当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 業績の状況
当社は2022年12月期から4年間を対象とする中期経営計画のもと、「食を通じて社会課題の解決に取り組み、持続的に成長できる強い企業」を目指しております。基本戦略である「4つのアクション(①野菜摂取に対する行動変容の促進 ②ファンベースドマーケティングへの変革 ③オーガニック・インオーガニック、両面での成長追求 ④グループ経営基盤の強化と挑戦する風土の醸成)の有機的連携による持続的成長の実現」に取り組み、さらなる企業価値の向上に努めてまいります。
当中間連結会計期間(2024年1月1日から2024年6月30日)は、トマト加工品を中心とした世界的な原材料価格の高騰が継続いたしました。日本国内においては、物価上昇による生活者の節約志向の高まりなどを受け、景気の先行きは依然として不透明な状況が続きました。
このような状況の下、国内加工食品事業においては、主要原材料をはじめ製造費用の増加を受け、野菜飲料やトマト調味料など一部製品の出荷価格を改定しました。これに対し、需要の落ち込みを最小限に抑えるべく積極的な需要喚起策に取り組みました。この結果、販売数量の減少を想定よりも抑えることができ、増収増益となりました。
国際事業においては、トマトペーストの販売価格の上昇、フードサービス企業向けの販売が好調に推移しました。また、インオーガニックの成長として、持分法適用会社であったIngomar Packing Company, LLC(以下、Ingomar)の持分を2024年1月に追加取得し、連結子会社化したことにより、売上収益が純増となりました。この結果、国際事業は増収増益となりました。なお、取得日直前に保有していたIngomar持分を取得日における公正価値で再測定した結果、93億23百万円の段階取得に係る差益を、「その他の収益」に計上しました。
当中間連結会計期間の連結業績の前年同期比並びにIngomar子会社化に伴う影響は以下の通りです。
(単位:百万円)
※Ingomar連結子会社化影響は、当期の同社業績に、連結財務諸表作成上必要な調整を加え、前年同期に計上した同社の持分法投資損益を差し引いております。なお、取得した資産及び引き受けた負債について、当中間連結会計期間末において取得原価の配分が完了していないため、その後の損益認識含め、現時点で入手可能な情報に基づき、暫定的に算定をしております。
以上により、当中間連結会計期間の売上収益は、前年同期比40.7%増の1,482億42百万円、事業利益は前年同期比81.9%増の160億59百万円となりました。営業利益は、前年同期比2.8倍の252億95百万円、親会社の所有者に帰属する中間利益は前年同期比3.4倍の177億77百万円となりました。
※ 事業利益は、売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除し、持分法による投資損益を加えた、経常的な事業の業績を測る利益指標です。
セグメント別の業績の概況は次の通りであります。
当中間連結会計期間にIngomarを連結子会社化したことを契機に、セグメントの管理区分の見直しを行いました。この結果、国際事業の内訳として「トマト他一次加工」、「トマト他二次加工」を新たに開示しております。また、「国内農事業」及び、国際事業に含まれていた「種苗の生産・販売事業」を「その他」へ集約いたしました。
なお、前連結会計年度のセグメント情報については、変更後の区分により作成したものを記載しております。
(単位:百万円)
※1トマト他一次加工:農作物を加工した、ペーストなどの製造・販売
※2トマト他二次加工:主に、農作物の一次加工品に調味料などを加えて加工した、ピザソースなどの製造・販売
<国内加工食品事業>
国内加工食品事業では、飲料や調味料等の製造・販売を手掛けております。
当事業における売上収益は、前年同期比10.6%増の726億83百万円、事業利益は、前年同期比49.6%増の78億79百万円となりました。
[飲料:「野菜生活100」シリーズ、トマトジュース、野菜一日これ一本、他]
飲料カテゴリーは、トマトジュースにおいて、血圧・コレステロールが気になる健康関心層に加え、美容関心層の新規ユーザーを獲得したことにより、好調に推移しました。
「野菜生活100」シリーズは、「野菜生活100 レモンサラダ」など新商品の発売や、「朝を味方に。」をテーマとした需要促進策が一定の効果をもたらしました。
以上により、同カテゴリーの売上収益は、前年同期比11.7%増の397億3百万円、事業利益は、前年同期比41.8%増の49億29百万円となりました。
[通販:野菜飲料、サプリメント、スープ等の通信販売]
通販カテゴリーでは、主に、野菜飲料、サプリメント、スープなどの製造・販売を行う通信販売「健康直送便」を手掛けております。
通販カテゴリーは、スープが好調に推移したものの、サプリメントをはじめとする定期顧客数が前年を下回りました。
以上により、同カテゴリーの売上収益は、前年同期比1.9%減の57億8百万円となりました。事業利益は、広告宣伝費の抑制などにより、前年同期比5.0%増の2億67百万円となりました。
[食品他:トマトケチャップ、トマト調味料、ソース、贈答品、他]
食品カテゴリーは、価格改定後のトマトケチャップ需要の落ち込みに対し「焼きケチャップ」などのメニュー情報発信と販促活動を強化したことにより、好調に推移しました。
業務用カテゴリーは、価格改定後も外食需要の高まりなどにより、好調に推移しました。
ギフト・特販カテゴリーは、長期保存可能な備蓄用製品の販売が好調に推移しました。
以上により、食品他カテゴリーの売上収益は、前年同期比12.1%増の272億71百万円、事業利益は、増収により前年同期比74.5%増の26億82百万円となりました。
<国際事業>
国際事業では、農業生産、商品開発、加工、販売を展開しております。
当事業における売上収益は、前年同期比2.0倍の761億59百万円、事業利益は、前年同期比93.0%増の85億52百万円となりました。
[トマト他一次加工:トマトペースト、ダイストマト、にんじん汁、冷凍地中海野菜、他]
トマト他一次加工は、米国、欧州、豪州においてトマトペーストやダイストマト等の製造、販売を手掛けております。
トマト一次加工品は、世界的な需給の逼迫を受け、市場価格の高騰が継続いたしました。
米国においては、「米国事業の更なる成長」「トマト加工事業のグローバルネットワークの拡充」「持続可能なトマト加工事業構築」を目的にIngomarを連結子会社化し、事業を拡大しました。欧州のHolding da Industria Transformadora do Tomate, SGPS S.A.(以下、HIT)、及び豪州のKagome Australia Pty Ltd.(以下、KAU)においては、販売価格の上昇により増収となりました。
以上により、トマト他一次加工の売上収益は、前年同期比3.7倍の398億21百万円、事業利益は、前年同期比2.1倍の42億19百万円となりました。
[トマト他二次加工:ピザソース、バーベキューソース、トマトケチャップ、他]
トマト他二次加工は、米国、欧州、豪州、台湾、インドにおいて主としてフードサービス企業向けにピザソースやバーベキューソース、トマトケチャップ等の製造、販売を手掛けております。
トマト他二次加工品においては、世界的な原材料やエネルギーを始めとしたコストの増加に伴い、一部商品の価格改定を実施しました。
米国のKAGOME INC.をはじめ、各地域において、フードサービス企業向けの販売が好調に推移しました。
以上により、トマト他二次加工の売上収益は、前年同期比37.2%増の367億21百万円、事業利益は、前年同期比68.5%増の44億31百万円となりました。
<その他>
その他には、国内農事業、種苗の生産・販売、並びに新品種・栽培技術などの開発、不動産事業、業務受託事業、新規事業等が含まれております。
売上収益は、前年同期比17.3%増の121億円、事業利益は、前年同期比8.7倍の13億45百万円となりました。
なお、当中間連結会計期間より、その他に含めることとした「国内農事業」について、売上収益は前年同期比1.5%増の53億11百万円、事業利益は前年同期比9.8倍の5億79百万円となりました。
(2) 財政状態の状況
当中間連結会計期間は、資産合計につきましては、前期末に比べ961億91百万円増加いたしました。
流動資産につきましては、前期末に比べ373億14百万円増加いたしました。
これは、主にIngomarの連結子会社化などにより「棚卸資産」が298億82百万円、「営業債権及びその他の債権」が147億76百万円、それぞれ増加したことによります。なお「現金及び現金同等物」はIngomarの持分追加取得に伴う支出などにより、114億65百万円減少いたしました。
非流動資産につきましては、前期末に比べ588億77百万円増加いたしました。これは、主にIngomarの連結子会社化に伴い、「無形資産」が391億15百万円、「有形固定資産」が226億30百万円増加したことなどによります。なお、同社は子会社化に伴い持分法適用の対象外となったことから、「持分法で会計処理されている投資」が59億63百万円減少しております。
負債につきましては、前期末に比べ466億88百万円増加いたしました。
これは、主にIngomarの持分追加取得に伴う「借入金」が305億39百万円、Ingomarの連結子会社化などにより「繰延税金負債」が95億5百万円、「営業債務及びその他の債務」が67億89百万円、それぞれ増加したことによります。
資本につきましては、前期末に比べ495億2百万円増加いたしました。これは、「親会社の所有者に帰属する中間利益」により177億77百万円、「非支配株主持分」が227億72百万円、「その他の資本の構成要素」が132億3百万円それぞれ増加したことによります。一方で、剰余金の配当により35億36百万円減少しております。
この結果、親会社所有者帰属持分比率は43.9%、1株当たり親会社所有者帰属持分は1,846円19銭となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間における現金及び現金同等物は、245億44百万円となり、前連結会計年度末比で114億65百万円減少しました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、268億2百万円の純収入(前年同期は90億49百万円の純収入)となりました。これは、主に税引前中間利益が237億42百万円となったこと、減価償却費及び償却費が61億25百万円となったこと、棚卸資産が247億96百万円減少したこと、(以上、キャッシュの純収入)、Ingomarの持分段階取得に係る既存出資持分の時価評価益が93億23百万円となったこと、営業債権及びその他の債権が44億92百万円増加したこと、営業債務及びその他の債務が69億66百万円減少したこと、法人所得税等の支払いにより40億35百万円支出したこと(以上、キャッシュの純支出)などによります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、407億49百万円の純支出(前年同期は25億37百万円の純支出)となりました。これは、主にIngomarの持分追加取得に伴い360億46百万円支出したこと、有形固定資産及び無形資産の取得により48億96百万円支出したことによります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、18億66百万円の純収入(前年同期は33億30百万円の純支出)となりました。これは、長期借入金の返済により49億60百万円、配当金の支払いにより35億26百万円、HITの持分追加取得により12億91百万円、社債の償還により10億円それぞれ支出があったものの、短期借入の増加により121億18百万円収入があったことによります。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当中間連結会計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
なお、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針の概要は以下のとおりであります。
① 基本方針の内容
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社グループの事業特性、並びに当社の企業価値の源泉を十分理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保し、向上させることができる者であることが必要と考えております。当社の株式について、特定の買付者による大量取得行為が行われる場合に、株主の皆さまが当社の株式を売却されるか否かは、最終的には株主の皆さまのご判断に委ねられるべきものと考えられますが、その前提として、株主の皆さまに適切かつ十分な情報をご提供したうえで、ご判断を頂くために適切かつ十分な期間と機会を確保することが重要と考えております。当社は、2021年開催の第77回定時株主総会終結のときをもって「当社株式の大量取得行為に関する対応方針(買収防衛策)」を継続しない旨を決定し現在に至っておりますが、当社株式の大量買付を行おうとする者に対しては、大量買付行為の是非を株主の皆さまが適切に判断するために必要かつ十分な情報の提供を求め、あわせて当社取締役会の意見等を開示し、株主の皆さまの検討のための時間と情報の確保に努める等、金融商品取引法、会社法及びその他関係法令に基づき、適切な措置を講じてまいります。
② 基本方針の実現に資する特別な取り組み
a.企業価値向上への取り組み
当社は、長期ビジョンや2025年のありたい姿の達成に向け、中期経営計画を策定し、経営課題に取り組むことで企業価値の向上を図ってまいります。
b.コーポレート・ガバナンスの強化に向けた取り組み
当社では、コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方に基づき、体制の整備・運用を行うことで、経営の客観性、透明性を高め、高度なアカウンタビリティを実現し、真の「開かれた企業」を目指してまいります。
③ 本取り組みに対する当社取締役会の判断及びその理由
本取り組みは、前述のとおり、基本方針の実現のため、当社の企業価値及び株主共同の利益を確保・向上させるために取り組むものであります。
このため、当社取締役会は、本取り組みが基本方針に沿い、株主の皆様共同の利益を損なうものではなく、当社役員の地位の維持を目的とするものではないと判断しております。
(5) 研究開発活動
当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、23億51百万円であります。
なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当中間連結会計期間において、新たに締結した重要な契約は次のとおりであります。
(Ingomarの持分追加取得(連結子会社化)等)
当社は、2024年1月26日開催の取締役会において、全額出資子会社のKUHへの出資を通じて、当社グループの持分法適用関連会社であるIngomarの持分を追加取得することを決議し、同日付でIngomarを連結子会社化しました。
あわせて同日付で自己株式処分に係る発行登録をしております。