第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 経営方針

当社グループは、「売り手によし、買い手によし、世間によし、三方よし」を規範とし、飼料の生産から食品の販売まで取り扱う垂直型メーカーとして「安全・安心」で「良質」な製品を提供することを通じて、豊かな食文化の実現に貢献することを経営理念としております。

当社グループは、本年4月からの2ヵ年を「将来を見据えた盤石な事業基盤の確立」の期間と位置付け、「新中期経営計画〈挑戦〉challenge2022」(2021 年3月期~2022 年3月期)を策定いたしました。これまでの4次8年間にわたる中期経営計画の成果をベースに、更なる飛躍を目指して従来からの体制にこだわることなく変化を恐れず〈挑戦〉していくことで経営資源の選択と集中による構造改革を推し進め、持続的な事業発展を目指してまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループの前中期経営計画期間の売上高経常利益率は2.9%となりました。

今後も盤石な事業基盤の確立に取り組み、引き続き売上高500億円、経常利益15億円、売上高経常利益率3%超を目標として、安定配当を目指してまいります。

 

(3) 中長期的な経営戦略

「新中期経営計画〈挑戦〉challenge2022」では、事業環境の変化を捉えた事業戦略と事業基盤の確立を目指し、「成長投資の推進」「事業ポートフォリオの検討」「財務健全性の強化」「コーポレートガバナンスの強化」に取り組んでまいります。

「成長投資の推進」については、成長事業の規模拡大、増産対応、収益基盤の確立が見込めるものへの集中投資を行います。「事業ポートフォリオの検討」については、従来の体制にこだわらず、事業環境の変化を捉えた選択と集中によるポートフォリオの最適化に取り組みます。「財務健全性の強化」については、有利子負債や在庫の圧縮を進めつつ成長投資を推進し自己資本比率、D/Eレシオの改善を図ります。「コーポレートガバナンスの強化」については、透明性・公正性を担保しつつ迅速・果断な意思決定を行う仕組みの充実に努め、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社を取巻く原料事情は、今後も厳しい状況が続くものと思われます。魚肉ねり製品の主原料であるすり身、食肉加工品の主原料である豚肉、養魚用飼料の主原料である魚粉などは、相場変動により収益を圧迫する要因となります。

このような状況のなか、当社は前中期経営計画において収益構造を確実なものとするため、機能性食品素材の生産設備増強、販売拡大など持続的な成長を可能とする事業基盤の確立に取り組んだ結果、利益面においては計画を上回ることができました。

各事業セグメントにおいては、今後は以下のテーマに取り組み、原料相場等の事業環境の変化に左右されない事業基盤の確立を目指してまいります。

 

水産・機能食品事業

魚肉ソーセージの簡易開封タイプの生産体制構築や中国・他アジア地域への販売拡大による「家庭用加工食品の強化」、ソフミート・和菓子の新商品開発、販売拡大による「業務用加工食品の強化」、エラスチン、ヒシエキスの販売拡大、アスコフィランの免疫力強化作用訴求による「機能性素材の拡大」に注力してまいります。

 

 

畜産食品事業

黒豚販売事業の供給体制再検討、都城工場と都城ウエルネスミートの連携強化による「食肉供給体制の最適化」、「食肉・加工品販売の強化と一本化」により量販店への積極的なPB提案や店内シェア向上を図るとともに、下関工場・都城工場・林兼フーズの生産品目整理や省人化設備投資の実施からなる「生産体制再編による効率化」に注力してまいります。

 

飼料事業

養魚用飼料においては、魚粉に依存しない新時代飼料の販売拡大や、マグロ用配合飼料の販売拡大、海外輸出の対象国と数量拡大による「養魚用飼料の差別化販売」に注力してまいります。

 

また、新型コロナウイルス感染症は未だ収束しておらず、今後の事業活動へ与える影響は不透明な状況ですが、当社グループでは影響の最小化を図るべく、対処可能な課題に取り組んでまいります。

 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅したものではありません。

 

(1) 特定の取引先への依存について

当社グループは、魚肉ねり製品、養魚用飼料の販売においてマルハニチロ株式会社への依存度が高く、2020年3月期の連結売上高に占める割合は14.5%となっており、海外を中心とした新規取引の増加により依存度低減に努めております。

同社との取引は安定的に推移しておりますが、これらの取引に支障が生じた場合には、売上高の減少などが業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 農畜水産物相場の変動について

当社グループは、販売及び原材料等の仕入れにおいて農畜水産物を多く取り扱っておりますが、これらは市場での需給状況や、生産地域での天候不順、自然災害、疾病の発生などにより相場が大きく変動する可能性があります。

当社グループはこれらの相場変動リスクに対し、販売・仕入先の分散化や、新規ルートの獲得、販売・仕入形態の多様化によるリスク分散に努めておりますが、予想を超える相場変動が生じた場合には、売上高の減少や原材料価格の上昇などが業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 売上債権の回収について

当社グループは販売先に対して信用リスクを有しており、特に配合飼料の販売においては回収サイトが長く、その販売先には信用力の乏しい水畜産物の生産者が多く含まれております。

これらの販売先は、水畜産物相場の下落、台風や赤潮などの自然災害、豚熱や鳥インフルエンザなど疾病の発生による影響を受けやすく、予想できない事象の発生により業績を悪化させた場合には、多額の売上債権が回収困難になる可能性があります。

当社グループはこれらの回収リスクに対し、十分な与信管理を行うとともに、売上債権に対して一定の貸倒引当金を計上しておりますが、貸倒引当金を大幅に超える貸し倒れやその懸念が発生した場合には、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 為替変動リスクについて

当社グループが行う製品の輸出や原材料等の輸入取引は、為替相場の影響を受けております。

当社グループは為替相場の変動リスクに対し、外貨建取引に関しては為替予約によるリスクヘッジを行っておりますが、主に外貨に対する円安傾向が長く続いた場合には、原材料価格の上昇などが業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 金利の変動について

当社グループは、必要資金を金融機関からの借入れやファイナンス・リースにより調達しております。

当社グループは借入金残高の圧縮による有利子負債依存度の低減に努めておりますが、将来の金利情勢や当社グループの信用状態の悪化により金利が上昇した場合には、支払利息の増加が業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(6) 食品の安全性について

当社グループは食の安全を第一とし、ISO22000(食品安全マネジメントシステム)の認証を取得するとともに、品質管理委員会、品質保証部、生産工場の品質管理部門が連携した品質保証体制のもと、品質管理と品質保証の充実に取り組んでおります。

しかしながら、当社グループの取り組みを超えた事象が発生した場合や、食の安全を脅かすような社会全般にわたる問題が発生した場合には、信頼の失墜や風評被害による売上高の減少等が業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 自然災害や感染症の蔓延等について

当社グループは、台風や地震などの自然災害、キリシマドリームファーム株式会社が運営する農場における豚熱などの疾病の発生に対しては、必要な安全・防疫対策を講じております。

しかしながら全てのリスクを回避するのは困難であり、当社グループ又は取引先でこれらが発生し予想以上の被害を受けた場合には、事業活動の停滞または停止、多額の復旧費用の発生、肥育豚の大量処分などが業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 新型コロナウイルス感染症について

新型コロナウイルス感染症は未だ収束しておらず、今後の事業活動へ与える影響は不透明な状況です。

この様な中、当社グループでは感染防止対策として、衛生管理の徹底や、時差出勤・在宅勤務の実施、不要不急の出張自粛などを実施しておりますが、感染が長期化した場合には、当社グループの事業運営や業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度のわが国経済は、雇用・所得環境の改善が続く緩やかな回復基調で推移いたしましたが、年明け以降、新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大した影響から経済活動が停滞し、先行き不透明な状況となりました。食品業界におきましては、物流費などのコスト増加や慢性的な人手不足、国内外での家畜疾病の発生など厳しい経営環境が続きました。

このような状況のなか、当社グループは「第四次中期経営計画」(2019年3月期~2020年3月期)のもと、「前進~次のステージへ」をテーマに「収益基盤」「財務基盤」「経営基盤」の安定化を図り、持続的な成長を可能とする事業基盤の確立に取り組んでまいりました。

「収益基盤」については、機能性食品の増産対応や加工食品工場の最適生産体制を構築するとともに、投資効果の検証などを通じて収益体制の確立に取り組んでまいりました。

「財務基盤」については、有利子負債や在庫の圧縮による財務改善を目指してまいりました。

「経営基盤」については、コーポレートガバナンスを更に強化し継続的な企業価値向上を図ってまいりました。

以上の結果、当連結会計年度の当社グループの売上高は、養魚用飼料や機能性食品の売上が増加したことなどにより451億75百万円(前期比1.7%増加)となりました。損益面におきましては、豚肉仕入れコストの増加などによる利益率の悪化もあり営業利益は9億88百万円(前期比10.5%減少)となったものの、営業外収支の改善により経常利益は12億88百万円(前期比1.0%増加)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券評価損2億37百万円の計上などもありましたが、8億74百万円(前期比1.1%増加)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。

 

水産食品事業

魚肉ねり製品におきましては、中国向けの輸出増加や価格改定の実施により、増収となりました。

機能性食品におきましては、機能性食品素材「カツオエラスチン」や「ヒシエキス」、高齢者向けソフト食「ソフミート」の販売数量が増加したことにより、増収となりました。

これらにより、売上高は49億34百万円(前期比4.0%増加)、魚肉ねり製品の価格改定や輸出増加によりセグメント利益(営業利益)は3億94百万円(前期比58.8%増加)となりました。

 

畜産食品事業

ハム・ソーセージ等食肉加工品におきましては、業務用商材の販売数量が減少したことなどにより、減収となりました。

肉類におきましては、豚肉の販売数量減少や単価下落により、減収となりました。

調理食品におきましては、販売数量が増加したことにより、増収となりました。

これらにより、売上高は195億88百万円(前期比2.0%減少)となりました。損益面におきましては、豚肉仕入れコストの増加などによる利益率の悪化もありセグメント利益(営業利益)は3億51百万円(前期比40.7%減少)となりました。

 

 

飼料事業

養魚用飼料におきましては、ブリ・マダイの在池量増加を背景に販売数量が増加したことにより、増収となりました。

水産物におきましては、鰻の取り扱い量が減少したことにより、減収となりました。

畜産用飼料におきましては、養豚用飼料の販売数量が増加したことにより、増収となりました。

これらにより、売上高は181億11百万円(前期比4.2%増加)、セグメント利益(営業利益)は11億16百万円(前期比5.6%増加)となりました。

 

その他の事業

その他の事業におきましては、売上高は25億41百万円(前期比11.2%増加)、セグメント利益(営業利益)は2億53百万円(前期比15.4%増加)となりました。

 

当連結会計年度末における資産合計は296億83百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億46百万円減少しました。流動資産の増加(前期末比6億82百万円増加)は、主に現金及び預金が4億3百万円減少したものの、商品及び製品が5億28百万円、仕掛品が1億77百万円、原材料及び貯蔵品が3億51百万円増加したことなどによるものであり、固定資産の減少(前期末比11億29百万円減少)は、主にリース資産(純額)が4億76百万円増加したものの、投資有価証券が15億10百万円減少したことなどによるものです。

 

当連結会計年度末における負債合計は210億81百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億92百万円減少しました。流動負債の減少(前期末比3億29百万円減少)は、主に短期借入金が6億78百万円増加したものの、買掛金が10億20百万円減少したことなどによるものであり、固定負債の減少(前期末比63百万円減少)は、主にリース債務が2億64百万円、退職給付に係る負債が86百万円増加したものの、繰延税金負債が3億90百万円減少したことなどによるものです。

 

当連結会計年度末における純資産合計は86億1百万円となり、前連結会計年度末に比べ54百万円減少しました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益を8億74百万円計上したものの、配当金の支払いによる利益剰余金の減少が1億33百万円あったことや、その他有価証券評価差額金が7億85百万円減少したことなどによるものです。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動によるキャッシュ・フロー、財務活動によるキャッシュ・フローは増加したものの、投資活動によるキャッシュ・フローは減少し、前連結会計年度末に比べ6億77百万円減少の15億51百万円(前期末比30.4%減少)となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金の増加は1億15百万円(前期は8億87百万円の増加)となりました。これは主にたな卸資産の増加額が10億57百万円、仕入債務の減少額が8億22百万円あったものの、税金等調整前当期純利益10億34百万円、減価償却費8億22百万円の計上や、売上債権の減少額が4億9百万円あったことなどによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金の減少は8億19百万円(前期は8億61百万円の減少)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が8億81百万円あったことなどによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金の増加は27百万円(前期は5億64百万円の減少)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出が14億58百万円、リース債務の返済による支出が2億55百万円あったものの、短期借入れによる収入が6億15百万円、長期借入れによる収入が12億72百万円あったことなどによるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

金額(千円)

前期比(%)

水産食品事業

3,958,735

+8.1

畜産食品事業

13,558,086

△3.9

飼料事業

18,682,660

+4.0

合計

36,199,481

+1.3

 

(注) 1 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.商品仕入実績

当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

金額(千円)

前期比(%)

水産食品事業

622,871

+15.7

畜産食品事業

6,203,253

△3.5

飼料事業

2,277,949

△4.4

その他の事業

1,450,706

+30.5

合計

10,554,780

+0.9

 

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

金額(千円)

前期比(%)

水産食品事業

4,934,825

+4.0

畜産食品事業

19,588,054

△2.0

飼料事業

18,111,628

+4.2

その他の事業

2,541,103

+11.2

合計

45,175,612

+1.7

 

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりです。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

マルハニチロ株式会社

6,776,719

15.3

6,554,459

14.5

 

(注) 総販売実績に対する割合が10%以上のものについて記載しております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、財政状態におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による政策保有株式の株価下落により、その他有価証券評価差額金が減少したことから純資産合計がわずかに減少することとなりました。しかしながら、経営成績におきましては、養魚用飼料や機能性食品の売上が増加したことにより前年度に続き増収となり、損益面におきましても利益率の向上を目的に取り組んでまいりました魚肉ねり製品の価格改定や輸出の増加、営業外収支の改善などにより、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は6期連続の増益となりました。

また、前中期経営計画で3%超に目標を引き上げた売上高経常利益率は2.9%となり、当連結会計年度においてほぼ達成することができており、収益基盤の確立に向けて着実に前進しているものと評価しております。

新たに策定しました新中期経営計画は「挑戦」をテーマとし、更なる構造改革による収益基盤の改善を図り、安定的な利益確保と持続的な事業発展を目指してまいります。

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、主には「2 事業等のリスク」に記載したものが考えられます。特に、当社グループが取り扱う製・商品や原材料の多くは農・畜産物や水産物であるため、相場による価格変動が業績に影響を与える可能性があると認識しており、為替予約による為替リスクのヘッジや原材料の調達範囲の拡大等により、リスク要因を分散・低減するよう努めております。また、豚ウイルス性疾病などにより当社グループで運営する農場の肥育豚の大量処分などを余儀なくされる場合には業績に大きな影響を及ぼす可能性があるため、野生動物侵入防止対策や飼養衛生管理に関する教育の徹底など万全な防疫管理を期しております。

 

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりです。

 

水産食品事業

魚肉ねり製品は収益改善を目的とした価格改定や輸出の増加、設備レイアウトの変更による生産性の向上などにより増収増益となりました。機能性食品も機能性素材の販売数量の増加に対応し得る設備の増強を行ったことや、介護食の新たな取引先の開拓やアイテムの開発により増収増益となりました。

また、開発部門を直轄とする組織変更を行ったことにより、機能性食品の研究開発の機動性・効率性が高まり、更なる収益性の拡大が期待できることとなりました。

 

畜産食品事業

販売競争が激化するなか、中食・外食向け調理食品は増収となったものの、豚肉やハム・ソーセージ等食肉加工品は減収となっております。物流費や製造コストが増加するなか、複数ある加工食品工場の生産品目や工場再編に着手しており、それぞれの生産拠点の特性を活かした効率的な生産を行うことにより収益力の拡大を図ってまいります。

また、指定管理者としてと畜事業を行っております都城ウエルネスミート株式会社が本年4月、都城市より「都城市食肉センター」を取得したことにより、今後は都城地区における飼育・と畜・加工の一体的運営がさらに強化され、当社グループにおける食肉事業の安定化が図られることが期待できます。

 

飼料事業

水産物は減収となったものの、在池量増加や当社が開発した養殖ぶり寄生虫(ベコ病)の予防法普及による販売サポートを背景に養魚用飼料は増収となりました。また、東南アジア向けの輸出が拡大したことも売上増加の主因となっております。これらの販売強化策に加え、原料調達範囲の拡大や水産物の育成改善等にも引き続き注力し、今後は更なる売上増加を目的に輸出対象国を広げるなど海外販売を強化し、業績の拡大を図ってまいります。

 

 

なお、新型コロナウイルス感染症拡大が業績に与える影響については、当連結会計年度は事業そのものへの影響は少なかったものの、新型コロナウイルスの世界的な拡大により株式市場が混乱、2月後半から大きく相場が下落し、当社グループにおいても2億円を超える評価損の計上を余儀なくされました。

現在の状況では、外食やホテル向けの不振により業務用加工品や水産物の売上減少が予想され、食肉については豚肉の相場高による仕入コストの増加により利益率の悪化が見込まれます。

養魚用飼料においても水産物の不振により打撃を受ける生産者の影響により、売上の減少が予測されます。

魚肉練製品や機能性食品は堅調に推移するものと予測しております。

これらにより翌連結会計年度(2021年3月期)は減収減益(当期純利益は増益)を予想しておりますが、新型コロナウイルス感染症は未だ収束しておらず、今後の事業活動へ与える影響は不透明な状況です。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度のフリー・キャッシュフロー(営業活動によるキャッシュ・フローおよび投資活動によるキャッシュ・フロー)は、前連結会計年度末に比べ7億30百万円減少の△7億4百万円となりました。前連結会計年度末が銀行休日であったことによる仕入債務の減少や、たな卸資産の増加などによります。

当社グループは、自己資本比率とD/Eレシオを財務健全性を測る指標としており、年々改善傾向にはあるものの、未だ有利子負債の比率が高く磐石な体質には達していないと認識していることから、継続的に安定した利益を確保するとともに、たな卸資産の圧縮を進めつつ財務健全性の向上を図ってまいります。

フリー・キャッシュフローにつきましては、中長期的な企業価値の向上に資する設備投資への備え、業績に応じた適切な利益配分に基づく株主還元、財務健全性を向上させるべく有利子負債の圧縮に活用してまいります。

財源及び資金の流動性につきましては、運転資金及び設備資金は自己資金または金融機関からの借入れにより調達することとし、安定的な資金調達により十分な流動性を確保することを方針としております。また、短期流動性を確保するため、資金余剰状態にあるグループ会社から当社が資金を借入れ、資金需要が発生しているグループ会社へ貸出しを行うグループ資金貸借を行っております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって、当社グループが行った会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、見積りを行った時点ではその対象となる事象の不確実性が高く、また、見積りと実績の差が当社グループの財政状態及び経営成績の開示に重要な影響を与えると考えられるものについて、経営者が特に重要と認識しているものは以下のとおりです。

なお、新型コロナウイルス感染症拡大に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 (追加情報)」に記載しております。

 

貸倒引当金

当社グループは、回収に懸念がある特定の債権に対する貸倒引当金については、相手先の支払能力、担保の処分見込み額等を検討し、回収不能額を見積った上で個別に貸倒引当金を計上しております。

見積りに用いた仮定については、過去の経験、相手先の経営環境及び市場動向、担保物の換金可能性及び換金価値、相手先が抱える事業上のリスクなど不確実性の高い様々な要因を考慮しているため、実際の回収不能額と見積りが乖離した場合には、貸倒引当金の追加計上又は貸倒損失の計上が必要となる可能性があります。

 

繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産の計上については、入手可能な将来の課税所得の見積りからその回収可能性が見込めないと考えられる場合には、評価性引当金の計上により繰延税金資産の額を減額しております。

課税所得の見積りに用いた仮定は、当社グループの経営環境及び市場動向、事業上のリスクなど不確実性の高い様々な要因に基づく事業計画によっているため、その見積もりの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合には、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

重要な固定資産の譲渡

当社は、2020年2月14日の取締役会において、下記の通り固定資産を譲渡することについて決議し、2020年3月2日に不動産売買契約を締結しております。

 

(1)譲渡の理由

経営資源の有効活用と財務体質の強化を図るため、当該固定資産を譲渡することといたしました。

 

(2)譲渡資産の内容

資産の名称および所在地

譲渡価額

譲渡損益

現況

土地:大阪府大阪市港区福崎2-3-1

他5筆

12,238.12㎡ (全体面積)

建物:鉄筋コンクリート5階建

8,153.34㎡(延べ床面積)

1,880,000千円

762,478千円

賃貸用資産

 

(注)譲渡損益は、一部固定資産の除却損および建物解体費ならびに譲渡に係る諸経費を控除した概算額を記

載しております。

 

(3)譲渡先の概要

名称       株式会社ライフコーポレーション

本店所在地    東京都中央区日本橋本町3丁目6番2号

主な事業の内容  スーパーマーケットチェーン

 

(4)譲渡の日程

取締役会決議日  2020年2月14日

契約締結日    2020年3月2日

物件引渡日    2020年8月31日予定

 

(5)当該事象の損益及び連結損益に与える影響

当該固定資産の譲渡に伴い、2020年8月に特別利益として固定資産売却益7億62百万円(概算)を計上する見込みです。

 

5 【研究開発活動】

当社グループ(当社及び連結子会社)は、日本の食卓を安全で、豊かで、楽しいものにすることを基本方針として、新しい食品素材の開発から製品の開発、環境に配慮した配合飼料の開発等、幅広い研究開発活動を行っております。

研究開発体制は、当社の開発部、品質保証部、品質管理課、事業開発課、商品開発課、研究課、水産研究センター、家畜魚類診療所および林兼フーズ株式会社の研究開発部門により推進されており、研究開発要員はグループ全体で86名です。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は551百万円であり、各セグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は、次のとおりです。

 

(1) 水産食品事業及び畜産食品事業

水産食品事業及び畜産食品事業における研究開発の基本方針として、
① 大手食品メーカーおよび異業種との協働型新規食品の開発
② 受託食肉加工品(OEM)の迅速かつ効率的開発
③ 高齢者社会に対応した健康志向食品及び機能性食品の開発
④ 天然物由来機能性素材(健康食品及び化粧品素材)の研究・開発
 以上4項目を研究開発テーマとし、当社の開発部を中心に品質保証部、品質管理課、事業開発課、商品開発課、林兼フーズ株式会社の研究開発部門と連携し、水産食品事業及び畜産食品事業一体として研究開発活動を推進しております。
 研究開発テーマの内、特に注力しているのは天然物由来機能性素材の研究・開発であり、当連結会計年度は主に機能性素材の試験管内試験、動物試験の実施によるエビデンスの蓄積と成果発表に取り組みました。

エラスチンに関しては、消費者庁へ「カツオ由来エラスチンペプチドについての研究成果とエビデンス」の届け出を行いました。この結果、新たに2商品について「膝関節の動きをサポートし、軽い違和感を和らげる」機能の表現が可能となりました。また、大学との共同研究において、腎血管病変発症を抑制する可能性が示唆され、引き続き研究を行なっております。

ヒシエキスに関しては、抗糖化に着目し、「美容」「生活習慣病」の分野で研究開発とユーザーによる商品化推進のためのエビデンス取得に努めております。

アスコフィランHSに関しては、免疫を中心とした研究を継続して行なっております。

これら3素材の研究成果については、学会や展示会での発表、および論文や商業誌への投稿などで公表しており、特許出願も積極的に進めております。また、これらの研究につきましては、随時ホームページで情報提供しております。

さらに、大学及び異業種企業との共同研究により、有望な機能性を有する食品及び素材の開発、製品化を推進しております。

なお、当連結会計年度における研究開発費は419百万円です。

 

 

(2) 飼料事業

 飼料事業における研究開発は、「食の安全・安心」を基本として、生産物の安全性と環境への配慮を重視した配合飼料の開発に重点をおき、素材から製品まで幅広い分野で行っております。
 養魚用飼料は、「自然に魚に人にやさしい飼料」を研究開発の基本方針として、
 ① 環境への負担が少なく生産性向上能力を併せ持つ高性能EP飼料の開発と普及
 ② 魚が本来有する恒常性維持能力や健康維持能力の向上を目的とした機能性飼料の開発と普及
 ③ 見た目と味で満足させる高品質養殖魚の生産に寄与する肉質改善飼料開発
 ④ 供給・価格の安定しない魚粉に依存しない新時代養魚用飼料の開発
 ⑤ 難治性魚病対策や魚の衛生対策の確立
 以上5項目をテーマに掲げて、当社研究課、水産研究センターおよび家畜魚類診療所が一体となって研究開発に取り組んでおります。
 当連結会計年度における養魚用飼料の主な成果は、商品開発では、引き続きマグロ用配合飼料「ツナフード」について大きく製造ラインや製法の見直しを行い、更なる性能面の改良を行いました。

 さらに前連結会計年度において報告されたベコ病の対策薬について、水産業界への貢献およびベコ病撲滅のため、すべての養殖業者が使用出来る水産用医薬品の商品化に向けた取り組みを開始しております。
 継続中のものとしては、当社が販売する全ての魚種用で魚粉に依存しない新時代飼料の開発、抗寄生虫や抗病性等の養殖生産性改善効果を有する機能性飼料開発などがあります。また、外部機関との共同研究として、国立研究開発法人水産研究・教育機構等の産官学研究機関と「漁場環境改善推進事業」に取り組み、さらには地元水産業発展のため「下関ウニベーション推進協議会」に参加しております。
 畜産用飼料は、黒豚や赤鶏に代表される高品質・高付加価値生産物を育てる飼料の開発に注力しております。
 なお、当連結会計年度における研究開発費は131百万円です。