(1) 私たちの目指すもの
味の素グループは、地球的な視野にたち、“食”と“健康”、そして、明日のよりよい生活に貢献し、先端バイオ・ファイン技術が先導する、確かなグローバル・スペシャリティ食品企業グループを目指します。
(2) 「確かなグローバル・スペシャリティ・カンパニー」に向けて
① ASV(Ajinomoto Group Shared Value)の進化による持続的成長
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味の素グループは、うま味を通じて粗食をおいしくし、国民の栄養を改善するという創業の志を受け継ぎ、創業以来一貫した、事業を通じて社会価値と経済価値を共創する取り組みにより成長してきました。この取り組みをASV(Ajinomoto Group Shared Value)と称し、これからも事業を通じて「21世紀の人類社会の課題」である「健康なこころとからだ」、「食資源」、「地球持続性」に積極的に貢献することで、ASV進化による持続的な成長を目指します。
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② 現状の課題 -グローバル食品企業トップ10クラス入りのために-
現在の味の素グループは、グローバル食品企業トップ10クラスの企業と比較すると、財務指標、すなわち、事業の規模、利益を創出する効率性に課題があります。また、「環境」、「社会」、「ガバナンス」(いわゆるE・S・G)に関する基本方針や非財務目標をより明確にすべきであると考えています。これらに対し、我々の強みである独自のコア技術、すなわち、アミノ酸を起点とした独自の先端バイオ・ファイン技術や「おいしさ」を解析し自在に設計する「おいしさ設計技術」と徹底した現地・顧客適合で具体的な解決に取り組んでいます。一方で、2014-2016中期経営計画および2017-2019(for 2020)中期経営計画で取り組んできた食品事業のポートフォリオの拡大が、戦力分散と重点分野への投資の希薄化を招き、主要カテゴリーでの市場創造力とコスト競争力の低下に繋がっています。こうした中で、①成長可能性の高い事業領域への経営資源の集中・重点化、②資産効率の向上、③生産性の向上、の3点をあらゆるバリューチェーンで推進するアセットライト経営により一層の効率化を進め、グローバルトップ3が実現可能な領域に重点化することで、次期中期経営計画においてグローバル食品企業トップ10クラス入りを目指せる体制を整えます。
(3)目標とする経営指標およびその進捗
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2017-2019(for 2020)中期経営計画において、味の素グループが創造する経済価値、社会価値を財務目標、非財務目標として設定。またこれらを合わせた統合目標としてコーポレートブランド価値を数値化し、味の素グループが目指すところを明確にした経営を行っています。 2017年度にはグループ共通の“味の素グループグローバルブランドロゴ”を導入し、また北米、欧州のグループ会社の社名を“味の素”と事業内容・地域を組み合わせた名称に変更するなど、コーポレートブランド価値の集約に取り組んでいます。 財務・非財務目標とその2018年度進捗状況は、次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。 |
■味の素グループグローバルブランドロゴ |
① 財務目標(経済価値)
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2017年度 実績 (注3) |
2018年度 期首予想 |
2018年度 実績 |
2019年度 当初目標 |
2019年度 期首予想 |
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事業利益 |
956億円 |
1,030億円 |
926億円 |
1,240億円 |
970億円 |
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事業利益率 |
8.6% |
8.7% |
8.2% |
9.4% |
8.3% |
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ROE |
9.6% |
9.5% |
4.7% |
9.8% |
8.0% |
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ROA (注1) |
6.9% |
7.2% |
6.6% |
8.8% |
6.5% |
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EPS成長率 |
14.0% |
3.0% |
△49.3% |
年二桁成長 |
70.3% |
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海外売上成長率 (注2) |
5% |
7% |
6% |
年二桁成長 |
4% |
(注1)資産合計事業利益率
(注2)コンシューマー食品が対象。現地通貨ベース
(注3)当期より、物流事業を非継続事業に分類しているため、2017年度実績についても、対応する金額を同様に組み替えて表示しております。また、当期において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、2017年度実績については、暫定的な会計処理の確定の内容を反映させております。なお、2018年度期首予想は、これらの反映前の数値です。
② 非財務目標(社会価値)
事業を通じた「健康なこころとからだ」、「食資源」、「地球持続性」への貢献を目指し、「環境」、「社会」、「ガバナンス」(E・S・G)の項目に沿って定量的な目標を定めています。
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非財務目標の内容 |
2015年度 実績 |
2017年度 実績 |
2018年度 実績 |
2020年度目標 ※一部、2020年度以降の目標を 掲げています。 |
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社 会 |
うま味を通じてたんぱく質・野菜をおいしく摂取し、栄養バランスを改善します。 |
味の素グループ製品による肉・野菜の摂取量(日本・Five Stars (注4)) |
肉: 660万トン
野菜: 380万トン |
肉: 720万トン
野菜: 440万トン |
肉: 720万トン
野菜: 440万トン |
肉: 年860万トン: 19%(9.7kg/人/年) 〈対 2015年度+3%(+2.0kg)〉 野菜: 年550万トン: 8% (6.2kg/人/年) 〈対 2015年度+2%(+1.6kg)〉 |
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共に食べる場を増加します。 |
味の素グループ製品による共食の場への貢献回数(日本・Five Stars (注4)) |
55回 |
60回 |
60回 |
70回/世帯/年 〈対 2015年度+20回〉 |
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おいしくスマートな調理を実現します。 |
味の素グループ製品を通じて創出される時間(日本) |
31 百万時間 |
37 百万時間 |
37 百万時間 |
38百万時間/年(6時間/世帯) 〈対 2015年度 +7百万時間〉 |
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人々の快適な生活を実現します。 |
アミノ酸製品(アミノサイエンス)を通じた快適な生活への貢献人数 |
1,820 万人 |
1,980 万人 |
1,990 万人 |
2,200万人 〈対 2015年度 +400万人〉 |
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環 境 |
温室効果ガスの削減:製品ライフサイクル全体でカーボンニュートラルにします。 |
温室効果ガスの排出量対生産量原単位 |
33%削減 (対2005年度) |
35%削減 (対2005年度) |
33%削減 (対2005年度) |
2020年度:8%削減 〈対2015年度〉(注5) 2030年度:50%削減 〈対2005年度〉 |
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再生可能エネルギー比率 |
18%
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23%
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24%
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2020年度:28%(注5) 2030年度:50% |
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脱フロン |
-
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-
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-
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2025年度:新規導入100% 2030年度:HFCs (注6) 保有量極少 |
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非財務目標の内容 |
2015年度 実績 |
2017年度 実績 |
2018年度 実績 |
2020年度目標 ※一部、2020年度以降の目標を掲げています。 |
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環境 |
フードロスの削減:2050年までにライフサイクルでフードロスを半減します。 |
原料受入からお客様納品までのフードロス削減 |
- |
4%増加 |
28%増加 |
2020年度:20%削減 〈対2016年度〉 2025年度:50%削減 〈対2016年度〉
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食資源の確保と生態系・生物多様性を含む自然環境の保全:次世代のための食資源の確保と生態系・生物多様性を含む自然環境の保全に貢献し、持続可能な調達を実現します。 |
持続可能な調達 |
- |
パーム油 14% |
パーム油 25% |
2020年度:パーム油・紙100% 2030年度:課題原料100% |
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低資源利用発酵技術・副生物活用・原料代替技術による天然原料使用量削減 |
- |
79% |
79% |
2025年度:100%導入 |
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水資源の保全:持続的に水を利用し続けられる環境を創出します。 |
工場の水使用量対生産量原単位 |
75%削減 (対2005年度) |
77%削減 (対2005年度) |
78%削減 (対2005年度) |
2020年度:10%削減 〈対2015年度〉(注5) 2030年度:80%削減 〈対2005年度〉 |
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廃棄物の3R (Reduce、Reuse、Recycle): 廃棄物のゼロエミッション |
事業活動で排出される廃棄物削減・資源化率 |
99.6% |
99.3% |
99.2% |
2020年度、2025年度:99%以上維持 |
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ガ バ ナ ン ス |
従業員の働きがいを向上します。 |
働きがいを実感している従業員の割合 |
- |
79% |
- |
80% |
(注4) タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピン、ブラジル
(注5) 2020年度目標を上方修正しております。
(注6) Hydrofluorocarbon(代替フロン)
(4)会社の対処すべき課題および中長期的な会社の経営戦略
<2017-2019(for 2020)中期経営計画の推進>
味の素グループは、2017-2019(for 2020)中期経営計画においても、「FIT & GROW with Specialty」を継承し、土台となる「経営基盤の強化」にも取り組み、「確かなグローバル・スペシャリティ・カンパニー」を目指しています。その取り組みおよび進捗状況は次のとおりです。
① 更なる事業構造改革(FIT)
1)コモディティ事業からの抜本的な転換
・コモディティ製品の生産外部化による動物栄養事業のスペシャリティ化の加速
(進捗状況)中国の梅花生物科技集団との製造委託契約によりコモディティ製品の生産外部化を拡大し、ブラジルのリジン工場を停止するなどスペシャリティへの転換を進めています。
・加工用うま味調味料事業における当社製品向け供給の拡大と低資源利用発酵技術によるコスト削減
・甘味料事業のリテール・外食向け製品のスペシャリティ化の強化
2)事業横断でのサステナブルバリューチェーンの構築
・グループ会社を含む国内全体のバリューチェーン再編による事業構造強化(最新鋭工場への転換、他社との共同物流改革、事業横断での伸長チャネル向け提案力強化、共通のコーポレート機能の一体運営等)
(進捗状況)・国内調味料・加工食品生産体制強化のため、当社事業所の一部、クノール食品㈱および味の素パッケージング㈱の生産体制を集約・再編し、新会社を2019年4月に発足させました。
・カゴメ㈱、日清オイリオグループ㈱、日清フーズ㈱、ハウス食品グループ本社㈱の4社と2019年4月に物流事業を統合し、全国規模の物流会社を発足させました。深刻化する食品物流の諸課題の解決に向けて、食品メーカー協働での取り組みを一層推進します。
・グローバルのバリューチェーン全体における資源利用の削減(ICT(情報通信技術)活用による発酵プロセス自動化・効率化、製品消費段階での環境負荷低減等)
② 成長ドライバーの展開(GROW)
1)食品の地域ポートフォリオ強化を通じた確かな成長
・日本食品:「おいしさ設計技術」の進化による主要ブランド製品の継続強化、「勝ち飯®」等の当社独自のサイエンスとデジタル・ICT活用による、お客様に提供するこころとからだの健康、共食の喜び、食文化価値の増大
(進捗状況)・「Cook Do®」は2018年に発売40周年を迎え、「Cook Do®」ならではの“抜群のおいしさ”、“簡単手作り”という特長を改めて訴求し、合わせ調味料全体で過去最高の売上となりました。
・冷凍食品はギョーザ類の売上は拡大したものの、から揚げを中心に販売が低迷しました。
・国内コーヒー市場は、インスタントコーヒーの家庭内消費が縮小する中、スティック製品でも競合との競争が激化し、販売が低迷しました。
・2018年4月に生活者解析・事業創造部を発足させ、生活者データの解析やEC/通販市場での拡大を推進しました。
・海外食品:ローカルトッププレイヤーとの連携など新地域展開の加速による地域ポートフォリオ強化、市場成長や為替変動に左右されにくい強固な事業基盤の確立
(進捗状況)・タイの缶コーヒー「Birdy®」は値上げの浸透および販売努力により回復し、「Five Stars」の調味料事業も原料価格の上昇等に対し値上げを実施しましたが、一部主要国で従来の高成長から成長が鈍化しています。
・北米の冷凍食品事業はアジアンカテゴリーを中心に売上を伸ばしたものの、新生産体制構築に伴うコストや物流費の上昇に伴い、採算が悪化していたことから減損損失を計上しました。一方、2019年4月にグローバル冷凍食品戦略部を設置し、グローバルでの冷凍食品事業戦略の一元化を進めてまいります。
・プロマシドール・ホールディングス社とその傘下法人が事業を行うアフリカ諸国、およびイスタンブール味の素食品社が事業を行うトルコにおいて、財政悪化や経済成長率の大幅な鈍化により、事業環境が激変し、それに伴って同社の企業価値が低下したことから減損損失を計上しました。
2)新たな事業の柱の構築による事業ポートフォリオの拡張
・食品事業:中食・外食・加工食品向けに「おいしさ」実現のための提案を総合的に行う「おいしさソリューション事業」のグローバルな立ち上げ。フレーバーに関する素材や技術の強化と顧客起点に立ったグループ横断の営業体制の構築
(進捗状況)2018年4月1日付で加工食品メーカー向けの天然系調味料、酵素製剤等の業務用製品(素材)事業と、中食・外食業態向け製品事業を統合し、国内大手の外食・中食ユーザーに対し、天然系調味料・酵素・機能性調味料を用いた提案を拡大しました。また、2018年4月以降、味の素冷凍食品㈱、クノール食品㈱、味の素AGF㈱の日本食品に関わるR&D拠点の当社川崎事業所内への集約を段階的に行っています。これらによる「おいしさ設計技術」の提供と味の素グループ一体型の顧客起点営業体制の強化を通じ、「おいしさソリューション事業」の拡大を図ります。
・アミノサイエンス事業:アミノ酸素材事業の川下事業化、先端バイオ医療周辺領域の成長加速等、スペシャリティ事業の拡大による強い事業構造への転換
(進捗状況)・欧米のCDMO事業(Contract Development & Manufacturing Organization(製薬企業から開発・製造を受託))を「AJINOMOTO BIO・PHARMA SERVICES」のブランドに統合し、グローバルで一体的にサービスを提供できる体制を構築しました。
・当社川崎事業所内にオープン&リンクイノベーション推進拠点である「クライアント・イノベーション・センター」を新設し、当社技術の紹介や、ビジネスパートナーとの技術融合による新価値・新事業の共創を進めています。
③ 経営基盤の強化
・コーポレートガバナンス・コードに適合する基盤強化とイノベーションによる持続的成長
・グローバル戦略機能の強化とグループの事業全体をサポートするコーポレート機能の最適化
(進捗状況)2019年4月1日付で、製品開発とサービス力強化をスピードアップするため研究所体制を再編し、イノベーション研究所を、その機能に応じてバイオ・ファイン研究所と食品研究所に統合しました。
・分厚く多様な人財層の形成に向けた次世代グローバル人財の育成や女性マネージャーの登用
・多様な人財によるイノベーションの促進、従業員の心身の健康増進を目指した「働き方改革」の推進(グローバル基準の働き方を志向した時短、ICT活用による仕事の効率化、育児・介護へのサポート強化等)
(進捗状況)味の素㈱の「働き方改革」で目標とする年間平均労働時間1,800時間に対し、2018年度の実績は1,820時間となりました。引き続き効率化を進めるとともに国内グループ会社への横展開を図ります。
・ASVの実践を通じたグローバル34,000人の全従業員の「働きがい」向上による組織力の強化と業績向上
当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、重要項目ごとに以下のようなものがあります。ただし、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見出来ない又は重要と見なされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。当社グループではこのような経営及び事業リスクを最小化するとともに、これらを機会として活かすための様々な対応及び仕組み作りを行っております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
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財務リスク |
関連する機会とリスク (○機会 ●リスク) |
主要な取り組み |
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減損 |
●買収した子会社等の事業計画未達 ●金利の急激な上昇 |
・企業提携等審議会や経営会議等における買収価格の適切性に関する審議 ・買収後のシナジー実現に向けたフォローアップやマクロ経済環境の定期的なモニタリング |
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得意先の 経営破綻 |
●海外を含めた予期せぬ得意先の経営破綻の発生 |
・情報収集、与信管理等、債権保全 |
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競合の出現 |
●参入障壁が低い事業分野において、多数の競合企業が存在 ●差別化をはかるものの、他社が類似の製品や技術分野で先行した場合 |
・競合に対する差別化、技術、サービス向上 |
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資金調達 |
●金融危機による資金の枯渇 ●格付けの低下 ●各種リスク要因により計画を達成できないことで生じる追加の資金調達等のリスク発生、格付けの悪化 |
・資金調達先及び期間の適度な分散 ・財務体質の維持・強化 ・各種リスク要因の適時の分析と対応 ・最新の情報に基づく適時の計画の見直し |
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為替・金利 変動リスク |
●為替・金利の変動による海外での事業活動の停滞 ●為替・金利の変動による海外子会社業績の円貨への換算への影響 |
・為替予約および変動金利から固定金利へのスワップ等 ・親会社を含めた為替変動リスクの低い国での資金調達 |
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カントリー リスク |
●収用リスク ●戦争や紛争等の発生リスク |
・進出国の適度な分散 |
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租税制度の 変動リスク |
○制度改正による将来税負担の減少(例:米国税制改正) ●制度改正による事業運営コストの増加(例:ブラジルにおける付加価値税) |
税務リスク対応策の一例として「グローバル・タックスに関するグループポリシー」を以下参照 https://www.ajinomoto.com/jp/activity/policy/global_tax_policy.html
・各国における税制や税務行政の変更への対応策を実施
・税金および税務関連費用を最小化する方策またはスキームを立案実行 |
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税効果の 変動リスク |
○●将来課税所得の見積り変更等による税金費用の減少または増加 |
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マテリアリティ項目 |
関連する機会とリスク (○機会 ●リスク) |
主要な取り組み |
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製品の安全・ 安心の確保 |
○お客様の満足度向上によるブランドへの信頼獲得 ○ステークホルダーへの適切な情報公開による信頼獲得 ●うま味・MSGに対するネガティブな風評の拡大による事業への影響 ●製品の品質クレーム・トラブルによるお客様からの信頼低下 |
・パッケージやWEBでの適切な情報共有 ・「お客様の声」の製品・サービスの開発・改善への反映 ・うま味・MSGの価値共有のためのコミュニケーションを強化 ・味の素グループ品質保証システム「ASQUA(アスカ)」に基づく品質保証活動の徹底と人財育成 |
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健康・栄養 課題への貢献 |
○生活者の健康意識、健康ニーズの高まり ○ブランドへの信頼獲得 ○企業価値の向上 |
・おいしく摂取し、心身のすこやかさに繋がる食品・アミノ酸製品およびメニューの提供 ・減塩、減糖、減脂 ・たんぱく質摂取の推進 ・「アミノインデックス技術」による予防医療への貢献 ・当社製品が満たすべき栄養基準の整備 ・生活者一人一人への栄養改善の個別提案(パーソナル栄養) |
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生活者のライ フスタイルの 変化に対する 迅速な提案 |
○共に食べる楽しさ・喜びの提供による企業レピュテーションの向上 ○デジタル活用等による新しい価値の創造 ●生活者のライフスタイルの変化、価値観の多様化への対応遅れによる成長機会の損失 ●調理時間の短縮、調理技術の低下に伴う調味料事業への影響 |
・食を通じた人と人のつながり・コミュニティの創出 ・ビッグデータ・生活者データの活用によるマーケティングの高度化 ・スモールマス(都市化等)への対応強化 ・製品・サービス・情報のお客様への適切な届け方の実践 ・スマート調理等、簡便ニーズに対応した製品・サービスの拡充 |
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マテリアリティ項目 |
関連する機会とリスク (○機会 ●リスク) |
主要な取り組み |
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持続可能な 原材料調達 |
●サプライチェーンにおける社会・環境問題への対応遅延による原材料調達不全リスクの増大 ●気候変動による原材料の調達不全リスクの増大 |
・公正な事業慣行マネジメントの実践(トレーサビリティ等) ・サプライヤーのサステナビリティ推進 ・人権デュー・ディリジェンス ・重要原材料の特定と責任ある調達(紙、パーム油、かつお等) ・公正な競争の確保と従業員教育の徹底 ・コプロ活用による持続可能な農業への貢献 |
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フードロスの 低減 |
○返品・製品廃棄の削減の取り組みによるコスト削減 ●食資源の枯渇 |
・原料をムダなく活かしきるモノづくりの実践 ・デジタルを活用したSCMの高度化・効率化 ・賞味期限延長等による返品・製品廃棄の削減 ・お客様の使用時のロス削減 ・おいしく残さず食べ切る「食エコ」提案 |
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気候変動 への適応 とその緩和 |
○脱炭素に向けた外部連携 ●脱炭素への取り組み遅延、炭素税の負担増加による生産コスト上昇 ●持続可能な原材料調達リスク ●気候変動への対応遅延による企業価値毀損 |
・製品ライフサイクル全体でのカーボンニュートラルに向けた長期的な取り組み ・生産時・輸送時のエネルギー削減の取り組み ・再生可能エネルギーへのシフト ・TCFDに対応した情報開示(シナリオ分析等) ・飼料用アミノ酸による環境負荷低減(土壌・水質汚染の低減) |
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資源循環型 社会実現 への貢献 |
○環境に配慮した素材の開発 ●廃棄物削減、リサイクルへの取り組み遅延による企業価値毀損 |
・生分解性が高いアミノ酸系洗浄剤の供給 ・容器包装の3R推進(プラスチック廃棄物の削減等) ・生分解性プラスチック/植物由来原料/認証紙の使用 ・環境ラベルの普及 |
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水資源の保全 |
●渇水・洪水・水質悪化による生産停滞 ●水資源の枯渇による原材料調達不全 |
・水源の森林整備 ・排水処理技術の開発 |
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多様な人財の 活躍 |
○働きがいの向上による会社の成長 ○イノベーションが起きやすい環境づくり ●人財獲得競争の激化によるコスト上昇 |
・エンゲージメントサーベイを活用したPDCAサイクルの推進 ・ダイバーシティ推進に向けた組織風土改革 ・女性人財の育成・登用 ・健康経営の推進 ・人権教育・啓発活動 ・労働安全衛生マネジメント |
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ガバナンスの 強化 |
○企業価値の向上 ○適切なリスクテイク ●デジタル技術革新に対応できないことによる競争力低下 ●脆弱なITマネジメント体制による競争力低下 ●金融危機、貿易摩擦等の不安定な政治・経済・社会情勢による組織運営への混乱や事業採算性低下 ●知的財産リスクによる事業への影響 |
・味の素グループ従業員全員への味の素グループポリシーの浸透 ・ホットライン(内部通報制度)の整備 ・コーポレートガバナンス体制の強化 ・「全社重要リスク」の選定とその対応策の検討 ・知的財産リスクマネジメント ・IT管理運用規程の制定による情報セキュリティの強化 |
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グローバルな 競争激化への 備え |
○外部連携による価値共創 ○技術革新によるスペシャリティの創出 ○変化の先読みによる競争優位の確立 ○デジタル・ディスラプションによる事業基盤改革の推進 ●デジタル・ディスラプションによる主要事業への影響 |
・バリューチェーン再構築(生産体制再編) ・デジタル・トランスフォメーションの推進 ・研究成果のスピーディーな事業への展開(R&D体制再編) ・コンペティティブ・インテリジェンス(中長期の取組み) ・オープン&リンクイノベーションの推進 |
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業績等の概要
当社グループは、IFRSの適用に当たり、投資家、取締役会及び経営会議が各事業の恒常的な業績や将来の見通しを把握すること、取締役会及び経営会議が継続的に事業ポートフォリオを評価することを目的として、「事業利益」という段階利益を導入しております。当該「事業利益」は、「売上高」から「売上原価」、「販売費」、「研究開発費」及び「一般管理費」を控除し、「持分法による損益」を加えたものであり、「その他の営業収益」及び「その他の営業費用」を含まない段階利益です。
当社は、2018年4月26日、カゴメ株式会社、日清オイリオグループ株式会社、日清フーズ株式会社、ハウス食品グループ本社株式会社との間で、味の素物流株式会社(以下、「AB社」という。)、カゴメ物流サービス株式会社、ハウス物流サービス株式会社、F-LINE株式会社、九州F-LINE株式会社の物流機能を再編し、2019年4月に物流事業を統合する全国規模の物流会社の発足に関する契約を締結しました。
これにより、2019年4月にAB社の支配を喪失することが確実になったため、当連結会計年度よりAB社の資産及び負債を売却目的保有に分類される処分グループに分類し、物流事業を非継続事業に分類しております。
なお、2019年4月1日付にて、予定通り上記会社の物流事業を統合し、新たにF-LINE株式会社が発足しております。
また、当連結会計年度において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、前連結会計年度については、暫定的な会計処理の確定による取得原価の当初配分額の重要な見直しを反映しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 業績
当連結会計年度の売上高は、製薬カスタムサービス及び医薬用・食品用アミノ酸が大幅な増収となったことに加え、冷凍食品(海外)や調味料・加工食品(海外)の増収等により、前期を126億円上回る1兆1,274億円(前期比101.1%)となりました。
事業利益は、冷凍食品(日本)、冷凍食品(海外)及びコーヒー類が大幅な減益となったことに加え、持分法による損益にプロマシドール・ホールディングス社(以下、「PH社」という。)の商標権に係る減損損失を計上したこと等により、前期を30億円下回る926億円(前期比96.8%)となりました。
営業利益は、その他の営業費用に味の素フーズ・ノースアメリカ社(以下、「AFNA社」という。)及びイスタンブール味の素食品社(以下、「AIS社」という。)に係るのれんの減損損失、並びにPH社に係る持分法で会計処理されている投資に係る減損損失を計上したこと等により、前期を255億円下回る531億円(前期比67.5%)となりました。
親会社の所有者に帰属する当期利益は、前期を304億円下回る296億円(前期比49.4%)となりました。
なお、PH社、AFNA社及びAIS社に関する減損損失の内容を各段階利益別に記載すると以下のとおりです。
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(単位:百万円) |
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事業利益 |
営業利益 税引前当期利益 |
親会社の所有者に帰属する当期利益 |
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(1) AFNA社に係るのれんの減損損失 |
- |
13,525 |
10,047 |
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(2) 持分法で会計処理されているPH社に対する投資に係る減損損失 (33.33%出資相当) |
- |
14,107 |
14,107 |
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(3) PH社商標権に係る減損損失 (33.33%出資相当) |
3,222 |
3,222 |
3,222 |
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(4) AIS社に係るのれんの減損損失 |
- |
3,843 |
3,843 |
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合計 |
3,222 |
34,698 |
31,220 |
当連結会計年度のセグメント別の概況
セグメントごとの業績は、次のとおりです。
当連結会計年度より、従来「ライフサポート」セグメントに含めていた香粧品事業を「ヘルスケア」セグメントに含めております。前連結会計年度のセグメント情報は変更後の区分により作成しております。
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売上高 (億円) |
前期増減 (億円) |
前期比 |
事業利益 (億円) |
前期増減 (億円) |
前期比 |
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日本食品 |
3,750 |
△91 |
97.6 |
% |
298 |
△90 |
76.9 |
% |
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海外食品 |
4,816 |
169 |
103.7 |
% |
423 |
8 |
102.0 |
% |
|
ライフサポート |
1,079 |
△106 |
91.0 |
% |
95 |
14 |
118.5 |
% |
|
ヘルスケア |
1,353 |
153 |
112.8 |
% |
120 |
27 |
128.9 |
% |
|
その他 |
274 |
1 |
100.5 |
% |
△12 |
9 |
- |
% |
|
合計 |
11,274 |
126 |
101.1 |
% |
926 |
△30 |
96.8 |
% |
(注)1.国内外の食品加工業向け「アクティバ®」類及び天然系調味料は、日本食品セグメントに区分されております。また、国内外の食品加工業向けうま味調味料「味の素®」、核酸及び甘味料は、海外食品セグメントに区分されております。
(注)2.各セグメントの主要製品につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 7.セグメント情報 (1) 報告セグメントの概要」をご参照ください。
① 日本食品セグメント
日本食品セグメントの売上高は、競争激化の影響等によりコーヒー類及び冷凍食品(日本)の売上げが前期を下回ったことから、前期を91億円下回る3,750億円(前期比97.6%)となりました。事業利益は、冷凍食品(日本)及びコーヒー類が減収に伴い大幅な減益となったことから、前期を90億円下回る298億円(前期比76.9%)となりました。
|
|
<主要な変動要因> |
|
|
・調味料・加工食品(日本)は、家庭用、業務用ともに前期並みで、全体で前期並み。 ・冷凍食品(日本)は、業務用は主力カテゴリーが拡大し増収。家庭用は、「ギョーザ」がシリーズ計で前期を上回るも、から揚げや米飯の主力製品が競争激化の影響等により前期を下回り減収。よって、全体で減収。 ・コーヒー類は、CVS向けやギフト製品、また市場縮小に伴う競争激化の影響を受けた家庭用製品の減収により、全体で減収。 |
||
|
|
<主要な変動要因> |
|
|
・調味料・加工食品(日本)は、家庭用は前期並みも、業務用は原燃料価格の上昇影響等により大幅減益となり、全体で減益。 ・冷凍食品(日本)及びコーヒー類は、上述の売上減少等により大幅減益。
|
||
② 海外食品セグメント
海外食品セグメントの売上高は、冷凍食品(海外)や調味料・加工食品(海外)の売上げが増加したことにより、前期を169億円上回る4,816億円(前期比103.7%)となりました。事業利益は、調味料・加工食品(海外)でPH社の商標権に係る減損損失を計上したものの、増収による増益がこれをカバーしたことに加え、加工用うま味調味料が大幅な増益となったため、前期を8億円上回る423億円(前期比102.0%)となりました。
|
|
<主要な変動要因> |
|
|
・調味料・加工食品(海外)は、換算為替によるマイナス影響あるも、調味料や「味の素®」、タイにおける缶コーヒーの販売拡大等により、全体で増収。 ・冷凍食品(海外)は、北米におけるアジアン製品やアペタイザー製品の販売拡大、また欧州の販売拡大等により増収。 ・加工用うま味調味料は、海外における販売拡大により、甘味料は、加工用の販売拡大により増収。 |
||
|
|
<主要な変動要因> |
|
|
・調味料・加工食品(海外)は、増収に伴う増益効果あるも、PH社の減損損失、換算為替によるマイナス影響、発酵原燃料価格の上昇等により全体で、前期並み。 ・冷凍食品(海外)は、米国における生産性改善が進むも、物流費の高騰等により大幅減益。 ・加工用うま味調味料は、発酵原燃料価格上昇の影響あるも、貿易為替影響及び販売拡大等により大幅増益。甘味料は、主に増収に伴い増益。
|
||
③ ライフサポートセグメント
ライフサポートセグメントの売上高は、化成品が増収となったものの、動物栄養が大幅な減収となったことにより、前期を106億円下回る1,079億円(前期比91.0%)となりました。事業利益は、化成品が大幅な増益となったことから、前期を14億円上回る95億円(前期比118.5%)となりました。
|
|
<主要な変動要因> |
|
|
・動物栄養は、主にスレオニン、リジンの販売数量減少により大幅減収。
・化成品は、主に電子材料の販売好調により増収。
|
||
|
|
<主要な変動要因> |
|
|
・動物栄養は、主にトリプトファンの単価下落影響により大幅減益。
・化成品は、増収に伴い大幅増益。
|
||
④ ヘルスケアセグメント
ヘルスケアセグメントの売上高は、製薬カスタムサービス及び医薬用・食品用アミノ酸が大幅な増収となったことにより、前期を153億円上回る1,353億円(前期比112.8%)となりました。事業利益は、医薬用・食品用アミノ酸及び製薬カスタムサービスの増収に伴い大幅な増益となったことから、前期を27億円上回る120億円(前期比128.9%)となりました。
|
|
<主要な変動要因> |
|
|
・アミノ酸は、製薬カスタムサービス、医薬用・食品用アミノ酸ともに、販売拡大及び子会社の新規連結影響等により大幅増収。
・その他は、香粧品素材の販売拡大等により増収。
|
||
|
|
<主要な変動要因> |
|
|
・アミノ酸は、医薬用・食品用アミノ酸、製薬カスタムサービスともに大幅増収に伴い大幅増益。
・その他は、計上サブセグメント変更(製薬カスタムサービスに移管)影響等により減益。
|
||
⑤ その他
その他の事業の売上高は、前期を1億円上回る274億円(前期比100.5%)となり、事業利益は、前期比で9億円赤字幅が縮小し、12億円の損失となりました。
(2) 生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その形態、単位等は必ずしも一様ではなく、また製品のグループ内使用(製品を他のセグメントの原材料として使用)や、受注生産形態をとる製品が少ないため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産、受注及び販売の実績は、「(1) 業績」における各セグメント業績に関連付けて示しております。
(3) 重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」に記載しております。
連結財務諸表の作成に当たっては会計上の見積りを行う必要があり、各種引当金の計上、非金融資産の減損、繰延税金資産の回収可能性の判断等につきましては、過去の実績又は各状況下で合理的と判断される前提に基づき見積りを実施しております。ただし、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれら見積りと異なる場合があります。
(4) 当連結会計年度の経営成績の分析
① 売上高
売上高は前期を126億円上回る1兆1,274億円(前期比101.1%)となりました。地域別に見ますと、日本では、前期を20億円下回る4,848億円(前期比99.6%)となりました。海外では、冷凍食品(海外)、調味料・加工食品(海外)の増収により、前期を147億円上回る6,426億円(前期比102.4%)となりました。海外の地域別では、アジア、米州及び欧州でそれぞれ2,847億円(前期比103.9%)、2,395億円(前期比100.2%)及び1,183億円(前期比103.1%)となりました。なお、売上高海外比率は57.0%(前期は56.3%)となりました。
② 売上原価、販売費、研究開発費及び一般管理費、持分法による損益
売上原価は、売上高の増加に伴い、前期から117億円増加し、7,319億円(前期比101.6%)となりました。売上原価の売上高に対する比率は、0.3ポイント悪化し、64.9%となりました。販売費は、主として為替影響により、前期から12億円減少し、1,751億円(前期比99.3%)となりました。研究開発費は、前期並みの278億円(前期比100.0%)となりました。一般管理費は、連結子会社増加による従業員給付費用等の増加により前期から6億円増加し、994億円(前期比100.7%)となりました。持分法による損益は、5億円の損失(前期は39億円の利益)となりました。
③ 事業利益
事業利益は、前期を30億円下回る926億円(前期比96.8%)となりました。地域別に見ますと、日本では369億円(前期比81.5%)、海外では556億円(前期比110.6%)となりました。日本において、冷凍食品(日本)、コーヒー類が大幅な減益となったことにより、全体として大幅な減益となりました。海外において、冷凍食品(海外)が大幅な減益となったものの、加工用うま味調味料、アミノ酸の大幅増益により、全体として増益となりました。海外の地域別では、アジア、米州及び欧州でそれぞれ382億円(前期比110.0%)、133億円(前期比119.2%)及び40億円(前期比93.1%)となりました。なお、事業利益海外比率は60.1%(前期は52.6%)となりました。
セグメント別の事業利益の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記 7.セグメント情報」をご参照ください。
④ その他の営業収益(費用)
その他の営業収益は、前期から17億円減少し、61億円(前期比78.1%)となりました。その他の営業費用は、のれんの減損損失、並びに持分法で会計処理されている投資に係る減損損失を計上したこと等により、前期から207億円増加し、456億円(前期比183.8%)となりました。
⑤ 営業利益
営業利益は、前期を255億円下回り、531億円(前期比67.5%)となりました。
⑥ 金融収益(費用)
金融収益は、前期から14億円減少し、81億円(前期比84.7%)となりました。金融費用は、前期から4億円減少し、70億円(前期比94.6%)となりました。
⑦ 親会社の所有者に帰属する当期利益
親会社の所有者に帰属する当期利益は前期を304億円下回り、296億円(前期比49.4%)となり、1株当たり当期利益は53円62銭(前期は105円76銭)となりました。
(5) 当連結会計年度の連結財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末の1兆4,262億円に対して323億円減少し、1兆3,938億円となりました。これは主として、自己株式の取得に伴う現金及び現金同等物の減少等によるものです。
負債残高は、前連結会計年度末の7,056億円に対して22億円増加し、7,079億円となりました。なお、有利子負債残高は、前連結会計年度末に対して71億円減少し、3,370億円となりました。
資本合計は、自己株式の取得等により、前連結会計年度末に対して346億円減少しました。資本合計から非支配持分を引いた親会社の所有者に帰属する持分は、6,105億円となり、親会社所有者帰属持分比率は43.8%となりました。
セグメントごとの概況は、次のとおりです。
① 日本食品セグメント
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の2,843億円に対して94億円増加し、2,937億円となりました。これは主として、設備投資等に伴う有形固定資産の増加によるものです。
② 海外食品セグメント
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の4,436億円に対して256億円減少し、4,180億円となりました。これは主としてAFNA社及びAIS社に係るのれんの減損損失、並びにPH社に係る持分法で会計処理されている投資に係る減損損失を計上したことによる減少です。
③ ライフサポートセグメント
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の1,208億円に対して38億円減少し、1,169億円となりました。これは主として、動物栄養での棚卸資産及び固定資産の減少等によるものです。
④ ヘルスケアセグメント
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の1,422億円に対して174億円増加し、1,597億円となりました。これは主として、設備投資等に伴う有形固定資産の増加や製薬カスタムでの棚卸資産の増加等によるものです。
(6) キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度の連結キャッシュ・フローの状況
|
|
|
|
(億円) |
|
|
2018年3月期 |
2019年3月期 |
差額 |
|
営業活動によるキャッシュ・フロー |
1,266 |
1,232 |
△33 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△991 |
△729 |
261 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△239 |
△789 |
△549 |
|
現金及び現金同等物に係る換算差額 |
△17 |
△7 |
9 |
|
現金及び現金同等物の増減額 |
18 |
△293 |
△312 |
|
売却目的保有に分類される処分グループに係る 資産に含まれる現金及び現金同等物 |
- |
△47 |
△47 |
|
現金及び現金同等物の期末残高 |
1,878 |
1,537 |
△341 |
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,232億円の収入(前期は1,266億円の収入)となりました。税引前当期利益が542億円であり、減価償却費及び償却費524億円と、法人所得税の支払額233億円があったこと等によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、729億円の支出(前期は991億円の支出)となりました。有形固定資産の取得による支出701億円と、無形資産の取得による支出98億円があったこと等によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、789億円の支出(前期は239億円の支出)となりました。自己株式の取得による支出400億円と、配当金の支払があったこと等によるものです。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、1,537億円となりました。
(7) 当連結会計年度の資金の流動性及び資金の調達、使途
① 資金の流動性について
当連結会計年度は短期流動性に関し、手元流動性確保のために、コミットメント・ライン、当座貸越枠、コマーシャル・ペーパー発行枠等の調達手段を備えております。
② 資金の調達
当連結会計年度の資金調達は、調達コストとリスク分散の観点による直接金融と間接金融のバランス及び長期と短期の資金調達のバランスを勘案し、金融機関からの借入等による資金調達活動を行いました。
③ 資金の使途
当連結会計年度の資金の使途は、主として事業資金です。
(8)経営上の目標の達成状況について
経営上の目標の達成状況につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
(9) IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項
① 退職後給付費用に係る費用
日本基準では数理計算上の差異及び過去勤務費用について、その発生時にその他の包括利益を通じて純資産の部に計上したうえで、従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数による定額法により費用処理しておりました。IFRSでは確定給付制度の再測定を発生時にその他の包括利益を通じて資本に認識し、過去勤務費用は発生時に一括で収益又は費用として処理しております。
② のれんの償却
日本基準ではのれんはその効果の及ぶ期間で定額償却し、のれん償却費を販売費及び一般管理費に計上しておりましたが、IFRSでは償却を行っておりません。
技術援助を受ける契約等
|
契約会社名 |
契約締結先 |
国名 |
契約内容 |
対価 |
契約期間 |
|
味の素㈱ 味の素食品㈱ |
コノプコ社 |
アメリカ |
日本国内におけるスープ、ブイヨンその他の食品に係る独占的商標使用権の許諾 |
左記製品販売高の一定率 |
対象商標が日本で有効に登録されている限り |
販売援助、経営援助契約等
|
契約会社名 |
契約締結先 |
国名 |
契約内容 |
対価 |
契約期間 |
|
味の素㈱ |
日本ケロッグ(同) |
日本 |
ケロッグ社グループの穀類調整食品等の総発売元としての、日本国内における同商品の販売 |
左記製品販売高の一定率 |
2014年4月1日から3年間。以後3年毎自動更新 |
当社子会社との吸収分割契約
当社は、2018年9月27日開催の取締役会において、当社事業所の一部を吸収分割の方法により分割し、当社の100%子会社であるクノール食品株式会社(以下、「クノール食品㈱」)がこれを承継すること(以下、「本吸収分割」)を決議し、2018年10月1日付で本吸収分割に係る吸収分割契約(以下、「本吸収分割契約」)を締結いたしました。
(1) 本吸収分割の目的
当社は、事業構造の強化・生産効率の向上等を目的とした日本食品バリューチェーンの再編について検討を進めてまいりましたが、その一環として、当社の川崎事業所における調味料・加工食品の製造事業および東海事業所における調味料の製造事業(以下、あわせて「本吸収分割対象事業」)を当社から分割し、クノール食品㈱に生産体制を集約・再編することといたしました。なお、同じく当社100%子会社である味の素パッケージング株式会社についても、クノール食品㈱へ生産体制を集約・再編した上で、2019年4月1日付で同社の商号を「味の素食品株式会社」へ変更いたしました。
(2) 本吸収分割の方法
当社を分割会社とし、クノール食品㈱を承継会社とする吸収分割です。
(3) 本吸収分割の日程
本吸収分割契約締結日 2018年10月 1日
臨時株主総会決議日(クノール食品㈱) 2018年10月26日
本吸収分割効力発生日 2019年 4月 1日
なお、分割会社である当社においては、会社法第784条第2項に規定する簡易吸収分割であるため、株主総会の承認を得ずに実施いたしました。
(4) クノール食品㈱が承継する権利義務
クノール食品㈱は、本吸収分割契約の内容に従って、本吸収分割対象事業に関する資産、負債、契約その他の権利義務を承継いたしました。
(5) 本吸収分割対象事業の概要
① 本吸収分割対象事業の経営成績
本吸収分割は、調味料・加工食品の製造事業を対象としているため、売上高はありません。
② 本吸収分割対象事業に関する資産・負債の金額(2019年3月31日現在)
(単位:百万円)
|
資産 |
帳簿価額 |
負債 |
帳簿価額 |
|
流動資産 |
4,098 |
流動負債 |
73 |
|
固定資産 |
7,043 |
固定負債 |
16 |
|
合計 |
11,142 |
合計 |
90 |
(6) 本吸収分割に係る割当ての内容
本吸収分割は、完全親子会社間において行われるため、本吸収分割に際して株式の割当て、その他対価の交付は行っておりません。
(7) 本吸収分割後の新生産子会社の状況
|
商号 |
味の素食品株式会社 |
|
本店所在地 |
神奈川県川崎市川崎区鈴木町1番1号 |
|
代表者の役職・氏名 |
取締役社長 辻田 浩志 |
|
資本金の額 |
4,000百万円 |
|
事業の内容 |
調味料・加工食品の製造 |
味の素グループは、「健康なこころとからだ」、「食資源」、「地球持続性」の社会課題解決に向けて、事業を通じて貢献していきます。「2017-2019(for 2020)中期経営計画」ではその解決に向けたアプローチとして、コアコンピタンスを元にした「ASVを通じた価値創造ストーリー」を定め、それに基づいた事業活動を展開し、グローバル食品企業トップ10クラスの事業を目指しています。
先端バイオ・ファイン技術力と顧客価値創造力の融合から生まれる「スペシャリティ」を土台に、「地域ポートフォリオの強化を通じた確実な成長」や「スペシャリティの確立による事業ポートフォリオ強化」に関する研究開発に経営資源を重点的に投資しています。また、社外の研究機関や企業とのオープン&リンクイノベーションを積極的に活用し、新たな価値・事業の共創に向けて取り組んでいます。
当連結会計年度における味の素グループの研究開発費は
また、当社グループが保有している特許は国内外合わせて約4,000件です。
当連結会計年度の各事業区分における研究開発活動の概要とその成果は次のとおりです。
(1)日本食品セグメント
味の素㈱の食品研究所が中心となり、クノール食品㈱、味の素冷凍食品㈱、味の素AGF㈱、上海味の素食品研究開発センター社(中国)をはじめとする国内外のグループ会社の研究開発部門とも密接に連携し、味、香り・風味、食感など、「おいしさを構成するすべての要素」を俯瞰した技術開発、商品開発、及びそのアプリケーション開発を行っています。少子化・高齢化、世帯人数の減少、健康志向といった国内市場におけるニーズを掘り起こし、当社独自の素材と技術及び斬新な発想による価値提案型の製品開発に取り組んでいます。
<調味料・加工食品(日本)>
2018年度の家庭用商品は、多様化するお客様のニーズと価値観に対応し、おいしさと栄養そして生活者価値に基づく技術・商品を通じて、人々の「健康なこころとからだ」に貢献すべく「スペシャリティ」を持った新製品を開発・発売しました。
高品質・スマートな調理をお客様にご提供すべく、メニュー用調味料市場においては、当社独自技術を活用して、簡単・手軽においしい副菜を作ることができる電子レンジ専用調味料「かけてチン♪温菜おかず」〈バーニャカウダ味〉、「かけてチン♪温菜おかず」〈コクうま黒酢味〉や、短時間で味が染み込みおいしく仕上がる「Cook Do®きょうの大皿®」〈鶏手羽じゃが用〉を発売しました。また当社の独自素材を活用した「Cook Do®」〈よだれ鶏用〉、「Cook Do®」〈ふかひれ麺用〉、「Cook Do®」〈鶏だし白湯麺用〉を発売しました。スープ市場においては当社の独自技術を用いて野菜そのもののおいしさをとことん引き出した「クノール®カップスープベジレシピ®」〈太陽が香る真っ赤な完熟トマト〉、「クノール®カップスープベジレシピ®」〈森が香る濃厚マッシュルーム〉を発売しました。また、当社独自素材を活用しておいしく手軽に野菜をたっぷり摂ることができる「クノール®」たっぷり野菜で満たされたいときのスープごはん用〈トマトリゾット風〉や、アミノ酸を用いた当社独自の新たな食感制御技術によりもっちり&しっとり食感の長期持続を実現した栄養バランスバー「まるごと野菜ベーカリー®」〈100%かぼちゃ〉、「まるごと野菜ベーカリー®」〈100%トマト〉を発売しました。また、新しいカテゴリーとして、香り・コクに優れた独自開発のかつお節を使用し、具材本来の味わいとだしの風味を引き立てる即席味噌汁「具たっぷり味噌汁」定番タイプ、減塩タイプを発売しました。減塩タイプは当社独自の減塩技術を活用する事で、定番タイプに比べ塩分を50%カットしたおいしい減塩味噌汁を実現しました。和風だし市場においては、「ほんだし®」ブランドで最も贅沢で豊かな味わいの“だし”を実現した「ほんだし®濃厚だし」を発売しました。キューブ状の鍋つゆの素「鍋キューブ®」シリーズにおいて、「鍋キューブ®」〈鯛と帆立の極みだし鍋〉を発売しました。
業務用では、当社独自素材を活用して、にんにくの風味・呈味を自然に増強する天然系調味料「アロマックス®」〈にんにくBooster〉や、味噌・醤油本来の華やかな風味・呈味を付与する調味料「アロマックス®」〈芳醇《醸造感》〉を発売しました。また、当社独自の食感改良技術により、ソーセージの食感改良や歩留まり向上・コストダウンが可能となる食肉加工向け酵素製剤「アクティバ®」〈ジューシーアップS〉を発売しました。
ベーカリー製品では、独自技術により、国内の人手不足に対応した店舗での製造に手間と時間のかからない冷凍デニッシュ用生地を開発し商品化しました。また、当社の保有する試作技術及び工業化技術が評価され、外部から多数のお客様が当社工場を訪れるようになってきました。引き続き、事業拡大に取り組んでいきます。
超高齢化が進む今日の日本において、国、地方自治体は健康寿命延伸施策を積極的に進めています。当社においても、高齢者のフレイル(虚弱)、低栄養の予防改善に向け、当社のスペシャリティである「たんぱく質・アミノ酸栄養」の研究開発知見を活かした製品の開発を進めています。2018年度は、「メディミル®」ロイシンプラス〈バナナミルク風味〉、〈コーヒー牛乳風味〉、〈いちごミルク風味〉、〈バニラ風味〉について、当社独自技術により後味を良く、とろみを低減させることでより飲みやすくリニューアルしました。併せて、これまでの研究成果に基づく機能性情報の発信や高齢者の健康栄養課題解決に向けた啓発活動も推進しました。
<冷凍食品(日本)>
家庭用では、「ギョーザ」の更なるおいしさを追求し、お客様の選好因子と嗜好性分析から焼き面の羽根の大きさとパリパリ感をアップし、皮についてはバランスが良い薄皮を実現しました。また、お客様の声を丁寧に聞き取ることで特に女性に好評な「しょうがギョーザ」を絶妙な食感と風味で開発しました。
業務用では、お客様のオペレーション課題を技術により解決し、おいしさに加え現場ニーズにお応えする製品を開発しました。ジャー保温による食感や風味の劣化を解消した「オムライスベースライス」、冷蔵解凍の保存技術を付与することで短時間調理を実現した「三元豚の厚切り上ロースカツ」を開発しました。
<コーヒー類>
《「ブレンディ®カフェラトリー®」スティック》シリーズは“専門店品質の濃厚な味わい”というコンセプトの下、味の素グループ独自素材を活用し開発したクリーミングパウダーを適用し、ミルク感増強・コク味を付与し製品改訂を行いました。加えてミルクなし・甘さなしで美しい泡立ちと贅沢な味わいが特長の《濃厚抹茶》やフルーツの華やかな香りとフレッシュな味わいが特長の《芳醇グレープフルーツティー》を市場導入しラインナップを拡充しました。
《「ブレンディ®」スティック》シリーズのラインナップとしても、石臼微粉砕ほうじ茶葉使用でほうじ茶の香ばしさを特長とする《ほうじ茶オレ》を導入し、スティック市場の活性化を図りました。
日本食品セグメントに係わる研究開発費は、
(2)海外食品セグメント
味の素㈱の食品研究所が中心となり、国内外のグループ会社の研究開発部門とも密接に連携を図り、グローバルな製品開発体制のもと、マーケティング力、ブランド力を強みに、各国生活者の嗜好とニーズに適応した調味料、加工食品、冷凍食品の開発に継続して取り組んでいます。
<調味料・加工食品>
主力となるアセアン地域では、都市化やライフスタイルの変化に伴い、市場は伝統市場から量販店、コンビニエンスストアへと多様化しており、簡便で加工度の高い製品への需要も増加しています。その中で、「AJI-NO-MOTO®」とともに主力である風味調味料製品では継続的な品質改訂を行い、好調なメニュー用調味料製品では新製品の発売を行いました((例)現地の家庭料理に合う揚げ物用調味料の新品種発売(フィリピン「CRISPY FRY®」魚用))。
独自素材を活用し、独自技術に裏打ちされた「おいしさNo.1」の追求と栄養価値訴求を継続していきます。
<冷凍食品(海外)>
米国や欧州では日本食人気の高まりや日式レストランの増加によりアジアン冷凍食品市場が引き続き成長しており、北米では、主力ブランド「TAIPEI」「Ling Ling」で新品種の発売を行いました。
味の素グループの製品開発力・生産技術を活用し、おいしさを維持・向上した減塩製品を市場投入する等、製品の付加価値を向上させながら、更なる事業拡大に貢献していきます。
<加工用うま味調味料>
世界複数拠点でうま味調味料「味の素®」や核酸系調味料を生産し、グローバルネットワークを活かして100か国以上でBtoB及びBtoCビジネスを展開しています。
2018年は環境負荷を低減する取組みやプロセス改良による生産性の向上を進め、事業を通じた社会価値と経済価値の共創の実現に貢献しました。
<甘味料>
世界のアスパルテーム市場は、ユーザーの甘味コストダウンニーズや新興国も含めた摂取カロリーに対する意識の高まりにより、継続伸長しており、当社は甘味ソリューションのグローバルな提供を着実に推進しています。
コスト競争力の強化及び環境負荷低減を目的とするアスパルテーム改良プロセスの開発を継続して進めました。コンシューマー製品では、砂糖代替に加えてお客様が求める機能をもつ新製品の開発を進めました。
海外食品セグメントに係わる研究開発費は、
(3)ライフサポートセグメント
味の素㈱バイオ・ファイン研究所が中心となり、味の素-ジェネチカ・リサーチ・インスティチュート社、味の素ファインテクノ㈱等の国内外の各グループ会社及びその技術開発部門とも密接に連携し、世界中の市場に向けたソリューションを提供しています。
世界トップレベルのアミノ酸に関する知見、安全性の高い素材開発力や配合評価技術、グローバルネットワークを強みとし、動物栄養、電子材料などの幅広い事業領域における研究開発に取り組んでいます。当社ならではのスペシャリティによる顧客価値を創出し、事業拡大を図っています。
<動物栄養>
Fit推進のため、リジン、スレオニン自社生産を低減し、新たなOEMパートナーである梅花社で生産したリジン、スレオニンの販売を開始しました。これら生産設備は一部新たな飼料用アミノ酸生産に活用し、アミノ酸ミックス品としてスペシャリティ事業を開始しました。
乳牛用アミノ酸製剤「AjiPro®-L」はグローバル展開のための研究開発を推進しています。
<化成品>
電子材料につきましては、味の素ファインテクノ㈱と共同で、次世代PC向け「味の素ビルドアップフィルム®(ABF)」の開発継続に加え、データセンター向サーバー用途・車載用途など半導体用途の広がりに対応すべく次世代製品の開発に注力しています。
ライフサポートセグメントに係わる研究開発費は、
(4)ヘルスケアセグメント
味の素㈱の研究所(イノベーション研究所、バイオ・ファイン研究所、食品研究所)、及び味の素バイオ・ファーマサービス、味の素-ジェネチカ・リサーチ・インスティチュート社等の国内外の各グループ会社及びその技術開発部門とも連携し、世界の健康に貢献するための商品や技術の開発を進めています。
先端バイオ・ファイン技術を活かしたアミノ酸等の生産力、レギュレーション対応力、サービス提供力を強みに、世界中の医薬企業等への多様で特徴ある素材・原薬・技術の提供に取り組んでいます。また、アミノ酸の機能、有用性に関する知見、新規用途探索力をアミノ酸サプリメントの開発等に応用することで、生活者のQOL向上、快適な生活のサポートに貢献しています。
<製薬カスタムサービス>
製薬メーカーからの原薬受託製造について、低分子医薬品原薬、高活性原薬(HAPI)、ペプチド/オリゴ核酸、タンパク医薬、抗体薬物複合体(Antibody Drug Conjugate:ADC)などの幅広い開発・供給体制の充実を図り、継続的な案件の受注に繋げています。
タンパク質発現技術(「CORYNEX®関連技術」)においては、味の素バイオ・ファーマサービスUSと連携して、グローバル大手製薬企業とバイオ医薬品の開発・製造支援事業「CORYNEX®」を推進しています。オリゴ核酸の受託製造においては、㈱ジーンデザインと連携して、固相合成を活用した少量多品種製造から「AJIPHASE®」の液相合成技術による大量製造までの開発体制を構築、オリゴ核酸製造受託事業を推進しています。
<アミノ酸・培地>
医薬用・食品用アミノ酸につきましては、アミノ酸市場の伸びに対応するために、生産性の向上とコスト競争力の強化を目的とした発酵・精製プロセス開発と導入を継続して進めています。また、動物細胞培養用の培地事業は味の素ジェネクシン社をプラットホームとし、国内外のバイオ医薬品メーカーとの開発への取り組みを継続、拡大しています。
再生医療用培地では、臨床研究用培地「StemFit®」Basic03を、米国・欧州・中国・韓国にて2018年4月より発売しました。「StemFit®」Basic03は、iPS/ES細胞の汎用培地として世界最高水準の性能を備えており、高い増殖性能に加えて、動物・ヒト原料不含の安全性の高い培地です。また再生医療用成長因子として、組み換えヒトアクチビンAを2018年3月より試験研究用途として販売を開始しました。組み換えヒトアクチビンAは、2018年10月に、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に再生医療等製品の材料適格性相談の申請を行い、国内で初めて、生物由来原料基準を適用する原料を含んでいないことを示す確認書を取得しました。これを受けて当社では、再生医療の研究施設に臨床研究用途の本成長因子の供給を開始しました。
<スポーツニュートリション>
スポーツ栄養科学研究においては、機能性エビデンスに基づいた独自のアミノ酸組成の創出にアミノサイエンス技術を、おいしさ、飲みやすさの追求に食品技術を、それぞれ駆使して、スポーツサプリメント製品の創出に取り組んでいます。
2017年度における高濃度アミノ酸を含有した小容量ゼリータイプのサプリメント「アミノバイタル®アミノショット」の発売に続き、2018度においては「アミノバイタル®アミノショット」シリーズとして新たに、エネルギー源アミノ酸と糖質を含有した小容量エネルギー補給ゼリー「アミノバイタル®アミノショット」パーフェクトエネルギー®を2018年8月より発売しました。
「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」オフィシャルパートナーとして引き続き、社外の研究機関等とのオープン&リンクイノベーションを積極的に推進しながら、アスリートやスポーツを愛する生活者に貢献できる製品開発を行っています。
<ダイレクトマーケティング>
アミノ酸スキンケアブランド「ジーノ」の主力製品である化粧水、美容乳液のエイジングケア機能を強化し、10月にリニューアルしました。当社は、長年のアミノ酸研究の知見を活かし、アミノ酸スキンケア製品「ジーノ」を1997年に発売して以降、生活者の肌の悩みに合わせて、エイジングケア機能を持つ化粧水、美容液など製品ラインアップを拡大してきました。今後も、当社独自の健康・美容価値を有する製品や情報の提供を通じて、顧客のQOL向上にむけて取り組んでいきます。
<アミノインデックス®>
「アミノインデックス技術」は、血液中のアミノ酸濃度のバランスから、現在の健康状態やがんなどの疾病リスクを明らかにする当社独自の技術です。この技術を用いたアミノインデックス®リスクスクリーニング(AIRS®)を、一度の採血で複数のがんの罹患の可能性や生活習慣病の発症リスクを評価できる総合健康サービスとして提供してきました。この技術についてこの度平成31年度科学技術分野の文部大臣表彰 科学技術賞 開発部門を受賞しました。
また2019年4月には、10年以内の脳卒中・心筋梗塞の発症リスクの評価を追加し、AIRS®は1回の採血で三大疾病の評価が可能になりました。この技術を活用し、さらに認知症などの疾患の予防や早期発見につながる検査の開発を進め、AIRS®を総合健康指標に発展させていきます。
<香粧品素材>
香粧品素材につきましては、アミノ酸由来の洗浄剤、湿潤剤、メークアップ素材を中心に、独自の研究開発を行っています。2018年度は、テクニカルサポート・処方改良などの顧客提案を促進するために、グローバルに体制を整備しました。また、当社素材の新領域として、メークアップ用途への展開を本格化し、グローバルな展示会等で発表・紹介を開始しました。さらに、当社グループのバイオ・ファイン技術を活用し、市場要請である環境負荷の低減を視野に入れたアミノ酸系の洗浄剤、メークアップ素材の新プロセスの開発を進めていきます。
ヘルスケアセグメントに係わる研究開発費は、
(5)その他
その他セグメントに係わる研究開発費は、
(6)全社
味の素グループの将来を担うと期待される領域での事業展開を見据え、関係する研究テーマを全社研究とし、資源を集中的に投資し、開発を進めています。
全社研究では、味の素㈱イノベーション研究所、食品研究所、バイオ・ファイン研究所が中心となり、国内外の研究機関と連携して進めている先端研究・技術を活用し、グループ内の各研究所とともに様々な事業に向けた新技術・新素材の開発や、各事業分野に共通した基盤技術の強化に取り組んでいます。
食品・栄養領域では、世界の人々の「健康なこころとからだ」の実現にむけて、自社製品や食事メニューにおける栄養の基準化や評価法に関する研究に取り組んでいます。栄養に関するグローバルトップ企業及び外部評価機関の動向を考慮し、継続的な栄養改善の取組の仕組みとして「味の素グループNutrient Profiling System(ANPS)」を設定し、国内外の部門にて製品/メニューの改定や新製品の開発の方向性を知るツールとして活用し始めています。「生活者のからだとこころの健康」に貢献できる次世代の栄養研究領域として「栄養×感覚」に注目し、種々の外部研究機関との協業、国内外のシンポジウムを通じた情報発信やネットワーク構築を進めています。また、生体内におけるアミノ酸の栄養・代謝研究を基盤として、健康長寿社会の実現や、栄養不良の二重負荷(不足栄養と過剰栄養)の解決に向けた研究にも取り組んでいます。
「おいしさ設計技術®」に関しては、食品の味・香り・食感などの感じ方とその食品の好ましさとの関係性を定量的に評価・解析し最適化を図り、商品や技術・素材の開発に応用しています。さらに、「人は味や香りをどのような仕組みで感じ、『おいしい』と思うのか?」について、外部の先端研究機関との協業を進め、お客様に新たな価値をもたらす独自の素材や配合の探索にも取り組んでいます。
このような技術や仕組みを世界各地の味の素グループ企業において、現地のお客様の様々な嗜好に合い、おいしさと栄養改善に貢献する味の素グループにしか提供できない商品の開発に活用していきます。
ヘルスケア領域では、成長戦略の1つである先端バイオ医療周辺領域におけるグローバルトップクラスの開発・生産体制の構築に関して、バイオ医薬品の受託製造サービス事業を支える次なる技術として、当社独自の抗体薬物複合体(ADC)製造技術である「AJICAP™」技術を開発し、事業に貢献しています。
低炭素社会及び持続可能な資源循環型社会を目指して、新たな技術開発や新事業の創出にも継続して取り組んでいます。オープン&リンクイノベーションの取り組みにて、東京工業大学細野教授らと新規触媒を用いたアンモニア合成の検討を進め、2017年4月につばめBHB㈱を設立し、世界で初めてとなるオンサイト型のアンモニア合成システムを2021年頃の実用化を目指して検討しています。
また、基盤技術として、高感度アミノ酸・タンパク質分析などの先端分析技術を開発し、様々な事業領域における研究開発、新事業開発につなげています。先端微量分析技術は、成分/不純物解析など製品の配合技術開発や品質管理・安全性検証への応用や、「アミノインデックス®」の高機能化へ応用されています。酵素改変技術は、アミノ酸誘導体、ペプチド、食品素材の生産に重要な酵素の開発に役立っています。
その他、ICT関連として、ビッグデータ活用技術、シミュレーション、人工知能、ロボティクスなど、様々な技術を活用し、デジタルマーケティングや製造プロセス制御の深化に取り組んでいます。ICTのバリューチェーン全体への活用によりデジタルトランスフォーメーションを推進加速していきます。
オープン&リンクイノベーションの推進では、各種ツールを積極的に活用し社外関係者とのコミュニケーションを強化しています。2018年6月に新たにクライアント・イノベーション・センターを開設し、ビジネスパートナーとの交流や技術の融合によるイノベーションの創出、当社グループの事業を通じた新たな価値・事業の共創により一層取り組んでいます。
2019年度より、①成長ポテンシャルの高い事業領域へのリソース重点化・シフト、②資産効率の向上、③生産性の向上及び製品開発のスピードアップを目的とし、R&D体制を再編します。クノール食品㈱開発技術センターを味の素㈱食品研究所へ統合し、味の素㈱においてはイノベーション研究所を、食品研究所、バイオ・ファイン研究所等に組み込み、成果創出を加速し、迅速に事業に貢献できる体制で研究開発に取り組みます。
全社に係わる研究開発費は、