第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

当連結会計年度より、売上の計上基準について会計方針の変更を行っており、遡及修正後の数値で前期比較を行っております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 (1) 連結財務諸表(会計方針の変更)」をご参照ください。

 

(1) 業績

当期のわが国経済は、雇用情勢が改善の傾向にあるものの個人消費は力強さを欠き、海外経済の減速や金融市場の不確実性が増すなかで、景気は年度後半にかけて弱含みで推移しました。

食品業界におきましては、惣菜などの中食需要は堅調に推移しましたが、原材料コスト上昇による商品の値上げなどにより消費者の節約志向は一層強まっております。

低温物流業界では、大都市圏を中心に保管需要は底堅い動きとなりましたが、規制強化やトラック乗務員不足などに伴い輸配送コストは高止まりのまま推移しました。

このような状況のなか、創立70周年を迎え、中期経営計画「RISING 2015」(2013年度~2015年度)の最終年度である当期は、持続的成長の実現と中長期的な企業価値向上を図るため、引き続き主力事業の収益力向上に取り組みました。

加工食品事業では、国内生産能力の拡充をベースとして、主力商品の販売拡大に注力するとともに、自営工場の生産性向上に取り組み、利益率の改善に努めました。また、海外では米国のアジアンフーズ市場向けを中心に売上拡大を図りました。低温物流事業では、大都市圏において大型冷蔵倉庫の稼働による集荷拡大を進めるとともに、業務改善や運送効率化などのコスト吸収策を着実に実施しました。

企業統治の面につきましては、新たに指名諮問委員会と報酬諮問委員会を設置するなど、取締役会の機能強化を図りました。

この結果、グループ全体の売上高は主力事業が牽引し5,353億51百万円(前期比3.0%の増収)となりました。営業利益は加工食品事業の利益改善が進むとともに、低温物流事業が好調に推移したことなどから215億83百万円(前期比24.0%の増益)となり、経常利益は213億94百万円(前期比26.6%の増益)となりました。

特別利益は2億20百万円で、特別損失は固定資産除却損を含め10億14百万円を計上しました。

以上により、親会社株主に帰属する当期純利益は134億71百万円(前期比41.6%の増益)となりました。

 

[連結経営成績]

                                                             (単位:百万円)

 

当期

前期比

増減率(%)

売上高

535,351

15,387

3.0

営業利益

21,583

4,177

24.0

経常利益

21,394

4,492

26.6

親会社株主に帰属する当期純利益

13,471

3,954

41.6

 

セグメント別の業績は次のとおりであります。

(単位:百万円)

 

売上高

営業利益

(セグメント)

当期

前期比

増減率(%)

当期

前期比

増減率(%)

 加工食品

199,219

5,271

2.7

7,959

2,581

48.0

 水産

68,794

137

0.2

652

406

166.0

 畜産

92,040

2,574

2.9

382

8

2.3

 低温物流

184,869

6,547

3.7

9,950

1,224

14.0

 不動産

4,643

△100

△2.1

2,197

75

3.5

 その他

5,206

829

18.9

906

339

60.0

 調整額

△19,422

127

△464

△460

合  計

535,351

15,387

3.0

21,583

4,177

24.0

 

①加工食品事業

《業界のトピックス》

加工食品業界では、円安や原材料コストの上昇により商品の値上げが相次ぐ一方、消費者の節約志向が強まるなど厳しい市場環境が続く

 

《業績のポイント》

・家庭用マーケットは前年並みに推移し業務用では中食需要が堅調に推移するなか、主力商品の開発・拡販に注力したことや、海外子会社の売上げも貢献し全体で増収

国内生産能力の増強を活かしたライン集約と生産効率化を進めたことや前期に実施した価格改定なども寄与し増益

(単位:百万円)

 

当期

前期比

増減率(%)

売上高  計

199,219

5,271

2.7

 

家庭用調理品

47,012

819

1.8

 

業務用調理品

86,200

△2,059

△2.3

 

農産加工品

18,492

1,240

7.2

 

海外

30,397

3,736

14.0

 

その他

17,115

1,533

9.8

営業利益

7,959

2,581

48.0

(注)海外は平成27年1月から平成27年12月までの累計期間

 

家庭用調理冷凍食品

・本格的な炒め製法を採用し冷凍炒飯カテゴリーで売上No.1の「本格炒め炒飯」や、「焼おにぎり」の販売促進を強化したことなどにより、米飯類の販売が伸長し増収

業務用調理冷凍食品

・業態別のニーズに応えた高付加価値商品の開発を進め、大手ユーザーとの取組みを強化し、春巻などの販売が伸長する一方、採算性を重視した商品施策を徹底したため減収

農産加工品

天候不順による生鮮品の高騰から冷凍野菜へのニーズが高まり、ほうれん草やブロッコリーなど「そのまま使えるシリーズ」の取扱いが好調に推移し増収

海外

米国のアジアンフーズ市場で家庭用冷凍食品の取扱いが伸長したことに加え、海外全体では為替換算影響もあり増収

 

②水産事業

《業界のトピックス》

円安や水産資源の減少などを背景に水産物全般の調達コストが高止まりするなか、国内需要は減退傾向が続く

 

《業績のポイント》

・魚種の一部で取扱いを絞ったものの、貝類の取扱いが伸長したことなどにより売上げは前期並み

・利益面では、調達拠点を多様化した「えび」加工品の中食・外食向け販売が好調に推移し増益

 

③畜産事業

《業界のトピックス》

国産品は鶏肉と牛肉の供給不足が顕著となり年間を通して高値圏で推移する一方、輸入品は牛肉を中心に軟調な相場が続く

 

《業績のポイント》

・国内産地からの集荷を強化した鶏肉や牛肉の取扱いが好調に推移し増収

・輸入牛肉の市況が悪化したものの、鶏肉の生鮮品・中食向け加工品の販売が好調に推移したことにより利益は前期並み

 

④低温物流事業

《業界のトピックス》

・東京港湾地区における大規模冷蔵倉庫の建替えにより首都圏を中心に庫腹が逼迫するなか、国内の保管需要は底堅く推移

・燃油価格の上昇は一段落したものの、労働力不足や規制強化などに伴い輸配送コストは高止まり、倉庫作業員の確保難も続く

 

《業績のポイント》

・大都市圏で増強した大型冷蔵倉庫の稼働による集荷拡大や保管貨物の最適配置を進めるとともに、業務改善や適正料金の収受などコスト上昇に対応した施策を推進

・国内では旺盛な保管需要を着実に取り込む一方、海外事業も順調に推移し増収・増益

(単位:百万円)

 

売上高

営業利益

当期

前期比

増減率(%)

当期

前期比

増減率(%)

国内小計

148,226

3,491

2.4

8,835

1,125

14.6

 

物流ネットワーク

90,820

△602

△0.7

3,388

200

6.3

 

地域保管

57,406

4,093

7.7

5,447

925

20.5

海外

33,897

2,575

8.2

1,371

359

35.5

その他・共通

2,745

481

21.3

△256

△259

合計

184,869

6,547

3.7

9,950

1,224

14.0

(注)1 地域保管事業に物流ネットワーク事業の業務を一部統合

2 海外は平成27年1月から平成27年12月までの累計期間

 

国内

・前期に稼働した「咲洲物流センター」(大阪市)などの新設センターが貢献したことや、既存顧客の取扱いが拡大したTC(通過型センター)事業が堅調に推移し増収

・輸配送コストや人件費が上昇するなか、業務改善や運送効率化を含むコスト吸収策や、保管貨物の在庫量が高水準で推移したことなどにより増益

海外

・欧州地域は、小売店向け配送業務などの運送需要を着実に取り込んだことに加え、乳製品などの集荷活動や輸入果汁の加工業務が順調に進んだことなどにより増収・増益

 

⑤不動産事業

《業績のポイント》

賃貸オフィスビルの競争力強化のためリニューアル工事や省エネ工事を実施し、稼働率の向上に注力したことなどにより営業利益は前期を上回る

 

⑥その他の事業

《業績のポイント》

その他の事業のうち、バイオサイエンス事業は、分子診断薬や迅速診断薬の販売が好調に推移したことなどにより増収・増益

 

(2) キャッシュ・フローの状況

              (単位:百万円)

 

前期

当期

前期比

営業活動によるキャッシュ・フロー

27,803

37,032

9,228

投資活動によるキャッシュ・フロー

△22,362

△14,496

7,866

財務活動によるキャッシュ・フロー

△6,098

△20,351

△14,253

フリーキャッシュ・フロー

5,441

22,535

17,094

 

(ポイントは億円単位で単位未満切捨て)

①営業活動によるキャッシュ・フローのポイント

・経常利益は213億円、減価償却費は164億円を計上する一方、売上げ増加などによる営業資金(売上債権・たな卸資産・仕入債務)の支出や法人税等の支払いなどにより、営業活動によるキャッシュ・フローは370億円の収入

 

②投資活動によるキャッシュ・フローのポイント

・有形固定資産の取得による支出などにより、投資活動によるキャッシュ・フローは144億円の支出

 

③財務活動によるキャッシュ・フローのポイント

短期借入金及びコマーシャル・ペーパーの減少133億円や、自己株式の取得及び配当金の支払い41億円などにより、財務活動によるキャッシュ・フローは203億円の支出

 

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

(単位:百万円)

セグメントの名称

前連結会計年度

(自  平成26年4月1日

至  平成27年3月31日)

当連結会計年度

(自  平成27年4月1日

至  平成28年3月31日)

増減率(%)

加工食品

95,220

101,216

6.3

水産

8,285

9,072

9.5

畜産

2,012

1,934

△3.9

低温物流

374

326

△12.7

不動産

その他

2,257

2,207

△2.2

合計

108,149

114,758

6.1

(注)1  生産実績は、相殺消去前の製造総費用によっております。

2  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 仕入実績

(単位:百万円)

セグメントの名称

前連結会計年度

(自  平成26年4月1日

至  平成27年3月31日)

当連結会計年度

(自  平成27年4月1日

至  平成28年3月31日)

増減率(%)

加工食品

55,876

52,972

△5.2

水産

55,796

54,491

△2.3

畜産

77,303

79,634

3.0

低温物流

128

187

45.9

不動産

0

20

その他

1,487

1,170

△21.3

合計

190,592

188,476

△1.1

(注)1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

2  「加工食品」、「水産」、「畜産」、「低温物流」及び「その他」の仕入実績は、商品の仕入代金及び引取諸掛等の合計額であります。

3  「不動産」の仕入実績は、商品の仕入代金等であります。

4  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3) 受注状況

低温物流セグメント(㈱ニチレイ・ロジスティクスエンジニアリング)の受注状況は次のとおりであります。

なお、低温物流セグメント以外では、受注生産は行っておりません。

(単位:百万円)

受注高

受注残高

前連結会計年度

(自  平成26年4月1日

至  平成27年3月31日)

当連結会計年度

(自  平成27年4月1日

至  平成28年3月31日)

増減率(%)

前連結会計年度

(自  平成26年4月1日

至  平成27年3月31日)

当連結会計年度

(自  平成27年4月1日

至  平成28年3月31日)

増減率(%)

1,543

3,081

99.7

91

1,156

(注)1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

2  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(4) 販売実績

(単位:百万円)

セグメントの名称

前連結会計年度

(自  平成26年4月1日

至  平成27年3月31日)

当連結会計年度

(自  平成27年4月1日

至  平成28年3月31日)

増減率(%)

加工食品

193,597

198,553

2.6

水産

68,489

68,598

0.2

畜産

86,957

89,755

3.2

低温物流

163,669

170,491

4.2

不動産

3,421

3,365

△1.6

その他

3,828

4,587

19.8

合計

519,963

535,351

3.0

(注)1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

2  主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  平成26年4月1日

至  平成27年3月31日)

当連結会計年度

(自  平成27年4月1日

至  平成28年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

三菱食品株式会社

62,549

12.0

60,665

11.3

3  本表の金額には、消費税等は含まれておりません。

4  当連結会計年度より、売上の計上基準について会計方針の変更を行っており、遡及修正後の数値で前期比較を行っております。

 

3【対処すべき課題】

当社グループは、2016年度から2018年度までの3年間を対象期間とするグループ中期経営計画「POWER UP 2018」を策定しました。本計画では、主力事業の更なる強化を進め、厳しい経営環境下においても着実な成長を確かなものとすることを目指します。

 

(1)  前中期経営計画(2013年度~2015年度)の振り返り

前中期経営計画「RISING 2015」では、加工食品事業における国内生産体制の拡充や低温物流事業における大都市圏での新設拠点の稼働など、主力事業を中心に設備投資を着実に実施しながら環境変化への対応を進め、2015年度は当初の連結目標数値を上回る成果をあげることができました。一方で、加工食品事業においては、為替相場や原料価格の変動などに左右されにくい収益構造の実現に課題を残しました。

 

(2)  2016年度~2018年度中期経営計画「POWER UP 2018」の概要

①  全体戦略

世界経済の不安定性が増すなか、為替相場やエネルギー資源価格の変動が続くことが想定されます。国内では、人口動態の変化により労働力不足が深刻化する一方で、世帯構成などの変化がもたらす消費形態の多様化が見込まれます。

本計画では、経営環境の変化を確実にとらえ、事業の展開を通じて社会的な課題の解決に貢献しつつ、安定的かつ着実な成長を目指します。前計画に引き続き加工食品事業と低温物流事業を中心に設備投資を実施し、グループの成長基盤を強化することで企業価値の向上を図ります。

・持続的な利益成長と資本効率の向上を確かなものとする。

・海外事業は引き続き規模拡大を追求する。

・グループ全体の品質保証力のさらなる向上を図る。

・コーポレートガバナンスなどESG関連の取組みを引き続き強化する。

・多様な人材の活躍推進に注力する。

 

②  財務戦略

営業キャッシュ・フローと資産流動化などによる資金を、成長と事業基盤強化のための投資、及び配当や自己株式の取得を通じた株主還元に振り向けます。

株主還元については、連結自己資本配当率(DOE)に基づく安定的な配当の継続を重視するとともに、資本効率などを考慮のうえ自己株式の取得を機動的に実施することを基本方針とします。

・連結自己資本当期純利益率(ROE)は8%以上を維持

・DOEは2.5%を目標とし、安定的な配当を継続

・20百万株程度(発行済株式総数の約7%)の自己株式取得を検討(注)

(注)平成28年10月1日に予定している株式併合前の株式数に基づいております。また、平成28年3月より一部先行して自己株式を取得しております。

 

③  セグメント別の事業計画

(イ)  加工食品事業(ニチレイフーズグループ)

・国内生産体制の最適化により資産効率と採算性を向上

・消費形態の多様化に対応した商品開発と営業活動を推進

・海外は北米を中心に事業規模を拡大

 

(ロ)  水産・畜産事業(ニチレイフレッシュグループ)

・差別化商材と最適な加工度での商品提供を軸に安定的な収益体制を構築

 

(ハ)  低温物流事業(ニチレイロジグループ)

・物流ネットワーク事業の規模を拡大

・大都市圏の主要保管拠点と地方での運送機能の最大活用による収益拡大

・海外は欧州を中心に事業基盤を拡大

 

(ニ)  バイオサイエンス事業(ニチレイバイオサイエンス)

・がんの診断を対象とした分子診断薬事業の展開を加速

 

(3)  株式会社の支配に関する基本方針

①  基本方針

当社は、当社の株券等について買収提案者が現れて買収提案を受けた場合に、これに応じて当社株式の売却を行うか否かの判断は、最終的に株主の皆様に委ねられるべきものであると考えております。また、株主の皆様が適切な判断をなされるためには、買収提案に関する十分な情報が株主の皆様に提供されるとともに、代替する案の可能性などについても検討する機会が提供されることが重要と考えております。

当社グループでは、「くらしを見つめ、人々に心の満足を提供する」ことを企業経営理念に掲げ、お客様にご満足いただける優れた品質と価値ある商品・サービスを創造・提供し、広く好感と信頼を寄せられる企業として、社会とともに成長することを目指しております。このような当社グループの企業経営理念や目指す姿、中長期的な経営方針にそぐわない、短期的な経済的効率性のみを重視した買収提案の場合には、当社の企業価値ひいては株主共同の利益が損なわれないよう、株主の皆様が十分な情報を得た状態で判断をされることが必要と考えております。

 

②  基本方針実現のための具体的な取組み

(イ) 基本方針実現のための特別な取組み

平成28年4月からの3年間、当社グループは中期経営計画「POWER UP 2018」に取り組んでおります。経営環境の変化を確実にとらえ、事業の展開を通じて社会的な課題の解決に貢献しつつ、安定的かつ着実な成長を実現することを目標としております。前計画に引き続き加工食品事業と低温物流事業を中心に設備投資を実施し、グループの成長基盤を強化することで企業価値を向上してまいります。

財務面では、営業キャッシュ・フローと資産流動化などによる資金を、成長と事業基盤強化のための投資に加え、株主還元に振り向けてまいります。株主還元につきましては、連結自己資本配当率(DOE)に基づく安定的な配当の継続を重視するとともに、資本効率などを考慮のうえ自己株式の取得を機動的に実施することとしております。

 

(ロ) 基本方針に照らして不適切な者が支配を獲得することを阻止するための取組み

当社グループは、加工食品事業、水産事業、畜産事業、低温物流事業、不動産事業、その他の事業を行っております。また、その物理的な事業活動の展開についても、子会社、事業所を通じて世界各国にて事業を行っております。当社グループの経営にあたっては、これらの複数の事業に関する幅広い知識と豊かな経験、また世界各国にわたる顧客、従業員及び取引先などとの間に築かれた関係がありますが、買収提案者による買収提案がなされ、株主の皆様が買収提案に応じるか否かの判断をなされる場合においても、これらに関する十分な理解が必要となります。

当社は、常日頃より、積極的なIR活動を行うことにより、株主の皆様に対する情報提供に努めておりますが、買収提案者による買収提案に応じるか否かを適切に判断していただくためには、当社と買収提案者の双方から適切かつ十分な情報(買収提案者からは、買収提案者が企図する当社グループの経営方針や事業計画の内容、買収提案が当社株主の皆様及び当社グループの経営に与える影響、当社グループを取り巻く多くのステークホルダーに対する影響、社会的責任に対する考え方等)が提供されるとともに、株主の皆様が判断をなされるために必要な検討期間が確保されることが必須となります。また、状況に応じて、当社より代替案の可能性を検討し株主の皆様に提案することにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の観点から、より望ましい提案を株主の皆様が選択されることも可能となります。

当社は、買収提案者に対しては買収提案の是非を株主の皆様が適切に判断されるための必要かつ十分な情報の提供を求め、併せて当社取締役会の意見等を開示し、株主の皆様の検討のための時間と情報の確保に努める等、金融商品取引法、会社法及びその他関係法令の許容する範囲内において適切な措置を講じるとともに、引き続き企業価値並びに株主共同の利益の確保及び向上に努めてまいります。

 

<ご参考>

当社は、平成19年6月26日開催の当社第89期定時株主総会において株主の皆様のご承認をもって「当社株券等の大量買付けに関する適正ルール」(本適正ルール)を導入し、その後、平成22年6月25日開催の当社第92期定時株主総会及び平成25年6月25日開催の当社第95期定時株主総会において株主の皆様のご承認を受け、本適正ルールを更新してまいりました。

平成28年6月22日開催の当社第98期定時株主総会(本定時株主総会)終結の時をもって本適正ルール有効期間の満了を迎えるにあたり、今後の本適正ルールの取扱いについて慎重に検討してまいりました。当社を取り巻く経営環境等が本適正ルール更新時から変化するとともに、金融商品取引法による大量買付行為に関する規制の整備が浸透し、株主の皆様が適切な判断を行うために必要な情報や時間を確保するという本適正ルールの目的が一定程度担保されていることなどから、本適正ルールの意義が相対的に低下してきていると考えられます。このような状況を踏まえ、本定時株主総会終結の時をもって本適正ルールを廃止いたしました。

 

③  具体的取組みに対する当社取締役会の判断及びその理由

前記「②  基本方針実現のための具体的な取組み」は、前記「①  基本方針」に沿うものであり、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を損なうものではなく、また、当社取締役の地位の維持を目的とするものではありません。

 

4【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、本項において将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末(平成28年3月31日)現在において判断したものであります。

 

(1) 食品に関する衛生問題等について

海外からの商品や原材料の輸入取引は、当社グループの主要事業の一部であります。輸入先において鳥インフルエンザ、BSE、残留農薬、合成抗菌剤など、食品に関する衛生問題等が発生した場合、加工食品事業、水産事業及び畜産事業の主要商品や原材料の安定的な調達に支障をきたす可能性があります。また、これらの問題により食品の輸入量が減少した場合、低温物流事業において冷蔵倉庫への入庫量が減少するなど、当社グループの業績に重要な影響を与える可能性があります。

 

(2) 商品や原材料等の価格変動について

水産事業の主力商品(えび、かに、たこ等)は世界各国から輸入しており、これらの商品は世界の需要、漁獲高等により調達価格が変動する一方、国内沿岸魚の漁獲高や鮮魚市況などの影響により、国内における冷凍品の市場価格も変動します。畜産事業では食品に関する衛生問題等の発生による畜産物の輸入停止や、セーフガード(緊急輸入制限)措置の発動の影響などにより輸入畜産物や国内畜産物の市場価格が大幅に変動します。また、これらの素材品等を原材料として生産を行っている加工食品事業では生産効率の向上など継続的な製造原価の低減に努めておりますが、原油価格や穀物市況の変動が商品や原材料等の調達価格に影響します。このように、商品や原材料等の価格変動は、当社グループの業績に重要な影響を与える可能性があります。

 

(3) 商品回収について

当社グループは、お客様に信頼される商品とサービスの提供を目指し、商品開発から原料調達、生産、販売まで一貫した品質保証体制の強化に努めております。トレースバックシステムによる生産地追跡の徹底や品質・生産管理要員の配置など、食品の「安全・安心」の確保を最優先課題として取り組んでおりますが、大規模な商品回収等が発生した場合には、当社グループの業績に重要な影響を与える可能性があります。

 

(4) 固定資産の保有リスクについて

低温物流事業においては、一般の倉庫と異なり多額な設備投資を伴う冷蔵倉庫を多数保有しております。昨今の高速道路網の発達や流通再編のスピードアップにより、地域によっては荷主にとっての重要性が薄れることで集荷が困難となることや、荷主の在庫圧縮による倉庫需要の低迷で価格競争が進み収益が悪化する可能性があります。また、加工食品事業においても生産工場を各地に保有しておりますが、販売不振等による厳しい事業環境や設備の老朽化、品質の高度化等へ対応するため生産効率と品質の向上を推進しております。各事業において資本の効率的使用を進めるうえで、採算性の低い事業拠点の再編や保有固定資産の処分等により、当社グループの業績に重要な影響を与える可能性があります。

 

(5) 保有有価証券について

当社グループでは事業政策上取引先等の有価証券を保有しており、これらの有価証券については保有意義や資産の健全化等を考慮しながら随時見直しを行っております。

当連結会計年度末における投資有価証券のうち、関連会社株式以外の有価証券は保有目的上、すべて「その他有価証券」に区分しております。なお、時価のある有価証券については今後の経済環境や企業収益の動向により時価が変動し、時価のない有価証券については当該株式の発行会社の財政状態が変動することにより、当社グループの業績に重要な影響を与える可能性があります。

 

(6) 為替変動リスクについて

当社グループにおいて商品や原材料の輸入取引は主要事業の一部であり、外貨建取引については為替変動リスクにさらされることになります。これらのリスクを軽減するために、為替予約取引等のデリバティブ取引を利用しておりますが、急激な為替変動があった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(7) 法的規制等の変更によるリスクについて

当社グループは、国内で事業を遂行していくうえで、食品衛生法、倉庫業法等様々な法的規制の適用を受けております。また、海外事業を展開していくうえでも、当該国における法的規制等の適用を受けております。将来において、現在予期し得ない法的規制等が新たに設けられた場合、当社グループの業績に重要な影響を与える可能性があります。

 

(8) 情報システムのリスクについて

当社グループでは適切なシステム管理体制を構築しておりますが、システム運用上のトラブルの発生により、業務運営に支障をきたす可能性があります。また、当社グループではコンピューターウィルス対策や情報管理を徹底しておりますが、予測不能のウィルスの侵入や情報への不正アクセスなどにより、業務運営に支障をきたす場合や、営業秘密・個人情報の社外流出などへの対応費用の発生・社会的信用の低下など、当社グループの業績に重要な影響を与える可能性があります。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

資産の賃貸契約

契約会社

賃貸先の名称

住所

契約内容

契約期間

当社

三菱UFJ信託銀行株式会社

東京都

千代田区

一般定期借地権

(東京都中央区築地所在の土地)

平成15年6月30日~平成64年11月30日

 

6【研究開発活動】

当社グループは、株式会社ニチレイフーズ 研究開発部・技術戦略部(加工食品事業)、株式会社ニチレイロジグループ本社 技術部(低温物流事業)、株式会社ニチレイバイオサイエンス 研究開発部(その他の事業)及び当社 技術戦略企画部(全社共通)を研究開発部門として、市場の変化に対応した新商品及び新技術の開発並びに新規事業の育成を目指した研究開発活動を行っております。

当連結会計年度の研究開発費は16億円で前期に比べ1億30百万円減少しました。セグメント別の内訳は、加工食品事業では10億65百万円、低温物流事業は1億3百万円、その他の事業は2億41百万円、全社(共通)は1億88百万円となりました。

 

セグメント別の研究開発活動の状況は次のとおりであります。

(1) 加工食品事業

今後のさらなる成長に向けて、冷凍食品ならではの新たな「価値」創出と、強みを発揮できるカテゴリに資源を投入し、商品開発並びに関連する技術開発に取り組んでまいりました。

当連結会計年度においては、生活者の求める「価値」を「おいしさのレベルアップ」と位置付け、従来にない「新しいおいしさ」をお届けすることにチャレンジし、業務用 秋の新商品として、ふわっとしたボリューム感のある手巻き食感を実現した「本格中華 具材極だつパリッと春巻」を発売しました。

家庭用冷凍食品では、冷凍米飯カテゴリーで売上No.1の「本格炒め炒飯」の製造工程を改善し、更なる美味しさのアップと生産性の向上を実現しました。

 

(2) 低温物流事業

環境保全に関する取組みとして、自然冷媒であるアンモニア冷凍システムの導入を進めております。

また、地球温暖化・オゾン層破壊など環境負荷に起因するフロン冷媒を使用した冷凍システムでは、高感度検知器を導入することにより軽微な漏洩も発見・改善を行う適正な管理体制を全事業所に展開しております

CO排出量削減の取組みについては、LED照明、高効率冷凍システムなど各種省エネ機器の導入・検証を進めております

 

(3) その他の事業(バイオサイエンス事業)

分子診断薬、迅速診断薬の開発を行うほか、グループ企業の素材調達力を活かして、有用な機能性素材の開発にも注力しております。

当連結会計年度は、分子診断薬では抗p40モノクローナル抗体など、数種類の抗体の販売を開始しました。

 

(4) 全社(共通)

短期的視点で各事業の利益に貢献できる研究を行うほか、中長期視点での新商品やサービス創出の核となる研究を実施しております。

短期的視点では、各事業における課題に対して、情報提供や分析技術の提供など幅広く技術的支援を行っております。中長期視点では、不凍タンパク質(AFP)の実用化を含めた冷凍技術研究、超高齢社会対応を想定した「食と健康」の取組みやそれに対するアセロラ等の自社素材の応用(研究)、生活者の深層心理を探るサイコメトリクスの事業への活用等について、社外の研究機関との連携を積極的に活用して行っております。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成しております。連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りは、主に繰延税金資産、貸倒引当金、資産除去債務及び法人税等であり、継続して合理的に評価しております。

なお、見積り及び判断・評価については、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。

 

(2) 当連結会計年度の財政状態の分析

(単位:百万円)

 

 

前期末

当期末

前期末比

総資産

342,014

338,497

△3,517

負債

189,728

182,973

△6,755

うち、有利子負債

107,670

94,657

△13,013

(リース債務を除く)

(87,313)

(75,451)

(△11,861)

純資産

152,286

155,523

3,237

D/Eレシオ  (倍)

0.7

0.6

△0.1

(リース債務を除く)

(0.6)

(0.5)

(△0.1)

(注)D/Eレシオの算出方法:有利子負債÷純資産

(ポイントは億円単位で単位未満切捨て)

①  総資産のポイント  3,384億円(35億円の減少)

・前期末までに実施した設備投資の減価償却が進んだことや為替変動の影響などにより有形固定資産は37億円減少

 

②  負債のポイント  1,829億円(67億円の減少)

・未払費用が33億円、未払法人税等が15億円それぞれ増加する一方、短期借入金の返済やコマーシャル・ペーパーの償還などにより有利子負債は130億円減少

 

③  純資産のポイント  1,555億円(32億円の増加)

・親会社株主に帰属する当期純利益134億円の計上、配当金の支払い31億円などにより利益剰余金は103億円増加、その他の包括利益累計額は59億円減少

・株主還元の充実及び資本効率の向上を目的として、自己株式1,133千株を10億円で取得

 

(3) 当連結会計年度の経営成績の分析

詳細につきましては、「1  業績等の概要  (1) 業績」をご参照ください。

 

(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について

詳細につきましては、「4  事業等のリスク」をご参照ください。

 

(5) 経営戦略の現状と見通し

グループ中期経営計画「RISING 2015」(2013年度~2015年度)の最終年度である当連結会計年度の事業環境は、惣菜などの中食需要は堅調に推移しましたが、原材料コスト上昇による商品の値上げなどにより消費者の節約志向は一層強まっております。また、大都市圏を中心に保管需要は底堅い動きとなりましたが、規制強化やトラック乗務員不足などに伴い輸配送コストは高止まりのまま推移しました。

このような環境のなか、当社グループにおいては、「1  業績等の概要」に記載のとおり、主力商品の販売に注力した加工食品事業や、大都市圏において集荷拡大を進めた低温物流事業の業績が好調に推移したことなどにより増収・増益となりました。

当社グループでは平成28年4月から3年間の新たな中期経営計画に取り組んでまいります。新中期経営計画においては、経営環境の変化を確実にとらえ、事業の展開を通じて社会的な課題の解決に貢献しつつ、安定的かつ着実な成長を目指します。前計画に引き続き加工食品事業と低温物流事業を中心に設備投資を実施し、グループの成長基盤を強化することで企業価値の向上を図ります。

なお、新中期経営計画「POWER UP 2018」(2016年度~2018年度)の概要につきましては、「3  対処すべき課題」に記載のとおりでありますが、これらの計画の実行により最終年度となる平成31年3月期の連結業績は、売上高5,600億円、営業利益236億円を目標数値としております。

 

(6) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

①  キャッシュ・フローの状況

詳細につきましては、「1  業績等の概要  (2) キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

②  資金需要と資金調達方法

運転資金需要のうち主なものは商品及び原材料の購入費、製造費、低温物流センターの運営費、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、設備投資資金需要のうち主なものは食品生産設備や低温物流設備の購入・建設費用等であります。

当社グループは国内連結子会社を含めたキャッシュマネジメントシステム(CMS)を導入しており、運転資金及び設備投資資金の調達は、主に当社の借入れ及び社債の発行やグループ各社の事業活動から生じるキャッシュ・フローを資金集中することによる内部資金によっております。

 

③  財務政策

当社は、グループ企業価値の持続的な向上をめざし、成長と事業基盤強化のための投資に加え、食品安全、環境保全などの社会的ニーズに対応する投資も行ってまいりますが、これら事業の遂行に必要な資金を効率的かつ安定的に調達できるよう、資本効率性・成長性・健全性を考慮しながら、バランスの取れた資本構成を実現します。

営業キャッシュ・フローと資産流動化などによる資金は、成長のための投資と配当や自己株式の取得を通じた株主還元に振り向けます。