第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

《ミッション(使命・存在意義)》

くらしを見つめ、人々に心の満足を提供する

 

《ビジョン(目指す姿)》

私たちは地球の恵みを活かしたものづくりと、

卓越した物流サービスを通じて、

豊かな食生活と健康を支えつづけます。

 

《ニチレイが大切にする価値観~日々の行動や意思決定の規準~》

① お客様第一、安全第一、品質第一を貫く

お客様本位に徹するとはお客様との長期的な信頼の構築に努めることであり、その実現過程では安全第一、品質第一を貫かなくてはならない。この価値観は、ニチレイグループにおけるすべての事業活動の根幹である。

 

② 健全な利益を追求する

不公正・不当な利益は一切評価しない。コンプライアンスに違反する行為は、いとも簡単に事業継続を困難にし、企業の存続そのものを危うくする。ひとたび信頼を失えば、回復には途方もない時間がかかることを胸に深く刻み、フェアな競争に徹しなければならない。

 

③ 透明性の高い経営を推進する

すべてのステークホルダーから信頼されるため、誠実かつ公平な情報開示により説明責任を十分に果たして透明性の高い経営を推進し、企業価値を継続的に高めていく。

 

④ 持続可能な社会の実現に取り組む

食と健康を支える企業として、常に人々のくらしと未来を見据えて社会課題の解決に貢献するとともに、経済的・社会的・環境的側面に配慮しながら事業活動に取り組み、持続可能な社会の実現を目指していく。

 

⑤ 変革と創造に挑戦する

自由闊達な組織風土の中で失敗を恐れることなく、自己変革と新たな価値の創造に挑戦していく。

 

 

CSR基本方針“ニチレイの約束”~持続可能な社会の実現に向けて~

ニチレイグループは、食と健康を支える企業として事業活動を通じて新たな顧客価値を創造し、社会課題の解決に貢献します。また、経済的・社会的・環境的側面に配慮しながら事業活動に取り組み、その活動をステークホルダーの皆様に広く公表し、理解と対話を深めてまいります。

 

新たな顧客価値の創造

新たな商品やサービスを創り出し、事業を通じてお客様及び社会の課題を解決します

安全な商品とサービスの提供

高い品質と安全性を実現し、お客様の信頼を獲得します

持続可能なサプライチェーンの構築

持続可能なサプライチェーンの構築に努めます

環境負荷の低減

地球環境に配慮し、環境負荷を低減します

社会との共生

社会と地域コミュニティの一員として共に考え、行動します

働きがいの向上

働く人の多様性を尊重するとともに、個々の能力を最大限に発揮し活き活きと働ける環境を実現します

コーポレートガバナンスの充実

適切な資源配分や意思決定の迅速化に努め、公正かつ透明性の高い経営を推進します

コンプライアンスの徹底

ニチレイグループが事業を展開する各国の法令と社会規範を遵守し、倫理性を高めます

 

(2) 中期的な経営戦略、目標とする経営指標、経営環境及び対処すべき課題

 当社グループは、2019年度から2021年度の3年間を対象とするグループ中期経営計画「WeWill 2021」を策定しました。本計画では、主力事業のさらなる強化を進め、厳しい経営環境下においても着実な成長を目指します。

 

① 前中期経営計画(2016年度~2018年度)の振り返り

 前中期経営計画「POWER UP 2018」では、加工食品事業における主力商品の収益拡大、低温物流事業における大都市圏を中心とした保管需要の取込み、畜産事業における差別化商品への経営資源のシフトを通じた利益率向上などにより、2018年度は連結目標数値(2016年11月発表の修正後計画)を上回る成果をあげることができました。一方で、海外事業の規模拡大に課題を残しました。

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② 2019年度‐2021年度中期経営計画「WeWill 2021」の概要

《全体戦略》

 世界経済の不安定性が増すなか、為替相場や原材料価格、エネルギーコストの変動が続くことが想定されます。国内では、労働力不足に伴う様々なコストの上昇が続く一方で、世帯構成やライフスタイルなどの変化がもたらす消費形態の多様化が見込まれます。

 本計画では、経営環境の変化を的確にとらえながら、加工食品事業と低温物流事業を中心に成長及び基盤強化に向けた設備投資を実施し、「持続的な利益成長」と「豊かな食生活と健康を支える新たな価値の創造」の実現を目指します。

 ・国内では経営基盤の強化や事業構造の変革により収益力を向上する。

 ・海外では事業規模拡大を加速する。

 ・中長期を見据えた新規事業開発・研究開発・業務革新の取組みを強化する。

 ・事業を通じて社会課題を解決し持続可能な社会の実現に貢献する。

 ・働き方改革や多様な人材の活躍推進に注力する。

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《財務戦略》

 営業キャッシュ・フローと資産流動化により創出された資金は、企業価値の維持向上のための投資と配当や自己株式の取得を通じた株主還元に振り向けます。

 株主還元については、連結自己資本配当率(DOE)を基準として安定的な配当を継続するとともに、資本効率や市場環境などを考慮のうえ自己株式の取得を機動的に実施することを基本方針とします。

 ・連結自己資本当期純利益率(ROE)は10%以上を維持する。

 ・連結自己資本配当率(DOE)3.0%を目安に配当を実施する。

《セグメント別の事業計画》

(イ)加工食品事業(ニチレイフーズグループ)

 ・主力カテゴリであるチキン・米飯への資源集中による収益力強化

 ・新たな主力カテゴリの創出と差別化の実現に向けた研究開発・技術開発の強化

 ・北米を中心とした海外事業の規模拡大

(ロ)水産・畜産事業(ニチレイフレッシュグループ)

 ・加工品の取扱拡大を通じた市況変動の影響を受けにくい収益体制の構築(水産事業)

 ・自社生産機能の拡充や差別化商品の販売強化による収益拡大(畜産事業)

(ハ)低温物流事業(ニチレイロジグループ)

 ・大都市圏の主要保管拠点及び地方での運送機能の最大活用による収益拡大

 ・庫内作業のデジタル化や省力化・省人化の推進、及び適正料金の収受などを通じた各種コスト上昇への対応

 ・欧州を中心とした海外事業の規模拡大

(ニ)バイオサイエンス事業(ニチレイバイオサイエンス)

 ・次世代の診断薬・診断装置の開発と海外事業の基盤構築

(3) 株式会社の支配に関する基本方針

① 基本方針

当社は、当社の株券等について買収提案者が現れて買収提案を受けた場合に、これに応じて当社株式の売却を行うか否かの判断は、最終的に株主の皆様に委ねられるべきものであると考えております。また、株主の皆様が適切な判断をなされるためには、買収提案に関する十分な情報が株主の皆様に提供されるとともに、代替する案の可能性などについても検討する機会が提供されることが重要と考えております。

当社グループでは、「くらしを見つめ、人々に心の満足を提供する」ことを企業経営理念に掲げ、地球の恵みを活かしたものづくりと、卓越した物流サービスを通じて、豊かな食生活と健康を支えつづけることを目指しております。このような当社グループの企業経営理念や目指す姿、中長期的な経営方針にそぐわない、短期的な経済的効率性のみを重視した買収提案の場合には、当社の企業価値ひいては株主共同の利益が損なわれないよう、株主の皆様が十分な情報を得た状態で判断をされることが必要と考えております。

 

② 基本方針実現のための具体的な取組み

(イ) 基本方針実現のための特別な取組み

2019年4月からの3年間、当社グループは中期経営計画「WeWill 2021」に取り組んでおります。経営環境の変化を的確にとらえながら、加工食品事業と低温物流事業を中心に成長及び基盤強化に向けた設備投資を実施し、「持続的な利益成長」と「豊かな食生活と健康を支える新たな価値の創造」の実現を目指してまいります。

財務面では、営業キャッシュ・フローと資産流動化により創出された資金を、企業価値の維持向上のための投資と配当や自己株式の取得を通じた株主還元に振り向けてまいります。株主還元につきましては、連結自己資本配当率(DOE)を基準として安定的な配当を継続するとともに、資本効率や市場環境などを考慮のうえ自己株式の取得を機動的に実施することを基本方針としております。

 

(ロ) 基本方針に照らして不適切な者が支配を獲得することを阻止するための取組み

当社グループは、加工食品事業、水産事業、畜産事業、低温物流事業、不動産事業、その他の事業を行っております。また、その物理的な事業活動の展開についても、子会社、事業所を通じて世界各国にて事業を行っております。当社グループの経営にあたっては、これらの複数の事業に関する幅広い知識と豊かな経験、また世界各国にわたる顧客、従業員及び取引先などとの間に築かれた関係がありますが、買収提案者による買収提案がなされ、株主の皆様が買収提案に応じるか否かの判断をなされる場合においても、これらに関する十分な理解が必要となります。

当社は、常日頃より、積極的なIR活動を行うことにより、株主の皆様に対する情報提供に努めておりますが、買収提案者による買収提案に応じるか否かを適切に判断していただくためには、当社と買収提案者の双方から適切かつ十分な情報(買収提案者からは、買収提案者が企図する当社グループの経営方針や事業計画の内容、買収提案が当社株主の皆様及び当社グループの経営に与える影響、当社グループを取り巻く多くのステークホルダーに対する影響、社会的責任に対する考え方等)が提供されるとともに、株主の皆様が判断をなされるために必要な検討期間が確保されることが必須となります。また、状況に応じて、当社より代替案の可能性を検討し株主の皆様に提案することにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の観点から、より望ましい提案を株主の皆様が選択されることも可能となります。

当社は、買収提案者に対しては買収提案の是非を株主の皆様が適切に判断されるための必要かつ十分な情報の提供を求め、併せて当社取締役会の意見等を開示し、株主の皆様の検討のための時間と情報の確保に努める等、金融商品取引法、会社法及びその他関係法令の許容する範囲内において適切な措置を講じるとともに、引き続き企業価値並びに株主共同の利益の確保及び向上に努めてまいります。

 

③ 具体的取組みに対する当社取締役会の判断及びその理由

前記「② 基本方針実現のための具体的な取組み」は、前記「① 基本方針」に沿うものであり、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を損なうものではなく、また、当社取締役の地位の維持を目的とするものではありません。

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、本項において将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末(2019年3月31日)現在において判断したものであります。

 

(1) 経済状況及び事業環境について

国内では、世帯構成やライフスタイルの変化を背景とした時短ニーズの増大や消費形態の多様化などが生み出す新たな需要も見込まれますが、本格的な人口減少に伴い長期的に総需要の縮小が懸念されます。また、持続可能な社会の実現に向けて、企業に対する期待と要請は一層多様化、高度化しています。

こうした環境の変化に対応するため、当社グループでは、「食」と「健康」を支える幅広い事業でイノベーションを推進してお客様及び社会の課題を解決する新たな価値を創造し、人々の豊かな食生活と健康に貢献することを目指しております。

しかしながら、足元では通商問題の影響等による国内景気の大幅な下振れや、今秋に予定されている消費税増税に伴い、予想を超えた食料品の買い控えや競争激化による販売価格の下落、保管及び輸配送需要の減少などが発生した場合、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

 

(2) 食品に関する衛生問題等について

当社グループは、食品の製造・販売を行っており、衛生リスク、農薬・動物用医薬品残留基準超過、異物混入、特定家畜伝染病(BSE、口蹄疫、鳥インフルエンザ等)など、食品に関する品質問題が発生した場合、社会的信用の低下とともに、加工食品事業及び水産・畜産事業の商品や原材料の安定的な調達・販売に支障をきたす可能性があります。また、これらの問題により食品の輸入量が大幅に減少した場合、低温物流事業において物流センターの稼働率が著しく低下し、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

 

(3) 商品回収について

当社グループは、お客様に信頼される商品とサービスの提供を目指し、商品開発から原料調達、生産、販売まで一貫した品質保証体制の強化に努めております。適切な原料・商品の品質・生産管理、トレースシステムの構築、要員の育成・適正配置など、食品の「安全・安心」の確保を最優先課題として食品安全・食品防御に取り組んでおります。品質問題が発生した場合はその危害性と拡散性などから総合的に判断し適切な対応を行いますが、想定を超える大規模な商品回収等が発生した場合には、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

 

(4) 人材の確保及び育成等について

労働力不足で人材の確保が難しくなるなか、当社グループが持続的な成長を実現していくためには、多様で優秀な人材を確保・育成し、その能力を最大限に発揮することが重要です。そのため、働き方改革の推進、労働環境の整備、業務の自動化や省力化・省人化などに取り組んでおります。しかしながら、雇用情勢の変化などにより必要な人材の確保や育成が計画通り行えなかった場合には、当社グループの事業運営に影響を与える可能性があります。

 

(5) 情報システムについて

当社グループでは、適切なシステム管理体制を構築しておりますが、システム運用上のトラブルの発生により、業務運営に支障をきたす可能性があります。また、セキュリティ対策や情報管理を徹底しておりますが、未知のコンピュータウイルスやサイバー攻撃などにより、重要な情報の漏洩・改ざんが発生する場合、あるいは一定期間業務運営が困難になる場合があります。それらの対応費用の発生や社会的信用の低下などにより、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

 

(6) 商品や原材料等の価格変動について

当社グループが取り扱う商品や原材料には、作柄や市況により大きく価格が変動するものがあります。水産・畜産事業では相場変動の影響を受けにくい加工品の取扱拡大や差別化商品の販売強化、加工食品事業では配合技術や生産効率の向上により継続的に製造原価の低減に努めておりますが、コストの上昇分を吸収しきれない場合や競争激化などにより価格改定が進まない場合には、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

 

(7) 原油価格等の変動について

加工食品事業では、原油価格の変動が商品・原材料や重油等燃料の調達コストに影響を及ぼします。低温物流事業は、電力を使用する物流センター等を活用した保管業務と車両による輸配送業務を主要な業務としているため、原油価格高騰による電力料金や軽油等燃料コストの上昇が物流コストの増加につながります。当社グループは、新技術の導入や業務改善等により原価低減に努めておりますが、これらの価格上昇をコストダウンで吸収できない場合、また価格転嫁できない場合は、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

 

(8) 為替変動の影響について

当社グループは、主要事業において商品や原材料の一部を海外より調達しています。為替予約取引を実施するなど、為替変動による業績への影響を最小限にとどめるよう努めておりますが、予測を超えた急激な為替レートの変動があった場合には、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

 

(9) 法的規制等の変更について

当社グループは、国内で事業を遂行していくうえで、食品衛生法、倉庫業法、貨物利用運送事業法、医薬品医療機器等法など様々な法的規制の適用を受けております。また、海外事業を展開していくうえでも、当該国における法的規制等の適用を受けております。当社グループは「コンプライアンスの徹底」を重要な経営課題と認識し、様々な取組みを進めておりますが、今後予期し得ない法的規制等の改正・新設やソフトローによる規制等により営業活動が制限され、対応のための費用負担等が発生した場合は、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

 

(10) 環境法令等について

当社グループは、事業活動において水質汚濁、廃棄物処理、省エネ対策、フロン漏洩などを管理・規制する環境法令等の対象となっており、これらの規制を遵守するための体制を強化しております。しかしながら、国際的に環境規制強化の動きが見られるなか、地球温暖化対策、サプライチェーン全体における食品ロス問題、海洋プラスチック汚染解決のためのプラスチック容器包装リサイクル推進などの要求が高まっております。今後環境に関する法改正等に対応するための費用負担等が大幅に増加した場合には、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

 

(11) 気候変動・大規模自然災害について

当社グループは、気候変動や大規模自然災害への対策として、物流センターや生産工場における高効率な設備の導入や省エネルギーの取組徹底、耐震補強工事や非常用発電機の配備などを進めるとともに、グループ全体では社員・従業員安否確認システムの導入や防災マニュアル・事業継続計画(BCP)の整備、データセンターの複数拠点化などを実施しております。

しかしながら、気候変動に関するリスクとして、炭素税の賦課や温室効果ガス排出規制の強化が行われた場合には、多くの電力を使用する物流センターや生産工場を保有し、また、多くの燃料を使うトラックを利用する当社グループの業績に、重大な影響を与える可能性があります。また、近年増加傾向にある局地的な暴風雨が、当社グループの拠点及び近隣の道路・港・鉄道などに甚大な被害を及ぼし、その復旧までに長期間事業活動が停止する可能性があります。

 

(12) 技術革新について

当社グループは、食と健康の分野で様々なイノベーションに取り組むとともに、AIやIoTを活用した技術開発や業務革新を推進しております。しかしながら、新しい技術革新が加速度的に進んでいくなか、予測できない事業環境の変化や競争力の劣化などにより、業績に重大な影響が生じる可能性があります。

 

(13) 固定資産の保有について

当社グループは、多額の設備投資を必要とする物流センターや生産工場を多数保有しております。今後、物流センターでは荷主企業の移転や道路交通網の変化による立地条件の悪化など、生産工場では設備の老朽化・陳腐化や、販売不振による拠点再編などの変化が生じた場合、収益悪化に加えて固定資産の減損・処分などにより、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

 

(14) 保有有価証券について

当社グループは、当連結会計年度における投資有価証券のうち関連会社株式以外の有価証券をすべて「その他有価証券」に区分しております。これらの政策保有株式については個別の銘柄ごとに中長期的な経済合理性等を検証し、保有意義が薄いと判断する株式は売却しております。検証にあたっては、取引上の利益・配当金等の便益やリスクが資本コストに見合っているかを個別に精査したうえで、戦略的な重要性等の定性的評価も勘案し総合的に判断しております。しかしながら、今後の経済環境や企業収益の動向により当該株式の時価や発行会社の財政状態が大幅に変動した場合、自己資本が毀損するなど、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営成績等の状況の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

① 経営成績の状況及び分析等

当期のわが国経済は、企業業績や雇用所得環境が改善するなか、緩やかな回復基調が続きましたが、年度末にかけて輸出や生産の一部に弱さが見られました。また、海外においても、米中貿易摩擦の影響や英国のEU離脱交渉の動向などにより景気の先行きは依然として不透明な状況が続きました。

食品業界では、食へのニーズが益々多様化し簡便調理品や健康訴求品の市場が拡大する一方、労働力不足に伴う人件費や物流費、原材料価格などが上昇しました。また、食品物流業界では、旺盛な保管需要による取扱い拡大を背景に設備増強の動きが顕著となる一方、作業費や車両調達コスト、電力料金などが上昇しました。

このような状況のなか、当社グループは中期経営計画「POWER UP 2018」(2016年度~2018年度)の最終年度である当期、食と健康を支える企業として事業活動を通じて新たな顧客価値を創造し、社会課題の解決に貢献しつつ、主力事業の更なる強化による持続的な利益成長と資本効率の向上に向けた施策に取り組みました。

加工食品事業では、主力商品を中心に経営資源を投下し、商品開発や販売活動に注力するとともに、継続的な生産性改善とコストダウンに努めました。低温物流事業では、大都市圏を中心に旺盛な保管需要を着実に取り込むとともに、運送効率向上や庫内作業デジタル化などの業務革新に取り組みました。

この結果、グループ全体の売上高は、主力の加工食品事業や低温物流事業が堅調に推移し、5,801億41百万円(前期比2.1%の増収)となりました。利益面では、低温物流事業や畜産事業が好調に推移し、加工食品事業についても生産性の改善などにより前期並みを確保した一方、水産事業の苦戦とその他事業において一時的なコスト負担が生じたことなどから、営業利益は295億11百万円(前期比1.3%の減益)、経常利益は298億64百万円(前期比2.6%の減益)となりましたが、資産の流動化を進めたことに伴う特別利益の計上があり親会社株主に帰属する当期純利益は199億43百万円(前期比4.4%の増益)となりました。

 

[連結経営成績課]

(単位:百万円)

 

当期

前期比

増減率(%)

売上高

580,141

12,109

2.1

営業利益

29,511

△386

△1.3

経常利益

29,864

△785

△2.6

親会社株主に帰属する当期純利益

19,943

846

4.4

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

(単位:百万円)

 

売上高

営業利益

(セグメント)

当期

前期比

増減率(%)

当期

前期比

増減率(%)

 加工食品

226,588

5,901

2.7

14,596

23

0.2

 水産

71,245

△266

△0.4

182

△122

△40.3

 畜産

91,076

683

0.8

1,452

150

11.6

 低温物流

201,049

5,955

3.1

11,398

142

1.3

 不動産

4,794

△74

△1.5

2,096

△55

△2.6

 その他

5,790

445

8.3

338

△473

△58.3

 調整額

△20,402

△535

△553

△51

合  計

580,141

12,109

2.1

29,511

△386

△1.3

 

(イ) 加工食品事業

《業界のトピックス》

加工食品業界では、単身世帯の増加や人手不足などを背景とした簡便調理食品への需要や惣菜などの中食需要が引き続き堅調に推移しました。

 

《業績のポイント》

家庭用・業務用ともにチキン加工品や米飯類などの主力カテゴリーを中心とした商品開発や販売活動に注力した結果、家庭用調理品などの販売が拡大し増収となりました。営業利益は生産性の改善などに注力したことにより、海外関係会社の業績影響を吸収し前期並みとなりました。

 

(単位:百万円)

 

当期

前期比

増減率(%)

売上高  計

226,588

5,901

2.7

 

家庭用調理品

60,287

3,130

5.5

 

業務用調理品

98,374

1,052

1.1

 

農産加工品

19,314

△70

△0.4

 

海外

32,640

2,102

6.9

 

その他

15,972

△313

△1.9

営業利益

14,596

23

0.2

(注)海外は2018年1月から2018年12月までの累計期間

 

家庭用調理品

製法改善などによる商品力強化や主力商品におけるテレビCMなどの販売促進活動などにより、冷凍炒飯カテゴリーで売上No.1の「本格炒め炒飯」や夕食向けの食卓ニーズに合わせた唐揚げ「特から」などの販売が引き続き好調に推移したことに加え、発売50周年を迎えた「ミニハンバーグ」なども順調に売上げを伸ばしました。

 

業務用調理品

需要が堅調に推移する中食に向け、業態別ニーズに合わせた商品開発や販売活動に注力し、主力のチキン加工品や有名シェフ監修による「シェフズ・スペシャリテ」シリーズなどの取扱いが伸長しました。

 

農産加工品

加工方法や品種選定などによる差別化商品の開発を続け、オクラなど利便性を追求した「そのまま使えるシリーズ」の取扱いが伸長しましたが、暖冬による生鮮野菜価格の下落に伴い冷凍野菜の需要が伸びず前期並みとなりました。

 

海外

米国子会社のInnovAsian Cuisine Enterprises社において、アジアンフーズ市場向け冷凍食品の積極的な販売促進活動や個食向け新商品の投入などが寄与しました。

 

(ロ) 水産事業

《業界のトピックス》

海外における水産品の需要の高まりを背景に、一部商材の輸入品価格が高騰するなか、消費者の低価格志向は根強く、収益確保は厳しい状況が続きました。

 

《業績のポイント》

収益性に配慮した慎重な買付や販売に徹したことにより減収となりました。また、「えび」「貝類」の利益率は改善したものの、「たこ」「魚卵」の調達コスト増加を吸収できず減益となりました。

 

(ハ) 畜産事業

《業界のトピックス》

堅調な食肉消費に支えられ国内需要は拡大しました。また、人手不足を背景に中食・外食向けは原料素材から加工品へ取扱いがシフトしました。

 

《業績のポイント》

中食・外食向けの加工品の販売が伸長したことや、豚肉の採算が改善したことなどにより増収・増益となりました。

(ニ) 低温物流事業

《業界のトピックス》

大都市港湾地区を中心に、旺盛な保管需要により庫腹が逼迫する一方で、電力料金の上昇や、慢性的な労働力不足による荷役作業コストや輸配送コストの上昇が継続しました。

 

《業績のポイント》

物流ネットワーク事業や海外事業において売上げが拡大したことに加え、地域保管事業において集荷拡大が進み増収となりました。また、利益面では荷役作業コストなどが上昇したものの、業務改善及び運送効率化などの施策を引き続き推進したことで増益となりました。

 

(単位:百万円)

 

売上高

営業利益

当期

前期比

増減率(%)

当期

前期比

増減率(%)

国内小計

159,175

4,951

3.2

10,314

2

0.0

 

物流ネットワーク

93,680

3,180

3.5

3,878

255

7.0

 

地域保管

65,495

1,771

2.8

6,436

△252

△3.8

海外

38,328

2,987

8.5

1,229

213

21.0

その他・共通

3,545

△1,984

△35.9

△145

△73

合計

201,049

5,955

3.1

11,398

142

1.3

(注)海外は2018年1月から2018年12月までの累計期間

 

国内

好調な顧客動向に支えられTC(通過型センター)での取扱いが拡大したことに加え、大都市圏を中心に畜産品や冷凍食品の保管需要を着実に取り込んだことなどにより増収となりました。利益面では荷役作業コストや電力料金の上昇に加え、台風など自然災害の影響による一時的なコスト負担が生じたものの、業務効率化や主に運送事業における適正料金の収受に努め、概ね前期並みとなりました。

 

海外

欧州地域はブラジル食肉不正問題によるチキン搬入量の減少や輸配送コストの上昇がありましたが、小売店向け輸送業務などの運送需要の着実な取り込みや輸入果汁の取扱拡大などにより増収・増益となりました。

 

(ホ) 不動産事業

《業績のポイント》

賃貸オフィスビルの競争力強化のため、リニューアル工事を実施し稼働率の維持・向上に努めたものの、茨城県牛久市の宅地分譲の終了や一部賃貸オフィスビルにおける耐震マーク取得費用の発生などにより減収・減益となりました。

 

(ヘ) その他の事業

《業績のポイント》

その他の事業のうち、バイオサイエンス事業は,バイオ医薬品原料や迅速診断薬の販売が順調に推移し増収となったものの、生産・研究開発拠点の新設(埼玉県狭山市)や米国での医療機器会社買収による一時的なコスト負担が生じたことにより減益となりました。

 

② 財政状態及びキャッシュ・フローの状況及び分析等

(イ) 財政状態の状況及び分析等

(単位:百万円)

 

 

前期

当期

前期比

 

〔資産の部〕

 

 

 

 

流動資産

153,564

160,554

6,989

 

固定資産

213,703

216,703

2,999

(ⅰ)

資産合計

367,268

377,257

9,988

 

〔負債・純資産の部〕

 

 

 

 

流動負債

110,489

99,561

△10,927

 

固定負債

87,098

93,890

6,791

(ⅱ)

負債合計

197,587

193,451

△4,135

 

 

うち、有利子負債

(リース債務を除く)

97,745

(79,844)

95,951

(78,923)

△1,794

(△920)

(ⅲ)

純資産合計

169,680

183,805

14,124

 

(うち自己資本)

162,729

(176,820)

14,090

 

 

D/Eレシオ(倍)

(リース債務を除く)

0.6

(0.5)

0.5

(0.4)

△0.1

(△0.0)

(注)D/Eレシオの算出方法:有利子負債÷純資産

 

(ⅰ) 総資産のポイント  3,772億円(99億円の増加)

販売が好調に推移し売上債権が増加したことなどにより流動資産が69億円増加、主力事業の収益基盤拡大に向けた設備投資などにより有形固定資産は26億円増加しました。

 

(ⅱ) 負債のポイント  1,934億円(41億円の減少)

仕入債務が26億円減少したほか、長期借入金の返済などにより有利子負債が17億円減少しました。

 

(ⅲ) 純資産のポイント  1,838億円(141億円の増加)

親会社株主に帰属する当期純利益199億円の計上、配当金の支払い41億円などにより利益剰余金は157億円増加しました。また、海外子会社の為替換算の影響などによりその他の包括利益累計額は16億円減少しました。

 

(ロ) キャッシュ・フローの状況及び分析等

(単位:百万円)

 

前期

当期

前期比

営業活動によるキャッシュ・フロー

29,859

31,311

1,452

投資活動によるキャッシュ・フロー

△20,269

△17,918

2,350

財務活動によるキャッシュ・フロー

△13,749

△9,088

4,660

フリーキャッシュ・フロー

9,589

13,393

3,803

 

(ⅰ) 営業活動によるキャッシュ・フローのポイント

経常利益は298億円、減価償却費は174億円を計上する一方、営業資金(売上債権・たな卸資産・仕入債務)の支出や法人税等の支払いなどにより、営業活動によるキャッシュ・フローは313億円の収入となりました。

 

(ⅱ) 投資活動によるキャッシュ・フローのポイント

有形固定資産や子会社株式の取得による支出などにより、投資活動によるキャッシュ・フローは179億円の支出となりました。

 

(ⅲ) 財務活動によるキャッシュ・フローのポイント

配当金の支払い41億円や有利子負債の返済などにより、財務活動によるキャッシュ・フローは90億円の支出となりました。

 

③ 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成しております。連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りは、主に繰延税金資産、貸倒引当金、資産除去債務及び法人税等であり、継続して合理的に評価しております。

なお、見積り及び判断・評価については、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

詳細につきましては、「2  事業等のリスク」をご参照ください。

 

⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

(イ) 資金需要と資金調達方法

運転資金需要のうち主なものは商品及び原材料の購入費、製造費、低温物流センターの運営費、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、設備投資資金需要のうち主なものは食品生産設備や低温物流設備の購入・建設費用等であります。

当社グループは国内連結子会社を含めたキャッシュマネジメントシステム(CMS)を導入しており、運転資金及び設備投資資金の調達は、主に当社の借入れ及び社債の発行やグループ各社の事業活動から生じるキャッシュ・フローを資金集中することによる内部資金によっております。

 

(ロ) 財務政策

当社は、グループ企業価値の持続的な向上をめざし、成長と事業基盤強化のための投資に加え、食品安全、環境保全などの社会的ニーズに対応する投資も行ってまいりますが、これら事業の遂行に必要な資金を効率的かつ安定的に調達できるよう、資本効率性・成長性・健全性を考慮しながら、バランスの取れた資本構成を実現します。

営業キャッシュ・フローと資産流動化により創出された資金は、企業価値の維持向上のための投資と配当や自己株式の取得を通じた株主還元に振り向けます。

 

⑥ 中長期的な目標に照らした経営成績等についての分析

前中期経営計画「POWER UP 2018」の最終年度である2018年度は、加工食品事業における主力商品の収益拡大、低温物流事業における大都市圏を中心とした保管需要の取込みなどにより連結目標数値(2016年11月発表の修正後計画)を上回る成果をあげることができました。

詳細につきましては、「1  経営方針、経営環境及び対処すべき課題等  (2)  中期的な経営戦略、目標とする経営指標、経営環境及び対処すべき課題」をご参照ください。

 

(2) 生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

(単位:百万円)

セグメントの名称

前連結会計年度

(自  2017年4月1日

至  2018年3月31日)

当連結会計年度

(自  2018年4月1日

至  2019年3月31日)

増減率(%)

加工食品

107,947

111,900

3.7

水産

10,121

10,070

△0.5

畜産

1,981

2,279

15.0

低温物流

342

340

△0.7

不動産

その他

1,998

2,748

37.5

合計

122,391

127,339

4.0

(注)1  生産実績は、相殺消去前の製造総費用によっております。

2  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

② 仕入実績

(単位:百万円)

セグメントの名称

前連結会計年度

(自  2017年4月1日

至  2018年3月31日)

当連結会計年度

(自  2018年4月1日

至  2019年3月31日)

増減率(%)

加工食品

61,592

64,026

4.0

水産

55,473

53,843

△2.9

畜産

76,999

76,882

△0.2

低温物流

382

212

△44.4

不動産

15

17

17.4

その他

985

323

△67.2

合計

195,448

195,306

△0.1

(注)1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

2  「加工食品」、「水産」、「畜産」、「低温物流」及び「その他」の仕入実績は、商品の仕入代金及び引取諸掛等の合計額であります。

3  「不動産」の仕入実績は、商品の仕入代金等であります。

4  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

③ 受注実績

低温物流セグメント(㈱ニチレイ・ロジスティクスエンジニアリング)の受注実績は次のとおりであります。

なお、低温物流セグメント以外では、受注生産は行っておりません。

(単位:百万円)

受注高

受注残高

前連結会計年度

(自  2017年4月1日

至  2018年3月31日)

当連結会計年度

(自  2018年4月1日

至  2019年3月31日)

増減率(%)

前連結会計年度

(2018年3月31日)

当連結会計年度

(2019年3月31日)

増減率(%)

4,328

2,499

△42.3

664

435

△34.5

(注)1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

2  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

④ 販売実績

(単位:百万円)

セグメントの名称

前連結会計年度

(自  2017年4月1日

至  2018年3月31日)

当連結会計年度

(自  2018年4月1日

至  2019年3月31日)

増減率(%)

加工食品

220,273

226,176

2.7

水産

71,448

71,138

△0.4

畜産

88,316

88,998

0.8

低温物流

180,017

185,385

3.0

不動産

3,356

3,385

0.9

その他

4,619

5,058

9.5

合計

568,032

580,141

2.1

(注)1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

2  主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2017年4月1日

至  2018年3月31日)

当連結会計年度

(自  2018年4月1日

至  2019年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

三菱食品株式会社

73,097

12.9

76,666

13.2

3  本表の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

4【経営上の重要な契約等】

資産の賃貸契約

契約会社

賃貸先の名称

住所

契約内容

契約期間

当社

三菱UFJ信託銀行株式会社

東京都

千代田区

一般定期借地権

(東京都中央区築地所在の土地)

2003年6月30日~2052年11月30日

 

5【研究開発活動】

当社グループは、株式会社ニチレイフーズ 研究開発部・技術戦略部(加工食品事業)、株式会社ニチレイロジグループ本社 業務革新推進部(低温物流事業)、株式会社ニチレイバイオサイエンス 研究開発部(その他の事業)及び当社 技術戦略企画部(全社共通)を研究開発部門として、市場の変化に対応した新商品及び新技術の開発並びに新規事業の育成を目指した研究開発活動を行っております。

当連結会計年度の研究開発費は2,359百万円で前期に比べ373百万円増加しました。セグメント別の内訳は、加工食品事業では1,547百万円、低温物流事業は296百万円、その他の事業は364百万円、全社(共通)は150百万円となりました。

 

セグメント別の研究開発活動の状況は次のとおりであります。

(1) 加工食品事業

工場における品質保証力の強化、生産性の向上、労働力不足対策、環境負荷の低減などの実現に向け、人工知能を活用した技術を確立・展開しております。当連結会計年度においては、自社の鶏肉加工品製造ラインにおいて、包装前段階の鶏肉加工品に残存する可能性がある〝硬骨〟を人工知能で選別する技術を機器メーカーと共同で開発しました。

当該機器メーカーの開発した検出プログラムをベースに、包装前段階の鶏肉加工品を実際の製造ラインスピードに合わせてX線検査機で撮影、その影の色の濃淡等の情報をもとに〝良品〟〝硬骨混入品〟の判別をする画像情報として大量に記憶させます。これにより判別精度が高まり、現状の鶏肉加工品廃棄量を大幅に削減できるようになります。今後も、AI選別技術を導入・拡大し、貴重な食糧資源のロス削減に努め、これまで蓄積してきた技術と合わせ、3年後を目途に製品廃棄削減率80%を目指します。

 

(2) 低温物流事業

物流事業における労働力不足の対策として、作業の省人化、簡易化に資する技術検証、システム開発に取り組んでおります。

作業の省人化では、無人フォークリフトによる庫内作業の実証実験を進めております。作業の簡易化では、タブレットを利用した検品、ピッキングシステムを開発しました。さらに人工知能を利用した作業タスクマネジメントシステムの研究を進めております。

 

(3) その他の事業(バイオサイエンス事業)

分子診断薬、迅速診断薬の開発を行うほか、グループ企業の素材調達力を活かして、有用な機能性素材の開発にも注力しております。

当連結会計年度は、分子診断薬では自動染色装置「ヒストステイナーAT」、迅速診断薬ではインフルエンザウイルスキット「イムノファイン™FLUⅡ」など、数種類の商品の販売を開始しました。

 

(4) 全社(共通)

短期的視点で各事業の利益に貢献できる研究を行うほか、中長期視点での新商品やサービス創出の核となる研究を実施しております。

短期的視点では、これまでと同様に、各事業における課題に対して情報提供や分析技術の提供など幅広く技術的支援を行っております。中長期視点では引き続き、不凍タンパク質(AFP)の実用化を含めた冷凍技術研究、当社独自技術であるMS Nose®を活用した「おいしさ研究」、超高齢社会対応を想定した「食と健康」の取組みやそれに対する自社素材の応用(研究)、生活者の深層心理を探るサイコメトリクスの事業への活用等について、社外の研究機関との連携を積極的に活用して行っております。

不凍タンパク質につきましては、2016年より研究用途向けの試薬としての販売を開始しておりますが、2018年12月より不凍糖タンパク質(Ⅱ型)粗精製品を、2019年3月より不凍糖タンパク(Ⅱ型)高純度品の販売も新たに開始しました。引き続き用途開発と新たな製品開発を行っています。

MS Nose®を活用したおいしさ研究につきましては、おいしさの重要な要素である「口に入れて飲み込む時に喉から鼻に抜ける香り」を分析できる特徴があり、日本油化学会主催の第18回基準油脂分析法セミナーとフレグランスジャーナル社主催の第19回アロマ・サイエンス・フォーラムにてMS Nose®の技術的特徴と食品への応用について講演を行いました。

サイコメトリクスの活用につきましては、研究成果が国際学術雑誌に掲載されました。

“Mental representation of domestic cooking operations among Japanese consumers”

International Journal of Gastronomy and Food Science 13(2018) 38-46