文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものです。
(1)経営の基本方針
当社グループは、食品企業としての責任を強く自覚し、私たちの使命、目指す姿、行動する上で持つべき価値観、そして行動原則を明文化した「不二製油グループ憲法」を2015年10月に制定しております。本憲法は、グループ社員全員の価値観の共有化を図るとともにグループガバナンスの基本であり、判断・行動の優先基準付けの拠り所となるものです。当社グループは、「不二製油グループ憲法」のミッション(使命)「私たち不二製油グループは、食の素材の可能性を追求し、食の歓びと健康に貢献します。」を実現することを会社運営の基本方針としており、本憲法に示されている理念、行動原則を実践することで、すべてのステークホルダーに対して貢献できるものと考えております。
「不二製油グループ憲法」
(2)目標とする経営指標
当社グループは、株主資本の収益性、資本効率の向上がステークホルダーの利益に合致するものと考え、「ROE(株主資本利益率)」を重要な指標として位置付けております。また、新たに「ROIC(投下資本利益率)」指標の導入を行い、資本効率、資本コストを意識した事業ポートフォリオマネジメントを推進してまいります。当社グループの、新中期経営計画「Reborn 2024」における経営目標は以下の通りです。
中期経営計画「Reborn 2024」における経営目標
①財務KPI
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目標(2024年度) |
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連結営業利益 |
235億円 |
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ROE(株主資本利益率) |
8% |
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ROIC(投下資本利益率)(注1) |
5% |
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株主還元 配当性向 |
30%-40% |
(注1)ROIC=税引後営業利益÷(運転資本+固定資産)
当社グループでは各事業で把握・管理可能な項目とすべく、分母となる投下資本を運転資本と固定資産として置き換えて使用しております。
②非財務KPI
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目標(2024年度) |
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CO2排出量の削減(Scope1+2) |
総量23%(注1) |
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サステナブル調達(パーム油) |
パーム油TTP比率(注2)85% |
(注1)基準年: 2016年度(全連結子会社)
(注2)パーム油TTP: パーム油の農園までのトレーサビリティ(Traceability to Plantation)
(3)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題
世界経済は、新型コロナウイルス感染症拡大により社会構造が大きく変化し、ニューノーマル(新しい日常)を目の当たりにしています。ワクチン接種が進み、世界経済は堅調な需要とともに回復の兆しを見せましたが、物流の混乱、欧米や東南アジアの一部地域における人手不足に伴う供給不足から商品価格の急上昇を引き起こしました。また新型コロナウイルス変異株が断続的に世界各国にまん延し影響を及ぼす中で、ロシアによるウクライナ侵攻を背景として更なる燃料・エネルギー等の高騰に直面し、世界的なインフレーションが加速しています。世界経済は、先行き不透明な情勢が続くものと予想されます。
このような激変する市場環境下において、当社グループでは、「植物性素材でおいしさと健康を追求し、サステナブルな食の未来を共創します」を2030年の新ビジョンとして掲げ、当ビジョンに至るまでの9年度を3年毎のフェーズ1~3として区切り、それぞれを変革期間と捉えました。2022年度から2024年度までの3年間をフェーズ1として、新しい価値を生みだす企業グループへと生まれ変わる為の経営基盤を強化する期間と定め、新中期経営計画「Reborn 2024」を策定いたしました。
1.中期経営計画「Reborn 2024」の基本方針
新中期経営計画「Reborn 2024」において、中計基本方針を「事業基盤の強化(収益力復元と新しい価値創造)」、「グローバル経営管理の強化」、「サステナビリティの深化(経営戦略と一体化したサステナビリティ戦略)」として、成長戦略を推進します。
(1)事業基盤の強化(収益力復元と新しい価値創造)
「事業基盤の強化」といたしましては、「基礎収益力の復元」、「既存領域における高付加価値製品へのポートフォリオの入れ替え」、「成長・戦略分野への経営資源の集中」、「挑戦領域への展開」を進めてまいります。「基礎収益力の復元」は、販売価格政策や原価管理をローリング方式のモニタリングで管理するなど運営・管理体制の両面から事業軸を強化します。また、販売価格政策の実行力強化と生産性指標の導入によりグループの生産性を向上し、コストダウンを進めることで、基礎収益力の復元を図ります。「既存領域における高付加価値製品へのポートフォリオの入れ替え」は、コモディティ製品から差別化された付加価値の高い製品展開を行うことで、競争優位性を築きます。「成長・戦略分野への経営資源の集中」においては、米州の業務用チョコレート事業や植物性油脂事業を成長分野として優先的に経営資源を再配分することで、グループの収益拡大及び安定成長を図ります。「挑戦領域への展開」は、当社グループの技術と各事業製品の組み合わせを行い、新たな市場アプローチにより、消費者視点での時代に合った植物性素材を提供してまいります。また、市場・顧客開拓を行うことにより新しい価値を創造し、コモディティ製品から高付加価値製品へのポートフォリオの入れ替えを図ります。
(2)グローバル経営管理の強化
「グローバル経営管理の強化」につきましては、事業収益の向上策として、事業別ROIC管理の導入に加え、事業軸の強化を進めることで、エリアの課題を横断的に対応できるスピード感を有した高資本効率の経営体制及び、事業ポートフォリオへの転換を図ります。また、研究技術開発においては、戦略目標との一体運営体制を推進し、グローバルで求められる社会課題への対応、製品開発のスピードの向上を図ります。これらの体制をより有効なものとするために、経営管理の高度化とDXを推進いたします。
(3)サステナビリティの深化(経営戦略と一体化したサステナビリティ戦略)
当社グループのサステナビリティへの取り組みを深化させることで、事業活動を通して社会課題の解決に貢献してまいります。気候変動の課題対応におけるCO2排出量の削減など、社会課題への取り組みとコストダウンの両立をグループ全体で行ってまいります。主原料におけるサステナブル調達を進め、経営戦略と一体化させることで、当社製品の差別化を図ります。
また、事業継続力を高める源泉は人材です。当社グループの人材が多様な視点をもって目標に向かい活躍すること、公正な機会提供と適切に評価されることが経営基盤として重要であり、当社グループの成長につながるものとして考えるため、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)を深め、価値創出を担う人材育成、人材獲得を進めてまいります。
2.財務戦略について
成長によるキャッシュ・フローの創出と資本効率の向上及び財務ガバナンスの強化を通じて、グローバルで強固な財務体質への改革を図ります。
経営効率向上のために、キャッシュ・フローを重視し、優先的な経営資源の配分を行い、事業別ROIC導入による事業評価、グループ投資基準による投資の厳選を進め、グループ全体の事業ポートフォリオ構成の最適化を図ります。ROIC評価の導入で、従来より進めているバリューチェーン分析による在庫の圧縮等、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)の改善をさらに推進してまいります。
グローバル資金管理によるグループ資金の可視化・流動性の確保、資産のスリム化による総資産回転率の向上を図ります。財務レバレッジにおいても資本コストを意識し最適化を図ります。
株主還元については、配当性向30%~40%の方針とし、安定的かつ継続的な配当を実施してまいります。
当社グループは新たに制定した2030年の新ビジョンに向け、当中期経営計画「Reborn 2024」を達成することで、企業価値向上を図り、全てのステークホルダーから信頼される企業グループとなることを目指してまいります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものです。
(1)不二製油グループのリスクマネジメント体制について
不二製油グループは、日本・米州・欧州・東南アジア・中国の各エリアにおいて、植物性油脂、業務用チョコレート、乳化・発酵素材、大豆加工素材の4つのセグメントで事業展開していることから、当社グループのバリューチェーンには社会課題・経済環境変化などの影響を受け、様々なリスクが潜在しています。それらのリスクに対して、当社グループは経営会議を全社リスクマネジメント機関と位置付け、経営陣の認識リスク(戦略上のリスク、財務リスク)、ESGマテリアリティマップ、オペレーショナルリスクなど、グループを取り巻く環境を踏まえた情報ソースから、経営への影響度、発生可能性、顕在化時期などの総合的な判断により、全社重要リスクを選定し、その対応策の立案、実施、進捗確認、評価・改善などリスクを管理する全社リスクマネジメント体制を構築しています。
(サステナビリティ委員会とESGマテリアリティ)
グループ全体でのサステナビリティ推進及びその監督の観点から、不二製油グループ本社取締役会の諮問機関として「サステナビリティ委員会」を設置しています。中長期及びマルチステークホルダーの視点で「ESGマテリアリティ」を特定ならびに全社・事業横断的取組の方向性と目標・KPIを決定し、テーマの進捗をモニタリングしています。「ESGマテリアリティ」は「不二製油グループが社会に与える影響度」と「社会課題が不二製油グループに与える影響度」の2つの観点から社会課題の重要度を分析し、優先度の高いものを特定しています。
(全社重要リスク分科会と全社重要リスク)
中長期的なグループの方向性に沿った事業戦略の遂行にあたり、当社グループに重大な影響を及ぼすと認識するリスク項目を全社重要リスクとして特定し、リスク低減を推進しています。全社重要リスクは、2022年度よりサステナビリティ委員会の下部組織として設置した全社重要リスク分科会にて、メンバーの多様な視点により、リスク案の検討や対応策の適切性評価・確認等を行い、更なる企業価値棄損リスクの低減を目指しています。
(オペレーショナルリスク)
当社は各グループ会社内にリスクマネジメント委員会を設置しており、「リスクアセスメント⇒リスク対応⇒自己チェック⇒レベルアップ(次年度計画立案)」のPDCAを回し、不二製油グループ本社、地域統括会社、各グループ会社間で連携を取りながらオペレーショナルリスクを特定し対応しています。リスクアセスメントでは、自社のリスクを可能な限り洗い出し、リスクマップ(縦軸:自社への損失・影響度、横軸:発生可能性)により評価の上、自社にとって損失・影響度が大きいリスクを「重要リスク」として特定しています。すべての「重要リスク」に対して対応方法を決定し、リスク低減を図っています。
(2)不二製油グループの重要なリスク(2022年度版)
(ESGマテリアリティ)
・2022年度 ESGマテリアリティマップ

※1:人権の尊重、森林や生物多様性の保全と再生も重要な観点として包含されています。
※2:ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン
※3:ガバナンス・リスク・コンプライアンス
GRCにはコーポレートガバナンスと内部統制の観点が含まれますが、サステナビリティ委員会においては内部統制に関わる項目をモニタリングしていきます。コーポレートガバナンスは取締役会にてモニタリングしていきます。
・2022年度 ESGマテリアリティ
※1:ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン
※2:公正な機会提供や評価とインクルーシブなマネジメントによる多様な人材の活用
※3:ガバナンス・リスク・コンプライアンス
※4:コーポレートガバナンスは取締役会にてモニタリング
(全社重要リスク)
①リスクの特定
グループ各社でリスクマップを作成し各社におけるオペレーショナルリスクを特定すると同時に、経営会議にて戦略上のリスク/財務リスクを決定しております。また、ESGマテリアリティのうち「社会課題が不二製油グループに与える影響度」が大きいと認識している項目と合わせリスクを網羅的に把握した上で、特に重要なリスクを取締役会において決定しております。
②リスクの対応とモニタリング
経営会議を全社リスクマネジメント機関と位置付け、上記で決定された重要なリスクについて、各リスクの担当役員を決定し、対応策を定めています。また、担当役員による対応策の進捗報告、及び全社重要リスクの見直し・選定を実施します。これらはリスク管理を管掌するESG担当役員により管理され、定期的に取締役会へ報告を行います。取締役会はモニタリング機関として経営会議からの報告内容について確認・指示を行います。また、グループ全体への影響拡大が懸念されるリスクやエマージングリスクへの対応方針を中心に協議を行い、対応指針を経営会議に示します。
全社重要リスクの特定と対応
経営会議(全社リスクマネジメント機関)
③2021年度のモニタリング結果
2021年度に決定された12項目の重要リスクは、各管掌役員のもと対応策を進め、個別の進捗や課題状況を適宜取締役会にも報告しながらリスク低減を図りました。また、各リスクの担当役員から2021年度の対応進捗状況及びその対応等について取締役会に報告し、顕在化したリスクの発生原因、対応策につきその妥当性、適時性等を確認する予定としております。
そのうえで当社グループにおいて管理すべき重要なリスクとして以下の12項目を選定し、各リスクについては担当役員を定めて対応計画を策定しております。また、対応状況は取締役会に報告し、モニタリングを実施する体制を構築しております。
(TCFD)
当社グループは、2019年5月にTCFD(気候関連財務情報タスクフォース)へ賛同を表明しています。TCFDの提言に基づき、「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」の4項目について、積極的に情報開示を推進していきます。
TCFDの提言に基づく4項目についての情報開示
1.ガバナンス
・ESG担当役員の管掌のもと、全社リスクマネジメント体制において気候変動リスク・機会を管理。
・TCFDの提言に基づくシナリオ分析を実施し、経営会議、取締役会において報告・承認(年1回以上)。
2.戦略
①国内グループ会社、主要な海外グループ会社を対象に、TCFDが提言する気候変動シナリオ分析、気候変動リスク・機会の選定、財務インパクトの定性・定量評価を実施。(参照:「気候変動リスク・機会および財務インパクトの影響度評価」)
自社および社会や地球にとってプラスのインパクトをもたらす、省エネ活動や再エネ活用など、「環境ビジョン2030」に基づく継続的なCO2排出削減対策を推進。
②森林の農地転用や家畜肥育に伴う気候変動への悪影響の懸念を背景に、Plant-Based Food(植物性食品)の市場拡大が見込まれる。当社グループは2030年ビジョン『植物性素材でおいしさと健康を追求し、サステナブルな食の未来を共創します』のもと、サステナブル調達推進による環境保全への配慮、当社グループが強みを持つ植物性食品素材の提供によって、脱炭素社会における社会課題の解決に取り組む。
3.リスク管理
・経営会議において全社重要リスク対応策の立案、実施、評価・改善などを行う全社リスクマネジメント体制を構築。
・気候変動リスクも全社重要リスクの一つと位置付け、全社リスクマネジメント体制で管理。対応内容は取締役会に報告(年1回以上)。
4.指標と目標
・環境ビジョン2030」目標:スコープ1、 2で2030年にCO2の排出量を総量で40%削減(*1)
・環境ビジョン2030」目標達成に向け、生産現場における省エネ活動やエネルギー使用量の少ない新設備の導入、再生可能エネルギーの使用などへ積極的に取り組む。また、スコープ3データの精度向上を図り、排出量が多いカテゴリ1の削減方法の検討、SBT認定を取得した目標を達成するためのグループ内への説明・周知活動を実施。
・2022年度より不二製油(株)にてインターナルカーボンプライシング(*2)をトライアル導入し、投資計画の策定・省エネ推進へのインセンティブ・投資意思決定の指針等に活用予定。
(*1)2030年CO2排出量削減目標:
「スコープ1、2:40%削減、スコープ3(カテゴリ1):18%削減」(基準年:2016年)
・スコープ1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出
・スコープ2:他社から供給された電気、熱 ・蒸気の使用に伴う間接排出
・スコープ3:事業者の活動に関する他社の排出(カテゴリ1~15)
・カテゴリ1:原材料
注:詳細はサステビリティレポートをご参照ください。
(https://www.fujioilholdings.com/sustainability/environment/management/)
(*2)インターナルカーボンプライシング:
企業が独自に炭素価格を設定し、企業の低炭素投資・対策を推進する仕組み
気候変動リスク・機会及び財務インパクトの影響度評価
*1影響度
大:「利益への影響額が100億円以上となる可能性がある」
中:「利益への影響額が20億円以上~100億円未満となる可能性がある」
小:「利益への影響額が20億円未満となる可能性がある」
上記、大・中・小の影響度は、当社グループにおける現在のポートフォリオ、財務状況、業績等に基づき、ある条件下の試算により予測される2050年頃の財務インパクトについて言及したものです。財務インパクトの評価はこの影響度を基準として行っておりますが、変動する場合があります。
*2「 環境規制対応コストの増加リスク」における財務インパクト「炭素税導入によるコストの増加」の影響度は、2030年頃を想定したものであり、「IEA」、「IPCC」等による各国炭素税見込額と当社グループのCO2排出見込量より算出。
*3「 One Health」:生態系の健康、そして動物の健康を守ることが、人の健康を守ることでもあるという事実を認識し、人、動物、生態系、3つの健康を1つと考え、守っていこうという概念。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績、キャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりです。なお、当連結会計年度より報告セグメントの変更を行っており、以下の前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分にて組み替えた数値で比較分析をしております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等)」を参照下さい。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものです。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表を作成するに当たり、必要な見積りを行っており、それらは資産、負債、収益及び費用の計上金額に影響を与えております。これらの見積りは、その性質上判断及び入手し得る情報に基づいて行いますので、実際の結果がそれらの見積りと相違する場合があります。特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
なお、当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額が会計上の見積りによるもののうち、翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがある重要な会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」に記載しております。
(繰延税金資産)
繰延税金資産は、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を十分に検討し、回収可能見込額を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ、課税所得が減少した場合、繰延税金資産が取り崩され、税金費用を計上する可能性があります。
(有形・無形固定資産の減損処理)
減損の兆候のある資産又は資産グループについて、回収可能価額に基づき減損の判定を行っております。回収可能価額は、使用価値と正味売却価額のいずれか高い方により測定しております。回収可能価額は、事業計画や市場環境の変化により、その見積り金額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、追加の減損処理が必要になる可能性があります。
(退職給付費用及び退職給付債務)
当社グループは、退職給付費用及び退職給付債務について、割引率等、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼす可能性があります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 経営成績の状況の分析
当連結会計年度は、景況感の改善が緩やかに進む一方で、新型コロナウイルスの変異株の出現による行動制限に加え、サプライチェーンの混乱、原材料価格の高騰、インフレの進行や金利上昇など、世界経済の先行きが不透明な状況が続きました。当社の主原料であるパームや大豆につきましては、経済活動再開や米国クリーンエネルギー政策の影響に伴う需要の拡大期待に加え、生産地での労働者不足やサプライチェーンの混乱などの影響により、原材料価格が高値水準で推移いたしました。
当社におきましては、各エリアにおいて原材料価格の上昇に応じた適正価格での販売や、拡販施策の実施、コスト削減により、収益の向上に取り組みました。日本や東南アジア、中国では、需要の変化をとらえた製品展開と提案を進めました。米州では、労働人員不足やサプライチェーン混乱の影響はありましたが、生産の安定策の推進や積極的な拡販を進めました。成長投資につきましては、米国の植物性油脂事業の新工場稼働や、Blommer Chocolate Companyでの生産性の改善、欧州の大豆加工素材事業の新工場への投資、また、北米での植物油脂の取り扱い拡大を目指し伊藤忠商事株式会社と合弁会社の設立合意を行うなど、積極的な成長投資を継続して行いました。
当連結会計年度は、前連結会計年度までの中期経営計画「Towards a Further Leap 2020」(2017-2020)で未達となった施策の実施に加え、次期中期経営計画に向けた経営基盤の強化に取り組む重要な年度であるとの考えのもと、収益力の向上と執行能力を高める組織作りを行いました。また、サステナビリティの取り組みの深化等、グループ一丸となって短中長期的な企業価値向上に取り組みました。
以上の結果、当連結会計年度における連結経営成績は、売上高は4,338億31百万円、営業利益は150億8百万円、経常利益は143億60百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は115億4百万円となりました。
なお、対前期比で親会社株主に帰属する当期純利益が増加している主な要因は、シンガポールにおける固定資産売却益及びブラジルにおける還付税金の特別利益によるものです。
(単位:百万円)
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売上高 |
営業利益 |
経常利益 |
親会社株主に帰属 する当期純利益 |
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2022年3月期 |
433,831 |
15,008 |
14,360 |
11,504 |
|
2021年3月期 |
364,779 |
17,911 |
17,565 |
11,014 |
|
前期比 増減 (前期比 増減率) |
+69,051 (+18.9%) |
△2,903 (△16.2%) |
△3,204 (△18.2%) |
+489 (+4.4%) |
セグメントの経営成績を示すと、次のとおりです。
(単位:百万円)
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売上高 |
前期比 増減 |
前期比 (%) |
営業利益 |
前期比 増減 |
前期比 (%) |
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植物性油脂 |
134,976 |
+36,563 |
+37.2% |
7,401 |
△470 |
△6.0% |
|
業務用チョコレート |
185,540 |
+23,094 |
+14.2% |
7,548 |
△59 |
△0.8% |
|
乳化・発酵素材 |
79,146 |
+8,547 |
+12.1% |
1,617 |
△1,085 |
△40.2% |
|
大豆加工素材 |
34,167 |
+845 |
+2.5% |
2,149 |
△1,334 |
△38.3% |
|
連結消去・グループ管理費用 |
- |
- |
- |
△3,708 |
+47 |
- |
|
合 計 |
433,831 |
+69,051 |
+18.9% |
15,008 |
△2,903 |
△16.2% |
(植物性油脂事業)
売上高は、主原料であるパームの価格上昇に伴う販売価格の上昇に加え、需要の回復による販売数量の伸長により、大幅な増収となりました。営業利益は、東南アジアや欧州におけるチョコレート用油脂などの販売数量が伸長しましたが、原材料価格の高騰による採算性の低下に加え、北米における新工場の稼働開始に伴う減価償却費等の費用増加などにより減益となりました。
(業務用チョコレート事業)
売上高は、原材料価格の上昇に伴う販売価格の上昇に加え、経済活動再開や積極的な販売促進に伴う販売数量の増加により、大幅な増収となりました。営業利益は、日本やブラジルにおいて販売数量の増加による増益要因はあったものの、前連結会計年度に計上したBlommer Chocolate Companyでの先物評価益の剥落を主因に、減益となりました。
(乳化・発酵素材事業)
売上高は、原材料価格の上昇に伴う販売価格の上昇に加え、販売数量の回復により増収となりました。営業利益は、日本での販売数量の回復を主因とした増益要因はあったものの、東南アジアや中国での原材料価格の上昇による採算性の低下により、減益となりました。
(大豆加工素材事業)
売上高は、原材料価格の上昇に伴う販売価格の上昇に加え、粒状大豆たん白の販売伸長などにより、増収となりました。営業利益は、原材料価格の上昇に伴う採算性の低下に加え、千葉工場や欧州における新工場建設等に伴う費用の増加により、減益となりました。
② 財政状態の状況の分析
当連結会計年度は、中国の連結子会社を譲渡しノンコア事業の整理を行ってまいりましたが、運転資本の増加や成長投資を目的とした設備投資、急激な円安基調による為替換算影響などがあり、当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ581億6百万円増加し、4,166億17百万円となりました。
当社グループは、依然として新型コロナウイルス感染症による事業活動や業績への影響を見極めることが必要であり、アフターコロナを見据えた設備投資・事業投資と財務健全性の向上とのバランスが重要だと考えております。投資については、総枠管理のみならず事業部門ごとに優先項目を選定することに加え、事業ポートフォリオの見直しを随時実施しております。引き続き、資本コストを重視した成長投資を継続しながらも、キャッシュ・フローの創出と資金効率の最大化を図り、中長期的にネットD/Eレシオ0.5倍以下を目指します。
(単位:百万円)
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2021年3月期 |
2022年3月期 |
増減 |
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流動資産 |
160,736 |
201,334 |
+40,597 |
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|
有形固定資産 |
129,435 |
140,628 |
+11,192 |
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無形固定資産 |
52,712 |
55,697 |
+2,984 |
|
|
その他資産 |
15,626 |
18,958 |
+3,331 |
|
資産 |
|
358,511 |
416,617 |
+58,106 |
|
|
有利子負債 |
131,309 |
148,769 |
+17,459 |
|
|
その他負債 |
64,311 |
78,352 |
+14,041 |
|
負債 |
|
195,621 |
227,122 |
+31,501 |
|
純資産 |
|
162,890 |
189,495 |
+26,605 |
(資産)
当連結会計年度末の資産は、原材料価格の上昇に加え、需要の回復に伴う販売数量の伸長による運転資本の増加により流動資産が増加しております。有形固定資産は、米国や欧州における新工場建設、日本や米国における既存設備の更新や合理化投資により増加しております。以上の結果、前連結会計年度末に比べ581億6百万円増加し、4,166億17百万円となりました。
(負債)
当連結会計年度末の負債は、原材料価格の上昇や需要回復に伴う運転資本の増加、米国や欧州における新工場建設をはじめとする設備投資の実施に伴う有利子負債の増加により、前連結会計年度末に比べ315億1百万円増加し、2,271億22百万円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産額は、円安基調に伴う為替換算調整勘定の変動や繰延ヘッジ損益の増加、利益剰余金の積み上げにより、前連結会計年度末に比べ266億5百万円増加し、1,894億95百万円となりました。この結果、1株当たり純資産額は前連結会計年度末に比べ306円46銭増加し、2,168円13銭となりました。自己資本比率は前連結会計年度末比0.1ポイント増加し、44.7%となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末におけるキャッシュ・フローの状況は、成長投資を目的とした設備投資を厳選して行い、設備投資に伴う支出は抑制いたしましたが、運転資本の増加により、営業活動によるキャッシュ・フローは大幅に減少いたしました。
当社グループは、財務規律を維持・向上するためには、有利子負債の削減と着実な利益成長、CCCの改善等により、フリー・キャッシュ・フローを毎年100億円以上創出する必要があると認識しております。引き続き、資本コストを重視した成長投資を継続しながらも、キャッシュ・フローの創出と資金効率の最大化を図り設備投資の抑制、ノンコア事業の売却及び政策保有株式の更なる削減等を行ってまいります。
(単位:百万円)
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2021年3月期 |
2022年3月期 |
増減 |
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営業活動によるキャッシュ・フロー |
38,205 |
3,537 |
△34,668 |
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投資活動によるキャッシュ・フロー |
△17,395 |
△18,807 |
△1,411 |
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フリー・キャッシュ・フロー |
20,809 |
△15,269 |
△36,079 |
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財務活動によるキャッシュ・フロー |
△19,931 |
9,387 |
+29,318 |
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現金及び現金同等物 |
20,452 |
15,915 |
△4,536 |
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、35億37百万円の収入となりました。前連結会計年度に比べ、原材料価格の上昇に加え、需要の回復に伴う販売数量の伸長による運転資本の増加を主要因として、前連結会計年度に比べ、346億68百万円収入が減少しております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、米国における植物性油脂事業の工場新設や欧州における欧米市場向けの大豆加工素材事業の工場新設への設備投資等により、188億7百万円の支出となりました。前連結会計年度に比べ、設備投資に伴う支出は減少したものの、前連結会計年度に発生した国内子会社・海外子会社の株式譲渡に伴う貸付金の回収及び譲渡収入が剥落したことにより、14億11百万円支出が増加しております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
前連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いや借入金の返済等により、199億31百万円の支出となりましたが、当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いによる支出があったものの、運転資本の増加や設備投資の実施に伴う追加借入により、93億87百万円の収入となりました。
(3)資本の財源及び資金の流動性
当社グループは円滑な事業活動に必要十分な流動性の確保と財務規律の維持及び財務健全性の向上を基本方針としております。
当社グループの主な資金需要は、生産活動及び販売活動に必要な運転資金、事業拡大のための設備投資、グループ基盤強化のための事業投資等です。資金の源泉は、営業活動によるキャッシュ・フローと金融機関からの借入や社債の発行等による資金調達です。
短期運転資金は自己資本及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資資金や長期運転資金は金融機関からの長期借入のほか、社債発行による資金調達を行っております。また、新型コロナウイルス感染症や自然災害等の不測の事態に備え、手許流動性を補完すべく、金融機関とコミットメントラインを締結しております。
なお、当連結会計年度末における有利子負債残高は1,487億69百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は159億15百万円となっております。
(4)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当社グループの生産品目は広範囲、多種多様であり、かつ、製品のグループ内使用(製品を他のグループ会社の原材料として使用)が数多くあるため、セグメント別(連結ベース)に生産実績を、金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産の実績については、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 ①経営成績の状況の分析」における各セグメントの業績に関連付けて示しております。
②受注実績
当社グループは需要予測に基づく見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
③販売実績
当連結会計年度におけるセグメントごとの販売実績については、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 ①経営成績の状況の分析」に記載のとおりです。
株式会社J-オイルミルズとの業務提携および株式相互保有に関する契約
① 株式の持ち合い
相互に相手方株式を保有します。
② 原料・資材の効率的調達
原料・資材の共同調達により安定調達及びコスト低減を図ります。
③ 中間原料油の相互供給
双方の強みを活かした中間原料油の相互供給により、使用製品の機能強化・コスト削減を図ります。
④ 相互の生産設備の有効活用
両社が有する生産設備を相互に有効活用し、生産の効率化を図ります。
⑤ 物流業務の効率化
物流拠点の集約化、共同配送・共同輸送等により、物流業務の効率化、コスト低減を図ります。
⑥ その他
双方にメリットのある取り組みを行います。
当社グループは長年積み重ねてきた研究成果と先進の技術力を生かし、植物性油脂とたん白を基礎とする新しい機能を持つ食品素材の開発に取り組んできました。特に近年はESG経営の推進のもと、短期視点、長期視点の両軸で社会課題へアプローチし、Plant-Based Food(PBF)の拡大を実現する新製品・新技術・新ビジネス創出を目指した研究開発活動を実施しています。また、イノベーションを推進するため、国内外の大学や研究機関とのオープンイノベーションや顧客との共創活動を強化しています。世界中の人々の食べることの歓びと健康に貢献することをモットーに、社会になくてはならない会社になるための研究開発活動に努めています。
当社グループの中核研究開発施設である日本国内の「不二サイエンスイノベーションセンター」、「つくば研究開発センター」、及びシンガポールの「アジアR&Dセンター」、そして全世界10箇所の「フジサニープラザ」では、基礎研究や素材開発、及び多数のお客様、企業・研究機関の方をお迎えしての「共創」による研究開発を行っております。また、2022年1月に当社グループのBlommer Chocolate Company(米国)は、シカゴ市内に新しいアプリケーションラボを開設しました。これにより、研究開発を強化し、事業と連携する新たな施策を進めます。
日本国内を統括する不二製油(株)は、各素材別の開発部と、これら素材を用いたアプリケーションを開発する「市場ソリューション開発部」を併せた研究開発部門として運営しています。この体制により、各素材の融合による新規複合素材の開発を効率良く行うと共に、開発された新素材をすぐさまお客様へ提案し、お客様と共創による価値づくりを実現します。また、技術開発部では、「安全、品質、環境」にこだわり、コア技術の強化・革新に関する研究開発を進めております。
未来創造研究所は、当社グループの将来の事業を創造する研究所としての位置付けのもと、積極的に国内外の大学等の公的研究機関や企業との共同研究やコラボレーション、及び研究員の派遣に取り組んでいます。2021年度に茨城大学に設置した「食の創造」講座では、次世代食素材の創出を目指し、当社研究員による学生の指導や、2022年度に生産を始めるエンドウ多糖類の構造と物性機能に関する共同研究などを実施しています。海外では、シンガポールの研究機関ICESとの共同研究、オランダのワーヘニンゲン大学への研究員の派遣等を行っております。
2021年度には、オランダのフードバレーの中心となるワーヘニンゲン大学キャンパス内に「フジグローバルイノベーションセンターヨーロッパ」を開設し、研究開発のより一層のグローバル化とイノベーションエコシステムの発展の推進を目指しています。日本と海外の各拠点R&Dとの定期的な会合や人的交流を実施することで世界的課題の共有とその解決に取り組むと共に、新たなテーマの発掘や、製品開発と課題解決のスピードアップに努めています。
当連結会計年度の研究開発費の総額は
研究開発活動の概要は次のとおりです。
(植物性油脂事業)
安全・安心で環境に配慮した油脂の製造技術、新機能を有する油脂製品、及びその最適な応用法に関する研究開発を通して、お客様のご要望を形にし、新しいおいしさの創造に貢献しております。
当連結会計年度の主な成果としては、劣化風味発生を抑制した安定化DHA・EPA油脂素材については、乳製品関連にくわえ、液状濃厚流動食、直食用のかけるオイルへの採用実績化を新たに達成しております。また、認知機能へのDHA素材の有効性を実証した研究論文を活かし、当社グループのオーム乳業株式会社にて、『オボエトクDHA』を機能性表示食品(脳機能)として届出受理されています(届出No.G793)。さらに、安定化DHA油脂素材の開発及びこれを用いたヒト臨床試験の実施について高く評価いただき、公益社団法人 日本農芸化学会の農芸化学技術賞を受賞しました。今後も幅広いカテゴリーへの応用開発を継続し、健康寿命を支える素材として実績化を進めて参ります。市場拡大を図っている、当社独自の分散技術である、DTR技術(*)は、昨年度開発の少量添加での機能発現を実現する粉末製品が、作業性向上と特異的な呈味改質機能が評価され、健康訴求型の焼き菓子にて実績化を達成しております。さらに、同技術及び物性機能加工技術を組み合わせ、各種調理加工食品用の風味発現向上と作業性を両立させた油脂の開発を行い、国内外のPBF需要に対応すべく、植物性素材でのお客様への選択肢の多様化を推進しております。従来の油脂結晶制御技術、エステル交換、分別技術についても深堀を進め、より一層環境負荷を低減する製造技術へと発展させ、グローバル市場要望にも対応可能な油脂素材の開発を行い、今後海外展開を拡大されるお客様へのご提案が可能な製品の開発を継続しております。
当事業の研究開発費は
*DTR技術:水溶性成分を油脂に微分散させる技術で、素材の呈味(塩味、旨味、辛味など)や保存安定性を付与増強する技術。
(業務用チョコレート事業)
チョコレートの新技術・新製品開発、及び想定した社会的課題や消費者への価値を具現化したアプリケーションを組み合わせたソリューション提案を行っております。
当連結会計年度の主な成果としては、カカオ豆を厳選し、それらの特長を活かした風味づくりに拘った製菓・製パン用新ブランド「カカオクオリー」ピュアチョコレートを発売しました。シングルビーンズの「カカオクオリーエクアドル70」と「カカオクオリーガーナ66」の2品と、ブレンドによる良質なカカオの風味と作業性の良さを両立した「カカオクオリーブレンドビター65」、ブレンドによるカカオの香りと濃厚な乳味が特長の「カカオクオリーブレンドミルク40」の4品が第1弾の製品構成です。
グローバルでの取り組みとしては、当社グループ会社の各拠点R&Dとの市場・技術情報交換を中心とした定期的なミーティングである「チョコレート開発分科会」をWEBにて開催しました。2021年度はコロナ禍から生活者の健康への意識が一層高まり、海外・国内で需要が伸びている糖類・糖質低減チョコレートに関する技術議論や各エリアでの市場情報の交換を行いました。当社グループ全体でのチョコレート開発組織がグローバルに機能するよう、各拠点間でのシナジー創出を目指し、引き続き取り組んでまいります。
当事業の研究開発費は
(乳化・発酵素材事業)
ホイップクリーム、調理用クリーム、ドリンクベース、マーガリン、チーズ風味素材、パイ製品等、乳製品代替素材を中心とした新技術・新製品開発、及びアプリケーション開発を行っております。
当連結会計年度の主な成果としては、美味しさと機能性を両立した製品開発に取り組む一方、植物性素材の価値追求を行いました。サステナビリティの観点から日本においてもPBFの拡がりが確実なものとなり、当社豆乳ホイップ「濃久里夢(コクリーム)ほいっぷくれーる」、豆乳クリームを使用したバター「ソイレブール」の販売数量も増加しました。また、乳代替素材として注目されているアーモンドミルクのドリンクベースやホイップクリームもラインナップに加わり販売拡大を牽引しました。さらに、株式会社ぐるなびと共同で、乳酸菌と麹菌で発酵させた豆乳チーズ「ソイデリス麹(こうじ)」を開発し、発売しました。これは、国立大学法人東京工業大学・株式会社ぐるなび・当社の3者共同研究の成果により誕生しました。「ソイデリス麹」は、低脂肪豆乳を原料に乳酸菌と日本古来の麹菌にてダブル発酵させた第二世代(*1)の豆乳チーズです。一方、参画中のオランダの研究機関NIZO(*2)が主管するコンソーシアム(共同事業体)での成果も取り入れながら第三世代のPlant-based Cheeseの開発に取り組みます。
当事業の研究開発費は
(*1)2015年発売の豆乳チーズ「マメマージュ」が第一世代
(*2)NIZO:食品と健康における受託研究の世界的大手企業
(大豆加工素材事業)
大豆たん白、大豆たん白食品、大豆多糖類等の開発を行っております。
当連結会計年度の主な成果としては、コロナ禍の社会環境において市場が伸びているプロテインパウダー用途向けに粉末状大豆たん白「ニューフジプロKE01」を開発しました。また、同時に市場が伸びているフードバー等の焼き菓子用途向けには粉末飲料にも対応可能な汎用タイプ「ニューフジプロPB」を開発し、順調に市場での採用が進みました。栄養健康市場への新たな大豆たん白素材の提案としては、健康油脂の中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)を大豆たん白で乳化し、粉末状とした風味の良いたん白栄養粉末「プロリーナMCT20」を開発しました。
粒状大豆たん白素材は、商品開発が加速する大豆ミート市場への対応として、肉様食感に更に近づけた品質改善に取り組み、チキン様の繊維感と風味を高めたブロックタイプの「アペックス1300」、フレークタイプの「アペックス365」の2品を開発し、市場から高評価を頂いております。栄養健康市場で市場が拡大している大豆パフの開発では、新たに高たん白フレークタイプの「ソヤパフ20」を開発しシリアル用途での提案を実施中です。社会の関心の高まるPBF商品への対応として、コンビニエンスストアやファーストフード店向けに大豆ミートのパティ、ベジバーグ、ソイナゲット等の製品の品質向上を進め、製品採用の拡大に努めました。外食産業向けには、半調理済みの素材型商品として「Plant Based」シリーズ5品をラインアップしました。大豆多糖類においては、飲料用安定剤「ソヤファイブシリーズ」の安定性能をさらに高めた製品開発などを進めました。
また、欧米市場に向けて、エンドウ多糖類の新製品を2022年度に立上げ、欧州市場開拓にも取り組む予定です。
当事業の研究開発費は
(中長期視点での研究活動)
未来創造研究所では、「おいしさと健康」に拘った食の市場を創造するための研究や、新規事業に繋がる技術開発に取り組んでおります。また、気候変動対策や世界的な人口増加、人権などの多くの社会課題に対して、将来を見据えた取り組みが企業に求められています。未来創造研究所では、将来の解決すべき社会課題として「高齢化社会」に関しては「高齢者の健康課題の予防」を、「サスティナブルな食資源」に関しては「カカオの持続可能性」にフォーカスし、課題解決に繋がる研究テーマを推進しています。「高齢化社会」においては、認知症やメンタルヘルス、フレイル(*1)等を重要な健康課題と設定し、当社独自の酸化しにくい安定化DHA・EPAや機能性ペプチド等の食による予防を目指し、更なる付加価値化、新素材創出の研究を推進しました。島根大学医学部との共同研究により安定化DHA・EPAを含む乳飲料を摂取することで高齢者の加齢に伴う認知機能の低下が抑制されることに加え、骨の健康維持にも効果があることを明らかにしました。この研究成果は日本油化学会の英文誌に掲載されました。安定化DHA・EPAのこれら機能を活用した新素材の開発も継続して進めて参ります。
昨年度立ち上げた技術ブランド“MIRACORE(ミラコア)™”は、Animal-based Food(動物性食品)が持つおいしさと満足感を植物ベースで実現する全く新しい技術です。本年は動物エキス代替品の開発に成功し、和食・洋食・アジア料理などPlant-based(植物性)調味素材の開発に継続して取り組んで参ります。また、新たな油脂生産技術の獲得に向けた取り組みも進めています。昨年度に続き、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発」に参画し、酵母の油脂生産性向上に関与している新規遺伝子を発見し、生産性を大きく向上させることに成功しました。実用化に向けて研究体制を強化し、油脂生産酵母による地球環境に優しいパーム油代替技術の実用化を目指して参ります。また、2020年に参画したFood Tech Studio Bites! (*2)では、国内外の複数のスタートアップ企業との協業に向けた検討を経て、環境負荷の低い油脂生産技術を持つ企業と共同して低利用食資源を原料とした油脂生産の実証実験を開始しました。
当事業の研究開発費は1,411百万円です。
(*1)フレイル:健康な状態と要介護状態の中間に位置し、加齢とともに身体的機能や認知機能の低下が見られる状態のこと
(*2)Food Tech Studio Bites!:日本の食品メーカーと世界中のスタートアップが共に、「食」を通じた持続可能な社会を実現する「新“食”産業」を創出するグローバル・オープンイノベーション・プログラム