(1) 業績
当期のわが国経済は、経済対策に伴う公共投資の増加や企業収益の回復に伴い雇用情勢・所得環境が改善し、個人消費も年度末にかけて持ち直しの動きが現れるなど、景気は緩やかな回復基調で推移しました。
食品業界におきましては、消費者の低価格志向の強まりの影響が見られる一方、食へのニーズの多様化に伴い、惣菜などの中食需要は堅調に推移しました。
低温物流業界におきましては、大都市圏を中心に保管需要は底堅い動きとなりましたが、労働力不足などに伴い人件費や輸配送コストが引き続き上昇しました。
このような状況のなか、当社グループは、新たな中期経営計画「POWER UP 2018」(2016年度~2018年度)の初年度として、経営環境の変化を確実にとらえ、事業の展開を通じて社会的な課題の解決に貢献しつつ、持続的な利益成長と資本効率向上をめざし、主力事業のさらなる強化に努めました。
加工食品事業では、商品力の向上と積極的なプロモーションの展開により、自営工場で生産する主力商品の販売拡大に注力するとともに、継続的な生産性改善とコストダウンに努め、利益率の改善を図りました。低温物流事業では、関東・関西地区を中心に旺盛な保管需要を着実に取り込むとともに、業務効率化や適正料金の収受などの施策を推進し収益拡大を図りました。
この結果、グループ全体の売上高は主力事業が牽引し5,396億57百万円(前期比0.8%の増収)となりました。営業利益は加工食品事業の利益改善が一層進むとともに、畜産事業が好調に推移したことなどから293億9百万円(前期比35.8%の増益)となり、経常利益は291億5百万円(前期比36.0%の増益)となりました。
特別利益は4億68百万円となる一方、特別損失は、固定資産除却損など総額は17億56百万円となりました。
以上により、親会社株主に帰属する当期純利益は187億51百万円(前期比39.2%の増益)となりました。
[連結経営成績]
(単位:百万円)
|
|
当期 |
前期比 |
増減率(%) |
|
売上高 |
539,657 |
4,306 |
0.8 |
|
営業利益 |
29,309 |
7,726 |
35.8 |
|
経常利益 |
29,105 |
7,710 |
36.0 |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
18,751 |
5,279 |
39.2 |
セグメント別の業績は次のとおりであります。
(単位:百万円)
|
|
売上高 |
営業利益 |
||||
|
(セグメント) |
当期 |
前期比 |
増減率(%) |
当期 |
前期比 |
増減率(%) |
|
加工食品 |
205,025 |
5,806 |
2.9 |
13,872 |
5,913 |
74.3 |
|
水産 |
69,376 |
581 |
0.8 |
794 |
141 |
21.8 |
|
畜産 |
88,128 |
△3,912 |
△4.3 |
1,610 |
1,228 |
321.0 |
|
低温物流 |
186,884 |
2,015 |
1.1 |
10,632 |
681 |
6.9 |
|
不動産 |
4,636 |
△6 |
△0.1 |
2,124 |
△72 |
△3.3 |
|
その他 |
4,485 |
△720 |
△13.8 |
605 |
△300 |
△33.2 |
|
調整額 |
△18,880 |
541 |
- |
△330 |
134 |
- |
|
合 計 |
539,657 |
4,306 |
0.8 |
29,309 |
7,726 |
35.8 |
①加工食品事業
《業界のトピックス》
加工食品業界では、消費者の低価格志向は強まりをみせるなか、食に対する多様なニーズの高まりにより惣菜などの中食需要が堅調に推移しました。
《業績のポイント》
米飯類やチキン加工品など主力カテゴリーの商品開発やプロモーションを強化し、自営生産工場の稼働率向上を図りました。この結果、家庭用・業務用ともに販売が拡大し全体では増収となり、営業利益は増収効果や生産効率向上に加え、原材料・仕入コストの低減も寄与し大幅な増益となりました。
(単位:百万円)
|
|
当期 |
前期比 |
増減率(%) |
|
|
売上高 計 |
205,025 |
5,806 |
2.9 |
|
|
|
家庭用調理品 |
52,480 |
5,469 |
11.6 |
|
|
業務用調理品 |
88,789 |
2,586 |
3.0 |
|
|
農産加工品 |
18,826 |
333 |
1.8 |
|
|
海外 |
28,506 |
△2,040 |
△6.7 |
|
|
その他 |
16,423 |
△542 |
△3.2 |
|
営業利益 |
13,872 |
5,913 |
74.3 |
|
(注)海外は平成28年1月から平成28年12月までの累計期間
家庭用調理冷凍食品
消費者キャンペーンやテレビCMなどの販促活動により「本格炒め炒飯」や「レンジでふっくらパラッと五目炒飯」、「焼おにぎり」などの米飯類が好調に推移し増収となりました。また、「特製メンチカツ。」などの「匠御菜(たくみおかず)シリーズ」を発売し、食卓向け惣菜の拡充を図りました。
業務用調理冷凍食品
採算性を重視した商品施策を進める一方で、需要が堅調に推移する中食向けの商品開発や販売活動に注力したことにより、主力のチキン加工品や、《おいしさ 極める》をコンセプトとした「本格中華 具材極だつパリッと春巻」などの取扱いが伸長し、増収となりました。
農産加工品
天候不順による生鮮品の高騰から冷凍野菜へのニーズが高まり、ブロッコリーやいんげんなど「そのまま使えるシリーズ」の取扱いが好調に推移し増収となりました。
海外
米国子会社のICE社*は、アジアンフーズ市場向けに冷凍食品の販売が伸長しましたが、海外全体では円高による為替換算影響を受け減収となりました。
* InnovAsian Cuisine Enterprises社
②水産事業
《業界のトピックス》
水産資源の減少や海外における堅調な需要を背景に、水産物全般の調達コストが高止まりで推移するなか、国内消費者の食に対する低価格志向は根強く、国内消費は低迷が続きました。
《業績のポイント》
外食・中食向けの販売を強化し安定利益の確保に努め「たこ」などの取扱いが伸長したことや、調達拠点を多様化した「えび」の収益性が改善したことなどにより、増収・増益となりました。
③畜産事業
《業界のトピックス》
消費者の国産志向による旺盛な需要が続くなか、国産品は鶏肉や牛肉を中心に供給が不足し、相場は堅調に推移しました。
《業績のポイント》
収益性に配慮した慎重な買付や販売に徹したことなどにより減収となりましたが、輸入鶏肉を中心に採算性が改善したことや、中食向けに鶏肉加工品の取扱いが伸長したことなどにより増益となりました。
④低温物流事業
《業界のトピックス》
円高に伴う輸入量の増加により、大都市港湾地区を中心に保管需要は底堅く推移する一方で、慢性的な労働力不足を背景とした人件費の上昇が継続しました。また、運送業界においては、同業・異業種間の共同配送などへの取組みが進みました。
《業績のポイント》
大都市圏における大型冷蔵倉庫の最大活用や、地方エリアでの保管と輸配送機能を一体化した総合物流サービスの提供により、集荷拡大に注力しました。また、新設TC(通過型センター)の稼働も寄与し全体では増収となりました。営業利益は、為替換算影響を受けた海外事業が減益となりましたが、国内事業の増収や業務改善などにより全体では増益となりました。
(単位:百万円)
|
|
売上高 |
営業利益 |
|||||
|
当期 |
前期比 |
増減率(%) |
当期 |
前期比 |
増減率(%) |
||
|
国内小計 |
150,657 |
2,430 |
1.6 |
9,444 |
608 |
6.9 |
|
|
|
物流ネットワーク |
88,488 |
△2,332 |
△2.6 |
2,914 |
△473 |
△14.0 |
|
|
地域保管 |
62,169 |
4,762 |
8.3 |
6,529 |
1,081 |
19.9 |
|
海外 |
32,039 |
△1,858 |
△5.5 |
1,128 |
△243 |
△17.7 |
|
|
その他・共通 |
4,188 |
1,442 |
52.5 |
59 |
316 |
- |
|
|
合計 |
186,884 |
2,015 |
1.1 |
10,632 |
681 |
6.9 |
|
(注)1 地域保管事業に物流ネットワーク事業の業務を一部統合
2 海外は平成28年1月から平成28年12月までの累計期間
国内
関東・関西地区を中心に旺盛な保管需要を着実に取り込むとともに、TC事業の新設拠点が寄与し増収となりました。利益面では、荷役作業や輸配送のコストが上昇するなか、業務効率化や適正料金の収受などの施策を推進し増益となりました。
海外
欧州地域は、小売店向け配送業務などの運送需要を着実に取り込んだことに加え、乳製品や畜肉・果汁など保管商材の集荷を拡大しましたが、ユーロ安による為替換算影響や、ポーランドにおける顧客構成の見直しもあり減収・減益となりました。
⑤不動産事業
《業績のポイント》
リニューアル工事や制震改修工事などを実施し、賃貸オフィスビルの競争力強化に努めましたが、テナントの入れ替えにより一時的に稼働率が低下したことなどから減益となりました。
⑥その他の事業
《業績のポイント》
その他の事業のうち、バイオサイエンス事業は、分子診断薬が好調に推移したものの、迅速診断薬やバイオ医薬品原料の販売が不振だったことから減収・減益となりました。
(1) 生産実績
(単位:百万円)
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
増減率(%) |
|
加工食品 |
101,216 |
100,218 |
△1.0 |
|
水産 |
9,072 |
9,046 |
△0.3 |
|
畜産 |
1,934 |
1,931 |
△0.2 |
|
低温物流 |
326 |
334 |
2.4 |
|
不動産 |
- |
- |
- |
|
その他 |
2,207 |
2,187 |
△0.9 |
|
合計 |
114,758 |
113,718 |
△0.9 |
(注)1 生産実績は、相殺消去前の製造総費用によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 仕入実績
(単位:百万円)
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
増減率(%) |
|
加工食品 |
52,972 |
55,359 |
4.5 |
|
水産 |
54,491 |
53,789 |
△1.3 |
|
畜産 |
79,634 |
72,197 |
△9.3 |
|
低温物流 |
187 |
129 |
△30.8 |
|
不動産 |
20 |
13 |
△33.2 |
|
その他 |
1,170 |
671 |
△42.6 |
|
合計 |
188,476 |
182,161 |
△3.4 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 「加工食品」、「水産」、「畜産」、「低温物流」及び「その他」の仕入実績は、商品の仕入代金及び引取諸掛等の合計額であります。
3 「不動産」の仕入実績は、商品の仕入代金等であります。
4 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3) 受注状況
低温物流セグメント(㈱ニチレイ・ロジスティクスエンジニアリング)の受注状況は次のとおりであります。
なお、低温物流セグメント以外では、受注生産は行っておりません。
(単位:百万円)
|
受注高 |
受注残高 |
||||
|
前連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
増減率(%) |
前連結会計年度 (平成28年3月31日) |
当連結会計年度 (平成29年3月31日) |
増減率(%) |
|
3,081 |
3,260 |
5.8 |
1,156 |
886 |
△23.4 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(4) 販売実績
(単位:百万円)
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
増減率(%) |
|
加工食品 |
198,553 |
204,670 |
3.1 |
|
水産 |
68,598 |
69,297 |
1.0 |
|
畜産 |
89,755 |
86,325 |
△3.8 |
|
低温物流 |
170,491 |
172,275 |
1.0 |
|
不動産 |
3,365 |
3,275 |
△2.7 |
|
その他 |
4,587 |
3,812 |
△16.9 |
|
合計 |
535,351 |
539,657 |
0.8 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
三菱食品株式会社 |
60,665 |
11.3 |
67,682 |
12.5 |
3 本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
《ミッション(使命・存在意義)・ビジョン(目指す姿)》
ニチレイグループの経営の基本理念は、『くらしを見つめ、人々に心の満足を提供する』であります。
株主・投資家を含めたステークホルダーの皆様との協力関係を維持しながら、独自の技術とノウハウを発揮することによって、いつの時代にあっても社会から真に求められる価値の創出と提供に取り組み、多くの人々に心からご満足いただくとともに、確実に成長してゆくことがニチレイグループの社会的存在価値であると考えております。
《発想と行動の原点》
グループ役員・従業員の発想と行動の原点は、『ひたすらお客様のために!』であります。
常にお客様の視点にたって、自己の業務や行動の改革を図り、あくまでも真にお客様のお役に立つことを願って「組織行動の品質」を高め、お客様から支持され、選択される企業を目指してまいります。
《経営姿勢》
① お客様第一、安全第一、品質第一を貫く
ニチレイグループは事業活動の発想と行動において、お客様第一、安全第一、品質第一の考え方を徹底します。
② 健全な利益を追求する
ニチレイグループは社会に役立つ事業活動を行うことに徹し、これによって得られる健全な利益の増大を追求します。
③ 付加価値を適正に配分する
ニチレイグループは、事業活動により得られた付加価値を、さらなる成長のための原資として振り向けるとともに、企業活動を支えていただいているステークホルダーに適正に配分します。
④ 法と社会の秩序を守る
ニチレイグループは、法令・定款の遵守と、不正や反社会的な企業行動をとらないという決意を新たにし、この行動姿勢を徹底して堅持します。
事にあたっては従前からの判断基準にとらわれず、これを厳しく問い直し、将来のあるべき姿に照らして勇気をもって決定・行動します。
⑤ 公正な競争に徹する
企業は競争によって進歩し、これに打ち勝って、存続・発展します。この意味で競争は市場経済活動の源であり、社会に富と発展をもたらす原動力となるものです。
ニチレイグループは、企業競争においては全力を投入し勝ち抜く執念を堅持しますが、あくまでも社会の公器としてふさわしい公正な競争に徹します。
⑥ 透明性の高い経営を推進する
ニチレイグループの情報は公開を原則とし、ステークホルダーとの双方向のコミュニケーションを推進することにより、広く社会から好感と信頼をいただける透明性の高い経営を行います。
⑦ 資源と環境を大切にする
ニチレイグループは、資源の有効活用と保護増強、ならびに地球環境の保全を重視する経営を行います。
⑧ 世界を見据える
ニチレイグループは、世界の資源・市場・潮流を見据えて経営を行います。
(2) 中期的な経営戦略、目標とする経営指標、経営環境及び対処すべき課題
厳しい経営環境下においても着実な成長を確かなものとすることをめざしたグループ中期経営計画「POWER UP 2018」(2016年度~2018年度)の初年度にあたる2016年度は、調理冷凍食品の販売が好調な加工食品事業がグループ業績を牽引したことに加え、そのほかのセグメントも堅調に推移しました。また、企業統治の面においては、取締役会の運営状況等に関する分析・評価により認識された課題を審議事項として取り上げるなど取締役会の実効性の向上に努めました。
計画2年目にあたる2017年度は、不安定な世界経済を背景とした為替相場や原油価格の乱高下、労働力不足によるコスト上昇など引き続き厳しい事業環境となることが想定されますが、環境変化に応じた経営施策の着実な遂行により、持続的な成長の実現をめざしてまいります。
グループ中期経営計画「POWER UP 2018」の実行により最終年度にあたる2018年度の連結業績は、売上高5,670億円、営業利益286億円をめざします。
① グループ各社の国内外における収益力の向上による持続的成長の実現
主力事業である加工食品事業と低温物流事業を中心に設備投資を実施し、持続的な利益成長と資本効率の向上、海外事業の規模拡大により、グループの成長基盤を強化します。
(イ) 加工食品事業
国内では収益基盤のさらなる強化と資産効率向上に取り組み、海外では規模拡大を図ります。
・米飯類やチキン加工品など主力カテゴリーの商品開発やプロモーションによる販売拡大に注力するとともに、国内外の生産拠点における供給体制の整備を進め、収益基盤の強化を図ります。
・顧客ニーズを的確に捉え、世帯構成や消費形態の変化に対応した商品を拡充してまいります。
・海外では、米国で成長中のアジアンフーズ市場において商品開発や顧客開拓を進め、シェア拡大をめざします。
(ロ) 水産・畜産事業
こだわり素材の深耕と顧客ニーズに合った最適な加工度の商品を提供し、外食や中食ルート向けの販売拡大に注力します。また、環境変化や円安などのコスト上昇に適切に対応するとともに、在庫管理を徹底し安定的な収益確保に努めます。
(ハ) 低温物流事業
国内外で保有する物流拠点と輸配送ネットワークを活かした広範な物流サービスの提供により、収益拡大をめざします。
・エネルギーコストの上昇や労働力不足等へ適切に対応し、さらなる業務の効率化を推進します。
・東京団地冷蔵の再稼働を見据えた貨物の最適配置と集荷拡大を図るとともに、輸配送業務の収益力向上を図ります。
・海外事業は、欧州における港湾地域の物流機能強化及び内陸地域の運送拠点の整備などにより事業基盤を拡大するとともに、中国、タイでの取組みを強化します。
(ニ) 不動産事業
既存賃貸ビルのリニューアルなどにより空室率の改善を進め、安定収益を確保します。
(ホ) その他の事業
バイオサイエンス事業においては、分子診断薬事業の展開を加速するとともに、事業領域拡大のための探索を進めます。
② 品質保証力の向上
「食の安全・信頼」の実現のため、国際規格の導入、品質・安全性評価に関する技術の高度化などの取組みを強化し、グループ全体の品質保証力の向上を図ります。
③ ESG課題への対応
「ニチレイの約束」をグループのCSR基本方針として掲げ、持続可能なサプライチェーンの構築、低炭素化社会の実現、働きがいの向上、コーポレートガバナンスの充実などの課題に積極的に取り組み、企業としての信頼の向上を図ります。
④ 株主還元
グループ経営資源の最適な配分を考慮しつつ、自己株式の取得や増配など適正な株主還元策を実施します。配当方針については連結自己資本配当率(DOE)2.5%を目標とします。
“ニチレイの約束”~持続可能な社会の実現に向けて~
ニチレイグループは、食と健康を支える企業として事業活動を通じて新たな顧客価値を創造し、社会課題の解決に貢献します。また、経済的・社会的・環境的側面に配慮しながら事業活動に取り組み、その活動をステークホルダーの皆様に広く公表し、理解と対話を深めてまいります。
|
新たな顧客価値の創造 |
新たな商品やサービスを創り出し、事業を通じてお客様及び社会の課題を解決します |
|
安全な商品とサービスの提供 |
高い品質と安全性を実現し、お客様の信頼を獲得します |
|
持続可能なサプライチェーンの構築 |
持続可能なサプライチェーンの構築に努めます |
|
環境負荷の低減 |
地球環境に配慮し、環境負荷を低減します |
|
社会との共生 |
社会と地域コミュニティの一員として共に考え、行動します |
|
働きがいの向上 |
働く人の多様性を尊重するとともに、個々の能力を最大限に発揮し活き活きと働ける環境を実現します |
|
コーポレートガバナンスの充実 |
適切な資源配分や意思決定の迅速化に努め、公正かつ透明性の高い経営を推進します |
|
コンプライアンスの徹底 |
ニチレイグループが事業を展開する各国の法令と社会規範を遵守し、倫理性を高めます |
(3) 株式会社の支配に関する基本方針
① 基本方針
当社は、当社の株券等について買収提案者が現れて買収提案を受けた場合に、これに応じて当社株式の売却を行うか否かの判断は、最終的に株主の皆様に委ねられるべきものであると考えております。また、株主の皆様が適切な判断をなされるためには、買収提案に関する十分な情報が株主の皆様に提供されるとともに、代替する案の可能性などについても検討する機会が提供されることが重要と考えております。
当社グループでは、「くらしを見つめ、人々に心の満足を提供する」ことを企業経営理念に掲げ、お客様にご満足いただける優れた品質と価値ある商品・サービスを創造・提供し、広く好感と信頼を寄せられる企業として、社会とともに成長することを目指しております。このような当社グループの企業経営理念や目指す姿、中長期的な経営方針にそぐわない、短期的な経済的効率性のみを重視した買収提案の場合には、当社の企業価値ひいては株主共同の利益が損なわれないよう、株主の皆様が十分な情報を得た状態で判断をされることが必要と考えております。
② 基本方針実現のための具体的な取組み
(イ) 基本方針実現のための特別な取組み
平成28年4月からの3年間、当社グループは中期経営計画「POWER UP 2018」に取り組んでおります。経営環境の変化を確実にとらえ、事業の展開を通じて社会的な課題の解決に貢献しつつ、安定的かつ着実な成長を実現することを目標としております。前計画に引き続き加工食品事業と低温物流事業を中心に設備投資を実施し、グループの成長基盤を強化することで企業価値を向上してまいります。
財務面では、営業キャッシュ・フローと資産流動化などによる資金を、成長と事業基盤強化のための投資に加え、株主還元に振り向けてまいります。株主還元につきましては、連結自己資本配当率(DOE)に基づく安定的な配当の継続を重視するとともに、資本効率などを考慮のうえ自己株式の取得を機動的に実施することとしております。
(ロ) 基本方針に照らして不適切な者が支配を獲得することを阻止するための取組み
当社グループは、加工食品事業、水産事業、畜産事業、低温物流事業、不動産事業、その他の事業を行っております。また、その物理的な事業活動の展開についても、子会社、事業所を通じて世界各国にて事業を行っております。当社グループの経営にあたっては、これらの複数の事業に関する幅広い知識と豊かな経験、また世界各国にわたる顧客、従業員及び取引先などとの間に築かれた関係がありますが、買収提案者による買収提案がなされ、株主の皆様が買収提案に応じるか否かの判断をなされる場合においても、これらに関する十分な理解が必要となります。
当社は、常日頃より、積極的なIR活動を行うことにより、株主の皆様に対する情報提供に努めておりますが、買収提案者による買収提案に応じるか否かを適切に判断していただくためには、当社と買収提案者の双方から適切かつ十分な情報(買収提案者からは、買収提案者が企図する当社グループの経営方針や事業計画の内容、買収提案が当社株主の皆様及び当社グループの経営に与える影響、当社グループを取り巻く多くのステークホルダーに対する影響、社会的責任に対する考え方等)が提供されるとともに、株主の皆様が判断をなされるために必要な検討期間が確保されることが必須となります。また、状況に応じて、当社より代替案の可能性を検討し株主の皆様に提案することにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の観点から、より望ましい提案を株主の皆様が選択されることも可能となります。
当社は、買収提案者に対しては買収提案の是非を株主の皆様が適切に判断されるための必要かつ十分な情報の提供を求め、併せて当社取締役会の意見等を開示し、株主の皆様の検討のための時間と情報の確保に努める等、金融商品取引法、会社法及びその他関係法令の許容する範囲内において適切な措置を講じるとともに、引き続き企業価値並びに株主共同の利益の確保及び向上に努めてまいります。
③ 具体的取組みに対する当社取締役会の判断及びその理由
前記「② 基本方針実現のための具体的な取組み」は、前記「① 基本方針」に沿うものであり、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を損なうものではなく、また、当社取締役の地位の維持を目的とするものではありません。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、本項において将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末(平成29年3月31日)現在において判断したものであります。
(1) 食品に関する衛生問題等について
海外からの商品や原材料の輸入取引は、当社グループの主要事業の一部であります。輸入先において鳥インフルエンザ、BSE、残留農薬、合成抗菌剤など、食品に関する衛生問題等が発生した場合、加工食品事業、水産事業及び畜産事業の主要商品や原材料の安定的な調達に支障をきたす可能性があります。また、これらの問題により食品の輸入量が減少した場合、低温物流事業において冷蔵倉庫への入庫量が減少するなど、当社グループの業績に重要な影響を与える可能性があります。
(2) 商品や原材料等の価格変動について
水産事業の主力商品(えび、かに、たこ等)は世界各国から輸入しており、これらの商品は世界の需要、漁獲高等により調達価格が変動する一方、国内沿岸魚の漁獲高や鮮魚市況などの影響により、国内における冷凍品の市場価格も変動します。畜産事業では食品に関する衛生問題等の発生による畜産物の輸入停止や、セーフガード(緊急輸入制限)措置の発動の影響などにより輸入畜産物や国内畜産物の市場価格が大幅に変動します。また、これらの素材品等を原材料として生産を行っている加工食品事業では生産効率の向上など継続的な製造原価の低減に努めておりますが、原油価格や穀物市況の変動が商品や原材料等の調達価格に影響します。このように、商品や原材料等の価格変動は、当社グループの業績に重要な影響を与える可能性があります。
(3) 商品回収について
当社グループは、お客様に信頼される商品とサービスの提供を目指し、商品開発から原料調達、生産、販売まで一貫した品質保証体制の強化に努めております。トレースバックシステムによる生産地追跡の徹底や品質・生産管理要員の配置など、食品の「安全・安心」の確保を最優先課題として取り組んでおりますが、大規模な商品回収等が発生した場合には、当社グループの業績に重要な影響を与える可能性があります。
(4) 固定資産の保有リスクについて
低温物流事業においては、一般の倉庫と異なり多額な設備投資を伴う冷蔵倉庫を多数保有しております。昨今の高速道路網の発達や流通再編のスピードアップにより、地域によっては荷主にとっての重要性が薄れることで集荷が困難となることや、荷主の在庫圧縮による倉庫需要の低迷で価格競争が進み収益が悪化する可能性があります。また、加工食品事業においても生産工場を各地に保有しておりますが、販売不振等による厳しい事業環境や設備の老朽化、品質の高度化等へ対応するため生産効率と品質の向上を推進しております。各事業において資本の効率的使用を進めるうえで、採算性の低い事業拠点の再編や保有固定資産の処分等により、当社グループの業績に重要な影響を与える可能性があります。
(5) 保有有価証券について
当社グループでは事業政策上取引先等の有価証券を保有しており、これらの有価証券については保有意義や資産の健全化等を考慮しながら随時見直しを行っております。
当連結会計年度末における投資有価証券のうち、関連会社株式以外の有価証券は保有目的上、すべて「その他有価証券」に区分しております。なお、時価のある有価証券については今後の経済環境や企業収益の動向により時価が変動し、時価のない有価証券については当該株式の発行会社の財政状態が変動することにより、当社グループの業績に重要な影響を与える可能性があります。
(6) 為替変動リスクについて
当社グループにおいて商品や原材料の輸入取引は主要事業の一部であり、外貨建取引については為替変動リスクにさらされることになります。これらのリスクを軽減するために、為替予約取引等のデリバティブ取引を利用しておりますが、急激な為替変動があった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(7) 法的規制等の変更によるリスクについて
当社グループは、国内で事業を遂行していくうえで、食品衛生法、倉庫業法等様々な法的規制の適用を受けております。また、海外事業を展開していくうえでも、当該国における法的規制等の適用を受けております。将来において、現在予期し得ない法的規制等が新たに設けられた場合、当社グループの業績に重要な影響を与える可能性があります。
(8) 情報システムのリスクについて
当社グループでは適切なシステム管理体制を構築しておりますが、システム運用上のトラブルの発生により、業務運営に支障をきたす可能性があります。また、当社グループではコンピューターウィルス対策や情報管理を徹底しておりますが、予測不能のウィルスの侵入や情報への不正アクセスなどにより、業務運営に支障をきたす場合や、営業秘密・個人情報の社外流出などへの対応費用の発生・社会的信用の低下など、当社グループの業績に重要な影響を与える可能性があります。
資産の賃貸契約
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契約会社 |
賃貸先の名称 |
住所 |
契約内容 |
契約期間 |
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当社 |
三菱UFJ信託銀行株式会社 |
東京都 千代田区 |
一般定期借地権 (東京都中央区築地所在の土地) |
平成15年6月30日~平成64年11月30日 |
当社グループは、株式会社ニチレイフーズ 研究開発部・技術戦略部(加工食品事業)、株式会社ニチレイロジグループ本社 業務革新推進部(低温物流事業)、株式会社ニチレイバイオサイエンス 研究開発部(その他の事業)及び当社 技術戦略企画部(全社共通)を研究開発部門として、市場の変化に対応した新商品及び新技術の開発並びに新規事業の育成を目指した研究開発活動を行っております。
当連結会計年度の研究開発費は15億59百万円で前期に比べ40百万円減少しました。セグメント別の内訳は、加工食品事業では10億86百万円、低温物流事業は67百万円、その他の事業は2億56百万円、全社(共通)は1億48百万円となりました。
セグメント別の研究開発活動の状況は次のとおりであります。
(1) 加工食品事業
今後のさらなる成長に向けて、冷凍食品ならではの新たな「価値」創出と強みを発揮できるカテゴリに資源を投入し、商品開発並びに関連する技術開発に取り組んでまいりました。
当連結会計年度においては、生活者の求める「価値」を「おいしさのレベルアップ」と位置付け、従来にない新しいおいしさをお届けすることにチャレンジし、家庭用春の新商品として「じゅわ旨っ。」のおいしさ、大きめサイズの唐揚げ「特から」を発売しました。
(2) 低温物流事業
物流事業における労働力不足の対策として、作業の省人化、簡素化につながる取り組みを進めております。
作業の省人化では、無人フォークリフトによる庫内作業の実証実験を進めております。作業の簡素化では、ハンディーターミナル、タブレットの利用によるペーパーレス作業を推進すると共に、人工知能を利用した作業タスクマネジメントの研究に取り組んでおります。
(3) その他の事業(バイオサイエンス事業)
分子診断薬、迅速診断薬の開発を行うほか、グループ企業の素材調達力を活かして、有用な機能性素材の開発にも注力しております。
当連結会計年度は、分子診断薬では抗アンドロゲンレセプター抗体、抗PAX8抗体など、数種類の抗体の販売を開始しました。
(4) 全社(共通)
短期的視点で各事業の利益に貢献できる研究を行うほか、中長期視点での新商品やサービス創出の核となる研究を実施しております。
短期的視点では、各事業における課題に対して、情報提供や分析技術の提供など幅広く技術的支援を行っております。中長期視点では、不凍タンパク質(AFP)の実用化を含めた冷凍技術研究、超高齢社会対応を想定した「食と健康」の取組みやそれに対する自社素材の応用(研究)、生活者の深層心理を探るサイコメトリクスの事業への活用等について、社外の研究機関との連携を積極的に活用して行っております。
不凍タンパク質につきましては、平成29年2月に開催されました、国際ナノテクノロジー総合展・技術会議に出展し、nano tech大賞 2017 ライフナノテクノロジー賞を受賞いたしました。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成しております。連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りは、主に繰延税金資産、貸倒引当金、資産除去債務及び法人税等であり、継続して合理的に評価しております。
なお、見積り及び判断・評価については、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。
(2) 当連結会計年度の財政状態の分析
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(単位:百万円)
(注)D/Eレシオの算出方法:有利子負債÷純資産 |
① 総資産のポイント 3,461億円(76億円の増加)
フリーキャッシュ・フローが増加したことにより一時的に現金及び預金が73億円増加、前期までに実施した設備投資の減価償却が進んだことや為替変動の影響などにより有形固定資産は42億円減少しました。また、投資有価証券の時価評価額の増加などにより投資その他の資産は50億円増加しました。
② 負債のポイント 1,814億円(15億円の減少)
未払費用が33億円増加する一方、長期借入金の返済などにより有利子負債は48億円減少しました。
③ 純資産のポイント 1,647億円(92億円の増加)
親会社株主に帰属する当期純利益187億円の計上、配当金の支払い33億円などにより利益剰余金は154億円増加、その他の包括利益累計額は22億円増加しました。また、株主還元の充実及び資本効率の向上を目的として、自己株式を89億円で取得しました。
(3) 当連結会計年度の経営成績の分析
詳細につきましては、「1 業績等の概要 (1) 業績」をご参照ください。
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について
詳細につきましては、「4 事業等のリスク」をご参照ください。
(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
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前期 |
当期 |
前期比 |
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営業活動によるキャッシュ・フロー |
37,032 |
40,828 |
3,795 |
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投資活動によるキャッシュ・フロー |
△14,496 |
△11,445 |
3,051 |
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財務活動によるキャッシュ・フロー |
△20,351 |
△21,883 |
△1,531 |
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フリーキャッシュ・フロー |
22,535 |
29,382 |
6,847 |
(ⅰ) 営業活動によるキャッシュ・フローのポイント
経常利益は291億円、減価償却費は160億円を計上する一方、売上げ増加などによる営業資金(売上債権・たな卸資産・仕入債務)の支出や法人税等の支払いなどにより、営業活動によるキャッシュ・フローは408億円の収入となりました。
(ⅱ) 投資活動によるキャッシュ・フローのポイント
有形固定資産の取得による支出などにより、投資活動によるキャッシュ・フローは114億円の支出となりました。
(ⅲ) 財務活動によるキャッシュ・フローのポイント
長期借入金の減少46億円や、自己株式の取得及び配当金の支払い124億円などにより、財務活動によるキャッシュ・フローは218億円の支出となりました。
② 資金需要と資金調達方法
運転資金需要のうち主なものは商品及び原材料の購入費、製造費、低温物流センターの運営費、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、設備投資資金需要のうち主なものは食品生産設備や低温物流設備の購入・建設費用等であります。
当社グループは国内連結子会社を含めたキャッシュマネジメントシステム(CMS)を導入しており、運転資金及び設備投資資金の調達は、主に当社の借入れ及び社債の発行やグループ各社の事業活動から生じるキャッシュ・フローを資金集中することによる内部資金によっております。
③ 財務政策
当社は、グループ企業価値の持続的な向上をめざし、成長と事業基盤強化のための投資に加え、食品安全、環境保全などの社会的ニーズに対応する投資も行ってまいりますが、これら事業の遂行に必要な資金を効率的かつ安定的に調達できるよう、資本効率性・成長性・健全性を考慮しながら、バランスの取れた資本構成を実現します。
営業キャッシュ・フローと資産流動化などによる資金は、成長のための投資と配当や自己株式の取得を通じた株主還元に振り向けます。