第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) トップメッセージ


 

2021年度の市場環境と業績に対する評価

 2021年度は、新型コロナウイルスの感染状況により、内食、中食、外食のバランスが目まぐるしく変化する見通しにくい市場環境が続きました。また、外出の制限やリモートワークの定着により、都心から郊外へと商品が購入・消費される場所も大きく変化しました。

こうした状況は、食品メーカーである当社のビジネスにも大きな影響をもたらしました。商品の販売動向が刻々と変化する中で、営業部門とSCM・生産・調達部門が密に連携し、サプライチェーンのコントロールに奔走した1年であったと思います。一方で、お客様の健康意識が高まったことで、免疫力を高める効果が期待できる食材として緑黄色野菜が注目され、当社の基幹商品である野菜飲料の需要が拡大するといった追い風もありました。国際事業においては、外食向けの商品構成比が高いこともあり、ロックダウンの影響を如実に受けることになりましたが、2021年度の後半は、日本より早いタイミングで外食需要が持ち直したこともあり、収益は回復傾向となりました。
 非常に難しい経営環境でしたが、2021年度の業績は売上収益1,896億円(前年度比+3.6%)、事業利益141億円(前年度比+4.0%)となり、前年度対比で増収増益という結果で着地することができました。需要動向が見通しにくい中、販売量の変動に臨機応変に対応し食品メーカーとしての供給責任を果たすとともに、消費行動の変化に合わせた新しい販売先の開拓に取り組むなど、一つひとつの粘り強い活動が、こうした結果につながったのだと思います。諦めない姿勢を貫いた従業員やご協力いただいた取引先の皆様に感謝するとともに、この経験値は、第3次中期経営計画における新たな価値提供を実現する基盤になると確信しています。

 

第1次、第2次中期経営計画の振り返り

 第1次中期経営計画がスタートした2016年当時、当社の利益水準は著しく低下し、危機的な状況にありました。そのため、第1次、第2次中期経営計画を通じて当社が最も注力したのが収益構造の改革です。様々な施策により、第2次中期経営計画の最終年度である2021年の事業利益は、2015年度対比で約2倍に拡大し、いわゆる利益体質の企業へと転換することができたと思っています。一方で、成長の部分に目を向けると、2017年をピークに鈍化していることは明らかです。つまり現状の当社の課題は、利益を上げる力は付いたが成長する力が足りない企業となってしまったことにあります。これは、既存事業を深化させ、その効率性を高める活動と、成長に向けて新たな事業を探索する活動のバランスを欠いたこと、また事業投資における「確度」の検証が不十分であったことに起因しています。
 2022年度から始まる第3次中期経営計画は、こうした振り返りを踏まえ、成長に軸足をおいた戦略となっています。2016年に掲げた「2025年のありたい姿」の実現に向けた集大成の経営計画となりますので、設定した目標達成に集中し、必要な投資や費用投下を強化していきます。

 

成長に軸足をおいた第3次中期経営計画

カゴメは「食と健康」を事業ドメインとしています。この領域がこれからの社会において、非常に有望であることはご存知の通りかと思います。多くの企業が「食と健康」にフォーカスした新たな施策を次々と打ち出し、異業種からの参入も相次いでいます。大変厳しい競争環境に置かれていることは間違いありませんが、その中でも、「お客様に選んでいただける企業としてあり続け、その結果、持続的な成長を成し遂げていきたい」という想いが、第3次中期経営計画の根幹となっています。
 第3次中期経営計画の基本戦略は、以下の4つのアクションを推進するとともに、それぞれを有機的に連携させることで持続的成長の実現を目指すというものです。

 

① 野菜摂取に対する行動変容の促進
 2025年に向けた成長戦略の起点となるのは、全社を挙げた「野菜摂取量を増やす」取り組みです。この取り組みは、「健康寿命の延伸」という社会課題の解決に直接貢献するものであるとともに、野菜飲料などの需要拡大により当社の成長にもつながっていきます。野菜の摂取量を増やしていくためのポイントは、いかに多くのお客様に「たくさん野菜をとろう」という気持ちになっていただくかです。しかしながら、野菜摂取に対する行動を具体的に変えていただくこと(行動変容)は、簡単なことではありません。そこで、2020年からスタートしている「野菜をとろうキャンペーン」を第3次中期経営計画期間においても継続し、粘り強く行動変容の促進に取り組んでいきます。
 また、当社だけでは実現できないこと、アプローチできないステークホルダーもあるため、キャンペーンの一環として多くの企業・団体と連携した「野菜摂取推進プロジェクト」を発足しています。プロジェクトからの情報発信を強化していくことで、社会的なムーブメントとなるところまで活動を盛り上げ、「野菜を取ろう!」という機運を高めていきたいと思います。

 

② ファンベースドマーケティングへの変革
 「野菜をとろうキャンペーン」をはじめとして、環境・食育への取り組み、野菜生産者との良好なパートナーシップ、野菜生活ファームによる地域活性化などの当社の企業活動に共感していただき、ファン顧客となっていただくことで、店頭で商品に出会う前から当社が選ばれるように、お客様との関係性を強化していきます。
 そのために、商品を買っていただくための従来の一過性の広告戦略から、関係性が継続し増大していくストック型のコミュニケーションに変革していきます。農と健康と暮らしをつなぐ統合的なマーケティングの展開により、「食と健康」領域での差別化されたブランドポジションを確立していきます。

 

③ オーガニック・インオーガニック両面での成長追及
 既存事業を安定的に成長させていくオーガニックとM&Aなどにより新たな資源・リソースを得ることで成長するインオーガニックの両面から、持続的な成長を追求します。

オーガニック成長については、これまで述べた「野菜摂取に対する行動変容の促進」「ファンベースドマーケティングへの変革」のアクションに加え、生産体制・利益構造の見直しに取り組み、年率で2%程度の継続的な売上収益の成長を実現していきます。
 インオーガニック成長については、海外及びオープンイノベーションがポイントになると考えています。国内の食市場が縮小していく中で、海外での成長は非常に重要になります。最重要課題として、今後人口が増加し続け、しっかりとした社会インフラが構築されている米国市場をターゲットとした事業探索を進めていきます。タイムリーかつスピーディな意思決定を進めるために、新たに社長直轄の米国成長戦略プロジェクト室を設置し、活動を開始しています。
 もう一つ、インオーガニック成長を加速させていくために、オープンイノベーションを積極的に推進します。食品メーカーだけでなく異業種や大学などの研究機関が持つ知見と当社の知見を組み合わせることで、新しい成長の可能性を見出す活動を強化していきます。
 また、今後成長が期待できるプラントベースフード、野菜摂取に貢献できる野菜スープやD to C(Direct To Consumer:消費者直接取引)などについては、オーガニック・インオーガニック両方からのアプローチで新たな収益の獲得を目指します。これらの領域におけるM&Aについては、2020年に設置した事業開発室を中心に様々な案件についてのディスカッションを進めています。

 

④ グループ経営基盤の強化と挑戦する風土の醸成
 グループ経営基盤の強化については、バリューチェーンの強化に継続的に取り組むことがポイントとなります。現在、調達や生産にかかるコストは上昇局面にあり、また、気候変動の深刻化による調達リスクも高まっています。そのため、国産原料調達力の維持・向上、グローバルな調達拠点の分散、環境対応のための生産設備投資、物流コスト低減に向けた体制構築などの課題に対応していきます。こうした施策により既存事業の収益を安定的に拡大することが、新しい事業への挑戦を可能にします。
 また、イノベーションを創出し成長を実現するためには、社内のいたるところで従業員が自発的に挑戦できる環境があることが重要です。そのために必要となるのが、組織・チームの中で、自分の考えや気持ちを誰に対してでも安心して発言できる「心理的安全性」が確保されていることです。率直な意見やアイデアをぶつけ合える組織やチームはモチベーションが高く、多くのイノベーションを創出しています。まだまだ全社に浸透しているわけではないのですが、管理職への360度フィードバックやダイバーシティ&インクルージョンを意識したマネジメントを強化することで、制度・仕組みの面からも心理的安全性を高め、挑戦する風土を醸成していきます。

 

自己資本比率を意識し、積極的な成長投資を行う

 第3次中期経営計画のゴールである2025年に、「食を通じて社会課題の解決に取り組み、持続的に成長できる強い企業になる」「トマトの会社から野菜の会社になる」という2つの目標の実現を目指すことに変わりはありません。但し、その目標の達成度をより分かりやすくするため、KGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)とKPI (Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を今回設定しています。
 「持続的に成長できる強い企業」のKGIは、「4年間の平均売上成長率2%以上で毎年トップラインを成長させる、かつ、2025年の事業利益率7%以上」を達成するというものです。また、「野菜の会社」のKGIは2025年の収益目標の達成とし、KPIとして野菜摂取に貢献できる事業領域の2021年比の売上収益増分額を設定しています。具体的には、野菜飲料、惣菜・加工用、野菜スープ、植物性食品の4つの事業領域の売上収益増分を達成し、成長の柱に育成できているかが指標となります。
 このKGI・KPIを達成する上での前提条件として、特に重視しているのは、自己資本比率50%以上を堅持するということです。詳細はCFO/CROメッセージで解説していますが、健全な自己資本比率を保ち、現在の信用格付シングルAを維持しながら、インオーガニックの成長規模に合わせた投資を実行していきます。自己資本比率50%以上を堅持し、年率2%のオーガニック成長が実現できれば、借入可能額と合わせて、当社がターゲットにするインオーガニック成長投資の原資は確保できるという試算になっています。また、投下した資本で効率的に成長しているかという視点は重要となりますので、2021年からは資本効率を高めるためにROICを重要指標とし、その向上を目指した様々な施策に取り組んでいます。
※親会社所有者帰属持分比率

 

事業を通じた社会課題の解決がカゴメグループのサステナビリティ

 2015年の第1次中期経営計画の策定にあたり、食を通じて解決する社会課題として「健康寿命の延伸」「農業振興・地方創生」「世界の食糧問題」の3つを定めました。これらの課題を解決することは、サステナブルな社会の実現に貢献することであるとともに、当社の持続的な成長につながるビジネスチャンスでもあり、この2つの両立を目指していくことを当社の中期的な事業活動の中核としました。
 また、「世界の食糧問題」については、気候変動の深刻化とそれに対する企業への要求の高まりを踏まえ、第3次中期経営計画から「持続可能な地球環境」へと進化させ、より広範な施策にスピード感を持って取り組んでいきます。その一環として、当社のCO2排出削減目標を、2021年のCOP26でも議論されたSBT1.5℃目標にコミットすることに見直しました。この目標に対しては「CO2排出削減プロジェクト」として2030年までのロードマップを策定し、長期的な視点での環境投資を積極的に行うことで達成していきます。
 こうした環境への対応も含めて、カゴメグループのサステナビリティとは、「食を通じて社会課題の解決に取り組み、持続的に成長できる強い企業」を目指す事業活動そのものです。また近年は、企業のサステナビリティへの取り組みがお客様のブランド選択の重要な要件にもなってきています。今後は、具体的な活動を様々な媒体を通して積極的に発信することで、当社の考え方や取り組みをご評価いただけるように努めていきます。

 

カゴメグループのガバナンス強化

カゴメのコーポレート・ガバナンスの歩みは、まさに企業理念に掲げる「開かれた企業」を実現するものでした。お互いの個性・能力を認め合い、公正・透明な企業活動を推進することが基本となっています。
 社外取締役の構成比のアップ、報酬・指名諮問委員会の設置、監査等委員会の活動の推進、執行役員制度による経営と監督の分離など、形・仕組みについては整えてきました。今後は、その実効性をいかに高め、進化させていくかが重要であり、取締役会の活性化に向けて各取締役との議論を増やし、様々な取り組みに挑戦していく考えです。取締役の多様性の確保については、この有価証券報告書にもスキルマップを掲載していますが、2025年のありたい姿の実現に向けて、当社がどのような事業を進め、それを支える社内・社外の取締役にはどのようなスキルが必要なのか、目指す姿からバックキャストして検討することで、選任の要件についても見直しを始めています。

 

強みを発揮し第3次中期経営計画を推進することで、持続的成長を実現 

 当社の最大の強みは、時間をかけて認めていただいた「ブランドへの信頼」です。企業理念が示す通り、当社はトマトをはじめとした野菜や果物といった自然の恵みを生かした商品づくりや事業を進めてきました。その過程において、生産者の皆様と協働した原料づくりや、お客さまとのコミュニケーションを起点とした商品開発、また、個人株主の方々との意見交換に取り組んできましたが、その全てが合わさり積み重なって「カゴメブランド」を形づくっています。これは農から価値を形成しお客様の健康につなげる当社独自のものであり、この強みにさらに磨きをかけることが、持続的な成長を実現することになると考えています。
 今なお続くコロナ禍は、働き方や生活様式、考え方といったものも含め、私たちの生活に大きな変化をもたらしました。私は、この変化の本質は「加速」であると考えています。社会の変化のスピードがコロナ禍によって加速され、想定よりも早い対応を迫られたということだと思います。第3次中期経営計画においても、食を通じて社会課題を解決することで社会に貢献していくというカゴメグループの使命は変えることなく、その軸をしっかりと意識しながら、スピード感をもって持続的に成長できる企業へと生まれ変わります。
 ステークホルダーの皆様には、成長できていない現状に対し、厳しくも温かいご声援を頂いています。そのご期待にお応えするために、この第3次中期経営計画で描いた成長戦略を確実に実行してまいります。2025年のありたい姿を実現していくことで、さらなる企業価値の向上をお約束いたしますので、今後とも変わらぬご支援を賜りますよう、引き続きよろしくお願い申し上げます。

 

 

 

 

 

(2) 会社の経営の基本方針

カゴメグループは、「感謝」「自然」「開かれた企業」を企業理念としております。これは、創業100周年にあたる1999年を機に、カゴメグループの更なる発展を目指して、創業者や歴代経営者の信条を受け継ぎ、カゴメの商品と提供価値の源泉、人や社会に対し公正でオープンな企業を目指す決意を込めて、2000年1月に制定したものです。

また、カゴメグループは今後も「自然を、おいしく、楽しく。KAGOME」をお客様と約束するブランドステートメントとして商品をお届けしてまいります。

 

当社の企業理念、ブランドステートメントから長期ビジョンまでの関係は以下のとおりです。

 


 

 

(3) カゴメの価値創造プロセス

当社は、「企業理念」をゆるぎないカゴメの価値観、「ブランドステートメント」を社会やお客様への約束として経営の根底に置くことで、組織が一貫した行動をとっています。環境変化を予測し、成長を支える経営資本を活用することで、農から価値を形成するバリューチェーンを、多様なパートナーと協業しながら進化させています。

現在は、国内加工食品事業、国内農事業、国際事業の3つのセグメントと、それを支える価値創造基盤により、農と健康と暮らしをつなぐ商品とサービスを提供しています。事業を通じて「健康寿命の延伸」「農業振興・地方創生」「持続可能な地球環境」の3つの社会課題解決に取り組み、持続的に成長できる強い企業となることで、社会価値と経済価値を創出します。

 

 


 

 

(4) カゴメの成長を支える経営資本

 

① 新たな価値を創造する健康・農業・安全研究

本内容につきましては、5.研究開発活動 をご参照ください。

 

② 国内外の幅広い調達ネットワーク

カゴメでは安心・安全な商品を安定してお届けするため、国内外に幅広い調達ネットワークを構築してきました。農産物をペーストなどに加工して製造販売する一次加工のグループ会社のほか、海外の農産加工メーカー(サプライヤー)からも調達しています。いずれの拠点も、基本的にカゴメ社員が調達先を訪問し、栽培から製造工程までの品質管理状況の確認を行い、品質の向上に努めています。

 


 

原料調達

 自らが事業として栽培から原料加工を行っているため生産・品質・コストなどの知見やノウハウがあり、これらの項目についてカゴメが期待することを明確に伝えることで、適切な価格で中長期的な取引ができ、一緒に品質を高めていけるサプライヤーを選定することを可能にしています。また「CSR調達方針」を制定し、調達先とともに持続可能な社会の実現を目指しています。


主な調達品目と使用商品

 年間約13万tに及ぶ野菜及び果実の加工品を安定して調達しており、世界有数の規模を誇ります。

※生換算していない実重量ベースの値


 

 

 

 

今後の強化策

原材料のコスト上昇が続く中、原価を抑える高濃縮や高リコピンなどのトマト加工品原料の独自開発と調達

機械化収穫や最適品種による国内産トマト・にんじん原料の調達強化による国内農業への貢献

調達先との協働、物流、容器包装改良による調達品のCO2排出量削減

 

 

 

③ 多様な野菜提供力

野菜の商品開発力と需要創造力

多様な野菜を、多様な加工法・形態で、多様な市場に提供し、野菜の供給量を増やしていきます。ここで要求されるのは野菜の商品開発力と需要創造力です。これまで蓄えてきた野菜の豊富な知見・技術を磨いて新しい商品を世に送り出し、野菜の需要を喚起して、野菜不足の解決に貢献しています。

 

野菜をどのように供給するか

提供素材

商品開発力

 

 

 

提供形態

需要創造力

●商品・

 メニュー提案

●販売促進

提供市場

●トマト
●にんじん
●たまねぎ
●赤ピーマン
●ベビーリーフ
●大豆
     etc…

●生鮮野菜
●飲料
●トマトケチャップ、トマト調味料
●野菜素材
(冷凍野菜、ピューレー、野菜だしなど)
●野菜スープ
●サプリメント

                      etc…

●内食
●中食
●外食


 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

野菜の商品開発力

カゴメ
商品の
特徴

自然素材を活かし、無添加にこだわる商品づくり

・野菜や果実が持つ自然の味や栄養素を大切にし、なるべく無添加で加工することにこだわっています。野菜や果実の最適な組み合わせや、トマトやにんじんのパルプなど独自に開発した野菜素材を用いて、狙った味や性状を生み出します。産地によって微妙に味が異なる野菜や果実ですが、商品毎にどこの産地の野菜・果実が何%まで使用可能かを数値化し、常に同じ味になるように配合を調整できる仕組みを構築しています。

長年蓄積されてきた野菜飲料の開発ノウハウ

・過去の野菜飲料開発で蓄えた加工技術・制菌方法などの知見や配合の事例などが、新商品の開発に活かされています。

・野菜のえぐみや酸味を制御する製法や技術を活かし、飲みやすい飲料を開発しています。

 

 

 

事例

トマトジュース、

野菜一日これ一本

 トマトジュースや野菜一日これ一本は香料や栄養強化剤を使用せずに、トマトや野菜由来の栄養とおいしさを提供しています。

野菜生活100 Smoothie

 野菜生活100Smoothieは増粘剤を使用せずに、野菜や果物と食物由来の食物繊維を複雑に組み合わせて狙った食感やとろみ、飲み心地を実現してます。

野菜一日これ一本

Light

 野菜生活これ一本Lightは糖質を抑えるために糖質の少ない白菜などの野菜が使われています。白菜の後味を抑えるための処理を施し、クセを抑えておいしさの両立を実現しています。

 

 

 

 

 

 

 

需要創造力

利用シーンに合わせた

最適な原料×製法×容器形態

●野菜の素材は、ピューレー状の野菜、冷凍グリル野菜、野菜だしなど様々な

 素材を保有しています。これらを用いたメニューの提案は、様々な業態が抱

 える悩み解決や野菜の供給量の向上につながっています。

●商品開発本部には容器専門の開発グループがあり、お客様の使いやすさの向

 上や環境への負荷を低減する工夫など、容器に特化した研究を進めていま

 す。

顧客の困りごとへの

ソリューションを提案

 ●量販店、コンビニエンスストア、ドラッグストア、生協、EC、外食など多様
  な流通に対し、メニューやプロモーションなどの提案を通じて需要創造活動 
  を行っています。

●加工用などのお客様に対しては、開発者が営業部門とともに現場に行き、お
  客様から実際の声を聞くことで、困りごとへのソリューション提案(メニュ
  ー、独自素材活用法、価値情報など)を行っています。

管理栄養士による、「食と健康」に関する

コンテンツの開発・提案

●カゴメには、管理栄養士資格保有者
  71人による専門チーム「野菜と生活

  管理栄養士ラボ」があります。

●野菜の研究活動で培った知見や、お

  客様とのコミュニケーション活動で
  った提案力を活かして、「食と健
  康」に関するコンテンツの開発・提
  案をしています。


 

 

 

事例

 

外食業態が抱える課題に対応した冷凍野菜

旬に収穫して加工した冷凍グリル野菜やオニオンソテーは、仕込みの手間や食品ロスの削減につながります。

野菜摂取に貢献する新商品開発

独自製法で開発した「野菜だし」を使った野菜スープは、今後の注力商品です。野菜をスープで摂る価値を、商品と共に発信していきます。

お客様の声を反映した新容器開発

醸熟ソースは、お客様の声を反映して開発した、お子様からご高齢の方でも簡単に開け閉めができ、注ぎやすい容器を採用しています。

 

 

 

今後の強化策

「原料×製法×容器形態」の新しい組み合わせによるスピーディーな商品設計

野菜スープや植物性領域などの新しい商品領域の拡大

新しい商品化技術や独自素材の開発

チャレンジを楽しめる開発者の育成

野菜をとろうキャンペーンを中核とした、生活者の野菜を摂る行動変容の促進

デジタルを活用した生活者と野菜の接点の多点化

 

 

④ 安心・安全のブランド力

カゴメには、「畑は第一の工場」という考え方があり、畑から原材料の品質向上に取り組み、安心・安全とおいしさを両立した商品づくりを行っています。また、無添加で健康に役立つ商品を提供し、多くの商品で国内ナンバーワンのシェアを獲得しており、外部のブランドランキングなどで高い評価をいただいています。

 


 

 

 

 

外部ランキング

ブランドサーベイ2021(株式会社日経リサーチ)

「安全で間違いのない品質」 3位

「商品の良さを実感できる」 3位

2021年セット好感度ランキング(株式会社日経BPコンサルティング)

1位、3位

* 企業名とメッセージをセットで提示し、「あなたはこの企業が伝えるこのメッセージについてどのように感じましたか。」と質問。好感度に関する5段階の各選択肢(「とても好感が持てる」~「全く好感が持てない」)にそれぞれ加重値を与え、-100~100間でスコア化。

 

 

 

 

セット

好感度/順位

メッセージ

企業名

セット

好感度(pt)

自然を、おいしく、楽しく。 KAGOME

カゴメ

43.7

水と生きる SUNTORY

サントリー

40.2

野菜をとろう あと60g

カゴメ

40.0

おいしく たのしく すこやかに

森永製菓

39.8

 

 

 

 

今後の強化策

ブランドが持つ価値に共感し、ユーザーのロイヤリティを高めてファンを育成する「ファンベースドマーケティング」への変革

野菜生活ファームや各拠点のキッチンを活用するなど、体験を交えた統合型コミュニケーションの実施

 

 

 

 

 

⑤ 事業を支える財務基盤

カゴメグループの継続的な成長を支え、大きな環境変化にも耐えうるには、財務基盤の安定性が重要です。2022年度から始まる第3次中期経営計画においては、資金調達により事業拡大を図りつつも、信用格付A(安定的)の維持と、自己資本比率を50%以上に保つことで財務基盤の安全性との両立を実現していきます。

 

安定的な財務基盤の構築

これまで自己資本比率は概ね高い水準であり、信用格付機関からの格付もA(安定的)を維持しています。また、個人株主が多い当社独自の株主構成は、多くのファン株主との長期的な関係構築に繋がっています。

 

信用格付の状況(2021年度)                       

格付期間

格付

格付の方向性

格付投資情報センター(R&I)

A

安定的

日本格付研究所(JCR)

A

安定的

 

自己資本比率

2018

2019

2020

2021

50.2%

53.9%

49.3%

54.6%

 

※親会社所有者帰属持分比率

株主数(2021年12月末現在)

195,877名

 


 

 

⑥ 先進思考の多様な人材

 カゴメには「常に一歩先んじ、未来の変化を先取りする・作り出す」事を指す「先進志向」という言葉があります。新しい事にチャレンジする風土は人材の多様性の積極的な推進や、自律的なキャリア構築制度などから醸成されています。また、「野菜の会社」の実現に向けて、従業員自らが野菜の伝道師として野菜の魅力を伝えられるようになるため、「野菜マエストロ検定」や「野菜の先生」などの独自の取り組みを行っています。

 

人材の多様性(2021年度実績)

人事部主管教育・

研修受講者、副業者

野菜の魅力を伝える人材

・従業員数(連結)2,822人

 女性866人(30.7%)

・管理職数(国内)377人

 女性30人(8.0%)

・採用人数68人(国内)
 中途採用22名(32.4%)

・集合研修32件、延べ1,099人参加

・うち選択型ビジネススキル研修

 14テーマ、延べ411人参加

(以上、2021年度実績)

・副業許可件数42人

(2021年12月末時点)

・野菜マエストロ検定※1

2級取得者121人、3級取得者1,510人

(2021年12月末時点)

・野菜の先生※2

 実施経験者91人

※1 野菜に関する正しい知識を習得し、広く発信することを目的とした社内検定

※2 カゴメの社員が「野菜先生」として登壇し、子どもたちに野菜の魅力を伝える活動

 

 

 

 

 

 

(5) カゴメのビジネスモデル

カゴメは農から価値形成するユニークなバリューチェーンを有し、国内外で事業活動を行っています。この独自のバリューチェーンの強みとなるポイントを内製し強化すると同時に、外部との積極的な協業によって必要な資源に迅速にアクセスし、最善の組み合わせを築く「オープン型バリューチェーン」により、ビジネスモデルを深化させています。

 

① カゴメのビジネスモデルの特徴は以下の通りです。

 

ビジネスモデルの特徴

01 種子から食卓まで一貫して関わってきたことで培った各プロセスで有する高い技術力・ノウハウ

 「種子から食卓まで」の一貫したビジネスモデルを実現してきたからこそ、各プロセスにおいて技術・ノウハウを蓄積しています。

●トマトの遺伝資源(種子):約7,500種を保有

03 調達力や開発力を活かした高い利益率

 調達力(量)や商品開発力、配合のノウハウなどにより、野菜飲料では高い利益率を実現しています。

●国内加工食品 飲料利益率:9.5%(2021年度実績)

02 強固なサプライチェーンとオープンイノベーションの組み合わせによる新価値想像力

 長い年月をかけて、あらゆる変化に対応できる柔軟かつ強固なサプライチェーンを構築しています。さらに、他の企業や大学と連携したオープンイノベーションにより、新たな価値を創出し続けています。

●調達拠点数:154拠点(2020年度実績)

04 成長ドライバー:社会課題「健康寿命の延伸」への貢献

 カゴメが解決する社会課題の中でも、「健康寿命の延伸」の解決が一番の成長ドライバーです。生鮮野菜や野菜ジュースなど商品の提供により、日本の野菜不足解消に貢献することで、成長を実現します。

●カゴメの緑黄色野菜供給量:日本の消費量の17.9%

出典: VEGE-DAS(カゴメ野菜供給量算出システム)
      農林水産省「食料供給表」R2年度概算値

 

 


 

 

② ビジネスモデル進化の方向性

「オープンイノベーション」による連携企業との新しいビジネスモデルの構築やDXの推進は、既存ビジネスへ

の変革をもたらすだけでなく、持続的な競争力を高め、社内の「挑戦する風土」を醸成することにもつながります。ここでは、現在推進している「オープン型バリューチェーン」やDXの推進による、新たなビジネスや社内変革の事例をご紹介します。

 

プラントベースフード事業の推進-株式会社TWO-

 

 株式会社TWOではプラントベースフードブランド「2foods」を展開し、プラントベースフードを提供するカフェレストランを運営しています。カゴメとは、2021年から業務提携し、TWOのプラントベースフードのメニュー開発の知見やカゴメの加工食品開発の知見を融合し、双方の強みを活かした新事業や新商品の開発を進めています。また、プラントベースフードの普及・マーケットの拡大を図り、両社共同で持続可能な社会の実現に向けて、本格的に取り組んでいきます。今後の展開にご期待ください。

スマートアグリ事業の推進-日本電気株式会社(NEC)-

 

 NECとカゴメは2015年より共同実証を開始し、2020年からは事業展開パートナーとしてNECのテクノロジーとカゴメのアグロノミー(農業科学もしくは農業研究)それぞれの強みを活かし加工トマトにおける農業ICTプラットフォーム「CropScope」の強化を続けてきました。「CropScope」は、トマトの生育状況や圃場環境を可視化するサービスと、AIを活用した営農アドバイスを行うサービスで構成されています。トマトの収穫量の安定化と栽培コストの低減が期待でき、地球環境に優しくサステナブルな農業を実現します。



両社共同での商品開発

株式会社TWO代表取締役CEO

 東 義和様

 

順調に生育中のAI営農サービス適用圃場

NEC コーポレート事業開発本部

 大木 紀佳様(カゴメ出向中)

 

DXによる新事業の企画立案プロジェクトの推進

 

 デジタル化の進展による大きな環境変化が起きる中、カゴメの存続・成長を支えるためにはDXによる事業変革や新たなビジネスの創出が必須であると認識しています。この認識のもと、第3次中期経営計画で取り組むべき事業のDX企画を立案するメンバーを社内公募しました。「業務用」「小売流通」「健康事業」「通販」「農事業」の分野について、公募メンバーと各事業のメンバーで中長期的な新事業を企画しており、事業化に向けて実現性を検証しています。乗り越えるべき課題がいくつかあるものの、実現に向けて推進中です。

「野菜をとろうキャンペーン」での協業
-株式会社大和総研-

 株式会社大和総研とカゴメは企業の従業員・自治体の方々向けの健康増進プログラム「チーム対抗!ベジ選手権4週間チャレンジ」を共同開発しました。ゲーム要素を取り入れた本アプリを利用し、食生活の改善を目指します。また、大和総研はデータサイエンスの知見を活かして、従業員の幸福度を可視化し人事・経営課題を解決に導くコンサルティングを展開しています。カゴメの「ベジチェック®」や野菜に関する知見と当社の健康経営ソリューションの提供により、健康の維持・増進と組織の持続的な成長に寄与していきます。



NEXT中期事業検討プロジェクトの
最終報告会

カゴメアクシス株式会社

業務改革推進部 喜多 真紀子

 

 

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一人ひとりが野菜摂取量や野菜に関するクイズでポイントをため、その結果をチーム単位で競い合う

株式会社大和総研

システムコンサルティング部第二本部

 執行役員 高木 靖典様

 

 

 

(6) 中期経営計画

2022年度から始まる第3次中期経営計画は、2025年の目標達成に向けた総仕上げの4年間となります。第2次中期経営計画を振り返り、課題を認識した上で、第3次中期経営計画を策定しています。

 


 

① 第2次中期経営計画の振り返りと課題認識

a. 第2次中期経営計画の振り返り

<基本戦略>

● 収益力強化の継続と新事業・新領域への挑戦による成長

野菜をとろうキャンペーンに全力で取り組み、野菜需要を喚起することで、トップラインを成長へ反転さ

る。

 

<定量数値の変化>

売上 2018年度 1,845億円 → 2021年度 1,896億円

事業利益 2018年度 124億円 → 2021年度 141億円

事業利益率 2018年度 6.7%   → 2021年度 7.5%

 

<主な成果>

● 利益獲得力の向上

中長期的に原価や物流費の上昇が見込まれる中、グループ全体での利益獲得力を強化しました。特に、課題

あった農事業や国際事業については生産量の適正化や固定費の削減など収益構造改革により利益を創出す

る構造にすることができました。

● 働き方の改革

業務効率化と制度拡充などにより、総労働時間は、18年度1,929時間から21年度実績1,867時間まで短縮しま

た。

● 新たな成長に向けた基盤の整備

新型コロナウイルスにより、変化のスピードがさらに加速している状況の中、仕事のスピードを上げ、素早

く柔軟に進める基盤を整備しました。また、DXの推進、ROIC管理の導入、環境課題への取り組み強化などの

基盤の整備と、農業法人や他企業との協業による新たな成長の種の仕込みを行いました。

 

<積み残した課題>

持続的なトップラインの成長

● 強みを活かした野菜分野でのさらなる存在感の創出

● 新たな収益の柱の探索

● イノベーションを創出するビジネスモデルの進化

●「働きやすさ」から「働き方の質の向上」へ

 

 

<対応すべき市場環境の変化>

○ 世界人口の増加と国内人口の減少

○ 日本における労働力の不足

○ 世界的な環境問題の深刻化

○ アフターコロナの食と健康に関するマーケットの変化

○ 食糧、水、天然資源などの価格上昇

○ デジタル技術の進展

○ 労働環境の変化

 

<第3次中期経営計画に向けた機会とリスク>(●:機会 ▲:リスク)

○ 世界的な健康と免疫意識の高まり(●)

○ デジタル化による顧客接点の多様化やECチャネルの拡大(●)

○ 農業や食の業界における、深刻化する人手不足への対応(●▲)

○ テクノロジーの活用による持続的な農業の確立(●)

○ 環境課題への対応による機会創出とリスクへの備え(●▲)

○ 増加するサプライチェーン課題への対応(▲)

 

b.第3次中期経営計画での注力ポイント・位置づけ

 

2025年の目標達成に向けた最後の4年間における注力ポイント

Point①

Point②

Point③

Point④

Point⑤

中長期的な「成長」に軸足をおいた

リソース配分

野菜摂取推進のさらなる取り組みと、

成果の創出

挑戦を促す企業文化の構築と、

成長を支える人材の育成

長期的視点での

サステナビリティの取り組み

DXのさらなる加速

 

 

 

c.2025年のありたい姿・ビジョンの実現

 

 

食を通じて社会課題の解決に取り組み、持続的に成長できる強い企業になる

トマトの会社から野菜の会社に

KGI

KGI

KPI

4年間の平均売上成長2%以上で毎年トップラインを成長させ、2025年事業利益率7%以上を確保する。

2025年中期定量目標の達成

生活者接点の多点化と商品の多様化に取り組み、野菜摂取に貢献できる事業領域を拡張し、成長の柱に育成できている。

 

 

野菜摂取に貢献する注力分野(数字は2021年度実績対比)
● コアである飲料事業の成長 売上収益+70億円
● 惣菜・加工用ビジネスの拡大 売上収益+20億円
● 野菜スープ事業の拡大 売上収益+35億円
● 植物性への領域拡張 売上収益+10億

 

 

② 第3次中期経営計画 全体像

2025年のありたい姿、ビジョンの達成に向けて、2022年から2025年までの4ヶ年を第3次中期経営計画として位置付けています。基本戦略は「4つのアクションの有機的連携による持続的成長の実現」と定め、4つのアクションを実行していきます。

 


 

第3次中期経営計画 成長戦略概略図


 

 

<定量計画>

第3次中期経営計画においては、基本戦略に基づき、4つのアクションを実行します。定量計画は、オーガニック成長を対象としています。インオーガニックによる成長は現時点では定量計画には含んでいませんが、売上収益の増分として300~500億円を想定しています。


 

 

● 売上収益計画

 

第3次中期経営計画期間におけるオーガニック成長により、2025年計画は2,120億円、2021年対比+223億円を計画しています。また、4年間の平均売上成長率2%以上とし、毎年売上収益の成長を積み上げていきます。主な成長のドライバーとなるのは、コアである飲料事業の成長(2021年対比+70億円)、惣菜・加工用ビジネスの拡大(2021年対比+20億円)、野菜スープ事業の拡張(2021年対比+35億円)、植物性への領域拡張(2021年対比+10億円)です。

● 事業利益計画

 

第3次中期経営計画期間中におけるオーガニック成長により、2025年計画は150億円、事業利益率は7.1%を計画しています。原材料や物流費などの中期的なコスト増が見込まれる状況において、利益体質を維持しながら持続的に成長をしていくために、DXや成長分野への投資を積極的に実施していきます。

● セグメント別定量計画

 

セグメント別の定量計画は下記の通りです。国内加工食品事業がオーガニック成長の中核を担います。国内農事業は市況に左右されない事業構造への変革をさらに進めていきます。国際事業の既存領域においては、引き続き安定した収益を確保していきます。
 なお、2022年度決算から、セグメント管理体系をより実態に即したものに変更します。具体的には、国内加工事業に含まれていた単体本社費用の一部を、以下の通り変更します。なお、2021年度実績について、セグメント管理体系変更後の数値を「読み替え」として表示しています。
• 変更点①:グループ本社機能に要する費用を連結共通費用として独立管理。
• 変更点②:国際事業など他事業に直接関わる費用を該当事業の費用として管理。

 

 

 

 

 

単位:億円

 

2021年実績


2022年度

2025年度

実績

読み替え

計画

2021年度比

計画

2021年度比

 

利益率

 

利益率

 

利益率

国内加工食品

事業

売上収益

1,367

1,367

1,420

+52

1,530

+162

事業利益

112

131

9.6%

122

8.6%

△9

131

8.6%

△0

国内農事業

売上収益

95

95

100

+4

112

+16

事業利益

2

2

2.1%

3

3.0%

+1

7

6.3%

+4

国際事業

売上収益

516

507

538

+30

526

+18

事業利益

25

23

4.5%

24

4.5%

+0

28

5.3%

+4

その他・調整

売上収益

△82

△73

△68

+5

△48

+25

事業利益

0

△16

△17

△0

△16

+0

合計

売上収益

1,896

1,896

 

1,990

+93

2,120

+223

事業利益

141

141

7.5%

133

6.7%

△8

150

7.1%

+8

 

 

 

 

 

<成長戦略におけるKey Action>

当社は第3次中期経営計画における基本戦略として、「4つのアクションの有機的連携による持続的成長の実現」を掲げております。

それぞれのアクションにおける内容については以下の通りです。

 

① 野菜摂取に対する行動変容の促進

● 成長戦略の起点として、「野菜不足の自覚」「野菜の摂取意欲を高める情報発信・サービス提供による行動変容」に取り組みます。

● 活動の中核となるのは、2020年1月から取り組んでいる「野菜をとろうキャンペーン」です。野菜不足の自覚を促し、野菜をとるメリット、野菜の機能、おいしく摂取する方法を楽しく伝えることで、野菜摂取の自発的な行動変容を促進します。

 

Point01:健康サービスによる、野菜不足の自覚・野菜摂取意欲の向上

 

野菜摂取量を数十秒で測定できる「ベジチェック®」や、健康セミナーなどコトビジネスで野菜摂取の行動変容を促進

野菜摂取をサポートする健康サービス事業を中心に、行動変容を促すサービスの企画、運営、情報発信、普及活動を実施しています。第3次中期経営計画においては、野菜摂取量を数十秒で測定できる「ベジチェック®」の普及や、さらなるコトサービスの拡充、デジタルを活用した野菜摂取意欲の向上を促す新たな事業の創出を狙います。


Point02:野菜の機能性研究の推進

 

科学的根拠に基づく「野菜の力」を社会に発信し、野菜摂取の行動変容へつなげる

 カゴメは、野菜などの自然の恵みが持つ価値を活かした商品の研究・開発・提供を通じて、お客様の健やかな毎日を応援しています。これまで、緑黄色野菜を主とした機能性研究を推進し、機能性食品の届け出や健康情報の発信を行ってきました。第3次中期経営計画においては、野菜摂取と健康増進の関係の情報発信、野菜摂取の行動変容を促す独自の仕組みの構築、新たな機能性表示の獲得、機能性やおいしさのエビデンス情報の発信などに注力していきます。


Point03:情報発信の中核となる、「野菜をとろうキャンペーン」

 

「野菜をとろうキャンペーン」への取り組み

 1日350gの野菜摂取の実現に向けて、2020年1月に「野菜をとろうキャンペーン」を立ち上げ、日本の野菜不足に本気で取り組むことを広く宣言しました。野菜摂取量が不足していることの認知、なぜ野菜が必要なのか、簡単でおいしい野菜のとり方について、多様な媒体や店頭、自治体との連携により情報を発信しています。


19社と連携した情報発信「野菜摂取推進プロジェクト」

 「野菜をとろうキャンペーン」の一環として、2020年3月、本キャンペーンの趣旨に賛同した19の企業・団体と連携し、「野菜摂取推進プロジェクト」を発足しました。当社単独ではアプローチできないステークホルダーとの接点を有する異業種と連携し、様々な協業を行うことで、「野菜をとろう!」という機運を高めています。2021年は、21回の共同企画を実施し、野菜の魅力の伝達や、習慣的な野菜摂取を推進する施策を実施しました。また、プロジェクトを通じた情報発信対象者数は約340万人となりました。


 

 

 

② ファンベースドマーケティングへの変革

● 野菜摂取の行動変容をビジネスチャンスとし、成長ドライバーとするために、「ファン化によるブランド価値の向上」と「生活者接点の多点化×商品の多様化」の2つのアクションに取り組みます。

 


 

Point01:ファン化によるブランド価値の向上

 

広くカゴメの事業活動を通じ、カゴメの社会貢献意義や価値観に共感してくださるファンを増やすストック型コミュニケーション

従来の商品の認知を目的とした「フロー型コミュニケーション」から、生活者がカゴメの事業活動を通じて価値観に共感し、ロイヤリティの高いファンを増やす「ストック型コミュニケーション」を強化することにより、お客様との関係性をより強固なものにしていきます。生活者と社会にとっての野菜の価値や役割を広げる情報発信を、生活者と野菜のタッチポイントに応じて、商品や体験で伝えていく統合型のコミュニケーションを行います。特に、「野菜生活ファーム」は重要なコミュニケーションポイントとしてさらに進化していきます。


Point02:生活者接点の多点化×商品の多様化

 

生活者がいつでもどこでも野菜をとれる機会を増やすこと、野菜をよりおいしく楽しく摂取できる多様な商品やメニューを提供することの両輪で野菜摂取機会を獲得する

 新型コロナウイルス感染症により、生活者の購買行動は大きく変化しました。商品を手にとる場としてのチャネルの視点では、EC、宅配サービスなどで食品を購入する人が増加しており、対応の強化が必要です。また、野菜との接点としては、量販店やコンビニエンスストアなどで販売される惣菜や、食品加工メーカーを通じた接点づくりが課題の一つです。また商品としては飲料や調味料に加え、野菜スープや植物性領域の拡大など多様化することにより、生活者の野菜のとり方を広げていきます。この戦略に基づき、商品開発体制や営業力などのメリハリのあるリソース投下を行っていきます。


 

 

 

③ オーガニック・インオーガニック、両面での成長追及

● 内部資源や外部との連携を活用し、現在保有している商品やサービスを伸ばすことでオーガニックの成長を実現します。一方、オーガニックな成長だけでは、成長幅が不足します。第3次中期経営計画においては、M&Aなどにより新たな資源やリソースを得ることで、インオーガニックな成長も追求していきます。

 

Point01:深化

利益創出の源泉となる中核事業。適切な投資で、市場の魅力を高める

野菜摂取の行動変容と、ファンベースドマーケティングにより広がる生活者の野菜摂取機会を、大きく取り込む中核となる事業が野菜飲料とトマトケチャップなどです。シェアナンバー1のリーダーとして市場の魅力を高めていくため、新たな価値情報の発信、容器開発、環境対応などに対して適切な投資をしていくことで、市場の魅力を高めます。


Point02:変革

カゴメ独自の強みを持つ素材調達や商品開発強化による、業務用の構造改革

新型コロナウイルス感染症拡大により、業務用の売上は大きく変動しました。改めて業務用の戦略を見直し、第3次中期経営計画においては、コモディティ商品の構成比を下げ、当社独自の資材調達力や商品開発力を活かした商品の構成比を高めていきます。特に、加工食品メーカーや大手チェーンユーザーの要求水準を満たすソリューション提供に注力し、販売構造を改革していきます。


Point03:育成

新たな売上成長の柱となる事業の育成

1 野菜スープ: 野菜摂取に貢献できる食品として、素材の味わいを活かしたスー

  プ事業を拡張します。

2 植物性領域: 独自の植物由来素材や加工技術の活用と、他社との協業により、

  市場を形成していきます。

3 D to C:現行の通販事業にとどまらない、新たなD to C事業の展開により、顧

  客接点を拡大します。

4 海外野菜飲料:国内市場減少を見据え、海外での野菜飲料拡大を目指します。


Point04:探索

新たな成長を見据え、領域を定めて探索を行う

探索を積極的に行い、成長戦略の実行性を高めるために、21年11月に新たに「新規プロジェクト準備室」「米国成長戦略プロジェクト室」をトップ直轄組織として新設しました。今後の人口増加が期待できる米国、農業の生産効率を向上させる農業サービスやアグリテックを探索領域として定め、リソースを投下していきます。

 

 


 

 

 

④ グループ経営基盤の強化と挑戦する風土の醸成

 

Point01:バリューチェーンの強化

 

成長を支える利益獲得力の強化と、事業継続性を高める取り組み

世界的な資源獲得競争の激化や、人件費・物流費の上昇などが予

想される環境において、長期的なリスクへの対応や持続的な成長

投資のために、利益獲得力のさらなる強化と、事業継続性を高め

る取り組みが不可欠です。経営基盤であるバリューチェーンを取

り巻く課題に、一つひとつ対応していきます。


 

1 国産原料調達力の強化

2 調達先の分散によるリスク回避

3 環境対応の設備投資

4 安定的な物流体制の構築

5 柔軟な生産体制

 

 

Point02:デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進

 

経営戦略実行に欠かせないDXを一層加速させ、持続的成長を支える

第2次中期経営計画期間においては、基幹システムの刷新や、デジタル化による働き方の改革(リモート環境整備、クラウド化、ハンコの電子化)などをスピーディーに進めてきました。2019年度からDXの土壌づくりを開始し、既存の枠組みにとらわれないビジネスの創出を目指して活動しています。

 <第3次中期経営計画における4つの取り組み>

1 既存事業のビジネスモデルの変革

2 新たなビジネスの創出

3 革新的な生産性向上

4 DX文化の醸成とDX推進の仕組み化

 

 


Point03:挑戦する風土の醸成

 

多様性をイノベーション創出につなげる取り組みと、エンゲージメントの向上

経営戦略を実行するには、多様な従業員が主体的かつ意欲的に業務に取り組むことが求められます。特に、トップラインの成長を実現するには、既存の延長線上にはない、新しい課題に挑戦する風土の醸成が不可欠です。従業員一人ひとりが働きがいを感じ、失敗を学びにしながら挑戦を続けることができる環境づくりを進めていきます。 

1 働きがいの向上

成長機会の提供

ダイバーシティ&インクルージョン

2 評価・報酬制度の見直し

評価の納得性向上

適材適所の推進

3 シニアの活躍

能力開発と成果に見合う処遇

職務開発

 

 

 

 

 

 

 

 

<サステナビリティに関する取り組みの強化とマテリアリティの見直し>

 

    カゴメのサステナビリティに関する考え方


カゴメグループが考えるサステナビリティとは、「食を通じて社会課題の解決に取り組み、持続的に成長できる強い企業」を目指す事業活動そのものです。

私たちは「健康寿命の延伸」「農業振興・地方創生」「持続可能な地球環境」の3つの社会課題に取り組むことで、グループの持続的な成長と社会の持続的な発展の両立を目指します。

 

 

 

 

 

カゴメは創業時よりトマトの契約栽培の仕組みを確立させ、安定的な調達だけではなく、生産農家との共生も実現させてきました。以来、様々なパートナーとの協働・共助により、自然の恵みを活かした商品を世に送り出しています。2025年のありたい姿である「食を通じて社会課題の解決に取り組み、持続的に成長できる強い企業になる」は、事業活動を通じて社会課題解決に取り組むことで持続的に成長し、社会や自然と共にあり続ける事を意味しています。第3次中期経営計画を迎えるにあたり、改めてこの考え方がカゴメの「サステナビリティの考え方」であると表明し、持続的な成長のために、マテリアリティをはじめとした様々な課題に取り組んでいきます。

 

    マテリアリティの見直し

当社は2019年にマテリアリティを特定し、第2次中期経営計画への反映を行ってきましたが、経営を取り囲む環境は日々変化しており、適宜見直しが必要です。第3次中期経営計画の検討に際し、SDGsなどの国際的な目標や、気候変動の深刻化などの経営環境の変化を十分に考慮した上で、マテリアリティの見直しを行いました。見直しにあたっては、経営会議や取締役会での議論の内容や、社外ステークホルダーの評価を踏まえ、これまで17項目あったマテリアリティを整理し7項目としました。

ステークホルダーの皆様にもカゴメの活動への理解を深めていただくために、シンプルで分かりやすい表現に改め、加えて、第3次中期経営計画の重点課題との結び付きを明確にすることにより、社内への浸透を図っていきます。今後も社会課題の解決と中長期的な企業価値向上に向けて、役員及び従業員が一丸となって、マテリアリティの課題に取り組んでいきます。また、経営環境の変化やステークホルダーのご意見・ご期待を踏まえ、経営会議や取締役会を中心に議論を重ね、マテリアリティの見直しを継続的に行います。 

 

マテリアリティ特定プロセス

 


 

 

 

    つのマテリアリティの取り組み例

 

マテリアリティ

目指す姿(KPIなど)

主な取り組み

貢献できるSDGs

健康寿命の延伸

様々な商品や情報により野菜摂取を促進し、人々の健康的な食生活や生活習慣に野菜で貢献する。

野菜をとる食生活への行動変容につながる価値開発・情報発信


野菜摂取に貢献できる商品の開発・普及

貢献できる健康期待領域の拡張

農業振興・

地方創生

農事業や品種開発・技術開発などを通して、持続的な農業の確立を目指す。

野菜の産地形成と加工による地域農業ビジネスの振興


農業の生産性・持続性の向上する技術・サービス

事業活動を通じた国内農産物の魅力発信

持続可能な地球環境

調達から製品に至るまでの事業活動の環境負荷を低減する。
2050年までにカーボンゼロを実現する。

2050年カーボンニュートラルに向けた取り組み


食品ロスの低減の取り組み

水・生物多様性の保全

環境負荷が低い原料・資材調達と商品展開

安心・安全な商品の提供

品質第一・利益第二を実現する。

ブランドへの信頼につながる品質向上・お客様との対話

 

持続可能な

サプライチェーンの構築

環境変化に対応できる安定的な調達基盤と物流体制を構築する。

環境・社会的に持続可能な責任ある調達


お客様に商品を届け続けられる物流体制の構築

多様性の尊重・

人的資本の拡充

多様性をイノベーション創出、持続的な成長につなげる。

ダイバーシティ&インクルージョン推進によるイノベーションを創出しやすい環境づくり


健康経営の推進

コーポレート・

ガバナンスの強化

「自律」のさらなる強化と「他律」による補完で自らの意志で時代に適応するコーポレート・ガバナンスを構築する。

コーポレートガバナンス体制の強化


適切な情報開示と透明性の確保

知的財産戦略の策定・リスクマネジメント

 

 

 

 

<持続可能な地球環境>

自然の恵みを享受し、お客様にお届けする企業の責任として、持続可能な地球環境への取り組みを進めています。特に気候変動への対応は優先度の高い課題として認識し、CO2排出削減を進めていきます。


 

 

    品質と環境に対する考え方

 当社は、安全な原料を調達し、自然の恵みを活かしたものづくりに取り組んできました。当社の事業活動の継続のためには、豊かな自然環境のもとでの持続的な農業の営みが欠かせず、自然を活かしたものづくりを保証する体制と、地球環境の保全を両立させていくことが必要不可欠です。「カゴメが情熱を込めて取り組んできたものづくりと同じ想いで環境保全にも注力することで、持続可能な社会の実現を目指す」という経営の意志を込め、従来の「品質方針」と「環境方針」を統合し、2017年10月に「品質・環境方針」を制定しました。

品質・環境方針

1. 野菜によるおいしさと健康価値で、大切な人の健康長寿に貢献します。

2. 国内外のパートナーと種子・畑から一貫した安全な農産原料づくりに取り組みます。

3. 野菜を育む水・土・大気を守り、豊かな自然をつくる農業を未来につなげ、得られた恵みを有効に活用し
ます。

4. 法令や自主基準を順守し、仕組みや行動をレベルアップし続けることで、安全で環境に配慮した商品を

お客様にお届けします。

5. お客様へ商品やサービスの確かさをお伝えしつつ、お客様の声を企業活動へ反映します。

 

    CO2排出削減目標の達成に向けた取り組み

当社では、CO2排出削減目標の達成に向けて、カゴメグループ全体で積極的な省エネ活動を推進しています。太陽光発電は2017年のKagome Inc.(米国)の工場での導入を皮切りに、オーストラリアや日本国内の工場で導入を進めています。また、2022年1月時点で国内外の2工場において、消費電力を100%再生可能エネルギー(再エネ)で賄っています。そのほかに、長野県の富士見工場から排出される熱やCO2を、隣接する菜園でのトマト栽培に利用する取り組みを開始しています。


当社が排出するCO2は、国内工場や、トマト菜園のほか、トマトの搾汁・濃縮を行う海外工場からも排出されています。2020年には、カゴメグループ全体を対象とする「CO2削減プロジェクト」を発足させ、新たなCO2排出削減計画を策定しました。現在は、その計画に従い、国内工場、菜園、海外工場におけるより広範囲で長期的な視点での省エネ施策(製法見直し、高効率設備へ


の更新ほか)、及び再生可能エネルギー利用(太陽光、バイオマス、再エネ証書活用ほか)などに、全社で取り組んでいます。これらの取り組みの結果、2021年度は国際的影響力のある環境非営利団体CDPの「CDP気候変動2021」にて、初めてA-のリストに選定されました。

 

 

 

 

 

    気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への対応

ガバナンス

カゴメグループは事業の最大のリスクを原料調達の途絶と考えています。地球温暖化による異常気象は、原料産地に大きな被害を及ぼします。このリスクを回避すべく、温室効果ガスの排出量を削減し、地球温暖化防止への取り組みを加速するため、2018年の取締役会で決議したCO2の中長期削減目標を2021年に見直しました。

 代表取締役社長は、ISO14001に則ったカゴメ環境マネジメントシステムにおいて、トップマネジメントとして気候変動を含む当社の全ての環境活動を統括しています。社長は、環境に関する方針を掲げ、年2回のマネジメントレビューを通して環境マネジメントシステムの有効性を評価し、その改善を指示する責任と権限を有しています。

戦略

気候変動の顕在化は農作物を原料とする当社にとって大きなリスクになるとともに、長年蓄積された技術を活用することで機会にもなり得ます。下記はカゴメグループにおけるリスクとその対応策及び機会の一例です。

<カゴメグループのリスク対応策及び機会の一例>

 

リスク項目

対応策や機会

短期・中期的

■ 異常気象、気象パターンの変化

■ 水ストレスによる生産量減少

■ 気候変動に対応できる野菜品種の獲得・販売

■ 最小の水で生産できるトマト栽培システムの

  開発と利用

長期的

■ 炭素価格上昇

■ 生活者の行動変化

■ 生物多様性の損失

■ CO2排出削減目標の引き上げと達成に向けた取り組み

■ 環境配慮商品や認証品の積極的な開発

■ 生きものと共生する農業の提案と普及

 

※ 詳細については、Webサイトをご覧ください。

https://www.kagome.co.jp/company/csr/environment/activity/globalwarming/

 

これらの気候変動のリスクと機会は、事業活動そのもののリスクや機会であるため、

その他のリスクとともに事業計画に組み込まれています。

リスク管理

当社はリスク管理の統括機関として「リスクマネジメント統括委員会」を設置し、代表取締役社長を議長として、リスクの対応方針や課題について、優先度を選別・評価し迅速な意思決定を図っています。特定した気候変動に関するリスク及び機会は環境マネジメント3ヶ年計画の中で課題化し、全社で取り組んでいます。

※ カゴメ環境マネジメント計画の課題とKPIについては、ホームページをご覧ください。

https://www.kagome.co.jp/company/csr/environment/plan/

指標と目標

当社は、2050年までに当社グループの温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを目指して、2030年に向けた温室効果ガス排出量の削減目標を策定し、SBT(Science Based Targets)イニシアチブの認証を取得しました。当社グループのScope1およびScope2の温室効果ガス排出量の削減目標について、「1.5℃目標」に見直しています。

※ 企業の温室効果ガス排出削減目標が、パリ協定が定める水準と整合していることを認定する国際的イニシアチブ

項目

目標(2020年対比)

2020年度

実績(t)

Scope1及びScope2

2030年度までに2020年度の温室効果ガスの排出量を42%削減(1.5℃目標)

143,524

Scope3

2030年度までに2020年度の温室効果ガスの排出量を13%削減

1,315,239

 

(2021年度実績は、第三者検証後にCSRサイトにて公開)

 

Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)

Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出

Scope3:Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)

 

 

 

   水の保全

当社は、商品の原料となる作物の栽培に水を使い、加工工程でも多くの水を使用しています。活動する地域の水資源を守るため、「カゴメグループ 水の方針」を制定し、それぞれの地域に合った対策を進めています。水リスクを把握するために行った調査では、米国の干ばつやオーストラリアの大雨・干ばつのリスクが分かり、オーストラリアでは大雨のリスクが高い時期をずらしてトマトの栽培を行うなどのリスク回避を行っています。干ば


つの対策としては、冬に工場で使用した水をダムに溜め、春に近隣農家に提供し、水の再利用に努めています。また、生産量当たりの水の取水量を前年度比1%削減することを目標としており、2021年度の国内工場では、生産量当たりの取水量を前年度比1%削減しました。このような取り組みが評価され、2021年度は、国際的影響力のある環境非営利団体CDPの水資源管理に関する企業調査「CDPウォーターセキュリティ2021」にて、初めて最高位のAリストに選定されました。

 

カゴメグループの水の方針

1. カゴメグループおよび主要サプライヤーでの水リスクを把握します

2. 地域の水資源を守るため、取水量の削減に努め、水を大切に使用します

3. 使用した水は、きれいにして地域に還します

4. 水リスクの高い事業所においては、その地域に合った水の対策を推進します

 


 

 

⑤    環境負荷低減の取り組み ─プラスチックに関する取り組み─

プラスチックの使用による環境負荷の低減を目指して、2020年に「カゴメ プラスチック方針」を制定しました。具体的な目標として、2030年までに、紙容器飲料に添付している石油由来素材のストローの使用を無くし、資源循環可能な素材(植物由来素材や紙素材)へ置き換えることとしています。また、飲料ペットボトルにおいて、2030年までに、樹脂使用量全体の50%以上をリサイクル素材または植物由来素材とします。

 このほか、工場でのリサイクルの推進や全国事業所の環境美化活動に継続して取り組んでいます。

プラスチック方針(要約)

課題

これまでの具体的な活動

過剰なプラスチックの使用をなくし、使用量の削減を推進する

容器のプラスチック使用量削減

ケチャップチューブ容器の軽量化

PETボトル容器の軽量化

リサイクル素材や植物由来素材への置き換えを進める

 

 

 

紙容器:2030年までに、石油由来素材ストローの使用をゼロに

ストロー・キャップへの植物由来素材使用

紙容器ストローへ植物由来素材5%配合

紙容器キャップの100%植物由来素材化

紙容器に紙ストロー採用

 

PETボトル:2030年までに、50%以上をリサイクル/植物由来素材に

ボトルtoボトルリサイクル

トマトジュース265gリサイクルPETボトル化

工場のゼロエミッションを継続

ゼロエミッションの継続

分別基準にもとづいたリサイクルの徹底

全国事業所の環境美化活動を継続して実施

地域の環境保全活動の推進

事業所ごとの河川や海での美化活動を計画

 

 

    生物多様性の保全

カゴメグループ生物多様性方針

 

カゴメグループ 生物多様性方針(項目のみの抜粋)

当社は創業以来、農業によってもたらされる「自然の恵み」を活かした事業活動を行ってきました。この事業活動を将来にわたり持続的に行っていくために、事業における様々な場面で生物多様性の向上に努めていくことを「カゴメグループ生物多様性方針」で定め、活動を行っています。詳細はホームページをご覧ください。

 

サプライチェーンでの保全

社内外のパートナーとの協働

 

①遺伝資源の維持と利用
②農業の環境負荷低減
③農地と周辺の生態系保全
④調達品の環境負荷低減
⑤輸送時の配慮
⑥工場の環境負荷低減
⑦製品・サービスへの配慮

⑧社内外への浸透

⑨社外との対話

⑩情報公開

⑪社会貢献

⑫根本原因への対応

 

 https://www.kagome.co.jp/company/csr/environment/activity/biodiversity/

 

事例1 外来種のハチを使用しない受粉

当社の生鮮トマトは大型温室で栽培されていますが、多くの大型温室ではトマトの受粉にハチを使用します。外来種のセイヨウオオマルハナバチが、特定外来生物の候補に挙がっているため、当社が直接管理する大型温室では、2004年から在来種のクロマルハナバチに切り替えました。当初このハチの繁殖技術はまだ確立されておらず、トマトの品質や経済性への影響も不透明でしたが、当社が技術確立を後押しし、今は日本の生鮮トマト栽培の全量をクロマルハナバチで賄えるまでに技術が確立されています。

 


 

事例2 遺伝資源の維持と活用

イノベーション本部は、民間企業では世界有数の約7,500種のトマト遺伝資源を有しています。様々な遺伝的特徴を持ったトマトの種子を収集し、交配を重ねて新たな有用品種を生み出しています。種子は一定の温度、湿度で保管していますが、年数が経つと発芽率が落ちるため順次更新し、貴重な遺伝資源を絶やすことなく維持しています。


事例3 農薬と肥料の使用方法への配慮

国内の加工用トマトの栽培において、環境に配慮した使用農薬を厳選して「カゴメ使用農薬指針」を設定し、使用を推奨しています。また、作付け予定の畑の土壌を必要に応じて事前分析し、施肥設計の指導や生育診断を行い、最適な肥料の使用量を決定することで、土壌への過剰な肥料の使用を抑制しています。

 

 

担当役員メッセージ

 


当社は、これまでも社会課題の解決による持続的な成長を「ありたい姿」として掲げてきました。新型コロナウイルス感染症による日常生活の変化や異常気象の頻発によって、SDGsやサステナビリティへの関心が高まっており、第3次中期経営計画においては、社会課題解決と事業成長の両立が、一層重要になってきていると感じています。特に自然環境への取り組みは、「畑を第一の工場」として農業と共存し、農産物を調達して加工・販売する当社にとって優先度の高い課題であり、サプライチェーン全体で取り組んでいます。農業においては、気候変動に対応する品種開発やスマート農業への取り組みを進めており、国内・海外の工場では、グリーン電力化によるCO2排出削減や製法見直しによる水使用量削減などの具体的な課題に取り組んでいます。食品企業共通の課題である容器包装におけるプラスチック使用量の削減・資源循環可能な素材化やフードロスの削減も含めた環境負荷低減課題に、この4年間でさらにスピードを上げて取り組み、社会に貢献し、ステークホルダーの皆様の期待や要求に応えられるものにしていきます。

 

 

 

<多様性の尊重/人的資本の拡充>

持続的な成長を実現するためには、多様な知と知の組み合わせによる新たな価値創造が不可欠です。そのために、自律的にキャリアを構築できる人材づくりと、多様な視点を活かし機能させる組織風土の醸成を進めます。


 

 

① ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)

経営戦略上の位置付け

カゴメにおけるダイバーシティ推進は、持続的に成長できる強い企業になるための経営戦略の一つです。従業員それぞれの多様な考え方や経験を活かすことで、新しい価値創出を目指します。

 

第3次中期経営計画における、ダイバーシティの取り組み

2014年から開始した「働き方の改革」は、個人の事情や制約があっても「働きやすい」環境づくりを目標とし、各種人事制度・施策の導入や、各組織でのマネジメントにより、様々な改善に取り組み、「働きやすさ」は大幅に向上しました。
 第3次中期経営計画においては、ダイバーシティ&インクルージョンのステージを一段上げ、心理的安全性の確立やプロジェクト型の成長機会の提供などを通じ、多様な考え方やバックグラウンドを持つ人材を活かす環境づくりに取り組むことで、イノベーションが生まれやすい素地を整備します。


 

 

ダイバーシティ&インクルージョンの取り組み

 

2022年度重点活動(テーマ)

■ 多様な考え方、バックグラウンドを持つ人材を活かす土台として、「本音で意見が言い合える」心理的安全性の高い職場づくりに向けた取り組みを強化する。

■ 多様な考え方、バックグラウンドを持つ人材が活躍できる環境づくりに向け、ダイバーシティ&インクルージョン推進領域を拡充。特に「SOGI※」「障がい者活躍」領域の取り組みを強化する。

※SOGI:Sexual Orientation and Gender Identityの頭文字。性的指向及び性自認という概念を表す言葉。

 

 

具体的な取り組み

心理的安全性の浸透

・職場風土に与える影響が大きく、チームづくりの要となる管 
 理職のマインド・スキル向上のための施策の展開

・ダイバーシティ&インクルージョン推進の目的理解と心理的

 安全性を浸透させるための活動体として「ダイバーシティ委
 員会」を位置づけ、ボトムアップ活動を推進

 ダイバーシティ&インクルージョン推進領域の拡充

・SOGIや障がい者に対する理解啓発(ソフト)と制度・環境整備

  (ハード)を両輪とする取り組みの推進

・ダイバーシティ委員会内に有志サークル・コミュニティを立

 ち上げ、重点テーマに関わる最新動向研究や委員会活動アイ

 デアを発表


 

 

 

女性活躍の推進

カゴメは2040年までに、社員から役員まで各職位の女性比率を50%にすることを長期ビジョンに掲げ、女性活躍の推進に取り組んでいます。

女性比率50%はイノベーションを生み出すために多様性ある集団となるための指標の一つです。これにより、多様な人材にとって働きがいがあり、多様性が活かされる組織になることで、イノベーションを創出し、持続的な成長を実現していきます。

 

女性活躍推進法 行動計画(2022年3月までの目標値)

 

目標1

総合職新卒採用における女性割合を60%以上にする。


58%(2021年4月入社者)

目標2

2010年度前後(9~11年度前)採用女性の継続就業割合を男性比1.0以上にする。


1.0(2010~2012年入社者)

目標3

2017~2019年採用女性の3年後継続就業割合を男性比1.0以上にする。


1.0(2年後経過時点)

目標4

管理職(課長級以上)に占める女性割合を12%以上にする。


8.4%(2021年11月1日時点)

 

 

② 人権への配慮

カゴメグループ行動規範の一つ「人権の尊重」

カゴメ「行動規範」には3つの柱があり、その一つが「人権の尊重」です。

「人権の尊重」には、カゴメグループ従業員の日頃の行動の軸となることが3点示されています。

 

カゴメグループ 行動規範(「人権の尊重」を抜粋)

 

個人の尊重

差別の禁止

ハラスメントへの取り組み

個人とそのプライバシーを尊重し、従業員の持つ多彩な能力と多様性を、最も価値のある資産として認め合います。

職場においては、すべての人を公正・公平に処遇します。人権の侵害となる、あらゆる不当な差別を絶対に許しません。

社内外を問わずあらゆるハラスメントを生まない、許さない風土を作ります。見て見ぬふりは致しません。

 

 

人権の尊重を実行する取り組み

1.原材料・サプライチェーン

安心・安全な原材料の調達はもとより、ビジネスパートナーである調達先とともに持続可能な社会の実現に貢献するために「CSR調達方針」、及び国内外の調達先に対しての具体的事項である「カゴメサプライヤーCSR行動指針」を制定しました。これらをもとに、人権へ配慮した調達活動を推進しています。

参考リンク:https://www.kagome.co.jp/company/csr/supplier/

 

2.職場におけるハラスメント

ハラスメントは、防止のための仕組みがあっても、防止する意識が下がれば減らない根深い問題です。当社は誰もがハラスメントを行う可能性があることを自覚して相手を思いやって行動し、相談しやすく見て見ぬふりをしない風土を作るために、ハラスメントに対して毅然とした対応を行います。

参考リンク:https://www.kagome.co.jp/company/csr/management/compliance.html

対策

方針:

「行動規範」「ハラスメント撲滅実施細則」の制定・トップメッセージ

教育:

「ハラスメント撲滅実施細則」と「事例集」の読み合わせ

モニタリング:

ハラスメント実態調査

報告・相談:

内部通報制度

公正な処分:

懲戒処分及び報告

 

 

③ 人的資本の拡充

自律的にキャリアを構築できる人材づくり

 経営戦略の実現のためには、当社で働く一人ひとりが「強い個人」となるために、社員が自律的にキャリアを構築できる仕組みづくりが不可欠です。「強い個人」とは、人材市場において高い価値を身に付けた人であり、そのような人材を育て、その層を厚くすることは、人的資本を拡充することにつながります。また従業員が「カゴメで働いていてよかった」と実感できる、そして、優秀な人材を惹き付けられる魅力的な企業となるための仕組みの拡充を進めています。 

 

自律的なキャリア構築を支援する主な制度

自己申告制度

(全従業員が対象 年1回)

中長期のキャリアプランや能力開発の取り組みを上司・部下間で共有し、人材育成に活用する制度。当人のキャリア形成のために、自己申告の内容に対する会社(事業所長・直属上長)のコメントをもとに、直属上長と面談を実施

キャリア異動希望制度・

社内公募制度(希望者のみ)

自分から手を挙げることによって希望する仕事に就けるチャンスを増やす制度

カフェテリア型教育・研修

各従業員のニーズに合った能力開発支援型の教育・研修

キャリア研修・
キャリアカウンセリング

自らのキャリアを自律的に構築する機会の提供
人材育成担当・キャリアアドバイザーによるキャリアカウンセリング

 

 

人材育成担当とは

人的資本の向上につながる「個人の人材価値」を上げる支援のため、カゴメでは、「人材育成担当」という職責があり、社員のキャリア自律をサポートする役割を担っています。従業員一人ひとりと向き合い目指したいキャリア像や将来やりたい仕事を聞き、それに基づいたアドバイスを行うことで、本人による課題解決へとつなげていきます。2021年度は610名の面談を実施しました。また、人材育成担当は、経営へのブリッジの役割も担っています。現場の声を拾い上げ、現場の人事課題を明らかにして経営に伝えることで、社員の考えや事業を考慮した適所適材の配置を実現しています。


 

 

採用の多様化

 多様な価値観を持つ人材がお互いを尊敬しつつ、十分に意見を戦わせることからイノベーションは生まれるという考え方のもと、女性活躍はもちろん、中途採用においても広く門戸を開き、人材基盤の強化を図っています。2020年には中途採用の方法を刷新し、Webサイト上でのキャリア登録制を導入しており、現在、約2,600名の方に登録していただいています。今後も総採用数の2~3割が中途採用者であるという割合を確保し、中核人材に育成していきます。

 

TOPICS 自律的なキャリア形成につなげる、多様な経験の場の提供

第3次中期経営計画での人材戦略の一つである「キャリア自律につながる、主体的に学ぶ場の強化」の施策として実施された異業種交流研修に参加しました。

経営理論をもとに5社合同で課題に取り組み、自社の常識にとらわれずに何度もディスカッションを繰り返す中で、カゴメの強みや課題について客観的に考えることができました。

参加企業のメンバーとは今後も議論の機会を設け、学んだことを持ち帰り、組織の強化に活かしていきたいと思っています。


 

 

 

④ 健康経営の推進

当社は、企業が健全であるためには、従業員一人ひとりが心身ともに健康である
ことが重要だと考え、積極的に従業員の健康管理に取り組んでいます。

参考リンク:

https://www.kagome.co.jp/company/about/philosophy/healthandproductivity/


 

 

カゴメ健康経営宣言

2017年には「カゴメ健康7ケ条」を制定し、「カゴメ健康経営宣言」を行いました。2020年12月には、(株)日本政策投資銀行が行う「DBJ健康経営(ヘルスマネジメント)格付」において、最高ランクの格付を取得しました。さらに、2021年3月には、経済産業省及び日本健康会議主催の「健康経営優良法人2021(大規模法人部門)」に認定されました。

 

健康経営推進体制

2016年にカゴメアクシス(株)に専任組織を設置し、事業所全てに産業医を選任、保健師とともに、健康管理を推進しています。また、2018年には、「健康推進委員会」が発足し、事業所独自で主体的に健康増進活動を行っています。

 

産業保健体制

国内の全事業所に健康管理担当窓口を設け、産業保健スタッフ(産業医、保健師)が連携しながら、従業員への面談などを実施し、フィジカルヘルス、メンタルヘルスの両面で不調者の早期発見、保健指導などを行っています。 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

健康管理・健康増進施策に関する状況

「カゴメ健康7ケ条」に基づき健康施策を推進しているほか、カゴメ健康保険組合とも連携して、独自健診である「カゴメけんしん」などを毎年実施しています。

 

従業員の健康リテラシーの向上

従業員一人ひとりの心身の健康を保つためには、カゴメ従業員の健康状態の見える化と共有、正しい知識習得が必要と考え、2017年から「カゴメ健康レポート」を発刊するとともに、従業員向けの研修などを実施しています。

参考リンク:https://www.kagome.co.jp/company/about/philosophy/healthandproductivity/

 

担当役員メッセージ

 


第3次中期経営計画では、既存領域において新たな価値を創造し、成長ドライバーとなる新たな事業の育成や探索を加速させます。この経営戦略を実行するためには、従業員が働きがいを感じることで自律的に行動し、変化に対応しながら新たな挑戦を続けることが重要です。また、経営戦略と人事戦略を連動させることにより、多様な個人が活躍する人材ポートフォリオを構築し、一人ひとりが個性を活かして活躍することで、組織を活性化することが必要となります。第2次中期経営計画期間中においては、働きやすさの整備、中途採用の拡大、働きがいの見える化、従業員の自律的なキャリア形成を可能とする制度などを整備してきましたが、まだ目指す姿とのギャップがあります。具体的な課題としては、エンゲージメントサーベイの導入によって浮彫りとなった「挑戦する風土」への展開、心理的安全性の浸透、公正な差がつく評価の仕組み構築、シニアの職務開発などが挙げられます。第3次中期経営計画においては、「働きがいの向上」を重点課題とし、働き方(働きやすさ、多様な経験機会の提供)、人材開発(評価報酬、配置登用、能力開発)、多様な人的集団(採用、能力発揮)の3つの切り口から課題を設計し、価値創造につながる制度、仕組み、風土の醸成をスピーディーに進めることにより「人的資本の拡充」に努めます。

私は、人件費はコストではなく価値創造につながる投資であると考えています。長期的な成長を見据え、経営戦略をいかに実行するかという観点から、人材戦略を実行していきます。

 

 

<安心・安全な商品の提供>

「畑は第一の工場」という考えのもと、野菜の種子や土づくりから取組み、安全で高品質な商品の提供に努めています。これを保証する品質保証体制を確立し、海外グループ会社への展開も行っています。

 

 

   カゴメ品質マネジメントシステム(KQMS)

カゴメでは、「品質・環境方針」に基づき、設計開発・調達・生産・物流・販売の各工程でカゴメ品質マネジメントシステム(KQMS)を回し、安心・安全な商品のご提供に努めています。

 


 

   畑から商品までの安全管理

●フードディフェンスへの取り組み

国内での「意図的な異物や薬品混入」に対する備えとして、フードディフェンスに関するリスク評価を行い、評価結果に基づいて管理しています。自社工場における安心安全カメラの設置や施錠システムの刷新、工場従業員同士のコミュニケーションの活性化のほか、委託先の工場に対しても当社の管理ガイドラインに準拠していただいています。

 

●畑から商品までの安全管理

カゴメは創業以来、自然の恵みを活かし、お客さまの健康に役立つ商品を提供することに全社を挙げて取り組んでいます。安心・安全の確保は食品を取り扱う上での大前提と考え、畑から商品までのプロセスにおいて様々な検査や分析・研究を行っています。使用する原料は残留農薬などを分析し、安全性を確認しています。試験・分析機関としての実力を判定する国際規格ISO17025の認定を取得し、分析精度の更なる向上に取り組んでいます。

 

   海外グループの品質管理・品質保証体制

「品質・環境方針」に基づき、海外グループ会社で最低限守るべきグループ共通の品質管理基準(Kagome Best Manufacturing Practice、以下、KBMP)を定め、グループ各社に展開する活動を行っています。また、海外グループ会社の品質・環境・技術情報を横断的に把握し、共有・活用することで品質保証レベル・生産性を向上させているほか、CO2削減の取組みも行っています。

 

    海外グループ共通の品質管理基準(KBMP)の展開

これまでに、KBMPの#1として製造面における異物混入防止などの品質管理、#2として品質事故が起きた場合の迅速対応に関する共通ルールなどを海外グループ会社に展開してきました。さらに、現在は#3として、商品設計段階(製造全般、容器、微生物制御など)での品質事故を未然に防止する活動にまで広げています。2021年度は8件の商品開発初期段階でのリスク対策に関与し、安心・安全な商品開発を確実に行える体制を整備しています。これらの活動によって、海外グループ会社における品質面でのトラブルは確実に減少しており、また、自律的な品質改善活動や5S活動などが海外グループ各社で展開されつつあります。第3次中期経営計画では品質を起因としたロスのさらなる削減を目指し、海外グループ会社が、より迅速に、主体的に活動できる品質保証体制の整備に努めていきます。

※ 職場環境を整えるための5つの要素「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」のこと

 

⑤   グループ横断のワークショップ、トレーニングの事例

海外グループの生産基盤を強化することと、トラブル発生時に、より深い要因解析を行えるようになることを目的に、海外グループ会社は、「5S活動の深化」と「要因解析のスキルアップ」に取り組んでいます。

海外グループ会社を対象とした5S推進担当者の育成プログラムを2019年に開催して以来、海外グループ会社は、それぞれ、5S活動を推進しています。2021年は、「オンライン5Sワークショップ」と称して、海外グループ会社の5S推進担当者が、オンライン上で一堂に会しました(世界各国から43名が参加)。この中で、これまでの取り組みを互いに披露し、互いにフィードバックし合うことで、各々の5S活動を定着させ、より発展させるにはどうしたら良いかを議論しました。海外グループ会社は、ワークショップの中でそれぞれが描いた行動計画をもとに、2022年以降、さらに5S活動に注力していきます。

トラブル発生時の要因解析の目的は、根本原因を突き止めて再発防止のための策を講じることです。そのためには、様々な角度からトラブルの発生要因を深堀することが必要になりますが、その手法を海外グループ会社が学ぶためのツールとして「RCA(根本要因解析)ハンドブック」を作成し、各社に配布しました。ハンドブックの内容を理解するだけでなく、実際に、過去の各社の事例を改善テーマとして取り上げ、ハンドブックの内容に沿って実際に要因解析を行う実践形式のトレーニングを行っています。

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<持続可能なサプライチェーンの構築>

持続的にお客様に商品を届け続けるために、気候変動、水不足、労働力不足、原材料高騰などのリスクに対し、サプライチェーン全体の最適化に取り組んでいます。


 

 

① 環境・社会的に持続可能な責任ある調達

安定した原料調達を実現するため、当社は調達拠点の分散化に取り組み、グローバルなネットワークを構築してきました。また、国産原料のニーズの高まりに対応し、国内原料確保の取り組みを進めています。

また、安心・安全な原材料の調達はもとより、ビジネスパートナーである調達先とともに持続的な社会の実現に貢献するために、2021年に「CSR調達方針」「サプライヤーCSR行動指針」を制定しました。本方針では、公正・公平・透明な取引を実践し、法令・倫理や人権・労働・環境へ配慮した調達活動を推進しています。

* 詳しくはWebサイトをご覧ください。

https://www.kagome.co.jp/company/csr/supplier

 

2021年度「CSR調達方針」「サプライヤーCSR行動指針」に基づく活動

■ 生産委託先、原材料メーカー、菜園など全てのサプライヤーに対し、説明を実施。

■ 第三者機関による、「公正な取引」の実態調査を実施。

■ 実態調査結果を経営会議で報告するとともに、該当組織と結果を共有。

■ 結果に基づき、不足点に関する勉強会、協議記録フローの改訂を実施。


 

 

② お客様に商品を届け続けられる物流体制の構築

物流業界における労働力不足やドライバーの長時間労働、環境課題への対応などは喫緊の課題となっています。これら物流環境をめぐる社会課題の解決に向け、当社は納品リードタイムの延長や賞味期限年月表示などの取り組みを進めています。また、中長期的に上昇が想定される物流コストの抑制に取り組み、在庫水準の適正化による物流コスト低減に取り組んでいます。

 

容器ユニットマネジメントによる在庫適正化の取り組み


当社は、2020年度から在庫水準の適正化を目指し、生産調達部門と連携し、容器ユニットごとに生産・在庫・輸送をコントロールする「容器ユニットマネジメント」を行っています。容器ユニットごとの適正在庫日数を設定・管理することで、月末在庫の適正化を図り、2021年度は飲料に加えギフト・食品の取り組みを進め、ドライ輸送商品の在庫水準を前年度比10.1%削減しました。これにより、棚卸在庫金額の削減や、 保管費・輸送費の削減につながっています。

※ 在庫管理のため、容器容量別に約50区分に整理したもの

 

 

 

 

 

 

 

 

TOPICS 先端技術とDX推進を取り込んだ、富士見工場リニューアル

 

カゴメには、国内に6つの生産拠点があります。富士見工場は、「カゴメトマトジュース」や「野菜生活100」といった主力の紙容器野菜飲料の生産拠点であり、年間生産量は1,518万ケース(2021年度実績)です。2020年から2021年にかけて総投資額約86億円を投下し、富士見工場のリニューアルを行いました。リニューアルのポイントは、「紙容器飲料の生産能力向上」「働きやすい現場づくり」「環境に配慮した生産活動」です。第3次中期経営計画の成長ドライバーの一つである野菜飲料の生産能力を拡充し、中長期的な需要拡大に対応していきます。

 

POINT1

POINT2

生産能力20%向上により、中長期的な需要拡大に対応

高速充填機3台を導入。またロボットアームによる高速移動により、高速生産と複数荷姿製品の製造を実現。繁忙期に発生していた休日稼働はゼロとなり、従業員の業務負担軽減につながった。

 


 

モニターですべての生産工程を把握する

集中管理室の設置

DX推進、スマート工場化への取り組みの一環として、新たに「集中管理室」を設置。すべての生産工程の様子をモニターで確認でき、工程の異常を即座に把握して対応が可能。集積したデータを活用し改善活用を進める。

 


 

POINT3

POINT4

原料・製品の自動倉庫による従業員の負荷軽減と、

物流コスト削減

原料倉庫への入出庫は作業者がフォークリフトを使って作業していたが、今後は作業員の指示に基づき自動的に入出庫。ラインへの各種資材の供給と製品の倉庫への格納も自動化。工場保管数拡大により、物流コストの低減にもつながった。

 


 

環境に配慮した、太陽光パネルの搭載

新棟の屋根に太陽光パネルを搭載し、再生可能エネルギーを電力の一部に使用する。これは富士見工場の年間使用電力の23%にあたり、年間でCO2排出を600t削減できる見込み。

 

 

 


 

 

 

 

2 【事業等のリスク】

(1) 当社におけるリスク対応方針

「野菜の会社」として自然の恵みを最大限に活かし、お客様の健康長寿の延伸への貢献を目指すカゴメでは、食の安全を中核として様々なリスクに対する低減活動の取り組みを進めています。ESGを念頭に経営の意思決定効率を高めるための全社的なリスクマネジメント(ERM:Enterprise Risk Management)に沿って、継続的にリスクマネジメントに取り組んでいます。

 

(2) リスクマネジメントの活動・体制

当社では、各部門がそれぞれの課題を遂行するうえで、コンプライアンスリスクや業務リスクへの対応を進めています。また全社的なリスクマネジメントについても、リスク管理体制の充実を図るべく、食品企業として重要視する6つの専門委員会を設置しています。さらにリスク管理の統括機関として、代表取締役を議長とする「総合リスク対策会議」を設置しておりました。本会議は、取締役専務執行役員、取締役常勤監査等委員、常務執行役員最高人事責任者が参画しているほか、社外からの客観的評価を反映するため社外取締役である監査等委員もメンバーに加わっています。

2021年より、同会議は「リスクマネジメント統括委員会」に改組し、同委員会の業務を遂行するための事務局を設置しました。「リスクマネジメント統括委員会」は、これまで「総合リスク対策会議」が担ってきた役割に加え、リスクマネジメント体制を構築し、同統制環境を維持する役割を担います。なお、当社内部監査室がリスクマネジメントに主体的に関わっていた業務を「リスクマネジメント統括委員会」に移管することで、当社内部監査室は全社のリスクマネジメントについて独立した立場から客観的なアシュアランスを提供することが可能になりました。


さらに、リスクマネジメント体制を整備し、第2線のリスクマネジメント統括委員会と第3線の当社内部監査室の役割を明確に分別するため、同統括委員会の責任者としてCRO(Chief Risk Management Officer 最高リスクマネジメント責任者)を設置しました。

 

 

■リスクマネジメントの活動サイクル

 


 

 

(3) 各リスクと対応策他

当社グループの経営成績、株価及び財政状況などに影響を及ぼす可能性のある主なリスクは、以下の通りです。

なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年3月11日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

区分

項目

リスクシナリオ

対応策

 

事業環境の変化

国内経済/消費動向の変化に伴う競争力の失墜

日本国内における景気の後退、及びそれに伴う需要の減少、または消費動向に影響を及ぼすような不測の事態が発生する可能性があり、こうした市場環境のなかで、継続して魅力的な商品やサービスを提供できない可能性があります。

将来性を見誤った投資による事業戦略の失敗

ニュートラシューティカルやデジタルトランスフォーメーションを始めとするイノベーションは、選択的な先行投資が必要です。

将来性を見誤った投資分野選択や、必要最低規模に達しない過少投資等により、競合他社に劣後する可能性があります。

 当社グループでは、第3次中期経営計画において、海外事業規模の拡大を目指すとともに、新規事業の開発や、より効果的なシナジーを創出するためのM&A等にも積極的に投資してまいります。同時に、商品/セグメント別収益管理の徹底による不採算事業の見直し、並びに投資委員会における各種事業投資へのタイムリーな採算性評価を実施することで、持続的な企業価値向上を目指してまいります。

 

サプライチェーン

天候変動による不作、調達価格上昇や供給不足

天候不良は、当社事業における生産/売上の低迷をもたらすリスクがあり、原材料の生産地にて天候不良などによる不作が生じた場合、調達価格上昇や供給不足を招く可能性があります。

外貨需給の急激な変動、為替換算による業績影響

当社グループは、国外における事業も展開しており、各地域において現地通貨にて作成された財務諸表は、連結財務諸表作成のために円換算されております。為替の変動は、現地通貨における価値に変動がなかったとしても、当社グループの業績と財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、生産・調達活動における急激なコスト増加や供給不能を防止すべく、収穫産地や仕入時期の分散によってリスク低減を図っております。加えて製造委託先の複線化・内製可能数量の増強により、確実な生産・供給責任を全うするとともに、需給調整を専門的に主管するSCM本部のもとで、効率的なサプライチェーンの構築に努めております。また、急激な為替レートの変動に伴う業績影響を最小限に留めるため、当社方針に従った為替ヘッジ取引を実施しております。

 

保有資産
の減損等

保有資産の価値下落に伴う収益性の悪化、財政状態への影響

当社グループでは、事業の用に供する様々な資産を所有しております。こうした資産は、価値の下落や、将来のキャッシュインフローの状況により、減損会計等の適用を受ける可能性があります。

 当社グループでは、限られたリソースでより確実に収益を獲得する投資判断を行うため、投資審査基準を設定し、投資委員会において定期的にモニタリングしております。加えて、撤退も視野に入れた審議の必要性を年次で報告し、戦略の見直しや判断の遅れを防いでいます。

 

安全性

異物混入等によるブランドイメージ棄損、回収や損害賠償

異物混入などの事故によりブランドイメージを損ね、回収費用や損害賠償などにより業績と財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

  当社グループでは、部門横断の品質保証委員会を毎月開催し、商品クレームや事故の未然防止活動、商品表示の適正化に取り組んでおります。また、いわゆる「フード・ディフェンス」の考え方を取り入れ、意図的な異物混入を防御すると共に異常がないことを証明できる体制づくりを行っております。

 

天災・
感染症

災害/感染症によるサプライチェーンの混乱、商品供給の停滞

天災等による生産施設での災害を完全に防止できる保証はありません。また、物流網の混乱などにより商品供給が滞る可能性があります。加えて、新型コロナウイルス感染症などの蔓延による消費の低迷、国内外のサプライチェーンの混乱、従業員や取引先への感染等により事業活動に多大な影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、コロナ対策委員会を設置し、新型コロナウイルス等感染症による社会環境変化にいち早く対応するとともに、従業員の感染対策の徹底を最優先しております。生産ラインの中断による潜在的なリスクを回避するため、必要だと考えられる定期的な災害防止検査と、設備点検、更にサプライチェーンの複視化などの災害対策を行っております。

 

情報・
システム

情報システムの崩壊や停止、情報の消失/漏洩/改ざん

停電、災害、ソフトウエアや機器の欠陥、コンピュータウィルスの感染、不正アクセス等予測の範囲を超える出来事により、情報システムの崩壊、停止または一時的な混乱、顧客情報を含めた内部情報の消失、漏洩、改ざん等のリスクがあります。

 当社グループでは、ITセキュリティ委員会を設置し、情報システムに関するリスクの検出、ならびに実施中の活動へのモニタリングを実施しております。従業員に対しても定期的なe-ラーニングの受講を義務化し、適時適切なセキュリティ対策を実施しております。

 

 

 

区分

項目

リスクシナリオ

対応策

 

カントリー
リスク

政治経済の混乱、戦争やテロによる調達供給不能

当社グループの進出国において、各国の政治経済社会法制度等の変化や暴動、テロ及び戦争の発生による経済活動の制約、サプライチェーンや流通網の遮断等が発生する可能性があります。

 当社グループでは、事業進出を行う国や地域において、定期的な政治経済リスク評価、ならびにそれに伴う事業ポートフォリオの見直しを行っております。原材料等の調達先も分散化することで、持続的な事業継続に向けた活動を推進しております。

 

規制強化

規制違反/変更に伴う事業活動の制限、追加コストの発生

当社グループの進出国において、規制を遵守できなかった場合は、事業活動が制限される可能性や、コストの増加を招く可能性があります。

 当社グループでは、廃棄物再資源化、省エネルギー、二酸化炭素排出の削減の徹底を図り、事業を遂行していくうえで環境に関連する各種法律、規制を遵守しております。

 

気候変動

気候変動の顕在化による原料調達の途絶、生産地への被害

気象パターンの変化は暴風雨等の異常気象を引き起こし、農作物を加工して販売する当社の生産調達活動に多大な影響をもたらすことで、結果として事業活動を継続することが困難になる可能性があります。

 当社グループでは、2019年に気候変動財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に従ったシナリオ分析を実施いたしました。更に、地球温暖化防止への取り組みを加速し、SBTイニシアチブの基準「1.5℃目標」に見直しています。

 

 

 

(4)事業継続計画(BCP)への取り組み

カゴメでは大規模災害発生時から社長を本部長とした「災害対策本部」設置までのBCPの初動について、経営資源別に役割と初動を明記した「重大災害発生時のBCP初動基準」を定め、各事業所での防災訓練や安否確認訓練を行っています。

詳しくはWebサイトをご覧ください。
https://www.kagome.co.jp/company/csr/management/riskmanagement.html

 

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(重要な会計方針及び見積り)

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積りは、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。

採用している重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況」における「3.重要な会計方針」及び「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。

 

 (1) CFO/CROメッセージ


 

  カゴメの事業成長を支えるための財務経理基盤の構築

① CFOとして

企業が中長期的に成長していくために、売上の成長は必須です。第3次中期経営計画は、この売上の成長に軸足を置いています。具体的には、既存事業を中心とするオーガニックな成長に加え、M&Aなどのインオーガニックな成長を目標として掲げています。2021年度には、インオーガニックな成長のための必要資金として、自己株式の取得を行いました。成長のための投資に対する調達手段として有効に活用していきます。
 一方、第3次中期経営計画期間において、利益率の改善は大きく見込んでいません。これは、売上成長を確実に成し遂げるために必要な投資や費用の拠出を積極的に行うためです。
 こうした事業成長を、各部門とともに確実に達成することがCFOである私の役割ですが、そのためには、健全な財務基盤と適切な財務経理ガバナンスの構築が大切です。
 まず、財務基盤です。コロナ禍を経験し、私たちは健全な財務基盤の重要性を改めて強く意識しました。想定していない状況下でも事業を安定的に進めることができる財務構造を堅持する。これはカゴメの財務構造の基本だと考えています。特にインオーガニックな成長のためには多額の資金が必要となりますが、現在の財務構造から大きく変える計画はありません。
 次に、適切な財務経理ガバナンスです。これは、品質と並びカゴメの事業の礎となります。財務経理ガバナンスとは、端的に言えば、常に適切な会計処理を行う体制やルールを作り、それを実行すること、また、万が一誤謬などによりそれが損なわれてしまった場合でも、速やかにその事実が認識され、適切な対応ができる体制や仕組みです。この点において、企業理念の一つである「開かれた企業」は非常に重要な意味を持ちます。ステークホルダーに対して良いことも悪いことも、タイムリーに分かりやすく発信するという企業風土は、当社の財務経理ガバナンスを強く支える基盤になっています。

 

② CROとして

こうしたことは、リスクマネジメントの視点においても同様のことが言えます。すなわち、リスクが顕在化することを未然に防ぐための体制・仕組みの構築と、万が一起きた場合の対応の2点です。会社におけるリスクは、その全てが財務数値と直結するものではありませんが、その考え方には多くの共通点があります。事業成長を進める上で基盤となる強い財務構造の堅持及び財務経理ガバナンスの推進、リスクマネジメントの体制構築を確実に進めていきます。

 

 (2) 経営成績の分析

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、次の通りであります。

①  売上収益

売上収益は、1,896億52百万円となり、前連結会計年度の1,830億41百万円に比べ、66億10百万円の増加(3.6%増)となりました。

国内加工食品事業では、健康志向や内食需要の高まりが継続するとともに、外食需要も回復基調にあります。このような環境のもと、「野菜をとろうキャンペーン」による需要喚起効果も相まって増収となりました。国際事業においても、新型コロナウイルス感染症対策の影響などにより、外食需要が回復し、米国を中心に増収となりました。

 

② 事業利益

事業利益は、141億38百万円となり、前連結会計年度の135億99百万円に比べ、5億38百万円の増加(4.0%増)となりました。

国内事業は広告宣伝費や販売促進費の増加で減益となったものの、国際事業において、前述の米国を中心とした増収や、前期に持分法適用会社への投資に関わる減損損失を計上したことの反動などにより、増益となりました。

 

③ 営業利益

営業利益は、140億10百万円となり、前連結会計年度の106億82百万円に比べ、33億28百万円の増加(31.2%増)となりました。

前期に、ポルトガル子会社が保有する固定資産の減損損失を計上したことの反動などにより、増益となりました。

 

④  親会社の所有者に帰属する当期利益

親会社の所有者に帰属する当期利益は、97億63百万円となり、前連結会計年度の74億25百万円に比べ23億37百万円の増加31.5%増)となりました。

前期に前述の減損損失を計上したことの反動などにより、増益となりました。

 

以上により、当連結会計年度の売上収益は、前期比3.6%増1,896億52百万円、事業利益は前期比4.0%増141億38百万円、営業利益は前期比31.2%増140億10百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前期比31.5%増97億63百万円となりました。

 

 

 

 

セグメント別の業績は、次の通りであります。

なお、当連結会計年度より、前期まで国内加工食品事業の食品他に含めておりました、通販事業を独立開示するセグメント区分の変更をしております。当社は、同セグメントを成長期待事業として位置付けており、経営管理上の重要性が増したことによります。

 (単位:百万円)

セグメントの名称

売上収益

事業利益(△は損失)

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

 

 

飲料

74,270

75,480

1,209

7,669

7,165

△503

通販

12,644

13,518

873

1,441

1,272

△169

食品他

47,580

47,730

150

3,692

2,793

△899

加工食品 計

134,495

136,729

2,233

12,803

11,231

△1,572

10,189

9,542

△647

272

286

13

その他

786

1,005

218

344

64

△280

消去及び調整(注1)

△3

△71

△68

国内事業 計

145,468

147,205

1,736

13,420

11,581

△1,839

国際事業

44,344

51,681

7,336

178

2,556

2,378

消去及び調整(注2)

△6,772

△9,234

△2,462

合計

183,041

189,652

6,610

13,599

14,138

538

 

(注) 1国内事業内のセグメント間売上収益を消去しております。

2国内事業と国際事業間のセグメント売上収益を消去しております。

 

各セグメントの概要及び成果については以下の通りです。

<国内加工食品事業>

加工食品事業では、飲料、調味料、サプリメントやスープ等の製造・販売を手掛けております。

当事業における売上収益は、前期比1.7%増1,367億29百万円、事業利益は、前期比12.3%減112億31百万円となりました。

 

① 概要

トマト、にんじん、その他の多様な野菜を使用した野菜飲料や食品などの商品を展開しています。お子様からご高齢の方まで、幅広い世代の方々に、日常生活の様々な場面においてご利用いただくことで、野菜の摂取量を増やし、健康寿命の延伸に貢献します。

 

② 2021年度の概要(成果・課題)

 

成果

課題

 野菜飲料は、野菜摂取量を「あと60g増やす」を目指した「野菜をとろうキャンペーン」を推進し、積極的な広告投下、販促活動を実施しました。加えて、コロナ禍による健康への関心の高まりもあり、飲用機会の増加につながりました。通販はECチャネルの利用拡大により、「つぶより野菜」などの野菜飲料、「スルフォラファン」などのサプリメント、野菜スープが好調に推移しました。飲料、通販、食品他、すべてのカテゴリーで売上収益は増収となりましたが、売上拡大のための販売促進策や広告の投下、下期の原材料・エネルギー価格の高騰を受け事業利益は減益となりました。

 国内加工食品事業は、当社の中核事業であると同時に利益の源泉です。特に、売上・利益ともに野菜飲料への依存が高い構造となっています。今後、世界的な原材料価格や物流コストの高騰が予想される状況において、トップラインの持続的な成長による利益の獲得と原価構造改革の両面で、従来の延長線上にない新たな取り組みを進めます。特に、既存領域の継続的なバリューアップとともに、植物性ミルク・プラントベースフード・植物性サプリメントなどの新たな領域への拡大により、売上・利益拡大因子の複線化を図っていきます。

 

 


 

③ 第3次中期経営計画での重点事項

 >「野菜をとろうキャンペーン」を中心に、生活者と野菜の接点を多様化<
 新型コロナウイルス感染症拡大により、生活者のライフスタイルや食に対する意識・行動が、この数年で大きく変化しました。そのような中、需要創造の活動の中心に「野菜をとろうキャンペーン」を据え、これまで以上に野菜摂取推進の活動を強化していきます。特に生活者と野菜の接点を拡大するため、チャネル適性に応じた荷姿の開発をはじめ、業務用ユーザーのご要望に応じた加工度の野菜素材など、野菜の提供形態の拡充を図っていきます。また、野菜飲料の新たな価値情報の発信に加え、伸長している野菜スープの強化など、多様な野菜摂取の強化を進めていきます。家庭用・業務用の垣根を越えて、生活者の食シーンへの対応力をさらに磨いていきます。 

2025年度目標

 

売上収益

1,530億円

 

事業利益

131億円

 

※オーガニック成長のみを表示

 

 

バリューチェーン分析による本事業の強み・弱み

STRENGTH 強み

■ 120年の歴史に培われたカゴメのブランド力

■ 畑から関与する原料調達力、品質保証力

■ 素材の力を活かした機能性研究・商品開発力

■ 幅広い商品カテゴリーを持ち、幅広い販路に到達し、ソリューションの提供ができる営業力

WEAKNESS 弱み

■ 環境変化への臨機応変なバリューチェーンの柔軟性

■ 幅広いカテゴリー対応維持のための営業力などの資源分散

■ コモディティ市場における価格競争力

■ 若年層への到達力

成長機会の取り込み

―持続的な成長に向けて―

リスクへの対応

―資本コストの低減―

■ 生活者の健康、野菜摂取志向のさらなる上昇に対応した、新たな商品の提供

■ コロナ禍により加速した生活者の購買行動と、流通の変化に伴う、戦略的な資源の投下

■ 生活者のブランド選択の変化への対応

■ デジタル化による生活者との新たな情報、購買接点の拡大

■ 為替、相場をはじめとする不安定な原料調達に対する、調達国・エリアの分散

■ 低価格圧力の拡大に対する、付加価値型商品の提供

■ 既存領域における相対的な価値低下に対応する、新たな価値の持続的な創出

 

 

④ 中長期的な価値創造に向けて

 生活者の健康管理や環境に対する意識の高まりに伴い、植物性ミルクやプラントベースフードに対する関心が大きく高まっています。当社では先行的にプラントベースフードの商品開発に取り組んできましたが、この植物性領域でのおいしさの実現には、当社が従来取り組んできた、自然の恵みを最大限に活かし添加物に頼らない設計を心掛けるモノづくりのノウハウが活かされています。また、野菜の繊維、野菜だし、野菜エキスなど、当社が持つ多様な原料がプラントベースフードのおいしさを支える素材


として用途を広げつつあります。これまでの商品開発で培った素材の価値を引き出す技術を用い、さらには環境に配慮した容器包材を使用した新商品「畑うまれのやさしいミルク」を、2022年3月に発売します。
 今後も多様な生活者の健康期待に対し、新たな取り組みを進め、持続的な成長とともにお客様の健康寿命の延伸に貢献していきます。 

 

 

<国内農事業>

農事業では、主に生鮮トマト、ベビーリーフ等の生産・販売を手掛けております。

当事業の売上収益は、前期比6.4%減95億42百万円事業利益は前期比5.1%増2億86百万円となりました。

 

① 概要

生鮮トマトやベビーリーフなど生鮮野菜の生産・販売を中心に「野菜の会社」を体現すべく事業活動を進めています。

生産から消費までのバリューチェーンの高度化を図り、安定的な収益を獲得するとともに、「日本農業の振興」と「健康寿命の延伸」の社会問題解決に貢献します。

 

② 2021年度の概要(成果・課題)

 

成果

課題

2021年1月より、意思決定の迅速化、生産性の向上、アライアンスの推進、ガバナンスの強化を目的として、国内農事業を会社分割によりカゴメアグリフレッシュ株式会社に移管し、新たな体制にて事業を推進しました。
 営業面では、全社の「野菜をとろうキャンペーン」と連動し、生鮮トマトやベビーリーフパッケージに「平野レミさんおすすめメニュー」を掲載して需要喚起を行いました。生産性向上の取り組みでは、菜園でのIE手法を取り入れた作業効率向上や受発注業務のシステム化など事業基盤整備を進めました。家庭園芸やアグリサポートなど新規事業の育成も進めたことにより、利益を産み出すことができました。

 2021年度は1月から4月にかけての生鮮トマト市況低迷による販売単価下落、7月以降の猛暑や長雨などによる夏秋期における生鮮トマト取扱量の大幅減少など、想定を超える外部環境悪化の影響を受けました。しかし、新体制での様々な取り組みを進めた結果、減収ながら増益は確保しました。引き続き収益構造改革に取り組み、市況影響を受けにくい事業構造への転換を推し進めることが最大の課題と捉えています。
 また、収益の安定化とともに事業の成長を実現するためには、新たな成長領域の開発も課題と捉えています。日本の「農業振興」や「健康寿命の延伸」など社会課題解決にも貢献できるように、農分野での成長領域開発に取り組んでいきます。

 

 


 

③ 第3次中期経営計画での重点事項

 >安定的に利益獲得できる企業体質への転換と新たな成長領域の開発<
 安定的に利益を確保する体質への転換のため、中核の生鮮トマト事業では粗利額の最大化に取り組みます。関連部門との連携を強化し、「KAGOMEトマトブランド」の認知率向上と、顧客接点拡大に取り組むとともに、「高リコピントマト」「高GABAトマト」などの付加価値商品の販売構成を上げ、市況の影響を受けにくい構造へシフトします。また、環境制御技術の導入やエネルギー利用効率改善などにより、低市況でも利益を確保できるコスト構造を実現します。新たな成長領域の開発としては、トマトやベビーリーフに次ぐ生鮮野菜の開発・育成に取り組みます。家庭園芸事業では「植育」をコンセプトとした野菜を育てる楽しさの提案を通じて、お客様との関係性構築と販路拡大を進めます。

2025年度目標

 

売上収益

112億円

 

事業利益

7億円

 

※オーガニック成長のみを表示

 

 

 

バリューチェーン分析による本事業の強み・弱み

STRENGTH 強み

■ 生鮮トマトでのナショナルブランドの確立

■ トマトの高度な品種開発力、生産調達力、マーケティング力

■ 自社営業網・物流網による周年供給力と販売網

■ 機能性成分や残留農薬の分析による品質保証体 

  制

WEAKNESS 弱み

■ 生鮮トマト特有の市況や数量増減のボラティリティへの対応力不足

■ 生鮮トマトのコモディティ市場における価格競争力の低下

■ 労働集約型の施設園芸分野における生産自動化の遅れ

■ トマト、ベビーリーフ以外の野菜の品種、産地、流通などの生産基盤の不足

成長機会の取り込み

―持続的な成長に向けて―

リスクへの対応

―資本コストの低減―

■ 政府による「農業の成長産業化と活性化」政策の推進

■ ロボット・AI・IoTを活用したスマート農業や環境制御技術の開発進展

■ 生鮮野菜の販売チャネルの多点化と健康志向の高まり

■ ESG投資やSDGsなど農業分野での関心の高まり

■ 大型温室の増加による競争激化への対応

■ 人件費、エネルギー費、資材費、物流費などのコスト上昇への対応

■ 気候変動による栽培適地の減少や新たな病害虫の発生への対応

 

 

④ 中長期的な価値創造に向けて

「先進的で持続可能な農ビジネスを構築し、日本の農業をアグレッシブにリフレッシュする!」ことを目指して価値創造を進めます。そのために、品種開発力×技術力×調達力×営業力を、社内外との業務連携により高め、生鮮野菜の生産から消費までのバリューチェーンの高度化を推進します。
 具体的には、研究開発部門と連携した新たな高機能性野菜の開発、最新テクノロジーを活用した植物体モニタリング技術や収穫ロボットなどの研究・開発、AIを活用した出荷予測技術の導入など、先進的なバリューチェーンへの変革に取り組みます。サプライチェーンの高度化を通して、高付加価値化した生鮮野菜や関連商品を拡充することにより、消費者の多様化


する健康ニーズに応えていきます。また、環境配慮型設備の再整備による菜園CO2排出量の削減など、環境への取り組みも積極的に進めます。これらの取り組みにより、日本の「農業振興」「健康寿命の延伸」など社会問題解決にも貢献していきます。

 

 

 

<国際事業>

国際事業では、種子開発から農業生産、商品開発、加工、販売まで垂直統合型ビジネスを展開しております。

当事業における売上収益は、前期比16.5%増516億81百万円、事業利益は、前期比14倍の25億56百万円となりました。

 

① 概要

インオーガニック成長を視野に入れた米国業務用ビジネスの拡大と既存事業のポートフォリオ拡充により国際事業の売上成長を実現させます。

 

② 2021年度の概要(成果・課題)

 

成果

課題

 新型コロナウイルス感染症の影響で大きく落ち込んだ外食需要の回復などにより増収増益となりました。

 米国のKagome Inc.は、外食需要の回復基調により、新規顧客を含むフードサービス企業向け販売が好調に推移したほか、生産性の向上や固定費の削減による利益貢献もあり、増収増益となりました。ポルトガルのHIT社は主力商品であるトマトペースト価格の上昇や2020年度の減損による収益性の改善などで増益となりました。Kagome Australia Pty Ltd.は、グループ向けに販売しているにんじん濃縮汁の生産規模拡大に伴い、増収増益となりました。台湾可果美は、家庭向け新商品の導入や外食チェーン向け販売が好調に推移し、増収増益となりました。

2020年度までに、ポルトガルHIT社が保有する固定資産の減損損失を計上するなど、川上であるトマトの一次加工の生産規模を適正化し、収益構造が改善しました。今後は川下の二次加工において、米国市場全体を対象としたB to Bセグメントをさらに強化し、「収益安定化」から「成長」のステージへ移行させていくことが課題です。
 そのためには、インオーガニックな事業成長も視野に入れた売上成長の実現が必須となります。また、世界的な原材料価格や物流コストの高騰も大きな課題であり、生産性の向上や固定費の削減をさらに進めるほか、価格改定などにより、利益を確保していくことが求められます。

 

 


 

③ 第3次中期経営計画での重点事項

>インオーガニック成長を視野に入れた米国業務用ビジネスの拡大<

 米国でのインオーガニックな事業拡大を視野に入れ、米国成長戦略プロジェクト室を設置しました。米国におけるB to B事業領域での資源獲得機会を探索していきます。その他の地域においては、子会社ごとに事業、商品ポートフォリオを拡充し、グループ間連携による売上拡大を目指します。B to C事業領域では、引き続きアジア圏への野菜飲料の輸出を強化していくほか、アジア圏以外も含めた海外展開について検討を進めます。また、品質保証の基盤である「KBMP」を各子会社で定着させ、継続的に品質改善や生産性の向上に取り組み、コスト上昇による影響を最小限に抑えて利益の確保に努めていきます。

2025年度目標

 

売上収益

526億円

 

事業利益

28億円

 

※オーガニック成長のみを表示

 

 

 

バリューチェーン分析による本事業の強み・弱み

STRENGTH 強み

■ フードチェーンに向けたメニュー提案によるソリューション力

■ グローバルなトマトの一次加工ネットワーク

■ グループ会社共通の品質管理基準の展開による品質力

WEAKNESS 弱み

■ 一次加工など川上ビジネスにおける収益ボラティリティ

■ 購入額の大きい特定顧客への依存度の高さ

■ B to Cにおけるブランド認知の不足

成長機会の取り込み

―持続的な成長に向けて―

リスクへの対応

―資本コストの低減―

■ 米国の外食産業でのQSR(Quick Service Restaurant)及びファストカジュアル業態への提案強化

■ コロナ禍での簡便食・テイクアウト・デリバリーニーズを捉えた小型容器商品などの開発

■ 生活者の健康意識が高まるアジアでの野菜飲料の拡大

■ 一次加工でトマト以外の野菜や果実加工品の生産可能性検討

■ インオーガニック成長も含めた新規顧客の開拓と高付加価値商品へのシフト

■ 野菜飲料の価値伝達や独自素材の使用による差別化とブランド確立

 

 

④ 中長期的な価値創造に向けて

当社の国際事業は、トマト加工品の業務用ビジネスを中心に拡大してきましたが、中長期的に当社の国内事業の中核である野菜飲料を世界の消費者に販売することで、「野菜をジュースでとる」ことの健康価値、おいしさ、楽しさを伝え広め、世界各国の人々の「体の健康」と「心の健康」を促進していきます。


10年後の全社収益に貢献できる事業規模を目指し、第3次中期経営計画期間は「仕込み期間」として、現在野菜飲料を輸出販売しているアジア地域の需要創造活動と販売チャネル構築を進めるほか、アジア地域以外での海外展開の選択肢を検討します。また、子会社の台湾可果美では、現地製造の「野菜生活100」シリーズの販売を始めており、同社との連携を強化してラインナップの拡充を図ります。日本で培ってきた野菜飲料の開発・製造のノウハウに加え、現地での徹底的なマーケティング活動によって、市場ニーズに適合した商品を投入し、習慣飲用者を獲得して事業の基盤を築いていきます。

 

 

なお、今後の見通しにつきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通りであります。

また、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載の通りであります。

 

 

(3)財政状態の分析

当連結会計年度末は、資産合計につきましては、前期末に比べ97億4百万円減少いたしました。

流動資産につきましては、前期末に比べ180億81百万円減少いたしました。

これは、「営業債権及びその他の債権」が15億52百万円、「棚卸資産」が主に原材料価格の高騰に備えた在庫の積み増しにより48億45百万円それぞれ増加したものの、「現金及び現金同等物」が、前連結会計年度に実行した新型コロナウイルス感染症拡大による資金調達環境の逼迫等に備えた短期借入金の返済や、配当金や法人所得税の支払いなどにより255億37百万円減少したことによります。

非流動資産につきましては、前期末に比べ83億77百万円増加いたしました。

これは主に、「有形固定資産」が76億22百万円増加したことによります。

主な内容は、富士見工場のリニューアル51億64百万円をはじめとした当社の製造設備の更新、ポルトガル子会社であるHolding da Industria Transformadora do Tomate,SGPS S.A.の排水処理施設などの建設11億60百万円を含む固定投資による増加133億12百万円、減価償却費による減少65億77百万円となります。

負債につきましては、前期末に比べ165億95百万円減少いたしました。

これは、主に「営業債務及びその他の債務」が15億62百万円増加、「長期借入金」が23億64百万円増加たものの、先述の通り短期借入金の返済により、「借入金」が210億28百万円減少したことによります。

資本につきましては、前期末に比べ68億90百万円増加いたしました。これは、「自己株式」の取得及び処分により24億59百万円減少したものの、「利益剰余金」が主に「親会社の所有者に帰属する当期利益」により97億63百万円増加、剰余金の配当により32億19百万円減少したことにより65億4百万円増加したこと、「その他の資本の構成要素」が主に主要通貨に対する円安が進行したことにより24億67百万円増加したことによります。

この結果、親会社所有者帰属持分比率は54.6%、1株当たり親会社所有者帰属持分は1,328円36銭となりました。

なお、上記の自己株式の取得については、第3次中期経営計画の実施に先立ち、機動的な事業拡大への投資を視野に、資本効率の向上を通じた株主利益への貢献を目的として実施したものとなります。

 

(4)連結キャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、312億31百万円となり、前連結会計年度末比で255億37百万円減少いたしました。

各キャッシュ・フローの状況は次の通りであります。

営業活動によるキャッシュ・フローは、約147億96百万円の純収入(前期は204億42百万円の純収入)となりました。この主要因は、税引前利益が約138億80百万円となったこと、減価償却費及び償却費が74億95百万円(以上、キャッシュの純収入)、法人所得税等の支払いにより45億45百万円支出したこと(以上、キャッシュの純支出)によります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、約141億62百万円の純支出(前期は33億98百万円の純支出)となりました。この主要因は、前述の製造設備の更新などによる、有形固定資産及び無形資産の取得(投資不動産含む)により148億23百万円支出(前期は61億7百万円支出)したことによります。

財務活動によるキャッシュ・フローは、276億52百万円の純支出(前期は121億4百万円の純収入)となりました。これは、主に先述の通り短期借入金の減少により231億45百万円、配当金の支払いにより32億19百万円、それぞれ支出があったことによります。

 

(資本の財源及び資金の流動性)

 

① 財務戦略の基本方針

当社グループは、安定した財務体質のもと、成長投資と利益還元を両立することを財務戦略の基本方針としています。

 

(a) 財務基盤の安定

自己資本比率※ 50% 以上

信用格付 シングル A の維持

 

持続的な成長を支え、景気変動の影響に耐えうるには、財務基盤の安定維持が前提となります。第3次中期経営計画におけるM&Aを含むインオーガニック成長に必要な資金は、オーガニック成長により獲得した利益及び、自己資本比率50%を維持する範囲内での借入や自己株式の活用を想定しています。事業拡大による成長を図りつつ、信用格付けシングルAの維持と、自己資本比率50%以上を保つことで、財務安全性を確保しています。

※親会社所有者帰属持分比率


 

(b) 資本効率を重視した成長

ROE 9%以上

 

第3次中期経営計画においては、資本効率を重視した成長を図ります。資本を効率的に活用できていることを測る指標としてROEをKPIとして管理します。本中期経営計画においては、ROE9%以上を計画としています。資本効率の向上を図りながら、経営環境の変化に応じた機動的な資本政策を進めます。

 

(c) 安定的な利益還元

総還元性向 40% 以上

安定的、継続的な株主還元 自己株式の取得

 

第3次中期経営計画においては、配当及び自社株買いを含めた総還元性向が40%以上となるよう安定的・継続的に株主還元を行う予定です。また、第3次中期経営期間における配当計画については、38円以上を安定的に配当することとしております。

 

 

② 資金調達及び資金需要、キャッシュ・フロー計画

 

第3次中期経営計画においては、オーガニック成長に向けた戦略やDX、環境投資等として約450億円の投資を見込んでいます。また、自己資本比率50%を維持する範囲内での借入や自己株式の活用により、M&Aを含めたインオーガニック成長のための事業投資に300~500億円の投資を検討しております。なお、債券格付けシングルAを取得しており、外部からの資金調達に関しては問題なく実施可能と認識しています。


③ 資本効率を高める取り組み

当社では、従前より収益項目に関するKPIを設定し目標管理を行っていましたが、利益だけではなく、それを獲得するために投下した資本の適切性や効率性を測定するため、2021年度よりカゴメROIC(*)による管理を導入しました。

 

これにより、貸借対照表項目を各要素に分解し、改善すべき課題を明確にすることを目的としております。なお、カゴメROICでは、獲得したEBITDAに対して投下した資本の効率性を測定しております。2021年度における当社の取り組みは、債権の回収サイト短縮に向けた交渉や出荷計画の精度向上による製品在庫の削減、販売状況に合わせた原材料在庫のコントロールを中心に取り組みました。

第3次中期経営計画においては、資産効率の良い経営を行うことが出来ているか否かも可視化するため、取り組みが改善につながっているか継続的にモニタリングを行うことを計画しております。なお、将来的には事業別に資本コストとROICとの比較などを行い、各事業の効率性を検証し、効率的に利益を稼ぐことで企業価値の向上を目指してまいります。

* カゴメROIC:EBITDA÷投下資本

 

(ROICツリー展開)

当社においては、ROICツリーを資本効率を高めるためのコントロールドライバーとして活用しております。ROICツリーの展開により、ROICからブレイクダウンしたBS指標を各部門のKPIに落とし込むことで、これに基づくアクションプランを各社・各組織にて設定し、自律的にPDCAを回すことで指標の改善を図っております。その上で、各部門にて効率を意識した改善活動を行い、最適な生産体制の構築をはじめとした取り組みを進めてまいります。

 


 

 

④ 効率的な投資を実行するための体制

 

設備や事業への投資においては、社内専門部署の選抜メンバーで構成される投資委員会により、各部署から起案された投資について採算性やリスク評価を踏まえた審査を経て決定されており、投資後のモニタリングを実施し、その効果を確認しています。同委員会の確認を受けた議案が経営会議や取締役会へ上程され、正式な審議を受けています。


 

 

(生産、受注及び販売の状況)

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメント毎に示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

 

 

飲料

32,140

△0.6

通販

731

△4.0

食品他

17,143

1.4

加工食品 計

50,015

0.0

2,776

3.3

その他

178

△17.1

国内事業 計

52,970

0.1

国際事業

40,899

25.0

合計

93,870

9.6

 

(注) 1  金額は製造原価によっております。

2  金額は消費税等を含めておりません。

 

b. 受注状況

主要製品の受注生産は行っておりません。

 

 

 

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメント毎に示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

構成比(%)

前期比(%)

 

 

飲料

外部顧客に対するもの

75,480

 

1.6

セグメント間取引

 

75,480

39.8

1.6

通販

外部顧客に対するもの

13,518

 

6.9

セグメント間取引

 

13,518

7.1

6.9

食品他

外部顧客に対するもの

47,730

 

0.3

セグメント間取引

 

47,730

25.1

0.3

加工食品

外部顧客に対するもの

136,729

 

1.7

セグメント間取引

 

136,729

72.1

1.7

外部顧客に対するもの

9,537

 

△6.4

セグメント間取引

4

 

9,542

5.0

△6.4

その他

外部顧客に対するもの

937

 

19.8

セグメント間取引

67

 

1,714.5

1,005

0.5

27.8

調整額(注1)

△71

△0.0

 

 

外部顧客に対するもの

147,205

 

1.2

セグメント間取引

 

国内事業  計

147,205

77.6

1.2

国際事業

外部顧客に対するもの

42,447

 

13.0

セグメント間取引

9,234

 

36.4

51,681

27.2

16.5

調整額(注2)

△9,234

△4.8

 

連結売上収益

189,652

100.0

3.6

 

(注) 1  国内事業内のセグメント間売上収益を消去しております。

2 国内事業と国際事業間のセグメント売上収益を消去しております。

     3  金額は消費税等を含めておりません。

4  主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の通りであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

株式会社日本アクセス

34,222

18.7

34,085

18.0

 

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

当連結会計年度の研究開発費の総額は、3,796百万円であります。なお、当社の研究開発費用は、報告セグメント別に区分することが困難であるため、総額で記載しております。

当社の研究開発活動については、以下の通りであります。

 

 イノベーション本部では「野菜の力による社会課題の解決」を目的とした健康・農業・安全に関する研究に果敢にチャレンジし、その成果を事業に繋げることによってカゴメグループの持続的な成長に貢献しています。

①イノベーション本部における研究分野

・健康研究

緑黄色野菜を主とした機能性研究を中心に、健康情報の発信、野菜摂取の行動変容につながる仕組みの社会実装研究を行っています。積極的に研究をオープン化し、大学の医学部などとの産学官連携を推進しています。

・農業研究

約7,500種に及ぶトマトの遺伝資源を活用し、気候変動や病害虫への耐性がある加工用トマト、市場のニーズに沿った生鮮・園芸用トマトの新品種開発や栽培技術の研究を行っています。従来の手法に加え、遺伝子に関連するビッグデータ活用や、スマート農業に関連する先端技術の開発・活用を進めています。

・安全研究

食に関わる様々なリスク与件の収取活動、高度な分析評価技術の装備、原材料の安全性評価など、「畑から一貫して安全を保障する基盤技術」を維持、強化しています。

②知的財産の保護・活用

持続的な競争力を維持するため、自社の研究開発活動における発明・発見や、定期的な他社特許調査を通じて知的財産関連基盤(知財の取得、保護、妨害・訴訟予防)を強化しています。さらに、保有する知的財産の社外での有効活用にも取り組んでいます。

主な取組み

・トマトジュース・トマトケチャップの特許を活用した競争優位の維持

・ベジチェック特許による競争優位確立の推進

・トマト収穫機の特許を活用しての農作業効率向上及び技術利用料収入

③オープンイノベーションの取り組み例

「ナトカリ比」を食と行動変容の新指標に

-東北大学(COI東北拠点/東北メディカル・メガバンク機構)との「ナトカリ」普及に向けた取り組み-

食塩の摂りすぎは高血圧の原因となる一方、野菜や果物などに含まれるカリウムを多く摂取することで血圧が低下するといわれています。塩と野菜の摂取バランスを示す、ナトリウム・カリウム比(ナトカリ比)とその指標に基づいて食行動を変える仕組みの普及を、東北大学と連携で進めています。ナトリウム量を縦軸、カリウム量を横軸に様々なメニューを配置した「ナトカリマップ®」を作成し、視覚的に分かり易くすることで、食に対する行動変容をサポートしています。

これらのナトカリの取り組みは、厚生労働省の大規模実証事業にも採択されており、当社も参画しております。

※「ナトカリマップ®」は東北大学とカゴメの登録商標であり、両者が共同で特許出願中のものです。


トマト加工品の夾雑物検出技術の開発

2018年より、AIを活用してトマトの夾雑物を判別する実験を開始し、AI画像判定サービスを強みとする株式会社YE DIGITALとロボット技術を活用したシステム構築の実績を持つ末松九機株式会社とともに開発を進め、AIによる夾雑物除去システムを当社茨城工場で導入しました。本設備は、ベルトコンベアを流れるダイストマトを連続撮影した画像から、AIが夾雑物を判別し、ロボットで吸引除去するものです。商品の安心・安全を確保するとともに人手不足の対応にも貢献できる技術です。


 

茨城工場に導入された夾雑物除去システム

 

④今後の強化策

・研究クリエイティビティと橋渡し(事業化)ができるT字型人材育成の更なる推進

(積極的な大学・他社への研究出向、ベンチャー企業出向、外部コンサル等の実施)

・知的財産の獲得・維持・価値創造・発信の強化と知的財産による参入障壁の構築

・原料調達の環境変化に対応した、品種開発と開発拠点の海外展開

・食品安全コンサル活動を通じた「安全」基盤強化