第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 経営方針

当社グループは、「売り手によし、買い手によし、世間によし、三方よし」を規範とし、飼料の生産から食品の販売まで取り扱う垂直型メーカーとして「安全・安心」で「良質」な製品を提供することを通じて、豊かな食文化の実現に貢献することを経営理念としております。

当社グループは、昨年4月からの2ヵ年を「将来を見据えた盤石な事業基盤の確立」の期間と位置付け「新中期経営計画〈挑戦〉challenge2022」(2021 年3月期~2022 年3月期)を策定し実行中です。経営資源の選択と集中により構造改革を推し進め、収益基盤の改善を図るべく取り組みを行っております。当社は本年1月に創業80周年を迎え、来るべき100周年、更には、その先へと続くよう未来を見据え、安定的な利益確保に向けて構造強化を図り、持続的な事業発展を目指してまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、収益力向上による企業価値を表す客観的な指標として売上高経常利益率3%を当面の目標値とし、「新中期経営計画〈挑戦〉challenge2022」に掲げる各施策の実施により、盤石な事業基盤の確立に取り組み、安定配当を目指してまいります。

 

(3) 中長期的な経営戦略

「新中期経営計画〈挑戦〉challenge2022」では、事業環境の変化を捉えた事業戦略と事業基盤の確立を目指し、「成長投資の推進」「事業ポートフォリオの検討」「財務健全性の強化」「コーポレートガバナンスの強化」に取り組んでおります。

「成長投資の推進」については、成長事業の規模拡大、増産対応、収益基盤の確立が見込めるものへの集中投資を行っております。「事業ポートフォリオの検討」については、従来の体制にこだわらず、事業環境の変化を捉えた選択と集中によるポートフォリオの最適化を念頭に組織改編など取り組み中です。「財務健全性の強化」については、有利子負債や在庫の圧縮を進めつつ成長投資を推進し自己資本比率、D/Eレシオの改善を目指しており、目標として掲げておりました『自己資本比率:30%以上』『ネットD/Eレシオ:1.0以下』を達成しております。「コーポレートガバナンスの強化」については、透明性・公正性を担保しつつ迅速・果断な意思決定を行う仕組みの充実に努めており、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指しております。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社を取巻く原料事情は、今後も厳しい状況が続くものと思われます。魚肉ねり製品の主原料であるすり身、食肉加工品の主原料である豚肉、配合飼料の主原料である魚粉・穀物などは、相場変動により収益を圧迫する要因となります。

このような状況のなか、「新中期経営計画〈挑戦〉challenge2022」の初年度における連結業績につきましては、外食需要の減少から食肉加工品の販売数量が減少したものの、巣ごもり需要の高まりから調理食品の販売数量が増加したことや固定費が減少したことにより損益面においてはほぼ計画どおりとなりました。

なお、厳しい経営環境を勝ち抜くため2021年4月より水産・機能食品事業部と畜産食品事業部を統合し機能・食品事業部とし、経営体制の強化と効率化を図ることとしました。

今後はこの体制のもと、各事業セグメントにおいては、原料相場等の事業環境の変化に左右されない事業基盤の確立を目指し、以下のテーマに取り組んでまいります。

 

 

機能・食品事業

魚肉ソーセージは、国内の巣ごもり需要の増大から小売店向けで売上を伸ばす一方、中国をはじめとする海外の需要が低迷し売上が大きく減少したことから、今後は海外マーケットの回復策とその代替となる需要の開拓に取り組みます。高齢者向けソフト食「ソフミート」や和菓子は、順調に伸張しており、今後は人手不足の施設給食向けに調理時短商品の開発と、病院施設以外の業務用ルートへの販路を拡大し更なる事業拡大を目指します。機能性食品素材の「エラスチン」・「ヒシエキス」・「アスコフィラン」については、引続き販路拡大に注力してまいります。

黒豚事業は、当社グループ内の飼料・養豚・と畜・加工の各部門の連携強化による「食肉供給体制の最適化」に継続して取り組みます。販売部門においては、食肉惣菜商品の量販店への販売を強化し、生産部門においては、生産体制再編による効率化を進めるとともに、省人化を目的とした設備投資を行ってまいります。

 

飼料事業

養魚用飼料においては、魚粉に依存しない新時代飼料の販売拡大や、マグロ用配合飼料の販売拡大、海外輸出の対象国と数量拡大による「養魚用飼料の差別化販売」に注力してまいります。畜産用飼料においては、機能・食品事業と連携した「高品質畜産物生産用飼料の開発」に注力してまいります。

 

また、新型コロナウイルス感染症は未だに収束には至らず、今後も当社グループの事業活動へ影響を及ぼすことも想定されますが、適時適切な対応を実施しながら各課題を解決していくことで、その影響を最小限に留めるよう努めてまいります。

 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅したものではありません。

 

(1) 特定の取引先への依存について

当社グループは、魚肉ねり製品、養魚用飼料の販売においてマルハニチロ株式会社への依存度が高く、2021年3月期の連結売上高に占める割合は14.4%となっており、海外を中心とした新規取引の増加により依存度低減に努めております。

同社との取引は安定的に推移しておりますが、これらの取引に支障が生じた場合には、売上高の減少などが業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 農畜水産物相場の変動について

当社グループは、販売及び原材料等の仕入れにおいて農畜水産物を多く取り扱っておりますが、これらは市場での需給状況や、生産地域での天候不順、自然災害、疾病の発生などにより相場が大きく変動する可能性があります。

当社グループはこれらの相場変動リスクに対し、販売・仕入先の分散化や、新規ルートの獲得、販売・仕入形態の多様化によるリスク分散に努めておりますが、予想を超える相場変動が生じた場合には、売上高の減少や原材料価格の上昇などが業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 売上債権の回収について

当社グループは販売先に対して信用リスクを有しており、特に配合飼料の販売においては回収サイトが長く、その販売先には信用力の乏しい水畜産物の生産者が多く含まれております。

これらの販売先は、水畜産物相場の下落、台風や赤潮などの自然災害、豚熱や鳥インフルエンザなど疾病の発生による影響を受けやすく、予想できない事象の発生により業績を悪化させた場合には、多額の売上債権が回収困難になる可能性があります。

当社グループはこれらの回収リスクに対し、十分な与信管理を行うとともに、売上債権に対して一定の貸倒引当金を計上しておりますが、貸倒引当金を大幅に超える貸し倒れやその懸念が発生した場合には、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 為替変動リスクについて

当社グループが行う製品の輸出や原材料等の輸入取引は、為替相場の影響を受けております。

当社グループは為替相場の変動リスクに対し、外貨建取引に関しては為替予約によるリスクヘッジを行っておりますが、主に外貨に対する円安傾向が長く続いた場合には、原材料価格の上昇などが業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 金利の変動について

当社グループは、必要資金を金融機関からの借入れやファイナンス・リースにより調達しております。

当社グループは借入金残高の圧縮による有利子負債依存度の低減に努めておりますが、将来の金利情勢や当社グループの信用状態の悪化により金利が上昇した場合には、支払利息の増加が業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(6) 食品の安全性について

当社グループは食の安全を第一とし、ISO22000(食品安全マネジメントシステム)の認証を取得するとともに、品質管理委員会、品質保証部、生産工場の品質管理部門が連携した品質保証体制のもと、品質管理と品質保証の充実に取り組んでおります。

しかしながら、当社グループの取り組みを超えた事象が発生した場合や、食の安全を脅かすような社会全般にわたる問題が発生した場合には、信頼の失墜や風評被害による売上高の減少等が業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 自然災害や感染症の蔓延等について

当社グループは、台風や地震などの自然災害、キリシマドリームファーム株式会社が運営する農場における豚熱などの疾病の発生に対しては、必要な安全・防疫対策を講じております。

しかしながら全てのリスクを回避するのは困難であり、当社グループ又は取引先でこれらが発生し予想以上の被害を受けた場合には、事業活動の停滞または停止、多額の復旧費用の発生、肥育豚の大量処分などが業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 新型コロナウイルス感染症について

新型コロナウイルス感染症は未だ収束しておらず、今後の事業活動へ与える影響は不透明な状況です。
 この様な中、当社では国内の感染状況に応じた対応方針を適宜発信し、事業所における感染防止に向けた取り組みをグループ全体で継続しておりますが、クラスターの発生等により事業活動を停止せざるを得ない事象が発生した場合には、グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け依然として厳しい状況で推移いたしました。設備投資や輸入に持ち直しの動きもありますが、個人消費に弱さが見られ、先行き不透明な状況が続いております。食品業界におきましても、外食需要の減少など厳しい経営環境が続きました。

このような状況のなか、当社グループは当連結会計年度からの2ヵ年を「将来を見据えた磐石な事業基盤の確立」の期間と位置付け、「新中期経営計画<挑戦>challenge2022」(2021年3月期~2022年3月期)をスタートさせました。本計画の基本方針である「成長投資の推進」「事業ポートフォリオの検討」「財務健全性の強化」「コーポレートガバナンスの強化」に沿った諸施策により、経営資源の選択と集中による構造改革を進めて収益基盤の改善を図るとともに、安定的な利益確保に向けた構造強化を図り、持続的な事業発展を目指しております。

当連結会計年度の当社グループの売上高は、巣ごもり需要が高まり調理食品の販売数量が増加したものの、外食産業・ホテル向けの業務用食肉加工品の販売数量が減少したことや、養殖魚の需要低迷に伴い養魚用飼料の販売数量が減少したことにより、443億66百万円(前期比1.8%減少)となりました。損益面におきましては、業務用食肉加工品や養魚用飼料の販売数量減少などにより営業利益は6億15百万円(前期比37.7%減少)、経常利益は8億48百万円(前期比34.2%減少)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、賃貸用不動産(大阪市港区)の売却益7億81百万円の計上もあり12億91百万円(前期比47.7%増加)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。

なお、当連結会計年度より、報告セグメントの変更等を行っており、当連結会計年度の比較・分析は、変更後の報告セグメントに基づいております。

 

水産・機能食品事業

魚肉ねり製品におきましては、国内向けの販売数量が増加したものの、中国向けの輸出が減少したことにより、減収となりました。

機能性食品におきましては、中国向けの輸出が減少したことにより、減収となりました。

これらにより、売上高は48億28百万円(前期比2.2%減少)となりました。損益面におきましては、販売費の減少によりセグメント利益(営業利益)は2億52百万円(前期比14.3%増加)となりました。

 

畜産食品事業

ハム・ソーセージ等食肉加工品におきましては、外食需要の減少により販売数量が減少したことで、減収となりました。

肉類におきましては、牛肉・豚肉の販売数量が増加したことにより、増収となりました。

調理食品におきましては、巣ごもり需要の高まりから冷凍食品・レトルト商品向け具材の販売が好調であったことにより、増収となりました。

これらにより、売上高は196億13百万円(前期比0.1%増加)となりました。損益面におきましては、業務用食肉加工品の販売数量減少や豚肉仕入れコストの増加によりセグメント利益(営業利益)は1億4百万円(前期比70.3%減少)となりました。

 

 

飼料事業

養魚用飼料におきましては、養殖魚の需要低迷に伴い販売数量が減少したことにより、減収となりました。

水産物におきましては、取り扱い量が増加したことにより、増収となりました。

畜産用飼料におきましては、養豚用飼料の販売数量が減少したことにより、減収となりました。

これらにより、売上高は176億22百万円(前期比2.7%減少)、セグメント利益(営業利益)は9億9百万円(前期比18.5%減少)となりました。

 

その他の事業

その他の事業におきましては、売上高は23億1百万円(前期比9.4%減少)、セグメント利益(営業利益)は2億61百万円(前期比3.2%増加)となりました。

 

当連結会計年度末における資産合計は286億61百万円となり、前連結会計年度末に比べ10億21百万円減少しました。流動資産の減少(前期末比8億15百万円減少)は、主に現金及び預金が5億44百万円増加したものの、受取手形及び売掛金が3億91百万円、商品及び製品が1億39百万円、仕掛品が4億81百万円、原材料及び貯蔵品が1億47百万円減少したことなどによるものであり、固定資産の減少(前期末比2億6百万円減少)は、主に投資有価証券が6億8百万円増加したものの、破産更生債権等が7億29百万円減少したことなどによるものです。

 

当連結会計年度末における負債合計は184億22百万円となり、前連結会計年度末に比べ26億59百万円減少しました。流動負債の減少(前期末比19億48百万円減少)は、主に短期借入金が19億48百万円減少したことなどによるものであり、固定負債の減少(前期末比7億10百万円減少)は、主に長期借入金が7億43百万円減少したことなどによるものです。

 

当連結会計年度末における純資産合計は102億39百万円となり、前連結会計年度末に比べ16億37百万円増加しました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益を12億91百万円計上したことなどによるものです。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、財務活動によるキャッシュ・フローは減少したものの、営業活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フローは増加し、前連結会計年度末に比べ4億24百万円増加の19億76百万円(前期末比27.3%増加)となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金の増加は32億80百万円(前期は1億15百万円の増加)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益12億84百万円の計上や、売上債権の減少額が11億93百万円、たな卸資産の減少額が7億68百万円あったことなどによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金の増加は47百万円(前期は8億19百万円の減少)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が10億60百万円、定期預金の預入による支出が5億95百万円あったものの、有形固定資産の売却による収入が15億15百万円あったことなどによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金の減少は29億4百万円(前期は27百万円の増加)となりました。これは主に短期借入金の純減少額が12億65百万円、長期借入金の返済による支出が17億85百万円あったことなどによるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

金額(千円)

前期比(%)

水産・機能食品事業

3,530,645

△10.8

畜産食品事業

12,649,947

△6.7

飼料事業

18,572,810

△0.6

合計

34,753,402

△4.0

 

(注) 1 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.商品仕入実績

当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

金額(千円)

前期比(%)

水産・機能食品事業

670,940

+7.7

畜産食品事業

6,548,458

+5.6

飼料事業

2,101,228

△7.8

その他の事業

1,086,995

△25.1

合計

10,407,621

△1.4

 

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

金額(千円)

前期比(%)

水産・機能食品事業

4,828,711

△2.2

畜産食品事業

19,613,307

+0.1

飼料事業

17,622,839

△2.7

その他の事業

2,301,791

△9.4

合計

44,366,649

△1.8

 

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりです。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

マルハニチロ株式会社

6,554,459

14.5

6,406,485

14.4

 

(注) 総販売実績に対する割合が10%以上のものについて記載しております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、財政状態におきましては、税金等調整前当期純利益が12億84百万円となったことに加えて、売上債権やたな卸資産を削減したこと等により営業活動によるキャッシュ・フローが32億80百万円となり、有利子負債の削減を進めたことによって長・短借入金の合計は26億92百万円減少の92億23百万円となりました。また、純資産合計については、前連結会計年度比で16億37百万円増加の102億39百万円となりました。その主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益を12億91百万円計上したことやその他有価証券評価差額金が4億1百万円増加の9億78百万円となったこと等によるものです。

これらにより、「新中期経営計画<挑戦>challenge2022」で財務健全性の数値目標として掲げた自己資本比率は30%を超える32.5%となり、ネットD/Eレシオ(ネット有利子負債÷自己資本)は1.0倍以下となる0.95倍を達成することが出来ました。

経営成績におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け外食産業・ホテル向けの業務用食肉加工品の販売数量が減少したことや、養殖魚の需要低迷に伴い養魚用飼料の販売数量が減少したこと等により、営業利益・経常利益は減益となったものの、賃貸用不動産の売却益もあり親会社株主に帰属する当期純利益は7期連続の増益となりました。

当社グループを取り巻く経営環境は依然として先行き不透明な状況が続くものと考えられますが、経営資源の選択と集中による構造改革を推し進め、収益基盤の改善を図り安定的な利益確保と持続的な事業発展を目指してまいります。

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、主には「2 事業等のリスク」に記載したものが考えられます。特に、当社グループが取り扱う製・商品や原材料の多くは農・畜産物や水産物であるため、相場による価格変動が業績に影響を与える可能性があると認識しており、為替予約による為替リスクのヘッジや原材料の調達範囲の拡大等により、リスク要因を分散・低減するよう努めております。また、豚ウイルス性疾病などにより当社グループで運営する農場の肥育豚の大量処分などを余儀なくされる場合には業績に大きな影響を及ぼす可能性があるため、野生動物侵入防止対策や飼養衛生管理に関する教育の徹底など万全な防疫管理を期しております。

 

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりです。

 

水産・機能食品事業

魚肉練製品は巣ごもり需要の影響もあり国内向けについては販売数量が増加したものの、中国向けの輸出が減少し減収となりました。販売拡大が続いておりました機能性素材についても中国向けの減少等により減収となりましたが、海藻から抽出した「アスコフィランHS」が感染性肺炎の予防に関する特許を取得したことにより、今後は、本特許を利用し販売拡大を図るとともに、「カツオエラスチン」「ヒシエキス」に関する研究も引き続き推進し、お客様へ安全・安心で良質な食品を提供できるよう取組んでまいります。

また、開発部門を直轄とする組織変更を行ったことにより、機能性食品の研究開発の機動性・効率性が高まり、収益性の拡大が期待できることとなりました。

 

畜産食品事業

巣ごもり需要の高まりもあり冷凍食品やレトルト商品向け具材等の調理食品、牛肉・豚肉等の肉類は販売数量が増加し増収となりましたが、外食需要の減少によりハム・ソーセージ等食肉加工品は減収となりました。損益面におきましては、豚肉の仕入れ価格上昇や食肉加工品の販売数量減少による工場稼働率の低下もあり減益となりました。今後は、物流費や製造コストが増加するなか、複数ある加工食品工場の生産品目や工場再編に着手しており、それぞれの生産拠点の特性を活かした効率的な生産を行うことにより収益力の拡大を図ってまいります。

 

 

飼料事業

飼料事業におきましては、マグロ用配合飼料の販売は増加したものの、外食需要の減少による養殖魚の需要低迷に伴い養魚用飼料の販売数量が減少したことや、水産物の相場下落により減収・減益となりました。一方で、当社の技術力を背景に輸出は拡大しており、今後は輸出対象国も広げ販売拡大を目指してまいります。また、当社が開発した養殖ぶり寄生虫(ベコ病)の予防法普及による販売サポート等の販売強化策に加え、原料調達範囲の拡大や水産物の育成改善等にも引き続き注力し、収益力の拡大を図ってまいります。

 

なお、新型コロナウイルス感染症拡大による影響については、外食需要の減少により、業務用食肉加工品の販売数量が減少したことや養殖魚の需要低迷に伴い水産物相場の下落や養魚用飼料の販売数量が減少する等の影響があり、固定費の減少はあったものの、営業利益・経常利益は減益となりました。

今後も不透明な状況が続くと思われ、翌連結会計年度も厳しい経営環境が続くものと予測しておりますが、「新中期経営計画<挑戦>challenge2022」に沿った諸施策を確実に実行し、収益基盤の改善を図るとともに、安定的な利益確保に向けた構造強化を図ってまいります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度のフリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローおよび投資活動によるキャッシュ・フロー)は、前連結会計年度末に比べ4031百万円増加の3327百万円となりました。売上債権の減少や、たな卸資産の減少、有形固定資産の売却による収入があったことなどによります。

当社グループは、自己資本比率とネットD/Eレシオ(ネット有利子負債÷自己資本)を財務健全性を測る指標としており、年々改善傾向にはあるものの、未だ有利子負債の比率が高く磐石な体質には達していないと認識していることから、継続的に安定した利益を確保するとともに、たな卸資産の圧縮を進めつつ財務健全性の向上を図ってまいります。

フリー・キャッシュ・フローにつきましては、中長期的な企業価値の向上に資する設備投資への備え、業績に応じた適切な利益配分に基づく株主還元、財務健全性を向上させるべく有利子負債の圧縮に活用してまいります。

財源及び資金の流動性については、運転資金及び設備資金は自己資金または金融機関からの借入れにより調達することとし、安定的な資金調達により十分な流動性を確保することを方針としております。また、短期流動性を確保するため、資金余剰状態にあるグループ会社から当社が資金を借入れ、資金需要が発生しているグループ会社へ貸出しを行うグループ資金貸借を行っております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

当社グループ(当社及び連結子会社)は、日本の食卓を安全で、豊かで、楽しいものにすることを基本方針として、新しい食品素材の開発から製品の開発、環境に配慮した配合飼料の開発等、幅広い研究開発活動を行っております。

研究開発体制は、当社の水産・機能食品事業部(商品企画課、商品開発課、機能食品研究室、品質管理課)、畜産食品事業部(商品開発課)、飼料事業部(研究課、水産研究センター、家畜魚類診療所、品質管理課)、および林兼フーズ株式会社の研究開発部門が連携して推進しており、研究開発要員はグループ全体で69名です。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は440百万円であり、各セグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は、次のとおりです。

 

(1) 水産・機能食品事業及び畜産食品事業

水産・機能食品事業及び畜産食品事業における研究開発の基本方針として、
① 大手食品メーカーおよび異業種との協働型新規食品の開発
② 受託食肉加工品(OEM)の迅速かつ効率的開発
③ 高齢者社会に対応した健康志向食品及び機能性食品の開発
④ 天然物由来機能性素材(健康食品及び化粧品素材)の研究・開発
 以上4項目を研究開発テーマとし、水産・機能食品事業部(商品企画課、商品開発課、機能食品研究室、品質管理課)、畜産食品事業部(商品開発課)、および林兼フーズ株式会社の研究開発部門が連携し、研究開発活動を推進しております。
 研究開発テーマの内、特に注力しているのは天然物由来機能性素材の研究・開発であり、当連結会計年度は主に以下機能性素材のエビデンス蓄積と成果発表に取り組みました。

エラスチンに関しては、肌の「弾力性」や「水分量」を維持する効果が臨床試験により示されました。また、前連結会計年度より取り組んでおります腎血管病変発症の抑制効果について、血管保護作用により腎臓の硬化が抑制される可能性を見出しました。

ヒシエキスに関しては、本素材の有する強力な抗糖化作用に着目し、糖化を抑えることで得られる「美容」「生活習慣病予防」効果に関する研究開発を引き続き進め、ユーザーによる商品化推進のためのエビデンス取得に努めております。

アスコフィランHSに関しては、免疫機能への効果を中心とした研究を継続して行なっており、感染症の予防に関連する特許「感染性肺炎の予防及び治療用組成物」(特許第6854613号)を取得いたしました。

これら3素材の研究成果については、学術論文、商業誌への投稿に加え、オンラインツールを用いた学会発表などで公表しており、特許出願も積極的に進めております。また、これらの研究については、随時ホームページで情報提供しております。

さらに、大学及び異業種企業との共同研究により、有望な機能性を有する食品及び素材の開発、製品化についても引き続き推進しております。

なお、当連結会計年度における研究開発費は294百万円です。

 

 

(2) 飼料事業

飼料事業における研究開発は、「食の安全・安心」を基本として、生産物の安全性と環境への配慮を重視した配合飼料の開発に重点をおき、素材から製品まで幅広い分野で行っております。
 養魚用飼料は、「自然に魚に人にやさしい飼料」を研究開発の基本方針として、
 ① 環境への負担が少なく生産性向上能力を併せ持つ高性能EP飼料の開発と普及
 ② 魚が本来有する恒常性維持能力や健康維持能力の向上を目的とした機能性飼料の開発と普及
 ③ 見た目と味で満足させる高品質養殖魚の生産に寄与する肉質改善飼料開発
 ④ 供給量や価格が不安定である「魚粉」に依存しない新時代養魚用飼料の開発
 ⑤ 難治性魚病対策や魚の衛生対策の確立
 以上5項目をテーマに掲げて、当社研究課、水産研究センター、家畜魚類診療所および品質管理課が連携して研究開発活動に取り組んでおります。
 当連結会計年度における養魚用飼料の主な成果については、魚病対策に特化した獣医師を中心に、対策が困難であった難治性魚病に対応する対策薬の開発を重点的に実施し、良好な結果が認められております。

継続中のものとしては、全ての魚種用で魚粉に依存しない新時代飼料の開発、抗寄生虫や抗病性等の養殖生産性改善効果を有する機能性飼料開発などがあります。特に、当社が開発したブリ・ベコ病の対策薬については、水産業界への貢献のため、水産用医薬品化に向けた取り組みを継続しております。

その他としては、外部機関との共同研究として、国立研究開発法人水産研究・教育機構等の産官学研究機関と「漁場環境改善推進事業」に取り組み、さらには地元水産業発展のため「下関ウニベーション推進協議会」に参加しております。

畜産用飼料については、黒豚や赤鶏に代表される高品質・高付加価値生産物を育てる飼料の開発に注力しております。
 なお、当連結会計年度における研究開発費は146百万円です。