文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものです。
(1)経営の基本方針
当社グループは、食品企業としての責任を強く自覚し、私たちの使命、目指す姿、行動する上で持つべき価値観、そして行動原則を明文化した「不二製油グループ憲法」を2015年10月に制定しております。本憲法は、グループ社員全員の価値観の共有化を図るとともにグループガバナンスの基本であり、判断・行動の優先基準付けの拠り所となるものです。当社グループは、「不二製油グループ憲法」のミッション(使命)「私たち不二製油グループは、食の素材の可能性を追求し、食の歓びと健康に貢献します。」を実現することを会社運営の基本方針としており、本憲法に示されている理念、行動原則を実践することで、すべてのステークホルダーに対して貢献できるものと考えております。
「不二製油グループ憲法」
(2)目標とする経営指標及びその進捗
当社グループは、株主資本の収益性、資本効率の向上がステークホルダーの利益に合致するものと考え、「株主資本利益率(ROE)」を重要な指標として位置付けております。
当社グループは、更なる成長を遂げるために2017年度から2020年度までの4年間を対象期間とする中期経営計画「Towards a Further Leap 2020」を策定し、経営基盤強化・収益構造改革を推し進めてまいりました。当中期経営計画期間で掲げた経営目標であるROE10%、営業利益成長率CAGR6%以上、EPS CAGR8%以上においては、コアコンピタンスの事業は進展したものの、コロナ禍において土産市場、外食市場などでの需要減少の影響を受け2021年3月期は業績低下し、目標とする経営指標に対し未達となりました。一方、株主還元としての配当性向30%~40%につきましては目標水準を達成しております。
「Towards a Further Leap 2020」中期経営計画における経営目標と実績
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経営指標 (目標) |
2018年3月期 (実績) |
2019年3月期 (実績) |
2020年3月期 (実績) |
2021年3月期 (実績) |
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ROE(株主資本利益率) |
10.0% |
8.8% |
7.3% |
10.5% |
7.0% |
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営業利益成長率 CAGR |
6.0%以上 |
4.0% |
△3.0% |
6.2% |
△2.3% |
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EPS CAGR |
8.0%以上 |
13.5% |
△2.2% |
10.6% |
△2.3% |
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株主還元 配当性向 |
30%-40% |
30.0% |
37.1% |
29.4% |
40.6% |
2021年3月期を最終年度とする中期経営計画「Towards a Further Leap 2020」における基本方針の進捗状況は以下の通りです。
・コアコンピタンスの強化
「チョコレート用油脂とチョコレート、製菓・製パン素材の事業を拡大・発展させ、グループの収益拡大・安定成長を図ります。」を方針とし、2019年3月期に米国チョコレート事業会社(Blommer Chocolate Company)をM&Aにより取得するなど大きくチョコレート事業基盤を拡大しました。しかし、新たに当社グループ傘下となった会社・既存会社の収益化の遅れとして特に生産効率の向上等の課題が存在しております。喫緊に取り組みを行うことで、投資に見合ったリターンを獲得することができるものと考えております。また、新たに米国油脂工場建設、中国クリーム工場建設を進めております。今後も当社グループの油脂事業や業務用チョコレート事業の世界的なネットワークを通じ、効率の良い生産技術と油脂技術の応用による「おいしさと健康」でお客様と社会に価値を提供することに取り組んでまいります。
・大豆事業の成長
「植物性たん白の事業を通じ、地球と人の健康を追求してまいります。環境と健康に配慮した食文化(フレキシタリアン)の成熟に伴い、時代に合った製品の提供を行います。」を方針とし、日本での低糖質や高蛋白の栄養面からの訴求において健康市場拡大による粒状大豆たん白の需要増加に応えるため2020年7月に千葉新工場が操業を開始しております。当操業に伴い販売は伸長しましたが、コロナ禍の影響もあり計画を下回りました。また、選択と集中において、低採算工場閉鎖や事業会社譲渡を行いポートフォリオの見直しを進めました。世界的に植物性タンパク質を利用した肉代替製品がトレンドの中、当社グループは社会課題の解決として取り組む事業の一つとして、継続的に成長できるよう更なるポートフォリオの見直し及び収益化に取り組んでまいります。
・機能性高付加価値事業の展開
「多糖類事業を始め、安定化DHA/EPAの事業展開を進めてまいります。栄養・健康分野への進出を図り、グループ収益の安定化を図ります。」を方針とし、多糖類事業においては、日本・中国での増産を進め拡販を進めました。また、海外販売拡大に向けドイツでの新生産拠点の建設を進めております。安定化DHA/EPAの事業展開は中計策定当初の目論見より進展は遅れておりますが、日本での販売を始めとして、販売促進のための科学的データの蓄積が進んでおります。当社グループ間での連携強化などを図り、今後の事業展開を更に推し進めてまいります。
・コストダウンとグローバルスタンダードへの統一
「次世代に向け、グループ全社の生産効率を高めることを目的とした組織を編成し、競争力向上に努めるとともに、グローバルでの基幹システムの統一・決算期の統一を進めてまいります。」を方針としております。生産性推進グループの設置によるグループ横断的な生産における安全、環境対策、生産性向上策の実行、またサプライチェーンマネジメントに関わる部署の設置による、原料調達に求められる価格・品質・安定供給とサステナビリテイを両立するための戦略立案を行い、当社グループの競争力アップを図っております。グローバルでの基幹システムの統一、決算期の統一においては、順次グループ会社への基幹システムの導入、各社の決算期統一を進めております。グループ全体の経営情報を的確に効率的に把握することによる、迅速な執行を行える経営基盤の強化を今後も進めてまいります。
(3)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題
世界経済は、新型コロナウイルス感染拡大により社会構造等が大きく変化し、ニューノーマル(新しい日常)を目の当たりにしています。それまでの良好な雇用状況や個人消費拡大による米国景気の堅調な推移や、世界経済の回復基調は大きく変化いたしました。当社グループも、世界各都市におけるロックダウンや外出規制に伴う経済活動の停滞の影響を受けております。また今後も、国内インバウンド需要の消失、感染拡大が続く地域の経済停滞の影響は避けられないものと認識しております。
この様な状況下においても、世界の人々に共通する願いは「健康に生きること」であり、そのためには健康で安全な食べ物を食べ続けることが前提であると認識しております。さらに、ポストコロナの社会では、サステナブルな食品により関心が高まると考えています。また、人権尊重やダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)の推進により、変化推進力の高い組織を醸成していくことが経営課題と認識しています。
当認識のもと、当社グループは、「Plant-Based Food Solutions(以下、PBFS)」を全事業・製品の基本コンセプトと位置づけ、おいしさと健康でお客様と社会に価値を提供し続けるとともに、人と地球の健康という課題に対応してまいります。また、自己改革を推進し、サステナブルに成長するグローバル企業を目指します。
・次期中期経営計画の策定について
2021年3月期は現中期経営計画の最終年度となり、2030年の「ありたい姿」に向けた重要な年度でありました。
既存事業の延長だけでは、当社グループの目指す、2030年の「ありたい姿」到達には、大きなギャップが存在することを強く認識しております。このギャップを埋めるために必要な基盤を2020年までに整えるため、2017年度から2020年度までの4年間を対象期間とする中期経営計画「Towards a Further Leap 2020」を策定し、成長戦略を推進するとともに、収益の安定成長や持続的な成長を図るべくグローバル経営体制の強化やコストダウンに取り組んでまいりました。当中計期間においてコアコンピタンスへの資源投入や経営資源の最適化等の当社グループの強みを活かした「選択と集中」、決算期の統一等の「グループ経営インフラ強化」は大きく進展いたしました。
一方で収益貢献を果たせていない施策もあり、継続的な取り組みを進めます。また、社会環境の変化による新たな課題も認識しております。
これらを踏まえ、2022年3月期は次期中期経営計画を策定する年と位置づけております。次期中期経営計画では、予測できない大きな変化が起こり続ける状況の下、持続的に事業の強化を図ることが重要な課題と認識しております。あらためて利益にこだわり経営を推し進め、当社グループの利益の最大化を目指します。さらにグループ本社機能と戦略の強化を図ります。特に安全・品質・環境、生産技術、製品開発についてグループ本社主導のもと当社グループの発展を推し進めてまいります。また、当社の強みである油脂とたん白の技術を融合・発展させ、新しい食品のプラットフォームとなる基幹素材を開発しおいしさに関する技術で社会課題の解決に役立てることを目指してまいります。
サステナビリティに関して、当社グループは社会の一員として、継続的な企業価値向上と社会の持続可能な発展に貢献することを目指すESG経営を進めてまいりました。新型コロナウイルスにより、社会の仕組み、消費者心理や市場構造など全てが変化し、その変化は大きくかつ速くなることが想定されます。また、これまで以上に社会的課題を解決していくことが求められ、かつ、大きな社会構造の変化に晒されるなかで時代に応じた変革を実現することが重要となります。当社グループは油脂とたん白を中心に、人間の生活と生命に必要不可欠な素材を供給する使命を持つ会社であることをこれまで以上に認識し、グローバルな食品供給体制を維持するという私たちの使命を果たし、今まで以上にサステナブルな社会の実現に貢献してまいります。
特に今後は、サステナブルな食品に対する消費者、顧客からの要望も益々高くなることを見据え、サプライチェーンマネジメントを含むグループ内での協力体制を更に強化し、油脂やチョコレートをはじめとする当社グループの特徴を活かした製品戦略を進めてまいります。
予測できない大きな変化が起こり続ける状況の下、過去からの延長線上だけでなく、未来のあるべき姿からのバックキャスティングにより、持続的に事業の強化を図ることが重要となっております。当社グループはPBFSの提供を通じ、より一層の企業価値の向上に取り組んでまいります。
また、2015年に国連においてSDGsやパリ協定が採択されたことを機に、環境や人権といった観点から誰も置き去りにすることなく発展を目指す「持続可能な社会」の構築に向けた国際社会の方向性が明確になりました。その中で当社グループが必要とされ続ける会社であるために、C"ESG"O(最高ESG経営責任者)が管掌しESG経営を推進しております。取締役会の諮問機関であるESG委員会では「環境、社会、ガバナンス」につき重点テーマを策定しております。気候変動に関してはCO2排出総量40%削減や水使用量原単位20%削減等の「環境ビジョン2030」を掲げ取り組んでおります。
(1)不二製油グループのリスクマネジメント体制について
当社グループはグローバルに事業展開しており、その事業領域においては多種多様なリスクが存在します。このリスクに対処するため、以下のリスクマネジメント体制を構築しております。
①リスクの特定
グループ各社でリスクマップを作成し各社におけるオペレーショナルリスクを特定すると同時に、経営会議にて戦略上のリスク/財務リスクを決定しております。これらによってリスクを網羅的に把握した上で、特に重要なリスクを取締役会において決定しております。
②リスクの対応とモニタリング
経営会議を全社リスクマネジメント機関と位置付け、上記で決定された重要なリスクについて、各リスクの管掌役員を決定し、対応策を定めています。また、管掌役員による対応策の進捗報告、および全社重要リスクの見直し・選定を実施します。これらはリスク管理管掌役員であるC"ESG"Oにより管理され、定期的に取締役会へ報告を行います。取締役会はモニタリング機関として経営会議からの報告内容について確認・指示を行います。また、グループ全体への影響拡大が懸念されるリスクやエマージングリスクへの対応方針を中心に協議を行い、対応指針を経営会議に示します。
③2020年度のモニタリング結果
2020年度に決定された11項目の重要リスクは、各管掌役員のもと対応策を進め、個別の進捗や課題状況を適宜取締役会にも報告しながらリスク低減を図りました。また、各リスクの管掌役員から2020年度の対応進捗状況およびその対応等について取締役会に報告し、顕在化したリスクの発生原因、対応策につきその妥当性、適時性等を確認しました。2021年度の重要リスクの特定においては、新たなリスクとして「事業展開国のカントリーリスク」を認識し、必要な対応策の検討を管掌役員に指示しています。
(2)不二製油グループの重要なリスク(2021年度版)
当社グループにおいて管理すべき重要なリスクとして以下の12項目を選定し、各リスクについては管掌役員を定めて対応計画を策定しております。また、対応状況は取締役会に報告し、モニタリングを実施する体制を構築しております。なお、将来事項に関する記述につきましては、2021年3月31日現在において入手可能な情報に基づき、当社が合理的であると判断したものです。
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リスク項目 |
全社重要リスク |
リスク対応の方向性 |
管掌役員 |
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CAO |
C"ESG"O |
CFO |
CSO |
CTO |
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1 |
原料相場の 変動リスク |
主要原料の価格変動のリスク |
・拠点間の相互補完(融通)を含めた全社レベルでの原料バランスの管理体制構築 ・原料購買・ヘッジに関する全社ポリシーに基づく適切なヘッジ取引管理 |
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● |
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2 |
財務・税務に 関するリスク |
為替・金利変動や国際的な課税のリスク |
・デリバティブの活用による変動リスクヘッジの実施、GCM(グローバル・キャッシュ・マネジメント)による流動性リスク低減 ・国際税務上のリスク回避や適正な納税のための管理体制構築 |
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● |
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3 |
法規制やコンプライアンスに 関するリスク |
各国の法制度に対するコンプライアンス違反リスク |
・法務部門のグローバルな管理体制の強化 ・全社単位でのコンプライアンス管理の徹底 |
● |
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4 |
グループ会社 の経営リスク |
事業計画の進捗遅れによるのれんや固定資産の減損リスクや各種規制・ルールの変更により事業内容が影響を受けるリスク |
・グループ横断的支援体制による事業の推進とマネジメント強化 ・海外事業会社の経営を担える人材の育成と登用 ・投資撤退基準による投資案件の精査と資産効率の向上 ・グループ会社所在地の規制及びルール変更の動向を把握し、早期に対応を進める |
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● |
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リスク項目 |
全社重要リスク |
リスク対応の方向性 |
管掌役員 |
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CAO |
C"ESG"O |
CFO |
CSO |
CTO |
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5 |
食品の安全性に関するリスク |
重大な安全・品質上の問題による多額のコスト負担発生や顧客の信用を失うリスク |
・グローバル品質管理基準の導入や安全標準の策定 ・急速なグローバル展開を技術サポートできる体制 ・違反発生時の初動対応の手順化とグローバル支援体制の整備、保険活用によるリスク低減 |
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● |
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6-1 |
サプライ チェーンに 関するリスク |
主要原料(パーム、カカオ、大豆等)を確保できなくなるリスクや、サプライチェーンにおいて環境・人権問題が発生するリスク |
・サプライヤーや同業他社・NGOとの協調関係継続、自社プログラム推進によるサプライソースの強化 ・調達方針の制定によるサプライチェーン上での環境・人権リスクの予防・低減 |
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● |
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6-2 |
各国の規制、社会動向の変化により既存原料や製法の使用が制限されるリスク |
・原料油脂の多様化によるリスク分散 ・化学触媒や溶剤処理を用いない油脂・たん白加工技術の開発 |
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● |
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7 |
災害・事故・ 感染症に関するリスク |
自然災害、工場での事故、感染症により操業・出荷停止、サプライチェーン分断や人的・物的被害等が発生するリスク |
・自然災害発生時に備えた、グループ間の相互補完体制を組み込んだBCPの策定 ・危機発生時の対応マニュアルの整備、保険によるリスク移転 ・全社単位での危険予知活動の定着化や事故リスクの高いグループ会社における安全管理活動の更なる強化 ・感染症の拡大に備えた、従業員の安全、事業活動の継続、サプライチェーン安定化を組み込んだ感染症BCPの策定 |
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● |
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8 |
情報システム・ セキュリティに関するリスク |
ITガバナンス・セキュリティの不全による情報漏洩や損害発生のリスク |
・外部の専門家を起用した情報セキュリティ対策の強化 ・情報管理意識向上のための教育・啓蒙活動の実施 |
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● |
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9 |
人材の確保・ 育成に関する リスク |
グローバル経営体制を支える人材や多様な価値観に対応したイノベーションを生み出す人材が不足するリスクや工場の稼働に必要な人員を確保できないリスク |
・グローバルな人材開発・活用プログラムの整備 ・ダイバーシティの推進やシニア人材の活用 ・各グループ会社での工場の人材確保の為の環境整備 |
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10-1 |
ビジネスの 転換・変革に 関するリスク |
市場環境の変化に応じたビジネスの拡大や転換が出来ないリスク |
・市場が求めるトレンドを的確に捉えた商品開発や事業戦略を推進できる体制の構築 ・将来の事業環境の変化を想定した事業ポートフォリオの見直しや生産拠点の全体最適化 |
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● |
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10-2 |
市場のニーズに対応した新規事業、競争力のある製品、技術の開発が滞るリスク |
・グローバル・ローカルのニーズに応じた製品開発が行える組織体制構築、限られた人的資源を活かすための研究テーマの選択と集中 |
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● |
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10-3 |
デジタル化の遅れによりグローバルなデータ共有が出来ず適切な経営判断を逸するリスク |
・ERPパッケージ導入によるグローバル生産管理・在庫管理・生産依頼などの実用化 |
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● |
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リスク項目 |
全社重要リスク |
リスク対応の方向性 |
管掌役員 |
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CAO |
C"ESG"O |
CFO |
CSO |
CTO |
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11-1 |
環境・人権に 関するリスク |
環境問題への対応不備・遅れにより事業活動が制限を受けるリスク |
・自社による環境数値目標(環境ビジョン2030)の策定と順守 |
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● |
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・TCFDの提言に基づくシナリオ分析による気候変動への対応及び情報開示の推進 |
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・フードロス削減等の資源循環への取組み推進 |
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11-2 |
人権問題への対応不備・遅れにより事業活動が制限を受けるリスク |
・国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠した「不二製油グループ人権方針」(2017年策定)に基づく人権尊重の推進 ・人権デュー・ディリジェンスの実施、その結果に基づく課題解決の取組み強化と適切な情報開示 |
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● |
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12-1 |
事業展開国の リスク |
政治・経済・社会的混乱による事業活動の制限、一時的な業務停止、サプライチェーン分断リスク |
・グループ本社による、事業ポートフォリオの見直し ・グループ会社におけるリスクマネジメントPDCA活動の推進 |
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● |
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12-2 |
戦争・テロ・暴動・誘拐・ストライキ等により従業員が死傷するリスク |
・グループ会社所在地の情報収集、外部コンサルタント起用、従業員への海外安全教育の強化 |
● |
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(ESGマテリアリティ)
当社グループでは、ステークホルダーの関心度と当社グループの事業への影響度の2つの観点から社会課題の重要度を分析し、優先度の高いものをESGマテリアリティとして特定しております。ESGマテリアリティは、社会や地球環境に及ぼす影響度が大きい重要な項目であり、定量的に測定が困難なものも含まれます。
一方、事業等のリスクは主として自社の事業上のマテリアリティとして、現時点で蓋然性が高いと判断できるもの及び財務影響が定量的に分析可能なものを特定しています。
両者は一部重複するものもありますが、2つのマテリアリティを当社グループ内で運用しております。
・2021年度 ESGマテリアリティマップ

*1:サステナブル調達の重要な観点に、人権の尊重、生物多様性の保全、森林保全なども包含されています。
*2:ダイバーシティ、エクイティ & インクルージョン。
*3:GRCにはコーポレートガバナンス(取締役会の実効性向上など)と内部統制(グループガバナンス、リスクマネジメントなど)の観点が含まれますが、ESG委員会においては内部統制に関わる項目をモニタリングしていきます。コーポレートガバナンスは取締役会にてモニタリングしていきます。
・2021年度 ESGマテリアリティ

*1:ダイバーシティ、エクイティ & インクルージョン
*2:ガバナンス・リスク・コンプライアンス
*3:取締役会でモニタリング
(TCFD)
当社グループは、2019年5月にTCFD(気候関連財務情報タスクフォース)へ賛同を表明しています。TCFDの提言に基づき、「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」の4項目について、積極的に情報開示を推進していきます。
TCFDの提言に基づく4項目についての情報開示
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ガバナンス |
・C"ESG"Oの管掌のもと、全社リスクマネジメント体制において気候変動リスク・機会を管理し、TCFDの提言に基づくシナリオ分析を実施し、分析内容を経営会議、取締役会に報告・承認(年1回以上) ・取締役会の諮問機関としてC"ESG"Oが委員長を務めるESG委員会を設置し、活動内容は取締役会に具申。ESGマテリアリティの特定、サステナビリティ戦略の検討・審議、ESGマテリアリティ推進状況のレビュー等を実施。「気候変動の緩和と適応」に関してもESGマテリアリティの1つとして特定し、環境ビジョン2030の実行を通じた取り組みを推進 |
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戦略 |
・国内グループ会社及び主要な海外グループ会社を対象に、TCFDが提言する気候変動のシナリオ分析と気候変動リスク・機会の選定、財務インパクトの評価を実施(参照「気候変動リスク・機会および財務インパクトの影響度評価」)。当評価を踏まえ、自社、及び社会や地球へプラスのインパクトをもたらす脱炭素社会を実現するための省エネ活動、再エネ活用等、さらなるCO2排出量削減の推進を目指す。 ・当社グループはPlant-Based Food Solutions(PBFS)のコンセプトのもと、植物性食品素材による社会課題解決を目指している。家畜肥育に伴う気候変動への悪影響の懸念による、代替肉等のPlant-Based Food(植物性食品)の市場拡大の可能性に対しても、事業展開を強化する。 |
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リスク管理 |
・全社重要リスクを特定し、PDCAサイクルによってリスクを管理する全社リスクマネジメント体制を構築(参照 全社重要リスク) ・気候変動リスクも全社重要リスクの一つと位置付け、当該全社リスクマネジメント体制において管理し、検討・対応内容は年に1回以上取締役会に報告 |
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指標と目標 |
・環境ビジョン2030において、2016年比で2030年にCO2の排出量を総量で40%削減することを掲げている ・環境ビジョン2030の目標達成に向け、生産現場での省エネ活動やエネルギー使用量の少ない新設備の導入、再生可能エネルギーの使用等に積極的に取組み、スコープ3データの精度向上、排出量が多いカテゴリ1の削減方法検討、SBT認定を取得した目標を達成するためのグループ内における説明・周知活動等を実施
(2030年CO2排出量削減目標:「スコープ1,2※ 40%削減、スコープ3(カテゴリ1※)18%削減」(基準年:2016年)) ※ スコープ1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出 ※ スコープ2:他社から供給された電気、熱 ・蒸気の使用に伴う間接排出 ※ スコープ3:事業者の活動に関する他社の排出(カテゴリ1~15) ※ カテゴリ1:原材料 詳細情報については、「環境ビジョン2030」をご参照ください。 |
なお、シナリオ分析は次ページ「気候変動リスク・機会および財務インパクトの影響度評価」のとおりです。当社グループが識別している4つのリスクに対し、以下の施策を進めています。
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1.環境規制対応コストの増加 |
環境ビジョン2030のグループ各社での実践。技術開発部に環境や省エネの専門チームを設け、環境負荷を低減する生産設備の検討や構築 |
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2.サプライヤーの森林破壊による影響 |
グローバルサステナブル調達委員会を設置し、グループ全体のリスクを管理できる体制を構築 |
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3.異常気象による自然災害の激甚化 |
自然災害時に操業が継続できるBCP体制の構築など |
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4.世界的な主要原料の不足懸念・価格高騰 |
グローバルサステナブル調達委員会を設置し、グループ全体のリスクを管理できる体制を構築 |
気候変動リスク・機会および財務インパクトの影響度評価
※当社は、2019年11月5日開催の取締役会において、従来、決算日が12月31日であった在外連結子会社19社の決算日を3月31日に変更又は連結決算日に仮決算を行う方法に変更することを決議いたしました。これにより前連結会計年度は、在外連結子会社19社の決算対象期間が15か月(2019年1月~2020年3月)となる変則決算であるため、当連結会計年度においては業績に関する対連結会計年度との増減率の記載を省略しております。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績、キャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものです。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表を作成するに当たり、必要な見積りを行っており、それらは資産、負債、収益及び費用の計上金額に影響を与えております。これらの見積りは、その性質上判断及び入手し得る情報に基づいて行いますので、実際の結果がそれらの見積りと相違する場合があります。特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
なお、当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額が会計上の見積りによるもののうち、翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがある重要な会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」に記載しております。
(繰延税金資産)
繰延税金資産は、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を十分に検討し、回収可能見込額を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ、課税所得が減少した場合、繰延税金資産が取り崩され、税金費用を計上する可能性があります。
(有形・無形固定資産の減損処理)
減損の兆候のある資産又は資産グループについて、回収可能価額に基づき減損の判定を行っております。回収可能価額は、使用価値と正味売却価額のいずれか高い方により測定しております。回収可能価額は、事業計画や市場環境の変化により、その見積り金額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、追加の減損処理が必要になる可能性があります。
(退職給付費用及び退職給付債務)
当社グループは、退職給付費用及び退職給付債務について、割引率等、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼす可能性があります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 経営成績の状況の分析
当連結会計年度における日本経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大により経済活動が大きく制限されております。政府の経済対策の効果もあり、個人消費については緩やかな回復基調に戻っていたものの、年末からは感染者が拡大傾向にあり、依然として感染拡大の収束時期の見通しが立たず、先行き不透明な状況が続いております。また、世界各国においても、感染拡大を抑制するために厳格なロックダウンが実施され、経済活動は大きく制限を受けました。一方、大規模な財政支援策などから先進国経済は、回復基調にありましたが、冬場の感染再拡大に伴う活動制限の強化を受けて、回復の足取りはやや停滞しております。当社グループにおきましても、相対的に中国は堅調でしたが、他の市場においては新型コロナウイルス感染拡大による景気低迷の影響を受けております。
当連結会計年度は、中期経営計画「Towards a Further Leap 2020」(2017-2020)の最終年度にあたります。当中期経営計画期間内において、コアコンピタンスへの資源投入やノンコア事業の売却等、選択と集中は大きく進みましたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による国内・海外での景気低迷の影響もあり、当初計画していた利益成長を達成することはできませんでした。「コアコンピタンスの強化」の施策において2019年に取得したBlommer Chocolate Companyをはじめとしたグループ会社の収益力の向上を図り、今後の景気回復局面での収益拡大を達成できるよう努めてまいります。
以上の結果、当連結会計年度における連結経営成績は、売上高は3,647億79百万円、営業利益は179億11百万円、経常利益は175億65百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は110億14百万円となりました。
なお、変則決算を行った在外連結子会社の2019年1月1日から2019年3月31日までの売上高は、310億55百万円、営業利益は、21億38百万円であります。
(単位:百万円)
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|
売上高 |
営業利益 |
経常利益 |
親会社株主に帰属 する当期純利益 |
|
2021年3月期 |
364,779 |
17,911 |
17,565 |
11,014 |
|
2020年3月期 |
414,727 |
23,598 |
22,359 |
16,375 |
|
前期比 増減 (前期比 増減率) |
△49,947 (-) |
△5,686 (-) |
△4,794 (-) |
△5,360 (-) |
[参考情報:在外連結子会社19社の変則決算影響(2019年1月1日~3月31日)を除いた連結経営成績との比較]
(単位:百万円)
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|
売上高 |
営業利益 |
経常利益 |
親会社株主に帰属 する当期純利益 |
|
2021年3月期 |
364,779 |
17,911 |
17,565 |
11,014 |
|
2020年3月期 |
383,672 |
21,459 |
20,283 |
14,692 |
|
前期比 増減 (前期比 増減率) |
△18,892 (△4.9%) |
△3,547 (△16.5%) |
△2,718 (△13.4%) |
△3,677 (△25.0%) |
セグメントの経営成績を示すと、次のとおりです。
(単位:百万円)
|
|
売上高 |
前期比 増減 |
前期比 (%) |
営業利益 |
前期比 増減 |
前期比 (%) |
|
植物性油脂 |
98,413 |
△15,691 |
- |
7,872 |
△3,330 |
- |
|
業務用チョコレート |
162,445 |
△17,622 |
- |
7,608 |
△716 |
- |
|
乳化・発酵素材 |
69,567 |
△15,625 |
- |
3,018 |
△1,035 |
- |
|
大豆加工素材 |
34,353 |
△1,006 |
- |
3,169 |
△847 |
- |
|
連結消去・グループ管理費用 |
- |
- |
- |
△3,756 |
243 |
- |
|
合 計 |
364,779 |
△49,947 |
- |
17,911 |
△5,686 |
- |
[参考情報:在外連結子会社19社の変則決算影響(2019年1月1日~3月31日)を除いた連結経営成績との比較]
(単位:百万円)
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|
売上高 |
前期比 増減 |
前期比 (%) |
営業利益 |
前期比 増減 |
前期比 (%) |
|
植物性油脂 |
98,413 |
527 |
0.5% |
7,872 |
△2,252 |
△22.2% |
|
業務用チョコレート |
162,445 |
△9,278 |
△5.4% |
7,608 |
61 |
0.8% |
|
乳化・発酵素材 |
69,567 |
△9,772 |
△12.3% |
3,018 |
△777 |
△20.5% |
|
大豆加工素材 |
34,353 |
△369 |
△1.1% |
3,169 |
△763 |
△19.4% |
|
連結消去・グループ管理費用 |
- |
- |
- |
△3,756 |
184 |
- |
|
合 計 |
364,779 |
△18,892 |
△4.9% |
17,911 |
△3,547 |
△16.5% |
(植物性油脂事業)
変則決算を行った在外連結子会社の2019年1月1日から2019年3月31日までの影響を除いた業績は次のとおりであります。売上高は、国内市場では、外出自粛により家庭用菓子関連の販売が増加しましたが、外食市場向けの販売の減少により、微減となりました。海外市場では、米州及び中国を除くその他のエリアでは新型コロナウイルス感染症拡大の影響による市場の停滞があったものの、米州において原料相場上昇が寄与し増収となりました。利益面は、欧州における販売の低迷や米州において相場上昇による原料コスト増加で収益性が低下したこと等により、減益となりました。
なお、変則決算を行った在外連結子会社の2019年1月1日から2019年3月31日までの売上高は、162億18百万円、セグメント利益(営業利益)は、10億79百万円であります。
(業務用チョコレート事業)
変則決算を行った在外連結子会社の2019年1月1日から2019年3月31日までの影響を除いた業績は次のとおりであります。売上高は、国内市場では、訪日外国人旅行者の大幅な減少に伴いインバウンド需要が急速に減少し、減収となりました。海外市場では、中国において家庭菓子用チョコレートの販売拡大があったものの、円高影響に伴う為替換算や米国のロックダウンによる市場の冷え込みの影響により、減収となりました。利益面では、全地域において新型コロナウイルス感染症拡大の影響による需要減退で減益となったものの、Blommer Chocolate Companyにおける前連結会計年度末の先物評価損の振り戻し(戻入)により、増益となりました。
なお、変則決算を行った在外連結子会社の2019年1月1日から2019年3月31日までの売上高は、83億45百万円、セグメント利益(営業利益)は、7億77百万円であります。
(乳化・発酵素材事業)
変則決算を行った在外連結子会社の2019年1月1日から2019年3月31日までの影響を除いた業績は次のとおりであります。売上高は、国内市場では、外食市場向けクリームやパン用マーガリンの販売減少、国内連結子会社の連結除外に伴う売上高減少の影響があり、減収となりました。海外市場では、中国において付加価値の高いマーガリンの販売が増えたことによる増収がありましたが、アジアにおいて菓子原料となる粉乳調製品等の販売が減少し、減収となりました。利益面では、中国では増益となったものの、日本とアジアでの販売の減少により、減益となりました。
なお、変則決算を行った在外連結子会社の2019年1月1日から2019年3月31日までの売上高は、58億53百万円、セグメント利益(営業利益)は、2億59百万円であります。
(大豆加工素材事業)
変則決算を行った在外連結子会社の2019年1月1日から2019年3月31日までの影響を除いた業績は次のとおりであります。売上高は、国内市場では千葉工場で新工場が稼働開始した大豆たん白素材の販売が好調となりましたが、豆乳事業の事業整理に伴う売上高の減少もあり、減収となりました。海外市場では、前連結会計年度の中国のたん白食品子会社の連結除外に伴う売上高減少の影響があり、減収となりました。利益面では、国内市場は機能剤の販売が不調、海外市場は欧州における機能剤事業の新規拠点建設に伴う経費増加もあり、減益となりました。
なお、変則決算を行った在外連結子会社の2019年1月1日から2019年3月31日までの売上高は、6億38百万円、セグメント利益(営業利益)は、84百万円であります。
② 財政状態の状況の分析
当連結会計年度末の総資産は、運転資本の圧縮やノンコア事業の売却等によりバランスシートを圧縮することで財務体質を向上させ、経営の効率化を進めた結果、前連結会計年度末に比べ88億53百万円減少し、3,585億11百万円となりました。
(単位:百万円)
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|
|
2020年3月期 |
2021年3月期 |
増減 |
|
|
流動資産 |
168,662 |
160,736 |
△7,925 |
|
|
有形固定資産 |
123,606 |
129,435 |
5,829 |
|
|
無形固定資産 |
59,679 |
52,712 |
△6,967 |
|
|
その他資産 |
15,417 |
15,626 |
209 |
|
資産 |
|
367,365 |
358,511 |
△8,853 |
|
|
有利子負債 |
146,232 |
131,309 |
△14,922 |
|
|
その他負債 |
63,147 |
64,311 |
1,164 |
|
負債 |
|
209,379 |
195,621 |
△13,757 |
|
純資産 |
|
157,986 |
162,890 |
4,904 |
(資産)
当連結会計年度末の資産は、新型コロナウイルス感染症の長期化を考慮し、手元流動性を確保したため現金及び預金が増加しておりますが、Blommer Chocolate Companyにおいて伊藤忠商事株式会社とのカカオ豆の共同購買スキームの導入により棚卸資産を大幅に圧縮したことで、流動資産は減少しております。有形固定資産は、欧米の工場新設や既存設備の更新により増加しております。また、のれんは、海外グループ会社の為替換算の影響及び償却により減少しております。
以上の結果、前連結会計年度末に比べ88億53百万円減少し、3,585億11百万円となりました。
(負債)
当連結会計年度末の負債は、Blommer Chocolate Companyにおけるカカオ豆の共同購買スキームの導入による運転資本の圧縮、政策保有株式の縮減及びノンコア事業の売却により資金創出したことで順調に借入金の返済を行っております。
以上の結果、前連結会計年度末に比べ137億57百万円減少し、1,956億21百万円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、円高基調により為替換算調整勘定が減少しましたが、退職給付に係る調整累計額の増加や利益剰余金の積み上げにより純資産は増加しております。
以上の結果、前連結会計年度末に比べ49億4百万円増加し、1,628億90百万円となりました。
この結果、1株当たり純資産は前連結会計年度末に比べ53円02銭増加し、1,861円67銭となりました。自己資本比率は前連結会計年度末比2.3ポイント増加し、44.6%となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析
当社グループは、財務規律を維持・向上するために有利子負債の削減と着実な利益成長やCCCの改善により、フリー・キャッシュ・フローを毎年100億円以上創出する必要があると認識しております。当連結会計年度は、Blommer Chocolate Companyにおいて伊藤忠商事株式会社とのカカオ豆の共同購買スキームの導入、ノンコア事業の売却及び政策保有株式の更なる削減等により、200億円を上回るフリー・キャッシュ・フローを創出しました。
以上の結果、当連結会計年度末におけるキャッシュ・フローの状況は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
|
|
2020年3月期 |
2021年3月期 |
増減 |
|
営業活動によるキャッシュ・フロー |
37,058 |
38,205 |
+1,146 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△18,302 |
△17,395 |
+906 |
|
フリー・キャッシュ・フロー |
18,755 |
20,809 |
+2,053 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△20,674 |
△19,931 |
+743 |
|
現金及び現金同等物 |
18,578 |
20,452 |
+1,873 |
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、伊藤忠商事株式会社とのカカオ豆共同購買スキームの導入に伴う運転資本の圧縮に加えて、グループファイナンスの高度化を推し進め金融費用の削減を行ったことにより、382億5百万円の収入となりました。前連結会計年度は、在外連結子会社の決算期変更の影響がありましたが、運転資本の改善を主要因として、前連結会計年度に比べ、11億46百万円収入が増加しております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、アメリカにおける植物性油脂事業の新規拠点建設、ドイツにおける欧米市場向けの機能剤事業の新規拠点建設及び日本における大豆加工素材の新工場の設備投資を行ったことにより、173億95百万円の支出となりました。ノンコア事業である国内子会社・海外子会社の株式譲渡に伴う貸付金の回収及び譲渡収入により、前連結会計年度に比べ、9億6百万円支出が減少しております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払い及び有利子負債の返済等により、199億31百万円の支出となりました。前連結会計年度における連結子会社への持分追加取得の支出の剥落やコロナ禍における不測の事態への対応として手元流動性を確保した為、前連結会計年度に比べ、7億43百万円支出が減少しております。
(3)資本の財源及び資金の流動性
当社グループは円滑な事業活動に必要十分な流動性の確保と財務規律の維持及び財務健全性の向上を基本方針としております。
当社グループの主な資金需要は、生産活動及び販売活動に必要な運転資金、事業拡大のための設備投資、グループ基盤強化のための事業投資等です。資金の源泉は、営業活動によるキャッシュ・フローと金融機関からの借入や社債の発行等による資金調達です。
短期運転資金は自己資本及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資資金や長期運転資金は金融機関からの長期借入のほか、社債発行による資金調達を行っております。また、新型コロナウイルス感染症や自然災害等の不測の事態に備え、手許流動性を補完すべく、金融機関とコミットメントラインを締結しております。
なお、当連結会計年度末における有利子負債残高は1,313億09百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は204億52百万円となっております。
(4)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当社グループの生産品目は広範囲、多種多様であり、かつ、製品のグループ内使用(製品を他のグループ会社の原材料として使用)が数多くあるため、セグメント別(連結ベース)に生産実績を、金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産の実績については、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 ①経営成績の状況の分析」における各セグメントの業績に関連付けて示しております。
②受注実績
当社グループは需要予測に基づく見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
③販売実績
当連結会計年度におけるセグメントごとの販売実績については、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 ①経営成績の状況の分析」に記載のとおりです。
株式会社J-オイルミルズとの業務提携および株式相互保有に関する契約
① 株式の持ち合い
相互に相手方株式を保有します。
② 原料・資材の効率的調達
原料・資材の共同調達により安定調達及びコスト低減を図ります。
③ 中間原料油の相互供給
双方の強みを活かした中間原料油の相互供給により、使用製品の機能強化・コスト削減を図ります。
④ 相互の生産設備の有効活用
両社が有する生産設備を相互に有効活用し、生産の効率化を図ります。
⑤ 物流業務の効率化
物流拠点の集約化、共同配送・共同輸送等により、物流業務の効率化、コスト低減を図ります。
⑥ その他
双方にメリットのある取り組みを行います。
当社グループは長年積み重ねてきた研究成果と先進の技術力を生かし、植物性油脂とたん白を基礎とする新しい機能を持つ食品素材の開発に取り組んできました。特に近年はESG経営の推進のもと、短期視点、長期視点の両軸で社会課題へアプローチし、Plant-Based Food Solutionsを実現する新製品・新技術・新ビジネス創出を目指した研究開発活動を実施しています。また、イノベーションを推進するため、国内外の大学や研究機関とのオープンイノベーションや顧客との共創活動を強化しています。世界中の人々の食べることの歓びと健康に貢献することをモットーに、社会になくてはならない会社になるための研究開発活動に努めています。
当社グループの中核研究開発施設である日本国内の「不二サイエンスイノベーションセンター」、「つくば研究開発センター」、及びシンガポールの「アジアR&Dセンター」、そして全世界9箇所の「フジサニープラザ」では、基礎研究や素材開発、及び多数のお客様、企業・研究機関の方をお迎えしての「共創」による研究開発を行っております。
日本国内を統括する不二製油(株)は、各素材別の研究開発室と、これら素材を用いたアプリケーションを開発する「価値づくり市場開発室」を併せた研究開発部門として運営しています。この体制により、各素材の融合による新規複合素材の開発を効率良く行うと共に、開発された新素材をすぐさまお客様へ提案し、お客様と共創による価値づくりを実現します。また、生産技術開発部門では、「安全、品質、環境」にこだわり、コア技術の強化・革新に関する研究開発を進めております。
未来創造研究所は、当社グループの将来を支えるための新規事業を創造する研究所としての位置付けのもと、積極的に国内外の大学等の公的研究機関や企業との共同研究やコラボレーション、及び研究員の派遣に取り組んでいます。国内では、茨城大学とは、クロスアポイントメント制度により大学教員を招聘していますが、2021年度には新たな取組みとして「食の創造」講座を設置します。当社研究員が教員として学生を指導し、共同研究を通して次世代のPlant-based Food Ingredientsの創出を目指します。海外では、シンガポールの研究機関ICESとの共同研究、オランダのワーゲニンゲン大学への研究員の派遣等を行っております。
「アジアR&Dセンター」は、東南アジア地域のニーズに合わせた製品研究・開発、並びに、国際食品企業との連携、及び現地大学機関、関連省庁との共同研究による社会課題の解決において重要な拠点になっております。日本とシンガポールのR&Dセンター、及び海外の各拠点R&Dとの定期的な会合や人的交流を実施することで世界的課題の共有とその解決に取り組むと共に、新たなテーマの発掘や、製品開発と課題解決のスピードアップに努めています。
当連結会計年度の研究開発費の総額は
研究開発活動の概要は次のとおりです。
(植物性油脂事業)
安全・安心で環境に配慮した油脂の製造技術、新機能を有する油脂製品、及びその最適な応用法に関する研究開発を通して、お客様のご要望を形にし、新しいおいしさの創造に貢献しております。
当連結会計年度の主な成果としては、劣化風味発生を抑制した安定化DHA・EPA油脂素材については、市販プロセスチーズ、乳飲料用途への採用実績化を達成しております。また、島根大学との共同研究により、認知機能へのDHA素材の有効性を実証し、研究論文を発表するに至りました。今後も幅広いカテゴリーの食品用途への素材開発を継続し、健康寿命を支える素材として実績化を進めて参ります。また、弊社独自の分散技術である、DTR技術(*)は、収斂味低減、甘味増強等の新機能性に加え、利用時の作業性の向上にも役立ち、少量添加での機能発現を実現する、粉末製品への応用展開も行いました。形態多様化により、幅広い市場への販売も期待されます。また、同技術及び物性機能加工技術を併用して、油脂の風味発現の向上に加え、可塑性付与により、作業性を向上させた油脂の開発を行い、弊社の掲げる植物性素材でのお客様への価値提供(PBFS)を推進しております。更に油脂結晶制御技術、エステル交換、分別技術を利用し、部分硬化油不使用の機能性チョコレート用油脂等、グローバル市場要望にも対応可能な油脂素材の開発を行い、今後海外展開を拡大されるお客様へのご提案が可能な製品の開発を継続しております。
また、食品安全のグローバル対応のため、油脂の精製技術の向上について弊社グループ間での技術情報交換会を実施致しました。健康への貢献と共に、安全・安心な油脂素材の提供維持に向けた取り組みを継続して参ります。
当事業の研究開発費は
*DTR技術:水溶性成分を油脂に微分散させる技術で、素材の呈味(塩味、旨味、辛味など)や保存安定性を付与増強する技術。
(業務用チョコレート事業)
チョコレートの新技術・新製品開発、及び想定した社会的課題や消費者への価値を具現化したアプリケーションを組み合わせたソリューション提案を行っております。
当連結会計年度の主な成果としては、コロナ禍から消費者の健康意識が高まり、健康訴求製品が期待されている中、美味しさと健康を両立した弊社通販ソヤファームクラブ「ヘルシーカカオ ハイカカオ」を発売しました。また不二製油グループはWHO(世界保健機関)の指針に沿って、2023年度にトランス脂肪酸を2g-TFA/100g-oil以下に低減していくことを目指しています。その一環として、パンや洋菓子に使用するコーティング用チョコレート製品中の部分硬化油の低減に取り組んでおります。
グローバルでの取り組みとしましては、当社グループ会社の各拠点R&Dとの市場・技術情報交換を中心とした定期的なミーティングを実施する「チョコレート開発分科会」を2020年度はコロナ禍からWEBで開催しました。当社グループ全体でのチョコレート開発組織がグローバルに機能する様、各拠点間でのシナジー創出を目指し、引き続き取り組んでまいります。
当事業の研究開発費は
(乳化・発酵素材事業)
ホイップクリーム、調理用クリーム、ドリンクベース、マーガリン、チーズ風味素材、パイ製品等、乳製品代替素材を中心にした新技術・新製品開発、及びアプリケーション開発を行っております。
当連結会計年度の主な成果としては、美味しさと機能性を両立した製品開発に取り組む一方、植物性素材の価値追求を行いました。コロナ禍において、サステナビリティの観点からも植物性食への期待が高まり、「植物性ホイップクリーム」、「豆乳チーズ」、「豆乳クリームのバター」の市場導入が加速されると共に、顧客とのコラボレーションで「とんこつ風スープベース」も新たに発売しました。また、コペンハーゲン大学との共同研究の成果として、乳酸菌の大豆たん白分解活性に関する論文が「Food Chemistry」に掲載されました。参画中のオランダの研究機関NIZO(*)が主管するコンソーシアム(共同事業体)での成果も取り入れながら植物性素材のさらなる革新を図ります。
当事業の研究開発費は
*NIZO:食品と健康における受託研究の世界的大手企業
(大豆加工素材事業)
大豆たん白、大豆たん白食品、大豆多糖類等の開発を行っております。
当連結会計年度の主な成果としては、拡大するたん白摂取を目的とした市場の商品開発に対して焼き菓子用途向けに作業性と風味食感を両立させた粉末状大豆たん白「ニューフジプロPTS」を開発し、製パン市場向け用途としては高たん白配合に対応した「プロリーナCP01」を開発し採用拡大に努めました。また、プロテインパウダー、プロテインバー等の栄養健康市場向け「プロリーナ」シリーズも引き続き好調です。粒状大豆たん白素材は、商品開発が加速する大豆ミート市場に対してより肉様の食感に近づけた品質改善に取り組むとともに製造現場作業で手間となっている水戻し作業の大幅時間短縮可能な「アペックス2000SP」を開発し、顧客の現場課題解決の提案にも取り組みました。PBF(プラントベースドフード)商品の展開としては、昨年に引き続き大丸心斎橋店にて「UPGRADE Plant based kitchen」での大豆ミート、USS素材を使った新メニュー料理を提案販売、PBF啓蒙活動を行うと共にコンビニエンスストアやファーストフード店向けには日本人の好みに合った大豆ミートのパティ、ベジバーグ、ソイナゲット等の製品開発を進め、PBF商品の採用拡大に努めました。冷凍豆腐関連では、従来品よりたん白を高配合した豆腐、厚揚げを開発し、市場の高たん白化要望に対応するとともに自然解凍により喫食可能な冷凍厚揚げを開発し利便性の向上にも対応しました。大豆多糖類においては、飲料用安定剤「ソヤファイブシリーズ」の性能をさらに高める製品開発に取り組むとともに、新たな生産設備の本格稼働による生産能力の増強とコストダウンに取り組みました。また、欧米市場に向けて、新規素材エンドウ多糖類の海外製造拠点の立ち上げ準備と、市場開拓に取り組んでおります。
当事業の研究開発費は
(中長期視点での研究活動)
未来創造研究所では、経営課題である「おいしさと健康」に拘った食の市場を創造するための研究や、新規事業に繋がる新技術開発に取り組んでおります。また、産学連携によるオープンイノベーションにも引き続き取り組んでおります。
近年、気候変動対策や世界的な人口増加などの社会課題に対して、将来を見据えた地球との共生への取り組みが企業にも求められています。未来創造研究所では2050年のありたい社会像を創造し、バックキャスティングにより取り組むべき社会課題として「高齢化社会」と「サステナブルな食資源」にフォーカスし、課題解決に繋がる研究テーマを設定、検討を開始しました。
その他の取り組みとしましては、Plant-based Food(植物性食品)をよりおいしくする技術ブランド“MIRACORE(ミラコア)™”を立ち上げました。本技術はAnimal-based Food(動物性食品)が持つおいしさと満足感を植物ベースで実現する技術であり、植物性に拘って油脂とたん白の研究を続けてきた当社の技術を集結した画期的な新技術です。和食・洋食・中華・アジア料理等の世界の食をターゲットに展開する計画です。また、当社独自の酸化劣化しにくい安定化DHA・EPAに関する臨床試験でも研究成果を得ています。島根大学医学部と共同研究を実施し、1日297 mgの安定化DHA・EPAを含む乳飲料の摂取が高齢者の加齢に伴う認知機能の低下を抑制することを明らかにしました。本研究結果は国際学術誌「Journal of Functional Foods」に掲載されました。今後は食による高齢者の健康課題解消に向けた研究を加速する計画です。また、新たな油脂生産技術の獲得に向けた取り組みも進めています。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のスマートセルプロジェクトの成果(油脂生産性を向上させた油脂酵母の開発に成功)を受け、今年度より新プロジェクトの「カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発」に参画しています。開発した油脂酵母による地球環境に優しいパーム油代替油脂生産技術の実用化を目指して参ります。また、米国のScrum Venturesが運営するFood Tech Studio Bites! (*)に参画し、スタートアップベンチャー企業との協業について検討を開始し、技術シナジーや研究へのAIの導入などを検討して参ります。
当事業の研究開発費は1,286百万円です。
*Food Tech Studio Bites!:日本の食品メーカーと世界中のスタートアップが共に、「食」を通じた持続可能な社会を実現する「新“食”産業」を創出するグローバル・オープンイノベーション・プログラム