ASV経営を進化させていきます
味の素グループは、事業を通じて社会価値と経済価値の共創を目指すASV(Ajinomoto Group Shared Value)経営を、経営の基本方針としています。また、2030年に目指す姿として「『食と健康の課題解決企業』に生まれ変わる」ことを宣言し、併せて、2030年までの2つのアウトカムとして「10億人の健康寿命の延伸」と「環境負荷の50%削減」を掲げています。
中期経営計画の進捗
2030年の目指す姿から現在を振り返って定めた「2020-2025中期経営計画」では、資本効率の改善とオーガニック成長への回帰に取り組んでいます。また、ROIC、オーガニック成長率、重点事業売上高比率、単価成長率、従業員エンゲージメントスコア等の財務・未財務の重点KPIを公表しています。これらのKPIについての2021年度実績と2022年度目標は次のとおりです。
(1) “Return on Invested Capital”(投下資本利益率):企業が事業活動のために投じた資金を使って、どれだけ利益を生み出したかを示す指標
(2) 為替、会計処理の変更及びM&A/事業売却等の非連続成長の影響を除いた売上高成長率
(3) 重点事業:調味料、栄養・加工食品、ソリューション&イングリディエンツ(外食・加工用調味料)、冷凍食品、ヘルスケア、電子材料
(4) 海外コンシューマー製品について、国、カテゴリー毎の前年度からの単価伸び率を売上高による加重平均で示した指標
(5) ビジョン実現に向け、主体的に日々の業務の中でASVを実践している従業員の比率
(6) 年平均成長率
中期指標経営に進化させます
2022年4月からの新体制(代表執行役社長を含む一部執行役の交代)は、2025年度に向けた中期経営計画の途中でのバトンタッチであるため、既に定めている2022年度・2025年度の経営指標の実現に対する責任を引き継ぎ、その早期達成を目指します。
その上で、日本企業に多いと言われる「中期計画(中計)病」、すなわち先行きが不透明で、将来の予測が困難な時代に、3年程度先の計画の精緻な数値を作り込みすぎ現場が疲弊してしまったり、計画そのものの意味が薄れたりする弊害に対処します。当社では、2025年度の数値目標は受け継ぎながら、今後の中期計画策定プロセスを見直し、2030年の「ありたい姿」と中期経営指標を定め、それらを実現する道筋を未来から現在へと遡る中期指標経営に進化させていくことにしました。そして、激変する事業環境に合わせて、常に素早く機敏に計画を見直すことができるよう準備を進めています。
(1)「スピードアップ×スケールアップ」
味の素グループの課題は力強い成長力の回復です
味の素グループの最大の課題は、成長力の回復です。この課題を克服することなくして、企業価値の向上は実現できません。経営の意思決定や実行を「スピードアップ」し、食品とアミノサイエンスの融合を軸とした成長戦略及び味の素グループの暗黙知を形式知化する成功事例の「型化」とその横展開による「スケールアップ」で成長力の回復を実現します。
企業文化の変革によって「スピードアップ」を進めます
味の素グループの経営課題は、全体最適を見据えたダイナミックな経営判断や実行が遅くなりがちであったことだと考えています。一方で、世界のリーディング企業は、トップダウンでスピード感のある変革を進めており、企業価値の格差は少なからず広がってしまいました。
こうした認識のもと、当社は、2021年に指名委員会等設置会社に移行し、取締役会から執行側(経営会議)に大幅な権限委譲をすることにより、迅速な意思決定を推進してきました。次に変えるのは、経営会議です。予定調和型の意思決定の場ではなく、事実やデータに基づく率直かつ真剣な議論を行う場にして、執行の更なるスピードアップを図ります。また、新執行体制で2022年4月1日からの100日間の具体的実行計画である「100日プラン」を作成しました。経営会議はまだ進化途上ですが、これまでにないスピードで、従来の方針を覆すような経営の意思決定も行われてきており、結果的にギアチェンジがなされ意思決定のスピードが上がってきている実感があります。この流れを全社に広げていきます。幸いなことに、味の素グループの従業員一人ひとりは真面目で優秀であると自負しており、現場単位での自主的な改善活動を得意としています。適切なトップダウンとボトムアップのハイブリッド型で変革を進め、将来的には会社全体を自発型かつスピード重視の企業文化に進化していきます。
食品とアミノサイエンスの融合を軸とした成長戦略と成功の「型化」で「スケールアップ」を実現します
「スケールアップ」は、食品とアミノサイエンスの融合を軸とした成長戦略及び味の素グループの成功事例における暗黙知(例えば、海外での製品カテゴリー拡大、R&Dにおけるポートフォリオマネジメント、アミノサイエンスにおける新規事業の立ち上げ等)を形式知化や「型化」して、全社に展開すること等で実現したいと考えています。大きなスケールアップにはDXとイノベーションが不可欠であることは言うまでもありません。
例えば、調味料分野では、うま味調味料「味の素®」⇒風味調味料(「ほんだし®」等)⇒メニュー用調味料(「Cook Do®」等)と、マーケティングの好事例を型化し、新しいカテゴリーを生み出し続けながら国内・海外に展開してきました。東海地区での「ラブベジ®」、東北地区での「Smart Salt(スマ塩)」、青森県弘前市の「岩木健康増進プロジェクト」における弘前大学との共同研究といった行政やアカデミアとのエコシステム構築を通じた取り組みを、野菜摂取不足や塩分過多に悩む世界各国・地域で展開する等、今後も「型化」を進めていきます。
最適な投資や事業の配分のための「ポートフォリオマネジメント」も強化します。例えば、2010年頃の低資源発酵技術への重点投資はアミノ酸の生産コストの大幅削減につながり、2015年頃からの電子材料、医薬用・食品用アミノ酸、バイオファーマ分野へのR&Dの重点投資は現在のアミノサイエンス事業の事業モデル変革につながり、着実に成果を上げてきたと自負しています。これらのR&D投資の知見を「型化」して、マーケティング、人財、DX、地域等の投資にも応用し、継続的に磨きこんでいきます。また、2030年以降の未来からバックキャストして設定した、味の素グループが貢献できる4つの領域(ヘルスケア・フード&ウェルネス・ICT(情報通信技術)・グリーン)におけるイノベーションを促進し、次世代の事業や市場を創造していきます。
なお、「スピードアップ×スケールアップ」を掲げるのは、意思決定と執行のスピードが速まるほどスケールアップが一気に全社に広がるためです。この相乗効果で企業価値が向上するものと考えています。
(2)無形資産の強化
組織資産、人財資産、技術資産、顧客資産の投資を進めます
「スピードアップ」にも「スケールアップ」にも重要なのは、無形資産です。大きな木を育て、果実を得るには、土壌をしっかりと耕し、種を蒔き、水や肥料を与え、剪定していく必要があります。企業価値も同じです。特に、根っこをどっしりと張りめぐらせることが大切であり、その根っこが無形資産だと考えています。
その中でも当社が重視している4つの無形資産について、考え方や増強策を説明します。
まず、「組織資産」です。これは、企業で共有されている組織全体としての力を指しますが、味の素グループの「組織資産」は、「アミノ酸のはたらきで食と健康の課題解決」という「志」とそれへの「熱意」、ビジョン、ASV経営、コーポレートブランド、ガバナンスをはじめとする経営の仕組み、各種データベース、知的財産等、会社全体の力であり根幹となるものです。これらの「組織資産」と他の無形資産を継続的に磨き込むことで無形資産が蓄積され、「組織資産」は更に大きくなっていきます。
「人財資産」は、全ての無形資産の価値を高める原動力となります。「志」への従業員一人ひとりの「熱意」と、「志」を共有していただける多様な関係者の皆様からの共感を更に結集して、「人財資産」の総和を高めていきます。そのために、これまで進めてきた「働き方改革」を「働きがい改革」にステージアップします。また、DX人財の育成に力を注ぐとともに、先進的な外部プロ人財の登用や味の素グループの人財の兼業・副業も推奨しつつ、社会の最先端の学びを通じて「人財資産」をより豊かにしていきます。人事制度やその運用についても抜本的に見直します。職能資格等級(人財につく等級)に、ジョブ型(職務・職責につく等級)を組み合わせたハイブリッドな人事制度を導入することにより「適所適財と実力本位の徹底」を一層推進し、実力発揮や貢献度合いに応じた処遇の実現を目指します。
「技術資産」は、全ての無形資産において味の素グループ「ならでは」の源泉です。「アミノ酸のはたらき」を徹底的に追求した研究開発から生産そして事業まで、イノベーションにより社会価値を創造し続けるために欠かすことのできない無形資産です。食品事業では、「おいしさ設計技術®」を進化させて、世界の各地域で付加価値と機能を強化した製品展開を進め、ヘルスケア、電子材料等アミノサイエンス事業では、市場のイノベーションを見通し「先端バイオ・ファイン技術」を進化させることにより、参入障壁の高い製品やサービスを展開しています。更に、食品とアミノサイエンスの融合による事業モデル変革や次世代事業の創造に向けて「技術資産」を磨き込んでいきます。
「顧客資産」は、あらゆる無形資産と将来財務価値を繋ぐ資産です。現在のお客様だけでなく、潜在的なお客様、生活者の方々を含み、現在有する約7億人のお客様との接点を2030年までに10億人に拡大し、健康寿命の延伸に貢献することを目指しています。味の素グループのお客様は、アジア、米国、中南米、欧州、アフリカ等グローバルに広がっています。また、一般生活者だけでなく、外食業界や食品会社、医薬、半導体関連業界の企業のお客様も重要です。製品やサービスを通じてお客様の課題解決に貢献した事例や、お客様の顕在・潜在ニーズを的確にとらえる知見を「型化」して、顧客価値、ブランド価値を高め、単価向上や購入者数・購入回数増につなげます。
そして、これらの無形資産を豊かにする土壌ともいえるのが企業文化です。「志」の実現のために従業員一人ひとりが自分ごととして取り組む「自発型企業文化」は、他の無形資産を豊かにします。企業文化変革を経営の一丁目一番地として、最優先で進めていきます。
(3)サステナビリティの推進
ステークホルダーの声を聴き、ASVを実践します
サステナビリティ推進は、持続的な社会の実現だけでなく、味の素グループ自身の資本コストの低減と成長率の向上に資すると考えています。取締役会の下部機構であるサステナビリティ諮問会議は、設置から約1年強が経ちましたが、味の素グループならではのサステナビリティについて、各専門性の観点からも先進的で有意義な議論と検討が進んでおり、ASVの実現につながっているという確信があります。今後、多様性に富むステークホルダーの声を取り入れながら、中長期視点に立ったマテリアリティ(当社にとっての重要課題)やマテリアリティに紐づく環境変化への対応方針等を検討し、取締役会へ答申します。併せて、経営会議の下部機構であるサステナビリティ委員会は、取締役会が示す戦略的方向性に基づき、全社経営レベルのリスクと機会の特定や事業戦略への反映を行います。世界中のステークホルダーの皆様から「志」への共感をいただきながら「トレード・オフ」(何かを達成するためには何かを犠牲にしなければならない関係)になりがちなサステナビリティに関する取り組みを「トレード・オン」(二律背反を超え、両立させること)にすることを目指します。
味の素グループが取り組むべき社会・環境課題は数多くありますが、とりわけ環境面については、2030年度までの「環境負荷の50%削減」に加え、2050年度までにカーボンニュートラルを実現することを2022年3月に宣言しました。カーボンニュートラルを目指しながら、社会課題の解決によって経済価値を生み出すASVを実践し、強靭かつ持続可能なフードシステムの構築に貢献します。
(気候変動リスクへの対応)
サマリー
世界的な喫緊の課題である気候変動は、味の素グループの事業・戦略に多大な影響を及ぼすため、重要課題の一つです。気候変動の進行により、原材料の調達不全をはじめとするリスクが予想されます。味の素グループは気候変動を全社重要リスクかつ機会と捉え、ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標の4つの観点から対応策を検討しています。ライフサイクル全体での負荷低減を目指し、省エネ活動や再生可能エネルギー電力の利用を進めるほか、国際イニシアチブに参加し、社内外の連携を図りながら課題解決を目指します。
|
項目 |
内容 |
|
ガバナンス |
味の素グループでは、グループ各社及びその役員・従業員が順守すべき考え方と行動の在り方を示した味の素グループポリシー(AGP)を誠実に守り、内部統制システムの整備とその適正な運用に継続して取り組むとともに、気候変動への対応をはじめとするサステナビリティを積極的なリスクテイクと捉える体制を強化し、持続的に企業価値を高めています。
取締役会は、サステナビリティ諮問会議を設置する等、マルチステークホルダーの視点でサステナビリティとESGに係る当社グループの在り方を提言する体制を構築し、気候変動に関する項目をはじめ、ASV経営の指針となるサステナビリティに関するマテリアリティ項目を決定しています。
経営会議は、サステナビリティ委員会を設置し、気候変動に関するものをはじめ、「全社経営レベルのリスクと機会」を選定・抽出し、その影響度合いの評価、施策の立案、進捗管理を行う体制を構築しています。 |
|
戦略 |
味の素グループの事業は、調味料・食品、冷凍食品からヘルスケアまで多岐にわたります。また、その活動地域は全世界に広がっています。したがって、気候変動による影響も大きな自然災害による事業活動の停滞、原燃料の調達に関わる事項、消費行動に関わる事項等、多方面にわたります。 味の素グループでは、短中長期における生産に関わる事項として、気候変動の影響のうち、渇水、洪水、海面上昇、主原料収量の変化等を物理的リスクとして、炭素税の導入やその他の法規制の強化及びエネルギー単価の上昇、消費者嗜好の変化等を移行リスクとして捉えています。 |
|
リスク管理 |
サステナビリティ委員会にて、政治、経済、社会情勢、気候変動等、味の素グループを取り巻く環境を踏まえ、事業への影響度、発生可能性からリスクレベルを総合的に判断し、「全社重要リスク」を選定し、その対応策を検討しています。 気候変動に関するリスクは「全社重要リスク」の一つと位置付けており、物理的リスク、法規制・市場等の移行リスクについて、公表されている報告書や専門家のアドバイス等をもとに影響度の評価を行っています。当該委員会の検討・対応内容は、21年度は年4回経営会議及び取締役会に報告しています。 |
|
指標と目標 |
味の素グループは20-25中計において、2030年度までに温室効果ガス(GHG)の排出量を2018年度比で50%削減することを目標としています。 2021年度のGHG排出量は、スコープ1・2総量では、前年度比およそ300,000t-CO2e減、基準年である2018年度に対して27%減となり、2021年度の目標を大きく上回りました。ブラジルにおける再エネ電力発電所との直接契約やタイにおける再エネ証書調達及び国内においてCO2排出係数が低い電力会社との契約が、削減が進んだ主な要因です。一方、スコープ3のGHG排出原単位では、前年度比5%減少したものの、基準年である2018年度に対し2%増加となりました。前年度より減少した主な原因は、味の素アニマル・ニュートリション・ヨーロッパ社(以下、「AANE社」という。)が当社グループ対象外となったことです。 |
(1)ガバナンス
味の素株式会社は、持続可能性の観点から企業価値を継続的に向上させるため、サステナビリティ推進体制を強化しております。2021年4月1日付で、取締役会の下部機構としてサステナビリティ諮問会議を、経営会議の下部機構としてサステナビリティ委員会を設置しました。
当社の、気候変動対応を含むサステナビリティ推進体制は以下のとおりです。
<各組織体の役割と責任>
|
取締役 代表執行役社長 最高経営責任者 |
気候変動を含む環境問題に責任を持ち、気候関連リスクと機会の評価と管理の両方に責任を持っています。 |
|
取締役会 |
下部機構としてサステナビリティ諮問会議を設置する等、マルチステークホルダーの視点でサステナビリティに係る当社グループの在り方を提言する体制を構築し、気候変動に関する項目をはじめ、ASV経営の指針となるサステナビリティに関するマテリアリティ項目を決定しています。2021年度はサステナビリティ諮問会議から2回の報告を受けています。 |
|
サステナビリティ諮問会議 |
サステナビリティの観点で味の素グループの企業価値向上を追求するため、マルチステークホルダーの視点でサステナビリティに係る当社の在り方を提言することを目的として、同諮問会議は取締役会の諮問に基づき以下の検討を行い、取締役会に答申します。
ⅰ長期的な視点(2050年まで)に立ち、中期経営計画のマテリアリティ・戦略に反映させるためのマテリアリティ ⅱマルチステークホルダーの視点でマテリアリティを検討し、マテリアリティに関連する環境変化(リスクと機会)への対応方針 ⅲ2030年以降に企業に期待・要請されるポイントや、社会的ルール作りへの適切な関与 ⅳ環境負荷低減、健康寿命延伸の姿等、社会価値創出に関する2030年以降の目標設定
サステナビリティ諮問会議は半年に1回開催され、当社HPへの議事録の掲載やプレスリリースなどを通じ、議論の内容を積極的に公開しています。 |
|
経営会議 |
下部機構としてサステナビリティ委員会を設置し、気候変動に関するものをはじめ、「全社重要リスクと機会」を選定・抽出し、その影響度合いの評価、施策の立案、進捗管理を行う体制を構築しています。なお、2021年度はサステナビリティ委員会から4回の報告を受けています。 |
|
サステナビリティ委員会 |
サステナビリティ経営を推進するため、同委員会は、マテリアリティに則して、施策の立案、経営会議への提案、進捗管理を行います。また、全社経営課題のリスクの対策立案、その進捗管理、内部統制強化に資するリスクマネジメントプロセスの整備及び推進並びに味の素グループ危機管理規程に基づく危機(セーフティ及びセキュリティ)管理に関する事項を行います。 |
(2)リスク管理
当社グループでは、リスク管理を内部統制のための重要な手段として認識しており、経営責任の一端を担っています。当社グループは、グループ経営戦略及び個別事業戦略と連動して、重大なリスクに対する対応力を高めるために必要な措置を講じています。当社グループは、世界各地の事業環境や政治・経済・社会情勢を考慮し、組織横断的な管理が必要なグループ全体のリスクを特定してまとめています。リスクの中でも、地球規模の気候変動リスクや、水に依存する作物を主原料としているため、水リスクも重視しています。戦略的なリスクマネジメントを推進することで、リスクに強くなり、グループの価値を高めることに寄与しているものと考えています。
サステナビリティ委員会は、グループ全体のリスクとして認識されたマテリアリティ課題については、グループ全体の対応策を策定、実行するとともに、リスクへの対応状況を定期的に監視・管理しています。当社グループの気候関連のリスクと機会は、シナリオ分析により評価しています。事業所ごとにECP(事業継続計画)を策定し、気候変動を含む各事業所特有のリスクを掘り起こし、対策を検討しています。また、持続的な事業活動に向けて原料となる天然資源の減少に対する研究開発を加速させています。
気候変動に関するリスクは「全社重要リスク」の一つと位置付けており、物理的リスク、法規制・市場等の移行リスクについて、公表されている報告書や専門家のアドバイス等をもとに影響度の評価を行っています。当該委員会の検討・対応内容は、年に1回以上経営会議及び取締役会に報告しています。
(3)戦略
当社グループは、食品事業について調味料・食品から冷凍食品まで幅広い商品領域を持ち、またヘルスケア等の分野にも事業を展開しています。気候変動は、大規模な自然災害による事業活動の停止、農作物や燃料などの原材料調達への影響、製品の消費の変化など、さまざまな形でグループの事業に影響を与えます。
①シナリオ分析の前提
2021年度は、2100年に地球の平均気温が産業革命後より2℃又は4℃上昇するというシナリオで、グローバルのうま味調味料、及び国内の主要な製品に関する2030年時点と2050年時点の気候変動による影響に関するシナリオ分析を実施しました。
中長期における生産に関する事項として、気候変動の影響のうち、渇水、洪水、海面上昇、原料の収量変化等を物理的リスクとして、炭素税の導入やその他の法規制の強化及びエネルギー単価の上昇、消費者嗜好の変化等を移行リスクとして捉え分析しました。
2℃と4℃シナリオにおける2030年時点の平均気温差は0.2℃程度であり物理的リスクに大きな差が見られないと考え、平均気温差が1℃程度と予想され物理的リスクに差があると考えられる2050年時点のシナリオ分析のリスクと機会を次の表に示します。
以上を要約すると、以下の通りです。
|
|
2020年度(※) |
2021年度 |
2022年度(予定) |
|
事業 |
うま味調味料(グローバル)、国内の主要な製品 |
うま味調味料(グローバル)、国内の主要な製品 |
うま味調味料(グローバル)、国内・海外の主要な製品 |
|
発現の時期 |
2030年 |
2030年/2050年 |
2030年/2050年 |
|
シナリオ |
2℃/4℃ |
2℃/4℃ |
2℃/4℃ |
※2020年度に実施したシナリオ分析の結果については、サステナビリティデータブック2021をご参照ください。
https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/ir/library/databook.html
②シナリオ分析:リスク
|
2℃シナリオ(2050年):GHG排出量削減に向けた一定の政策的対応が行われ、化石燃料の消費が減少する場合 |
||||||
|
リスク |
平均気温上昇 |
洪水・渇水の重大性と頻度の上昇 |
製品に対する命令及び規制 |
消費者嗜好の移り変わり |
右の対象は当社グループ全体 |
カーボンプライシングメカニズム |
|
リスクの分類 |
物理的リスク |
物理的リスク |
移行リスク |
移行リスク |
移行リスク |
|
|
事業インパクト |
農畜水産物の生産性低下(想定1:養殖の生育環境悪化、想定2:家畜の増体率低下、想定3:乳牛の乳量低下、想定4:家畜の感染症流行) |
原料調達のコストアップ(想定:タイの洪水) |
使用する原料に関する法規制の強化によるコストアップ(想定:原料のトレーサビリティやリサイクル使用の法規制) |
気温上昇による需要減(想定:クノール®カップスープ、ホットコーヒー) |
炭素税の導入・増税や排出権取引により、使用する原料・燃料のコストアップ |
|
|
潜在的財務影響 |
15億円/年 |
算定中 |
算定中 |
算定中 |
2030年:200億円/年* 2050年:300億円/年* |
|
|
対応策 |
・調達地域の多様化 ・代替原料の研究開発 ・環境配慮型の製法開発 |
・調達地域の多様化 ・代替原料の研究開発 |
・サプライヤーの情報収集と協働 |
・栄養価値訴求を通じた喫食の習慣化を図るコミュニケーション ・アイス飲用に適したマーケティング活動 |
・内部カーボンプライシング制度による財務影響の見える化 ・燃料転換 ・再生可能エネルギー利用 ・環境配慮型の製法開発 |
|
|
4℃シナリオ(2050年):GHG排出量削減に向けた政策的対応を行わない、成り行きの場合 |
||||
|
リスク |
平均気温上昇 |
洪水・渇水の重大性と頻度の上昇 |
消費者嗜好の移り変わり |
燃料のコスト増加 |
|
リスクの分類 |
物理的リスク |
物理的リスク |
移行リスク |
移行リスク |
|
事業インパクト |
農畜水産物の生産性低下(想定1:養殖の生育環境悪化、想定2:家畜の増体率低下、想定3:乳牛の乳量低下、想定4:家畜の感染症流行、想定5:農産物の生育不良や病害虫流行) |
原料調達のコストアップ、操業停止、納期遅延による売り上げ減少(想定1:タイの洪水、想定2:ブラジルの渇水、想定3:日本の局地豪雨による冠水) |
気温上昇による需要減(想定:クノール®カップスープ、ホットコーヒー) |
使用する燃料の価格上昇 |
|
潜在的財務影響 |
20億円/年 |
1億円/年 |
算定中 |
10億円/年 |
|
対応策 |
・調達地域の多様化 ・代替原料の研究開発 ・高温耐性品種の導入 ・販売価格への反映 ・環境配慮型の製法開発 |
・調達地域の多様化 ・代替原料の研究開発 |
・栄養価値訴求を通じた喫食の習慣化を図るコミュニケーション ・アイス飲用に適したマーケティング活動 |
・燃料転換 ・再生可能エネルギー利用 ・環境配慮型の製法開発 |
* SBT(Science Based Targets)イニシアチブに認定された当社グループの2018年度の基準GHG排出量に、IEA:International Energy Agency(国際エネルギー機関)の2℃シナリオに相当する2030年炭素税・排出権取引の予測:新興国=75$/t-CO2、先進国=100$/t-CO2、2040年炭素税・排出権取引の予測:新興国=125$/t-CO2、先進国=140$/t-CO2を乗じて算出。4℃シナリオは現状の成り行きであり炭素税・排出権取引の追加・増税は想定しておりません。
③シナリオ分析:機会
|
2℃シナリオ(2050年):GHG排出量削減に向けた一定の政策的対応が行われ、化石燃料の消費が減少する場合 |
||
|
機会 |
低排出量商品及びサービス |
消費者嗜好の移り変わり |
|
機会の分類 |
製品及びサービス |
製品及びサービス |
|
事業インパクト |
エシカル思考の拡大により環境負荷が低い製品として売上増加 |
・健康志向によるニーズ拡大=売上増加 ・気温上昇による飲料などのニーズ拡大=売上増加 |
|
対応策 |
・環境配慮型の製法や製品の開発 ・ESGの好評価を取得する取り組み推進 ・低環境負荷を証明するエビデンス強化 |
・栄養価値が向上する製品開発 ・栄養価値訴求を通じた喫食の習慣化を図るコミュニケーション ・環境配慮型の製法や製品の開発 |
|
4℃シナリオ(2050年):GHG排出量削減に向けた政策的対応を行わない、成り行きの場合 |
||
|
機会 |
低排出量商品及びサービス |
消費者嗜好の移り変わり |
|
機会の分類 |
製品及びサービス |
製品及びサービス |
|
事業インパクト |
エシカル思考の拡大により環境負荷が低い製品として売上増加 |
・健康志向によるニーズ拡大=売上増加 ・気温上昇による飲料などのニーズ拡大=売上増加 |
|
対応策 |
・環境配慮型の製法や製品の開発 ・低環境負荷を証明するエビデンス強化 |
・栄養価値が向上する製品開発 ・栄養価値訴求を通じた喫食の習慣化を図るコミュニケーション ・環境配慮型の製法や製品の開発 |
④シナリオ分析結果の戦略への反映
(ⅰ)事業戦略への影響
シナリオ分析における事業への影響を踏まえ、今後一層のGHG排出量削減に向け、燃料転換・再生可能エネルギー利用・環境配慮型の製法に関する投資を計画して参ります。また、サステナビリティに対する取組みが製品の付加価値向上につながる「トレード・オン」の実現に向けて、新たな事業戦略の策定に取り組んで参ります。
また、2022年度以降のシナリオ分析においては、対象製品をより広げ、原料の水リスクもさらに重視することにより、リスク・機会の分析を高度化して参ります。
(ⅱ)資金調達戦略への影響
各種取り組みに対して必要な資金については、サステナビリティファイナンスを基本と致します。これにより、当社グループが掲げる2030年までの2つのアウトカム「10億人の健康寿命の延伸」と「環境負荷の50%削減」の実現、及び持続可能な社会の実現に向けた取り組みをより一層加速させていきます。
このような考えのもと、当社は2021年10月にグループ初となるSDGs債を発行(*1)し、続いて、2022年1月に「ポジティブ・インパクトファイナンス」によるコミットメントライン契約(*2)を締結致しました。今後も引き続きサステナブルファイナンスを拡充して参ります。
*1 SDGs債発行に関しては、以下の「サステナブルファイナンス」サイトをご参照ください。
https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/activity/csr/finance/index.html
*2 「ポジティブ・インパクトファイナンス」によるコミットメントライン契約に関しては、以下のプレスリリースをご参照ください。
https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/presscenter/press/detail/2022_01_28.html
(4)指標と目標
当社グループは、SBT(Science Based Targets)イニシアチブによるNet Zeroを含む新たなGHG排出削減目標への適合を宣言するコミットメントレターを提出しました。これにより、当社グループはSBTイニシアチブより認定を受けている気温上昇を1.5℃に抑えるGHG排出削減目標の取り組みをさらに加速させるため、Net Zero基準に沿って目標の見直しを行います。
(ⅰ)目標

スコープ1及びスコープ2のGHG排出量については、2030年度に2018年度比で50%削減を目標(総量目標)としています。
スコープ3の生産1トンあたりのGHG排出量(GHG排出原単位)については、2030年度に2018年度比で24%削減としている目標(原単位目標)の見直しを行います。
(ⅱ)2021年度実績

スコープ1・2のGHG排出量では、前年度比およそ300,000t-CO2e減、基準年である2018年度に対して27%減となり、2021年度の目標を大きく上回りました。ブラジルにおける再エネ電力発電所との直接契約やタイにおける再エネ証書調達及び国内においてCO2排出係数が低い電力会社との契約が、削減が進んだ主な要因です。また、2030年度のGHG排出量目標(2018年比△50%)に対しては、現時点で計画済の投資によりおよそ8割の達成目途が見えておりますが、一層の排出量削減に向け、更なる投資を検討して参ります。
スコープ3のGHG排出原単位では、前年度比5%減少したものの、基準年である2018年度に対し2%増加となりました。AANE社が当社グループ対象外となったことが削減の主な原因です。2022年度は、スコープ3の原料サプライヤーとの協働のトライアルを行う予定です。サプライヤー含めた外部との連携を今後加速し、GHG排出量の削減に向けて取り組みを進めて参ります。
(ⅲ)目標達成に向けた取組み
スコープ1及びスコープ2の目標を達成するための施策として、省エネルギー活動やGHG発生の少ない燃料への転換、バイオマスや太陽光等の再生可能エネルギー利用、エネルギー使用量を削減するプロセスの導入を進めています(当社・九州工場における、重油から天然ガスへの燃料転換、タイ・カンペンペット工場におけるコジェネレーション設備導入など)。
スコープ3については、製品ライフサイクル全体のGHG総排出量の約60%を原材料が占めていることから、原料サプライヤーへのGHG削減の働きかけや、アンモニアのオンサイト生産等の新技術導入に向けた検討を進めています。
当社グループは、マクロの環境変化や、影響の大きさ(大・中・小)、発現の蓋然性や時期(高・中・低)などを総合的に勘案して、組織横断的な管理が必要なグループ全体のリスクを特定しており、その内容は以下のとおりです。
当社グループではこのような経営及び事業リスクを最小化するとともに、これらを機会として活かすための様々な対応及び仕組み作りを行っておりますが、以下はすべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見出来ない又は重要と見なされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 財務に関わる機会とリスク
|
財務リスク |
①関連する機会とリスク(○機会 ●リスク) |
②味の素グループの主要な取り組み |
|
減損 |
●買収した子会社等の事業計画未達 ●金利の急激な上昇 |
・企業提携等審議会や経営会議等における買収価格の適切性に関する審議 ・買収後のシナジー実現に向けたフォローアップやマクロ経済環境の定期的なモニタリング |
|
資金調達 |
●金融危機による資金の枯渇 ●格付けの低下 ●各種リスク要因により計画を達成できないことで生じる追加の資金調達などのリスク発生、格付けの悪化 |
・資金調達方法先及び期間の適度な分散 ・財務体質の維持・強化 ・各種リスク要因の適時の分析と対応 ・最新の情報に基づく適時の計画の見直し ・グループ各社での流動化等活用促進 ・グローバル・プーリングの導入(ノーショナルプーリング) ・USD建コミットメントラインの新設 ・運転資金に限定している北米・欧州CMSの資金使途範囲変更 (「グループ資金調達基本方針」) |
|
得意先の 経営破綻 |
●海外を含めた予期せぬ得意先の経営破綻の発生 |
・情報収集、与信管理等(グループ全体に適用する与信管理ガイドライン作成及びモニタリング)、債権保全 |
|
為替・ 金利変動 |
●為替・金利の急激な変動による事業収益への影響(海外での事業活動の停滞、海外子会社業績の円貨への換算影響) |
・(予定取引における)為替予約の検討 ・借入資金の長期化及び社債の発行、サステナブルファイナンスの活用 ・長期資金については親会社での調達集中 ・外貨調達の多様化 |
|
インフレー ション |
●原燃料コストの上昇による収益の悪化 ○製品価格の適正化を通じた収益の改善 |
・主要原燃料のモニタリング ・製品価格への適時の反映 ・製品改定 ・コストダウン |
|
カントリー リスク |
●収用リスク ●戦争や紛争などの発生リスク |
・進出国の適度な分散 |
|
租税制度・ 繰延税金資産 /負債の変動 |
●○租税制度・繰延税金資産/負債の変動による税負担変動 |
・各国における税制や税務行政の変更への対応策を実施 ・税金及び税務関連費用を最小化する方策又はスキームを立案実行 |
|
財務リスク |
③貢献する SDGsのゴール |
④中計で掲げる 戦略への影響 |
⑤影響の 大きさ |
⑥発現の 蓋然性、時期 |
⑦評価 |
⑧前年 比較 |
|
減損 |
- |
財務目標の未達、金利上昇により生活者への新たな価値提案に向けた成長投資が遅れ、オーガニック成長が減速。 |
小 |
高 |
注視 |
→ |
|
資金調達 |
- |
資金の不足による成長投資の遅延に伴う顧客への新たな価値提案の遅れ、オーガニック成長の減速。 |
中 |
中 |
重要 |
→ |
|
得意先の 経営破綻 |
- |
- |
小 |
高 |
注視 |
↗ |
|
為替・ 金利変動 |
- |
- |
小 |
高 |
注視 |
↗ (一部の 新興国) |
|
インフレー ション |
- |
- |
大 |
中 |
極めて重要 |
新規 |
|
カントリー リスク |
- |
- |
中 |
中 |
重要 |
↗ |
|
租税制度・ 繰延税金資産 /負債の変動 |
- |
- |
小 |
高 |
注視 |
→ |
(2) マテリアリティ
|
マテリアリティ項目 |
①関連する機会とリスク(○機会 ●リスク) |
②味の素グループの主要な取り組み |
|
食と健康の課題解決 への貢献 |
●健康・栄養関連の法制化・ルール強化によるコスト上昇(砂糖税・栄養表示等) ●グローバルトップ10をはじめ競合他社も注力する健康・栄養分野における競争激化・劣後リスク ○健康課題の深刻化による食事・運動などの生活習慣の見直しに基づく新たなビジネス機会の創出 ○調理や栄養バランス、免疫強化への関心や生活習慣病に対する予防意識の高まりに基づく新たなビジネス機会の創出 ○グローバルでの高齢化に基づく新たなビジネス機会の創出 ○生活者の栄養課題の多様化に基づく新たなビジネス機会の創出 ○減塩に対する意識の高まりに伴うビジネス機会の増加 |
・おいしく摂取し、心身のすこやかさに繋がる食品・アミノ酸製品及びメニューの提供 |
|
・うま味によるおいしい減塩 |
||
|
・たんぱく質摂取の推進 |
||
|
・減糖、減脂 |
||
|
・「アミノインデックス技術」による予防医療への貢献 |
||
|
・当社グループ製品が満たす栄養基準の整備 |
||
|
・生活者一人一人への栄養改善の個別提案(パーソナル栄養) |
||
|
生活者の ライフスタイルの 変化に対する 迅速な提案 |
●生活者のライフスタイルの変化、価値観の多様化への対応遅れによる成長機会の損失と既存事業の競争力低下 ●新興企業参入による競争激化 ●○顧客のデジタルシフト加速や購買行動の変化に対する対応遅れによる機会損失、ECなどD2C市場の成長に伴う事業機会の増加 ○消費者の新たな健康ニーズ等に迅速に対応することによるブランド価値や企業イメージアップ ○●家庭で喫食機会増加に伴う機会と、外食産業の回復による手作り機会減少リスク ○食の多様化(ベジタリアン、ビーガン)に基づく新たなビジネス機会の創出 |
・ビッグデータ・生活者データの活用によるマーケティングの高度化 |
|
・スモールマス(都市化等)への対応強化 |
||
|
・スマートな調理等、簡便ニーズに対応した製品・サービスの拡充 |
||
|
・食を通じた人と人とのつながり・コミュニティの創出 |
||
|
・製品・サービス・情報のお客様への適切な届け方の実践 |
||
|
|
||
|
製品の安全・安心 の確保 |
○テクノロジーを活用した食のトレーサビリティの確保による新たな顧客層の獲得 ●アミノ酸含有食品、栄養ケア食品における競争激化リスク ●うま味・MSGに対するネガティブな風評の拡大による調味料事業への影響 ●製品の品質クレーム・トラブルによるお客様からの信頼低下 |
・「お客様の声」の製品・サービスの開発・改善への反映 |
|
・製品パッケージやWEBでの適切な情報共有 |
||
|
・味の素グループ品質保証システム「ASQUA(アスカ)」に基づく品質保証活動の徹底と人財育成 |
||
|
多様な人財の活躍 |
●人財獲得競争の激化によるコスト上昇 ○様々なバックグラウンドを持つ人材登用による人材の獲得ルートの増加と新たなビジネス機会の創出 ●多様な人材の獲得が進まない場合の企業イメージ低下 |
・健康経営の推進 |
|
・従業員の「ASV自分事ごと化」促進 |
||
|
・エンゲージメントサーベイを活用したPDCAサイクルの推進 |
||
|
・ダイバーシティ推進に向けた組織風土改革 |
||
|
・女性人財の育成・登用 |
||
|
・人権教育・啓発活動 |
||
|
・イノベーション創出のための企業文化醸成(統合型アクセラレータープログラム) |
|
マテリアリティ項目 |
①関連する機会とリスク(○機会 ●リスク) |
②味の素グループの主要な取り組み |
|
気候変動への適応と その緩和 |
●気候変動による原材料の調達リスクの増大・生産活動の停滞 ●脱炭素への取り組み遅延、排出権取引制度の導入や炭素税の負担増加による生産コスト上昇 ●メタンなどのCO₂以外のGHG削減への取り組み遅延による生産コスト上昇 ○再生可能エネルギーの導入により、炭素税の導入後あるいは課税強化後のコスト競争力確保 ●1.5℃目標基準に則しない企業活動に対する企業価値毀損・企業イメージ低下 ●気候変動への対応遅れと事業影響の開示不足による企業価値毀損・企業イメージ低下 |
・製品ライフサイクル全体でのカーボンニュートラルに向けた長期的な取り組み |
|
・生産時・輸送時のエネルギー削減の取り組み |
||
|
・再生可能エネルギーへのシフト |
||
|
・TCFDに対応した情報開示(シナリオ分析等) |
||
|
|
||
|
|
||
|
|
||
|
資源循環型社会実現 への貢献 |
○循環型サプライチェーンを実現するためのトレーサビリティシステムの活用 ○化学メーカー等との連携によるリサイクル素材の開発 ●欧州等で進むプラスチック廃棄物規制やタクソノミーへの対応遅延による事業機会損失 ●廃棄物削減、リサイクルへの取り組み遅延による企業価値毀損・企業イメージ低下 ○サステナビリティに関する取り組み加速による企業価値の向上 ○人口増加に伴う需要の高まり(動物原料フリー、培養肉など) |
・容器包装の3R推進(プラスチック廃棄物の削減等) |
|
・環境対応型包装資材(単層材/生分解性プラスチック/植物由来原料/認証紙)の使用 |
||
|
・生分解性が高いアミノ酸系洗浄剤の供給 |
||
|
・環境ラベルの普及 |
||
|
・製品パッケージを活用したプラスチック廃棄削減訴求 |
||
|
|
||
|
フードロスの低減 |
●食資源の枯渇による原材料調達不全 ○製造工程での歩留まり向上、返品・製品廃棄の削減の取り組みによるコスト削減 ●フードロス半減に向けた取り組み遅延による企業価値毀損・企業イメージ低下、及び食資源の枯渇の助長 |
・原料をムダなく活かしきるモノづくりの実践 |
|
・デジタルを活用したSCMの高度化・効率化 |
||
|
・賞味期限延長等による返品・製品廃棄の削減 |
||
|
・お客様の使用時のロス削減 |
||
|
・美味しく残さず食べ切る「食エコ」提案 |
||
|
持続可能な 原材料調達 |
●サプライチェーンにおける社会・環境問題への対応遅れによる原料調達リスクの増大 ●特定地域の輸出規制への対応遅れによるサプライチェーンへの断絶 ○パンデミック等発生時のグローバルサプライチェーン断絶に備えたサプライチェーンの強化 ●サプライチェーンにおける環境問題への対応遅延による企業価値毀損・企業イメージ低下 |
・重要原材料の特定と責任ある調達(紙、パーム油、かつお等) |
|
・コプロ活用による持続可能な農業への貢献 |
||
|
・公正な事業慣行マネジメントの実践(トレーサビリティ等) |
||
|
・サプライヤーのサステナビリティ推進 |
||
|
・人権デュー・ディリジェンス |
||
|
・公正な競争の確保と従業員教育の徹底 |
||
|
水資源の保全 |
●渇水・洪水・水質悪化による生産停滞や原料調達リスクの増大 ○水リスク低減による原料安定調達、製品安定供給の実現 ●水資源保全への対応遅れによる企業価値毀損・企業イメージ低下 |
・水源の森林整備 |
|
・排水処理技術の開発 |
||
|
|
|
マテリアリティ項目 |
①関連する機会とリスク(○機会 ●リスク) |
②味の素グループの主要な取り組み |
|
ガバナンスの強化 |
①コーポレート・ガバナンスに関する取組 ●コーポレート・ガバナンスの組織・体制整備の遅れによる機能不全 ●コーポレート・ガバナンス、内部統制の機能不全に伴う事業継続リスク、予期せぬ損失の発生 ②投資家等への情報開示に関する取組 ●目的に応じた適切な情報開示の不足による投資家などステークホルダーからの評価の低下 ○投資家が求める価値の高い情報の開示による評価の高まり(事業活動が社会・環境へ与える影響の定量評価、COVID-19による事業への具体的な影響など主要な環境変化に対する影響の詳細明示、など) ○非財務情報の開示に対する取り組み強化による投資家等ステークホルダーからの信頼性向上 ③生活者への信頼性確保への取組 ○トレーサビリティ・マッピングの確立による信頼性向上 ④会社・従業員への事業継続のための環境改善対応への取組 ○サプライチェーン上流への労働安全衛生の強化 ○こころとからだの健康を維持・増進できる職場環境づくり(環境経営) ○ダイバーシティ&インクルージョンの推進 ●○知的財産リスクによる事業への影響(知財侵害・模倣リスク) |
・労働安全衛生マネジメント |
|
・グループ従業員全員への味の素グループポリシーの浸透 |
||
|
・ホットライン(内部通報制度)の整備 |
||
|
・コーポレート・ガバナンス体制の強化 |
||
|
・「全社重要リスク」の選定とその対応策の検討 |
||
|
・知的財産リスクマネジメント |
||
|
・IT管理運用規程の制定による情報セキュリティの強化 |
||
|
|
||
|
|
||
|
|
||
|
|
||
|
|
||
|
|
||
|
|
||
|
|
||
|
グローバルな 競争激化への備え |
①デジタル技術等の発展に伴う新規参入者の増加 ●強固な参入障壁を構築しきれないことによる多数の競合企業(グローバル・ローカル)の出現 ②マクロ情勢(地政学リスク)の顕在化 ●グローバルでの金融危機、貿易摩擦等の不安定な政治・経済・社会情勢による組織運営への混乱や事業採算性低下 ●中東・アフリカの重点国における政治・経済不安定化によるリスク ●米中スーパーパワーの政治方針・通商政策の変化が、各国法人業績を左右するリスク ●特定国への依存度が高いサプライチェーン(調達・生産)構造による、有事の事業停滞リスク、原燃料費高騰リスク ③グローバル市場の変化 ●ASEAN・南米の重点国における中産階級の伸び悩みによる市場成長鈍化リスク ●コロナ禍における消費者行動の変化を受けた、グローバル競合の商品ポートフォリオ戦略見直しによる競争激化リスク(冷凍食品など当社注力領域をwith/afterコロナにおける成長分野とみて競合が強化、など) ●同様の背景から、当社注力領域において廉価品を出すローカル競合との競争激化 ○SDGsの認知率の高まり等を受けたエシカル消費に対応した新たなビジネス機会の創出 |
・食品とアミノサイエンスの部門間連携強化 |
|
・サプライチェーンマネジメントの進化 |
||
|
(デジタル活用、エコシステム確立等) |
||
|
・デジタルトランスフォーメーションの推進 |
||
|
・課題解決型R&D体制の確立 |
||
|
・本社主導によるコンシューマー食品3事業 |
||
|
(調味料/栄養・加工食品/冷凍食品)のグローバル戦略推進 |
||
|
・コンペティティブ・インテリジェンス(中長期の取り組み) |
||
|
・オープン&リンクイノベーションの推進 |
||
|
・グローバル生産体制、物流体制、雇用制度の見直し |
||
|
・顧客セグメントの見直し(自宅需要の拡大、ケータリング事業者需要の拡大など) |
||
|
|
||
|
|
||
|
|
||
|
|
|
マテリアリティ項目 |
③貢献する SDGsのゴール |
④中計で掲げる 戦略への影響 |
⑤影響の 大きさ |
⑥発現の 蓋然性、時期 |
⑦評価 |
⑧前年 比較 |
|
食と健康の課題解決 への貢献 |
|
健康を軸とした生活者への価値提案力の低下、及び提案の競争力低下による生活者需要の低下。 |
大 |
中 |
極めて重要 |
→ |
|
生活者の ライフスタイルの 変化に対する 迅速な提案 |
|
中 |
高 |
極めて重要 |
→ |
|
|
製品の安全・安心 の確保 |
|
- |
小 |
高 |
注視 |
→ |
|
多様な人財の活躍 |
|
多様な人材が活躍できないことによる計画の実行力、及び食と健康の課題解決力の低下。 |
中 |
中 |
重要 |
→ |
|
気候変動への適応と その緩和 |
|
コスト上昇による、食と健康の課題解決を通じて効率性高く成長できる収益構造実現(ROIC向上)の遅れ。 環境対応の不足によりブランド価値が毀損することによって、提供価値が低下、又は提供価値への信頼が低下する。 |
大 |
中 |
極めて重要 |
→ |
|
資源循環型社会実現 への貢献 |
|
中 |
高 |
極めて重要 |
→ |
|
|
フードロスの低減 |
|
小 |
中 |
注視 |
→ |
|
|
持続可能な 原材料調達 |
|
中 |
高 |
極めて重要 |
→ |
|
|
水資源の保全 |
|
中 |
中 |
重要 |
→ |
|
|
ガバナンスの強化 |
|
ガバナンス強化に向けたマネジメント変革の遅れによる組織の機能低下、機能不全による、計画実行力の低下。 |
中 |
中 |
重要 |
→ |
|
グローバルな 競争激化への備え |
|
主要事業への重点化の遅れにより、重点事業における新たな付加価値の提供が遅れ、効率性、オーガニック成長が低下。 |
中 |
高 |
極めて重要 |
→ |
業績等の概要
当社グループは、IFRSの適用に当たり、投資家、取締役会及び経営会議が各事業の恒常的な業績や将来の見通しを把握すること、取締役会及び経営会議が継続的に事業ポートフォリオを評価することを目的として、「事業利益」という段階利益を導入しております。当該「事業利益」は、「売上高」から「売上原価」、「販売費」、「研究開発費」及び「一般管理費」を控除し、「持分法による損益」を加えたものであり、「その他の営業収益」及び「その他の営業費用」を含まない段階利益です。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
企業価値向上を加速
味の素グループは、2030年の目指す姿に向けて構造改革と重点事業への投資の集中を進めており、2021年度は新型コロナウイルス感染拡大による事業の影響を受けたものの、ROIC7.9%、オーガニック成長率6.8%を実現しました。2022年度は、原燃料価格高騰の影響を全体では打ち返し、ROIC8%、オーガニック成長率11%と、中期経営計画で掲げた構造目標の達成を目指します。さらに、新体制において、力強い成長力の回復に向け、事業ポートフォリオの強化と成長率を上げるための無形資産への投資を「スピードアップ×スケールアップ」して取り組むために、中期指標経営への転換と財務資本戦略の進化を図っていきます。
|
<2021年度業績サマリー> ■売上高:11,493億円(対前年+7.3%) 調味料・食品および冷凍食品において、主に海外における家庭用製品の好調や前期に新型コロナウイルス感染症の蔓延で影響を受けた外食用・業務用製品の販売が一部復調したことに加え、ヘルスケア等における電子材料およびバイオファーマサービスの販売好調により、増収。
■事業利益:1,209億円(対前年+6.9%) 調味料・食品および冷凍食品において原燃料価格の上昇等の影響を受けたものの、ヘルスケア等の増収に伴う大幅増益により、全体で増益。
■親会社の所有者に帰属する当期利益:757億円(対前年+27.4%) 事業利益の増加等により、増益。
<2022年度業績予想> ■売上高:13,100億円 コストインフレに対応するための機敏かつ適切な価格改定や付加価値製品の販売増等を通じ、全てのセグメントで増収。
■事業利益:1,240億円 調味料・食品は原燃料価格高騰の影響を受けるも、ヘルスケア等の重点事業や冷凍食品の増収効果等で、全体で増益。
■親会社の所有者に帰属する当期利益:770億円 事業利益増により、増益。
|
・2023年3月期 :重点KPI(セグメント別予想)
・「ROICを重視する経営」に向けた取り組み
味の素グループでは、資本コスト(WACC)を上回るROICの維持・改善に向けて、経営と現場が一体となって継続的に取り組んでいます。経営は、「成長性」と「効率性」の2つの軸で経営資源の最適配分を行うことによって、継続的な投下資本効率の向上を目指し、現場は、ROICを頂点とするKPIツリー(ROICツリー)を用いた自律的なマネジメントに基づき、中長期視点でのROIC向上に努めています。
・事業ポートフォリオマネジメント
2021年度に経営会議の下部機構として設けた「重点事業グランドデザイン会議」では、成長性や効率性に課題のある事業における構造改善の可能性や施策について検討してきました。また、2030年の目指す姿からバックキャストしたときに、重点6事業がそれぞれいつまでに何を達成すべきか、環境負荷に起因するコスト(温室効果ガス排出に伴い課される炭素税等)の観点も加えつつ、検討を行ってきました。
2020-2021年度の2年間で、欧州の動物栄養事業や国内冷凍食品事業の一部の工場等、構造改革を着実に進めていますが、今後は2023年度以降に予定していた構造改革の2022年度への前倒し着手も含め、資本効率の改善に関する検討を積極的に進め、中期経営計画で掲げた構造目標の実現を目指します。
・ROICツリー展開を活用した価値向上
ROICツリーを当社グループ全体に展開することで、現場主体の自律的なマネジメントに基づき、中長期でのROIC改善を目指す基盤づくりに取り組んでいます。業績への影響が大きい重要なKPIが、経営者・現場の双方から可視化されているだけでなく、それらの変化に基づき、業績変調の兆しを早期に把握できる状態を目指しています。
2022年度の予算編成より、事業ごとに重要なKPIを特定し、ROICツリーへの組み込みを始めており、ここから同業他社分析や時系列分析、事業内における事業ポートフォリオの経営判断につなげていきます。そして、現場主体の自律的なマネジメントに基づくROICの改善活動が、当社グループ全体の企業価値向上へとつながっている状態を実現させます。
・ローリングフォーキャスト実施に向けた取り組み
ウクライナ情勢等により原燃料価格が高騰し、グローバルにインフレーションが進行する等、経営環境の不確実性が急速に高まる中、業績の動向を素早く把握し、打ち手につなげていくことが益々重要になっています。
このような状況下、業績の見通しをタイムリーに更新することで、業績動向の把握から打ち手の検討、その効果の確認に至る一連のプロセスのスピードアップにつなげる、ローリングフォーキャストの取り組みを、2021年度より一部の事業・グループ会社で開始しました。2022年度は、これを他の事業・グループ会社にも展開することにより、経営の「スピードアップ×スケールアップ」を支える基盤としての取り組みへと進化させていきます。
・ROICスプレッドの拡大に向けた取り組み
企業価値を高めるためには、ROICの向上に加え、WACCの低減を図り、両者のスプレッド(ROICスプレッド)を拡大することが重要となります。財務資本戦略においても、サステナビリティファイナンスを活用することでWACCの低減に取り組んでいます。2021年度は当社グループ初となるSDGs債を発行するとともに、ポジティブ・インパクトファイナンス*によるコミットメントライン契約を締結しました。
今後も、必要な資金調達を行う際にはサステナビリティファイナンスを積極的に活用し、ファイナンス分野においても持続可能な社会の実現に向けた取り組みをより一層加速するとともに、資本コストの低減を図ります。
*サステナビリティファイナンスの一つで、企業活動の社会的インパクトを評価し、「ポジティブ・インパクトの創出が認められる」と確認された場合、その企業の継続的な支援を目的として融資が行われるもの。
|
・バランスシートの目指す姿 |
|
|
「ROICを重視する経営」を進めるべく、高い投資効率を確保できる健全なバランスシートを維持していきます。2021年度においては、事業資産圧縮により約430億円、リソースアロケーションおよび政策保有株式の売却により約340億円、合計約770億円のアセットライト化施策を実施しました。換算為替影響により総資産が増加しましたが、2020-2022年度においては、約1,000億円のアセットライト化施策を進め、総資産の増加を抑えていきます。負債・資本サイドは、2021年度末のネットD/Eレシオは0.36倍となり、中期的にネットD/Eレシオ0.5倍以下にコントロールしていきます。 |
|
|
|
|
|
・キャッシュ・フロー計画 |
|
|
2021年度の営業キャッシュ・フローは1,455億円となりました。2020-2022年度の期間の合計で目標の4,000億円を上回る見込みであり、2022年度以降についてもキャッシュ・フロー創出力を高めていくことを経営の重点課題としていきます。2020-2022年度の株主還元は1,000億円超を計画しています。 |
|
|
|
|
|
・予測できない急激な環境変化への対応 |
|
|
原燃料価格や為替レートの急激な変化、また金利や資金調達環境等の金融環境変化に対応し、安定的に事業継続していくために財務資本戦略を強化しています。 ① 原燃料価格の影響や為替レートを適時反映させ業績予想をアップデートできる管理会計の体制・仕組みの構築 ② グローバルでの各地域内、地域間で資金を有効活用するためのキャッシュマネジメントの仕組みの整備 ③ 社債、コマーシャル・ペーパー、金融機関借入、売上債権流動化等調達手段の多様化と期日の分散、およびこれをバックアップする円貨、外貨のコミットメントラインの整備 ④ 適切な為替ヘッジ等を実施するためのグループポリシー、ガイドラインの整備 |
|
|
|
|
|
・株主還元方針 |
|
|
長期的には、企業価値の最大化を目指す中でキャッシュ・フローの成長投資と株主還元への配分を決定し、株主還元については安定的・継続的に拡充していくことを目指しています。2020-2022年度においては、収益拡大と資産圧縮を通じて創出するキャッシュ・フローを成長への投資に充当するとともに、1,000億円超の株主還元を行います。また、配当性向を従来の30%から40%を目途に引き上げ、総還元性向が50%以上となるよう計画しており、長期的かつ安定的・継続的に株主還元を拡充していく予定です。 1株当たり当期利益(EPS)の向上と、中長期的に株主資本コストを上回るROICの実現によって企業価値を向上させ、配当込みTOPIXを上回るトータル株主リターン(TSR)を目指します |
|
|
|
|
(2) 生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その形態、単位等は必ずしも一様ではなく、また製品のグループ内使用(製品を他のセグメントの原材料として使用)や、受注生産形態をとる製品が少ないため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産、受注及び販売の実績は、「(4) 当連結会計年度の経営成績の分析」における各セグメント業績に関連付けて示しております。
(3) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」に記載しております。この連結財務諸表の作成に当たって必要な見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」及び同「5.重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しております。
(4) 当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度の売上高は、調味料・食品セグメント及び冷凍食品セグメントにおいて、主に海外における家庭用製品の好調や前期新型コロナウイルス感染症の蔓延で影響を受けた外食用・業務用製品の販売が一部復調したことに加え、ヘルスケア等セグメントにおいて、主に電子材料及びバイオファーマサービスの販売好調により増収となった結果、前期を779億円上回る1兆1,493億円(前期比107.3%)となりました。
事業利益は、調味料・食品セグメント及び冷凍食品セグメントにおいて、原燃料価格等の上昇等の影響を受けたものの、ヘルスケア等セグメントの増収に伴う大幅増益により、前期を77億円上回る1,209億円(前期比106.9%)となりました。
営業利益はその他の営業費用で北米の調味料事業等における減損損失の計上があったものの、前期は欧州及び北米の動物栄養事業の構造改革に伴い当期を大幅に上回る減損損失等の計上があったことから、前期を234億円上回る1,245億円(前期比123.2%)となりました。
親会社の所有者に帰属する当期利益は、前期を163億円上回る757億円(前期比127.4%)となりました。
当連結会計年度のセグメント別の概況
セグメントごとの業績は、次のとおりです。
|
対前期実績 |
売上高(億円) |
事業利益(億円) |
||||||
|
第144期 |
前期増減 |
前期比 |
第144期 |
前期増減 |
前期比 |
|||
|
調味料・食品 |
6,642 |
437 |
107.0 |
% |
812 |
△55 |
93.6 |
% |
|
冷凍食品 |
2,217 |
234 |
111.8 |
% |
△6 |
△29 |
|
- |
|
ヘルスケア等 |
2,512 |
117 |
104.9 |
% |
433 |
170 |
165.1 |
% |
|
その他 |
121 |
△10 |
92.4 |
% |
△30 |
△7 |
|
- |
|
合計 |
11,493 |
779 |
107.3 |
% |
1,209 |
77 |
106.9 |
% |
(注)各セグメントの主要製品につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 7.セグメント情報 (1) 報告セグメントの概要」をご参照ください。
① 調味料・食品セグメント
調味料・食品セグメントの売上高は、主に、海外における家庭用製品の好調や前期新型コロナウイルス感染症の蔓延で影響を受けた外食用・業務用製品の販売が一部復調したことにより、前期を437億円上回る6,642億円(前期比107.0%)となりました。事業利益は、海外の増収効果や換算為替影響があったものの、原燃料価格等の上昇等により、前期を55億円下回る812億円(前期比93.6%)となりました。
|
|
<主要な変動要因> |
|
・調味料は、日本は減収も、海外が増収となり、全体で増収。 日本は、前期の内食需要拡大の反動等により、減収。 海外は、内食需要拡大に伴う家庭用製品の好調や外食向け製品の一部復調、為替影響、単価上昇等により、増収。 ・栄養・加工食品は、日本、海外ともに増収となり、全体で増収。 日本は、スープの販売増等により、増収。 海外は、即席麺の販売増や単価上昇等により増収。 ・ソリューション&イングリディエンツは、加工用うま味調味料の販売増等により、増収。 |
|
|
|
<主要な変動要因> |
|
・調味料は、日本は減益も、海外が増益となり、全体で前期並み。 日本は、原材料等のコスト増や減収影響等により、減益。 海外は、原材料等のコスト増影響あるも、増収効果や為替影響により、増益。 ・栄養・加工食品は、海外は増益も、日本が大幅減益となり、全体で減益。 日本は、スープ新工場立ち上げや原材料等のコスト増の影響等により、大幅減益。 海外は、原材料等のコスト増影響あるも、増収効果等により、増益。 ・ソリューション&イングリディエンツは、増収も、加工用うま味調味料が原燃料価格上昇の影響を受け、全体で減益。 |
② 冷凍食品セグメント
冷凍食品セグメントの売上高は、主に、海外における販売が増加したことや換算為替影響等により、前期を234億円上回る2,217億円(前期比111.8%)となりました。事業利益は、北米における原材料等のコストの上昇等により、前期を29億円下回る6億円の損失となりました。
|
|
<主要な変動要因> |
|
・日本は減収も、海外が大幅増収となり、全体で増収。 日本は、高付加価値製品の販売増も、構造改革に伴う終売影響等により、減収。 海外は、北米や欧州における堅調な需要継続や、北米の単価上昇と為替影響等により、大幅増収。 |
|
|
|
<主要な変動要因> |
|
・日本は前期並みも、海外が大幅減益となり、全体で大幅減益。 日本は、減収も、構造改革効果等により、前期並み。 海外は、北米において、単価上昇効果あるも、原材料等のコスト増影響等により、大幅減益。 |
③ ヘルスケア等セグメント
ヘルスケア等セグメントの売上高は、動物栄養は構造改革の影響により減収となったものの、バイオファーマサービス&イングリディエンツ及びファンクショナルマテリアルズの増収により、前期を117億円上回る2,512億円(前期比104.9%)となりました。事業利益は、増収効果により、前期を170億円上回る433億円(前期比165.1%)となりました。
なお、当連結会計年度より一部の製品区分の名称及び製品分類を変更しております。詳細については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 7.セグメント情報」をご参照ください。また、当連結会計年度より「医薬用・食品用アミノ酸」と「バイオファーマサービス」をまとめて「バイオファーマサービス&イングリディエンツ」と表示しております。
|
|
<主要な変動要因> |
|
・バイオファーマサービス&イングリディエンツは、バイオファーマサービス、医薬用・食品用アミノ酸の販売増により、増収。 ・ファンクショナルマテリアルズは、主に電子材料の販売好調により、大幅増収。 ・その他は、動物栄養の構造改革影響等により、大幅減収。
|
|
|
|
<主要な変動要因> |
|
・バイオファーマサービス&イングリディエンツは、増収に伴い大幅増益。 ・ファンクショナルマテリアルズは、大幅増収に伴い大幅増益。 ・その他は、動物栄養の構造改革による費用減等により、大幅増益。 |
④ その他
その他の事業の売上高は、前期を10億円下回る121億円(前期比92.4%)となり、事業利益は、構造改革に伴う損失の計上により、前期を7億円下回る30億円の損失となりました。
当連結会計年度の連結損益計算書の段階ごとの概況
① 売上高
売上高は前期を779億円上回る1兆1,493億円(前期比107.3%)となりました。地域別に見ますと、日本では、前期を149億円上回る4,858億円(前期比103.2%)となりました。海外では、前期を629億円上回る6,635億円(前期比110.5%)となりました。海外の地域別では、アジア、米州及び欧州でそれぞれ2,852億円(前期比108.2%)、2,625億円(前期比119.8%)及び1,156億円(前期比98.3%)となりました。なお、売上高海外比率は57.7%(前期は56.1%)となりました。
② 売上原価、販売費、研究開発費及び一般管理費、持分法による損益
売上原価は、売上高の増加に伴い、前期から582億円増加し、7,234億円(前期比108.8%)となりました。売上原価の売上高に対する比率は、0.9ポイント悪化し、62.9%となりました。販売費は、主として為替影響や海上輸送費の高騰による物流費の増加等により、前期から82億円増加し、1,688億円(前期比105.1%)となりました。研究開発費は、前期から10億円減少し、248億円(前期比95.9%)となりました。一般管理費は、為替影響や減価償却費の増加等により、前期から44億円増加し、1,122億円(前期比104.1%)となりました。持分法による損益は、9億円の利益(前期は13億円の利益)となりました。
③ 事業利益
事業利益は、前期を77億円上回る1,209億円(前期比106.9%)となりました。地域別に見ますと、日本では545億円(前期比112.5%)、海外では663億円(前期比102.7%)となりました。海外の地域別では、アジア、米州及び欧州でそれぞれ474億円(前期比104.7%)、116億円(前期比83.8%)及び72億円(前期比134.6%)となりました。なお、事業利益海外比率は54.9%(前期は57.1%)となりました。
セグメント別の事業利益の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 7.セグメント情報」をご参照ください。
④ その他の営業収益(費用)
その他の営業収益は、前期から23億円増加し、267億円(前期比109.6%)となりました。その他の営業費用は、北米の調味料事業等における減損損失の計上があったものの、前期は欧州及び北米の動物栄養事業の構造改革に伴い当期を大幅に上回る減損損失等の計上があったこと等により、前期から133億円減少し、231億円(前期比63.5%)となりました。
⑤ 営業利益
営業利益は、前期を234億円上回る1,245億円(前期比123.2%)となりました。
⑥ 金融収益(費用)
金融収益は、前期から29億円増加し、68億円(前期比176.1.%)となりました。金融費用は、前期から22億円増加し、89億円(前期比133.8%)となりました。
⑦ 親会社の所有者に帰属する当期利益
親会社の所有者に帰属する当期利益は前期を163億円上回る757億円(前期比127.4%)となり、1株当たり当期利益は139円42銭(前期は108円36銭)となりました。
(5) 当連結会計年度の連結財政状態の分析
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の1兆4,312億円に対して257億円増加し、1兆4,570億円となりました。これは主として、自己株式の取得及び借入金の返済に伴う現金及び現金同等物等の減少や、動物栄養事業の構造改革に伴う欧州の動物栄養事業の売却等、資産の効率化を進めたものの、有形固定資産等が為替影響により増加したことによるものです。
負債合計は、前連結会計年度末の7,634億円に対して461億円減少し、7,173億円となりました。これは主として、有利子負債の減少や欧州の動物栄養事業の売却によるものです。なお、有利子負債残高は、コマーシャル・ペーパーの償還や借入金の返済等により、前連結会計年度末に対して428億円減少し、3,639億円となりました。
資本合計は、主に円安の進行に伴う在外営業活動体の換算差額の増加により、前連結会計年度末に対して718億円増加しました。資本合計から非支配持分を引いた親会社の所有者に帰属する持分は、6,869億円となり、親会社所有者帰属持分比率は47.1%となりました。
セグメントごとの概況は、次のとおりです。
① 調味料・食品セグメント
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の5,629億円に対して431億円増加し、6,060億円となりました。これは主として為替影響による有形固定資産等の増加によるものです。
② 冷凍食品セグメント
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の1,825億円に対して190億円増加し、2,015億円となりました。
③ ヘルスケア等セグメント
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の2,906億円に対して205億円増加し、3,111億円となりました。
(6) キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度の連結キャッシュ・フローの状況
|
|
|
|
(億円) |
|
|
2021年3月期 |
2022年3月期 |
差額 |
|
営業活動によるキャッシュ・フロー |
1,656 |
1,455 |
△200 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△662 |
△615 |
46 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△603 |
△1,230 |
△626 |
|
現金及び現金同等物に係る換算差額 |
38 |
88 |
49 |
|
現金及び現金同等物の増減額 |
429 |
△301 |
△730 |
|
売却目的保有に分類される処分グループに係る 資産に含まれる現金及び現金同等物 |
△29 |
- |
29 |
|
現金及び現金同等物の期末残高 |
1,816 |
1,514 |
△301 |
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,455億円の収入(前期は1,656億円の収入)となりました。税引前当期利益が1,224億円であり、減価償却費及び償却費662億円と、法人所得税の支払額316億円があったこと等によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、615億円の支出(前期は662億円の支出)となりました。有形固定資産の取得による支出738億円と、無形資産の取得による支出68億円があったこと等によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、1,230億円の支出(前期は603億円の支出)となりました。自己株式の取得による支出400億円、配当金の支払額272億円、コマーシャル・ペーパーの減少300億円があったこと等によるものです。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、1,514億円となりました。
(7) 当連結会計年度の資金の流動性及び資金の調達、使途
① 資金の流動性について
当連結会計年度は短期流動性に関し、手元流動性確保のために、コミットメントライン、当座貸越枠、コマーシャル・ペーパー発行枠等の調達手段を備えております。
新型コロナウイルス感染症に関するリスクの認識にもとづく資金面での取り組みとして、十分な手元流動性比率の維持と既に設定している主要取引銀行との間のコミットメントラインにより資金の安全性を確保し、加えて、資金流動性リスク等が発生する可能性のある海外連結子会社に対して、当社が緊急貸付枠を設定し、一時的な資金繰りの支援体制を整備しております。
② 資金の調達
当連結会計年度の資金調達は、調達コストとリスク分散の観点による直接金融と間接金融のバランス及び長期と短期の資金調達のバランスを勘案し、金融機関からの借入等による資金調達活動を行いました。また、サステナビリティファイナンス・フレームワークを策定し、これに基づき2021年10月にSDGs債を発行しております。
③ 資金の使途
当連結会計年度の資金の使途は、主として事業資金です。
(8) 経営上の目標の達成状況について
経営上の目標の達成状況につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
技術援助を受ける契約等
|
契約会社名 |
契約締結先 |
国名 |
契約内容 |
対価 |
契約期間 |
|
味の素㈱ 味の素食品㈱ |
コノプコ社 |
アメリカ |
日本国内におけるスープ、ブイヨンその他の食品に係る独占的商標使用権の許諾 |
左記製品販売高の一定率 |
対象商標が日本で有効に登録されている限り |
完全子会社の吸収合併契約
当社は、2021年4月26日開催の取締役会において、2021年7月1日を合併効力発生日として、当社の完全子会社である味の素アニマル・ニュートリション・グループ株式会社を吸収合併(以下「本吸収合併」)することを決議いたしました。
(1)本吸収合併の目的
2011年に設立された味の素アニマル・ニュートリション・グループ株式会社は、その設立趣旨であるグローバル事業一体運営による体制強化をアセットライト及び事業スペシャルティ化への事業構造改革をもって完了いたしました。従いまして、今後、法人格を存続する必然性はなくなり、当社への吸収合併を実施することといたしました。
(2)本吸収合併の方法
当社を吸収合併存続会社とし、味の素アニマル・ニュートリション・グループ株式会社は解散いたしました。
(3)本吸収合併の日程
|
合併契約締結日 |
2021年4月26日 |
|
効力発生日 |
2021年7月1日 |
なお、本吸収合併は、当社においては会社法第796条第2項に基づく簡易吸収合併であり、味の素アニマル・ニュートリション・グループ株式会社においては会社法第784条第1項に定める略式合併であるため、いずれも合併契約に関する株主総会の承認を得ずに実施いたしました。
(4)当社が承継する権利義務
当社は、本吸収合併契約の内容に従って本吸収合併対象事業に関する資産、負債、契約その他の権利義務を承継いたしました。
(5)本吸収合併対象事業の概要
①本吸収合併対象事業の経営成績
(2021年3月期(単体・日本基準))
|
営業収益 |
2,352百万円 |
|
営業利益 |
153百万円 |
|
経常利益 |
165百万円 |
|
当期純損失 |
△11,166百万円 |
|
1株当たり当期純損失 |
△2,728,950.79円 |
②本吸収合併対象事業に関する資産・負債の金額
(2021年3月31日現在)
|
資産 |
帳簿価額 |
負債 |
帳簿価額 |
|
流動資産 |
3,039百万円 |
流動負債 |
583百万円 |
|
固定資産 |
4,914百万円 |
固定負債 |
4百万円 |
|
合計 |
7,953百万円 |
合計 |
588百万円 |
(6)本吸収合併に係る割当ての内容
本吸収合併は、完全親子会社間において行われるため、本吸収合併による新株の発行及び合併交付金の支払いはありません。
(7)本吸収合併存続会社の状況
(2021年3月31日現在)
|
名称 |
味の素株式会社 |
|
所在地 |
東京都中央区京橋一丁目15番1号 |
|
代表者の役職・氏名 |
取締役社長 西井 孝明 |
|
資本金の額 |
79,863百万円 |
|
事業の内容 |
調味料・加工食品、冷凍食品、コーヒー類、加工用うま味調味料・甘味料、動物栄養、化成品、アミノ酸、その他の事業活動 |
|
発行済株式数 |
549,163,354株 |
(8)本吸収合併消滅会社の状況
|
名称 |
味の素アニマル・ニュートリション・グループ株式会社 |
|
所在地 |
東京都中央区八丁堀三丁目4番8号 |
|
代表者の役職・氏名 |
代表取締役社長 柏倉 正巳 |
|
資本金の額 |
1,334百万円 |
|
事業の内容 |
動物栄養事業 |
|
発行済株式数 |
4,092株 |
味の素グループは食と健康の課題解決企業となることを目指します。研究開発に関しては、”Agile R&D”への変革に向け、2019年からバイオ・ファイン研究所、食品研究所、情報企画部(現DX推進部)などへ役割・機能毎に再編して推進しています。また2021年4月に連結子会社である味の素冷凍食品㈱、味の素AGF㈱と連携した、グループ3社の食品に関わる国内R&D拠点を集約しました。事業に紐づくR&D体制のもと、基礎研究から製品開発、工業化までを一気通貫とし、当社グループの技術融合を加速させ、製品のさらなる高付加価値化と事業の構造強化に貢献し、持続的な成長を目指しています。特に2030年や2050年の未来に向けた地球環境のためのグリーンイノベーションにおいては、将来の天然資源の減少に対する研究開発を精力的に進めています。また、人の生活のためのフード&ウェルネスイノベーション、ヘルスケアイノベーション、社会システム改善のためのICTイノベーション、テクノロジーの基盤構築なども次世代のコアとして各事業の発展に取り組んでいます。
当連結会計年度における味の素グループの研究開発費は
また、当社グループが保有している特許は国内外合わせて約4,000件です。
当連結会計年度の各事業区分における研究開発活動の概要とその成果は次のとおりです。
(1) 調味料・食品セグメント
味の素㈱食品研究所が中心となり、味の素AGF㈱、味の素冷凍食品㈱、上海味の素食品研究開発センター社(中国)をはじめとする国内外のグループ会社の研究開発部門とも密接に連携し、味、香り・風味、食感など、「おいしさを構成するすべての要素」を俯瞰した技術開発、製品開発、及びそのアプリケーション開発を行っています。また、日本国内の少子化・高齢化、世帯人数の減少、健康志向といった課題に対し、「おいしさ」、「食へのアクセス(あらゆる人に栄養を届ける)」、「地域や個人の食生活」の3つを妥協しない基本姿勢とし、課題解決先進国の日本で磨いたモデルをグローバルに展開しています。グローバルな製品開発体制のもと、マーケティング力、ブランド力を強みに、各国生活者の嗜好とニーズに適応した調味料、加工食品の開発に継続して取り組んでいます。
調味料、栄養・加工食品
<調味料(日本)>
2021年度の調味料事業商品は、家庭の味を支える風味調味料、スマートな調理をサポートするメニュー用調味料等、生活者の嗜好に合うおいしさや健康課題に応える新製品を開発・発売しました。
洋風合わせ調味料においては、お店で食べるようなメニューを、肉や野菜と炒めるだけで簡単につくれるソース「Bistro Do®」<鶏のポルチーニクリーム煮込み用>、<豚のバルサミコソース炒め煮用>を開発・発売しました。また、お肉をやわらかく仕上げる技術の入ったソースと圧力スチーム調理パウチで、簡単かつ短時間で肉メニューが楽しめる「スチーミー®」に<スペアリブ用>を、「鍋キューブ® おでん本舗®」では少量の食材と組み合わせるだけで、本格的な美味しいおでんが1人前から簡単に楽しめる<あごだし醤油>を、「Cook Do® きょうの大皿®」では<うま塩海老ブロッコリー用>を開発し、ラインアップを拡充・発売しました。
<調味料(海外)>
事業展開している各国・地域の健康志向やライフスタイルの変化に対応した高付加価値製品のラインアップ拡充、統計解析技術を活用した生活者意識・行動解析による商品開発の高度化を推進しています。都市化やライフスタイルの変化が進む中、簡便で加工度の高い製品や健康価値を有する製品への需要も増加しています。味の素グループの減塩技術、新規独自素材の導入により、メニュー用調味料製品(ペルー「Aji-no-mix®」)では、塩分値を従来製品より下げながらおいしさを向上させる製品を開発しました。
今後も当社グループの独自素材の活用や独自技術に裏打ちされたおいしさの追求とともに健康価値領域での製品開発を継続強化し、現地の生活者の嗜好に合うおいしさや栄養改善に貢献していきます。
<栄養・加工食品(日本)>
2021年度の栄養・加工食品事業商品は、個食・即食・簡便ニーズに加え、ライフスタイルの変化に対応した新製品を開発・発売しました。スープ市場においては、牛乳を入れて混ぜるだけで簡単に作れる「クノール® カップスープ」<牛乳でつくるコーンポタージュ>、<牛乳でつくるじゃがいものポタージュ>、<牛乳でつくるえだ豆のポタージュ>、<牛乳でつくる栗かぼちゃのポタージュ>、野菜の栄養とおいしさが溶け込んだ濃厚スープにチーズを練りこんだサクサク食感の自家製パンが入った容器入りスープ「クノール® スープDELI®」<北海道とうもろこしの濃厚ポタージュ パン入り>、<完熟栗かぼちゃの濃厚ポタージュ パン入り>、<ほうれん草とえだ豆の濃厚ポタージュ パン入り>を発売しました。さらに、袋のまま電子レンジで温めるだけで、豆や野菜の栄養が摂れて身体に優しく、食べ応えのあるスープが楽しめるストレートタイプスープ「クノール®」ポタージュで食べる豆と野菜<北海道コーン 豆乳仕立て>を、また、「クノール® スープグランデ®」では、<海老のビスク>を開発し、ラインアップ拡充を行いました。更に、たっぷりのフリーズドライ具材とサッと溶ける風味豊かな“だし味噌”が入った即席味噌汁「具たっぷり味噌汁」<ごぼうとお麩>を開発し、自社通販及びECチャネルを中心に販売しました。
<栄養・加工食品(海外)>
加工食品では、事業を展開する各ローカル市場の慣習や食の嗜好、資源、原料、ステークホルダーを尊重し、アミノ酸のはたらきを活かして、おいしく減塩したり、たんぱく質等の栄養素を摂取したりできる製品を提供し、子供から大人まで、食とライフスタイルに起因する健康課題の解決に向けた取り組みを進めています。
ブラジルでは「VONO®」Low sodium、トルコでは「Bizim Mutfak®」Salt reduced (25%) Classic Soup、ペルーでは「Aji-no-men®」Tallarin焼きそばタイプ減塩改訂といった減塩製品を発売しました。また、タイでは「Birdy®」Latte 微糖レシピへの改訂やBarista Espresso、Robustaのレシピ変更による”Healthier Choice Logo”付与、「Yum Yum®」Sood Ded Seafood Pad-char”Healthier Choice Logo”付与を発売しました。
今後も当社グループの独自素材の活用や独自技術に裏打ちされたおいしさの追求とともに健康価値領域での製品開発を継続強化し、現地の生活者の嗜好に合うおいしさや栄養改善に貢献していきます。
<コーヒー類>
コーヒーのありとあらゆる可能性を“挽き出す”コンセプトのもと、生活者に寄り添った製品開発を進めました。インスタントコーヒーでは、コーヒー豆由来の成分により、おいしさはそのままに、日々の健康を支える機能性表示食品として「ブレンディ® 毎日の腸活コーヒー」を発売しました。「ブレンディ®」スティックでは、栄養機能食品として健康価値を付加した<牛乳で飲むPlus>シリーズの導入とともに、「ブレンディ® カフェラトリー®」シリーズの泡立ちを強化し、“泡がうれしいご褒美カフェメニュー”としての価値向上に向けた製品改訂をおこないました。レギュラーコーヒーでは、豆の香りを引き出す焙煎技術を活かし、エリアごとの嗜好や特性に寄り添った開発を進め、北海道及び関西エリア向け商品を新たにラインアップしました。
「ブレンディ®」ザリットルや「ブレンディ®」<ナチューム>に使われているスティック包材については、昨年より一部紙素材を活用してきましたが、更に紙の割合を高めることに成功し、これによって容器包装リサイクルマークをプラマークから紙マークへ変更でき、さらにプラスチック量を40%減、年間2tの削減を達成しました。
<ソリューション&イングリディエンツ>
業務用については、「食と健康の課題解決企業」を目指して、減塩の取組みを加速させるべく、「お塩控えめの ほんだし®」、「丸鶏がらスープ」塩分ひかえめ、「味の素KKコンソメ」塩分ひかえめの3品をそれぞれ500gジッパー付き袋にて新発売いたしました。
また、外食や給食での献立メニュー拡大に貢献するべく、メニュー用調味料「Cook Do®」麻婆豆腐用500mLを1品追加いたしました。
工場系ユーザー向けでは、需要家が抱える畜肉や大豆たんぱくの異風味への対応として、「風味クリアアップ調味料(肉・豆用)」を新発売いたしました。
さらに、プラスチック廃棄削減取組の一環として、リサイクル率向上を目的に、業務用ドレッシングに分別可能キャップを導入したことに加え、「ほんだし®」類の包材のプラスチック使用量削減等を行いました。
2020年より海外拠点間に跨がる開発体制を構築し、環境負荷低減の取組みやプロセス改良による生産性の向上、更にはグローバルサプライチェーン適正化を継続しています。今後もグローバルな連携を加速し、味の素グループ一丸となって、うま味事業を通じた社会価値と経済価値の共創に貢献していきます。
<ベーカリー類>
ベーカリーでは、生活者の健康志向に合わせた商品開発として、「味の素㈱独自開発酵素」と「難消化性デンプン」を配合した、適度な低糖質でありパンらしい食感を維持した冷凍生地を開発し、コンビニエンス市場に導入、また、ファストフード市場においては、棒状クッキー生地にフィリングを包餡したこれまでの市場には無かった商品を開発し好評を得ました。
更には、野菜ペーストを直接生地に練りこんだクロワッサン冷凍生地を開発し、ドラッグストア業態への販路拡大を果たしました。今後も独自技術の開発を通じて、新たな価値の創造と新規顧客獲得・拡大に向けて積極的に取り組んでいきます。
<甘味料>
新型コロナに由来する健康意識の高まりと、砂糖の過剰摂取による健康課題が引き続き多くの国で注目される中、高甘味度甘味料市場はグローバルで伸張を継続しています。
当社は、加工用事業において、20年度にアメリカで上市したステビア甘味料の顧客提案を継続すると共に、当社のおいしさ設計技術を組み合わせた付加価値型製品の早期発売に向けた準備も進めています。
日本国内のコンシューマー事業においては、伸張する液体品種の新製品として「パルスイート® 液体タイプ」を21年秋に発売。また22年春には「パルスイート® スリムアップシュガー®」スティック20本入りの外袋をプラスチックから紙に変更。今後も健康と環境への更なる貢献を推進します。
調味料・食品セグメントに係わる研究開発費は、
(2) 冷凍食品セグメント
味の素冷凍食品㈱研究・開発センターと海外グループ会社の開発部門を中心に、各国の嗜好とニーズに適応した商品開発に取り組んでいます。更に味の素㈱食品研究所との連携により、減塩等の健康価値の向上に取り組んでいます。
<冷凍食品(日本)>
リテール製品では、外食店品質を実現した、「ザ★®」シリーズ第四弾の「ザ★® ハンバーグ」、鹿児島産黒豚を使用し、もっちり厚皮でプレミアムな「黒豚大餃子」、ビールと相性抜群な「黒胡椒にんにく餃子」等を開発・発売しました。健康価値の分野では減塩タイプの「エビピラフ」を拡充し、また3大アレルゲン「小麦・卵・乳」不使用の「米粉でつくったギョーザ」は、焼き目がより綺麗につくように開発・リニューアルしました。また、「地鶏釜めし」は日本の冷凍食品業界では初となる、一部紙を使用した袋パッケージを開発・リニューアルしました。
フードサービス製品では、専用調理器具を使用して電子レンジ調理をするだけで、パリっとした焼き目に仕上がる「レンジで焼き目パリっと餃子」、電子レンジ調理でロスなく提供可能で、お店だけなくテイクアウトやデリバリーでも使用できる「レンジでロスなし濃厚ショコラテリーヌ」等を開発・発売しました。
<冷凍食品(海外)>
北米や欧州では、日本食人気の高まりやコロナ禍における新しい生活様式により、特にリテール製品におけるアジアン冷凍食品市場が成長しています。
北米では需要の旺盛な餃子、米飯、高付加価値メキシカンの増産を行い、供給体制を整えた上で二桁成長を実現しました。また、付加価値の高い電子レンジ対応餃子を開発・発売し、麺カテゴリーでも減塩に取組みました。欧州では、テイクアウト向けの焼き済み餃子が浸透し、店内飲食需要も回復しました。また、リテール向けのアジアンラインアップを拡大しました。さらにアジアでは、タイで羽根つき餃子を開発・発売しました。
今後も日本で培われた生産技術で簡便な調理、かつ美味しさを提供していくと共に、健康機能を付与した製品を市場投入する等、製品の付加価値を常に向上させながら、更なる事業拡大に貢献していきます。
冷凍食品セグメントに係わる研究開発費は、
(3) ヘルスケア等セグメント
味の素㈱バイオ・ファイン研究所、食品研究所、味の素バイオファーマサービス、味の素-ジェネチカ・リサーチ・インスティチュート社、味の素ファインテクノ㈱等の国内外の各グループ会社及びその技術開発部門とも連携し、世界中の人々の健康や生活に貢献するための商品及びソリューションを提供しております。
バイオの分野では、先端バイオ・ファイン技術を活かしたアミノ酸・培地・香粧品素材等の生産力、レギュレーション対応力、サービス提供力を強みに、世界中の医薬企業等への多様で特徴ある素材・原薬・技術の提供に取り組んでいます。また、アミノ酸の研究により7種必須アミノ酸「Amino LP7」が認知機能の一部をサポートすることや、6種アミノ酸ミックスが関節の違和感や腱の状態を改善することなどの知見を得て、新規用途探索力をアミノ酸サプリメントの開発等に応用することで、生活者のQOL向上、快適な生活のサポートに貢献しています。
さらに、世界トップレベルのアミノ酸に関する知見、安全性の高い素材開発力や配合評価技術、グローバルネットワークを強みとし、電子材料、動物栄養などの幅広い事業領域における研究開発に取り組んでいます。当社ならではのスペシャリティによる顧客価値を創出し、事業拡大を図っています。
<医薬用・食品用アミノ酸>
医薬用・食品用アミノ酸市場の伸びに対応するために、生産性の向上とコスト競争力の強化を目的とした発酵・精製プロセス開発と導入を継続して進めています。また、動物細胞培養用の培地事業は味の素ジェネクシン社をプラットフォームとし、国内外のバイオ医薬品メーカーとの開発を継続、拡大しています。
再生医療用培地では、iPS/ES細胞の汎用培地として「StemFit® Basic04」を、米国・欧州・中国・韓国他、海外向け製品として2019年5月より発売し、順調に拡大しています。また2019年11月には、間葉系幹細胞用培地「StemFit® For Mesenchymal Stem Cell」、分化誘導用サプリメント「StemFit® For Differentiation」の販売を開始しました。今後、再生医療に求められる、高性能かつ動物・ヒト由来原料不含の安全性の高い培地の製造・開発を推進していきます。
<バイオファーマサービス>
製薬メーカーからの原薬受託製造について、低分子医薬品原薬、高活性原薬(HAPI)、ペプチド/オリゴ核酸、タンパク医薬、抗体薬物複合体(Antibody Drug Conjugate:ADC)などの幅広い開発・供給体制の充実を図り、継続的な案件の受注に繋げています。
低分子医薬品原薬製造においては、バイオ技術との融合による効率的かつ環境配慮型のプロセスの研究を進めています。タンパク質発現技術(「CORYNEX」技術)においては、味の素アルテア社と連携して、グローバル大手製薬企業とバイオ医薬品の開発・製造支援事業「CORYNEX®」を推進しています。オリゴ核酸の受託製造においては、㈱ジーンデザインと連携して固相合成を活用した少量多品種製造から「AJIPHASE®」の液相合成技術による大量製造までの開発体制を構築し、味の素アルテア社、味の素オムニケム社との連携も深めながら、味の素バイオファーマサービス事業全体としてオリゴ核酸製造受託事業を推進しています。次世代ADC創出・製造技術(「AJICAP」技術)においては、味の素アルテア社と連携して、製薬企業と新規ADCの創出・開発・製造を支援する事業「AJICAP®」を推進しています。
<ファンクショナルマテリアルズ>
電子材料につきましては、味の素ファインテクノ㈱と共同で、次世代PC、データセンター向けサーバー、5G通信ネットワーク用途向けに「味の素ビルドアップフィルム®(ABF)」の開発を推進しています。また、国内外の主要ICT関連企業が設立したIOWN (Innovative Optical and Wireless Network) Global Forumに参画し、未来の高速大容量通信社会の実現を目指し研究開発に取り組んでいます。
<その他>
-機能性栄養食品-
スポーツ栄養科学研究に基づき、アミノ酸の独自配合によるスポーツサプリメントの開発に取り組んでいます。こうした活動を通じて、トップアスリートの栄養課題を解決するために開発した「アミノバイタル®」<東京2020日本代表選手団SPECIAL>2品種(非売品)をはじめとして、「アミノバイタル® GOLD」、「アミノバイタル® PRO」等のアミノ酸ベース顆粒製品を東京2020オリンピック・パラリンピック日本代表選手団に提供し、多くの選手のコンディショニングを支援しました。また、提供品の一つである「アミノバイタル® 東京2020日本代表選手団SPECIAL CONNECT(コネクト)」(非売品)については、「アミノバイタル® CONNECT(コネクト)」として、2021年10月8日より限定販売を開始しました。
さらに、スポーツに取り組む多くの人々に向けて、「アミノバイタル®」に配合するアミノ酸の有用性に関する科学情報を届けるために、『アミノ酸スポーツ栄養科学ラボ』を2020年10月に開設し、本オウンドメディアを通じて、分かり易い科学情報の継続的な提供を実践してきています。今後も社外の研究機関等とのオープン&リンクイノベーションを積極的に推進しながら、アスリートやスポーツを愛する顧客のQOL向上に向けて取り組んでいきます。
スポーツ実施層の悩み解決によるユーザー拡大に向け、2022年3月に①高度運動実施層の運動時の水分補給に「アミノバイタル® BCAAチャージ」ウォーター、②コロナ禍で急増する軽運動層の需要開拓に向け「アミノバイタル®」レギュラーゼリー全面改訂、③女性向けのプロテイン製品「アミノバイタル® アミノプロテイン」<for Woman> の発売を行いました。
持続可能なサプライチェーン実現に向けて、トラックドライバーの人材不足にも対応するため、ゼリー全製品の外箱サイズを変更いたしました。この取り組みにより、パレットあたりの積載率が向上しただけでなく、従来のパレット1段から2段積みに変更することでトラック輸送効率が大幅に向上し、従来比で物流負荷が約40%削減できる見込みです。
-健康基盤食品-
2021年度は機能性表示食品「脳活セブンアミノ®」を5月に新発売しました。本製品に含まれる7種必須アミノ酸の働きにより、加齢とともに低下する認知機能の一部である注意力と認知的柔軟性を維持し、前向きな気持ちをサポートします。認知機能サポートサプリメントの国内市場規模は約170億円あり、今後の高齢化の進展によりさらに拡大していくことが見込まれております。
また、主力製品の「グリナ®」は長らく自社通信販売で販売しておりましたが、よりお客様に手軽にお買い求めいただけるよう3本入の店頭用品種をドラッグストア・コンビニエンスストア向けに発売しました。今後、全国に向けて販売エリアを拡大いたします。
今後も当社独自の健康・美容価値を有する製品や情報の提供を通じて、顧客のQOL向上に向けて取り組んでいきます。
-アミノインデックス®-
「アミノインデックス® リスクスクリーニング(AIRS®)」は、血液中のアミノ酸濃度のバランスから、三大疾病(がん、脳卒中、心疾患)や認知機能低下等のリスクを一度に評価する当社独自の技術です。2021年4月に、生活改善サポートアプリ「aminoステップ®」を上市し、AIRS®結果の登録や、ウォークラリーや簡単食事ログなど、日々の健康管理に役立つ機能やソリューションを提供しています。また、弘前大学COIに参画し、「岩木健康増進プロジェクト」のデータを活用して、血液中のアミノ酸濃度と栄養状態との関連について解析を進めています。今後もアカデミアと協働でAIRS®のエビデンスを強化するとともに、社内外のサービスや商品と連携し、新たなソリューション提案の実現を目指します。
-パーソナルケア素材-
アミノ酸由来の洗浄剤、湿潤剤、メークアップ素材を中心に研究開発を行っています。2021年度は、味の素グループのバイオ・ファイン技術を活用し、メークアップ化粧品用に開発したアミノ酸系湿潤剤の新製品を上市しました。また、環境への負荷が低いマイクロプラスチックビーズ代替原料の工業化に成功し、2022年度上期に上市します。顧客ニーズに応えた、サステナビリティに貢献するアミノ酸系香粧品素材の開発を引き続き進めていきます。
-飼料用アミノ酸-
乳牛用アミノ酸製剤「AjiPro®-L」などスペシャリティ事業にフォーカスした研究開発を推進しています。
ヘルスケア等セグメントに係わる研究開発費は、
(4) その他
その他セグメントに係わる研究開発費は、
(5) 全社
当社が想定する2030~50年の未来図からバックキャストし、グループの将来を担うと期待される領域での事業展開を見据え、関係する研究テーマを全社研究とし、資源を集中的に投資し、開発を進めています。
全社研究では、味の素㈱食品研究所、バイオ・ファイン研究所が中心となり、国内外の研究機関と連携して進めている先端研究・技術を活用し、グループ内の各研究所とともに様々な事業に向けた新技術・独自素材の開発や、各事業分野に共通した基盤技術の強化に取り組んでいます。
<食品研究開発拠点>
食品・栄養領域では、味の素グループ、日本食品のR&D拠点集約の考えのもと、4月に味の素㈱、味の素冷凍食品㈱、味の素AGF㈱の3社の研究拠点を川崎に集約しました。これによりグループの技術融合を加速させ、製品のさらなる高付加価値化と食品事業の構造強化を図ります。
<栄養関連>
栄養関連においては、当社の取り組みについて東京栄養サミットへの参加を通じての発信や政府関連の賞の受賞等がありました。
日本政府が主催した東京栄養サミット2021を契機に、栄養改善の具体的な目標である「栄養コミットメント」を発表し、2021年10月26日にコミットメント登録サイト(Global Nutrition Report)に登録しました。当社は「食と健康の課題解決企業」を目指し、2020-2025中期経営計画において2030年のアウトカムとして掲げている「10億人の健康寿命延伸」に向けての道筋として、この「栄養コミットメント」を策定しました。具体的目標を、サミットを通じて国内外に発表することで、社会に向けてその実現を固くお約束しております。また、東京栄養サミット2021の公式サイドイベントとして、2021年11月30日にオンラインフォーラム「学校給食と子ども達の未来~官民連携で実現する、サステナブルで健康的な食習慣づくり」をRoyal DSM社と共同開催しました。
厚生労働省(スマート・ライフ・プロジェクト)・スポーツ庁主催の第10回「健康寿命をのばそう!アワード」《生活習慣病予防分野》においては厚生労働大臣最優秀賞を受賞しました。スマート・ライフ・プロジェクトとは、厚生労働省が行っている、国民の健康づくりをサポートするプロジェクトです。「健康寿命をのばそう!アワード」は、スマート・ライフ・プロジェクトに参加している団体の中から、生活習慣病予防分野、介護予防・高齢者生活支援分野、母子保健分野において、特に優秀な取り組み事例を表彰するイベントで、当社の取り組みである、「ラブベジ®」プロジェクトが第10回「健康寿命をのばそう!アワード」《生活習慣病予防分野》においての表彰でした。
栄養価値を科学的に評価する手法として、世界初となる日本の食文化・健康課題をふまえたメニュー用栄養プロファイリングシステムANPS-M(The Ajinomoto Group Nutrient Profiling System for Menu)を開発し、第80回日本公衆衛生学会総会において、詳細を発表しました。栄養改善のための関心が世界的に高まる中、グローバル食品企業では、製品に含まれる栄養成分の量を科学的な根拠に基づいて評価し、その食品の栄養面での品質をわかりやすく表現する手法としてNutrient Profiling System(栄養プロファイリングシステム、以下NPS)の開発・導入が進んでおり、味の素グループにおいても、2020年にANPS-P(The Ajinomoto Group Nutrient Profiling System for Product)の運用を開始しています。これによって当社グループ製品の栄養価値を共通の基準で評価し、栄養面の課題を把握することが可能になり、製品の改訂や栄養価値の高い製品開発に活用することができます(2021年11月末時点での評価対象は7カ国9法人の製品約500品種)。
<アミノ酸関連>
アミノ酸の利用についても新製品につながる研究開発を推進し、様々な場面に社外発表等を行いました。
最新のスポーツ栄養科学研究を通じて、当社独自の配合によるアミノ酸素材である「関節・腱コンディショニング向け6種アミノ酸ミックス」が、関節の違和感や運動機能及び腱の状態を改善することを明らかにしました。本研究の成果は、「第76回日本体力医学会大会」及び「第68回米国スポーツ医学会」において発表しました。当社は2003年よりオリンピック日本代表選手及びその候補選手を対象とした、国際競技力向上及びメダル獲得数増のための「食とアミノ酸」によるコンディショニングサポート活動を行ってきました。その活動の一環として、日本代表選手団専用に独自配合のアミノ酸素材開発に取り組む中で、関節・腱の状態改善をもたらす6種アミノ酸ミックスを見出し、関節に違和感を自覚している方を対象とした研究及び腱に違和感のある方を対象とした研究をそれぞれ実施し、6種アミノ酸ミックスの及ぼす影響を検証しました。
機能性表示食品「脳活セブンアミノ®」を2021年5月25日より新発売。本製品に含まれる7種必須アミノ酸の働きにより、加齢とともに低下する認知機能の一部である注意力と認知的柔軟性を維持し、前向きな気持ちをサポートします。日本では、超高齢社会を迎え、加齢に伴う認知機能の低下が大きな社会問題となっています。認知機能を維持・向上させることは生活の質の維持・向上に役立つとともに、医療や介護といった社会全体の負荷軽減の観点からも重要です。認知機能サポートサプリメントの国内市場規模は約170億円で、今後さらなる高齢化の進展により、市場規模がさらに拡大することが見込まれます。また、「脳活セブンアミノ®」をご購入いただいたお客様に、社内外の企業と協業して作成した製品と情報・サービスを含めた“脳活プログラム”を提供しています。
認知機能に関しての活動としては、国立長寿医療研究センターとの共同研究の成果に日本人の食事摂取基準、各種論文等の情報を応用し、認知機能の維持に役立つ情報を提供するスマートフォン用アプリ「100年健脳手帳®」を開発、公開しました。「100年健脳手帳®」は、ユーザーの食事、運動、睡眠データを分析し、その内容に応じてカスタマイズされた、認知機能を維持するために役立つ生活習慣のアドバイスやレシピ提案を行うアプリです。脳内の変化は認知機能の低下が臨床的に認められる数十年前から始まっていることが報告されているため、コアターゲットを45歳~64歳としています。当社は本アプリ「100年健脳手帳®」を通じて、手帳のように日々の生活に寄り添いながら、食事、運動、睡眠の生活習慣の改善につながるアドバイスを行い、ユーザーの認知機能維持を長期にわたってサポートしたいと考えています。
当社の「アミノインデックス® リスクスクリーニング(AIRS®)」については、2021年6月に太陽生命保険㈱から発売された「ガン・重大疾病予防保険」等の保険加入者が利用できる疾病予防サービスに採用されました。この発売を機に、当社は保険加入者へのAIRS®に関する情報提供の機会増大を生かした新規顧客層開拓による事業拡大、及び太陽生命社との共同研究を加速させ、AIRS®の精度や付加価値向上を図ります。太陽生命社の「ガン・重大疾病予防保険」は、一定条件下で加入後定期的に重大疾病予防をはじめとしたさまざまな用途に活用できる「予防給付金」を受け取ることができる商品です。今回、同商品を通じて保険者のがん・重大疾病予防のための行動を後押ししていきます。
<オープン&リンクイノベーション>
2020年12月に「食と健康の課題解決企業」実現に向けた新事業モデル創出を達成するために、イノベーション探索、エコシステムの構築・強化、企業文化変革の牽引を実行するコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)の活動を開始し、当社グループの新たな価値・事業の共創に取り組んでいます。
2022年1月には、CVCの案件として食と健康に関する事業領域でデジタルサービス事業を展開するスタートアップ企業、㈱おいしい健康に出資しました。同社が持つ食と健康のデジタル領域での知見と、当社グループの食やヘルスケア領域での資産の相互活用を通じて、食と健康・栄養を軸としてパーソナライズされた「食体験ジャーニー」の生活者への提供を進めていきます。さらに培養肉の開発・製造を手掛けるフードテック企業のSuperMeat the Essence of Meat Ltd.(CEO:Ido Savir、本社:イスラエル テルアビブ市、以下スーパーミート社)との業務提携に向けて、同社に出資しました。これにより、スーパーミート社が持つ培養肉の開発技術や知見と、当社独自のバイオ医療や発酵に関するR&D技術、呈味や食感などのおいしさ設計技術を組み合わせ、生産者から消費者までの持続可能なフードシステムの構築を目指します。
また、テクノロジーによる持続可能な食インフラの創造に取り組むTechMagic㈱と協業に関する契約を締結しました。外食産業において、人手不足、生産性改善は慢性的な経営課題であり、また食材余りによる廃棄ロスは環境負荷の観点から社会課題として顕在化しています。当社はこのような社会課題解決を共に目指すために、調理ロボット事業、業務自動化AIロボット事業を展開するTechMagic社と協業を開始します。TechMagic社が持つ、AIと自動調理を用いた効率的な調理インフラのテクノロジーと、当社の「おいしさ設計技術」を活用したソリューション、幅広いメニューに対応する調味料の提供を組み合わせることで、大量調理では難しい多様化する生活者のニーズに応えると同時に、食材を無駄なく効率的に活用することが可能になります。
<サステナビリティ>
サステナビリティの観点では、国際的な環境非営利団体であるCDP(旧カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)より、2021年度の「気候変動Aリスト」に選定されました。これは、当社の気候変動に関する開示の包括性や先駆的な取り組みなどが評価されたもので、当社のAリストへの選定は昨年に続き2年連続となります。CDPは、環境問題に高い関心を持つ世界の機関投資家や主要購買組織の要請に基づき、企業や自治体に対して、気候変動、水資源保護、森林保全等の環境問題への取り組みの促進と情報開示を求める活動を行う非営利団体です。同団体は、世界の主要企業の環境活動に関する情報を収集・分析・評価しており、気候変動に関する取り組みと情報開示において最も優れた企業を「気候変動Aリスト」として毎年選定しています。2021年度は約12,000社の評価が行われ、200社(うち日本企業55社)がAリストに選定されました。
また、国際的な共同団体であるSBT(Science Based Targets)イニシアチブによるNet Zeroを含む新たな温室効果ガス(GHG)排出削減目標への適合を宣言するコミットメントレターを提出しました。これにより、当社グループは2050年度までにGHG排出量を正味ゼロとするカーボンニュートラルを新たな目標として設定します。
関連して、環境省が主催する第3回「ESGファイナンス・アワード・ジャパン」の環境サステナブル企業部門において金賞を受賞しました。環境省では、ESG金融又は環境・社会事業に積極的に取り組み、インパクトを与えた機関投資家、金融機関、仲介業者、企業等について、その先進的取り組み等を表彰し、広く社会で共有し、ESG金融の普及・拡大につなげることを目的として、環境大臣が表彰する「ESGファイナンス・アワード・ジャパン」を2019年度から実施しています。その一部門である環境サステナブル企業部門は、「環境関連の重要な機会とリスク」を「企業価値」向上に向け経営戦略に取り込み、企業価値にもつなげつつ環境への正の効果を生み出している環境サステナブル企業の具体的な実例を投資家、企業に示すために表彰するものです。当社は2019年度(第1回)、2020年度(第2回)ともに環境サステナブル企業部門において銅賞を受賞しており、この度初めて環境大臣賞である金賞を受賞しました。
サステナブルファイナンス領域では㈱みずほ銀行(頭取:藤原 弘治、以下みずほ銀行)との間で、2022年1月31日に「ポジティブ・インパクトファイナンス」によるコミットメントライン契約を締結する運びとなりました。本契約はシンジケーション方式となり、みずほ銀行がアレンジャーとなって、複数の金融機関による協調融資団(シンジケート団)を組成し、当社への融資を実施するもので、シンジケーション方式によるポジティブ・インパクトファイナンスは食品業界初となります。ポジティブ・インパクトファイナンスはサステナビリティファイナンスの1つで、ポジティブ・インパクト金融原則に基づく評価フレームワークを活用して企業活動の社会的インパクトを評価し、「ポジティブ・インパクトの創出が認められる」と確認された場合、その企業の継続的な支援を目的として融資が行われるものです。
全社に係わる研究開発費は、