第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において入手可能な情報に基づき、当社グループが判断したものであります。

(1) 経営の基本方針

当社グループは、2017年10月に企業理念「Joy for Life~生きるをおいしく、うれしくしたい。~」を策定し、2019年2月には‘Joy for Life’をコーポレートビジョンといたしました。

私たちの目指すべき未来、私たちの使命、私たちの価値を明文化したもので、2004年の統合から15年を経て、有形・無形の資産を十分に活用し、「あぶら」の専門家集団として、あぶらを通したおいしさの追求に加え、あぶらで培った技術の可能性を、食をはじめとする様々な分野へ広げ、「おいしさデザイン企業」として、長期的・持続的な成長を目指しております。また、労働人口の減少による人手不足の解決、高齢者への栄養補給、調理時間短縮等といったお客様や社会課題の解決に貢献することで、企業の社会的使命を果たし、すべてのステークホルダーの幸せの実現を目指してまいります。

(2) 会社の経営戦略

当社グループは、2017年度を初年度とする4カ年の第五期中期経営計画を策定しております。

油を究めて幸せを創る2020
J-オイルミルズは
「あぶら」を究めて、心動かすおいしさを創造する
おいしさデザイン企業へ

当社は、これまで培ってきた知見やノウハウをもとに、「あぶら」が持つ価値・可能性を拡張して、様々な付加価値機能(揚げ物料理の価値、調理価値、健康価値、調味価値)を徹底的に追究し、人々の心を動かすおいしさを創造する、おいしさデザイン企業を目指します。

当社は、液体・固体・粉体の3つの形態の油脂と食感改良他、様々な機能を有する素材を保有しており、これらを組み合わせておいしさをデザインし、お客様に提供いたします。これにより新たな市場を創造し、少子高齢化の進行により縮小する国内市場においても持続的・安定的な成長を実現いたします。また、国内で磨いた「あぶら」の価値を基に、アジア市場を中心にお客様の「お役立ち」を実現し、海外事業の展開を加速いたします。更には「あぶら」の付加価値機能を追求することで、高齢化社会における最適な栄養補給や労働人口の減少による人手不足、女性の社会進出拡大に向けた調理時間短縮、不足する食資源といった今後拡大が想定される社会課題の解決に貢献できる商品・サービスの開発に取り組んでまいります。

第五期中期経営計画の前半2年間は、企業理念の策定・浸透を核とした風土改革を土台として、人事制度、ガバナンス、内部統制、情報システムあるいは品質保証等を含む経営基盤強化を進めると共に、事業の選択と集中、あるいはサプライチェーンの効率化・高度化といった構造改革による経営資源の創出と、その資源を活用した高付加価値化を中心とした成長戦略を進めてまいりました。

それを受け、後半2年間では、これまで推進してきた成長戦略と構造改革に加え、それらを支える経営基盤強化ならびに企業理念浸透を核とした組織風土改革を引き続き推進し、持続的な成長基盤を確立してまいります。さらに2030年に向けた成長の仮説検証を迅速に行うと共に、経営基盤強化に重点的に取り組んでまいります。

Ⅰ 成長戦略

① 油脂・育成領域での高付加価値品拡大、事例創出の展開加速

② BtoB市場でのソリューション事業強化 ~強みの掛け算~

③ アジアでの海外展開加速 ~国内で磨いた価値を基に~

④ コア事業である汎用油脂製品の収益力強化

Ⅱ 構造改革

① バリューチェーンの効率化・高度化の取り組み推進

② 中長期視点での生産拠点最適化

③ 選択と集中、および効率化

Ⅲ 経営基盤強化

① コーポレートガバナンス強化

独立役員拡充、ダイバーシティ推進、取締役会の実効性向上、コーポレートガバナンスコード活用強化

② 事業計画の推進に連動したESG経営の推進

社会課題解決、環境、健康、省力化、資源問題に対するアプローチ

Ⅳ 企業ビジョン浸透・組織風土改革

Ⅴ 財務戦略

① ROEならびにROAを重視し、資本効率性と格付を考慮した財務健全性の最適バランスを取りながら、企業価値向上を追求する

② キャッシュフロー創出力の強化

③ 継続的な資本コスト経営の推進

資金使途としては、事業基盤の整備に向けた設備投資に加え、非連続な成長をもたらす新事業に向けた投資資金も確保。株主還元と合わせて約510億円を予定

④ 株主還元は配当性向30%以上を維持

(3) 目標とする経営指標

当社グループは、第五期中期経営計画(2017~2020年度)において、次の経営数値目標を掲げております。

ROEについては、2018年度実績6.1%で当初目標の5.0%を既に上回っておりますので、さらなる資本効率の向上を目指します。

2021年3月期(2020年度)

連結売上高

2,150億円以上

連結営業利益

80億円以上

売上高営業利益率

3.5%以上

ROE(株主資本利益率)

5.0%以上

 

(4) 会社をとりまく経営環境と事業上及び財務上の対処すべき課題

当社グループを取り巻く環境は、物流費の継続上昇、エネルギー・資材価格上昇等の国内の事業環境に加え、先行き不透明な国際的通商課題による相場・為替変動のリスクがあり、これらの課題に対処すべきと認識しております。それには高付加価値品の売上拡大や構造改革等に取り組み、持続的成長が可能な企業体質の構築を目指す第五期中期経営計画を確実に達成するために、これまで推進してきた成長戦略と構造改革、それらを支える経営基盤強化を引き続き推進してまいります。また2018年度より、持続的成長を確実なものとするために、油脂事業、油脂加工品事業、食品・ファイン事業の主要3事業へセグメント体系を変更しております。

成長戦略では、油脂事業の家庭用市場におけるオリーブオイルの用途拡大提案ならびに新製品の浸透と拡売、業務用市場においては長持ち油「長調得徳®」、様々な調味・調理機能を有する「J-OILPRO®」の提案を強化してまいります。ソリューション事業においては、当社グループが有する各種素材(油脂、スターチ、マーガリン、粉末油脂等)に製菓製パン素材となるミックス粉も加えて、おいしさデザインの実現に向けたお役立ち提案を行ってまいります。さらに2018年7月にオープンした「おいしさデザイン工房」において、これら素材の強みの掛け算による新たな価値創造の検討を日々進めてまいります。

構造改革では、外部環境の変動に左右されにくい事業構造を目指して構造改革を進めてまいります。特に油脂事業においては物流費、エネルギー費等の高騰に対する施策として、2019年3月に発表した油脂製品の価格改定を推進してまいります。

経営基盤強化では、多様性、働きがい、自律的成長を促す人事制度改定を進め、将来の当社グループを担う人財の育成と働き方改革を推進してまいります。また2019年度より社内取締役を5名から4名とする一方で、社外取締役を4名から5名とすることで監督機能をさらに強化し、統制の取れた経営を推進してまいります。当社グループはこれまで培った資産と独自の強みを活かし、SDGsで挙げられている様々な課題に対して、事業を通じて解決に貢献すると共に新たな価値を提供しESG経営を進めてまいります。なお、これらを推進するに際し、全社コンプライアンス研修の実施やリスク想定力強化プロジェクト等により、内部統制を強化してまいります。

これらの取り組みにより、全社における企業理念「Joy for Life~生きるをおいしく、うれしくしたい。~」のさらなる浸透を進め、人々の心を動かすおいしさを創造する、おいしさデザイン企業を目指し、安定的に収益をあげることの出来る企業グループへと変革し、企業価値を向上させることにより、当社のステークホルダーの方々の幸せを実現してまいります。

 

(財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針)

当社は財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等は次のとおりです。この基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることにより当社の企業価値・株主共同の利益が毀損されることを防止するための取組みとして、当社株式の大量取得行為に関する対応策(以下「本買収防衛策」といいます。)を導入しております。

(1) 当社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

当社は、経営支配権の移転を通じた企業活動の活性化の意義を否定するものではなく、当社株式の大規模買付についての判断は、最終的には当社株主の皆様全体の意思に基づいて行われるべきものと考えております。
 しかしながら、株式の大量取得の中には、その目的等から見て企業価値や株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主が株式の大量取得の内容等について検討し、あるいは対象会社の取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないもの、対象会社が買収者の提示した条件よりも有利な条件をもたらすために買収者との協議・交渉を必要とするもの等、対象会社の企業価値・株主共同の利益に資さないものも少なくありません。
 当社は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者は、当社グループの財務および事業の内容や当社の企業価値の源泉を十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を継続的かつ持続的に確保、向上していくことを可能とする者であることが必要と考えています。
 特に、当社の企業価値の源泉は、主として、長年に亘って安全で高品質な商品を安定的に供給してきた実績から得られたお客様の信頼と、それを裏付ける技術力にあると考えておりますが、かかる当社の企業価値の源泉に対する理解が必要不可欠です。当社株式の大量取得を行う者が、当社グループの財務および事業の内容を理解するのは勿論のこと、こうした当社の企業価値の源泉を理解した上で、それを中長期的に確保し、向上させられるのでなければ、当社の企業価値・株主共同の利益は毀損されることになります。
 当社は、このような当社の企業価値・株主共同の利益に資さない大量取得を行う者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として不適切であり、このような者による大量取得に対しては、必要かつ相当な対抗措置を採ることにより、当社の企業価値・株主共同の利益を確保する必要があると考えます。

(2) 基本方針の実現に資する取組み

当社の企業価値の源泉は、長年に亘って安全で高品質な商品を安定的に供給してきた実績から得られたお客様の信頼と、それを裏付ける技術力にあると考えており、具体的には以下の6点を挙げることができます。

(ⅰ) 安全で安心な製品に対する信頼

(ⅱ) 安全な製品を生み出す高度な技術力

(ⅲ) 安定供給による信頼

(ⅳ) 高付加価値・高品質の製品を生み出す研究開発力

(ⅴ) 長年培った販売力

(ⅵ) 従業員

① 中期経営計画

当社は、これら当社の企業価値の源泉を今後も維持・発展させていくことが、企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上につながるものと考えており、また中期経営計画を策定することにより、企業価値の発展を図っております。
 2017年度を初年度とする4ヶ年の第五期中期経営計画においては、4つの成長戦略と3つの構造改革を事業戦略の基本方針とし、その事業戦略を支えるべく、経営基盤の強化および企業ビジョンの浸透と組織風土改革を行います。

② コーポレート・ガバナンス

また当社は、企業価値ひいては株主共同の利益の向上のための重要な仕組みとして、従来よりコーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでまいりました。
 当社は経営効率化のために執行役員制度をとり、原則として月に3回開催される経営会議における意思決定に基づき各執行役員が業務を執行しております。業務執行および意思決定のうち重要なものについては、毎月開催される取締役会に付議・報告され、その監督に服するものとしております。
 取締役のうち5名は非常勤の社外取締役(うち独立社外取締役3名)であり、取締役会での審議に当たり、客観的な意見を述べております。
 監査役会は、常勤の監査役1名、常勤の社外監査役1名、非常勤の監査役1名、非常勤の社外監査役1名の4名からなり、各監査役は、毎月開催される取締役会に出席して取締役の意思決定・業務執行を監視・監督しております。また、常勤監査役は経営会議にも出席し、取締役による業務執行を適法性・適正性の観点から監視・監督しております。
 このように当社では、経営上の意思決定および業務執行につき、取締役会および監査役会による監視・監督により、適法かつ適正な業務執行が行われるような仕組みをとっておりますが、今後更にコーポレート・ガバナンスの充実を図り、企業価値ひいては株主共同の利益を向上させていく所存であります。

(3) 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み

① 本買収防衛策の目的

本買収防衛策は、当社株式の大量取得行為が行われる場合の当社における手続を定め、このような大量買付に応じるか否かを株主の皆様が適切に判断し、あるいは当社取締役会が株主の皆様に代替案を提案するために必要かつ十分な情報と時間を確保するとともに、買付者等との交渉の機会を確保することにあります。
 これにより、当社の企業価値の源泉である、長年に亘って安全で高品質な商品を安定的に供給してきた実績から得られたお客様の信頼と、それを裏付ける技術力等が害されることを防止し、当社の企業価値および株主の皆様の共同の利益を確保し、向上させることを目的としています。

② 本買収防衛策の概要

本買収防衛策は、有事の際に対抗措置を発動する可能性を事前に予告する事前警告型買収防衛策です。具体的には、次のような内容を有しています。

(ⅰ) 当社が発行者である株券等について20%以上の買付その他の取得等を行うことを希望する買付者等は、あらかじめ買付等の内容の検討に必要な情報を当社に対して提出していただきます。

(ⅱ) 独立委員会は、当社取締役会に対し、上記買付等の内容に対する意見や根拠資料、これに対する代替案(もしあれば)等を提出するよう求めることができます。

※独立委員会は、当社社外取締役、当社社外監査役または社外の有識者(実績ある会社経営者、官庁出身者、投資銀行業務に精通する者、弁護士、公認会計士もしくは学識経験者またはこれらに準ずる者)で、当社経営陣から独立した者のみから構成されます。

(ⅲ) 独立委員会は、買付者等や当社取締役会から情報を受領した後、必要に応じて外部専門家等の助言を得た上で、買付等の内容の評価・検討、当社取締役会の提示した代替案の検討等を行います。

(ⅳ) 買付者等が、本買収防衛策の手続を遵守しない場合や当社の企業価値または株主の皆様の共同の利益を著しく損なうと認められる場合には、当社取締役会は、独立委員会の判断を経た上、新株予約権の無償割当てを実施するか否かを決定します。

(ⅴ) 上記(ⅱ)乃至(ⅳ)にかかわらず、当社取締役会は、(a)買付者等が本買収防衛策に定める手続を遵守しているとともに、買付等が当社の企業価値または株主共同の利益を毀損することが明白ではない場合で、かつ、(b)新株予約権の無償割当ての実施について株主総会を開催することが実務上可能である場合には、独立委員会における手続の他、株主意思確認株主総会を招集して、当該株主総会において、新株予約権の無償割当てを実施するか否かを決定します。

(ⅵ) 本買収防衛策に基づく対抗措置として、新株予約権を割り当てる場合には、当該新株予約権に、買付者等およびその関係者による権利行使は認められないという行使条件、および当社が買付者等およびその関係者以外の者から当社株式と引換えに新株予約権を取得することができる旨の取得条項が付されることが予定されています。

(ⅶ) 本買収防衛策の有効期間は、2020年3月期に関する定時株主総会終結の時までとします。

(4) 上記の取組みに対する当社取締役会の判断およびその理由

① 本買収防衛策が基本方針に沿うものであること

本買収防衛策は、当社株券等に対する買付等が行われる場合に、当該買付等に応じるべきか否かを株主の皆様が判断し、あるいは当社取締役会が株主の皆様に代替案を提案するために必要な情報や時間を確保したり、株主の皆様のために買付者等と協議・交渉等を行うことを可能とすることにより、当社の企業価値・株主共同の利益を確保するための枠組みであり、基本方針に沿うものです。

② 本買収防衛策が株主共同の利益を損なうものではなく、また、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものでないこと

当社は、次の理由から、本買収防衛策は、当社株主の共同の利益を損なうものでなく、また、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。

(ⅰ) 経済産業省および法務省が2005年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の要件を完全に充足し、また、東京証券取引所の「有価証券上場規程」に定められる買収防衛策の導入に係る尊重事項を全て充足していること。さらに、本買収防衛策は、企業価値研究会が2008年6月30日に公表した「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」その他昨今の買収防衛策に関する議論等を踏まえていること。

(ⅱ) 株主意思を重視するものであること。

(ⅲ) 独立性の高い社外者の判断を重視し、適時適切な情報開示を定めていること。

(ⅳ) 合理的な客観性要件を設定していること。

(ⅴ) 外部専門家の意見を取得することとしていること。

(ⅵ) 当社取締役の任期は1年であること。

(ⅶ) デッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交替させてもなお、発動を阻止できない買収防衛策)やスローハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の交替を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策)ではないこと。

 

2 【事業等のリスク】

当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、主に次のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において入手可能な情報に基づき、当社グループが判断したものであります。

(1) 経営環境に関するリスク

① 搾油原料の調達リスク

当社グループの中核事業である製油事業においては、大豆・菜種等の搾油原料をすべて海外から調達しております。中国、インドを始めとした新興国の経済発展や人口増加による植物油需要の増加に加え、バイオ燃料向けの植物油需要、世界的な低金利に伴う投機資金の流入等もあり、調達環境も厳しい状況が続いております。今後も原料穀物に対する需要が増加し続けますと、製品の安定供給面でのリスクが更に増大する可能性があります。

② 原材料・為替相場等の影響

当社グループは主要原料の大豆・菜種等を海外から調達するため、原料コストは海外の穀物相場の影響を受けております。穀物の相場は天候・需給バランス等の要因により大きく変動することがあります。海外からの調達であるため、原料代決済において為替相場の影響を受けます。また、海上運賃(フレート)は世界経済や石油価格の影響を受けて変動します。さらに、ミール相場が低下すると、オイルコストの上昇につながります。以上の穀物・為替・海上運賃・ミールなどの相場変動に伴うコストアップ分を価格に転嫁できない場合、収益を圧迫する可能性があります。

③ 輸入関税

当社グループが主力とする大豆油・菜種油は、輸入に対して関税が課されております。TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)からの「永久離脱」をうたう米国との今後のEPA(経済連携協定)・FTA(自由貿易協定)やWTO(世界貿易機関)交渉については不透明な状況となっておりますが、カナダ・豪州産の大豆油・菜種油に対する関税は段階的に引き下げられることになっているため、海外からの安価な製品の流入により国内の販売価格が低下し、国内製造品の販売量が減少するリスクがあります。

④ 油脂・ミール製品の需要低下を及ぼす要因

今後何らかの事由により、畜産物や乳製品に対する関税が引き下げられた場合には、海外からの安価な製品の流入によって国内の畜産業・酪農業が大きな打撃を受ける可能性があります。また口蹄疫や鳥インフルエンザ等の家畜伝染病によって国内の畜産業・酪農業が大きな打撃を受ける可能性もあり、その場合には配合飼料に使われる大豆ミール、菜種ミールの販売量が減少するリスクがあります。また、家庭における油を使用した調理機会の減少、油脂の摂取量を抑えるダイエットや油を使用しない調理法の普及などにより、油脂製品の消費量が減少する可能性があります。

⑤ 国内人口の少子高齢化

日本国内においては依然として少子高齢化が進んでおります。このまま少子高齢化が続きますと、需要の減少により市場が縮小し製品販売量が減少するリスクがあります。この影響を最小限に抑えるべく、高齢者層の人口増加による健康志向の高まり等の需要の変化に対応して新商品開発などの対策を講じてまいります。

⑥ 海外進出に潜在するリスク

当社グループは海外事業の拡大を重点課題として取り組んでおります。予期せぬ法律・規制・税制の改正、また、紛争・テロなどの政治的・社会的リスクや自然災害の発生により、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑦ 自然災害

大規模な地震・台風等の災害が発生した場合、生産設備の毀損あるいは事業活動の中断等により、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑧ 感染症の蔓延

新型インフルエンザのような感染症が発生し、世界的大流行(パンデミック)が起こった場合、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 事業活動に関するリスク

① 食品安全

当社グループは食品安全を確実に確保するため、原材料調達先から、食品衛生法、食品表示法、JAS法、健康増進法など関連法規に違反しないことを証する書面による保証を入手するとともに自社でも確認しています。また、輸入原材料に対するトレ-サビリティの確保など、万全の体制で臨んでおります。しかし、想定されていない社会全般にわたる安全性問題が発生した場合、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

② 情報の漏洩や不正アクセス等の影響

当社グループは情報資産およびコンピュータシステムに関して、運用体制の整備や情報管理の徹底など、適切なセキュリティ対策を実施しております。しかしながら、当社の想定を超えた不正アクセスやコンピュータウィルスの感染等による情報漏洩やデータ改ざんが発生した場合、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 法的規制その他のリスク

① 法的規制

当社グループは、食品衛生法、食品表示法、JAS法等以外に環境・リサイクル関連法規、独占禁止法等の様々な法的規制の下で事業展開しております。当社グループはESG経営の推進を経営方針とし、法規の遵守に努めて事業運営しておりますが、予測し得ない法的規制の変更や追加により、事業上の制約などにつながることで当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

②環境規制

当社グループは各工場でISO14001を取得し、また、国や自治体に応じた環境法令等への対応や、環境トラブル防止に配慮した事業運営に取り組んでおりますが、将来、環境法令や環境改善の取組みの強化などにより、環境に関する費用負担が当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の業績は、良好なミール相場環境のもと油脂事業が好調に推移し、高付加価値品の拡売、2017年度から取り組んできた油脂製品販売価格の改定効果もあり、増収増益となりました。また、特別損益では生産拠点再編により遊休となっていた土地の売却による固定資産売却益の計上や、神戸工場において台風被害による災害損失等を計上いたしました。

以上の結果、当期の業績は、売上高1,867億78百万円前年同期比1.9%増)、営業利益56億63百万円前年同期比41.4%増)、経常利益63億26百万円前年同期比23.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益47億49百万円前年同期比15.1%増)となりました。

当連結会計年度末の総資産は1,476億88百万円前期末比59億54百万円減)、負債は607億79百万円前期末比87億47百万円減)、純資産は869億8百万円前期末比27億93百万円増)となりました。

 

セグメントの概況は、次のとおりであります。

なお、当連結会計年度より、報告セグメントを変更しており、当連結会計年度の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。

(油脂事業)

油脂事業環境につきましては、主原料である大豆相場は、期初1ブッシェル当たり10米ドル台前半で推移したものの、その後は米国産地で良好な生育状況が続き豊作観測となったことや、米中貿易摩擦から1ブッシェル当たり8米ドル台から9米ドル台での推移となりました。菜種相場は、期初1トン当たり520~540加ドルで推移しましたが、その後はカナダ産地の生育状況が概ね良好となったことや、中国とカナダの関係悪化から輸出需要が減少し需給緩和が予想されたことから、1トン当たり450~510加ドルのレンジでの推移となりました。為替相場は、日米の金利差や好調な米国の経済状況を材料に円安傾向で推移したものの、世界的な株安からリスク回避姿勢が強まり一時的に円高になる局面もあり、前年同期と比較して円高ドル安となりました。

油脂部門においては、高付加価値品のマーケティング強化と採算構造強化を進め、増収となりました。家庭用油脂は、キャノーラ油等の販売価格の維持に努めたことで販売数量は前年同期を下回りましたが、オリーブオイルや新商品による売上伸長が寄与し、売上高は前年同期を上回りました。業務用油脂は、「長調得徳®」や「J-OILPRO®」等を中心に、顧客に対して、当社製品を使用することによるオペレーション改善、労働環境改善や配送コスト改善といった社会課題の解決への提案に注力した結果、汎用品からの需要シフトと販売価格の維持ができたことにより、売上高は前年同期をわずかに上回りました。

油糧部門においては、主たる需要先である配混合飼料の国内生産量は前年同期と同程度となりました。シカゴ大豆ミール相場がアルゼンチンの大幅減産の影響を受けて高値で推移したことから、大豆ミールの販売価格は前年同期に比較して上回りましたが、販売数量は前年同期を下回りました。菜種ミールの販売価格は、大豆ミール価格の上昇や菜種ミールの国内需給を背景に前年同期を上回りましたが、販売数量は前年同期を下回りました。この結果、油糧部門の売上高は前年同期を上回りました。

以上の結果、当事業は、売上高1,584億56百万円前年同期比2.3%増)、相場環境の良化に加え価格重視の販売戦略が奏功し、セグメント利益49億19百万円前年同期比102.3%増)、セグメント資産1,135億26百万円前期末比75億28百万円減)となりました。

(油脂加工品事業)

マーガリン部門においては、家庭用では、主力商品の「ラーマ®バターの風味」のパッケージ変更や増量セールの実施による販売数量の増加に努めたことにより、売上高は前年同期を上回りました。業務用では、「グランマスター®プリメランパレッツ」や「メープルパレッツ」をリテールベーカリーへ提案を推進するなど高付加価値品の拡販に努めましたが、売上高は前年同期をやや下回りました。

粉末油脂部門においては、売上高は大幅に前年同期を下回りました。

以上の結果、当事業は、売上高127億81百万円前年同期比5.1%減)となりましたが、原材料価格の上昇もあり、セグメント利益1億48百万円前年同期比68.8%減)、セグメント資産107億66百万円前期末比54百万円増)となりました。

(食品・ファイン事業)

スターチ部門においては、食品用および工業用のコーンスターチの拡販に取り組んだことにより、売上高は前年同期をやや上回りました。

ファイン部門においては、ファインマテリアルは輸出が好調であったことにより売上高は順調に推移しました。SOYシートは米国での販売エリアが拡大した上、グルテンフリー訴求によって需要が増加したことにより、売上高は前年同期を大きく上回りました。

ケミカル部門においては、主たる需要先である木質建材市場は堅調に推移しました。石油価格の上昇を受けた原料価格の上昇に対応すべく、木質建材用接着剤の価格改定を実施するとともに販売数量の維持に努めた結果、売上高は前年同期を上回りました。

以上の結果、当事業は、売上高140億95百万円前年同期比5.5%増)となりましたが、一部製品の価格改定の遅れから、セグメント利益4億58百万円前年同期比47.7%減)、セグメント資産120億43百万円前期末比5億32百万円減)となりました。

(その他)

その他の事業につきましては、売上高14億45百万円前年同期比15.2%減)、セグメント利益1億37百万円前年同期比38.3%減)、セグメント資産25億18百万円前期末比9百万円増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは以下のとおりであります。

科目

前連結会計年度
(百万円)

当連結会計年度
(百万円)

営業活動によるキャッシュ・フロー

6,572

13,075

投資活動によるキャッシュ・フロー

△3,766

△2,623

財務活動によるキャッシュ・フロー

△5,600

△11,066

現金及び現金同等物の増減額

△2,791

△611

現金及び現金同等物の期末残高

2,839

2,407

 

当連結会計年度の現金及び現金同等物は、前年同期と比べ4億31百万円減少し、24億7百万円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ65億2百万円増加し、130億75百万円となりました。この主な要因は、たな卸資産の減少および未払消費税等が増加したことによります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ11億43百万円増加し、△26億23百万円となりました。この主な要因は、有形固定資産の取得による支出が減少したことによります。

財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ54億65百万円減少し、△110億66百万円となりました。この主な要因は、短期借入金の返済が増加したことによります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりになります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

油脂事業

124,121

△2.9

油脂加工品事業

9,687

△2.7

食品・ファイン事業

4,168

11.3

その他

9

△93.6

合計

137,987

△2.6

 

(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。

2 金額は製造原価によっております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

4 その他の生産実績に著しい変動がありましたが、これは健康食品事業の撤退によるものであります。

 

b. 受注実績

当社グループは受注生産を行っておりません。

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりになります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

油脂事業

158,456

2.3

油脂加工品事業

12,781

△5.1

食品・ファイン事業

14,095

5.5

その他

1,445

△15.2

合計

186,778

1.9

 

(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

味の素株式会社

47,641

26.0

47,788

25.6

 

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを用いることが必要となりますが、これらの見積りについて過去の実績や現状等を総合的に勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

詳細につきましては、「第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表][注記事項]連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高)

当連結会計年度における売上高は1,867億78百万円前年同期比1.9%増)となりました。売上高が増加した主な要因は、油脂部門における高付加価値品の販売数量の増加、および油糧部門におけるミールの販売価格の上昇によるものです。

(売上原価、販売費及び一般管理費)

当連結会計年度における売上原価は1,519億59百万円前年同期比0.7%減)となりました。また、販売費及び一般管理費は291億55百万円前年同期比11.0%増)となっております。

(営業利益)

当連結会計年度における営業利益は56億63百万円前年同期比41.4%増)となりました。営業利益が増加した主な要因は、油脂部門の原価が相場の影響により減少したことによるものです。

(経常利益)

当連結会計年度における経常利益は63億26百万円前年同期比23.1%増)となりました。経常利益が増加した主な要因は、営業利益の増加によるものです。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は47億49百万円前年同期比15.1%増)となりました。この増加の主な要因は、経常利益の増加によるものです。

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産の残高は708億83百万円で、前連結会計年度末に比べ37億69百万円減少いたしました。主な増加は、受取手形及び売掛金29億71百万円であります。主な減少は、現金及び預金が4億31百万円、たな卸資産が56億87百万円、その他流動資産が6億24百万円であります。

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産の残高は767億45百万円で、前連結会計年度末に比べ21億77百万円減少いたしました。主な減少は、遊休となっていた土地の売却を含む有形固定資産20億53百万円であります。

(繰延資産)

当連結会計年度末における繰延資産の残高は59百万円であります。社債発行費の償却により、前連結会計年度末に比べ7百万円減少しております。

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債の残高は318億54百万円で、前連結会計年度末に比べ85億43百万円減少いたしました。主な増加は、未払金等を含むその他流動負債22億24百万円であります。主な減少は、支払手形及び買掛金が21億42百万円、借入金が91億50百万円であります。

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債の残高は289億24百万円で、前連結会計年度末に比べ2億3百万円減少いたしました。主な減少は、長期借入金が2億円であります。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産の残高は869億8百万円で、前連結会計年度末に比べ27億93百万円増加しております。主な増加は、利益剰余金33億90百万円であります。主な減少は、その他有価証券評価差額金6億72百万円であります。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

(キャッシュ・フロー関連指標の推移)

 

2015年3月期

2016年3月期

2017年3月期

2018年3月期

2019年3月期

自己資本比率(%)

50.7

51.9

50.6

54.7

58.8

時価ベースの自己資本比率(%)

44.3

37.2

42.4

38.9

45.9

キャッシュ・フロー対有利子
負債比率(年)

5.0

3.3

6.4

5.4

2.0

インタレスト・カバレッジ・
レシオ(倍)

43.0

64.4

46.6

50.4

127.5

 

(注)自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により算出しております。

※キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。

※有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としています。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

(資金の調達方法)

主として営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入、社債発行により調達しております。

(資金の流動性)

当社グループは、現金及び現金同等物に加え、各社における余剰資金を一元管理することによって資金の効率化と金融費用の極小化を図っております。また当座貸越枠、コミットメントライン契約の締結により資金調達の十分な流動性を確保し、より柔軟性の高い機動的な調達手段を備えております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

(1) 味の素株式会社との間で、業務提携に関する基本契約を2004年7月1日付で締結し、同社のブランド使用、同社の一部販売ルートの利用、同社からの出向者受け入れ等の食用油脂事業に関する提携関係を築いております。

※1 味の素株式会社は、当社議決権の27.3%を保有する大株主であります。

※2 味の素株式会社とのブランド使用の契約について
 2014年7月1日から2019年6月末日まで(以後5年毎の自動更新)

(2) 不二製油グループ本社株式会社との間で、業務提携および株式相互保有に関する基本契約を2007年9月7日付で締結し、原料・資材の効率的調達、中間原料油の相互供給、相互の生産設備の有効活用による生産の効率化、物流業務の効率化、その他相互にメリットのある取組み、および相手方株式の相互保有等の提携関係を築いております。また、不二製油グループ本社株式会社の関係会社である FUJI OIL(THAILAND)CO.,LTD.(タイ)に対して、2011年6月2日付で10%の出資を行いました。同社が生産する油脂製品の内外市場での活用、同社設備の有効活用等を通じて、不二製油グループ本社株式会社との関係強化を深め、双方の競争力強化に努めております。

(3) 辻製油株式会社との間で、業務提携および株式相互保有に関する基本契約を2009年11月30日付で締結し、原料・資材の効率的調達、相互の生産設備の有効活用による生産の効率化、物流業務の効率化、相互の機能性食品素材の有効活用、その他相互に企業力の強化が見込まれると判断した分野での取組み、および相手方株式の相互保有等の提携関係を築いております。

(4) Toyota Tsusho (Thailand) Co., Ltd.との間で、合弁事業契約を2014年3月26日付で締結し、共同でタイでの高付加価値でん粉の販売・商品開発、油脂製品販売を目的とする合弁会社J-OILMILLS (THAILAND) Co., Ltd.を設立いたしました。現地市場ニーズにマッチした高付加価値型でん粉の開発と、タイ及びアジア域内を中心に販売することを目的としております。また、安定的に成長を続けるタイの油脂市場では、今後高付加価値型の油脂需要が高まることが予想されることから、油脂事業の展開も検討していくことを予定しております。

(5) 全国農業協同組合連合会ならびにその子会社であるJA西日本くみあい飼料株式会社および全農サイロ株式会社との間で、当社倉敷工場の運営に関連して、原料大豆の保管設備利用や配合飼料原料の供給等、長期にわたって相互協力を行う旨の契約を締結しております。

 

5 【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、当社および㈱J-ケミカルで行っております。

当社では、「おいしさデザイン」による付加価値創造を目指して、「技術戦略センター」と「フードデザインセンター」を設置し、研究開発活動を進めております。

技術戦略センターは、技術開発組織全体の、企画管理、中長期戦略、次世代の新素材と新技術の開発を行っております。油脂の酸化に関する基礎から応用に関わる研究を行い、これまで見出されていなかった油脂の活用手法および新技術開発を提供することに貢献したいと考え、幅広く活動を行っております。

フードデザインセンターは、顧客対応領域を軸として、市場開発・商品開発・基盤研究を一貫させ、当社事業領域での製品開発機能を担っております。「おいしさデザイン」による付加価値創造を目指すための活動拠点として、プレゼンテーション及びアプリケーション開発機能を併せ持つ「おいしさデザイン工房」を開設し、お客様や市場との接点として、当社の持つ素材や技術の掛け算により、揚げ物料理や調理、健康、調味といったさまざまな付加価値機能を追求し、新たなおいしさの発信及びソリューション提案に努めております。

①家庭用及び業務用の油脂商品の開発においては、一般消費者やプロの需要家の皆様をより意識し、顧客の課題解決に結びつくよう食品の「おいしさ」を引き出す商品開発を行っております。

②家庭用及び業務用のマーガリンや業務用のショートニング、粉末油脂の開発においては、油脂加工技術を活用して、一般消費者やプロの需要家の皆様のニーズにお応えしております。

③スターチの開発においては、当社独自の加工技術で、スナック菓子や麺、パン、水練り製品、畜肉製品、低糖質食品など幅広い食品に利用でき、更に好ましい食感も付与できる機能性澱粉の商品開発を行っております。

④ファイン製品の開発においては、主に大豆を中心とした天然素材に含まれる生理活性物質や機能性素材を、抽出・精製・加工し、機能性を付与した高付加価値型の素材商品として提供しております。

㈱J-ケミカルでは、国産材に適した木材用接着剤や補修用パテ、型枠用塗料の開発を進め、循環型社会の構築へ向けた国産材の利用促進に貢献しております。無機建材用バインダー、紙・包装用ホットメルト接着剤等、多岐にわたる接着剤の技術開発を進めております。また、健康関連分野に向け、独自開発の水溶性銀系抗菌剤の用途開拓に向けた更なる技術改良や、研究用試薬・診断薬原料向けのレクチンの技術開発にも取り組んでおります。

なお、研究開発費の総額は、1,511百万円であります。

 

セグメント別の研究開発活動を示すと、次のとおりであります。

(油脂事業)

家庭用油脂分野では、食卓で“かける・あえる”という使い方に加えて、“おいしく・健康”な食生活の提供を目指し、香り豊かなごま油にオメガ3(n-3系脂肪酸)豊富なアマニ油・えごま油をブレンドすることで、おいしくオメガ3を摂れる「AJINOMOTO アマニ油入りごま油」「AJINOMOTO えごま油入りごま油」の150g鮮度キープボトルを発売いたしました。また、中華系メニューを本格的に仕上げる油として「AJINOMOTO 香り立つパラっと炒飯油」70g瓶、「AJINOMOTO 香り立つ花椒油(ホワジャオユ)」100g鮮度キープボトルを発売いたしました。更に、「AJINOMOTO から揚げの日の油」400gフレッシュキープパウチを発売し、ちょっとした特別な日にから揚げをおいしく調理することを提案しております。家庭の多様な食シーンを豊かにする価値の提供を目指し、調理をおいしく、楽しくする商品の開発を進めております。業務用油脂分野では、調理現場の課題解決を応援する香味食用油領域のブランド「J-OILPRO®」シリーズに新商品として、ミルクのような贅沢な香りとより濃厚なコクをもった「J-OILPRO®プレミアバターフレーバーオイル」1350gエコボトルを発売いたしました。また、リニューアルして長持ち機能をパワーアップした「『TEEUP®製法PLUS+』長調得徳®」を中心に販売支援活動を展開しており、お客様のご要望に応えるべくさらに機能を強化するための研究活動を進めております。

なお、当事業の研究開発費の金額は、782百万円であります。

(油脂加工品事業)

加工油脂分野では、健康、安心安全、効率化といった今後拡大する市場を見据え、栄養バランスがよく食物繊維を豊富に含む「コーンミックス」、穀物がまるごと配合されイースト・ラクトース不使用の栄養バランスに優れた「ベジパン」などの製品を導入しております。また、「グランマスター®プリメランパレッツ」の風味バリエーション商品として、業務用マーガリン類「メープルパレッツLT2.5」を発売いたしました。粉末油脂分野では、安定生産へのサポートを継続しながら、生産部門との連携を通して噴霧乾燥工程の生産効率の向上を図りました。

なお、当事業の研究開発費の金額は、356百万円であります。

(食品・ファイン事業)

食品素材スターチ分野では、食品の食感を改善することによりおいしさを向上する、テクスチャーソリューションに注力いたしました。コーンスターチを当社独自の技術で粒状に加工した「ネオトラスト®シリーズ」のアプリケーション用途を広げ、その保水・保油効果により畜肉商品におけるジューシー感向上や、様々な食品の離水防止において高い効果を発揮することが認知されております。食品素材ファイン分野では、ビタミンK2が骨へのカルシウムの供給を助けることにより骨粗鬆症防止効果を持つ健康機能について、カルシウムやビタミンDとの併用効果を中心に紹介し、その認知度向上に努めております。

なお、当事業の研究開発費の金額は、373百万円であります。