第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。

 また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが入手可能な情報に基づき作成したものです。実際の成果や業績は、今後様々な要因によって、記載されている内容とは異なる可能性があります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

 当中間連結会計期間における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりです。

 

① 経営成績の状況

 当中間連結会計期間は、安全保障問題に関連する経済的な影響や中国の景気動向等が懸念要素としてありつつも、堅調な雇用・所得環境を背景として、欧米を中心に景況は底堅く推移しました。

 日本においては、物価指数の上昇は続いておりますが、雇用環境の改善等により、個人消費は緩やかな拡大傾向が続いています。大企業等を中心に企業景況感は良好であり、設備投資関連指数も堅調な水準となっております。

 原材料相場においては、おおむね安定的に価格が推移しましたが、カカオ豆の原材料価格は、2024年年初より急騰し4月に最高値を更新、その後も不安定に推移しています。

 カカオ豆価格の高騰に伴い当社グループでは、当社グループの強みであり技術力を有するチョコレート用油脂及びコンパウンドチョコレート等の販売拡大の機会と捉え、顧客に対する提案・販売を強化しています。Blommer Chocolate Company(米国、以下「Blommer」)では、2024年3月22日に公表した構造改革の実行を進めており固定費の削減効果も発生しておりますが、主原料であるカカオ豆の調達価格の上昇及び関連費用の増加に伴い一時的に採算が悪化したことにより、当中間連結会計期間において営業損失が発生しました。

 

 以上の結果、当中間連結会計期間における経営成績は、以下のとおりとなりました。

(単位:百万円)

 

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主に帰属する中間純利益

2025年3月期

中間連結会計期間

315,959

4,655

2,367

1,007

2024年3月期

中間連結会計期間

271,038

8,800

8,300

12,365

前年同期比 増減

(前年同期比 増減率)

+44,921

(+16.6%)

△4,144

(△47.1%)

△5,932

(△71.5%)

△11,358

(△91.9%)

 

 売上高は、業務用チョコレート事業での原材料価格の上昇に伴う販売価格の上昇や、植物性油脂事業での堅調な販売、円安の影響等により増収となりました。

 植物性油脂事業では、東南アジアにおいて販売が伸長したことに加え、原材料価格が比較的安定したこと等により採算性が改善しました。業務用チョコレート事業では、日本、東南アジア及びブラジルにおいて価格改定による採算性の改善が進んだ一方、Blommerにおいて、構造改革の効果はありつつも、カカオ豆の調達価格の上昇及び関連費用の増加に伴い一時的に採算が悪化したことにより営業損失が発生しました。これらの要因により、営業利益は減益となりました。

 親会社株主に帰属する中間純利益は、前年同期に計上したFuji Oil New Orleans, LLC(米国)の固定資産譲渡による特別利益の反動等により減益となりました。

 

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。

(単位:百万円)

 

売上高

前年同期比

増減

前年同期比(%)

営業利益

前年同期比

増減

前年同期比

(%)

植物性油脂

96,695

+3,906

+4.2%

10,842

+3,305

+43.9%

業務用チョコレート

155,915

+39,304

+33.7%

△6,617

△7,308

乳化・発酵素材

45,281

+1,658

+3.8%

1,741

+294

+20.4%

大豆加工素材

18,066

+51

+0.3%

801

△170

△17.6%

連結消去・グループ管理費用

△2,111

△265

合計

315,959

+44,921

+16.6%

4,655

△4,144

△47.1%

 

(植物性油脂事業)

 売上高は、米州における販売数量の減少はありましたが、東南アジアでの販売数量の増加及び円安の影響等により増収となりました。営業利益は、人件費等の固定費の増加はあるものの、原材料価格の安定や東南アジアを中心とした販売伸長により増益となりました。

 

(業務用チョコレート事業)

 売上高は、原材料価格の上昇に伴う販売価格の上昇や、日本や東南アジアでの販売数量増加、円安の影響等により増収となりました。営業利益は、日本、東南アジア及びブラジルにおいて価格改定による採算性の改善が進みましたが、Blommerにおいてカカオ豆の調達価格の上昇及び関連費用の増加に伴い一時的に採算が悪化したことにより、減益となりました。

 

(乳化・発酵素材事業)

 売上高は、日本での製パン向けの堅調な販売や東南アジアでの販売数量の増加、円安の影響等により増収となりました。営業利益は、人件費等の固定費の増加はあるものの、原材料価格の安定により増益となりました。

 

(大豆加工素材事業)

 売上高は、大豆たん白食品の販売数量の減少はあったものの、堅調な需要と円安による影響等により前年同期並みとなりました。営業利益は、日本での販売数量の減少等により減益となりました。

 

 

② 財政状態の状況

 当中間連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ315億97百万円増加し、5,018億18百万円となりました。中期経営計画「Reborn 2024」において、資本効率の向上と財務モニタリング強化により事業基盤の強化・再構築を進め、財務体質の改善に取り組んでおります。

 当中間連結会計期間末における連結財政状態は、以下のとおりです。

(単位:百万円)

 

 

2024年3月期

2025年3月期

中間期

増減

 

流動資産

236,858

274,194

+37,336

 

有形固定資産

150,750

149,030

△1,720

 

無形固定資産

55,221

50,513

△4,708

 

その他資産

27,390

28,079

+688

資産

 

470,221

501,818

+31,597

 

有利子負債

130,286

192,943

+62,656

 

その他負債

95,643

85,053

△10,589

負債

 

225,929

277,997

+52,067

純資産

 

244,291

223,821

△20,470

 

(資産)

 当中間連結会計期間末の資産は、原材料価格の上昇に伴う棚卸資産の増加等、主に流動資産の増加により、前連結会計年度末に比べ315億97百万円増加し、5,018億18百万円となりました。

 

(負債)

 当中間連結会計期間末の負債は、運転資本の増加に伴う短期借入金等の有利子負債の増加により、前連結会計年度末に比べ520億67百万円増加し、2,779億97百万円となりました。

 

(純資産)

 当中間連結会計期間末の純資産は、米ドル、ユーロ及びレアル等に対する円高による為替換算調整勘定の減少等により、前連結会計年度末に比べ204億70百万円減少し、2,238億21百万円となりました。

 1株当たり純資産は、前連結会計年度末に比べ212円56銭減少し、2,488円39銭となりました。自己資本比率は、前連結会計年度末比6.7ポイント減少し、42.6%となりました。

 

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当社グループは、財務規律を維持・向上するため、着実な利益成長とキャッシュ・コンバージョン・サイクルの短縮により、フリー・キャッシュ・フローを安定的に創出することを基本方針としております。

 当中間連結会計期間におけるキャッシュ・フローの状況は、以下のとおりです。

(単位:百万円)

 

2024年3月期

中間連結会計期間

2025年3月期

中間連結会計期間

増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

△1,564

△26,584

△25,019

投資活動によるキャッシュ・フロー

16,359

△8,917

△25,276

フリー・キャッシュ・フロー

14,794

△35,501

△50,296

財務活動によるキャッシュ・フロー

△6,873

43,790

+50,663

現金及び現金同等物

28,196

34,115

+5,919

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間連結会計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、265億84百万円の支出となりました。前中間連結会計期間に比べ、棚卸資産の増加に伴う運転資本の増加等により、250億19百万円支出が増加しております。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間連結会計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得等により89億17百万円の支出となりました。Fuji Oil New Orleans, LLCにおいて有形固定資産の売却による収入が発生した前中間連結会計期間に比べ、252億76百万円減少しております。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間連結会計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは、437億90百万円の収入となりました。前中間連結会計期間に比べ、短期借入金の増加等により、506億63百万円増加しております。なお、当中間連結会計期間において、社債について350億円の償還並びに250億円の発行を行っております。

 

(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(3)研究開発活動

 当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、31億58百万円であります。

 なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

 

3【経営上の重要な契約等】

(連結子会社の吸収合併)

 当社は、2024年5月23日開催の取締役会において、2025年4月1日を効力発生日として、当社を吸収合併存続会社、当社の完全子会社である不二製油株式会社を吸収合併消滅会社とする吸収合併(以下、「本合併」)を実施することを決議し、同日付で合併契約書を締結いたしました。また、2024年6月27日開催の当社第96回定時株主総会において本合併にかかる定款変更議案が承認可決されました。

 

1.取引の概要

(1) 被結合企業の名称及びその事業の内容

 被結合企業の名称 不二製油株式会社

 事業の内容    植物性油脂、業務用チョコレート、乳化・発酵素材、大豆加工素材の事業における開発及び製造販売

 

 

(2) 企業結合日

 2025年4月1日(予定)

 なお、本合併は、当社においては会社法第796条第2項に定める簡易合併であり、不二製油株式会社においては、会社法第784条第1項に定める略式合併であるため、いずれも合併契約に関する株主総会の承認を得ることなく実施します。

 

(3) 企業結合の方法

 当社を存続会社、不二製油株式会社を消滅会社とする吸収合併

 

(4) 結合後企業の名称

 不二製油株式会社(FUJI OIL CO., LTD.)

 本合併により、当社は純粋持株会社から事業持株会社に移行する予定であり、事業会社として不二製油株式会社が営んできた事業内容を円滑に継承するため、本合併の効力発生を条件として2025年4月1日付で商号を「不二製油グループ本社株式会社」から「不二製油株式会社」へ変更いたします。

 

(5) 企業結合の目的

 不二製油グループは2015年10月に、事業運営の現地化とスピードの向上を目的として、グループ本社制(純粋持株会社制)へ移行、各エリアでの事業展開を加速させました。同体制の下、業務用チョコレート事業では、海外展開を成長の柱として、米州、アジア地域においてM&Aを実施することで、当該事業を拡大、また植物性油脂事業では、サステナブル原料の調達に注力する等、市場ニーズに応える事業拡大と、主要原料の責任ある調達方針を策定してサステナビリティへの取組を推進してまいりました。

 しかしながら、コロナ禍以降の世界的な経済・社会環境の急激な変化や、地政学リスクの高まり等によって、サプライチェーン全体に及ぶ課題や、サステナビリティへの対応強化等、事業毎に対応を精査・検討し、より迅速に推進する必要性が高まっております。このような事業環境の変化に対し、これまでに培った財務経理やESG等の機能軸による事業管理の強化は継続しつつ、事業軸において人材をはじめとする経営資源の一元管理、最適配分を行い、事業戦略を推進・強化することを目的に、事業持株会社制に移行することとしました。

 

(6) 本合併に係る割当ての内容

 本合併は、当社の完全子会社との吸収合併のため、株式その他の金銭等の割当ては行いません。

 

(7) 引継資産・負債の状況

 当社は、合併の効力発生日において、不二製油株式会社の資産、負債及びその他一切の権利義務を承継いたします。

 

2.会計処理の概要

 「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 2019年1月16日)及び「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第10号 2019年1月16日)に基づき、共通支配下の取引等として会計処理を行う予定です。