第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) トップメッセージ


 

<第3次中期経営計画 1年目の市場環境認識と業績評価>

経営環境が激変した1年

これまでに培った利益を獲得する力をベースに、トップラインの成長を追求することを基本戦略とする第3次中期経営計画が2022年からスタートしました。

しかしながら、スタート直後から、ウクライナ情勢の急変や円安の急激な進行、農業分野に甚大な影響を及ぼす自然災害の頻発といった事態が重なり、これまで経験したことのない経営環境の激変に直面しました。

コロナ禍からの経済回復に伴うコスト上昇を当初より経営計画に織り込み、2022年4月にトマト調味料を中心とする価格改定を行いましたが、時間の経過とともに原材料価格の上昇規模が大きくなり、それを考慮して、同年7月に、通期業績予想の修正を発表しました。

また、この原材料価格の上昇は短期的なものではなく、第3次中期経営計画期間中は継続するものと考え、中期的な原材料の安定調達に向けた戦略の見直し、さらなる原価低減施策や、お客様の購買行動の変化を捉えたプロモーションの実行など、緊急に手を打たなければならない課題への対応を全社一丸となって進めてきました。コロナ禍に対応する中で高まった変化対応力を従業員一人ひとりが発揮し、機動的に活動した1年でした。

 

2022年度業績評価

国内加工食品事業においては、原材料価格上昇への対応に加えて、当社の主力商品である野菜飲料の売上回復も大きな課題でした。これまではコロナ禍により高まった、「免疫力のために野菜をもっと摂りたい」というお客様の意識にお応えすることで、当社の野菜飲料の売上は伸長してきました。しかしその後、野菜摂取ニーズに対応した商品の増加に伴う競争の激化により、主力ブランドである「野菜生活100」の売上が2021年度を割り込む状況となりました。 

その要因は「野菜生活100」の「食事の野菜不足を手軽においしく補える」という基本的価値がお客様の意識の中で希薄化したことにあり、それを踏まえて、下期からの情報発信やプロモーションを変更することで、第3四半期以降の売上は、前年同期を超える水準まで回復させることができました。

また、国際事業においても原材料価格は上昇していますが、販売価格への反映を着実に進めると同時に、外食・中食市場の需要獲得に向けた取り組みを進めました。

結果として2022年度の業績は、売上収益2,056億円(前年度比+8.4%)、事業利益※128億円(前年度比△9.4%)となりました。2022年7月に修正した業績予想を上回る内容で着地できたことで、2023年度に向けて前向きな材料になったと捉えています。


 

事業利益は売上総利益から販売費及び一般管理費を控除し、持分法による投資損益を加えた利益であり、IFRSで定義されている指標ではありませんが、当社の取締役会は事業利益に基づいて事業セグメントの実績を評価しており、当社の経常的な事業業績を測る指標として有用な情報であると考えられるため、自主的に開示しております。

 

<ターニングポイントとなる2023年>

コスト上昇を跳ね返す機動的な対応、次の成長の柱となる事業探索の強化

当社の主力原材料である多くの農産原料は、翌年に必要な量を、当年に一括発注しています。そのため、2022年に加工された農産原料は、2023年になってから使用されます。2022年においてトマトをはじめとする農産原料の価格は世界的に高騰しましたが、その影響を本格的に受けるのは2023年になります。2022~2023年のコスト上昇額は、2021年度の事業利益の141億円を超える規模になると予測しています。これは当社がこれまで経験したことのない短期間での大幅な上昇であり、まさに有事とも言える事態です。2023年度は減益となりますが、この有事にどのように対応していくかが、短期的な業績だけでなく、これからのカゴメの未来に大きな影響を与えることになります。2023年はまさにターニングポイントの1年になると考えています。

2023年には2つのことを迅速に実行していきます。1つ目は、コスト上昇を跳ね返す機動的な対応です。メーカーの責務として生産性向上やロス削減に最大限取り組みます。しかしながら直面している急激で大幅なコスト上昇は、そのような自助努力の範囲を超えています。その対応として、流通などのお取引先やお客様に当社の状況を丁寧にご説明した上で、2023年2月に家庭用商品約150品目・業務用商品約178品目の価格改定を行いました。今後は、価格改定後に一時的に落ち込むと予想される販売数量の早期回復に、全社を挙げて取り組んでいきます。飲料事業においては、2023年の春から「彩り豊かな野菜の色が毎日の暮らしをあざやかにする」というコンセプトの新しいコミュニケーションを大々的に展開します。また、食品事業においては、日本一のオムライスを決定する「オムライススタジアム®2023」を核としたトマト調味料の情報発信を強化します。これらの活動を、需要の回復にとどまらない、新しい需要の創造につなげていきます。

加えて、農産原料の安定調達力をさらに高める対応を進めます。当社は、農産原料の9割以上を海外から調達しており、調達拠点数は179拠点(2021年度実績)にのぼります。これは、長い期間をかけて分散型のグローバルな調達ネットワークを構築してきた結果であり、産地ごとの作況変動の影響を最小限に抑えています。また、オーストラリアやポルトガルなどの重要な産地には、グループ会社を保有する体制も整えてきました。しかしながら、今般の農産原料の価格高騰や新たに生じた地政学的リスク、さらには中長期的な気候変動の深刻化に対応していくためには、グローバル調達ネットワークの一層の強化が必要と強く認識しており、喫緊の課題として再構築に取り組みます。

2つ目は、新しい成長の柱となる事業の探索を強化することです。新しい事業の探索にはコストも時間もかかり、さらに、これからの数年間は、厳しい経営環境の継続が予測されます。しかしながら、ここで探索活動のボリュームを下げてしまっては、数年先に成長できない時期が来てしまいます。厳しい状況を乗り越え、持続的な成長を遂げるために、強い意志を持って新しい事業の探索を続けていきます。

 

 

<第3次中期経営計画の進捗と今後の取り組み>

「ありたい姿」の実現をめざし、4つのアクションを着実に進める

第3次中期経営計画は、2022年からの4年間で、「食を通じて社会課題の解決に取り組み、持続的に成長できる強い企業になる」という2025年のありたい姿の実現を目標としています。このありたい姿は、事業活動を通して、社会的価値と経済的価値の両方を創出する当社の価値創造プロセスそのものであり、経営環境が変化しても、その基本的な考え方は変わりません。ただし、2025年の定量目標については見直しを行います。現時点において、売上収益は国際事業の売上増加や価格改定により、当初の目標である年平均成長率2%を上回る進捗となっています。一方、急激な原材料価格の上昇影響で、事業利益については、当初の想定との乖離が大きくなっています。この状況を踏まえ、新たな2025年の定量目標を設定し、2024年2月の決算説明会までに改めて提示します。

第3次中期経営計画の基本戦略「4つのアクションの有機的連携による持続的成長の実現」については、厳しさを増す経営環境下においても中期的な成長のカギを握るものであり、グループ一体となって着実な歩みを進めます。

 

4つのアクションの進捗

① 野菜摂取に対する行動変容の促進

野菜の摂取量を増やすことは、「健康寿命の延伸」という社会課題の解決とともに、カゴメの持続的な成長にもつながる重要な取り組みです。引き続き、野菜不足の自覚と野菜摂取の行動変容につながる情報発信を積極的に行っていきます。ベジチェック®※は、この2年間で供給体制の整備が進み、2023年1月には累計測定回数が232万回を超えました。スーパーの店頭などでの設置が進んでおり、生鮮野菜の買い上げ点数の増加や、ベジチェック®計測が来店動機になるなどの効果も確認でき、流通・小売からの期待も高まっています。野菜摂取に対する行動変容に直結するベジチェック®の体験を、このアクションのキーコンテンツとして設置場所の拡大、継続測定を促す仕組みづくりを加速します。

 

※ センサーに手のひらを押し当て数十秒で、野菜摂取レベル(0.1~12.0)と推定野菜摂取量(6段階、g)が分かる機器。数十秒で測定が完了することから、利用者がその場で結果を見ることができる簡便さが特徴。

 

② ファンベースドマーケティングへの変革

ファンベースドマーケティングは、カゴメのブランド・商品・サービスに共感し、強い愛着を持っていただける「ファン」を増やしていくマーケティング活動です。現在、農から暮らしにつながる様々な体験コンテンツの開発と、その提供機会の拡充に取り組んでいます。この活動は「農業振興・地方創生」という社会課題の解決につながり、農から価値を創出しそれをお客様にお届けするという創業時からの活動も継承しています。

2022年から「植育から始まる食育」という活動を進めています。きっかけは、厚生労働省が推奨する1日350g以上の野菜を摂取している人の約半数が、子どもの時に野菜の栽培や収穫体験をしたことがあるという当社のアンケート調査でした。この結果をもとに「野菜を植えて育てる」機会をお子さまに提供し、未来の野菜好きに育てたいという想いでスタートした活動が「植育から始まる食育」です。具体的には、野菜生活ファームで季節ごとの野菜を収穫できる体験コースを設けたり、トマト苗の配布や栽培講習会の実施、店頭でのトマト収穫イベントなどを実施しています。幅広い野菜体験コンテンツを有機的につなげ、野菜との接点を増やします。
 

 

③ オーガニック・インオーガニック両面での成長追及

▶オーガニック

国内事業の需要創造力と国際事業の成長力を重視

 第3次中期経営計画では、既存事業を安定的に成長させていくオーガニック成長と、M&Aなどにより新たな資源・リソースを得ることで成長するインオーガニック成長の両面から、持続的な成長を追求しています。

まずオーガニック成長についてです。国内加工食品事業においては、先ほどお話しした価格改定後の需要の回復や新しい需要の創造に注力します。

加えて、2023年においては国際事業のオーガニック成長が重要なポイントになると考えています。特にトマトペーストなどを製造する一次加工ビジネスについては、市場環境が大きく変化しています。コロナ禍以前は世界的にトマトペーストの在庫が過剰で、相場価格が低迷していました。そのため、当社の一次加工ビジネスは、生産規模を適正化し利益を確保する戦略をとってきました。それが、コロナ禍からの経済回復の中で外食需要が増加し、気候変動やウクライナ情勢の影響もあって、トマトペーストの需給は逼迫する状況になりました。また、今後も不安定な国際情勢や天候リスクの高まりが継続する可能性を考慮すると、当社の一次加工ビジネスの戦略を見直すことが極めて重要になります。一次加工のグループ会社を保有している当社の強みを活かし、トマトペーストを安定生産、安定確保することで、国際事業のオーガニック成長を支える構造をさらに強化します。

 

インオーガニック

オープンイノベーションによる新事業創出と米国における成長戦略

この数年間で種を蒔いてきた3つの取り組みが、2022年に新しい事業として芽を出しました。1つめは、プラントベースフードを展開するスタートアップ企業の株式会社TWOとの協業です。2022年には第一弾となるにんじんや白いんげん豆で作ったプラントベースエッグ「Ever Egg」を使用した冷凍食品のプラントベースオムライスを発売し、流通やお客様から大きな反響を頂きました。それに続いて2023年4月には共同開発商品第2弾となる新商品を発売し、プラントベースフードの新たなユーザーの獲得を目指します。2つめは、不二製油株式会社との協業による、プラントベースフードの新ブランド「SOVE®」の立ち上げです。公式ホームページのみで販売する大豆と野菜から作ったシリアルを2022年10月に発売し、新しい需要の創造に取り組んでいます。3つめは、AIを活用した加工用トマトの営農支援事業です。日本電気株式会社(NEC)とともに、合弁会社DXAS AgriculturalTechnology LDAをポルトガルに設立し、より環境に優しく収益性の高い営農を促進するサービスを提供しています。今後も、こうしたオープンイノベーションから新しい成長の芽を創出し、早期に収益が期待できる事業に育成します。

また、米国での成長戦略については、2021年に設立した「米国成長戦略プロジェクト室」を中心に、他企業との協業やM&Aなどのインオーガニック成長も視野に入れた多面的な検討を進めています。

 

④ グループ経営基盤の強化と挑戦する風土の醸成

足元の課題への機動的な対応と中長期的な成長へのチャレンジ、どちらにもグループ経営基盤の強化は欠かせません。特に、バリューチェーンの強化については、これまで述べてきた通りグローバル調達ネットワークのさらなる強化に加え、国内原料の調達拡大にも取り組んでいます。

DXの推進においては、IT戦略立案や大型DX案件の意思決定を行う「デジタル化推進会議」と、DXの風土づくり・人材育成などを担う「DX推進委員会」の2つの会議体による推進体制をとっており、顧客情報基盤の整備やRPAによる自動化などの生産性向上に向けた活動が進んでいます。また、2025年までに全社員の1割を、DX課題を自らの力で解決できる人材に育成すべく、教育プログラムを整備し実施しています。

持続的な成長を実現するためには、イノベーションの継続的な創出が必要です。当社では、多様な人材が働きがいを感じながら力を発揮することがイノベーションの創出につながるという考えから、多様性を担保するための採用や風土づくりに積極的に取り組んでいます。最も注力しているのは、心理的安全性を大切にする風土を浸透させ、多様な人材が、率直に意見交換できる環境を整備することです。エンゲージメントサーベイの分析や、「トップと語る会」での従業員との率直な意見交換などを通して、心理的安全性を高め、挑戦する風土を醸成します。

 

 

<サステナビリティの取り組み強化により、社会課題解決を加速する>

サステナビリティ委員会の設置とリスクマネジメント体制の強化

農と健康と暮らしをつなぐ事業活動を展開している当社にとって、サステナビリティへの取り組みは「食を通じて社会課題の解決に取り組み、持続的に成長できる企業」を目指す事業活動そのものです。そのために、長期を見据えた機会やリスクを経営戦略に反映していく必要があると考え、2022年にサステナビリティ委員会を設置し、より長期的な視点での議論や検討、マテリアリティの推進に取り組む体制を整えました。サステナビリティ委員会では、長期的な価値の創出、持続可能な社会の実現を目指す4つの「サステナビリティ課題」を設定しています。持続可能な農業、サーキュラーエコノミー、環境負荷の低減、サプライチェーンCSRの4つの課題に対し、分科会を通じて長期の備えや対応策の検討を進め、経営戦略に反映していきます。

解決すべき社会課題の中で、特に気候変動は深刻さを増しています。地球温暖化防止に向けて、2050年までに当社グループの温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを目指し、2030年に向けた温室効果ガス排出量の新しい削減目標を策定しました。新しい目標は、SBT(Science Based Targets)イニシアチブ※の認証を取得しています。この目標の達成に向けて、全社横断的な「CO2排出削減プロジェクト」にて2030年までのロードマップを策定しました。今後は、ロードマップに沿った長期的な視点での環境投資を積極的に行っていきます。

また、厳しい経営環境変化を踏まえ、当社のリスクマネジメントにおける体制や責任の所在を明確にするべく、CRO(最高リスクマネジメント責任者)とリスクマネジメント統括委員会を設置し、具体的にリスクを捉えて対処していく仕組みを整備しました。

 

※ SBT(Science Based Targets)イニシアチブ:企業の温室効果ガス排出削減目標がパリ協定の定める水準と整合していることを認定する国際的イニシアチブ

 

<ステークホルダーの皆様とともに、強い意志を持ち、この難局を乗り越えます>

カゴメグループは現在、未曾有のコスト上昇により、かつてない局面に直面しています。このような状況であるからこそ、「食を通じて社会課題の解決に取り組み、持続的に成長できる強い企業」を目指すというカゴメの軸をこれまで以上に強く意識し、私たちがやるべきことに愚直に取り組むことで、この局面を乗り越えていく覚悟です。そのためには、皆様のご協力やサポートが欠かせません。ステークホルダーの皆様と新しい価値を共創することで、成長し続けるカゴメグループへと進化させていきます。

今後とも変わらぬご支援を賜りますよう、引き続きよろしくお願い申し上げます。

代表取締役社長

山口 聡

 

 

(2) 会社の経営の基本方針

カゴメグループは、「感謝」「自然」「開かれた企業」を企業理念としております。これは、創業100周年にあたる1999年を機に、カゴメグループの更なる発展を目指して、創業者や歴代経営者の信条を受け継ぎ、カゴメの商品と提供価値の源泉、人や社会に対し公正でオープンな企業を目指す決意を込めて、2000年1月に制定したものです。

また、カゴメグループは今後も「自然を、おいしく、楽しく。KAGOME」をお客様と約束するブランドステートメントとして商品をお届けしてまいります。

 

当社の企業理念、ブランドステートメントから長期ビジョンまでの関係は以下のとおりです。

 


 

 

(3) カゴメの価値創造プロセス

当社は、「企業理念」をゆるぎないカゴメの価値観、「ブランドステートメント」を社会やお客様への約束として経営の根底に置くことで、組織が一貫した行動をとっています。環境変化を予測し、成長を支える経営資本を活用することで、農から価値を形成するバリューチェーンを、多様なパートナーと協業しながら進化させています。

現在は、国内加工食品事業、国内農事業、国際事業の3つのセグメントと、それを支える価値創造活動により、農と健康と暮らしをつなぐ商品とサービスを提供しています。事業を通じて「健康寿命の延伸」「農業振興・地方創生」「持続可能な地球環境」の3つの社会課題解決に取り組み、持続的に成長できる強い企業となることで、社会価値と経済価値を創出します。

 


 

 

(4) カゴメの成長を支える経営資本

 

1 新たな価値を創造する健康・農業・安全研究

本内容につきましては、5.研究開発活動 をご参照ください。

 

2 国内外の幅広い調達ネットワーク

安心・安全な商品を安定してお届けするため、国内外に幅広い調達ネットワークを構築しています。いずれの拠点も、栽培から製造工程までの品質管理状況の確認を行い、品質の向上に努めています。

 


 

 

主な調達品目と使用商品

年間11万tに及ぶ野菜や果実の加工品を安定して調達しており、世界有数の規模を誇ります。

※ 生換算していない実重量ベースの値                        2021年度の実績をもとに作成


 

 

今後の強化策-環境変化への対応-

一次加工のグループ会社による安定したサプライチェーンの構築

● グループ企業間連携によるトマト加工サプライチェーンの強化

● オーストラリアのにんじんパウダーなど新素材の国内加工食品事業への供給


日本国内における機械収穫の様子

グローバルネットワークの強化

● 拠点分散による安定調達体制の構築

● コスト競争力のあるサプライヤーとの中長期契約比率の向上

国内産原料の調達強化

● 国産トマト産地と機械収穫の拡大による国内産原料の調達量増加

 

 

 

3 多様な野菜提供力

野菜の商品開発力と需要創造力

当社では、多種多様な野菜を、適した加工法や形態で、様々な市場に提供することにより、野菜の供給量を増やしていきます。ここで要求されるのは野菜の商品開発力と需要創造力です。これまで蓄えてきた野菜に対する豊富な知見・技術を磨いて新しい商品を世に送り出し、野菜の需要を喚起して、野菜不足の解決に貢献します。

 

野菜をどのように供給するか

提供素材

商品開発力

 

 

 

提供形態

需要創造力

●商品・

 メニュー提案

●販売促進

提供市場

●トマト
●にんじん
●たまねぎ
●赤ピーマン
●ベビーリーフ
●大豆
    など

●生鮮野菜
●飲料
●トマトケチャップ、トマト調味料
●野菜素材
(冷凍野菜、ピューレー、野菜だしなど)
●野菜スープ
●サプリメント

                 など

●内食
●中食
●外食


 

 

 


 

 

 

 

 

野菜の商品開発力

需要創造力

 自然素材を活かした商品づくりと
長年蓄積した開発ノウハウ 

ソリューション提案と需要喚起

●野菜が持つ本来の味や栄養素を大切にし、なるべく無添加で加工することにこだわっています。また、素材が持つ栄養素に関するエビデンスに基づいた機能性表示を行っています。

●野菜飲料のトップメーカーとして、過去の開発で蓄えた加工技術・制菌方法などの知見や配合事例を新商品の開発に活かしています。

●トマトやにんじんのパルプなど独自開発の野菜素材を用いて狙った味や性状を生み出すほか、野菜のえぐみや酸味を制御する製法や技術を活かして飲みやすい飲料を開発しています。

●多様な野菜素材を用いたメニュー提案を通じて、顧客が抱える悩みを解決し、野菜の需要を創造しています。

●大型のプロモーションによって、需要を継続的に喚起しています。

●ベジチェック®や健康セミナーなどのコトビジネスで野菜摂取の行動変容を促進しています。

 

 

事例

<野菜一日これ一本 Plus>

トマト由来の食物繊維とGABAに着目し、機能性表示を行いました。栄養強化剤は使用せず、トマトや野菜由来のおいしさを提供しています。


<業務用オニオンソテー>

オニオンソテーは仕込みの手間や食品ロスを削減するだけでなく、調理現場の人手不足の解決にもつながる、注目度の高い野菜加工品です。


<オムライススタジアム®>

オムライススタジアム®はエリア大会を勝ち抜いた店が集まり、日本一食べたくなるオムライスを決める全国大会で、トマトケチャップの需要喚起活動の一つです。


 

 

 

 

4 安心・安全のブランド力

カゴメには、「畑は第一の工場」という考え方があり、畑から原材料の品質向上に取り組み、安心・安全とおいしさを両立した商品づくりを行っています。また、無添加で健康に役立つ商品を提供し、多くの商品で国内No.1のシェアを誇り、外部のブランドランキングなどで高い評価を得ています。

 


 

ブランドを守る知財活動

 創業より築いてきたブランドを守り、発展させていくために、法務・事業・広告部門で連携し知的財産権を適切に活用しています。「野菜生活100」や「野菜一日これ一本」などの主力ブランドは、商品パッケージの変更に併せて商標権だけでなく、意匠権などで多面的かつ効果的な知的財産権による保護を実践しています。また、トマトケチャップなどデザインが大きく変わらないロングセラー商品は、象徴となるデザイン要素ごとに商標権を取得して模倣品や類似商品に対する牽制を強化しています。


「野菜生活100」の新パッケージ

ファンベースドマーケティングの活動

第3次中期経営計画の基本戦略におけるアクションの一つとして、ファンベースドマーケティングへの変革に取り組んでいます。当社の事業活動や企業姿勢に共感するファンを増やし、店頭で商品を選ぶ前からカゴメブランドを支持していただけるような、消費者との関係構築に努めています。そのための情報発信や体験の場の提供に努めています。


食育イベント「不思議の畑とトマトの樹」

 

 

 

(5) カゴメのビジネスモデル

カゴメは農から価値形成するユニークなバリューチェーンを有し、国内外で事業活動を行っています。この独自のバリューチェーンの強みとなるポイントを内製し強化すると同時に、外部との積極的な協業によって必要な資源に迅速にアクセスし、最善の組み合わせを築く「オープン型バリューチェーン」により、ビジネスモデルを深化させています。 

 

1 カゴメのビジネスモデルの特徴は以下の通りです。

 


 

ビジネスモデルの特徴

01 種子から食卓まで一貫して関わってきたことで培った各プロセスで有する高い技術力・ノウハウ

●トマトの遺伝資源:約7,500種

 

 トマトの遺伝資源のデータベースや独自の濃縮技術など、各プロセスにおいて高い技術力とノウハウを有しています。

03 調達力や開発力を活かした高い利益率

●国内加工食品 飲料利益率:9.0%(2022年度実績)

 

 調達力(量)や商品開発力、配合のノウハウなどにより、野菜飲料では高い利益率を実現しています。

02 強固なサプライチェーンとオープンイノベーションの組み合わせによる新価値想像力

●調達拠点数:179拠点(2021年度実績)

 

長い年月をかけて、あらゆる変化に対応できる柔軟かつ強固なサプライチェーンを構築しています。さらに、他の企業や大学と連携したオープンイノベーションにより、新たな価値を創出し続けています。

04 成長ドライバー:

社会課題「健康寿命の延伸」への貢献

カゴメの緑黄色野菜供給量:日本の消費量の18.5%

出典: VEGE-DAS(カゴメ野菜供給量算出システム)
      農林水産省「食料供給表」2021年度概算値

 

 カゴメが解決する社会課題の中でも、「健康寿命の延伸」の解決が一番の成長ドライバーです。生鮮野菜や野菜ジュースなど商品の提供により、日本の野菜不足解消に貢献することで、成長を実現します。

 

 

 

2 ビジネスモデル進化の方向性

「オープン型バリューチェーン」によるビジネスモデルの進化は、既存ビジネスの変革だけでなく、持続的な競争力を高め、社内の「挑戦する風土」を醸成することにもつながります。ここでは現在推進している「オープン型バリューチェーン」の取り組みをご紹介します。

 

具体事例

ベジチェック®の展開

 日本の成人の平均野菜摂取量は1日当たり約290gであり、厚生労働省が目標として掲げる1日350gに届いていません。当社はこの状況を改善するために、「野菜をとろうキャンペーン」をはじめ、野菜摂取意欲を高める様々な施策を展開しています。その中核となるツールが、ドイツのBiozoom services GmbHと開発したベジチェック®です。ベジチェック®のさらなる普及・活用に向け、測定結果をユーザーに分かりやすく伝え、行動


につなげる技術(データ連携など)の開発に取り組んでいます。今後も野菜摂取を楽しく、身近に感じていただけるツールに育てていきます。


健康事業部

林 宏樹

「SOVE®」ブランドの展開

 健康や環境への関心が高い層を中心に、プラントベースフードへの注目が高まっています。2022年10月に不二製油株式会社と共同で、大豆と野菜のプラントベースフードの「SOVE®」ブランドを設立し、第一弾となる大豆と野菜のシリアルを発売しました。「SOVE®」は大豆の「SOY」と野菜の「VEGETABLE」を組み合わせた造語であり、シンプル


で上質かつ洗練された新規のブランドの世界観をつくるため、カゴメのブランドを前面に出さず、公式オンラインサイトでの限定販売としています。「SOVE®」ブランドを通して、プラントベースフードを誰もが楽しく続けられる食事として、習慣化していくことを目指しています。


SOVE事業部

恵良 正和

 

 

 

(6) 中期経営計画の進捗

2025年のありたい姿、ビジョンの達成に向けて、2022年から2025年までの4ヶ年を第3次中期経営計画として位置付けています。1年目となる2022年度は、ウクライナ情勢の急変や急激な円安の進行、気候変動の影響による農産原料の収穫量低下といった事態が重なったことにより、原材料価格が高騰し、当社の経営環境は大きく変化しました。このような変化の中においても、2025年のありたい姿、ビジョンを目指すことに変わりはありません。しかしながら、2025年の定量目標については、現在の環境を踏まえ 、改めて設定します。
売上収益については円安による国際事業の売上増加や価格改定により、当初計画を上回る見通しです。事業利益は原材料価格の上昇により低下しますが、国内事業の収益構造改革など、重点課題に着手し2024年度以降に利益を伸長させます。

 

1 定量計画

 2023年度の売上収益は、2,130億円、前年度比+3.6%を計画しています。国内加工食品事業は、価格改定により単価が上昇しますが、新たな価格が定着するまでの一時的な販売数量の減少により、2022年度とほぼ同水準の計画です。国際事業は、世界的な需給逼迫を受けて、トマト加工原料の販売価格の上昇、販売数量の拡大を見込んでいます。また、米国における外食向けの営業体制を強化し、新規案件を獲得することにより、売上を拡大します。
 事業利益は、74億円を計画しており、原材料価格の上昇と、価格改定による一時的な販売数量減少により、2023年度は減益となる見通しです。


 

 

2 2023年度 足元の課題への迅速な対応

① 国内加工食品事業における、価格改定からの早期の需要回復・構造変革視点での原価低減

2022年度の大きな環境変化に伴い、原材料価格の高騰が続いています。特に、主原料であるトマトやにんじんなどの農作物、容器包材、燃料などの価格は高い水準が続く見通しです。このような環境の中、価格改定を実施するとともに、対象カテゴリーの新価格定着に向けた需要創造に、全社一丸となって取り組みます。
 また、原価低減については、構造変革の視点を持ち、抜本的な原価企画活動を推進していきます。 

 

② 国際事業の安定的な利益創出

国際事業は、外食の需要回復や価格改定などにより、当初計画通りの進捗です。トマトペーストなど一次加工品の売上の拡大、フードサービス向けの二次加工品の新規顧客獲得、グループシナジーの創出により、さらなる成長を実現します。

 

③ グローバル調達力の向上

当社の原材料は、約9割を海外から調達しています。2022年度はウクライナ情勢をはじめ、気候変動に伴う水不足や地政学的なリスクが顕在化しました。安心・安全な商品を安定してお届けするために、国内外の幅広い調達ネットワークをこれまで以上に強固なものとし、安定調達力を高めます。

 

 

 

<成長戦略におけるKey Actions>

第3次中期経営計画の基本戦略は「4つのアクションの有機的連携による持続的成長の実現」です。この4つのアクションは、厳しさを増す経営環境下において、中長期的な成長のカギを握るものであり、グループ一体となって着実に歩みを進めていきます。

 


 

第3次中期経営計画 基本戦略

 


 

第3次中期経営計画 成長戦略概略図

 


 

それぞれのアクションにおける内容は以下の通りです。

1 野菜摂取に対する行動変容の促進

成長戦略の起点として、「野菜不足の自覚」「野菜の摂取意欲を高める情報発信・サービス提供による行動変容」に取り組みます。

 

Point01:健康サービスによる、野菜不足の自覚・野菜摂取意欲の向上

野菜摂取量の推定値を約30秒で測定できる「ベジチェック®」を体験できる機会・場を増やしています。2023年1月時点で累計測定回数が232万回を超えました。小売店頭での展開も行い、青果売り場や野菜ジュースの売上が増えた事例も出ています。

Point02:野菜の機能性研究の推進

 高血圧予防として減塩+ナトリウム排出に寄与するカリウムとのバランスをとる「ナトカリ」の普及・啓発活動を推進しています。ナトカリを活用した健康指導プログラムを自治体の特定健診など様々な場で実施しています。

Point03:情報発信の中核 「野菜をとろうキャンペーン」

2020年からスタートした「野菜をとろうキャンペーン」では、野菜摂取量が不足していることの認知向上に加えて、なぜ野菜が必要なのか、簡単でおいしい野菜のとり方について、多様な媒体や店頭、自治体との連携により情報を発信しています。この一環として本キャンペーンの趣旨に賛同した19の企業・団体と連携する「野菜摂取推進プロジェクト」では、2022年の共同企画は38件(前年比+17件)、情報発信対象者数は3,500万人、体験者数は2.1万人となりました。



小売店でのベジチェック®展開事例

NECとカゴメが共同で開発した、AIで子どもの苦手な野菜と相性の良い食材を導き出した「AI(愛)のプリン」

 

 

 

2 ファンベースドマーケティングへの変革

広くカゴメの事業活動を通じ、カゴメの社会貢献意義や価値観に共感してくださるファンを増やしブランド価値を向上させます。

 

Point01:「植育(しょくいく)から始まる食育」開始

「育てる体験」、「収穫体験」、栽培シーズン後も野菜に対する継続的なアクションを促す「暮らしの中で継続を生む体験」の3つの体験ステップを通じ、生活者と日常的・継続的な接点を持ち、食育の世界観を伝えていく活動を開始しました。2022年には全国6ヶ所のショッピングモールで食育体験イベント「不思議の畑とトマトの樹」を実施しました。野菜が育つまでの世界観を描いたオリジナルのストーリーやキャラクター、巨大なトマトの樹を通じて、2.2万人の方に野菜と暮らす楽しさを体験していただきました。これからもトマト苗栽培に関するコンテンツの拡充や体験型のイベントを開催し、生活者との接点を広げファン化を促進していきます。 

Point02:リアル接点空間での共感を伴ったファンづくり

 お客様に野菜と暮らす楽しさを提供する情報発信・体験拠点として、全国の支店にあるキッチンを「カゴメキッチンファーム」に変更しました。地域の方と双方向でつながり、モノだけでなくコトによって共感を醸成していきます。また、重要なコミュニケーションポイントである野菜生活ファームでは、多くの方に野菜の収穫やファクトリーツアーなどの体験を通じて、当社の「農を起点とした価値形成」をお伝えしています。



「不思議の畑とトマトの樹」の収穫体験

野菜生活ファーム

 

 

3 オーガニック・インオーガニック、両面での成長追及

 

Point01:国内事業における収益構造改革

原材料価格やエネルギー費などの上昇により、国内事業におけるコスト構造は大きく変化しています。今後のコスト上昇も見据えた上で、国内事業の幅広いカテゴリー及び商品のコスト構造を見直し、仕様変更などのリニューアルや不採算商品の終売などを進めることで、もう一段の収益構造改革に取り組みます。

Point02:野菜摂取に貢献する領域の強化

収益獲得には、トップラインの成長も欠かせません。第3次中期経営計画の主な成長ドライバーは、野菜摂取に貢献する事業領域です。具体的には、野菜飲料、惣菜・加工用ビジネス、野菜スープ、植物性食品の4つの領域を中心に、様々な野菜を多様な加工度・形態で、多くのチャネルで提供することで、いつでもどこでも手軽に野菜をとることができる環境を作り出します。


Point03:インオーガニック成長の進捗

M&Aなどにより新たな資源・リソースを得ることで成長するインオーガニックでは、事業探索を強化しています。米国での成長戦略は、米国成長戦略プロジェクト室を中心に、米国におけるトマト一次加工やフードサービス向けの事業領域を探索しています。農業サービス・アグリテック領域では、日本電気株式会社(NEC)との合弁会社DXASが、少量多頻度灌漑に対応したAI営農アドバイスと自動灌漑制御サービスの提供を開始しました。これにより、営農現場の水不足問題に対応することで、より環境に優しく収益性の高い営農を促進し、持続可能な農業に貢献します。

植物性領域は、株式会社TWOと展開するプラントベースフード事業を進めています。

 

 

 

4 グループ経営基盤の強化と挑戦する風土の醸成

 

Point01:バリューチェーンの強化

 1 原料調達力の強化

 2 サステナビリティ

 3 リスクマネジメント・BCP

Point02:デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進

Point03:挑戦する風土の醸成

国産加工用トマトの調達拡大に向けて

 国内農業従事者の高齢化、労働力不足に伴う加工用トマトの栽培中止や栽培規模縮小により、調達量が不足するという問題を抱えています。この解決策の一つとして、栽培負荷が軽減できる機械収穫トマトの栽培拡大に向けた推進活動に取り組んでいます。収穫作業の機械化のみならず、収穫に至るまでの栽培管理作業も機械化し標準化することで、安定供給ができる仕組みを目指しています。2022年の機械収穫栽培作付け面積は、前年比155%、手収穫を含めた全体面積の38%となりました。今後も契約農家の皆様に持続的に加工用トマトを栽培していただくためには、収穫量のさらなる安定化が必要です。機械収穫栽培での収穫量向上という課題に取り組み、国産加工用トマトの安定供給を実現します。


生産調達本部
野菜原料部
川田 正造

 

 

 

<サステナビリティガバナンス>

 

    カゴメのサステナビリティに関する考え方


サステナビリティ基本方針

カゴメグループは創業以来、
「畑は第一の工場」というものづくりの思想のもと、
自然の恵みを活かした新しい食やサービスを提案してまいりました。


この営みを未来につなぐために、
企業理念である『感謝・自然・開かれた企業』の実践と、
ステークホルダーの皆さまとの協働により社会課題の解決に取り組み、
持続的なグループの成長と持続可能な社会の実現を図ります。

 

 

昨年、第3次中期経営計画をスタートするにあたり、当社のサステナビリティの考え方を「食を通じて社会課題の解決に取り組み、持続的に成長できる強い企業を目指す事業活動そのもの」と表明しました。この考え方について、「企業理念」や他の方針などとの関係性を加味しつつ、よりお客様や従業員の共感を高める表現を検討し、2023年1月に「サステナビリティ基本方針」を制定しました。

元々当社の企業理念には、環境や社会といったサステナビリティへの向き合い方が示されており、その実践こそが持続的なグループの成長と持続可能な社会の実現につながると考えています。
 また、方針中の社会課題は、2025年のありたい姿で掲げている「健康寿命の延伸」「農業振興・地方創生」「持続可能な地球環境」を指しています。 

 

MESSAGE


取締役専務執行役員

橋本 隆

2022年度からスタートした第3次中期経営計画では、当社のサステナビリティに対する考え方を表明し、長期的な視点でサステナビリティに取り組んでいく意義を明確にしました。当社はこれまでも「畑は第一の工場」として農業と共存し、自然環境をはじめとしたサステナビリティの課題に取り組んできました。これらの課題を経営戦略に反映させ、推進するため、サステナビリティグループを設置し、経営会議体の下にサステナビリティ委員会を設置しました。

また、2019年に特定したマテリアリティは、SDGsなどの国際的なゴールや、気候変動の深刻化などの外部環境を考慮して見直しを行いました。改めて当社の重要課題として社内への浸透を図るとともに、社外の皆様にも当社の活動の理解を深めていただければと考えています。環境への取り組みに関しては、SBT(Science Based Targets)イニシアチブの認証を取得し、温室効果ガス排出量の削減目標を「1.5℃

目標」に見直したほか、TCFDへの賛同を表明するなど、優先度の高い気候変動への対応を進めました。また、社会的に責任ある調達基盤の構築にも着手し、サプライチェーン全般におけるサステナビリティの取り組みを強化しています。

資源価格高騰という急激な環境変化は、多くの企業の経営に少なからず影響を与えています。しかし、このような環境変化を乗り越え、これからも持続可能な社会と当社の持続的な成長の実現の両立を目指していきます。

 

 

 

 

    サステナビリティ推進体制

①サステナビリティ委員会設置

当社では、以前から各部門でサステナビリティに関わる課題に取り組んできました。また、価値創出・社会の持続性の実現を目指す課題として2019年にマテリアリティを特定しています。

これらの取り組みを可視化・推進し、長期を見据えた機会やリスクを含めた全社的なサステナビリティ推進のコントロールタワーとして、2022年10月から経営会議体の下にサステナビリティ委員会を新設しました。

サステナビリティ委員会では、マテリアリティの達成に向けた長期的な価値創出・社会の持続性の実現を目指す課題を「サステナビリティ課題」と定義付け、持続可能な農業、サーキュラーエコノミー、環境負荷の低減、サプライチェーンCSRの4つの課題を設定しました。これらの課題に取り組む3つの分科会を置き、具体的施策の立案・実施を行います。サステナビリティ委員会では、分科会での協議事項に基づいて、サステナビリティ課題に対する長期の備えや打ち手の検討を議論し、経営会議や取締役会に報告して、具体的な経営戦略へと反映させます。 

 

サステナビリティ委員会の目的・構成

目的1

長期的視点での「持続可能な社会の実現(社会課題の解決)」及び「企業の持続的な成長」に向けた“カゴメのあり方”について検討を行い、経営戦略に反映させる

目的2

マテリアリティの達成に向けて特定された“サステナビリティ課題”についてモニタリングや、推進主管への指示・アドバイスを行う

 

 

サステナビリティ推進体制


 

分科会での主な討議内容

分科会①:プロジェクト2050

• 2050年に向けた将来シナリオ及びあるべきカゴメ像の検討

• 次の長期ビジョン策定推進体へのインプット、今後のマテリアリティ見直しの検討

分科会②:環境

• 環境マネジメント計画の推進に関わる高難度な課題のリカバリー策討議

分科会③:社会

• サプライチェーン上の人権リスクの特定および事業への影響評価、対応策の検討

 

 

 

②当社のマテリアリティに対する考え方

当社では、マテリアリティを持続的な成長と中長期的な企業価値向上に向けて、ビジネスモデルを持続させる上で対処すべき課題と位置付けています。マテリアリティは各中期経営計画期間における中期重点課題やサステナビリティ課題を包括し、長い時間軸で取り組んでいく課題です。7つのマテリアリティのうち、3つは当社が事業を通して解決を目指す社会課題、残りの4つは当社の価値創造活動を強化していく上での課題です。これらのマテリアリティを推進していくことで、持続的に成長できる強い企業を目指していきます。


 

 

③マテリアリティ特定プロセス

当社では、2019年にマテリアリティを特定して、経営に反映してきました。しかしながら、経営を取り巻く環境は日々変化しており、第3次中期経営計画の検討に際し、外部環境の変化などを考慮した上で、社外ステークホルダーや取締役会での評価も踏まえて、2021年にマテリアリティの見直しを行いました。見直したマテリアリティに関わる課題については、サステナビリティ委員会を通じて推進し、具体的な経営戦略へと反映させています。また、現中期経営計画が終了する2026年以降についても、サステナビリティ委員会の分科会を中心に検討し、必要に応じて見直しを実施していきます。

 

2018年

社会課題の抽出・整理

2019年

社外ステークホルダーからの第三者評価を実施し、マテリアリティを特定

2021年

マテリアリティの見直し
(マテリアリティを17項目から7項目に整理)
• 社外ステークホルダーへのヒアリング
• 取締役会での妥当性評価

2023年~

サステナビリティ委員会による課題推進

~2025年

次期中期経営計画に向けたマテリアリティの見直し検討

 

 

 

 

④マテリアリティに関連する方針・目標

温室効果ガス排出削減目標

2030年度 Scope1,2  2020年対比で42%削減,
     Scope3    2020年対比で13%削減

カゴメグループ水の方針

https://www.kagome.co.jp/company/csr/environment/activity/waterprotection/

カゴメプラスチック方針

2030年までに 紙容器の石油由来素材ストローの使用をゼロに
       PETボトルの50%以上をリサイクル/植物由来素材に

https://www.kagome.co.jp/library/company/csr/environment/pdf/kagome_plastic_guideline.pdf

カゴメ生物多様性方針

https://www.kagome.co.jp/company/csr/environment/activity/biodiversity/

カゴメ健康経営宣言

https://www.kagome.co.jp/company/about/philosophy/healthandproductivity/

 

 

 

    つのマテリアリティと主な取り組み

 

 

マテリアリティ

目指す姿(KPIなど)

主な取り組み

貢献できるSDGs

3つの社会課題

健康寿命の延伸

様々な商品や情報により野菜摂取を促進し、人々の健康的な食生活や生活習慣に野菜で貢献する。

野菜をとる食生活への行動変容に

つながる価値開発・情報発信


野菜摂取に貢献できる商品の開発・普及

貢献できる健康期待領域の拡張

農業振興・

地方創生

農事業や品種開発・技術開発などを通して、持続的な農業の確立を目指す。

野菜の産地形成と加工による

地域農業ビジネスの振興


農業の生産性・持続性の向上する技術・サービス

事業活動を通じた国内農産物の魅力発信

持続可能な地球環境

調達から製品に至るまでの事業活動の環境負荷を低減する。2050年までにカーボンゼロを実現する。

2050年カーボンゼロに向けた取り組み


食品ロスの低減の取り組み

水・生物多様性の保全

環境負荷が低い原料・資材調達と商品展開

価値創造活動の強化

安心・安全な商品の提供

品質第一・利益第二※を実現する。

※ お客様に安心・安全な

品質を提供することと、利益の創出を、どちらも大事にするというカゴメの考え方

ブランドへの信頼につながる品質向上・お客様との対話

 

持続可能な

サプライチェーンの構築

環境変化に対応できる安定的な調達基盤と物流体制を構築する。

環境・社会的に持続可能な責任ある調達


お客様に商品を届け続けられる

物流体制の構築

多様性の尊重・

人的資本の拡充

多様性をイノベーション創出、持続的な成長につなげる。

ダイバーシティ&インクルージョン

推進によるイノベーションを

創出しやすい環境づくり


健康経営の推進

コーポレート・

ガバナンスの強化

「自律」のさらなる強化と「他律」による補完で、自らの意志で時代に適応するコーポレート・ガバナンスを構築する。

コーポレートガバナンス体制の強化


適切な情報開示と透明性の確保

知的財産戦略の

策定・リスクマネジメント

 

 

 

 

<持続可能な地球環境>

自然の恵みを享受し、お客様にお届けする企業の責任として、持続可能な地球環境への取り組みを進めています。特に気候変動への対応は優先度の高い課題として認識し、CO2排出削減を進めていきます。


 

 

1    品質・環境方針と全社環境マネジメントの運用

国内カゴメグループでは、2017年に制定した品質・環境方針に基づき、社長以下全部門・全事業所の役割を明確化したカゴメ環境マネジメントシステム(KEMS)を構築し運用しています。具体的には、品質・環境方針に沿って環境マネジメント計画を定め、その目標の達成に向け年度ごとの目標を設定しています。各部門・事業所は、年度目標に沿って環境保全活動を推進し、経営層、各部門長・事業所長が活動実績について定期的にチェック・アンド・レビューすることで、次年度の目標や取り組み方針を設定しています。

 

KEMSの体制については、Webサイトをご覧ください。

https://www.kagome.co.jp/company/csr/environment/env_management/

 


 

 

2    CO2排出削減目標の達成に向けた取り組み

当社では、2020年にグループ全体を対象とする「CO2削減プロジェクト」を発足し、新たなCO2排出削減計画を策定しました。当社グループが排出するCO2排出量構成比は右のグラフの通りであり、グループを挙げて排出量の削減に努めています。主な取り組みとしては、省エネ施策(製法見直し、高効率設備への更新ほか)や再生可能エネルギー利用(太陽光、バイオマス、再エネ証書活用ほか)などであり、ポルトガルや日本の工場の一部では、消費電力の全てを再生可能エネルギー由来の電力で賄っています。これらの取り組みの結果、2022年は国際的影響力のある環境非営利団体CDPの「CDP気候変動2022」にて、2021年に続きA-のリストに選定されました。

カゴメグループのCO2排出量構成比(2021年度)


富士見工場(長野県)に設置した太陽光パネル

 

 

 

3    気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への対応

当社は、これまで気候変動への対応として、2019年にTCFD提言に基づいたシナリオ分析を実施し、事業におけるリスクや機会の特定、「指標と目標」の見直しなどに着手してきました。2022年にはTCFD提言への賛同を表明し、TCFDコンソーシアムに参画しました。

ガバナンス

カゴメグループは事業の最大のリスクを原料調達の途絶と考えています。地球温暖化による異常気象は、原料産地に大きな被害を及ぼします。このリスクを回避すべく、温室効果ガスの排出量の削減を加速するため、2018年に策定したCO2の中長期排出削減目標を2021年に見直しました。

代表取締役社長は、ISO14001に則ったカゴメ環境マネジメントシステムにおいて、気候変動を含む当社の全ての環境活動を統括しています。また、環境に関する方針を掲げ、年2回のマネジメントレビューを通して環境マネジメントシステムの有効性を評価し、その改善を指示する責任と権限を有しています。 

戦略

気候変動の顕在化は農作物を原料とする当社にとって大きなリスクになるとともに、長年蓄積された技術を活用することで機会にもなります。下表はカゴメグループにおけるリスクとその対応策及び機会の一例です。

カゴメグループのリスク対応策及び機会の一例

 

リスク項目

対応策や機会

短期・中期的

■ 異常気象、気象パターンの変化

■ 水ストレスによる生産量減少

■ 気候変動に対応できる野菜品種の獲得・販売

■ 最小の水で生産できるトマト栽培システムの開発と利用

長期的

■ 炭素価格上昇

■ 生活者の行動変化

■ 生物多様性の損失

■ CO2排出削減目標の引き上げと達成に向けた取り組み

■ 環境配慮商品や認証品の積極的な開発

■ 生きものと共生する農業の提案と普及

 

※ 詳細については、Webサイトをご覧ください。

https://www.kagome.co.jp/company/csr/environment/activity/globalwarming/

 

これらの気候変動のリスクと機会は、事業活動そのもののリスクや機会であるため、その他のリスクとともに事業計画に組み込まれています。

リスク管理

リスク管理の統括機関として「リスクマネジメント統括委員会」を設置し、代表取締役社長を議長として、リスクの対応方針や課題について、優先度を選別・評価し迅速な意思決定を図っています。特定した気候変動に関するリスク及び機会は環境マネジメント計画の中で課題化し、全社で取り組んでいます。

 

※ カゴメ環境マネジメント計画の詳細については、Webサイトをご覧ください。

https://www.kagome.co.jp/company/csr/environment/plan/

指標と目標

2050年までに当社グループの温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを目指して、2030年に向けた温室効果ガス排出量の削減目標を策定し、SBT(Science Based Targets)イニシアチブ※の認証を取得しました。当社グループのScope1及びScope2の温室効果ガス排出量の削減目標について、「1.5℃目標」に見直しています。

 

※ 企業の温室効果ガス排出削減目標が、パリ協定が定める水準と整合していることを認定する国際的イニシアチブ

 

項目

目標(2020年対比)

2021年度

実績(t)

Scope1及びScope2

2030年度までに温室効果ガスの排出量を42%削減(1.5℃目標)

138,346

Scope3

2030年度までに温室効果ガスの排出量を13%削減

1,412,630

 

(2022年度実績は、第三者検証後にCSRサイトにて公開)

 

Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)

Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出

Scope3:Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)

 

 

 

4    水の保全

 当社では、商品の原料となる作物の栽培に水を使うだけでなく、加工段階でも多くの水を使用しています。2018年に定めた「カゴメグループ 水の方針」に則り、活動する地域の水資源を守るため、それぞれの地域に合ったサステナブルな対応を進めています。
 当社の展開地域で水リスクが高い米国、オーストラリアなどでは下記の対策を実施しているほか、新会社DXASによるAIと灌漑設備などとの連携といった技術開発にも着手し、水リスクの低減に努めています。これらの取り組みの結果、2022年度は国際的影響力のある環境非営利団体CDPの「CDPウォーターセキュリティ2022」にて、A-のリストに選定されました。 

<カゴメグループ 水の方針>

1. カゴメグループおよび主要サプライヤーでの水リスクを把握します

2. 地域の水資源を守るため、取水量の削減に努め、水を大切に使用します

3. 使用した水は、きれいにして地域に還します

4. 水リスクの高い事業所においては、その地域に合った水の対策を推進します

 

 

水のリスクが高い国とその対応策

リスク

対応策

米国

干ばつ

調達拠点の分散

オーストラリア

干ばつ

調達拠点の分散

冬場に貯水した水を春の栽培で使用

大雨

トマトの栽培時期をずらし大雨リスクが高い月を避ける

 

 


Kagome Australia Pty Ltd.の貯水ダム(干ばつへの対応)

 

 

5    生物多様性の保全

当社は創業以来、農業によってもたらされる「自然の恵み」を活かした事業活動を行っています。この事業活動を将来にわたって行っていくために、事業における様々な場面で生物多様性の保全に努めていくことを「カゴメグループ 生物多様性方針」で定め、活動を行っています。

 

生物多様性に関する詳細については、Webサイトをご覧ください。
https://www.kagome.co.jp/company/csr/environment/activity/biodiversity/ 

カゴメグループ 生物多様性方針

サプライチェーンでの保全

社内外のパートナーとの協働

①遺伝資源の維持と利用
②農業の環境負荷低減
③農地と周辺の生態系保全
④調達品の環境負荷低減
⑤輸送時の配慮
⑥工場の環境負荷低減
⑦製品・サービスへの配慮

⑧社内外への浸透

⑨社外との対話

⑩情報公開

⑪社会貢献

⑫根本原因への対応

 

 

具体的な活動

① 生き物と共生する農場の設置

将来的に農薬使用量を減らすことを目的として、作物の害虫にとって「天敵」となる昆虫種を増やすため、様々な植物を畑の周辺に植栽しています。また、その方法を農家に普及する取り組みを実施しています。

② 生物のいのちの大切さの教育支援

1999年から毎年、全国の小学校、幼稚園、保育園に、カゴメトマトジュース用トマト「凛々子(りりこ)」の苗を無償でお届けし、学習教材として活用していただいています。

 

 

 

 

6     環境負荷低減の取り組み ─プラスチックに関する取り組み─

 プラスチックの使用による環境負荷の低減を目指して、2020年に「カゴメ プラスチック方針」を制定しました。具体的な目標として、2030年までに、紙容器飲料に添付している石油由来素材のストローの使用をなくし、資源循環可能な素材(植物由来素材や紙素材)へ置き換えることとしています。また、飲料PETボトルにおいて、2030年までに、樹脂使用量全体の50%以上をリサイクル素材または植物由来素材とします。

このほか、工場でのリサイクルの推進や全国事業所の環境美化活動に継続して取り組んでいます。 

カゴメプラスチック方針

プラスチック方針(要約)

過剰なプラスチックの使用をなくし、使用量の削減を推進する

リサイクル素材や植物由来素材への置き換えを進める

 

紙容器:2030年までに、石油由来素材ストローの使用をゼロに

 

PETボトル:2030年までに、50%以上をリサイクル/植物由来素材に

工場のゼロエミッションを継続

全国事業所の環境美化活動を継続して実施

 

 

 



PETボトル

紙容器飲料

トマトジュースに100%リサイクル素材を使用しています。PETボトルは何度でも繰り返し再生でき、リサイクル素材を使用したPETボトルは、プラスチックの資源循環に貢献しています。

 ストローは、植物由来素材を5%配合したストローへ順次切り替えており、一部の商品では配合率をさらに高めたストローも導入しています。スムージーのキャップにおいても100%植物由来素材への切り替えを行っています。

 

 

COMMENT 担当者の声

海外工場の環境への取り組み

HIT社では生のトマトを搾汁・濃縮してトマトペーストを製造するビジネスを行っており、製造工程で多くのCO2を排出しています。カゴメグループの「CO2削減プロジェクト」の推進に合わせて、当社でも「サステナビリティイニシアチブ」を推進し、CO2排出量の削減に努めています。2021年7月には100%再生可能エネルギー電力の購入を開始し、2023年には太陽光発電も開始する予定です。また、高効率な新型ボイラーの設置など、エネルギー効率の向上にも取り組んでいます。今後もカゴメグループの一員として、環境負荷の低減に努めていきます。 


HITサステナビリティ

推進担当

Sofia Stilwell

Agriculture,Sustainability&Competitiveness Manager 


太陽光パネルの導入 


新型ボイラーの導入

 

 

 

 

<多様性の尊重・人的資本の拡充>


常務執行役員 CHO(最高人事責任者) 有沢 正人

 

持続的な成長を実現するためには、多様な知と知の組み合わせによる新たな価値創造が不可欠です。

 

働きがいを向上させる3つの施策と風土づくりに注力し、イノベーションの創出につなげます。

 


 

 

1 「働きがい」を高め、イノベーションを創出する

経営戦略の実現に向けて、従業員一人ひとりが持つ個性や能力を十分に発揮するためには、働きがいを感じ、主体的に業務に取り組むことができる環境の整備が重要です。率直な意見やアイデアをぶつけ合える組織やチームづくりをサポートし、社内の至るところで従業員が自発的に挑戦できる会社となることで、イノベーションを創出し、持続的な成長を実現します。

 

①「働きがい」のモニタリング

2021年から「働きがい」をモニタリングする指標としてエンゲージメントサーベイ(「Wevox」:株式会社アトラエが提供する従業員エンゲージメント測定・支援ツール)を全従業員に展開しています。毎回、調査結果を項目別・部門別に分析し、「働きがい」向上に向けた課題抽出と対応策を進めています。

エンゲージメントサーベイ 推移

 

2021年

2022年

スコア

70

70

 

エンゲージメントスコアは、2025年までに、同規模企業の上位20%以内の水準を達成することを目標としています。

2021年の調査結果から、働きがい(エンゲージメント)と心理的安全性に相関があることが明らかとなりました。そのため、さまざまな施策によって心理的安全性が高く感じられる職場を増やすことに取り組んでいます。

 


※ベジチャレンジ 参加者が毎食の野菜摂取量を入力して獲得したポイントを競い合う、

         参加型の健康増進プログラム

 

②心理的安全性の浸透

2022年は、心理的安全性を浸透させる施策として、管理職を対象とした勉強会を行いました。また、ダイバーシティ委員会のイベントとして「失敗から学び、挑戦する」をテーマとした講演会、社長と2名の専務が交代で登壇し参加者と率直に意見交換を行う「トップと語る会」などを実施しました。

「トップと語る会」は2021年10月から2022年末までに16回開催されており、「これから先、カゴメはどんな会社であってほしいか」「企業方針に対する疑問や感じたこと」などを、心理的安全を確保した環境の中で、社長や専務と率直に意見交換を行う場として、300名を超える従業員が参加しています。 


 

 

心理的安全性を浸透させるための施策

対象

2022年度の活動

内容

各部門・グループ・
プロジェクトチームなど

対話実践プログラムの導入

「対話」を通じて心理的安全性を浸透させ、働きがいを持って仕事に取り組めるチームづくりをサポート

管理職層

心理的安全性勉強会の実施

全管理職参加
心理的安全性を正しく理解し、実践するためのインプットの場

360度フィードバックの定期実施

管理職の気づきと学びの促進

全従業員

トップと従業員の対話機会である「トップと語る会」の定期的な開催

社長、専務2名が交代で登壇
トップと従業員との率直な対話の会

ダイバーシティDAYの開催

「失敗から学び、挑戦する」をテーマとした講演会

 

 

COMMENT 「トップと語る会」参加者の声

経営を自分事化する機会に

 普段の業務では社長や専務と直接話す機会は少ないため、「トップと語る会」では、直接自分が聞きたいことを質問することで企業方針をより深く理解する機会になると考え、参加しました。
 実際に参加してみると終始和やかな雰囲気で、どんな質問に対しても丁寧な回答が得られ、企業方針の理解がさらに深まりました。またトップや他の参加者との意見交換により、それまでよりも一層経営を自分事化して考える大変良い機会となりました。今後も定期的に参加する予定です。 


営業本部

ソリューション営業一部

加藤 綾乃

 

 

2 3つの施策

①「働き方」の進化

働きやすい仕組みの整備

多様化する働き方の価値観(育児・介護・共働きなど)に応じた働く場所や時間の制約を緩和し、さらに多様な働き方を実現する仕組みを整備します。

働き方の進化の関連する環境整備

導入年度

制度

2019年

フレックスタイム制度

2019年

テレワーク勤務制度

2019年

副業制度

2020年

フレックスタイム制度のコアタイム撤廃

2021年

看護休暇・介護休暇の時間単位取得

2021年

在宅勤務手当

 

働き方の選択肢の拡大

多様な経験機会を得ることでイノベーションにつなげていくために、副業制度や越境学習など、所属組織の枠を超えた働く場の提供を進めています。現業にとらわれないキャリア開発接点を拡充していきます。 

 

 

 

②人材開発

当社では、従業員個人の成長が企業の発展につながるとの認識に基づき、従業員の声に耳を傾けながら、適材適所で持てる能力を最大限に発揮できる制度の整備や、自主活力にあふれた社風の創出に取り組んでいます。その一環として、従業員の自発的な成長を支援する「自主キャリアプラン」を推進しています。

また、「野菜の会社」の実現に向けて、従業員自らが伝道師として野菜の魅力を伝えられるようになるため、「野菜マエストロ検定※」や「野菜の先生※」などユニークな取り組みを実施しています。 

 

野菜マエストロ検定 野菜に関する正しい知識を習得し、広く発信することを目的とした社内検定

野菜の先生 カゴメの社員が「野菜先生」として登壇し、子どもたちに野菜の魅力を伝える活動

人材開発施策の展開状況

 

2021年

2022年

能力向上・自主キャリアプラン促進に関する研修

件数

33件

39件

延べ参加人数

1,105人

1,436人

上記のうち、選択型ビジネススキル研修

テーマ数

14件

14件

延べ参加人数

411人

316人

キャリア面談人数

610人

645人

野菜マエストロ検定(12月末時
点人数)

2級保有者

121人

172人

3級保有者

1,415人

1,413人

野菜の先生実施経験者

36人

23人

 

人材育成方針の詳細については、Webサイトをご覧ください。https://www.kagome.co.jp/company/csr/employee/motivation  

③多様な人材集団

当社におけるダイバーシティ推進は、持続的に成長できる強い企業になるための経営戦略の一つです。従業員それぞれの多様な考え方や経験を活かすことで、新しい価値の創出を目指します。女性活躍の推進においては、2040年頃ま
でに、「社員から役員まで各職位の女性比率を50%に」することを長期ビジョンに掲げ、女性活躍の推進に取り組んでいます。

採用においては、多様な採用手法と配置部門の組み合わせにより、多様な人材を確保します。中途採用においても広く門戸を開き、当社が目指す「野菜の会社」に向けた人材基盤の強化を図ります。中途採用については、総採用数の2~3割を確保し、中核人材に育成していきます。

また、多様な経験や知識に応じて、能力を発揮できる機会を創出しています。シニアの活躍の場の創出として、2023年4月から、再雇用制度における契約形態を改定し、最長で70歳まで契約延長を可能としました。 

 

※ 付記事項

• 対象期間:2022年度(2022年1月1日~12月31日)

• 正社員:取締役を除く社員

• パート・有期社員:直雇用の有期無期契約社員、嘱託

• 賃金:給料、賞与、手当など(通勤手当を含む) 

女性活躍推進法に基づく行動計画

期間:2022/4/1~2026/3/31

指標

2021年

2022年

目標

総合職新卒採用に
おける女性割合 

58.0%

71.0%

毎年
60.0%以上

入社10年以内女性の継続就業割合

(男性比)

1.0

1.0

(見込)

毎年
男性比1.0 

管理職に占める
女性割合

8.4%

9.5%

2026年

までに12.0%

男性育休比率

総合職

62.0%

75.7%

毎年
42.0%

(2019~2021年平均)以上

技能職

64.3%

84.6%

男女間
賃金差

全労働者

66.2%

65.4%

正社員

68.6%

67.3%

パート・有期社員

87.8%

87.6%

 


※ 差異に関する補足説明

• 正社員の年代別差異は50代・59%、40代・75%、30代・83%、20代・102%。

• 現状40代・50代が中心層である当社管理職に占める女性割合は9.5%(2022年12月末時点)であり、差異縮小に向け、長期ビジョンとして掲げている「2040年頃までに各職位の女性比率50%」に則った採用や管理職登用等の女性活躍施策を計画的に推進している。

 

 

COMMENT 担当者の声


HIT HR Manager 
Susana Zorrinho

ウェルビーイングとチームビルディングの取り組みに注力

 ポルトガルにあるHIT社でHRマネージャーをしています。当社の従業員は年齢、性別や出身地など多様性に富んでいます。多様な人材が力を発揮するために注力している取り組みを2つご紹介します。1点目はウェルビーイングです。コロナ禍において従業員のウェルビーイングは最優先事項となり、心身の健康に関するプログラムを実施しています。2点目は人材育成です。チームビルディングなどのトレーニング活動を早期に再開しています。一人ひとりが活躍できる環境を整備することで、事業成長につなげていきます。

 

 

3 健康経営の推進

当社は、お客様の健康の増進に貢献する商品・サービスを事業展開しています。当社の従業員一人ひとりが心身ともに健康であることが、個人の健康のみならず、事業内容に説得力を持たせることになります。さらには会社のパフォーマンスの向上につながるという意味でも極めて重要であると考え、積極的に従業員の健康管理・増進に取り組んでいます。


 

 

●カゴメ健康経営宣言

2017年に「カゴメ健康7ケ条」を制定し、「カゴメ健康経営宣言」を行いました。
 2020年12月には、株式会社日本政策投資銀行が行う「DBJ健康経営(ヘルスマネジメント)格付」において、最高ランクの格付を取得しました。さらに、2022年3月には、経済産業省及び日本健康会議主催の「健康経営優良法人2022(大規模法人部門)」に認定されました。


 

 

●健康経営推進体制

 従業員の健康維持・増進に取り組むため、2016年にカゴメアクシス株式会社に専任組織(現在の健康経営推進室)を設置し、カゴメ健康保険組合・各事業所と三位一体で健康施策を検討・実施しています。

 

●健康管理に関する状況

「カゴメ健康7ケ条」に基づき、健康施策を推進しているほか、カゴメ健康保険組合と連携した独自健診の実施や、歯科健診、インフルエンザ予防接種、ウォーキングキャンペーンなどを毎年実施しています。また、30歳以上の従業員・配偶者には、人間ドックの受診を奨励・支援しています。
 さらに、2021年から受動喫煙の防止と禁煙の促進に向けた取り組みを強化し、就業時間中(休憩時間除く)禁煙を導入し、段階的に敷地内喫煙所の廃止を進めています。また、禁煙にチャレンジする従業員へのサポートとして、禁煙外来の補助などをカゴメ健康保険組合と共同で実施しています。これらの取り組みにより、当社従業員の喫煙率は19.5%(2020年)から15.1%(2022年)に低減しました。

(年度)

内容

2020

2021

2022

2025

目標

健康診断に関する状況

受診率(%)

100

100

100

100

特定保健指導

実施率(%)

84.8

88.7

86.9

100

ストレスチェックに関する状況

受診率(%)

93.3

92.0

93.7

高ストレス者

比率(%)

7.6

8.3

7.9

8.0

喫煙率の推移

喫煙率(%)

19.5

16.1

15.1

12.0

 

 

 

●従業員の健康リテラシーの向上

 従業員一人ひとりの心身の健康を保つためには、従業員の健康状態の見える化と共有、健康に関する正しい知識習得が必要と考え、2017年から「カゴメ健康レポート」を発刊するとともに、従業員向けの研修などを実施しています。

 

詳細については、Webサイトをご覧ください。

https://www.kagome.co.jp/company/about/philosophy/healthandproductivity/

 

<安心・安全な商品の提供>

「畑は第一の工場」という考え方のもと、野菜の種子や土づくりから取り組み、安全で高品質な商品の提供に努めています。これを保証する品質保証体制を確立し、海外グループ会社への展開も行っています。


 

 

   カゴメ品質マネジメントシステム(KQMS)

 当社では、「品質第一・利益第二」という考え方があります。これは、お客様に安心・安全な品質を提供することと、利益の創出をどちらも大事にするという考え方であり、品質の向上に全社を挙げて取り組んでいます。品質を保証する体制として、国際規格ISO9001に準拠した独自の品質マネジメントシステム(Kagome Quality Management System:KQMS)を構築し、設計開発から調達・生産・物流・販売にわたる品質活動に取り組んでいます。


 

   畑から商品までの安全管理

●フードディフェンスへの取り組み

国内での「意図的な異物や薬品混入」に対する備えとして、フードディフェンスに関するリスク評価を行い、評価結果に基づいて管理しています。自社工場における安心・安全カメラの設置や施錠システムの刷新、工場従業員同士のコミュニケーションの活性化のほか、委託先の工場に対しても当社の管理ガイドラインの準拠を依頼しています。 

 

●放射性物質に対する取り組み

2011年の福島第一原子力発電所事故の発生直後から、国内で調達・製造する原料・製品及び工場使用水は、カゴメで放射性物質の検査を行いこれらの安全性を確認しています。

 

●残留農薬に対する取り組み

使用する原料は残留農薬を分析し、安全性を確認しています。試験・分析機関としての実力を判定する国際規格ISO17025の認定を取得し、分析精度のさらなる向上に取り組んでいます。


 

 

 

   海外グループ会社の品質管理・品質保証体制

2016年に国際事業本部内に設定されたグローバル品質保証部門(東京)は、海外グループ会社で守るべきグループ共通の品質管理基準(Kagome Best Manufacturing Practice:KBMP)を定め、海外グループ会社に展開する活動を継続的に行っています。また、品質保証のみならず、各社で取り組んでいる環境課題や原価低減などの技術課題の成果を把握し、横断的に共有、活用することで、グループ全体の品質保証レベルや生産性の向上を推進するとともに、海外事業におけるCO2排出量の削減や水資源の保全などへも積極的に取り組んでいます。

 

 

    海外グループ共通の品質管理基準(KBMP)の展開と監査による検証・改善

KBMPの展開では、日本の考え方をただ現地に押し付けるのではなく、グローバル品質保証会議(後述)などを通して、海外グループ会社の改善事例などを共有し合い、お互いに品質を高める意識を醸成していくことに主眼を置いています。KBMPの導入初期では、異物混入に関する考え方や技術を海外グループ会社に展開し、品質管理レベルの向上に取り組みました。続いて、商品設計由来の品質事故の未然防止活動や、品質事故が起きた場合を想定した対応マニュアルの共通ルール化を行いました。KBMPの定着によって、設計から販売に至るまでの各プロセスにおけるカゴメグループ全体の品質向上につながっています。
 KBMPは既存の製造設備のみならず、新工場や新しく導入する製造設備にも設計段階から反映させています。 

 

海外グループ会社共通の品質管理基準(KBMP)のカバーする範囲 


 

    グローバル品質保証会議の開催

コロナ禍の影響により対面での開催を見合わせていたグローバル品質保証会議を2022年11月に東京で開催しました。米国、ポルトガル、オーストラリア、台湾、インドから、各グループ会社の経営陣や品質保証・製造責任者が集まり、各社の品質、生産、5S、安全、サステナビリティの取り組みなどについて、事例の共有や意見交換を行いました。また、外部講師を招いての未然防止トレーニング、ワークショップなどを行ったほか、長野県の富士見工場での中央制御室からの工程モニタリングシステム


グローバル品質保証会議(未然防止トレーニング)の様子
(2022年11月、東京)

の見学や、野菜生活ファームでカゴメのカルチャーに触れる体験をしました。このような取り組みは、各グループ会社で切磋琢磨しながら品質マインドを向上させるだけでなく、生産や環境などの課題や目標達成に向けた視点を揃えていくことにもつながっています。

 

 

 

<持続可能なサプライチェーンの構築>

持続的にお客様に商品を届け続けるために、気候変動、水不足、労働力不足、原材料高騰などのリスクに対し、サプライチェーン全体の最適化に取り組んでいます。


 

 

1 環境・社会的に持続可能な責任ある調達

気候変動、為替変動などのリスク回避、コストや調達先などの最適化を図るため、当社は調達拠点の分散化に取り組み、グローバルなネットワークを構築してきました。

サプライヤー企業との対等でフェアな協力体制を尊重するとともに、安心・安全な原材料を安定的に調達するために、調達拠点の開発を進めています。

 

●カゴメ CSR調達方針

 安心・安全な原材料の調達はもとより、ビジネスパートナーである調達先と共に持続可能な社会の実現に貢献するために、「カゴメ CSR調達方針」を制定しました。本方針では、公正・公平・透明な取引を実践し、法令・倫理の遵守や人権・労働、環境へ配慮した調達活動の推進を定めています。

<安心・安全な原材料・商品の確保>

・お客様に安心いただけるよう、品質・コスト・供給の最適な組合せに配慮しつつ、品質と安全性を最優先した調達活動を行います。

<フェアな取引き>

・品質・コスト・供給のほかに、技術力・提案力・環境への取り組み等を総合的に評価し、公平・透明な取引先の選定を行います。

・優越的地位を用いた取引、搾取に加担する取引はしません。

<人権・労働・環境への配慮>
・個人の人権を尊重し、労働環境や安全衛生に配慮した取り組みを行います。
・野菜を育む水・土・大気の汚染防止を心がけ、環境に配慮した調達活動を行います。

<法令・倫理の遵守>
・関係各国の法令を遵守し、公正・透明な調達活動を行います。
・取引先との契約を履行し、調達取引に関わる機密情報及び個人情報を適切に管理します。

<取引先との相互の繁栄>
 取引先と共に助けあい支えあい、社会課題の解決に向けた取り組みに努めます。

 

 

●カゴメサプライヤーCSR行動指針

「カゴメ CSR調達方針」を推進していく上で、調達先と協働していくことが重要と考え、国内外の調達先に対しての具体的事項である「カゴメサプライヤーCSR行動指針」を制定しました。本行動指針は、人権の尊重、適切な労働環境の確保、環境への配慮など、国際的重要性が認められている項目で構成されています。「カゴメ サプライヤーCSR行動指針」の遵守に向けて、説明会などを通した調達先への周知や、セルフチェックシートを活用した調達先の自己チェックや現地訪問を行い、理解・浸透に努め、CSR調達活動の実効性をより一層高めています。


 

「カゴメ サプライヤーCSR行動指針」の詳細については、Webサイトをご覧ください。
https://www.kagome.co.jp/library/company/csr/supplier/pdf/supplier_csr_guidelines.pdf  

 

 

 

2 安定的な物流体制の構築

物流業界における労働力不足やドライバーの長時間労働、環境課題への対応、燃油価格の上昇などは喫緊の課題となっています。これら物流環境をめぐる社会課題の解決に向け、当社は納品リードタイムの延長や賞味期限年月表示などの取り組みを進めています。

 

容器ユニットマネジメントによる在庫管理と拠点在庫最適化の取り組み

2020年にスタートした「容器ユニットマネジメント」により、缶・紙容器・PETボトルなど、生産設備が共通の容器単位で販売計画と生産・在庫状況を可視化しました。生産から販売まで一貫した管理により、コロナ禍の需要変動に対して安定供給を実現しました。加えて、在庫を各工場・配送拠点の単位で計画・管理し、配送拠点の在庫を減らす取り組みを進めています。2022年は価格改定などによる需要変動への対応により、全体在庫は前年増となりましたが、保管コストの高い配送拠点の在庫比率を4%削減することで、保管料の上昇を抑え、物流費を適正化しました。


工場保管能力の向上

在庫水準の適正化と安定供給を両立させつつ、「コスト抑制」と「環境負荷低減」を実現できるSCM基盤の強化策の一つとして、工場保管能力の向上を図りました。日本にある5つの工場において、在庫スペースの拡大や保管効率の向上により、工場の保管能力が2020年比133%に増加しました。2021年にリニューアルした富士見工場では自動倉庫を新設し、工場の保管数拡大により輸送費や保管料などの物流コストの低減に加え、自動化により従業員の負荷軽減も実現しました。


大型棚の設置により在庫スペースを拡大した茨城工場の倉庫

 

 

COMMENT 担当者の声

スマート物流の推進と進化

当社はサプライチェーンの多様性を武器に、多様なチャネルを通じてお客様に商品をお届けする「ネットワーク」を構築してきました。そのネットワークの多様性が当社固有の大切な資産であり、今後も磨き上げるべき強みであると考えています。

その進化のためには、SCM情報の整備、業務の標準化・高度化・リソースの最適化が必要不可欠であり、それがカゴメ版スマート物流の活動の第一歩だと考え、プロジェクト活動を推進中です。例えば、物流業務を委託しているF-LINE株式会社との間では、「受注情報」「売上見込」「在庫計画」といったSCM情報を共有することで「持続的な輸配送手段の確保」と「業務効率化」を企図しています。カゴメやF-LINE株式会社、サプライヤー様や得意先様を含めたサプライチェーンの最適化により、安定した商品の供給と社会的な物流課題の解決に貢献できるように全力で取り組んでいきます。 


SCM本部
サプライネットワーク部
志村 佳一 

 

 

 

 

Special Feature 01

DXソリューションで世界の農業を革新


 


トマトペーストは当社のビジネスにとって極めて重要な原材料であり、その原料となる加工用トマトを持続可能な形で栽培することは事業の継続に必要不可欠です。
 当社は2015年から日本電気株式会社(NEC)と共同でAIを活用した営農アドバイスの技術開発に取り組み、2022年9月に合弁会社であるDXAS Agricultural Technology LDA(DXAS)をポルトガルに設立しました。DXASではカゴメのア
グロノミー(農業科学)とNECのテクノロジーの融合による農業革新を起こし、環境に優しく収益性の高い営農を促進して、世界各国での持続可能な農業に貢献します。 

出典元
GlobeNewswire

https://www.globenewswire.com/en/news-release/2021/04/16/2211431/28124/en/Global-Agritech-Market-Report-2021-Market-was-Valued-at-17-442-7-Million-in-2019-and-is-Projected-to-Reach-41-172-5-Million-by-2027.html

Grand View Research

https://www.grandviewresearch.com/industry-analysis/precision-farming-market

 

 

 

   DXAS設立の経緯

●新会社 DXAS Agricultural Technology LDA※1

持続可能なトマト栽培を実現するためには、減少する生産者への対応や環境負荷の低減など、様々な課題に取り組む必要があります。カゴメとNECはそれぞれの強みを活かし、加工用トマトにおける農業ICTプラットフォーム「CropScope※2」の強化を続けてきました。


DXASの設立によって、技術開発の加速とサービス提供体制を強化し、サステナブル農業、ローインプット・ハイアウトプット、さらにはトマト加工会社の生産効率の向上を実現させていくことを目指しています。

 

※1 DXAS 「DXでAgriculture(農業)をSustainableに」という目指す姿を社名に表しています

※2 Crop Scope トマトの生育状況を可視化するサービスと、AIを活用した営農アドバイスを行うサービスで構成されたICTプラットフォーム 

 

 

2   DXAS設立で推進すること

●技術開発の加速

蓄積してきたAI技術と灌漑設備の連携によって営農作業をさらに効率化し、トマト生産者や加工会社の負荷を軽減します。また、カゴメの農業研究の知見を用いて、作物の生育に重要となる土づくりから収穫までの栽培手法を改善することで、環境に優しく収益性の高い営農を実現します。

 


 

 

サービス提供体制の強化

アグロノミーの知識や経験を持つ要員がユーザーの農業現場を理解し、最適なサービスの提案やテクノロジーの適用を支援する体制を世界各国で整備します。まずは、主としてDXASが所在する欧州のほか、米国、オーストラリアの営農を支援します。また、農業業界におけるパートナーシップも強化し、事業展開を加速していきます。


 

 

COMMENT 担当者の声

世界の農業を革新し、社会課題の解決に貢献

 現在すでに7ヶ国でのサービス展開あるいはトライアルを実施していますが、今後さらに展開を加速させ、グローバルトマト市場でのデファクトスタンダードとなることを目指します。売上目標は2026年で30億円ですが、この市場の成長は今後さらに拡大することが予測されます。我々はDXASを核に多様なシナジーを発揮してさらなる売上と事業領域の拡大を目指し、社会課題の解決に貢献していきたいと考えています。


DXAS Agricultual

Technology LDA CEO

中田 健吾

 

 

 

Special Feature 02

植物性領域への拡張


 


「プラントベースフード」とは、動物由来の原材料を配合せず、植物由来の原材料を使用した食品全般のことです。近年、日本におけるプラントベースフードの市場規模は拡大傾向にあります。注目を集めている背景としては、代表的なプラントベースフードである大豆ミートが、将来食肉の供給量が不足した際の代替品になる点や、CO2排出量や水資源使用量が一般的な食肉より少ない点などを受け、サステナブルな食生活として注目を集めていることが考えられます。

当社は長年にわたり培ってきた植物性素材に対する知見を活かし、様々なライフスタイルに合わせたプラントベースフードを提供していきます。 

 

 

   野菜の会社として培ってきた「素材の使い方と味づくり」による、植物性食品の発売

野菜のおいしさを最大限に活かしたプラントベースシリーズ

植物由来の原材料を使用したプラントベースのカレーやパスタソースなど
が楽しめる「カゴメ プラントベースシリーズ」は、野菜のおいしさを最大限に活かしたおいしいプラントベースメニューを、多くの方に手軽にお楽しみいただけるように、1人前のレトルトパウチで展開しています。このシリーズは、NPO法人ベジプロジェクトジャパンによるヴィーガン認証を受けています。


 

 

 

   他社との協業による、新たな価値の創出

● 新たな生活スタイルを提案する

   大豆と野菜のプラントベースフード「SOVE®」ブランド誕生

不二製油株式会社と共同開発した1食分(30g)で植物性たんぱく質と食物繊維がたっぷりとれる「SOVE®シリアル」を2022年10月に発売しました。「SOVE®」ブランドを通して、プラントベースフードを「誰もが楽しく続けられる食事習慣化」とすることを目指し、今後も様々な商品を開発・販売していきます。


● TWOとカゴメの共同開発商品第二弾
   ドライ温度帯のたまごじゃないたまご「Ever Egg」新発売

株式会社TWOとの新たな共同開発商品を2023年4月に発売します。野菜半熟化製法を活用した、たまごじゃないたまご「Ever Egg」の新商品などを販売することにより、プラントベースに関心の高い生活者との接点を拡大し、新たなユーザーの獲得を目指します。


共同開発商品第一弾 2foodsプラントベースオムライス

 

 

COMMENT 担当者の声

協業チームで「驚きのあるプラントベースフード」を生み出す

株式会社TWOとの協業チームでは、多様なバックボーンを持つ人材が「驚きのあるプラントベースフード」を目標に、様々な議論・試行錯誤をしています。あっと驚くような商品を真剣に考える場となっています。「Ever Egg」はその第一弾ですが、にんじんで作ったたまごはカゴメにとって、エポックメイキングな商品ができたと思っています。
 株式会社TWOの「発想力」とカゴメの「製品化力・野菜力」の掛け合わせで、これまでにない商品をどんどん生み出していきます。ご期待ください。


マーケティング本部

食品企画部

石岡 大輔

 

 

 

Special Feature 03

カゴメのデジタルトランスフォーメーション

DXの推進により、生活者一人ひとりに合わせたマーケティングへのシフト、新事業の創出、業務プロセスの変化をスピーディーに進めていきます。

 

    持続的に成長し続ける強い企業となるためのDX戦略

準備フェーズでのレガシーシステムの刷新を終えて、2020年頃から、CDP※構築など部分的にMode2の攻めのITをスタートしてきました。DXにより、生活者一人ひとりに合わせたマーケティングへのシフト、新たなビジネスの創出、業務プロセスの変革を進めています。2022年からの第3次中期経営計画では、 DXの推進を経営戦略と融合し、全社的な活動として展開しています。
 2025年に達成すべきことは3点です。1つ目はDXの取り組みを海外まで広げ、DX推進指標Lv4を達成すること。2つ目は新事業創出や既存事業の拡張、革新的な生産性向上を通じて、DXを直接的に収益に貢献させること。3つ目はDXプロジェクトで活躍できるデジタル人材を社内で育成することです。 

達成のための体制整備として2022年から2つの会議体を


設立しました。DXと経営戦略を融合するための「デジタル化推進会議」と、人材を育成しつつ変革風土を育成するための「DX推進委員会」です。今後も社内のDX風土を醸成し効果的にDX戦略を進めていきます。

CDP Customer Data Platform。顧客一人ひとりの属性データや行動データを収集・統合・分析するデータプラットフォームのこと。

 

 

   デジタル人材育成

デジタル利活用層、デジタル応用層、デジタルエキスパートの3階層のデジタルスキルを定義し、公募や指名制での研修・育成を行っています。

デジタルスキルのみならず、ビジネススキル教育とも融合させ、2025年までに全従業員の1%をDXプロジェクトを牽引できる人材に、全従業員の1割をDXを支える人材として、それぞれ育成していきます。

 


 

デジタルスキル保有者育成のための公募型RPA研修

これまでのIT部門に依頼して費用や時間をかけてシステム構築する方法から脱却し、現場で自発的に効率化・自動化が行われる状態の実現を目指します。また現場主導でのデジタル活用は意欲ある人材の活躍にもつながります。2025年までに、全従業員の2割をRPAなどのデジタル技術を駆使して業務改善を自発的に行えるデジタル応用層に育成する計画です。

 

 

 

   取り組みご紹介

 デジタルマーケティングの進化とカゴメアプリの展開

CDPに蓄積したデータをパーソナライズし、マーケティングへの活用を開始しています。また、スマートフォンアプリ「野菜をとろう」を2022年6月にリリースしました。CDP基盤やアプリを活用し、事業部門のサポートと、生活者の行動変容を促進していきます。


<COMMENT 担当者の声> CDPの活用


当社の強みは、生鮮、調味料、飲料、健康事業、体験施設などを通して野菜や食の魅力を様々な形で提案できることです。CDPの活用によって全事業で商品とサービスを捉え、お客様それぞれに合った野菜・食との出会い方を提案することを目指しています。お客様の豊かな生活の一助となれるよう、当社ならではの方法で寄り添っていきます。

 営業本部 営業推進部 デジタルマーケティンググループ 鈴木 沙英

 新たなビジネスの創出

2022年9月に日本電気株式会社(NEC)と合弁会社「DXAS Agricultural Technology LDA」を設立しました。当社のアグロノミーとNECのテクノロジーの融合により農業革新を起こし、環境に優しく収益性の高い営農を推進することで、世界各国での持続可能な農業に貢献していきます。

また、2022年3月にスマートフォンからの遠隔操作で手軽にトマトの栽培ができる「ベジホーム!」をリリースしました。本アプリをフックに農の分野での新たな事業を検討しています。

<COMMENT 担当者の声> 遠隔操作でトマトの栽培が楽しめる新サービス「ベジホーム!」の開発


「べジホーム!」は、自分だけのトマトをスマートフォン一つで、いつでも、どこでも、簡単に育てることができ、さらに実際に育てたトマトがお手元に届く農業体験型アプリです。響灘菜園株式会社※と連携しており、アプリから栽培指示やトマトの観察ができます。農業をやってみたいけど場所や時間がない方に、ぜひ体験していただきたいサービスです。

※ カゴメブランドのトマトを栽培する大規模ハイテク菜園

カゴメアクシス株式会社 業務改革推進部 喜多 真紀子

 

 業務プロセスの変革と改善(生産DX)

生産現場において、2019年から日報の電子化に着手しました。転記ミス抑制・記録工数削減の効果のみならず、蓄積したデータの活用も段階的に展開しています。現在、多大な時間をかけて行っている生産計画の立案業務を自動化するプロジェクトを進めています。 

<COMMENT 担当者の声> 生産計画自動化


工場DXにおける最優先課題が生産計画自動化です。生産計画は、複雑な制約を考慮して立案するため、経験に依存し属人的であるとともに膨大な時間がかかります。そこで、2025年までに計画立案を自動化し、属人化の解消と年間4,500時間の業務時間短縮を図ります。その他、日報の電子化やデータの可視化・自動解析など、デジタル技術で工場を変えていくために企画・設計・導入を行うことが私の役割です。

生産調達本部 生産技術部 伊藤 広貴

 

 

 

2 【事業等のリスク】

(1) リスクマネジメントの基本方針

当社のリスクマネジメント方針は以下のとおりです。

 

【カゴメグループリスクマネジメント方針 】

私たちは「トマトの会社から野菜の会社に」のビジョンのもと、「食を通じて社会課題の解決に取り組み、持続的に成長できる強い企業」になることで、社会的責任を果たしていきたいと考えています。

 

そのために、常に変化する外的環境および事業上発生しうる様々なリスクを的確に把握・評価し、適切な対応をとってまいります。

 

また、重大事案が発生した場合に備え、被害の拡大防止と損害・損失の極小化を可能とする体制を確立するなどリスクに対する対応力を高めてまいります。

 

 

当社は、「食を通じて社会課題の解決に取り組み、持続的に成長できる強い企業」として、あらゆるステークホルダーの期待にお応えできる企業になることを目指しています。

そのためには、当社で働く従業員一人ひとりが法令の遵守はもちろんのこと、高い倫理観を持って社会的責任を果たすことが大切であると考えています。

また、企業理念・行動規範に基づき倫理観ある行動を果たすことはもちろん、企業を取り巻く様々なリスクにたいして、企業理念・行動規範に基づき適切に対応することが重要です。

具体的には、戦略リスク、社会・環境リスク、重要な業務執行におけるオペレーショナルリスクについては、経営会議や取締役会等の経営機関にてこれを評価・検討します。また、その他の業務執行におけるオペレーショナルリスクについては「カゴメグループリスクマネジメント方針」に従い、各組織によって課題化されます。さらには、職務権限規程にて、全ての階層の管理職が、それぞれの所轄する業務範囲において、リスクマネジメントの実行と監督を行うことと定めています。

このように、業務に従事する一人ひとりが、リスクマネジメントの主体者として真摯に向き合うことのできる取り組みを進めています。

 

(2) リスクの定義

当社のリスクマネジメントにおいて、「リスク(risk)」とは「当社の事業に対して不利な影響を与える不確実性」をいいます。すなわち、当社の事業に対して影響を与える不確実性のうち、マイナスの影響を与えるものを「リスク」と定義します。

 

(3) リスクマネジメント体制

当社では、3ラインモデルの考え方に基づくリスクマネジメント体制を整備しています。

 

① 第1のライン及び第2のライン

ア. 第1のライン

第1のラインは、自らが担当する業務についてのリスクの抽出・評価を行い、その対応のためのアクションプランを作成し、これに基づく取組みを行います。

こうした第1のラインには、工場、支店、国内外の子会社、さらにはこれら部門等で個別具体的な業務に従事する一人ひとりを位置づけています。

 

イ. 第2のライン

第2のラインは、自らが担当するリスク領域におけるリスクマネジメント活動の基本方針・手続を定めます。また、第1のラインに対するモニタリングや助言等を通じて、第1のラインにおいて基本方針・手続に基づくリスクマネジメント活動が適切になされていることを確認します。

こうした第2のラインには、営業推進部や生産部等の営業や生産の統括部門、財務経理部等の本社間接部門を位置づけています。また、CRO (最高リスク管理責任者) は、これらの第2のライン全体を統括します。

 

ウ. 第1のラインと第2のラインとの協働

第1のラインで抽出・評価されたリスクは、第2のラインで集約及びグループ全体の経営の視点からの統合を行い、取締役会をはじめとする経営機関に報告されます。このように、カゴメグループ全体における統合的なリスクの把握は、ボトムアップを基本としています。

第1のラインで行われるリスクマネジメント活動は、原則として第2のラインが定める基本方針・手続に従って行われます。第2のラインが定める基本方針・手続が、第1のラインにて行われる個別具体的なリスクマネジメント活動にそぐわない場合は、第1のラインと第2のラインで協議し、修正等をします。また、第2のラインは、第1のラインからのフィードバックを含めて、自らが定めた基本方針・手続に対する評価・検証を行います。

このように、第1のラインと第2のラインは協働して、リスクの抽出・評価を行い、全社レベルでのリスクマネジメント活動のPDCAサイクルを実現します。

 

② リスクマネジメント統括委員会

リスクマネジメント統括委員会は、社長を委員長とし、CROを委員会事務局長とする、グループ全体でのリスクマネジメント活動の統括組織です。リスクマネジメント統括委員会は、グループ全体での経営戦略を踏まえた統合的視点から、第1のラインと第2のラインを統括し、全社でのリスクマネジメント活動のPDCAサイクルの実現に向けての各ラインの取り組みをモニタリングします。

全社でのリスクマネジメント活動のPDCAサイクルについてのモニタリングの一環として、リスクマネジメント統括委員会は、第1のラインと第2のラインにおける具体的な取り組みについて「いつ、どこで、誰が、何を報告するのか」の確認を行います。

 

 

③ 第3のライン

こうした第1のラインと第2のラインにおけるリスクマネジメント活動に対して、第3のラインを担う内部監査室は、独立した立場から、客観的な保証を提供します。

内部監査室は、独立性を確保しつつも、主にリスクマネジメント統括委員会と連携し、経営戦略やこれに基づく第1のラインと第2のラインにおけるリスクマネジメント活動の基本方針等を共有することによって、実効的かつ効率的に監査を実施します。

また、内部監査室による監査指摘事項は、監査対象部署とともに、リスクマネジメント統括委員会にも共有されます。リスクマネジメント統括委員会は、共有された監査指摘事項のグループ全体のリスクマネジメント活動における位置付けを整理します。その上で、グループ全体での統合的なリスクの追加又は評価の修正を行うとともに、対象部署における改善活動に対する助言提供等を行います。

 


 

 

(4) リスクマネジメント活動

 

① 基本的な枠組み

当社におけるリスクマネジメント活動は、リスクの顕在化の予防及び顕在化したリスクへの対応のための活動を主な内容とします。


 

リスクの顕在化の予防取り組みと顕在化したリスクへの対応の取り組みいずれについても、具体的な活動は、経営計画や事業目標を踏まえたリスクマネジメント活動のPDCAサイクルに基づき実施されます。

 

 

 

経営計画・事業目標

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リスクの洗出し・評価と

予防・対処計画の策定(P)


リスク予防・対処活動(D)

 

 


リスクマネジメント活動のPDCA


 

 

計画・活動の見直し(A)


予防活動・対処活動の

効果測定(C)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

② リスクの顕在化の予防

ア. 基本骨子

当社は、リスクの性質・内容を踏まえた適切な管理を実現するため、企業活動に関するリスクを次の3つに分類しています。

 

カゴメの企業活動に関するリスク

 

 

 

 

 

戦略リスク

 

戦略リスク:中長期的な経営戦略を踏まえ、重大な影響が認められるものとして当社が指定するリスク

 

 

 

 

 

社会・環境リスク

 

社会・環境リスク:社会・経済環境や自然災害等の外部要因によるリスクのうち、特に顕在化した場合には不可抗力であると一般的に認識されるもの

 

 

 

 

 

オペレーショナルリスク

 

オペレーショナルリスク:戦略リスク、社会・環境リスクを除くすべてのリスク

 

 

 

 

 

 

こうした戦略リスク、社会・環境リスク、オペレーショナルリスクの3つのリスクの分類を基礎として、リスクの企業経営への影響度を鑑み、個別に認識されたリスクを「会社の重点リスク課題」の対象となるリスクと「各組織のリスク課題」の対象となるリスクに区別します。これにより、企業経営におけるリスクの影響度に応じた効果的かつ効率的な管理活動の実現を図ります。

 

●「会社の重点リスク課題」の対象となるリスク:戦略リスク、社会・環境リスク、オペレーショナルリスクのうち、企業経営への影響が大きいと評価されるものです。経営会議やリスクマネジメント統括委員会がリスクマネジメントの活動のPDCAサイクルを管理します。さらに、取締役会へも報告がなされます。

●「各組織のリスク課題」の対象となるリスク:「会社としての重点リスク課題」以外のリスクです。各組織がリスクオーナーとなり、リスクマネジメントの活動のPDCAサイクルを実施します。


 

 

イ. 2023年度の「会社の重点リスク課題」

当社は、次のリスクを「会社の重点リスク課題」の対象となるリスクと認識し、重点的な管理活動の対象としています。

 

重点リスク課題

主管組織、報告会議体 等

主管組織

報告会議体(頻度)

備考(報告内容等)

①経営戦略

・予実乖離の発生による利益の悪化

・新規事業、M&Aの失敗や遅れによる業績悪化や収益機会の喪失

・新規事業、M&Aの失敗や遅れによる業績悪化や収益機会の喪失

 

■予実:経営企画室、財務経理部

■新規事業:投資委員会

■保有資産:財務経理部

取締役会(毎月)

経営会議(年1回)

取締役会、経営会議(年1回、適宜)

・事業戦略の成長に当たっての進捗管理等

・投資委員会での定期的モニタリング内容等

・政策保有株式の状況、減損検討対象となる固定資産の報告等

②適正なガバナンス体制の構築

・取締役会および監査等委員会の実効性の不備

・経営者による内部統制の無効化

■取締役会

■監査等委員会

取締役会(年1回)

監査等委員会(適宜)

・第3者によるアセスメント等

③消費者・広報

・不適切な広告や顧客対応の失敗による、訴訟や不買運動、ブランドイメージの棄損

■客相、経営企画室(広報グループ)

リスクマネジメント委員会(隔月)

・不満、苦情件数、ネガティブ報道のモニタリング内容等

④社会情勢・顧客ニーズ

・日本国内における景気の後退や需要の減少、または消費者ニーズの対応の遅れによる売上の減少

■マーケティング本部、営業本部

品企画会議(適宜)

・競合環境や消費者動向の分析。支店別、カテゴリー別の売上動向等

⑤金融市場 

・為替変動や金利変動による資金調達コストの増加や資金繰りの悪化 

■財務経理部

取締役会(四半期毎)

・リスクヘッジ取引とモニタリング内容等

⑥天災・不可抗力

・地震等の災害や感染症等による、事業活動の停滞(BCP)

・異常気象による原材料の滞り

■BCP:リスクマネジメント委員会事務局

■異常気象:野菜事業部、調達部

経営会議(年1回)

執行役員会(適宜)

・BCP活動の進捗等

・主要原材料のシーズン毎の調達進捗

・その他原材料の調達戦略課題等

 

 

重点リスク課題

主管組織、報告会議体 等

 

主管組織

報告会議体(頻度)

備考(報告内容等)

 

⑦情報管理・サイバーセキュリティ

・サイバー攻撃等によるサーバーへの不正アクセスや、不適切な情報管理による個人情報や社外秘情報の漏洩

■情報セキュリティ委員会

リスクマネジメント統括委員会(隔月)

・PCウイルス感染、IT機器紛失、外部攻撃件数のモニタリング内容等

 

⑧安全・衛生 

・職場における労働災害、長時間労働、感染症等の発生による従業員の健康被害
 

■安全衛生委員会

リスクマネジメント統括委員会(隔月)

・労災、感染症等発生状況のモニタリング内容等

 

⑨製品・サービスの安全性

・異物混入、表示の誤り、品質検査の不備、種子の異品種コンタミ、非食品に関する品質検査の不備等による、品質不良品の出荷や健康被害および賠償責任に係る費用の発生の可能性

■品質保証部、野菜事業部(種子)

 

品質保証委員会、リスクマネジメント統括委員会(毎月、隔月)

・不適合/重大品質事故の発生件数、内容等

 

⑩サプライチェーン(調達、生産、運輸物流)

・突発的な需要増や、種子・原料不足等による原材料の不足

・自動倉庫、物流システムの障害等による生産や出荷の滞り

■野菜事業部、生産調達本部、SCM本部

執行役員会(隔月)

経営会議(隔月)

・課題進捗等

・突発的な事象の発生について

 

⑪法令・規則違反、規制

・重大な法令、規則違反(会社法、税法、金商法、東証ルール等)

・食品安全関連規制違反、個人の不正行為や関係会社の不祥事

・環境問題(GHGガス排出量削減、水資源問題、プラスチック問題等)への対応の遅れによる、株主や投資家からの否定的な評価

・人権問題(強制労働、ハラスメント等)による、訴訟の発生や退職者の増加

■会社法、金商法等:財務経理部

■食品安全法関連:品質保証部

■不正行為:コンプライアンス委員会

■環境:品質保証部

■人権:経営企画室(サステナビリティG、法務G)

取締役会(四半期毎)

品質保証委員会、リスクマネジメント統括委員会(毎月、隔月)

コンプライアンス委員会、リスクマネジメント統括委員会(隔月)

経営会議(年2回)

サステナビリティ委員会(適宜)

コンプライアンス委員会、リスクマネジメント統括委員会(隔月)

・法令・規則違反のモニタリング内容等

・法改正情報、対応等

・不正行為のモニタリング内容等

・環境マネジメントレビュー等

・人権方針の策定、サプライチェーンにおける人権DDの進捗等

・ホットライン通報内容等

 

 

 

ウ. 2023年度の「各組織のリスク課題」

「各組織のリスク課題」の対象となるリスクへの対応は、KPI目標シート(当社における目標管理制度)にて各組織(部門・部署)の役職員個人の目標に落とし込まれます。こうしたKPI目標シートによる目標設定を軸として、「各組織のリスク課題」の対象となるリスクについての管理活動のPDCAサイクルを推進します。

 

③ 顕在化したリスクへの対応

 

ア. 基本骨子

当社は、リスク顕在化事象に対して実効的かつ効率的に対応するため、その影響度の評価に基づきリスク顕在化事象を分類し、事業継続計画その他のリスク顕在化に応じた対応計画の整備を進めています。

 

イ. 事業継続計画(BCP: Business Continuity Plan)

当社は、今後想定されるいくつかの個別的な緊急事態におけるシナリオを想定し、事業継続計画を作成しています。

事業継続計画は、事業を単位として作成されることが一般的です。しかし、当社においては、複数の事業間でバリューチェーンが重複又は近似していることから、重要な商品及び機能を単位として、事業継続計画を作成しています。

重要な商品とともにカゴメの事業継続計画において単位となっている重要な機能は、調達、サプライチェーンマネジメント(SCM: Supply Chain Management)、財務経理及び広報の4機能です。調達及びサプライチェーンマネジメントは、食品メーカーとして生産活動を行うための不可欠な機能です。また、財務経理は、自社の企業としての存続、サプライチェーンの維持、従業員の生活の確保その他の企業における事業としての生産活動を行うための基盤となる機能です。そして、広報は、当社の企業理念の一つである「開かれた企業」に照らして、重要と考えている機能です。社内外のステークホルダーに対する説明責任を果たすことは、とりわけ緊急時において強く求められるところであり、広報はそのための不可欠の機能と考えられるためです。

こうした事業継続計画により、緊急時においても当社の事業活動を継続し、万が一停止しても速やかに復旧することで、企業価値の保全を図ります。


 

ウ. その他のリスクの顕在化への対応のための取り組み

現在、当社は、事業継続計画を含む個別的なリスクの顕在化への対応計画の整備を行うとともに、内閣府より公表されている「事業継続ガイドライン」に準拠しつつ、これら個別的な対応計画の体系的整理を行ない、統合的な対応計画の作成に取り組んでいます。

こうした取り組みに際しては、その過程においてカゴメグループ内部での関係者の主体的関与を確保するとともに、適宜、外部専門家からの支援を受けています。

また、机上訓練やシミュレーション(予行演習)等を通じての対応計画の定期的な見直しをおこなう等のPDCAサイクルを確立し、リスクの顕在化への対応力の向上を図ります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(重要な会計方針及び見積り)

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積りは、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。

採用している重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況」における「3.重要な会計方針」及び「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。

 

 (1) CFO/CROメッセージ


厳しい経営局面だからこそ、財務戦略の重要性が高まっています。
企業価値向上のために適切な資金調達と投資を実行します。

 

① 2022年の振り返り

売上収益は、前年度比+8.4%となりました。国際事業において、コロナの鎮静化に伴いトマト加工品を中心とした需要が回復基調であったこと、コスト上昇分の販売価格への転嫁が進められたこと、円安により邦貨への換算額が増加したことなどによります。
 事業利益は、前年度比△9.4%となりました。国内加工食品事業において、原材料やエネルギーの価格高騰は、当初の想定を上回るものでした。同事業の事業利益は悪化しましたが、国際事業の事業利益が売上収益同様増加しました。
 CFOに就任してからの1年間、急激な事業環境の変化に対応するため、マネジメント・関連部門・国内外のグループ会社と連携し、各事業、子会社のタイムリーな経営成績と財政状態の把握及びその対応に努めました。増収減益という厳しい結果になりましたが、2022年度の配当は、公表した予想通り実施することができました。
 財政状況は、信用格付の評価、財務指標などから、その健全性が保たれていると考えています。資本効率は、2021年度から経営指標にROICによる管理を導入し、その向上への取り組みを進めています。しかしながら、2022年度は、同指標は前年度比1.6point悪化しました。これは、利益の減少に加えて、棚卸資産が前年度末比+22.1%と大きく増加したことが主因です。棚卸資産の増加は、原材料価格の上昇と数量の確保によるものです。当社は、世界的に原材料需給が逼迫する中で、安定的な調達量を確保することを第一に考えました。ROICの指標には悪影響となりましたが、これは、当社が長年築いてきたグローバルな調達ネットワーク力により、安定的に原料を調達できていることの結果ともいえます。単に数値の良し悪しだけではなく、経営環境における優先順位とその合理性の検証、またそれらの説明責任を果たしていきます。 

 

② 成長投資へのこだわりとそれを支える財務基盤

社長の山口のメッセージにもある通り、第3次中期経営計画における「ありたい姿」に変更はありません。定量目標値については、経営環境の激変を受けその見直しが必要ですが、事業成長には、これまで以上に、第3次中期経営計画の基本戦略を推し進めることが重要だと考えています。
 特に事業利益率の改善は急務です。既存領域における利益率の回復に加えて、M&Aなどによるインオーガニック成長がより重要となります。2022年に発表した第3次中期経営計画期間中のインオーガニック成長のための投資は、300~500億円と従来にない規模でした。現時点にて、この投資枠の変更は予定していません。事業成長を加速するための積極的な投資は不可欠であることに加えて、それを支える財務基盤は毀損していないという認識によるためです。2022年度末の当社の自己資本比率は52.8%です。
 なお、2022年度中にインオーガニック成長投資のための自社株買いも完了しており、2022年度末の自己株式は225億円となります。
 厳しい事業環境だからこそ、将来の成長に向けた投資を進めていくことが重要だと考えています。同時に、それを支える財務基盤を維持していくことが重要であり、その実現に全力を尽くします。

 

健全な事業成長のためのガバナンスの推進

 健全な事業成長のためには、適切な財務経理ガバナンスが大切になります。これは、品質と並びカゴメの事業の礎となっています。こうしたことは、当社の企業理念の一つである「開かれた企業」をその根幹としています。良いことも悪いことも、ステークホルダーの皆様に対してタイムリーに分かりやすく発信するという企業風土は、当社の財務経理ガバナンスを強く支える基盤になっています。今後も財務経理ガバナンスの維持・向上に努めてまいります。

 

 (2) 経営成績の分析

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、次の通りであります。

①  売上収益

売上収益は、2,056億18百万円となり、前連結会計年度の1,896億52百万円に比べ、159億65百万円の増加(8.4%増)となりました。

国内加工食品事業は、主力の野菜飲料が下期に好調だったことや、食品他カテゴリーにおける外食需要の回復などにより、増収となりました。国際事業においても、トマト一次加工の需要増や、米国のフードサービス企業向け販売が堅調に推移したほか、価格改定の効果や円安の影響もあり、増収となりました。

 

② 事業利益

事業利益は、128億8百万円となり、前連結会計年度の141億38百万円に比べ、13億29百万円の減少(9.4%減)となりました。

国際事業は前述のトマト一次加工の需要増などで増益となりましたが、国内加工食品事業において、価格改定を上回る原材料価格の高騰や販売促進費の増加などがあり、減益となりました。

 

③ 営業利益

営業利益は、127億57百万円となり、前連結会計年度の140億10百万円に比べ、12億53百万円の減少(8.9%減)となりました。

事業利益の減益に伴い減益となりました。

 

④  親会社の所有者に帰属する当期利益

親会社の所有者に帰属する当期利益は、91億16百万円となり、前連結会計年度の97億63百万円に比べ6億47百万円の減少6.6%減)となりました。

低税率の海外子会社の増益や各国税制優遇措置などにより実効税率が低下し、営業利益と比べて減益幅は縮小しました。

 

以上により、当連結会計年度の売上収益は、前期比8.4%増2,056億18百万円、事業利益は前期比9.4%減128億8百万円、営業利益は前期比8.9%減127億57百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前期比6.6%減91億16百万円となりました。

 

 

 

 

セグメント別の業績は、次の通りであります。

当第1四半期連結累計期間より、報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「5.(5)連結財務諸表に関する注記事項」の(セグメント情報等)をご参照ください。

なお、前連結会計年度については、当該変更に基づき遡及して作成した数値となっております。

 (単位:百万円)

セグメントの名称

売上収益

事業利益(△は損失)

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

 

飲料

75,480

75,907

427

8,247

6,798

△1,449

通販

13,518

13,578

60

1,430

1,528

98

食品他

47,730

48,481

750

3,452

2,202

△1,250

国内加工食品事業 計

136,729

137,968

1,238

13,130

10,528

△2,602

国内農事業

9,542

9,582

40

286

449

162

国際事業

50,779

67,830

17,051

2,364

3,608

1,244

その他

1,907

2,221

314

△64

△91

△26

調整額

△9,306

△11,984

△2,678

△1,578

△1,686

△107

合計

189,652

205,618

15,965

14,138

12,808

△1,329

 

 

各セグメントの概要及び成果については以下の通りです。

 

<国内加工食品事業>

国内加工食品事業では、飲料や調味料等の製造・販売を手掛けております。

当事業における売上収益は、前期比0.9%増1,379億68百万円、事業利益は、前期比19.8%減105億28百万円となりました。

 

① 概要

トマト、にんじん、その他の多様な野菜を使用した野菜飲料や食品などの商品を展開しています。お子様からご高齢の方まで、幅広い世代の方々に、日常生活の様々な場面においてご利用いただくことで、野菜の摂取量を増やし、健康寿命の延伸に貢献します。

 

② 2022年度の概要(成果・課題)

 

成果

課題

野菜摂取量を「あと60g増やす」ことを目指した「野菜をとろうキャンペーン」を推進し、積極的な販促活動を実施しました。飲料においては、「野菜生活100」シリーズのホームパックの需要が減少しましたが、トマトジュースや「野菜一日これ一本」シリーズは、好調に推移しました。食品は内食需要に対応したメニュープロモーションを強化しました。業務用は外食需要の回復に伴い、販売が好調でした。売上収益は増収となった一方、事業利益は原材料価格の高騰などの影響により、減益となりました。

 当社の主要原材料であるトマトをはじめとした農産物原材料の世界的な価格高騰に加え、資材費やエネルギー費などの上昇が続いています。このような状況を受け、2023年2月に価格改定を実施しました。価格改定影響による販売数量の減少を最小限に抑制し、新しい価格の定着に向けた需要創造を図ることが大きな課題です。また、縮小に転じた野菜飲料市場に対して、市場全体の活性化を図ること、同時に当社最大のブランドである「野菜生活100」シリーズの強化を図ることが急務であると捉えています。

 

 


 

 

バリューチェーン分析による本事業の強み・弱み

STRENGTH 強み

■ 原材料調達における、海外ネットワーク力と、品質保証力

■ 120年の歴史で培われたブランド力

■ 素材の力を活かした機能性研究、商品開発力

■ 多様な販路と、顧客に応じた商品提案力

WEAKNESS 弱み

■ 環境変化の臨機応変なバリューチェーンの柔軟性

■ 幅広いカテゴリー対応維持のための資源分散

■ コモディティ市場における価格競争力

■ 若年層への浸透

成長機会の取り込み

―持続的な成長に向けて―

リスクへの対応

―資本コストの低減―

■ 「カゴメファン」拡大に向けたコーポレートコミュニケーションの強化

■ 既存カテゴリーのバリューアップによる利益獲得力の維持・強化

■ 次代の成長因子形成に向けた展開領域の拡大

■ 上記活動を支えるDX、特にCDP活用の高度化

■ 為替、相場をはじめとする不安定な原料調達に対する、調達力・エリアのさらなる分散

■ 収益性、成長性の高い事業への重点的な取り組み強化、及び商品ポートフォリオの柔軟な組み替え

■ 抜本的な原価企画活動の推進、商品SKUの絞り込み

 

 

③ 足元の対応と、中期的成長の柱の育成

食品・業務用事業

 急激な原材料価格の上昇を踏まえ、食品・業務用事業は、2022年に続き、2023年2月に価格改定を実施しました。価格改定後の需要創造に向けて、食品においては、4年に一度の大型プロモーション「オムライススタジアム2023®」を開催します。本企画は、取り組みを開始して10年を迎え、回を重ねるごとに注目度が高まっています。この企画を中心として、食品・業務用・農事業の垣根を越えた活動により、内食・中食・外食それぞれにおいて、年間を通じた洋食メニューの活性化に注力します。
 また、株式会社TWOとの協業の進展などを通じ、プラントベースフードなど次代の成長に向けて活動を加速していきます。


「オムライススタジアム2023®」

 

 

飲料事業

 飲料事業は、2023年2月に価格改定を実施しました。価格改定後の需要創造に向けて、特に野菜飲料市場の最大のブランドである「野菜生活100」シリーズをリニューアルします。野菜配合率を従来の60%から70%に高め、クセのないすっきりとした飲みやすい味わいへと仕上げました。また、野菜飲料の「色の価値」に焦点を当て、カロテノイドに代表される機能性とともに、


情緒性を両立した従来にない大きなプロモーションを展開します。キャンペーンワードである「GoVivid(あざやかに、生きよう。)」をテーマに、オンライン・オフラインそれぞれでの接点で多面的なアプローチを推し進め、現在のユーザーの飲用頻度の拡大とともに、新たな顧客層の獲得を目指します。


 

 

<国内農事業>

農事業では、主に生鮮トマト、ベビーリーフ等の生産・販売を手掛けております。

当事業の売上収益は、前期比0.4%増95億82百万円事業利益は前期比56.9%増4億49百万円となりました。

 

① 概要

生鮮トマトやベビーリーフなど生鮮野菜の生産・販売を中心に「野菜の会社」を体現すべく事業活動を進めています。生産から消費までのバリューチェーンの高度化を図り、安定的な収益を獲得するとともに、日本の「農業振興」と「健康寿命の延伸」の社会課題解決に貢献します。

 

② 2022年度の概要(成果・課題)

 

成果

課題

 売上収益は、天候や病害などの影響により生鮮トマトの取扱量が減少したものの、需要喚起策を積極的に行ったことや市況が2021年度を上回ったことにより、増収となりました。事業利益は、構造改革による固定費削減効果により、増益となりました。
 営業面の取り組みでは、ディズニーキャラクターをデザインした商品により幅広い世代の需要喚起を図りました。また、「高リコピントマト」「高GABAトマト」などの高付加価値商品の販売構成を順調に上げることができました。家庭園芸への関心が高まっており、トマトの苗やトマトの土の販売も好調でした。生産性向上の取り組みでは、AI 人工知能による深層学習機能を活用した生鮮トマト収量予測システムを主要菜園に導入しました。

2022年度は、肥料及びLPガス価格の高騰など急激な資源高と最低賃金上昇などによる生産コスト圧迫、夏秋時期の不安定な天候(猛暑や豪雨など)による生鮮トマト調達量不足など、想定を超える外部環境悪化の影響を受けました。これらの環境変化の影響を受けにくい事業構造への転換を推し進めることが最大の課題と捉えています。効率的なエネルギーの使用や作業効率改善など生産性向上に注力するとともに、品種・作型・立地にあった調達戦略を推進していきます。また、新規顧客・チャネルでの販売拡大に向けて、安定
したQuality(品質)・Cost(コスト)・Delivery(納期)に向けた取り組みと新商品の提案を積極的に行っていきます。

 

 


 

 

バリューチェーン分析による本事業の強み・弱み

STRENGTH 強み

■ 生鮮トマトでのナショナルブランドの確立

■ トマトの高度な品種開発力、生産調達力、マーケティング力

■ 自社営業網・物流網による周年供給力と販売網

■ 機能性成分や残留農薬の分析による品質保証体 

  制

■ 農事業に関する専門スキル(知識・技術)を持った人材

WEAKNESS 弱み

■ 生鮮トマト特有の市況影響による収益ボラティリティ

■ 生鮮トマトのコモディティ市場における価格競争力の低下

■ 労働集約型の施設園芸分野における生産自動化の遅れ

■ トマト、ベビーリーフ以外の野菜の品種、産地、流通などの生産基盤の不足

成長機会の取り込み

―持続的な成長に向けて―

リスクへの対応

―資本コストの低減―

■ 政府による「みどりの食料システム戦略」において、農業の削減など当社が培ってきたノウハウを活用する機会の獲得

■ ロボット・AI・IoTを活用したスマート農業や環境制御技術の開発進展

■ 生鮮野菜の販売チャネルの多点化と健康志向の高まり

■ 農業分野でのESG投資やSDGsなど農業分野での関心の高まり

■ 大型温室の増加による競争激化への対応

■ 人件費、エネルギー費、資材費、物流費などのコスト上昇への対応

■ 気候変動による栽培適地の減少や新たな病害虫の発生への対応

 

 

③ 足元の対応と、中期的成長の柱の育成

中期経営計画における環境変化と対応策

急激な資源高に対して、販売単価の引き上げと原価上昇の抑制および固定費の削減の両輪により、利益確保に取り組みます。関連部門との連携を強化し、「KAGOMEトマトブランド」の認知率向上と、顧客接点拡大に取り組むとともに、「高リコピントマト」「高GABAトマト」などの高付加価値商品の構成比66%以上を目指し(2022年実績54%)、市況の影響


ベビーリーフ菜園

を受けにくい構造へ確実にシフトします。また、原価上昇抑制と併せて、継続生産が可能な取引価格(調達価格)の設定、収益力強化に向けた販売施策と業務プロセス改革などに取り組み、低市況でも利益を確保できるコスト構造を実現します。新たな成長領域の開発としては、トマトやベビーリーフに次ぐ生鮮野菜(紫たまねぎなど)の開発・育成に取り組みます。

家庭園芸事業では、トマト苗で業界トップを目指し、新たにトマト以外の野菜苗の販売も拡大していきます。

 

 

中長期的な価値創造に向けて

「先進的で持続可能な農ビジネスを構築し、日本の農業をアグレッシブにリフレッシュする!」ことを目指して価値創造を進めます。そのために、品種開発力×技術力×調達力×営業力を、社内外との業務連携により高め、生鮮野菜の生産から消費までのバリューチェーンの高度化を推進します。
 具体的には、研究開発部門と連携した新たな高機能性野菜の開発、最新テクノロジーを活用した植物体モニタリング技術や収穫ロボットなどの研究・開発、先進的なバリューチェーンへの変革に取り組みます。サプライチェーンの高度化を通して、高付加価値化した生鮮野菜や関連商品を拡充することにより、消費者の多様化する健康ニーズに応えます。


一般のたまねぎの約1.5倍のケルセチンを含む紫色があざやかなたまねぎ「高ケルセチン紫たまねぎ」

 

 

 

<国際事業>

国際事業では、種子開発から農業生産、商品開発、加工、販売まで垂直統合型ビジネスを展開しております。

当事業における売上収益は、前期比33.6%増678億30百万円、事業利益は、前期比52.7%増36億8百万円となりました。

 

① 概要

国際事業は、種子開発から農業生産、加工、販売事業などを展開しています。加工はトマトペーストなどを製造する一次加工と、トマトペーストを原材料としてトマトソース、ピザソースなどを製造する二次加工に大別されます。国際事業の主な顧客は調味料メーカーや外食企業などで、米国、欧州、豪州などでBtoBビジネスを展開しています。

 

② 2022年度の概要(成果・課題)

 

成果

課題

米国を中心に展開するKagome Inc.は、堅調な米国の外食需要を背景に、新規顧客を含むフードサービス企業向けの販売が好調に推移しました。Kagome Inc.の売上収益はコロナ禍以前の2019年度を大きく上回る水準となり、国際事業の成長を牽引しています。また、ポルトガルのHITをはじめとしたトマト一次加工も、世界のトマトペーストの市況高の影響もあり、増収に大きく寄与しました。事業利益は、原材料やエネルギー価格の急激な高騰があったものの、各社で価格改定を実施したほか、円安の影響もあり、増益となりました。
 

直近の課題は、世界的なインフレへの対応です。これには、生産性向上や固定費削減を進めるほか、価格改定を実施して利益を確保していきます。一次加工のように川上に近い事業はコスト上昇分を価格に順調に転嫁できており、二次加工においても随時価格改定を行っています。これらの取り組みにより、2023年度の事業利益率は前年度比+0.4ポイント改善の5.7%を見込んでいます。中長期的には、米国を中心とした成長戦略の検討と実行、一次加工を中心としたサプライチェーンの強化などが課題です。

 

 


バリューチェーン分析による本事業の強み・弱み

STRENGTH 強み

■ フードチェーンに向けたメニュー提案によるソリューション力

■ グローバルに展開するトマトの一次加工会社によるトマトペーストの安定確保

■ グループ会社共通の品質管理基準の展開による品質力とESG課題の推進

WEAKNESS 弱み

■ 一次加工など川上ビジネスにおける収益ボラティリティ

■ 購入額の大きい特定顧客への依存度の高さ

■ B to Cにおけるブランド認知の不足

成長機会の取り込み

―持続的な成長に向けて―

リスクへの対応

―資本コストの低減―

■ 米国の外食産業でのQSR(Quick Service  Restaurant)及びファストカジュアル業態への提案強化

■ テイクアウト・デリバリーニーズや店舗運営効率に対応した容器商品などの開発

■ 生活者の健康意識が高まるアジアでの野菜飲料の拡大

■ 当社リソースの活用による安定したサプライチェーンの確保

■ 一次加工でのトマト以外の野菜や果実加工品の
生産可能性の検討

■ インオーガニック成長も含めた新規顧客の開拓と
高付加価値商品へのシフト

■ 野菜飲料の価値伝達や独自素材の使用による差別化とブランド確立

 

 

③ 足元の対応と、中期的成長の柱の育成

中期経営計画における環境変化と対応策

コロナ禍からの規制緩和により米国の外食需要は大きく回復しており、今後も継続的な成長が見込まれます。外食企業では原材料コストの上昇や店舗の人員不足が課題であり、環境対応にも積極的なことから、今後は店舗運営効率を考慮した新しい容器の商品開発やグループを挙げたESG課題への取り組みを強化していきます。

また、コロナ禍やウクライナ情勢を経て、内食需要の増加やトマトから競合作物への転作が起きたほか、水不足などの影響でトマトペーストの世界在庫は一転して低水準となりました。当面は安定したサプライチェーンを確保できることが重要であり、グループ会社のリソースを活用して高品質のトマトペーストを一定量確保し、競争力を高めていきます。


Kagome Inc.の商品を使用した外食メニュー

 

 

中長期的な価値創造に向けて

今後の国際事業は、米国を中心とした成長戦略と一次加工を中心としたサプライチェーンの強化に取り組みます。

第3次中期経営計画では、「オーガニック・インオーガニック、両面での成長追求」を4つのアクションの一つに掲げており、米国における既存グループ会社とのシナジーを活かし、他企業との協業やM&Aなども視野に入れた成長戦略を描いています。2021年に設置した「米国成長戦略プロジェクト室」を中心に、展開エリアや商品形態の拡大など、

様々な面から検討を進めています。


カゴメオーストラリアの真空濃縮機

また、世界的なサプライチェーンの混乱が起きつつある中、トマトペーストの安定生産、安定確保は国際事業のみならず、トマトペーストを主力原料とする国内加工食品事業の継続にとっても、極めて重要です。一次加工のグループ会社を持つことを強みとして、安定したサプライチェーンを構築することに注力していきます。

 

 

なお、今後の見通しにつきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通りであります。

また、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載の通りであります。

 

 

(3)財政状態の分析

当連結会計年度末は、資産合計につきましては、前期末に比べ101億63百万円増加いたしました。

流動資産につきましては、前期末に比べ56億77百万円増加いたしました。

これは、主に「現金及び現金同等物」が、固定資産の取得や、自己株式の取得などにより98億40百万円減少したものの、原材料価格の高騰に備えた在庫の積み増しにより「棚卸資産」が104億15百万円、「営業債権及びその他の債権」が38億29百万円増加したことによります。

非流動資産につきましては、前期末に比べ44億86百万円増加いたしました。

これは主に、海外子会社における製造設備の更新などにより「有形固定資産」が15億85百万円増加、当社子会社であるKAGOME INC.(米国)の持分法適用会社であるIngomar Packing Company, LLCの利益が増加したことなどにより「持分法で会計処理されている投資」が12億67百万円増加、主に円安によるデリバティブ資産の時価増加や、プラントベースフードのスタートアップ企業である株式会社TWOへの出資などにより「その他の金融資産」が9億90百万円増加したことによります。

負債につきましては、前期末に比べ79億13百万円増加いたしました。

これは、主に運転資金の増加に伴い「借入金」が81億68百万円増加したことによります。

資本につきましては、前期末に比べ22億49百万円増加いたしました。これは、主に「自己株式」の取得及び処分により77億32百万円減少、「利益剰余金」が配当により32億77百万円減少した一方で、「親会社の所有者に帰属する当期利益」により91億16百万円増加、「その他の資本の構成要素」が主に主要通貨に対する円安が進行したことにより27億28百万円増加したことによります。

この結果、親会社所有者帰属持分比率は52.8%、1株当たり親会社所有者帰属持分は1,383円50銭となりました。

 

(4)連結キャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、213億90百万円となり、前期末に比べ98億40百万円減少いたしました。各キャッシュ・フローの状況は次の通りであります。

営業活動によるキャッシュ・フローは、46億35百万円の純収入(前期は147億96百万円の純収入)となりました。この主要因は、税引前利益が125億57百万円となったこと、減価償却費及び償却費が82億82百万円となったこと(以上、キャッシュの純収入)、棚卸資産の増加により75億75百万円、法人所得税等の支払いにより42億60百万円支出したこと(以上、キャッシュの純支出)によります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、94億57百万円の純支出(前期は141億62百万円の純支出)となりました。この主要因は、前述の製造設備の更新などによる、有形固定資産及び無形資産の取得(投資不動産含む)により98億78百万円支出(前期は148億23百万円支出)したことによります。

財務活動によるキャッシュ・フローは、55億12百万円の純支出(前期は276億52百万円の純支出)となりました。この主要因は、先述の通り短期借入金の増加により63億19百万円の収入がありましたが、自己株式の純増加により77億86百万円、配当金の支払いにより32億78百万円、それぞれ支出があったことによります。

 

 

(資本の財源及び資金の流動性)

 

① 財務戦略の基本方針

目的

指標

2021年度実績

2022年度実績


第3次中計方針

財務基盤の安定

自己資本比率

信用格付

54.6%

シングルA

52.8%

シングルA

50%以上

シングルAの維持

資本効率を重視した成長

ROE

8.5%

7.7%

9%以上

安定的な利益還元

総還元性向

33.6%

38.9%

40%以上

 

  ※総還元性向は、2021年10月29日に取締役会で決議した自己株式100億円を含みません。

 

当社グループは、安定した財務体質のもと、成長投資と利益還元を両立することを財務戦略の基本方針としています。持続的な成長を支え、大きな変化に耐えうるには、財務基盤の安定維持が前提となります。2022年度末の自己資本比率は52.8%、信用格付はシングルAを維持しており、財務基盤は安定しています。しかしながら、世界的なトマト原材料不足や原材料費をはじめとする各種コストの高騰など、当社グループを取り巻く事業環境は厳しさを増しています。
 足元の環境下、当社はお客様へ商品を安定供給するための戦略的な原材料在庫の積み増し、コスト抑制や販売価格の見直しなどの取り組みを進めています。この過程において、今後、一時的な業績の落ち込みや在庫を含めた必要運転資本の増加による資金需要への対応は、基本的に金融機関からの借入金で賄いつつ、「デジタル特典付き社債」などの新しい資金調達手法も取り入れます。
 そのため、第3次中期経営計画期間においては、当社グループにおける財務基盤の安定性の目安である自己資本比率50%以上、信用格付シングルAの維持が難しい局面が一時的に発生することも予想されます。当社は、直面している厳しい環境を打開するために収益性の早期回復はもちろん、M&Aを含むインオーガニック成長を実現していくことが極めて重要と考えています。
 第3次中期経営計画期間のインオーガニック成長投資は、300~500億円を想定していますが、自己株式や金融機関のコミットメントライン・当座貸越枠によりその準備資金を確保しています。オーガニック領域における収益性回復とインオーガニック成長の達成により、一時的に落ち込む財務基盤をより安定した盤石なものとし、中長期的な成長につなげていきます。なお、財務基盤の安定とともに、グループ全社でのROIC管理や投資管理の徹底など、資本効率を重視した成長を図っていきます。
 加えて、第3次中期経営計画においては、配当及び自社株買いを含め総還元性向が40%以上となるよう安定的・継続的に株主還元を行う予定です。また、第3次中期経営計画期間における配当計画については、38円以上を安定的に配当することとしています。

 

② 効率的な投資を実行するための体制

設備や事業への投資においては、社内専門部署の選抜メンバーで構成される投資委員会により、各部署から起案された投資について採算性やリスク評価を踏まえた審査を経て決定されており、投資後のモニタリングを実施し、その効果を確認しています。同委員会の確認を受けた議案が経営会議や取締役会へ上程され、正式な審議を受けています。

 

投資判断基準

対象

指標

基本要求水準

事業投資

IRR(内部収益率)※1

10%+α※2

設備投資

PBP(回収期間)※3

4年

 

※1 Internal Rate of Return:事業計画から得られるフリー・キャッシュ・フローの現在価値から初期投資額を差引いた金額がゼロとなる割引率

※2 αは国や地域に応じたカントリーリスク
※3 Payback Period:投資金額が回収されるのに要する期間

 

投資のモニタリング体制

●執行後5年間を対象

●年1回の取締役会・経営会議にて報告

 

③ 資本効率を高める取り組み

当社は、利益を獲得するだけではなく、投下した資本の適切性や効率性を測定するため、2021年度よりカゴメROICによる管理を導入しています。カゴメROICは、獲得したEBITDAに対して投下した資本の効率性を測定し、貸借対照表項目を各要素に分解することで、改善すべき課題を明確にすることを目的としています。

2022年度の目標と実績については、以下の表の通りです。
 2022年度は、国際事業の売上収益が大幅に増加した一方、原料・エネルギー価格等の高騰により国内加工食品事業の利益が減少した結果、EBITDAマージンが減少しました。また、棚卸資産が大幅に増加したことにより、投下資本回転日数が増加しました。これは、原材料の高騰など外部環境の変化とそれに伴う対策として在庫確保を戦略的に進めたことによります。その結果、2022年度のROICは、目標から1.1point悪化し、11.5%となりました。

※ カゴメROIC:EBITDA÷投下資本

 

(ROICツリー展開)
 当社においては、ROICツリーを資本効率向上のためのコントロールドライバーとして活用しています。ROICツリーの展開により、ROICからブレイクダウンしたBS指標を各部門のKPIに落とし込むことで、これに基づくアクションプランを各社・各部門にて設定し、自律的にPDCAを回すことで指標の改善を図っています。その上で、各社・各部門にて効率を意識した改善活動を行い、最適なサプライチェーン体制の構築をはじめとした取り組みを進めます。

 

2021年度実績

2022年度目標

2022年度実績

2023年度目標

ROIC(%)

   13.1

   12.6

   11.5

   7.5

EBITDAマージン(%)

   11.4

   10.7

   10.3

   7.0

EBITDA (百万円)

 21,633

 21,200

 21,092

 14,900

売上収益   (百万円)

189,652

199,000

205,618

213,000

投下資本回転日数  (日)

    317

    309

    327

    338

 

 

2022年実績及び2023年目標値の主なポイント・KPI

2022年実績 ●EBITDAマージン(悪化)

       ○国際事業売上増及び原材料価格の高騰に伴う原価増

      ●投下資本回転日数(悪化)

              〇原材料高騰及び戦略的な在庫の積み増しによる棚卸資産増加など

2023年目標 ●EBITDAマージン(悪化)

       ○原材料価格の高騰に伴う原価増及び価格改定に伴う販売数量減による利益減など

      ●投下資本回転日数(悪化)

              〇原材料高騰及び戦略的な在庫の積み増しによる棚卸資産増加など

 

主なKPI     売上債権回転日数(営業本部)、原材料在庫高(調達部)、社内加工材在庫高(生産部)、製品在庫日数(SCM本部)、海外子会社の在庫回転日数(国際事業本部)

 

 

 


資金調達×成長 双方の実現

 2023年は新しい資金調達手法に挑戦し、デジタル特典付き社債「愛称:カゴメ日本の野菜で健康応援債」を10億円発行しました。このデジタル特典付き社債は、ブロックチェーン技術によるみずほフィナンシャルホールディングスのデジタルエンゲージメントプラットフォームを通して売買され、従来の社債とは異なる特徴を有しています。一口当たりの購入単価が低いこと、社債発行者様の情報についてご本人同意の元に発行体が入手できること、カゴメ商品を特典として提供できることなどが特徴です。
 現在、当社は約19万人の“ファン株主”の皆様に支えていただいており、本社債購入者様にも“ファン貸主”になって頂きたいと考えています。金融商品を通じて当社商品のご理解を深めていただき、商品を手に取っていただく、そういった関係を作っていきたいと考えています。

 

 

(生産、受注及び販売の状況)

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメント毎に示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

 

飲料

36,038

12.1

 

通販

724

△1.0

 

食品他

18,147

5.9

 

国内加工食品事業 計

54,910

9.8

 

国内農事業

2,832

2.0

 

国際事業

57,552

40.7

 

 その他

248

33.5

 

合計

115,543

23.1

 

 

(注) 1  金額は製造原価によっております。

2  金額は消費税等を含めておりません。

 

b. 受注状況

主要製品の受注生産は行っておりません。

 

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメント毎に示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

構成比(%)

前期比(%)

 

 

飲料

外部顧客に対するもの

75,907

 

0.6

セグメント間取引

 

75,907

36.9

0.6

通販

外部顧客に対するもの

13,578

 

0.4

セグメント間取引

 

13,578

6.6

0.4

食品他

外部顧客に対するもの

48,481

 

1.6

セグメント間取引

 

48,481

23.5

1.6

国内加工食品事業 計

外部顧客に対するもの

137,968

 

0.9

セグメント間取引

 

137,968

67.1

0.9

国内農事業

外部顧客に対するもの

9,570

 

0.3

セグメント間取引

11

 

164.6

9,582

4.6

0.4

その他

外部顧客に対するもの

2,036

 

18.0

セグメント間取引

185

 

2.2

2,221

1.0

16.5

国際事業

外部顧客に対するもの

56,043

 

34.5

セグメント間取引

11,787

 

29.2

67,830

32.9

33.6

調整額

△11,984

△5.8

28.8

連結売上収益

205,618

100.0

8.4

 

(注) 1 各セグメント間のセグメント売上収益を消去しております。

   2  主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の通りであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

株式会社日本アクセス

34,085

18.0

32,375

15.7

 

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

当連結会計年度の研究開発費の総額は、4,090百万円であります。なお、当社の研究開発費用は、報告セグメント別に区分することが困難であるため、総額で記載しております。当社の研究開発活動については、以下の通りであります。

 

 イノベーション本部では「野菜の力による社会課題の解決」を目的とした健康・農業・安全に関する研究に果敢にチャレンジし、その成果を事業に繋げることによってカゴメグループの持続的な成長に貢献しています。

①イノベーション本部における研究分野

・健康研究

緑黄色野菜を主とした機能性研究やビッグデータ解析を中心に、健康情報の発信、野菜摂取の行動変容につながる仕組みの社会実装研究を行っています。

・農業研究

トマトの新品種開発や栽培技術の研究を中心に、遺伝子に関連するビッグデータ活用や、スマート農業に関連する先端技術の開発・活用を進めています。 

・安全研究

食に関わる様々なリスク与件の収集活動、高度な安全性評価技術の装備、原材料の安全性評価など、「畑から一貫して安全を保証する基盤技術」を維持、強化しています。

②知的財産の保護・活用

自社の研究開発活動における発明・発見や、他社特許調査を通じて知的財産関連基盤(知財の取得、保護、妨害、訴訟予防)を強化しているほか、保有する知的財産の社外での有効活用にも取り組んでいます。

主な取組み

・トマトジュース・トマトケチャップの特許を活用した競争優位の維持

・ベジチェック®特許による競争優位確立の推進

・トマト収穫機の特許を活用した農作業効率向上及び技術利用料収入

③オープンイノベーションの取り組み例

アブラナ科野菜由来成分スルフォラファングルコシノレート(SGS)の継続的な摂取が、高齢者の処理速度やネガティブ感情を改善

ブロッコリースプラウトなどのアブラナ科野菜に含まれるスルフォラファングルコシノレート(SGS)は多くの健康機能が期待されており、当社は国内外の大学や研究機関と共同研究を実施してきました。このたび、東北大学加齢医学研究所との共同研究において、健康な高齢者を対象にヒト試験を実施し、SGSを継続的に摂取することで、認知機能の一種である「処理速度」や怒り、混乱、抑うつなどを含む全般的なネガティブ感情が改善することを確認しました。本研究結果は、将来的に高齢者の健康促進のための取り組みに活用されることが期待されます。



スルフォラファングルコシノレート(SGS)の構造

AIを活用した生鮮トマトの収量予測システムを開発・導入

当社が販売している生鮮トマトは子会社の大型菜園などで栽培されています。従来、生鮮トマトの販売計画(当週~数週間先)は、菜園担当者の経験などをもとに立案していましたが、数週間先の予測精度の向上が課題でした。そこで、当社がこれまで蓄積してきた栽培技術・管理に関するデータとAI解析技術を組み合わせた収量予測モデルを作り上げ、数週間先の予測精度を高めることを可能にしました。これによって確度の高い販売計画の策定や食品ロスの削減が期待されます


 

本システムを導入したいわき小名浜菜園(福島県)