第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

《ミッション(使命・存在意義)》

くらしを見つめ、人々に心の満足を提供する

 

《ビジョン(目指す姿)》

私たちは地球の恵みを活かしたものづくりと、

卓越した物流サービスを通じて、

豊かな食生活と健康を支えつづけます。

 

《ニチレイが大切にする価値観~日々の行動や意思決定の規準~》

① お客様第一、安全第一、品質第一を貫く

お客様本位に徹するとはお客様との長期的な信頼の構築に努めることであり、その実現過程では安全第一、品質第一を貫かなくてはならない。この価値観は、ニチレイグループにおけるすべての事業活動の根幹である。

 

② 健全な利益を追求する

不公正・不当な利益は一切評価しない。コンプライアンスに違反する行為は、いとも簡単に事業継続を困難にし、企業の存続そのものを危うくする。ひとたび信頼を失えば、回復には途方もない時間がかかることを胸に深く刻み、フェアな競争に徹しなければならない。

 

③ 透明性の高い経営を推進する

すべてのステークホルダーから信頼されるため、誠実かつ公平な情報開示により説明責任を十分に果たして透明性の高い経営を推進し、企業価値を継続的に高めていく。

 

④ 持続可能な社会の実現に取り組む

食と健康を支える企業として、常に人々のくらしと未来を見据えて社会課題の解決に貢献するとともに、経済的・社会的・環境的側面に配慮しながら事業活動に取り組み、持続可能な社会の実現を目指していく。

 

⑤ 変革と創造に挑戦する

自由闊達な組織風土の中で失敗を恐れることなく、自己変革と新たな価値の創造に挑戦していく。

 

 

CSR基本方針“ニチレイの約束”~持続可能な社会の実現に向けて~

ニチレイグループは、食と健康を支える企業として事業活動を通じて新たな顧客価値を創造し、社会課題の解決に貢献します。また、経済的・社会的・環境的側面に配慮しながら事業活動に取り組み、その活動をステークホルダーの皆様に広く公表し、理解と対話を深めてまいります。

 

新たな顧客価値の創造

新たな商品やサービスを創り出し、事業を通じてお客様及び社会の課題を解決します

安全な商品とサービスの提供

高い品質と安全性を実現し、お客様の信頼を獲得します

持続可能なサプライチェーンの構築

持続可能なサプライチェーンの構築に努めます

環境負荷の低減

地球環境に配慮し、環境負荷を低減します

社会との共生

社会と地域コミュニティの一員として共に考え、行動します

働きがいの向上

働く人の多様性を尊重するとともに、個々の能力を最大限に発揮し活き活きと働ける環境を実現します

コーポレートガバナンスの充実

適切な資源配分や意思決定の迅速化に努め、公正かつ透明性の高い経営を推進します

コンプライアンスの徹底

ニチレイグループが事業を展開する各国の法令と社会規範を遵守し、倫理性を高めます

 

(2) 中期的な経営戦略、目標とする経営指標、経営環境及び対処すべき課題

 グループ中期経営計画「WeWill 2021」(2019年度~2021年度)の2年目にあたる2020年度は、新型コロナウイルス感染症が世界中で猛威を振るった年となりました。外食向け販売の減少などにより売上高は減収となりましたが、巣ごもり消費に関連した商品・サービスの提供やコストマネジメントの徹底などにより営業利益は増益となりました。一方、海外事業の規模拡大や水産事業の収益力向上に引き続き課題を残しました。

 計画最終年度にあたる2021年度は、コロナ禍の影響継続に加え、原材料費や労働力不足に伴う人件費や物流費などのコスト上昇の影響もあり、厳しい事業環境となることが想定されますが、変化に対応した経営施策の着実な遂行により、「持続的な利益成長」と「豊かな食生活と健康を支える新たな価値の創造」の実現を目指してまいります。

 2021年度の連結業績は、売上高6,000億円、営業利益350億円を目指します。

 

① 全体戦略、財務戦略及びセグメント別の事業計画

《全体戦略》

 コロナ禍によって生じた人々の生活様式や価値観の変化に対応し、伸長する業態や新たな市場の開拓に経営資源を振り向けるとともに、加工食品事業と低温物流事業を中心に成長及び基盤強化に向けた設備投資を実施してまいります。

 新型コロナウイルス感染症への対応については、従業員の安全と健康を確保した上で事業を継続し、食のインフラを担う当社グループとしての責務を果たしてまいります。

 ・国内では経営基盤の強化や事業構造変革により収益力を向上する。

 ・海外では事業規模拡大を加速する。

 ・中長期を見据えた新規事業開発・研究開発への取組みを強化する。

 ・デジタル技術やデータ活用により、業務プロセスの変革や新たな価値の創造に取り組む。

 ・事業を通じて社会課題を解決し持続可能な社会の実現に貢献する。

 ・働き方改革・健康経営や多様な人材の活躍推進に注力する。

《財務戦略》

 営業キャッシュ・フローと資産流動化により創出された資金は、企業価値の維持向上のための投資と配当や自己株式の取得を通じた株主還元に振り向けます。

 株主還元については、連結自己資本配当率(DOE)を基準として安定的な配当を継続するとともに、資本効率や市場環境などを考慮のうえ自己株式の取得を機動的に実施することを基本方針とします。

 ・連結自己資本当期純利益率(ROE)は10%以上を維持する。

 ・連結自己資本配当率(DOE)3.0%を目安に配当を実施する。

《セグメント別の事業計画》

(イ)加工食品事業

 ・部門横断のマーケティング機能の強化などを通じて業態ごとの変化するニーズを捉え、伸長する需要を取り込むとともに、新たな事業機会を創出

 ・技術差別化と新たな価値の提供の実現に向けて、カテゴリーごとの商品開発力・研究開発力を強化

 ・北米を中心とした海外事業の規模拡大

(ロ)水産・畜産事業

 ・水産事業では加工品の取扱拡大や業態ごとのニーズを捉えた販売の強化など、畜産事業では需給バランスに沿った調達と販売や差別化商品の販売強化などを通じた、市況変動の影響を受けにくい収益体制の構築

(ハ)低温物流事業

 ・大都市圏の主要保管拠点及び地方での運送機能の最大活用による収益拡大

 ・庫内作業のデジタル化や省力化・省人化の推進及び適正料金の収受などを通じた各種コスト上昇への対応

 ・新設キョクレイ本牧物流センターの早期安定稼働及び自動運転フォークリフトなどの先端技術の活用推進

 ・オランダロッテルダム新拠点の立ち上げによる港湾地区の事業基盤強化などを通じ、欧州を中心とした海外事業の規模拡大

(ニ)不動産事業

 ・既存賃貸ビルのリニューアルによる安定収益の確保

(ホ)バイオサイエンス事業

 ・次世代の診断薬・診断装置の開発と海外事業の基盤構築

 

② 品質保証力の向上

「食の安全・信頼」の実現のため、国際規格の導入、品質・安全性評価に関する技術の高度化などの取組みを強化し、グループ全体の品質保証力の向上を図ります。

 

③ 社会課題解決への取組み

長期経営目標「2030年の姿」を実現していくにあたり、社会課題の解決を軸とした持続的成長と、ESG課題への対応を両立すべく、重点的に取り組むべき5項目をグループ重要事項(マテリアリティ)として2020年に設定しました。グループ重要事項の5項目「食と健康における新たな価値の創造」「食品加工・生産技術力の強化と低温物流サービスの高度化」「持続可能な食の調達と資源循環の実現」「気候変動への取り組み」「多様な人財の確保と育成」を軸に、今後測定可能な目標を設定の上、施策を遂行しながら、当社グループの経営を推進してまいります。

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、本項において将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末(2021年3月31日)現在において判断したものであります。

 

(1) 経済状況及び事業環境について

<リスク>

国内市場では、世帯構成・ライフスタイルの変化を背景とした時短ニーズの増大や消費形態の多様化の傾向に、新型コロナウイルス感染症の影響も加わり、新たな需要が生まれることが見込まれますが、その一方、本格的な人口減少に伴い長期的に総需要の縮小が懸念されます。海外市場においては、経済成長や事業環境の変化を背景とし、地域ごとに異なる様々な食と健康に関わるニーズの拡大が見込まれます。また、持続可能な社会の実現に向けて、企業に対する社会的な期待と要請は一層多様化、高度化しています。

<対応・取組み>

こうした環境の変化に対応するため、当社グループでは、食と健康を支える幅広い事業でイノベーションを推進してお客様及び社会の課題を解決する新たな価値を創造し、人々の豊かな食生活と健康に貢献することを目指しております。

 

(2) 新型コロナウイルス感染症の影響について

<リスク>

当社グループは「食」の事業領域において、家庭用・業務用それぞれに向けた商品・サービスの提供を行っておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響により、外食産業向け需要が低迷しております。

今後世界的な感染が拡大し、更なる世界経済の停滞やサプライチェーンの混乱、当社グループ内での感染者発生による事業活動中断、国際的な労働者の移動制限による労働力不足などが発生した場合、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

<対応・取組み>

外食産業向け需要が落ち込む一方で、伸長する「巣ごもり消費」に関連した商品・サービスの需要の取込みや、人々の生活様式や価値観の変化に伴う新たな事業機会の創出について、対応・取組みを進めております。

当社グループでは、手洗い・マスク着用の徹底や出張の制限、在宅勤務の実施などの各種感染症対策を実施し、従業員の健康と安全を最優先しながら、人々の食と健康を支える使命を果たし続けてまいります。

 

(3) 食品に関する品質問題について

<リスク>

当社グループでは、食品の製造・販売を行っており、衛生リスク、農薬・動物用医薬品残留基準超過、異物混入、特定家畜伝染病(鳥インフルエンザ、アフリカ豚熱、口蹄疫等)など、食品に関する品質問題が発生する可能性があります。

当社グループが販売した商品において品質問題が発生した場合、その危害性と拡散性などから総合的に判断し適切な対応を行いますが、想定を超える大規模な商品回収等が発生した場合には、当社グループの社会的信用が毀損するとともに、業績に重大な影響を与える可能性があります。

また、当社グループ以外で食品に関する重大な品質問題が発生した場合においても、加工食品事業及び水産・畜産事業における商品・原材料の安定的な調達・販売に支障をきたす恐れ、あるいは食品輸入量の大幅な減少により低温物流事業における物流センターの稼働率が低下する恐れがあります。

<対応・取組み>

当社グループでは、お客様に信頼される商品とサービスの提供を目指し、商品開発から原材料調達、生産、販売まで一貫した品質保証体制の強化に努めております。適切な原材料・商品の品質・生産管理、トレーサビリティシステムの構築、フードディフェンスの取組み、要員の育成・適正配置など、食品の「安全・安心」の確保を最優先課題として取り組んでおります。

 

 

(4) 多様な人材の確保及び育成等について

<リスク>

当社グループが持続的な成長を実現していくためには、多様で優秀な人材を確保・育成し、その能力を最大限に発揮することが重要です。しかしながら、国内においては少子高齢化に伴う労働力不足への対応が課題となっております。労働力不足を含む雇用情勢の変化や人材の流動化などにより、必要な人材の確保や育成が計画通り行えなかった場合、当社グループの事業運営に影響を与える可能性があります。

<対応・取組み>

当社グループでは、多様な働き方の実現や健康経営の推進、オフィスや生産工場・物流センターにおけるオペレーション業務の自動化・省力化・省人化といった働く環境の整備や生産性の向上に取り組んでおります。健康経営においては、ニチレイ健康推進センターを中心にがん検診等を含む健康診断の事後措置の徹底やヘルスリテラシー向上施策を実施し、2年連続で健康経営銘柄に選定されました。人材育成においては、企業経営理念の理解・浸透や能力開発・能力発揮のための機会の提供等、人的資本への投資に努めております。

 

(5) 情報セキュリティについて

<リスク>

当社グループでは、事業運営を行う上で様々なシステムを使用し、また、多くの重要情報を取り扱っておりますが、運用上のトラブルやサイバー攻撃などによりシステムが停止したり、重要情報が改ざんされたりするなど、業務運営に支障をきたす恐れ、あるいはコンピュータウイルスや情報端末の管理不備等により、当社グループ外部へ重要情報の漏洩が発生する恐れがあります。これらシステム上のトラブルや情報漏洩が発生した場合、対応費用や社会的信用の低下などにより、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

<対応・取組み>

当社グループでは、外部からの攻撃に対してファイアウォールや侵入検知システム、適切な認証システムの整備などの技術上の対策を行うとともに、情報セキュリティに関する規程類の整備や、eラーニング等による従業員への教育などを行い、情報システムの適切な管理体制の構築に努めております。

 

(6) 商品や原材料等の価格変動について

<リスク>

当社グループが取り扱う商品や原材料には畜産品(鶏肉等)や水産品など、市況や作柄により価格が大きく変動するものがあります。コスト上昇分がコストダウン施策により吸収しきれない場合や競争激化などにより価格改定が進まない場合、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

<対応・取組み>

加工食品事業では、配合技術・生産効率の向上による継続的な製造原価の低減や提供価値を高めた商品の開発、水産・畜産事業では、需給バランスに沿った調達・販売、及び相場変動の影響を受けにくい加工品の取扱拡大や差別化商品の販売強化などに努めております。

 

(7) 原油価格等の変動について

<リスク>

当社グループでは原油価格等の高騰が、電力料、軽油・重油等燃料調達費用、商品・原材料の調達コストなどの増加につながります。これらの価格上昇をコストダウンで吸収できない場合、また価格改定が進まない場合、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

<対応・取組み>

当社グループでは、新技術の導入や業務改善等により継続的な原価低減に努めております。

 

(8) 為替変動の影響について

<リスク>

当社グループは、主要事業において商品や原材料の一部を海外より調達しているため、また海外に子会社を保有しているため、為替変動の影響を受けます。当社グループの業績に影響を与える通貨としては、米国ドル、タイバーツ、ユーロなどがあります。予測を超えた急激な為替レートの変動があった場合、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

<対応・取組み>

為替予約取引を実施するなど、為替変動による業績への影響を最小限にとどめるよう努めております。

 

(9) 法規制等の変更について

<リスク>

当社グループは、国内で事業を遂行していくうえで、食品衛生法、倉庫業法、貨物利用運送事業法、医薬品医療機器等法、独占禁止法、個人情報保護法、労働法、環境法令など様々な法規制の適用を受けており、また海外事業においても当該国での法規制等の適用を受けます。

今後予期し得ない法規制等の改正・新設やソフトローによる規制の強化等により事業活動が制限され、対応のための費用負担等が発生した場合、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

<対応・取組み>

当社グループでは、CSR基本方針「ニチレイの約束」に基づき、コンプライアンスを徹底するとともに、各国・地域の法規制等の動向に十分な注意を払い、情報収集に努めております。特に、環境・社会に関わる法規制等の変更については((10)(11)に一部記載)、リスクと機会の両面から喫緊の課題と認識し、対応を進めております。

 

(10) 持続可能な食の調達について

<リスク>

「地球の恵みを活かしたものづくり」をビジョンに掲げる当社グループにとって、環境や人権に配慮した持続可能な食の調達は、事業の根幹であり、顧客価値の提供と当社グループの成長に直結しています。サプライチェーン上の人権や労働環境への配慮、天然水産資源の管理、食品ロスの削減、海洋プラスチック問題の解決などは、社会的な要請としてますます高まっており、今後法規制等の改正・新設やソフトローによる規制の強化等が行われる可能性があります。取組みが不十分な場合、あるいは取組みが不十分と見なされた場合、原材料等の安定調達に支障を来たすだけでなく、社会的信用の毀損や対応費用が発生し、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

<対応・取組み>

当社グループでは、持続可能な食の調達に向け、MSC・ASC認証水産物の取扱い、持続可能なパーム油の調達、循環型農畜産の養鶏事業等に取り組んでおります。

 

(11) 気候変動について

<リスク>

脱炭素社会移行の動きが加速する中、企業には大幅な温室効果ガスの排出削減や脱炭素化に向けた取組みが求められており、炭素税の賦課など、これを促進するための政策や規制強化が想定されます。冷凍・冷蔵技術を基盤とし、電力を中心にエネルギーを消費する当社グループにとって、CO2等排出削減の取組みが遅れた場合、その対応費用が増加する可能性があります。また、異常気象の発生により、原料調達先、生産、物流などのサプライチェーンに影響が出た場合には、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

<対応・取組み>

当社グループでは、気候変動に対する取組みとして、高効率設備の導入などの省エネルギーの取組みを実施し、フロン冷媒から自然冷媒等への切り替えを進めるとともに、太陽光発電設備の導入やグリーン電力証書の購入などのCO2を排出しない再生可能エネルギーの活用を合わせて行っております。また、気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に準じた継続的な気候変動の影響の評価及びその情報開示を行ってまいります。

 

(12) 大規模自然災害について

<リスク>

巨大地震や近年増加傾向にある局地的な暴風雨などにより、当社グループの拠点及び近隣の道路・港・鉄道などに甚大な被害が発生した場合、あるいは市場の縮小、サプライチェーンの寸断、営業活動の制限が引き起こされた場合、その復旧までに長期間事業活動が停止し、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

<対応・取組み>

当社グループは、大規模自然災害への対策として、耐震補強工事や非常用発電機の配備などを進めるとともに、グループ全体では従業員安否確認システム、防災マニュアル・事業継続計画(BCP)の整備、データセンターの複数拠点化などを実施しております。

 

(13) 技術革新について

<リスク>

デジタル技術やフードテックの急速な進展など、技術革新によって予測できない事業環境の変化が起こり、当社グループの持つ技術や提供する商品・サービスの競争力が低下した場合、当社グループの業績に重大な影響が生じる可能性があります。

<対応・取組み>

当社グループでは、食と健康の分野において、デジタル技術やデータ活用による業務プロセスの変革や様々なイノベーションに取り組んでおります。ISO56002に基づいたイノベーションマネジメントシステム(IMS)を構築し、運用しております。

 

(14) 固定資産の保有について

<リスク>

当社グループは、国内外に物流センターや生産工場を多数保有しております。また、海外事業や新規事業の展開に伴う出資などに伴い、のれんや投資有価証券を保有する場合があります。今後、物流センターでは荷主企業の移転や道路交通網の変化による立地条件の悪化、生産工場では設備の老朽化・陳腐化や販売不振による拠点再編、のれんや投資有価証券については出資時の事業計画からの乖離が生じた場合などにおいては、収益悪化影響に加え、固定資産の減損や評価減、あるいは処分などにより、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

<対応・取組み>

当社グループでは投資案件ごとのPDCAサイクルを導入しており、投資起案時の検討項目や事後検証ルールを明確化し、適正に運用しております。

 

(15) 政策保有株式について

<リスク>

当社グループは政策保有株式を保有しておりますが、今後の経済環境や企業収益の動向により当該株式の時価や発行会社の財政状態が大幅に変動した場合、自己資本が毀損するなど、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

<対応・取組み>

個別の銘柄ごとに中長期的な経済合理性等を検証し、保有意義が薄いと判断する株式は売却しております。検証にあたっては、取引上の利益・配当金等の便益やリスクが資本コストに見合っているかを個別に精査したうえで、戦略的な重要性等の定性的評価も勘案し総合的に判断しております。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営成績等の状況の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

① 経営成績の状況及び分析等

当期における世界経済は、新型コロナウイルス感染拡大により急速に落ち込んだことから、各国政府は大規模な財政出動により景気の下支えを図ってきました。また、わが国経済においても、企業業績の二極化が進むなか、感染の再拡大により経済活動への懸念が広がり、景気の先行きは依然として不透明な状況が続きました。

食品関連業界では、外出自粛により外食需要が低迷する一方、巣ごもり消費による内食・中食需要が高まるなど、食生活のスタイルに大きな変化が生じ、これらの変化を見据えた業態転換を模索する動きが見られました。また、労働力不足や新型コロナウイルス感染防止に対応すべく、先端技術を活用した自動化や省人化へ向けた動きも加速しました。

当社グループは、生活を支える社会的基盤として、従業員を含むサプライチェーン上の安全に十分配慮したうえで企業活動を行い、経営環境の変化を的確に捉えながら「持続的な利益成長」と「豊かな食生活と健康を支える新たな価値の創造」の実現に向けた施策に取り組みました。

加工食品事業では、拡大する家庭内での喫食需要の取り込みや生活者ニーズの変化を捉えた新たな需要創造に向けた商品開発や販売活動に注力するとともに、継続的な生産性改善とコストダウンに努めました。低温物流事業では、巣ごもり消費に伴う物流需要を着実に取り込むとともに、運送効率向上や庫内作業デジタル化などの業務革新に取り組みました。

この結果、グループ全体の売上高は、外食向け販売の減少などにより、5,727億57百万円(前期比2.1%の減収)となりました。利益面では、経費抑制や業務効率化に加え、低温物流事業が伸長したことで、営業利益は329億49百万円(前期比6.2%の増益)となり、経常利益は335億32百万円(前期比5.5%の増益)となりました。

特別利益は8億70百万円となる一方、特別損失は、その他の事業のバイオサイエンス事業においてのれんの減損損失を計上したことなどにより総額は27億99百万円となりました。

以上により、親会社株主に帰属する当期純利益は212億12百万円(前期比8.2%の増益)となりました。

 

 

[連結経営成績]

(単位:百万円)

 

当期

前期比

増減率(%)

売上高

572,757

△12,100

△2.1

営業利益

32,949

1,913

6.2

経常利益

33,532

1,754

5.5

親会社株主に帰属する当期純利益

21,212

1,602

8.2

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

(単位:百万円)

 

売上高

営業利益

(セグメント)

当期

前期比

増減率(%)

当期

前期比

増減率(%)

 加工食品

225,450

△9,331

△4.0

17,167

441

2.6

 水産

63,095

△2,676

△4.1

521

78

17.8

 畜産

84,099

△4,228

△4.8

1,298

392

43.4

 低温物流

212,320

5,824

2.8

13,084

1,259

10.7

 不動産

4,646

△319

△6.4

2,017

35

1.8

 その他

4,899

△781

△13.8

△325

△44

 調整額

△21,753

△587

△814

△250

合  計

572,757

△12,100

△2.1

32,949

1,913

6.2

 

(イ) 加工食品事業

《業界のトピックス》

加工食品業界では、ライフスタイルの変化が新常態として定着するなか「食」へのニーズが急速に変化し、外食向けは低迷する一方で、簡便調理食品や惣菜などの販売が引き続き堅調に推移しました。

 

《業績のポイント》

中食需要は引き続き好調に推移し、家庭用はチキン加工品や米飯類などの主力カテゴリーを中心に販売が拡大しました。一方、外食需要が低迷したことから業務用は苦戦し、加工食品事業全体では減収となりました。営業利益は経費の抑制や海外子会社の業績が寄与し増益となりました。

 

(単位:百万円)

 

当期

前期比

増減率(%)

売上高  計

225,450

△9,331

△4.0

 

家庭用調理品

70,318

5,486

8.5

 

業務用調理品

86,821

△12,713

△12.8

 

農産加工品

19,981

183

0.9

 

海外

34,844

3

0.0

 

その他

13,485

△2,291

△14.5

営業利益

17,167

441

2.6

(注)海外は2020年1月から2020年12月までの累計期間

 

家庭用調理品

家庭内での喫食機会が増加するなか、生産能力増強や積極的な販売促進活動などにより、カテゴリー内で売上No.1の「本格炒め炒飯」や「特から」を中心に引き続き販売数量を伸ばしました。また、「極上ヒレかつ」などの新商品も寄与しました。

 

業務用調理品

巣ごもり消費拡大に合わせ、テイクアウト・デリバリー等に向けたきめ細かな提案や量販店惣菜向けなどへの販売強化に努めたものの、外食向けを中心に販売が減少しました。

 

農産加工品

家庭内での調理機会の増加に伴い、ブロッコリーやナスなど「そのまま使える」シリーズなどの家庭用商品が好調に推移し、業務用商品の落ち込みをカバーしました。

 

海外

米国子会社のInnovAsian Cuisine Enterprises社において、需要が増加する家庭用主力商品の調達先を拡大したことなどにより、取扱いが伸長しました。一方、海外全体では円高による為替換算影響を受け前期並みとなりました。

 

(ロ) 水産事業

《業界のトピックス》

世界的に水産品への需要は高い水準を維持しており、調達環境は厳しさを増しています。一方、日本国内では消費者の魚食離れが進み市場が縮小するなか、業界内での競争が激化しています。

 

《業績のポイント》

主力の「えび」を中心に外食・中食向けの販売が減少しましたが、需要が旺盛な内食向けの「たこ」や「魚卵」の販売に注力し、採算が改善したことにより増益となりました。

 

(ハ) 畜産事業

《業界のトピックス》

トウモロコシなど穀類相場の高騰で配合飼料の供給価格が上昇し、畜産物の調達価格に影響がありました。また国産鶏肉では、内食需要の高まりにより消費が拡大するなか、国内で発生した疾病による供給不安の影響もあり、相場は上昇傾向で推移しました。

 

《業績のポイント》

外食・中食向けの輸入品の取扱いが減少しましたが、生協・量販店向けの国産品や加工品の販売拡大に注力したことに加え、豚肉の採算が改善したことなどにより増益となりました。

(ニ) 低温物流事業

《業界のトピックス》

業務用輸入商材などの取扱いが減少し、冷蔵倉庫の庫腹は緩和傾向となりました。また、巣ごもり消費拡大による量販店向け配送業務などが増加しました。

 

《業績のポイント》

外食など一部の業態向けの取扱いが減少したものの、物流ネットワーク事業におけるTC(通過型センター)事業が好調に推移したことにより増収となりました。営業利益は、増収効果や経費抑制により増益となりました。

 

(単位:百万円)

 

売上高

営業利益

当期

前期比

増減率(%)

当期

前期比

増減率(%)

国内小計

172,181

6,818

4.1

12,075

1,194

11.0

 

物流ネットワーク

102,827

1,918

1.9

5,119

969

23.4

 

地域保管

69,353

4,900

7.6

6,956

224

3.3

海外

36,544

△1,027

△2.7

1,410

172

14.0

その他・共通

3,594

32

0.9

△401

△107

合計

212,320

5,824

2.8

13,084

1,259

10.7

(注)1 海外は2020年1月から2020年12月までの累計期間

   2 地域保管事業に物流ネットワーク事業の業務を一部統合

 

国内

巣ごもり需要により量販店向けTC事業や家庭用冷凍食品などの保管貨物の取扱いが好調に推移しました。また、業務革新のモデルセンターと位置付ける、名古屋みなと物流センター(2020年4月新設)が安定稼働しました。利益面では増収効果に加え、経費抑制や業務効率化に努めたことなどにより大きく伸長しました。

 

海外

欧州地域において量販店向け物量は増加しましたが、果汁貨物や外食向け配送業務などの取扱いは低迷しました。利益面では量販店向け業務の作業効率向上や車両調達コストの減少などにより増益となりました。

 

(ホ) 不動産事業

《業績のポイント》

主力である賃貸オフィスビル事業において、一部の大規模リニューアル工事により減収となりましたが、その他の賃貸オフィスビルの収益改善に伴い営業利益は前期並みを確保しました。

 

(ヘ) その他の事業

《業績のポイント》

その他の事業のうち、バイオサイエンス事業は、インフルエンザの流行が例年に比べ大幅に縮小したことから迅速診断薬の販売に苦戦し減収となりました。また、米国子会社の業績が低迷し減益となりました。

 

② 財政状態及びキャッシュ・フローの状況及び分析等

(イ) 財政状態の状況及び分析等

(単位:百万円)

 

前連結会計年度末

当連結会計年度末

比較増減

〔資産の部〕

 

 

 

流動資産

170,308

169,572

△735

固定資産

219,696

236,146

 16,450

資産合計

390,004

405,719

15,714

〔負債・純資産の部〕

 

 

 

流動負債

108,419

108,506

86

固定負債

90,196

86,786

△3,409

負債合計

198,615

195,293

△3,322

うち、有利子負債

(リース債務を除く)

96,351

(80,669)

96,423

(80,757)

71

(87)

純資産合計

191,388

210,426

19,037

(うち自己資本)

(184,504)

(203,325)

(18,821)

D/Eレシオ(倍)

(リース債務を除く)

0.5

(0.4)

0.5

(0.4)

△0.0

(△0.0)

(注)D/Eレシオの算出方法:有利子負債÷純資産

 

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末より157億円増加し、4,057億円となりました。このうち流動資産は、現金及び預金が増加した一方、未収法人税等が減少したことにより7億円減少し、1,695億円となりました。また、固定資産は、主力事業の収益基盤拡大に向けた設備投資による有形固定資産の増加に加え、投資有価証券の時価評価額が増加したことにより164億円増加し、2,361億円となりました。

 負債合計は、前連結会計年度末より33億円減少し、1,952億円となりました。このうち固定負債は、長期借入金の一部が1年内返済予定となったことにより34億円減少し、867億円となりました。なお、有利子負債は71百万円増加し、964億円となりました。

 純資産合計は、前連結会計年度末より190億円増加し、2,104億円となりました。このうち自己資本は、親会社株主に帰属する当期純利益212億円の計上と配当金57億円の支払いの結果、利益剰余金が154億円増加したことにより188億円増加し、2,033億円となりました。

 

 

(ロ) キャッシュ・フローの状況及び分析等

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

比較増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

39,441

45,453

6,012

投資活動によるキャッシュ・フロー

△24,300

△32,213

△7,912

財務活動によるキャッシュ・フロー

△10,225

△10,709

△483

フリーキャッシュ・フロー

15,140

13,240

△1,899

 

営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期比で60億円増加し、454億円の収入となりました。経常利益は335億円、減価償却費は196億円を計上し、営業資金(売上債権・たな卸資産・仕入債務)の支出や法人税等の支払い35億円などによるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期比で79億円減少し、322億円の支出となりました。有形固定資産の取得による支出285億円や無形固定資産の取得による支出21億円などによるものです。

財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期比で4億円減少し、107億円の支出となりました。配当金の支払い57億円やリース債務の返済による支出38億円などによるものです。

以上の結果、当期末における現金及び現金同等物の残高は280億円となりました。
 

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成しております。連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える主な会計上の見積りは以下のとおりであり、継続して合理的に評価しております。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 追加情報」をご参照ください。

なお、見積り及び判断・評価については、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。

(イ)たな卸資産

たな卸資産の評価方法については、「第5 経理の状況」の注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)4.会計方針に関する事項をご参照ください。

 

(ロ)有形固定資産及び無形資産

有形固定資産及び無形資産については、管理会計上の区分や投資の意思決定を行う際の単位や事業の相互補完性等を考慮して合理的にグルーピングを行い、当該資産グループ単位で減損の兆候を把握しております。減損の兆候がある資産グループについては、その資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には減損を認識し、帳簿価額を回収可能価額まで減額して減損損失を計上しております。当該方法では将来キャッシュ・フロー、割引率など多くの見積り・前提を使用しておりますが、将来キャッシュ・フローは企業に固有の事情を反映した合理的で説明可能な仮定及び予測に基づき、また、割引率は当該資産グループに固有のリスク、当社グループに要求される資本コスト、当該資産グループに類似した固有のリスクを反映した市場平均と考えられる合理的な収益率などを総合的に勘案して、それぞれ見積りを行っております。

 

(ハ)有価証券

投資有価証券の評価方法については、時価のある有価証券については市場価格等に基づく時価法を、時価のない有価証券については原価法を採用しております。投資有価証券のうち、時価のあるものについては、決算日現在の時価が取得原価に比べて40%以上下落した場合には回復可能性が明らかな場合を除き、また、30%以上40%未満下落した場合には回復可能性がないと認められる場合に減損処理を行っております。時価のないものについては、発行会社の財政状態の悪化により、実質価額が取得原価に比べて50%以上下落した場合には回復可能性が明らかな場合を除き減損処理を行っております。

 

(ニ)繰延税金資産

繰延税金資産は将来減算一時差異、税務上の繰越欠損金及び繰越税額控除のうち、将来課税所得に対して利用できる可能性が高く税金負担額を軽減することができると認められる範囲内で計上しております。また、繰延税金資産は毎期見直しており、将来減算一時差異、税務上の繰越欠損金及び繰越税額控除の全部又は一部が将来の税金負担額を軽減する効果を有さなくなったと判断した場合、計上していた繰延税金資産のうち回収可能性がない金額を取り崩しております。

 

(ホ)貸倒引当金等の引当金

貸倒引当金等の重要な引当金の計上基準は、「第5 経理の状況」の注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)4.会計方針に関する事項をご参照ください。

 

(ヘ)資産除去債務

資産除去債務の計上基準は、「第5 経理の状況」の注記事項(資産除去債務関係)をご参照ください。

 

(ト)販売促進費等

商品の販売促進の目的で当社が取引先に負担する費用の一部(以下、販売促進費等)については、販売促進費等が取引条件の決定時に考慮され実質的に販売価格を構成する一部と捉えられることから、販売促進費等の支払実績に基づき合理的に見積り、売上計上時に売上高から控除して計上しております。

 

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

詳細につきましては、「2  事業等のリスク」をご参照ください。

 

⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

(イ) 資源配分の基本的方針

様々な課題に対応しながら成長と事業基盤強化のための投資を積極的に行うことに加えて、持続可能な社会の実現に向けた取り組みにも配分してまいります。そのために必要な資金を効率的かつ安定的に調達できるよう、資本効率性・成長性・健全性を考慮しながらバランスの取れた資本構成を維持します。資本効率性はROEとREP(資本コスト控除後の利益)、成長性は売上高とEBITDA、健全性はD/E比率、と各々目標とする経営指標を設定し、四半期ごとに外部環境の変化や事業計画の進捗をモニタリングしております。

株主への還元については、連結自己資本配当率(DOE)を基準として安定的かつ継続的な配当を実施するとともに、資本効率や市場環境などを考慮のうえ自己株式の取得を実施することを基本方針としております。

 

(ロ) 資金需要と資金調達方法

運転資金需要のうち主なものは商品及び原材料の購入費、製造費、低温物流センターの運営費、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、設備投資資金需要のうち主なものは食品生産設備や低温物流設備の購入・建設費用等であります。

当社グループは国内連結子会社を含めたキャッシュマネジメントシステム(CMS)を導入しており、運転資金及び設備投資資金の調達は、主に当社の借入れ及び社債の発行やグループ各社の事業活動から生じるキャッシュ・フローを資金集中することによる内部資金によっております。

 

(ハ) 財務政策

当社は、グループ企業価値の持続的な向上をめざし、成長と事業基盤強化のための投資に加え、食品安全、環境保全などの社会的ニーズに対応する投資も行ってまいりますが、これら事業の遂行に必要な資金を効率的かつ安定的に調達できるよう、資本効率性・成長性・健全性を考慮しながら、バランスの取れた資本構成を実現します。

営業キャッシュ・フローと資産流動化により創出された資金は、企業価値の維持向上のための投資と配当や自己株式の取得を通じた株主還元に振り向けます。

 

⑥ 中長期的な目標に照らした経営成績等についての分析

詳細につきましては、「1  経営方針、経営環境及び対処すべき課題等  (2)  中期的な経営戦略、目標とする経営指標、経営環境及び対処すべき課題」をご参照ください。

 

(2) 生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

(単位:百万円)

セグメントの名称

前連結会計年度

(自  2019年4月1日

至  2020年3月31日)

当連結会計年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

増減率(%)

加工食品

112,814

110,566

△2.0

水産

9,123

8,527

△6.5

畜産

2,273

2,345

3.2

低温物流

330

318

△3.7

不動産

その他

2,916

2,544

△12.8

合計

127,458

124,302

△2.5

(注)1  生産実績は、相殺消去前の製造総費用によっております。

2  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

② 仕入実績

(単位:百万円)

セグメントの名称

前連結会計年度

(自  2019年4月1日

至  2020年3月31日)

当連結会計年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

増減率(%)

加工食品

63,925

60,869

△4.8

水産

52,041

46,599

△10.5

畜産

74,791

70,051

△6.3

低温物流

152

142

△6.0

不動産

その他

1,368

890

△35.0

合計

192,279

178,553

△7.1

(注)1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

2  「加工食品」、「水産」、「畜産」、「低温物流」及び「その他」の仕入実績は、商品の仕入代金及び引取諸掛等の合計額であります。

3  「不動産」の仕入実績は、商品の仕入代金等であります。

4  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

③ 受注実績

低温物流セグメント(㈱ニチレイ・ロジスティクスエンジニアリング)の受注実績は次のとおりであります。

なお、低温物流セグメント以外では、受注生産は行っておりません。

(単位:百万円)

受注高

受注残高

前連結会計年度

(自  2019年4月1日

至  2020年3月31日)

当連結会計年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

増減率(%)

前連結会計年度

(2020年3月31日)

当連結会計年度

(2021年3月31日)

増減率(%)

2,886

3,929

36.1

514

1,647

220.3

(注)1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

2  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

④ 販売実績

(単位:百万円)

セグメントの名称

前連結会計年度

(自  2019年4月1日

至  2020年3月31日)

当連結会計年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

増減率(%)

加工食品

234,395

225,180

△3.9

水産

65,590

62,987

△4.0

畜産

86,173

81,685

△5.2

低温物流

190,446

195,723

2.8

不動産

3,339

3,077

△7.9

その他

4,912

4,103

△16.5

合計

584,858

572,757

△2.1

(注)1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

2  主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2019年4月1日

至  2020年3月31日)

当連結会計年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

三菱食品株式会社

75,474

12.9

72,991

12.7

3  本表の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

4【経営上の重要な契約等】

資産の賃貸契約

契約会社

賃貸先の名称

住所

契約内容

契約期間

当社

三菱UFJ信託銀行株式会社

東京都

千代田区

一般定期借地権

(東京都中央区築地所在の土地)

2003年6月30日~2052年11月30日

 

5【研究開発活動】

当社グループは、株式会社ニチレイフーズ 研究開発部・技術戦略部(加工食品事業)、株式会社ニチレイロジグループ本社 業務革新推進部(低温物流事業)、株式会社ニチレイバイオサイエンス 研究開発部(その他の事業)及び当社 技術戦略企画部(全社共通)を研究開発部門として、市場の変化に対応した新商品及び新技術の開発並びに新規事業の育成を目指した研究開発活動を行っております。

当連結会計年度の研究開発費は2,403百万円で前期に比べ82百万円減少しました。セグメント別の内訳は、加工食品事業では1,587百万円、低温物流事業は240百万円、その他の事業は397百万円、全社(共通)は178百万円となりました。

 

セグメント別の研究開発活動の状況は次のとおりであります。

(1) 加工食品事業

昨今、世界人口の増加や、多発する異常気候などからくる食糧問題、食料生産効率を踏まえた環境負荷低減への対応、そしてフードダイバーシティや健康意識の高まりなど、様々な観点から動物性たんぱく質の代替素材が注目されています。その候補として、株式会社ニチレイフーズは大豆の先進的な研究をしているDAIZ株式会社(代表取締役社長:井出 剛、以下DAIZ)に対し2020年1月に出資を行いました。DAIZが研究・保有する『発芽大豆』は、素材が持つおいしさと優れた栄養成分を兼ね備える一方で、既存の植物性たんぱく質の課題である「独特な風味」「食味・食感の物足りなさ」を解決できる素材であり、これを活用し冷凍食品における新たな価値を創造すべく、共同で研究開発に取り組んで参りました。当連結会計年度においては、家庭用冷凍食品の「大豆ミートのハンバーグ」を発売致しました。肉を使用せず、大豆ミートを数種類組み合わせることで、肉のような食感や風味、ジューシー感を再現しました。また(ハンバーグにかける)デミグラスソースも肉由来のエキスを使用することなく、当社技術により深みのある味わいに仕上げました。今後は業務用商品やハンバーグ以外のメニューへの展開を図り、健康志向の需要に対し新たな価値提供を継続して参ります。

 

(2) 低温物流事業

物流事業における労働力不足の対策として、作業の省人化、簡易化に資する技術検証、システム開発に取り組んでおります。

作業の省人化では、無人フォークリフトによる庫内作業の実証実験を進めており、冷凍(-25℃)環境下における稼働実験、冷蔵(+7℃)と冷凍ゾーン間の移動実験、有人フォークリフトとの共存実験を開始しました。作業の簡易化では、タブレットを利用した検品、ピッキングシステムの開発を進めております。さらに人工知能を利用した作業タスクマネジメントシステムの研究を進めており、撮影画像からAIを用いて賞味期限を自動で読み取るソリューションの実証実験を終え、実導入を開始しました。

 

(3) その他の事業(バイオサイエンス事業)

分子診断薬、迅速診断薬の開発を行っております。分子診断薬では悪性リンパ腫の診断補助に用いる体外診断用医薬品「ヒストファインシンプルステインMAX-PO(MULTI) ALK」の販売を開始し、同製品を用いた検査が2020年9月1日より保険収載されました。

迅速診断薬では新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗原及びインフルエンザウイルス抗原を同時に検出する迅速診断キットを海外メーカーより導入し、体外診断用医薬品として、2021年2月1日に独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)へ製造販売承認を申請しました。

 

(4) 全社(共通)

各事業の利益貢献を目的とし、各事業における課題に対しての情報提供や分析技術・冷凍技術の提供など幅広い技術的支援を行うとともに、中長期視点での新商品やサービス、新事業創出に資する研究を実施しております。

具体的には、不凍タンパク質(AFP)の実用化を含めた冷凍技術研究、当社独自技術である香り分析装置MS Nose®を活用した「おいしさ研究」、超高齢社会における生活者のニーズを満たす「食と健康」の取組みやそれに対する自社素材の応用研究、生活者の深層心理を探るサイコメトリクスの事業への活用等を、積極的な社外の研究機関との連携を通して行っております。当連結会計年度は株式会社メタジェンとの共同研究において、アセロラのヒト腸内微生物に対する効果を検討し、ビフィズス菌など有益な菌が増加することを確認しました。この内容は2021年3月に開催されました「日本農芸化学会2021年度大会」において発表しました。また、不凍タンパク質(AFP)につきましては、新たな製品開発と研究用試薬としての販売を継続するとともに、新たな用途開発も引き続き行っております。