHA・EPAなどの新素材は、当初想定どおりに進まず、市場への展開が遅れております。一方、大豆加工素材事業においては、日本でも拡大する植物性食市場へ供給する大豆ミート(粒状大豆たん白)の生産拠点として千葉新工場の建設が進み、2020年度に稼動を開始する予定となります。中長期視点で続けてきた取り組みを結実させ、付加価値の高い事業を構築してまいります。ガバナンス面では、2015年10月のグループ本社制移行後グローバル経営のインフラ強化も進めてまいりましたが、当連結会計年度は念願であった海外グループ会社の決算期統一を行い、グループ一体となって経営していくための基盤の強化が着実に進んでいます。
以上の結果、当連結会計年度における連結経営成績は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
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売上高 |
営業利益 |
経常利益 |
親会社株主に帰属する当期純利益 |
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2020年3月期 |
414,727 |
23,598 |
22,359 |
16,375 |
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2019年3月期 |
300,844 |
18,525 |
18,176 |
11,582 |
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増減 (増減率) |
+113,882 (+37.9%) |
+5,072 (+27.4%) |
+4,182 (+23.0%) |
+4,793 (+41.4%) |
〔参考情報:在外連結子会社19社の変則決算影響(2020年1月1日~3月31日)を除いた連結経営成績〕
(単位:百万円)
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売上高 |
営業利益 |
経常利益 |
親会社株主に帰属する当期純利益 |
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2020年3月期 |
386,066 |
21,193 |
19,290 |
14,165 |
|
2019年3月期 |
300,844 |
18,525 |
18,176 |
11,582 |
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増減 (増減率) |
+85,221 (+28.3%) |
+2,667 (+14.4%) |
+1,113 (+6.1%) |
+2,582 (+22.3%) |
セグメントの経営成績を示すと、次のとおりです。
なお、当連結会計年度より報告セグメントの変更を行っております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等)4.報告セグメントの変更等に関する事項」を参照下さい。以下の前年同期比較については、前連結会計年度の数値を変更後の算定方法及び変更後のセグメント区分にて組み替えた数値で比較をしております。
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売上高 |
前期増減 |
前期比(%) |
営業利益 |
前期増減 |
前期比(%) |
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植物性油脂 |
114,104 |
+7,962 |
+7.5% |
11,203 |
+3,378 |
+43.2% |
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業務用チョコレート |
180,068 |
+107,968 |
+149.7% |
8,324 |
+568 |
+7.3% |
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乳化・発酵素材 |
85,192 |
△1,299 |
△1.5% |
4,054 |
+733 |
+22.1% |
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大豆加工素材 |
35,360 |
△749 |
△2.1% |
4,016 |
+727 |
+22.1% |
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グループ管理費用 |
- |
- |
- |
△4,000 |
△335 |
+9.1% |
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合計 |
414,727 |
+113,882 |
+37.9% |
23,598 |
+5,072 |
+27.4% |
(植物性油脂事業)
変則決算を行った在外連結子会社の2020年1月1日から2020年3月31日までの影響を除いた経営成績は次のとおりです。売上高は、国内・海外ともにコアコンピタンスの強化としてのチョコレート用油脂を中心とした、採算を重視した販売により減収となりました。利益面は、国内市場における高付加価値品の拡販に加え、海外市場では、欧州の採算改善及び米州における高付加価値品の拡販があったことにより増益となりました。
(業務用チョコレート事業)
変則決算を行った在外連結子会社の2020年1月1日から2020年3月31日までの影響を除いた経営成績は次のとおりです。売上高は、国内市場ではアイス用チョコレート等の販売が減少しましたが、海外市場では、重点エリアと定めていたアメリカにおいて、Blommer Chocolate Companyの子会社化により大幅な増収となりました。利益面は、ブラジルにおいて原材料の調達通貨安の影響で採算が悪化したことに加え、Blommer Chocolate Companyの取得時の先物評価益の振り戻しが大きく影響したことにより減益となりました。
(乳化・発酵素材事業)
変則決算を行った在外連結子会社の2020年1月1日から2020年3月31日までの影響を除いた経営成績は次のとおりです。売上高は、国内市場におけるマーガリンや調製品の販売が伸び悩み減収となりました。利益面は、国内市場において、主にクリーム製品の販売の伸長及び品種統合などによる生産効率向上があり増益となりました。
(大豆加工素材事業)
変則決算を行った在外連結子会社の2020年1月1日から2020年3月31日までの影響を除いた経営成績は次のとおりです。売上高は、海外市場で前年度中国子会社売却の影響があり減収となりました。利益面は、海外市場において同中国子会社の利益の剥落がありましたが、国内市場における機能性高付加価値事業の展開として大豆たん白素材及び大豆たん白食品の販売好調を受け増益となりました。
②財政状態の状況の分析
当社グループは、前連結会計年度末にBlommer Chocolate Companyを取得したことにより、総資産が増加しております。運転資本の圧縮やノンコア資産の売却等によりバランスシートを圧縮することで、財務体質を向上させ、経営の効率化を進めております。
以上の結果、当連結会計年度末における連結財政状態は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
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2019年3月期 |
2020年3月期 |
増減 |
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資産計 |
390,524 |
367,365 |
△23,158 |
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負債計 |
231,297 |
209,379 |
△21,917 |
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純資産計 |
159,227 |
157,986 |
△1,240 |
(資産)
当連結会計年度末の総資産は、当連結会計年度から一部の在外連結子会社においてIFRS16号「リース」を適用したことによる有形固定資産の増加があったものの、フリー・キャッシュ・フローを重視した財務戦略において、CCCの改善を中心とした運転資本の圧縮、のれんの減少、投資有価証券の減少等により、前連結会計年度末に比べ231億58百万円減少し、3,673億65百万円となりました。
(負債)
当連結会計年度末の負債は、有利子負債の返済が進んだこと及びBlommer Chocolate Companyの買収関連債務の支払い等により、前連結会計年度末に比べ219億17百万円減少し、2,093億79百万円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、利益剰余金等が増加したものの、円高基調の局面による為替換算調整勘定の減少等により、前連結会計年度末に比べ12億40百万円減少し、1,579億86百万円となりました。
この結果、1株当たり純資産は前連結会計年度末に比べ11円09銭減少し、1,808円65銭となりました。自己資本比率は前連結会計年度末比2.2ポイント増加し、42.3%となりました。
③キャッシュ・フローの状況の分析
当社グループは、持続的な利益成長によるキャッシュ・フローの創出を目指して、中期経営計画において4年間累計1,000億円の営業活動によるキャッシュ・フローの創出を見込んでおりましたが、Blommer Chocolate Companyをグループに加えたこともあり、当連結会計年度において370億円を上回る営業活動によるキャッシュ・フローを創出しております。フリー・キャッシュ・フローとしては、過去最大である187億55百万円を創出するに至っており、今後も継続的に年間100億円以上のフリー・キャッシュ・フローを創出し、財務体質を向上させて参ります。
以上の結果、当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
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2019年3月期 |
2020年3月期 |
増減 |
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営業活動によるキャッシュ・フロー |
22,637 |
37,058 |
+14,420 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△79,104 |
△18,302 |
+60,802 |
|
フリー・キャッシュ・フロー |
△56,467 |
18,755 |
+75,223 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー |
65,487 |
△20,674 |
△86,161 |
|
現金及び現金同等物 |
21,207 |
18,578 |
△2,628 |
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、在外連結子会社19社の変則決算による影響及びCCCの改善を中心とした運転資本の圧縮により、370億58百万円の収入となりました。前連結会計年度に比べ、144億20百万円増加しております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、日本における資産売却による収入はあったものの、アメリカにおける植物性油脂事業の新規拠点建設、日本における大豆ミート(粒状大豆たん白)の生産拠点の設備投資を行ったこと及びグローバルでの経営管理を可能とする基幹システムへの投資等により、183億2百万円の支出となりました。前連結会計年度のBlommer Chocolate Companyを取得したことによる支出の反動があり、前連結会計年度に比べ608億2百万円支出が減少しております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、フリー・キャッシュ・フローを創出したことによる有利子負債の削減及び配当金の支払いにより、206億74百万円の支出となりました。前連結会計年度は、Blommer Chocolate Companyの取得に伴う資金調達を実施したため、654億87百万円の収入となっておりましたが、前連結会計年度に比べ、861億61百万円減少しております。
(3)資本の財源及び資金の流動性
当社グループは円滑な事業活動に必要十分な流動性の確保と財務規律の維持及び財務健全性の向上を基本方針としております。
当社グループの主な資金需要は、生産活動及び販売活動に必要な運転資金、事業拡大のための設備投資、グループ基盤強化のための事業投資等です。資金の源泉は、営業活動によるキャッシュ・フローと金融機関からの借入や社債の発行等による資金調達です。
短期運転資金は自己資本及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資資金や長期運転資金は金融機関からの長期借入のほか、社債発行による資金調達を行っております。また、新型コロナウイルス感染症や自然災害等の不測の事態に備え、手許流動性を補完すべく、金融機関とコミットメントラインを締結しております。
なお、当連結会計年度末における有利子負債残高は1,462億32百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は185億78百万円となっております。
(4)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当社グループの生産品目は広範囲、多種多様であり、かつ、製品のグループ内使用(製品を他のグループ会社の原材料として使用)が数多くあるため、セグメント別(連結ベース)に生産実績を、金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産の実績については、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 ①経営成績の状況の分析」における各セグメントの業績に関連付けて示しております。
②受注実績
当社グループは需要予測に基づく見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
③販売実績
当連結会計年度におけるセグメントごとの販売実績については、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 ①経営成績の状況の分析」に記載のとおりです。
株式会社J-オイルミルズとの業務提携および株式相互保有に関する契約
① 株式の持ち合い
相互に相手方株式を保有します。
② 原料・資材の効率的調達
原料・資材の共同調達により安定調達及びコスト低減を図ります。
③ 中間原料油の相互供給
双方の強みを活かした中間原料油の相互供給により、使用製品の機能強化・コスト削減を図ります。
④ 相互の生産設備の有効活用
両社が有する生産設備を相互に有効活用し、生産の効率化を図ります。
⑤ 物流業務の効率化
物流拠点の集約化、共同配送・共同輸送等により、物流業務の効率化、コスト低減を図ります。
⑥ その他
双方にメリットのある取り組みを行います。
当社グループは長年積み重ねてきた研究成果と先進の技術力を生かし、植物性油脂と大豆を基礎とする新しい機能を持つ食品素材の開発に取り組んできました。特に近年はESG経営の推進のもと、持続可能性(Sustainability)の観点から各事業分野で「PBFS(Plant-Based Food Solutions)」を掲げ様々な社会課題の解決に取り組んでいます。世界中の人々の食べることの歓びと健康に貢献することをモットーに、社会になくてはならない会社になるための研究開発活動に努めています。
当社グループの中核研究開発施設である日本国内の「不二サイエンスイノベーションセンター」、「つくば研究開発センター」、及びシンガポールの「アジアR&Dセンター」、そして全世界9箇所の「フジサニープラザ」では、基礎研究や素材開発、及び多数のお客様、企業・研究機関の方をお迎えしての「共創」による研究開発を行っております。
日本国内を統括する不二製油(株)は、各素材別の研究開発室と、これら素材を用いたアプリケーションを開発(応用開発)する「価値づくり市場開発室」を併せた研究開発部門として運営しています。この体制により、各素材の融合による新規複合素材の開発を効率良く行うと共に、開発された新素材をすぐさまお客様へ提案し、お客様と共創による価値づくりを実現します。また、生産技術開発部門では、コア技術の強化・革新に関する研究開発を進めております。
未来創造研究所は、当社グループの将来を支えるための新規事業を創造する研究所としての位置付けのもと、積極的に国内外の大学等の公的研究機関との共同研究、及び研究員の派遣に取り組んでいます。国内では、京都大学と産学共同講座<「不二製油」大豆ルネサンス講座>に取り組み、茨城大学とは、クロスアポイントメント制度により、大学教員を当社研究員としても採用しています。大阪河崎リハビリテーション大学(貝塚市)との認知症予防に関する共同プロジェクトは、当連結会計年度において「第4回大阪府健康づくりアワード」地域部門の最優秀賞(知事賞)を受賞しました。海外では、シンガポール大学との共同研究、オランダのワーゲニンゲン大学への研究員の派遣等を行っております。
「アジアR&Dセンター」は、東南アジア地域のニーズに合わせた製品研究・開発、並びに、国際食品企業との連携、及び現地大学機関、関連省庁との共同研究による社会課題の解決において重要な拠点になっております。日本とシンガポールのR&Dセンター、及び海外の各拠点R&Dとの定期的な会合や人的交流を実施することでの新たなテーマの発掘や、製品開発と課題解決のスピードアップに努めています。
当連結会計年度の研究開発費の総額は
研究開発活動の概要は次のとおりです。
(植物性油脂事業)
安全・安心で環境に配慮した油脂の製造技術、新機能を有する油脂製品、及びその最適な応用法に関する研究開発を通して、お客様のご要望を形にし、新しいおいしさの創造に貢献しております。
当連結会計年度の主な成果としては、健康志向素材として提案を継続中の魚臭の発生を抑制した安定化DHA・EPA油脂素材は、各種生活習慣に纏わる問題解決への選択肢として、幅広いカテゴリーの食品用途への応用開発が進んでおります。その他、育児粉乳等のニュートリション用途の厳しい品質規格にも対応できる健康油脂素材の開発にも注力しました。また、従来より検討していますDTR技術(*)を進化させて有効成分の高濃度化を達成し、より少量の添加で効果を示す製品を開発しました。この製品により、これまで参入できなかった市場への販売も期待されます。また、同技術を応用しての油脂の風味発現の向上や口溶けの向上などの従来製品の高機能化に加えて、動物性油脂の代替となる物性、風味を兼ね備えた可塑性油脂の開発を行い、弊社の掲げる植物性素材でのお客様への価値提供(PBFS)を推進しております。更に油脂結晶制御技術、エステル交換、分別技術を利用し、品質、作業性を両立するアイスコーチング用油脂、部分硬化油不使用の機能性チョコレート用油脂等、グローバル市場からの要望にも対応可能な油脂素材の開発に取り組み、海外展開を拡大されるお客様へのご提案が可能な製品の開発を継続しております。
海外での取り組みとしましては、持続可能なパーム油製品を製造するために設立しましたUNIFUJI SDN. BHD.と、アジアR&Dセンターが共同で高品質な製品の開発と製造を実施し、アジア・欧州への販売を開始しております。
当事業の研究開発費は
*DTR技術:水溶性成分を油脂に微分散させる技術で、素材の呈味(塩味、旨味、辛味など)や保存安定性を付与増強する技術。
(業務用チョコレート事業)
チョコレートの新技術・新製品開発、及び想定した社会的課題や消費者への価値を具現化したアプリケーションを組み合わせたソリューション提案を行っております。
本年度の主な成果としては、最近の健康志向の流れから、美味しさと健康を両立した「タンパク質含量を強化したチョコレート」を販売しました。当社最高級品質のピュアチョコレートブランドのフロルデカカオシリーズからは「アリバ ナシオナル」を販売しました。同品には厳選したカカオ豆を使用し、カカオ豆の風味を活かした風味作りを行っております。また、近年のインバウンド需要の高まりから土産物市場における「焼菓子用フィリング素材2品」を販売しました。同品は油脂技術を駆使することで実現した焼成後もなめらかな食感を維持できるのが特長で、大変好評をいただき売上を伸ばすことができました。同品はなめらかな食感を維持しながら包餡機など量産化可能な品質設計を行っており、社会的課題であります人手不足にもお応えできる製品です。
グローバルでの取り組みとしましては、当社グループ会社の各拠点R&Dとの市場・技術情報交換を中心とした定期的なミーティングを実施する「チョコレート開発分科会」を当連結会計年度から発足しました。当社グループ全体でのチョコレート開発組織がグローバルに機能する様、各拠点間でのシナジー創出を目指し、引き続き取り組んでまいります。
当事業の研究開発費は
(乳化・発酵素材事業)
ホイップクリーム、調理用クリーム、ドリンクベース、マーガリン、チーズ風味素材、パイ製品等、乳製品代替素材を中心にした新技術・新製品開発、及びアプリケーション開発を行っております。
本年度の主な成果としては、乳の美味しさと機能向上を目指した製品開発に取り組む一方、健康志向や消費者ニーズの変化に対応し、新しい植物性の素材価値を追求、提案しております。USS(ウルトラソイセパレーション)豆乳の美味しさを活かした「豆乳チーズ」や「豆乳クリームのバター」など、植物性原料主体のサステナブルな製品群の拡充を図りながら、これら製品の特長を活かしたアプリケーション開発と、様々な社会課題の中に消費者価値を想定したソリューション提案を実施しております。さらに、「植物性チーズ」のさらなるイノベーションを目指して、オランダの研究機関NIZO(*)が主管するコンソーシアム(共同事業体)に参画いたしました。世界最先端の技術を取り入れながらPBFSを強力に推進して参ります。
当事業の研究開発費は
*NIZO:食品と健康における受託研究の世界的大手企業
(大豆加工素材事業)
大豆たん白、大豆たん白食品、大豆多糖類等の開発を行っております。
本年度の主な成果としては、粒状大豆たん白素材は、注目される大豆ミート市場向けに食感と風味を改良した新製品を開発し、幅広い食事メニューへの採用拡大に努めました。好調が続くシリアル素材向けには高たん白・低糖質を訴求した大豆パフの新製品を開発し、一層の市場拡大に繋がりました。また、粉末状大豆たん白素材は、たん白摂取の重要性が広く認知されたことで、風味、分散性に優れた「プロリーナ」シリーズ製品を中心にプロテインパウダー、プロテインバー等の栄養健康市場が引き続き好調を維持する他、たん白飲料分野にも採用が進みました。更に、PBF(プラントベースドフード)商品の展開としては、大丸心斎橋店に「UPGRADE Plant based kitchen」を出店し大豆ミート、USS素材を使ったPBFメニュー料理を提案販売、PBF啓蒙活動を行うと共にコンビニエンスストアやファーストフード店向けには日本人の好みに合ったベジバーグ、ソイナゲット等の製品開発を進め、PBF商品の採用拡大に努めました。市場の省人化要望に対しては、半調理済の「大豆ミートのすき焼き丼」、水戻し済冷凍大豆ミート、味付け済大豆ビッツ等の使い勝手の良い製品を開発、新たな顧客獲得に努めました。大豆多糖類においては、製品コストダウンに取り組み、引き続き国内及び中国や東南アジア市場における飲料用安定剤「ソヤファイブシリーズ」、国内市場での麺用品質改良剤「ソヤアップシリーズ」の使用が好調です。
当事業の研究開発費は
(基盤研究その他)
未来創造研究所では、経営課題である「おいしさと健康」に拘った食の市場を創造するための研究や、新規事業に繋がる新技術開発に取り組んでおります。また、産学連携による研究開発にも引き続き取り組んでおります。
本年度の主な成果としては、ドリンクヨーグルトの安定剤として利用される「水溶性大豆多糖類」に続く新素材として、アレルゲン表示が不要な「水溶性えんどう多糖類」の開発に成功し、その生産拠点としてFuji Brandenburg GmbHをドイツに設立致しました。本素材の構造解析を大阪府立大学と共同研究で取り組み、国際学術誌「Carbohydrate Polymers」に掲載されました。低脂肪豆乳摂取が糖尿病性腎症を予防する可能性について駒沢女子大学と共同研究を行い、尿中アルブミン排泄が有意に改善することを見出し、日本臨床栄養学会雑誌に掲載されました。大豆の加工と味、機能と成分の関連性について京都大学との産学共同講座に引き続き取り組み、これまで困難であった大豆種子に含まれるタンパク質分子種の構成比を正確に測定する技術を確立しました。この成果は大豆の品質を評価する新たな技術として期待されています。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のスマートセルプロジェクト「植物等の生物を用いた高機能品生産技術の開発/高生産性微生物創製に資する情報解析システムの開発」において新潟薬科大学等と連携し、油脂酵母の新規油脂蓄積制御因子の同定とその機能解析により生産性を5倍以上向上させることに成功しました。本成果は日本農芸化学会2020年大会のトピックス賞として選出されました。科学技術振興機構(JST)の研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)採択課題である「肝臓脂肪量減少作用をもつ緑豆タンパクの新規な抗生活習慣病機能性食材としての実用化への取り組み」では、米国でのInstitute of Food Technologists(IFT)において緑豆タンパクの紹介をするとともに、特定のジペプチド・トリペプチドによる「肝臓脂肪合成抑制用食品組成物」として金沢大学と共同で米国に特許出願を行いました。
当事業の研究開発費は1,537百万円です。