(1)業績
当連結会計年度におけるわが国の経済は、企業収益の改善や個人消費の増加がみられる等、景気は緩やかな回復基調で推移しましたが、中国を中心とした新興国や資源国の景気減速及び円高や株安の進行等により、国内景気の先行きは不透明な状況となりました。
原料とうもろこしのシカゴ相場は、期初380セント/ブッシェル台で始まりましたが、米国をはじめとした世界各国の在庫が豊富なことや米国での作付が順調に進んだことから340セント/ブッシェル台まで値を下げました。しかし、その後米国中西部の降雨による作柄悪化の懸念から7月中旬には440セント/ブッシェル台まで値を上げましたが、天候が回復し生育が順調に進み豊作となったことや、3月に米国農務省が発表した2016年度作付意向面積が事前予想を大幅に上回ったことから値を下げ、期末時点では350セント/ブッシェル台となりました。
また、原油相場は、期初50ドル/バレル台で始まりましたが、米国の原油在庫が減少に転じたことやOPEC非加盟国の原油生産量減少の見通しから6月には61ドル/バレル台まで値を上げ、その後はギリシャ債務問題等の世界景気減速による原油需要の減少が懸念されると8月下旬には一時38ドル/バレル台まで下落しました。また、10月には米国エネルギー情報局の米国原油生産量減少の発表やシリア情勢の緊迫化等により49ドル/バレルまで値を上げましたが、12月のOPEC総会で生産目標が示されなかったことやイランの経済制裁解除に伴う原油輸出量の増加見込みから一時26ドル/バレル台まで値を下げ、その後、サウジアラビア、ロシア等が主導する原油増産凍結の動きから相場は反転し、期末時点では38ドル/バレル台と、大きく変動しました。
一方、米国から日本までの穀物海上運賃は、慢性的な船舶の過剰感は変わらず、45ドル/トン近辺で推移しておりましたが、中国鋼材の荷動きが鈍化したことや船舶用重油安から値を下げ、期末時点では38ドル/トン台となりました。
為替相場は、期初120円/ドル台で始まり、良好な米国の経済指標を背景に8月には126円/ドル台まで円安が進行しましたが、ギリシャ債務問題や中国株式相場の下落による世界同時株安を受けて119円/ドル台まで円高が進みました。その後、12月の米国利上げ実施に向けて124円台まで円安が進みましたが、世界経済減速懸念から国内外株式や原油相場下落によるリスク回避の円買いに加え、米国景気指標の悪化を背景にFRBが追加利上げに慎重な姿勢を示したことから円高・米ドル安傾向となり、期末時点では112円/ドル台となりました。
このような状況のもと、当社グループは生産効率の改善、製品在庫水準の適正化及び各種コスト削減を継続的に取り組むとともに、前期に引き続き付加価値製品の拡販に注力しました。
販売面につきましては、8月中旬までの猛暑の影響や販売強化の取組みにより清涼飲料向け糖化製品の販売数量は好調に推移し増加しましたが、ビール系飲料向け糖化製品の販売数量が減少したこともあり、糖化製品全体の販売数量は小幅な増加に留まりました。一方、澱粉製品につきましては、製紙向け及び米菓向け澱粉製品の出荷が好調であったことから販売数量は増加しました。
収益面につきましては、企業間競争の激化により販売単価が下落し厳しい状況となりましたが、原料とうもろこし及び重油価格の下落により原材料コストが減少したことから、収益は改善しました。
この結果、当連結会計年度における当社グループの売上高は553億5千万円と前年同期比8億8千万円(1.6%)の減収となりましたが、営業利益は8億円と前年同期比1億6千万円(25.0%)の増益、経常利益は10億2千万円と前年同期比1億5千万円(17.3%)の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は7億3千万円と前年同期比1億1千万円(19.2%)の増益となりました。
次に、各部門の販売状況は以下のとおりであります。
(澱粉部門)
澱粉部門は、製紙向け工業用澱粉製品等の販売数量の増加により、売上高は147億2千万円と前年同期比7億5千万円(5.4%)の増収となりました。
(糖化品部門)
糖化品部門は、8月中旬までの猛暑の影響等により糖化製品の販売数量は若干増加したものの、販売単価の下落により、売上高は324億8千万円と前年同期比14億9千万円(4.4%)の減収となりました。
(ファインケミカル部門)
ファインケミカル部門は、医薬品向け糖化製品の販売数量が増加しましたが、販売単価の下落により、売上高は17億9千万円と前年同期比5千万円(3.2%)の増収に留まりました。
(副産物部門)
副産物部門は、販売数量は増加しましたが、円高による飼料原料価格の下落により販売単価が下落したことから、売上高は63億3千万円と前年同期比2億円(3.1%)の減収となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、資金という)の残高は、前連結会計年度末より11億8千万円増加し、15億4千万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は54億8千万円(前年同期は5億2千万円の資金使用)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益10億2千万円に減価償却費19億6千万円、売上債権の減少額3億3千万円及びたな卸資産の減少額19億円を加算した額等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は41億4千万円(前年同期は7億5千万円の資金獲得)となりました。これは主として、当社工場設備への投資などの有形固定資産の取得による支出14億2千万円及び貸付金の増加(純額)25億2千万円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は1億5千万円(前年同期比66.6%減)となりました。これは主として、配当金の支払額1億2千万円等によるものです。
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。
|
事業部門の名称 |
生産高(百万円) |
前期比(%) |
|
澱粉部門 |
11,367 |
104.2 |
|
糖化品部門 |
31,476 |
95.8 |
|
ファインケミカル部門 |
1,755 |
106.4 |
|
副産物部門 |
6,309 |
97.6 |
|
合計 |
50,908 |
98.1 |
(注)1 金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)受注実績
当社グループは受注生産を行っておりません。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。
|
事業部門の名称 |
販売高(百万円) |
前期比(%) |
|
澱粉部門 |
14,725 |
105.4 |
|
糖化品部門 |
32,489 |
95.6 |
|
ファインケミカル部門 |
1,798 |
103.2 |
|
副産物部門 |
6,337 |
96.9 |
|
合計 |
55,350 |
98.4 |
(注)1 主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
|
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
|
販売高(百万円) |
割合(%) |
販売高(百万円) |
割合(%) |
|
|
三菱商事株式会社 |
55,092 |
98.0 |
53,884 |
97.4 |
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
対処すべき課題とその具体的取り組みといたしましては、新機能、新用途を持つ高付加価値製品の開発、拡販を課題とし、加工食品用途向けの各種製品開発に一層注力するとともに、販売面では、食品・飲料素材に対する技術力を積極的に活用し、お客さまに対する提案型営業を推進しております。澱粉関連では、一般工業分野、食品分野さらに医療分野において用途開発の可能性が大きく、今後ともお客様にとって付加価値を高める製品の開発を積極的に行い、対面業界への貢献を期してまいります。
また、市場のグローバル化に応えるため、求められる品質に対しスピード感のある対応をすべく柔軟性を持って組織的に取り組んでまいります。
さらに、製品の安定供給を目指し、海外での生産及び流通基盤の強化、信頼できる輸入製品の供給源確保など国際的な仕組みづくりに取り組み、その一つとして、タイ国の関連会社AMSCO社のタピオカ澱粉製品の充実、品質・生産管理体制の強化を図るなど、お客様のニーズにお応えできる体制づくりを進めてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)原材料価格及び調達について
当社は、原料とうもろこしを主として米国から輸入しており、その価格はシカゴ穀物相場の影響により変動します。その他に、為替相場及び海上輸送運賃等の調達諸費用の影響により変動する可能性があります。また、工場のボイラー用燃料に重油及び原油価格に連動性の高いLNGを使用しており、原油価格の高騰が生産コスト上昇要因となります。穀物、原油、為替の各相場リスクに対し当社が講じている各種ヘッジ等の措置で変動の影響を低減できない場合、また原料、資材、重油価格の上昇並びに為替による変動分を製品販売価格に転嫁できない場合は、当社の業績、財政状態およびキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。
原料とうもろこしや重油といった輸入原材料においては、輸出国の国政状況や自然災害等によって、また国内で調達している資材等においては自然災害等によって適切に調達できない場合には、当社の業績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。
輸入されるとうもろこしは食品衛生法等により通関時に様々な検査が行われており、輸出国に対して安全な品質を求めていますが、国や行政が規定している品質のとうもろこしが輸入できない場合には当社の業績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。
(2)法的規制等について
当社は、原料とうもろこしの輸入並びに糖化品部門の主要製品である異性化糖の製造、販売にあたり、国内産澱粉並びに国内産砂糖の保護を目的とした法令の適用をうけております。農林水産省の政策の変更もしくは政策方針による費用負担等に変動があった場合、当社の業績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。
(3)自然災害による影響
当社は、主要な生産拠点を東海地区(静岡県富士市)に有しております。地震等による被害を抑えるために補強工事等対策を施しておりますが、この地域において大規模な地震等の災害が発生した場合、その程度によっては工場の生産設備や操業に重大な支障を来たすとともに、その復旧に多額の費用が生じ、当社の業績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に重大な影響を与える可能性があります。
(4)市場における競合の状況について
当社グループは、食品業界及び製紙業界等に澱粉及びその加工製品を販売しております。TPP交渉参加国間の大筋合意の下に公表された内容から、安価な競合製品が輸入され市場環境に変化が生じる可能性はあるものの、現時点では当社事業に対する影響は限定的であると評価しております。しかし、今後の競合製品の輸入動向によっては、当社の業績、財務状況及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。
当社と三菱商事株式会社との代理店契約の締結
昭和36年7月に当社の製品販売について三菱商事株式会社と代理店契約を締結し、現在に至っております。
当連結会計年度における研究開発活動の主な目的は、市場ニーズにタイムリーに応え、かつお客様の要望に応えた製品を迅速に開発することであります。そのため、人々の健康と環境に配慮した高機能・高付加価値製品の開発およびその高機能化・用途開発研究を推進するとともに、利用・用途開発研究を推進することにより新しい市場の開拓に取り組みました。また、製品品質および生産効率の向上を図るために、最新の科学技術を適用した新製品・新技術開発にも積極的に取り組み、お客様の商品開発に繋がる提案を進めてまいりました。
当期の研究開発費の金額は3億3千万円と前年同期比1億円増加しておりますが、これは主に新しい食物繊維の生理機能試験費用が増加したためであります。
次に、部門別の研究開発活動は以下のとおりであります。
(1)澱粉部門
食品用加工澱粉分野においては、さまざまなお客様のニーズに応えるべく、新たな食感を付与した澱粉やフライ食品用澱粉など幅広く開発を行うとともに、各種タピオカ加工澱粉の用途研究を推進しました。
当部門における研究開発費は、9千万円であります。
(2)糖化品部門
複数の新機能性糖質の開発を進めるとともに、種々のオリゴ糖の用途研究を推進しました。また、糖質の開発に必要な酵素生産菌の探索から培養、育種、生産酵素の基礎的諸性質の検討を進めました。特に、糖化品を原料とする新しい食物繊維の開発にも力を入れ、その製造条件の検討や用途開発を推進しました。
当部門における研究開発費は、1億9千万円であります。
(3)ファインケミカル部門
シクロデキストリンやオリゴ糖の誘導体の用途研究を進め、化粧品や医薬等への用途拡大に取り組みました。
当部門における研究開発費は、4千万円であります。
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1.(1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
① 売上高、売上総利益及び営業利益
当期の売上高は553億5千万円で、前期と比較して8億8千万円(1.6%)の減収となりました。
販売面につきましては、「1 業績等の概要」をご参照ください。売上総利益は、売上数量の減少及び原材料コストの減少等により売上原価が13億1千万円減少し、売上原価率は83.2%と前期と比較して1.0ポイント減少したことから、前期比4億3千万円(4.9%)の増益で92億8千万円となりました。
販売費及び一般管理費は前期と比較して2億7千万円増加して84億7千万円となりました。その結果、営業利益は前期比1億6千万円(25.0%)の増益で8億円となりました。
② 営業外損益及び経常利益
営業外損益は、前期比8百万円利益が減少して2億2千万円の営業外収益となりました。その結果、経常利益は前期比1億5千万円(17.3%)の増益で10億2千万円となりました。
③ 特別損益
当期の特別利益及び特別損失の計上はございません。
④ 親会社株主に帰属する当期純利益
当期の税金等調整前当期純利益は10億2千万円となりました。これから税金負担額2億8千万円を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比1億1千万円(19.2%)の増益で7億3千万円となりました。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
「4 事業等のリスク」をご参照ください。
(4)経営戦略の現状と見通し
次期のわが国の経済は、円高の影響による株価の低迷や原油価格の低迷による関連企業の業績悪化等が見られ、消費動向を含めた景気の先行きは不透明な状況で推移していくものと予想されます。
一方、当社グループを取り巻く環境は、少子高齢化と人口減少という構造的な問題から製品の需要に対し供給力が相対的に上回る状況が継続し、販売単価の下落が続くことが予想されます。さらに当社の主力製品である異性化糖が天候の影響を受けやすい需要構造であることや、健康志向の高まりによる甘味離れの影響等により、経営環境は極めて厳しい状況が見込まれます。
このような厳しい環境に対応するため、当社グループは引き続き生産性の向上をはじめとしたあらゆるコストの見直しを実施するほか、海外市場への展開と付加価値製品の拡販により、引き続き適正な収益確保に努めてまいります。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、資金という)の残高は、前連結会計年度末より11億8千万円増加し、15億4千万円となりました。
営業活動の結果、獲得した資金は54億8千万円(前年同期は5億2千万円の資金使用)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益10億2千万円に減価償却費19億6千万円、売上債権の減少額3億3千万円及びたな卸資産の減少額19億円を加算した額等によるものです。
投資活動の結果、使用した資金は41億4千万円(前年同期は7億5千万円の資金獲得)となりました。これは主として、当社工場設備への投資などの有形固定資産の取得による支出14億2千万円及び貸付金の増加(純額)25億2千万円等によるものです。
財務活動の結果、使用した資金は1億5千万円(前年同期比66.6%減)となりました。これは主として、配当金の支払額1億2千万円等によるものです。
(6)経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループでは、株主価値の向上、顧客満足の向上並びに財務体質の強化を経営の基本方針と位置づけており、それを実現するために企業競争力の強化、収益力の向上並びに社員の能力向上を図ることに努力いたしております。
市場環境が劇的に変化している今日においては、その変化を成長の糧とし得る事業体制の強化に努め、経営参画意識の高揚、組織間の連帯強化、人材の育成などの改革を強力に推進してまいります。
中長期的な目標として、当社グループでは、教育の充実による人材育成を図る一方で、製造コストの削減、製品物流の改善、各種在庫水準の適正化及び小口取引の見直しなど各部門におけるコスト削減を行い業績の安定拡大に努めております。それらの取り組みを通じたコスト競争力強化と、新機能・新需要を創出する技術開発力の強化、これら二つの両立による成長を経営戦略としております。
コスト競争力と技術開発力を基盤に機能性のある製品の提供・市場開拓を継続的に進め、より豊かな社会づくりに貢献することを目指します。また、品質を重視し、安全・安心な製品を安定的に、且つ競争力のある価格で提供することにより、より良い消費者生活を、お客様と共に実現するよう努めてまいります。