第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

《ミッション(使命・存在意義)》

くらしを見つめ、人々に心の満足を提供する

 

《ビジョン(目指す姿)》

私たちは地球の恵みを活かしたものづくりと、

卓越した物流サービスを通じて、

豊かな食生活と健康を支えつづけます。

 

《ニチレイが大切にする価値観~日々の行動や意思決定の規準~》

① お客様第一、安全第一、品質第一を貫く

お客様本位に徹するとはお客様との長期的な信頼の構築に努めることであり、その実現過程では安全第一、品質第一を貫かなくてはならない。この価値観は、ニチレイグループにおけるすべての事業活動の根幹である。

 

② 健全な利益を追求する

不公正・不当な利益は一切評価しない。コンプライアンスに違反する行為は、いとも簡単に事業継続を困難にし、企業の存続そのものを危うくする。ひとたび信頼を失えば、回復には途方もない時間がかかることを胸に深く刻み、フェアな競争に徹しなければならない。

 

③ 透明性の高い経営を推進する

すべてのステークホルダーから信頼されるため、誠実かつ公平な情報開示により説明責任を十分に果たして透明性の高い経営を推進し、企業価値を継続的に高めていく。

 

④ 持続可能な社会の実現に取り組む

食と健康を支える企業として、常に人々のくらしと未来を見据えて社会課題の解決に貢献するとともに、経済的・社会的・環境的側面に配慮しながら事業活動に取り組み、持続可能な社会の実現を目指していく。

 

⑤ 変革と創造に挑戦する

自由闊達な組織風土の中で失敗を恐れることなく、自己変革と新たな価値の創造に挑戦していく。

 

ニチレイグループ サステナビリティ基本方針「ニチレイの約束」~持続可能な社会の実現に向けて~

ニチレイグループは、地球環境・地域社会に及ぼす影響に配慮し、人権を尊重しながら、食の「調達」「生産」「物流」「販売」などの事業活動を通じて新たな価値を創造し、社会課題の解決に取り組みます。そして、これらの活動をステークホルダーの皆様に広く公表し、対話を深めながら、持続可能な社会の実現に向けて、豊かな食生活と健康を支える企業としての責任を果たしていきます。

 

新たな価値の創造

新たな商品やサービスを創り出し、事業を通じてお客様および社会の課題を解決します

安全で高品質な商品

とサービスの提供

多様なニーズにこたえ、高い品質と安全性、安定した供給を実現し、お客様と社会からの信頼を獲得します

持続可能なサプライチェーンと循環型社会の実現

継続的で良好なパートナーシップの構築を通じ、環境や人権・労働環境に配慮した、倫理的で持続可能なサプライチェーンと循環型社会の実現を目指します

気候変動への取り組みと

生物多様性の保全

温室効果ガス排出削減、食資源や水資源の適切な管理などを通じ、地球環境と生物多様性の保全に努めます

社会との共生

社会の一員として、ステークホルダーと広く対話し、共に考え、行動することで、地域の発展や社会課題の解決に貢献します

人財の多様性の尊重と

働きがいの向上

働く人の多様性を尊重するとともに、労働安全衛生の確保、公正な処遇、能力開発機会の提供に努め、個々の能力を最大限に発揮できる環境を実現します

コーポレートガバナンス

の充実

適切な資源配分や意思決定の迅速化に努め、対話と情報開示を通じて、公正で透明性の高い経営を推進します

コンプライアンスの徹底

事業を展開する各国の法令の遵守、国際的な規範の尊重および企業倫理の徹底により、誠実な企業活動を実践します

 

(2) 中期的な経営戦略、目標とする経営指標、経営環境及び対処すべき課題

 2022年度から2024年度の3年間を対象とするグループ中期経営計画「Compass Rose 2024」を策定しました。本計画では、これまでのCSR基本方針を刷新したサステナビリティ基本方針に基づく事業活動を通じて、社会課題の解決と資本効率の追求に取り組むことでニチレイグループの持続的な企業価値の向上を目指してまいります。

 

① 前中期経営計画(2019年度~2021年度)の振り返り

 前中期経営計画「WeWill 2021」では、加工食品事業と低温物流事業を中心とした設備投資の実施により成長に向けた基盤強化を図るとともに「グループ全体での持続的な利益成長」「資本効率の向上と株主還元の充実」「豊かな食生活と健康を支える新たな価値創造」に取り組みました。加工食品事業においては主力カテゴリーへの集中投資等による売上高の拡大を実現し、また低温物流事業においては事業環境変化に即応した基盤強化によって安定した事業成長と収益力向上を実現しました。しかしながら、計画最終年度の2021年度において、新型コロナウイルス感染症の影響による生産拠点の稼働低下や、原材料価格高騰等のコスト上昇により連結目標数値を下回る結果となりました。

(前中期経営計画最終年度(2021年度)のグループ連結業績)

 

実績(2021年度)

増減(対2018年度)

増減(対計画)

売上高

6,027億円

226億円

△543億円

内 海外売上高

976億円

184億円

△47億円

営業利益

314億円

19億円

△36億円

親会社株主に帰属する当期純利益

234億円

34億円

14億円

EBITDA

525億円

55億円

△51億円

*EBITDA=営業利益+減価償却費(リースを含み、のれんを除く)

**表示単位未満を四捨五入しております。

 

 地政学リスクなどの影響で今後ますます調達環境が厳しくなることが予測される中、適正な価格改定やローコスト化などの収益構造改革の推進、また持続可能なサプライチェーンの確立が大きな課題と捉えております。

 

② 2022年度-2024年度中期経営計画「Compass Rose 2024」の概要

(イ)新中期経営計画基本方針

 ニチレイグループは、「サステナビリティ基本方針~ニチレイの約束~」に基づく事業活動を通じて、豊かな食生活と健康を支える企業としての社会的責任を果たしつつ、資本効率を追求した経営に取り組み、社会的価値と経済的価値の向上を目指してまいります。

 その実現のため、投下資本利益率(ROIC)に基づく事業ポートフォリオマネジメントを導入するとともに、成長分野への設備投資、海外事業拡大、新規事業、デジタル活用による業務革新などに経営資源を優先的に配分していきます。また、社会課題を解決する新たな価値の創造や持続可能な調達、気候変動への取組みなどのグループ重要事項(マテリアリティ)の目標達成に注力しつつ、ESGへの取組みを強化してまいります。

 

(ロ)新中期経営計画のグループ連結目標数値

 

目標(2024年度)

 (2024年度)

増減(対2021年度)

(対2021年度)

売上高

6,600億円

573億円

内 海外売上高

1,300億円

324億円

営業利益

370億円

56億円

親会社株主に帰属する当期純利益

245億円

11億円

EBITDA

650億円

125億円

設備投資額(3カ年累計)

1,200億円

270億円

ROIC

7%以上

 

(ハ)財務戦略

 営業キャッシュ・フローと資産流動化により創出された資金は、企業価値の維持向上のための投資と配当や自己株式の取得を通じた株主還元に振り向けます。

 株主還元については、連結自己資本配当率(DOE)を基準として安定的な配当を継続するとともに、資本効率や市場環境などを考慮のうえ自己株式の取得を機動的に実施することを基本方針とします。

・連結自己資本当期純利益率(ROE)は10%以上を維持します。

・連結自己資本配当率(DOE)3.0%を目安に配当を実施します。

 

 

(ニ)セグメント別の事業戦略

<2024年度 セグメント別目標数値>

セグメント

売上高

営業利益

加工食品

2,750億円

184億円

水産

440億円

10億円

畜産

950億円

20億円

低温物流

2,600億円

162億円

不動産

48億円

22億円

その他

67億円

5億円

全社・消去

△255億円

△33億円

合計

6,600億円

370億円

 

<セグメント別の事業計画>

加工食品事業

・高騰が続くコストに対して適正な価格改定の実施、独自の装置開発によるコストの削減と品質の差別化、高い付加価値に適した価格帯の形成による収益基盤の再構築を図ります。

・パーソナルユース需要や健康意識の高まりに応える新たな価値の創造に取り組みます。

・生産体制の強化及び原材料調達のリスク分散による持続可能なサプライチェーンの構築を図ります。

・北米における生産・供給体制の確立によるアジアンフーズカテゴリー需要の取り込みを強化します。

 

水産・畜産事業

・カテゴリーの選択と集中による資本効率と収益性の向上を図ります。

・独自性の高いこだわり素材の販売を拡大します。

・環境認証素材の水産品の取扱い拡大及び循環型農畜産サイクルの取組みを強化します。

 

低温物流事業

・2024年の労働法規制対応を含む幹線輸送機能と冷凍食品物流プラットフォームを拡大します。

・保管運送一体運営の高度化により全国及び地域輸配送網を拡大します。

・業務革新、先端技術を活用した現場作業の高度化と効率化を推進します。

・将来の資本効率向上につながる設備投資を実現します。

・港湾拠点の活用や組織横断的な機能連携により欧州事業を拡大します。

 

その他(バイオサイエンス事業)

・成長分野である分子診断薬事業への資源集中により経営基盤を強化します。

・免疫染色装置と検査試薬を一体とした分子診断薬の販売を拡大します。

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、本項において将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末(2022年3月31日)現在において判断したものであります。

 

(1) 経済状況及び事業環境について

<リスク>

国内市場では、世帯構成・ライフスタイルの変化を背景とした時短ニーズの増大や消費形態の多様化の傾向等により、新たな需要が生まれることが見込まれますが、その一方、本格的な人口減少に伴い長期的に総需要の縮小が懸念されます。海外市場においては、経済成長や事業環境の変化を背景とし、地域ごとに異なる様々な食と健康に関わるニーズの拡大が見込まれます。また、持続可能な社会の実現に向けて、企業に対する社会的な期待と要請は一層多様化、高度化しています。

<対応・取組み>

こうした環境の変化に対応するため、当社グループでは、食と健康を支える幅広い事業でイノベーションを推進してお客様及び社会の課題を解決する新たな価値を創造し、人々の豊かな食生活と健康に貢献することを目指しております。

 

(2) ウクライナ情勢について

<リスク>

ウクライナ情勢により顕在化している金融市場への影響、エネルギー価格の上昇、サプライチェーンへの影響等が長期化することにより、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

<対応・取組み>

引き続き情勢を注視し、事業活動に及ぼす影響の最小化に努め、適宜適切な対応を進めてまいります。

 

(3) 新型コロナウイルス感染症の影響について

<リスク>

新型コロナウイルス感染症の影響については、今後の経過状況による更なる世界経済の停滞やサプライチェーンの混乱、当社グループ内での感染者発生による事業活動中断、国際的な労働者の移動制限による労働力不足などが発生した場合、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

<対応・取組み>

当社グループでは、人々の生活様式や価値観の変化に伴う新たな事業機会の創出や先端技術を活用した自動化や省人化を推進する等、対応・取組みを進めております。

また、手洗い・マスク着用の徹底や出張の制限、在宅勤務の実施などの各種感染症対策を実施し、従業員の健康と安全を最優先しながら、人々の食と健康を支える使命を果たし続けてまいります。

 

(4) 食品に関する品質問題について

<リスク>

当社グループでは、食品の製造・販売を行っており、衛生基準や農薬・動物用医薬品残留基準の超過、異物混入、特定家畜伝染病(鳥インフルエンザ、アフリカ豚熱、口蹄疫等)など、食品に関する品質問題が発生する可能性があります。

当社グループが販売した商品において品質問題が発生した場合、その危害性と拡散性などから総合的に判断し適切な対応を行いますが、想定を超える大規模な商品回収等が発生した場合には、当社グループの社会的信用が毀損するとともに、業績に重大な影響を与える可能性があります。

また、当社グループ以外で食品に関する重大な品質問題が発生した場合においても、加工食品事業及び水産・畜産事業における商品・原材料の安定的な調達・販売に支障をきたす恐れ、あるいは食品輸入量の大幅な減少により低温物流事業における物流センターの稼働率が低下する恐れがあります。

<対応・取組み>

当社グループでは、お客様に信頼される商品とサービスの提供を目指し、食品安全マネジメントシステムの導入を始めとした商品開発から原材料調達、生産、販売まで一貫した品質保証体制の維持・向上に努めております。適切な原材料・商品の品質・生産管理、トレーサビリティシステムの構築、フードディフェンスの取組み、要員の育成・適正配置など、食品の「安全・安心」の確保を最優先課題として取り組んでおります。

 

 

(5) 多様な人材の確保及び育成等について

<リスク>

当社グループが持続的な成長を実現していくためには、多様で優秀な人材を確保・育成し、その能力を最大限に発揮することが重要です。しかしながら、国内においては少子高齢化に伴う労働力不足への対応が課題となっております。労働力不足を含む雇用情勢の変化や人材の流動化などにより、必要な人材の確保や育成が計画通り行えなかった場合、当社グループの事業運営に影響を与える可能性があります。

<対応・取組み>

当社グループでは、多様な働き方の実現や健康経営の推進、オフィスや生産工場・物流センターにおけるオペレーション業務の自動化・省力化・省人化といった働く環境の整備や生産性の向上に取り組んでおります。健康経営においては、ニチレイ健康推進センターを中心にがん検診等を含む健康診断の事後措置の徹底やヘルスリテラシー向上施策を実施し、6年連続の「健康経営優良法人(ホワイト500)」選定、並びに「第10回健康寿命をのばそう!アワード」の「厚生労働省健康局長優良賞」を受賞いたしました。人材育成においては、企業経営理念の理解・浸透や能力開発・能力発揮のための機会の提供等、人的資本への投資に努めております。

 

(6) 情報セキュリティについて

<リスク>

当社グループでは、事業運営を行う上で様々なシステムを使用し、また、多くの重要情報を取り扱っておりますが、運用上のトラブルやサイバー攻撃などによりシステムが停止したり、重要情報が改ざんされたりするなど、業務運営に支障をきたす恐れ、あるいはコンピュータウイルスや情報端末の管理不備等により、当社グループ外部へ重要情報の漏洩が発生する恐れがあります。これらシステム上のトラブルや情報漏洩が発生した場合、対応費用や社会的信用の低下などにより、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

<対応・取組み>

当社グループでは、外部からの攻撃に対してファイアウォールや侵入検知システム、適切な認証システムの整備などの技術上の対策を行うとともに、情報セキュリティに関する規程類の整備や、eラーニング等による従業員への教育などを行い、情報システムの適切な管理体制の構築に努めております。

 

(7) 商品や原材料等の価格変動について

<リスク>

当社グループが取り扱う商品や原材料には畜産品(鶏肉等)や水産品など、市況や作柄により価格が大きく変動するものがあります。コスト上昇分がコストダウン施策により吸収しきれない場合や競争激化などにより価格改定が進まない場合、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

<対応・取組み>

加工食品事業では、配合技術・生産効率の向上による継続的な製造原価の低減や提供価値を高めた商品の開発、水産・畜産事業では、需給バランスに沿った調達・販売、及び相場変動の影響を受けにくい加工品の取扱拡大や差別化商品の販売強化などに努めております。

 

(8) 原油価格等の変動について

<リスク>

当社グループでは原油価格等の高騰が、電力料、軽油・重油等燃料調達費用、商品・原材料の調達コストなどの増加につながります。これらの価格上昇をコストダウンで吸収できない場合、また価格改定が進まない場合、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

<対応・取組み>

当社グループでは、新技術の導入や業務改善等により継続的な原価低減に努めております。

 

(9) 為替変動の影響について

<リスク>

当社グループは、主要事業において商品や原材料の一部を海外より調達しているため、また海外に子会社を保有しているため、為替変動の影響を受けます。当社グループの業績に影響を与える通貨としては、米国ドル、タイバーツ、ユーロなどがあります。予測を超えた急激な為替レートの変動があった場合、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

<対応・取組み>

為替予約取引を実施するなど、為替変動による業績への影響を最小限にとどめるよう努めております。

 

(10) 法規制等の変更について

<リスク>

当社グループは、国内で事業を遂行していくうえで、食品衛生法、倉庫業法、貨物利用運送事業法、医薬品医療機器等法、独占禁止法、個人情報保護法、労働法、環境法令など様々な法規制の適用を受けており、また海外事業においても当該国での法規制等の適用を受けます。

今後予期し得ない法規制等の改正・新設やソフトローによる規制の強化等により事業活動が制限され、対応のための費用負担等が発生した場合、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

<対応・取組み>

当社グループでは、サステナビリティ基本方針「ニチレイの約束」に基づき、コンプライアンスを徹底するとともに、各国・地域の法規制等の動向に十分な注意を払い、情報収集に努めております。特に、環境・社会に関わる法規制等の変更については((11)(12)に一部記載)、リスクと機会の両面から検討し、対応を進めております。

 

(11) 持続可能な食の調達について

<リスク>

「地球の恵みを活かしたものづくり」をビジョンに掲げる当社グループにとって、環境や人権に配慮した持続可能な食の調達は、事業の根幹であり、顧客価値の提供と当社グループの成長に直結しています。サプライチェーン上の人権や労働環境への配慮、天然水産資源の管理、食品ロスの削減、海洋プラスチック問題の解決などは、社会的な要請としてますます高まっており、今後法規制等の改正・新設やソフトローによる規制の強化等が行われる可能性があります。取組みが不十分な場合、あるいは取組みが不十分と見なされた場合、原材料等の安定調達に支障を来たすだけでなく、社会的信用の毀損や対応費用が発生し、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

<対応・取組み>

当社グループでは、持続可能な食の調達に向け、2022年4月1日「ニチレイグループ持続可能な調達方針」を策定しました。その方針に準じ、お取引先様に向けた「ニチレイグループサプライヤー行動規範」と「ニチレイグループサプライヤーガイドライン」を策定。お取引先様へESGアンケートなどを実施するとともに、MSC・ASC認証水産物の取扱い、持続可能なパーム油の調達、循環型農畜産の養鶏事業等に取り組んでおります。

 

(12) 気候変動について

<リスク>

脱炭素社会移行の動きが加速する中、企業には大幅な温室効果ガスの排出削減や脱炭素化に向けた取組みが求められており、炭素税の賦課など、これを促進するための政策や規制強化が想定されます。冷凍・冷蔵技術を基盤とし、電力を中心にエネルギーを消費する当社グループにとって、CO2等排出削減の取組みが遅れた場合、その対応費用が増加する可能性があります。また、地球温暖化に伴う気温の上昇及び異常気象の発生により、原料調達、生産、物流などのサプライチェーンに影響が出た場合には、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

<対応・取組み>

当社グループでは、気候変動に対する取組みとして、フロン冷媒から自然冷媒等への切り替えを進めるとともに、太陽光発電設備の導入やグリーン電力証書の購入などのCO2を排出しない再生可能エネルギーの活用を合わせて行っております。また、気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に準じた継続的な気候変動の影響の評価及びその情報開示を行ってまいります。

 

(13) 大規模自然災害について

<リスク>

巨大地震や近年増加傾向にある局地的な暴風雨などにより、当社グループの拠点及び近隣の道路・港・鉄道などに甚大な被害が発生した場合、あるいは市場の縮小、サプライチェーンの寸断、営業活動の制限が引き起こされた場合、その復旧までに長期間事業活動が停止し、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

<対応・取組み>

当社グループは、大規模自然災害への対策として、耐震補強工事や非常用発電機の配備などを進めるとともに、グループ全体では従業員安否確認システム、防災マニュアル・事業継続計画(BCP)の整備、データセンターの複数拠点化などを実施しております。

 

(14) 技術革新について

<リスク>

デジタル技術やフードテックの急速な進展など、技術革新によって予測できない事業環境の変化が起こり、当社グループの持つ技術や提供する商品・サービスの競争力が低下した場合、当社グループの業績に重大な影響が生じる可能性があります。

<対応・取組み>

当社グループでは、食と健康の分野において、デジタル技術やデータ活用による業務プロセスの変革や様々なイノベーションに取り組んでおります。ISO56002に基づいたイノベーションマネジメントシステム(IMS)を構築し、運用しております。

 

(15) 固定資産の保有について

<リスク>

当社グループは、国内外に物流センターや生産工場を多数保有しております。また、海外事業や新規事業の展開に伴う出資などに伴い、のれんや投資有価証券を保有する場合があります。今後、物流センターでは荷主企業の移転や道路交通網の変化による立地条件の悪化、生産工場では設備の老朽化・陳腐化や販売不振による拠点再編、のれんや投資有価証券については出資時の事業計画からの乖離が生じた場合などにおいては、収益悪化影響に加え、固定資産の減損や評価減、あるいは処分などにより、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

<対応・取組み>

当社グループでは投資案件ごとのPDCAサイクルを導入しており、投資起案時の検討項目や事後検証ルールを明確化し、適正に運用しております。

 

(16) 政策保有株式について

<リスク>

当社グループは政策保有株式を保有しておりますが、今後の経済環境や企業収益の動向により当該株式の時価や発行会社の財政状態が大幅に変動した場合、自己資本が毀損するなど、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

<対応・取組み>

個別の銘柄ごとに中長期的な経済合理性等を検証し、保有意義が薄いと判断する株式は売却しております。検証にあたっては、取引上の利益・配当金等の便益やリスクが資本コストに見合っているかを個別に精査したうえで、戦略的な重要性等の定性的評価も勘案し総合的に判断しております。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営成績等の状況の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

① 経営成績の状況及び分析等

当期における世界経済は、欧米諸国を中心に経済活動が再開され回復傾向にあり、一部では景気の過熱感から金融引き締めの動きも見られました。また、わが国経済においても、行動制限の緩和により経済活動が動き始めましたが、変異型ウイルスの感染拡大懸念やウクライナ情勢により、景気の先行きは依然として不透明な状況が続きました。

食品関連業界では、食生活のスタイルに大きな変化が生じ、新常態に向けた商品・サービスが広がりましたが、原材料の高騰により業界全体で価格改定の動きが顕著になりました。また、労働力不足や新型コロナウイルス感染防止に対応すべく、先端技術を活用した自動化や省人化へ向けた動きも加速しました。

当社グループは、生活を支える社会的基盤として、従業員を含むサプライチェーン上の安全に十分配慮したうえで企業活動を行いました。また、長期経営目標「2030年の姿」の実現に向け、特定した5つのグループ重要事項(マテリアリティ)ごとに、グループ目標(施策・KPI)を策定しました。

この結果、グループ全体の売上高は、主力の加工食品事業や低温物流事業が堅調に推移し、6,026億96百万円(前期比5.2%の増収)となりました。利益面では、低温物流事業や水産事業が伸長しましたが、タイでの新型コロナウイルス感染拡大局面における生産子会社の稼働低下や原材料・仕入コストの上昇などにより加工食品事業が苦戦し、営業利益は314億10百万円(前期比4.7%の減益)となり、経常利益は316億67百万円(前期比5.6%の減益)となりました。

特別利益は、投資有価証券売却益など総額は51億88百万円となる一方、特別損失は17億47百万円となりました。

以上により、親会社株主に帰属する当期純利益は233億82百万円(前期比10.2%の増益)となりました。

 

[連結経営成績]

(単位:百万円)

 

当期

前期比

増減率(%)

売上高

602,696

29,938

5.2

営業利益

31,410

△1,539

△4.7

経常利益

31,667

△1,865

△5.6

親会社株主に帰属する当期純利益

23,382

2,170

10.2

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

(単位:百万円)

 

売上高

営業利益

(セグメント)

当期

前期比

増減率(%)

当期

前期比

増減率(%)

 加工食品

244,236

18,786

8.3

14,244

△2,922

△17.0

 水産

67,741

4,646

7.4

956

435

83.4

 畜産

80,297

△3,801

△4.5

1,167

△130

△10.1

 低温物流

224,547

12,226

5.8

14,626

1,542

11.8

 不動産

4,314

△331

△7.1

1,653

△364

△18.0

 その他

4,179

△720

△14.7

△329

△4

 調整額

△22,620

△867

△909

△95

合  計

602,696

29,938

5.2

31,410

△1,539

△4.7

 

(イ) 加工食品事業

《業界のトピックス》

加工食品業界では、ライフスタイルの変化により伸長した内食・中食需要が高い水準を維持したことなどにより、市場全体は好調に推移しました。また、世界的な人手不足やエネルギーコストの高止まり、原材料コストの上昇などにより業界全体で価格改定の動きが顕著になりました。

 

《業績のポイント》

チキン加工品や米飯類などの主力カテゴリーを中心とした商品開発や販売活動に注力しました。その結果、家庭用・業務用ともに販売が拡大したことに加え、海外子会社の売上げも貢献し増収となりました。営業利益は、供給体制の整備や生産性改善に努めたものの、新型コロナウイルス感染拡大に起因する労働力不足からタイの生産拠点で稼働が低下したことや原材料・仕入コストの大幅な上昇などにより、減益となりました。

(単位:百万円)

 

当期

前期比

増減率(%)

売上高  計

244,236

18,786

8.3

 

家庭用調理品

76,823

6,384

9.1

 

業務用調理品

92,644

5,736

6.6

 

農産加工品

19,969

195

1.0

 

海外

40,834

5,986

17.2

 

その他

13,965

482

3.6

営業利益

14,244

△2,922

△17.0

(注)海外は2021年1月から2021年12月までの累計期間

 

家庭用調理品

販売促進活動や生産能力増強などにより、発売20周年を迎えた「本格炒め炒飯」を中心に販売数量を伸ばしました。また、「たいめいけんサイコロステーキピラフ」や「今川焼」の販売も好調に推移しました。

 

業務用調理品

主力のチキン加工品や食肉加工品が好調に推移したことに加え、省人化など業態別の新たなニーズに対応した新商品や有名シェフ監修による「シェフズ・スペシャリテ」シリーズなどの取扱いが拡大しました。

 

農産加工品

調理の時短ニーズに適した商品開発を続け、ブロッコリーなど「そのまま使えるシリーズ」の取扱いが伸長したものの、枝豆類が低調に推移し前期並みとなりました。

 

海外

米国子会社のInnovAsian Cuisine Enterprises社において、需要が増加する家庭用主力商品の調達先を拡大したことなどにより、取扱いが伸長しました。

 

(ロ) 水産事業

《業界のトピックス》

世界的に水産品への需要は高い水準を維持しているなか、産地価格や物流費の高騰、円安の影響も加わり、厳しい調達状況が続いています。国内では消費者の低価格志向も依然として根強く、消費は落ち込みが続いています。

 

《業績のポイント》

海外向けの販売が伸長したことや、テイクアウト・デリバリー等に対応した外食向けの「魚卵」の取扱いが好調に推移したことなどにより、増収・増益となりました。

 

(ハ) 畜産事業

《業界のトピックス》

飼料価格の上昇が続いており、畜産物の調達価格に影響がありました。また、鶏肉では内食需要の落ち着きによる供給過多のなか、輸入品の調達不安から相場は高値で推移しました。豚肉では海外で発生した疾病による供給不安の影響もあり、相場が高騰しました。

 

《業績のポイント》

健康価値食肉を主としたこだわり素材の拡大や外食・中食向けの加工品の販売に努めたものの、量販店向けの国産品の取扱いが減少し、減収・減益となりました。

(ニ) 低温物流事業

《業界のトピックス》

冷蔵倉庫の増設が続いたことに加え、業務用輸入商材などの入庫が低迷し冷蔵倉庫の庫腹需給は緩和傾向となりました。また、断続的な行動制限を背景に量販店向け保管・配送業務などが堅調に推移しました。

 

《業績のポイント》

国内事業の売上げが堅調に推移したことに加え、海外事業も好調に推移し増収となりました。営業利益は、荷役作業コストや車両調達コストなどが上昇したものの、業務改善及び運送効率化などの施策を推進したことで増益となりました。

 

(単位:百万円)

 

売上高

営業利益

当期

前期比

増減率(%)

当期

前期比

増減率(%)

国内小計

174,362

2,180

1.3

13,443

1,367

11.3

 

物流ネットワーク

102,948

120

0.1

5,517

398

7.8

 

地域保管

71,413

2,059

3.0

7,925

969

13.9

海外

45,920

9,375

25.7

2,077

667

47.4

その他・共通

4,264

670

18.6

△895

△493

合計

224,547

12,226

5.8

14,626

1,542

11.8

(注)海外は2021年1月から2021年12月までの累計期間

 

国内

TC(通過型センター)事業の取扱いが堅調に推移したことに加え、地域保管事業において大都市圏を中心に冷凍食品などの保管需要を着実に取り込んだことなどにより増収となりました。利益面では増収効果に加え、業務効率化に努めたことなどにより増益となりました。

 

海外

欧州地域において、イギリスのEU離脱(Brexit)に伴う移行期間の終了により通関貨物の取扱いが増加したことや小売店向け配送業務などの運送需要を着実に取り込んだことで増収・増益となりました。また、イギリス及びポーランドにおいて今後の事業拡大に向け、企業買収による事業基盤の整備を進めました。

 

(ホ) 不動産事業

《業績のポイント》

主力である賃貸オフィスビル事業において、省エネルギー対策工事などを実施し安定収益の確保に努めましたが、一部の大規模リニューアル工事などにより減収・減益となりました。

 

(ヘ) その他の事業

《業績のポイント》

その他の事業のうち、バイオサイエンス事業は、迅速診断薬やバイオ医薬品原料の取扱いが低迷し減収となりましたが、分子診断薬事業における販売が持ち直し営業利益は前期並みとなりました。

 

② 財政状態及びキャッシュ・フローの状況及び分析等

(イ) 財政状態の状況及び分析等

(単位:百万円)

 

前連結会計年度末

当連結会計年度末

比較増減

〔資産の部〕

 

 

 

流動資産

169,572

180,299

10,726

固定資産

236,146

247,307

11,161

資産合計

405,719

427,606

21,887

〔負債・純資産の部〕

 

 

 

流動負債

108,506

120,775

12,269

固定負債

86,786

88,928

2,141

負債合計

195,293

209,703

14,410

うち、有利子負債

(リース債務を除く)

96,423

(80,757)

104,718

(90,172)

8,294

(9,415)

純資産合計

210,426

217,903

7,477

(うち自己資本)

(203,325)

(211,169)

(7,844)

D/Eレシオ(倍)

(リース債務を除く)

0.5

(0.4)

0.5

(0.4)

0.0

(0.0)

(注)D/Eレシオの算出方法:有利子負債÷純資産

 

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末より218億円増加し、4,276億円となりました。このうち流動資産は、販売が堅調に推移したことによる売上債権の増加などにより107億円増加し、1,802億円となりました。また、固定資産は、主力事業の収益基盤拡大に向けた設備投資や欧州低温物流会社の買収による有形固定資産やのれんの増加などにより111億円増加し、2,473億円となりました。

負債合計は、前連結会計年度末より144億円増加し、2,097億円となりました。このうち流動負債は、短期借入金やコマーシャル・ペーパーの増加などにより122億円増加し、1,207億円となりました。また、固定負債は、繰延税金負債が増加したことにより21億円増加し、889億円となりました。なお、有利子負債は82億円増加し、1,047億円となりました。

純資産合計は、前連結会計年度末より74億円増加し、2,179億円となりました。このうち自己資本は、親会社株主に帰属する当期純利益233億円の計上、配当金70億円の支払い、「収益認識に関する会計基準」の適用初年度の過年度累積的影響による5億円の減少、株主還元の充実及び資本効率の向上を目的とした自己株式3,810千株の99億円での取得などにより78億円増加し、2,111億円となりました。

 

(ロ) キャッシュ・フローの状況及び分析等

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

比較増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

45,453

34,660

△10,793

投資活動によるキャッシュ・フロー

△32,213

△26,016

6,196

財務活動によるキャッシュ・フロー

△10,709

△14,179

△3,470

フリーキャッシュ・フロー

13,240

8,643

△4,597

 

営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期比で107億円減少し、346億円の収入となりました。経常利益は316億円、減価償却費は210億円を計上する一方、営業資金(売上債権・棚卸資産・仕入債務)の支出109億円や法人税等の支払い107億円などによるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期比で61億円増加し、260億円の支出となりました。有形固定資産の取得による支出212億円や連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出84億円のほか、投資有価証券の売却による収入56億円などによるものです。

財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期比で34億円減少し、141億円の支出となりました。短期借入金及びコマーシャル・ペーパーが77億円増加する一方、自己株式の取得による支出100億円、配当金の支払い70億円やリース債務の返済による支出36億円などによるものです。

以上の結果、当期末における現金及び現金同等物の残高は233億円となりました。

 

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成しております。連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える主な会計上の見積りは以下のとおりであり、継続して合理的に評価しております。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 追加情報」をご参照ください。

なお、見積り及び判断・評価については、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。

(イ)棚卸資産

棚卸資産の評価方法については、「第5 経理の状況」の注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)4.会計方針に関する事項をご参照ください。

 

(ロ)有形固定資産及び無形資産

有形固定資産及び無形資産については、管理会計上の区分や投資の意思決定を行う際の単位や事業の相互補完性等を考慮して合理的にグルーピングを行い、当該資産グループ単位で減損の兆候を把握しております。減損の兆候がある資産グループについては、その資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には減損を認識し、帳簿価額を回収可能価額まで減額して減損損失を計上しております。当該方法では将来キャッシュ・フロー、割引率など多くの見積り・前提を使用しておりますが、将来キャッシュ・フローは企業に固有の事情を反映した合理的で説明可能な仮定及び予測に基づき、また、割引率は当該資産グループに固有のリスク、当社グループに要求される資本コスト、当該資産グループに類似した固有のリスクを反映した市場平均と考えられる合理的な収益率などを総合的に勘案して、それぞれ見積りを行っております。

 

(ハ)有価証券

投資有価証券の評価方法については、市場価格のない株式等以外のものについては市場価格等に基づく時価法を、市場価格のない株式等については原価法を採用しております。投資有価証券のうち、市場価格のない株式等以外のものについては、決算日現在の時価が取得原価に比べて40%以上下落した場合には回復可能性が明らかな場合を除き、また、30%以上40%未満下落した場合には回復可能性がないと認められる場合に減損処理を行っております。市場価格のない株式等については、発行会社の財政状態の悪化により、実質価額が取得原価に比べて50%以上下落した場合には回復可能性が明らかな場合を除き減損処理を行っております。

 

(ニ)繰延税金資産

繰延税金資産は将来減算一時差異、税務上の繰越欠損金及び繰越税額控除のうち、将来課税所得に対して利用できる可能性が高く税金負担額を軽減することができると認められる範囲内で計上しております。また、繰延税金資産は毎期見直しており、将来減算一時差異、税務上の繰越欠損金及び繰越税額控除の全部又は一部が将来の税金負担額を軽減する効果を有さなくなったと判断した場合、計上していた繰延税金資産のうち回収可能性がない金額を取り崩しております。

 

(ホ)貸倒引当金等の引当金

貸倒引当金等の重要な引当金の計上基準は、「第5 経理の状況」の注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)4.会計方針に関する事項をご参照ください。

 

(ヘ)資産除去債務

資産除去債務の計上基準は、「第5 経理の状況」の注記事項(資産除去債務関係)をご参照ください。

 

(ト)販売促進費等

商品の販売促進の目的で当社が取引先に負担する費用の一部(以下、販売促進費等)については、販売促進費等が取引条件の決定時に考慮され実質的に販売価格を構成する一部と捉えられることから、販売促進費等の支払実績に基づき合理的に見積り、売上計上時に売上高から控除して計上しております。

 

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

詳細につきましては、「2  事業等のリスク」をご参照ください。

 

⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

(イ) 資源配分の基本的方針

様々な課題に対応しながら成長と事業基盤強化のための投資を積極的に行うことに加えて、持続可能な社会の実現に向けた取り組みにも配分してまいります。そのために必要な資金を効率的かつ安定的に調達できるよう、資本効率性・成長性・健全性を考慮しながらバランスの取れた資本構成を維持します。資本効率性はROEとROIC、成長性は売上高とEBITDA、健全性はD/E比率、と各々目標とする経営指標を設定し、四半期ごとに外部環境の変化や事業計画の進捗をモニタリングしております。

株主への還元については、各事業年度のキャッシュ・フローなどを勘案しながら、連結自己資本配当率(DOE)を基準として安定的かつ継続的な配当を実施するとともに、資本効率や市場環境などを考慮のうえ自己株式の取得を実施することを基本方針としております。

 

(ロ) 資金需要と資金調達方法

運転資金需要のうち主なものは商品及び原材料の購入費、製造費、低温物流センターの運営費、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、設備投資資金需要のうち主なものは食品生産設備や低温物流設備の購入・建設費用等であります。

当社グループは国内連結子会社を含めたキャッシュマネジメントシステム(CMS)を導入しており、運転資金及び設備投資資金の調達は、主に当社の借入れ及び社債の発行やグループ各社の事業活動から生じるキャッシュ・フローを資金集中することによる内部資金によっております。

 

(ハ) 財務政策

当社は、グループ企業価値の持続的な向上をめざし、成長と事業基盤強化のための投資に加え、食品安全、環境保全などの社会的ニーズに対応する投資も行ってまいりますが、これら事業の遂行に必要な資金を効率的かつ安定的に調達できるよう、資本効率性・成長性・健全性を考慮しながら、バランスの取れた資本構成を実現します。

営業キャッシュ・フローと資産流動化により創出された資金は、企業価値の維持向上のための投資と配当や自己株式の取得を通じた株主還元に振り向けます。

 

⑥ 中長期的な目標に照らした経営成績等についての分析

詳細につきましては、「1  経営方針、経営環境及び対処すべき課題等  (2)  中期的な経営戦略、目標とする経営指標、経営環境及び対処すべき課題」をご参照ください。

 

(2) 生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

(単位:百万円)

セグメントの名称

前連結会計年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

当連結会計年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

増減率(%)

加工食品

110,566

113,013

2.2

水産

8,527

9,617

12.8

畜産

2,345

2,513

7.2

低温物流

318

301

△5.4

不動産

その他

2,544

1,540

△39.4

合計

124,302

126,986

2.2

(注)生産実績は、相殺消去前の製造総費用によっております。

 

② 仕入実績

(単位:百万円)

セグメントの名称

前連結会計年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

当連結会計年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

増減率(%)

加工食品

60,869

74,845

23.0

水産

46,599

57,641

23.7

畜産

70,051

69,885

△0.2

低温物流

142

138

△3.0

不動産

その他

890

1,108

24.5

合計

178,553

203,619

14.0

(注)1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

2  「加工食品」、「水産」、「畜産」、「低温物流」及び「その他」の仕入実績は、商品の仕入代金及び引取諸掛等の合計額であります。

3  「不動産」の仕入実績は、商品の仕入代金等であります。

 

③ 受注実績

低温物流セグメント(㈱ニチレイ・ロジスティクスエンジニアリング)の受注実績は次のとおりであります。

なお、低温物流セグメント以外では、受注生産は行っておりません。

(単位:百万円)

受注高

受注残高

前連結会計年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

当連結会計年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

増減率(%)

前連結会計年度

(2021年3月31日)

当連結会計年度

(2022年3月31日)

増減率(%)

3,929

3,124

△20.5

1,647

951

△42.3

(注)セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

④ 販売実績

(単位:百万円)

セグメントの名称

前連結会計年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

当連結会計年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

増減率(%)

加工食品

225,180

243,963

8.3

水産

62,987

67,663

7.4

畜産

81,685

77,646

△4.9

低温物流

195,723

207,242

5.9

不動産

3,077

2,901

△5.7

その他

4,103

3,279

△20.1

合計

572,757

602,696

5.2

(注)1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

2  主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

当連結会計年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

三菱食品株式会社

72,991

12.7

74,412

12.3

 

4【経営上の重要な契約等】

資産の賃貸契約

契約会社

賃貸先の名称

住所

契約内容

契約期間

当社

三菱UFJ信託銀行株式会社

東京都

千代田区

一般定期借地権

(東京都中央区築地所在の土地)

2003年6月30日~2052年11月30日

 

5【研究開発活動】

当社グループは、市場の変化に対応した新商品及び新技術の開発並びに新規事業の育成を目指した研究開発活動を行っております。

当連結会計年度の研究開発費は1,939百万円で前期に比べ463百万円減少しました。セグメント別の内訳は、加工食品事業では1,182百万円、低温物流事業は199百万円、その他の事業は337百万円、全社(共通)は220百万円となりました。

 

セグメント別の研究開発活動の状況は次のとおりであります。

(1) 加工食品事業

当連結会計年度は、近畿大学(大阪府東大阪市)と昨年度共同開発した「アセロラぶり」に続き「アセロラ真鯛™」の開発に取り組みました。「アセロラ真鯛™」は、当社アセロラ商品の生産過程で生成される副産物のアセロラの搾りかす粉末を配合した餌で養成した養殖魚で、アセロラ由来のポリフェノールとビタミン類の抗酸化作用による品質保持力と後味の良さが特徴です。また、人工種苗による持続可能な養殖業による生産物であることを証明する第三者認証「SCSA認証」を受けております。この技術で食品ロスの軽減とサステナブルな養殖業の推進を目指します。

 

(2) 低温物流事業

物流事業における労働力不足の対策として、作業の省人化、簡易化に資する技術検証、システム開発に取り組んでおります。

作業の省人化では、無人フォークリフトによる庫内作業の実証実験として、冷蔵(+7℃)・冷凍(-25℃)環境下における稼働実験、冷蔵と冷凍ゾーン間の移動実験、有人フォークリフトとの共存実験を進めております。また、様々な用途に合わせた最適な無人搬送機(AGV)の導入検討を行っております。作業の簡易化では、タブレットを利用した検品、ピッキングシステムの開発、人工知能を利用した作業タスクマネジメントシステムの研究・開発を進めており、スマートグラスやウェアラブル端末、遠隔ロボットを利用した物流作業の実証実験にも取り組んでおります。

 

(3) その他の事業(バイオサイエンス事業)

分子診断薬、イムノクロマト製品の開発を行っております。分子診断薬ではALK融合タンパクキット「ヒストファイン ALK iAEP® キット」の使用目的に、「セリチニブ」、「ブリグチニブ」、「ロルラチニブ」の適応判定を追加する一部変更承認を取得しました。イムノクロマト製品では海外メーカーからの導入品である新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗原及びインフルエンザウイルス抗原を同時に検出する迅速診断キットや自社開発した新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗原を検出する迅速診断キットを体外診断用医薬品として販売を開始しました。

 

(4) 全社(共通)

短期的視点で各事業の利益に貢献できる技術支援を行うとともに、中長期視点での新商品やサービス、新事業創出に資する研究を実施しております。

技術支援については、各事業の技術的課題の解決に向けた情報提供や分析技術の提供、技術開発の支援を幅広く行っております。中長期的な研究では、競争優位性の源泉となる基盤技術の深化と創出に関する取組みを進めております。具体例としては、不凍タンパク質の実用化や新たな保存技術の開発を目指す冷凍技術研究、当社独自技術の香り分析装置MS Nose®を活用した「おいしさ研究」、超高齢社会における生活者のニーズを満たす「食と健康」の取組みとそれに向けた自社素材の応用研究、生活者の深層心理を探るサイコメトリクスの事業への活用といった取組みを、社外の研究機関との連携を通して行っております。当連結会計年度の取組みとしては、筑波大学との共同で温度を可変できるMRI装置を開発し、本装置が食品の凍結解凍過程や凍結前後の品質変化を把握し、新たな保存技術の開発を進める上で非常に有用であることを確認しました。この内容は2021年8月に開催された「第25回NMRマイクロイメージング研究会」にて発表しております。また、不凍タンパク質につきましては、新たな製品開発と研究用試薬としての販売を継続するとともに、新たな用途開発も引き続き行っております。