当連結会計年度のわが国経済は、企業収益や雇用情勢の改善が続く緩やかな回復基調にありましたが、中国経済の減速を背景に輸出が伸び悩むなど、先行き不透明な状況で推移いたしました。食品業界におきましては、新興国の需要拡大や円安などにより原材料価格の高騰が続き、メーカー各社は厳しい経営環境に置かれました。
このような状況のなか当社グループは、「第二次中期経営計画(2ヵ年経営計画)」(平成27年3月期~平成28年3月期)のもと、その基本方針である「売上最大」「品質最高」「経費最小」に基づく諸施策を実施することで、売上拡大戦略による収益基盤の改善と持続的な事業発展を目指してまいりました。
「売上最大」については、魚肉ねり製品の海外輸出や国内業務用ルート開拓、養魚用飼料の輸出拡大や、魚粉事情に影響されにくい新時代飼料の開発・普及に注力いたしました。また、食肉加工品においては、スターゼン株式会社(東京都港区)との業務提携強化によるOEM(相手先ブランド供給)製品の数量拡大に取り組むとともに、自社ブランド「霧島黒豚」の販売強化・ブランド強化を図り、売上拡大に努めました。
「品質最高」については、より一層の「安全・安心」のため、品質管理体制の強化に取り組むとともに、フードディフェンス強化による安全対策やポルフ手法(工場革新のための実践プログラム)により高品質を追求した製品づくりに努めました。
「経費最小」については、ゼロベース思考により業務を見直すことで、在庫圧縮、時間短縮、生産性の向上に努め、全社的なコスト削減に取り組みました。
当連結会計年度の当社グループの売上高は、食肉加工品や魚肉ねり製品の販売数量増加などにより482億45百万円(前期比1.2%増加)となりました。損益面におきましては、豚肉相場の堅調な推移や原材料価格の高騰に対応した価格改定などにより営業利益8億19百万円(前期比90.3%増加)、経常利益7億6百万円(前期比57.5%増加)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、ハラル食品事業における特別損失(貸倒引当金繰入額)1億36百万円の計上などもあり、3億84百万円(前期比0.0%増加)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりです。
魚肉ねり製品におきましては、魚肉ソーセージの主力取引先への販売強化や中国・香港への輸出拡大に努めたことにより、増収となりました。
機能性食品におきましては、高齢者向けソフト食「ソフミート」や和菓子などの売上が増加したことにより、増収となりました。
これらにより、売上高は38億68百万円(前期比6.9%増加)となりました。損益面においては、魚肉ねり製品の主原料であるすり身価格が高騰したことにより、セグメント損失(営業損失)は83百万円(前期は13百万円の損失)となりました。
②畜産食品事業
ハム・ソーセージ等食肉加工品におきましては、スターゼングループとの連携強化による販売数量増加などにより、増収となりました。
肉類におきましては、豚肉相場が堅調に推移するなか、自社ブランド「霧島黒豚」の拡販と販売単価上昇や鶏肉の販売強化の取り組みなどにより、増収となりました。
調理食品におきましては、惣菜の売上が増加したことにより、増収となりました。
これらにより、売上高は211億99百万円(前期比5.4%増加)となりました。損益面においては、増収効果や生産効率の改善によりセグメント利益(営業利益)は7億39百万円(前期比157.8%増加)となりました。
③飼料事業
飼料事業におきましては、養魚用飼料において輸出拡大や大口ユーザーとの連携強化に努めたものの、畜産用飼料の販売において養鶏用飼料の売上が減少したほか、ブリ相場低迷やハマチ・カンパチの販売数量が減少したことなどにより、減収となりました。
これらにより、売上高は210億11百万円(前期比2.3%減少)となりました。損益面においては、鰻相場の堅調な推移などによりセグメント利益(営業利益)は9億52百万円(前期比2.2%増加)となりました。
④その他の事業
その他の事業におきましては、売上高は21億66百万円(前期比10.8%減少)、営業利益は2億23百万円(前期比18.0%増加)となりました。
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動によるキャッシュ・フローは増加したものの、投資活動によるキャッシュ・フロー、財務活動によるキャッシュ・フローは減少し、前連結会計年度末に比べ17百万円増加の14億15百万円(前期末比1.3%増加)となりました。
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は11億14百万円(前期は8億59百万円の増加)となりました。これは主に、たな卸資産の増加額が4億26百万円、仕入債務の減少額が2億18百万円あったものの、減価償却費7億85百万円、税金等調整前当期純利益5億42百万円の計上があったことなどによるものです。
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は4億27百万円(前期は3億86百万円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が4億58百万円あったことなどによるものです。
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は6億69百万円(前期は9億8百万円の減少)となりました。これは主に長期借入れによる収入が16億81百万円あったものの、長期借入金の返済による支出が19億37百万円、リース債務の返済による支出が2億54百万円あったことなどによるものです。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 | 金額(千円) | 前期比(%) |
水産食品事業 | 3,082,879 | +5.3 |
畜産食品事業 | 13,902,383 | +4.5 |
飼料事業 | 20,369,473 | +3.4 |
合計 | 37,354,735 | +4.0 |
(注) 1 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 | 金額(千円) | 前期比(%) |
水産食品事業 | 368,255 | +6.7 |
畜産食品事業 | 7,077,236 | +7.5 |
飼料事業 | 3,451,974 | △26.8 |
その他の事業 | 978,374 | △29.0 |
合計 | 11,875,841 | △8.8 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 | 金額(千円) | 前期比(%) |
水産食品事業 | 3,868,105 | +6.9 |
畜産食品事業 | 21,199,994 | +5.4 |
飼料事業 | 21,011,704 | △2.3 |
その他の事業 | 2,166,060 | △10.8 |
合計 | 48,245,864 | +1.2 |
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
マルハニチロ㈱ | 8,753,038 | 18.4 | 8,953,315 | 18.6 |
(注)1.総販売実績に対する割合が10%以上のものについて記載しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「売り手によし、買い手によし、世間によし、三方よし」を規範とし、飼料の生産から食品の販売まで取り扱う垂直型メーカーとして「安全・安心」で「良質」な製品を提供することを通じて、豊かな食文化の実現に貢献することを経営理念としております。
当社グループは、これまでに取り組んでまいりました経営資源の選択と集中、売上拡大戦略をベースに、平成28年4月からの2ヵ年を企業体質の「強化」の期間として「第三次中期経営計画」を策定いたしました。安定的な利益確保に向けて構造強化を図り、持続的な事業発展を目指してまいります。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、売上高経常利益率2%を当面の目標値としております。「第三次中期経営計画」に掲げる各施策により、グループの体質強化、利益率の向上を図り、早期復配を目指してまいります。
(3) 中長期的な経営戦略
「第三次中期経営計画」では、「人財育成」「基盤整備」を基本方針としております。各事業において以下の施策を実行することにより目標達成に努めてまいります。また、「第二次中期経営計画」における基本方針「売上最大」「品質最高」「経費最小」の施策についても引続き強化して実践することで、効果の拡大を図ってまいります。
①人財育成
業務の質を見直してふるい分けを行い、重要で早期解決が求められる業務に全力投球できる体制を整えます。新人事評価制度の構築やOJT、QC活動等、あらゆる手段を活用して個々の能力開発や技術レベルの向上を図ってまいります。
②基盤整備
各所の業務を厳しく点検し、重要度選別を行うとともに、スクラップを含め、限られた資源を重要度の高いものに集中配分してまいります。また、今後拡大すべき部門については組織強化を行い、将来に向けた体制整備に努めてまいります。
(4) 会社の対処すべき課題
当社を取巻く原料事情は、今後も厳しい状況が続くものと思われます。魚肉ねり製品の主原料であるすり身、食肉加工品の主原料である豚肉、養魚用飼料の主原料である魚粉などは相場変動により収益を圧迫する要因となります。当社は、前中期経営計画において売上拡大を事業戦略の最大テーマとして実行し、当初の目標を達成することができました。「第三次中期経営計画」においても、前計画の拡大方針を継続しつつ、企業体質の強化を図ってまいります。これにより、外部環境の変化に柔軟に対応しうる「ぶれない事業」を構築し、先行き不透明な事業環境にも左右されない力強い企業として持続的な事業発展を目指してまいります。
当社グループは、事業展開上リスクとなる可能性のある主な要因として、次のように認識しております。なお、記載のリスクは、当社グループの事業に関する全てのリスクを網羅したものではありません。
(1) 特定の取引先への依存
当社グループは、主に魚肉ねり製品、養魚用飼料においてマルハニチロ株式会社への売上比率が高く、売上高全体に占める割合は18.6%となっております。同社との取引は安定的に推移しておりますが、この取引に支障が生じた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 水・畜産物相場等
当社グループは、水・畜産物の加工品、豚肉、牛肉などの取り扱いが多く、水・畜産物相場の変動により業績に影響を及ぼす可能性があります。また、飼料事業における配合飼料の販売先には水・畜産物の生産者が多く含まれるため、生産物の市場相場が大幅に低下した場合には、その販売先の経営状況悪化により、債権回収に問題が発生することや債務保証に対する保証債務の履行を求められる可能性があります。
(3) 原材料仕入価格の変動
当社グループで製造する主な製品の主原料の多くは農・畜産物や水産物です。このため、産地での天候不順などによる収穫量の減少や、先物相場における投機の過熱などは、大幅な価格変動を与える要因となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 為替変動リスク
当社グループは、原材料などの輸入および製品などの輸出入において外貨建取引を行っていること、ならびに外貨建の資産を保有していることから、急激な為替変動があった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 食品の安全性
当社グループは、食品の安全性がますます強く求められるなか、品質管理体制の強化を図り「安全・安心」に取り組んでおります。
しかしながら、当社グループの取り組みを超えた事象の発生や、食の安全を脅かすような社会全般にわたる問題が発生した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 金利の変動
当社グループは、資金需要に対してその内容や財政状況および金融環境を考慮し、調達の金額・期間・方法などを判断しております。今後の金利の変動に備え、固定金利・変動金利を適宜組み合わせて調達を行っておりますが、金利が上昇した場合には支払利息が増加し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 自然災害等のリスク
地震や台風などの大規模災害の発生により、当社グループの事業所が被害を受け、事業活動の停止や多額の復旧費用の支出などの甚大な損害を被る可能性があります。また、飼料事業における配合飼料の販売先には水・畜産物の生産者が多く含まれ、これらの事業所が被害を受けた場合には、売上高の減少やその販売先の経営状況悪化による債権回収に係る問題の発生、あるいは保証債務の履行を求められることなどにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループ(当社及び連結子会社)は、日本の食卓を安全で、豊かで、楽しいものにすることを基本方針として、新しい食品素材の開発から製品の開発、環境に配慮した配合飼料の開発等、幅広い研究開発活動を行っております。
研究開発体制は、当社の開発部、品質保証部、品質管理課、事業開発課、商品開発課、研究課、水産研究センター、家畜魚類診療所および各子会社の研究開発部門により推進されており、研究開発要員はグループ全体で73名です。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は4億95百万円であり、各セグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は、次のとおりです。
(1) 水産食品事業及び畜産食品事業
水産食品事業及び畜産食品事業における研究開発の基本方針として、
① 大手食品メーカーおよび異業種との協働型新規食品の開発
② 受託食肉加工品(OEM)の迅速かつ効率的開発
③ 高齢者社会に対応した健康志向食品及び機能性食品の開発
④ 天然物由来機能性素材(健康食品及び化粧品素材)の研究・開発
以上4項目を研究開発テーマとし、当社の開発部を中心に品質保証部、品質管理課、事業開発課、商品開発課、林兼フーズ㈱の研究開発部門と連携し、水産食品事業及び畜産食品事業一体として研究開発活動を推進しております。
研究開発テーマの内、特に注力しているのは天然物由来機能性素材の研究・開発であり、当連結会計年度における主な取り組みは、機能性素材の臨床試験の実施で、その内容は下記の通りです。
・エラスチン
機能性食品表示制度対応商品の分析等の対応
・アスコフィランHS
免疫に関してエビデンスを蓄積
・ヒシエキス
不妊治療剤としての臨床試験を開始
これらの成果については学会、展示会での発表や商業誌への投稿などで公表しております。
さらに、大学及び異業種企業との共同研究により、有望な機能性を有する食品及び素材の開発、製品化を推進しております。
なお、当連結会計年度における研究開発費は3億76百万円です。
飼料事業における研究開発は、「食の安全・安心」を基本として、生産物の安全性と環境への配慮を重視した配合飼料の開発に重点をおき、素材から製品まで幅広い分野で行っております。
養魚用飼料は、「自然に魚に人にやさしい飼料」を研究開発の基本方針として、
① 環境への負担が少なく生産性向上能力を併せ持つ高性能EP飼料の開発と普及
② 魚が本来有する恒常性維持能力や健康維持能力の向上を目的とした機能性飼料の開発と普及
③ 見た目と味で満足させる高品質養殖魚の生産に寄与する肉質改善飼料開発
④ 供給・価格の安定しない魚粉に依存しない新時代養魚用飼料の開発
⑤ 難治性魚病対策や魚の衛生対策の確立
以上5項目をテーマに掲げて、当社研究課、水産研究センターおよび家畜魚類診療所が一体となって研究開発に取り組んでおります。
当連結会計年度における養魚用飼料の主な成果は、商品開発では、マグロ用配合飼料「ツナフード」改善、ヒラメ・フグ用高付加価値商材における新時代飼料開発になります。「ツナフード」は改善により摂餌性・成長性を維持しつつ、更にハンドリング性や消化性を向上させることが可能になりました。ヒラメ・フグ用では、魚粉を大幅に削減しつつ、従来の飼料と遜色ない成長を示す飼料開発に成功し、今後は国内だけでなく韓国など海外市場への有効な拡販ツールとして活用します。また、特許では、マルハニチロ㈱・東京大学と共同出願を1件おこないました。
継続中のものとしては、当社が販売する魚種用全てで魚粉に依存しない新時代飼料の開発、抗寄生虫や抗病性等の養殖生産性改善効果を有する機能性飼料開発などがあります。また、外部機関との共同研究として、(独)水産総合研究センター等の産官学研究機関と「クロマグロ高品質稚魚の供給技術の開発」と今期から新たに「クロマグロ養殖用の高機能、高効率餌料の開発事業」にも参画します。その他、九州大学と養殖魚の肉質改善方法の開発、鹿児島大学及び長崎総合水産試験場と海産種苗用初期飼料の品質改善などに取り組んでおります。
畜産用飼料は、黒豚や赤鶏に代表される高品質・高付加価値生産物を育てる飼料の開発に注力しております。
なお、当連結会計年度における研究開発費は1億19百万円です。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。また、この連結財務諸表の作成にあたって、一部将来の見積もりに基づき作成されているものについては、当社グループにおける過去の実績や将来の計画を検討し、合理的と考えられる事項に基づいて作成しております。これらの詳細については、「第5 経理の状況 1 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は269億6百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億15百万円減少となりました。
流動資産の増加(前期末比1億69百万円増加)は、主に受取手形及び売掛金が2億39百万円、商品及び製品が2億21百万円減少したものの、原材料及び貯蔵品が4億52百万円、仕掛品が1億95百万円増加したことなどによるものであり、固定資産の減少(前期末比2億85百万円減少)は、主にリース資産が1億22百万円増加したものの、貸倒引当金が1億85百万円増加したことや、建物及び構築物が1億54百万円減少したことなどによるものです。
(負債及び純資産)
当連結会計年度末における負債合計は214億91百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億4百万円減少となりました。
流動負債の減少(前期末比5億68百万円減少)は、主に賞与引当金が52百万円増加したものの、短期借入金が2億80百万円、買掛金が1億96百万円減少したことなどによるものであり、固定負債の増加(前期末比64百万円増加)は、主に長期借入金が87百万円減少したものの、リース債務が1億53百万円増加したことなどによるものです。
当連結会計年度末における純資産合計は54億14百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億88百万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益を3億84百万円計上したことなどによるものです。
(経営成績)
「1 業績等の概要、(1) 業績」を参照ください。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
「4 事業等のリスク」を参照ください。
(4) 戦略的現状と見通し
「3 対処すべき課題、(3) 中期的な経営戦略 及び (4) 会社の対処すべき課題」を参照ください。
「1 業績等の概要、(2) キャッシュ・フロー」を参照ください。
「3 対処すべき課題」及び「4 事業等のリスク」を参照ください。