第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当連結会計年度におけるわが国の経済は、緩やかな回復基調にあるものの、新興国や資源国の景気減速、英国のEU離脱や米国新政権の政策動向の不透明感をはじめとした海外経済の不確実性の高まりや為替相場の乱高下等により、国内景気の先行きは不透明な状況で推移しました。

 原料とうもろこしのシカゴ相場は、期初350セント/ブッシェル台で始まり、米国の新穀作付後の高温乾燥懸念や南米の天候不順による減産から6月には430セント/ブッシェル台まで値を上げましたが、米国において生育に適した天候となり、過去最高の生産量が予測されたことから8月には300セント/ブッシェル台まで値を下げました。その後は米国の好調な輸出やエタノール需要の増加予測等から値を上げ、期末時点では360セント/ブッシェル台となりました。

 また、原油相場は期初36ドル/バレル台で始まり、ナイジェリアやリビア情勢の緊迫化等から6月には50ドル/バレル台まで値を上げましたが、英国のEU離脱に伴う欧州経済の先行き不透明感からの原油需要減少やリビアの輸出再開による原油在庫の増加から8月には39ドル/バレル台まで値を下げました。その後、OPECが8年ぶりに減産に合意したことやOPEC非加盟国も減産に合意したことから54ドル/バレルまで値を上げましたが、シェール増産による米国原油在庫増加から値を下げ、期末時点では50ドル/バレル台となりました

 一方、米国から日本までの穀物海上運賃は、期初40ドル/トン近辺で始まりましたが、中国向け鉄鋼原料の荷動き増加や米国及び南米穀物の堅調な荷動きから値を上げ、期末時点では45ドル/トン台となりました。

 為替相場は、期初113円/ドル台で始まりましたが、日銀追加金融緩和や米国早期利上げの観測が後退したことや英国のEU離脱に伴うリスク回避から円高が進行し、7月には101円/ドル台となりました。その後、米国の利上げ観測が再燃したことや日銀の金融政策への期待感から108円/ドル台となったものの、米国の利上げペースが緩やかになるとの見方から102円台まで円高が進行しました。しかし、11月の米国大統領選後は政策に対する期待感や、12月の米国での利上げ実施とその後の利上げ観測などを背景に119円/ドル台となったものの、3月に公表された米国予算方針では目新しい材料は示されなかったこと等から、期末時点では113円/ドル台となりました。

 このような状況のもと、当社グループは生産効率の改善、製品在庫水準の適正化及び各種コスト削減を継続的に取り組むとともに、前期に引き続き付加価値製品の拡販に注力しました。

 販売面につきましては、糖化製品の販売は、9月の長雨と大型台風の影響を受けたものの、5月の大型連休の好天や夏場の猛暑とその後の残暑により、清涼飲料向けをはじめとした飲料向け糖化製品の出荷が好調に推移したことから、販売数量は増加しました。一方、澱粉製品につきましては、製菓向け及び加工食品向け澱粉製品の出荷が堅調に推移しましたが、製紙向け澱粉製品の取引先における事業見直しの影響等により、販売数量は減少となりました。

 収益面につきましては、企業間競争の激化及び原材料相場の低下等により販売単価は下落し減収となりましたが、上半期に原料及び燃料価格が低位で推移したこと等により増益となりました。

 この結果、当連結会計年度における当社グループの売上高は505億9千万円と前年同期比47億5千万円(8.6%)の減収となりましたが、営業利益は20億2千万円と前年同期比12億2千万円(153.4%)の増益、経常利益は25億6千万円と前年同期比15億3千万円(150.0%)の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は19億7千万円と前年同期比12億4千万円(168.6%)の増益となりました。

 次に、各部門の販売状況は以下のとおりであります。

(澱粉部門)

 澱粉部門は、製紙向け製品の販売数量の減少や販売単価の下落により、売上高は140億2千万円と前年同期比7億円(4.8%)の減収となりました。

(糖化品部門)

 糖化品部門は、9月初旬までの猛暑と訪日観光客の増加に起因すると見られる需要増により販売数量は増加したものの、販売単価の下落により、売上高は295億円と前年同期比29億8千万円(9.2%)の減収となりました。

(ファインケミカル部門)

 ファインケミカル部門は、医薬品向け糖化製品の販売数量の増加により、売上高は18億5千万円と前年同期比5千万円(3.0%)の増収となりました。

(副産物部門)

 副産物部門は、販売数量は小幅な減少に留まりましたが、輸入飼料の価格下落の影響により販売単価が下落し、売上高は52億1千万円と前年同期比11億2千万円(17.8%)の減収となりました。

 (2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下資金という)の残高は、前連結会計年度末より4億9千万円減少し、10億4千万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動の結果、獲得した資金は68億4千万円(前年同期比24.7%増)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益26億3千万円に減価償却費19億7千万円、売上債権の減少額18億円及びたな卸資産の減少額9億7千万円を加算した額から持分法による投資利益5億2千万円、法人税等の支払額4億1千万円を控除した額等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動の結果、使用した資金は35億3千万円(前年同期比14.8%減)となりました。これは主として、当社工場設備への投資などの有形固定資産の取得による支出19億6千万円及び短期貸付金の増加(純額)14億8千万円等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 財務活動の結果、使用した資金は38億1千万円(前年同期は1億5千万円の使用)となりました。これは主として、借入金の減少(純額)36億円及び配当金の支払額1億6千万円等によるものです。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当連結会計年度における生産実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。

事業部門の名称

生産高(百万円)

前期比(%)

澱粉部門

10,738

94.5

糖化品部門

28,574

90.8

ファインケミカル部門

1,905

108.5

副産物部門

5,178

82.1

合計

46,396

91.1

(注)1 金額は、販売価格によっております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)受注実績

 当社グループは受注生産を行っておりません。

 

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。

事業部門の名称

販売高(百万円)

前期比(%)

澱粉部門

14,022

95.2

糖化品部門

29,508

90.8

ファインケミカル部門

1,852

103.0

副産物部門

5,211

82.2

合計

50,596

91.4

 

(注)1 主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

三菱商事株式会社

53,884

97.4

49,194

97.2

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

 当社では、株主価値の向上、顧客満足の向上並びに財務体質の強化を経営の基本方針と位置づけており、それを実現するために企業競争力の強化、収益力の向上並びに社員の能力向上を図ることに努力いたしております。

 市場環境が劇的に変化している今日においては、その変化を成長の糧とし得る事業体制の強化に努め、経営参画意識の高揚、組織間の連帯強化、人材の育成などの改革を強力に推進してまいります。

(2) 経営環境

 新興国や資源国の景気減速や米国新政権の政策動向等により、わが国の経済の先行きは不透明な状況で推移していくものと予想されます。

 一方、当社を取り巻く環境は、少子高齢化と人口減少という構造的な問題から製品の需要に対し供給力が相対的に上回る状況が継続し、販売単価の下落が続くことが予想されます。さらに当社の主力製品である異性化糖が天候の影響を受けやすい需要構造であることや、健康志向の高まりによる甘味離れの影響等により、経営環境は極めて厳しい状況が見込まれます。

(3) 目標とする経営指標

 旧来型製品では市場規模の拡大が望み得ない状況であることに加え、消費者の生活防衛意識が高い中で需要の低迷、販売価格の値下げ圧力等、大変厳しい状況にあります。当社では収益力を示す指標として単体ベースでの売上高経常利益率・配当性向を重視し、売上高経常利益率3%、配当性向35%の堅持を目指して高付加価値製品の開発と市場の創出、差別化戦略の推進に取り組んでまいります。また、収益基盤をより確たるものとするため、社員一人ひとりの努力による生産効率の改善やコスト削減を追求してまいります。

(4) 中長期的な会社の経営戦略

 当社では、教育の充実による人材育成を図る一方で、製造コストの削減、製品物流の改善、各種在庫水準の適正化及び小口取引の見直しなど各部門におけるコスト削減を行い業績の安定拡大に努めております。それらの取り組みを通じたコスト競争力強化と、新機能・新需要を創出する技術開発力の強化、これら二つの両立による成長を経営戦略としております。コスト競争力と技術開発力を基盤に機能性のある製品の提供・市場開拓を継続的に進め、より豊かな社会づくりに貢献することを目指します。また、品質を重視し、安全・安心な製品を安定的に、且つ競争力のある価格で提供することにより、より良い消費者生活を、お客様と共に実現するよう努めてまいります。

(5) 会社の対処すべき課題

 対処すべき課題とその具体的取り組みといたしましては、新機能、新用途を持つ高付加価値製品の開発、拡販を課題とし、加工食品用途向けの各種製品開発に一層注力するとともに、販売面では、食品・飲料素材に対する技術力を積極的に活用し、お客さまに対する提案型営業を推進しております。澱粉関連では、一般工業分野、食品分野さらに医療分野において用途開発の可能性が大きく、今後ともお客さまにとって付加価値を高める製品の開発を積極的に行い、対面業界への貢献を期してまいります。

 また、市場のグローバル化に応えるため、求められる品質に対しスピード感のある対応をすべく柔軟性を持って組織的に取り組んでまいります。

 さらに、国内での製品安定供給を念頭に、海外での生産及び流通基盤の強化、信頼できる輸入製品の供給源確保など国際的な仕組みづくりに取り組み、その一つとして、タイ国の関連会社AMSCO社のタピオカ澱粉製品の充実、品質・生産管理体制の強化を図るなど、お客様のニーズにお応えできる体制づくりを進めてまいります。

 

 

4【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。

(1)原材料価格及び調達について

 当社は、原料とうもろこしを主として米国から輸入しており、その価格はシカゴ穀物相場の影響により変動します。その他に、為替相場及び海上輸送運賃等の調達諸費用の影響により変動する可能性があります。また、工場のボイラー用燃料に重油及び原油価格に連動性の高いLNGを使用しており、原油価格の高騰が生産コスト上昇要因となります。穀物、原油、為替の各相場リスクに対し、当社が講じている各種ヘッジ等の措置で変動の影響を低減できない場合、また原料、資材、重油価格の上昇並びに為替による変動分を製品販売価格に転嫁できない場合は、当社の業績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

 原料とうもろこしや重油といった輸入原材料においては、輸出国の国政状況や自然災害等によって、また国内で調達している資材等においては自然災害等によって適切に調達できない場合には、当社の業績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

 輸入されるとうもろこしは食品衛生法等により通関時に様々な検査が行われており、輸出国に対して安全な品質を求めていますが、国や行政が規定している品質のとうもろこしが輸入できない場合には当社の業績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

(2)法的規制等について

 当社は、原料とうもろこしの輸入並びに糖化品部門の主要製品である異性化糖の製造、販売にあたり、国内産澱粉並びに国内産砂糖の保護を目的とした法令の適用を受けております。農林水産省の政策の変更もしくは政策方針による費用負担等に変動があった場合、当社の業績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

(3)自然災害による影響

 当社は、主要な生産拠点を東海地区(静岡県富士市)に有しております。地震等による被害を抑えるために補強工事等対策を施しておりますが、この地域において大規模な地震等の災害が発生した場合、その程度によっては工場の生産設備や操業に重大な支障を来たすとともに、その復旧に多額の費用が生じ、当社の業績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に重大な影響を与える可能性があります。

(4)市場における競合の状況について

 当社は、食品業界及び製紙業界等に澱粉及びその加工製品を販売しております。英国のEU離脱等により国際情勢が不透明な中、為替相場も予測困難な状況にあります。今後の競合製品の輸入動向によっては、当社の業績、財務状況及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 当社と三菱商事株式会社との代理店契約の締結

 昭和36年7月に当社の製品販売について三菱商事株式会社と代理店契約を締結し、現在に至っております。

 

6【研究開発活動】

 当連結会計年度における研究開発活動の主な目的は、市場ニーズにタイムリーに応え、かつお客様の要望に応えた製品を迅速に開発することであります。そのため、人々の健康と環境に配慮した製品の開発およびその高機能化・高付加価値化を推進するとともに、利用・用途開発研究を推進することにより新しい市場の開拓に取り組みました。また、製品品質および生産効率の向上を図るために、最新の科学技術を適用した新製品・新技術開発にも積極的に取り組み、お客様の商品開発に繋がる提案を進めてまいりました。

 当期の研究開発費の金額は2億7千万円であります。

 次に、部門別の研究開発活動は以下のとおりであります。

(1)澱粉部門

 食品用加工澱粉分野においては、さまざまなお客様のニーズに応えるべく、新たな食感を付与した澱粉やフライ食品用に適した澱粉など幅広く開発を行うとともに、各種タピオカ加工澱粉の用途開発を推進しました。

 当部門における研究開発費は、8千万円であります。

(2)糖化品部門

 複数の新機能性糖質の開発を進めるとともに、種々のオリゴ糖の用途研究を推進しました。また、糖質の開発に必要な酵素生産菌の探索から培養、育種、生産酵素の基礎的諸性質の検討を進めました。特に、糖化品を原料とする新しい食物繊維の開発にも力を入れ、その生理機能の解明や用途開発を推進しました。

 当部門における研究開発費は、1億6千万円であります。

(3)ファインケミカル部門

 シクロデキストリンやオリゴ糖の誘導体の用途研究を進め、化粧品や医薬等への用途拡大に取り組みました。

 当部門における研究開発費は、2千万円であります。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。

 詳細につきましては、「第5 経理の状況 1.(1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

① 売上高、売上総利益及び営業利益

 当期の売上高は505億9千万円で、前期と比較して47億5千万円(8.6%)の減収となりました。

 販売面につきましては、「1 業績等の概要」をご参照ください。売上総利益は、売上数量の減少及び原材料コストの減少等により売上原価が58億5千万円減少し、売上原価率は79.5%と前期と比較して3.8ポイント減少したことから、前期比11億円(11.9%)の増益で103億8千万円となりました。

 販売費及び一般管理費は前期と比較して1億2千万円減少して83億5千万円となりました。その結果、営業利益は前期比12億2千万円(153.4%)の増益で20億2千万円となりました。

② 営業外損益及び経常利益

 営業外損益は、前期比3億円利益が増加して5億3千万円の営業外収益となりました。その結果、経常利益は前期比15億3千万円(150.0%)の増益で25億6千万円となりました。

③ 特別損益

 特別利益に投資有価証券売却益を7千万円計上し、特別損失に投資有価証券売却損を1百万計上した結果、特別損益は7千万円の利益となりました。

④ 親会社株主に帰属する当期純利益

 当期の税金等調整前当期純利益は26億3千万円となりました。これから税金負担額6億6千万円を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比12億4千万円(168.6%)の増益で19億7千万円となりました。

(3)経営成績に重要な影響を与える要因について

 「4 事業等のリスク」をご参照ください。

(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下資金という)の残高は、前連結会計年度末より4億9千万円減少し、10億4千万円となりました。

 営業活動の結果、獲得した資金は68億4千万円(前年同期比24.7%増)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益26億3千万円に減価償却費19億7千万円、売上債権の減少額18億円及びたな卸資産の減少額9億7千万円を加算した額から持分法による投資利益5億2千万円、法人税等の支払額4億1千万円を控除した額等によるものです。

 投資活動の結果、使用した資金は35億3千万円(前年同期比14.8%減)となりました。これは主として、当社工場設備への投資などの有形固定資産の取得による支出19億6千万円及び短期貸付金の増加(純額)14億8千万円等によるものです。

 財務活動の結果、使用した資金は38億1千万円(前年同期は1億5千万円の使用)となりました。これは主として、借入金の減少(純額)36億円及び配当金の支払額1億6千万円等によるものです。