第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

 当社では、株主価値の向上、顧客満足の向上並びに財務体質の強化を経営の基本方針と位置づけており、それを実現するために企業競争力の強化、収益力の向上並びに社員の能力向上を図ることに努力いたしております。

 市場環境が劇的に変化している今日においては、その変化を成長の糧とし得る事業体制の強化に努め、経営参画意識の高揚、組織間の連帯強化、人材の育成などの改革を強力に推進してまいります。

(2) 経営環境

 わが国の経済は、海外の政情不安や地政学的リスクの高まりの影響等により、不透明な状況で推移していくものと予想されます。

 また、当社を取り巻く環境は、少子高齢化と人口減少という構造的な問題から製品の需要に対し供給力が相対的に上回る状況が継続し、市況の低迷が続くことが予想されます。加えて原油・原材料価格及び物流関連費用が上昇しており、経営環境はさらに厳しくなるとことが見込まれます。

(3) 目標とする経営指標

 人口減少・高齢化・甘味離れ・ペーパーレス化等を背景に、本邦では市場規模の拡大が望み難い状況であることに加え、需要の低迷、販売価格の値下げ圧力等、大変厳しい状況にあります。当社では収益力を示す指標として経常利益・配当性向を重視し、連結ベース経常利益20億円(2021年度目標)、配当性向35%を目安に配当することを目指して高付加価値製品の開発と市場の創出、差別化戦略の推進に取り組んでまいります。また、収益基盤をより確たるものとするため、社員一人ひとりの努力による生産効率の改善やコスト削減を追求してまいります。

(4) 中長期的な会社の経営戦略

 当社では、教育の充実による人材育成を図る一方で、製造コストの削減、製品物流の改善、各種在庫水準の適正化及び小口取引の見直しなど各部門におけるコスト削減を行い業績の安定拡大に努めております。それらの取り組みを通じたコスト競争力強化と、新機能・新需要を創出する技術開発力の強化、これら二つの両立に加え海外事業投資先を通じた海外事業を含めての成長を経営戦略としております。コスト競争力と技術開発力を基盤に差別化の図れる機能性を有する製品の提供・市場開拓を継続的に進め、より豊かな社会づくりに貢献することを目指します。また、品質を重視し、安全・安心な製品を安定的に、且つ競争力のある価格で提供することにより、より良い消費者生活を、お客様と共に実現するよう努めてまいります。

(5) 会社の対処すべき課題

 当社を取り巻く環境が厳しさを増している事を踏まえ、2019-2021年度を実行期間とする中期経営計画にて、対処すべき課題とその具体的各種施策を明確にし、確実に実行してまいります。

 生産面では、主原料のとうもろこしの安定調達及びコスト削減を目的に、主要調達先である米国以外の供給先を確保し、また工場の最適操業を追求し製造費用のさらなる削減を目指します。

 また、当社が供給可能なさまざまな市場に対し、新機能、新用途を持つ高付加価値製品の開発、拡販を課題とし、加工食品用途向けの各種製品開発に一層注力するとともに、販売面では、食品・飲料素材に対する技術力を積極的に活用し、お客さまに対する提案型営業を推進しております。澱粉関連では、一般工業分野、食品分野さらに医療分野において用途開発の可能性が大きく、今後ともお客さまにとって付加価値を高める製品の開発を積極的に行い、対面業界への貢献を期してまいります。

 さらに、市場のグローバル化に応えるため、求められる品質や海外法令に対しスピード感のある対応をすべく柔軟性を持って組織的に取り組んでまいります。

 加えて、国内での自社製品の安定供給だけでなく、海外での生産及び流通基盤の強化、信頼できる輸入製品の供給源確保など国際的な仕組みづくりに取り組み、海外市場の拡大を目指します。その一つとして、タイ国の関連会社AMSCO社のタピオカ澱粉製品の充実、品質・生産管理体制の強化を図り、お客様のニーズにお応えできる体制づくりを進めてまいります。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。

(1)原材料価格及び調達について

 当社は、原料とうもろこしを主として米国から輸入しており、その価格はシカゴ穀物相場により変動します。その他に、為替相場及び海上輸送運賃等の調達諸費用の影響により変動する可能性があります。また工場のボイラー用燃料に重油及び原油価格と連動性の高い都市ガスを使用しており、原油価格の高騰が生産コスト上昇要因となります。穀物、原油、為替の各相場リスクに対し、当社が講じている各種ヘッジ等の措置で変動の影響を低減できない場合、また原料、資材、重油価格の上昇並びに為替による変動分を製品販売価格に転嫁できない場合は、当社の業績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

 原料とうもろこしや重油といった輸入原材料においては、輸出国の国政状況や自然災害等により適切に調達できない場合、また国内調達の資材等においては自然災害等により適切に調達できない場合には、当社の業績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

 輸入されるとうもろこしは食品衛生法等により輸入時に様々な検査が行われ、輸出国に対し日本の輸入基準を満たした品質を求めていますが、国や行政が規定している品質のとうもろこしを輸入できない場合には当社の業績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

(2)法的規制等について

 当社は、原料とうもろこしの輸入並びに糖化品部門の主要製品である異性化糖の製造、販売にあたり、国内産澱粉並びに国内産砂糖の事業および生産者の保護を目的とした法令の適用を受けております。農林水産省の政策の変更もしくは政策方針による費用負担等に変動があった場合、当社の業績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

(3)自然災害による影響

 当社は、主要な生産拠点を東海地区(静岡県富士市)に有しております。地震等による被害を抑えるために補強工事等対策を施しておりますが、この地域において大規模な地震等の災害が発生した場合、その程度によっては工場の生産設備や操業に重大な支障を来たすとともに、その復旧に多額の費用が生じ、当社の業績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に重大な影響を与える可能性があります。

(4)市場における競合の状況について

 当社は、食品業界及び製紙業界等に澱粉及びその加工製品を販売しております。英国のEU離脱等により国際情
勢が不透明な中、為替相場も予測困難な状況にあります。今後の競合製品の輸入動向によっては、当社の業績、財
務状況及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュフロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当事業年度におけるわが国の経済は、堅調な設備投資や好調な海外経済を背景に企業収益や雇用、所得環境の改善が進み緩やかな回復基調で推移しましたが、相次いだ自然災害の影響、米中の保護主義台頭及び地政学的リスクの高まりによる世界経済の減速が予測される等、依然として先行き不透明な状況となりました。

 原料とうもろこしのシカゴ相場は、期初387セント/ブッシェル台で始まり、米国の作付遅延や、ブラジルの雨不足による作柄悪化懸念等から408セント/ブッシェル台迄値を上げましたが、米国の作付は例年並みに終了し、生育に適した天候となり過去最高の収穫量となったことから340セント/ブッシェル台迄値を下げました。その後、米中貿易摩擦の激化から不安定な動きが続く中、米中首脳会談にて関税の追加的引き上げを90日間保留にした事により、大豆相場の上昇に連動し、とうもろこしも385セント/ブッシェル台まで値を上げました。その後は、事前予想を上回る米国農務省の四半期在庫と作付意向面積の発表を受けて値を下げ、期末時点では356セント/ブッシェル台となりました。

 また、原油相場は期初63ドル/バレル台で始まり、中東の地政学的リスクの高まりやOPEC総会での減産枠の維持決定に加え、米国のイラン産原油禁輸制裁による原油生産量減退懸念やUSMCAの合意による北米の経済拡大期待などから75ドル/バレル台まで値を上げました。その後は、米国やサウジアラビアの生産量が増加したことや、米国がイラン産原油禁輸措置について日本を含む8ヶ国に対し180日間に限りイラン産原油の輸入を容認するとし供給量が増える見込みから42ドル/バレル台となりましたが、米国のイランやベネズエラに対する制裁やOPECの協調減産が継続している事から、期末時点では60ドル/バレル台となりました。

 一方、米国から日本までの穀物海上運賃は、期初53ドル/トン近辺で始まり、原油価格上昇に伴う燃料高騰や、中国の旺盛な大豆購入による荷動き増加などから58ドル/トンまで上昇しました。その後、年末年始の閑散期に急落しましたが、荷動き増加に合わせて上昇し、期末時点では54ドル/トン台となりました。

 為替相場は、期初107円/ドル台で始まり、良好な米経済指標や米国債利回りの上昇による米国経済の先行きの期待感から112円/ドル台まで円安が進行しました。その後も米国大統領が中国やEUに対し関税率の引き上げを発表したことにより世界的な貿易摩擦激化の懸念から円高となる場面があったものの、NAFTA再交渉の合意等から115円/ドル台まで円安が進行しましたが、米国株式下落、米国金利低下や米国政府機関の閉鎖に加え、英国のEU離脱問題や米国の年内利上げ見送りの見込み等から円高となり、期末時点では111円/ドル台となりました。

 このような状況のもと、当社は生産効率の改善、製品在庫水準の適正化及び各種コスト削減に取り組むとともに、前期に引き続き付加価値製品の拡販に注力しました。

 販売面では、5月の大型連休以降、梅雨入り後も比較的好天に恵まれたことと、4月から例年より高い気温が続き、夏場も猛暑となったことにより、糖化製品はビール系飲料、清涼飲料、氷菓向けが堅調に推移したものの、猛暑によりパン、乳飲料向けが低調に推移したことに加え、豪雨、台風、地震などの災害による影響もあり販売数量は減少しました。一方、澱粉製品につきましては、加工食品向け澱粉製品は堅調に推移したものの、製紙業界の生産量減少による需要減退の影響を受け、製紙向け澱粉製品の出荷が低調に推移したことから、全体の販売数量は減少しました。

 収益面では引き続き企業間競争激化及び原油価格の上昇等の影響から厳しい状況となりました。

 この結果、当事業年度における当社の売上高は469億5千万円となり、前年同期比12億3千万円(2.6%)の減収、営業利益は2千万円と前年同期比10億1千万円(97.4%)の減益、経常利益は3億9千万円と前年同期比7億2千万円(64.6%)の減益、当期純利益は2億8千万円と前年同期比7億1千万円(71.5%)の減益となりました。

 次に、各部門の販売状況は以下のとおりであります。

(澱粉部門)

 澱粉部門は、製紙向け澱粉製品の出荷が振るわず販売数量が減少したことにより、売上高は121億8千万円と前年同期比10億5千万円(8.0%)の減収となりました。

(糖化品部門)

 糖化品部門は、猛暑によるパン、乳飲料向け製品の販売数量の減少と企業間競争激化による価格競争により、売上高は277億6千万円と前年同期比3億4千万円(1.2%)の減収となりました。

(ファインケミカル部門)

 ファインケミカル部門は、医薬品向け製品の出荷は堅調でしたが、食品向け製品の出荷が低調に推移し、ほぼ前年並みとなり、売上高は17億5千万円と前年同期比1千万円(0.6%)の増収となりました。

(副産物部門)

 副産物部門は、配合飼料の値上げの影響を受け販売単価が上昇したことにより、売上高は52億4千万円と前年同期比1億5千万円(3.1%)の増収となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前事業年度末より2千万円増加し、2億2千万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動の結果、獲得した資金は10億5千万円となりました。これは主として、税引前当期純利益3億8千万円に減価償却費21億円を加算した額から仕入債務の減少額8億円、たな卸資産の増加額4億7千万円、賞与引当金の減少額2億2千万円を控除した額等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動の結果、使用した資金は1億8千万円となりました。これは主として、貸付金の回収(純額)18億7千万円から当社工場設備への投資などの有形固定資産の取得による支出18億6千万円、無形固定資産の取得による支出9千万円を控除した額等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 財務活動の結果、使用した資金は8億4千万円となりました。これは主として、借入金の減少(純額)4億7千万円及び配当金の支払額3億2千万円等によるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

 当事業年度における生産実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。

事業部門の名称

生産高(百万円)

前期比(%)

澱粉部門

9,020

87.1

糖化品部門

27,025

98.8

ファインケミカル部門

1,512

89.2

副産物部門

5,233

101.5

合計

42,792

96.0

(注)1 金額は、販売価格によっております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

b. 受注実績

 当社は受注生産を行っておりません。

c. 販売実績

 当事業年度における販売実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。

事業部門の名称

販売高(百万円)

前期比(%)

澱粉部門

12,187

92.0

糖化品部門

27,768

98.8

ファインケミカル部門

1,759

100.6

副産物部門

5,243

103.1

合計

46,959

97.4

 

(注)1 主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前事業年度

(自 2017年 4月 1日

至 2018年 3月31日)

当事業年度

(自 2018年 4月 1日

至 2019年 3月31日)

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

三菱商事株式会社

47,026

97.6

45,735

97.4

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、「財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(1963年大蔵省令第59号)に基づいて作成しております。

当事業年度の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社の当事業年度の経営成績等は、売上高は469億5千万円、営業利益は2千万円、経常利益は3億9千万円、当期純利益は2億8千万円となり、前年同期比減収減益となりました。これは、澱粉部門、糖化品部門とも販売が低調に推移したこと、更には引き続き企業間競争激化及び原油価格の上昇の影響等から厳しい状況となったことによるものです。次期の見通しといたしましては、引き続き企業間競争激化によるコモディティ製品の利益率の低下及び販売数量の減少による影響から、売上高450億円、営業利益5千万円、経常利益3億円、当期純利益2億5千万円を見込んでおります。

 当社の経営成績に重要な影響を与える要因として、原料とうもろこしのシカゴ相場、原油相場、為替相場があげられますが、当事業年度における各相場環境とも収益を圧迫する状況となりました。次期の見通しといたしましては、各相場環境とも収益を圧迫する方向となることを予想しております。

 当社の資本の財源及び資金の流動性については、製造設備の更新及び製品品質向上に係る工事等の支出に対し、その資金の調達財源としては主として金融機関からの借入によっております。

 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、売上高経常利益率を2018年度までに3%以上とし、配当性向35%を目安に配当することとしておりました。当事業年度においては、市況の悪化及び物流と原燃料コスト上昇等の要因により売上高経常利益率は0.8%となりました。また、配当性向につきましては当事業年度の業績や配当方針等を勘案のうえ、43.3%としております。なお、2019-2021年度中期経営計画では連結ベース経常利益を最終年度(2021年度)で20億円としています。2019年度見通しは、2021年度での達成目標に対し低い水準となっていますが、主な要因は企業間競争激化によるコモディティ製品の利益率の低下及び販売数量の減少等によるものです。

 

4【経営上の重要な契約等】

 当社と三菱商事株式会社との代理店契約の締結

 1961年7月に当社の製品販売について三菱商事株式会社と代理店契約を締結し、現在に至っております。

 

5【研究開発活動】

 当事業年度における研究開発活動の主な目的は、市場ニーズにタイムリーに応え、かつお客様の要望に応えた製品を迅速に開発することであります。そのため、人々の健康と環境に配慮した製品の開発及びその高機能化・高付加価値化を推進するとともに、利用・用途開発研究を推進することにより新しい市場の開拓に取り組みました。また、製品品質及び生産効率の向上を図るために、最新の科学技術を適用した新製品・新技術開発にも積極的に取り組み、お客様の商品開発に繋がる提案を進めてまいりました。

 当期の研究開発費の金額は198百万円であります。

 次に、部門別の研究開発活動は以下のとおりであります。

(1)澱粉部門

 食品用加工澱粉分野において、さまざまなお客様のニーズに応えるべく、新たな食感を付与した澱粉やフライ食品用に適した澱粉など幅広く開発を行うとともに、各種タピオカ加工澱粉の用途開発を推進しました。

 当部門における研究開発費は、66百万円であります。

(2)糖化品部門

 複数の新機能性糖質の開発を進めるとともに、種々のオリゴ糖の用途研究を推進しました。また、糖質の開発に必要な酵素生産菌の探索から培養、育種、生産酵素の基礎的諸性質の検討を進めました。特に、糖化品を原料とする新しい食物繊維の開発にも力を入れ、その生理機能の解明や用途開発を推進しました。

 当部門における研究開発費は、112百万円であります。

(3)ファインケミカル部門

 シクロデキストリンやオリゴ糖の誘導体の研究開発を進め、化粧品や医薬等への用途拡大に取り組みました。

 当部門における研究開発費は、19百万円であります。