第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において入手可能な情報に基づき、当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。

(1) 経営方針

当社グループは、2030年の目指すべき姿を定め、その実現に向けて持続的に成長するため、2024年度を最終年度とする第六期中期経営計画「Transforming for Growth」を策定しました。

新型コロナウイルスの感染拡大、世界的な食糧需要の増加、気候変動など、当社グループを巡る環境は目まぐるしく変化しています。

第六期中期経営計画の立案にあたり、私たちの目指すべき未来、私たちの使命、私たちの価値/存在意義をあらわした、新たな企業理念体系を制定いたしました。同時に、コミュニケーションブランド「JOYL」を導入し、新企業理念体系を元にした企業活動およびすべてのステークホルダーの皆様とのコミュニケーションで「JOYL」を活用し、「JOYL」を受け皿として、生まれた価値を蓄積、資産化していきます。

 

新企業理念体系とコミュニケーションブランド

 

 


 

 

第六期中期経営計画では、第五期中期経営計画の課題を踏まえ、2030年に目指すべき姿を描き、2021年度から2024年度までの期間を将来の成長実現の為の変革期としてとらえています。

 

 


 

 

J-オイルミルズグループの強みは、顧客接点、技術力、素材、そしてそれを届け、お客様の声に真摯に向き合い提案することで課題解決を実現する、ソリューション力にあります。今後はその強みを一層磨き、マーケティング、研究開発、生産、営業を強化・融合することで、「おいしさデザイン®」企業としてお客様への提供価値を最大化していく考えです。

 

(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

2030年度および第六期中期経営計画の最終年度にあたる2024年度における定量目標は以下のとおりです。

経営指標

2020年度実績

2024年度目標

2030年度目標

連結売上高

1,648億円

2,200億円

2,500億円

連結営業利益

66億円

110億円

240億円

売上高営業利益率

4.1%

5.0%

9.0%

 

 

 

(3) 経営戦略

(2)に掲げた定量目標を達成するため、以下の戦略課題の実行を通じて、成長企業へTransform(変革)していく所存です。


 

① マーケティング・ブランド戦略

コミュニケ―ションブランド「JOYL」とお客様目線のマーケティングと製品開発をかけあわせ、企業価値向上を図ります。これによって、お客様に長く愛される企業となることを目指します。

② 高付加価値化推進

・当社独自の技術「SUSTEC®サステック)4」を適用した長持ち油「すごい長徳」および新しいフライ油のソリューション形態であるフライエコシステムで、業務用油脂のフライ油市場に変革をもたらします。

・テクスチャー素材事業は従来のスターチ事業をより発展させたものです。新シリーズ「TXdeSIGN(テクスデザイン)」を中心に、厳選されたスターチを当社独自の技術で加工することで、高保水性、高保油性、繊維感や伸展性といった特徴を持っており、さまざまな調理シーンや食品加工において、新しいテクスチャーを創出します。

・乳系プラントベースドフード(PBF)の世界でも有数の企業であるUpfield社との業務提携により、成長が期待される乳系PBF市場へ参入します。既存事業とのシナジー効果を創出し、新たな収益の柱として育成します。

バターやチーズなどの乳製品を植物性の原材料で代替した製品をあらわします。

③ 海外展開の加速

当社独自の技術および製品により、ASEAN市場でテクスチャー事業、製菓製パン業界向け事業を、北米市場においてファインおよびSOYシート事業の強化を図ります。

④ 汎用油の収益力改善

穀物相場が大きく変動する中、当社の基盤である油脂汎用品の事業を将来の安定した収益基盤とするため、価格戦略と構造改革を推進し、収益性の改善を図ります。

⑤ バリューチェーン&業務プロセス改革

サプライチェーンにおいて、在庫削減、SKU(販売品種数)削減、パートナーシップの強化を推進します。また、間接部門の最適化、IT・DXの活用、業務プロセス改革を実施し、一層の効率化を目指します。

⑥ ①~⑤で生み出した資金および外部からの資金調達をあわせ、2024年度までの間に生み出したキャッシュをM&Aを含む成長投資、設備投資に振り向けます。また、2024年度までに配当性向を40%まで引き上げ、株主の皆様への還元を強化します。

 

 

以上の戦略目標を通じて、収益性を拡大し、より高いROEおよびROIC水準を目指します。目標とするROE、ROICの水準は以下のとおりです。

経営指標

2020年度実績

2024年度目標

2030年度目標

ROE(株主資本利益率)

5.7%

8.0%

12.0%

ROIC(投下資本利益率)

4.1%

5.5%

8.0%

 

 

当社は食品会社として、品質の高い製品を安全・安心かつ安定的にお客様にお届けするため、経営のリソースを有効かつ最大に活用し、すべてのバリューチェーンにおいて価値を創造していきます。

また社会の公器として、気候変動に対する取り組みや人財の多様化を推進し、サステナビリティを追求します。またリスク対応力を強化し、継続的に社会に貢献していく方針です。これにより、ステークホルダーの皆様からのご期待に応えていく所存です。

 

(4) 経営環境と優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

世界規模で新型コロナウイルスの感染が拡大しており、当社の事業基盤である日本においても変異型のウイルスの感染者が増加しています。複数回にわたる緊急事態宣言等により、消費者の行動様式は変化し、当社を取り巻く事業環境は大きく変貌しています。

今後、ワクチンの接種の状況を注視していく必要がありますが、新型コロナウイルスの感染拡大前の状態に戻ることは困難であると想定しています。

このような環境下、当社は人々の生活に欠かせない生活必需品の食品を扱う企業として、従業員の安全と安心を確保し、安定供給と消費者のニーズに合う製品の開発に努めています。

当社グループの対処すべき課題としましては、油糧原料価格の高騰、物流費の継続上昇、為替変動リスク、地球温暖化、また、国内市場における少子高齢化による需要減少に加え、消費者ニーズの多様化などを認識しております。

第五期中期経営計画の最終年度である2020年度は、成長戦略、構造改革、経営基盤の強化策を推進してまいりました。

<成長戦略>

新型コロナウイルスの影響により、外食向けの売上高が減少する中、高付加価値品の販売促進活動を強化し、売上総利益率の改善を図りました。法人向けの営業形態であるソリューション事業においては、当社グループが従前より持つ素材(油脂、スターチ、マーガリン、粉末油脂等)に製菓製パン素材となるミックス粉も加えて、「おいしさデザイン®」の実現に向けた提案を行っています。2019年12月にはマレーシアの油脂加工品製造会社であるプレミアム・ファッツ社およびプレミアム・ベジタブル・オイルズ社へ資本参加いたしましたが、新型コロナウイルスの感染拡大で予定していた新製品の発売が遅れております。引き続き製菓製パン素材市場を中心に、アジアにおける事業展開を加速してまいります。

<構造改革>

持続的成長を確実なものとするため、2020年度はケミカル事業の譲渡を決定するとともに、販売品種の統廃合、削減および販売子会社の統合などの構造改革に取り組みました。また、日清オイリオグループ株式会社との業務提携を通じて、搾油事業の国際競争力の強化、製油産業の発展および食品の安定供給を通じた社会貢献ならびに中長期的な企業価値向上を図ってまいります。

<経営基盤強化>

当社の取締役会は様々な経験を有する取締役を配し、独立社外取締役が全体の1/3を占めています。また、取締役会の監督機能を強化するばかりではなく、執行機能とのコミュニケーションを活発化しています。また、2020年度は執行側のリスク対応力およびサステナビリティ推進力を強化するため、経営リスク委員会とサステナビリティ委員会を設置しました。また、人財の育成と働きがいの向上に資する働き方改革を事業基盤強化の柱と位置づけ、人事制度の改定に加え、在宅勤務制度の導入、有給休暇の取得促進などを進めています。また女性の活躍機会の創出、シニア再雇用制度を改訂・導入、プロフェッショナル外部人財の採用をすることで人財の多様化を図っています。

当社グループはこれまで培った資産と独自の強みを活かし、SDGs(国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた持続可能な開発目標)で挙げられている様々な課題に対して、事業を通じて解決に貢献し、さらには新たな価値を提供することで当社グループも成長を目指すCSV(共通価値の創造)経営を推進します。またESG(環境、社会、企業統治)に配慮した経営を同時に進めてまいります。

 

 

(5) サステナビリティ

当社グループは食品会社として、大豆や菜種など自然資源を含む様々な資本を投下して、安全・安心、品質の高い製品をつくり、お客様にお届けしています。長持ち油「長徳®」やテクスチャー素材などは当社の研究開発活動から生まれた商品であり、環境への配慮、労働人口の減少などへの対応を可能とするものです。「おいしさデザイン®」を強みに、人や社会、環境のJoyを事業を通じて創出し、社会課題に貢献します。本中計では、社内のリソースを一層有効に活用し、商品を通じて社会に向き合っていく考えです。

 


 

《サステナビリティ推進体制》

 


 

価値創造モデルを具現化するため、2020年7月に経営会議への諮問機関としてサステナビリティ委員会を設置しました。サステナビリティ委員会は、コーポレート管掌の取締役専務執行役員を委員長とし、当社が考えるサステナビリティを、具体的な事業活動に落とし込むことを目的とし、人権、環境に配慮した持続可能な原料調達や製品開発、社会課題の解決に向けた製品戦略など、社内横断的な取り組みを推進するものです。同委員会下に、環境部会、人権部会、調達部会、商品開発部会を配置しています。

同委員会のもと、より実効性を担保するため、「人権方針」および「サステナブル調達方針」を策定し、対外的に公表しています。

「人権方針」は、「国際人権章典」、「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」、「国連ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠し、「子どもの権利とビジネス原則」「女性差別撤廃原則」も包括するもので、「人権部会」が中心となり、サプライチェーン全体におけるリスク分析の特定と、救済・是正・教育・研修を含むデューデリジェンスの仕組みを構築し、これを実践するものです。

「調達部会」においては、「サステナブル調達方針」を策定し、サプライヤーの皆様に対して当社グループの調達方針を明らかにするとともに、よりよい調達活動を実行するものです。その方針下に、「パーム油調達方針」を策定し、自社製品の原料・資材調達に関して、2018年にISO20400(持続可能な調達ガイドライン)に準じて改訂したJ-オイルミルズグループ「お取引様CSR調達ガイドライン」をベースに、油脂原料の中でも、とりわけその持続可能性がグローバルでの社会課題となっているパームに特化するものです。サプライチェーンをはじめ、関連するステークホルダーとの協働も視野に、人権や環境保護の観点から、持続可能なパーム油調達の推進を目指す内容となっています。

「環境部会」は、地球環境への配慮を実現するもので、温室効果ガス削減や気候変動への対応、資源の保全や再資源化の促進、環境保全に関する各種取り組みのデータベース化と評価基準の設置などを推進します。

「サステナブル調達部会」と「人権部会」は、前述の各方針の実効性担保に必要な具体的方策を決定し、社内外への周知徹底を図っていきます。また「サステナブル商品開発部会」は、自社の強みである技術を軸に、社会的ニーズに対応するサステナブルな商品開発の提案と、それをJ-オイルミルズの価値として社会的認知を得るためのブランディングを意識した戦略的広報を推進していきます。

 

《サステナビリティ活動目標》

価値創造モデルを具現化するため、サステナビリティ委員会では、2030年の目指すべき姿を考え、以下の目標を設定して、活動を推進していく考えです。気候変動、調達、ダイバーシティ・インクルージョン、商品開発の4つの課題に取り組んでいます。気候変動では2030年度にCO2削減量を2013年度比50%とし、2050年度までにカーボンニュートラルを実現させます。調達では人権への配慮も含め、サプライチェーンを含むサステナブル調達活動の進化とパームの農園までのトレーサビリティを確保いたします。また、人財の活用という観点からは、女性、外国人の登用に加え、外部からの人財獲得を一層すすめ、より複雑化する社会からの要請に応えることができる経営基盤を確立させる考えです。

 

 


 

(6) 気候変動への取り組みとTCFDへの対応状況

① 経営方針におけるESGの認識・取り組み、TCFDへの対応

当社グループでは、ESGに対する取り組みを重要な経営課題として認識しています。またSustainable Development Goals(持続可能な開発目標、以下SDGs)、パリ協定等において解決すべき多くの課題があげられているように、現在地球環境は深刻な危機に直面しており、気候変動への具体的な対策は当社グループにとって喫緊の課題です。当社グループは、自然の恵みを活かして事業を営んでいることから、これまで温室効果ガス(GHG)の削減や廃棄物の削減・再資源化、プラスチックの削減など継続的に取り組みを進めてきました。2018年には経営において優先して取り組むべきマテリアリティを特定しました。その中の一つである「気候変動の緩和と適応」に対して2030年までの目指すべき姿を設定し、中長期的な目標達成に向けて計画の立案等を進めてきました。

2020年に設置した「サステナビリティ委員会」を通じてガバナンス体制を強化すると共に、環境部会を含む4つの部会が中心となり、サステナビリティの課題に対して、目標を設定し、具体的な実行方針を策定して取り組みを進めています。環境部会では、気候関連リスク・機会を織り込むシナリオ分析の実施を計画し、2020年11月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)による提言に賛同しました。社内横断的なプロジェクトチームを立ち上げ、現在までにTCFD提言の枠組みに沿ってリスクと機会の特定を実施しました。今後も分析を続け、同時に各種取り組みを推進していきます。

ガバナンス、サステナビリティ推進体制

社内に横断的なプロジェクトを発足させ、気候変動およびTCFDへの取り組みを推進しており、取締役会及び経営会議、サステナビリティ委員会と密に連携を取りながら、リスクおよび機会の分析を行いました。今後、シナリオ分析、財務影響などのシミュレーションを通じて、対応策を講じていきます。

 

 

③ 特定した気候変動によるリスクと機会

<前提条件>

当社は原料である大豆や菜種などの自然資本を活用して、植物油を製造・販売しています。原料のほとんどは北米などの海外から輸入しており、当社の工場で搾油し、精製・充填工程を経て、お客様にお届けしています。工場は港湾部に立地しています。このため、気候変動は事業の継続性を鑑みても、非常に重要な経営リスクとしてとらえており、2度および4度シナリオについて、リスクと機会の分析を行いました。また、気候変動のみならず、温暖化が進むことにより、台風被害の甚大化などもリスク要因としてとらえています。

2度および4度シナリオとは、地球温暖化の対応策に関する科学的な根拠を与え、国際交渉に影響力があるIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第5次評価報告書(2014年発表)で、これからの100年間で、どれくらい平均気温が上昇するかについて予測提示されているものです。最も気温上昇の低いシナリオ(RCP2.6シナリオ)で、おおよそ2℃前後の上昇、最も気温上昇が高くなるシナリオ(RCP8.5シナリオ)で4℃前後の上昇が予測されています。

対象期間

現在~2050年

対象範囲

J-オイルミルズグループの全事業

 

 

<気候変動によるリスク>

項目

分類

主なリスク

既存の取り組み

今後の対応

・CO2排出規制強化による生産コスト増加

エネルギー使用量の削減(工程最適化、省エネ、高効率設備導入など)

再生可能エネルギーの活用(バイオマス燃料の利用など)

2050年カーボンニュートラル達成に向け、さらなる再生可能エネルギーの活用

サステナビリティ重視に変化する消費者ニーズへの対応不足

長持ち油等の低負荷製品の開発・販売

主要製品(ポリボトル・ペットボトル等)の包材軽量化

一部製品への植物性プラスチック(バイオマス)採用

さらなる低負荷製品の実現

環境対応不足による評判低下

省資源・省エネルギー、CO2排出量の低減、脱プラスチック、水資源の有効活用、バリューチェーンでのAI活用などによる環境負荷の極小化

各種取り組みのさらなる推進

自然災害増加による操業停止、物流網の寸断

・BCPの対応

生産拠点の台風・高潮対策の実施

各種災害にも対応したBCPの見直し

収穫量減少や品質変化等による原料の安定確保困難

・主要原料原産地の継続的な視察

・原料原産地の多様化や油種の多様化

・製品規格最適化

 

・新規原産地の開拓、検討

・新規品種の育成、新規サプライチェーンの検討

気温上昇による保存中の原料品質悪化、生産効率の低下

・在庫管理の適正化

・ISO9001による品質マネジメントシステムの運用、開発段階での品質アセスメントの実施と仕組み強化による品質リスクの低減

・自社基準による環境アセスメントの実施

IoT、AIなどを活用した自動化により作業負担を軽減

 

 

 

<気候変動による機会>

分類

主な機会

既存の取り組み

今後の対応

生産・物流関連のコスト低減

搾油機能の最適化に向けた検討開始

・モーダルシフト等の推進(「エコシップマーク」認定取得)や長距離「スルー配送」見直し

・国内搾油機能の長期的な安定化に向けた拠点最適化

・配送規格統一に向けた検討や最適航路によるCO2排出・コスト削減

|

再生可能エネルギーの普及によるCO2削減とコスト削減

生産拠点でのオンサイト発電導入

生産拠点での省エネ設備導入

・再エネ設備の導入

バイオマス燃料への切り替え推進と燃料調達先の確保

|

長持ち食品・非常食等の需要増加

・経時劣化抑制の独自技術による製品開発(長持ち油や冷蔵麺など)

・社会課題の解決に繋がる製品のさらなる拡大

・廃棄ロス削減に貢献する商品比率向上

環境意識・エシカル消費の高まり(食料危機への対応)

・長持ち油の開発

プラントベースドチーズ(植物性チーズ代替品)の販売

・プラントベースドフード(植物性の素材から作られた食品)製品のさらなる拡大

低負荷な食資源となりうる新領域の探索

社会からのサステナビリティ要求を満たす最適な事業ポートフォリオを実現することで信頼獲得

気温上昇等による寒冷地への農地拡大などによる産地の多様化

・第六期中期経営計画にて事業ポートフォリオを変革し、環境負荷低減、社会課題解決型の製品・サービスを拡大

・原料産地や油種の多様化の検討および適切な製品規格最適化の検討

・社会課題の解決に繋がる製品のさらなる拡大

・品種改良や国内農地活用の可能性検討など新規サプライチェーン検討

 

 

<リスクの管理>

当社グループでは、事業が気候変動によって受ける影響を把握・評価し、適切に管理するため、気候変動におけるリスクと機会を特定しました。特定したリスクと機会についてはサステナビリティ委員会、環境部会とTCFDに関する社内横断的なプロジェクトチームなどの体制の下管理しています。議論された内容はサステナビリティ委員会、環境部会で審議するとともに、経営会議および取締役会への報告を行っています。経営会議、取締役会で指摘あるいは助言のあった事項については、適宜フィードバックし、都度対応策を検討しています。

 

2 【事業等のリスク】

(1) 当社グループのリスクマネジメント体制

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループは、リスクマネジメントの基本方針及び管理体制を「経営リスク委員会規程」において定め、これに基づき、代表取締役社長執行役員を委員長とする経営リスク委員会の指揮監督の下、当社を取り巻くリスクを適切に管理し、防止と回避に努めております。

 

(2) リスクマネジメントプロセス

当社グループの事業活動に関する事業等のリスクについては、執行役員の職務分掌に基づいて各執行役員がリスクの特定・分析・評価からリスク対応、モニタリングを実施し、経営リスク委員会およびその傘下であるリスクマネジメント部会・コンプライアンス部会が支援をしております。また、期中に発生したクライシス(リスクが顕在化したもの)については経営リスク委員会に情報を集約し、迅速な対応を図るとともに是正措置を展開し全社的な再発防止を行う体制を整えております。

 


 

(3) リスクテーマとそれに対する影響と対応

分類

テーマ

戦略リスク

油脂・ミール製品の需要低下に対するリスク

海外進出に潜在するリスク

財務リスク

原材料調達・為替相場等に関するリスク

のれんや固定資産の減損損失に関するリスク

ハザードリスク

感染症の蔓延リスク

自然災害に関するリスク

オペレーショナルリスク

環境に関するリスク

社会的課題に関するリスク

情報漏洩・サイバーセキュリティに関するリスク

食品安全に関するリスク

人財の確保に関するリスク

コンプライアンスに関するリスク

 

 

《油脂・ミール製品の需要低下に対するリスク》

○関税引き下げによる海外からの安価な製品の流入

○少子高齢化の継続による市場縮小に伴う製品需要の減少

○サステナビリティ重視の消費者ニーズや製品需要の変化

 

(影響)

当社グループが主力とする大豆油・菜種油は、輸入に対して関税が課されておりますが、TPP協定締結国のカナダと日豪EPAによる豪州からの菜種油、日米貿易協定が発効した米国からの大豆油に対する関税は、段階的に引き下げられることになっているため、海外からの安価な製品の流入により国内の販売価格が低下し、国内製造品の販売量が減少するリスクがあります。

(対応)

当社グループはこの影響を最小限に抑えるべく、成長している中食やコンビニエンスストア向けの長持ち油や調味・調理機能油などの高付加価値品の開発や、従来から持っている素材であるスターチ、マーガリン、粉末油脂等の組み合わせによる食感改良など、当社独自の提案をさらに進めてまいります。また、業務提携などを通じて、国際競争力を高めてまいります。

 

《海外進出に潜在するリスク》

○海外進出に潜在する、予期せぬ法律・規制・税制の改正

○予期せぬ紛争・テロなどの政治的・社会的リスク

 

(影響)

当社グループは海外事業の拡大を重点課題として取り組んでおります。予期せぬ法律・規制・税制の改正、また、紛争・テロなどの政治的・社会的リスクや自然災害の発生により、当社グループの業績及び財政状態、従業員の安全に影響を及ぼす可能性があります。

(対応)

当社グループはこの影響を最小限に抑え、問題が発生した場合には迅速に対策が取れるよう、海外のリスク情報を外部コンサルタント、海外情報サービス、外務省の海外安全ホームページや進出しているグループ企業から入手し、必要な対応を行ってまいります。

 

《原材料調達・為替相場等に関するリスク》

○主要原料の品質変化、相場変動による調達コスト増加

○為替・海上運賃などの相場変動による調達コスト増加

〇上記調達コスト増加を販売価格へ反映できないリスク

 

(影響)

当社グループは主要原料の大豆・菜種等を海外から調達するため、原料コストは海外の穀物相場の影響を受けております。穀物の相場は、世界人口の増加による植物油需要の増加や天候などによる需給バランスの変化等の要因により大きく変動することがあります。海外からの調達であるため、原料代決済において為替相場の影響を受けます。また、海上運賃(フレート)は世界経済や石油価格の影響を受けて変動します。さらに、ミール相場が低下すると、オイルコストの上昇につながります。提出日時点において、大豆や菜種、パーム油などの原料コストは過去に類をみない急激かつ大幅な上昇により事業環境は厳しさを増しております。以上の穀物・為替・海上運賃・ミールなどの相場変動に伴うコストアップ分や価格が高い時点で調達した原料在庫を販売価格に反映できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に大きく影響を及ぼす可能性があります。また、原材料調達においては、自然環境だけでなく、安全性や品質の確保、労働者の人権問題に積極的に取り組むことも求められており、これらの課題に対応できないとみなされた場合、企業価値を損なう可能性があります。

(対応)

当社グループは海外からの原料(穀物)や購入油の調達に当たり、原料・購入油・為替事情を精査の上、競争優位な産地の選定・最適な組み合わせを作り上げております。値決めについては先物相場のプライシングと為替予約等により一定のヘッジを行うと同時に、原料購買規程、外国為替予約運用規程の範囲内で、製品の販売価格の確度を見極めながら競争優位と思われるポジションを取っております。また新規の原料産地とサプライヤーの調査・採用も継続的に行っています。一方で、国内搾油産業の長期的な課題についての共有認識のもと、油脂と油粕の安定的な供給を継続的に行うために、日清オイリオグループ株式会社と川上領域である搾油工程(原料と油粕の受委託製造とスワップ)までを範囲とした業務提携基本契約を締結し、その取り組みを着実に実行しております。また、提出日時点において、原料相場高騰の影響を大きく受けておりますが、製品の価格改定の継続的な取組みや経費削減により収益改善を図ってまいります。

さらに持続可能な原料調達のため、「環境方針」や「人権方針」を基盤に、「サステナブル調達方針・調達基準」を定め、サプライチェーン全体で持続可能な調達活動を推進していきます。

 

《のれんや固定資産の減損損失に関するリスク》

買収・資本参加した子会社等事業計画未達

公正価値の下落

金利の急激な上昇

 

(影響)

当社グループは、事業用の設備、不動産や企業買収などにより取得したのれんをはじめとする有形固定資産・無形固定資産を所有しております。こうした資産は、公正価値の下落や、金利の上昇、買収・資本参加した子会社等の業績が事業計画に対して大幅に未達となるなどにより、減損損失が発生した場合、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(対応)

投融資委員会や経営会議における買収価格の適切性に関する審議や買収後のシナジー実現に向けたフォローアップやマクロ経済環境の定期的なモニタリング、事業計画に基づく将来キャッシュ・フローの見積りを実施すること等により、減損処理の適否を判断しております。

 

《感染症の蔓延リスク》

○新型コロナウイルスをはじめとする感染症の蔓延による操業停止

○サプライチェーンの停滞

〇外出自粛や飲食店の営業時間短縮要請等による需要の減退

 

(影響)

2020年より顕在化した新型コロナウイルスの感染拡大は世界中に蔓延しており、さらに感染が拡大した場合、従業員の感染による操業停止やサプライチェーンの停滞等により、当社グループの事業運営、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、外出自粛や飲食店の営業時間短縮要請等による当社製品の需要減退により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(対応)

当社グループは食品事業などに携わるものとして、従業員の安全を確保したうえで、お客さまへの供給責任と社会的責任を果たすことなどを基本方針としております。代表取締役社長執行役員を本部長とする感染症対策本部を設置し、衛生管理の徹底や時差出勤等の実施により社内の感染拡大を防止するとともに、万一の場合にも事業が継続できるよう、リモートワークの推進等、従業員間の接触頻度を極小化するなどの対応を行ってまいります。また、委託先や協力先の確保など、生産体制の複数化などの実施をし、安定供給を実現してまいります。また、需要減退リスクに対しては、生産体制をフレキシブルに対応するなどの需要減退への対応を行ってまいります。

 

《自然災害に関するリスク》

○大規模な地震、台風、集中豪雨などによる操業停止

○サプライチェーンの停滞

 

(影響)

大規模な地震・台風等の災害が発生した場合、生産設備の毀損あるいは事業活動の中断等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(対応)

当社グループは昨今の台風や豪雨に伴う水害等の発生頻度の高まりを受けて、大規模地震を想定して策定していた事業継続計画(BCP)の見直しを行い、大規模地震以外の災害に対する対応力についても範囲を広げさらなる向上を図ってまいります。また、業務提携などを通じて、安定供給を実現してまいります。

 

《環境に関するリスク》

○環境対策の対応不足による企業価値の低下

○CO2排出規制強化による生産コスト増加

 

(影響)

当社グループは各工場でISO14001を取得し、また、国や自治体に応じた環境法令等への対応や、環境トラブル防止に配慮した事業運営に取り組んでおりますが、環境対策の取り組みが不十分な場合、当社の企業価値を損ね、資金調達や従業員の確保等に影響を受ける可能性があります。

(対応)

ESGの取組みは当社グループの事業活動の基盤であり、競争力を左右する重要な要素と捉え、事業と一体となったESG経営を推進し、環境負荷を極小化するために省資源・省エネルギー、CO2排出量の低減、脱プラスチック、水資源の有効活用、バリューチェーンにおけるAIの活用に努め、資源の利用効率の最大化を図るためのゼロエミッションなどに積極的に取り組んでまいります。

 

《社会的課題に関するリスク》

○環境に配慮しない製品の排除

○サステナビリティ重視の消費者ニーズ対応不足

○人権・環境保全等、サステナブルな課題への対応不足による企業価値の低下

 

(影響)

原料の多くを天然資源に依存する当社は、CO2の排出増に伴う地球温暖化等の気候変動や水資源の枯渇により大きな影響を受けます。地球環境の深刻な危機に対して、当社だけでなく、バリューチェーン全体での環境負荷低減が求められています。またプラスチック問題や人権など様々な課題に対する取り組みも求められています。

生活者の環境に対する意識も高まっており、サプライチェーン上で環境や品質、人権等の問題が生じた場合、そのサプライチェーン全体での管理・責任が問われる時代となっています。これらの社会的課題への取り組みが不十分と見なされた場合、企業価値の低下につながる可能性があります。

(対応)

当社グループは、様々な社会課題の解決を商品やサービスで貢献し、多様な価値を創造することを目指しています。「健康」や「おいしさ」の提供だけでなく、食を取り巻く廃棄物やフードロス、限りある資源の利用などの社会課題に対し、長年培ってきた技術を活かし、社会課題の解決を見据えた商品の開発に努めています。また2019年に、世界規模で企業とサプライヤーを結ぶ共通のプラットフォームを提供している、SedexにA/B会員として入会。今後Sedexのプログラムを有効活用し、グローバルな視点で「労働基準」「安全衛生」「環境」「ビジネス倫理」の4領域に関するサプライチェーンのサステナブルな課題の把握とその改善に取り組んでいきます。

さらに、アブラヤシの果実から搾油されるパーム油は、我々の生活に欠かせない油脂で、当社グループの事業活動を支える重要な原材料のひとつであるため、「サステナブル調達方針・調達基準」に基づき、原産国の環境保全に配慮し、人権を尊重するとともに食を支える企業として、パーム油の安定供給の社会的責任を果たすために持続可能なパーム油調達を実現します。

Sedexは、グローバルサプライチェーンにおける倫理的で責任あるビジネス慣行の実現を目指し、サプライチェーンデータを管理・共有する世界最大のプラットフォームです。顧客とサプライヤーが共通のプラットフォームを活用して情報を共有し、サプライヤーにおける問題点を抽出するとともに、その課題解決への取り組み状況を把握し、サステナブルな事業慣行の拡大に取り組んでいます。A/B会員は、バイヤー機能を持つA会員と、サプライヤーとしてSAQに回答するB会員の両方の資格を持ちます。

 

 

《情報漏洩・サイバーセキュリティに関するリスク》

○不正アクセスやコンピュータウイルスの感染等による情報漏洩

○インシデント発生時の対応不備

 

(影響)

年を追うごとに多様化・巧妙化するサイバーセキュリティリスクは、当社グループにおいても、サプライチェーン機能の安定的維持や個人情報を含む情報資産の適切な保持に対する大きな脅威となっており、コンピュータウイルスの感染や情報漏洩・データ改ざんが発生した場合、当社業績や社会的責任の遂行に影響を及ぼす可能性があります。

(対応)

当社グループでは最新のサイバーセキュリティリスクについての動向を協力会社との連携により常に把握し、以下の観点から対策の継続的強化を図っております。

1.社内ネットワークへの不正侵入を防御するシステム構成導入、サーバーおよび従業員パソコンへの最新対策ソフト導入。

2.不正侵入、情報漏洩など不審なデータトラフィックをモニターするためのシステム構成導入。

3.標的型eメールへの対応などに関する従業員への周知徹底。(eラーニングなど)

4.インシデント発生時の対応手順準備と徹底。

また、今後も引き続き、年々拡大するリスクへの対策(製造工場のスマート化に応じたセキュリティ対策など)を講じるとともに万が一インシデントが発生した場合に被害を最小化し迅速な回復を図るための対応手順強化に取り組んでまいります。

 

《食品安全に関するリスク》

○お客様への健康危害や表示等の法令違反による、流通回収やリコールの発生

○食品偽装やデータ改ざんの発生

 

(影響)

お客様への健康危害や表示等の法令違反により、流通回収やリコールが発生した場合、さらには食品偽装やデータ改ざんが行われた場合には、当社ブランドの信頼失墜及び、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(対応)

当社グループはISO9001による品質マネジメントシステムの運用、特に製品の開発設計段階での品質アセスメントの実施と仕組みの強化による品質リスクの低減に取り組んでおります。また、全ての自社工場においてISO22000認証(食品安全マネジメント)を取得するとともに、品質監査により仕組みの適切な運営について常に確認しています。仕組みの運用だけでなく品質や食品安全に関する従業員教育を継続して行うことで従業員との信頼関係に基づいた風通しの良い組織風土醸成に努めております。さらに、お客様に安心して商品をご利用いただけるよう、お客様相談室を通じていただいたお客様の声を商品開発に活かしてまいります。

 

《人財の確保に関するリスク》

○各分野で必要とする高度な専門性を持つ人財の採用不足

○次世代を担う人財の確保・育成・配置の計画的推進不足

 

(影響)

IT革命や少子高齢化の進行、ESG経営の推進といった社会の変化により、雇用情勢や必要となる専門性、働き方の価値観等が大きく変わりつつあります。各分野で必要とする高度な専門性を持つ人財の採用や次世代を担う人財の確保・育成・配置が計画的に推進できない場合には、事業活動の停滞等により当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(対応)

当社グループはESG経営やSDGsの推進を通じて企業価値を高めております。また、働きやすい職場環境を維持・改善し、公正な人事・処遇制度の構築とその適正な運用に取り組み、高度な専門性を持つ人財や次世代の経営を担う人財の育成に取り組むとともに、女性活躍や定年後雇用延長制度などのダイバーシティのさらなる推進、働き方の見直しによるワーク・ライフ・バランスをさらに推進してまいります。あわせて、AIを活用した効率化を一層進めてまいります。

 

《コンプライアンスに関するリスク》

○法規制や社会規範に反した行為や不正・ハラスメントなどの発生

○予測し得ない法規制の変更や追加による事業上の制約

 

(影響)

当社グループは食品衛生法、食品表示法、JAS法等以外に、環境・リサイクル関連法規、独占禁止法等の様々な法的規制の下で事業展開しております。これらに対し、当社グループはESG経営の高度化を図るべく特定したマテリアリティのうち優先すべき課題としてリスクマネジメントの強化とコンプライアンスの推進を掲げています。万一、法規制や社会規範に反した行為や不正、またはハラスメントなどが発生した場合には、当社グループの信用の失墜により業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、予測し得ない法規制の変更や追加による事業上の制約などにより当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(対応)

当社グループは法規制及び社会規範を遵守することを目的とした「J-オイルミルズ行動規範」を策定し、継続的な社内啓発と全社員を対象とした社内研修で周知しております。加えて、不正やハラスメントなどを早期に見出し、是正していくために社内外に内部通報窓口を設けることで、法規制や社会規範に反した行為等の発生を低減することを進めております。また、法規制の変更や追加に対応するため、法令改正情報を注視し、関連する法令改正に適切に対応してまいります。

 

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において入手可能な情報に基づき、当社グループが判断したものであります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営成績

① 事業環境

当社グループの主力事業である油脂事業は、主原料である大豆、菜種ともに海外の相場変動及び為替相場の影響を受けます。当連結会計年度は、米国シカゴの大豆相場は、4月に1ブッシェルあたり8ドル台前半まで下落しましたが、その後は南米の天候悪化・あるいは乾燥や米国産大豆の需給逼迫等から14ドル台まで上昇傾向が続き前年同期と比較して高位での推移となりました。カナダの菜種相場は、4月に1トン当たり450加ドル付近まで下落しましたが、その後は大豆やパーム油の高騰に伴う植物油価格の上昇やカナダ産菜種の需給逼迫予想等から800加ドル台まで上昇し前年同期と比較して高位での推移となりました。為替相場は、4月に109円台を付けた後は新型コロナウイルス感染症の感染再拡大懸念と経済活動再開に伴う景気回復期待が交錯する中、緩やかな円高ドル安傾向が続き、12月には102円台まで進行しました。その後は、米国の経済回復期待や長期金利の上昇を受けてドル高傾向へ転換しましたが、前年同期と比較して円高での推移となりました。

また、当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛と内食需要の高まりから、当社グループ事業におきましても、さまざまな影響を受けました。油脂事業においては、家庭用市場が前年を上回るものの、業務用市場では外食向けを中心に厳しい状況となりました。油脂加工品事業においても、インバウンド需要の減少や外出自粛により、土産用菓子に使用される業務用マーガリンが影響を受けました。一方で食品・ファイン事業においては、中食・テイクアウト需要の高まりにより、経時劣化抑制、食感改善機能のある高付価値スターチが伸長しました。このような環境の中、当社グループはステークホルダーに対する責任を果たすべく各種取り組みを実施しました。従業員とその家族の安全確保の観点では、IT環境を整備し、在宅勤務の可能な部署においてはフルリモートワークを実施、出社の際もフリーアドレスや出社日・時間の分散によるリスク低減を図っております。お客様に対しては、食の安定供給・製品価値提供の観点より、衛生管理を徹底し生産・受注・物流・営業を継続するとともに、テイクアウト・デリバリー需要の増加に応じた当社独自技術での提案を行っております。また、株主・投資家の皆様には適時適格な情報開示を継続するとともに、財務健全性を確保し配当方針を継続すべく、安定資金の確保にも努めました。

<新型コロナウイルス感染拡大による業績影響>

 


 

 

<新型コロナウイルスへの対応策>


 

② 経営成績の状況

連結損益計算書

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

売上高

178,196

164,816

売上原価

141,762

130,828

販売費及び一般管理費

29,772

27,300

営業利益

6,661

6,687

経常利益

7,302

7,374

親会社株主に帰属する当期純利益

5,203

5,253

 

(売上高)

当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、主に外食向け業務用商品の需要減退により販売数量が大幅に減少したことや、搾油量減少によりミールの販売量が減少したことにより、売上高は1,648億16百万円前年同期比7.5%減)となりました。

(売上原価、販売費及び一般管理費)

当連結会計年度は、原材料コストが増加しているものの、製造費用のコストダウンや販売数量減少の影響により、売上原価は1,308億28百万円前年同期比7.7%減)となりました。販売費及び一般管理費は、販売数量減少に伴い物流費が減少したこと、広告費の減少および各種経費の抑制に取り組んだことにより、273億円前年同期比8.3%減)となりました。

(営業利益)

売上高の減少をコスト改善や各種経費の抑制で補うことにより、営業利益は66億87百万円前年同期比0.4%増)となりました。

(経常利益)

受取配当金や持分法による投資利益の増加等が、期中において手元資金を厚くしたことによる支払利息増加の影響を上回ったこと等により、経常利益は73億74百万円前年同期比1.0%増)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

投資有価証券売却益、東北の物流拠点で発生した火災による受取損害賠償金を特別利益へ計上し、同火災による災害損失を特別損失に計上いたしました。ケミカル事業の譲渡契約締結に伴い、留保利益にかかる税効果を認識し、法人税等調整額を計上した影響により法人税等は増加しました。以上により、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は52億53百万円前年同期比1.0%増)となりました。

 

③ セグメントの概況

 

セグメントの名称

売上高(百万円)

セグメント利益(百万円)

セグメント資産(百万円)

 

前年同期比(%)

 

前年同期比(%)

 

前期末比(百万円)

油脂事業

138,899

△7.7

6,223

2.7

115,725

8,769

油脂加工品事業

12,128

△4.9

△443

9,457

△406

食品・ファイン事業

12,786

△6.4

754

△2.2

11,146

△658

その他

1,001

△22.5

153

△32.0

1,789

△52

全社資産

18,391

1,317

合計

164,816

△7.5

6,687

0.4

156,509

8,968

 

(油脂事業)

油脂部門においては、家庭用油脂は、新型コロナウイルス感染症の影響により家庭での調理機会が回復・定着傾向にある事から、売上高は堅調に推移しました。その中でも、使用頻度が高いキャノーラ油が伸長し、風味付けの用途の広がりにより、ごま油が堅調に推移しました。オリーブオイルは小容量品種が大きく伸長しましたが、輸入大容量の拡大が継続したことで中容量品種が苦戦し、前年同期を下回りました。健康価値の高い、「健康サララ®」、えごま油・アマニ油・こめ油などの高付加価値品の売上高は大きく前年同期を上回りました。業務用油脂は、新型コロナウイルス感染症による外食産業の市場減退の影響が大きく、販売数量は前年同期を大きく下回りました。コロナ禍において、デリバリー・テイクアウト需要の拡大等といった同感染症の影響に対する得意先の変化に対応し、経時劣化を抑制する製品やお客様のオペレーション改善に貢献する製品(「麺のための油」や「ごはんのための米油(炊飯用)」「J-OILPRO®」など)の提案を強化するとともに、コストダウンや省資源化、作業軽減化にも寄与する、長く使えるフライ油「長調得徳®」の提案を強化いたしました。

油糧部門においては、油糧製品の主たる需要先である配混合飼料の国内生産量は前年同期と同程度で推移しました。大豆ミールの販売数量は新型コロナウイルス感染症の影響により搾油量が減少したこともあり前年同期を大きく下回り、販売価格はシカゴ相場の上昇により前年同期をやや上回りました。菜種ミールの販売数量は前年同期をやや下回り、販売価格は大豆ミールに連動して前年同期を上回りました。この結果、油糧部門の売上高は前年同期を下回りました。

以上の結果、当事業は、売上高1,388億99百万円前年同期比7.7%減)、セグメント利益62億23百万円前年同期比2.7%増)、セグメント資産1,157億25百万円前期末比87億69百万円増)となりました。


 

(油脂加工品事業)

マーガリン部門においては、家庭用では、主力商品の「ラーマバターの風味」増量セールを実施するとともに、「ラーマバター好きのためのマーガリン」「ラーマお菓子作りのためのマーガリン」の料理動画を配信し、親子で出来る簡単なお料理やお菓子を紹介することでパンに塗るだけでなく料理への訴求も行いました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響による内食需要が一巡した結果、家庭用マーガリンの売上高は前年同期と同程度となりました。業務用では、主力製品のグランマスターシリーズにアイルランド産発酵バターを配合した製品をラインナップに加え、新製品の中でも「グランマスター®アイリッシュ」を基幹商品に据えて高付加価値品の拡販に努めましたが、新型コロナウイルス感染症拡大によるインバウンド需要の低下、緊急事態宣言等による外出自粛の影響を受けて、販売数量、売上高はともに前年同期を下回りました。

粉末油脂部門においては、新型コロナウイルス感染症の影響は限定的であり、当社が受託している粉末油脂の需要は堅調に推移しましたが、工場稼働日数の減少を補えず、販売数量、売上高はともに前年同期を下回りました。

 

以上の結果、当事業は売上高121億28百万円前年同期比4.9%減)、セグメント損失4億43百万円前年同期はセグメント損失3億96百万円セグメント資産94億57百万円前期末比4億6百万円減)となりました。


 

(食品・ファイン事業)

テクスチャーデザイン部門(旧スターチ部門)においては、コーンスターチは食品用途および工業用途ともに不採算品の収益改善と拡販に継続した取組みを行い、売上高は堅調に推移しました。食品用加工澱粉は業務用向け販売の回復が遅れ、売上高は前年同期をやや下回りましたが、当社の独自の技術を活用した「ネオトラスト®」は品質・食感改良材として中食・外食向けに新規採用が継続したことから前年同期を大きく上回りました。

ファイン部門においては、機能性素材への新型コロナウイルス感染症の影響は軽微であり、売上高は順調に推移しました。成長事業として位置付けているビタミンK2の売上高は、国内外で新規採用が増加したことにより前年同期を大きく上回りました。大豆たん白をベースとしたシート状大豆食品「まめのりさん®」の販売は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け売上高は前年同期を大きく下回りましたが、主要販売先である北米をはじめとする海外各地の外食店の営業制限が継続する中でもデリバリー用途などの新たな需要が創出されたこと等により、下期は前年同期を大きく上回りました。

ケミカル部門においては、2019年10月の消費税増税前の駆け込み需要反動と新型コロナウイルス感染症の影響により新設住宅着工戸数が前年同期を下回り、直近では一部持ち直しの傾向が見られたものの、主たる需要家である木質建材産業の業績も同様に低調に推移しました。また、第3四半期までの原材料価格は低位で推移し、需要家からの値下げ要求が強まった状況下で、木質建材用接着剤の販売数量と販売価格の維持に努めましたが、販売数量および売上高は前年同期を大きく下回りました。

以上の結果、当事業は売上高127億86百万円前年同期比6.4%減)、過年度に実施した棚卸資産評価減の影響もあり、セグメント利益7億54百万円前年同期比2.2%減)、セグメント資産111億46百万円前期末比6億58百万円減)となりました。


 

(その他)

その他の事業につきましては、売上高10億1百万円前年同期比22.5%減)、セグメント利益1億53百万円前年同期比32.0%減)、セグメント資産17億89百万円前期末比52百万円減)となりました。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりになります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

油脂事業

106,662

△8.2

油脂加工品事業

9,231

△5.2

食品・ファイン事業

3,936

△0.6

合計

119,831

△7.7

 

(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。

2 金額は製造原価によっております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b. 受注実績

当社グループは受注生産を行っておりません。

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりになります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

油脂事業

138,899

△7.7

油脂加工品事業

12,128

△4.9

食品・ファイン事業

12,786

△6.4

その他

1,001

△22.5

合計

164,816

△7.5

 

(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

味の素株式会社

47,264

26.5

46,998

28.5

 

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

a.経営戦略

当社グループは、2017年度~2020年度を第五期中期経営計画の期間とし、企業理念「Joy for Life 生きるをおいしく、うれしくしたい。」のもと、コーポレートビジョン ‘Joy for Life’を掲げ、私たちの独自の技術とサービスでお客様の「Joy」の創造を目指して、日々の企業活動に取り組んできました。

第五期中期経営計画における戦略課題は以下のとおりです。

 


 

 

 

第五期中期経営計画期間中は、上記の成長戦略、構造改革、経営基盤強化の戦略課題に取り組みました。その達成の状況と取り組みの結果は以下のとおりです。

 


 

《成長戦略》

油脂および育成領域の高付加価値品の拡大を課題として掲げ、家庭用市場におけるオリーブオイルの用途拡大提案、業務用市場においては長持ち油「長調得徳®」、様々な調味・調理機能を有する「J-OILPRO®」の提案を強化しました。法人向けの営業形態であるソリューション事業においては、当社グループが従前より持つ素材(油脂、スターチ、マーガリン、粉末油脂等)に製菓製パン素材となるミックス粉も加えて、「おいしさデザイン®」の実現に向けた提案を行っています。さらに2019年12月にはマレーシアの油脂加工品製造会社であるPremium Fats Sdn Bhd及びPremium Vegetable Oils Sdn Bhdへ資本参加し、製菓製パン素材市場を中心に、アジアにおける事業展開を加速してまいりました。

《構造改革》

持続的成長を確実なものとするため、2019年度は配合飼料事業の再構築、坂出事業の事業譲渡、生産子会社および販売子会社の統合、SKU(販売品種数)の削減など構造改革に取り組みました。また、日清オイリオグループ株式会社との業務提携を通じて、搾油事業の国際競争力の強化、製油産業の発展及び食品の安定供給を通じた社会貢献ならびに中長期的な企業価値向上を図ってまいります。2021年3月に、ケミカル事業の三菱ガス化学株式会社への譲渡を決定し、2021年5月31日に譲渡が完了しております。

《経営基盤強化》

人財の育成と働きがいの向上に資する働き方改革を事業基盤強化の柱と位置づけ、企業理念「Joy for Life」の実現につながるよう、人事制度の改訂に加え、在宅勤務制度の導入、有給休暇の取得促進などを進めています。さらに、女性の活躍機会の創出、シニア再雇用制度を改訂・導入することで人財の多様化を図っています。

また2019年度より、社内取締役を5名から4名とする一方で、社外取締役を4名から5名とすることにより取締役会の監督機能をさらに強化し、統制の取れた経営を推進してまいります。

当社グループはこれまで培った資産と独自の強みを活かし、SDGs(国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた持続可能な開発目標)で挙げられている様々な課題に対して、事業を通じて解決に貢献し、さらには新たな価値を提供することで当社グループも成長を目指すCSV(共通価値の創造)経営を推進します。またESG(環境、社会、企業統治)に配慮した経営を同時に進めてまいります。

 

b.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、第五期中期経営計画において、株主資本の最適活用による、当社の企業価値向上に不可欠な持続的利益成長について評価することが可能な指標として、経営数値目標を掲げております。

第五期中期経営計画を推進しており、その達成・進捗状況は以下のとおりであります。

経営指標

2017年度実績

2018年度実績

2019年度実績

2020年度実績

2020年度目標

連結売上高

1,833億円

1,867億円

1,781億円

1,648億円

2,150億円以上

連結営業利益

40億円

56億円

66億円

66億円

80億円以上

売上高営業利益率

2.2%

3.0%

3.7%

4.1%

3.5%以上

ROE(株主資本利益率)

4.9%

5.6%

5.9%

5.7%

5.0%以上

 

 

中期経営計画の最終年度である2020年度において、高付加価値品の粗利構成比増加や油脂製品の粗利益率改善の取り組みにより利益率が改善され、売上高営業利益率およびROEは目標を達成しております。一方で、売上高については、新型コロナウイルス感染拡大の影響による販売数量減少の影響等により目標に対して大幅未達となり、営業利益については売上高が伸びない中、経費の抑制等に取り組みましたが目標に対しては未達となりました。一方、営業利益率につきましては、収益性の改善に努めた結果、目標を上回りました。ROE、一株当たり当期純利益はともに売上高当期純利益率が改善し、目標水準を上回りました。

第五期中期経営計画における戦略目標、定量目標の達成状況を精査するともに、課題を抽出し、第六期中期経営計画を策定、2021年5月に公表いたしました。新たな中期経営計画においては、2030年の目指すべき姿を描き、2021年度から始まる4ケ年で成長基盤を強固なものとし、構造改革を一層推し進め、長期成長を実現する所存です。

 

(2) 財政状態

連結貸借対照表

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

流動資産

73,908

82,686

固定資産

73,579

73,778

繰延資産

52

45

資産合計

147,541

156,509

流動負債

30,205

34,605

固定負債

27,651

27,428

負債合計

57,857

62,033

純資産

89,683

94,475

負債純資産合計

147,541

156,509

 

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は826億86百万円で、前連結会計年度末に比べ87億77百万円増加しました。主な増加は、受取手形及び売掛金が20億3百万円、たな卸資産が71億79百万円、主な減少は、現金及び預金5億80百万円であります。固定資産は737億78百万円で、前連結会計年度末に比べ1億98百万円増加しました。主な増加は、投資有価証券が10億1百万円、退職給付に係る資産が4億41百万円であります。主な減少は、有形固定資産13億20百万円であります。これにより、総資産は1,565億9百万円前期末比89億68百万円増)となりました。

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は346億5百万円で、前連結会計年度末に比べ43億99百万円増加しました。主な増加は、支払手形及び買掛金61億83百万円であります。主な減少は、未払法人税等が4億47百万円、流動負債その他が14億93百万円であります。固定負債の残高は274億28百万円で、前連結会計年度末に比べ2億22百万円減少しました。主な増加は、繰延税金負債9億63百万円であります。主な減少は長期借入金が6億50百万円、役員株式給付引当金が1億97百万円、長期預り敷金保証金が1億43百万円であります。これにより、負債は620億33百万円前期末比41億76百万円増)となりました。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は944億75百万円で、前連結会計年度末に比べ47億92百万円増加しております。主な増加は、利益剰余金が35億86百万円、その他有価証券評価差額金が6億25百万円であります。

 

(3) キャッシュ・フロー

① キャッシュ・フローの状況

連結キャッシュ・フロー計算書

前連結会計年度
(百万円)

当連結会計年度
(百万円)

営業活動によるキャッシュ・フロー

14,647

4,270

投資活動によるキャッシュ・フロー

△4,235

△2,438

財務活動によるキャッシュ・フロー

△4,396

△2,476

現金及び現金同等物の増減額

5,988

△617

現金及び現金同等物の期末残高

8,396

7,778

 

当連結会計年度の現金及び現金同等物は、前年同期と比べ6億17百万円減少し、77億78百万円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ103億77百万円減少し、42億70百万円となりました。この主な要因は、原材料コストの上昇に伴いたな卸資産が増加したことや売上債権が増加したことによります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ17億96百万円増加し、△24億38百万円となりました。この主な要因は、有形固定資産の取得による支出が減少したことによります。

財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ19億19百万円増加し、△24億76百万円となりました。この主な要因は、借入金の返済が減少したことによります。

 


 

② キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2016年度

2017年度

2018年度

2019年度

2020年度

自己資本比率(%)

50.6

54.7

58.8

60.6

60.1

時価ベースの自己資本比率(%)

42.4

38.9

45.9

51.0

42.0

キャッシュ・フロー対有利子
負債比率(年)

6.4

5.4

2.0

1.6

5.2

インタレスト・カバレッジ・
レシオ(倍)

46.6

50.4

127.5

172.7

36.3

 

(注)自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業活動によるキャッシュ・フロー/利払い

※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により算出しております。

※有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としています。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

③ 資本の財源

主要な資金需要は、製造及び販売活動に必要な運転資金、有利子負債の返済、配当金の支払い、法人税等の支払い、事業基盤整備のための設備投資、新規事業への投資であり、これらの資金需要に対しましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び内部留保資金、社債発行、金融機関からの借入により資金調達しております。

 

④ 資金の流動性

当社グループは、現金及び現金同等物において、グループ各社の余剰資金を一元管理することによって資金の効率化と金融費用の極小化を図っております。また、当座貸越枠契約、コミットメントライン契約、売掛債権の流動化による機動的な資金調達手段を備えており、十分な資金の流動性を確保しております。

 

⑤ 財務政策

当社グループは、資本効率性と格付を考慮した財務健全性の最適バランスを取りながら、営業活動によるキャッシュ・フロー創出力を強化し、持続的な企業価値の向上を追求していく方針です。これにより、事業活動の維持に必要な手許資金の水準を確保するとともに、安定した株主還元と、企業体質の強化や積極的な事業展開のためへの成長投資など、長期的視野に立った安定的かつ適正な利益配分を行うこととしております。2020年度までの第五期中期経営計画においては、加重平均資本コスト(WACC)等を用いて資産効率向上を進めてROA等の改善を図ることとし、ROE5.0%以上、連結配当性向30%以上の維持を経営目標に掲げ、着実に成果を上げております。

なお、第五期中期経営計画期間におけるキャッシュ・フローの推移実績は以下のとおりです。

項目(億円)

2017年度

2018年度

2019年度

2020年度

キャッシュ・イン

 

 

 

 

 

営業活動キャッシュ・フロー

65

130

146

42

 

資産売却

43

22

20

12

 

借入金残高

308

215

189

183

キャッシュ・アウト

 

 

 

 

 

成長投資等

80

48

63

36

 

株主還元

15

15

15

16

 

有利子負債返済

34

95

25

7

フリー・キャッシュ・フロー

28

104

104

18

 

(注)フリー・キャッシュ・フロー:営業活動によるキャッシュ・フロー+投資活動によるキャッシュ・フロー

※借入金残高は、社債を含みます。

 

2021年度から2024年度までの第六期中期経営計画においては、キャッシュ・インとキャッシュ・アウトから成る調達、投資、成長、還元のサイクルを実現してまいります。この4年間のキャッシュ・イン合計を900億円とし、成長投資350億円、設備投資260億円、配当による株主還元90億円に充当、残りの200億円については不透明な外部環境に適時対応するための待機資金等とする計画です。なお、キャッシュ・イン900億円の内訳は、営業キャッシュ・フロー400億円のほか、外部調達400億円と政策保有株式削減および棚卸資産の圧縮による100億円としております。

 


 

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを用いることが必要となりますが、これらの見積りについて過去の実績や現状等を総合的に勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。詳細は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載していますが、次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。

 

退職給付債務の算定

当社グループは確定給付制度を採用しております。退職給付債務及び勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、昇給率、期待運用収益率等の様々な計算基礎があり、当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。

 

なお、投資有価証券の評価については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に、新型コロナウイルス感染拡大の影響については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

 

相手先

相手先の

所在地

契約内容

契約締結日

契約期間

味の素株式会社

日本

食用油脂事業に関する業務提携の下、同社のブランドを使用する、同社の一部販売ルートを利用する等。

2004年7月1日

自動更新

不二製油グループ本社株式会社

日本

食用油脂事業に関する業務提携の下、原料・資材の効率的調達、中間原料油の相互供給等。

2007年9月7日

自動更新

日清オイリオグループ株式会社

日本

搾油工程(原油と油粕の製造)までを範囲とした業務提携の基本契約。

2020年3月31日

自動更新

全国農業協同組合連合会

JA西日本くみあい飼料株式会社

全農サイロ株式会社

日本

当社倉敷工場の運営に関連して、原料大豆の保管設備利用や配合飼料原料の供給等、長期にわたって相互協力を行う。

2015年2月1日

自動更新

Premium Nutrients Private Limited

マレーシア

油脂加工品事業に関する業務提携の下、同社の子会社であるPremium Fats Sdn BhdとPremium Vegetable Oils Sdn Bhdに対して出資することにより、それぞれ当社の連結子会社、持分法適用会社とする。

2019年10月9日

自動更新

UPFIELD EUROPE B.V.

オランダ

同社ブランドのマーガリン事業での使用。

2019年12月16日

自動更新

UPFIELD GEC Limited.

イギリス

同社グループ会社がギリシャおよびドイツで製造するViolife(ビオライフ)ブランド製品の日本国内における独占輸入・販売契約。

2021年5月17日

3年

以後

合意更新

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、当社及び㈱J-ケミカルで行っております。

当社では、「おいしさデザイン®」による付加価値創造を目指して、「フードデザインセンター」を設置し、研究開発活動を進めております。

フードデザインセンターは、顧客対応領域を軸として、市場開発・商品開発・基盤研究を一貫させ、当社事業領域での製品開発機能を担っております。また、戦略企画部は、事業領域を横断するテーマのためのリソース配分決定、および中長期技術戦略の立案を行い、獲得された技術での利益の最大化を推進しております。

アプリケーション開発及びプレゼンテーション機能を併せ持つ「おいしさデザイン工房®」では、当社の持つ製品や技術を掛け合わせて、揚げ物料理や調理、健康、調味といったさまざまな付加価値機能を追求するとともに、お客様や市場との接点を多く持つことで「おいしさデザイン®」による付加価値創造と社会課題解決のためのソリューション提案活動に努めております。主な当社製品の研究開発は次のとおりであります。

家庭用及び業務用の油脂商品の開発においては、一般消費者やプロの需要家の皆様をより意識し、顧客の課題解決に結びつくよう食品の「おいしさ」を引き出す商品開発を行っております。

②家庭用及び業務用のマーガリンや業務用のショートニング、粉末油脂の開発においては、油脂加工技術を活用して、一般消費者やプロの需要家の皆様のニーズにお応えしております。

スターチ製品の開発においては、当社独自の加工技術で、スナック菓子や麺、パン、水練り製品、畜肉製品、低糖質食品など幅広い食品に利用でき、更に好ましい食感も付与できる機能性澱粉の商品開発を行っております。

ファイン製品の開発においては、主に大豆を中心とした天然素材に含まれる生理活性物質や機能性素材を、抽出・精製・加工し、機能性を付与した高付加価値型の素材商品として提供しております。

㈱J-ケミカルでは、「持続可能社会へのバイオマス活用拡大への貢献」を目指し、主要事業である木材用接着剤、塗料では合板・木質ボードなどの高機能化を図る開発を行い、国産材の利用促進に貢献しております。また、抗菌抗ウイルス剤「AGアルファ®」はコロナ禍環境下で引き合いが急増し、塗料・コーティング剤や洗浄剤などの付加価値化への提案を行っております。

なお、研究開発費の総額は、1,518百万円であります。

 

セグメント別の研究開発活動は、次のとおりであります。

(油脂事業)

家庭用油脂分野では、より一層お客様のご利用シーン・ニーズに対応する開発を目指し、健康意識の高いお客様から高い支持を頂いているオメガ3(n-3)脂肪酸豊富なオイルが開封後も酸化しにくく、注ぐ量も調整しやすい「AJINOMOTO えごま油」100g鮮度キープボトル、200g鮮度キープボトル、「AJINOMOTO アマニ油」100g鮮度キープボトルを発売いたしました。また、生食での使用から炒めものなど幅広い用途に使用いただける「AJINOMOTO えごまブレンド油」200g鮮度キープボトル、「AJINOMOTO アマニブレンド油」410g鮮度キープボトルを発売いたしました。家庭内での調理機会の増加を受け、頻繁に揚げものを作られる方々を主なターゲットとしたキャノーラ油の新商品「AJINOMOTO さらさら®キャノーラ油 軽やか仕立て」を発売いたしました。家庭内で、日々の料理に使用する油を「風味」や「仕上がり」、「ヘルシー感」などのこだわりで、ベーシックなタイプから付加価値の高いタイプに切り替える生活者のニーズにお応えするため、「AJINOMOTO Eurolive® Light」を発売いたしました。調味油分野では、本格中華メニューを、ご家庭でも手軽に味わいたいという需要の高まりを受け、調味油のラインナップを強化し、「AJINOMOTO 香辣油」、「AJINOMOTO 花椒油」を発売いたしました。また、ごま油の調味用途による使用が拡大していることを受け、濃厚な風味を楽しみたい方に向け、香ばしさをアップさせた「AJINOMOTO 濃口ごま油」と「AJINOMOTO 焙煎ごま香味油」を発売いたしました。業務用油脂分野におきましても、オメガ3(n-3)脂肪酸を豊富に含む「J えごま油」200g(外食テーブルユース向け)を発売いたしました。また、新鮮な状態が長く続く独自製法「TEEUP®製法PLUS+」を活用した「長調得徳®」シリーズの機能強化を図るべく、研究開発に邁進いたしました。

なお、当事業の研究開発費の金額は、720百万円であります。

(油脂加工品事業)

加工油脂分野では、アイルランド産発酵バターを配合したグランマスター®アイリッシュ、グランマスター®iシリーズを発売いたしました。またマレーシア油脂加工品会社Premium Fats Sdn Bhdにおいてはフレーバリング技術及び配合技術での技術支援によりSUNPRIMEシリーズの新製品を発売いたしました。粉末油脂分野では、安定生産へのサポートを継続しながら、生産部門との連携を通して噴霧乾燥工程の生産効率の向上に努めております。

なお、当事業の研究開発費の金額は、343百万円であります。

(食品・ファイン事業)

食品素材スターチ分野では、食感起点でお客様の抱える課題を解決する「テクスチャーソリューション」に注力いたしました。当社独自素材である「ネオトラスト®」シリーズのアプリケーション技術開発を推し進め、油と水の両方を保持する機能により、畜肉製品のジューシー感や食べ応えを向上させることや、食パンをしっとりさせ、口どけ感が向上させることなど、その用途が益々広がって来ており、採用実績も増加しております。食品素材ファイン分野では、海外での販売が好調なビタミンK2の増産や販売促進に対応した技術開発に取り組みました。

なお、当事業の研究開発費の金額は、454百万円であります。